説明

アクリロニトリル化合物の製造方法

【課題】アクリロニトリル化合物の製造方法の提供。
【解決手段】


(式中、ArおよびArはそれぞれ独立に置換されていてもよい芳香族置換基を表し、Rは置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよい芳香族置換基を表す。)で表されるE−3−アシロキシアクリロニトリル化合物またはそれと式(4)(式中、Ar、ArおよびRはそれぞれ前記と同様の意味を表す。)で表されるZ−3−アシロキシアクリロニトリル化合物との混合物をアミンやピリジン等の有機塩基で異性化することを特徴とするZ−3−アシロキシアクリロニトリル化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、国際特許出願公開WO97/40009号パンフレット記載の農園芸用の有害生物防除剤としての3−アシロキシアクリロニトリル化合物の工業的な製造方法とその中間体で医農薬等の生理活性物質をはじめとする種々のファインケミカル中間体として有用な3−オキソプロピオニトリル化合物の工業的な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3−アシロキシアクリロニトリル化合物の製造方法として、以下の方法が知られている。
【0003】
3−オキソプロピオニトリル化合物を酸塩化物と反応させて3−アシロキシアクリロニトリル化合物を得ている例があるが、生成物はE,Zの立体異性体の混合物であり、一方の異性体のみが高収率で得られた記載がない(例えば、特許文献1,特許文献2および特許文献3参照)。
【0004】
3−オキソプロピオニトリル化合物を酸塩化物と反応して一方の異性体を製造できるとの記載もあるが、実施例としてはクロロ蟻酸誘導体のみであり、カルボン酸塩化物を使用した実施例がない(例えば、特許文献4参照)。
【0005】
アセトニトリル化合物と芳香族エステル化合物とを反応させる3−オキソプロピオニトリル化合物の製造方法は、アセトニトリル化合物と芳香族酸塩化物とを反応させることによる3−オキソプロピオニトリル化合物の製造方法より工業的に有利である。
【0006】
すなわち、芳香族エステル化合物を加水分解し、次いで芳香族酸塩化物に変換するという2つの段階が不要になるという有利さと、芳香族酸塩化物を用いる反応よりも、用いる塩基の量が一当量削減できるという有利さがある。
【0007】
現在、アセトニトリル化合物と芳香族エステル化合物とを反応させる3−オキソプロピオニトリル化合物の製造方法としては、以下の方法が知られている。
【0008】
非特許文献1および非特許文献2にはTHF溶媒中水素化ナトリウムやリチウム・ジイソプロピルアミドを使用して製造する方法が記載されているが、使用塩基が高価である上に工業的な製造では取り扱い上の危険性がある。
【0009】
非特許文献3、非特許文献4および特許文献5にはエタノール溶媒中でナトリウムエトキシドを使用して製造する方法が記載されているが、副生成物が多いため収率は低い。
特許文献4にはトルエン溶媒で固体ナトリウムエトキシドを使用した例が記載されているが収率は低い。また、非特許文献5、特許文献6および特許文献7にはトルエン溶媒でナトリウムメトキシドのメタノール溶液あるいは固体ナトリウムメトキシドを使用して、副生するメタノールを反応後あるいは反応中一時的または継続的に留去して除いているが、収率は38〜76%と高くない。この方法では副生するメタノールを除くことで収率が向上するが、溶媒も一緒に留出するために工業的には溶媒を追加しながら留去するなど操作が煩雑になると共に大量の溶媒を必要とするという欠点がある。
【0010】
その他に特許文献8記載のマグネシウムアルコキシドを使用する方法があるが、マグネシウムアルコキシドは高価であり、汎用な試剤ではなく、工業的には使用されていない。
【0011】
また、E−3−アシロキシアクリロニトリル化合物またはそれとZ−3−アシロキシアクリロニトリル化合物との混合物を異性化してZ−3−アシロキシアクリロニトリル化合物を得る方法としては、光による異性化を用いた方法が記載されている(例えば、特許文献4参照)。しかし、E体とZ体との溶解度の差を利用した有機塩基による異性化で純粋なZ−3−アシロキシアクリロニトリル化合物を得る方法は知られていない。
【特許文献1】国際特許出願公開WO97/40009号パンフレット
【特許文献2】国際特許出願公開WO98/35935号パンフレット
【特許文献3】国際特許出願公開WO99/44993号パンフレット
【特許文献4】国際特許出願公開WO01/09086号パンフレット
【特許文献5】特開昭59−110691号公報
【特許文献6】国際特許出願公開WO01/29003号パンフレット
【特許文献7】国際特許出願公開WO01/07410号パンフレット
【特許文献8】国際特許出願公開WO01/68589号パンフレット
【非特許文献1】ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.),65,4515(2000).
【非特許文献2】テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Lett.),38,8121(1997).
【非特許文献3】ジャーナル・ケミカル・ソサイエティ・パーキン・トランサクション I(J.Chem.Soc.Perkin trans.I),1297(1989).
【非特許文献4】ジャーナル・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J.Am.Chem.Soc.),110,4008(110).
