ふとん篭の吊上用基材および当該吊上用基材を用いたふとん篭の敷設方法
【課題】 現場における設置作業を効率的に行うことが出来るようにする。
【解決手段】 吊上用基材は、ふとん篭Cの底面を支持するための金属基板10と、この金属基板の上に着脱自在に立設させる吊上用柱材40を備えるとともに、この吊上用柱材に、起重機のフックと連結させるための係合部41を備える。この吊上用基材を用いれば、ふとん篭Cの底面を金属基板10によって支持できるので、クレーンにより吊上用柱材40を吊り上げることで出来、傾斜地等の各種敷設現場に簡単にふとん篭を敷設することが出来る。作業の安全性も高まり、作業時間も短縮させ得る。
【解決手段】 吊上用基材は、ふとん篭Cの底面を支持するための金属基板10と、この金属基板の上に着脱自在に立設させる吊上用柱材40を備えるとともに、この吊上用柱材に、起重機のフックと連結させるための係合部41を備える。この吊上用基材を用いれば、ふとん篭Cの底面を金属基板10によって支持できるので、クレーンにより吊上用柱材40を吊り上げることで出来、傾斜地等の各種敷設現場に簡単にふとん篭を敷設することが出来る。作業の安全性も高まり、作業時間も短縮させ得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ふとん篭の敷設作業を容易化するための吊上用基材、および当該吊上用基材を用いたふとん篭の敷設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
護岸工事や盛土の法面、河川堤防の法面など、とくに法面(傾斜面)の補強と緑化等を目的とした土木工事を行うとき、各種のふとん篭を用いることがある。
【0003】
このような工事に用いる大型のふとん篭(じゃかご)、薄型のふとん篭(ドレン篭)は、いずれもフレーム材に金属製ネット(金属網)を配設したパネル材を組み合わせてボックス形状(箱形)に成形するもので、内部に砂利材等を装填して上蓋を閉め、これを敷設現場に複数設置してゆく。
【0004】
従来、ふとん篭を敷設現場に設置するときには、まず現場(平場)へ組み立て前の篭ユニットを搬送し、現場(平場)において底面と側面を組み立てて必要個数を堆積した後、クレーン車によりふとん篭を法面へ移動させ、作業員によって篭の固定作業を行った。次に、配列させた篭へ詰石砂利を投入する作業を行う。この場合も、クレーン車によって砂利を移動させて投入する。次いで、篭に充填した砂利を均し、転圧を行い、ふとん篭の上面に配する蓋網(上蓋)をかぶせた後、蓋網を適宜手段によって結束固定する(例えば、特許文献1)。
【0005】
ふとん篭は、透水性に優れ、柔軟性に富み、地盤変化になじみ良く対応する等の利点をもっている。法面(斜面)に設置した場合は、湧水や浸透水を効果的に排出し、地表面の浸食を防止し、客土吹付けの落ち着きも良く、緑化が可能である等、土木作業に適した効能を発揮する。近時は、高耐食性線材の普及により、法面以外への適用場面も広がっている。例えば海浜土木等である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−133062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
第一の問題は、施工コストが嵩む点にある。
【0008】
従来のふとん篭は、敷設現場(平場)においてふとん篭を組み立て、これを一時平場に堆積させて、法面等にふとん篭を配列した後に砂利を充填する作業を行うため、予定工期内に多数のふとん篭を法面等に設置しようとすると、多数の作業人員が必要であり、この作業人員を減らすことは難しい。また、敷設現場においてふとん篭を組み立て、法面にふとん篭を配列させた後に砂利の充填作業を行うため、作業時間も必然的に伸びる。このため、工事日数の短縮は難しく、人件費を含めた施工コストを削減することは非常に難しい現状にある。
【0009】
この問題は、ふとん篭を設置する場所が法面以外の場所であっても同様である。現場においてふとん篭を組み立て、篭を配列させて固定し、砂利を充填し、均し、転圧し、上蓋を閉めるという一連の作業は同じだからである。
【0010】
第二の問題は、とくに、法面における作業時の安全性確保が煩雑になる点である。多くの作業人員を傾斜地に配して、ふとん篭の設置、砂利充填、砂利の均し、転圧、上蓋閉鎖等の作業を長時間にわたって行うため、安全性確保のための器具(例えばロープ)の設置が人数分必要である。ロープを係留する樹木が少ない場所ではアンカーを打ち込む等、作業前の前準備にも時間を要した。
【0011】
そこで、本発明の目的は、ふとん篭の敷設作業を効率的に行うことが出来るようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成して、課題を解決するため、請求項1に係るふとん篭の吊上用基材は、ふとん篭の底面を支持するための金属基板と、この金属基板の上に着脱自在に立設させる吊上用柱材を備えるとともに、この吊上用柱材に、起重機のフックと連結させるための係合部を設ける。
【0013】
金属基板によってふとん篭の底面を支持しているので、ふとん篭に砂利を詰めた状態で吊上用柱材を介してふとん篭を吊り上げてもふとん篭の底面は撓み変形しない。この結果、ふとん篭の側面も変形せず、中に砂利を詰めた状態での吊り上げ移動が可能となる。吊上用柱材には、起重機(クレーン車両等)によってふとん篭を吊り上げる際のフックを連結させる手段となる、係合部を設けておく。係合部は、例えば鉤部、環部、孔部等として設けることが出来る。
