説明

ろう付けを使用する組み付け方法

本発明は、ろう付け工程を使用して、溶加材(3)で分離された状態にある少なくとも二つのプレート(2)を組み付けるための方法に関する。前記方法は、前記溶加材(3)によって分離された前記二つのプレート(2)を炉内に配置するステップ、前記溶加材(3)によって分離された前記二つのプレート(2)を圧縮するステップ、そしてろう付けサイクルに従って前記炉内の温度を制御するステップからなる。溶加材(3)によって分離された二つのプレート(2)は、流体を使用して加圧可能な複数のデバイス(5)によって圧縮される。前記加圧可能なデバイス(5)は、前記炉内に位置して前記二つのプレート(2)の一つの表面上に分布し、加圧可能なデバイス(5)の各々が、前記炉内の温度の関数として遠隔制御される機械的な圧力を加える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ろう付けによって組み付けるための方法に関する。より詳しくは、本発明は、大きなサイズのエレメント、例えば高周波アンテナを形成することを意図したエレメントを、ろう付けによって組み付けるための方法に適用される。
【背景技術】
【0002】
例として、磁気的閉じ込めによって制御される熱核融合の研究においては、トカマク・プラズマ内に直流を発生させる能力が必要である。利用される方法の一つは、3.7GHz未満のハイブリッド周波数でプラズマ内に波を注入することからなり、それによって核融合プラズマを形成するための条件を改善する。これを行うために、二つの高周波アンテナを使用することによって、数百秒または、さらに1000秒の時間に渡って8MWの電力を注入可能にすることが想定される。
【0003】
高周波アンテナは、一連の導波管からなり、各々の導波管は、銅およびステンレス・スチールのプレートからなる交互のスタック(二層または三層)の銅部分に製造される。これらの、スタックを形成するプレートは、爆発によって相互結合されている。
【0004】
爆発によって組み付けるこの方法から生じる二材料プレートは、それから、積み重ねられ、高温ろう付けによって相互に結合される。導波管組み付け中、複数の三層プレートが、二つの二層エンド・プレート内に閉じ込められる。
【0005】
銅合金のろう付けストリップ・インサートが、二つの二材料、二層または三層プレートの間に配置される。このプレートおよびろう付けストリップ・アセンブリは、900℃近くの温度に到達可能な真空炉で挿入される。
【0006】
炉温がろう付けストリップ融解点に到達すると、二材料、二層または三層プレートは相互に溶接される。
【0007】
ろう付けサイクル中、プレートの均一な結合を確保するために、温度上昇中のプレートの変形を防止するよう、ろう付けされる全表面上に均一な圧縮力が加えられなければならない。そのような変形は、ろう付けストリップとプレートとの接触を失わせ、ろう付け不良を起こすと予想されるからである。
【0008】
ろう付け法による従来最も利用される組み付けは、ステイによってプレートの表面上に機械的な圧力を加えることからなる。ろう付けストリップ熔融中にプレートの全てに圧縮力を加えるのに使用されるステイは、概して、モリブデェニアムまたはインコネル(登録商標、Inconel)タイプの耐火材で形成されている。これらの材料は、高温での、この種類のアプリケーションに対する興味深い特性(良好な機械的な特徴、耐クリープ性)を持つ。加えて、モリブデェニアムは、高周波アンテナの形成に使用されるステンレス・スチールおよび銅に比べ、比較的に低い熱膨脹率を持つ。この実施例では、ホット・プレートの締め付けを確保するために、膨脹係数の違いを利用してもよい。しかし、ステイを利用するこの解決策には、特定な欠点がある。
【0009】
実際、ろう付けされるアセンブリの塊を考慮すると、ろう付けサイクルは、数日あるいは1週間も継続する可能性がある。このような結合は、ろう付けされるアセンブリの質量および幾何に関連する。それは、熱ろう付けサイクル中にピース内に生成される温度勾配を制限するように計算される。
【0010】