【非特許文献5】ケミカル・ファーマソイティカル・ブルチン(Chem.Pharm.Bull.),30,1033(1982).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、工業的に有利な3−アシロキシアクリロニトリル化合物と3−オキソプロピオニトリル化合物の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、3−オキソプロピオニトリル化合物と酸塩化物の反応でE、Z体の3−アシロキシアクリロニトリル化合物を立体選択的に作り分けて製造する方法を見出し、更に中間体の3−オキソプロピオニトリル化合物はアセトニトリル化合物と芳香族エステル化合物とをアルカリ金属アルコキシドを使用して脂肪族炭化水素溶媒中、必要に応じて極性溶媒の存在下副生するアルコールを共沸留去しながら反応させるという工業的に安価で汎用性のある高収率な製造方法を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は、次の〔1〕から〔16〕に関する。
【0015】
〔1〕 式(1)
【0016】
【化1】

【0017】
(式中、ArおよびArはそれぞれ独立に置換されていてもよい芳香族置換基を表す。)で表される3−オキソプロピオニトリル化合物と式(2)
【0018】
【化2】

【0019】
(式中、Rは置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよい芳香族置換基を表す。)で表される酸塩化物とを反応させる際に、塩基を用いずに副生する塩化水素を系内から除去しながら反応を行うか、塩基として有機塩基を使用するか、塩基としてアルカリ金属またはアルカリ土類金属の無機塩基を使用するかによって生成物の立体を制御することを特徴とする、式(3)
【0020】
【化3】

【0021】
(式中、Ar、ArおよびRはそれぞれ前記と同様の意味を表す。)で表されるE−3−アシロキシアクリロニトリル化合物、あるいは式(4)
【0022】
【化4】

【0023】
(式中、Ar、ArおよびRはそれぞれ前記と同様の意味を表す。)で表されるZ−3−アシロキシアクリロニトリル化合物の立体選択的製造方法。
【0024】
〔2〕 前記式(1)で表される3−オキソプロピオニトリル化合物と前記式(2)で表される酸塩化物とを反応させる際に塩基を用いずに副生する塩化水素を系内から除去しながら反応させることを特徴とする〔1〕記載のE−3−アシロキシアクリロニトリル化合物の立体選択的製造方法。
【0025】
〔3〕 前記式(1)で表される3−オキソプロピオニトリル化合物と前記式(2)で表される酸塩化物とを反応させる際に塩基として有機塩基を使用することを特徴とする〔1〕記載のE−3−アシロキシアクリロニトリル化合物の立体選択的製造方法。
【0026】
〔4〕 前記式(1)で表される3−オキソプロピオニトリル化合物と前記式(2)で表される酸塩化物とを反応させる際に塩基としてアルカリ金属の無機塩基またはアルカリ土類金属の無機塩基を使用することを特徴とする〔1〕記載のZ−3−アシロキシアクリロニトリル化合物の立体選択的製造方法。
【0027】
〔5〕 式(5)
【0028】
【化5】

【0029】
(式中、Arは前記と同様の意味を表す。)で表されるアセトニトリル化合物と式(6)
【0030】
【化6】

【0031】
(式中、Arは前記と同様の意味を表し、Rは置換基されていてもよいアルキル基を表す。)で表される芳香族エステル化合物とを、アルカリ金属アルコキシドを使用して脂肪族炭化水素溶媒中、副生するアルコールを共沸留去して分液槽で分離しながら反応させることを特徴として製造される前記式(1)(式中、ArおよびArはそれぞれ前記と同様を表す。)で表される3−オキソプロピオニトリル化合物を用いる〔1〕、〔2〕、〔3〕または〔4〕記載の製造方法。
【0032】
〔6〕 前記式(5)で表されるアセトニトリル化合物と前記式(6)で表される芳香族エステル化合物とを、アルカリ金属アルコキシドを使用して脂肪族炭化水素溶媒中、極性溶媒の存在下で副生するアルコールを共沸留去して分液槽で分離しながら反応させることを特徴として製造される前記式(1)(式中、ArおよびArはそれぞれ前記と同様を表す。)で表される3−オキソプロピオニトリル化合物を用いる〔1〕、〔2〕、〔3〕または〔4〕記載の製造方法。
【0033】
〔7〕 前記式(5)で表されるアセトニトリル化合物と前記式(6)で表される芳香族エステル化合物とを、アルカリ金属アルコキシドを使用して脂肪族炭化水素溶媒中、副生するアルコールを共沸留去して分液槽で分離しながら反応させることを特徴とする前記式(1)で表される3−オキソプロピオニトリル化合物の製造方法。
【0034】
〔8〕 前記式(5)で表されるアセトニトリル化合物と前記式(6)で表される芳香族エステル化合物とを、アルカリ金属アルコキシドを使用して脂肪族炭化水素溶媒中、極性溶媒の存在下で副生するアルコールを共沸留去して分液槽で分離しながら反応させることを特徴とする前記式(1)で表される3−オキソプロピオニトリル化合物の製造方法。
【0035】
〔9〕 前記アルカリ金属アルコキシドがナトリウムメトキシドあるいはそのメタノール溶液である〔5〕、〔6〕、〔7〕または〔8〕記載の3−オキソプロピオニトリル化合物の製造方法。
【0036】
〔10〕 前記脂肪族炭化水素溶媒がヘプタンである〔5〕、〔6〕、〔7〕または〔8〕記載の3−オキソプロピオニトリル化合物の製造方法。
【0037】
〔11〕 前記極性溶媒がジエチレングリコールモノエチルエーテルとジエチレングリコールジメチルエーテルとの混合溶媒または5―エチル―2−ピコリンである〔6〕または〔8〕記載の製造方法。
【0038】
〔12〕 前記式(3)で表されるE−3−アシロキシアクリロニトリル化合物またはそれと前記式(4)で表されるZ−3−アシロキシアクリロニトリル化合物との混合物をアミンやピリジン等の有機塩基で異性化することを特徴とするZ−3−アシロキシアクリロニトリル化合物の製造方法。
【0039】
〔13〕 Arが置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよいチアゾリル基、置換されていてもよいピラゾリル基または置換されていてもよいトリアゾリル基である〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕、〔6〕、〔7〕、〔8〕、〔9〕、〔10〕、〔11〕または〔12〕記載の製造方法。
【0040】
〔14〕 Arが置換されていてもよいピラゾリル基または置換されていてもよいチアゾリル基である〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕、〔6〕、〔7〕、〔8〕、〔9〕、〔10〕、〔11〕、〔12〕または〔13〕記載の製造方法。
【0041】
〔15〕 Arが4−tert(ターシャリー)ブチルフェニル基であり、Arが1,3,4−トリメチル−5−ピラゾリル基または3−クロロ−1,4−ジメチル−5−ピラゾリル基である〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕、〔6〕、〔7〕、〔8〕、〔9〕、〔10〕、〔11〕または〔12〕記載の製造方法。
【0042】
〔16〕 Arが2−フェニル−5−エチル−1,2,3−トリアゾール−4−イルであり、Arが1,3,4−トリメチル−5−ピラゾリル基または3−クロロ−1,4−ジメチル−5−ピラゾリル基である〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕、〔6〕、〔7〕、〔8〕、〔9〕、〔10〕、〔11〕または〔12〕記載の製造方法。