【0014】
請求項2に係るふとん篭の吊上用基材は、金属基板に、吊上用柱材の下端部を嵌入するための複数の立設孔を設ける一方、前記吊上用柱材の下部に、固定挿通材を貫通させる固定用孔を設け、前記立設孔に下端部を嵌入させた前記吊上用柱材の固定用孔に、固定挿通材を貫通させて複数の吊上用柱材を立設させる。
【0015】
吊上用柱材は、金属基板上に複数立設することが望ましいため、金属基板に複数の立設孔を設け、ここに嵌入(または遊嵌)させた吊上用柱材の下端部に固定挿通材を貫通させれば、複数の吊上用柱材の立設固定を簡単に行うことができる。この場合は、吊上用柱材の下部に固定挿通材を貫通させる固定用孔を設けておく。
【0016】
請求項3に係るふとん篭の吊上用基材は、立設孔に嵌入させた複数の吊上用柱材の下端部を保護するチャンネル材または角管(長尺の保護カバー材)を、金属基板の裏面に配するものである。吊上用柱材の下端部にコ字状のチャンネル材または角管を設けておけば、ふとん篭を法面に直置きしても(底面を地面に接地させても)チャンネル材または角管が吊上用柱材の下端部を保護するので、吊上用柱材の下端部に外力が加わらず、吊上用柱材の固定状態を安定的に保つことができる。
【0017】
請求項4に係るふとん篭の敷設方法は、請求項1記載の金属基板の上にふとん篭を載置する篭載置段階と、該篭載置段階に前後して、金属基板に吊上用柱材を立設する柱立設段階と、ふとん篭に砂利を充填する砂利充填段階と、前記吊上用柱材を吊り上げてふとん篭を移動させる移動段階と、敷設現場に移動させた後、吊上用柱材を撤去する柱撤去段階と、柱撤去段階の後、金属基板を撤去する基板撤去段階とを有する。
【0018】
篭載置段階と柱立設段階は、いずれを優先させても良い。金属基板の上にふとん篭を載置してから金属基板に吊上用柱材を立設しても良いし、金属基板に吊上用柱材を立設してから金属基板の上にふとん篭を載置しても良い。篭載置段階、柱立設段階、砂利充填段階は、いずれもふとん篭の現場以外の場所で行うことができる。こうして砂利を詰めたふとん篭は、吊上用柱材を吊り上げることによって自由な移動が可能となるので、吊上用柱材を吊り上げてふとん篭を移動させる移動段階(搬送車両への搭載移動、搬送車両からの堆積移動、堆積場から配設現場への設置移動)を経て、吊上用柱材を撤去する柱撤去段階の作業を行う。
【0019】
柱撤去段階および基板撤去段階の作業は、ふとん篭を地面に接地させた状態でも少人数で簡単に行うことが出来る。吊上用柱材の取り外しは容易であり、金属基板の取り外しは、例えば、起重機(クレーン車等)を用いて簡単に引き抜くことが出来る。また、巻上装置を利用して引き抜くことも出来る。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る吊上用基材および当該吊上用基材を用いたふとん篭の敷設方法によれば、現場におけるふとん篭の設置作業を効率的に行うことが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明に係るふとん篭の吊上用基材の一実施形態を示すものである。
このふとん篭の吊上用基材は、ふとん篭Cの底面を支持するための金属基板10と、この金属基板10の上に着脱自在に立設させた吊上用柱材20を備え、該吊上用柱材20の上端部に、環部30を設けてなる。
【0022】
金属基板10は、ふとん篭Cの底面と略同一の大きさをもつ。ふとん篭Cの底面を確実に保護するためである。なお、設置後に金属基板10を引き抜く(撤去する)ための利便を考慮して、金属基板10は引き抜き方向の寸法を若干大きくしておくことが望ましい。当該箇所にクレーンまたは牽引装置との連結手段を設けるためである。金属基板10は、不必要に大きくする必要はない。取り除く時(撤去するとき)に作業を邪魔する可能性があるからである。金属基板10は、例えば鋼板を用いる。入手しやすく経済性も優れるからである。
【0023】
金属基板10は、ふとん篭Cに詰石用の砂利(小石)を充填して吊り上げたときに、大きく撓まない程度の肉厚をもっていれば良い。例えば2〜3mmの鋼板であれば、吊り上げ時の撓みも少なく実用に耐える。もちろん、肉厚を3mm以上、例えば3〜10mmにしても良いが、肉厚が大きくなるほど爾後の撤去作業(抜き取り作業)が煩雑になる可能性がある。
【0024】
金属基板10の上面(ふとん篭Cを配する側)には適当本数、例えば六本の吊上用柱材20を着脱自在に立設する。金属基板10の面積とふとん篭Cの底面の面積は略同一の大きさとすることが好ましいため、吊上用柱材20を立設するときは、金属基板10の上に空のふとん篭Cを載置してから行う。吊上用柱材20を立設した後にふとん篭Cを金属基板10上に載置することも可能である。
【0025】
吊上用柱材20を着脱自在に立設するため、本実施形態では、例えば、金属基板10に、吊上用柱材20と同数(この実施形態では六個)の立設孔11を設け(図2参照)、この立設孔11に吊上用柱材20の下端部を差し込み(図3参照)、吊上用柱材20の下部に設けた固定用孔21に固定挿通材24を貫通させる(図4参照)。立設孔11は、吊り上げ時の重量バランスがとれるよう、金属基板10の長手方向および短手方向に均等間隔をもって配設することが望ましい。固定用孔21を直線上に並列させて配しておけば、固定挿通材24は、直線状の金属線(例えば鉄筋材)を使用することができる。
【0026】
