説明

アイロン

【課題】低コストで、手首への負担を軽減するとともに従来のアイロンと外観上の差別化を図ることができるアイロンを提供する。
【解決手段】本発明のアイロンは、例えばアルミニウムや銅などの熱伝導性の良い金属プレートからなる掛け面部材4の表面に、フッ素コーティング51が施してある。掛け面部材4の表面に施されたフッ素コーティング51の表面には、さらにトップコートとしてグラフィック52が施してある。グラフィック52は、文字や図形、記号、若しくはこれらの組み合わせからなる模様状に形成される。グラフィック52の材料としては、掛け面部材4にコーティングしている材料と同じフッ素が使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類などに使用するアイロンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のアイロンの掛け面には、滑りを良くするため、摺動性の良いフッ素コーティングが施されている(特許文献1参照)。
【0003】
また従来は、手動でピストンを押すことで、ミスト機構へ送水してミストを発生させている。
【0004】
さらに従来は、増量スチームの使用回数やスチームの持続時間を増やすため、気化室を有するベースの重量を増やして熱容量を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−175228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の構成では、めっきや琺瑯といった高コストのコーティング材と比較すると摺動性が劣るため、手首への負担や煩わしさの問題があった。また、フッ素コーティングを使用する価格帯のアイロンは、コスト低減のため同様の掛け面デザインとなっており、従来のアイロンと外観上の差別化を図ることができない問題があった。
【0007】
また別な問題として、手動のピストンによるミスト機構は、タンク構造が複雑になったり、アイロン本体が大型化してしまったりすることから、電磁ポンプによるスチーム機能を装備するアイロンにおいて、ミスト機構を装備することができない問題があった。
【0008】
さらに別な問題として、アイロン本体全体の重量が増すため、アイロン掛け時やアイロン本体を立てて行うハンガー増量スチーム時に、手首に負担がかかり、使い勝手が悪い問題があった。
【0009】
そこで本発明は上記問題点に鑑み、低コストで、手首への負担を軽減するとともに従来のアイロンと外観上の差別化を図ることができるアイロンを提供することを目的とする。
【0010】
また本発明の第2の目的は、1つのポンプでスチーム機能およびミスト機能の両者を実現することができるアイロンを提供することにある。
【0011】
また本発明の第3の目的は、使い勝手が良く、かつ簡単な構成で増量スチームの回数やスチームの持続時間を増やすことができるアイロンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明のアイロンでは、加熱手段によって加熱されるベースと、前記ベースの下面に設けられ、フッ素コーティングを施した掛け面部材とを備え、前記フッ素コーティングの上に前記フッ素コーティングと同じ材料でグラフィックを施したことを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明のアイロンでは、加熱手段によって加熱されるベースと、前記ベースに形成される気化室と、前記気化室に供給される液体を貯えるタンクと、前記タンクの液体を送水するポンプと、前記ポンプから送水される液体を霧化するミスト機構と、前記ポンプから送水される液体を前記気化室または前記ミスト機構へと切替える切替弁とを備えることを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明のアイロンでは、加熱手段によって加熱されるベースと、前記ベースの上部に設けられるカバーとを備え、前記ベースと前記カバーとの間に断熱材を配置したことを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明のアイロンでは、前記断熱材の材質をグラスウールとしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、掛け面部材に施したフッ素コーティングのさらにトップコートとして、グラフィックを施したことにより、掛け面部材を対象物に当接させたままの状態で滑らせた場合の対象物との摩擦力を軽減することができ、滑りが良くなるため、手首への負担を軽減することができる。また、従来からあるアイロンとの外観上の差別化を図ることができ、デザイン性に優れたアイロンを提供することができる。