説明

ろ過装置及び交換可能なフィルタカートリッジ

【課題】交換可能なフィルタカートリッジと着脱可能なフィルタヘッドを有するフィルタハウジングとからなるフィルタ装置を提供する。
【解決手段】該フィルタ装置は、フィルタハウジング1内に挿入できる交換可能なフィルタカートリッジ20を備え、該フィルタカートリッジは、特に、毛管又は中空糸膜の束の形態をしたフィルタエレメント28を保持している。カートリッジの端部にて、フィルタエレメントは、端部片21の封止コンパウンド内に埋め込まれ、端部片の周面はシール面23の形態をしており且つ、少なくとも1つのシールエレメントを保持している。端部片の周面は、上記保持装置と協働し得るよう一体に成形されることが好ましい保持構造体を有し、上記保持装置及び上記保持構造体は、フィルタカートリッジが少なくとも一方向に動くのを許容し得るよう緩やかに相互に係合することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの未ろ過液入口及び少なくとも1つのろ過液出口を有するフィルタハウジングと、上記フィルタハウジング内に挿入され且つ、少なくとも1つのフィルタエレメント、特に、端部片内にてカートリッジの両端にて固定された毛管又は中空糸膜の束を含む交換可能なフィルタカートリッジと、を備え、上記端部片内にて固定されたフィルタエレメントは、カートリッジの一端から他端まで延びる流体用の流路を画成し、フィルタハウジング内にてフィルタカートリッジを支持し、軸方向に向けてフィルタハウジングに対して間接的に又は直接的に当接する少なくとも1つの保持装置を備える、ろ過装置に関する。本発明は、交換可能なフィルタカートリッジにも関する。
【背景技術】
【0002】
フィルタハウジングは、一般に、第一及び第二の開放端部と、開放端部の各々における着脱可能なフィルタヘッドとを有するフィルタカートリッジハウジングから成っている。
【0003】
該少なくとも1つの未ろ過液入口は、フィルタヘッドにしばしば設けられる一方、少なくとも1つのろ過液出口は、フィルタカートリッジハウジングに配置されている。これと代替的に、未ろ過液入口及びろ過液出口を相互に交換し、ろ過液出口を相互に交換して、ろ過液出口がフィルタヘッドに配置され且つ未ろ過液入口がフィルタカートリッジハウジングに配置されるようにしてもよい。接続部をろ過液入口として割り当てるか又は未ろ過液出口として割り当てるかは、ろ過装置の運転モードに依存する。
【0004】
フィルタエレメントは、複数の管状、毛管、又は中空糸膜を備えることができる。更に、フィルタエレメントは、フィルタ膜又は織地又は不織のフィルタ布地又はフィルタカートリッジの長手方向軸線の周りにて渦巻き状に巻かれたフィルタ膜のような、カートリッジの長手方向軸線に対し平行に配置された平坦な管状フィルタメディアを備えることができる。平坦な管状のフィルタエレメント又は平坦な管状の渦巻き状に巻かれたフィルタエレメントの場合、フィルタエレメントの膜壁は、ろ過装置を通る流れ方向に依存して、未ろ過液チャンバ又はろ過液チャンバを形成するスペーサにより互いに分離されている。フィルタエレメントは、それらの端部が未ろ過液チャンバ又はろ過液チャンバに対してそれぞれ開放するような要領にてその端部が成形材料中にある状態にて埋め込まれている。
【0005】
ドイツ国特許DE 39 16 511 A1号明細書には、毛管又は中空糸膜の束がその両端が成形材料又は封止用コンパウンドで出来た端部片内に埋め込まれたろ過装置が開示されており、該封止用コンパウンドは、フィルタハウジングの内側カラー又は保持リングに固定されている。ろ過中に生じて、上記束に作用する圧力は、この内側カラーにより吸収される。端部片は、フィルタカートリッジハウジングを超えて突き出し、シールは、Oリングによりフィルタヘッド内にて行われる。フィルタヘッドは、未ろ過液入口と、ろ過液出口とを有しており、このため、フィンを介してフィルタカートリッジハウジングに接続された内側カラーをフィルタヘッド内に逆流するろ過液により取り囲むことが必要となる。その結果、回避しなければならない汚れが生じる。
【0006】
この既知のろ過装置は、フィルタカートリッジがカートリッジハウジングに不動に取り付けられるという更なる欠点がある。このことは、毛管又は中空糸膜を使い切った後、これらの毛管又は中空糸膜の何れもハウジングと共に処分しなければならず、又はこれと代替的に、毛管及び中空糸膜を手の混んだ手段によりハウジングから除去しなければならないことを意味する。
【0007】
実際のフィルタエレメントをカートリッジハウジングから分離することを許容するフィルタモジュールは、色々な形態にて販売され且つ、文献に記述されている。これらのモジュールは、常に、ハウジングから除去することができる摺動式カートリッジを有している。
【0008】
1つの既知の第一の変形例では、成形材料を取り囲む2つの終端エレメントと、例えば、有孔管であり又は保持バーから成る中間部分とを備えるそれ自体のハウジング内に摺動式カートリッジの、成形材料で出来た端部片を提供する。接着剤接合により、端部片と上記終端エレメントとの間のシールが実現される。
【0009】
圧縮力の補償は、力を端部片から終端エレメントまで伝達することにより行われる。中間部分の主目的は、摺動式カートリッジが潰れるのを防止することである。他方、中間部分は、輸送、取り付け且つろ過の間、毛管に対する保護部として作用する。
【0010】
同様の具体例は、ドイツ国特許DE 44 01 014 A1号明細書に開示されている。この装置は、その両端がキャップにより閉じられた管状のハウジングから実質的に成っている。ハウジング自体には、内部チャンバが形成されており、該チャンバ内には膜状のエレメントが取り外し可能に設置されている。摺動式カートリッジに相応するこの膜状のエレメントは、格子管を取り囲む複数の中空糸膜から実質的に成っており、該格子管にはその全面又は全長に亙って開口部が設けられている。フィルタカートリッジの両端は、封止用コンパウンドから成る閉塞部材を有しており、該封止用コンパウンド内に中空糸膜が埋め込まれている。