好ましくは、金属基板10の裏面(ふとん篭Cを配する面と反対側の面)には、図5、図6に示すように、接地時に吊上用柱材20の下端部が地面に接しないように保護するチャンネル材14を設けることが望ましい。チャンネル材14は、例えば、断面略コ字状またはC字状を呈する金属製の長尺材を利用できる。
【0027】
チャンネル材14は、開放面を下向きにしても良いし、上向きにしても良い。接地時に吊上用柱材20の下端部が地面に接しないように保護できる点では同じだからである。またチャンネル材14に代えて角管を用いても良い。チャンネル材14の開放面を下向きにする場合、および角管を用いる場合は、立設孔11と重なる部分に吊上用柱材20の下部を挿通させるための孔部を設ける。
【0028】
固定用孔21に固定挿通材24を貫通させて吊上用柱材20を立設固定させた後、図7に示すように、吊上用柱材20の上部に環部30を取り付ければ、図1に示したふとん篭の吊上用基材となる。
【0029】
実際の作業時では、金属基板10の上に空のふとん篭Cを載置してから組み立てるので、環部30を取り付ける前に、砂利の充填とふとん篭Cの蓋(図示せず)の固定を行う。環部30は、ふとん篭Cの蓋を閉じてから取り付ける。
【0030】
環部30は、例えば、重機のフックに係合させるための環状部材31と、この環状部材31の下部に設けた螺合部材32とによって構成する。なお、環状部材31は完全な環(閉じた輪)である必要はない。その下部に螺合部材32を固定したときに全体として環を形成する部材であれば良い。
【0031】
螺合部材32は、例えば、短寸の環材の内側にねじ山を成形してなる。吊上用柱材20の上部にねじ山S(図7参照)を成形しておけば、当該ねじ山Sに螺合部材32を螺合させることによって、吊上用柱材20の上部に環部30を着脱自在に固定することができる。
【0032】
次に、図8に基づいて、請求項4に係るふとん篭の敷設方法を説明する。
【0033】
ふとん篭の敷設手順は、まず、前記金属基板10の上にふとん篭Cを載置する篭載置段階(S1)の作業を行い、この該篭載置段階(S1)に前後して、金属基板10に吊上用柱材20を立設する柱立設段階(S2)の作業を行う。
【0034】
金属基板10の底面はふとん篭Cの底面と略同一の形状・面積に成形しておくことが望ましく、その場合は、ふとん篭Cの載置作業における位置合わせも簡単になる。すでに述べたように、金属基板10は引き抜き方向に寸法を若干大きくしておくことが望ましい。通常、金属基板10の長手方向寸法を、ふとん篭Cの底面の長手方向より若干大きく設計すれば良い。例えば5〜15cm大きくする等である。
【0035】
吊上用柱材20を立設する柱立設段階(S2)は、篭載置段階(S1)を経て行っても良いし、篭載置段階(S1)の前に行い、吊上用柱材20の立設後に金属基板10の上にふとん篭Cを載置しても良い。
【0036】
次に、ふとん篭Cに砂利を充填する砂利充填段階(S3)の作業を行う。ふとん篭Cへの砂利(詰石)の充填は重機を利用しても良いし人力で行っても良い。砂利充填段階(S3)までの作業は、すべて平場で行うことが出来るので、人力(手作業)で充填作業を行っても危険性がないからである。砂利の充填後、上蓋を閉じ、吊上用柱材20の上部に環部30を取り付ける。吊上用柱材20の上部に成形したねじ山S(図7参照)に、螺合部材32を螺合させれば良い。
【0037】
次に、吊上用柱材20を吊り上げてふとん篭Cを移動させる移動段階(S4)の作業を行う。吊上用柱材20の上部には環部30を設けてあるので、起重機(クレーン車両等)を用いてふとん篭Cを移動させることが可能である。起重機(クレーン車両等)のフックを環部30に係合させ、クレーン車両等を駆動すれば良い。
【0038】
砂利が充填されたふとん篭Cは、暫時作業場に留め置く(保管)ことも出来るし、直ちに敷設現場へ搬送しても良い。いずれの作業も簡単であるから、少人数(例えば一人〜三人)の作業員で行うことのできる。ふとん篭Cを暫時保管する場合は、クレーン車両等を用いてふとん篭Cを近場である保管場所へ移動させる。ふとん篭Cを現場へ搬送する場合は、クレーン車両等を用いてトラック車両の荷台に搭載し、トラック車両によって敷設現場近くへ搬送した後、ふたたびクレーン車両によってふとん篭Cをトラック車両から荷おろしする。トラック荷台から降ろしたふとん篭Cは、現場の近傍箇所に暫時保管しても良いし、保管することなく直ちに敷設現場へ移動させても良い。
【0039】
次に、敷設現場にふとん篭Cを配置した後、吊上用柱材20を撤去する柱撤去段階(S5)の作業を行う。
【0040】
この段階の作業は、例えば、図4に示したように固定挿通材24を用いて吊上用柱材20を固定している場合は、当該固定挿通材24を引き抜いてから、吊上用柱材20を引き抜けばよい。簡単な作業であるから、少人数(例えば一人〜三人)の作業員で行うことのできる。
【0041】
最後に、金属基板10を撤去する基板撤去段階(S6)の作業を行う。
【0042】
この作業は、例えば、金属基板10の長手方向端部に孔部(図示せず)を設け、この孔部にワイヤ環を装着し、当該ワイヤ環にクレーン車のフックを係合させて、クレーンによって引き抜くことが出来る。巻上装置を利用する場合も同様である。例えば、金属基板10の長手方向端部に設けた孔部にワイヤを係着し、ワイヤの他端部にウィンチ装置を配して巻き上げ(引っ張り)駆動すれば良い。簡単な作業であるから、この段階の作業も少人数(例えば一人〜三人)の作業員で行うことができる。
【0043】
