説明

とげ抜き用具

【課題】刺さったとげをピンセット等で挟むことなく、金属とげをも容易に除去できるとげ抜き用具を提供する。
【解決手段】筒状部材1と、この内部で進退可能に設けられた押圧部2と、押圧部2に対して前進(突出)方向に付勢する付勢手段3とを備えるとげ抜き用具である。筒状部材1には空気吸引手段から延出される吸引ホース4を接続できるようになっており、筒状部材1の内部空気を吸引できる構成になっている。このとき、筒状部材1の開口端11の端縁全周をとげの刺さった個所を含む皮膚の表面に密着させつつ、空気吸引手段を作動させることにより、とげを吸引させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とげ抜き用具に関し、特にピンセットタイプとは異なる吸引式のとげ抜き用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に周知とされるとげ抜き用具は、いわゆるピンセットタイプのものであり、皮膚に刺さったとげをピンセットの先端で摘みながら抜くように使用されるものであった。しかし、微細なとげはピンセットで挟むことが困難なため、これを抜くことは容易ではなかった。そこで、ピンセットタイプのとげ抜きにルーペを備えることにより、微細なとげを視覚的に確認できるようにしたものがあった(非特許文献1)。
【非特許文献1】http://www.loupe−studio.com
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ピンセットタイプのとげ抜き用具は、皮膚に刺さったとげをピンセットの先端で挟まなければ除去することができず、ルーペ等により患部を拡大して視認できたとしても手元の操作がしっかりできなければ、とげを抜くことができないという問題点があった。
【0004】
また、金属加工を行う現場においては、微細な金属片の発生が頻繁であるが、加工の種類によっては微細な針状の金属片(以下、金属とげという)が発生することがあり、現場作業員は、この金属とげの除去に苦慮していた。つまり、頻繁に金属とげが刺さるものの、これが刺さるたびに加工作業を一時的に中断することは作業能率を低下させ、また、金属とげが刺さったまま作業を継続することは健康上問題があった。
【0005】
本発明は、上記諸点にかんがみてなされたものであって、その目的とするところは、刺さったとげをピンセット等で挟むことなく、金属とげをも容易に除去できるとげ抜き用具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明は、空気吸引手段に接続されてなる筒状部材と、この筒状部材の内部で該筒状部材の軸線方向に沿って進退可能に設けられた押圧部と、この押圧部を前進方向に付勢する付勢手段とを備えたことを特徴とするとげ抜き用具を要旨としている。
【0007】
上記のような構成にすれば、筒状部材の先端をとげの刺さった患部に当てることにより、空気吸引手段によって当該患部表面が吸引されて盛り上がることとなる。ここで、筒状部材先端の開口端縁の内側にとげが位置するように当該筒状本体先端を患部に当てることで、とげの刺さった部分を中心として皮膚が盛り上がる状態となり、当該部分の皮膚の表面積が拡大することによって、とげの刺さった患部を放射状に引き伸ばすことができる。この皮膚表面を引き伸ばすことによりとげが抜けやすくなるため、空気吸引手段による吸引力によりとげを抜くことが可能となり、また、押圧部が皮膚表面を押圧することから、この押圧による表面積のさらなる拡大を促し、または、押圧部によってとげ近傍の皮膚を押圧させるとき、さらなる皮膚の引き伸ばしを可能にすることができる。
【0008】
また、本発明は、透明の筒状部材と、この筒状部材の内部で該筒状部材の軸線方向に沿って進退可能に設けられ、かつ先端に膨出部を有する押圧部と、この押圧部を前進方向に付勢する付勢手段と、上記筒状部材の後端に接続され、かつ可撓性ある材料により中空球体に形成された空気吸引具と、この空気吸引具による空気の流動を確保しつつ上記筒状部材の内部において上記押圧部を支持する押圧支持部とを備え、上記付勢手段は、上記押圧部の膨出部と上記押圧支持部との中間に配置された圧縮バネであることを特徴とするとげ抜き用具をも要旨としている。
【0009】
上記のような構成にすれば、可撓性ある材料による中空球体の空気吸引具を摘むことにより、当該空気吸引具が復元する際に空気を吸引することが可能になり、その状態を維持しつつ、筒状部材の先端をとげの刺さった皮膚に当てることによって、当該皮膚の表面を引き伸ばすことができる。また、上記構成によれば、空気吸引具を小型にすることが可能であり、持ち運びが可能であるとともに、金属加工現場においても手軽に使用できることとなる。さらに、上述のように、空気吸引具の吸引により、皮膚に刺さったとげは、皮膚から吸い出されることとなるが、吸引されたとげは、上記中空球体である空気吸引具の内部に収容されるため、抜かれたとげを他から分離することができる。この点は、金属とげを除去する場合、抜かれた金属とげを金属ゴミとともに廃棄することが可能となる。