【0011】
この実施の形態の欠点は、摺動式カートリッジを製造するとき多額の費用がかかることである。耐圧性の摺動式カートリッジは、交換作業時毎に、完全に新替えしなければならないから、摺動式カートリッジの独立的なハウジングを廃棄材料として処分し、次に、手の混んだ手段によりリサイクルしなければならないことにより、多額のコストが生じる。更に、追加的なハウジングの存在により、重量が不必要に増大する。
【0012】
摺動式カートリッジの第二の具体例は、束状にしてリングにされた、成形材料又は封止用コンパウンドの端部片を提供する。このリングは、ろ過中に生ずる力を別の仕切ったリングを介してハウジングに直接、伝達する。摺動式カートリッジは、中間部分が無く、このため、前に説明した具体例と比較して低廉である。この具体例においても、関連した短所を有する接着剤接合部分が存在する。特に、温度変化及び異なる線形膨張率は、この接着剤接合部分を弱体にし、このため、端部片とリングとの間に良好なシールが存在することは何ら保証されない可能性がある。端部片からリングまでの力の伝達は補償されず、このことは、最終的に、摺動式カートリッジを潰れさせる可能性がある。
【0013】
独立的なカートリッジハウジングを有する第一の例に実質的に相応する、第三の具体例において、接着剤接合は提供されず、その代わり、エレメントは、摺動式カートリッジとフィルタハウジングの閉塞キャップとの間に軸方向シールリングにより押し込まれる。この場合、摺動式カートリッジの独立的なハウジングは全ての力を吸収しなければならないから、摺動式カートリッジの精緻な設計は、短所である。ハウジングの封止用コンパウンドと終端エレメントとの間には、ろ過液側に向けて開放し、従って、汚染源を形成する可能性のあるスリットが形成される。
【0014】
国際公開WO 00/67885号明細書には、その内部にフィルタカートリッジが挿入され、また、そのカートリッジ端部に、円筒状の外面を有する封止用コンパウンドでできた端部片を有する別のろ過装置が開示されている。端部片は、毛管ファイバの束を超えて半径方向に突き出し、このため、封止用コンパウンドは、ハウジングの突出部又は仕切られた保持リングの何れかにて支持することができる。下方からのこの端部片の係合は、支持突起を形成するために、ハウジングの特定の設計を必要とする。仕切られた保持リングが提供される場合、封止用コンパウンドの顕著な突出部が存在し、このことは、それにふさわしい大きいチャンバを必要とする。仕切った保持リングをシールエレメントによりシールすることはできず、このため、この領域内のろ過液が汚染する可能性がある。
【0015】
封止用コンパウンドで出来た端部片は、Oリングを受け入れるための溝を有しているが、このことは、シール効果のみを有し、保持機能は無い。かかる外側輪郭を生じさせるためには、かなりの費用が必要であり、それは、シール機能のため、溝の精密さに対する大きい要求を満足させなければならず、このことは、例えば、割型鋳型が使用されるとき、封止用コンパウンドに対する更なる研磨が必要となるからである。かかる溝は、小さい要求量を満足させるフィルタに対してのみ使用することができる。この既知の構成において、フィルタカートリッジの捩れは効果的に防止されず、このことは、フィルタエレメントに対する損傷の原因となる可能性となる。
【0016】
ドイツ国特許DE 39 27 455 C1号明細書には、フィルタハウジング内に交換可能なカートリッジを備え、その端部領域内にて、毛管は成形したエポキシ樹脂部分内に保持され、これらを変位不能に且つ流体密に固定する、半透膜の助けを受けて、濃縮化又は稀釈化を可能にし、また、ろ過を行うフィルタモジュールが開示されている。これらの成形部品には、シール効果を実現し得るようそれらの外面に1対のOリングが係合する。各対のOリングの間にて、締結リングは、成形部品の周面と当接し、カートリッジをフィルタハウジング内に固定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上記締結リングは、Oリングによりシールされており、このため、この時点にてろ過液は何ら汚染されない。締結リングは、金属製である一方、封止用コンパウンドは、プラスチック材料で出来ている。当然、2つの材料の熱膨張率は異なる。封止用コンパウンドの平滑な外面に締結リングによるこの型式の取り付けを行う場合、これらの異なる熱膨張率は、圧力が加えられたとき、すなわち、ろ過装置の作動中、封止用コンパウンド、従って摺動式カートリッジがホルダから外に滑り出る原因となり、このため、上記箇所にて良好なシールは全く保証されない。この文献は、明細書にて充填材を封止用コンパウンドに追加することにより熱膨張を減少させることを提案しているが、このことは、これらの充填材が強度特性を損い、また、フィルタが使用される用途に依存して、食品の安全性、特に、飲料ろ過の場合に悪影響を与える可能性があるという短所を有する。更に、カートリッジを所定位置に保つための締結力が増大すると、端部領域は変形し、このことは、表面付近の流体路内の流れ特性に影響を及ぼすであろう。
【0018】
