説明

ねじりブラシ及びねじりブラシ工具

【課題】被加工面のばり取り、研削、研磨、表面処理、洗浄等の加工をする時において、例えば、被加工面が、管の内部に形成された管の挿入部の内径よりも大きな空洞部の場合においても、ブラシ片が的確に被加工面に接触して加工する事ができると共に、高い加工性能を発揮でき、構造、及び製造手順が簡易なねじりブラシを提供する。
【解決手段】各種加工をする為のねじりブラシにおいて、前記ねじりブラシは、ブラシ部、及び芯線により形成された支軸部及び保持部を有し、前記保持部は前記ねじりブラシの端部に位置すると共に、前記保持部には複数のブラシ片が前記芯線にて挟み付けられたブラシ部が形成されてあるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工面の各種加工をする為に使用するねじりブラシ及びねじりブラシを使用した工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のねじりブラシに関しては、使用目的に応じて、様々な改良がなされ、例えば、金属製棒部材に形成された割り込み部にブラシ毛を挟み込み、この部分をねじることにより構成されるねじりブラシにおいて、シャンク部とブラシ毛挟み込み領域とが一体成形されている金属製棒部材と、前記ブラシ毛挟み込み領域に形成されている割り込み部と、前記割り込み部に挟み込まれたブラシ毛がねじられて形成されているブラシ部とから構成されていることを特徴とするねじりブラシの技術がねじりブラシ及びねじりブラシの製造方法として、特開2005−198687号公報に開示されてある。
【0003】
また、例えば、多数の細い金属製の素線を撚り合わせて形成されて内視鏡の管路内に挿脱自在なロープの一端側の撚りをほぐし、その近傍部分と上記ロープの他端側とにおいて上記ロープの撚り合わされた状態を各々固着すると共に、その両端固着部の間では上記ロープを素材のロープのままとし、上記のほぐされて広がった部分を、上記撚り合わせによって付けられたカールを有するブラシ毛部とした内視鏡用ブラシの技術が、内視鏡用ブラシとして、特許第3579600号に開示されてある。
【0004】
【特許文献1】 特開2005−198687号公報
【特許文献2】 特許第3579600号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のねじりブラシに関しては、例えば、上記の如くの各種の特徴を有する技術が、開示されてあるが、特開2005−198687号公報においては、金属製棒部材を使用した割り込み部に挟み込まれたブラシ毛がねじられてブラシ部が構成されている為、ねじりブラシの先端部に形成されたブラシ毛は、容易に脱落するという課題を有していた。
【0006】
また、特許第3579600号においては、ロープの一端側の撚りがほぐされて広がった部分を、撚り合わせによって付けられたカールを有するブラシ毛部としている為、ブラシ毛部の先端部は、例えば、管内の底部に接触して洗浄等ができるが、例えば、管内の奥部に形成されてある、管の挿入部の内径よりも大きな空洞部の被加工面にたいしては、ブラシ毛部を接触させる事が不可能であった。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、被加工面のばり取り、研削、研磨、表面処理、洗浄等の各種加工をする時において、管の挿入部の内径よりも大きな空洞部を有する被加工面の場合においても、ブラシ片が的確に被加工面に接触して加工する事ができると共に、高い加工性能を発揮でき、構造、及び製造手順が簡易なねじりブラシを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の課題解決手段は、各種加工をする為のねじりブラシにおいて、前記ねじりブラシは、ブラシ部、及び芯線により形成された支軸部及び保持部を有し、前記保持部は前記ねじりブラシの端部に位置すると共に、前記保持部には複数のブラシ片が前記芯線にて挟み付けられたブラシ部が形成されてある構成としたものである。
【0009】