さらに、グラフィックの材料として、掛け面部材にコーティングしている材料と同じフッ素を使用することにより、掛け面部材のコーティングと、トップコートであるグラフィックとの密着性が向上し、アイロンの繰り返し使用によってもグラフィックが剥がれることがないので、品質を向上することができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、1つのポンプでスチーム機能およびミスト機能の両者を構成することができる。ポンプによってミストを噴出できるようにすることで、従来の手動のピストンによるミスト機構に比べて小型化することができ、また、軽い力でミストを噴出することができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、ベースからの放熱量が断熱材により抑えられるため、ベースの温度低下を遅延させることができ、増量スチーム使用回数およびスチーム持続時間を増やすことができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、断熱材にグラスウールを使用することで、アイロン本体の重量がほとんど増加することがないので、増量スチーム使用回数およびスチーム持続時間を増やすとともに、手首に負担がなく、使い勝手の良いアイロンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施例におけるアイロンの平面図である。
【図2】同上、アイロンの側面図である。
【図3】同上、図1におけるA−A断面図である。
【図4】同上、アイロンの掛け面を示す底面図である。
【図5】同上、フッ素コーティングおよびグラフィックを含む掛け面部材の拡大断面図である。
【図6】本発明の第2実施例におけるアイロンの、図1におけるA−A断面図である。
【図7】同上、ポンプ周りのフロー図である。
【図8】同上、ポンプ周りのフロー図である。
【図9】本発明の第3実施例におけるアイロンの、図1におけるA−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明におけるアイロンの好ましい各実施例を説明する。
【実施例1】
【0022】
図1〜図5は本発明の第1実施例におけるアイロンを示すものである。
【0023】
1はアイロン本体であって、このアイロン本体1は加熱手段としてのヒータ2を埋設したベース3を下部に備えている。ベース3の底面には、掛け面部材4が具備される。掛け面部材4は、掛け面部材4に固着された締結部材5によってベース3と密着している。
【0024】
ベース3の内部には、ヒータ2の近傍に位置して蒸気室すなわち気化室6が形成され、この気化室6に連通する噴出孔7がベース3の下面に設けられる。気化室6は、ベース3に形成されず、別体であってもよい。
【0025】
8はベース3の上部に設けられたカバーであり、9はカバー8の上方に設けられたハンドルである。ハンドル9の前方には、水タンクに相当する容器たるカセットタンク10が、アイロン本体1に対し着脱可能に設けられる。
【0026】
カセットタンク10は、例えば合成樹脂で形成され、上面から見た形状が略U字状で、その両側がハンドル9の前端部側から後端部側の両端にかけて跨るように配置されている。
【0027】
11は、カセットタンク10の前部に設けられた開閉自在な注水口蓋であり、ここからカセットタンク10内に水を収容し、かつ、カセットタンク10内の不用水を廃棄できるようになっている。
【0028】
カセットタンク10の一側面には、やや突出してタンクロック釦12が設けられており、このタンクロック釦12を操作することにより上下動する昇降体13が、弾性部材たるスプリング14により常時上方に付勢されている。そして、昇降体13の上部に突設したロック部15が、ハンドル9の前部に形成した孔部16に係止される。こうして、カセットタンク10のロック機構が形成される。
【0029】
カセットタンク10の内部には、弁装置17が設けられ、この弁装置17の下部には、気化室6に連通する導水路たる通水継手18が設けられる。弁装置17は、支持体19により、直立状態かつ摺動自在に支持されたスチーム開閉棒20と、支持体19の凹部底面上に設けられたパッキン21と、このパッキン21を常時支持体19の凹部底面側に付勢して、密着状態を保護する付勢部材としてのスプリング22とを備える。スチーム開閉棒20の下端部に形成され、弾性を有する弁体23は、カセットタンク10の底面に形成される流出孔24の中心部に臨んで設けられる。
【0030】
通水継手18とベース3との間には、ベース3からの熱を遮断する遮熱板25が介在する。この遮熱板25の下方には、気化室6の上部開口部を覆うようにして、蓋体26が設けられる。
【0031】
27は、通水継手18の途中に設けられたノズルであり、このノズル27を開閉する開閉弁28が、遮熱板25および蓋体26に共通して設けられた開口部29より、ベース3の凹部30に向けて下方に突出している。
【0032】
