説明

アクティブ型非接触情報記憶装置、情報アクセスシステム及びプログラム

【課題】アクティブ型非接触情報記憶装置、情報アクセスシステム及びプログラムにおいて、消費電力を抑えることを目的とする。
【解決手段】アクティブ型非接触情報記憶装置は同期処理時に、記憶部に格納された識別情報及びモード情報に基づいて第1のモード又は第2のモードで他装置と通信し、第1のモードでは、記憶部内の自装置と他装置の識別情報及びモード情報を他装置へ送信すると共に、他装置からの識別情報及びモード情報を受信して記憶部に格納し、同期処理後は外部読み取り装置からの第1の信号を検知する第1の検知期間と他装置からの第2の信号を検知する第2の検知期間とを定期的に繰り返し、第2のモードでは、他装置からの識別情報及びモード情報を受信して記憶部に格納すると共に、記憶部内の自装置と他装置の識別情報及びモード情報を他装置へ送信し、同期処理後は信号検知期間を含まない省電力状態となるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブ型非接触情報記憶装置、情報アクセスシステム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電池を内蔵するアクティブ型非接触情報記憶装置には、非接触IC(Integrated Circuit)カード、非接触ICタグ、RFIDタグ(Radio Frequency IDentification Tag)等が含まれる。例えばRFIDタグは、商品に付けられたり、利用者によって携帯され、商品又は利用者に関する情報を所定周波数のRF(Radio Frequency)信号で送信する。RFIDタグから送信されたRF信号は、読み取り機能を有するリーダ(Reader)装置により読み取られ、例えばコンピュータ等のホスト装置により処理されて商品の流通又は利用者の行動を監視したり管理したりするのに用いることができる。又、書き込み機能を有するライタ(Writer)装置は、所定の情報を送信してRFIDタグに書き込むことができる。
【0003】
電池を内蔵するアクティブ型RFIDタグ(Active Radio Frequency IDentification Tag)は、電力を例えば読み取り及び書き込み機能を有するリーダ/ライタ装置から非接触で受け取るパッシブ型(Passive)RFIDタグに比べて通信可能距離が比較的長い。しかし、アクティブ型RFIDタグは、定期的な自己通信型と、待受通信型とに大別される。自己通信型は、RFIDタグに内蔵する時計等により、一定時間毎に通信を行い、それ以外の期間は休止することで電力消費を抑える構成となっている。一方、待受通信型は、通信の起動をRFIDタグが自ら行わずに例えばリーダ/ライタ装置からの呼出しを待って通信を開始する構成となっている。
【0004】
待受通信型のRFIDタグは、リーダ/ライタ装置からの呼出し(電波)を検知するため、常時一定間隔でキャリアセンス(Carrier Sense)を行う構成になっている。キャリアセンスには、リーダ/ライタ装置からの信号を検出する期間と、当該リーダ/ライタ装置と通信可能な範囲内に存在する他のアクティブ型RFIDタグからの信号を検出する期間が含まれる。後者のキャリアセンス期間を設けることにより、アクティブ型RFIDタグが、他のアクティブ型RFIDタグがリーダ/ライタ装置に送信中に、当該リーダ/ライタ装置に送信を開始してRFIDタグ同士の電波干渉が発生してしまうことを未然に防げる。このように、アクティブ型RFIDタグは、リーダ/ライタ装置と通信している時以外も一定間隔でキャリアセンスを行うため、消費電力が比較的大きく、アクティブ型RFIDタグ内の電池へ負荷が比較的大きい。
【0005】
図1は、アクティブ型RFIDタグを用いた従来の情報アクセスシステムの一例を説明する図である。情報アクセスシステム1は、リーダ/ライタ(R/W)装置2、アンテナ3、及び複数のアクティブ型RFIDタグ4−1〜4−3を有する。この例では、説明の便宜上、3個のRFIDタグ4−1〜4−3が夫々別体である3個の商品9−1〜9−3に付けられており、3個の商品9−1〜9−3が台車5に載置されて搬送されるものとする。各RFIDタグ4−1〜4−3は、アンテナ3がカバー可能な範囲(即ち、通信可能範囲)6内に入るとR/W装置2と通信可能となる。台車5は、例えば図1中矢印で示す方向に移動する。
【0006】
図2は、情報アクセスシステム1の動作の一例を説明するタイミングチャートである。図2中、R/W(Tx)はRFIDタグ4−1〜4−3を識別するためのタグID(IDentifier)等の情報を問い合わせるコマンド(又は、ID問い合わせコマンド)のR/W装置2による送信タイミングを示し、R/W(Rx)はR/W装置2による受信待機タイミング(又は、受信待機状態)を示し、f1は送信周波数を示し、f2は受信周波数を示し、f1≠f2である。又、4−1(Tx)〜4−3(Tx)はRFIDタグ4−1〜4−3によるRF信号の送信タイミングを示し、4−1(Rx)〜4−3(Rx)はRFIDタグ4−1〜4−3による受信タイミングを示し、左下がりのハッチングはR/W装置2からの信号を検出するキャリアセンス期間を示し、右下がりのハッチングは自RFID以外の他のRFIDからの信号を検出するキャリアセンス期間を示す。又、R/W装置2がRFIDタグ4−1〜4−3からのタグID等の情報を受信する受信処理を行っている期間は太線で示す。
【0007】
図2において、R/W装置2とRFIDタグ4−1〜4−3との通信は、台車5が図1中矢印方向へ移動して各RFIDタグ4−1〜4−3が範囲6内にある状態の期間TA中に行われる。Rx−1〜Rx−3は、RFIDタグ4−1〜4−3がR/W装置2からID問い合わせコマンドを受信するタイミングを示し、Tx−1〜Tx−3は、RFIDタグ4−1〜4−3が夫々のID情報をR/W装置2に送信するタイミングを示す。
【0008】
各RFIDタグ4−1〜4−3が範囲6内にない待機状態の期間TB,TC中、R/W装置2とRFIDタグ4−1〜4−3との通信は行われないが、各RFIDタグ4−1〜4−3は一定間隔でキャリアセンスを行っている。このため、各RFIDタグ4−1〜4−3の期間TB,TC中の消費電力も含めると、期間TB,TCは期間TAと比較すると長いので、各RFIDタグ4−1〜4−3の消費電力は比較的大きい。又、RFIDタグの数が増大すると、これに伴い消費電力も増大してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−338489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の情報アクセスシステムでは、アクティブ型RFIDタグのようなアクティブ型非接触情報記憶装置の消費電力を抑えることは難しいという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、消費電力を抑えることのできるアクティブ型非接触情報記憶装置、情報アクセスシステム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一観点によれば、自装置と他装置の識別情報及びモード情報を格納する記憶部と、外部と通信する送受信部と、前記記憶部に格納された識別情報及びモード情報に基づいて、同期処理時に第1のモード又は第2のモードで前記送受信部を介して前記他装置と通信する制御部を備え、前記第1のモードでは、前記制御部は前記記憶部内の前記自装置と前記他装置の識別情報及びモード情報を前記送受信部を介して前記他装置へ送信すると共に、前記他装置からの識別情報及びモード情報を前記送受信部を介して受信して前記記憶部に格納し、前記同期処理後は外部読み取り装置からの第1の信号を検知する第1の検知期間と前記他装置からの第2の信号を検知する第2の検知期間とを定期的に繰り返し、前記第2のモードでは、前記制御部は前記他装置からの識別情報及びモード情報を前記送受信部を介して受信して前記記憶部に格納すると共に、前記記憶部内の前記自装置と前記他装置の識別情報及びモード情報を前記送受信部を介して前記他装置へ送信し、前記同期処理後は信号検知期間を含まない省電力状態となることを特徴とするアクティブ型非接触情報記憶装置が提供される。
【0013】
本発明の一観点によれば、第1の信号を連続的に送信すると共に、第2の信号を連続的に受信可能な受信待ち状態をとる外部読み取り装置と、前記外部読み取り装置の通信可能範囲内で前記外部読み取り装置と通信可能な複数のアクティブ型非接触情報記憶装置を含む情報アクセスシステムであって、各アクティブ型非接触情報記憶装置は、自装置の記憶部に格納された識別情報及びモード情報に基づいて、同期処理時に第1のモード又は第2のモードで他装置と通信する制御部を備え、前記第1のモードでは、前記制御部は前記記憶部内の前記自装置と前記他装置の識別情報及びモード情報を前記他装置へ送信すると共に、前記他装置からの識別情報及びモード情報を受信して前記記憶部に格納し、前記同期処理後は前記外部読み取り装置からの第1の信号を検知する第1の検知期間と前記他装置からの第2の信号を検知する第2の検知期間とを定期的に繰り返し、前記外部読み取り装置が送信した前記第1の信号を前記第1のモードのアクティブ型非接触情報記憶装置の制御部が前記第1の検知期間で検知すると、前記外部読み取り装置は当該アクティブ型非接触情報記憶装置の記憶部に格納され一括送信されてくる自装置と他装置の識別情報及びモード情報を含む第2の信号を受信することを特徴とする情報アクセスシステムが提供される。