第2の課題解決手段は、第1の課題解決手段のねじりブラシにおいて、前記保持部は前記芯線によりループ状に形成されてある構成としたものである。
【0010】
第3の課題解決手段は、第1及び第2の課題解決手段のねじりブラシにおいて、前記ブラシ片は合成樹脂基材の中にダイヤモンド、セラミック、金属、合金、あるいは天然鉱石の少なくとも1種類以上の砥粒が含まれてある構成としたものである。
【0011】
第4の課題解決手段は、第1から第3の課題解決手段のねじりブラシ、及び筒状体から形成されてあると共に、前記筒状体は前記ブラシ部の回転外径よりも小の内径を有する構成したものである。
【0012】
上記第1の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、ねじりブラシを構成する保持部には、ブラシ部が、複数のブラシ片が前記芯線にて挟み付けられて形成されてある為、ブラシ部は、保持部の外周部に放射状に形成できる。放射状のブラシ部は、ねじりブラシの端部に形成されてある為、例えば、被加工面が、管の内部に形成されてあると共に、管の挿入部の内径よりも大きな空洞部を有する場合においても、空洞部に到達したブラシ部が、保持部の外周部に放射状に押し広げられる。その為、ブラシ部を的確に被加工面に接触させて加工できる。
【0013】
上記第2の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、第1の課題解決手段のねじりブラシを構成する保持部がループ状に形成されてある。また、ブラシ部は、ループ状の芯線に挟み付けられてある。その為、ブラシ片が保持部から脱落する事が無い。また、ループ状の先端部を被加工面に接触させる事ができる為、被加工面を傷つける事が無い。また、挟み付けた後、更にループ状の保持部にねじりを加えた場合には、ブラシ部は、保持部の外周部に放射状に形成できる。また、挟み付けた後、更にループの保持部を絞り込むように芯線に捩りを加えた場合には保持部の外周部に、概円柱状のブラシ部が形成される。
【0014】
上記第3の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、第1及び第2の課題解決手段のねじりブラシを構成するブラシ片は、合成樹脂基材の中にダイヤモンド、セラミック、金属、合金、あるいは天然鉱石の少なくとも1種類以上の砥粒が含まれてある。ブラシ片に含まれた前記砥粒は、被加工面に接触して、被加工面の汚れ、ばり等を強力に掻き出す事ができる。合成樹脂基材とは、例えば、ナイロン樹脂に代表されるポリアミド樹脂、ポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、コーネクス、ポリイミド、ポリモンド、塩化ビニル、カーボンナノ繊維、フッ素、スパンデックスである。ダイヤモンドは、天然あるいは人工のいずれであっても良い。また、金属、合金とは、例えば、各種鉄鋼、銅、ピアノ線鋼、硬鋼、真鍮、りん青銅、各種炭素繊維、硫化銅複合繊維、銀複合繊維、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム合金、マグネシウム、ニッケル、カーボンナノワイヤー、シリコンカーバイト、酸化クロム、ジルコニア等の砥粒である。セラミック、天然鉱石とは、例えば、酸化セリウム、アルミナ、酸化珪素、ガラス、ガーネット、エメリー、炭化ケイ素、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、珪藻土、蛍石等等の砥粒である。
【0015】
上記第4の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、第1から第3の課題解決手段のねじりブラシ、及び筒状体から形成されてあると共に、前記筒状体は前記ブラシ部の回転外径よりも小の内径を有するねじりブラシ工具としたものである。使用時においては、ねじりブラシが挿入された筒状体を、被加工面を有する管内等にたいして当接、あるいは挿入後、ねじりブラシのみを、管内の空洞部に到達するまで挿入する。空洞部に到達したねじりブラシのブラシ部は、保持部の外周部に放射状に押し広げられ、空洞部の被加工部分に接触して、汚れ、ばり等を強力に掻き出す。