以上のように、かかる敷設方法によれば、内部に砂利を充填したふとん篭Cを敷設前につくっておき、このふとん篭Cを敷設現場へ移動させてそのまま敷設することが出来る。このため、敷設作業時の作業がきわめて簡単になる。従来のように、敷設現場(傾斜地等)において危険な砂利詰め充填や砂利の均し作業等を行う必要がなくなるからである。
【0044】
従来の敷設作業と異なり、吊上用柱材20を撤去する作業(S5)と、金属基板10を撤去する作業(S6)が必要となるが、これらは従来敷設現場で行っていた砂利詰め充填や砂利の均し作業等に比べて格段に簡単な作業であり、安全性も高く、作業時間もはるかに短時間ですむ。従って、敷設現場におけるふとん篭Cの設置作業を効率的に行うことが可能となる。
【0045】
なお、前記実施形態では吊上用柱材(20)に環部(30)を取り付ける旨説明したが、図9に示すように、上下に孔部41を設けた板状の吊上用柱材40を用いても良い。孔部41は同一の大きさで設けて良い。こうすると、吊上用柱材40は長手方向に上下対称の部材となる。
【0046】
この場合、金属基板10に設ける立設孔42は、板状の吊上用柱材40の一端部を差し込むことが出来るよう長方形または楕円形とする。また立設孔42は、差し込んだ吊上用柱材40に若干の遊びをもたせるよう、吊上用柱材40の肉厚よりも僅かに大きな幅寸法としておくことが望ましい。傾斜面にふとん篭Cを配設するときに、吊上用柱材40が鉛直方向に動いて吊り上げのバランスをとりやすくするためである。
【0047】
また、図10、図11に示すように、吊上用柱材40の裏面に配するチャンネル材44は、断面略C字を呈するものを用いることが出来、閉鎖面44−1を下向きに配することが望ましい。その他の部分、例えば金属基板10の大きさ、ふとん篭Cの配設順序等は前記実施形態と同様で良い。
【0048】
かかる上下対称の吊上用柱材40を用いれば、金属基板10の立設孔42に一端部を差し込むときは上下を気にせずに立設作業を行うことが出来るので、作業効率が良好となる。
【0049】
金属基板10の裏面には閉鎖面44−1をもったチャンネル材44を配してあるから、吊上用柱材40の下側の孔部41が上下同一位置に整列する。そして、整列した下側の孔部41が固定挿通材24を挿通させるための固定用孔として機能することになる。
【0050】
一方、立設時に吊上用柱材40の上側に位置する孔部41は、起重機のフックと連結させるための係合部として機能する。上側の孔部41に適宜のリングを取り付けて、当該リングをクレーンフックに係止させれば吊り上げが可能となる。リングは、例えばワイヤを環状にしたものを利用できる。
【0051】
上下対称に設けた孔部41が、吊上用柱材40の係合部と固定用孔となって働くので、前記実施形態の吊上用柱材(20)に較べて部品構成が単純となり、製造コストを抑えることが可能となる。
【0052】
なお、本発明に係る吊上用柱材は、固定挿通材24を介して固定する旨説明したが、円柱形や角柱形の吊上用柱材を用いる場合は、下端部にねじ山を切っておき、ナットを介して締め固定しても構わない。係合部は、起重機のフックと直接またはワイヤ等を介して間接的に連結できるものであれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】第一の実施形態に係る吊上用基材を例示する斜視図である。
【図2】第一の実施形態に係る金属基板を例示する斜視図である。
【図3】図2の金属基板に吊上用柱材の下端部を差し込む状態を例示する図である。
【図4】第一の実施形態に係る固定挿通材を例示する図である。
【図5】第一の実施形態に係るチャンネル材を例示する斜視図である。
【図6】第一の実施形態に係るチャンネル材と吊上用柱材との関係を示す図である。
【図7】第一の実施形態に係る環部の取り付け状態を例示する図である。
【図8】実施形態に係るふとん篭の敷設方法を示すブロック図である。
【図9】第二の実施形態に係る吊上用基材を例示する斜視図である。
【図10】第二の実施形態に係るチャンネル材を例示する斜視図である。
【図11】第二の実施形態に係るチャンネル材と吊上用柱材との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
10 金属基板
11、42 立設孔
14、44 チャンネル材
15 挿通孔
20、40 吊上用柱材
21 固定用孔
24 固定挿通材
30 環部
31 環状部材(係合部)
32 螺合部材
41 孔部(係合部、固定用孔)
44−1 閉鎖面
C ふとん篭
S ねじ山
【技術分野】
【0001】
本発明は、ふとん篭の敷設作業を容易化するための吊上用基材、および当該吊上用基材を用いたふとん篭の敷設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
護岸工事や盛土の法面、河川堤防の法面など、とくに法面(傾斜面)の補強と緑化等を目的とした土木工事を行うとき、各種のふとん篭を用いることがある。
【0003】
このような工事に用いる大型のふとん篭(じゃかご)、薄型のふとん篭(ドレン篭)は、いずれもフレーム材に金属製ネット(金属網)を配設したパネル材を組み合わせてボックス形状(箱形)に成形するもので、内部に砂利材等を装填して上蓋を閉め、これを敷設現場に複数設置してゆく。
【0004】
従来、ふとん篭を敷設現場に設置するときには、まず現場(平場)へ組み立て前の篭ユニットを搬送し、現場(平場)において底面と側面を組み立てて必要個数を堆積した後、クレーン車によりふとん篭を法面へ移動させ、作業員によって篭の固定作業を行った。次に、配列させた篭へ詰石砂利を投入する作業を行う。この場合も、クレーン車によって砂利を移動させて投入する。次いで、篭に充填した砂利を均し、転圧を行い、ふとん篭の上面に配する蓋網(上蓋)をかぶせた後、蓋網を適宜手段によって結束固定する(例えば、特許文献1)。
