説明

めっき装置及びめっき方法

【課題】広い表面積を持つ矩形平板状のガラス基板等の基板表面に、基板の損傷を防止しつつ、均一な膜厚の金属膜を一連の動作で成膜することができ、しかも狭いスペース内に設置でき、スループットの高いめっき装置及びめっき方法を提供する。
【解決手段】被めっき面を上向きにして基板Wを水平な状態で搬送する基板搬送ユニット14cと該基板搬送ユニット14cに隣接して配置されためっきユニット26aを有し、めっきユニット26aは、めっき液Qを保持するめっき槽40と、めっき槽40の上方に配置され、被めっき面を上向きにして基板Wを水平に保持し該基板Wと共にめっき槽40内のめっき液Q中に浸漬される上下動自在な保持ベース42と、基板搬送ユニット14cから基板Wを受取って保持ベース42上の所定の位置に移送する基板移送機構50と、基板移送時に保持ベース42の表面に流体を供給して流体膜を形成する流体膜形成部42b,64を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、矩形平板状で、広い表面積を持つ、例えば薄型テレビ用スクリーン(ディスプレイパネル)に用いられるガラス基板の表面に、銅等の金属膜をそのほぼ全面に亘って均一な膜厚で成膜するのに使用されるめっき装置およびめっき方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、矩形平板状のガラス基板の表面に電解めっきや無電解めっきで金属膜をめっきするめっき装置としては、複数枚のガラス基板をバスケットに入れ、ガラス基板の表面をバスケットと共に洗浄槽で洗浄し、しかる後、ガラス基板をバスケットと共にめっき槽内のめっき液に浸漬させて、ガラス基板の表面に金属膜を成膜するようにしたものが一般的に知られている。
【0003】
出願人は、特願2007−167171として、ガラス基板を該ガラス基板の端面間で挟持して鉛直に保持する基板ホルダを用いてめっきを行うめっき装置及びめっき方法を提案した。このめっき装置及び方法により、ガラス基板に対するシーケンス制御された自動めっきが可能となる。
【0004】
また、矩形平板状の基板を基板ホルダで挟んで保持し、被めっき面を鉛直にして基板ホルダで保持した基板をめっき液中に浸漬させ、基板の被めっき面と対向する位置に配置されるアノードと基板の被めっき面(カソード)との間に電圧を印加して該被めっき面に金属膜(めっき膜)を成膜するようにした電解めっき装置が一般的に知られている。更に、搬送ローラでガラス基板を搬送しながらめっきを行うめっき装置も知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、例えば薄型テレビ用スクリーン(ディスプレイパネル)の製造工程においては、ガラス基板表面に金属膜をめっきする工程が用いられ、例えば1500×1300mmといった、広い表面積を有する矩形平板状のガラス基板のほぼ全面に均一な膜厚の金属膜を一連の動作で連続して成膜することが求められている。このようなガラス基板のサイズは年々大型化されている。しかし、このように、広い面積を持つ矩形平板状のガラス基板の表面に従来の方法で金属膜を成膜するには以下のような課題があった。
【0006】
(1)ガラス基板を該ガラス基板の端辺を挟んで基板ホルダで保持するようにすると、ガラス基板の撓みを考慮した基板ホルダを用意する必要があり、基板ホルダに対する高い組立精度が要求され、その結果、めっきされた製品は高価なものとなる。
(2)ガラス基板の表裏を反転させたり、水平姿勢を垂直姿勢に変えたりするようにすると、大型の姿勢転換機構が必要であり、装置自体が大型化してしまう。
【0007】
(3)ガラス基板を垂直に保持し下降させてめっき槽内のめっき液中に浸漬させるようにした場合、ガラス基板を急速に下降させすると、めっき液の抵抗によりガラス基板が割れる恐れがあるので、ガラス基板を急速に下降させることはできない。しかも、基板をめっき液に浸漬するためにガラス基板を下降させる距離も長くなるので、ガラス基板を下降させる時間が長くかかり、スプープットの低下につながる。また、めっき前処理などの際に基板を処理液から引き上げる途中で基板が乾いてしまう恐れもある。
【0008】
一般に、ガラス基板のような被処理基板は、被処理面(被めっき面)を上向きにして装置内に搬入されるため、そのままの姿勢、つまり被処理面を上向きにしたのまま、装置内を搬送し処理することができれば複雑な姿勢転換機構を設けることなく装置を小型化できる。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、広い表面積を持つ矩形平板状のガラス基板等の基板表面(被めっき面)に、基板の損傷を防止しつつ、均一な膜厚の金属膜を一連の動作で成膜することができ、しかもスループットを向上させながら、狭いスペース内に設置できようにしためっき装置及びめっき方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、被めっき面を上向きにして基板を水平な状態で搬送する基板搬送ユニットと、該基板搬送ユニットに隣接して配置されためっきユニットを有し、前記めっきユニットは、めっき液を保持するめっき槽と、前記めっき槽の上方に配置され、被めっき面を上向きにして基板を水平に保持し該基板と共にめっき槽内のめっき液中に浸漬される上下動自在な保持ベースと、前記基板搬送ユニットから基板を受取って前記保持ベース上の所定の位置に移送する基板移送機構と、前記基板移送時に前記保持ベースの表面に流体を供給して流体膜を形成する流体膜形成部を有することを特徴とするめっき装置である。
【0011】
これにより、保持ベースの表面に液体等の流体を供給して流体膜(液膜)を形成し、この流体膜(液膜)の上を滑るようにして、保持ベース上の所定の位置に基板を移送して保持ベースで保持することができる。これによって、基板の端面を強い力で挟んだり基板の一部分を吸着したりして基板に無理な力をかけたり、基板に強い摩擦力を作用させることをなくして、基板が損傷することを防止しつつ、基板をめっきユニット内の所定の位置にスムーズに移動させて保持ベースで保持することができる。しかも、被めっき面を上向きにした水平状態のまま、基板を水平に移動させて基板の搬送及び基板に対するめっき処理を行うことで、装置の小型化及びスループットの向上を図ることができる。