ドイツ国特許明細書DE 39 27 455 C1号に基づいて、本発明の目的は、フィルタカートリッジが温度変動を理由として歪み又は漏洩が生ずることなく、簡単な要領にてフィルタカートリッジがハウジング内に保持されたろ過装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この目的は、請求項1の特徴に従ったろ過装置により実現される。このろ過装置においては、端部片がその内部にフィルタエレメントの端部分が埋め込まれた成形材料で出来ており、成形材料で形成された端部片の外面が、上記保持装置と協働するように形成された保持構造体を備えている。該保持構造体は、未ろ過液入口と流体的に接続するフィルタハウジングの容積に対してシールされ且つ第一及び第二のシールエレメントによりろ過液出口に対してそれぞれ流体的に接続したフィルタハウジングの容積に対して更にシールされた、端部片の一部分に配置される。端部片の成形材料は、フィルタエレメントの端部分とシールされた状態に係合する。
【0020】
フィルタエレメントは、複数の毛管又は中空糸膜を備えることができる。これと代替的に、フィルタエレメントは、フィルタカートリッジの長手方向軸線の周りにて選択的に渦巻き状に巻かれた1つ又はより多くの平坦な管状膜を備えるようにしてもよい。
【0021】
1つの端部片から他方の端部片まで良好に画成された流路を提供するため、平坦な管状膜は、膜の壁を互いに隔てた状態に保持するスペーサシートを備えている。
【0022】
保持構造体は、端部片の周面に一体的に形成され且つ保持装置と協働することが好ましく、保持装置及び保持構造体は緩く相互に係合することが好ましい。
【0023】
端部片に対し半径方向締結力を加える必要ない。「緩く」という語は、保持装置と保持構造体との間に内部空間が存在し、フィルタハウジングの少なくとも長さ方向又は軸方向へのフィルタカートリッジの動きが可能であるようにすることを意味する。熱的影響力によるフィルタカートリッジの動き及び(又は)幾何学的変化を補償するため、半径方向及び(又は)軸方向に緩み(遊び)を提供することができる。このように、先行技術の具体例と異なり、実質的に形態決定された保持手段が提供され、このことは、例えば熱的影響に起因する長さの変化によって生ずるような、少なくとも一方向へのフィルタカートリッジの制限された可動性を容認する。保持装置は、カートリッジを固定し、そのカートリッジの変位又は長さの変化に起因して保持装置が保持構造体に当接するときにのみその保持機能を果たす。
【0024】
フィルタカートリッジは別個のハウジングを必要とせず、保持装置に使用される材料及び成形材料に使用される材料は自由に選択可能であるから、本発明のろ過装置の製造は安価である。例えば、プラスチック材料の部品を保持装置に対し使用することができる。
【0025】
別の有利な効果は、成形材料(以下に封止用コンパウンドとも称する)を熱膨張率に適応し得るよう変更する必要がなく、特に、充填材が封止用コンパウンドの強度特性を損なうような変更を必要としない点である。
【0026】
封止用コンパウンド自体がハウジングに対して材料の強力な膨張を受けるとき、半径方向への遊びは重要である。フィルタカートリッジの軸方向への可動性は、フィルタエレメントの長さの増加に関して許容可能でなければならない。フィルタの設計及びろ過装置に対して使用される材料によって、保持装置及び保持構造体により半径方向及び軸方向への可動性の双方が許容されるべきかどうかが決まる。
【0027】
軸方向への動きは、両軸方向に又は1軸方向のみに許容することができる。このことは、シールエレメントの配置に依存する。従って、1つの実施の形態に従い、例えば、少なくとも1つのシールエレメントを保持構造体の各側部にて封止用コンパウンド(端部片)の周面に配置することができる。使用されるシールエレメントは、シールリング、特に、Oリングとすることができる。この実施の形態において、フィルタカートリッジの軸方向への変位は、シールエレメントにより提供されるシール効果を損なわず、このため、両軸方向への軸方向変位が許容される。
【0028】
保持構造体及び保持装置の寸法は、その設置の後、内部空間が保持装置の各端部にて且つ保持装置に隣接して使用可能とされ、長さの変化を補償するためにその内部空間が利用可能となるようなものとする。シールエレメントが滑り出すのを防止し且つ部品間のシールが緊密さを失うのを防止するために、長さの増加を制限することが必要であろう。
【0029】
別の実施の形態に従い、シールエレメントをフィルタカートリッジの端面に配置することができる。この場合、シールエレメントは、封止用コンパウンドとフィルタヘッドとの間に配置され且つ、設置する間に圧縮され、このため、最初からシール閉塞状況が提供される。この場合、カートリッジの伸びは許容され、それは、シールエレメントの更なる圧縮によってのみ伸びることが明らかだからである。この場合、保持構造体及び保持装置の配置及び寸法は、端面のシールエレメントを露出させることになるであろう、長さの短縮を実質的に防止するようなものでなければならない。このことは、この実施の形態において、保持装置と保持構造体の一端との間のみで内部空間が提供されることを意味する。
【0030】
保持装置は、フィルタヘッドと、端部片の封止用コンパウンドに対して当接する少なくとも1つのシールエレメントを有するシールリングキャリアとの間に配置することもできる。
【0031】
第2のシールエレメントをハウジング部分に対して当接するシールリングキャリア内に配置することもできる。
【0032】
双方の場合、封止用コンパウンドとハウジングとの間に少なくとも1つのシールエレメ
ントが配置される。
【0033】
適宜な保持構造体及び保持装置は、例えば、それぞれ、リング部分内にて分割された保持リング、及び環状溝である。許容可能な遊びのため、シール溝の場合のように、溝の精度に対する極めて高度の要求が満足される必要はない。この場合、環状溝は台形の断面を呈することが有利であり、この場合、分割された保持リングも台形の断面を呈し、このため、一方にて、部品の組み立てが容易となり、他方、フィルタカートリッジを中心決めすることが可能となる。かかる分割した保持リングは、例えば、フィルタヘッドとフィルタカートリッジハウジングとの間に押し込むことができる。