【発明の効果】
【0016】
ねじりブラシは、端部に位置する保持部に、複数のブラシ片が芯線にて挟み付けられたブラシ部が形成されてある為、被加工面が、管内に形成されると共に管の挿入部の内径よりも大きな空洞部である場合には、空洞部に到達したブラシ部が、保持部の外周部に放射状に押し広げられる事により空洞部の被加工部分に接触して、汚れ、ばり等を強力に掻き出す事ができる。また、保持部がループ状の場合には、ブラシ片が保持部から脱落する事が無いと共に、被加工面を傷つける事が無い。また、合成樹脂基材に砥粒が含まれたブラシ片を使用した場合には、砥粒が被加工面に接触して被加工面の汚れ、ばり等を強力に掻き出す事ができると共に、少ない毛量にて、高い加工性能を発揮できる。さらにまた、ねじりブラシ、及びねじりブラシのブラシ部の回転外径よりも小の内径を有する筒状体からなるねじりブラシ工具を使用した場合には、筒状体を被加工面を有する管内等にたいして当接、あるいは挿入する事により、迅速、かつ簡易に、ねじりブラシを管内等に挿入できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
第1の発明は、ねじりブラシは、ブラシ部、及び芯線により形成された支軸部及び保持部を有し、前記保持部は前記ねじりブラシの端部に位置すると共に、前記保持部には複数のブラシ片が前記芯線にて挟み付けられたブラシ部が形成されてある。芯線は、1本の線材を中央にて折り返した後、捩りを加えるか、あるいは複数本の線材を重ね合わせて捩りを加えてある。保持部には、ブラシ片が挟み付けられてブラシ部が形成されてあり、保持部の外周部に放射状あるいは概円柱状に形成されてある。保持部の先端部の接合は、半田付け、溶接、接着等を使用できる。また、保持部とは、ねじりブラシの先端部から線材の3捩り以内までにブラシ部が形成されてある形態を採用できる。好適には、2捩り以内にブラシ部が形成されてある形態であり、より好適には、1捩り以内にブラシ部が形成されてある形態である。第1の発明のねじりブラシは、上記の如くの構成である為、被加工面が、例えば、管内に形成されると共に、管の挿入部の内径よりも大きな空洞部である場合においては、空洞部に到達したブラシ部が、保持部の外周部に放射状に押し広げられる事により空洞部の被加工部分に接触して、汚れ、ばり等を強力に掻き出す事ができる。また、芯線の材質は、ステンレス鋼線、ピアノ線、硬鋼線、鋼線等の金属線、真鍮線、りん青銅線等の非鉄金属線、各種炭素繊維線が好適である。
【0018】
第2の発明は、第1の発明のねじりブラシを構成する保持部をループ状に形成したものである。ブラシ部は、複数のブラシ片を、ループ状の芯線の内側に挟み付ける事により形成されてある。その為、ブラシ片が保持部から脱落する事が無い。また、ループ状の先端部を被加工面に接触させる事ができる為、被加工面を傷つける事が無い。また、挟み付けた後、更にループ状の保持部に捩りを加えた場合には、ブラシ部は、保持部の外周部に放射状に形成できる。また、挟み付けた後、更にループの保持部を絞り込むように芯線に捩りを加えた場合には保持部の外周部に、概円柱状のブラシ部が形成される。
【0019】
第3の発明は、第1及び第2の発明のねじりブラシを構成するブラシ片が、合成樹脂基材の中に、ダイヤモンド、セラミック、金属、合金、あるいは天然鉱石の少なくとも1種類以上の砥粒が含まれてある構成としたものである。ブラシ片に含まれた前記砥粒は、被加工面に接触して、被加工面の汚れ、ばり等を強力に掻き出す為、高い加工性能を発揮できる。また、砥粒が含まれて無い合成樹脂基材のブラシ片を使用する場合に比べて、より少ない毛量にて、同じ、またはより高い研削、ばり取り等の加工性能を発揮できる。なお、特に、ダイヤモンド砥粒入りのナイロンは、極めて高い加工性能を発揮できる。
【0020】