【0010】
上記発明において、押圧部は、棒状の軸部を有する構成とし、また、押圧支持部は、上記軸部の挿通を許容する貫通孔を有する構成とすることができ、この場合、上記押圧部の軸部が上記押圧支持部の貫通孔内を挿通することにより該押圧部が該押圧支持部に支持さる構成とすることが可能である。
【0011】
上記構成によれば、押圧部が円筒部材の内部で進退するとき、押圧部の軸部が押圧支持部の貫通孔に沿って摺動することとなり、その進退方向は押圧支持部の貫通孔の状態によって規制される。従って、押圧部の進退方向を規制すべき特別な機構は不要となる。
【0012】
また、上記構成の場合、膨出部の一部に刃部を形成してなる構成とすることができる。この構成によれば、空気吸引具により吸引され、盛り上がった皮膚の一部を刃部の刃先によって局所的に押さえることができる。
【0013】
さらに、上記構成における刃部は、直線状の刃先を有し、この刃先を前記筒状部材の軸線に直交する方向に一致させてなる刃部とすることができる。この構成によれば、筒状部材の先端に形成される開口端縁を皮膚表面に密着させる際、すなわち、筒状部材を皮膚表面に対して垂直になるように先端を皮膚に当てる際、刃部の刃先は皮膚表面の適宜範囲に当接することができ、しかも、吸引によって盛り上がった皮膚のうち、最も刃先に近接する部分のみが刃先が当接できるようになる。これにより、刃先の一部が必ず皮膚の一部に当接することとなり、効率のよい押圧が可能となる。
【0014】
さらに、上記構成における刃先は、筒状部材の径方向に平行であり、かつ筒状部材の中心線から逸脱して配置された直線状の刃先で構成することができる。この構成によれば、筒状部材の中心線上に、すなわち、筒状部材の開口端縁の中心に、刺さったとげの位置を合致させて、当該筒状部材先端を皮膚に当てることにより、とげの近傍において、かつ、吸引により盛り上がった皮膚の頂上部の付近において、刃先が皮膚表面を押圧することとなり、とげを抜けやすい状況にすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、皮膚に刺さったとげをピンセット等で挟むことなく吸引除去することが可能となる。特に、微細なとげを取り除く際においても、ルーペ等を使用する必要がないため、極めて容易にとげ抜きすることができる。また、金属とげが刺さった場合においても、容易に取り除くことができるため、金属の加工作業を長時間中断する必要がないのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、第一の実施形態は、筒状部材1と、この内部で進退可能に設けられた押圧部2と、押圧部2に対して前進(突出)方向に付勢する付勢手段3とを備えるとげ抜き用具である。筒状部材1には空気吸引手段(例えば、バキューム装置など)から延出される吸引ホース4を接続できるようになっており、筒状部材1の内部空気を吸引できる構成になっている。
【0017】
筒状部材1の両端11,12はそれぞれ開口しており、一端11は、押圧部2の先端が出没できるように大きく解放されており、他端12は、押圧部2を支持するための押圧支持部5が設けられ、この押圧支持部5の切欠部51,52において解放されている。また、この押圧支持部5の中央には貫通孔53が形成されており、押圧部2の基部(これを軸部という)21が挿通可能に構成されている。
【0018】
押圧部2は、軸部21が円柱形状に形成されており、その後端付近の適宜範囲に雄ネジ22が刻設され、上記のとおり、軸部21を押圧支持部5の貫通孔53に挿通し、その先端にナット6を螺合させることにより、当該押圧支持部5によって支持されることとなる。なお、押圧支持部5の貫通孔53は、押圧部2の基部21の外径よりも僅かに大きい径の内径を有し、基部21は僅かな遊びを有した状態で貫通孔53に挿通されるものである。そして、押圧部2の雄ネジ22に螺合されるナット6は、押圧支持部5の貫通孔53を挿通できない大きさであり、また、押圧支持部5の表面外径よりも小さく構成され、当該ナット6が押圧支持部5の表面に当接した状態においても、切欠部51,52は閉塞されないように構成されている。他方、押圧部2の先端は、図示のとおり膨出部23が設けられ、この膨出部23は押圧支持部5の貫通孔53を挿通できない大きさに膨出されている。その結果、押圧部2の軸部21にナット6を螺合することによって、押圧部2は押圧支持部5から離脱できない状態となるのである。これをもって支持された状態となる。
