説明

アイロン

【課題】常に勢いの強い増量スチームを噴出させ、使い勝手の良いアイロンを提供する。
【解決手段】増量スチーム釦26を押し下げると、ピストン25が連動して押し下げられ、シリンダー24内に圧がかかる。増量スチーム釦26の底面に当接した継手110のピストン受部110bも押し下げられ、この継手110に連動して開閉桿30が下がり、ノズル部31の小孔が閉じる。シリンダー24内の水が出水口116から気化室6に強制的に吐き出される。第2開口部112はノズル部31と連通しているが、ノズル部31の小孔は開閉桿30により閉塞されているため、ポンプ装置23からの水圧が気化室6側とノズル部31側とに分散されることがない。これにより、増量スチーム釦26の押動操作時には、勢いの強いスチームを噴出させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等のしわ延ばしやプレス仕上げに使用するアイロンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のアイロンとして特許文献1に開示されるようなものがある。従来、この種のアイロンは、スチーム設定の状態では開閉体が開いており、開閉装置が開閉体を開くことで、供給部より液体が気化室に入る。また、スチーム設定を解除することにより、開閉体を閉じることができ、タンクから気化室への液体の供給を停止することができる。増量スチームは開閉体の開閉にかかわらずできる。
【特許文献1】特開2005−192876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、開閉体を開いた状態すなわちスチーム設定ではポンプ装置内の液圧が液出口とノズル部に分散されるため、勢いの弱い増量スチームが噴出され、頑固なしわをとるに足りなかった。また勢いの強い増量スチームを噴出させるためにわざわざドライ設定にすることは煩わしく、使い勝手が悪かった。
【0004】
そこで本発明は上記問題点に鑑み、常に勢いの強い増量スチームを噴出させ、使い勝手の良いアイロンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1のスチームアイロンでは、供給部と送液装置という気化室へ液体を供給する手段が複数ある場合であっても、送液装置の動作に連動して開閉手段が供給部を閉塞するため、送液装置からの液圧が供給部側へ分散されることがなく、送液装置により常に勢いの強いスチームを噴出させることができる。
【0006】
本発明の請求項2のスチームアイロンでは、前記送液装置と前記制御装置とが機械的に連動するため、制御装置を操作しなくても、送液装置を操作するだけで供給部が閉塞され、常に勢いの強いスチームを噴出することができる。
【0007】
本発明の請求項3のスチームアイロンでは、タンクが着脱自在であるため、タンクのみをアイロン本体から取り外して持ち運ぶだけで、タンクへの注液を行なうことができる。
【0008】
本発明の請求項4のスチームアイロンでは、送液装置の操作時には送液装置の動作に連動して制御装置を動作させる一方で、制御装置の操作時には当該連動動作に影響を与えることなく制御装置が送液装置とは独立して動作することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1によると、送液装置により常に勢いの強いスチームを噴出させ、使い勝手の良いアイロンを提供することができる。
【0010】
本発明の請求項2によると、送液装置と制御装置とを簡単な構成で連動させて常に勢いの強い増量スチームを噴出させることができる。
【0011】
本発明の請求項3によると、タンクへの注液が容易になる。
【0012】
本発明の請求項4によると、送液装置の送液動作に制御装置を連動させても、制御装置の操作に係る独立性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、本発明におけるアイロンの好ましい実施例を説明する。
【0014】
図1及び図2は、本アイロンの外観を示す図であり、図2におけるB−B断面図を示したものが図3であり、図2におけるA−A断面図を示したものが図4である。
【0015】
1は本体たるアイロン本体であって、このアイロン本体1は加熱手段としてヒータ2を埋設したベース3を下部に備えている。ベース3の内部には、ヒータ2の近傍に位置して蒸気室すなわち気化室6が形成され、この気化室6に連通する噴出孔7がベース3の下面に設けられる。また、8はベース3の上部を覆って設けられたカバー、9はカバー8の上部に固定された把手である。