ベース3の凹部30には、感熱応動体に相当する反転式のバイメタル31が収容されており、凹部30の近傍にある気化室6が所定の温度に達すると、バイメタル31が凹部30の内部で反転し、スプリング32の付勢に抗して開閉弁27を押し上げることにより、ノズル27を開くよう構成されている。
【0033】
前記ハンドル9は、アイロン本体1を把持するための把持部に相当する取手部33の他に、この取手部33の下方に手を入れるための空洞35を形成してある。
【0034】
ハンドル9の上部には、ベース3の設定温度を変えるための設定釦36が配設される。ハンドル9の内部には、ヒータ2を適宜通断電することにより、ベース3を所定の温度に制御する温度制御装置37が設けられる。この温度制御装置37は、具体的には、前記設定釦36のスイッチ部38や複数の発光ダイオードすなわちLED39の他に、現在の設定温度を記憶保持し、設定釦36の受付を可能にするコンデンサなどの蓄電装置40などを基板41の上面に実装して構成される。LED39の光は、取手部33に貼付された温度表示銘板42を透過し、現在の設定温度を表示する。
【0035】
以下に本実施例のアイロンの特徴的な部位について説明すると、掛け面部材4は、例えばアルミニウムや銅などからなる熱伝導性の良い金属プレートからなり、表面にはフッ素コーティング51が施してある。
【0036】
掛け面部材4の表面に施されたフッ素コーティング51の表面には、さらにトップコートとしてグラフィック52が施してある。グラフィック52は、例えば図4に示すように、文字や図形、記号、若しくはこれらの組み合わせからなる模様状に形成される。
【0037】
図5はフッ素コーティング51およびグラフィック52を含む掛け面部材4の拡大断面図である。掛け面部材4の表面には、グラフィック52が施された凸部53と、グラフィック52が施されない凹部54が形成されており、布地などの対象物に掛け面部材4を当接させたときに、凸部53すなわちグラフィック52が施された部分のみが、対象物に接触するようになっている。
【0038】
グラフィック52の材料としては、掛け面部材4にコーティングしている材料と同じフッ素が使用される。
【0039】
次に、上記構成のアイロンにおける動作を説明する。注水口蓋11からカセットタンク10内に水を注水し、このカセットタンク10をハンドル9の前部から差し込むと、カセットタンク10の上面がスプリング14に抗してロック部15を押し下げ、最終的に孔部16にロック部15が係止されることで、カセットタンク10がアイロン本体1の所定位置にセットされる。
【0040】
次いで、アイロン本体1を載置台(図示せず)に載置した状態で、載置台の電源コードをコンセントに差し込むと、載置台の電源接点からアイロン本体1内の温度制御装置37および蓄電装置40に電源が供給される。温度制御装置37においては、初期状態として切状態の設定モードが先ず設定され、操作パネル(図示せず)の「切」に対応するLED39が点灯する。なお、この切状態では、安全のためにヒータ2への通電は行わない。その後、設定釦36を押動操作すると、設定モードは「切」から「低」、「中」、「高」の順に切換わり、これに対応するLED39が点灯する。そして、「切」以外の設定モードに切換わると、温度制御装置37によりヒータ2が通電される。
【0041】
温度制御装置37は、アイロン本体1が載置台に載置中であるか離脱中であるかをアイロン載置検出手段(図示せず)により検知する。アイロン本体1が引き続き載置台に載置される状態では、ベース3が温度設定手段(図示せず)にて設定した温度に達するまで、ヒータ2によるベース3への加熱が行われる。このとき、温度制御装置37は、ベース3が設定温度に近い適温範囲内であるか否かを、温度検知手段(図示せず)からの検知出力により判断する。そして、ベース3の温度が適温範囲を外れているときは、設定温度に対応する温度表示銘板42のLED39を点滅状態にし、ブザー(図示せず)による報知は行わないようにして、ベースが不適温状態であることを使用者に知らせる。一方、ベース3の温度が適温範囲内にあるときには、設定温度に対応する温度表示銘板42のLED39を点灯状態にするとともに、ブザーを一定時間鳴動させて、使用者にアイロン掛けが可能なことを報知する。そして、温度制御装置37は、アイロン本体1が載置台に載置されている限り、ベース3の温度が適温か不適温であるかに拘らず前述の手順を繰り返し、ベース3の温度が適温範囲内に維持されるように、ヒータ2を通断電制御する。
【0042】
その後、アイロン掛けのためにアイロン本体1を載置台から離脱すると、載置台からアイロン本体1への電源供給が遮断され、ヒータ2は断電状態となる。温度制御装置37は、蓄電装置40からの給電により引き続き動作するが、ベース3の温度が適温範囲よりも下がったとき、あるいは、設定釦36が操作されて設定温度がそれまでよりも高温に切換わったときに、LED39を利用して、アイロン本体1の載置台への載置を促す給電報知または表示を行う。
【0043】