第4の発明は、第1から第3の発明のねじりブラシ、及び筒状体から形成されてあると共に、前記筒状体は前記ブラシ部の回転外径よりも小の内径を有するねじりブラシ工具としたものである。ねじりブラシ工具は、ねじりブラシが挿入された筒状体を、被加工面を有する管内等にたいして当接、あるいは挿入後、ねじりブラシのみを、管内の空洞部に到達するまで挿入して使用する。空洞部に到達したねじりブラシのブラシ部は、保持部の外周部に放射状に押し広げられ、空洞部の被加工部分に接触して、汚れ、ばり等を強力に掻き出す事ができる。また、筒状体を被加工面を有する管内等にたいして当接、あるいは挿入する事により、迅速、かつ簡易に、ねじりブラシを管内等に挿入できる。また、ねじりブラシ工具は、筒状体の内径よりも大の回転外径のブラシ部が、筒状体に挿入されてある為、筒状体のみを把持した場合であっても、ねじりブラシが筒状体から脱落する事が無い。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0022】
図1から図3にて、実施例1を示す。図1は、ねじりブラシを前面側から見た斜視図である。図1において、1はねじりブラシ、2は芯線、3はブラシ部、4はブラシ片、10は回転外径、55は支軸部、56は保持部である。図2は、図1のねじりブラシの使用時の断面図である。図2において、6は被加工物、7は管内部、8は空洞部、16、26は角部、17、18は内径、27、28は内壁部である。図3は、他の実施の形態のねじりブラシを前面側から見た斜視図である。図3において、11、21はねじりブラシ、13、23はブラシ部、25は接合部、65は支軸部、66は保持部である。
【0023】
本発明のねじりブラシ1は、図1の如く、ブラシ部3、及び芯線2により形成された支軸部55、及び保持部56を有している。保持部56は、ねじりブラシ1の端部に形成されてあり、保持部56には、複数のブラシ片4が芯線2にて挟み付けられたブラシ部3が形成されてある。また、保持部56は、芯線2によりループ状に形成されてある。芯線2には、1本の鋼線が使用されてある。ブラシ部3は、保持部56の外周部に放射状に形成されてあり、ブラシ部3の外周部は円弧形状に形成されてある。また、ブラシ部3の回転外径10は、図2の(A)の空洞部8の内径18よりも大きく設定されてある。ねじりブラシ1は、支軸部55の端部を、旋盤、ハンドドリル等の回転装置、回転工具等に装着の後、回転して使用される。また、ねじりブラシ1は、端部にループ状に形成された保持部56を有すると共に支軸部55が形成されるように、1本の芯線を捩り加工の後、複数のブラシ片4を保持部56の内部に挿入して、保持部56に捩りを加える事により、ブラシ部3が製作される。また、ブラシ片4の材質には、ダイヤモンド砥粒入りのナイロンが使用されてある。
【0024】
また、ねじりブラシ1は、図2の(A)、(B)の如く、内壁部27を有する被加工物6の管内部7に挿入して使用される。被加工物6は、管内部7の奥部に管内部7の内径17よりも大きな内径18を有する空洞部8が形成されてある。また、空洞部8には角部16、26、内壁部28が形成されてある。管内部7に挿入されたねじりブラシ1は、まず、図2の(A)の如く、ブラシ部3が管内部7に接触する事により、管内部7の内壁部27に付着した汚れ、ばり等を除去できる。次に、ブラシ部3が空洞部8に到達するように挿入されると、図2の(B)の如く、空洞部8に到達したブラシ部3が、保持部56の外周部に放射状に押し広げられる。ねじりブラシ1は、ブラシ部3の回転外径10が、空洞部8の内径18よりも大きく設定されてある。その為、ブラシ部3は、空洞部8に形成されてある角部16、26及び内壁部28に接触する事ができる為、付着した汚れ、ばり等を除去できる。
【0025】
実施例1のねじりブラシ1は、上記の如くの構成となっているので、ねじりブラシ1を構成するブラシ部3は、被加工物6の内部に形成された管内部7の内壁部27、及び空洞部8の角部16、26及び内壁部28にたいして、的確に接触する事ができる。その為、被加工物6の内部の汚れ、ばり等を強力に掻き出す事ができる。また、保持部56は、ループ状に形成されてある為、ブラシ片4が保持部56から脱落する事が無い。また、保持部56の先端部が被加工物6の内壁等に接触した場合においても、保持部56の先端部が、接触した内壁等を傷つける事が無い。また、ブラシ片4の材質にダイヤモンド砥粒入りのナイロンが使用されてある為、ダイヤモンド砥粒が、被加工物6の内部に形成された管内部7の内壁部27、及び空洞部8の角部16、26及び内壁部28に接触して、被加工物6の内部の汚れ、ばり等を強力に掻き出す為、高い加工性能を発揮できる。また、ダイヤモンド砥粒が含まれて無い合成樹脂基材のブラシ片を使用する場合に比べて、より少ない毛量にて、より高い研削、ばり取り等の加工性能を発揮できる。