【0019】
このように、押圧支持部5の貫通孔53に挿通されつつ支持される押圧部2は、上記貫通孔53の中心線方向にのみ摺動が可能となるのである。ここで、押圧部2が支持された状態において、膨出部23と押圧支持部5との中間に圧縮コイルバネ3を介在させることによって、膨出部23を押圧支持部5から遠ざける方向(これを前進方向という)に付勢することができるのである。この圧縮コイルバネ3は、略円筒状のコイルを形成するものであるから、そのコイル内部に押圧部2の軸部21を挿通させることができ、このような配置により、圧縮バネ3は軸部21から離脱することはない。そして、圧縮コイルバネ3の長さを調整することにより、押圧部2が最も前進した状態においても、さらに前進方向に付勢力を作用させることができるのである。
【0020】
ここで、押圧部2の先端に設けられる膨出部23について詳述する。図2に示すように、押圧部2は、先端を筒状部材1の一端(開口端)11の近傍に到達する状態で押圧支持部5に支持されている。そして、押圧部2の先端には膨出部23が設けられているのである。この膨出部23は、先端に向かって二つの斜状面24,25を備えており、この斜状面24,25が交叉する個所において刃部26が形成されているのである。そして、上記二つの斜状面24,25は、それらの傾斜角は同程度であるが、一方の斜状面24が他方の斜状面25よりも大きな面積を有しており、これらが交叉する点は、押圧部2の中心線から僅かに偏った位置となっている。また、上記刃部26は、双方の斜状面24,15が交叉する部分に構成されることから、所定長さを有する直線状に形成されるものである。従って、刃部26の刃先は、筒状部材1の中心線から逸脱する位置において直線状を形成するものとなるのである。
【0021】
なお、上記刃部26は鋭利な角度とならないように斜状面24,25は押圧部2の軸線に対して45度前後に傾斜角させている。このことから、刃部26の刃先は、筒状部材1の径方向に平行であって、かつ、筒状部材1の軸線に対して直交方向となる直線状に形成されることとなるのである。また、膨出部23の後方面(刃部26が構成される反対側の面)27は、所定面積を有する四辺形状に形成されており、上述の圧縮コイルバネ3の先端が当接できるようになっている。
【0022】
本実施形態は、上記のような構成であるから、筒状部材1の開口端11を皮膚Sの表面に当接するときには、図3(a)に示すように、押圧部2の先端(膨出部23)は、皮膚Sの表面に接するか、または、僅かな間隙を有する状態となる。そして、筒状部材1の開口端11の端縁全周を皮膚Sの表面に密着させつつ、空気吸引手段を作動させることにより、この開口端11に包囲される中空部分の気圧が低下することとなり、これに伴って、図3(b)および(c)に示すように皮膚Sの表面が盛り上がることとなる。この図に示されているように、皮膚Sの盛り上がりにより、押圧部2の先端(膨出部23)は皮膚Sを押圧することとなるのである。この押圧力は、圧縮コイルバネ3の弾性力によるものであるが、押圧部2が後退されることにより、その後退に対する圧縮反力が押圧力となるのである。
【0023】
このとき、皮膚Sの表面は、皮膚そのもの(例えば、掌と手の甲の皮膚)の伸縮度合いに応じて盛り上がる程度が異なり、大きく盛り上がる場所(例えば、手の甲)と、小さく盛り上がる場所(例えば、掌)では、皮膚Sの表面の伸び方に違いがあるが、いずれにしても表面は伸ばされることとなる。そして、刃部26が皮膚Sの表面にくい込むことによって、さらに、皮膚Sの表面を伸ばすこととなるのである。また、上述のように、刃部26が押圧部2の中心線から偏った位置に構成されていることから、この刃部26は、盛り上がった皮膚Sの頂上部分にくい込むことはなく、頂上から少し傾斜した部分にくい込むこととなる。このような個所を押圧することによって、刃部26は傾斜部分を滑り落ちる方向(斜め下向き)に皮膚Sを押さえることができるのである。なお、「皮膚にくい込む」との表現は、皮膚を破るような状態を示すのではなく、盛り上がった皮膚の部分的表面を凹状に形成させることを意味するものである。
【0024】
本実施形態により現実にとげを抜くためには、図4に示すように、とげTの刺さった個所を含む皮膚Sの表面に筒状部材1の先端11を当接させ、空気吸引手段を作動させることによるのである。ここで、筒状部材1の先端11を皮膚Sに当接させるとき、とげTが筒状部材1のほぼ中心Cに位置するように調整し、この状態で空気吸引手段を作動させることにより、第一に、とげTは盛り上がる皮膚Sの頂上に位置することとなるから、とげTの周辺の皮膚が最も引き伸ばされ、皮膚SがとげTを締め付ける力を緩めることとなり、とげTの吸引(引き抜き)を容易にするのである。また、第二に、刃部26はとげTの近傍にくい込み、しかも、盛り上がった皮膚Sの頂上にとげTがあるとすれば、その傍らで、とげTの周辺の皮膚を斜め下向きに引っ張ることができるのである。従って、皮膚Sの膨張(盛り上がり)および刃部26の引っ張りにより、とげTの近傍の皮膚Sは一層大きく拡張され、とげTの周辺の皮膚Sを緩めることとなるのである。