【0014】
本発明の一観点によれば、コンピュータに、記憶部を有するアクティブ型非接触情報記憶装置の処理を実行させるプログラムであって、前記記憶部に格納された自装置と他装置の識別情報及びモード情報に基づいて、同期処理時に第1のモード又は第2のモードで前記他装置と通信する手順と、前記第1のモードでは、前記記憶部内の前記自装置と前記他装置の識別情報及びモード情報を前記他装置へ送信すると共に、前記他装置からの識別情報及びモード情報を受信して前記記憶部に格納し、前記同期処理後は外部読み取り装置からの第1の信号を検知する第1の検知期間と前記他装置からの第2の信号を検知する第2の検知期間とを定期的に繰り返す手順と、前記第2のモードでは、前記制御部は前記他装置からの識別情報及びモード情報を受信して前記記憶部に格納すると共に、前記記憶部内の前記自装置と前記他装置の識別情報及びモード情報を前記他装置へ送信し、前記同期処理後は信号検知期間を含まない省電力状態となる手順を前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0015】
開示のアクティブ型非接触情報記憶装置、情報アクセスシステム及びプログラムによれば、消費電力を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】アクティブ型RFIDタグを用いた従来の情報アクセスシステムの一例を説明する図である。
【図2】情報アクセスシステムの動作の一例を説明するタイミングチャートである。
【図3】本発明の第1実施例におけるリーダ/ライタ装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】第1実施例におけるRFIDタグの構成の一例を示すブロック図である。
【図5】第1実施例におけるRFIDタグの動作の一例を説明するフローチャートである。
【図6】図5に示す同期処理を説明するフローチャートである。
【図7】第1実施例における同期処理を含むRFIDタグの動作の一例を説明するタイミングチャートである。
【図8】図5に示す臨時同期処理を説明するフローチャートである。
【図9】第1実施例における臨時同期処理を含むRFIDタグの動作の一例を説明するタイミングチャートである。
【図10】本発明の第2実施例におけるRFIDタグの構成の一例を示すブロック図である。
【図11】第2実施例におけるRFIDタグの動作の一例を説明するフローチャートである。
【図12】図11に示す同期処理を説明するフローチャートである。
【図13】本発明の第3実施例におけるRFIDタグの構成の一例を示すブロック図である。
【図14】第3実施例におけるRFIDタグの動作の一例を説明するフローチャートである。
【図15】図14に示す送信タグ確認処理を説明するフローチャートである。
【図16】第3実施例における送信タグ確認処理を含むRFIDタグの動作の一例を説明するタイミングチャートである。
【図17】RFIDタグの構成の他の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
開示のアクティブ型非接触情報記憶装置、情報アクセスシステム及びプログラムでは、アクティブ型非接触情報記憶装置は同期処理時に、記憶部に格納された識別情報及びモード情報に基づいて第1のモード又は第2のモードで他装置と通信する。第1のモードでは、記憶部内の自装置と他装置の識別情報及びモード情報を他装置へ送信すると共に、他装置からの識別情報及びモード情報を受信して記憶部に格納し、同期処理後は外部読み取り装置からの第1の信号を検知する第1の検知期間と他装置からの第2の信号を検知する第2の検知期間とを定期的に繰り返す。一方、第2のモードでは、他装置からの識別情報及びモード情報を受信して記憶部に格納すると共に、記憶部内の自装置と他装置の識別情報及びモード情報を他装置へ送信し、アクティブ型非接触情報記憶装置は同期処理後に信号検知期間を含まない省電力状態となる。
【0018】
以下に、開示のアクティブ型非接触情報記憶装置、情報アクセスシステム及びプログラムの各実施例を図面と共に説明する。
【実施例】
【0019】
(第1実施例)
図3は、本発明の第1実施例におけるリーダ/ライタ(R/W)装置の構成の一例を示すブロック図である。R/W装置は、少なくとも読み取り機能を有し、読み取り機能に加えて書き込み機能を更に有しても良い外部読み取り装置の一例である。図3に示すR/W装置11は、命令解釈部111、コマンド生成部112、送信機113、アンテナ114、記憶部115、コマンド処理部116、受信機117、及びアンテナ118を有する。
【0020】
命令解釈部111は、例えばホスト装置(図示せず)等の外部から供給される命令(又は、要求)を記憶部115に格納すると共に解釈する。コマンド生成部112は、命令解釈部111で解釈された命令に基づいて、R/W装置11と後述するRFIDタグ間で解釈可能なコマンドを生成する。コマンド生成部112で生成されたコマンドは、送信機113及びアンテナ114を介してRFIDタグに送信される。一方、RFIDタグから送信されアンテナ118及び受信機117を介して受信されたコマンドは、コマンド処理部116により解釈され、記憶部115に格納されるると共に、例えばホスト装置等の外部へ出力される。
【0021】
コマンド生成部112は、生成したデータを所定の符号化方式に従って符号化しても良い。この場合、送信機113は、コマンド生成部112からのベースバンドの符号化データでキャリアを変調して周波数f1の信号(例えば、ID問い合わせコマンド)を送信する。又、受信機117は、受信したRF信号を復調してベースバンド符号化データを生成し、受信RF信号のキャリア強度を表すデータを生成する。更に、コマンド処理部116は、受信機117からのキャリア強度を表すデータに基づいて受信RF信号のキャリアの有無と周波数f1又は周波数f2(f1≠f2)を判定すると共に、キャリア強度を表すデータを所定の符号化方式に従って復号して生成した復号データを記憶部115に格納すると共にホスト装置へ出力する。
【0022】
尚、R/W装置11の構成は図3の構成に限定されるものではなく、後述するアクティブ型非接触情報記憶装置(例えば、アクティブ型RFIDタグ)と通信可能であり、後述する周波数f1の信号(例えば、ID問い合わせコマンド)を連続的に送信し、アクティブ型非接触情報記憶装置から周波数f2(f1≠f2)の信号(例えば、RF信号)を連続的に受信可能な受信待ち状態をとる構成を有するものであれば、特に限定されない。
【0023】
図4は、第1実施例におけるRFIDタグの構成の一例を示すブロック図である。RFIDタグは、アクティブ型非接触情報記憶装置の一例である。図4に示すRFIDタグ21Aは、RFIDタグ21A内の各部に電力を供給する電池211、RFIDタグ21Aの電源(即ち、電池211)からの電力供給をオン又はオフに制御する電源オン/オフスイッチ212、同期処理部213、送信動作処理部214、タグ向けデータ生成部215、R/W向けデータ生成部216、キャリアセンス制御部217、動作制御部218、タイマ219、スリープ動作処理部220、コマンド処理部221、キャリア判定部222、送信機223、アンテナ224、受信機225、及びアンテナ226を有する。
【0024】
同期処理部213は、リスト作成部2131、リスト記憶部2132、乱数発生部2133、初期化処理部2134、同期処理制御部2135、キャリアカウンタ保持部2136、ID送信フラグ保持部2137、及び受信処理部2138を有する。
【0025】
キャリアセンス制御部217は、タイマ219と連携して定期的にキャリアセンスを行う。コマンド処理部221は、アンテナ226及び受信機225を介して受信したコマンドを解釈する。キャリア判定部222は、キャリアの周波数が外部のR/W装置11の送信周波数f1であるか、R/W装置11の受信周波数(即ち、RFIDタグ21Aの送信周波数)f2であるかを判定する。R/W向けデータ生成部216は、コマンド処理部221の制御下で、R/W装置11の通信プロトコルに適合したデータを生成する。タグ向けデータ生成部215は、送信動作処理部214の制御下で、他のRFIDタグ21Aの通信プロトコルに適合したデータを生成する。送信機223は、R/W向けデータ生成部216又はタグ向けデータ生成部215で生成されたデータをアンテナ224を介して送信する。
【0026】