【発明の効果】
【0043】
本発明に従うと、高収率かつ選択的にアクリロニトリル化合物を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
本発明が適用される化合物としては、式(1)で表される3−オキソプロピオニトリル化合物、式(2)で表される酸塩化物、式(3)、(4)で表される3−アシロキシアクリロニトリル化合物、式(5)で表されるアセトニトリル化合物、式(6)で表される芳香族エステル化合物において、ArおよびArとしては、置換基Aで置換されたフェニルおよび置換基Aで置換されたヘテロアリール基が挙げられ、置換基Aとしては置換されていてもよい置換基B基、ハロゲン原子基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられ、置換基Bとしてはアルキル基、ハロアルキル基、フェニル基、ヘテロアリール基、アルコキシ等が挙げられ、Rとしては置換基Cで置換されていてもよいアルキル基、置換基Dで置換されていてもよいフェニル基または置換基Dで置換されていてもよいヘテロアリール基が挙げられ、置換基Cとしてはアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が挙げられ、置換基Dとしてはアルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が挙げられ、Rとしては置換されていてもよいアルキル基が挙げられる。
【0045】
ヘテロアリールとしてはフラン−2−イル基、フラン−3−イル基、ピロ−ル−1−イル基、ピロ−ル−2−イル基、ピロ−ル−3−イル基、オキサゾール−2−イル基、オキサゾール−4−イル基、オキサゾール−5−イル基、チアゾール−2−イル基、チアゾール−4−イル基、チアゾール−5−イル基、イミダゾール−1−イル基、イミダゾール−2−イル基、イミダゾール−4−イル基、イソキサゾール−3−イル基、イソキサゾール−4−イル基、イソキサゾール−5−イル基、イソチアゾール−3−イル基、イソチアゾール−4−イル基、イソチアゾール−5−イル基、ピラゾール−1−イル基、ピラゾ−ル−3−イル基、ピラゾール−4−イル基、ピラゾール−5−イル基、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル基、1,3,4−チアジアゾール−2−イル基、1,2,4−オキサジアゾール−3−イル基、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル基、1,2,4−チアジアゾール−3−イル基、1,2,4−チアジアゾール−5−イル基、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,4−トリアゾール−3−イル基、1,2,4−トリアゾール−5−イル基、1,2,3−チアジアゾール−4−イル基、1,2,3−チアジアゾール−5−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−2−イル基、1,2,3−トリアゾール−4−イル基、1,2,3,4−テトラゾール−1−イル基、1,2,3,4−テトラゾール−2−イル基、1,2,3,4−テトラゾール−5−イル基、ピリジン−2−イル基、ピリジン−3−イル基、ピリジン−4−イル基、ピリミジン−2−イル基、ピリミジン−4−イル基、ピリミジン−5−イル基、ピラジン−2−イル基、ピリダジン−3−イル基、ピリダジン−4−イル基、1,3,5−トリアジン−2−イル基、1,2,4−トリアジン−3−イル基、1,2,4−トリアジン−5−イル基、1,2,4−トリアジン−6−イル基、1,2,4,5−テトラジン−3−イル基、3−ピラゾリン−1−イル基、3−ピラゾリン−3−イル基、3−ピラゾリン−4−イル基、3−ピラゾリン−5−イル基、1−イミダゾリン−3−イル基、1−イミダゾリン−2−イル基、1−イミダゾリン−4−イル基、4−イミダゾリン−2−イル基、2−オキサゾリン−2−イル基、2−オキサゾリン−4−イル基、2−オキサゾリン−5−イル基、2−イソキサゾリン−3−イル基、2−イソキサゾリン−4−イル基、2−イソキサゾリン−5−イル基、2−チアゾリン−2−イル基、2−チアゾリン−4−イル基、3−チアゾリン−2−イル基、イミダゾリジン−2−オン−1−イル基、2−イミダゾリノン−1−イル基、3(2H)−ピリダジノン−2−イル基、3(2H)−ピリダジノン−4−イル基、3(2H)−ピリダジノン−5−イル基または3(2H)−ピリダジノン−6−イル基等が挙げられる。
【0046】
アルキルとしては直鎖または分岐状のアルキルとしてメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、ペンチル−1基、ペンチル−2基、ペンチル−3基、2−メチルブチル−1基、2−メチルブチル−2基、2−メチルブチル−3基、3−メチルブチル−1、2,2−ジメチルプロピル−1基、ヘキシル−1基、ヘキシル−2基、ヘキシル−3基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基等が挙げられる。
【0047】
アルコキシとしては、直鎖または分岐鎖状のアルコキシとしてメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、1−メチルブチルオキシ基、2−メチルブチルオキシ基、3−メチルブチルオキシ基、1,1−ジメチルプロピルオキシ基、1,2−ジメチルプロピルオキシ基、2,2−ジメチルプロピルオキシ基、1−エチルプロピルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、1−メチルペンチルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、3−メチルペンチルオキシ基、4−メチルペンチルオキシ基、1,1−ジメチルブチルオキシ基、1,2−ジメチルブチルオキシ基、1,3−ジメチルブチルオキシ基、2,2−ジメチルブチルオキシ基、2,3−ジメチルブチルオキシ基、3,3−ジメチルブチルオキシ基、1−エチルブチルオキシ基、2−エチルブチルオキシ基、1,1,2−トリメチルプロピルオキシ基、1,2,2−トリメチルプロピルオキシ基、1−エチル−1−メチルプロピルオキシ基、1−エチル−2−メチルプロピルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基およびn−デシルオキシ基などが挙げられる。
【0048】
ハロアルキルとしては、直鎖または分岐状のハロアルキルとしてフルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、フルオロエチル基、クロロエチル基、ブロモエチル基、フルオロ−n−プロピル基、クロロ−n−プロピル基、ジフルオロメチル基、クロロジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、トリクロロエチル基、クロロジフルオロメチル基、ブロモジフルオロメチル基、トリフルオロクロロエチル基、ヘキサフルオロ-n-プロピル基、クロロブチル基、フルオロブチル基、クロロ−n−ペンチル基、フルオロ−n−ペンチル基、クロロ−n−ヘキシル基、フルオロ−n−ヘキシル基などが挙げられる。
【0049】
ハロゲン原子としては塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0050】
3−オキソプロピオニトリル化合物は、式(7)
【0051】
【化7】

【0052】