アイロン掛けを行う場合、使用者は、アイロン本体1の空洞35から手を差し入れた後、ハンドル9の取手部33を掌で抱えるようにして握る。この際、取手部33の後端部の幅を略中央部より徐々に広げるとともに、高さを下げることにより、アイロン掛け最中にアイロン本体1が手から抜け出ないようにしてある。また、ベース3の先端部に対する目視を良好にするために、カセットタンク10の前端面は、アイロン本体1の後方側に向けて比較的大きく倒れるように傾斜させてあるが、本実施例におけるカセットタンク10の両側は、充分な水量を収容できるだけの高さを確保してあるので、従来のような水タンクの容量不足を解消することが可能になる。
【0044】
使用者は、アイロン掛けをする場合に、布のしわの状態に応じて、スチーム機能を使用する。スチーム機能を使用する場合には、スチーム開閉棒20を上昇させてカセットタンク10内の水を気化室6に供給し、常時スチームを噴出しながらアイロン掛けを行うことができる。また、頑固なしわを伸ばそうとするときには、操作釦(図示せず)を操作して、強力な増量スチームを噴出してアイロン掛けを行うことができる。
【0045】
掛け面部材4に施したフッ素コーティング51のさらにトップコートとして、グラフィック52施したことにより、グラフィック52によって形成される凸部53が布地などの対象物と線接触となり、対象物に掛け面部材4を当接させた場合の摩擦面積が減少する。したがって、使用者がアイロン掛けをする際に、掛け面部材4を対象物に当接させたままの状態で滑らせた場合の対象物との摩擦力を軽減することができる。その結果、滑りが良くなるため、手首への負担を軽減することができる。
【0046】
また、掛け面にグラフィック52を施すことにより、従来からあるアイロンとの外観上の差別化を図ることができ、デザイン性に優れたアイロンを提供することができる。
【0047】
さらに、グラフィック52の材料として、掛け面部材4にコーティングしている材料と同じフッ素を使用することにより、掛け面部材4のコーティングと、トップコートであるグラフィック52との密着性が向上する。したがって、アイロンの繰り返し使用によってもグラフィック52が剥がれることがないので、品質を向上することができる。
【0048】
以上のように、本実施例は請求項1に対応しており、加熱手段2によって加熱されるベース3と、前記ベース3の下面に設けられ、フッ素コーティング51を施した掛け面部材4とを備え、前記フッ素コーティング51の上に前記フッ素コーティングと同じ材料でグラフィック52を施したことにより、低コストで、手首への負担を軽減するとともに従来のアイロンと外観上の差別化を図ることができる。
【実施例2】
【0049】
次に、本発明の第2実施例におけるアイロンを図6〜図8に基づき説明する。なお、上記第1実施例と同一部分には同一符号を付し、その共通する箇所の説明は重複するため省略する。また作用についても、第1実施例と同じ作用については説明を省略する。
【0050】
気化室6を有するベース3の上方に、水を収容するタンク55が取付けられる。タンク55の底部の排水口56は、通水継手57により、送液装置たるポンプ58の入水口59に接続される。ポンプ58には、例えば電磁ポンプが用いられる。ポンプ58の吐出口60は、継手チューブ61により、切替弁62の入水口63へ繋がれる。切替弁62は2つの出水口64,65を有し、一方の出水口64は、継手チューブ66によってスチーム機構67の気化室6に接続される。もう一方の出水口65は、継手チューブ68によってミスト機構69に接続される。切替弁62はスチーム用通水路70およびミスト用通水路71を備える。切替弁62が図7の位置にあるときには、スチーム用通水路70が切替弁62の入水口63と出水口64とを繋ぎ、ポンプ58からの水がスチーム機構67の気化室6へ送水されるようになっている。一方、切替弁62が図8の位置にあるときには、ミスト用通水路71が切替弁の入水口63と出水口65とを繋ぎ、ポンプ58からの水がミスト機構69へ送水されるようになっている。
【0051】
75はタンク55の上方に設けられたスチームミスト切替スイッチであり、このスチームミスト切替スイッチ75による制御部(図示せず)からの切替信号により、切替弁62の電動動作が行われ、スチーム機構67の気化室6へ送水する位置(図7)とミスト機構69へ送水する位置(図8)とが切替えられるようになっている。スチーム機構67は、ポンプ58から気化室6へ送水された水が気化室で蒸気になり、ベース3底部のスチーム孔7からスチームを噴出するものである。ミスト機構69は、タンク55の内部の水をミストとして噴出させるミスト噴出用の孔を設けたミストノズル(図示せず)を有し、このミストノズルにより、孔から微小なミスト粒子を霧状に噴出するものである。
【0052】
上記構成により、1つのポンプ58でスチーム機能およびミスト機能の両者を構成することができる。ポンプ58によってミストを噴出できるようにすることで、従来の手動のピストンによるミスト機構に比べて小型化することができ、また、軽い力でミストを噴出することができる。
