説明

アクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物を成形して得られたフィルム

【課題】 各種溶剤が付着した場合であっても、成形品表面の溶解や変形や変色等を引き起こすことのないレベルの優れた耐溶剤性と、耐熱性とを両立したフィルムを提供する。
【解決手段】 脂肪族環式構造含有ポリオール(A)、脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)、脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)及び活性水素原子含有基を有するアクリル化合物(D)を反応させることによって得られるアクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)及び溶媒(2)を含有してなり、前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)が、前記(A)と前記(B)と前記(C)と前記(D)との合計質量に対して、40〜80質量%の範囲であることを特徴とするアクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物を成形して得られたフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、 アクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物を成形して得られたフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ウレタン系成形材料を用いて得られた成形品は、現在、自動車部品及び家電部品や包装材、皮革様シートを構成する表皮材等の様々な用途で使用されている。
【0003】
前記成形品には、その適用用途に対応した様々な特性が求められる。例えば自動車内外装材に使用する場合には、アルコールや食品中の油脂等の付着による成形品表面の変形や変色等を引き起こさないレベルの耐アルコール性や耐オレイン酸性、更には、夏場の高温環境下に長時間晒された場合に成形品の変形等を引き起こさないレベルの耐熱性が求められる場合がある。
【0004】
前記したようなアルコール等に起因した変形等を引き起こしにくい成形材料としては、例えばポリテトラメチレンカーボネートジオールと有機ジイソシアネートの1種または2種以上を反応させて得られる特定のプレポリマーと、該プレポリマーのイソシアネートと反応しうる活性水素を2個有する鎖伸長剤とからなり、前記プレポリマー/鎖伸長剤のモル比が1を越える値で、前記プレポリマーの末端の未反応イソシアネートと反応しうる活性水素を1個有する反応停止材で末端停止した分子量3〜20万でゲル%が5%以下の熱可塑性ポリウレタン成型材料が知られている(例えば特許文献1参照。)。
【0005】
しかし、前記熱可塑性ポリウレタン成型材料を用いて得られた成形品は、耐熱性の点で実用上十分でない場合があり、高温環境下に長期間晒された場合に変形等を引き起こす場合があった。
【0006】
一方、前記成形品を各種製品の所定の位置に固着する際には、一般に、接着剤を用いることが多い。例えば自動車部品や家電部品を製造する際には、所定の形状をした成形品からなる部材同士の接着に、有機溶剤型接着剤を使用することがあった。
【0007】
しかし、前記接着剤中に含まれる有機溶剤は、ウレタン系成形品の表面を侵し、該成形品表面の溶解や変形や変色等を引き起こす場合があった。
【0008】
特に、前記成形品としてフィルムまたはシート状のものを、有機溶剤型接着剤を用いて積層等する場合には、前記接着剤中に含まれる有機溶剤の影響によってフィルム等の溶解や収縮等の変形及び変色を引き起こす場合があった。
【0009】
このように、産業界からは、かかる場合であっても、成形品表面の溶解や変形や変色等を引き起こさないレベルの耐溶剤性と、前記耐熱性とを備えた成形品を形成可能な成形材料の開発が求められている。
【0010】
しかし、前記特許文献1に記載の前記熱可塑性ポリウレタン成型材料を用いて得られた成形品は、アルコールやオレイン酸等の油脂成分に対しては良好な耐性を有するものの、強溶剤をはじめとする各種有機溶剤に対して十分な耐溶剤性を備えているとはいいがたく、依然として前記溶剤の付着による成形品表面からの樹脂の溶解や成形品表面の変形、変色等を防止することは困難な場合があった。
【0011】
以上のように、優れた耐熱性と有機溶剤対する優れた耐溶剤性とを両立した成形品が産業界から強く求められているものの、未だ見出されていないのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平7−41540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、各種溶剤が付着した場合であっても、成形品表面の溶解や変形や変色等を引き起こすことのないレベルの優れた耐溶剤性と、耐熱性とを両立したフィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者等は、前記課題を解決すべく検討を進めるなかで、前記文献1に記載されたようなウレタン樹脂中に脂肪族環式構造を導入することを検討した。具体的には、様々な種類のポリオールやポリイソシアネートの組み合わせを検討し、更には、様々な種類の鎖伸長剤との組み合わせをも検討した。
【0015】
その結果、脂肪族環式構造含有ポリオールと脂肪族環式構造含有ポリイソシアネートと脂肪族環式構造含有ポリアミンと活性水素原子含有基を有するアクリル化合物とを反応させることによって得られるアクリル変性ウレタンウレア樹脂と溶媒を含有するアクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物を成形して得られたフィルムである場合に限り、優れた耐溶剤性と耐熱性とを両立したフィルムを形成できることを見出した。
【0016】
即ち、本発明は、脂肪族環式構造含有ポリオール(A)、脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)、脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)及び活性水素原子含有基を有するアクリル化合物(D)を反応させることによって得られるアクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)及び溶媒(2)を含有してなり、前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)が、アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)の製造に使用する原料である脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)と脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)と活性水素原子含有基を有するアクリル化合物(D)との合計質量に対して、40〜80質量%の範囲であることを特徴とするアクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物を成形して得られたフィルムに関するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明のアクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物を成形して得られたフィルムであれば、優れた耐溶剤性と耐熱性とを備えたフィルムを形成できることから、例えば、自動車部品や家電部品、包装材、フィルムやシート、皮革様シートの表皮材等の製造に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
はじめに、本発明で使用するアクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)について説明する。
【0019】
本発明で使用するアクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)は、脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)と脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)と活性水素原子含有基を有するアクリル化合物(D)とを反応させて得られるものである。
【0020】