(式中、Ar、Arはそれぞれ前期と同様の意味を表す。)で表される3−ヒドロキシアクリロニトリル化合物と互変異性体の関係にあり、同一の化合物である。
【0053】
3−アシロキシアクリロニトリル化合物を得るために3−オキソプロピオニトリル化合物と酸塩化物を反応する際に使用する試剤および反応条件は以下の通りであるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
酸塩化物を反応させる際に塩基を用いずに副生する塩化水素を系内から除去する方法は、以下の通りであるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
酸塩化物の使用量としては、3−オキソプロピオニトリル化合物1モルに対して0.5〜10モルが好ましく、2〜5モルが更に好ましい。過剰分は、低沸点の酸塩化物の場合反応後留去回収して再使用できる。
【0056】
反応に用いる溶媒としては、本反応に不活性な溶媒であれば特に制限は無く、例えば、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラヒドロナフタレン等の芳香族炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル等のエステル類が挙げられる。これらは、単独または組合せて使用できる。
【0057】
溶媒の使用量としては、3−オキソプロピオニトリル化合物に対して1〜20倍量が好ましく、3〜10倍量が更に好ましい。
【0058】
反応温度としては50〜120℃が好ましく、60〜100℃が更に好ましい。
【0059】
反応中副生する塩化水素を除くための方法としては、減圧下脱塩化水素しながら酸塩化物を滴下するか、あるいは窒素、アルゴンなどの反応に不活性なガスの気流を気相または反応液中に流して曝気させ、不活性ガスによる同伴、追い出しにより脱塩化水素しながら酸塩化物を滴下するといった方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0060】
反応時に塩化水素を除かないと立体選択性は低下し、反応が停止する。
【0061】
酸塩化物の滴下時間は、副生する塩化水素ガスの除去速度を考えてそれにかかる時間以上の時間をかけるが、通常1〜15時間であり、滴下後の反応時間は通常1時間から10時間である。
【0062】
反応終了後、過剰の酸塩化物を留去回収するか、室温以下に冷却後アルカリ水で分解するかした後、抽出操作によって3−アシロキシアクリロニトリル化合物の溶液を得ることができる。さらに、これをそのまま冷却して結晶を析出させるか、あるいは溶媒を留去してから晶析溶媒を加えて再結晶させたあと、ろ過して結晶として得ることもできる。
【0063】
酸塩化物を反応させる際に有機塩基または無機塩基を使用する方法は、以下の通りであるが、これらに限定されるものではない。
【0064】
酸塩化物の使用量としては、3−オキソプロピオニトリル化合物1モルに対して0.5〜2モルが好ましく、1.0〜1.2モルが更に好ましい。
【0065】
反応に用いる溶媒としては、本反応に不活性な溶媒であれば特に制限は無く、例えば、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラヒドロナフタレン等の芳香族炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル等のエステル類が挙げられる。これらは、単独または組合せて使用できる。
【0066】
溶媒の使用量としては、3−オキソプロピオニトリル化合物に対して1〜20倍量が好ましく、3〜10倍量が更に好ましい。
【0067】
有機塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン等の3級アミン類、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ピコリン、ルチジン、キノリン等のピリジン類が挙げられるが、工業的にはトリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン等の回収再利用できる有機塩基が好ましい。
【0068】
有機塩基の使用量としては、3−オキソプロピオニトリル化合物1モルに対して0.5〜3モルが好ましく、1.0〜1.2モルが更に好ましい。
【0069】
無機塩基としては、3−オキソプロピオニトリル化合物と反応して塩を生成するものは使用することができ、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属の炭酸水素塩や炭酸塩、炭酸マグネシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム等のアルカリ土類金属の水酸化物等が挙げられるが、工業的に安価な炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が好ましい。
【0070】
無機塩基の使用量としては、3−オキソプロピオニトリル化合物1モルに対して0.5〜4.0モルが好ましく、1.0〜1.5モルが更に好ましい。
【0071】
無機塩基を使用する場合は、3−オキソプロピオニトリル化合物の塩を生成した後、副生した水を留去してから反応させると酸塩化物の使用量を削減できる。
【0072】
有機塩基を使用する場合の反応温度としては、極低温から溶媒の沸点まで可能であるが、−10〜20℃が好ましい。
【0073】
無機塩基を使用する場合の反応温度としては、3−オキソプロピオニトリル化合物の塩を生成させる際には50℃から溶媒の沸点までの温度、更に好ましくは60℃から溶媒の沸点までの温度に加熱することが必要である。塩を生成させたあとの酸塩化物との反応温度は、通常は極低温から溶媒の沸点まで可能であるが、より好ましくは−10〜20℃である。
【0074】
有機塩基あるいは無機塩基を使用した場合の反応後の処理としては、使用した溶媒が水に不溶の場合はそのまま水洗した後、あるいは水に可溶の場合は留去して除いた後、又はそのまま抽出溶媒を加えることで、3−アシロキシアクリロニトリル化合物の溶液として得ることができる。さらに、これをそのまま冷却して結晶を析出させるか、あるいは溶媒を留去した後、晶析溶媒を加え、再結晶させた後、ろ過することによって結晶として得ることもできる。
【0075】
3−アシロキシアクリロニトリル化合物のE,Z混合物を異性化してZ−3−アシロキシアクリロニトリル化合物を得る際に使用する試剤および反応条件は以下の通りであるが、これらに限定されるものではない。
【0076】
反応する溶媒の種類とその使用量、有機塩基の種類については、酸塩化物を反応させる際に有機塩基を使用してE−3−アシロキシアクリロニトリル化合物を製造する場合と同様である。
【0077】
溶媒の使用量としては、溶媒の種類にもよるが、例えば3−アシロキシアクリロニトリル化合物に対して1倍量ないし5倍量が好ましい。
【0078】
有機塩基の使用量としては、3−アシロキシプロピオニトリル化合物1モルに対して0.01〜2.0モルが好ましく、0.1〜1.0モルが更に好ましい。
【0079】
前記反応は、3−アシロキシアクリロニトリル化合物のE,Z混合物と有機塩基とを溶媒中で加熱した後、Z−3−アシロキシアクリロニトリル化合物の結晶を析出させながら徐々に冷却し、ろ過することによってZ−3−アシロキシアクリロニトリル化合物を得るものである。その際、冷却時にZ−3−アシロキシアクリロニトリル化合物の種結晶を添加すると、速やかな結晶化、異性化が起こり収率を向上させることができる。
【0080】