炉の温度上昇は、二材料二層または三層プレートとステイとのアセンブリに熱膨張および変形を生じさせる。多少の精度で、使用される異なる物質の膨脹係数が分かっていたとしても、特に熱い間、ある程度のズレは観察される。したがって、二材料二層または三層プレート・アセンブリに加えられる機械的な圧力が、ろう付けサイクル中に現れる可能性のあるすべての変形に対抗するように存在する、あるいは対抗するのに十分である、と保証することはできない。ろう付け自体は減圧(0.05バール)のみを必要とするが、この圧力は必要である。とりわけ、この圧力を局所的に下げるであろうプレート変形を防止する目的で、締め付け(約20バールの機械的な圧力)は重要である。このような変形は、内部応力の解放および製造許容差、そしてバイメタル(銅・ステンレス・スチール)効果による湾曲に関係する。ろう付けサイクル中に生じるこれらの変形が制御されなければ、ろう付け不良が発生し、二つの隣接したプレート間には、均一でない結合が生じることになる。この種類の欠陥は、高周波がプレートを横切るときに局所的な損失を発生させる。これらの損失は、ホット・スポットおよび電気アーク・ストライクを生じやすいため、結局、プレートの劣化に至ることになる。
【0011】
加えて、ろう付けストリップ・インサートが状態変化を生じるとき、換言すれば、炉温がろう付けストリップの融解点(例えば780℃)に接近するとき、プレートおよびろう付けストリップ・アセンブリの厚さが減少する。この減少は、プレートに加えられている機械的な圧力の減少を生じるので、結果としてろう付け不良に至る。
【0012】
第二の適用可能な方法は、金属バネによって機械的な圧力を加えることからなる。高温では、この種類の実施例は、バネ特性の減少および密着性の喪失に至る。
【0013】
第三の適用可能な方法は、可能な場合、ろう付けされるプレートのアセンブリを覆って配置した慣性質量によって機械的な圧力を加えることからなる。私達の適用例では、このような実施例は、炉内へ大きな慣性質量を導入できるよう、大きなサイズの炉の使用が必要となる。このため、このような方法は、小さなサイズのエレメントをろう付けする場合にのみ適用可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
この文脈において、本発明の目的は、前述の方法によって得られるものよりも高い品質のろう付けが確実に生成できる、ろう付けによって組み付けるための方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的で、本発明は、以下のステップからなる、二つのプレート間に入れた溶加材によって分離された少なくとも二つのプレートをろう付けによって組み付けるための方法に関する。
− 溶加材によって分離された二つのプレートを炉内に配置するステップ。
− 前記溶加材によって分離された前記二つのプレートを圧縮するステップ。
− ろう付けサイクルに従って炉の温度を制御するステップ。
【0016】
この方法の特徴は、溶加材によって分離された二つのプレートが、流体によって加圧可能なデバイスによって圧縮されること、加圧可能なデバイスが、炉内に位置し、二つのプレートの一つの表面の少なくとも一部に機械的な圧力を加えること、そして機械的な圧力が、炉の温度の関数として遠隔で調節されることである。
【0017】
遠隔調節は、炉の外に位置する制御システムによって機械的な圧力を調節する行為に言
及する、と理解すべきである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の結果、調節可能な機械的な圧力、すなわち遠隔制御可能な機械的な圧力が、ろう付けすべきプレートのアセンブリの少なくとも一部に、流体によって加圧可能なデバイスを介して加えられる。機械的な圧力は、加圧可能なデバイスの変形からの影響下で得られる。流体によって加圧可能であるこのデバイスは、優先的に、気体によって加圧可能なベローズである。このような実施例は、以下による機械的な圧力の増加または減少を軽減する。
− ろう付けすべきプレートと、あり得る圧縮手段(ステイ、バネ等)との間で、ろう付けサイクル中に現れる有意な膨張差。
− 炉温が溶加材の融解点に近づくときの溶加材の状態変化によって発生するかもしれない、プレートおよび溶加材の陥没。
【0019】
加えて、この機械的な圧力は、炉温の関数として調節される。特に、ろう付けすべきプレートに加えられる機械的な圧力は、高温でさえも、ろう付けサイクル全体を通して制御および調節されてもよい。
【0020】
前段落で述べたばかりの主要な特徴に加えて、本発明による、ろう付けによる組み付け方法は、個々に、または、すべての技術的に可能な組み合わせにおいて、下記の追加の特徴の一つ以上を持つ。
− 加圧可能なデバイスがベローズである。
− 前記流体が気体である。
− 加圧可能なデバイスによって二つのプレートの一つの表面に加えられる機械的な圧力が、加圧可能なデバイス内に存在する初期の気体量で得られ、そして、作用する機械的な圧力が、炉内の温度と共に上昇し、加圧可能なデバイス内の初期の量に対して、気体を導入あるいは離脱させることによって調節される。