前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)は、優れた耐溶剤性と耐熱性とを奏するうえで脂肪族環式構造を有することが必須である。前記脂肪族環式構造は、前記脂肪族環式構造含有ポリオールと脂肪族環式構造含有ポリイソシアネートと脂肪族環式構造含有ポリアミンのいずれからも供給されることが重要である。例えば、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)中に存在する脂肪族環式構造の質量割合が同程度であっても、脂肪族環式構造含有ポリイソシアネートの代わりに脂肪族ポリイソシアネートを使用した樹脂組成物では、所望の耐溶剤性を備えたフィルムを形成できない場合がある。
【0021】
前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)としては、優れた耐溶剤性と耐熱性とを両立したフィルムを得る観点から、20〜60質量%の範囲の脂肪族環式構造を有するものを使用することが好ましい。なお、前記脂肪族環式構造の質量割合は、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)の製造に使用する原料である脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)と脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)と活性水素原子含有基を有するアクリル化合物(D)との合計質量に対する、前記原料中に占める脂肪族環式構造の質量の割合である。
【0022】
前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)は、ウレタン結合とウレア結合とを有する。ウレア結合を有さない、いわゆるウレタンアクリレートを使用した場合には、成形加工性が低く、例えば薄肉化したフィルム等の成形品を製造しにくい場合がある。したがって、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)としては、優れた成形加工性とともに、良好な耐熱性と耐溶剤性とを両立するうえ観点から、4〜10質量%のウレア結合を有するものを使用することが好ましく、5〜8質量%であることがより好ましく、6〜7質量%であることが特に好ましい。なお、前記ウレア結合の質量割合は、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)の製造に使用する原料である前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)と脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)と活性水素原子含有基を有するアクリル化合物(D)との合計質量に対する、前記原料中に占めるウレア結合構造の質量の割合である。
【0023】
また、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)としては、優れた成形加工性とともに、良好な耐熱性と耐溶剤性とを両立するうえ観点から、5〜15質量%のウレタン結合を有するものを使用することが好ましく、7〜9質量%であることがより好ましい。なお、前記ウレタン結合の質量割合は、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)の製造に使用する原料である前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)と脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)と活性水素原子含有基を有するアクリル化合物(D)との合計質量に対する、前記原料中に占めるウレタン結合構造の質量の割合である。
【0024】
前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)としては、5000〜200000の重量平均分子量を有するものを使用することが、優れた耐溶剤性と耐熱性とともに良好な成形加工性を維持するうえで好ましく、15000〜200000の範囲がより好ましい。なお、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用い、溶離液としてテトラヒドロフランを使用し、スチレン換算によって求めた値である。
【0025】
本発明で使用するアクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)は、前記アクリル化合物(D)由来のアクリロイル基の当量重量が10000〜50000の範囲であるものを使用することが、優れた耐溶剤性と耐熱性とを両立するうえで好ましく、10000〜30000がより好ましい。なお、前記アクリロイル基の当量重量とは、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)を構成する脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)と脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)と活性水素原子含有基を有するアクリル化合物(D)との合計質量を、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂中に存在する前記アクリル化合物(D)由来のアクリロイル基の当量で除した値を指す。
【0026】
次に、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)の製造に使用する脂肪族環式構造含有ポリオール(A)について説明する。
【0027】
本発明で使用する脂肪族環式構造含有ポリオール(A)としては、水酸基価が30〜230mgKOH/gの範囲であるものを使用することが好ましく、50〜230mgKOH/gの範囲であるものを使用することがより好ましい。なお、前記ポリオール(A)の水酸基価は、JIS K0070に準拠して測定を行った値である。
【0028】
前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)としては、例えば脂肪族環式構造含有ポリカーボネートポリオール、脂肪族環式構造含有ポリエステルポリオール、脂肪族環式構造含有ポリエーテルポリオール、脂肪族環式構造含有アクリルポリオール等を使用することができ、脂肪族環式構造含有ジオールが好ましく使用される。また、これらの中でも優れた耐溶剤性と耐熱性とを両立する観点から、脂肪族環式構造含有ポリカーボネートポリオール及び脂肪族環式構造含有ポリエステルポリオールを使用することがより好ましく、脂肪族環式構造含有ポリカーボネートジオール及び脂肪族環式構造含有ポリエステルジオールを使用することが特に好ましい。
【0029】
前記脂肪族環式構造含有ポリカーボネートポリオールとしては、例えば炭酸エステル及び/またはホスゲンと、後述する概ね50〜400程度の比較的低分子量の脂肪族環式構造含有ポリオール(a1)とを反応させて得られるものを使用することができる。
【0030】
前記炭酸エステルとしては、例えばメチルカーボネートや、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネ−ト等を使用することできる。
【0031】
前記炭酸エステルやホスゲンと反応しうる脂肪族環式構造含有ポリオール(a1)としては、例えば1,2−シクロブタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキシプロピルシクロヘキサノール、トリシクロ〔5,2,1,0,2,6〕デカン−ジメタノール、ビシクロ〔4,3,0〕−ノナンジオール、ジシクロヘキサンジオール、トリシクロ〔5,3,1,1〕ドデカンジオール、ビシクロ〔4,3,0〕ノナンジメタノール、トリシクロ〔5,3,1,1〕ドデカン−ジエタノール、ヒドロキシプロピルトリシクロ〔5,3,1,1〕ドデカノール、スピロ〔3,4〕オクタンジオール、ブチルシクロヘキサンジオール、1,1’−ビシクロヘキシリデンジオール、シクロヘキサントリオール、水素添加ビスフェノ−ルA、1,3−アダマンタンジオール等を使用することができ、なかでも1,4−シクロヘキサンジメタノールを使用することが好ましい。
【0032】
前記脂肪族環式構造含有ポリエステルポリオールとしては、例えば概ね50〜400程度の比較的低分子量の脂肪族環式構造含有ポリオールとポリカルボン酸とを反応させて得られるものや、低分子ポリオールと脂肪族環式構造含有ポリカルボン酸とを反応させて得られるものや、それらの一部に、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル化合物が開環重合反応して付加したものなどを使用することができる。