R/W向けデータ生成部216及びタグ向けデータ生成部215は、いずれも生成したデータを所定の符号化方式に従って符号化しても良い。この場合、送信機223は、R/W向けデータ生成部216又はタグ向けデータ生成部215からのベースバンドの符号化データでキャリアを変調して周波数f1又は周波数f2のRF信号を送信する。又、受信機225は、受信したRF信号を復調してベースバンド符号化データを生成し、受信RF信号のキャリア強度を表すデータを生成する。更に、キャリア判定部222は、受信機225からのキャリア強度を表すデータに基づいて受信RF信号のキャリアの有無と周波数を判定すると共に、キャリア強度を表すデータを所定の符号化方式に従って復号して復号データを生成する。
【0027】
動作制御部218は、後述する役割リストの情報に基づいてスリープ動作(又は、省電力動作)及び同期処理の分担と管理を行う。スリープ動作及び同期処理については後述する。スリープ動作処理部220は、タイマ219をモニタし、指定時間までスリープ動作を行う。送信動作処理部214は、R/W装置11へのデータ(例えば、RFIDタグ21Aを識別するための識別情報(例えば、タグID)を含むIDリスト)の送信、及び同期処理時における他のRFIDタグ21Aへのデータ(例えば、IDリスト、役割を含む役割リスト)の送信をリスト記憶部2132に格納されたデータに基づいて制御する。
【0028】
同期処理部213内において、初期化処理部2134は、同期処理の開始時に後述するIDリスト、役割リスト、ID送信フラグflagTm、キャリアカウンタ値CCnt、他のRFIDタグ21Aの個数n等のパラメータの値を初期化する。同期処理制御部2135は、キャリアカウンタ保持部2136が保持するキャリアカウンタ値CCntとID送信フラグ保持部2137が保持するID送信フラグflagTmに基づいて、同期処理の終了判定及びデータ送信タイミングの決定を行う。乱数発生部2133は、役割の割り当てに必要な乱数を発生する。受信処理部2138は、RFIDタグ21Aから受信したIDリスト及び役割リスト等をリスト記憶部2132に格納する。リスト作成部2131は、乱数発生部2133が発生した乱数に基づいて、各RFIDタグ21Aに役割を割り当てる。キャリアカウンタ保持部2136は、同期処理の終了条件(即ち、キャリアセンスの回数)をカウントしてキャリアカウンタ値CCntを保持する。ID送信フラグ保持部2137は、RFIDタグ21A自身のタグIDを他のRFIDタグ21Aに送信したか否かを示すID送信フラグflagTmを保持する。キャリアカウンタ保持部2136のキャリアカウンタ値CCntは、キャリアセンスを指定回数(例えば、100回)行ってキャリアを検知できなかった場合に同期処理を終了するのに用いられる。
【0029】
本実施例における情報アクセスシステムは、図1の情報アクセスシステム1と同様に、R/W装置、アンテナ、及び複数のアクティブ型RFIDタグを有する構成であっても良いので、その図示及び説明は省略する。ただし、本実施例では、R/W装置2の代わりに図3のR/W装置11が用いられ、複数のアクティブ型RFIDタグ4−1〜4−3の代わりに図4のアクティブ型RFIDタグ21Aと同一構成を有する複数のアクティブ型RFIDタグ21A−1〜21A−3が用いられる。以下の例では、説明の便宜上、3個のRFIDタグ21A−1〜21A−3が夫々図1の3個の商品9−1〜9−3に相当する商品に付けられて、これらの商品が台車5に相当する台車に載置されて搬送されるものとする。又、各RFIDタグ21A−1〜21A−3は、図1のアンテナ3に相当するアンテナがカバー可能な範囲(図1の範囲6に相当)内に入るとR/W装置11と通信可能となるものとする。
【0030】
図5は、第1実施例における1つのRFIDタグの動作の一例を説明するフローチャートである。図5の処理は、RFIDタグ21Aの電源オン/オフスイッチ212がオンにされて電源が投入されると開始される。ステップS1では、動作制御部218が時間Tsを管理するタイマ219を起動するタイマスタート処理を行う。ステップS2では、同期処理部213が図6と共に後述する同期処理を行う。同期処理では、通信可能な範囲内にある複数のRFIDタグ21A同士がタグID及び役割に関する情報を交換し合う。役割には、代表とスリープが含まれる。役割が代表のRFIDタグ21Aは、ID問い合わせコマンドに応答して自身及び他のRFIDタグ21AのタグIDを含む情報をR/W装置11に送信(即ち、返答)する第1のモード(以下、アクティブモード又は送信モードと言う)を有する。役割がスリープのRFIDタグ21Aは、代表以外のRFIDタグ21Aであり、ID問い合わせコマンドに応答することはなく、タグIDを含む情報をR/W装置11に送信せずに消費電力を極力抑える第2のモード(以下、省電力モード又はスリープモードと言う)を有する。送信モードのRFIDタグ21Aは、R/W装置11からの信号を検出するキャリアセンス期間と、自RFIDタグ21A以外の他のRFIDタグ21Aからの信号を検出するキャリアセンス期間を有する。一方、スリープモードのRFIDタグ21Aは、同期処理時に他のRFIDタグ21Aとの情報交換を行った後は、R/W装置11からの信号を検出するキャリアセンス期間も、自RFIDタグ21A以外の他のRFIDタグ21Aからの信号を検出するキャリアセンス期間も有さず、次の同期処理までは消費電力を極力抑えるスリープ動作を行うので、送信モードのRFIDタグ21Aと比較すると消費電力が大幅に抑えられる。
【0031】
ステップS3では、動作制御部218がリスト記憶部2132に格納されたデータに基づいて、RFIDタグ21Aの役割がスリープであるか、或いは、代表であるかを判定する。つまり、ステップS3では、リスト記憶部2132に格納されているRFIDタグ21A自身の役割を参照することで、RFIDタグ21Aの動作モードがスリープモードであるか、或いは、送信モードであるかを判定する。ステップS3の判定の結果、RFIDタグ21Aがスリープモードであると、ステップS4では、スリープ動作処理部220が所定期間(例えば、10時間)RFIDタグ21Aをスリープモードで待機させ、待機後に処理はステップS1へ戻る。
【0032】
一方、ステップS3の判定の結果、RFIDタグ21Aが送信モードであると、ステップS5では、動作制御部218が同期処理後のRFIDタグ21Aを所定時間(例えば、500ms)待機させる。この所定時間の後、ステップS6では、キャリアセンス制御部217がアンテナ226及び受信機225を介して周波数f1及び周波数f2でキャリアセンスを行う。R/W装置11からの信号を検出するキャリアセンス期間では周波数f1でキャリアセンスを行い、自RFIDタグ21A以外の他のRFIDタグ21Aからの信号を検出するキャリアセンス期間では周波数f2でキャリアセンスを行う。ステップS7では、キャリア判定部222がキャリアセンスでキャリアが検知されたか否かと、検知されたキャリアの周波数がf1であるかf2であるかを判定する。ステップS7の判定の結果、キャリアが検知されないと処理はステップS10へ進む。ステップS7の判定の結果、周波数f1のキャリアが検知されると、ステップS8では、コマンド処理部221が周波数f1のキャリアの受信処理及びR/W装置11から受信したID問い合わせコマンドを処理するR/Wコマンド処理を行い、処理はステップS10へ進む。又、ステップS7の判定の結果、周波数f2のキャリアが検知されると、ステップS9では、コマンド処理部221が図8と共に後述する臨時同期処理を行い、処理はステップS10へ進む。ステップS10では、動作制御部218が予め設定された時間Teからタイマ219で管理されている時間Tsを減算した差が所定期間(例えば、10時間)未満であるか否か、即ち、Te−Ts<10hであるか否かを判定する。ステップS10の判定結果がYESであると、処理はステップS5へ戻る。一方、ステップS10の判定結果がNOであると、処理はステップS1へ戻る。
【0033】
図6は、図5に示すステップS2の同期処理を説明するフローチャートである。ステップS11では、同期処理部213の初期化処理部2134が同期処理に関する初期化処理を行う。この初期化処理により、IDリストがtag_ID[n-1]=0x0023、役割リストがtag_work[n-1]=work、ID送信フラグflagTmがflagTm=FALSE、キャリアカウンタ値CCntがCCnt=0、及び他のRFIDタグ21Aの個数がn=1に初期化される。役割リスト中、役割がtag_work[n-1]=workであるとRFIDタグ21Aの役割が後述する代表であることを示し、tag_work[n-1]=sleepであるとRFIDタグ21Aの役割が後述するスリープであることを示す。又、ID送信フラグflagTmがflagTm=FALSEであるとRFIDタグ21A自身のタグIDを他のRFIDタグ21Aに送信していないことを示し、flagTm=TRUEであるとRFIDタグ21A自身のタグIDを他のRFIDタグ21Aに送信したことを示す。リスト記憶部2132には、初期化されたIDリストのタグID0x0023及び役割リストの役割workが格納される。ステップS12では、キャリアセンス制御部217がアンテナ226及び受信機225を介して周波数f2でキャリアセンスを行う。ステップS12の後、ステップS13〜S16の処理と、ステップS17〜S21の処理が並行に行われる。