【0053】
以上のように、本実施例は請求項2に対応しており、加熱手段2によって加熱されるベース3と、前記ベース3に形成される気化室6と、前記気化室6に供給される液体を貯えるタンク55と、前記タンク55の液体を送水するポンプ58と、前記ポンプ58から送水される液体を霧化するミスト機構69と、前記ポンプ58から送水される液体を前記気化室6または前記ミスト機構69へと切替える切替弁62とを備えることにより、1つのポンプ58でスチーム機能およびミスト機能の両者を実現することができる。
【実施例3】
【0054】
次に、本発明の第3実施例におけるアイロンを図9に基づき説明する。なお、上記第1実施例と同一部分には同一符号を付し、その共通する箇所の説明は重複するため省略する。また作用についても、第1実施例と同じ作用については説明を省略する。
【0055】
81は、ベース3の上部に配置される断熱材であり、カバー8で覆われることにより、アイロン本体1の内部から飛び出さないようになっている。すなわち、ベースからの放熱量を抑える断熱材81が、ベース3とカバー8との間に配置されている。
【0056】
こうした断熱材81には、グラスウールを使用することができる。アイロンが使用される際、ベース3周辺の温度は約200℃の雰囲気に曝される。したがって、断熱材には耐熱温度の高いものを使用しなければならない。耐熱温度の高いものは、一般的に高価であるが、グラスウールであれば、安価に断熱性および耐熱温度の条件を満たすことができる。
【0057】
上記構成により、ベース3からの放熱量が断熱材81により抑えられるため、ベース3の温度低下を遅延させることができる。その結果、増量スチーム使用回数およびスチーム持続時間を増やすことができ、給電する回数が減ることから、省エネルギー化を実現することができる。また、断熱材81にグラスウールを使用することで、アイロン本体1の重量がほとんど増加することがないので、増量スチーム使用回数およびスチーム持続時間を増やすとともに、手首に負担がなく、使い勝手の良いアイロンを低コストで提供することができる。
【0058】
以上のように、本実施例は請求項3に対応しており、加熱手段2によって加熱されるベース3と、前記ベース3の上部に設けられるカバー8とを備え、前記ベース3と前記カバー8との間に断熱材を配置したことにより、使い勝手が良く、かつ簡単な構成で増量スチームの回数やスチームの持続時間を増やすことができる。
【0059】
また、本実施例は請求項4に対応しており、前記断熱材81の材質をグラスウールとしたことにより、手首に負担がなく、使い勝手の良いアイロンを低コストで提供することができる。
【0060】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば、実施例では着脱式のカセットタンク10について説明しているが、上記ロック機構を備えていない固定式の水タンクであってもよい。また、水タンクを備えていないドライ専用のアイロンであってもよい。また、本発明はコードレスアイロンおよびコード付きのアイロンのいずれにも適用できるものである。
【符号の説明】
【0061】
3 ベース
4 掛け面部材
6 気化室
8 カバー
51 フッ素コーティング
52 グラフィック
55 タンク
58 ポンプ
69 ミスト機構
62 切替弁
81 断熱材(グラスウール)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱手段によって加熱されるベースと、
前記ベースの下面に設けられ、フッ素コーティングを施した掛け面部材とを備え、
前記フッ素コーティングの上に前記フッ素コーティングと同じ材料でグラフィックを施したことを特徴とするアイロン。
【請求項2】
加熱手段によって加熱されるベースと、
前記ベースに形成される気化室と、
前記気化室に供給される液体を貯えるタンクと、
前記タンクの液体を送水するポンプと、
前記ポンプから送水される液体を霧化するミスト機構と、
前記ポンプから送水される液体を前記気化室または前記ミスト機構へと切替える切替弁とを備えることを特徴とするアイロン。
【請求項3】
加熱手段によって加熱されるベースと、
前記ベースの上部に設けられるカバーとを備え、
前記ベースと前記カバーとの間に断熱材を配置したことを特徴とするアイロン。
【請求項4】
前記断熱材の材質をグラスウールとしたことを特徴とする請求項3に記載のアイロン。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−40295(P2012−40295A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186101(P2010−186101)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(390010168)東芝ホームテクノ株式会社 (292)
【Fターム(参考)】