【0012】
なお、保持ベースにコロを設け、このコロの回転に伴って、基板が保持ベース上をスムーズに移動できるようにすることも考えられるが、保持ベースにコロのような突起物があると、基板を保持ベースで保持する際に基板に局所的な応力がかかる。また仮にコロを必要に応じて保持ベース内部に引っ込めるための機構を備えたとしても、基板と共にめっき液に浸漬させる保持ベースとしては、そのような複雑な構造は好ましくない。特に摺動部がめっき液中にあると、めっき液成分である、例えば銅のような析出物が発生し、析出物が摺動面にはさまって動作不良が起きてしまい、連続して使用することが困難となる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、前記めっきユニットは、めっき液に電解めっき液を使用した電解めっきユニットで、前記保持ベースの上方には、前記保持ベースに対して相対的に下降して基板の被めっき面に接触するカソード接点と基板の上方に該基板と平行に配置されるアノードとを内部に備え、前記保持ベースと一体に上下動するプロセスユニットが配置されていることを特徴とする請求項1記載のめっき装置である。
【0014】
このように、保持ベースに対して相対的に下降して基板の被めっき面に接触するカソード接点と基板の上方に該基板と平行に配置されるアノードとをプロセスユニット内に配置し、プロセスユニットを保持ベースに対して下降させた後、プロセスユニットと保持ベースを一体に下降させて、保持ベースで保持した基板、及びプロセスユニット内のアノードをめっき槽内のめっき液(電解めっき液)中に浸漬させることで、電解めっきが可能となる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、前記プロセスユニットの前記カソード接点は、該カソード接点の自重が接触圧力となることを特徴とする請求項2記載のめっき装置である。
請求項4に記載の発明は、前記プロセスユニットには、めっき液に接液しないめっき槽上部に位置して、前記カソード接点の接触圧力を一定に保つばねが備えられていることを特徴とする請求項2記載のめっき装置である。
【0016】
請求項5に記載の発明は、前記プロセスユニットの前記カソード接点は、接触圧力を変えることが可能であることを特徴とする請求項2記載のめっき装置である。
請求項6に記載の発明は、前記プロセスユニットには、前記カソード接点と前記アノードとの間に位置して、前記アノードまたは被めっき面と垂直に遮蔽板が設けられていることを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載のめっき装置である。
【0017】
請求項7に記載の発明は、前記めっきユニットは、めっき液として無電解めっき液を使用した無電解めっきユニットであることを特徴とする請求項1記載のめっき装置である。
この場合、所定位置に基板を保持した保持ベースを基板と共にめっき液(無電解めっき液)中に浸漬させるだけで、基板の被めっき面にめっき(無電解めっき)を行うことができる。
【0018】
請求項8に記載の発明は、前記保持ベースは、水平面に対してチルト自在であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のめっき装置である。
このように、保持ベースを水平面に対してチルト自在となし、保持ベースを水平面に対して所定の角度チルトさせた状態で基板と共にめっき液中に浸漬させることで、この浸漬時に生じる液抵抗を小さくすることができる。
【0019】
請求項9に記載の発明は、前記基板移送機構は、互いに近接する方向に移動自在な一対のコンベアユニットを備え、各コンベアユニットには、互いに近接した時に基板の端面に接触しながら回転する複数のローラが備えられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のめっき装置である。
これにより、基板の端面に接触しながら回転する複数のローラを介して、基板を確実に移送することができる。
【0020】
請求項10に記載の発明は、前記基板搬送ユニットと前記めっきユニットとの間には、前記基板搬送ユニットと前記めっきユニットとの間で基板の受渡しを行う基板受渡し機構が配置されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のめっき装置である。
これにより、基板を基板搬送ユニットからめっきユニットに直接移送できない場合に、基板受渡し機構を経由させることで、基板を基板搬送ユニットからめっきユニットに移送することができる。
【0021】
請求項11に記載の発明は、前記流体膜形成部は、前記保持ベースの表面に形成した流体供給溝と該流体供給溝に連通する流体供給ラインからなることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のめっき装置である。
流体としては、液体が好ましく使用されるが、気体または液体と気体を混合させた気液混合体等を使用しても良い。
【0022】
請求項12に記載の発明は、前記保持ベースは、真空吸着によって基板を保持することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のめっき装置である。
請求項13に記載の発明は、前記保持ベースは、可撓性を有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のめっき装置である。
保持ベースは、例えば塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂またはポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂等の樹脂からなる。
【0023】
