説明

においが改善された殺外部寄生虫製剤

【課題】においが改善された殺外部寄生虫製剤を提供すること。
【解決手段】本発明は、メタフルミゾンを含むにおいが改善された組成物、ならびに温血動物における外部寄生虫の寄生から保護するためのキットおよび方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
通常温血動物に感染する節足動物の外部寄生虫(ectoparasites)には、マダニ、ダニ、シラミ、ノミ、クロバエ、ヒツジの外部寄生虫であるキンバエ属(Lucilia)種、ヒツジシラミバエ(Melophagus ovinus)を含めた刺咬昆虫、さらに移動性双翅幼虫、例として、ウシの場合のヒポデルマ属(Hypoderma)種およびデルマトビア(Dermatobia)、ウマの場合のガストロフィルス(Gastrophilus)ならびにげっ歯類、イヌおよびネコの場合のクテレブラ属(Cuterebra)種がある。メタフルミゾン(metaflumizone)、アミトラズ(amitraz)およびデミジトラズ(demiditraz)が、温血動物における外部寄生虫の寄生(infestation)の予防および制御のために有用である。外用投与が、これらの成分の投与のための好ましい方法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
安定、適用が容易、塗布可能であり、流出を最小限に留める外用製剤を提供するために、現存する製剤は、臭気溶媒を利用しており、これは、製剤に不都合な匂いをもたらしている。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、においが改善された殺外部寄生虫製剤を提供し、これは、安定、適用が容易、塗布可能であり、動物からの流出を最小限に留める。
【0004】
1つの実施形態では、本発明は、においが改善された殺外部寄生虫組成物を提供し、この組成物は、メタフルミゾン、主要な担体溶媒であるフルクトン、および場合によりアミトラズまたはデミジトラズを含む。より具体的には、組成物は、メタフルミゾン、フルクトン、共溶媒である酢酸ゲラニルおよび皮膚浸透促進剤、ならびに場合により追加の担体溶媒および/または架橋剤を含む。より具体的には、組成物は、(w/v単位で)約20%〜約50%のフルクトン、約10%〜約30%のメタフルミゾン、約0%〜約20%のアミトラズまたは約0%〜約20%のデミジトラズ、約5%〜約15%のジメチルスルホキシド(DMSO)、約5%〜約15%のN,N−ジエチル−m−トルアミド(DEET)、約5%〜約15%のγ−ヘキサラクトン、約5%〜約15%の酢酸ゲラニル、および約1%〜約10%の酢酸1−メトキシ−2−プロピルを含む。より具体的には、組成物は、約10%〜約20%w/vのアミトラズを含む。あるいは、組成物は、約10%〜約20%w/vのデミジトラズを含む。
【0005】
本発明の別の態様は、温血動物における外部寄生虫の寄生を予防または治療するための方法を提供し、この方法は、においが改善された殺外部寄生虫組成物を、温血動物に外用投与するステップを含む。
【0006】
本発明の別の態様は、温血動物における外部寄生虫の寄生を予防または治療するためのキットを提供し、このキットは、においが改善された殺外部寄生虫組成物の外用単位用量製剤を含む。
【0007】
本発明のその他の目的、特色および利点が、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかし、当業者には本発明の精神および範囲に属する種々の変更形態および改変形態がこの詳細な説明から明らかとなるため、詳細な説明および特定の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すが、これらは例示の目的に限って提供されていることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0008】
活性成分として、メタフルミゾン、アミトラズおよび/またはデミジトラズを含有する外用獣医用組成物は、これに限定されないが、イヌノミ(Ctenocephalides canis)を含めた多様な外部寄生虫に対するメタフルミゾンの有効かつ持続的な活性、ならびにマダニに対するアミトラズおよびデミジトラズの効能による非常に望ましい組成物である。
【0009】