− ろう付けサイクルは、以下のことからなる。
・ ろう付け温度への温度上昇。温度上昇は、温度上昇中、炉内に一定の初期気体量を含む加圧可能なデバイスによって加えられる機械的な圧力を上昇させる。そして、それから、
・ 温度降下。加圧可能なデバイスによって加えられる機械的な圧力は、冷却中に追加の気体を導入することによって実質的に一定に維持される。
− 機械的な圧力は、溶加材によって相互から分離されたプレートのスタックに加えられる。このスタックは、上側プレートおよび下側プレート、そして上側プレートと下側プレートとの間に位置する少なくとも一つのプレート(溶加材)からなり、機械的な圧力は、加圧可能なデバイスによって、上側プレートの上面に、または下側プレートの下面に加えられる。
− 溶加材によって分離された二つのプレートは、機械的な圧力が加えられるプレートの表面上に配置された複数の加圧可能なデバイスによって圧縮される。
− 複数の加圧可能なデバイスの各々の加圧可能なデバイスが加える機械的な圧力は、他の加圧可能な単数あるいは複数のデバイスによって加えられる機械的な圧力から独立して調節される。
− 加圧可能なデバイスは、6バールに実質的に等しい最大機械的圧力を加える。
− 溶加材によって分離された二つのプレートは、500cm2に等しい、あるいは、よ
りも広い一つの表面を持つ。そして、それは、1000cm2に実質的に等しいことが好
ましい。
【0021】
本発明の他の特徴および利点は、以下の添付図面を参照する実施例の、限定することを目的としない下記の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による、ろう付けによる組み付け工程の実施例のための装置を表す。
【図2】本発明による、ろう付けによる組み付け工程の複数のステップの実施例を表す。
【図3】温度の関数としてベローズ内に加えられる圧力を図解する曲線を表す。
【0023】
明確に示すために、尺度および図法を尊重することなく、本発明を理解するために有益なエレメントのみを表している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明による、ろう付けによる組み付け工程の実施例のための装置1を概略的に図解する。
【0025】
装置1は、以下のものからなる。
− 下側プレート6。
− 上側プレート7。
− ステイ8。
− 一連のベローズ5(ここでは、5つのベローズ5を表している)。
【0026】
装置1は、また、溶加材3によって相互から分離されたプレート2のスタックによって形成されるレイヤ4からなる。
【0027】
図1は、また、レイヤ4を構成する、ろう付け溶加材3によって分離された二つのプレート2の拡大図Aを含む。一例として、ここに表した二つのプレート2は、三層プレートであり、上側層9、中間層10および下側層11からなる。上側9および下側層11は、例えば銅プレートであり、中間層10は、例えばステンレス・スチール層である。三つの層9、10、11は、爆発によって組み付けられる。
【0028】
注意すべきことは、レイヤ4は、その両端に二つの二層(銅およびステンレス・スチール)プレート(図示せず)を含み、そして、これら二つの二層エンド・プレート間に、複数の三層(銅、ステンレス・スチールおよび銅)プレート2を含むことである。
【0029】
プレート2間に挿入される溶加材3は、例えば、厚さ39μmの銅合金ろう付けストリップから形成されてもよい。この溶加材3の融解点は、典型的に、780から900℃でもよい。
【0030】
レイヤ4は、下側プレート6の上面とベローズ5の下面との間に配置される。換言すれば、ベローズ5は上側プレート2の表面を覆って分布されており、各々のベローズ5は機械的な圧力を局所的に加える。
【0031】
装置1は、図示していない、ろう付け炉内に配置される。
【0032】
非限定的な例として、ベローズ5材料は、高温で、非常に高い耐クリープ性や耐疲労性等の機械的特性を持つ、インコロイ(登録商標、Incoloy)800タイプのニッケル合金である。ベローズ5は、例えば10の波を含む波型ベローズである。概して、波の数は、材料の物理的特性に、そして例えば10mm等の行程によって決まる。加えて、ベローズ5は、厚さ1mmの、五つの同心壁からなる。より詳しくは、ベローズ5の内壁は、リーク防止容器として機能し、加圧ガスを内包することが可能である。リーク防止機能のない4枚の追加の壁が、ベローズ5の機械抵抗を確保する。
【0033】