【0016】
把手9の上側は把手カバー10によって覆われ、把手9にはアイロン本体1を把持する際に手を差し入れるための空洞11が形成される。また、把手9の上部と把手カバー10とで、アイロン本体1を把持するための把持部12が形成されている。そして、把持部12は空洞11から後方へ開口した形状となっており、把持部12の後方から空洞11へ手を差し入れることができるようになっている。
【0017】
把手9の前方には、水タンクに相当する容器たるカセットタンク14がアイロン本体1に対し着脱自在に設けられている。カセットタンク14は例えば合成樹脂から形成され、上面から見た形状が略U字状で、その両側が把手9の前端部側から前後方向における略中央部の両側にかけて跨るように構成されている。
【0018】
カセットタンク14の前方上部には、注水口カバー15が設けられ、この注水口カバー15は注水口16を備えている。そして、この注水口16からカセットタンク14内へ水を収容し、かつ、カセットタンク14内の不要な水を廃棄できるようになっている。
【0019】
カセットタンク14のロック機構として、把手9の一側面にやや突出してタンクロック釦18が設けられており、このタンクロック釦18の操作に連動して上下動する昇降体19の上部に突出したロック部21が、凹部22に係止する構成になっている。なお、本実施例では、着脱式のカセットタンク14を例にとって説明しているが、上記ロック機構を備えていない固定式の水タンクであってもよい。
【0020】
ここで、図3乃至図5を参照しながらカセットタンク14の内部構成について詳述する。図5は、カセットタンク14単体を側面方向から見た断面図である。
【0021】
カセットタンク14内には、一時的に多量の水を気化室6へ送り込む送液装置としてのポンプ装置23が設けられている。このポンプ装置23は、円筒状のシリンダー24と、このシリンダー24内を水密状態で鉛直方向に摺動自在に設けられたピストン25と、このピストン25を上下に往復動作させる操作手段たる増量スチーム釦26とを備えている。増量スチーム釦ばね100は、ピストン25を上方に付勢することにより、増量スチーム釦26がカセットタンク14から突出するように弾性復帰させるものである。
【0022】
シリンダー24の底部はテーパ状に形成され、その下端部には管状に延出した入水口101が設けられる。この入水口101にはカセットタンク14内に貯められた水内へと延びるパイプ(図示せず)に接続されており、入水口101は当該水をシリンダー24内に吸い込むために設けられている。シリンダー24の内底部から入水口101の貫通孔へかけて、金属を球状に加工してなる入水鋼球102が上下に往復動作可能な程度の大きさの入水凹部104が設けられており、この入水凹部104内に入水鋼球102がスプリング103により入水口101の貫通孔へ常時付勢された状態で設けられている。すなわち、入水鋼球102が上下動することにより、入水口101が開閉することとなる。シリンダー24の底部には、入水口101に連通する入水凹部104とは別に、シリンダー24の底部に接続された管状の出水口116に連通する出水凹部115が設けられる。出水凹部115は、金属を球状に加工してなる出水鋼球118が上下に往復動作可能な程度の大きさに形成され、その内部には、出水鋼球118がスプリング117によりシリンダー24内底部と出水凹部115との連通孔へ常時付勢された状態で設けられている。すなわち、出水鋼球118が上下動することにより、出水口116が開閉することとなる。
【0023】
そして、後述するように、増量スチーム釦26を下方へ押すことによってポンプ装置23によりカセットタンク14内の水が一時的に多量に気化室6へ供給され、気化室6と連通する噴出口7からスチームを一時的に多量に噴出させるようになっている。このように気化室6へカセットタンク14内の水を送り込む、ポンプ装置23の送液動作時には、使用者の操作により増量スチーム釦26及びピストン25が動くことから、これらが操作部に相当する。
【0024】