3−オキソプロピオニトリル化合物を得るためにアセトニトリル化合物と芳香族エステル化合物を反応させる際に使用する試剤および反応条件は以下の通りであるが、これらに限定されるものではない。
【0081】
アセトニトリル化合物の使用量としては、芳香族エステル化合物1モルに対して1.0〜2.0モルが好ましく、1.0〜1.2モルが更に好ましい。
【0082】
芳香族エステル化合物のエステル部としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル等の直鎖あるいは分岐アルキルやベンジル、フェネチル等の置換アルキルが挙げられるが、生じたアルコールの除去のしやすさからメチル、エチル等の低沸点アルコールのエステルが好ましく、反応して副生するアルコールが脂肪族炭化水素溶媒と分離するメチルエステルが最も好ましい。
【0083】
アルカリ金属アルコキシドとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のメトキシドあるいはエトキシド等が挙げられるが、反応して副生するアルコールが炭化水素溶媒と分離するメタノールであって、安価で工業的に汎用されるナトリウムメトキシドが最も好ましく、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液が取り扱い易さから更に好ましい。
【0084】
アルカリ金属メトキシドの使用量としては、芳香族エステル化合物1モルに対して0.5〜2.0モルが好ましく、1.0〜1.3モルが更に好ましい。
【0085】
脂肪族炭化水素溶媒としては、2−メチルペンタン、メチルシクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、2,2,4−トリメチルペンタン、ノナン等挙げられるが、メタノールと分離し、沸点が比較的高いシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、2,2,4−トリメチルペンタン等が好ましく、価格と取り扱いやすさから工業的にヘプタンが更に好ましい。炭化水素溶媒は、2種類以上の混合溶媒も可能である。
【0086】
脂肪族炭化水素溶媒の使用量としては、芳香族エステル化合物に対して3〜20倍量が好ましく、5〜12倍量が更に好ましい。
【0087】
また、必要に応じて極性溶媒を使用することもできる。極性溶媒は、反応にしたがって生成する3−オキソプロピオニトリル化合物のアルカリ金属塩を速やかに結晶として析出させるものである。脂肪族炭化水素溶媒だけではアルカリ金属塩がオイル状となって析出しする際、槽壁付着等を起こして結晶化する場合があるため、極性溶媒の存在はしばしば有用である。
【0088】
極性溶媒としては、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリン、5−エチル−2−ピコリン、2,3−ルチジン、2,4−ルチジン、3,5−ルチジン、2,6−ルチジン、2,4,6−トリメチルピリジン、キノリン等のピリジン類、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエ−テル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエ−テル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類、ジエチレングリコールモノメチルエ−テル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエ−テル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル構造をもつアルコール類等の高沸点の溶媒類が挙げられ、中でも、例えば5−エチル−2−ピコリン、ジエチレングリコールジメチルエ−テル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等の後処理時に廃水に分離除去できる溶媒類が好ましい。これらの溶媒は、混合使用も可能である。
【0089】
極性溶媒の使用量としては、芳香族エステル化合物に対して0.01〜5倍量が好ましく、0.1〜1倍量が更に好ましい。
【0090】
また、以上の溶媒に芳香族類、エーテル類、アルコール類等、反応に影響しないような溶媒類を少量混入させることも、炭化水素溶媒とメタノールとの分離を阻害しない限りにおいて可能である。
【0091】
反応は、アセトニトリル化合物、芳香族エステル化合物、炭化水素溶媒、極性溶媒の混合物を分液槽を通して還流しながら、ナトリウムメトキシドを徐々に添加して反応させるが、その際副生するメタノールを分液槽で分液して除きながら行う。
【0092】
反応温度としては、室温から使用溶液の沸点の範囲で行うことができ、好ましくは60℃から反応溶媒の沸点以下の温度である。反応は高温になるほど速度が大きくなる。
【0093】
反応時の圧力としては、常圧あるいは減圧状態で行うことができるが、減圧状態での還流は反応温度の制御のしやすさという観点から好ましい。
【0094】
ナトリウムメトキシドの添加は分液槽でのメタノール分離速度以下の速度で行うが、その滴下時間は通常1〜15時間であり、滴下終了後の反応時間は通常1〜15時間である。
【0095】
反応を円滑に進ませて収率をさらに高めるには、精留塔を使用して還流させることができる。精留塔により、メタノールの分離効率の向上をはかれると同時に、原料のアセトニトリル化合物や芳香族エステル化合物の同伴留去を妨げることができる。
【0096】
また、ナトリウムメトキシドの添加前に原料中の水を共沸脱水で除いておくと、芳香族エステル化合物の加水分解が抑制されて収率が向上する。
【0097】
反応中に酸素が存在すると反応液が黒色に変化し、収率低下および後処理の際の分液時に不溶物の増加を引き起こすので、窒素等の不活性ガスの雰囲気下反応させる必要がある。
【0098】
反応後の処理法としては、30℃以下に冷却した後、水を投入して炭化水素溶媒層と3−オキソプロピオニトリル化合物のアルカリ金属塩を含む水層に分液する。分液によって原料残のアセトニトリル化合物や芳香族エステル化合物や脂溶性副生成物の多くが炭化水素溶媒層に除かれる。更に精製するために、3−オキソプロピオニトリル化合物のアルカリ金属塩を含む水層を少量の炭化水素溶媒で洗浄、分液することも可能である。3−オキソプロピオニトリル化合物は、この水層を塩酸や酢酸等の酸で中和することによって結晶として、あるいは中和時にトルエンやキシレン等の抽出溶媒を存在させることによって、溶液として得ることができる。
【実施例】
【0099】
以下、実施例を挙げ本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0100】
〔実施例1〕
3−オキソ−2−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)プロピオニトリル456g(1.47モル)とキシレン2738gを10L反応フラスコに入れて70℃に昇温し、68〜71℃/10〜13kPaで減圧下において脱塩化水素しながら還流下塩化ピバロイル534g(4.43モル)を10時間かけて滴下した。そのまま3時間反応させた後、過剰の塩化ピバロイルを除くために塩化ピバロイルとキシレンとの混合物2181gを70℃で減圧下において留去した。70℃の温水456gを投入後、2.7%炭酸水素ナトリウム水溶液228gを滴下した。水層を分液した後、70℃の温水456gで洗浄し、水層を分液してキシレン溶液を得た。このキシレン中には、液体クロマトグラフィー定量分析で、このキシレン中には、(2E)−3−(2,2−ジメチルプロパノイルオキシ)−2−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)アクリロニトリルが555g(収率95.6%)含まれていることが判明した。キシレンを90℃で留去した後、ヘプタン1141gを投入し、70℃から徐々に冷却して結晶化させた。0℃で1時間熟成の後、ろ過し、乾燥させ、(2E)−3−(2,2−ジメチルプロパノイルオキシ)−2−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)アクリロニトリル533g(収率91.9%)を得た(融点110℃)。