例えば、ベローズ5は、320mmの外径、272mmの内径、そして280mmの高さを持ち、900℃近くの温度に対して、6バールまで加圧してもよい。この圧力は一例として挙げているものであり、多少異なることもあることは理解すべきである。ベローズ5の圧力は、ベローズ5が圧縮する材料によって決まる。実際、ベローズ5によってプレート2に加えられる機械的な圧力の制限は、プレート2材料の可塑性によって決まる。プレート2による不可逆性変形を起こさないために、ベローズ5によってレイヤ4に加える機械的な圧力は、レイヤ4の部材の塑性変形を生じてはならない。
【0034】
ベローズ5の各々の圧力は、図示していない手段によって調節される。ベローズ5の各々の圧力を調節するためのこれらの手段は、以下のものからなる。
− ベローズ内の圧力を上昇させるために、ベローズ5内に気体を導入するための手段。− ベローズ内の圧力を減少させるために、ベローズ5から気体を離脱させるための手段。
【0035】
これを行うため、調節手段には、一例として、4分の1回転タイプのバルブ(各ベローズ5に対して二つのバルブ)、較正されたバルブ(ベローズ5につき一つの較正されたバルブ)、そして、下流の圧力測定を可能にする圧力計を備えた精密な減圧バルブが設けられる。図示していないこれらのエレメントのすべては、気体を導入あるいは離脱させることによって、ベローズ5の圧力が調節されることを可能にする。各々のベローズ5の圧力は、独立して調節される。
【0036】
注意すべきことは、調節手段が、外気温度にある炉外に位置し操作者にアクセス可能であり、決して炉温(以下に説明する例では最高850℃)にさらされることがないことである。したがって、これらの調節手段は、最高ろう付け温度に関係なく、使用可能である。
【0037】
概して、調節手段は、5つのベローズ5の各々の中に加えられる圧力を調節するが、結果として、5つのベローズ5によってレイヤ4に加える機械的な圧力を調節することになる。加圧可能なベローズ5の各々は、他のベローズ5から独立して制御される。
【0038】
ベローズ5は変形可能であり、±10mmの軸方向ストロークを持つ。このような特徴は、レイヤ4とベローズ5との間に恒久的な接触を確保する。
【0039】
非限定的な例として、ベローズ5を加圧するために使用される気体は、アルゴンである。
【0040】
さて、図1に表したような装置を使用する本発明のろう付けによる組み付け方法を、図2を参照して説明する。
【0041】
最初のステップ12は、下側プレート6、上側プレート7、ステイ8およびベローズ5によって形成されるフレーム内に、レイヤ4を配置することからなる。注目すべきは、インコネルのステイ8が、応力および熱クリープを制限するよう有意な断面形状を持つことである。
【0042】
第二のステップ13は、レイヤ4の上側プレートの上面に機械的な圧力を加える5つのベローズ5によって、レイヤ4を圧縮することからなる。これを行うため、調節手段は、気体の初期量をベローズ5に導入する。ベローズ5は、一例として、0.8バールの初期相対圧力に加圧される。
【0043】
第三のステップ14は、特に5つのベローズ5によって圧縮されたレイヤ4からなるアセンブリを、炉内に配置することからなる。
【0044】
加えて、注意すべきは、良好な条件でろう付けを実行するために、予め定めたろう付けサイクルを尊重しなければならないことである。
【0045】
したがって、本発明によるろう付け方法の第四のステップ15は、ろう付け温度に到達するよう炉温を上昇させることからなる。
【0046】
それから、本発明によるろう付け方法の第五のステップ16は、炉温を低下させて、ベローズ5内へ徐々に気体を導入し、ベローズ5によってレイヤ4に加える機械的な圧力を一定に維持することからなる。
【0047】
第四のステップ15および第五のステップ16は、図3を参照してより詳細に説明する。
【0048】
注目すべきは、炉温が上昇するとき、ベローズ5内の気体の温度も上昇し、(気体の初期量が一定に保持される)一定体積内の気体の膨張によって、圧力の増加が生じる。
【0049】
図3に図解するように、各ベローズ5は、0.8バールに加圧される。この加圧は、ステップ12から14の一つにおいて、調節手段により、外気温度で気体をベローズ5内へ導入することによって実行される。
【0050】
そして、ステップ15に従って、炉温が上昇すると、各々のベローズ5の圧力も上昇する。結果的に、ベローズ5によってレイヤ4に加えられる機械的な圧力も上昇する。
【0051】
圧力のこのような上昇は、ろう付け融解温度に到達するときに十分な機械的な圧力が得られることを可能にするため、レイヤ4を構成するプレート2の表面上の均一なろう付けを確実にする。
