説明

もたれ用手摺

【課題】手摺の取付状態の美観の向上を図ると共に、取付作業を容易に行えるようにしたもたれ用手摺を提供する。
【解決手段】手摺杆本体と、手摺杆本体に被着される手摺外装材とで形成され、把持面12ともたれ面11を有する手摺杆1と、幕板9に取り付けられる取付部5と、取付部からキャビネットCの前上方側に延在する支持部3と、支持部の先端側に設けられ、手摺杆の両端部をそれぞれ固定する固定部4を有するブラケット2の取付部に、ねじ孔を有する取付座7を設け、取付座を幕板に当接すると共に、幕板の裏面側から取付ねじ78を取付座に螺合して、幕板とブラケットを固定する。ブラケットの固定部を手摺杆本体の中空部内に嵌挿可能な突片にて形成し、固定部に手摺杆の端部外周面を呑み込むフランジ部を形成し、かつ、手摺杆の裏面側から挿通される固定ねじ47を突片に螺合して手摺杆とブラケットを固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、もたれ用手摺に関するものであって、更に詳細には、例えばキッチン又は洗面台等のカウンタに取り付けられている把持又はもたれかかることが可能なもたれ用手摺に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、キッチン又は洗面台等のキャビネットのカウンタ(取付基体)に手摺を取り付ける場合には、手摺杆とカウンタの取付面例えば幕板との間に隙間を設け、ねじ等の固定手段によって取り付けている。
【0003】
従来、この種の手摺の取付構造としては、例えば特許文献1や特許文献2に開示されているものが知られている。
【0004】
特許文献1に開示されている手摺の取付構造は、キャビネットの幕板に切欠きを形成し、幕板の裏面側に支持アームの固定片を固着させ、支持アームの支柱を幕板の切欠きに嵌め込むと共に、キャビネットの手前上方に支持アームを立設させ、支持アームの上端の支持片に手摺バーを水平に取り付ける構造である。
【0005】
このように構成される手摺の取付構造によれば、幕板の裏面側に支持アームの固定片を固着させ、幕板に形成された切欠きから支持アームの支柱を外方に突出するので、幕板への支持アームの固定片が外部に露出されず美観の向上を図ることができる。
【0006】
また、特許文献2に開示されている手摺の取付構造は、前面が開口する保持ケースをキャビネットの幕板に固着させ、この保持ケースに手摺バーに固着させた挿入具を挿入保持し、この挿入具と保持ケースとを保持ケースの下方からねじ止めして固定することにより、手摺をカウンタに取り付ける構造である。
【0007】
このように構成される手摺の取付構造によれば、幕板と手摺との間に保持ケースを介在することによって、幕板と手摺の間に間隔を設け、保持ケースと挿入具の取付けを保持ケースの下方からねじ止めすることができるので、手摺の取付作業を容易にすることができる。
【特許文献1】特開平8−375号公報
【特許文献2】特開平8−380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前者すなわち特開平8−375号公報に記載の手摺の取付構造においては、幕板に切欠きを形成し、幕板の裏面側に支持アームの固定片を固着させる構造であるため、幕板への切欠きを形成するための加工が必要であり、手摺の取付作業に手間がかかるという問題があった。
【0009】
また、後者すなわち特開平8−380号公報に記載の手摺の取付構造においては、幕板に取り付けられた保持ケース内に挿入具を挿入して、下方からねじ止めする構造であるため、保持ケースと挿入具の寸法誤差により、保持ケースと挿入具との当接面に隙間が生じるおそれがあり、また、保持ケースの下方からねじ止めを行うことによってねじ部材が外部に露出した状態になるので、美観が損なわれるという問題があった。
【0010】