【0034】
保持リングは、例えば射出成形法により、プラスチック材料から作成可能であることが好ましい。かかる射出成形品は、特に、リングの部品が組み立てを容易にする互いにスナップ嵌めするための手段を呈することが好ましいとき、金属リングよりも低廉である。
【0035】
溝の側面は、これら側面が大きい軸方向力を吸収することができるような要領にて形成する必要がある。溝の基部は、任意の所望の形状とすることができる。
【0036】
例えば、溝又は保持装置内の追加的な構造体は、捩れ防止ストッパとして作用することができる。
【0037】
更に、フィルタハウジングの相応する構造体と係合する保持構造体を、保持リングに更に設けることができる。
【0038】
別の実施の形態に従い、保持装置は、保持ボルトと、端部片の封止用コンパウンド内に設けられた保持構造体の半径方向盲穴とを備えることができる。フィルタカートリッジの軸方向への動きを許容するため、盲穴の直径は、保持ボルトの外径よりも大きい。
【0039】
別の実施の形態は、保持構造体に対するフックと、該フックと係合する、保持構造体に対するバイオネットシール構造体とを提供する。
【0040】
別の可能性は、ねじ付き構造体と、雌ねじ部を有する保持装置と、該雌ねじ部と係合する雄ねじ部を有する保持構造体とを備えている。雌ねじ部は、例えば、フィルタヘッドに設け、又は保持装置を形成するフィルタハウジングに設けることができる。雌ねじ部及び雄ねじ部は、所望であるならば、置き換えてもよい。
【0041】
請求項16に記載した本発明の交換可能なフィルタカートリッジは、保持構造体が封止用コンパウンドの端部片上に一体に形成されることを特徴とする。
【0042】
本発明は、更に、請求項17に記載したフィルタカートリッジを製造する方法に関する。
【0043】
フィルタエレメントの両端部分は、フィルタカートリッジのそれぞれの端部片を形成する複数の鋳型内に延びるよう同時に配置してもよく、又は、1つの鋳型のみを使用してカートリッジの端部片を順次に成形してもよい。
【0044】
まず最初に、フィルタエレメントの端部が、成形材料(封止用コンパウンド)に埋め込まれる。端部片の面部分が除去され、好ましくは切除されると、フィルタエレメントの端部分は端部片の面にて開放可能にアクセスすることができ、この場合、フィルタエレメントは、1つの端部片から他方の端部片までの流体流路を提供する。
【0045】
このため、フィルタエレメントは、端部片の製造を容易にし得るようにその端部分が鋳型キャビティ内にある状態にて長さ方向に極めて正確に配置する必要はない。
【0046】
キャップ及び円筒状挿入体が単一体の構造であるため、端部片を鋳型から解放した後、かかる表面を仕上げることを必要とせずに、端部片の保持構造体の両側部に、完全なシール面を得ることができる。
【0047】
保持構造体の面は密封機能を有する必要はないため、その保持構造体の面の質は重大ではない。保持構造体の領域内にて分割されたリングを使用することに起因する表面傷は、極めて良好に許容できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】第一の実施の形態に従ったろ過装置の長手方向断面図である。
【図2】別の実施の形態に従ったフィルタヘッドの領域内のろ過装置を示す長手方向断面図である。
【図3】図1及び図2に示したフィルタカートリッジの一端の側面図である。
【図4】別の実施の形態に従ったフィルタカートリッジの一端の側面図である。
【図5】別の実施の形態に従ったフィルタカートリッジの一端の側面図である。
【図6】別の実施の形態に従ったフィルタカートリッジの一端の側面図である。
【図7】フィルタカートリッジの封止用コンパウンドを製造する鋳型の長手方向断面図である。
【図8】別の実施の形態に従ったフィルタヘッドの領域内のろ過装置を示す長手方向断面図である。
【図9】別の実施の形態に従ったフィルタヘッドの領域内のろ過装置を示す長手方向断面図である。
【図10】別の実施の形態に従ったフィルタヘッドの領域内のろ過装置を示す長手方向断面図である。
【図11】本発明のフィルタカートリッジの特定の実施の形態における1つの面を示す頂端面図である。
【図12】本発明のフィルタカートリッジの別の特定の実施の形態における1つの面を示す頂端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明の一例としての実施の形態について、以下、図面を参照して説明する。
【0050】
図1には、その内部にフィルタカートリッジ20が配置される円筒状のフィルタハウジング1を有するろ過装置が示されている。該フィルタカートリッジ20は、端部片21、21´を形成する封止用コンパウンド内に両端にて埋め込まれた毛管又は中空糸膜の束28の形態をしたフィルタエレメントを備えている。2つの端部片21、21´の間にて、束28は、輸送中の保護としてのネット25により取り囲まれており、このネット25もまた、端部片21、21´の封止用コンパウンド内に埋め込まれている。端部片は、その周面にシール面23、23´を有しており、該シール面23、23´に対して、フィルタハウジング1の溝5、5´内の所要位置に係止されたOリング50、50´が当接する。更に、フィルタハウジング1は、環状の流出通路6、6´と、2つのろ過液出口3、3´とを有している。ろ過液チャンバ41がフィルタカートリッジ20とハウジング壁2との間に配置されている。
【0051】