【0034】
ステップS13では、キャリア判定部222が周波数f2のキャリアを検知したか否かを判定し、判定結果がYESであると処理はステップS14へ進み、判定結果がNOであると処理はステップS17へ進む。ステップS14では、受信処理部2138が受信したキャリアに基づいて、他のRFIDタグ21Aの個数n、IDリスト、役割リスト、タイマ情報を受信すると共に、これらの情報をリスト記憶部2132に格納してこれらの情報を更新する。ステップS15では、リスト作成部2131がID・役割リストからランダムにRFIDタグ21Aの役割配分を決定し、決定内容をリスト記憶部2132に格納する。例えば、決定された役割配分tag_work[n-1]=sleep; tag_work[n]=workがリスト記憶部2132に格納される。ステップS16では、同期処理制御部2135がキャリアカウンタ値CCntをCCnt=0に設定してキャリアカウンタ保持部2136に格納し、処理はステップS12へ戻る。
【0035】
一方、ステップS17では、同期処理制御部2135がID送信フラグ保持部2137に保持されているID送信フラグflagTmがRFIDタグ21A自身のタグIDを他のRFIDタグ21Aに送信したことを示すTRUEであるか否かを判定し、判定結果がYESであると処理はステップS20へ進み、判定結果がNOであると処理はステップS18へ進む。ステップS18では、送信動作処理部214が他のRFIDタグ21Aの個数n、IDリストtag_ID、役割リストtag_work、タイマ情報を一定時間(例えば、500ms)タグ向けデータ生成部215、送信機223及びアンテナ224を介して送信する。ステップS19では、同期処理制御部2135がID送信フラグflagTmをflagTm=TRUEに設定する。ステップS20では、同期処理制御部2135がキャリアカウンタ保持部2136に保持されたキャリアカウンタ値CCntを1だけインクリメントしてCCnt++(又は、CCnt=CCnt+1)に更新する。ステップS21では、同期処理制御部2135がキャリアカウンタ保持部2136に保持されたキャリアカウンタ値CCntがCCnt<100であるか否かを判定する。ステップS21の判定結果がYESであると処理はステップS12へ戻り、判定結果がNOであると処理は終了する。
【0036】
図7は、第1実施例における同期処理を含むRFIDタグの動作の一例を説明するタイミングチャートである。図7中、R/W(Tx)はR/W装置11による例えばID問い合わせコマンドの送信タイミングを示し、R/W(Rx)はR/W装置11による受信待機タイミング(又は、受信待機状態)を示し、f1は送信周波数を示し、f2は受信周波数を示し、f1≠f2である。又、21A−1(Tx)〜21A−3(Tx)はRFIDタグ21A−1〜21A−3によるRF信号の送信タイミングを示し、21A−1(Rx)〜21A−3(Rx)はRFIDタグ21A−1〜21A−3による受信タイミングを示し、左下がりのハッチングはR/W装置11からのID問い合わせコマンド等の信号を検出するキャリアセンス期間を示し、右下がりのハッチングは自RFIDタグ21A以外の他のRFIDタグ21Aからの信号を検出するキャリアセンス期間を示す。又、R/W装置11及び各RFIDタグ21A−1〜21A−3がタグID等の情報を受信する受信処理は太線で示す。この例では、説明の便宜上、最初の同期処理Sync1を行う時にはRFIDタグ21A−1の役割(又は、モード)が代表(又は、送信モード)であり、その他のRFIDタグ21A−2,21A−3の役割(又は、モード)がスリープ(又は、スリープモード)であるものとする。更に、次の同期処理Sync2を行う時にはRFIDタグ21A−2の役割が代表であり、その他のRFIDタグ21A−1,21A−3の役割がスリープであるものとする。
【0037】
図7に示す同期処理Sync1おいて、t1,t2は役割が代表のRFIDタグ21A−1が自身のタグID、役割を含む情報を他のRFIDタグ21A−2,21A−3に送信するタイミングを示し、t3,t4は役割がスリープのRFIDタグ21A−2がRFIDタグ21−1,21−2のタグID、役割を含む情報を他のRFIDタグ21A−1,21A−3に送信するタイミングを示し、t5,t6は役割がスリープのRFIDタグ21A−3がRFIDタグ21A−1,21A−2,21A−3のタグID、役割を含む情報を他のRFIDタグ21A−2,21A−1に送信するタイミングを示す。CSは同期処理Sync1後に代表のRFIDタグ21A−1が待機する所定時間(例えば、500ms)を示し、SMは同期処理Sync1後のスリープのRFIDタグ21A−2,21A−3がスリープモードで待機する所定期間(例えば、10時間)を示す。所定時間CSの後、代表のRFIDタグ21A−1のみが定期的にキャリアセンスを行う。従って、所定期間SMの開始から所定時間CS後、代表のRFIDタグ21A−1はR/W装置11からの信号を検出するキャリアセンス期間(図7中、左下がりのハッチングで示す)と、自RFIDタグ21A−1以外の他のRFIDタグ21A−2,21A−3からの信号を検出するキャリアセンス期間(図7中、右下がりのハッチングで示す)を定期的に繰り返す。一方、所定期間SMの間、スリープのRFIDタグ21A−2,21A−3はスリープ動作を行い、キャリアセンスは行わないので省電力状態にある。
【0038】
この例では、t7は代表のRFIDタグ21A−1がR/W装置11からのID問い合わせコマンドを受信するタイミングを示し、t8は代表のRFIDタグ21A−1が代表のRFIDタグ21A−1のタグIDと代表のRFIDタグ21A−1と通信可能な全てのRFIDタグ21A−2,21A−3のタグIDをR/W装置11へ一括送信するタイミングを示し、t9は代表のRFIDタグ21A−1がR/W装置11からのID問い合わせコマンドを受信するタイミングを示す。
【0039】
図7に示す同期処理Sync2おいて、t11,t12は役割が代表のRFIDタグ21A−2が自身のタグID、役割を含む情報を他のRFIDタグ21A−1,21A−3に送信するタイミングを示し、t13,t14は役割がスリープのRFIDタグ21A−3がRFIDタグ21A−2,21A−3のタグID、役割を含む情報を他のRFIDタグ21A−1,21A−2に送信するタイミングを示し、t15,t16は役割がスリープのRFIDタグ21A−1がRFIDタグ21A−1,21A−2,21A−3のタグID、役割を含む情報を他のRFIDタグ21A−2,21A−3に送信するタイミングを示す。CSは同期処理Sync2後に代表のRFIDタグ21A−2が待機する所定時間(例えば、500ms)を示す。図7では図示を省略するが、同期処理Sync2の後、スリープのRFIDタグ21A−1,21A−3が所定期間(例えば、10時間)SMの間スリープモードで待機する。所定時間CSの後、代表のRFIDタグ21A−2のみが定期的にキャリアセンスを行う。従って、所定期間SMの開始から所定時間CS後、代表のRFIDタグ21A−2はR/W装置11からの信号を検出するキャリアセンス期間(図7中、左下がりのハッチングで示す)と、自RFIDタグ21A−2以外の他のRFIDタグ21A−1,21A−3からの信号を検出するキャリアセンス期間(図7中、右下がりのハッチングで示す)を有する。一方、所定期間SMの間、スリープのRFIDタグ21A−1,21A−3はスリープ動作を行い、キャリアセンスは行われない。以下、同様にして同期処理が定期的に行われ、同期処理後の所定期間は代表のRFIDタグ21Aのみがキャリアセンスを定期的に行う。
【0040】
図8は、図5に示す臨時同期処理を説明するフローチャートである。ステップS25では、受信処理部2138が追加されたRFIDタグ21AからIDリスト、役割リスト、タイマ情報、個数nをアンテナ226、受信機225及びキャリア判定部222を介して受信し、リスト記憶部2132の内容を更新する。又、追加されたRFIDタグ21Aの役割はスリープに設定する。
【0041】
ステップS26では、キャリアセンス制御部217が周波数f2でキャリアセンスを行う。ステップS27では、キャリア判定部222が周波数f2のキャリアを検知したか否かを判定し、判定結果がYESであると処理はステップS25へ進み、判定結果がNOであると処理はステップS28へ進む。ステップS28では、送信動作処理部214が追加されたRFIDタグ21Aの情報を追加(又は、追記)したID・役割リストをタグ向けデータ生成部215、送信機223及びアンテナ224を介して送信し、処理は終了する。
【0042】