【0033】
前記脂肪族環式構造含有ポリエステルポリオールの製造に使用可能な脂肪族環式構造含有ポリオールとしては、前記脂肪族環式構造含有ポリカーボネートポリオールの製造に使用できるものとして例示した脂肪族環式構造含有ポリオール(a1)と同様のものを使用することができる。
【0034】
また、前記低分子量の脂肪族環式構造含有ポリオールと反応しうるポリカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ダイマー酸の脂肪族ポリカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸やシクロヘキサントリカルボン酸等の脂肪族環式構造含有ポリカルボン酸、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族ポリカルボン酸、及びそれらの無水物またはエステル誘導体を単独または2種以上併用して使用することができ、脂肪族ポリカルボン酸を使用することが好ましい。
【0035】
前記脂肪族環式構造含有ポリエステルポリオールの製造に使用可能な脂肪族環式構造含有ポリカルボン酸としては、前記同様に1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を使用することができる。
【0036】
前記脂肪族環式構造含有ポリカルボン酸との反応に使用可能なポリオールとしては、前記脂肪族環式構造含有ポリオール(a1)の他に、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール等を使用することができる。
【0037】
前記脂肪族環式構造含有ポリエーテルポリオールとしては、例えば活性水素原子を2個以上有する化合物の1種または2種以上を開始剤として、アルキレンオキサイドを付加重合させたものを使用することができる。
【0038】
前記開始剤としては、例えば水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の、前記した脂肪族環式構造含有ポリオール(a1)と同様のものを使用することができる。また、必要に応じて、従来から知られるエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の脂肪族ポリオールを併用することもできる。
【0039】
前記アルキレンオキサイドとしては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン等を使用することができる。
【0040】
前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)としては、前記したような脂肪族環式構造含有ポリカーボネートポリオール、脂肪族環式構造含有ポリエステルポリオールまたは脂肪族環式構造含有ポリエーテルポリオール等とともに、その他の活性水素含有の鎖伸長剤を組み合わせ使用することが、耐溶剤性や耐熱性、耐久性に優れたフィルムを形成できるので好ましい。
【0041】
前記その他の活性水素含有の鎖伸長剤としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3,3’−ジメチロールへプタン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、3,3−ビス(ヒドロキシメチル)へプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ハイドロキノンジエチロールエーテル等の多価アルコール等を単独または2種以上併用して使用することができる
【0042】
本発明では、前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)のほかに、必要に応じて、従来から知られる脂肪族ポリカーボネートポリオール、芳香族ポリカーボネートポリオール、脂肪族ポリエステルポリオール、芳香族ポリエステルポリオール、脂肪族ポリエーテルポリオール、芳香族ポリエーテルポリオール等のその他のポリオールを組み合わせ使用することができる。
【0043】
前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)は、本発明のアクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)の製造に使用する原料である脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)と脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)とアクリル化合物(D)との合計質量に対して、40〜80質量%の範囲で使用することが必須である
【0044】
次に、前記脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)について説明する。
前記脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)としては、例えばイソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−メチルシクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキシレン−1,2−ジカルボキシレートおよび2,5−および/または2,6−ノルボルナンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等を使用することができる。なかでも、本発明の成形品に優れた耐溶剤性及び耐熱性を付与する観点からジイソシアネートを使用することが好ましく、イソホロンジイソシアネートや4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを使用することがより好ましく、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを使用することが特に好ましい。
【0045】
また、本発明では、前記脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)の他に、必要に応じて、フェニレンジイソシアネートやトリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート等のその他のポリイソシアネートを組み合わせ使用することができる。
【0046】
前記脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)は、得られるアクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)の製造に使用する原料である脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)と脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)とアクリル化合物(D)との合計質量に対して、15〜50質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0047】
次に、前記脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)について説明する。
【0048】
前記脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)は、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂中にウレア結合を導入するために使用する。
【0049】
前記脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)としては、例えば、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、メチルジアミノシクロヘキサン、ビペラジン、ノルボルネンジアミン等を使用することができ、なかでもジアミンを使用することが好ましく、特にイソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミンを使用することが優れた耐熱性及び耐溶剤性に優れたフィルムを形成するうえで好ましい。
【0050】
また、本発明では、前記脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)の他に、必要に応じて、従来からエチレンジアミン等の鎖伸長剤として知られる脂肪族ポリアミン等を、本発明の効果を損なわない範囲で併用しても良い。