【0005】
ふとん篭は、透水性に優れ、柔軟性に富み、地盤変化になじみ良く対応する等の利点をもっている。法面(斜面)に設置した場合は、湧水や浸透水を効果的に排出し、地表面の浸食を防止し、客土吹付けの落ち着きも良く、緑化が可能である等、土木作業に適した効能を発揮する。近時は、高耐食性線材の普及により、法面以外への適用場面も広がっている。例えば海浜土木等である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−133062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
第一の問題は、施工コストが嵩む点にある。
【0008】
従来のふとん篭は、敷設現場(平場)においてふとん篭を組み立て、これを一時平場に堆積させて、法面等にふとん篭を配列した後に砂利を充填する作業を行うため、予定工期内に多数のふとん篭を法面等に設置しようとすると、多数の作業人員が必要であり、この作業人員を減らすことは難しい。また、敷設現場においてふとん篭を組み立て、法面にふとん篭を配列させた後に砂利の充填作業を行うため、作業時間も必然的に伸びる。このため、工事日数の短縮は難しく、人件費を含めた施工コストを削減することは非常に難しい現状にある。
【0009】
この問題は、ふとん篭を設置する場所が法面以外の場所であっても同様である。現場においてふとん篭を組み立て、篭を配列させて固定し、砂利を充填し、均し、転圧し、上蓋を閉めるという一連の作業は同じだからである。
【0010】
第二の問題は、とくに、法面における作業時の安全性確保が煩雑になる点である。多くの作業人員を傾斜地に配して、ふとん篭の設置、砂利充填、砂利の均し、転圧、上蓋閉鎖等の作業を長時間にわたって行うため、安全性確保のための器具(例えばロープ)の設置が人数分必要である。ロープを係留する樹木が少ない場所ではアンカーを打ち込む等、作業前の前準備にも時間を要した。
【0011】
そこで、本発明の目的は、ふとん篭の敷設作業を効率的に行うことが出来るようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成して、課題を解決するため、請求項1に係るふとん篭の吊上用基材は、ふとん篭の底面を支持するための金属基板と、この金属基板の上に着脱自在に立設させる吊上用柱材を備えるとともに、この吊上用柱材に、起重機のフックと連結させるための係合部を設ける。
【0013】
金属基板によってふとん篭の底面を支持しているので、ふとん篭に砂利を詰めた状態で吊上用柱材を介してふとん篭を吊り上げてもふとん篭の底面は撓み変形しない。この結果、ふとん篭の側面も変形せず、中に砂利を詰めた状態での吊り上げ移動が可能となる。吊上用柱材には、起重機(クレーン車両等)によってふとん篭を吊り上げる際のフックを連結させる手段となる、係合部を設けておく。係合部は、例えば鉤部、環部、孔部等として設けることが出来る。
【0014】
請求項2に係るふとん篭の吊上用基材は、金属基板に、吊上用柱材の下端部を嵌入するための複数の立設孔を設ける一方、前記吊上用柱材の下部に、固定挿通材を貫通させる固定用孔を設け、前記立設孔に下端部を嵌入させた前記吊上用柱材の固定用孔に、固定挿通材を貫通させて複数の吊上用柱材を立設させる。
【0015】
吊上用柱材は、金属基板上に複数立設することが望ましいため、金属基板に複数の立設孔を設け、ここに嵌入(または遊嵌)させた吊上用柱材の下端部に固定挿通材を貫通させれば、複数の吊上用柱材の立設固定を簡単に行うことができる。この場合は、吊上用柱材の下部に固定挿通材を貫通させる固定用孔を設けておく。
【0016】
請求項3に係るふとん篭の吊上用基材は、立設孔に嵌入させた複数の吊上用柱材の下端部を保護するチャンネル材または角管(長尺の保護カバー材)を、金属基板の裏面に配するものである。吊上用柱材の下端部にコ字状のチャンネル材または角管を設けておけば、ふとん篭を法面に直置きしても(底面を地面に接地させても)チャンネル材または角管が吊上用柱材の下端部を保護するので、吊上用柱材の下端部に外力が加わらず、吊上用柱材の固定状態を安定的に保つことができる。
【0017】
請求項4に係るふとん篭の敷設方法は、請求項1記載の金属基板の上にふとん篭を載置する篭載置段階と、該篭載置段階に前後して、金属基板に吊上用柱材を立設する柱立設段階と、ふとん篭に砂利を充填する砂利充填段階と、前記吊上用柱材を吊り上げてふとん篭を移動させる移動段階と、敷設現場に移動させた後、吊上用柱材を撤去する柱撤去段階と、柱撤去段階の後、金属基板を撤去する基板撤去段階とを有する。
【0018】
篭載置段階と柱立設段階は、いずれを優先させても良い。金属基板の上にふとん篭を載置してから金属基板に吊上用柱材を立設しても良いし、金属基板に吊上用柱材を立設してから金属基板の上にふとん篭を載置しても良い。篭載置段階、柱立設段階、砂利充填段階は、いずれもふとん篭の現場以外の場所で行うことができる。こうして砂利を詰めたふとん篭は、吊上用柱材を吊り上げることによって自由な移動が可能となるので、吊上用柱材を吊り上げてふとん篭を移動させる移動段階(搬送車両への搭載移動、搬送車両からの堆積移動、堆積場から配設現場への設置移動)を経て、吊上用柱材を撤去する柱撤去段階の作業を行う。
【0019】