図9は、第1実施例における臨時同期処理を含むRFIDタグの動作の一例を説明するタイミングチャートである。図9中、図7と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。図9では説明の便宜上、RFIDタグ21A−2が情報アクセスシステムから削除され(或いは、代表のRFIDタグ21A−1と通信不能となり)、且つ、代表RFIDタグ21−Aと通信可能なRFIDタグ21A−4が情報アクセスシステムに新たに追加された場合を示す。又、図9では、図7の同期処理Sync1後の所定期間SM中に臨時同期処理SSyncが行われ、所定期間SM2後の次の同期処理Sync2を行う時にはRFIDタグ21A−4の役割が代表であり、その他のRFIDタグ21A−1,21A−3の役割がスリープであるものとする。
【0043】
図9に示す臨時同期処理SSyncおいて、t21は追加されたRFIDタグ21A−4が自身のタグID、役割を含む情報を代表のRFIDタグ21A−1に送信するタイミングを示し、これにより代表のRFIDタグ21A−1では削除されたRFIDタグ21A−2の代わりに追加されたRFIDタグ21A−4の情報が格納される。タイミングt21でRFIDタグ21A−4から代表のRFIDタグ21A−1に送信される役割の情報は、例えば仮にスリープに設定されている。t22は役割が代表のRFIDタグ21A−1がRFIDタグ21A−1,21A−3,21A−4のタグID、役割を含む情報を追加されたRFIDタグ21A−4に送信するタイミングを示す。タイミングt22で代表のRFIDタグ21A−1が送信するRFIDタグ21A−4の役割は、代表のRFIDタグ21A−1によりスリープに決定されている。
【0044】
臨時同期処理SSync後の所定期間SM2において、t23は代表のRFIDタグ21A−1がR/W装置11からのID問い合わせコマンドを受信するタイミングを示し、t24は代表のRFIDタグ21A−1が代表のRFIDタグ21A−1のタグIDと代表のRFIDタグ21A−1と通信可能な全てのRFIDタグ21A−3,21A−4のタグIDをR/W装置11へ一括送信するタイミングを示す。所定期間SM2の間、スリープのRFIDタグ21A−3,21A−4はスリープ動作を行い、キャリアセンスは行わない。
【0045】
図9に示す同期処理Sync2Aおいて、t25,t26は役割が代表のRFIDタグ21A−4が自身のタグID、役割を含む情報を他のRFIDタグ21A−1,21A−3に送信するタイミングを示し、t27,t28は役割がスリープのRFIDタグ21A−3がRFIDタグ21A−3,21A−4のタグID、役割を含む情報を他のRFIDタグ21A−4,21A−1に送信するタイミングを示し、t29,t30は役割がスリープのRFIDタグ21A−1がRFIDタグ21A−1,21A−3,21A−4のタグID、役割を含む情報を他のRFIDタグ21A−4,21A−3に送信するタイミングを示す。同期処理Sync2Aにより、RFIDタグ21A−1,21A−3,21A−4のリスト記憶部2132内の情報が、追加されたRFIDタグ21A−4の情報を含む更新されたタグID、役割を含む情報に更新される。CSは同期処理Sync2A後に代表のRFIDタグ21A−4が待機する所定時間(例えば、500ms)を示す。
【0046】
図9では図示を省略するが、同期処理Sync2Aの後、スリープのRFIDタグ21A−1,21A−3が所定期間(例えば、10時間)SMの間スリープモードで待機する。所定時間CSの後、代表のRFIDタグ21A−4のみが定期的にキャリアセンスを行う。従って、所定期間SMの開始から所定時間CS後、代表のRFIDタグ21A−2はR/W装置11からの信号を検出するキャリアセンス期間(図9中、左下がりのハッチングで示す)と、自RFIDタグ21A−4以外の他のRFIDタグ21A−1,21A−3からの信号を検出するキャリアセンス期間(図9中、右下がりのハッチングで示す)を有する。一方、所定期間SMの間、スリープのRFIDタグ21A−1,21A−3はスリープ動作を行い、キャリアセンスは行われない。以下、同様にして同期処理が定期的に行われ、同期処理後の所定期間は代表のRFIDタグ21Aのみがキャリアセンスを定期的に行う。
【0047】
このように、臨時同期処理を行うことで、情報アクセスシステム内で代表以外のRFIDタグが削除されたり追加されたりしても、代表のRFIDタグが自身と通信可能な他のRFIDタグの情報を集中管理することができる。
【0048】
(第2実施例)
図10は、本発明の第2実施例におけるRFIDタグの構成の一例を示すブロック図である。図10中、図4と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0049】
図10に示すように、本実施例ではRFIDタグ21Bが温度センサ231、センサ制御部232及びセンサデータ記憶部233を有する。又、電源オン/オフスイッチ212A、送信動作処理部214A、及びリスト記憶部2132Aは、上記第1実施例の電源オン/オフスイッチ212、送信動作処理部214、及びリスト記憶部2132と一部異なる動作を行う。
【0050】
温度センサ231は、RFIDタグ21Bの環境温度を検知し、検知された温度を示すセンサデータを出力する。センサ制御部232は、電源オン/オフスイッチ212Aがオンにされると、温度センサ231の初期化を制御する。センサ制御部232は、温度センサ231のスタート及びストップを制御しても良い。センサデータ記憶部233は、センサデータをRFIDタグ21BのタグIDと時間情報とに関連付けてセンサログとして格納する。送信動作処理部214Aは、R/W装置11へのデータ(例えば、RFIDタグ21Bを識別するための識別情報(例えば、タグID)を含むIDリスト)の送信、及び同期処理時における他のRFIDタグ21Bへのデータ(例えば、IDリスト、役割を含む役割リスト)の送信をセンサデータ記憶部233に格納されたセンサログ及びリスト記憶部2132Aに格納されたデータに基づいて制御する。
【0051】
尚、温度センサ231の代わりに、RFIDタグ21Bの環境温度以外の環境パラメータ、例えば、湿度、光量、音量等を検知するセンサを用いても良い。RFIDタグ21Bは、記憶部2132A,233に格納された情報をR/W装置11に送信できるので、R/W装置11はID問い合わせコマンドに応答して各RFIDタグ21BのタグID以外の環境パラメータ等の各種情報を取得することもできる。
【0052】
図11は、第2実施例における1つのRFIDタグの動作の一例を説明するフローチャートである。図11中、図5と同一ステップには同一符号を付し、その説明は省略する。
【0053】
図11の処理は、RFIDタグ21Bの電源オン/オフスイッチ212Aがオンにされて電源が投入されると開始される。この例では、センサ制御部232は電源オン/オフスイッチ212Aがオンにされると温度センサ231をスタートし、オフにされるとストップするものとする。ステップS31では、センサ制御部232が温度センサ231の初期化を行い、処理はステップS1へ進む。ステップS1以降の動作は、上記第1実施例の場合と同様である。
【0054】
図12は、図11に示す同期処理を説明するフローチャートである。図12中、図6と同一ステップには同一符号を付し、その説明は省略する。
【0055】
図12において、ステップS11が行われることにより、リスト記憶部2132Aには、初期化されたIDリストのタグID0x0023及び役割リストの役割workが格納される。ステップS14Aでは、受信処理部2138が受信したキャリアに基づいて、他のRFIDタグ21Bの個数n、IDリスト、役割リスト、タイマ情報、センサログを受信すると共に、これらの情報をリスト記憶部2132Aに格納してこれらの情報を更新する。又、ステップS18Aでは、送信動作処理部214Aが他のRFIDタグ21Bの個数n、IDリストtag_ID、役割リストtag_work、タイマ情報、センサログを一定時間(例えば、500ms)タグ向けデータ生成部215、送信機223及びアンテナ224を介して送信する。
【0056】
第2実施例における同期処理を含むRFIDタグの動作の一例を説明するタイミングチャートは、図7と同じになるので、その図示及び説明は省略する。
【0057】
又、第2実施例のおける臨時同期処理を説明するフローチャートは、図8と同じになるので、その図示及び説明は省略する。
【0058】
更に、第2実施例における臨時同期処理を含むRFIDタグの動作の一例を説明するタイミングチャートは、図9と同じになるので、その図示及び説明は省略する。
【0059】
(第3実施例)
図13は、本発明の第3実施例におけるRFIDタグの構成の一例を示すブロック図である。図13中、図4と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0060】
図13に示すように、本実施例ではRFIDタグ21Cがキャリアカウンタ保持部241及び送信タグ確認動作処理部242を有する。又、送信動作処理部214B、キャリアセンス制御部217B及びスリープ動作処理部220Bが上記第1実施例の送信動作処理部214、キャリアセンス制御部217及びスリープ動作処理部220と一部異なる動作を行う。