動物の首の基部に適用する外用獣医用の殺外部寄生虫組成物の現存する「点局所(spot−on)」適用例には、適用した組成物が動物によって除去されるのを困難にする点では助けとなるが、あまり好ましくない官能的特性をもたらす溶媒が含まれる。殺外部寄生虫剤、特に、メタフルミゾンおよびアミトラズの限られた溶解性および安定性のために、今までは、あまり好ましくない臭気を製剤にもたらす、シネオール(ユーカリプトール)等、これらの溶媒を含ませることが必要であった。
【0010】
好都合なことに、本発明のにおいが改善された組成物は、活性効力を失うことなく、所望の物理的特徴を長時間保持する。さらに、本発明の組成物は、動物の皮膚または体毛に外用として適用した場合に、メタフルミゾン、アミトラズおよび/またはデミジトラズ等の(1つまたは複数の)殺外部寄生虫薬の所望の期間にわたる放出を促進しつつ、組成物の保持を可能にするのに十分な粘度を示す。
【0011】
1つの実施形態では、本発明のにおいが改善された組成物は、メタフルミゾンおよび主要な担体構成成分であるフルクトンを含む。別の実施形態では、組成物は、追加の活性剤として、アミトラズをさらに含む。別の実施形態では、組成物は、追加の活性剤として、デミジトラズをさらに含む。別の実施形態では、組成物は、酢酸ゲラニルをさらに含む。別の実施形態では、組成物は、架橋剤、皮膚浸透促進剤および/または担体溶媒のうち少なくとも1つをさらに含む。適切な担体溶媒には、γ−ヘキサラクトン、N,N−ジエチル−m−トルアミドおよび酢酸1−メトキシ−2−プロピルがある。適切な架橋剤は、例えば、ジメチルスルホキシド等の架橋剤である。
【0012】
別の実施形態では、本発明のにおいが改善された組成物は、メタフルミゾン、フルクトン、酢酸ゲラニル、ならびにγ−ヘキサラクトン、N,N−ジエチル−m−トルアミド、酢酸1−メトキシ−2−プロピルおよびジメチルスルホキシドのうち少なくとも1つ、少なくとも2つまたは少なくとも3つを含み、場合により、アミトラズおよび/またはデミジトラズをさらに含む。
【0013】
別の実施形態では、メタフルミゾンが、約10%〜約40%w/v、または約10%〜約30%w/v、または約10%〜約20%w/v、または約15%w/vで存在する。別の実施形態では、アミトラズが、約0%〜約20%w/v、または約10%〜約20%w/v、または約15%w/vで存在する。別の実施形態では、デミジトラズが、約0%〜約20%w/v、または約10%〜約20%w/v、または約15%w/vで存在する。別の実施形態では、フルクトンが、約20%〜約60%w/v、または約20%〜約50%w/v、または約20%〜約40%w/v、または約30%w/vで存在する。別の実施形態では、酢酸ゲラニルが、約5%〜約15%w/v、または約7.5%〜約13%w/v、または約10%w/vで存在する。別の実施形態では、γ−ヘキサラクトンが、約5%〜約15%w/vで存在し、N,N−ジエチル−m−トルアミドが、約5%〜約15%w/vで存在し、酢酸1−メトキシ−2−プロピルが、約0%〜約15%w/v、または約5%〜約15%w/v、または約1%〜約10%w/v、または約5%w/vで存在する。別の実施形態では、ジメチルスルホキシドが、約5%〜約15%w/v、または約10%w/vで存在する。別の実施形態では、組成物は、w/v単位で、約15%のアミトラズ、約15%のメタフルミゾン、約20%〜約40%のフルクトン、および約10%の酢酸ゲラニルを含む。別の実施形態では、組成物は、w/v単位で、約15%のデミジトラズ、約15%のメタフルミゾン、約20%〜約40%のフルクトン、および約10%酢酸ゲラニルを含む。別の実施形態では、組成物は、w/v単位で、約15%〜約25%のメタフルミゾン、約20%〜約50%のフルクトン、および約10%の酢酸ゲラニルを含む。別の実施形態では、組成物は、w/v単位で、約10%のジメチルスルホキシド、約10%のγ−ヘキサラクトン、約10%のN,N−ジエチル−m−トルアミド、および約5%の酢酸1−メトキシ−2−プロピルを含む。
【0014】
別の実施形態では、本発明のにおいが改善された組成物は、(w/v単位で)約20%〜約40%のフルクトン、約10%〜約20%のメタフルミゾン、約5%〜約15%のDMSO、約5%〜約15%のN,N−ジエチル−m−トルアミド、約5%〜約15%のγ−ヘキサラクトン、約5%〜約15%の酢酸ゲラニル、および約0%〜約10%の酢酸1−メトキシ−2−プロピルを含む。より具体的には、組成物は、約10%〜約20%のアミトラズをさらに含む。あるいは、組成物は、約10%〜約20%のデミジトラズをさらに含む。別の実施形態では、組成物は、(w/v単位で)約25%〜約35%のフルクトン、約15%のアミトラズ、約15%のメタフルミゾン、約10%のジメチルスルホキシド、約10%のN,N−ジエチル−m−トルアミド、約10%のγ−ヘキサラクトン、約10%の酢酸ゲラニル、および約5%の酢酸1−メトキシ−2−プロピルから本質的になる。別の実施形態では、組成物は、(w/v単位で)約25%〜約35%のフルクトン、約15%のデミジトラズ、約15%のメタフルミゾン、約10%のジメチルスルホキシド、約10%のN,N−ジエチル−m−トルアミド、約10%のγ−ヘキサラクトン、約10%の酢酸ゲラニル、および約5%の酢酸1−メトキシ−2−プロピルから本質的になる。