【0026】
実施例1のねじりブラシ1は、上記の如くの構成となっているが、ねじりブラシを構成するブラシ部3の形状については、上記以外にも、例えば、複数のブラシ片4を保持部56の内部に挿入して挟み付けた後、更に保持部56を絞り込むように芯線2に捩りを加える事により、図3の(A)の如く、保持部56の外周部に概円柱状のブラシ部13を形成する事もできる。また、先端部の形状については、上記の如くの保持部56以外にも、図3の(B)の如く、捩り合わせた2本の芯線2を、接着、溶接、はんだ付け等にて接合する事により、接合部25が形成されてある保持部66も採用できる。また、ブラシ部3の外周部の形状については、上記の如くの円弧形状以外にも、例えば、歯切り形状、波形形状等、適時、採用できる。また、ブラシ部3は、毛丈の異なるブラシ片4を混毛して形成する方法、異材を混毛して形成する方法等も、適時、採用できる。
【0027】
また、ブラシ片4の材質については、上記のダイヤモンド砥粒入りナイロン以外にも、例えば、SUS304等に代表されるステンレス鋼線、各種ピアノ線、硬鋼線等の鋼線、真鍮線、りん青銅線等の非鉄金属線、各種炭素繊維線、硫化銅複合繊維線、銀複合繊維線、アルミナ、酸化珪素等の各種砥粒入り合成繊維が使用できる。また、前記記載の材質の撚り線が使用できる。また、芯線2の材質についても、前記記載のブラシ片4の材質と同じ材質を採用できる。また、芯線2にたいするブラシ部3の形成方法については、上記の如く、保持部56にブラシ片4を挿入する方法、2本の芯線2にブラシ片4を挟み込んだ後、端部を接合する方法以外にも、1本の芯線2を、中央部にて折り込み、折り込まれた中央部の端部にブラシ片4を挟み込んで固定、あるいは固着した後、端部の近傍を1捩りのみ捩る方法も、採用できる。また、ブラシ片4の断面形状については、丸形形状以外にも、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形、あるいは概波形、楕円形、概V字形、概X字形、概Y字形等、各種異形断面形状を採用できる。断面が多角形にて形成されてあるブラシ片4を、採用した場合には、ブラシ片4に形成されてある多角形の断面の角部を被加工部にたいして掻き出すように接触させる事ができる為、高いばり取り、研削、研磨、表面処理、洗浄等の各種加工能力を発揮できる。また、芯線2の材質については、上記の鋼線以外にも、例えば、非鉄金属線、合成樹脂線、竹、木材等の天然繊維の線等、適時、採用できる。
【実施例2】
【0028】
図4及び図5にて実施例2を示す。図4は、ねじりブラシ工具の断面図である。図4において、1はねじりブラシ、3はブラシ部、9は筒状体、19は内径、20は嵌合部、30は案内穴、51はねじりブラシ工具、55は支軸部、56は保持部である。図5は、図4のねじりブラシ工具の使用時の断面図である。図5において6は被加工物、40は外周面である。
【0029】
本発明のねじりブラシ工具51は、図4の如く、ねじりブラシ1、及び筒状体9にて形成されてある。筒状体9は、嵌合部20、及び案内穴30を有する概円筒形状に形成されてある。ねじりブラシ1は、支軸部55を、嵌合部20側から案内穴30にたいして挿入した後、ブラシ部3が案内穴30に装着されてある。また、案内穴30の内径19は、ねじりブラシ1を構成するブラシ部3の回転外径10よりも、小さく形成されてある。
【0030】
次に、ねじりブラシ工具51の使用方法を説明する。ねじりブラシ工具51は、支軸部55の端部を旋盤、ハンドドリル等の回転装置、あるいは回転工具等に装着の後、回転させて使用する。まず、図5の(A)の如く、ねじりブラシ1が挿入された筒状体9の嵌合部20を、被加工物6の外周面40にたいして挿入、あるいは嵌め合わせた後、ねじりブラシ1を、被加工物6の管内部7まで挿入する。その後図5の(B)の如く、空洞部8に到達するまで挿入する。空洞部8に到達したねじりブラシ1のブラシ部3は、保持部56の外周部に放射状に押し広げられ、空洞部8の内面に接触して、汚れ、ばり等を強力に掻き出す。