この発明は、上記事情に鑑みなされたもので、手摺の取付作業を容易に行うと共に、取付状態の美観の向上を図るようにしたもたれ用手摺を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、上端に把持面を有し、外側にもたれ面を有する手摺材と、取付基体に取り付けられる取付部と、この取付部から取付基体の前上方側に延在する支持部と、この支持部の先端側に設けられ、手摺杆の両端部をそれぞれ固定する固定部とを有するブラケットを具備し、 上記ブラケットの取付部に、ねじ孔を有する取付座を設け、取付座を上記取付基体の表面に当接した状態で、取付基体の裏面側から挿通される取付ねじをねじ孔に螺合させて固定可能に形成し、 上記手摺杆を、アルミニウム製押出形材にて形成される手摺杆本体と、この手摺杆本体の外表面に被着される合成樹脂製の手摺外装材とで形成し、 上記ブラケットを合成樹脂製材にて形成し、このブラケットの固定部を、上記手摺杆本体の中空部内に嵌挿可能な突片にて形成すると共に、ブラケットの固定部に、手摺杆の端部外周面を呑み込むフランジ部を形成し、かつ、手摺杆の裏面側から挿通される固定ねじを突片に螺合して固定可能に形成してなることを特徴とする。
【0012】
このように構成することにより、取付基体に、ブラケットを取付基体の裏面側から取付固定するので、ブラケットの外方部に取付ねじの取付部等を形成する必要がなく、ブラケットの外方部に取付部等を塞ぐキャップ等を被着する必要がないので、構成部材の削減が図れると共に、ブラケットの形状を自由に形成例えばデザインすることができ、美観の向上を図ることができる。
【0013】
また、手摺杆本体とブラケットとの外装を合成樹脂によって形成することができるので、手摺杆本体とブラケットとに一体感を表すことができる。また、ブラケットの固定部を、手摺杆本体の中空部内に嵌挿し、手摺杆の裏面側から挿通される固定ねじによって取り付けることにより、手摺杆本体とブラケットとの連結部の強度を増すことができると共に、手摺杆本体とブラケットとの固定を確実にすることができる。また、固定ねじの取付部を上面及び前面側から目隠しすることができるので、美観の向上が図れる。
【0014】
また、手摺杆を切断することによって切断端部が均一な面を形成しない場合や、切断によって生じたバリを、ブラケットの固定部に形成されたフランジ部によって覆い被すことができるので、手摺杆の端部仕上げ処理を行う必要がなく、施工作業が容易になると共に、手摺杆とブラケットとの連結部の美観を向上させることができる。
【0015】
請求項2記載の発明は、上端に把持面を有し、外側にもたれ面を有する手摺杆と、取付基体に取り付けられる取付体と、この取付体に取り付けられる取付部と、この取付部から取付基体の前上方側に延在する支持部と、この支持部の先端側に設けられ、手摺杆の両端部をそれぞれ固定する固定部とを有するブラケットを具備し、 上記ブラケットの取付部に、ねじ孔を有する取付座を設け、 上記取付体の裏面に、上記取付基体の取付部に突設された係止受部に係合する係止金具を装着し、 上記ブラケットの取付座を上記取付体の表面に当接した状態で、取付体の裏面側から挿通される取付ねじをねじ孔に螺合させて固定し、 上記取付体の係止金具を上記取付基体の係止受部に係止させた状態で、取付基体の裏面から挿通される取付ねじを取付体に螺着させて固定可能に形成し、 上記手摺杆を、アルミニウム製押出形材にて形成される手摺杆本体と、この手摺杆本体の外表面に被着される合成樹脂製の手摺外装材とで形成し、 上記ブラケットを合成樹脂製材にて形成し、このブラケットの固定部を、上記手摺杆本体の中空部内に嵌挿可能な突片にて形成すると共に、ブラケットの固定部に、手摺杆の端部外周面を呑み込むフランジ部を形成し、かつ、手摺杆の裏面側から挿通される固定ねじを突片に螺合して固定可能に形成してなることを特徴とする。
【0016】
このように構成することにより、取付体に、ブラケットを取付体の裏面から取付固定するので、ブラケットの外方部に取付ねじの取付部等を形成する必要がなく、ブラケットの外方部に取付部等を塞ぐキャップ等を被着する必要がないので、構成部材の削減が図れると共に、ブラケットの形状を自由に形成例えばデザインすることができ、美観の向上を図ることができる。また、取付体の裏面に装着された係止金具を、取付基体に設けられた係止受部に係止させた状態で、取付基体の裏面側から挿通される取付ねじを取付体に螺着させて固定することにより、手摺の取付を容易にすることができると共に、手摺を確実かつ強固に固定することができる。