カセットタンク14の内部には開閉装置としての弁装置27が設けられている。弁装置27は、カセットタンク14の下面部にあって、支持体29により直立状態にかつ上下に摺動自在に支持された開閉切換手段たる開閉部としての開閉桿30と、支持体29の凹底面上に設けられた環状のパッキン105と、このパッキン105を常時、支持体29の凹底面側に付勢して、水密状態を保持する付勢部材としてのスプリング32と、この開閉桿30の下方に設けられた滴下部としてのノズル部31とを備え、開閉桿30の上下動によりこのノズル部31の中心に穿設された小孔を開閉し、気化室6への水の供給を制御する。開閉桿30は、細長い棒状部材からなり、その下端がカセットタンク14の底面に形成された弁孔たる流出口33の中心部に臨んで設けられる一方、その上部はカセットタンク14の上方から突出するロック釦106に連結されている。ロック釦106の上にはスチーム釦38が被せられており、このスチーム釦38を押動操作することにより、ロック釦106ひいては開閉桿30が上下動する。さらにロック釦106とロック釦ばね107により、スチーム釦38を押動する度にノズル部31の開閉状態が交互に切り換わるように、スチーム釦38を押動する度に開閉桿30が上昇位置又は下降位置の上下2箇所の位置に交互に固定されるように構成している。
【0025】
すなわち、ロック釦106は、スチーム釦38と連動してスチーム釦38の押動力を開閉桿30に伝達すると共に、スチーム釦38をその動作下端にまで押し下げると、ロック釦106が回転しながら押し下げられることによりカセットタンク14内に形成した係合部(図示せず)に係合してロック状態となり、スチーム釦38ひいては開閉桿30をその位置に保持するように構成している。このとき、開閉桿30は、スプリング32の付勢力に抗して下方に移動し、ノズル部31を閉塞して、カセットタンク14から気化室6への水の供給を遮断する。一方、ロック釦106がロックした状態から、スチーム釦38をさらに下方へ押込むと、ロック釦106とカセットタンク14内の係合部との係合状態は解除され、ロック釦ばね107の弾性反発力により、ロック釦106及びスチーム釦38が押し上げられ、元の位置に復帰する。このとき、開閉桿30は、スプリング32の弾性反発力が作用して上方に移動し、ノズル部31を開放して、カセットタンク14から気化室6への水の供給を可能にする。このように、スチーム釦38の押動操作によって、ノズル部31の開閉すなわちドライとスチームの切換えを行なうように構成している。
【0026】
一方で、開閉桿30は、連動開閉手段としての継手110により増量スチーム釦26の押動操作にも連動して上下動するように構成されている。継手110は、円筒状の開閉桿受部110aと、円筒状のピストン受部110bと、開閉桿受部110aの一端とピストン受部110bの一端とを互い違いに繋ぐ架橋部110cとから構成され、開閉桿受部110aへ開閉桿30が貫挿されると共に、ピストン受部110bへピストン25が貫挿される。当該組立に際しては、ポンプ装置23と開閉桿30とを連結させる継手110の開閉桿受部110aへ開閉桿30を通して例えばEワッシャー等で固定し、その状態でカセットタンク14に配置させ、継手110のピストン受部110bにポンプ装置23のピストン25を連結させて、開閉桿30とポンプ装置23の上方にそれぞれスチーム釦38と増量スチーム釦26を配置させる。開閉桿受部110aは、その内部に収納された弾性部材としての継手ばね130を介して開閉桿30の上部と連結されている。継手ばね130の代わりに例えばゴムなど伸縮自在の部材を用いてもよい。また、開閉桿受部110aには、その下端にスプリング32の一端が、一方、その上端にロック釦ばね107の一端がそれぞれ取り付けられている。その結果、スプリング32の他端に取り付けられたパッキン105が支持体29の凹底面に当接して、開閉桿受部110aひいては継手110が上方へ付勢される。これに伴い、ピストン受部110bは常に増量スチーム釦26の底面に当接することとなる。
【0027】
すなわち、本実施例のアイロンでは、ポンプ装置23が気化室6へ水を送り込む送液動作時に押動操作する増量スチーム釦26に連動するピストン25と、スチーム釦38の押動操作によりノズル部31を開閉する開閉桿30とを継手110で連結し、増量スチーム釦26の押動操作に連動して開閉桿30がノズル部31を閉塞するよう構成している。とりわけ、本実施例では、継手110と開閉桿30とを継手ばね130で連結する一方、継手110とピストン25とは直接連結しないで付勢手段としてのスプリング32の付勢により継手110が増量スチーム釦26に当接されるように構成している。これにより、増量スチーム釦26の押動操作時には継手110ひいては開閉桿30がピストン25の送液動作に連動してノズル部31の開閉が行なわれる一方で、スチーム釦38の押動操作時には開閉桿30が継手110とは独立して動作可能となるので、当該連動動作に影響を与えることなくスチーム釦38の十分なストロークを確保することができる。
【0028】