【0101】
〔実施例2〕
精留塔を備えた2L反応フラスコ内に、2−フェニル−4−シアノメチル−5−エチル−1,2,3−トリアゾール116.7g(0.55モル)、1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステル91g(0.5モル)、ヘプタン900g、ジエチレングリコールジメチルエーテル60g、ジエチレングリコールモノエチルエーテル30gを加えた後、90〜95℃に加熱して共沸脱水を行い、その後、28%ナトリウム115.5g(0.6モル)を10時間かけて滴下した後、7時間反応させた。30℃以下に冷却後、水3000gを投入してヘプタン層を分液し、更に、水層を更にヘプタン600gで洗浄、分液し、キシレン900gを投入した後、35%塩酸62.5g(0.6モル)を滴下して中和した。水層を分液後、水600gで2度洗浄、分液して、3−オキソ−2−(2−フェニル−5−エチル−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)プロピオニトリルを156.8g(収率90%)含むキシレン溶液を得た。
【0102】
〔実施例3〕
3−オキソ−2−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)プロピオニトリル594g(1.92モル)、テトラヒドロフラン6000gを10L反応フラスコ内に入れ、トリエチルアミン214g(2.11モル)を投入後、塩化ピバロイル255g(2.11モル)を25〜27℃で1時間かけて滴下した。20時間反応させた後、減圧濃縮してテトラヒドロフランを除き、その後、トルエン1800g、水1800gを加えてトルエン層を分液した。トルエンを留去した後、ヘキサン794gを投入して溶解し、徐々に7℃まで冷却して結晶化させた。ろ過した後、5℃に冷却したヘキサン1000gで洗浄し、乾燥させ、(2E)−3−(2,2−ジメチルプロパノイルオキシ)−2−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)アクリロニトリル554g(収率73.4%)を得た。
【0103】
〔実施例4〕
3−オキソ−2−(5−エチル−2−フェニル−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)プロピオニトリル223g(0.639モル)、1,4−ジオキサン4456gを10L反応フラスコ内に入れ、炭酸カリウム97.2g(0.351モル)を投入後、60℃に昇温して3時間攪拌した。副生した水を除くために溶媒を486g減圧留去した後、塩化ピバロイル92.5g(0.767モル)を60℃で1時間かけて滴下した。2時間反応させた後、溶媒の1,4−ジオキサンを減圧留去し、その後、トルエン456gを加えて溶解させた。水446gで2度洗浄して(2Z)−3−(2,2−ジメチルプロパノイルオキシ)−2−(5−エチル−2−フェニル−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)アクリロニトリル217g(収率78.6%)と(2E)−3−(2,2−ジメチルプロパノイルオキシ)−2−(5−エチル−2−フェニル−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)アクリロニトリル43g(収率15.5%)を含むトルエン溶液を得た。減圧留去してトルエンを除いた後、アセトニトリル780gに溶解させ、徐々に0℃まで冷却して結晶化させた。ろ過後、アセトニトリル260gで洗浄し、乾燥させ、(2Z)−3−(2,2−ジメチルプロパノイルオキシ)−2−(5−エチル−2−フェニル−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)アクリロニトリル166g(収率63.1%)を得た。
【0104】
〔実施例5〕
アセトニトリル400ml中で(2E)−3−(2,2−ジメチルプロパノイルオキシ)−2−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)アクリロニトリル180g、ピリジン20gの混合物を還流条件下で72時間攪拌した。液体クロマトグラフィーで分析したところ、反応液中の(2E)−3−(2,2−ジメチルプロパノイルオキシ)−2−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)アクリロニトリルと(2Z)−3−(2,2−ジメチルプロパノイルオキシ)−2−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)アクリロニトリルとの比は5:6であった。その後、1時間に10℃ずつ降温し、最終的に15℃で24時間攪拌した。均一溶液に(2Z)−3−(2,2−ジメチルプロパノイルオキシ)−2−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)アクリロニトリルの種晶を添加し、3時間攪拌した後、冷却し、1時間後の液温を5℃とした。5℃で1時間攪拌後、ろ過を行い、得られた結晶を5℃のヘプタン150mlにて洗浄し、乾燥させ、99%純度の(2Z)−3−(2,2−ジメチルプロパノイルオキシ)−2−(4−t−ブチルフェニル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)アクリロニトリル82gを得た(融点146℃)。
【0105】
〔実施例6〕
3−オキソ−2−(2−フェニル−5−エチル−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)プロピオニトリル156.8g(0.45モル)とキシレン900gを3L反応フラスコ内に入れて70℃に昇温し、68〜71℃/10〜13kPaで減圧下において脱塩化水素しながら還流下で塩化ピバロイル162.7g(1.35モル)を10時間かけて滴下した。そのまま5時間反応させた後、過剰の塩化ピバロイルを除くために、塩化ピバロイルとキシレンの混合物740gを70℃で減圧下において留去した。70℃の温水156gを投入した後、2.7%炭酸水素ナトリウム水溶液70gを滴下した。水層を分液した後、70℃の温水156gで洗浄し、水層を分液して、(2E)−3−(2,2−ジメチルプロパノイルオキシ)−2−(2−フェニル−5−エチル−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)アクリロニトリルを181g(収率93.0%)含むキシレン溶液を得た。キシレンを減圧下において90℃でほぼ留去した後、アセトニトリル540gを投入し、70℃から徐々に冷却して結晶化させ、0℃で1時間撹拌した後、ろ過し、乾燥させ、(2E)−3−(2,2−ジメチルプロパノイルオキシ)−2−(2−フェニル−5−エチル−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)アクリロニトリル163.5g(収率84%)を得た(融点:119℃)。
【0106】
〔実施例7〕
アセトニトリル600g中で、(2E)−3−(2,2−ジメチルプロパノイルオキシ)−2−(2−フェニル−5−エチル−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)アクリロニトリル216.3gとピリジン20gとの混合物を還流条件下で5時間攪拌した。液体クロマトグラフィーで分析したところ、均一反応液中の(2Z)−3−(2,2−ジメチルプロパノイルオキシ)−2−(2−フェニル−5−エチル−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)アクリロニトリルと(2E)−3−(2,2−ジメチルプロパノイルオキシ)−2−(2−フェニル−5−エチル−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)アクリロニトリルとの比は約4:6であった。その後、徐々に冷却し、20時間後に25℃にした。その後、25℃で48時間攪拌することによって得られたスラリー溶液を10℃に冷却し、30分後にろ過を行い、得られた結晶を5℃のアセトニトリル:ヘプタン=1:1の溶液150mlにて洗浄し、乾燥させ、99%純度の(2Z)−3−(2,2−ジメチルプロパノイルオキシ)−2−(2−フェニル−5−エチル−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)アクリロニトリル166gを得た(融点:143℃)。
【0107】
〔実施例8〕
精留塔と分液槽とを備えた300ml反応フラスコ内に4−tert−ブチルフェニルアセトニトリル11.3g(65.2ミリモル)、1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エチル10.8g(59.5ミリモル)、ヘプタン100g、5−エチル−2−ピコリン10.0gを入れて窒素で置換した後、90〜95℃に加熱して1時間共沸脱水させた。そのままの温度に保持し、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液13.8g(71.5ミリモル)を3時間かけて滴下し、さらに11時間反応させた。30℃以下に冷却後、水108gを投入してヘプタン層を分液し水層を得た。得られた水層を液体クロマトグラフィーで定量分析したところ、3−オキソ−2−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)プロピオニトリルが15.5g(収率84.5%)含まれていることが判明した。
【0108】
〔実施例9〕
精留塔と分液槽とを備えた300ml反応フラスコ内に4−tert−ブチルフェニルアセトニトリル11.3g(65.2ミリモル)、1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エチル10.8g(59.5ミリモル)、ヘプタン100g、5−エチル−2−ピコリン10.0g、ジエチレングリコールモノエチルエーテル3.0gを入れて窒素で置換した後、90〜95℃に加熱して1時間共沸脱水させた。そのままの温度に保持し、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液13.8g(71.5ミリモル)を5時間かけて滴下し、さらに5時間反応させた。30℃以下に冷却後、水108gを投入してヘプタン層を分液し水層を得た。得られた水層を液体クロマトグラフィーで定量分析したところ、3−オキソ−2−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)プロピオニトリルが17.0g(収率92.1%)含まれていることが判明した。
【0109】
〔実施例10〕
精留塔と分液槽とを備えた300ml反応フラスコに4−tert−ブチルフェニルアセトニトリル11.3g(65.2ミリモル)、1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エチル10.8g(59.5ミリモル)、ヘプタン100g、ジエチレングリコールモノエチルエーテル1.5gを入れて窒素で置換した後、90〜95℃に加熱して1時間共沸脱水させた。そのままの温度に保持し、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液13.8g(71.5ミリモル)を3時間かけて滴下し、さらに7時間反応させた。30℃以下に冷却後、水108gを投入してヘプタン層を分液し水層を得た。得られた水層を液体クロマトグラフィーで定量分析したところ、3−オキソ−2−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)プロピオニトリルが15.7g(収率85.8%)含まれていることが判明した。
【0110】
〔実施例11〕
精留塔と分液槽とを備えた10L反応フラスコ内に4−tert−ブチルフェニルアセトニトリル314g(1.81モル)、1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エチル300g(1.65モル)、ヘプタン3000g、ジエチレングリコールジメチルエーテル225g、ジエチレングリコールモノエチルエーテル99gを入れて窒素で置換した後、90〜95℃に加熱して1時間共沸脱水させた。そのままの温度に保持し、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液381g(1.98モル)を10時間かけて滴下し、さらに7時間反応させた。30℃以下に冷却後、水3000gを投入してヘプタン層を分液し、水層を更にヘプタン600gで洗浄し、分液した。得られた水層を液体クロマトグラフィーで定量分析したところ、2−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(1,3,4−トリメチル−5−ピラゾリル)−3−オキソプロピオニトリルが466g(収率91.5%)含まれていることが判明した。これにキシレン2760gを投入した後、35%塩酸206g(1.98モル)を滴下して中和した。水層を分液後、水600gで2度洗浄し、分液して、3−オキソ−2−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)プロピオニトリルのキシレン溶液を得た。液体クロマトグラフィーで定量分析したところ、3−オキソ−2−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)プロピオニトリルが456g(収率89.6%)含まれていることが判明した。
【0111】
〔実施例12〕
精留塔と分液槽とを備えた2000ml反応フラスコ内に4−tert−ブチルフェニルアセトニトリル83.7g(483ミリモル)、1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エチル80.0g(439ミリモル)、ヘプタン640g、ジエチレングリコールモノブチルエーテル160gを入れて窒素で置換した後、90〜95℃に加熱して1時間共沸脱水させた。そのままの温度に保持し、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液93.2g(482ミリモル)を3時間かけて滴下し、さらに10時間反応させた。30℃以下に冷却後、水600gを投入してヘプタン層を分液し水層を得た。得られた水層をヘプタン160gで洗浄後、トルエン400gを加えた後、35%塩酸でpHを7に調整した。分液後、トルエン層を水160gで2回洗浄して3−オキソ−2−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)プロピオニトリルを116g(収率85.1%)含むトルエン溶液を得た。トルエンを減圧下において留去した後、ジ−n−ブチルエーテル120gを加え、温度120℃で完全に溶解させた後、20℃まで冷却し、析出した結晶をさらにジ−n−ブチルエーテル150gで分散させ、n−ヘキサン200gを加えて10℃で1時間攪拌した。得られた結晶をろ過し、n−ヘキサン150gで洗浄した。3−オキソ−2−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)プロピオニトリルが92.3g(融点178℃)得られた。
【0112】
〔実施例13〕
精留塔を備えた2L反応フラスコ内に、2−フェニル−4−シアノメチル−5−エチル−1,2,3−トリアゾール106g(0.5モル)、1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステル91g(0.5モル)、ヘプタン530g、ジエチレングリコールジメチルエーテル106gを加えた後、90〜95℃に加熱して共沸脱水を行った。その後、カリウム−tert−ブトキシド61.7g(0.55モル)を窒素雰囲気のまま注意して加え、その後、95℃に加熱し、精留塔からの流出液を除きながら15時間反応を行った。30℃以下に冷却後、水3000gを投入してヘプタン層を分液し、水層を更にヘプタン600gで洗浄、分液した。得られた水層を液体クロマトグラフィーで定量分析したところ、2−(2−フェニル−5−エチル−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−3−(1,3,4−トリメチル−5−ピラゾリル)−3−オキソプロピオニトリルが118.5g(収率68%)含まれていることが判明した。この水溶液を40℃に加温し、に35%塩酸を攪拌しながら加えてpHを1に調整し、2時間かけて15℃まで冷却し、得られた結晶をろ過した。結晶ケーキを水200mlで3回洗浄した後に乾燥させ、2−(2−フェニル−5−エチル−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−3−(1,3,4−トリメチル−5−ピラゾリル)−3−オキソプロピオニトリルを116g(収率66.5%)得た(融点:119℃)。
〔実施例14〕
精留塔と分液槽とを備えた10L反応フラスコに4−tert−ブチルフェニルアセトニトリル314g(1.81モル)、1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エチル300g(1.65モル)、ヘプタン3000g、ジエチレングリコールジメチルエーテル225g、ジエチレングリコールモノエチルエーテル99gを入れて窒素で置換した後、90〜95℃に加熱して1時間共沸脱水させた。そのままの温度に保持し、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液381g(1.98モル)を10時間かけて滴下し、さらに10時間反応させた。この間、分液槽中でヘプタンの下層に分離するアルコールを除去し続けた。30℃以下に冷却後、水3000gを投入してヘプタン層を分液し、水層を更にヘプタン600gで洗浄、分液した。得られた水層を液体クロマトグラフィーで定量分析したところ、2−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(1,3,4−トリメチル−5−ピラゾリル)−3−オキソプロピオニトリルが478g(収率94.0%)含まれていることが判明した。これに35%塩酸206g(1.98モル)を徐々に滴下して中和した。1時間攪拌した後、分離した結晶をろ過し、水300gで洗浄した後に乾燥させ、3−オキソ−2−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)プロピオニトリルを469g(収率92.0%)得た。
〔実施例15〕
精留塔と分液槽とを備えた10L反応フラスコに4−tert−ブチルフェニルアセトニトリル314g(1.81モル)、1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸メチル277g(1.65モル)、ヘプタン3000g、ジエチレングリコールジメチルエーテル225g、ジエチレングリコールモノエチルエーテル99gを入れて窒素で置換した後、90〜95℃に加熱して1時間共沸脱水させた。そのままの温度に保持し、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液381g(1.98モル)を13時間かけて滴下し、さらに10時間反応させた。この間、分液槽中でヘプタンの下層に分離するメタノールを除去し続けた。30℃以下に冷却後、水3000gを投入してヘプタン層を分液し、水層を更にヘプタン600gで洗浄、分液した。得られた水層を液体クロマトグラフィーで定量分析したところ、2−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(1,3,4−トリメチル−5−ピラゾリル)−3−オキソプロピオニトリルが486g(収率95.5%)含まれていることが判明した。これに35%塩酸206g(1.98モル)を徐々に滴下して中和した。1時間攪拌した後、分離した結晶をろ過し、水300gで洗浄した後、乾燥させ、3−オキソ−2−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(1,3,4−トリメチルピラゾール−5−イル)プロピオニトリルを475g(収率93.4%)得た。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明の製造方法は、3−アシロキシアクリロニトリル化合物と3−オキソプロピオニトリル化合物を工業的に、高い収率で製造することができ、産業上きわめて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(3)
【化1】

(式中、ArおよびArはそれぞれ独立に置換されていてもよい芳香族置換基を表し、Rは置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよい芳香族置換基を表す。)
で表されるE−3−アシロキシアクリロニトリル化合物またはそれと式(4)
【化2】

(式中、Ar、ArおよびRはそれぞれ前記と同様の意味を表す。)
で表されるZ−3−アシロキシアクリロニトリル化合物との混合物をアミンやピリジン等の有機塩基で異性化することを特徴とするZ−3−アシロキシアクリロニトリル化合物の製造方法。
【請求項2】
Arが置換されていてもよいフェニル基であり、Arが置換されていてもよいピラゾリル基である請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
Arが4−tert(ターシャリー)ブチルフェニル基であり、Arが1,3,4−トリメチル−5−ピラゾリル基であり、Rがtert(ターシャリー)ブチル基である請求項1記載の製造方法。

【公開番号】特開2011−79850(P2011−79850A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264981(P2010−264981)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【分割の表示】特願2004−95645(P2004−95645)の分割
【原出願日】平成16年3月29日(2004.3.29)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】