請求項14に記載の発明は、保持ベース上に水平に保持した基板の被めっき面にめっき前処理を行う前処理ユニットと、保持ベース上に水平に保持しためっき前処理後の基板の被めっき面にめっきを行うめっきユニットと、水平に維持した状態で基板を搬送し前記前処理ユニット及び前記めっきユニットの一方の保持ベース基板を移送する基板搬送ユニットを有し、基板と保持ベースとの間に流体膜を形成した状態で、前記基板搬送ユニットから前記前処理ユニット及び前記めっきユニットの少なくとも一方に基板を移送することを特徴とするめっき装置である。
【0024】
請求項15に記載の発明は、基板を水平に維持し保持ベースの上面に流体膜を形成した状態で基板を該保持ベース上面の所定位置に移送し、前記保持ベースを下降させて該保持ベースを基板と共に電解めっき液中に浸漬させ、同時にカソード接点及びアノードを下降させてカソード接点を基板の被めっき面に接触させ、アノードを電解めっき液に浸漬させ、前記カソードと前記アノードとの間に電圧を印加して基板の被めっき面に電解めっきを行うことを特徴とするめっき方法である。
【0025】
請求項16に記載の発明は、基板を水平に維持し保持ベースの上面に流体膜を形成した状態で基板を該保持ベース上面の所定位置に移送し、前記保持ベースを下降させ該保持ベースを基板と共に無電解めっき液中に浸漬させて基板の被めっき面に無電解めっきを行うことを特徴とするめっき方法である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、広い表面積を持つ矩形平板状のガラス基板等の基板表面(被めっき面)に、基板の損傷を防止しつつ、均一な膜厚の金属膜を一連の動作で成膜することができる。しかも、被めっき面を上向きにした水平状態のまま、基板を水平に移動させて基板の搬送及び基板に対するめっき処理を行うことで、装置の小型化及びスループットの向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の例では、矩形平板状のガラス基板の表面にめっきによって金属膜を成膜する例を示す。
【0028】
図1は、本発明の実施形態のめっき装置の全体構成を示す配置図である。図1に示すように、このめっき装置は、例えばディスプレイ製造工場に設置されたガラス基板搬送機器からガラス基板を受取ってめっき装置の内部に搬入するロードユニット10と、めっき装置内でめっき処理を行ったガラス基板Wをガラス基板搬送機器等に受渡すアンロードユニット12を備えており、このロードユニット10とアンロードユニット12は、互いに対向する位置に所定間隔離間して配置されている。
【0029】
ロードユニット10は、第1基板搬送ユニット14a、第2基板搬送ユニット14b、第1インライン洗浄ユニット16a、第3基板搬送ユニット14c、第4基板搬送ユニット14d、第5基板搬送ユニット14e及び第6基板搬送ユニット14fを直列に連結した第1基板搬送処理ライン18aの第1基板搬送ユニット14aに直列に接続されている。アンロードユニット12は、第7基板搬送ユニット14g、第8基板搬送ユニット14h、第9基板搬送ユニット14i、第10基板搬送ユニット14j、第2インライン洗浄ユニット16b、インライン乾燥ユニット20及び基板搬送機構22を直列に連結した第2基板搬送処理ライン18bの該基板搬送機構22に直列に接続されている。
【0030】
第1基板基板搬送ライン18aと第2基板搬送処理ライン18bとの間に位置して、2台の前処理ユニット24a,24bと、4台のめっきユニット26a〜26dが配置されている。このめっき装置では、第1前処理ユニット24aで脱脂等のめっき前洗浄(第1めっき前処理)を行い、第2前処理ユニット24bで酸による洗浄等の活性化処理(第2めっき前処理)を行う。めっきユニット26a〜26dは、この例では、全て同一のめっき処理を行う電解めっきユニットからなり、各ガラス基板に対して1台のめっきユニットが使用され、スループットを考慮して、4台のめっきユニットが備えられている。
【0031】
次に、このめっき装置におけるガラス基板の流れについて説明する。先ず、ガラス基板搬送機器等から被処理面(被めっき面)を上向きにした水平状態で受取られたガラス基板は、ロードユニット10で受取られて、第1基板搬送ユニット14aに搬送される。そして、ガラス基板は、進行方向を変えられて第1前処理ユニット24aに搬送され、ここで脱脂等の第1めっき前処理が行われた後、第1基板搬送ユニット14aに戻される。次に、ガラス基板は、第2基板搬送ユニット14bに搬送され、前述と同様にして、第2前処理ユニット24bに搬送されて、ここで活性化等の第2めっき前処理が行われた後、第2基板搬送ユニット14bに戻される。
【0032】
そして、ガラス基板は、第1インライン洗浄ユニット16aにおいて、第1インライン洗浄ユニット16aに沿って、第2基板搬送ユニット14bから第3基板搬送ユニット14cに向けて搬送されながら洗浄される。洗浄後のガラス基板は、めっきユニット26a〜26dのいずれか1つのめっきユニットでめっき処理されて、第2基板搬送処理ライン18bに搬送される。例えば第3基板搬送ユニット14cから第1めっきユニット26aに搬送され、ここでめっき処理が行われた後、第10基板搬送ユニット14jに搬送される。
【0033】
めっき後のガラス基板は、第2インライン洗浄ユニット16bにおいて、第2インライン洗浄ユニット16bに沿って、第10基板搬送ユニット14jからインライン乾燥ライン20に向けて搬送されながら洗浄される。更に、インライン乾燥ライン20において、インライン乾燥ライン20に沿って、インライン乾燥ライン20から搬送ユニット22に向けて搬送されながら乾燥される。そして、基板搬送機構22を通過して、アンロードユニット20からガラス基板搬送機器等に受渡される。
【0034】
ロードユニット10は、図示しないが、ガラス基板を乗せたアームがめっき装置内に進入し停止した後、搬送ローラを有する昇降機が上昇し、ガラス基板をアームから受取る構造となっている。昇降機が上昇端で停止した後、搬送ローラが回転し、ガラス基板を隣に設置された基板搬送ユニット14aに送る。アンロードユニット12は、この逆の動作で、めっき装置内に進入したアームにガラス基板を受渡す。
【0035】
インライン洗浄ユニット16a,16bは、図示しないが、ガラス基板が流れる搬送ラインの上部及び下部に設置したシャワーヘッドを有し、このシャワーノズルよりガラス基板に向けて純水を吹付ることで、ガラス基板の表裏に残るめっき液を洗い流す。シャワーを流した状態でガラス基板を送るため、ガラス基板の全面を洗浄することができる。