ノズル部31の下方には第1開口部111を設けるとともに、ポンプ装置23の下方に第2開口部112を設け、第1開口部111と第2開口部112は、カセットタンク14の底部に設けた合流部113に連通しており、ノズル部31とポンプ装置23とからそれぞれ流出する水をここで合流するようにしている。この合流部113の下部には、気化室6に連通する導水路たる通水継手28が設けられている。合流部113に対向してカバー8側に設けられたパッキン114は、カセットタンク14をベース3に装着したときに合流部113に密着して、水密性を確保するものである。
【0029】
また、通水継手28とベース3との間には、ベース3からの熱を遮断する遮熱板34が介在してある。この遮熱板34の下方には、気化室6の上部開口部を覆うようにして蓋板35が設けられる。また、図3に示すように、120は、通水継手28内部に形成された導水路であり、合流部113と気化室6の上方に位置する水出口121とを連通して、カセットタンク14内の水を気化室6に導く。
【0030】
125は、合流部113と水出口121とを連通する導水路120の途中に配置された開閉弁37により、気化室6の温度がスチーム発生に適した温度に上昇するまでは導水路120を閉塞して水の供給を遮断するよう構成された熱応動開閉装置である。開閉弁37の下端は、スプリング40により常時下方に付勢され、ベース3の凹部43に向けて下方に突出している。このベース3の凹部43には、例えば反転式のバイメタルなどからなる熱応動装置44が収容されるとともに、熱応動装置44の上面に対向して、開閉弁37の下端が位置している。そして、ヒータ2により加熱されるベース3の温度が所定の温度に達すると、熱応動装置44が凹部43の内部で反転し、スプリング40の付勢力に抗して開閉弁37を押し上げることにより、導水路120を開くように構成してある。
【0031】
把手9の上部における把持部12の付根部近傍には、操作パネル48が設けられるとともに、ベース3の設定温度を変えるための調節手段に相当する温度つまみ49が配設されている。また、操作パネル48の上面には、図示しないが、例えば設定温度を示す「高」、「中」、「低」や、切状態を示す「切」の文字などが表示されている。温度つまみ49は把手9の上面に突出しており、略円筒形状の把持部12の軸心と略平行な回転軸を中心に回動自在に設けられている。そして、この温度つまみ49を回転させて操作パネル48に表示された目盛り(図示せず)に合わせ、温度設定を行なうことができるように構成されている。また、温度つまみ49は、把手9上面において操作釦26,38よりも後方に設けられ、温度調節がしやすいように構成されている。
【0032】
把持部12の内部には、複数の段差を有するカム部50が温度つまみ49と一体に形成されている。そして、カム部50の下面に操作体51の上端が当接し、この操作体51は上下動可能に設けられている。また、操作体51は、カム部50に当接する合成樹脂製の操作棒52と、この操作棒52の下部の金属製の調節軸53とによって構成される。
【0033】
54は、アイロン本体1の後方下部に設けられたサーモスタットである。このサーモスタット54は、ベース3の温度を感知して形状が変化する感熱応動体としてのバイメタル55を備え、バイメタル55が感知するベース3の温度に応じて、接点56の開閉を切り替えるようになっている。バイメタル55は周知のように、温度の変化により一定方向に湾曲する性質を有するもので、その基端部が固着具によりベース3の掛面の平坦面に密着するとともに、その先端部はベース3の掛面の温度上昇に伴い上方に撓むように配置されている。一方、使用者による温度つまみ49の操作によりカム部50が温度つまみ49と一体に回転し、カム部50の回転に連動して操作体51が上下動するようになっている。そして、この操作体51の上下動に応じて接点56が開閉し、この開閉動作によりヒータ2の通電が制御され、この制御によりベース3の温度が前記温度つまみ49で選択された設定温度に保たれるようになっている。なお、ベース3の温度制御にはサーモスタット54のほかに、マイクロコンピュータなどで構成される温度制御装置を用いてもよく、種々の変形実施が可能である。
【0034】