【0031】
実施例2のねじりブラシ工具51は、上記の如くの構成となっているので、筒状体9を、被加工物6に挿入、あるいは嵌め合わせる事により、ねじりブラシ1を、正確、迅速、かつ簡易に被加工物6の内部に挿入できる。また、ねじりブラシ工具51は、筒状体9の内径19よりも大の回転外径のブラシ部3が、筒状体9の案内穴30に挿入されてある為、筒状体9のみを把持した場合であっても、ねじりブラシ1が筒状9体から脱落する事が無い。
【0032】
実施例2のねじりブラシ工具51は、上記の如くの構成となっているが、筒状体9の形状については、上記以外にも、被加工物6の形状に応じて、適時、変更できる。また、筒状体9と被加工物6の嵌合方法については、上記以外にも、使用目的に応じて、例えば、接着、溶接、はんだ付け等にて接合する方法も採用できる。また、芯線2、及び案内穴30は、上記の如く、直線状以外にも、使用目的に応じて、例えば、概円弧状、波形形状等も採用できる。
【0033】
また、本発明のねじりブラシ1は、主に、被加工面のばり取り、研削、研磨、表面処理、洗浄等の各種加工をする為に使用される。ばり取りとは、製品の縁等にできた余分な部分を、ブラシで削って除去する加工である。また、研削とは、被加工面の表面をブラシで削って滑らかにする加工である。また、研磨とは、被加工面の表面をブラシで砥き磨いて滑らかにする加工である。また、表面処理とは、被加工面の表面をブラシで硬化、美化、平滑化、耐食化させる等、被加工面の状態を改善させるための加工である。また、洗浄とは、被加工面の表面をブラシで洗い清める加工である。
【0034】
また、ブラシ片4の材質としては、ばり取り、研削、研磨、表面処理、洗浄等の各種加工をする為に使用可能な材質であるならば、天然繊維、あるいは化学繊維を使用目的に応じて、適時、設定して使用する事ができる。なお、天然繊維とは、植物、動物、鉱物を原料とする繊維であり、植物繊維には、例えば、シダ、シュロ等の靭皮繊維、パッキン、サイザル等の葉脈繊維、パーム等の果実繊維、綿、麻、石綿等がある。動物繊維には、例えば、硬毛として、豚毛、馬毛、猪毛があり、軟毛として、山羊毛、人毛、狸毛があり、他にも羊毛、絹等がある。また、化学繊維とは、石油、石炭などから化学的な合成や加工により作られる繊維であり、合成繊維、研削材入り繊維、通電性複合繊維、無機繊維、再生繊維、半合成繊維がある。合成繊維とは、合成高分子化合物から紡糸した繊維であり、フッ素系、ポリアミド系、ポリ塩化ビニール系、ポリプロピレン系、ポリエチレン系、アラミド系等の各合成繊維がある。研削材入り繊維とは、例えば、炭化珪素、アルミナ、ダイヤモンド等の各種鉱物、シリカ、セラミック等の研削性能を有する材質を、ナイロン、PBT等の基材の繊維にたいして付着、練込み、あるいは混入させて形成した繊維である。通電性複合繊維とは、電流を流す事ができる性能を有する繊維であり、各種炭素繊維、硫化銅複合繊維、銀複合繊維がある。通電性複合繊維は、導電性繊維と呼ばれる事もある。無機繊維とは、無機化合物からなる繊維であり、例えば、ピアノ線、硬鋼線、ステンレス鋼線、オイルテンパー線等の各種鋼線、真鍮線、りん青銅線等の非鉄金属線等がある。再生繊維とは、天然のセルロースなどからなる木材、綿、麻などを溶かして作った繊維であり、レーヨン等がある。半合成繊維とは、合成繊維と再生繊維の中間的なものであり、セルロースなどの天然の高分子物質を化学的に処理してエステルなどの形に変え、繊維にしたものであり、アセテート繊維等がある。
【0035】
また、ブラシ片4の材質は、使用目的に応じて、適時、設定できる。例えば、ばり取り加工に使用する目的にたいしては、ステンレス鋼の撚り線、及びナイロンの単線、砥粒入りナイロンの撚り線、及びナイロンの単線、ステンレス鋼の撚り線、及び砥粒入りナイロンの単線、ピアノ線の撚り線、及びステンレス鋼の単線、ステンレス鋼の撚り線、及びステンレス鋼の単線、導電性繊維、及びステンレス鋼の撚り線等が好適である。