【0017】
また、手摺杆本体とブラケットとの外装を合成樹脂によって形成することができるので、手摺杆本体とブラケットとに一体感を表すことができる。また、ブラケットの固定部を、手摺杆本体の中空部内に嵌挿し、手摺杆の裏面側から挿通される固定ねじによって取り付けることにより、手摺杆本体とブラケットとの連結部の強度を増すことができると共に、手摺杆本体とブラケットとの固定を確実にすることができる。また、固定ねじの取付部を上面及び前面側から目隠しすることができるので、美観の向上が図れる。
【0018】
また、手摺杆を切断することによって切断端部が均一な面を形成しない場合や、切断によって生じたバリを、ブラケットの固定部に形成されたフランジ部によって覆い被すことができるので、手摺杆の端部仕上げ処理を行う必要がなく、施工作業が容易になると共に、手摺杆とブラケットとの連結部の美観を向上させることができる。
【0019】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のもたれ用手摺において、 上記ブラケットの取付部に、一端が開口する取付座の収納部を設けると共に、収納部における対向する側部に取付座を摺動可能に案内する嵌合溝を形成してなることを特徴とする。
【0020】
このように構成することにより、ブラケットの収納部に形成された嵌合溝に取付座が嵌合されるので、ブラケットと取付座との取り付けを確実にすることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上に説明したように、この発明のもたれ用手摺は、上記のように構成されているので、以下のような優れた効果が得られる。
【0022】
(1)請求項1記載の発明によれば、取付基体に、ブラケットを取付基体の裏面側から取付固定するので、ブラケットの外方部に取付ねじの取付部等を形成する必要がなく、ブラケットの外方部に取付部等を塞ぐキャップ等を被着する必要がないので、構成部材の削減が図れると共に、ブラケットの形状を自由に形成例えばデザインすることができ、美観の向上を図ることができる。
【0023】
(2)請求項2記載の発明によれば、取付体に、ブラケットを取付体の裏面側から取付固定するので、ブラケットの外方部に取付ねじの取付部等を形成する必要がなく、ブラケットの外方部に取付部等を塞ぐキャップ等を被着する必要がないので、構成部材の削減が図れると共に、ブラケットの形状を自由に形成例えばデザインすることができ、美観の向上を図ることができる。また、取付体の裏面に装着された係止金具を、取付基体に設けられた係止受部に係止させた状態で、取付基体の裏面側から挿通される取付ねじを取付体に螺着させて固定することにより、手摺の取付を容易にすることができると共に、手摺を確実かつ強固に固定することができる。
【0024】
(3)請求項1,2記載の発明によれば、手摺杆本体とブラケットとの外装を合成樹脂によって形成することができるので、手摺杆本体とブラケットとに一体感を表すことができる。また、ブラケットの固定部を、手摺杆本体の中空部内に嵌挿し、手摺杆の裏面側から挿通される固定ねじによって取り付けることにより、手摺杆本体とブラケットとの連結部の強度を増すことができると共に、手摺杆本体とブラケットとの固定を確実にすることができる。また、固定ねじの取付部を上面及び前面側から目隠しすることができるので、美観の向上が図れる。
【0025】
また、ブラケットの固定部に、手摺杆の端部外周面を呑み込むフランジ部を形成することにより、手摺杆を切断することによって切断端部が均一な面を形成しない場合や、切断によって生じたバリを、ブラケットの固定部に形成されたフランジ部によって覆い被すことができるので、手摺杆の端部仕上げ処理を行う必要がなく、施工作業が容易になると共に、手摺杆とブラケットとの連結部の美観を向上させることができる。
【0026】
(4)請求項3記載の発明によれば、ブラケットの取付部に、一端が開口する取付座の収納部を設け、収納部における対向する側部に取付座を摺動可能に案内する嵌合溝を形成することにより、ブラケットの収納部に形成された嵌合溝に取付座が嵌合されるので、ブラケットと取付座との取り付けを確実にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、この発明のもたれ用手摺について、添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0028】