上記構成において動作を説明すると、作業者がアイロンの電源を入れ、温度つまみ49を回転させて任意の温度に設定すると、ヒータ2が通電することにより発熱しベース3の温度が上昇する。そしてベース3の温度がある温度以上になると熱応動開閉装置125が働き、導水路120内が開放される。スチーム釦38が上昇位置にロックされていると、カセットタンク14内の水がノズル部31,第1開口部111,合流部113を通って導水路120内に入り、水出口121から気化室6に水滴が落ちてスチームが発生する。スチームが発生してベース3の温度が所定の温度以下に低下すると、熱応動開関装置125が働き、導水路120内が閉鎖され、導水路120内の水の流れがなくなるためスチームが止まる。また、ベース3の温度とは無関係に、スチーム釦38を押し下げて開閉桿30を下げることによって、ノズル部31の小孔が閉じてスチームが止まる。スチーム釦38の押動操作に連動して、ロック釦106が押し下げられ、ロック釦ばね107を介して開閉桿30と共に継手110も押し下げられる。このとき、本実施例のアイロンでは、スチーム釦38が可動下端に到達する前に継手110の架橋部110cがシリンダー24の側壁上端に突き当たることとなるが、その後も継手ばね130が伸びて開閉桿30だけが相対的に下がることが可能であるため、スチーム釦38の押し下げ途中で継手110が止まってしまっても、開閉桿30を押し下げて問題なくドライ設定にすることができる。
【0035】
次に、増量スチーム釦26を押し下げると、これにピストン25が連動して押し下げられ、シリンダー24内に圧がかかる。同時に、増量スチーム釦26の底面に当接した継手110のピストン受部110bも押し下げられ、この継手110に連動して開閉桿30が下がり、ノズル部31の小孔が閉じる。すなわち、増量スチーム釦26を押している間のみドライ設定と同等の状態が形成される。このとき、シリンダー24では、入水凹部104内の入水鋼球102が押し下げられてスプリング103の付勢力も相まって入水口101はシールされ、代わりに出水凹部115内の出水鋼球118がスプリング117の付勢力に抗して下方へ押し下げられ、出水口116が開放される。熱応動開閉装置125が開いている場合には、シリンダー24内の水が出水口116から第2開口部112,合流部113を通って導水路120内に入り、気化室6に強制的に吐き出される。第2開口部112は合流部113により第1開口部111ひいてはノズル部31と連通しているが、ノズル部31の小孔は継手110に連動して押し下げられた開閉桿30により閉塞されているため、ポンプ装置23からの水圧が導水路120(水出口121)とノズル部31とに分散されることがない。これにより、わざわざスチーム釦38を操作してドライ設定にしなくても、増量スチーム釦26の押動操作時には、常に、気化室6に勢い良く多量の水が流れ込むこととなり、勢いの強いスチームを噴出させることができる。
【0036】
一方、増量スチーム釦26から指を離すと、増量スチーム釦ばね100の弾性反発力が作用して、ピストン25および増量スチーム釦26が押し上げられ、シリンダー24内に負圧が生じる。同時に、継手110がスプリング32の弾性反発力により上方へ移動すると共に、この継手110に連動して開閉桿30が上がり、ノズル部31の小孔が開放される。このとき、シリンダー24では、出水凹部115内の出水鋼球118がシリンダー24内底部と出水凹部115との連通孔へ吸い上げられてスプリング117の付勢力も相まって出水口116はシールされ、代わりに入水凹部104内の入水鋼球102がスプリング103の付勢力に抗して上方へ吸い上げられ、入水口101が開放されることによりカセットタンク14内の水が入水口101を介してシリンダー24内に収容される。
【0037】
以上の操作を繰り返すことによって、通常以上のスチームカを持った増量スチームを発生させることができる。
【0038】
以上のように本実施例では、加熱手段としてのヒータ2によって加熱されるベース3と、ベース3に形成した気化室6と、気化室6へ供給する液体たる水を貯えるカセットタンク14と、カセットタンク14内の水を気化室6へ供給する供給部としてのノズル部31と、ノズル部31を開閉して気化室6への水の供給を制御する制御装置としての弁装置27と、カセットタンク14内の水を一時的に気化室6へ送り込む送液装置としてのポンプ装置23とを備えたアイロンにおいて、ポンプ装置23が気化室6へ水を送り込む時にノズル部31を閉塞する開閉手段としての継手110を設けている。
【0039】
このようにすると、ノズル部31とポンプ装置23という気化室6へ水を供給する手段が複数ある場合であっても、ポンプ装置23の送液動作に連動して継手110がノズル部31を閉塞するため、ポンプ装置23からの水圧がノズル部31側へ分散されることがなく、ポンプ装置23により常に勢いの強いスチームを噴出させることができる。従って、ポンプ装置23により常に勢いの強いスチームを噴出させ、使い勝手の良いアイロンを提供することができる。