【0051】
前記脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)は、得られるアクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)の製造に使用する原料である脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)と脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)とアクリル化合物(D)との合計質量に対して、1〜20質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0052】
次に、前記活性水素原子含有基を有するアクリル化合物(D)について説明する。
【0053】
本発明で使用する活性水素原子含有基を有するアクリル化合物(D)は、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂中にアクリロイル基を導入するうえで使用するものであって、イソシアネート基と反応しうる活性水素原子含有基を有するものを使用する。
【0054】
前記活性水素原子含有基としては、例えば水酸基、カルボキシル基等が挙げられるが、水酸基であることが好ましい。
【0055】
前記アクリル化合物(D)としては、前記水酸基を有するアクリル化合物やカルボキシル基を有するアクリル化合物等を使用できるが、水酸基を有するアクリル化合物を使用することが好ましい。
【0056】
前記水酸基を有するアクリル化合物としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有アクリル酸アルキルエステル、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート等を使用することができる。なかでも、耐溶剤性と耐熱性の観点から、水酸基含有アクリル酸アルキルエステルを使用することが好ましく、原料入手のしやすさの観点から2−ヒドロキシエチルアクリレートや4−ヒドロキシブチルアクリレートを使用すること好ましい。
【0057】
前記アクリル化合物(D)は、アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)の製造に使用する原料である脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)と脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)とアクリル化合物(D)との合計質量に対して、0.05〜10質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0058】
また、前記アクリル化合物(D)の一部は、本発明のアクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物中に、未反応の状態で存在していても良い。即ち、本発明のアクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物は、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂とともに、未反応の前記アクリル化合物(D)を含有するものであってもよい。
【0059】
次に、本発明で使用する溶媒(2)について説明する。
【0060】
前記溶媒(2)としては、有機溶媒及び水溶媒を使用することができるが、成形品の成形性をより向上できる観点から、有機溶媒を使用することがより好ましい。
【0061】
前記溶媒(2)として有機溶媒を使用する場合は、特に限定されないが、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブ、酢酸セロソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、メタノール、イソプロパノール、2−ブタノール、n−ブタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等を使用することができ、これらは単独又は併用して使用してもよい。また、これらの有機溶媒は、使用される用途に応じて適宜選択される。
【0062】
また、本発明のアクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物における、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)と前記溶媒(2)の質量割合は、(1)/(2)=10〜50/90〜50であることが必須であり、15〜35/85〜65であることがより好ましい。
【0063】
次に、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)の製造方法について説明する。
【0064】
前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)の製造方法としては、例えば以下の製法(i)〜製法(ii)の方法が挙げられる。なかでも以下の(i)の方法によって製造することが、反応を制御しやすいため好ましい。
【0065】
製法(i)は、前記溶媒(2)下で、前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と前記脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)と、必要に応じて、前記その他の活性水素含有の鎖伸長剤とを反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得、次いで、前記ウレタンプレポリマーと前記脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)と前記アクリル化合物(D)とを反応させることによってアクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)を製造する方法である。
【0066】
前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と前記脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)との反応は、該脂肪族環式構造含有ポリオール(A)の有する水酸基と脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)の有するイソシアネート基との当量割合[イソシアネート基/水酸基]が1.1/1.0〜5.0/1.0の範囲で行うことが好ましく、1.5/1.0〜3.0/1.0の範囲であることがより好ましい。また、前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と前記脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)との反応は、20〜120℃の条件下で概ね30分〜24時間程度行うことが好ましい。
【0067】
前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)との反応で得られた、前記分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、前記脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)と前記アクリル化合物(D)との反応は、例えば、前記ウレタンプレポリマーと前記脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)とを一括または逐次供給し反応させることによってウレタンウレアプレポリマーを製造し、該ウレタンウレアプレポリマーと前記アクリル化合物(D)とを反応させることによってアクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)を製造することができる。その際、前記ウレタンプレポリマーの有するイソシアネート基と脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)のアミノ基との当量割合[アミノ基/イソシアネート基]は、0.70/1.0〜0.99/1.0の範囲であることが好ましい。また、前記ウレタンプレポリマーと前記脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)と前記アクリル化合物(D)とを一括または逐次混合し、20〜80℃の条件下で概ね1〜3時間ほど反応させることによって製造することもできる。