【0061】
キャリアカウンタ保持部241は、ID送信フラグflagTmを確認する送信タグ確認動作の終了条件(即ち、キャリアセンスの回数)をカウントしてキャリアカウンタ値CCnt2を保持する。送信タグ確認動作処理部242は、RFIDタグ21Cの周囲に、このRFIDタグ21Cと通信可能で送信モードの他のRFIDタグ21C、即ち、送信タグが存在するか否かを確認する。
【0062】
図14は、第3実施例における1つのRFIDタグの動作の一例を説明するフローチャートである。図14中、図5と同一ステップには同一符号を付し、その説明は省略する。
【0063】
図14において、ステップS3の判定の結果、RFIDタグ21Cがスリープモードであると、ステップS41では、スリープ動作処理部220Bが後述する送信タグの存在確認のための確認信号を送信する送信タグ確認処理を行い、その後処理はステップS1へ戻る。
【0064】
第3実施例のける同期処理を説明するフローチャートは、図6と同じになるので、その図示及び説明は省略する。
【0065】
第3実施例における同期処理を含むRFIDタグの動作の一例を説明するタイミングチャートは、図7と同じになるので、その図示及び説明は省略する。
【0066】
又、第3実施例における臨時同期処理を説明するフローチャートは、図8と同じになるので、その図示及び説明は省略する。
【0067】
更に、第3実施例における臨時同期処理を含むRFIDタグの動作の一例を説明するタイミングチャートは、図9と同じになるので、その図示及び説明は省略する。
【0068】
図15は、図14に示す送信タグ確認処理を説明するフローチャートである。図15において、ステップS51では、動作制御部218が予め設定された時間Twからタイマ219で管理されている時間Tsを減算した差が所定期間(例えば、10−1=9時間)未満であるか否か、即ち、Tw−Ts<9hであるか否かを判定する。ステップS51の判定結果がYESであると処理はステップS52へ進み、判定結果がNOであると処理は後述するステップS62へ進む。ステップS52では、送信タグ確認動作処理部242がキャリアカウンタ保持部241のキャリアカウンタ値CCnt2をCCnt2=0に初期化する。ステップS53では、スリープ動作処理部220BがRFIDタグ21Cを一定時間(例えば、1時間)スリープモードで待機させ、待機後に処理はステップS54へ進む。
【0069】
ステップS54では、キャリアセンス制御部217Bがアンテナ226及び受信機225を介して周波数f1でキャリアセンスを行う。ステップS55では、キャリア判定部222がキャリアセンスで周波数f1のキャリアが検知されたか否かを判定する。ステップS55の判定結果がYESであると、処理はステップS54へ戻る。一方、ステップS55の判定結果がNOであると、ステップS56では、送信動作処理部214Bが所定時間(例えば、500ms)周波数f2のキャリアをタグ向けデータ生成部215、送信機223及びアンテナ224を介して送信する。
【0070】
ステップS57では、キャリアセンス制御部217Bがアンテナ226及び受信機225を介して周波数f1でキャリアセンスを行う。ステップS58では、キャリア判定部222がキャリアセンスで周波数f1のキャリアが検知されたか否かを判定する。ステップS58の判定結果がYESであると処理はステップS59へ進み、判定結果がNOであると処理はステップS60へ進む。ステップS59では、受信処理部2138が受信したキャリアに基づいて、他のRFIDタグ21Cの個数n、IDリスト、役割リスト、タイマ情報を受信すると共に、これらの情報をリスト記憶部2132に格納してこれらの情報を更新し、処理は終了する。
【0071】
ステップS60では、送信タグ確認動作処理部242がキャリアカウンタ保持部241が保持するキャリアカウンタ値CCnt2が指定回数(例えば、100回)未満であるか否かを判定し、判定結果がNOであると処理は終了する。一方、ステップS60の判定結果がYESであると処理はステップS8であると、ステップS61では、送信タグ確認動作処理部242がキャリアカウンタ保持部241が保持するキャリアカウンタ値CCnt2をCCnt2++(又は、CCnt2=CCnt2+1)に更新し、処理はステップS57へ戻る。
【0072】
ステップS51の判定結果がNOであると、ステップS62では、送信タグ確認動作処理部242が予め設定された時間Teからタイマ219で管理されている時間Tsを減算した差が所定期間(例えば、10時間)未満であるか否か、即ち、Te−Ts<10hであるか否かを判定する。ステップS62の処理は、ステップS62の判定結果がNOになるまで繰り返される。ステップS62の判定結果がNOになると、処理は終了する。
【0073】
図16は、第3実施例における送信タグ確認処理を含むRFIDタグの動作の一例を説明するタイミングチャートである。図16中、図7及び図9と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。図16は、代表のRFIDタグ21C−1が送信タグでありRFIDタグ21C−2,21C−3がスリープの状態で同期処理が行われた後、RFIDタグ21C−2,21C−3が定期的(例えば、1時間毎)に送信タグの存在確認のための確認信号を送信する例を示す。この例では、RFIDタグ21C−1が途中で他のRFIDタグ21C−2,21C−3と通信不能となりRFIDタグ21C−1から確認信号に対する返答が得られなくなると、RFID21C−2が自ら送信タグに切り替わる。
【0074】
図16において、代表のRFIDタグ21C−1が送信タグでありRFIDタグ21C−2,21C−3がスリープの状態で同期処理が行われた後、送信タグ確認処理Confが行われる。送信タグ確認処理Confでは、RFIDタグ21C−2,21C−3が定期的(例えば、1時間毎)に送信タグの存在確認のための確認信号を送信する。図16中、t31はRFIDタグ21C−2が確認信号を送信タグであるRFIDタグ21C−1に送信するタイミングを示し、t32はRFIDタグ21C−1がRFIDタグ21A−1,21A−2,21A−3のタグID、役割を含む情報を他のRFIDタグ21A−2,21A−3に送信するタイミングを示す。
【0075】
この例では、RFIDタグ21C−1が途中で他のRFIDタグ21C−2,21C−3と通信不能となりRFIDタグ21C−1から確認信号に対する返答が得られなくなるので、例えばRFID21C−2がRFIDタグ21C−1から返答が得られなくなるt33で示すタイミングでRFIDタグ21C−2が自ら送信タグに切り替わる。その後、同期処理Sync3では、新たに送信タグとなったRFIDタグ21C−2が自身のタグID、役割を含む情報をt34で示すタイミングでこのRFIDタグ21C−2と通信可能な他のRFIDタグ21C−3に送信する。又、t35で示すタイミングでは、RFIDタグ21C−3がRFIDタグ21C−2,21C−3のタグID、役割を含む情報を送信タグとなったRFIDタグ21C−2に送信する。
【0076】
このように、送信タグ確認処理を行うことで、情報アクセスシステム内の送信タグが他のRFIDタグと通信不能になっても、他のRFIDタグと通信可能な任意のRFIDタグを送信タグとして機能させることで、その後の同期処理でどのRFIDタグが代表となっても、代表のRFIDタグが自身と通信可能な他のRFIDタグの情報を集中管理することができる。
【0077】
(変形例)
図17は、RFIDタグの構成の他の例を示すブロック図である。図17に示すRFIDタグ21Dは、プロセッサ又は制御部(或いは、コントローラ)の一例であるCPU501、記憶部502、電池503、送信機223、受信機225、及びアンテナ224,226を有する。記憶部502は、CPU501が実行するプログラム、及びCPU501が実行する演算の中間データを含む各種データを格納する。記憶部502に格納される各種データは、記憶部2132,2132Aに格納されるデータ、保持部2136,2137に保持されるカウンタ値及びフラグ、各フローチャートと共に説明した所定期間、所定時間、一定時間等のパラメータを含んでも良い。電池503は、CPU501を含むRFIDタグ21D内の各部に電力を供給する。送信機223、受信機225、及びアンテナ224,226は、R/W装置及び他のRFIDタグと通信を可能とする送受信部の一例を形成する。
【0078】
記憶部502は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体の一例である。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、一例として、磁気記録媒体、光記録媒体、光磁気記録媒体、ディスクを記録媒体として用いるディスク装置、ROM(Read Only Memory)等を含む半導体記憶装置等で形成可能である。ディスクを記録媒体として用いるディスク装置には、例えばHDD(Hard Disk Drive)が使用可能である。又、記憶部502は、複数の記憶装置で形成されていても良く、この場合、例えばRAMとROMを有しても、アクセス速度の異なる記憶装置を含んでも良い。