【0025】
なお、通常のとげTであれば、皮膚Sの引き延ばしおよび吸引によって容易に除去することができるが、非常に微細なとげの場合や強固に刺さったとげの場合には、除去が困難なことがあり得る。しかし、このような場合でも、刃部26が線状に形成されているため、刃部26が皮膚Sにくい込んだ状態で(筒状部材1の先端11が皮膚Sに当接した状態で)、筒状部材1を周方向に回転させることにより、刃部26が皮膚Sの表面を捩ることができる。この捩りによって、さらに皮膚Sの表面は引き伸ばされ、また、同時にとげTに接触して離脱のための振動を与えることができるのである。
【0026】
次に、第二の実施形態について説明する。本実施形態は、図5に示すように、空気吸引手段として、中空球体の空気吸引具104を設けた構成である。この空気吸引具104は、本体部分が球体(場合によっては卵形)の本体部141と開口部142とを一体的に構成したものであって、全体が可撓性のある材料(例えばゴム製)で構成され、本体部141を指先で摘むことにより、内向きに変形して内部空気が開口部142から排出され、指先による摘みを解除することにより、形状を復元して外部の空気を開口部142から吸入できる構造となっているのである。従って、使用時には、予め本体部141を指先で摘んで内部空気を排出させておき、吸引可能な状態としたうえで、とげ抜きに必要な吸引力を得ることとなるのである。
【0027】
上記構成の本実施形態は、空気吸引具104の開口部142が第一実施形態と同様に筒状部材1の後端に接続されているのである。そこで、開口部142を筒状部材1に接続するための具体的な構造は、図6に示すように、開口部142の開口端付近を押圧支持部5に支持させるものである。すなわち、図6(a)において明らかなとおり、押圧支持部5は、筒状部材1の後端内側に配置されるところ、この筒状部材1の後端内側表面と押圧支持部5との中間に、開口部142の開口端付近を介在させるのである。これら三つの部材は、それぞれ接着することで固定することも可能であるが、可撓性ある材料からなる空気吸引具104の一部である開口部142は、その可撓性を利用して、筒状部材1の後端内側表面と押圧支持部1の外側表面とによって、圧着することも可能である。
【0028】
また、上記のような構成により装着された空気吸引具104は、筒状部材1の内部と連通させなければ内部空気の排出および外気の吸引ができないこととなる。そこで、図6(b)において明確にされているとおり、押圧支持部5には、切欠部51,52が形成されている(この構成は第一実施形態と同様である)。そして、この切欠部51,52が空気吸引具104の内部空気と外部空気との流通口として機能することとなるのである。
【0029】
上記のような構成であるから、図7に示すように、空気吸引具104を両側から指などによって内向き(図中矢印方向に)摘むことにより、吸気吸引具104の内部空気は、切欠部51,52によって構成される空気流通口を経由し、筒状部材1の開口端11から外方に排出されることとなるのである。なお、上記空気吸引具104の摘みを止めるとき、空気吸引具104の復元力に伴って、上記とは逆向きの空気の流れによって、空気吸引具104の内部に空気が吸引されるのであり、このとき、筒状部材1の内部は気圧が減少し、開口端11に対する吸引力として作用することとなるのである。
【0030】
従って、上述のとおり、空気吸引具104を内向きに変形させた状態(図7に示す様態)を維持しつつ、筒状部材1の開口端11を皮膚Sに当接させることにより、図8に示すように、皮膚Sを盛り上げることができるのである。このように、皮膚Sを盛り上げることができれば、第一実施形態と同様に、とげ抜きの効果をえることができるのである。
【0031】
また、本実施形態では、空気吸引具104は、中空球体であるため、この空気吸引具104によって吸引された空気は、当該空気吸引具104から外部に漏れることがない。そのため、とげ抜き過程において、とげが皮膚Sから取り除かれて吸引される際、抜かれたとげは、空気吸引具104の内部に収容されることとなる。仮に、空気吸引具104に到達するまで吸引されなかったとしても、筒状部材1の内部にとどまることとなる。従って、除去されたとげは、必ず空気吸引具104または筒状部材1のいずれかの内部に存在することとなるから、とげ抜き終了後に、これを所定の廃棄容器にまとめることで廃棄が可能となる。特に金属製のとげについては、飛散を防止するという効果をも発揮することとなる。