柱撤去段階および基板撤去段階の作業は、ふとん篭を地面に接地させた状態でも少人数で簡単に行うことが出来る。吊上用柱材の取り外しは容易であり、金属基板の取り外しは、例えば、起重機(クレーン車等)を用いて簡単に引き抜くことが出来る。また、巻上装置を利用して引き抜くことも出来る。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る吊上用基材および当該吊上用基材を用いたふとん篭の敷設方法によれば、現場におけるふとん篭の設置作業を効率的に行うことが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明に係るふとん篭の吊上用基材の一実施形態を示すものである。
このふとん篭の吊上用基材は、ふとん篭Cの底面を支持するための金属基板10と、この金属基板10の上に着脱自在に立設させた吊上用柱材20を備え、該吊上用柱材20の上端部に、環部30を設けてなる。
【0022】
金属基板10は、ふとん篭Cの底面と略同一の大きさをもつ。ふとん篭Cの底面を確実に保護するためである。なお、設置後に金属基板10を引き抜く(撤去する)ための利便を考慮して、金属基板10は引き抜き方向の寸法を若干大きくしておくことが望ましい。当該箇所にクレーンまたは牽引装置との連結手段を設けるためである。金属基板10は、不必要に大きくする必要はない。取り除く時(撤去するとき)に作業を邪魔する可能性があるからである。金属基板10は、例えば鋼板を用いる。入手しやすく経済性も優れるからである。
【0023】
金属基板10は、ふとん篭Cに詰石用の砂利(小石)を充填して吊り上げたときに、大きく撓まない程度の肉厚をもっていれば良い。例えば2〜3mmの鋼板であれば、吊り上げ時の撓みも少なく実用に耐える。もちろん、肉厚を3mm以上、例えば3〜10mmにしても良いが、肉厚が大きくなるほど爾後の撤去作業(抜き取り作業)が煩雑になる可能性がある。
【0024】
金属基板10の上面(ふとん篭Cを配する側)には適当本数、例えば六本の吊上用柱材20を着脱自在に立設する。金属基板10の面積とふとん篭Cの底面の面積は略同一の大きさとすることが好ましいため、吊上用柱材20を立設するときは、金属基板10の上に空のふとん篭Cを載置してから行う。吊上用柱材20を立設した後にふとん篭Cを金属基板10上に載置することも可能である。
【0025】
吊上用柱材20を着脱自在に立設するため、本実施形態では、例えば、金属基板10に、吊上用柱材20と同数(この実施形態では六個)の立設孔11を設け(図2参照)、この立設孔11に吊上用柱材20の下端部を差し込み(図3参照)、吊上用柱材20の下部に設けた固定用孔21に固定挿通材24を貫通させる(図4参照)。立設孔11は、吊り上げ時の重量バランスがとれるよう、金属基板10の長手方向および短手方向に均等間隔をもって配設することが望ましい。固定用孔21を直線上に並列させて配しておけば、固定挿通材24は、直線状の金属線(例えば鉄筋材)を使用することができる。
【0026】
好ましくは、金属基板10の裏面(ふとん篭Cを配する面と反対側の面)には、図5、図6に示すように、接地時に吊上用柱材20の下端部が地面に接しないように保護するチャンネル材14を設けることが望ましい。チャンネル材14は、例えば、断面略コ字状またはC字状を呈する金属製の長尺材を利用できる。
【0027】
チャンネル材14は、開放面を下向きにしても良いし、上向きにしても良い。接地時に吊上用柱材20の下端部が地面に接しないように保護できる点では同じだからである。またチャンネル材14に代えて角管を用いても良い。チャンネル材14の開放面を下向きにする場合、および角管を用いる場合は、立設孔11と重なる部分に吊上用柱材20の下部を挿通させるための孔部を設ける。
【0028】
固定用孔21に固定挿通材24を貫通させて吊上用柱材20を立設固定させた後、図7に示すように、吊上用柱材20の上部に環部30を取り付ければ、図1に示したふとん篭の吊上用基材となる。
【0029】
実際の作業時では、金属基板10の上に空のふとん篭Cを載置してから組み立てるので、環部30を取り付ける前に、砂利の充填とふとん篭Cの蓋(図示せず)の固定を行う。環部30は、ふとん篭Cの蓋を閉じてから取り付ける。
【0030】
環部30は、例えば、重機のフックに係合させるための環状部材31と、この環状部材31の下部に設けた螺合部材32とによって構成する。なお、環状部材31は完全な環(閉じた輪)である必要はない。その下部に螺合部材32を固定したときに全体として環を形成する部材であれば良い。
【0031】
螺合部材32は、例えば、短寸の環材の内側にねじ山を成形してなる。吊上用柱材20の上部にねじ山S(図7参照)を成形しておけば、当該ねじ山Sに螺合部材32を螺合させることによって、吊上用柱材20の上部に環部30を着脱自在に固定することができる。
【0032】
次に、図8に基づいて、請求項4に係るふとん篭の敷設方法を説明する。
【0033】
ふとん篭の敷設手順は、まず、前記金属基板10の上にふとん篭Cを載置する篭載置段階(S1)の作業を行い、この該篭載置段階(S1)に前後して、金属基板10に吊上用柱材20を立設する柱立設段階(S2)の作業を行う。
【0034】
金属基板10の底面はふとん篭Cの底面と略同一の形状・面積に成形しておくことが望ましく、その場合は、ふとん篭Cの載置作業における位置合わせも簡単になる。すでに述べたように、金属基板10は引き抜き方向に寸法を若干大きくしておくことが望ましい。通常、金属基板10の長手方向寸法を、ふとん篭Cの底面の長手方向より若干大きく設計すれば良い。例えば5〜15cm大きくする等である。