【0079】
記憶部502に格納されたプログラムは、CPU501に上記第1〜第3実施例のいずれかのRFIDタグ21A〜21Cが行う処理の手順を実行させるものであっても、CPU501に上記第1〜第3実施例のいずれかのRFIDタグ21A〜21Cの各部(即ち、機能ブロック)の機能を実現させるものであっても良い。
【0080】
又、タイマ219の機能をCPU501で実現せずに、タイマ219の機能を実現するタイマ(図示せず)を別途CPU501に接続した構成としても良い。
【0081】
(まとめ)
ところで、従来のアクティブ型RFIDタグでは、各RFIDタグが他のRFIDタグとは独立にデータの送受信を行うため、無駄な間欠動作(即ち、キャリアセンス)が多く電力消費も比較的大きい。一方、上記第1〜第3の実施例では、いずれも間欠動作(即ち、キャリアセンス)を行うRFIDタグの個数を最小限に抑えることができるので、消費電力を低減可能である。同期処理にもよるが、任意のRFIDと通信可能なRFIDタグが周囲にn個存在すると、各実施例における各RFIDタグの消費電力は従来の場合と比較すると約1/n程度に抑えることができる。
【0082】
R/W装置と複数のRFIDタグがデータの送受信を行う場合、上記各実施例ではRFIDタグ同士が送信する電波の衝突は発生しにくいため、スムーズな通信が可能となる。又、RFIDタグ間では事前にタグID、センサログ等の交換を行っているために、従来の場合と比較するとR/W装置は各RFIDタグのデータを欠落なくより確実に取得することができる。
【0083】
従来のアクティブ型RFIDタグの一例の消費エネルギーと、上記各実施例におけるアクティブ型RFIDタグの消費エネルギーは、次のように求めることができる。ここで、Tは経過時間、Nは情報アクセスシステム内のRFIDタグの個数、DCTは各RFIDタグのキャリアセンス間隔、STは上記各実施例において同期処理が行われる同期時間、SN=T/STは同期処理が行われる同期回数、ESは同期処理時の各RFIDタグの消費エネルギー、CT=T/86400, 1(h)=86400(s(秒))は各RFIDタグの送信頻度(例えば、1日1回)、CR=T/86400, 1(h)=86400(s(秒))は各RFIDタグの受信頻度(例えば、1日1回)を示す。又、EXは同期処理時にR/W装置からの周波数f1のキャリアセンスを行わないことで各RFIDタグが節約できる消費エネルギーを示す。又、dtCは各RFIDタグの1回のキャリアセンスの時間、αはキャリアセンス時の各RFIDタグの消費電力、dtTは各RFIDタグの1回の送信の時間、βは送信時の各RFIDタグの消費電力、γは各RFIDタグの1回の受信の時間、dtRは受信時の各RFIDタグの消費電力を示す。
【0084】
各RFIDタグが他のRFIDタグとは独立に動作する従来のアクティブ型RFIDタグの一例の場合、1個のRFIDタグのエネルギー消費Enormalは以下の式で表すことができる。
【0085】
Enormal=2T/DCT×αdtC+βdtTCT+γdtRCR
={2αdtC/DCT+(βdtT+γdtR)/86400}T
=PnormalT
【0086】
一方、RFIDタグが上記各実施例のように同期処理を行う場合の1個のRFIDタグのエネルギー消費Esyncは以下の式で表すことができる。
【0087】
Esync=2T/NDCT×αdtC+SN×(ES-EX)+βdtTCT+γdtRCR
=[{2αdtC/DCT+(βdtT+γdtR)/86400}/N+{ES-EX}/ST]T
={Pnormal/N+(ES-EX)/ST}T
【0088】
エネルギー消費Enormal, Esyncの比較からもわかるように、上記各実施例におけるRFIDタグのエネルギー消費は、各RFIDタグが他のRFIDタグとは独立に動作する従来のアクティブ型RFIDタグの一例のエネルギー消費より小さくすることが可能となる。
【0089】
尚、R/W装置がRFIDタグに書き込みデータを書き込む場合には、代表のRFIDタグに書き込み先のRFIDタグのタグIDと共に書き込んでも良い。この場合、代表のRFIDタグは、次の同期処理時に他のスリープのRFIDタグにタグIDや役割の情報を送信する際に、書き込み先のRFIDタグのタグIDと書き込みデータを送信しても良い。書き込み先のRFIDタグでは、自身のIDタグが代表のRFIDタグから受信したタグIDと一致すれば受信した書き込みデータをRFIDタグ内の記憶部に格納できる。
【0090】
以上の実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
自装置と他装置の識別情報及びモード情報を格納する記憶部と、
外部と通信する送受信部と、
前記記憶部に格納された識別情報及びモード情報に基づいて、同期処理時に第1のモード又は第2のモードで前記送受信部を介して前記他装置と通信する制御部を備え、
前記第1のモードでは、前記制御部は前記記憶部内の前記自装置と前記他装置の識別情報及びモード情報を前記送受信部を介して前記他装置へ送信すると共に、前記他装置からの識別情報及びモード情報を前記送受信部を介して受信して前記記憶部に格納し、前記同期処理後は外部読み取り装置からの第1の信号を検知する第1の検知期間と前記他装置からの第2の信号を検知する第2の検知期間とを定期的に繰り返し、
前記第2のモードでは、前記制御部は前記他装置からの識別情報及びモード情報を前記送受信部を介して受信して前記記憶部に格納すると共に、前記記憶部内の前記自装置と前記他装置の識別情報及びモード情報を前記送受信部を介して前記他装置へ送信し、前記同期処理後は信号検知期間を含まない省電力状態となることを特徴とする、アクティブ型非接触情報記憶装置。
(付記2)
前記制御部は、前記第1のモードでは前記第1の検知期間で前記第1の信号を検知すると、前記記憶部に格納された前記自装置と前記他装置の識別情報及びモード情報を前記送受信部を介して前記外部読み取り装置へ一括送信することを特徴とする、付記1記載のアクティブ型非接触情報記憶装置。
(付記3)
前記制御部は、前記第1のモードでは前記同期処理後に新たな他装置が自装置と通信可能になると臨時同期処理を行い、前記新たな他装置の識別情報及びモード情報を前記送受信部を介して受信して前記記憶部に格納して前記記憶部内の情報を更新すると共に、更新された情報を前記送受信部を介して前記新たな他装置へ送信し、その後に前記第1及び第2の検知期間を定期的に繰り返すことを特徴とする、付記1又は2記載のアクティブ型非接触情報記憶装置。
(付記4)
前記制御部は、前記第2のモードでは前記同期処理後に定期的に前記第1のモードの他装置の存在確認のための確認信号を前記送受信部を介して送信する確認処理を行い、前記第1のモードの他の装置から前記確認信号に対する返答が得られなくなると前記自装置を前記第1のモードに切り替えることを特徴とする、付記1乃至3のいずれか1項記載のアクティブ型非接触情報記憶装置。
(付記5)
前記自装置の環境パラメータを検知するセンサを更に備え、
前記制御部は、前記環境パラメータを前記自装置の識別情報及び時間情報に関連付けて前記記憶部に格納することを特徴とする、付記1乃至4のいずれか1項記載のアクティブ型非接触情報記憶装置。
(付記6)
前記制御部は、前記自装置と通信可能な前記他装置の個数を、前記他装置から受信した情報に基づいて前記記憶部に格納することを特徴とする、付記1乃至5のいずれか1項記載のアクティブ型非接触情報記憶装置。
(付記7)
第1の信号を連続的に送信すると共に、第2の信号を連続的に受信可能な受信待ち状態をとる外部読み取り装置と、
前記外部読み取り装置の通信可能範囲内で前記外部読み取り装置と通信可能な複数のアクティブ型非接触情報記憶装置を含む情報アクセスシステムであって、
各アクティブ型非接触情報記憶装置は、自装置の記憶部に格納された識別情報及びモード情報に基づいて、同期処理時に第1のモード又は第2のモードで他装置と通信する制御部を備え、
前記第1のモードでは、前記制御部は前記記憶部内の前記自装置と前記他装置の識別情報及びモード情報を前記他装置へ送信すると共に、前記他装置からの識別情報及びモード情報を受信して前記記憶部に格納し、前記同期処理後は前記外部読み取り装置からの第1の信号を検知する第1の検知期間と前記他装置からの第2の信号を検知する第2の検知期間とを定期的に繰り返し、
前記外部読み取り装置が送信した前記第1の信号を前記第1のモードのアクティブ型非接触情報記憶装置の制御部が前記第1の検知期間で検知すると、前記外部読み取り装置は当該アクティブ型非接触情報記憶装置の記憶部に格納され一括送信されてくる自装置と他装置の識別情報及びモード情報を含む第2の信号を受信することを特徴とする、情報アクセスシステム。
(付記8)