【0032】
本発明の実施形態は上記のとおりであるが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様をとることができる。例えば、上記実施形態の説明中には、筒状部材1の材質等について明確に示していないが、実施形態の使用の態様においては、とげが刺さった個所を覆うように筒状部材1の開口端11を皮膚Sに当接するものであるから、外部からとげの状態が観察できるように、筒状部材1は透明な素材で構成することが好ましい。そして、透明な素材であれば、ガラス製のほかアクリル等の合成樹脂製であってもよいのである。また、特定の種類のとげを除去することを予定する場合には、当該とげを明確に観察できるように、着色した材料により構成することも可能である。例えば、金属とげのように反射し易い種類のとげを除去する場合には、とげに対する入射光を押さえるような着色を施した半透明材料で構成することが効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第一の実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】第一の実施形態の内部を示す断面図である。
【図3】第一の実施形態と皮膚との関係を示す説明図である。
【図4】第一の実施形態の使用態様を示す説明図である。
【図5】第二の実施形態を示す斜視図である。
【図6】(a)はVIA−VIA断面図であり、(b)はVIB−VIB断面図である。
【図7】第二の実施形態の作動態様を示す説明図である。
【図8】第二の実施形態の作動態様を示す説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1 筒状部材
2 押圧部
3 付勢手段(圧縮コイルバネ)
4 吸引ホース
5 押圧支持部
6 ナット
11 筒状部材一端(開口端)
12 筒状部材他端(後端)
21 押圧部の基部
22 雄ネジ
23 膨出部
24,25 斜状部
26 刃部
27 膨出部後方面
51,52 切欠部
53 貫通孔
104 空気吸引具
141 空気吸引具本体
142 空気吸引具開口部
S 皮膚
T とげ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気吸引手段に接続されてなる筒状部材と、この筒状部材の内部で該筒状部材の軸線方向に沿って進退可能に設けられた押圧部と、この押圧部を前進方向に付勢する付勢手段とを備えたことを特徴とするとげ抜き用具。
【請求項2】
透明の筒状部材と、この筒状部材の内部で該筒状部材の軸線方向に沿って進退可能に設けられ、かつ先端に膨出部を有する押圧部と、この押圧部を前進方向に付勢する付勢手段と、上記筒状部材の後端に接続され、かつ可撓性ある材料により中空球体に形成された空気吸引具と、この空気吸引具による空気の流動を確保しつつ上記筒状部材の内部において上記押圧部を支持する押圧支持部とを備え、上記付勢手段は、上記押圧部の膨出部と上記押圧支持部との中間に配置された圧縮バネであることを特徴とするとげ抜き用具。
【請求項3】
前記押圧部は、棒状の軸部を有する押圧部であり、前記押圧支持部は、上記軸部の挿通を許容する貫通孔を有する押圧支持部であり、上記押圧部の軸部が上記押圧支持部の貫通孔内を挿通することにより該押圧部が該押圧支持部に支持されてなる請求項2記載のとげ抜き用具。
【請求項4】
前記押圧部は、棒状の軸部と、この軸部の先端に設けられた膨出部とを備えた押圧部である請求項1記載のとげ抜き用具。
【請求項5】
前記膨出部は、その一部に刃部を形成してなる膨出部である請求項2ないし4のいずれかに記載のとげ抜き用具。
【請求項6】
前記刃部は、直線状の刃先を有し、この刃先を前記筒状部材の軸線に直交する方向に一致させてなる刃部である請求項5記載のとげ抜き用具。
【請求項7】
前記刃先は、前記筒状部材の径方向に平行で、かつ該筒状部材の中心線から逸脱して配置された直線状の刃先である請求項6記載のとげ抜き用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−225911(P2009−225911A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72886(P2008−72886)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(592215088)株式会社精伸工産 (3)
【Fターム(参考)】