【0036】
インライン乾燥ユニット20は、エアーナイフを用いたものであり、ローラコンベアで移動するガラス基板の表裏両面に向けてエアーナイフからエアーを吹付ことでガラス基板を乾燥する。
【0037】
図1に示すように、ロードユニット10とアンロードユニット12を互いに並行した位置に置くことにより、ディスプレイ製造工場等に設置されたガラス基板搬送機器の移動距離が短くなり、更には、めっき処理前の貯留位置にめっき後のガラス基板を戻すことが容易になる。
【0038】
図2は、図1において、互いに隣接した位置に配置される、第3基板搬送ユニット14c、第1めっきユニット26a及び第10基板搬送ユニット14jを示す平面図で、図3は、図2の縦断正面図(図1のA−A線断面図)である。なお、基板搬送ユニット14a〜14jは、全て同じ構成であるので、ここでは、基板搬送ユニット14cについてのみ説明し、他の基板搬送ユニットについては、同一符号を付して説明を省略する。また、めっき装置26a〜26dにあっても、全て同じ構成であるので、ここでは、めっきユニット26aについてのみ説明して、他のめっきユニットについては、同一符号を付して説明を省略する。
【0039】
なお、図1には省略してあるが、図2及び図3に示すように、第3基板搬送ユニット14cと第1めっきユニット26aとの間には第1基板受渡し機構28aが、第1めっきユニット26aと第10基板搬送ユニット14jとの間には第2基板受渡し機構28bがそれぞれ配置されている。これは、他の基板搬送ユニットとめっきユニットとの関係にあっても同様である。基板受渡し機構28a,28bは、同一構成であるので、基板受渡し機構28aのみ説明し、基板受渡し機構28bにあっては、同一符号を付して説明を省略する。
【0040】
図2及び図3に示すように、第3基板搬送ユニット14cには、第1基板搬送処理ライン18aに沿った搬送方向Aにガラス基板Wを搬送する複数の第1搬送ローラ30が、該搬送方向Aに沿った所定のピッチで配置されている。ガラス基板Wは、この第1搬送ローラ30の駆動(回転)に伴って、搬送ローラ30上を搬送方向Aに沿って所定位置まで搬送される。更に、ガラス基板Wの通過を検知する検知センサ32と、ガラス基板Wを所定の位置に停止させる上下動自在なストッパ34が備えられている。これにより、ガラス基板Wが第1搬送ローラ30上を搬送されて検知センサ32上を通過したことを検知センサ32で検知した時に、ストッパ34を上昇させ、第1搬送ローラ30の駆動を停止させて、ガラス基板Wを第3基板搬送ユニット14c上の所定の位置に機械的に停止させる。
【0041】
なお、第1めっきユニット26aでめっき処理を行うことなく、例えば第2めっきユニット26bでめっき処理を行うときには、第3基板搬送ユニット14cのストッパ34を上昇させることなくガラス基板を通過させ、第4基板搬送ユニット14dのストッパを上昇させて、ガラス基板を第4基板搬送ユニット14d上の所定の位置に停止させる。
【0042】
第1搬送ローラ30と互い干渉しない位置に位置して、ガラス基板Wの停止位置の下方には、第3基板搬送ユニット14cに隣接するめっきユニット26aに向かう搬送方法Bにガラス基板を搬送する複数の第2搬送ローラ36が、該搬送方向Bに沿った所定のピッチで配置されている。なお、図2では、第2搬送ローラを省略している。この第2搬送ローラ36は、ベースに取付けたシリンダ(図示せず)の作動に伴って、第1搬送ローラ30の下方の待避位置と、第1搬送ローラ30の上方の図3に示す搬送位置との間を上下動する。
【0043】
これにより、ガラス基板Wを第3基板搬送ユニット14c上の所定位置に機械的に停止させた後、第2搬送ローラ36を上昇させることで、ガラス基板Wを第2搬送ローラ36で掬い上げて第1搬送ローラ30から受取り、第2搬送ローラ36を駆動(回転)させてガラス基板Wを搬送方向Bに搬送する。
【0044】
基板受渡し機構28aは、該基板受渡し機構28aを経由させて、ガラス基板Wを第3基板搬送ユニット14cからめっきユニット26aに搬送するためのもので、ガラス基板Wの搬送方向Bに沿って所定のピッチで配置された、複数(図示では3個)の搬送ローラ38から構成されている。この搬送ローラ38は、第3基板搬送ユニット14cの搬送位置に位置する第2搬送ローラ36と同一高さレベルに配置されている。これにより、基板受渡し機構28aは、第3基板搬送ユニット14cの第2搬送ローラ36から送られてくるガラス基板Wを受取り、搬送ローラ38の駆動(回転)に伴って、ガラス基板Wを搬送方向Bに搬送して、めっきユニット26aに受渡す。
【0045】
めっきユニット26aは、内部にめっき液(電解めっき液)Qを保持するめっき槽40と、めっき槽40の上方に配置された矩形平板状の保持ベース42とを有しており、ガラス基板Wの搬送方向Bに沿って保持ベース42を挟んだ位置に、入口搬送ローラ44と出口搬送ローラ46が基板受渡し機構28aと同一高さレベル位置に配置されている。入口搬送ローラ44と出口搬送ローラ46の側外方には、ガラス基板Wの端面に接触してガラス基板Wの進行方向に対する左右のずれを防止するする各一対のガイド板48が配置されている。
【0046】
これにより、基板受渡し機構28aから送られてくる基板を入口搬送ローラ44で受取り、基板移送機構を介して、保持ベース42上の所定の位置に搬送する。そして、めっきユニット26aでのめっき処理を終了した後に、保持ベース42で保持したガラス基板Wを、コンベアユニット50を介して、出口搬送ローラ46に搬送し、基板受渡し機構28bで受取って、第10基板搬送ユニット14jの第2搬送ローラ36に搬送する。
【0047】