【0052】
温度が780℃、すなわち溶加材3の融解点に対応する温度に到達すると、ベローズ5内の圧力は5バールである。したがって、一例として、私たちの実施例では、レイヤ4が1000cm2のろう付け表面を持つならば、5つのベローズ5が各々5バールで加圧さ
れているので、レイヤ4に加えられる圧力は195kNである。
【0053】
溶加材が溶けるとき、レイヤ4は数ミリメートルつぶれるかもしれない。ベローズ5の軸方向ストローク±10mmは、ベローズ5がレイヤ4に加える機械的な圧力の著しい低下を招くことなく、この現象を補完する。この解決策を図3に表す。実際、炉温が780℃に到達すると、溶加材3は溶け、そしてベローズ5によってレイヤ4に加えられる機械的な圧力は降下する。ベローズ5は弛緩するが、炉温が継続的に上昇する(最高約850℃)ため、ベローズ5内の気体の膨張は、780℃で加えられる機械的な圧力に対応する5バールの機械的な圧力が加えられることを可能にする。
【0054】
概して、注目すべきは、ベローズ5の軸方向ストローク±10mmが、レイヤ4のつぶれを考慮に入れることを可能にすること、また、ろう付けされるプレート2とフレームとの間に、ろう付けサイクル中に有意な膨張差が現れることを考慮に入れることを可能にすることである。
【0055】
そして、ステップ16に従って、炉温が降下するとき、調節手段によって気体がベローズ5内へ導入される(すなわち、気体の初期量に対して気体量が増加される)。気体のこ
の導入は、温度降下による気体の圧力の減少を軽減する。したがって、ベローズ5によってレイヤ4に加えられる機械的な圧力は、外気温度までの炉温の降下中、一定に留まる。このような実施例は、レイヤ4に加えられる機械的な圧力が常に維持されることを可能にする。
【0056】
注意すべきは、溶加材3によって相互に分離されたプレート2の相対変位を防止するために、それらを、図示していないピンによって並進不能に固定することである。
【0057】
上記説明のろう付けサイクルは、非限定的な例として説明したものであり、本発明のろう付けによる組み付け方法に対して、異なるろう付けサイクルを実行してもよいことを理解すべきである。例えば、ろう付けサイクル中、レイヤ4上に一定の機械的な圧力を維持することは可能である。これを行うため、外気温度で、ベローズ5が、例えば5バールに加圧される。
【0058】
それから、炉温が上昇するとき、調節手段によってベローズ5から気体が離脱される。逆に言えば、炉温が降下するとき、調節手段によってベローズ5内に気体が導入される。したがって、ベローズ5によってレイヤ4に加えられる機械的な圧力は、温度の上昇および降下の間、特に、ろう付け材料の重要な固化フェーズの間一定である。
【0059】
要約すると、本発明のろう付けによる組み付け方法は、制御可能な力が加えられることを可能にする。
1.高温で、および/または、
2.真空炉内で、および/または、
3.遠隔で(圧力調節手段は炉外に位置する)。
【0060】
概して、炉外部からレイヤ4に加えられる機械的な圧力を調節するろう付けによる組み付け方法は、相互から独立して制御される上側あるいは下側プレート上に分布する複数のベローズを用いて、そして異なる物質間の熱膨張差を考慮することによって、多数の同時ろう付け平面からなる大きなサイズのアセンブリを含み、ろう付けすべきプレート2の継続的な制御された締め付けを保証する。
【0061】
注目すべきは、ベローズは、すべて同一であってもよいが、また、例えば異なる寸法を持つ異なるものでもよい(すなわち、複数のベローズの少なくとも二つのベローズが異なってもよい)ことである。
【0062】
各々のベローズは、プレートに異なる機械的な圧力を加えてもよい。特に、ろう付けすべき表面(すなわち、溶加材が位置する表面)が、ピースに沿って均一でない場合、(他とは異なる寸法を持ってもよい)各々のベローズは、必要な異なる局所的機械的圧力を加えるために、ろう付け工程を通して異なる値で気体加圧してもよい。特に、効率的なろう付けを保証するために、本発明による方法は、適切な局所的機械的圧力が、溶加材が位置する二つの隣接ろう付け平面のレベルで加えられることを可能にする。この局所圧力は、しばしば、ろう付け温度における材料の機械的な抵抗によって抑制される。
【0063】