フィルタハウジング1は、その面が環状の固定フランジ4、4´により形成されたフィルタカートリッジハウジング1aを備えており、該固定フランジ4、4´に対して、フィルタヘッド10、10´がそれらの固定フランジ14、14´で当接し、これら固定フランジ14、14´にて、フィルタヘッド10、10´がフィルタカートリッジハウジング1aに接続される。固定フランジ14、14´は、ヘッド壁12、12´を介して未ろ過液入口13、13´に接続されたカラー11、11´に取り付けられる。ヘッド壁12、12´は、ろ過装置の長手方向軸線に対し直角である。フィルタカートリッジ20の面24、24´は、未ろ過液入口13、13´と関係しており、このため、端面24、24´の前方の空間は、各場合にて、未ろ過液チャンバ40、40´を形成する。
【0052】
フィルタヘッド10、10´は、環状凹所15、15´を有しており、該環状凹所15、15´内に、フィルタヘッド10、10´とフィルタカートリッジハウジング1との間に割り型の保持リング27、27´を装着することができる。この保持リング27、27´は、端部片21、21´の周面における溝22、22´の形態をした保持構造体と係合し、この端部片によりフィルタカートリッジ20は固定される。
【0053】
溝22、22´は、保持リング27、27´の台形の断面に相応する台形の断面を有している。溝22、22´の幅及び深さは、保持リング27、27´の輪郭内の台形の幅よりも僅かに大きく、このため、内部空間43(拡大縮尺にて図示)が形成され、このことは、フィルタカートリッジ20の寸法が温度変化によって変化するならば、フィルタカートリッジが半径方向に膨張し且つ矢印60の方向に軸方向に変位することを許容する。好ましくは、内部空間43は、端面24、24´から遠方にある保持リング27、27´の一方の側部に配置され、また、反対側の側部にて、保持リング27、27´は、溝22、22´の側壁に当接する。このことは、端面に配置されたOリング51が常にヘッド壁12、12´に対してシール状態に当接することを保証する。溝22、22´の楔形の面及び保持リング27、27´の楔形の面は、フィルタカートリッジ20を簡単に組み立て且つ、整合させることを許容する。
【0054】
端部片21、21´の端面24、24´には、別の溝29、29´が設けられており、該溝29、29´は、設置されたとき、ヘッド壁12、12´を押圧するOリング51、51´を有する。
【0055】
このように、保持リング27、27´は、環状の固定チャンバ42、42´内に収容され且つ配置される。固定チャンバ42、42´は、ろ過液チャンバ41及び未ろ過液チャンバ40、40´の双方からシールされている。このことは、保持リング27、27´がろ過液を汚染するのを防止することになる。
【0056】
溝22、22´及び保持リング27、27´の配置は、Oリング51、51´が圧力下に保たれ、このため、ヘッド壁に対してシール状態に当接するようなものとされている。フィルタカートリッジが軸方向に変位する場合でさえ、シール効果が保たれ、Oリング51、51´は、多くても更に圧縮される。
【0057】
図2には、Oリング50、51の双方が端部片21の封止用コンパウンドの周面23に対して当接する点にて図1に示した実施の形態と相違する、別の実施の形態が示されている。従って、ヘッド壁32、未ろ過液入口33、固定フランジ34を示すフィルタヘッド30のカラー31は、第2のOリング51を受け入れる環状溝35を有している。この実施の形態においても、保持リング27は収容され且つシールされており、また、未ろ過液又はろ過液の何れにも接触しない。
【0058】
Oリング50、51の双方が周面23に配置されているため、溝22の幅、及び保持リング27の配置は、保持リング27の両側部にて、矢印61で示すように、フィルタカートリッジが両方向に変位するのを許容する内部空間43a、43bが形成されるようなものとすることができる。
【0059】
図3は、図1及び図2に示したフィルタカートリッジの部分側面図である。溝22は、膨らみ部120を示すことができ、この膨らみ部120は、軸方向に延び且つ、捩れ防止ストッパとして機能する。この手段によりフィルタカートリッジ20の軸方向への変位可能性が妨げられることはない。このストッパは、単に、作用する間、フィルタカートリッジの捩れ又は曲がりを防止する。
【0060】
図4には、保持構造体が封止用コンパウンド21の周面の周りに配置された盲穴122から成る、別の実施の形態が示されている。これらの盲穴122には、保持リング27のように端部片21、21´とフィルタハウジング1との間にて除去可能に固定することのできるピン又はボルトが係合する。
【0061】
このように、フィルタカートリッジ20の軸方向への可動性を保証するため、盲穴122の直径は、上記盲穴122と係合するピンの直径よりも大きくすることができる。
【0062】
図5には、保持構造体が雄ねじ222の形態をした、別の実施の形態が示されている。この場合、フィルタカートリッジハウジング又はフィルタヘッドの何れか一方は、フィルタカートリッジをねじ込むことができるように相応する雌ねじ部を有している。この実施の形態においても、雄ねじ部222の溝の幅がフィルタハウジング又はフィルタヘッドの相応するねじ部よりも大きくなるように構成することでフィルタカートリッジ20の軸方向への可動性が保証されるようにする措置を講ずることができる。
【0063】
図6には、保持構造体としてバイオネット様の構造体322を呈する別の実施の形態が示されている。
【0064】
この実施の形態においても、バイオネット様構造体と係合する相応する構造が、フィルタハウジング又は1つ又は複数のフィルタヘッドに設けられる。
【0065】
図7は、端部片21を製造する鋳型90の長手方向断面図である。該鋳型90は、単一体キャップ91と、分割されるリテーナリング92と、円筒状挿入体93とを備えている。キャップ91の閉塞端に隣接する軸方向に対称の内壁部分及び軸方向に対称の円筒状挿入体93は、シールのためのシール面として機能する端部片21の面を形成する。離型は軸方向に行われる一方、分割されるリテーナリング92は成形した端部片から半径方向に除去される。
【0066】