保持ベース42は、例えば、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂またはポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂等の樹脂によって、僅かに可撓性を有するように構成されている。ガラス基板Wの搬送方向Bと直交する方向に沿って保持ベース42を挟んだ位置には、基板移送機構を構成する、互いに近接する方向に移動自在な一対のコンベアユニット50,50が備えられている、この各コンベアユニット50は、エアシリンダ52の作動によって移動する移動プレート54が備えられ、この移動プレート54の互いに対向する長辺に沿って、複数(図示では4個)の回転ローラ56が回転自在に支承されている。更に、移動プレート54の第10基板搬送ユニット14j側の端部には、ガラス基板Wの保持ベース42に対する位置決めを行うストッパ58が鉤状に内方に突出して連接されている(図4参照)。このストッパ58の近傍に位置して、ガラス基板Wが所定の位置に達したことを検知する検知センサ(図示せず)が配置されている。
【0048】
図4及び図5に示すように、保持ベース42の上面には、直線状に延びる真空吸着溝42aと液体供給溝(流体供給溝)42bが、この例では、交互かつ平行に設けられている。そして、真空吸着溝42aは、その両端に設けた貫通孔を通して、真空ライン62に接続され、液体供給溝42bは、その両端に設けた貫通孔を通して、例えば純水等の液体を供給する液体供給ライン(流体供給ライン)64に接続されている。この液体供給溝(流体供給溝)42b及び液体供給ライン(流体供給ライン)64によって、保持ベース42の表面(上面)に、例えば純水等の流体を供給して薄い液膜(流体膜)を形成する液膜形成部(流体膜形成部)が構成されている。
【0049】
なお、この例では、保持ベース42の上面に、純水等の液体を供給して、薄い液膜を形成するようにした例を示しているが、液体の代わりに、気体(エアー)や液体(純水)と気体(エアー)とを混合させた気液混合体を使用して、保持ベース42の上面に、気体等からなる薄い流体膜を形成するようにしてもよい。
【0050】
基板受渡し機構28aを経由して、ガラス基板Wをめっきユニット26aの保持ベース42上の所定位置に搬送する時には、先ずエアシリンダ52を作動させ、コンベアユニット50の移動プレート54を互いに近接した位置に移動させて、回転ローラ56を回転させる。更に、液体供給ライン(流体供給ライン)64から液体供給溝(流体供給溝)42bに純水等の液体(流体)を供給して、保持ベース42の表面(上面)に純水等の液体(流体)からなる薄い液膜(液体膜)を形成する。これにより、入口搬送ローラ44から保持ベース42の上方に向けて送られてきたガラス基板Wは、その両端面において、互いに対向する位置に配置されて回転ローラ56に挟まれた状態で接触し、この回転ローラ56の回転により、保持ベース42上を搬送方向Bに沿って搬送される。この時、保持ベース42の表面上には薄い液膜(流体膜)が形成されており、このためガラス基板Wは液膜上を滑るように移動する。
【0051】
そして、ガラス基板Wの進行方向前方の端面がストッパ58に当接してガラス基板Wが停止したことを検知センサで検知した時に回転ローラ56の回転及び液体の供給を停止し、これによって、ガラス基板Wを保持ベース42上の所定位置に停止させる。そして、真空ライン62を通して、真空吸着溝42aを真空引きすることで、ガラス基板Wを保持ベース42上の所定位置に吸着保持する。
【0052】
このように、保持ベース42の表面に液体等の流体を供給して液膜等の流体膜を形成し、この流体膜(液膜)の上を滑るようにして、保持ベース42上の所定位置にガラス基板Wを移送して保持ベース42で保持することで、ガラス基板Wの端面を強い力で挟んだりガラス基板Wの一部分を吸着したりして基板に無理な力をかけたり、基板に強い摩擦力を作用させることをなくして、ガラス基板Wが損傷することを防止しつつ、ガラス基板Wをめっきユニット26a内の所定の位置にスムーズに移動させて保持ベース42で保持することができる。
【0053】
めっき終了後は、上記とほぼ逆の動作で、保持ベース42でのガラス基板Wの保持を解き、保持ベース42の表面に液体を供給して薄い液膜(流体膜)を形成しながら、ガラス基板Wを保持ベース42から基板受渡し機構28bに向けて送り出す。
【0054】
保持ベース42は、矩形状の保持フレーム70の下端に固定されており、この保持フレーム70は、この上方に位置する矩形状の昇降フレーム72に垂下支持されている。つまり、保持フレーム70は、その一方の辺側において、ヒンジ74を介して回動自在に昇降フレーム72に連結され、保持フレーム70の他方の辺側と昇降フレーム72との間にはチルト用エアシリンダ76が配置されている。これにより、チルト用エアシリンダ76の作動に伴って、図6に示すように、保持フレーム70全体がヒンジ74を中心に傾動して、保持ベース42が水平面に対してチルトするようになっている。
【0055】
更に、保持ベース42の上方に位置して、プロセスユニット80が配置され、このプロセスユニット80は、保持フレーム70の上枠体82に取付けた昇降用エアリンダ84のロッドに連結されている。これによって、プロセスユニット80は、昇降用エアシリンダ84の駆動に伴って、保持ベース42に対して相対的に昇降し、また、昇降フレーム72の昇降に伴って、保持フレーム70及びプロセスユニット80が一体に昇降するようになっている。このように、昇降フレーム72は、保持フレーム70及びプロセスユニット80の全ての重量を支えており、更に、下記のように、保持ベース42をガラス基板Wと共にめっき液から引き上げる力もかかる。このため、この例では、昇降フレーム72の四隅に、一端にカウンターウェート86を設けたチェーン88の他端を連結し、昇降用モータ90の駆動に伴って、チェーン88を引上げ・引下げることで、バランスを取りながら、少ない動力で、昇降フレーム72を保持フレーム70及びプロセスユニット80と一体に昇降させるようにしている。
【0056】
プロセスユニット80は、図7及び図8に示すように、保持ベース42を固定した状態でプロセスユニット80を下降させた時に、保持ベース42で保持したガラス基板Wの両側周縁部に接触して電給する棒状の複数のカソード接点92と、保持ベース42を固定した状態でプロセスユニット80を下降させ、更に保持ベース42を固定した状態でプロセスユニット80と一体に下降させた時に、めっき槽40内のめっき液Qに浸漬されてガラス基板Wの上方を覆う位置に配置される矩形状のアノード94と、ガラス基板Wとアノード94との間に上下に配置される矩形枠状のアノードマスク96及び中間マスク98と、カソード接点92と平行に該該カソード接点92の内側を覆うよう配置した第1の遮蔽板300とを有している。アノード94として、この例では、不溶解アノードを使用している。
