説明

アイアンゴルフクラブ

【課題】初心者あるいは高齢上級者が使用しても、ボールの方向性と共に十分な飛距離性能が得られるアイアンゴルフクラブを提供する。
【解決手段】本アイアンゴルフクラブは、ヘッドと、このヘッドに取付けられたシャフトと、このシャフトに取付けられたグリップとを有し、前記ヘッドは重量が250g以上、前記シャフトは重量が60g以下、前記グリップは重量が50g以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアイアンゴルフクラブに係り、特にヘッド、シャフト及びグリップの各重量を最適に選択したアイアンゴルフクラブに関する。
【背景技術】
【0002】
アイアンゴルフクラブには、ボールをより遠くへ飛ばすことができる飛距離性能と共にボールの方向性が求められているが、初心者あるいは高齢上級者は、ロフト角が小さいロングアイアンやミドルアイアンでは、飛距離性能を重視する傾向がある。
【0003】
近年、この要望に応えるため、アイアンヘッドの大型化、軽量化、低重心などが図られ、シャフトについても、カーボンシャフトあるいは軽量のスチールシャフトが用いられて、また、グリップも軽量のゴムあるいは皮革が用いられている。
【0004】
しかし、これらアイアンゴルフクラブの構成部品の軽量化は図られているが、アイアンゴルフクラブ全体での重量バランスが十分に配慮されていないため、クラブを十分に振り切ることができず、ボールの方向性と共に十分な飛距離性能が得られていない。
【0005】
なお、特許文献1には、アイアンゴルフクラブの各構成部品及び全体の重量が開示されているが、この開示のアイアンゴルフクラブは、シャフトの重量が大きく、また、クラブ全体の重量も大きいため、比較的ヘッドスピードが遅い初心者あるいは高齢上級者が使用すると、十分に振り切れず、方向が安定したボールを遠くに飛ばすことができない。
【特許文献1】特開昭63−216584号公報(第6頁右欄下段第2〜第9行)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、初心者あるいは高齢上級者が使用しても、十分に振り切ることができ、ボールの方向性と共に十分な飛距離性能が得られるアイアンゴルフクラブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的実現のために、アイアンゴルフクラブの構成部材の重量、長さ等を変えて鋭意試作を行い、試打を繰返し、ヘッドの重さ、シャフトの重量、硬さおよび長さ、グリップの重さを最適に組合せることにより、十分に振り切ることができ、方向性と飛距離性を同時に満足するアイアンゴルフクラブを実現させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明の1つの態様によれば、本アイアンゴルフクラブは、打球面を有するヘッドと、このヘッドに取付けられたシャフトと、このシャフトに取付けられたグリップとを有し、前記ヘッドは重量が250g以上、前記シャフトは重量が60g以下、前記グリップは重量が50g以上であることを特徴とする。
【0009】
好適には、3番アイアンゴルフクラブにおいて前記ヘッドの重量は250g以上であり、番手増加毎にヘッドの重量を5〜7g増加させる。
【0010】
また、好適には、前記アイアンゴルフクラブは、グリップエンドにバランスウェートが取付けられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るアイアンゴルフクラブによれば、初心者あるいは高齢上級者が使用しても、十分に振り切ることができ、ボールの方向性と共に十分な飛距離性能が得られるアイアンゴルフクラブを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係るアイアンゴルフクラブの一実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0013】
図1は本発明に係るアイアンゴルフクラブの一実施形態の概念図である。
【0014】
図1に示すようなアイアンゴルフクラブでボールを打った時、ヘッドとボールとの衝突力は、衝突力=ヘッドの重量×ヘッドの加速度で表わされる。また、この衝突力は、打球時にボールがある時間内に受ける運動量の変化に相当し、衝突力=ボールの重量×(ボールの初速度×2)÷衝突時間で表される。一方、インパクト時にはボールとヘッドとの間には運動エネルギーの交換が生じ、ヘッドが有する運動エネルギーの一部がボールに移動することとなる。従って、ボールの飛距離はヘッドが有する運動エネルギー(重量×速度)に比例することとなる。よって、飛距離を伸ばすには、ヘッドの重量又はヘッドスピードすなわちシャフトの長さのいずれか一方もしくは両方を高めればよいことになる。
【0015】
しかし、上述のようにアイアンゴルフクラブの長尺化は、振りにくさが増して、ボールをヘッドの後述するスイートスポットに当てにくくなり、ミスショットが増加し、方向性の安定化および飛距離が低下する。
【0016】
そこで、本実施形態のアイアンゴルフクラブでは、ヘッドの重量を増加させると共に、クラブ構成部品の重量を最適に選択して、アイアンゴルフクラブのスイングバランスを図り、比較的ヘッドスピードが遅い初心者あるいは高齢上級者が使用しても、振り切りをよくして、方向性の安定化と飛距離性の向上を図った。