図1は、この発明のもたれ用手摺の取付状態を示す斜視図、図2は、もたれ用手摺の組立て状態の外面を示す斜視図(a)及び、(a)の裏面を示す斜視図(b)、図3は、図1のI−I線に沿う断面図、図4は、図1のII−II線に沿う断面図、図5は、図2のIII−III線に沿う断面図、図6は、図2のIV−IV線に沿う断面図、図7は、もたれ用手摺の組付け状態を示す分解斜視図、図8は、もたれ用手摺の取付状態を示す斜視図、図9は、もたれ用手摺の平面図(a)、正面図(b)、底面図(c)、裏面図(d)及びブラケットの横側面図(e)、図10は、もたれ用手摺を形成するブラケットの裏面部を示す分解斜視図である。
【0029】
上記もたれ用手摺Hは、図1及び図2に示すように、上端に把持面12を有し、外側にもたれ面11を有する手摺杆1と、この手摺杆1の両端部をそれぞれ固定すると共に、取付基体であるキャビネットCのカウンタ8の下方に配設される幕板9に、後述する取付座7と取付ねじ78を介して取り付けられるブラケット2とで主に構成されている。
【0030】
上記手摺杆1は、図1、図2、図7及び図8に示すように、キャビネットCのカウンタ8の前面部に対して平行に延在する垂直状の内側壁13と、この内側壁13の下端から外方に向かってL字状に折曲される底面14と、上記内側壁13の上端から上外方に折曲され略円弧状に形成される把持面12と、この把持面12の外側から下方に向かって漸次外方側に緩やかに隆起する曲線状のもたれ面11とで中空状に形成されている。また、手摺杆1の内側壁13の切断端部16には、後述するブラケット2の固定部4に突設される突片41に形成される2つのねじ受部46に連通するように、ねじ取付孔15が穿設されている。
【0031】
この場合、手摺杆1はアルミニウム製押出形材にて形成される手摺杆本体17と、この手摺杆本体17の外表面に被着される合成樹脂製の手摺外装材18とで形成されている。また、上記手摺外装材18は、二層に形成されており、内側の合成樹脂の外側に例えば木粉入りの合成樹脂層が被着して形成されている(図5、図6参照)。
【0032】
上記ブラケット2は、合成樹脂製部材にて形成されており、図1ないし図7に示すように、キャビネットCのカウンタ8の下方に配設される幕板9に、後述する取付座7を介して例えば取付ねじ78によって取り付けられる取付部5と、この取付部5からキャビネットCの前上方側に曲線状に延在する支持部3と、この支持部3の先端側に手摺杆1に向かって水平方向に突設すると共に、手摺杆1の中空部内に嵌合可能な固定部4とによって形成されている。
【0033】
上記支持部3は、図2及び図9に示すように、手摺杆1の把持面12に連続する上部外表面31と、この上部外表面31から前及び外下方に向かって曲面状に連続し、手摺杆1のもたれ面11に連続する側部外表面32とからなる第1の外表面33と、上部外表面31から側部外表面32と反対側に曲面状に屈曲されて、下方の取付部5に延在する内側部外表面34と、この内側部外表面34の下端から側部外表面32の下端に向かって曲面状に屈曲すると共に、側部外表面32の下方に連続して延在する下部外表面35とからなる第2の外表面36とによってカウンタ8に対して開口する中空状に形成されている。また、第1の外表面33と第2の外表面36とを有す支持部3の中空部内には、図10に示すように、側部外表面32と内側部外表面34との内部を水平に連続する仕切壁37が形成されており、この仕切壁37によって仕切壁37の上方に開口する上部開口部6と、下方に開口する取付部5とに分割されている。
【0034】
なお、この場合、上部開口部6は、図9(e)及び図10に示すように、側面視略L字状に形成されており、上部開口部6内の中央付近には、上部開口部6に向かって突出する円柱体にねじ孔を設けたキャップ用ねじ受部63が形成されている。この上部開口部6には、側面視略L字状のキャップ61が閉塞され、このキャップ61を貫通するキャップ用取付ねじ62をキャップ用ねじ受部63に螺合することによって固定されている。なお、キャップ61は、ブラケット2と同様に、合成樹脂製部材にて形成されている。