【0057】
カソード接点92は、給電部302から延びる配線304に電気的に接続されており、カソード接点92自体がめっきされないように、めっき槽40内のめっき液Qに接液する部分おけるガラス基板Wとの接触面以外は樹脂等で被覆されている。カソード接点92のガラス基板Wとの接触面は、平坦な銅金属の面に金めっきを施して構成されて、ガラス基板Wと接触した時に接触面の全面が当たるようになっている。このとき、カソード接点92とガラス基板Wの接触圧力を一定の範囲に保たなければならないが、ガラス基板Wの厚さばらつきがあるため、ばねでカソード接点92に荷重を掛けることが考えられる。しかし、ばねを樹脂で被覆して、ガラス基板Wとともにめっき槽40内のめっき液Q中に浸漬させると、繰り返しの使用により被覆が剥がれ、そこからめっきが進行して、ばねの表面にめっきが析出するおそれがある。
【0058】
そこでこの例では、ガラス基板Wを水平に設置し、カソード接点92をガラス基板Wに上から当てることで、カソード接点92自体の自重でこの荷重(接触圧力)を得るようにしている。荷重が不足する場合には、カソード接点92に錘を付ければ良い。なお、めっき槽40内のめっき液Qに接触しな位置にばねを配置し、このばねを介してカソード接点92の荷重(接触圧力)をコントロールするようにしてもよく、この場合、ばねの表面にめっきが析出することを防止することができる。
【0059】
更に、この例では、めっき槽40内のめっき液Qに接触しない位置にエアシリンダ306を配置し、このエアシリンダ306でカソード接点92の接触圧力をコントロールするようにしている。なお、このエアシリンダ306を省略してもよいことは勿論である。
【0060】
この例では、カソード接点92と、ガラス基板W及びアノード94が対面するめっき液間に第1の遮蔽板300を入れている。これにより、電場が必要な範囲を超えて広がることを抑えられる。一般的には、カソード接点の接触面周りにめっきが厚くつく傾向があるが、このように、第1の遮蔽板300を用いることにより、カソード接点92の周りにめっきが厚く付くことが抑えられ、必要とされる被めっき面に成膜されるめっき膜の面内均一性が高く保てるという利点がある。この第1の遮蔽板300はアノード94の設置位置より高い位置、即ち、液面より上までカソード接点92を覆っている。
【0061】
この実施例においては、カソード接点92は棒状であり、ガラス基板Wの向かい合う2辺にそって平行に設置される。第1の遮蔽板300は、カソード接点92に平行に、カソード接点92とアノード94の間を遮るように設置される。第1の遮蔽板300とガラス基板Wとの間には、カソード接点92の接触面周りにめっきが厚くつくことを抑えるため、Oリング(図示せず)が設けられている。更に、カソード接点92より外側とカソード接点92を設けない基板の向かい合う2辺を取り囲むように、第2の遮蔽板308が設置されている。この第2の遮蔽板308は、カソード接点92をサポートする役目も果たしている。第2の遮蔽板308の下端にも、Oリング(図示せず)が設けられている。第2の遮蔽板308のカソード接点92を設けないガラス基板Wの向かい合う2辺には、図7に示すように、めっき液をガラス基板Wとアノード94の間の空間に導入する、側面開口部310が設けられている。さらに、めっき時において、めっき液に、側面開口部から入り、対向する側面開口部から出る流れが生じるようにしても良い。保持ベース42の四隅にはフレーム70が設けられ、保持ベース42はフレーム70により吊り下げられる。
【0062】
次に、このめっきユニット26aによるめっき処理について説明する。
先ず、前述のようにして、保持ベース42上の所定位置にガラス基板Wを吸着保持する。次に、昇降用エアシリンダ84を作動させて、プロセスユニット80を下降させ、カソード接点92を保持ベース42で保持したガラス基板Wの周縁部に接触させる。次に、チルト用エアシリンダ76を作動させて、図6に示すように、保持フレーム70をプロセスユニット80と共に、例えば角度θだけ傾動させ、これによって、保持ベース42を水平面に対して角度θだけチルトさせる。
【0063】
この状態で、昇降用モータ90を駆動して、昇降フレーム72を保持フレーム70及びプロセスユニット80と一体に下降させ、プロセスユニット80のアノード94をめっき槽40内のめっき液(電解めっき液)Q中に浸漬させる。そして、チルト用エアシリンダ76を逆作動させて、保持ベース42を水平に戻し、カソード接点92とアノード94との間にめっき電圧を印加して、ガラス基板Wの表面をカソードとした電解めっきを所定時間行う。
【0064】
この時に下降速度は、例えば10mm/sec程度であり、下降速度を遅くすることで、めっき液の飛び跳ね等を防止することができる。また、下降時に保持ベース42を水平面に対してチルトさせることで、下降時の液抵抗を少なくすることができる。
【0065】
所定時間のめっきを行った後、カソード接点92及びアノード94を電源から切離し、前述と同様にして、保持ベース42を水平面に対してチルトさせた後、昇降用モータ90を逆駆動して、昇降フレーム72を保持フレーム70及びプロセスユニット80と一体に上昇させて、保持ベース42をガラス基板Wと共にめっき槽40内のめっき液から引き上げる。そして、昇降用エアシリンダ84を逆作動させ、プロセスユニット80を上昇させて、保持ベース42を開放させる。
【0066】
このめっきユニット26aは、めっき液として無電解めっき液を使用することで、無電解めっきユニットとしても使用できる。このように無電解めっきユニットとして使用する場合、プロセスユニット及び該プロセスユニットに付帯する昇降機構等は不要となる。無電解めっきユニットとして使用する場合には、前述のようにして、保持ベース42上の所定位置にガラス基板Wを吸着保持し、必要に応じて、保持ベース42を水平面に対してチルトさせた状態で、保持ベース42をガラス基板Wと共に下降させて、めっき槽40内のめっき液(無電解めっき液)中に浸漬させることで、ガラス基板Wの表面に無電解めっきを行うことができる。