【0036】
ステンレス鋼の撚り線、及びナイロンの単線を使用した場合には、ステンレス鋼の撚り線にて、ばりを被加工面から剥離させた後、ステンレス鋼の撚り線の回転外径よりも大きな回転外径を有するナイロンの単線にて、被加工面を拭き払う事により、ナイロンの単線のみにて、ばりを被加工面から剥離させると共に、表面処理して研磨、あるいは平滑化する事ができる。また、砥粒入りナイロンの撚り線、及びナイロンの単線を使用した場合においても、前記と同様の効果を有する事ができる。また、ステンレス鋼の撚り線、及び砥粒入りナイロンの単線を使用した場合には、ステンレス鋼の撚り線にて、比較的粗いばりを被加工面から剥離させた後、砥粒入りナイロンの単線のみにて、細かいばりを被加工面から剥離させる事ができる。また、ピアノ線の撚り線、及びステンレス鋼の単線を使用した場合には、ピアノ線の撚り線が、ステンレス鋼の単線を補強する為、毛倒れ、毛折れ等を防止できる。また、ステンレス鋼の単線、ステンレス鋼の撚り線を使用した場合には、ステンレス鋼の単線にて、比較的粗いばりを被加工面から剥離させた後、ステンレス鋼の撚り線にて、細かいばりを被加工面から剥離させる事ができる。また、導電性繊維、及びステンレス鋼の撚り線を使用した場合には、ステンレス鋼の撚り線にて、ばりを被加工面から剥離させると共に、導電性繊維が、被加工面、あるいはねじりブラシに発生した静電気を除去する事ができる。また、ブラシ片4の材質は、前記以外にも、使用目的に応じて、各種材質を設定できる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明のねじりブラシ及びねじりブラシ工具は、主に、管の内部に形成されてあると共に、管の挿入部の内径よりも大きな空洞部を有する被加工面を、ばり取り、研削、研磨、表面処理、洗浄等の各種加工する為に好適に使用するものである。また、歯の隙間を被加工面とする歯間洗浄ブラシ、一般家庭、あるいは事業所内の室内清掃用ブラシ、電気掃除機の床ノズルに搭載される回転ブラシ等、広く好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】 ねじりブラシを前面側から見た斜視図
【図2】 図1のねじりブラシの使用時の断面図
【図3】 他の実施の形態のねじりブラシを前面側から見た斜視図
【図4】 ねじりブラシ工具の断面図
【図5】 図4のねじりブラシ工具の使用時の断面図
【符号の説明】
【0039】
1、11、21 ねじりブラシ 2 芯線 3、13 ブラシ部 4 ブラシ片
6 被加工物 7 管内部 8 空洞部 9 筒状体 10 回転外径
16、26 角部 17、18、19 内径 20 嵌合部 25 接合部
27、28 内壁部 30 案内穴 40 外周面 51 ねじりブラシ工具
55、65 支軸部 56、66 保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種加工をする為のねじりブラシにおいて、前記ねじりブラシは、ブラシ部、及び芯線により形成された支軸部及び保持部を有し、前記保持部は前記ねじりブラシの端部に位置すると共に、前記保持部には複数のブラシ片が前記芯線にて挟み付けられたブラシ部が形成されてあることを特徴とするねじりブラシ。
【請求項2】
請求項1記載の構成よりなるねじりブラシにおいて、前記保持部は前記芯線によりループ状に形成されてあることを特徴とするねじりブラシ。
【請求項3】
請求項1及び2記載の構成よりなるねじりブラシにおいて、前記ブラシ片は合成樹脂基材の中にダイヤモンド、セラミック、金属、合金、あるいは天然鉱石の少なくとも1種類以上の砥粒が含まれてあることを特徴とするねじりブラシ。
【請求項4】
請求項1から3記載の構成よりなるねじりブラシ、及び筒状体から形成されてあると共に、前記筒状体は前記ブラシ部の回転外径よりも小の内径を有することを特徴とするねじりブラシ工具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate