説明

アクティブタグ装置

【課題】内蔵電池による受信回路への電力供給を制限することで、内蔵電池の省電力化を図ったアクティブタグ装置を提供する。
【解決手段】アクティブタグ装置は、アンテナ(例えば、LFアンテナ)を介して外部の電波発生源(例えば、読取装置)から信号を受信する受信回路(例えば、LF信号受信回路)と、内蔵電池から電力供給を受けて前記受信回路が受信動作する動作期間と内蔵電池から電力供給を受けない休止期間とを繰り返すように制御する電力制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブタグ装置に関し、特に、消費電力低減の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アクティブタグ装置は認証等を行うために、常時、内蔵電池からの電力供給を受けている。この内蔵電池は、タグ内に樹脂等で埋設されていて容易に交換することができないので、内蔵電池の寿命がタグの寿命に直結することとなる。そのため、内蔵電池の長寿命化が強く要請されている。
内蔵電池の長寿命化を図るための技術として、例えば、特許文献1の技術が知られている。特許文献1に記載のアクティブタグ装置は、LF(Low Frequency)帯の信号を受信するための受信回路とUHF(Ultra High Frequency)帯の信号を送受信するための送受信回路とを備えている。このアクティブタグ装置は、受信回路によりLF帯の起動信号を受信すると、送受信回路を用いて自装置のIDの送信及び当該送信に対するACK信号の受信を開始し、ACK信号を受信している間は、自装置のIDを送信し続ける。そして、ACK信号が受信できなくなったときに、このアクティブタグ装置は、送受信回路を用いた送信を停止し、内蔵電池の電力消費を抑制した状態にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−077355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のアクティブタグ装置は、送受信回路による電力消費を低減することで内蔵電池の省電力化を実現しているものの、受信回路は常に内蔵電池からの電力供給を受け、電力を消費し続けている。
本発明は、係る問題に鑑みてなされたものであり、受信回路への電力供給を制限することで、内蔵電池の省電力化を図ったアクティブタグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明に係るアクティブタグ装置は、アンテナを介して外部から信号を受信する受信回路と、内蔵電池から電力供給を受けて前記受信回路が受信動作する動作期間と電力供給を受けない休止期間とを繰り返すように制御する電力制御手段とを備えることを特徴とする。
また、前記アクティブタグ装置は、前記アンテナをN個(N≧1)備え、前記受信回路は、前記動作期間に、前記アンテナ毎に一定時間Tcずつ受信信号の受信を試み、前記電力制御手段は、前記受信信号に含まれる同期信号の送信期間をTaとしたときに、前記休止期間の時間長TsをTs≦Ta−Tc(N+1)となるように決定することとしてもよい。
【0006】
ここで、前記アクティブタグ装置における前記電力制御手段は、前記休止期間の長さの変更が可能であることとしてもよい。
また、前記アクティブタグ装置は、更に、現在時刻が第一期間に属するかと第二期間に属するかとを識別する計時手段を備え、前記電力制御手段は、前記計時手段の識別結果が前記第一期間である場合は、前記休止期間をTsに設定し、前記計時手段の識別結果が前記第二期間である場合は、前記休止期間をTl(Ts<Tl)に設定することとしてもよい。
【0007】
また、前記アクティブタグ装置は、更に、自装置が所定のエリア内に存するか否かを判断するためのエリア情報を記憶する記憶手段を備え、前記電力制御手段は、前記エリア情報に基づき自装置が前記所定のエリア内に存すると判断されたときは、前記休止期間をTsに設定し、前記所定のエリア内にいないと判断されたときは前記休止期間をTl(Ts<Tl)に設定することとしてもよい。
【0008】
ここで、前記アクティブタグ装置における前記エリア情報は、所定のエリア内を示すエリア内識別子であり、外部の電波発生源が管理するエリアに入った場合において、前記電波発生源からの前記受信信号に含まれる前記電波発生源の識別子と前記エリア内識別子とが一致したときは、前記所定のエリア内にいると判断することとしてもよい。
ここで、更に、前記エリア情報は、所定のエリア外を示すエリア外識別子も含み、外部の電波発生源が管理するエリアに入った場合において、前記電波発生源からの前記受信信号に含まれる前記電波発生源の識別子と前記エリア外識別子とが一致したときは、前記所定のエリア内にいないと判断することとしてもよい。
【0009】
また、前記アクティブタグ装置における前記休止期間は、自装置への操作入力によって決定されることとしてもよい。
また、前記アクティブタグ装置におけるN個の前記アンテナが、直交座標系のx軸、y軸及びz軸にコイル軸芯を向けた3個のアンテナであることとしてもよい。
また、前記アクティブタグ装置は、前記アンテナをM個(M≧2)備え、前記受信回路は、前記動作期間毎に、M個のうちの1個の前記アンテナを順に用いて受信信号の受信を試み、前記電力制御手段は、前記動作期間を一定時間Tcとし、かつ前記受信信号に含まれる同期信号の送信期間をTaとしたときに、前記休止期間の時間長TssをTss≦{Ta−Tc(M+1)}/Mとなるように決定することとしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
上述の構成により、本発明に係るアクティブタグ装置は、受信回路にも休止期間を設けたことで、従来のアクティブタグ装置より更に内蔵電池の電力消費を抑制し、内蔵電池の長寿命化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態1に係る入退場管理システム1000の構成図
【図2】アクティブタグ装置200の機能構成を示すブロック図
【図3】質問信号及び応答信号のデータ構成を示す図
【図4】アクティブタグ装置200の認証に係る処理のフローチャート
【図5】アクティブタグ装置200の受信タイミングを示す図
【図6】アクティブタグ装置200の休止期間変更に係る処理のフローチャート
【図7】実施形態2に係る入退場管理システム1100の構成図
【図8】アクティブタグ装置500の機能構成を示すブロック図
【図9】アクティブタグ装置500の休止期間変更に係る処理のフローチャート
【図10】実施形態3に係るアクティブタグ装置600の機能構成を示すブロック図
【図11】アクティブタグ装置600の受信タイミングを示す図
【図12】アクティブタグ装置600の認証に係る処理を示すフローチャート
【図13】アクティブタグ装置600の休止期間変更に係る処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
≪実施形態1≫
以下、本発明の一実施形態に係るアクティブタグ装置について、入退場管理システムを例に説明する。
<概要>
図1は、入退場管理システム1000の構成図である。
【0013】
入退場管理システム1000は、ユーザの保持するアクティブタグ装置200と、アクティブタグ装置200への質問信号の送信及び質問信号に対するアクティブタグ装置200からの応答信号の受信を行う読取装置100A及び100Bとによって入退場管理を行っている。
アクティブタグ装置200は、ユーザがどのような向きでアクティブタグ装置200を保持していても質問信号の受信が行えるように、直交座標系のx軸、y軸及びz軸に対応する3軸のLFアンテナ201を備え、3軸のアンテナを順に切り替えて、質問信号の受信を行う。このとき、LFアンテナ201は、3軸のLFアンテナひとつ毎に順番に質問信号を受信する動作期間と、内蔵電池から電力供給を受けない休止期間とを繰り返すことで、内蔵電池の省電力化を図っている。
【0014】
更に、アクティブタグ装置200は、現在時刻が昼時間(例えば、8時から20時)か夜時間(例えば、20時から8時)かにより、休止期間の長さを変更する。これにより、昼時間、つまりアクティブタグ装置200のユーザがオフィス等にいると考えられる期間には、休止期間を短くすることでスムーズな入退場が可能となる。また、夜時間、つまりアクティブタグ装置200のユーザがオフィス等にいないと考えられる期間には、休止期間を長くすることで内蔵電池の消費をより低減することが可能となる。
【0015】
<構成>
図1に示す通り、入退場管理システム1000は、電気錠10と、読取装置100A及び100Bと、アクティブタグ装置200と、ゲートユニット300と、管理サーバ400とから構成されている。
各読取装置(100A及び100B)とゲートユニット300とはケーブル(例えば、RS−485規格に準拠したもの)により接続されている。また、ゲートユニット300と電気錠10とはケーブルにより接続されており、ゲートユニット300と管理サーバ400とはLAN(Local Area Network)を介して接続されている。
【0016】
同図では、1台のアクティブタグ装置200のみを例示しているが、入退場管理システム1000のユーザそれぞれがアクティブタグ装置を保持しており、入退場管理システム1000は複数のアクティブタグ装置を備える。
ここで、電気錠10は、管理領域1に対する入退場を行うための扉等(不図示)に取り付けられており、通常はその扉等を施錠しており、ゲートユニット300からの指示を受けて、扉等を解錠する。管理領域1は、入退場管理システム1000により入場或いは退場を制御されている領域である。
【0017】
また、読取装置100A及び100Bは、それぞれ上記管理領域1の外側及び内側の上記扉等の付近に設置されており、自装置のIDを含む質問信号をLF帯(30〜300kHz)、例えば135kHzの信号にて繰り返し送信する。また、各読取装置(100A及び100B)は、アクティブタグ装置200から応答信号を受信し、その応答信号に含まれる送信元のアクティブタグ装置200のIDと自装置のID(以下、「読取装置ID」という)とをゲートユニット300に送信する。
【0018】
なお、質問信号はLF帯にて送信されるため、この質問信号を受信可能なエリアの範囲は比較的狭い範囲に限られ、ここでは、障害物がない状態で各読取装置(100A及び100B)から1.5m程度以内の範囲であるものとする。
各読取装置(100A及び100B)は、同一の構成、機能を有するため、以下、読取装置100Aを用い、説明を行う。
【0019】
アクティブタグ装置200は、直交座標系のx軸(LFアンテナ201x)、y軸(LFアンテナ201y)及びz軸(LFアンテナ201z)に対応する3軸のLFアンテナ201を備える(図2参照)。アクティブタグ装置200は、このLFアンテナ201x、201y、201zを順に切り替え、いずれかのLFアンテナ(201x、201y又は201z)を介して読取装置100Aが送信する質問信号を受信し、応答信号を送信する。なお、アクティブタグ装置200は、この応答信号には、自装置のID(以下、「アクティブタグ装置ID」という)を含ませて送信する。また、応答信号は、UHF帯(300MHz〜3GHz)にて送信されるため、この応答信号を受信可能なエリアは比較的広い範囲となり、ここでは、障害物がない状態でアクティブタグ装置200から20m程度の範囲であるものとする。
【0020】
ゲートユニット300は、読取装置(100A及び100B)毎に管理領域1に対して入場或いは退場が可能な各アクティブタグ装置のアクティブタグ装置IDのリストを保持している。ゲートユニット300は、各読取装置(100A及び100B)より受信した読取装置IDとアクティブタグ装置IDとに基づいて、アクティブタグ装置を保持するユーザの入退場に係る認証を行う。また、ゲートユニット300は、認証が成功した場合に、受信した読取装置IDが示す読取装置(100A又は100B)と対応する扉等に設置された電気錠10にその扉等の解錠を行わせる。
【0021】
管理サーバ400は、入退場管理システム1000全般の管理を行い、特に、ゲートユニット300の保持する読取装置(100A及び100B)毎の入場或いは退場が可能な各アクティブタグ装置のアクティブタグ装置IDのリストを更新する。具体的には、管理サーバ400は、入退場管理システム1000の管理者等によるリストの更新を受け付け、更新されたリストをゲートユニット300に送信する。
【0022】
以下、アクティブタグ装置200の構成について更に詳しく説明する。
<アクティブタグ装置200>
図2は、実施形態1に係るアクティブタグ装置200の主要部の機能構成を示すブロック図である。
アクティブタグ装置200は、同図に示す通り、LFアンテナ201、LF信号受信回路202、RF信号送信回路203、制御部204、内蔵電池205、タイマ206及び電力制御部207を備える。
【0023】
なお、アクティブタグ装置200は、メモリ及びプロセッサ(不図示)を含んで構成されており、制御部204の機能は、上記メモリに記憶されているプログラムを上記プロセッサが実行することにより実現される。
LFアンテナ201は、直交座標系のx軸、y軸及びz軸それぞれにコイル軸芯を向けた、LFアンテナ201x、LFアンテナ201y及びLFアンテナ201zの3軸のLFアンテナを備える。読取装置100Aからの質問信号は、いずれかのLFアンテナ(201x、201y又は201z)を介して受信される。
【0024】
LF信号受信回路202は、フィルタ、アンプ、カウンタ等(不図示)を含み、カウンタに基づき一定時間毎にLFアンテナ(201x、201y及び201z)を順に切り替えて読取装置100Aからの質問信号の受信を試みる。また、LF信号受信回路202は、LFアンテナ201を介して質問信号を受信したときに、電力制御部207に対し通知を行い、受信した質問信号を制御部204に伝達する。なお、カウンタは、水晶振動子等を用いた発信回路により発生させたクロックパルスに基づきカウントアップを行い、カウント可能な最大値までカウントするとリセットし、再度カウントアップを行う。
【0025】
RF信号送信回路203は、同図に示すRFアンテナの他、フィルタ、アンプ等(不図示)を含み、制御部204から伝達された応答信号をRF帯の無線信号として送信する。
制御部204は、アクティブタグ装置200全体を制御する他、質問信号を受信した場合に、その質問信号に含まれている読取装置IDと自装置のアクティブタグIDとを含む応答信号を生成し、RF信号送信回路203を介して送信する。なお、制御部204は、応答信号を送信したときに、電力制御部207に対し通知を行う。
【0026】
内蔵電池205は、アクティブタグ装置200の各部に対し電力供給を行う。
タイマ206は、現在時刻が、設定されている昼時間から夜時間に遷移したとき、及び夜時間から昼時間に遷移したときに、電力制御部207に対して通知を行う。タイマ206に設定されている昼時間及び夜時間は、アクティブタグ装置200の製造時に予め設定されているものとする。
【0027】
電力制御部207は、スイッチ、カウンタ等(不図示)を含み、カウンタに基づき、アクティブタグ装置200の各部に対する内蔵電池205による電力供給を、スイッチを用い制御する。
電力制御部207がLF信号受信回路202に対し電力供給する動作期間は、各LFアンテナ(201x、201y、201z)が質問信号の受信を試みる受信期間にアンテナの数を掛けた値で設定されている。電力制御部207は、カウンタに基づき、動作期間の間は、LF信号受信回路202に電力を供給し、設定されている休止期間(後述)の間は、LF信号受信回路202への電力供給を停止する。
【0028】
なお、電力制御部207は、LF信号受信回路202より質問信号を受信した旨の通知を受けたときは、RF信号送信回路203及び制御部204に電力を供給する。制御部204より応答信号を送信した旨の通知を受けたときには、LF信号受信回路202、RF信号送信回路203及び制御部204への電力供給を停止する。
また、電力制御部207は、タイマ206により通知を受けたときに休止期間の長さを変更する。電力制御部207は、タイマ206により昼時間に遷移したことを通知されたときは、休止期間を短く、例えばTs(数ミリ秒)に設定し、夜時間に遷移したことを通知されたときには、休止期間を長く、例えばTl(Ts<Tl)に設定する。
【0029】
<データ>
以下、入退場管理システム1000において、使用されるデータについて説明する。
<質問信号>
まず、読取装置100Aが生成し送信する質問信号について説明する。
図3(a)は、質問信号のデータ構成を示す図である。
【0030】
質問信号は、同図に示すように、CW(Continuous Wave)21、UW(Unique Word)22、読取装置ID23及びCRC24から構成される。
ここで、CW21は、質問信号のデータの始まりを示す無変調連続波であり、UW22は、いわゆるフレーム同期信号である。
読取装置ID23は、質問信号の送信元である読取装置100Aの識別情報である。
【0031】
また、CRC24は、質問信号を受信したアクティブタグ装置200が質問信号に誤りが発生しているか否かを検出するためのデータである。
<応答信号>
次に、アクティブタグ装置200が生成し送信する応答信号について説明する。
図3(b)は、応答信号のデータ構成を示す図である。
【0032】
応答信号は、同図に示すように、CW31、UW32、読取装置ID33、アクティブタグ装置ID34及びCRC35から構成される。
ここで、CW31は、応答信号のデータの始まりを示す無変調連続波であり、UW32は、いわゆるフレーム同期信号である。
読取装置ID33は、受信した質問信号に含まれていた読取装置(100A又は100B)の識別情報であり、アクティブタグ装置ID34は、自装置の識別情報である。
【0033】
また、CRC35は、応答信号を受信した読取装置(100A又は100B)が応答信号に誤りが発生しているか否かを検出するためのデータである。
<動作>
以下、アクティブタグ装置200の動作を説明する。
まず、アクティブタグ装置200の認証に係る処理について説明する。
【0034】
図4は、アクティブタグ装置200の認証に係る処理を示すフローチャートである。
まず、アクティブタグ装置200の電力制御部207は、内蔵電池205からLF信号受信回路202への電力供給を行う(ステップS1)。LF信号受信回路202は電力供給を受けると、質問信号を受信するために、LFアンテナ毎に受信を行う。つまり、LFアンテナ201xでの質問信号の受信(ステップS2)、LFアンテナ201yでの質問信号の受信(ステップS3)、LFアンテナ201zでの質問信号の受信(ステップS4)を行う。いずれのLFアンテナ(201x、201y及び201z)でも質問信号を受信できなかった場合(ステップS2:NO、S3:NO、S4:NO)、電力制御部207は、内蔵電池205からLF信号受信回路202への電力供給を停止する(ステップS5)。また、電力制御部207は、設定されている休止期間が経過した後に(ステップS6:YES)、質問信号を受信するまでステップS1からステップS6までの処理を繰り返す。
【0035】
LF信号受信回路202は、LFアンテナ201x〜201zのいずれかで質問信号のCW21を受信した場合は(ステップS2:CW受信、S3:CW受信又はS4:CW受信)、ステップS7の処理を行う。即ち、CW21を受信したLFアンテナ(201x、201y又は201z)を用いて同期をとり、質問信号のCW21以降のデータを受信する(ステップS7)。LF信号受信回路202は、質問信号受信後、電力制御部207に対し通知を行う(ステップS8)。この通知を受けた電力制御部207は、内蔵電池205からRF信号送信回路203及び制御部204への電力供給を行う(ステップS9)。その後、制御部204は、応答信号を生成し、RF信号送信回路203を介して応答信号を送信し(ステップS10)、電力制御部207へ応答信号の送信が終了したことを通知する。電力制御部207はこの通知を受けると、内蔵電池205からLF信号受信回路202、RF信号送信回路203及び制御部204への電力供給を停止する(ステップS11、S12)。
【0036】
その後、読取装置100Aが応答信号を受信し、その応答信号に含まれていた読取装置IDとアクティブタグ装置IDとをゲートユニット300に送信し、ゲートユニット300による認証が成功すると、電気錠10が解錠され、入場が可能となる。
ここで、アクティブタグ装置200の動作期間について説明する。
図5(a)は、アクティブタグ装置200の昼時間における受信タイミングを示す図である。
【0037】
同図に示す時刻T1から時刻T4は、動作期間を示しており、この動作期間において、アクティブタグ装置200は、上述した図4のステップS1からステップS4の処理を行う。
即ち、動作期間の間、電力制御部207は、内蔵電池205からLF信号受信回路202への電力供給を行う。電力供給を受けたLF信号受信回路202は、LFアンテナ201x、201y、201zを順に切り替え、LFアンテナ(201x、201y及び201z)毎に一定時間Tcずつ受信を行う。つまり、時刻T1から時刻T2まではLFアンテナ201xでの質問信号の受信、時刻T2から時刻T3まではLFアンテナ201yでの質問信号の受信、時刻T3から時刻T4まではLFアンテナ201zでの質問信号の受信を行う。
【0038】
時刻T4から時刻T5は、昼時間における休止期間を示しており、この休止期間において、アクティブタグ装置200は、上述した図4のステップS5及びS6の処理を行う。即ち、休止期間の間、電力制御部207は、内蔵電池205からLF信号受信回路202への電力供給を停止する。
その後、アクティブタグ装置200は、質問信号を受信するまで、LF信号受信回路202が電力供給を受ける動作期間と電力供給を受けない休止期間とを繰り返す。
【0039】
ここで、アクティブタグ装置200の休止期間について説明する。
アクティブタグ装置200を保持しているユーザが管理領域1(例えば、オフィス等)にいると考えられる昼時間においてはスムーズな入退場を実現するために、迅速に認証を行う必要がある。しかし、どのタイミングで質問信号を受信可能なエリアに入るか分からないため、読取装置100AがCW21送信中に、各LFアンテナ(201x、201y及び201z)での受信を少なくとも1回ずつは行う必要がある。
【0040】
CW21送信中に、各LFアンテナ(201x、201y及び201z)での受信を少なくとも1回ずつ行うためには、読取装置100AがCW21を送信する期間の時間長Taの間に、LFアンテナ(201x、201y及び201z)毎の受信が、例えば、4回行えるように設定する必要がある。
もし仮に、受信回数を、各LFアンテナ(201x、201y及び201z)の数と同じ値である3回に設定したとすると、休止期間の時間長Tsは、時刻T4から時刻T6までの長さとなり、LFアンテナ201xでの受信は、時刻T6から時刻T7まで行われることになる。その場合において、もしも、時刻T1と時刻T2との間からTaが開始されたとすると、Taは時刻T6と時刻T7との間で終了することになるため、LFアンテナ201xでの受信が十分に行えなくなってしまう。そのため、昼時間における休止期間の時間長Tsは、Ts≦Ta−4Tcを満たすように決定され、ここでは最も省電力効果が高くなるようにTs=Ta−4Tcとしている。これにより、いずれのタイミングでアクティブタグ装置200が質問信号を受信可能なエリアに入っても各LFアンテナ(201x、201y及び201z)での受信を少なくとも1回ずつは行うことができる。従って、アクティブタグ装置200は、休止期間があっても迅速な認証が可能となる。
【0041】
図5(b)は、アクティブタグ装置200の夜時間における受信タイミングを示す図である。夜時間における休止期間の時間長Tlは、認証の必要が少ないと考えられる夜時間に設定される休止期間の時間長であるため、CW21については考慮せず、例えば、休止期間の時間長Ts(数ミリ秒)の10倍の長さ等でもよい。
次に、アクティブタグ装置200の休止期間の変更に係る処理について説明する。
【0042】
図6は、アクティブタグ装置200の休止期間の変更に係る処理を示すフローチャートである。
電力制御部207は、タイマ206により、予め定められた昼時間から夜時間に遷移したことを通知されたときに(ステップS21:YES、S22:夜時間)、休止期間をTlに設定する(ステップS23)。一方、電力制御部207は、タイマ206により夜時間から昼時間に遷移したことを通知されたときには(ステップS22:昼時間)、休止期間をTsに設定する(ステップS24)。
【0043】
≪実施形態2≫
実施形態1では、アクティブタグ装置200が、現在時刻が昼時間であるか夜時間であるかによって、休止期間の長さを決定する例を説明した。実施形態2では、アクティブタグ装置が所定のエリア内に存するか、つまりアクティブタグ装置を保持しているユーザが、認証を必要とするエリア内にいるか否かにより、休止期間の長さを決定する例を説明する。
【0044】
<構成>
実施形態2に係る入退場管理システム1100は、図7に示す通り、電気錠10〜12と、読取装置100A〜100Fと、ゲートユニット300と、管理サーバ400と、アクティブタグ装置500とから構成されている。
読取装置100C〜100Fとゲートユニット300とは、読取装置100A及び100Bと同様に、ケーブル(例えば、RS−485規格に準拠したもの)により接続されている。また、ゲートユニット300と電気錠11及び12とは、電気錠10と同様に、ケーブルにより接続されている。
【0045】
入退場管理システム1100は、実施形態1で説明した管理領域1の他に、管理領域2及び3に対する入退場管理を行う。
管理領域1及び2は、例えば、あるオフィス内の異なる部屋であり、管理領域3は、例えば、このオフィスが入居しているビルである。
ここで、電気錠11は、管理領域2に対する入退場を行うための扉等(不図示)に取り付けられており、電気錠12は、管理領域3に対する入退場を行うための扉等(不図示)に取り付けられている。電気錠11及び12は、電気錠10と同様に、通常はその扉等を施錠しており、ゲートユニット300からの指示を受けて、扉等を解錠する。
【0046】
また、読取装置100C及び100Dは、上記管理領域2の外側及び内側の扉等の付近に設置されており、読取装置100E及び100Fは、上記管理領域3の外側及び内側の扉等の付近に設置されている。読取装置100C、100D、100E及び100Fは読取装置100Aとそれぞれ同一の構成、機能を有するため、その構成の説明は省略する。
また、ゲートユニット300及び管理サーバ400についても、実施形態1で説明したため、ここでは説明を省略する。
【0047】
<アクティブタグ装置500>
図8は、アクティブタグ装置500の主要部の機能構成を示すブロック図である。
アクティブタグ装置500は、同図に示す通り、LFアンテナ201、LF信号受信回路202、RF信号送信回路203、内蔵電池205、記憶部501、制御部504及び電力制御部507を備える。
【0048】
LFアンテナ201、LF信号受信回路202、RF信号送信回路203及び内蔵電池205は、アクティブタグ装置200と同一であるため、ここでの説明は省略する。
ここで、記憶部501は、認証を必要とするエリア内にいるか否かを判断するためのエリア内ID及びエリア外IDを記憶するためのメモリ領域である。
ここでは、エリア内IDは、管理領域3の外側(この例では、ビルの入り口の外側)に設置されている読取装置(この例では、100E)の読取装置IDであるものとする。また、エリア外IDは、管理領域3の内側(この例では、ビルの入り口の内側)に設置されている読取装置(この例では、100F)の読取装置IDであるものとする。エリア内ID及びエリア外IDは、アクティブタグ装置500の運用開始時において、入退場管理システム1000の管理者等により予め記憶部501に記憶されているものとする。
【0049】
制御部504は、制御部204の動作に加え、受信した質問信号に含まれている読取装置IDと記憶部501が記憶しているエリア内ID及びエリア外IDとが一致するか否かを判定する。
また、電力制御部507は、基本的には、実施形態1に係る電力制御部207と同様の機能を有するが、休止期間の長さを制御部504の判定結果に応じて変更する点で電力制御部207とは異なる。具体的には、電力制御部507は、制御部504により、読取装置IDとエリア内IDとが一致した旨の判定がなされた場合には、休止期間をTsに設定する。また、電力制御部507は、制御部504により、読取装置IDとエリア外IDとが一致した旨の判定がなされなかった場合には、休止期間をTlに設定する。
【0050】
<データ>
質問信号及び応答信号は、実施形態1と同一の構成のため、ここでは説明を省略する。
<動作>
アクティブタグ装置500の認証に係る処理は、図4に示すフローと同一であるためここでは説明を省略し、休止期間の変更に係る処理のみ説明する。
【0051】
図9は、アクティブタグ装置500の休止期間の変更に係る処理のフローチャートである。
アクティブタグ装置500の制御部504は、LFアンテナ201を介して質問信号を受信すると(ステップS31)、受信した質問信号に含まれる読取装置IDと記憶部501に記憶しているエリア外IDとが一致するか否か判定する(ステップS32)。
【0052】
制御部504は、読取装置IDとエリア外IDとが一致した場合(ステップS32:YES)、この判定結果を電力制御部507に通知する。この通知を受けた電力制御部507は、休止期間をTlに設定する(ステップS33)。読取装置IDとエリア外IDとが一致した場合、アクティブタグ装置500を保持するユーザが、認証が必要なエリア(つまり、管理領域3)の外にいると判定でき、認証の必要が少ないと考えられる。従って、内蔵電池の消費をより低減すべく、休止期間の時間長をより長くするものである。
【0053】
一方、制御部504は、読取装置IDとエリア外IDとが一致しなかった場合(ステップS32:NO)、読取装置IDがエリア内IDと一致するか否か判定する(ステップS34)。制御部504は、読取装置IDがエリア内IDと一致した場合(ステップS34:YES)は、休止期間をTsに設定する(ステップS35)。休止期間をTsに設定するのは、読取装置IDとエリア内IDとが一致した場合、アクティブタグ装置500を保持するユーザが、認証が必要なエリア(つまり、管理領域3)の中にいると判定でき、迅速に認証を行う必要があるためである。
【0054】
これにより、アクティブタグ装置500を保持するユーザがオフィス等にいるときは、休止期間を短くすることで迅速な認証が可能となり、オフィス等にいないときは、休止期間を長くすることで内蔵電池の消費をより低減することができる。
≪実施形態3≫
実施形態1及び2では、アクティブタグ装置(200、500)のLF信号受信回路202は、動作期間毎に、3軸のLFアンテナ(201x、201y及び201z)全てを順に用いて質問信号の受信を試みる例を説明した。
【0055】
実施形態3では、LF信号受信回路が、動作期間毎に、3軸のLFアンテナ(201x、201y及び201z)のうちの1軸のLFアンテナを順に用いて質問信号の受信を試みる例を、実施形態1との相違点を中心に説明する。
<構成>
実施形態3に係る入退場管理システムは、実施形態1に係る入退場管理システム1000のアクティブタグ装置200に代えて、アクティブタグ装置600を備える点で異なる。電気錠10、各読取装置(100A及び100B)、ゲートユニット300及び管理サーバ400の構成は実施形態1で説明した通りである。従って、ここでは、アクティブタグ装置600の構成を説明する。
【0056】
<アクティブタグ装置600>
図10は、実施形態3に係るアクティブタグ装置600の主要部の機能構成を示すブロック図である。
アクティブタグ装置600は、同図に示す通り、LFアンテナ201、RF信号送信回路203、制御部204、内蔵電池205、タイマ206、LF信号受信回路602及び電力制御部607を備える。
【0057】
LFアンテナ201、RF信号送信回路203、制御部204、内蔵電池205及びタイマ206は、アクティブタグ装置200と同一であるため、ここでの説明は省略する。
ここで、LF信号受信回路602は、基本的には、実施形態1に係るLF信号受信回路202と同様の機能を有するが、以下の点で、LF信号受信回路202とは異なる。即ち、LF信号受信回路602は、動作期間毎に、3軸のLFアンテナ(201x、201y及び201z)のうちの1軸のLFアンテナ(201x、201y又は201z)を順に用いて、読取装置100Aからの質問信号の受信を試みる。
【0058】
また、電力制御部607は、基本的には、実施形態1に係る電力制御部207と同様の機能を有するが、設定する動作期間及び休止期間の長さが電力制御部207とは異なる。
ここで、アクティブタグ装置600の動作期間と休止期間とについて説明する。
図11(a)は、アクティブタグ装置600の昼時間における受信タイミングを示す図である。
【0059】
同図に示す時刻T11から時刻T12、時刻T13から時刻T14及び時刻T15から時刻T16は、それぞれ動作期間を示している。実施形態3における動作期間の時間長は、実施形態1において各LFアンテナ(201x、201y及び201z)が質問信号の受信を試みる受信期間の時間長Tcと等しい。
LF信号受信回路602は、動作期間毎に、3軸のうちの1軸のLFアンテナ(201x、201y又は201z)を順に用いて質問信号の受信を行う。つまり、時刻T11から時刻T12まではLFアンテナ201xで、時刻T13から時刻T14まではLFアンテナ201yで、時刻T15から時刻T16まではLFアンテナ201zで、時刻T17から時刻T18までは再びLFアンテナ201xで質問信号の受信を行う。
【0060】
また、時刻T12から時刻T13、時刻T14から時刻T15及び時刻T16から時刻T17は、それぞれ昼時間における休止期間を示している。実施形態3の昼時間における休止期間の時間長Tssは、Tss≦(Ta−4Tc)/3を満たすように決定される。これは、実施形態1で説明したように、昼時間においては迅速に認証を行えるように、CW21送信中に、各LFアンテナ(201x、201y及び201z)での受信を少なくとも1回ずつ行うようにするためである。ここでは最も省電力効果が高くなるようにTss=(Ta−4Tc)/3としている。即ち、実施形態3の昼時間における休止期間の時間長Tssは、実施形態1の昼時間における休止期間の時間長Ts/3と等しい。
【0061】
図11(b)は、アクティブタグ装置600の夜時間における受信タイミングを示す図である。夜時間における休止期間の時間長Tlsは、認証の必要が少ないと考えられる夜時間に設定される休止期間の時間長であるため、CW21については考慮せず、例えば、昼時間における休止期間の時間長Tssの数倍の長さ等でもよい。
<データ>
質問信号及び応答信号は、実施形態1と同一の構成のため、ここでは説明を省略する。
【0062】
<動作>
以下、アクティブタグ装置600の動作を説明する。
まず、アクティブタグ装置600の認証に係る処理について説明する。
図12は、アクティブタグ装置600の認証に係る処理を示すフローチャートである。
アクティブタグ装置600の認証に係る処理は、同図に示すように、実施形態1に係るアクティブタグ装置200の認証に係る処理(図4参照)のステップS2〜S4の処理に代えて、ステップS41の処理を行うものである。従って、ステップS41の処理を中心に説明する。
【0063】
LF信号受信回路602は電力供給を受けると(ステップS1)、3軸のうちの対象軸のLFアンテナで質問信号の受信を試みる(ステップS41)。ここで、対象軸とは、3軸(x軸、y軸及びz軸)のうちの1軸のことをいう。動作期間毎に、3軸のLFアンテナ(201x、201y及び201z)のうちの1軸のLFアンテナを順に用いて質問信号の受信を試みるために、ステップS41の処理が実行される毎に、対象軸は、x軸、y軸、z軸の順で切り替えられる。即ち、ステップS41の処理が、最初に実行されるときにはLFアンテナ201xで、2回目に実行されるときにはLFアンテナ201yで、3回目に実行されるときにはLFアンテナ201zで、4回目に実行されるときには再びLFアンテナ201xでというように、質問信号の受信を行う。
【0064】
対象軸のLFアンテナ(201x、201y又は201z)で質問信号を受信できなかった場合に(ステップS41:NO)、電力制御部607は、内蔵電池205からLF信号受信回路602への電力供給を停止する(ステップS5)。また、電力制御部607は、設定されている休止期間が経過した後に(ステップS6:YES)、対象軸のLFアンテナ(201x、201y又は201z)で質問信号を受信するまで、ステップS1、S41、S5及びS6の処理を繰り返す。
【0065】
LF信号受信回路602が、対象軸のLFアンテナ(201x、201y又は201z)で質問信号のCW21を受信した場合は(ステップS41:CW受信)、ステップS7〜S12の処理を行う。ステップS7〜S12の処理は実施形態1で説明した通りであるため、ここでは説明を省略する。
このように、実施形態3に係るアクティブタグ装置600によれば、M(この例ではM=3)個のうちの1個のアンテナでの受信毎に休止期間が取られるので、アクティブタグ装置600の周囲の環境の変化により、質問信号が受信できなくなる可能性を低減できる。この結果として、迅速に認証を行うことができ、スムーズな入退場を実現できる。
【0066】
ここで、周囲の環境の変化とは、質問信号に干渉する信号(ノイズ)が発生した場合や、アクティブタグ装置600を保持するユーザが移動することで、読取装置100Aからの距離が質問信号を受信できない程度に離れてしまうことが一例として挙げられる。
次に、アクティブタグ装置600の休止期間の変更に係る処理について説明する。
図13は、アクティブタグ装置600の休止期間の変更に係る処理を示すフローチャートである。
【0067】
アクティブタグ装置600の休止期間の変更に係る処理は、同図に示すように、実施形態1に係るアクティブタグ装置200の休止期間の変更に係る処理(図6参照)のステップS23及びS24の処理に代えて、ステップS51及びS52の処理を行うものである。従って、ステップS51及びS52の処理を中心に説明する。
電力制御部607は、タイマ206により、予め定められた昼時間から夜時間に遷移したことを通知されたときに(ステップS21:YES、S22:夜時間)、休止期間をTlsに設定する(ステップS51)。一方、電力制御部607は、タイマ206により夜時間から昼時間に遷移したことを通知されたときには(ステップS22:昼時間)、休止期間をTssに設定する(ステップS52)。
【0068】
<補足>
以上、本発明に係るアクティブタグ装置の実施形態を説明したが、例示したアクティブタグ装置を以下のように変形することも可能であり、本発明が上述の実施形態で示した通りのアクティブタグ装置に限られないことは勿論である。
(1)上述の各実施形態では、アクティブタグ装置(200、500、600)について入退場管理システムを例として説明したが、アクティブタグ装置(200、500、600)は、例えば、所在管理システムなど他のシステムに使われるものとしてもよい。
【0069】
(2)上述の実施形態1及び2では、動作期間において、LFアンテナ(201x、201y及び201z)を順に切り替え、LFアンテナ(201x、201y及び201z)毎に一定時間ずつ質問信号の受信を試みることとした。しかしながら、一定時間ずつではなくLFアンテナ(201x、201y及び201z)毎に異なる時間を設定してもよい。
【0070】
また、上述の実施形態1及び2では、電力制御部(207、507)が内蔵電池205からLF信号受信回路202への電力供給を行う動作期間は、LFアンテナ(201x、201y及び201z)毎に質問信号の受信を試みる受信期間にアンテナの数を掛けた値であることとした。しかしながら、これに限らず、例えば、動作期間は、受信期間にアンテナの数を掛けた値を2倍にした値とし、動作期間中にLFアンテナ(201x、201y及び201z)毎に2回ずつ質問信号の受信を試みることとしてもよい。また、このとき休止期間の時間長Tsは、Ts=Ta−Tc(2N+1)等としてもよい。
【0071】
(3)上述の各実施形態では、時間やエリアを使用し、休止期間の長さを決定したが、これに限らず、例えば、アクティブタグ装置(200、500、600)が外部からの入力を受け付けるボタン等を備え、ユーザが外部から休止期間の長さを切り替えられるようにしてもよい。
(4)上述の各実施形態では、x軸、y軸及びz軸の3つのLFアンテナ(201x、201及び201z)を備えることとしたが、3つに限らず、例えば1つでもよい。
【0072】
(5)上述の各実施形態では、いずれかのLFアンテナ(201x、201y又は201z)で質問信号に含まれるCW21を受信すると、そのLFアンテナを用いて質問信号のCW21以降のデータを受信することとした。しかしながら、先にCW21を受信したアンテナがあった場合でも全てのLFアンテナ(201x、201y及び201z)で受信を行い、最も強くCW21を受信したLFアンテナ(201x、201y又は201z)を用いて、以降のデータを受信することとしてもよい。
【0073】
(6)上述の実施形態1では、現在時刻が昼時間であれば休止期間をTsに設定し、夜時間であれば休止期間をTlに設定した。しかしながら、例えば、現在時刻が夜時間であれば休止期間をTsに設定し、昼時間であれば休止期間をTlに設定するものとしてもよい。同様に、実施形態3においても、現在時刻が昼時間であれば休止期間をTlsに設定し、夜時間であれば休止期間をTssに設定するものとしてもよい。また、実施形態1及び3の休止期間の決定基準は、昼時間と夜時間に限らず、例えば、計時手段が時間だけではなく日時を認識できるものであれば、休止期間の決定基準には、平日と休日とを用いてもよい。
【0074】
また、上述の実施形態3では、現在時刻が昼時間から夜時間に遷移したときに休止期間の時間長をTssからTlsに変更したが、現在時刻によって休止期間の時間長を変更することなく、休止期間の時間長を固定長Tss又はTlsとしてもよい。
また、上述の実施形態3では、上述の実施形態1と同様に時間を使用し、休止期間の時間長を決定したが、上述の実施形態2と同様にエリアを使用し、休止期間の時間長を決定してもよい。
【0075】
(7)上述の実施形態1及び3では、昼時間及び夜時間はアクティブタグ装置(200、600)の製造時にタイマ206に予め設定されているものとしたが、これに限らない。例えば、読取装置(100A及び100B)の送信する質問信号に昼時間と夜時間とが含まれていて、アクティブタグ装置(200、600)が質問信号を受信したときに、昼時間と夜時間とを設定する等、後から昼時間及び夜時間を設定するものとしてもよい。
【0076】
(8)上述の実施形態2では、オフィスのあるビルの内側を管理領域3の一例として説明し、アクティブタグ装置500を保持するユーザが、オフィスが入っているビル内にいるか否かで休止期間の変更を行った。しかしながら、ビルに限らず、例えば、ビル内の特定のエリア内にいるか否かで休止期間の変更を行ってもよい。
(9)上述の実施形態2では、受信した質問信号に含まれた読取装置IDがエリア外IDに一致するか否かを判定し、一致しなかった場合に、この読取装置IDがエリア内IDに一致するか否かの判定を行った。しかしながら、これに限らず、例えば、受信した質問信号に含まれた読取装置IDがエリア内IDに一致するか否かを先に判定することとしてもよい。
【0077】
また、上記実施形態2では、記憶部501にエリア内ID及びエリア外IDを記憶させていたが、エリア内ID及びエリア外IDのいずれか一方のみを記憶させることとしてもよい。例えば、エリア内IDのみを保持し、受信した質問信号に含まれていた読取装置IDがエリア内IDと一致したときはエリア内にいると判定し、それ以外のときはエリア内にいないと判定することとしてもよい。
【0078】
(10)上述の各実施形態及び各変形例を、部分的に組み合せてもよい。
以下、更に本発明の一実施形態としてのアクティブタグ装置の構成及びその変形例と効果について説明する。
(a)本発明の一実施形態に係るアクティブタグ装置は、図2に示すように、アンテナを介して外部から信号を受信する受信回路と、内蔵電池から電力供給を受けて前記受信回路が受信動作する動作期間と電力供給を受けない休止期間とを繰り返すように制御する電力制御手段とを備える。ここでの受信回路とは、例えば、実施形態1のLF信号受信回路202のことである。この構成により、アクティブタグ装置は動作期間と休止期間とを繰り返すため、内蔵電池の省電力化を実現できる。
【0079】
(b)前記アクティブタグ装置は、前記アンテナをN個(N≧1)備え、前記受信回路は、前記動作期間に、前記アンテナ毎に一定時間Tcずつ受信信号の受信を試み、前記電力制御手段は、前記受信信号に含まれる同期信号の送信期間をTaとしたときに、前記休止期間の時間長TsをTs≦Ta−Tc(N+1)となるように決定することとしてもよい。ここで、同期信号とは、例えば、実施形態1の読取装置100Aが送信する質問信号に含まれるCW21のことである。この構成によると、読取装置がCWを送信している期間中に、各アンテナでの受信が少なくとも1回ずつは行えるため、どのようなタイミングで質問信号の受信可能エリアに入っても、質問信号を受信することが可能となり、休止期間があっても迅速な応答による認証等が可能となる。
【0080】
(c)前記アクティブタグ装置における前記電力制御手段は、前記休止期間の長さの変更が可能であることとしてもよい。この構成によると、アクティブタグ装置は休止期間の変更を行えるため、認証等の必要がないと考えられる期間は休止期間を長く設定し、内蔵電池の電力消費をより抑制することができる。
(d)前記アクティブタグ装置は、更に、現在時刻が第一期間に属するかと第二期間に属するかとを識別する計時手段を備え、前記電力制御手段は、前記計時手段の識別結果が前記第一期間である場合は、前記休止期間をTsに設定し、前記計時手段の識別結果が前記第二期間である場合は、前記休止期間をTl(Ts<Tl)に設定することとしてもよい。ここでの第一期間は、例えば、実施形態1の昼時間のことであり、第二期間は、例えば、実施形態1の夜時間のことである。また、計時手段は、例えば、実施形態1のタイマ206のことである。この構成によると、アクティブタグ装置を保持しているユーザがオフィス等にいると考えられる時間は休止期間を短くすることで迅速な応答を可能とし、オフィス等にいないと考えられる時間は休止期間を長くすることで、内蔵電池の電力消費を抑制することができる。
【0081】
(e)前記アクティブタグ装置は、図8に示すように、更に、自装置が所定のエリア内に存するか否かを判断するためのエリア情報を記憶する記憶手段を備え、前記電力制御手段は、前記エリア情報に基づき自装置が前記所定のエリア内に存すると判断されたときは、前記休止期間をTsに設定し、前記所定のエリア内にいないと判断されたときは前記休止期間をTl(Ts<Tl)に設定することとしてもよい。この構成によると、所定のエリア、例えばオフィス等にいるときは休止期間を短くすることで迅速な応答を可能とし、オフィス等にいないときは休止期間を長くすることで、内蔵電池の電力消費を抑制することができる。
【0082】