端部片21を鋳型90から除去した後、面部分を破線94に沿って切除する。このとき、フィルタエレメントの端部分(毛管ファイバの束28)は、端部片21、21´の各面にてアクセス可能であり、カートリッジの一端部分から他端部分へ延びる流体のための流路を提供する。
【0067】
図7には、図1、図2に示すように、端部片の保持構造体から分割されるリングが示されている一方、キャップ91の円筒状壁部分から半径方向内方に突き出す分割されるリングのその他の型式の構造体が図3ないし図6に示すような保持構造体を形成することも、容易に考えられる。
【0068】
図8には、フィルタカートリッジハウジング2の雌ねじ部56と協働する雄ねじ部55をその外面に有する、形態変更したヘッド30´を呈する別の実施の形態が示されている。固定フランジ4は、2つの段部分400、401と、雌ねじ部56が設けられた環状の壁部403とを備えている。段部分には、内方に伸びる環状の傾斜溝402が配置されている。
【0069】
保持リング27は、傾斜フィン271が配置される外端を有するフィン270の形態にて半径方向外方に延びており、これらのフィンは、上記リングの全周の周りに配分されている。
【0070】
ヘッド30´がねじ止めされると、保持リング27は傾斜溝402に向けて動き、フィン271は傾斜溝402と係合する。その結果、保持リング27は拘束されることになる。ヘッド30´が除去されると、分割した保持リング27は引き戻される。フィン271が溝402と協働するため、ヘッド30´の軸方向への動きは、保持リング27の部分の半径方向への動きに変換される。
【0071】
図8の上半分には、ヘッド30´が部分的にねじ抜きされたときの配置が示されている。図8の下半分には、ヘッド30´がねじ止めされた状態の、係止したフィルタカートリッジが示されている。ねじ構造に代えて、止めボルト及びナットを備えるフランジ様の接続部を設けてもよい。
【0072】
図9には、環状溝53と共にOリング50、51、52の全てを軸方向に配置し且つ軸方向に圧縮することを可能にする、ヘッド30´´を呈する別の実施の形態が示されている。
【0073】
端部片21は、面24から遠方の側にある端部に半径方向突起21aを有している。この突起21aは、ハウジングの固定フランジ4まで真直ぐに延び且つ、シールリング50に対する支持面を形成する。シールリング52と同様に、シールリング50はシールリングキャリア53内に配置され、該シールリングキャリア53の2つの溝は環状であり、内側にある溝は突起21aに対向し、外側にある溝はフランジ4に対向している。このシールリングキャリア53は、突起21a又はフランジ4とフィルタヘッド30´´又は保持リング27との間にそれぞれ設置されている。この実施の形態においても、ヘッド30´´は雄ねじ部を有し、フィルタハウジングは、雌ねじ部を有する壁403を備えており、このため、ヘッド30´´を所要位置にねじ込むことができる。この実施の形態は、多大のエネルギを消費してカートリッジを押し出す必要がないため、組み立てのための有利な効果を有する。この点に関するエネルギ必要量は図2に示した実施の形態の場合よりも少ない。
【0074】
図10には、形態変更したシールリングキャリア53と、保持リング27とを呈する別の実施の形態が示されている。シールリングキャリア53は、その内側の面に、シールリング50を有し、その外側の面に、シールリング52を有し且つ環状のろ過液通路6を閉じている。保持リング27は、傾斜面27aを有しており、このため、フィルタヘッドがねじ止めされると、保持リング27はシールリングキャリア53に対し押し付けられ且つ、ハウジングに対し圧縮される。組み立てる間、摺動式カートリッジは同時にその最適な位置に押し込まれる。
【0075】
図11には、互いに平行に配置されて、フィルタエレメント141を形成する複数の平坦な管状膜142を有するフィルタカートリッジの端部片140の正面を示す正面図が示されている。平坦な管状膜142の幅は、端部片の幅を最大限、利用し得るように変化し、フィルタエレメントの膜の表面積を最大にする。平坦な管状膜142の同一幅の壁146、147を互いに離れた状態に保つため、シート状の形態をしたスペーサ143が膜142の各々に挿入される。スペーサ143は、個々の膜142を不作用にするであろう管状膜142の潰れを防止するが、管状膜142の長さ方向への流体の流れを阻止することはない。
【0076】
管状膜142は、端部片140を形成する封止用コンパウンドで出来た成形材料144内に封止状態に埋め込まれ、且つ、互いに所定の距離に保たれる。
【0077】
図12には、同様に、フィルタエレメント164を形成する平坦な管状膜162を備えるフィルタカートリッジの端部片160の正面を示す正面図が示されている。平坦な管状膜162は、長手方向軸線の周りにて渦巻き状に巻かれる一方、管状膜162の巻部は、互いに特定の距離に保たれる。平坦な管状膜162の等しい幅の壁166、167は、スペーサシート168により互いに分離した状態に保たれる。フィルタエレメント164の端部分は、成形材料170内に埋め込まれ、平坦な管状膜162の巻部を所定の距離に固定する。
【0078】
1つの平坦な管状膜をこの型式のフィルタエレメントにて使用することができるのみならず、2つ以上の平坦な管状膜を使用し、且つ長手方向軸線の周りにて渦巻き状に巻くこともできる。
【0079】
これらのフィルタエレメント141、164の端部分を成形材料144、170内にそれぞれ埋め込むとき、管状膜又はそれらの巻部は、スペーサ要素により互いに隔てられた状態に保つことができ、該スペーサエレメントは、成形材料(図11及び図12に図示せず)内に埋め込まれ且つ、フィルタエレメント141、164の端部分が成形材料144、170によりそれぞれ固定状態に保持されたならば、それ以上の機能は果たさない。
【0080】