【0067】
図9は、前処理ユニット24aの系統図を示す。前処理ユニット24bも、使用する前処理液(薬液)が異なるだけで前処理ユニット26aとほぼ同様な構成である。
【0068】
前処理ユニット24aは、めっき装置26aとほぼ同様な構成の保持ベース100と、この保持ベース100の上方に上下動自在に配置されたシャワーノズル102を有している。そして、ガラス基板Wは、前述のめっき装置26aとほぼ同様な動作で保持ベース100上の所定位置に保持された後、ガラス基板Wの表面に向けてシャワーノズル102から薬液(前処理液)を噴射することで、ガラス基板Wの表面の薬液による処理(前処理)を行うように構成されている。
【0069】
ここで、前処理ユニット24a内の液体の流れについて説明する。ガラス基板Wの前処理に用いられた薬液は、保持ベース100の周りに設けられた樋104で受けられて薬液供給タンク106に溜められる。薬液供給タンク106に溜められた薬液は、ポンプ108で送液され、フィルタ110、流量計112を通って、再びシャワーノズル102から保持ベース100で保持されたガラス基板Wの表面に供給される。樋104と薬液供給タンク106との間には、2つの切換バルブ114a,114bが設けられている。薬液を流している時には、薬液供給タンク11に繋がる切換バルブ114aを開き、薬液を薬液供給タンク106に戻して、ガラス基板に再び供給する。前処理が終了した後、純水ライン116の切換バルブ118を開き、流量計112を経て、保持ベース100で保持されたガラス基板Wの表面に純水を供給してガラス基板Wの表面を純水で洗浄する。この洗浄に使用された純水は、排水ラインに繋がる切換バルブ114bを開くことで、排水ラインに排水される。
【0070】
次に、ガラス基板Wを保持ベース100上に吸着保持する真空ライン120について説明する。真空を作るイジェクタ122は、閉止バルブ124、圧力センサ126、気水分離槽128を経て保持ベース100に接続される。ガラス基板Wを処理している間は真空吸着を切ることもできるるが、操作の途中で真空ライン120に液が入ってくることがあるため、気水分離槽128で薬液を捕集する必要がある。また、この真空ライン120には、圧縮空気供給ライン130も接続されており、切換バルブ132を開くことにより、真空を破壊したり、ガラス基板の離脱時にガラス基板の背面から空気を流してガラス基板を浮上させたりすることができる。
【0071】
図10は、本発明の他の実施の形態のめっき装置の全体構成を示す配置図である。このめっき装置は、電解めっきユニットと無電解ユニットを組合せて、ガラス基板の表面に電解めっきと無電解めっきの2段のめっき、または一方のめっきを選択的に行うようにしたものであり、互いに対向する位置に、ロードユニット200とアンロードユニット202を有している。
【0072】
ロードユニット200は、第1基板搬送ユニット204a、第2基板搬送ユニット204b、第3基板搬送ユニット204c、第2電解めっき前処理ユニット206b及び第4基板搬送ユニット204dを直列に連結した第1基板搬送処理ライン108aの第1基板搬送ユニット204aに直列に接続されている。アンロードユニット202は、第5基板搬送ユニット204e、第1インライン洗浄ユニット210a、第6基板搬送ユニット204f、第7基板搬送ユニット204g、第2インライン洗浄ユニット210b及びインライン乾燥ユニット212を直列に連結した第2基板搬送処理ライン208bの該インライン乾燥ユニット212に直列に接続されている。
【0073】
第1基板基板搬送ライン208aと第2基板搬送処理ライン208bとの間に位置して、無電解めっき前処理ユニット214、無電解めっきユニット216、第1電解めっき前処理ユニット206及び電解めっきユニット218が配置されている。
【0074】
このめっき装置において、無電解めっきを行うときには、第1基板搬送ユニット204a、無電解めっき前処理ユニット214、第2基板搬送ユニット204b、無電解めっきユニット216、第7基板搬送ユニット204g、第2インライン洗浄ユニット210b及びインライン乾燥ユニット212を使用する。
【0075】
電解めっきを行うときには、第1基板搬送ユニット204a、第2基板搬送ユニット204b、第3基板搬送ユニット204c、第1電解めっき前処理ユニット206a、第2電解めっき前処理ユニット206b、第4基板搬送ユニット204d、第5基板搬送ユニット204e、第1インライン洗浄ユニット210a、第6基板搬送ユニット204f、第7基板搬送ユニット204g、第2インライン洗浄ユニット210b及びインライン乾燥ユニット212を使用する。
【0076】
そして、無電解めっき及び電解めっきの2段のめっきを行うときには、全てのユニットを使用するのであり、これにより、種々のめっきに柔軟に対応することができる。
【0077】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施の形態のめっき装置の全体構成を示す配置図である。
【図2】隣接した位置に配置される基板搬送ユニット、めっきユニット及び基板搬送ユニットを示す平面図でである。図2の縦断正面図(図1のA−A線断面図)である。
【図3】図2の縦断正面図(図1のA−A線断面図)である。
【図4】めっきユニットの保持ベースを示す平面図である。
【図5】めっきユニットの保持ベースを示す断面図である、
【図6】めっきユニットの保持ベースを平面に対してチルトさせた状態を示す概要図である。
【図7】めっきユニットのプロセスユニットをガラス基板を保持した保持ベースと共に示す断面図である。
【図8】めっきユニットのプロセスユニットをガラス基板を保持した保持ベースと共に示す平面図である。
【図9】前処理ユニットの系統図である。
【図10】本発明の他の実施の形態のめっき装置の全体構成を示す配置図である。
【符号の説明】
【0079】
10 ロードユニット
12 アンロードユニット
14a〜14j 基板搬送ユニット
16a,16b インライン洗浄ユニット
18a,18b 基板搬送処理ライン
20 インライン乾燥ユニット