【0035】
上記固定部4は、図5、図6及び図7に示すように、支持部3の内側部外表面34の先端側から手摺杆1に向かって突設し、断面形状が手摺杆本体17の中空部内に嵌挿可能な中空状の突片41によって形成される。また、上記突片41の基端部42には、基端部42を囲むように段部43が形成されている。この段部43の全周に渡って溝部44が形成されており、段部43の外周には、手摺杆1とブラケット2を連結する際、固定部4の段部43に当接する手摺杆1の端部外周面19を呑み込む薄肉のフランジ部45が形成されている(図5参照)。
【0036】
このように、突片41の基端部42に溝部44を有する段部43を形成すると共に、段部43の外周にフランジ部45を形成することにより、手摺杆1の端部外周面19を呑み込むことができるので、手摺杆1の切断端部16が均一な面を形成していない場合や、バリ等がある場合に、フランジ部45によって覆うことができ、手摺杆1とブラケット2の連結部の美観の向上を図ることができる。
【0037】
なお、上記フランジ部45は、支持部3の上部外表面31及び側部外表面32とで形成される第1の外表面33の延長上にあり、連続されて形成されている。手摺杆1とブラケット2を連結した状態では、フランジ部45が手摺杆1の端部外周面19を呑み込むため、厳密には手摺杆1の把持面12及びもたれ面11とフランジ部45との間に段が生じるが、フランジ部45の肉厚は薄いため、無視できる許容範囲である。また、上記突片41の中空部内には、突片41と手摺杆1を固定する際に、手摺杆1の裏面から固定ねじ47を取り付けるためのねじ受部46が形成されている。
【0038】
上記取付部5は、図2(b)、図3、図4及び図7に示すように、支持部3の側部外表面32と内側部外表面34と下部外表面35及び仕切壁37の端部によって矩形状に開口して形成されている。この取付部5の一端すなわち下部外表面35の端部には開口段部51が設けられ、仕切壁37及び両側部56,57すなわち側部外表面32及び内側部外表面34の端部によって下向きに開口するコ字状の収納部53が形成されている。
【0039】
上記収納部53の対向する側部56,57の内側には、後述する取付座7を摺動可能に嵌合(案内)する嵌合溝54が設けられており、取付部5内部には、取付座7と当接すると共に、開口段部51と面一になる上面部と、取付座7を取付ねじ77によって取り付けるための略筒状の取付ねじ受部55が、側部外表面32及び内側部外表面34の内面に沿って4個形成されている。また、開口段部51の中央には、取付座7を収納部53に取り付ける際に、取付座7に取り付けられた例えばナット等の雌ねじ部材75が開口段部51と干渉しないように切欠き部52が形成されている。
【0040】
上記取付座7は、図3、図4及び図7に示すように、上記幕板9の取付面9aに当接し得る当接部71と、この当接部71の両側端から裏面側に略直角に折曲される折曲段部72と、折曲段部72の先端から当接部71と平行に折曲されて側方に向かって延在する取付片73とからなる略ハット状に形成されている。
【0041】
この場合、当接部71には、図3、図4及び図7に示すように、上下部位に適宜間隔をおいて2つの取付ねじ用孔74が穿設されると共に、当接部71の裏面には、この取付ねじ用孔74と連通するように例えばナット75が溶接等により固定されている。
【0042】
このように当接部71に、取付ねじ用孔74及びこれに連通するナット75を形成することにより、もたれ用手摺Hを幕板9に取り付ける際、幕板9の裏面側から幕板9に穿設された貫通孔91を貫通する取付ねじ78を当接部71のナット75に螺合して、幕板9に取付座7(ブラケット2)を固定することができる。なお、ナット75に代えて当接部71にバーリング加工した孔を設け、この孔に雌ねじを刻設するようにしてもよい。
【0043】
一方、上記両取付片73には、図3及び図7に示すように、それぞれの上下部位に上記取付部5に形成された取付ねじ受部55に連通すると共に、取付ねじ77を挿通する取付ねじ用孔76が穿設されている。
【0044】