【0015】
別の実施形態では、組成物は、w/v単位で、約25%〜約50%のフルクトン、約10%〜約30%のメタフルミゾン、約5%〜約15%のDMSO、約5%〜約15%のN,N−ジエチル−m−トルアミド、約5%〜約15%のγ−ヘキサラクトン、約5%〜約15%の酢酸ゲラニル、および0%〜約10%の酢酸1−メトキシ−2−プロピルを含む。
【0016】
本発明の別の態様は、温血動物における外部寄生虫の寄生を予防または治療するための方法を提供し、この方法は、本明細書に記載するにおいが改善された組成物を、温血動物に外用投与するステップを含む。より具体的には、前記組成物を、温血動物の背中上の1つまたは複数の点または分離した領域に投与する。別の実施形態では、殺外部寄生虫薬を、動物に、1、2、3、4または5つの場所(点)において、好ましくは、動物の背中に沿って、または首の基部において適用する。より具体的には、温血動物はイヌである。さらにより具体的には、イヌに、アミトラズおよびメタフルミゾンをそれぞれ、約15mg/kg〜約25mg/kg、好ましくは約20mg/kg投与する。あるいは、イヌに、デミジトラズおよびメタフルミゾンをそれぞれ、約15mg/kg〜約25mg/kg、好ましくは約20mg/kg投与する。
【0017】
本発明の別の態様は、温血動物における外部寄生虫の寄生を予防または治療するための方法を提供し、この方法は、においが改善された組成物の希釈した形態を、注入物(pour−on)として投与するステップを含む。より具体的には、においが改善された組成物の希釈した形態は、約1%〜約95%の本明細書に記載するにおいが改善された組成物、および少なくとも1つのその他の溶媒を含む。
【0018】
本発明の別の態様は、温血動物における外部寄生虫の寄生を予防または治療するためのキットを提供し、このキットは、本明細書に記載するにおいが改善された組成物の外用単位用量製剤を含む。
【0019】
別の実施形態では、温血動物はネコである。その上さらなる実施形態では、温血動物は、家畜である。別の実施形態では、温血動物はウマである。
【0020】
別の実施形態では、架橋剤が、アルキルメチルスルホキシド、例えば、ジメチルスルホキシド、デシルメチルスルホキシドまたはテトラデシルメチルスルホキシド、ピロリドン、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンまたはN−(2−ヒドロキシエチル)ピロリドン、ラウロカプラム、アセトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドおよびテトラヒドロフルフリルアルコールからなる群から選択される。別の実施形態では、架橋剤は、L−アミノ酸、ジメチルスルホキシド(DMSO)および脂肪酸からなる群から選択される。
【0021】
別の実施形態では、界面活性剤が、アニオン性もしくはカチオン性の界面活性剤、非イオン性界面活性剤、アルコールアルコキシレート、またはノニルフェノールエトキシレートである。
【0022】
別の実施形態では、組成物は、活性剤(例えば、メタフルミゾンおよび/またはアミトラズもしくはデミジトラズ)と共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、保存剤またはビヒクルを含む。別の実施形態では、組成物は、石油、動物油、植物油、落花生油、大豆油、鉱油および胡麻油を含む。別の実施形態では、組成物は、ユーカリプトールを含まない。別の実施形態では、組成物は、メチルパラベン、プロピルパラベン、チメロサールおよびEDTAからなる群から選択された保存剤をさらに含む。
【0023】