22 基板搬送機構
24a,24b 前処理ユニット
26a〜26d めっきユニット
28a,28b 基板受渡し機構
30 第1搬送ローラ
34 ストッパ
36 第2搬送ローラ
38 搬送ローラ
40 めっき槽
42,100 保持ベース
42a 真空吸着溝
42b 液体供給溝(流体供給溝)
44 入口搬送ローラ
46 出口搬送ローラ
50 コンベアユニット
52 エアリンダ
54 移動プレート
56 回転ローラ
58 ストッパ
60 検知センサ
62,120 真空ライン
64 液体供給ライン(流体供給ライン)
70 保持フレーム
72 昇降フレーム
74 ヒンジ
76 チルト用エアシリンダ
80 プロセスユニット
84 昇降用エアシリンダ
86 カウンターウェート
88チェーン
90 昇降用モータ
92 カソード接点
94 アノード
96 アノードマスク
98 中間マスク
102 シャワーノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被めっき面を上向きにして基板を水平な状態で搬送する基板搬送ユニットと、該基板搬送ユニットに隣接して配置されためっきユニットを有し、
前記めっきユニットは、
めっき液を保持するめっき槽と、
前記めっき槽の上方に配置され、被めっき面を上向きにして基板を水平に保持し該基板と共にめっき槽内のめっき液中に浸漬される上下動自在な保持ベースと、
前記基板搬送ユニットから基板を受取って前記保持ベース上の所定の位置に移送する基板移送機構と、
前記基板移送時に前記保持ベースの表面に流体を供給して流体膜を形成する流体膜形成部を有することを特徴とするめっき装置。
【請求項2】
前記めっきユニットは、めっき液に電解めっき液を使用した電解めっきユニットで、前記保持ベースの上方には、前記保持ベースに対して相対的に下降して基板の被めっき面に接触するカソード接点と基板の上方に該基板と平行に配置されるアノードとを内部に備え、前記保持ベースと一体に上下動するプロセスユニットが配置されていることを特徴とする請求項1記載のめっき装置。
【請求項3】
前記プロセスユニットの前記カソード接点は、該カソード接点の自重が接触圧力となることを特徴とする請求項2記載のめっき装置。
【請求項4】
前記プロセスユニットには、めっき液に接液しないめっき槽上部に位置して、前記カソード接点の接触圧力を一定に保つばねが備えられていることを特徴とする請求項2記載のめっき装置。
【請求項5】
前記プロセスユニットの前記カソード接点は、接触圧力を変えることが可能であることを特徴とする請求項2記載のめっき装置。
【請求項6】
前記プロセスユニットには、前記カソード接点と前記アノードとの間に位置して、前記アノードまたは被めっき面と垂直に遮蔽板が設けられていることを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載のめっき装置。
【請求項7】
前記めっきユニットは、めっき液に無電解めっき液を使用した無電解めっきユニットであることを特徴とする請求項1記載のめっき装置。
【請求項8】
前記保持ベースは、水平面に対してチルト自在であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のめっき装置。
【請求項9】
前記基板移送機構は、互いに近接する方向に移動自在な一対のコンベアユニットを備え、各コンベアユニットには、互いに近接した時に基板の端面に接触しながら回転する複数のローラが備えられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のめっき装置。
【請求項10】
前記基板搬送ユニットと前記めっきユニットとの間には、前記基板搬送ユニットと前記めっきユニットとの間で基板の受渡しを行う基板受渡し機構が配置されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のめっき装置。
【請求項11】
前記流体膜形成部は、前記保持ベースの表面に形成した流体供給溝と該流体供給溝に連通する流体供給ラインからなることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のめっき装置。
【請求項12】
前記保持ベースは、真空吸着によって基板を保持することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のめっき装置。
【請求項13】
前記保持ベースは、可撓性を有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のめっき装置。
【請求項14】
保持ベース上に水平に保持した基板の被めっき面にめっき前処理を行う前処理ユニットと、
保持ベース上に水平に保持しためっき前処理後の基板の被めっき面にめっきを行うめっきユニットと、
水平に維持した状態で基板を搬送し前記前処理ユニット及び前記めっきユニットの一方の保持ベース基板を移送する基板搬送ユニットを有し、
基板と保持ベースとの間に流体膜を形成した状態で、前記基板搬送ユニットから前記前処理ユニット及び前記めっきユニットの少なくとも一方に基板を移送することを特徴とするめっき装置。
【請求項15】
基板を水平に維持し保持ベースの上面に流体膜を形成した状態で基板を該保持ベース上面の所定位置に移送し、
前記保持ベースを下降させて該保持ベースを基板と共に電解めっき液中に浸漬させ、同時にカソード接点及びアノードを下降させてカソード接点を基板の被めっき面に接触させ、アノードを電解めっき液に浸漬させ、
前記カソードと前記アノードとの間に電圧を印加して基板の被めっき面に電解めっきを行うことを特徴とするめっき方法。
【請求項16】
基板を水平に維持し保持ベースの上面に流体膜を形成した状態で基板を該保持ベース上面の所定位置に移送し、
前記保持ベースを下降させ該保持ベースを基板と共に無電解めっき液中に浸漬させて基板の被めっき面に無電解めっきを行うことを特徴とするめっき方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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