シール面及び保持構造体は、使用されるフィルタエレメントの型式と独立的に選ぶことができ、このため、図1ないし図6及び図8ないし図10の実施の形態の任意のものを図11及び図12にて使用した特定のフィルタエレメントに関係して使用することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 フィルタハウジング
1a フィルタカートリッジハウジング
2 ハウジング壁
3、3´ ろ過液出口
4、4´ 固定フランジ
5、5´ 環状溝
6、6´ 環状のろ過液通路
10 フィルタヘッド
10´ フィルタヘッド
11、11´ カラー
12、12´ ヘッド壁
13、13´ 未ろ過液入口
14、14´ 固定フランジ
15、15´ 環状凹所
20 フィルタカートリッジ
21、21´ 封止用コンパウンド
21a 半径方向突起
22、22´ 溝
23、23´ 周面
24、24´ 端面
25 ネット
27、27´ 保持リング
27a 傾斜面
28 毛管又は中空糸膜の束
29、29´ 溝
30、30´ フィルタヘッド
31 カラー
32 ヘッド壁
33 未ろ過液入口
34 固定フランジ
35 環状溝
40、40´ 未ろ過液チャンバ
41 ろ過液チャンバ
42、42´ 環状の固定チャンバ
43 内部空間
43a、43b 内部空間
50、50´ Oリング、シールエレメント
51、51´ Oリング、シールエレメント
52 Oリング
53 シールリングキャリア
55 雄ねじ部
56 雌ねじ部
60 矢印の方向
61 矢印の方向
90 鋳型
91 キャップ
92 分割されるリテーナリング
93 円筒状挿入体
94 破線
140 端部片
141 フィルタエレメント
142 膜
143 スペーサ
144 成形材料
146、147 膜壁
160 端部片
162 膜
164 フィルタエレメント
166、167 膜壁
168 スペーサシート
170 成形材料
120 膨らみ部
122 盲穴
222 雄ねじ部
270 フィン
271 フィン
322 バイオネット閉塞構造体
400 段部分
401 段部分
402 傾斜溝
403 壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ろ過装置であって、
少なくとも1つの未ろ過液入口(13)と、少なくとも1つのろ過液出口(3、3´)とを有するフィルタハウジング(1)と、
前記フィルタハウジング(1)内に挿入される交換可能なフィルタカートリッジ(20)であって、該カートリッジの両端にて端部片(21、21´)内に固定された少なくとも1つのフィルタエレメントを保持するように構成されており、前記端部片内に固定されたフィルタエレメントが前記カートリッジの一端から他端まで延びる流体のための流路を画成する、前記フィルタカートリッジ(20)と、
フィルタカートリッジ(20)をフィルタハウジング(1)内に支持し、フィルタハウジング(1)に対して軸方向に間接的に又は直接的に当接する少なくとも1つの保持装置と、
を備え、
端部片(21、21´)がその内部に前記フィルタエレメントの端部分が埋め込まれた成形材料にて出来ており、成形材料で形成された端部片(21、21´)の外面が前記保持装置と協働し得るよう形成された保持構造体を備えており、前記保持構造体が、未ろ過液入口と流体的に接続したフィルタハウジングの容積に対してシールされ且つ、第一及び第二のシールエレメントによりそれぞれろ過液出口と流体的に接続したフィルタハウジングの容積に対して更にシールされた端部分(21、21´)の一部分に配置される、
ことを特徴とするろ過装置。
【請求項2】
請求項1記載のろ過装置において、
前記フィルタエレメントが、毛管又は中空糸膜の束(28)を備える、
ことを特徴とするろ過装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のろ過装置において、
前記保持装置及び前記保持構造体が、緩やかに相互に係合し、これにより前記フィルタカートリッジがその長手方向及び/又は軸方向に前記フィルタハウジングに対して動くのを許容するように構成されている、
ことを特徴とするろ過装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか1項記載のろ過装置において、
前記フィルタハウジングが、第一の開放端部及び第二の開放端部を有するフィルタカートリッジハウジングを備え、且つ、前記開放端部の各々に着脱可能なフィルタヘッドを更に備え、
前記保持装置が、前記フィルタヘッドと前記フィルタカートリッジハウジングとの間に保持される、
ことを特徴とするろ過装置。
【請求項5】
請求項4記載のろ過装置において、
保持装置が、前記フィルタカートリッジハウジングと前記フィルタヘッド(10、10´)との間にて押し込まれるようにした、
ことを特徴とするろ過装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか1項記載のろ過装置において、
シールエレメントの少なくとも1つは、少なくとも1つのシールリングを受け入れる溝付きリングの形態をしている、
ことを特徴とするろ過装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか1項記載のろ過装置において、
前記保持装置が多数のリング部分に分割された保持リング(27、27´)であり、
前記保持構造体が前記保持リング(27、27´)が係合する環状溝(22)である
ことを特徴とするろ過装置。
【請求項8】
請求項7記載のろ過装置において、
環状溝(22)が台形の断面を有する、
ことを特徴とするろ過装置。
【請求項9】
請求項1ないし6の何れか1項記載のろ過装置において、
前記保持装置は保持ボルトを備え、前記保持構造体は、前記ボルトが係合する半径方向盲穴(122)から成る、