本明細書に開示する組成物中で適切に利用される架橋剤として、これらに限らないが、アルキルメチルスルホキシド(ジメチルスルホキシド(DMSO)、デシルメチルスルホキシドおよびテトラデシルメチルスルホキシド等);ピロリドン(2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンおよびN−(2−ヒドロキシエチル)ピロリドン等);ラウロカプラム;ならびにアセトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドおよびテトラヒドロフルフリルアルコール等の多岐にわたる溶媒が挙げられる。その他の架橋剤には、L−アミノ酸等の両親媒性物質、および脂肪酸がある。追加の架橋剤が、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第19版(1995)、1583頁に開示されている。
【0024】
用語「担体」は、それと共に化合物または組成物が投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、保存剤および/またはビヒクルを指す。本発明の組成物中で適切に利用することができる担体溶媒には、単一の溶媒、または2つ以上の溶媒の混合物がある。好ましくは、担体溶媒は、最小限の臭気を有するか、またはその他の薬剤の臭気を遮蔽する。一級アルコールの存在下では、メタフルミゾンおよびアミトラズは不安定であることから、好ましい溶媒は、ヒドロキシル基を含有しない溶媒である。驚くべきことに、フルクトンを担体溶媒として使用すると、最適な製剤特性が得られ、かつ臭気も最小限に留まる。フルクトンに加えて、γ−ヘキサラクトン(これはまた、γ−カプロラクトン;エチルブチロラクトン;γ−エチル−n−ブチロラクトン;ヘキサノリド−1,4;4−ヒドロキシヘキサン酸γ−ラクトンまたはトンカリドとしても知られている)、δ−ヘキサラクトン、γ−ブチロラクトン等、Synperonic NCA830も利用することができる。その他の実施形態内では、N,N−ジエチル−m−トルアミド、ジメチルイソソルビド、アジピン酸ジイソプロピルおよび/または酢酸1−メトキシ−2−プロピル等の溶媒を、フルクトン、γ−ヘキサラクトンと組み合わせて好都合に活用して、担体溶媒の混合物を構成することができる。適切な薬学的担体が、E.W.Martinによる、“Remington’s Pharmaceutical Sciences”、第18版に記載されている。
【0025】
明細書および特許請求の範囲で使用する場合、用語「約(about)」および「およそ(approximately)」は、ある値が、統計学的に意味のある範囲内にあることを指す。そのような範囲は、所与の値または範囲の、典型的には10%以内、さらにより典型的には5%以内、およびその上より典型的には2%以内であってよい。用語「約(about)」および「およそ(approximately)」が包含する許容可能な変動は、研究下の特定の系に依存し、当業者であれば容易に理解することができる。
【0026】
本明細書で使用する場合、用語「w/v」は、構成成分の重量/組成物の体積を指定し、用語「mg/kg」は、体重1キログラム当たりのミリグラムを指定する。用語「a.i.」または「ai」は、活性成分を指定し、その他の用語と組み合わせることができる。例えば、「mg a.i./kg」は、体重1キログラム当たりの活性成分のミリグラムを指定する。
【0027】
本明細書で使用する場合、外部寄生虫の寄生等の状態を「治療する」またはそうした状態の「治療」という用語は、現存する状態を阻害することもしくはその発生を停止すること;または当該状態を寛解させることもしくはその後退を引き起こすことを含む。外部寄生虫の寄生等の状態を「予防する」またはそうした状態の「予防」という用語は、ある状態が開始する前にその発生または成長を実質的に遮断または阻害することを含む。本明細書における寄生を治療または予防する組成物は、好ましくは、少なくとも90%の効能を示す。
【0028】
本明細書で使用する場合、「殺外部寄生虫薬(ectoparasiticide)」という用語は、外部寄生虫の寄生を予防、低減または排除することができる薬剤を指す。本発明の好ましい殺外部寄生虫薬には、メタフルミゾン、アミトラズ、デミジトラズ、フィプロニル、ピリプロール(pyriprole)、ジノテフランおよびイミダクロプリド(imidacloprid)がある。
【0029】
本明細書で使用する場合、用語「官能的な」は、特定の組成物の感覚特性、特に、組成物の匂い、味、色および感触を指す。本明細書で使用する場合、殺外部寄生虫組成物の改善または増強された官能的特性は一般に、低減したにおいまたは好ましいにおいを指す。
【0030】