【0035】
吊上用柱材20を立設する柱立設段階(S2)は、篭載置段階(S1)を経て行っても良いし、篭載置段階(S1)の前に行い、吊上用柱材20の立設後に金属基板10の上にふとん篭Cを載置しても良い。
【0036】
次に、ふとん篭Cに砂利を充填する砂利充填段階(S3)の作業を行う。ふとん篭Cへの砂利(詰石)の充填は重機を利用しても良いし人力で行っても良い。砂利充填段階(S3)までの作業は、すべて平場で行うことが出来るので、人力(手作業)で充填作業を行っても危険性がないからである。砂利の充填後、上蓋を閉じ、吊上用柱材20の上部に環部30を取り付ける。吊上用柱材20の上部に成形したねじ山S(図7参照)に、螺合部材32を螺合させれば良い。
【0037】
次に、吊上用柱材20を吊り上げてふとん篭Cを移動させる移動段階(S4)の作業を行う。吊上用柱材20の上部には環部30を設けてあるので、起重機(クレーン車両等)を用いてふとん篭Cを移動させることが可能である。起重機(クレーン車両等)のフックを環部30に係合させ、クレーン車両等を駆動すれば良い。
【0038】
砂利が充填されたふとん篭Cは、暫時作業場に留め置く(保管)ことも出来るし、直ちに敷設現場へ搬送しても良い。いずれの作業も簡単であるから、少人数(例えば一人〜三人)の作業員で行うことのできる。ふとん篭Cを暫時保管する場合は、クレーン車両等を用いてふとん篭Cを近場である保管場所へ移動させる。ふとん篭Cを現場へ搬送する場合は、クレーン車両等を用いてトラック車両の荷台に搭載し、トラック車両によって敷設現場近くへ搬送した後、ふたたびクレーン車両によってふとん篭Cをトラック車両から荷おろしする。トラック荷台から降ろしたふとん篭Cは、現場の近傍箇所に暫時保管しても良いし、保管することなく直ちに敷設現場へ移動させても良い。
【0039】
次に、敷設現場にふとん篭Cを配置した後、吊上用柱材20を撤去する柱撤去段階(S5)の作業を行う。
【0040】
この段階の作業は、例えば、図4に示したように固定挿通材24を用いて吊上用柱材20を固定している場合は、当該固定挿通材24を引き抜いてから、吊上用柱材20を引き抜けばよい。簡単な作業であるから、少人数(例えば一人〜三人)の作業員で行うことのできる。
【0041】
最後に、金属基板10を撤去する基板撤去段階(S6)の作業を行う。
【0042】
この作業は、例えば、金属基板10の長手方向端部に孔部(図示せず)を設け、この孔部にワイヤ環を装着し、当該ワイヤ環にクレーン車のフックを係合させて、クレーンによって引き抜くことが出来る。巻上装置を利用する場合も同様である。例えば、金属基板10の長手方向端部に設けた孔部にワイヤを係着し、ワイヤの他端部にウィンチ装置を配して巻き上げ(引っ張り)駆動すれば良い。簡単な作業であるから、この段階の作業も少人数(例えば一人〜三人)の作業員で行うことができる。
【0043】
以上のように、かかる敷設方法によれば、内部に砂利を充填したふとん篭Cを敷設前につくっておき、このふとん篭Cを敷設現場へ移動させてそのまま敷設することが出来る。このため、敷設作業時の作業がきわめて簡単になる。従来のように、敷設現場(傾斜地等)において危険な砂利詰め充填や砂利の均し作業等を行う必要がなくなるからである。
【0044】
従来の敷設作業と異なり、吊上用柱材20を撤去する作業(S5)と、金属基板10を撤去する作業(S6)が必要となるが、これらは従来敷設現場で行っていた砂利詰め充填や砂利の均し作業等に比べて格段に簡単な作業であり、安全性も高く、作業時間もはるかに短時間ですむ。従って、敷設現場におけるふとん篭Cの設置作業を効率的に行うことが可能となる。
【0045】
なお、前記実施形態では吊上用柱材(20)に環部(30)を取り付ける旨説明したが、図9に示すように、上下に孔部41を設けた板状の吊上用柱材40を用いても良い。孔部41は同一の大きさで設けて良い。こうすると、吊上用柱材40は長手方向に上下対称の部材となる。
【0046】
この場合、金属基板10に設ける立設孔42は、板状の吊上用柱材40の一端部を差し込むことが出来るよう長方形または楕円形とする。また立設孔42は、差し込んだ吊上用柱材40に若干の遊びをもたせるよう、吊上用柱材40の肉厚よりも僅かに大きな幅寸法としておくことが望ましい。傾斜面にふとん篭Cを配設するときに、吊上用柱材40が鉛直方向に動いて吊り上げのバランスをとりやすくするためである。
【0047】
また、図10、図11に示すように、吊上用柱材40の裏面に配するチャンネル材44は、断面略C字を呈するものを用いることが出来、閉鎖面44−1を下向きに配することが望ましい。その他の部分、例えば金属基板10の大きさ、ふとん篭Cの配設順序等は前記実施形態と同様で良い。
【0048】
かかる上下対称の吊上用柱材40を用いれば、金属基板10の立設孔42に一端部を差し込むときは上下を気にせずに立設作業を行うことが出来るので、作業効率が良好となる。
【0049】
金属基板10の裏面には閉鎖面44−1をもったチャンネル材44を配してあるから、吊上用柱材40の下側の孔部41が上下同一位置に整列する。そして、整列した下側の孔部41が固定挿通材24を挿通させるための固定用孔として機能することになる。
【0050】
一方、立設時に吊上用柱材40の上側に位置する孔部41は、起重機のフックと連結させるための係合部として機能する。上側の孔部41に適宜のリングを取り付けて、当該リングをクレーンフックに係止させれば吊り上げが可能となる。リングは、例えばワイヤを環状にしたものを利用できる。