上記のように構成される取付座7は、ブラケット2の収納部53の対向する側部56,57の嵌合溝54に案内されて収納部53内に収納され、取付ねじ用孔76に挿通される取付ねじ77を取付ねじ受部55に螺合することによってブラケット2に一体に設けられている。
【0045】
なお、上記取付座7は、必ずしも上記に説明した略ハット状の形状に限定されるものではなく、例えば、図11に示すように、当接部及び取付片が一体に形成される矩形状の厚板79によって形成してもよい。この場合、取付ねじ用孔76には、例えば座ぐり等の凹部76aを形成して、取付ねじ77の頭部を収容するようにしておく方が好ましい。
【0046】
なお、この場合、取付座7は、例えばステンレス製板又はスチール製板をプレス加工等によって形成されている。
【0047】
上記のように構成されるもたれ用手摺Hを、キャビネットCのカウンタ8の下方に配設された幕板9に取り付けるには、まず、手摺杆1を取付位置に適した長さに切断すると共に、手摺杆1の内側壁13の切断端部16に、ブラケット2の突片41に形成されたねじ受部46に連通するようにねじ取付孔15を穿設する。
【0048】
また、ブラケット2の取付部5に形成された収納部53の開口段部51から、収納部53の両側部56,57に形成された嵌合溝54に取付座7の両取付片73の両端部を嵌合すると共に、上方にスライド(摺動)させて、取付座7を取付部5の取付位置に配置し、取付ねじ用孔76に取付ねじ77を挿通し、取付部5の取付ねじ受部55に螺合することによって取付座7を取付部5に固定する。
【0049】
次に、図7に示すように、手摺杆1の中空部内に固定部4の突片41を嵌挿し、手摺杆1の切断端部16を固定部4の段部43に当接した状態で、固定ねじ47を手摺杆1のねじ取付孔15を貫通し、突片41に形成されるねじ受部46に螺合することによって手摺杆1とブラケット2を連結する。この状態で、手摺杆1の端部外周面19は、ブラケット2の固定部4に形成されたフランジ部45によって呑み込まれた状態になる。
【0050】
次に、上記のように組み付けられたもたれ用手摺Hのブラケット2に設けられた取付座7の当接部71を、幕板9に予め設けられた貫通孔91の部位に当接する。この状態で、幕板9の裏面側から貫通孔91内に取付ねじ78を貫挿し、取付ねじ78を取付座7のナット75に螺合することによって、幕板9にもたれ用手摺Hを取付固定する。
【0051】
したがって、上記のようにもたれ用手摺Hを構成するので、キャビネットCのカウンタ8の前面部にもたれ用手摺Hを取り付ける場合、幕板9の裏面側から取付ねじ78によって取り付けることができるので、ブラケット2の外表面に取付ねじ78の取付部を形成する必要がなく、取付部を塞ぐキャップなどを形成する必要がないので、ブラケット2の形状を立体的に自在に形成することができ、美観の向上が図れる。
【0052】
なお、上記実施形態では、もたれ用手摺HをキャビネットCのカウンタ8の下方に配設された幕板9に直接取り付ける場合について説明したが、必ずしもこのような取付構造に限定されるものではない。例えば、図12ないし図14に示すように、もたれ用手摺Hに、キャビネットCの幕板9に取り付けられる取付体例えば幕板体90を予め取付固定して、もたれ用手摺HをキャビネットCの幕板9に取り付けるようにしてもよい。
【0053】
この場合、上記幕板体90は、図12及び図13に示すように、もたれ用手摺Hの長さよりも若干長い矩形状の板体に形成されており、この幕板体90の裏面には、上、下部にそれぞれ下向きのL字状係止凸条92を有する係止金具93が例えば取付ねじ93A(図13参照)によって装着されている。また、幕板体90には、ブラケット2と幕板体90とを固定する取付ねじ94の取付孔95が穿設されている。また、幕板体90及び係止金具93には、幕板9に穿設された貫通孔96を挿通する取付ねじ78Aのねじ受孔97が設けられている(図12及び図13参照)。
【0054】
なお、この場合、ブラケット2と幕板体90とは、上記実施形態と同様に、ブラケット2の取付部5に設けられる取付座7を介して固定されている。すなわち、上記ブラケット2の取付部5に設けられた取付座7の当接部71に、幕板体90を当接した状態で、幕板体90の裏面から取付孔95を挿通する取付ねじ94を取付座7に形成されたナット75に螺合することによって、ブラケット2と幕板体90は固定されている(図14参照)。