【0040】
また本実施例では、前記開閉手段は、ポンプ装置23の操作部に相当するピストン25(増量スチーム釦26)と弁装置27の開閉部に相当する開閉桿30とを連結する継手110である。
【0041】
このようにすると、継手110によりポンプ装置23と弁装置27とが機械的に連動するため、弁装置27を操作しなくても、ポンプ装置23を操作するだけでノズル部31が閉塞され、常に勢いの強いスチームを噴出することができる。従って、ポンプ装置23と弁装置27とを簡単な構成で連動させて常に勢いの強い増量スチームを噴出させることができる。
【0042】
さらに本実施例では、カセットタンク14をアイロン本体1に対して着脱自在に構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のアイロン。
【0043】
このようにすると、カセットタンク14が着脱自在であるため、カセットタンク14のみをアイロン本体1から取り外して持ち運ぶだけで、カセットタンク14への注水を行なうことができる。従って、カセットタンク14への注液が容易になる。
【0044】
また本実施例では、継手110と開閉桿30とを継手ばね130で連結する一方、継手110とピストン25とは直接連結しないで付勢手段としてのスプリング32により継手110が増量スチーム釦26に当接されるように構成している。
【0045】
このようにすると、ポンプ装置23の操作時にはその増量スチーム釦26の動作に連動して弁装置27を動作させる一方で、弁装置27の操作時には当該連動動作に影響を与えることなく開閉桿30がポンプ装置23とは独立して動作することができる。従って、ポンプ装置23の送液動作に弁装置27を連動させても、弁装置27の操作に係る独立性を確保することができる。
【0046】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。本発明が適用可能なアイロンの形状,機能等は特に限定されるものではなく、前記連動開閉手段は継手110以外にも同等の作用,効果を奏する構成であればどのような態様のものでもよい。例えば、ノズル部31に電動の弁装置を設けてポンプ装置23の送液動作に電気的に連動させるよう構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施例におけるアイロン本体の側面図である。
【図2】同上、アイロン本体の平面図である。
【図3】同上、アイロン本体を側面方向から見た縦断面図としての図2のB−B断面図である。
【図4】同上、アイロン本体を正面方向から見た縦断面図としての図2のA−A断面図である。
【図5】同上、アイロン本体から取り外した状態のカセットタンク単体の要部縦断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 アイロン本体
2 ヒータ(加熱手段)
3 ベース
6 気化室
14 カセットタンク
23 ポンプ装置(送液装置)
25 ピストン(操作部)
26 増量スチーム釦(操作部)
27 弁装置(制御装置)
30 開閉桿(開閉部)
31 ノズル部(供給部)
32 スプリング(付勢手段)
110 継手(開閉手段)
130 継手ばね(弾性部材)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱手段によって加熱されるベースと、前記ベースに形成した気化室と、液体を貯えるタンクと、液体を前記気化室へ供給する供給部と、液体の供給を制御する制御装置と、液体を一時的に前記気化室へ送り込む送液装置とを備えたアイロンにおいて、前記送液装置が液体を送り込む送液動作に連動して前記供給部を閉塞する開閉手段を設けたことを特徴とするアイロン。
【請求項2】
前記開閉手段は、前記送液装置と前記制御装置とを連結するものであることを特徴とする請求項1記載のアイロン。
【請求項3】
前記タンクをアイロン本体に対して着脱自在に構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のアイロン。
【請求項4】
前記開閉手段と前記制御装置とを連結する一方、付勢手段により前記開閉手段が前記送液装置に当接されるように構成したことを特徴とする請求項2記載のアイロン。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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