【0068】
また、前記製法(ii)は、前記溶媒(2)下で、前記脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)と前記脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)とを反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するポリウレアプレポリマーを得、次いで、該ポリウレアプレポリマーと前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と前記アクリル化合物(D)と、必要に応じて、前記その他の活性水素含有の鎖伸長剤とを反応させることによってアクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)を製造する方法である。
【0069】
前記脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)と前記脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)との反応は、前記脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)の有するイソシアネート基と前記脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)の有するアミノ基との当量割合[イソシアネート基/アミノ基]が1.1/1.0〜5.0/1.0の範囲で行うことが好ましい。また、前記脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)と前記脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)との反応は、20〜80℃の条件下で概ね30分〜1時間程度行うことが好ましい。
【0070】
前記脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)と前記脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)との反応で得られた、前記分子末端にイソシアネート基を有するポリウレアプレポリマーと、前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と前記アクリル化合物(D)との反応は、例えば、前記ポリウレアプレポリマーと前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)とを一括または逐次供給し反応させることによって、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンウレアプレポリマーを製造し、該ウレタンウレアプレポリマーと前記アクリル化合物(D)を反応させることによってアクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)を製造することができる。また、前記ポリウレアプレポリマーと前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と前記アクリル化合物(D)とを一括または逐次混合し反応させることによって製造することもできる。
【0071】
前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)を製造する際には、前記製法(i)及び(ii)のいずれの場合であっても、必要に応じて三級アミン触媒や有機金属系触媒を使用して反応を促進することができる。
【0072】
以上の方法によって得られたアクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)及び溶媒(2)を含有する アクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物は、必要に応じて硬化剤や硬化促進剤を含んでいても良い。
【0073】
前記硬化剤としては、例えば紫外線硬化剤や電子線硬化剤等の光硬化剤、熱硬化剤を使用することができる。
【0074】
前記紫外線硬化剤は、光増感性物質であり、例えばベンゾインアルキルエーテルのようなベンゾインエーテル系;ベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエートなどのベンゾフェノン系;ベンジルジメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノンなどのアセトフェノン系;2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系化合物を使用することができる。
【0075】
前記電子線硬化剤としては、例えばハロゲン化アルキルベンゼン、ジサルファイド系化合物等を使用することができる。
【0076】
その他の光硬化剤としては、例えば、ヒドロキシアルキルフェノン系化合物、アルキルチオキサントン系化合物、スルホニウム塩系化合物等を使用することができる。
【0077】
前記熱硬化剤としては、有機過酸化物を使用することができ、具体的には、ジアシルパーオキサイド系、パーオキシエステル系、ハイドロパーオキサイド系、ジアルキルパーオキサイド系、ケトンパーオキサイド系、パーオキシケタール系、アルキルパーエステル系、パーカーボネート系化合物等を使用することができる。
【0078】
前記硬化剤の使用量は、使用する種類によって異なるが、通常、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲で使用することが好ましく、1〜5質量部の範囲で使用することがより好ましい。
【0079】
また、前記硬化促進剤としては、例えばナフテン酸コバルト、オクテン酸コバルト等の有機金属塩、アミン系、β−ジケトン類等を使用することができる。
【0080】
本発明で使用するアクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物は、前記したものの他に、本発明の効果を損なわない範囲でその他の添加剤を含んでいても良い。
【0081】
前記その他の添加剤としては、大気中の酸素の影響によるラジカル重合の停止等を防止する観点から、例えば、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジプロピレングリコールモノアリルエーテル、1,2−ブチレングリコールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等の多価アルコール類のアリルエーテル化合物等を使用することもできる。
【0082】
また、前記その他の添加剤としては、得られるフィルムの耐熱性や耐久性を向上する観点から、アクリル化合物を使用することができる。
【0083】
前記アクリル化合物としては、例えば前記アクリル化合物(D)として例示したものと同様のものや、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリル化合物を使用することができる。
【0084】
また、前記その他の添加剤としては、例えば、充填材や顔料、染料、界面活性剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、接着性付与剤、可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤、成膜助剤、安定剤や難燃剤等、従来知られている各種添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
【0085】
本発明で使用するアクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物を硬化させる方法としては、前記した硬化剤の種類によって相違する。例えば前記紫外線硬化剤を使用したアクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物は、メタルハライドランプ、水銀ランプ、紫外線LEDランプ等の一般的な紫外線光照射装置を用いて所定の紫外線を照射することによって硬化させることができる。一方、前記熱硬化剤を使用したアクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物は、例えば高温炉等を用いて、好ましくは50〜250℃の温度で加熱することによって硬化させることができる。
【0086】