【0055】
このように、幕板体90は、もたれ用手摺Hと一体に形成されるので、取付ねじ94はブラケット2の表面に露出することがない。なお、ブラケット2と幕板体90とを一体に形成した後、取付ねじ93Aをもって係止金具93が幕板体90に固定される。なお、取付ねじ94の頭部を皿状に形成し、取付孔95の開口端に座ぐりを施すことにより、取付ねじ94の頭部が突出することがない。
【0056】
一方、キャビネットCのカウンタ8の下方に配設される幕板9の取付面9aには、係止金具93の係止凸条92と係脱可能な係止受部98が突設されている。この場合、係止受部98は、係止金具93の上、下部の係止凸条92にそれぞれ係脱可能に係合する上下部に平行な上向きのL字状係止凹条99を具備している。この場合、この係止受部98は、図示しない取付ねじによって幕板9の取付面9aに装着されている。
【0057】
なお、上記係止金具93及び係止受部98は、例えばアルミニウム製押出形材あるいは鋼製板材をプレス加工したものなどで形成されている。
【0058】
なお、図12ないし図14に示す実施形態において、その他の部分は、上記第一実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0059】
上記のように構成される幕板体90を、予め、もたれ用手摺Hのブラケット2に取付固定することにより、幕板体90に装着された係止金具93の係止凸条92を、キャビネットCの幕板9に装着された係止受部98の係止凹条99に係止させて仮固定することができる。そして、この状態で、幕板9の裏面から貫通孔96を挿通する取付ねじ78Aを幕板体90のねじ受孔97に螺合させることによって、もたれ用手摺HをキャビネットCのカウンタ8の下方に配設された幕板9に取付固定することができる。
【0060】
したがって、もたれ用手摺Hの取付を容易にすることができると共に、もたれ用手摺Hを確実かつ強固に固定することができる。また、幕板体90とブラケット2を、幕板体90の裏面から挿通される取付ねじ94によって固定することにより、ブラケット2の外方部に取付ねじ94の取付部等を形成する必要がなく、ブラケット2の外方部に取付部に取付部等を塞ぐキャップ等を被着する必要がないので、構成部材の削減が図れると共に、ブラケット2の形状を自由に形成例えばデザインすることができる。
【0061】
なお、上記実施形態では、手摺杆1を、アルミニウム製押出形材にて形成される手摺杆本体17と、手摺杆本体17の外表面に被着される合成樹脂製の手摺杆外装材18とで構成し、ブラケット2を合成樹脂製材にて形成する場合について説明したが、必ずしもこのような構造とする必要はない。例えば、手摺杆1をアルミニウム製押出形材にて形成し、ブラケット2をアルミニウム製鋳物にて形成してもよい。この場合、ブラケット2に取付座7を一体に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】この発明のもたれ用手摺の取付状態を示す斜視図である。
【図2】上記もたれ用手摺の組立て状態の外面を示す斜視図(a)及び(a)の裏面側を示す斜視図(b)である。
【図3】図1のI−I線に沿う断面図である。
【図4】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図5】図2のIII−III線に沿う断面図である。
【図6】図2のIV−IV線に沿う断面図である。
【図7】上記もたれ用手摺の組み付け状態を示す分解斜視図である。
【図8】上記もたれ用手摺の取付状態を示す斜視図である。
【図9】上記もたれ用手摺の平面図(a)、正面図(b)、底面図(c)、裏面図(d)及びブラケットの横側面図(e)である。
【図10】上記もたれ用手摺を形成するブラケットの裏面部を示す分解斜視図である。
【図11】上記もたれ用手摺を形成するブラケットの取付部の変形例を示す分解斜視図である。
【図12】この発明のもたれ用手摺の第二実施形態におけるブラケットと幕板体との取付部の分解断面図である。