【0017】
例えば、図1に示すように、本実施形態のアイアンゴルフクラブ1は、ゴルフボールを打撃する打球面を有するヘッド2と、このヘッド2に一端が取付けられたシャフト3と、このシャフト3の他端に取付けられたグリップ4を有している。
【0018】
上記ヘッド2は、例えばステンレス製で中央部に透孔が設けられた枠状のヘッド本体2aと、このヘッド本体2aに透孔を塞ぐように一体的に取付けられ、打球面となるチタン合金製のフェイス板2bで形成され、ヘッド2の重量は250g以上である。重量が250gより小さいとボールに大きな衝撃力を与えることができず、十分な飛距離が得られない。
【0019】
シャフト3は重量が60g以下であり、アイアンゴルフクラブ全体の長さは、番手毎のその長さが短くなり、例えば3番アイアンゴルフクラブで39インチ(99cm)〜11番アイアンゴルフクラブ(サンドウエッジ)で35インチ(89cm)の範囲にあるのが好ましい。重量が60gを超えると、アイアンゴルフクラブの重量が大きくなり、好ましくない。
【0020】
シャフト3を短くすることにより、ボールをスイートスポットに当てやすくなり、ミスショットが低減され、また、シャフト3の長さを短くしても、ヘッド2の重量を250g以上にすることにより、比較的ヘッドスピードが遅い初心者あるいは高齢上級者が使用しても、十分に振り切ることができ、方向性が安定し、飛距離も伸びる。
【0021】
グリップ4はその重量が50g以上である。アイアンゴルフクラブ1全体の重さ、スイングバランス、特にヘッド2との重量バランスを考慮すると、50g以上が必要である。これにより、アイアンゴルフクラブ1全体のスイングバランスを保つことができる。グリップの重量が50gより小さいと、スイングバランスを保ちにくい。アイアンゴルフクラブ1の長さを考え、スイングバランスを保つためには、図2に示すように、グリップ4のグリップエンド4aに、例えば厚肉円筒状のバランスウエート5を取付けるとよい。グリップエンド4aの重量増加によって、カウンターバランス効果が生じヘッドの重いアイアンゴルフクラブでもスイングが軽く容易になる。なお、バランスウエートは厚肉円筒状に限らず、金属製中空丸棒などいかなる形状のものであってもよい。
【0022】
本実施形態のアイアンゴルフクラブにおいて、例えば、ロフト角(打球面が垂直面となす角度)が相対的に小さい低番手の3番アイアンゴルフクラブは、ロフト角19°、クラブ長さ39インチ、ヘッド重量250gである。ロフト角が大きくなると共にクラブ長さが短くなるアイアンゴルフクラブの番手において、この番手が1番増す毎に、ヘッド2の重量が5〜7g、好適には6g増す。従って、4番アイアンゴルフクラブでは、ロフト角22°、クラブ長さ38.5インチ、ヘッド重量が256gであり、7番アイアンゴルフクラブでは、ロフト角31°、クラブ長さ37インチ、ヘッド重量が274gであり、サンドウエッジでは、ロフト角56°、クラブ長さ35インチ、ヘッド重量が304gである。
【0023】
クラブ長さはシャフトの長さで調整され、ヘッド重量はヘッドの大きさや肉厚で調整される。
【0024】
上記のように本実施形態のアイアンクラブによれば、ヘッド重量を重くし、シャフト重量を軽くし、グリップ重量によりアイアンゴルフクラブの重量バランスをとり、高齢上級者あるいは初心者が使用しても、十分に振り切ることができ、飛距離性と方向性を同時に満足するアイアンゴルフクラブが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係るアイアンクラブの一実施形態の概念図。
【図2】本発明に係るアイアンクラブのグリップエンドを示す縦断面図。
【符号の説明】
【0026】
1 アイアンクラブ
2 ヘッド
3 シャフト
4 グリップ
4a グリップエンド
5 バランスウェート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
打球面を有するヘッドと、このヘッドに取付けられたシャフトと、このシャフトに取付けられたグリップとを有し、前記ヘッドは重量が250g以上、前記シャフトは重量が60g以下、前記グリップは重量が50g以上であることを特徴とするアイアンゴルフクラブ。
【請求項2】
3番アイアンゴルフクラブにおいて前記ヘッドの重量は250g以上であり、番手増加毎にヘッドの重量を5〜7g増加させることを特徴とする請求項1に記載のアイアンゴルフクラブ。
【請求項3】
前記アイアンゴルフクラブは、グリップエンドにバランスウェートが取付けられたことを特徴とする請求項1または2に記載のアイアンゴルフクラブ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−25935(P2006−25935A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−206389(P2004−206389)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(397067624)ヒット工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】