前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物を用いてフィルム を製造する方法としては、例えば離型基材表面に前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物を、例えばカーテンフローコーター法やダイコーター法等のスリットコーター法、ナイフコーター法、ロールコーター法、スリットコーター法、具体的にはダイコーター法等によって塗工し、必要に応じて乾燥した後、紫外線等を照射または加熱し硬化する方法が好ましい。
【0087】
以上の方法によって得られたフィルムは、耐溶剤性と耐熱性とに優れることから、例えばカウンターや浴槽等の成形品、建築部材、自動車部品、家電部品、医療器具部品、各種容器、包装用途向けや皮革様シートの表皮層や中間層形成用のフィルムまたはシート等の様々な用途に使用可能である。
【0088】
また、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物をコーティング剤や接着剤に使用する場合、それらを各種基材表面に塗布する方法としては、例えばカーテンフローコーター法やダイコーター法等のスリットコーター法、ナイフコーター法、ロールコーター法等が挙げられる。
【0089】
前記方法で塗布した後、必要に応じて溶媒を乾燥し、硬化を進行させる方法としては、前記したとおり、使用する硬化剤の種類に応じ、加熱または紫外線等を照射することによって被膜や接着層を形成することができる。なお、前記乾燥は、常温下で自然乾燥でも良いが、加熱乾燥させることもできる。加熱乾燥は、通常、40〜250℃で、1〜600秒程度の時間で行うことが好ましい。
【0090】
前記方法で形成された被膜や接着層もまた、前記耐溶剤性及び耐熱性に優れることから、例えば、金属基材やプラスチック基材、木質基材等の様々な基材の表面被覆や接着に使用することが可能である。
【実施例】
【0091】
合成例1]
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた5リットルの四つ口フラスコに、脂肪族環式構造含有ポリカーボネートポリオール(宇部興産(株)製のUC−100、水酸基価:116.4)500.0質量部を仕込み、イソホロンジイソシアネートを222.2質量部、トルエンを180.6質量部加え、発熱を抑制しながら、80℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーのトルエン溶液を得た。
【0092】
次いで、40℃まで冷却した前記トルエン溶液と、N、N−ジメチルホルムアミドの1447.2質量部と、トルエンの543.1質量部とを混合した後、イソホロンジアミンの73.6質量部と混合し、60℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンウレアプレポリマー溶液を得た。
【0093】
次いで、前記ウレタンウレアプレポリマー溶液と、2−ヒドロキシエチルアクリレートを8.1質量部とsec−ブタノールを241.2質量部とを混合し、70℃で1時間程反応させることによって、アクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物(I)(アクリロイル基の当量重量;1.15×10、重量平均分子量;21000、不揮発分;25質量%)を得た。
【0094】
合成例2]
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた5リットルの四つ口フラスコに、脂肪族環式構造含有ポリカーボネートポリオール(宇部興産(株)製のUC−100、水酸基価:116.4)500.0質量部を仕込み、イソホロンジイソシアネートを222.2質量部、トルエンを180.6質量部加え、発熱を抑制しながら、80℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーのトルエン溶液を得た。
【0095】
次いで、40℃まで冷却した前記トルエン溶液と、N、N−ジメチルホルムアミドの1445.9質量部と、トルエンの542.4質量部とを混合した後、イソホロンジアミンの75.2質量部と混合し、60℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンウレアプレポリマー溶液を得た。
【0096】
次いで、前記ウレタンウレアプレポリマー溶液と、2−ヒドロキシエチルアクリレートを5.8質量部とsec−ブタノールを241.0質量部とを混合し、70℃で1時間程反応させることによって、アクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物(II)(アクリロイル基の当量重量;1.61×10、重量平均分子量;39000、不揮発分;25質量%)を得た。
【0097】
合成例3]
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた5リットルの四つ口フラスコに、脂肪族環式構造含有ポリカーボネートポリオール(宇部興産(株)製のUC−100、水酸基価:116.4)500.0質量部を仕込み、イソホロンジイソシアネートを222.2質量部、トルエンを180.6質量部加え、発熱を抑制しながら、80℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーのトルエン溶液を得た。
【0098】
次いで、40℃まで冷却した前記トルエン溶液と、N、N−ジメチルホルムアミドの1444.6質量部と、トルエンの541.7質量部とを混合した後、イソホロンジアミンの76.8質量部と混合し、60℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンウレアプレポリマー溶液を得た。
【0099】
次いで、前記ウレタンウレアプレポリマー溶液と、2−ヒドロキシエチルアクリレートを3.5質量部とsec−ブタノールを240.8質量部とを混合し、70℃で1時間程反応させることによって、アクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物(III)(アクリロイル基の当量重量;2.66×10、重量平均分子量;64000、不揮発分;25質量%)を得た。
【0100】
合成例4]
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた5リットルの四つ口フラスコに、脂肪族環式構造含有ポリカーボネートポリオール(宇部興産(株)製のUC−100、水酸基価:116.4)500.0質量部を仕込み、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを262.4質量部、トルエンを190.6質量部加え、発熱を抑制しながら、80℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーのトルエン溶液を得た。
【0101】
次いで、40℃まで冷却した前記トルエン溶液と、N、N−ジメチルホルムアミドの1516.8質量部と、トルエンの567.8質量部とを混合した後、イソホロンジアミンの76.8質量部と混合し、60℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンウレアプレポリマー溶液を得た。
【0102】
次いで、前記ウレタンウレアプレポリマー溶液と、2−ヒドロキシエチルアクリレートを3.5質量部とsec−ブタノールを252.8質量部とを混合し、70℃で1時間程反応させることによって、アクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物(IV)(アクリロイル基の当量重量;2.80×10、重量平均分子量;128000、不揮発分;25質量%)を得た。
【0103】
合成例5]
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた5リットルの四つ口フラスコに、脂肪族環式構造含有ポリカーボネートポリオール(宇部興産(株)製のUC−100、水酸基価:116.4)500.0質量部を仕込み、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを262.4質量部、トルエンを190.6質量部加え、発熱を抑制しながら、80℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーのトルエン溶液を得た。
【0104】
次いで、40℃まで冷却した前記トルエン溶液と、N、N−ジメチルホルムアミドの1549.3質量部と、トルエンの584.1質量部とを混合した後、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミンの94.9質量部と混合し、60℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンウレアプレポリマー溶液を得た。