各々のベローズ(あるいは少なくとも二つのベローズ)が、異なる軸に従って機械的な圧力を加えてもよい。したがって、本発明による方法は、相互間で平行でないろう付けすべき表面からなるアセンブリのろう付けを可能にする。したがって、本発明による方法は、特に、現在複数のステップ(組成のバリエーションがその融解点の事前決定を可能にするろう付け材料の使用を必要とする一連の、温度に段差がある共融ろう付け)で製造されている複雑な機械部品のろう付けを可能にする。本発明による方法は、異なる方向で力を加える複数のベローズを使用することで、ろう付けが単一バッチで実行されることを可能
にする。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明による方法は、高温ろう付けサイクル中に調節可能な圧力を必要とするアプリケーションに、あるいは例えば熱処理等の、温度を非常に高めてピースの変形を制御する固定化に用いてもよい。
【0065】
本発明による方法は、真空または制御雰囲気の下での、例えば、材料の熱処理中に用いてもよい。したがって、これは、ろう付け前に、複雑なアセンブリ内に使用されたマルチ材料プレートに施す熱処理中、しばしば行われる(これは、典型的に、プレートが銅およびステンレス・スチールに基づく三層または二層プレートである上記説明のアプリケーションで行われる)。ろう付け共融合金を構成する可溶材料の適切な把握を保証するために、ろう付けの事前酸素除去が有益であるかもしれない。ろう付け平面のこの酸素除去は、通常、制御雰囲気(例えば水素雰囲気)下で、そして高温(例えば500℃)で実行される。本発明による方法により、ろう付けアセンブリを形成するプレートの自然な変形が防止される可能性がある。
【0066】
本発明による方法は、以下を必要とするろう付けを実施する。
− ろう付け工程を通してプログラム可能な、外部から調節可能な締め付け力。
− 最高温度に拘わらず、締め付けられるエレメントの材料の機械的な抵抗(応力およびクリープ)によって、そして、概して(共融合金)ろう付け材料が融解する適切な時間に局所圧力が発生することを可能にする加圧デバイス(ベローズ)によってのみ制限される高熱利用。
− 真空下での、大気圧下での、あるいは、むしろ(ピースの酸素除去のための水素等の)気体の分圧下での利用。
【0067】
加えて、本発明による方法は、連続的な生産のために自動化が可能である。
【0068】
加えて、注目すべきことは、本発明による方法を実施するのに用いる装置(ベローズ、複数のベローズの圧力を調節するための手段、ステイ等)の異なるピースが、完全に再使用可能であることである。
【0069】
上側プレートの上面に加圧可能なデバイスによって機械的な圧力を加えるケースにおいて、本発明を具体的に説明したが、この圧力は下側プレートの下面に加えてもよい。加圧可能なデバイスの一部を上側プレートの上面に配置し、加圧可能なデバイスの残りの部分を下側プレートの下面に配置することも想定できる。
【0070】
加えて、平面プレートに加えられる圧力の文脈で本発明を説明したが、本発明による方法は、より複雑な非平面の表面(例えば半球)を持つシステムに適用することも可能である。プレートの概念は、複数の加圧可能なデバイスを配置するために十分な表面を持ち、前記表面に各加圧可能なデバイスが局所的な圧力を加えることが可能なエレメントとして理解すべきである。
【0071】
同業者は、本発明の範囲から必ずしも逸脱することなく、特に、温度の関数としてレイヤ4に加えられる機械的な圧力を調節することを具現する手段に関する点で、本発明のろう付けによる組み付け方法の異なるバリエーションを実行することが可能であることを理解すべきである。
【0072】
その能力において、本発明が優先的にベローズに適用しているが、加圧可能なデバイス5は、遠隔で調節可能であり、高温環境において、その変形の影響下で表面に機械的な圧
力を加えることが可能な、シリンダー、ピストン、または他の、流体(気体または液体)によって加圧可能な手段であってもよい。
【0073】
また、図1に表すプレート2は、一例として挙げたものであり、
− 一つ以上の層、
− 一つ以上の材料、そして
− 表面の、
技術的に可能な組み合わせによって形成してもよい、と理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つのプレート(2)の間に配置した溶加材(3)で分離された状態にある少なくとも二つのプレート(2)を、ろう付けによって組み付けるための方法であって、
前記溶加材(3)によって分離された前記二つのプレート(2)を炉内に配置するステップ、
前記溶加材(3)によって分離された前記二つのプレート(2)を圧縮するステップ、そして
ろう付けサイクルに従って前記炉の温度を制御するステップからなり、