メタフルミゾンは、当技術分野では、その化学名(E,Z)−2−[2−(4−シアノフェニル)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]エチリデン]−N−[4−(トリ−フルオロメトキシ)−フェニル]ヒドラジンカルボキサミドによって知られ、U.S.5,543,573に記載されている。メタフルミゾンの化学構造を以下に示す。
【0031】
【化1】

【0032】
ProMeris(登録商標)は、メタフルミゾン(イヌ用にはアミトラズが足される)の獣医用製剤の商品名であり、Fort Dodge Animal Health(Wyeth、現在Pfizer)が販売している。
【0033】
デミジトラズは、当技術分野では、その化学名2−[(1S)−1−(2,3−ジメチルフェニル)エチル]−1H−イミダゾールによって知られ、米国特許出願公開第2007/0167506号の実施例58に記載されている。
【0034】
本発明のにおいが改善された組成物を製造するためには、メタフルミゾン、ならびに場合によりアミトラズおよび/またはデミジトラズを、1つまたは複数の担体溶媒および架橋剤、ならびに所望により、担体溶媒溶液に添加した界面活性剤の中に溶解させることができる。次いで、これらの組成物を、点局所(spot−on)外用への適用のために活用してもよく、または代替の用途のためにさらに希釈してもよい。組成物は、クリーム剤、ジェル剤、液剤として、またはマイクロスフェア中で最も適切に製剤化される。
【0035】
本発明のにおいが改善された殺外部寄生虫組成物は、当技術分野で既知のその他の薬剤、例として、保存剤(例えば、メチルパラベンおよびプロピルパラベン)、着色剤、抗酸化剤等をさらに含むことができる。一般に、これらの薬剤は、組成物中に、重量対体積単位で、最大約2%までの量で存在する。保存剤として、例えば、チメロサール、EDTA等を挙げることができる。
【0036】
本発明の組成物中で使用することができる、ゲル化および/または付着のための適切な例示的なポリマー(「ポリマー性薬剤」)として、これらに限定されないが、コロイド状二酸化ケイ素、エチルセルロース、メチルセルロース、メタクリル酸エステルコポリマー、カルボキシル化酢酸ビニル三元重合体、Resyn(登録商標)29−2930、およびポリビニルプロピレン(PVP)/酢酸ビニルコポリマーが挙げられる。「Gantrez」(登録商標)は、International Specialty Products、Wayne、ニュージャージー州が製造しているポリビニルメチルエーテル製剤(液剤、クリーム剤、散剤等として)のファミリーの商品名である。Gantrez散剤製剤は、ポリ(ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸)を含む。Gantrezクリーム剤製剤は、ポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸コポリマーのエチルまたはブチルエステル、およびPVM/MAコポリマーのエチルまたはブチルエステルを含む。Resyn(登録商標)29−2930は、酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニルコポリマーの商品名である。
【0037】
Carbopol(登録商標)は、本開示の組成物の特定の実施形態の製剤中で使用する例示的なカルボマーの商品名である。また、本発明においては、カルボマー以外の、またはそれに加えて、アクリル酸ポリマーも企図する。
【0038】
組成物をマイクロスフェアとして製剤化する実施形態では、これに限定されないが、スルホポリエステル(sulfopolyester)(AQ55Sポリマー、Eastman Chemical Co.、Kingsport、テネシー州、米国製;これらのポリマーの典型的な反復単位が、U.S.5,260,052の第7段に開示されている)、およびセルロースアセテートブチレート(CAB)、ポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)(PLGA)を含めたポリマーを利用することができる。あるいは、マイクロスフェア製剤は、ポリ乳酸ガラクチド(polylactic galactide)、中空マイクロスフェア、例として、Expancel(Nobel Industrie)、Polytrap(Dow Corning)等、および中空シリカマイクロスフェア(Silica Beads、Maprecos製)のうち1つまたは複数を利用することもできる。
【0039】