前記第2のモードでは、前記アクティブ型非接触情報記憶装置の前記制御部は前記他装置からの識別情報及びモード情報を受信して前記記憶部に格納すると共に、前記記憶部内の前記自装置と前記他装置の識別情報及びモード情報を前記他装置へ送信し、前記同期処理後は信号検知期間を含まない省電力状態となることを特徴とする、情報アクセスシステム。
(付記9)
前記アクティブ型非接触情報記憶装置は、自装置の環境パラメータを検知するセンサを更に備え、前記制御部は前記環境パラメータを前記自装置の識別情報及び時間情報に関連付けて前記記憶部に格納し、
前記外部読み取り装置は、前記第1の信号に応答して前記アクティブ型非接触情報記憶装置の前記記憶部に格納され一括送信されてくる前記環境パラメータを含む第2の信号を受信することを特徴とする、付記7又は8記載の情報アクセスシステム。
(付記10)
コンピュータに、記憶部を有するアクティブ型非接触情報記憶装置の処理を実行させるプログラムであって、
前記記憶部に格納された自装置と他装置の識別情報及びモード情報に基づいて、同期処理時に第1のモード又は第2のモードで前記他装置と通信する手順と、
前記第1のモードでは、前記記憶部内の前記自装置と前記他装置の識別情報及びモード情報を前記他装置へ送信すると共に、前記他装置からの識別情報及びモード情報を受信して前記記憶部に格納し、前記同期処理後は外部読み取り装置からの第1の信号を検知する第1の検知期間と前記他装置からの第2の信号を検知する第2の検知期間とを定期的に繰り返す手順と、
前記第2のモードでは、前記制御部は前記他装置からの識別情報及びモード情報を受信して前記記憶部に格納すると共に、前記記憶部内の前記自装置と前記他装置の識別情報及びモード情報を前記他装置へ送信し、前記同期処理後は信号検知期間を含まない省電力状態となる手順
を前記コンピュータに実行させることを特徴とする、プログラム。
(付記11)
前記第1のモードでは、前記第1の検知期間で前記第1の信号を検知すると、前記記憶部に格納された前記自装置と前記他装置の識別情報及びモード情報を前記外部読み取り装置へ一括送信する手順を前記コンピュータに更に実行させることを特徴とする、付記10記載のプログラム。
(付記12)
前記第1のモードでは、前記同期処理後に新たな他装置が自装置と通信可能になると臨時同期処理を行い、前記新たな他装置の識別情報及びモード情報を受信して前記記憶部に格納して前記記憶部内の情報を更新すると共に、更新された情報を前記新たな他装置へ送信し、その後に前記第1及び第2の検知期間を定期的に繰り返す手順を前記コンピュータに更に実行させることを特徴とする、付記10又は11記載のプログラム。
(付記13)
前記第2のモードでは、前記同期処理後に定期的に前記第1のモードの他装置の存在確認のための確認信号を送信する確認処理を行い、前記第1のモードの他の装置から前記確認信号に対する返答が得られなくなると前記自装置を前記第1のモードに切り替える手順を前記コンピュータに更に実行させることを特徴とする、付記10乃至12のいずれか1項記載のプログラム。
(付記14)
センサにより検知された前記自装置の環境パラメータを前記自装置の識別情報及び時間情報に関連付けて前記記憶部に格納する手順を前記コンピュータに更に実行させることを特徴とする、付記10乃至13のいずれか1項記載のプログラム。
(付記15)
前記自装置と通信可能な前記他装置の個数を、前記他装置から受信した情報に基づいて前記記憶部に格納する手順を前記コンピュータに更に実行させることを特徴とする、付記10乃至14のいずれか1項記載のプログラム。
【0091】
以上、開示のアクティブ型非接触情報記憶装置、情報アクセスシステム及びプログラムを実施例により説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0092】
11 R/W装置
21A〜21D RFIDタグ
111 命令解釈部
112 コマンド生成部
115 記憶部
116 コマンド処理部
211 電池
212 電源オン/オフスイッチ
213 同期処理部
214 送信動作処理部
215 タグ向けデータ生成部
216 R/W向けデータ生成部
217 キャリアセンス制御部
218 動作制御部
219 タイマ
220 スリープ動作処理部
221 コマンド処理部
222 キャリア判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置と他装置の識別情報及びモード情報を格納する記憶部と、
外部と通信する送受信部と、
前記記憶部に格納された識別情報及びモード情報に基づいて、同期処理時に第1のモード又は第2のモードで前記送受信部を介して前記他装置と通信する制御部を備え、
前記第1のモードでは、前記制御部は前記記憶部内の前記自装置と前記他装置の識別情報及びモード情報を前記送受信部を介して前記他装置へ送信すると共に、前記他装置からの識別情報及びモード情報を前記送受信部を介して受信して前記記憶部に格納し、前記同期処理後は外部読み取り装置からの第1の信号を検知する第1の検知期間と前記他装置からの第2の信号を検知する第2の検知期間とを定期的に繰り返し、
前記第2のモードでは、前記制御部は前記他装置からの識別情報及びモード情報を前記送受信部を介して受信して前記記憶部に格納すると共に、前記記憶部内の前記自装置と前記他装置の識別情報及びモード情報を前記送受信部を介して前記他装置へ送信し、前記同期処理後は信号検知期間を含まない省電力状態となることを特徴とする、アクティブ型非接触情報記憶装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1のモードでは前記第1の検知期間で前記第1の信号を検知すると、前記記憶部に格納された前記自装置と前記他装置の識別情報及びモード情報を前記送受信部を介して前記外部読み取り装置へ一括送信することを特徴とする、請求項1記載のアクティブ型非接触情報記憶装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1のモードでは前記同期処理後に新たな他装置が自装置と通信可能になると臨時同期処理を行い、前記新たな他装置の識別情報及びモード情報を前記送受信部を介して受信して前記記憶部に格納して前記記憶部内の情報を更新すると共に、更新された情報を前記送受信部を介して前記新たな他装置へ送信し、その後に前記第1及び第2の検知期間を定期的に繰り返すことを特徴とする、請求項1又は2記載のアクティブ型非接触情報記憶装置。
【請求項4】
コンピュータに、記憶部を有するアクティブ型非接触情報記憶装置の処理を実行させるプログラムであって、
前記記憶部に格納された自装置と他装置の識別情報及びモード情報に基づいて、同期処理時に第1のモード又は第2のモードで前記他装置と通信する手順と、
前記第1のモードでは、前記記憶部内の前記自装置と前記他装置の識別情報及びモード情報を前記他装置へ送信すると共に、前記他装置からの識別情報及びモード情報を受信して前記記憶部に格納し、前記同期処理後は外部読み取り装置からの第1の信号を検知する第1の検知期間と前記他装置からの第2の信号を検知する第2の検知期間とを定期的に繰り返す手順と、
前記第2のモードでは、前記制御部は前記他装置からの識別情報及びモード情報を受信して前記記憶部に格納すると共に、前記記憶部内の前記自装置と前記他装置の識別情報及びモード情報を前記他装置へ送信し、前記同期処理後は信号検知期間を含まない省電力状態となる手順
を前記コンピュータに実行させることを特徴とする、プログラム。
【請求項5】
第1の信号を連続的に送信すると共に、第2の信号を連続的に受信可能な受信待ち状態をとる外部読み取り装置と、
前記外部読み取り装置の通信可能範囲内で前記外部読み取り装置と通信可能な複数のアクティブ型非接触情報記憶装置を含む情報アクセスシステムであって、
各アクティブ型非接触情報記憶装置は、自装置の記憶部に格納された識別情報及びモード情報に基づいて、同期処理時に第1のモード又は第2のモードで他装置と通信する制御部を備え、
前記第1のモードでは、前記制御部は前記記憶部内の前記自装置と前記他装置の識別情報及びモード情報を前記他装置へ送信すると共に、前記他装置からの識別情報及びモード情報を受信して前記記憶部に格納し、前記同期処理後は前記外部読み取り装置からの第1の信号を検知する第1の検知期間と前記他装置からの第2の信号を検知する第2の検知期間とを定期的に繰り返し、
前記外部読み取り装置が送信した前記第1の信号を前記第1のモードのアクティブ型非接触情報記憶装置の制御部が前記第1の検知期間で検知すると、前記外部読み取り装置は当該アクティブ型非接触情報記憶装置の記憶部に格納され一括送信されてくる自装置と他装置の識別情報及びモード情報を含む第2の信号を受信することを特徴とする、情報アクセスシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−118590(P2012−118590A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264998(P2010−264998)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】