【0105】
次いで、前記ウレタンウレアプレポリマー溶液と、2−ヒドロキシエチルアクリレートを3.5質量部とsec−ブタノールを258.2質量部とを混合し、70℃で1時間程反応させることによって、アクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物(V)(アクリロイル基の当量重量;2.86×10、重量平均分子量;172000、不揮発分;25質量%)を得た。
【0106】
合成例6]
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた5リットルの四つ口フラスコに、1,4−シクロヘキサンジメタノールとアジピン酸とを反応させて得られた脂肪族環式構造含有ポリエステルポリオール(水酸基価:112.2)500.0質量部を仕込み、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを262.4質量部、トルエンを190.6質量部加え、発熱を抑制しながら、80℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーのトルエン溶液を得た。
【0107】
次いで、40℃まで冷却した前記トルエン溶液と、N、N−ジメチルホルムアミドの1516.8質量部と、トルエンの567.8質量部とを混合した後、イソホロンジアミンの76.8質量部と混合し、60℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンウレアプレポリマー溶液を得た。
【0108】
次いで、前記ウレタンウレアプレポリマー溶液と、2−ヒドロキシエチルアクリレートを3.5質量部とsec−ブタノールを252.8質量部とを混合し、70℃で1時間程反応させることによって、アクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物(VI)(アクリロイル基の当量重量;2.80×10、重量平均分子量;157000、不揮発分;25質量%)を得た。
【0109】
[比較合成例1]
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた5リットルの四つ口フラスコに、脂肪族環式構造含有ポリカーボネートポリオール(宇部興産(株)製のUC−100、水酸基価:116.4)500.0質量部を仕込み、イソホロンジイソシアネートを222.2質量部、トルエンを180.6質量部加え、発熱を抑制しながら、80℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーのトルエン溶液を得た。
【0110】
次いで、40℃まで冷却した前記トルエン溶液と、N、N−ジメチルホルムアミドの1442.6質量部と、トルエンの540.7質量部とを混合した後、イソホロンジアミンの79.2質量部と混合し、60℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンウレアプレポリマー溶液を得た。
【0111】
次いで、前記ウレタンウレアプレポリマー溶液と、sec−ブタノールの240.4質量部とを混合し、70℃で1時間程反応させることによって、ウレタンウレア樹脂組成物(VII)(アクリロイル基の当量重量;−、重量平均分子量;70000、不揮発分;25質量%)を得た。
【0112】
[比較合成例2]
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた5リットルの四つ口フラスコに、1,6−ヘキサンジオール系ポリカーボネートポリオール(日本ポリウレタン工業(株)製の「ニッポラン981」、水酸基価:112.2)500.0質量部を仕込み、イソホロンジイソシアネートを222.2質量部、トルエンを180.6質量部加え、発熱を抑制しながら、80℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーのトルエン溶液を得た。
【0113】
次いで、40℃まで冷却した前記トルエン溶液と、N、N−ジメチルホルムアミドの1444.6質量部と、トルエンの541.7質量部とを混合した後、イソホロンジアミンの76.8質量部と混合し、60℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンウレアプレポリマー溶液を得た。
【0114】
次いで、前記ウレタンウレアプレポリマー溶液と、2−ヒドロキシエチルアクリレートを3.5質量部とsec−ブタノールを240.8質量部とを混合し、70℃で1時間程反応させることによって、アクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物(VIII)(アクリロイル基の当量重量;2.66×10、重量平均分子量;61000、不揮発分;25質量%)を得た。
【0115】
[比較合成例3]
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた5リットルの四つ口フラスコに、脂肪族環式構造含有ポリカーボネートポリオール(宇部興産(株)製のUC−100、水酸基価:116.4)500.0質量部を仕込み、イソホロンジイソシアネートを222.2質量部、トルエンを180.6質量部加え、発熱を抑制しながら、80℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーのトルエン溶液を得た。
【0116】
次いで、40℃まで冷却した前記トルエン溶液と、N、N−ジメチルホルムアミドの1355.1質量部と、トルエンの497.0質量部とを混合した後、エチレンジアミンの27.1質量部と混合し、60℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンウレアプレポリマー溶液を得た。
【0117】
次いで、前記ウレタンウレアプレポリマー溶液と、2−ヒドロキシエチルアクリレートを3.5質量部とsec−ブタノールを225.8質量部とを混合し、70℃で1時間程反応させることによって、アクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物(IX)(アクリロイル基の当量重量;2.50×10、重量平均分子量;59000、不揮発分;25質量%)を得た。
【0118】
[比較合成例4]
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた5リットルの四つ口フラスコに、1,4−ブタンジオールとアジピン酸とを反応させて得られたポリエステルポリオール(水酸基価:112.2)500.0質量部を仕込み、イソホロンジイソシアネートを222.2質量部、トルエンを180.6質量部加え、発熱を抑制しながら、80℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーのトルエン溶液を得た。
【0119】
次いで、40℃まで冷却した前記トルエン溶液と、N、N−ジメチルホルムアミドの1444.6質量部と、トルエンの541.7質量部とを混合した後、イソホロンジアミンの76.8質量部と混合し、60℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンウレアプレポリマー溶液を得た。
【0120】
次いで、前記ウレタンウレアプレポリマー溶液と、2−ヒドロキシエチルアクリレートを3.5質量部とsec−ブタノールを240.8質量部とを混合し、70℃で1時間程反応させることによって、アクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物(X)(アクリロイル基の当量重量;2.66×10、重量平均分子量;64000、不揮発分;25質量%)を得た。
【0121】
[アクリル変性ウレタンウレア樹脂の重量平均分子量の測定方法]
上記実施例及び比較例で得られたアクリル変性ウレタンウレア樹脂の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算により求めた。得られたアクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物の固形分0.4gをテトラヒドロフラン100gに溶解して測定試料とした。
測定装置は、東ソー(株)製高速液体クロマトグラフHLC−8220型を用いた。カラムは、東ソー(株)製カラムTSK−GEL(HXL−H、G5000HXL、G4000HXL、G3000HXL、G2000HXL)を組み合わせて使用した。