【0051】
上下対称に設けた孔部41が、吊上用柱材40の係合部と固定用孔となって働くので、前記実施形態の吊上用柱材(20)に較べて部品構成が単純となり、製造コストを抑えることが可能となる。
【0052】
なお、本発明に係る吊上用柱材は、固定挿通材24を介して固定する旨説明したが、円柱形や角柱形の吊上用柱材を用いる場合は、下端部にねじ山を切っておき、ナットを介して締め固定しても構わない。係合部は、起重機のフックと直接またはワイヤ等を介して間接的に連結できるものであれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】第一の実施形態に係る吊上用基材を例示する斜視図である。
【図2】第一の実施形態に係る金属基板を例示する斜視図である。
【図3】図2の金属基板に吊上用柱材の下端部を差し込む状態を例示する図である。
【図4】第一の実施形態に係る固定挿通材を例示する図である。
【図5】第一の実施形態に係るチャンネル材を例示する斜視図である。
【図6】第一の実施形態に係るチャンネル材と吊上用柱材との関係を示す図である。
【図7】第一の実施形態に係る環部の取り付け状態を例示する図である。
【図8】実施形態に係るふとん篭の敷設方法を示すブロック図である。
【図9】第二の実施形態に係る吊上用基材を例示する斜視図である。
【図10】第二の実施形態に係るチャンネル材を例示する斜視図である。
【図11】第二の実施形態に係るチャンネル材と吊上用柱材との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
10 金属基板
11、42 立設孔
14、44 チャンネル材
15 挿通孔
20、40 吊上用柱材
21 固定用孔
24 固定挿通材
30 環部
31 環状部材(係合部)
32 螺合部材
41 孔部(係合部、固定用孔)
44−1 閉鎖面
C ふとん篭
S ねじ山
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ふとん篭の底面を支持するための金属基板と、
この金属基板の上に着脱自在に立設させる吊上用柱材を備えるとともに、
この吊上用柱材に、起重機のフックと連結させるための係合部を設けることを特徴とするふとん篭の吊上用基材。
【請求項2】
金属基板に、吊上用柱材の下端部を嵌入するための複数の立設孔を設ける一方、
前記吊上用柱材の下部に、固定挿通材を貫通させる固定用孔を設け、
前記立設孔に下端部を嵌入させた前記吊上用柱材の固定用孔に、固定挿通材を貫通させて複数の吊上用柱材を立設させるものであることを特徴とする請求項1記載のふとん篭の吊上用基材。
【請求項3】
立設孔に嵌入させた複数の吊上用柱材の下端部を保護するチャンネル材または角管を、金属基板の裏面に配したことを特徴とする請求項1または請求項2記載のふとん篭の吊上用基材。
【請求項4】
請求項1記載の金属基板の上にふとん篭を載置する篭載置段階と、
該篭載置段階に前後して、金属基板に吊上用柱材を立設する柱立設段階と、
ふとん篭に砂利を充填する砂利充填段階と、
前記吊上用柱材を吊り上げてふとん篭を移動させる移動段階と、
敷設現場に移動させた後、吊上用柱材を撤去する柱撤去段階と、
柱撤去段階の後、金属基板を撤去する基板撤去段階と、を有するふとん篭の敷設方法。
【請求項1】
ふとん篭の底面を支持するための金属基板と、
この金属基板の上に着脱自在に立設させる吊上用柱材を備えるとともに、
この吊上用柱材に、起重機のフックと連結させるための係合部を設けることを特徴とするふとん篭の吊上用基材。
【請求項2】
金属基板に、吊上用柱材の下端部を嵌入するための複数の立設孔を設ける一方、
前記吊上用柱材の下部に、固定挿通材を貫通させる固定用孔を設け、
前記立設孔に下端部を嵌入させた前記吊上用柱材の固定用孔に、固定挿通材を貫通させて複数の吊上用柱材を立設させるものであることを特徴とする請求項1記載のふとん篭の吊上用基材。
【請求項3】
立設孔に嵌入させた複数の吊上用柱材の下端部を保護するチャンネル材または角管を、金属基板の裏面に配したことを特徴とする請求項1または請求項2記載のふとん篭の吊上用基材。
【請求項4】
請求項1記載の金属基板の上にふとん篭を載置する篭載置段階と、
該篭載置段階に前後して、金属基板に吊上用柱材を立設する柱立設段階と、
ふとん篭に砂利を充填する砂利充填段階と、
前記吊上用柱材を吊り上げてふとん篭を移動させる移動段階と、
敷設現場に移動させた後、吊上用柱材を撤去する柱撤去段階と、
柱撤去段階の後、金属基板を撤去する基板撤去段階と、を有するふとん篭の敷設方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−41776(P2012−41776A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185533(P2010−185533)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(595000645)北海道川崎鐵網株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(595000645)北海道川崎鐵網株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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