(f)前記アクティブタグ装置における前記エリア情報は、所定のエリア内を示すエリア内識別子であり、外部の電波発生源が管理するエリアに入った場合において、前記電波発生源からの前記受信信号に含まれる前記電波発生源の識別子と前記エリア内識別子とが一致したときは、前記所定のエリア内にいると判断することとしてもよい。ここでの電波発生源とは、例えば、実施形態2の読取装置100Fのことであり、エリア内識別子は、例えば、実施形態2のエリア内IDである。この構成によると、記憶部が記憶するエリア内IDと読取装置のIDとが一致したときには、所定のエリア内、例えばオフィス等にいると判断することができる。
【0083】
(g)更に、前記アクティブタグ装置における前記エリア情報は、所定のエリア外を示すエリア外識別子も含み、外部の電波発生源が管理するエリアに入った場合において、前記電波発生源からの前記受信信号に含まれる前記電波発生源の識別子と前記エリア外識別子とが一致したときは、前記所定のエリア内にいないと判断することとしてもよい。ここでの電波発生源とは、例えば、実施形態2の読取装置100Eのことであり、エリア外識別子は、例えば、実施形態2のエリア外IDである。この構成によると、記憶部が記憶するエリア外IDと読取装置のIDとが一致したときには、所定のエリア内、例えばオフィス等にいないと判断することができる。
【0084】
(h)前記アクティブタグ装置における前記休止期間は、自装置への操作入力によって決定されることとしてもよい。この構成によると、ユーザ自身が休止期間の長さを変更することができるため、認証等を必要とするときは休止期間を短くすることで迅速な応答を可能とし、認証等を必要としないときは休止期間を長くすることで、内蔵電池の電力消費を抑制することができる。
【0085】
(i)前記アクティブタグ装置におけるN個の前記アンテナが、直交座標系のx軸、y軸及びz軸にコイル軸芯を向けた3個のアンテナであることとしてもよい。この構成によると、アクティブタグ装置は、互いに直交する3軸のアンテナを有するため、ユーザがどのような向きでアクティブタグ装置を保持していても質問信号を受信することができる。
(j)前記アクティブタグ装置は、前記アンテナをM個(M≧2)備え、前記受信回路は、前記動作期間毎に、M個のうちの1個の前記アンテナを順に用いて受信信号の受信を試み、前記電力制御手段は、前記動作期間を一定時間Tcとし、かつ前記受信信号に含まれる同期信号の送信期間をTaとしたときに、前記休止期間の時間長TssをTss≦{Ta−Tc(M+1)}/Mとなるように決定することとしてもよい。この構成によると、M個のうちの1個のアンテナでの受信毎に休止期間が取られる。従って、受信信号に干渉する信号(ノイズ)の存在や、アクティブタグ装置を保持したユーザが移動した際に、アクティブタグ装置が存在する位置により、受信信号を受信できなくなってしまう可能性を低減できる。
【符号の説明】
【0086】
200、500、600 アクティブタグ装置
201 LFアンテナ
202、602 LF信号受信回路
203 RF信号送信回路
204、504 制御部
205 内蔵電池
206 タイマ
207、507、607 電力制御部
501 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナを介して外部から信号を受信する受信回路と、
内蔵電池から電力供給を受けて前記受信回路が受信動作する動作期間と電力供給を受けない休止期間とを繰り返すように制御する電力制御手段とを備える
ことを特徴とするアクティブタグ装置。
【請求項2】
前記アクティブタグ装置は、前記アンテナをN個(N≧1)備え、
前記受信回路は、前記動作期間に、前記アンテナ毎に一定時間Tcずつ受信信号の受信を試み、
前記電力制御手段は、前記受信信号に含まれる同期信号の送信期間をTaとしたときに、前記休止期間の時間長TsをTs≦Ta−Tc(N+1)となるように決定する
ことを特徴とする請求項1に記載のアクティブタグ装置。
【請求項3】
前記電力制御手段は、前記休止期間の長さの変更が可能である
ことを特徴とする請求項2に記載のアクティブタグ装置。
【請求項4】
前記アクティブタグ装置は、更に、現在時刻が第一期間に属するかと第二期間に属するかとを識別する計時手段を備え、
前記電力制御手段は、前記計時手段の識別結果が前記第一期間である場合は、前記休止期間をTsに設定し、前記計時手段の識別結果が前記第二期間である場合は、前記休止期間をTl(Ts<Tl)に設定する
ことを特徴とする請求項3に記載のアクティブタグ装置。
【請求項5】
前記アクティブタグ装置は、更に、自装置が所定のエリア内に存するか否かを判断するためのエリア情報を記憶する記憶手段を備え、
前記電力制御手段は、前記エリア情報に基づき自装置が前記所定のエリア内に存すると判断されたときは、前記休止期間をTsに設定し、前記所定のエリア内にいないと判断されたときは前記休止期間をTl(Ts<Tl)に設定する
ことを特徴とする請求項3に記載のアクティブタグ装置。
【請求項6】
前記エリア情報は、所定のエリア内を示すエリア内識別子であり、
外部の電波発生源が管理するエリアに入った場合において、前記電波発生源からの前記受信信号に含まれる前記電波発生源の識別子と前記エリア内識別子とが一致したときは、前記所定のエリア内にいると判断する
ことを特徴とする請求項5に記載のアクティブタグ装置。
【請求項7】
更に、前記エリア情報は、所定のエリア外を示すエリア外識別子も含み、
外部の電波発生源が管理するエリアに入った場合において、前記電波発生源からの前記受信信号に含まれる前記電波発生源の識別子と前記エリア外識別子とが一致したときは、前記所定のエリア内にいないと判断する
ことを特徴とする請求項6に記載のアクティブタグ装置。
【請求項8】
前記休止期間は、自装置への操作入力によって決定されることを特徴とする請求項3に記載のアクティブタグ装置。
【請求項9】
N個の前記アンテナが、直交座標系のx軸、y軸及びz軸にコイル軸芯を向けた3個のアンテナであることを特徴とする請求項2に記載のアクティブタグ装置。
【請求項10】
前記アクティブタグ装置は、前記アンテナをM個(M≧2)備え、
前記受信回路は、前記動作期間毎に、M個のうちの1個の前記アンテナを順に用いて受信信号の受信を試み、
前記電力制御手段は、前記動作期間を一定時間Tcとし、かつ前記受信信号に含まれる同期信号の送信期間をTaとしたときに、前記休止期間の時間長TssをTss≦{Ta−Tc(M+1)}/Mとなるように決定する
ことを特徴とする請求項1に記載のアクティブタグ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−147419(P2012−147419A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255950(P2011−255950)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】