ことを特徴とするろ過装置。
【請求項10】
請求項1ないし6の何れか1項記載のろ過装置において、
前記保持装置はフックを備え、前記保持構造体は前記フックが係合するバイオネット閉塞構造体(322)の形態をしている、
ことを特徴とするろ過装置。
【請求項11】
請求項1ないし6の何れか1項記載のろ過装置において、
前記保持装置は雌型ねじ部又は雄型ねじ部(55、56、222)を備え、前記保持構造体は相補的なねじ部から成る、
ことを特徴とするろ過装置。
【請求項12】
請求項7記載のろ過装置において、
前記保持リング(27、27´)は、前記フィルタカートリッジハウジング(1)における相補的な構造体と協働する固定構造体(271)を呈する、
ことを特徴とするろ過装置。
【請求項13】
請求項1ないし12の何れか1項記載のろ過装置において、
少なくとも1つのシールエレメント(51、51´)が、前記端部片(21、21´)の端面(24)に配置される、
ことを特徴とするろ過装置。
【請求項14】
請求項6ないし13の何れか1項記載のろ過装置において、
前記端部片(21、21´)は、端部片の円周から半径方向に伸びる突起(21a)を有し、
溝付きリング(53)は、前記突起(21a)に対して当接する、
ことを特徴とするろ過装置。
【請求項15】
請求項1ないし14の何れか1項記載のろ過装置において、
少なくとも1つのシールエレメント(50、50´)は、前記端部片(21、21´)と前記フィルタカートリッジハウジングとの間に配置され、少なくとも1つのシールエレメント(51)は、前記端部片(21)とフィルタヘッド(10、10´)との間に配置される、
ことを特徴とするろ過装置。
【請求項16】
請求項1ないし15の何れか1項記載のろ過装置内に挿入される交換可能なフィルタカートリッジ(20)において、
フィルタエレメントであって、特に、毛管又は中空糸膜の束(28)の形態をしたフィルタエレメントを含み、該フィルタエレメントは端部片(21、21´)内にカートリッジの両端で固定され、
端部片内に固定された前記フィルタエレメントは、前記カートリッジの一端から他端まで延びる流体のための流路を画成し、
前記端部片(21、21´)は、前記フィルタエレメントの前記端部分が埋め込まれる成形材料で出来ており、
前記成形材料で形成された端部片(21、21´)の外面は、該外面に形成された保持構造体を備え、
該保持構造体は、未ろ過液入口と流体的に接続するフィルタハウジングの容積に対してシール可能であり且つ第一及び第二のシールエレメントによりそれぞれろ過液出口と流体的に接続したフィルタハウジングの容積に対して更にシール可能である前記端部片(21、21´)の一部分に配置される、
ことを特徴とする交換可能なフィルタカートリッジ。
【請求項17】
請求項16記載のフィルタカートリッジを製造する方法において、
2つの端部分を有する少なくとも1つのフィルタエレメントを提供するステップと、
前記フィルタエレメントの前記端部分の1つを受け入れる前記フィルタカートリッジの端部片を形成する鋳型を提供するステップと、
1つの端部分が前記鋳型内に延びる状態にて前記フィルタエレメントを配置するステップと、
成形材料を前記鋳型内に供給し、前記フィルタエレメントの前記端部分の1つを受け入れる前記フィルタカートリッジの第一の端部片を形成するステップと、
前記第一の端部片を鋳型から解放するステップと、
その他端部分が前記鋳型内に延びる状態にて前記フィルタエレメントを配置するステップと、
成形材料を前記鋳型内に供給して前記フィルタエレメントの前記他端部分を受け入れる第二の端部片を形成するステップと、
第二の端部片を前記鋳型から解放するステップと、
前記第一の端部片及び第二の端部片の面部分を除去して、第一の端部片の面及び第二の端部片の面の各々からアクセス可能な前記フィルタエレメントの開放端部分を提供し、且つ、前記カートリッジの一端部分から他端部分まで延びる流体のための流路を提供するステップと、
を備え、
前記端部片を形成するため使用される前記鋳型は、一端にて閉塞する単一体キャップと、分割されたリングと、単一体の円筒状挿入体とを備え、
前記キャップは、前記端部片の外側に第一のシール面を形成し得るようキャップの閉塞端部に隣接する円筒状壁部分をその内部に備え、前記分割されたリングを受け入れる第一の凹所と、前記単一体の挿入体を受け入れる第二の凹所とを備え、
前記分割されたリングは、前記円筒状壁部分と前記円筒状挿入体との間に配置され、該分割されたリングは、前記円筒状壁部分から半径方向内方に突き出して前記端部片の外側に凹状の保持構造体を形成する構造体を備え、
前記円筒状挿入体は、前記端部片の前記外側に第二のシール面を形成し得るよう前記キャップの前記円筒状壁部分と等しい幅の内側円筒状壁を有するようにした、
ことを特徴とする、フィルタカートリッジを製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−136875(P2009−136875A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−26271(P2009−26271)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【分割の表示】特願2006−524237(P2006−524237)の分割
【原出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(596064112)ポール・コーポレーション (70)
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
【住所又は居所原語表記】2200 Northern Boulevard East Hills, New York
【Fターム(参考)】