測定条件として、カラム温度は40℃、溶離液はテトラヒドロフラン、流量は1.0mL/min、試料注入量500μLとし、標準ポリスチレンはTSK標準ポリスチレンを用いた。
【0122】
[実施例1〜6、比較例1〜4]
[成形品(フィルム)の作製方法]
上記合成例及び比較合成例で得られた樹脂組成物の固形分100質量部に対してイルガキュア184(チバ・ジャパン(株)製、光重合開始剤)2質量部を混合し、10分間攪拌することによって塗工液を得た。
【0123】
前記塗工液を、離型処理の施されたポリエチレンテレフタレートフィルム上に、塗工した後、熱風乾燥機を用いて100℃で20分間乾燥した後、コンベアタイプの紫外線照射装置(株式会社ジーエス・ユアサコーポレーション製のCSOT−40)を用い1000mJ/cmを照射することによって、硬化後の膜厚が50μmのフィルムを得た。
【0124】
[耐溶剤性の評価方法]
前記方法で作成したフィルムを縦50mm×横50mmの大きさに裁断することで試験フィルムを得た。次いで、前記試験フィルムを、内寸が縦40mm×横40mmの枠に張力がかからないように固定したものを試験片とした。
【0125】
次に、前記試験片を、温度23℃及び相対湿度50%の環境下でテトラヒドロフラン(THF)中に1分間浸漬した。
【0126】
前記浸漬後、前記試験片を前記テトラヒドロフラン中から取り出し、前記試験フィルムの形状等を目視で評価した。
【0127】
◎;試験フィルムは浸漬前の形状を保持しており、その表面にピンホールや白化も発生していなかった。
【0128】
○;試験フィルムは浸漬前の形状を保持しているものの、その表面にはピンホールや白化が確認された。
【0129】
△;試験フィルムの一部(フィルム面積の約30%未満)が溶解した。
【0130】
×;試験フィルムの全面積の50%以上が溶解し、浸漬前のフィルム形状をほとんど保持していなかった。
【0131】
[耐熱性の評価方法]
前記方法で作成したフィルムの流動開始温度を、島津フローテスター CFT500D−1(株式会社島津製作所製)を用い、測定開始温度;40℃、昇温速度;3.0℃/分、昇温法、シリンダ圧力;9.807×10Pa、ダイス;1mm×1mmL、荷重;98N、ホールド時間;600秒の条件で測定した。
【0132】
前記流動開始温度が概ね180℃以上であるものは、耐熱性に優れるものと評価した。
【0133】
【表1】

【0134】
【表2】

【0135】
表1〜2中の略称について説明する。
「CH−PC」は、宇部興産(株)製のUC−100(1,4−シクロヘキサンジメタノール系ポリカーボネートポリオール、水酸基価:116.4)である。
「HG-PC」は、日本ポリウレタン工業(株)製の「ニッポラン981」(1,6−ヘキサンジオール系ポリカーボネートポリオール、水酸基価:112.2)である。
「BG−AA」は、1,4−ブタンジオールとアジピン酸とを反応させて得られたポリエステルポリオール(水酸基価:112.2)である。
「CH−AA」は、1,4−シクロヘキサンジメタノールとアジピン酸とを反応させて得られた脂肪族環式構造含有ポリエステルポリオール(水酸基価:112.2)である。
「IPDI」は、イソホロンジイソシアネートである。
「H12MDI」は4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートである。
「IPDA」はイソホロンジアミンである。
「EDA」はエチレンジアミンである。
「H12MDA」は4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミンである。
「HEA」は2−ヒドロキシエチルアクリレートである。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明のアクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物であれば、優れた耐溶剤性と耐熱性とを備えた成形品を形成できることから、例えば、自動車部品や家電部品、包装材、フィルムやシート、皮革様シートの表皮材等の製造に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪族環式構造含有ポリオール(A)、脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)、脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)及び活性水素原子含有基を有するアクリル化合物(D)を反応させることによって得られるアクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)及び溶媒(2)を含有してなり、前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)が、アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)の製造に使用する原料である脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)と脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)と活性水素原子含有基を有するアクリル化合物(D)との合計質量に対して、40〜80質量%の範囲であることを特徴とするアクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物を成形して得られたフィルム
【請求項2】
前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物における、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)と前記溶媒(2)の質量割合が、(1)/(2)=10〜50/90〜50である、請求項1に記載のアクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物を成形して得られたフィルム
【請求項3】
前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂が有する前記アクリル化合物(D)由来のアクリロイル基の当量重量が10000〜50000の範囲である、請求項1又は2に記載のアクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物を成形して得られたフィルム
【請求項4】
前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂の製造原料である前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)、脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)、脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)及び活性水素原子含有基を有するアクリル化合物(D)の合計質量に対する脂肪族環式構造の質量割合が20〜60質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物を成形して得られたフィルム
【請求項5】
前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)が、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)の製造に使用する原料である前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)と脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)と活性水素原子含有基を有するアクリル化合物(D)との合計質量に対する、前記原料中に占めるウレア結合構造の質量割合が4〜10質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物を成形して得られたフィルム

【公開番号】特開2011−132548(P2011−132548A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83621(P2011−83621)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【分割の表示】特願2011−513786(P2011−513786)の分割
【原出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】