前記溶加材(3)によって分離された前記二つのプレート(2)が、流体によって加圧可能な複数のデバイス(5)によって圧縮され、前記加圧可能なデバイス(5)が、前記炉内に位置して前記二つのプレート(2)の一つの表面上に分布し、加圧可能なデバイス(5)の各々が機械的な圧力を加え、そして前記機械的な圧力が、前記炉の温度の関数として遠隔で調節されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記加圧可能なデバイス(5)の各々がベローズであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記流体が気体であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記加圧可能なデバイス(5)の各々によって前記二つのプレート(2)の一つの表面に加えられる前記機械的な圧力が、前記加圧可能なデバイス(5)内における、気体の初期量の存在によって得られること、そして加えられる機械的な圧力が、前記炉内の温度と共に上昇し、前記加圧可能なデバイス(5)内の前記初期量に対して気体を導入あるいは離脱させることによって調節されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ろう付けサイクルが、ろう付け温度への温度上昇、そして、それからの温度降下からなり、
前記温度上昇は、前記炉内の温度上昇中、気体の一定な初期量を含む前記加圧可能なデバイス(5)によって加えられる機械的な圧力の上昇を生じること、そして
前記加圧可能なデバイス(5)によって加えられる機械的な圧力は、冷却中に追加の気体を導入することによって実質的に一定に維持されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記機械的な圧力が、溶加材(3)によって相互から分離されたプレート(2)のスタックに加えられること、前記スタックが、上側プレート(2)、下側プレート(2)、そして前記上側プレート(2)と前記下側プレート(2)との間に位置する少なくとも一つのプレート(2)からなること、そして前記機械的な圧力が、前記上側プレート(2)の上面に、または前記下側プレート(2)の下面に、前記加圧可能なデバイス(5)によって加えられることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の加圧可能なデバイス(5)の各加圧可能なデバイス(5)が加える前記機械的な圧力が、他の加圧可能な単数または複数のデバイス(5)で加えられる機械的な圧力から独立して調節されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
各々の加圧可能なデバイス(5)が、6バールに実質的に等しい最大の機械的な圧力を加えることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記溶加材(3)によって分離された前記二つのプレート(2)が、500cm2以上
の、好ましくは実質的に1000cm2に等しい表面を持つことを特徴とする、請求項1
から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも二つの加圧可能なデバイス(5)が、異なる機械的な圧力を表面に加えることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも二つの加圧可能なデバイス(5)が、二つの異なる軸に沿って機械的な圧力を表面に加えることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−504432(P2013−504432A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528372(P2012−528372)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【国際出願番号】PCT/EP2010/063323
【国際公開番号】WO2011/029907
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(510277394)
【氏名又は名称原語表記】Commissariat a lenergie atomique et aux energies alternatives
【住所又は居所原語表記】25,rue Leblanc,Batiment  Le Ponant D  75015,Paris,France