さらに、UV吸収化合物、光安定化剤、粘度調整剤、抗菌剤、染料、増粘剤、抗酸化剤、風味増強剤もしくは抑止剤、ビタミン、付着剤(adherent)、香水、脱臭剤、生理学的もしくは皮膚科学的に許容できる担体、希釈剤、賦形剤またはアジュバントも、本発明の組成物および製剤の中に含むことができる。
【0040】
好都合なことには、本発明の殺外部寄生虫外用獣医用組成物は、活性成分の投与が可能であり、宿主動物の皮膚/皮/体毛に対する刺激がなく、有害なにおいは最小限に留まり、官能的特性の低減および改善を示している。
【0041】
外用投与した場合、本発明のにおいが改善された殺外部寄生虫組成物は、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、ヤギ、ラクダ、水牛、バイソン、ロバ、ウサギ、カンガルー、ダマジカ、トナカイ、ミンク、チンチラ、アライグマ、ニワトリ、ガチョウ、シチメンチョウ、カモ、イヌ、ネコ等の温血動物、好ましくは、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ウマまたはヒツジ、および最も好ましくは、イヌにおける外部寄生虫による感染および/または寄生を長期にわたり予防または緩和するために有効である。
【0042】
本発明の方法において使用するために適した外用投与の例として、点局所(spot−on)、注入(pour−on)、浸漬、洗浄、シャンプー、泡、ジェル剤、ローション剤、クリーム剤、マイクロスフェア被包製剤、散剤、または液体もしくは半液体の獣医用組成物を外用適用するための慣用のあらゆる手段が挙げられる。外用投与形態は、宿主動物の種およびサイズによって変化させる。好ましい実施形態では、本発明の組成物を、点局所(spot−on)製剤としてイヌに投与する。
【0043】
本発明の方法による治療のために適した外部寄生虫による感染または寄生には、ノミ、マダニ、シラミ、ダニおよびハエがある。特に、本発明の方法およびキットは、ノミの寄生、さらにより具体的には、イヌノミ(Ctenocephalides canis)の寄生、およびマダニの寄生を治療または予防するために適している。
【0044】
本発明の組成物を、宿主動物の体重1kg当たりの活性成分のmgの用量比で投与することができる。当業者であれば理解するであろうが、本発明の方法において使用するために適した用量比は、殺外部寄生虫薬の自体の性質、投与形態、宿主動物の種および健康状態、標的寄生生物、感染または寄生の程度、繁殖環境、追加の殺寄生生物化合物の効力等に依存して変化させる。
【0045】
本発明の例示的な実施形態の典型的な点局所(spot−on)適用例は、適用した組成物が動物によって除去されるのを困難にする点で助けとなるように、動物の首の基部、または一般に肩甲骨の間の領域において背側正中線に沿って適用する。
【0046】
本発明をより明確に理解するために、以下の実施例を、これ以降に記載する。これらの実施例は、例示のためのものに過ぎず、いずれの場合であっても、本発明の範囲および根底にある原理を制限するものであると理解してはならない。実際に、本明細書において提示かつ記載するものに加えて、本発明の種々の改変形態が、以下に記載する実施例およびこれまでの説明から当業者には明らかになるであろう。また、そのような改変形態も、添付の特許請求の範囲に属するものとする。
【0047】
別段の指定がない限り、全ての部は、重量/体積部である。用語qsは、全体で100%となすために十分な分量を指定する。
【実施例】
【0048】
点局所(spot−on)処置として使用するために適している、においの低いメタフルミゾン−アミトラズ溶液
【0049】
【表1】

【0050】
フルクトンを含有する容器内に、γ−ヘキサラクトン、続いて、N,N−ジエチル−m−トルアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸1−メトキシ−2−プロピル、最後に、酢酸ゲラニルを添加し、混合するまで撹拌する。次いで、メタフルミゾンおよびアミトラズを添加し、全ての固体が完全に溶解するまで溶液を十分に混合する。次いで、溶液を、4Åのモレキュラーシーブ上で混合し、ろ過および包装する。
【0051】
以下の組成物を、組成物Aについて記載した一般的な手順に従って調製する。
【0052】
【表2】

【0053】
【表3】

【0054】
【表4】

【0055】
【表5】

【0056】
【表6】

【0057】
【表7】

【0058】
官能研究:
官能研究を、異なる組成物について実施し、製剤から嗅いだ臭気の許容できる程度を、イヌの点局所(spot−on)用の元々のProMeris(登録商標)から嗅いだ臭気の許容できる程度と比較して決定した。
【0059】
官能試験1:ヒトの全数=40
【0060】
【表8】

【0061】
各組成物の少ない体積(1.0ml)を、ペトリ皿中のろ紙上に置いた。Wyethの従業員40人が官能試験に自発的に参加した。各自発参加者が、試料の匂いを嗅ぎ、次いで、臭気を評定し、7のスコアを最良として、1〜7のスコアを付けた。評定では、スコアが高いほど、嗅いだ臭気の許容できる程度がより高かった。結果は、組成物Gの総計スコアが248で最高であることを示し、このことは、組成物Gが最も許容できる臭気を放つことを意味する。また、40人中、組成物Gに、製剤の匂いが最悪であるというスコアを付けた人は誰もいなかった。組成物Gは高いレベルのフルクトンを含有し、これは、果実様の臭気を有することが観察された。
【0062】
官能試験2:ヒトの全数=36
試験1からの好ましい組成物(G)の異なる変形形態について官能試験を実施し、酢酸ゲラニルおよび橙花エーテルによって、酢酸1−メトキシ−2−プロピルを部分的に置き換えることができると評価した。Wyethの従業員36人が官能試験2に自発的に参加した。
【0063】
【表9】

【0064】
【表10】

【0065】
結果は、組成物Aの総計スコアが158で最高であることを示している。
【0066】
効能研究:
組成物Aおよび組成物Bを、効能について試験して、新規の点局所(spot−on)製剤が、雑種イヌにおける既存の寄生ならびに毎週のノミおよびマダニの寄生の挑戦を制御することについて、ProMeris(登録商標)と同程度の効能を示すかどうかを決定した。結果は、全てのイヌが、研究の過程を通して、正常な健康状態および行動を提示することを示した。ノミの計数から、組成物A、組成物BおよびProMeris(登録商標)、イヌ用が寄生に対して効能を示した割合は、処置後第42日まで評価した全ての時点において、統計学的に異なることはなく、98.8%以上であることが示された。マダニの計数に関しては、処置後第28日まで評価した全ての時点において、幾何平均は、組成物A、組成物BおよびProMeris(登録商標)、イヌ用の間で統計学的に異なることはなく、97.3%以上であった。研究第35日において、組成物Bが効能を示した割合が90%未満に低下し、これは、組成物AおよびProMeris(登録商標)、イヌ用より顕著に低かった。
【0067】
上述の実施例において提供したように、組成物および方法についての精神または範囲から逸脱することなく、本明細書に記載した組成物および方法に種々の改変および変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。
【0068】
本出願において参照し、引用した特許および刊行物は全て、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタフルミゾンおよびフルクトンを含む殺外部寄生虫組成物。
【請求項2】
メタフルミゾンが、約10%〜約40%w/vで存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
フルクトンが、約20%〜約60%w/vで存在する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
酢酸ゲラニルをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
酢酸ゲラニルが、約5%〜約15%w/vで存在する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
架橋剤、皮膚浸透促進剤および/または担体溶媒のうち少なくとも1つをさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
架橋剤が、ジメチルスルホキシド(DMSO)である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
DMSOが、約5%〜約15%w/vで存在する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
担体溶媒が、γ−ヘキサラクトン、N,N−ジエチル−m−トルアミドおよび酢酸1−メトキシ−2−プロピルからなる群から選択される、請求項6から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