【図13】上記幕板体を示す斜視図である。
【図14】第二実施形態のもたれ用手摺の取付前の状態を示す断面図(a)及び取付状態を示す断面図(b)である。
【符号の説明】
【0063】
1 手摺杆
2 ブラケット
3 支持部
4 固定部
5 取付部
7 取付座
8 カウンタ(取付基体)
9 幕板 (取付基体)
11 もたれ面
12 把持面
17 手摺杆本体
18 手摺外装材
19 端部外周面
33 第1の外表面
36 第2の外表面
41 突片
45 フランジ部
47 固定ねじ
53 収納部
54 嵌合溝
55 取付ねじ受部
74 取付ねじ用孔
78,78A 取付ねじ
90 幕板体(取付体)
92 係止凸条
93 係止金具
98 係止受部
99 係止凹条

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端に把持面を有し、外側にもたれ面を有する手摺杆と、取付基体に取り付けられる取付部と、この取付部から取付基体の前上方側に延在する支持部と、この支持部の先端側に設けられ、手摺杆の両端部をそれぞれ固定する固定部とを有するブラケットを具備し、
上記ブラケットの取付部に、ねじ孔を有する取付座を設け、この取付座を上記取付基体の表面に当接した状態で、取付基体の裏面側から挿通される取付ねじをねじ孔に螺合させて固定可能に形成し、
上記手摺杆を、アルミニウム製押出形材にて形成される手摺杆本体と、この手摺杆本体の外表面に被着される合成樹脂製の手摺外装材とで形成し、
上記ブラケットを合成樹脂製材にて形成し、このブラケットの固定部を、上記手摺杆本体の中空部内に嵌挿可能な突片にて形成すると共に、ブラケットの固定部に、手摺杆の端部外周面を呑み込むフランジ部を形成し、かつ、手摺杆の裏面側から挿通される固定ねじを突片に螺合して固定可能に形成してなることを特徴とするもたれ用手摺。
【請求項2】
上端に把持面を有し、外側にもたれ面を有する手摺杆と、取付基体に取り付けられる取付体と、この取付体に取り付けられる取付部と、この取付部から取付基体の前上方側に延在する支持部と、この支持部の先端側に設けられ、手摺杆の両端部をそれぞれ固定する固定部とを有するブラケットを具備し、
上記ブラケットの取付部に、ねじ孔を有する取付座を設け、
上記取付体の裏面に、上記取付基体の取付部に突設された係止受部に係合する係止金具を装着し、
上記ブラケットの取付座を上記取付体の表面に当接した状態で、取付体の裏面側から挿通される取付ねじをねじ孔に螺合させて固定し、
上記取付体の係止金具を上記取付基体の係止受部に係止させた状態で、取付基体の裏面から挿通される取付ねじを取付体に螺着させて固定可能に形成し、
上記手摺杆を、アルミニウム製押出形材にて形成される手摺杆本体と、この手摺杆本体の外表面に被着される合成樹脂製の手摺外装材とで形成し、
上記ブラケットを合成樹脂製材にて形成し、このブラケットの固定部を、上記手摺杆本体の中空部内に嵌挿可能な突片にて形成すると共に、ブラケットの固定部に、手摺杆の端部外周面を呑み込むフランジ部を形成し、かつ、手摺杆の裏面側から挿通される固定ねじを突片に螺合して固定可能に形成してなることを特徴とするもたれ用手摺。
【請求項3】
請求項1又は2記載のもたれ用手摺において、
上記ブラケットの取付部に、一端が開口する取付座の収納部を設けると共に、収納部における対向する側部に取付座を摺動可能に案内する嵌合溝を形成してなることを特徴とするもたれ用手摺。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−260416(P2007−260416A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−126257(P2007−126257)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【分割の表示】特願2002−124350(P2002−124350)の分割
【原出願日】平成14年4月25日(2002.4.25)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【出願人】(000110479)ナカ工業株式会社 (125)