担体溶媒が、約5%〜約15%w/vで存在するγ−ヘキサラクトン、約5%〜約15%w/vで存在するN,N−ジエチル−m−トルアミド、および約0%〜約10%w/vで存在する酢酸1−メトキシ−2−プロピルを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
w/v単位で、約10%のジメチルスルホキシド(DMSO)、約10%のγ−ヘキサラクトン、約10%のN,N−ジエチル−m−トルアミド、および約5%の酢酸1−メトキシ−2−プロピルを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
w/v単位で、
約25%〜約50%のフルクトン、
約10%〜約30%のメタフルミゾン、
約5%〜約15%のDMSO、
約5%〜約15%のN,N−ジエチル−m−トルアミド、
約5%〜約15%のγ−ヘキサラクトン、
約5%〜約15%の酢酸ゲラニル、および
0%〜約10%の酢酸1−メトキシ−2−プロピル
を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
アミトラズをさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
アミトラズが、約10%〜約20%w/vで存在する、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
アミトラズ、酢酸ゲラニル、γ−ヘキサラクトン、N,N−ジエチル−m−トルアミド、酢酸1−メトキシ−2−プロピルおよびDMSOを含む、請求項13または14に記載の組成物。
【請求項16】
w/v単位で、
約20%〜約40%のフルクトン、
約10%〜約20%のメタフルミゾン、
約10%〜約20%のアミトラズ、
約5%〜約15%のDMSO、
約5%〜約15%のN,N−ジエチル−m−トルアミド、
約5%〜約15%のγ−ヘキサラクトン、
約5%〜約15%の酢酸ゲラニル、および
0%〜約10%の酢酸1−メトキシ−2−プロピル
を含む、請求項13から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
w/v単位で、約15%のアミトラズ、約15%のメタフルミゾン、約20%〜約40%のフルクトン、および約10%の酢酸ゲラニルを含む、請求項13から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
w/v単位で、約25%〜約35%のフルクトン、約15%のアミトラズ、約15%のメタフルミゾン、約10%のDMSO、約10%のN,N−ジエチル−m−トルアミド、約10%のγ−ヘキサラクトン、約10%の酢酸ゲラニル、および約5%の酢酸1−メトキシ−2−プロピルから本質的になる、請求項16または17に記載の組成物。
【請求項19】
デミジトラズをさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
温血動物における外部寄生虫の寄生を予防または治療するための医薬品の製造における、請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項21】
医薬品が、温血動物の背中上の少なくとも1つの点において外用投与するのに適している、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
温血動物がイヌである、請求項20または21に記載の使用。
【請求項23】
医薬品が、それぞれ約15mg/kg〜約25mg/kgのアミトラズおよびメタフルミゾンをもたらす、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
医薬品が、注入物としての投与のために、場合によりさらに希釈される、請求項20に記載の使用。
【請求項25】
温血動物における外部寄生虫の寄生を予防または治療するためのキットであって、外用単位用量の、請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物を含むキット。

【公開番号】特開2010−195781(P2010−195781A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−35878(P2010−35878)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(309040701)ワイス・エルエルシー (181)
【Fターム(参考)】