説明

アシスト情報配信システム、無線基地局およびGPS位置測位装置

【課題】無線基地局が送信する制御信号の時間的占有を軽減し、GPS位置測位装置にアシスト情報を送信することができる。
【解決手段】無線基地局15の制御チャネル送信部151は、アシスト情報をマルチキャストで送信する通信チャネルを特定する通信チャネル情報を制御チャネルで送信する。無線基地局15の通信チャネル送信部152は、制御チャネル送信部151が送信した通信チャネル情報で特定される通信チャネルを用いて、アシスト情報送信する。GPS位置測位装置200の制御チャネル受信部212は、制御チャネルで送信される通信チャネル情報を受信する。GPS位置測位装置200の通信チャネル受信部213は、この受信した通信チャネル情報で特定されるマルチキャスト用通信チャネルで、アシスト情報を受信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アシスト情報配信システム、無線基地局およびGPS位置測位装置に関する。
【背景技術】
【0002】
GPS位置測位装置は、エフェメリスなどのGPS衛星の軌道情報やGPS衛星位置補正情報などのアシスト情報をサーバ等から取得することで、位置測位演算を迅速化できることが知られている。
【0003】
従来、無線基地局が、定期的に送信する制御信号を用いて、GPS位置測位装置にアシスト情報を送信することで、GPS位置測位装置の所持者には通信費用が掛かることがなくアシスト情報を提供する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−221565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のアシスト情報の提供方法では、制御信号の伝送速度が一般に低速であるため、必要なアシスト情報の全体を送信完了するまでには制御信号を長期間占有する必要があった。
【0006】
また、上記のアシスト情報の提供方法では、GPS位置測位装置を備えた携帯電話などは、音声通話を本来の目的とするため、アシスト情報の受信中に音声通話の無線通信が割り込んだ場合には、アシスト情報の受信を中断して、音声通話のための制御信号の送受信を行わなければならない。そのため、GPS位置測位装置を備えた携帯電話などでは、無線通信の利用頻度が高い場合、頻繁にアシスト情報の受信が中断し、アシスト情報の受信完了までに長時間を要する。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、無線基地局が送信する制御信号の時間的占有を軽減して、GPS位置測位装置にアシスト情報を送信することができるアシスト情報配信システム、無線基地局およびアシスト情報を受信することができるGPS位置測位装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、アシスト情報をマルチキャストで送信する通信チャネルを特定する通信チャネル情報を制御チャネルで送信する制御チャネル送信部と、前記通信チャネル情報で特定される通信チャネルを用いて、前記アシスト情報を送信する通信チャネル送信部と、を備えた無線基地局と、制御チャネルで送信される通信チャネル情報を受信する制御チャネル受信部と、この受信した前記通信チャネル情報で特定されるマルチキャスト用通信チャネルで、アシスト情報を受信する通信チャネル受信部と、を備えたGPS位置測位装置と、を備えたことを特徴とするアシスト情報配信システムである。
【0009】
また、本発明は、アシスト情報をマルチキャストで送信する通信チャネルを特定する通信チャネル情報を制御チャネルで送信する制御チャネル送信部と、前記通信チャネル情報で特定される通信チャネルを用いて、前記アシスト情報を送信する通信チャネル送信部と、を備えた無線基地局である。
【0010】
また、本発明の無線基地局において、前記制御チャネル送信部は、前記通信チャネル情報を制御チャネルで繰り返し送信し、前記通信チャネル送信部は、前記通信チャネル情報で特定される通信チャネルで前記アシスト情報を繰り返し送信することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、制御チャネルで送信される通信チャネル情報を受信する制御チャネル受信部と、この受信した前記通信チャネル情報で特定されるマルチキャスト用通信チャネルで、アシスト情報を受信する通信チャネル受信部と、を備えたGPS位置測位装置である。
【0012】
また、本発明は、自装置が前記アシスト情報の受信を許可されるサービスに加入している装置であるか否かを判定する判定部を備え、自装置が前記サービスに加入していないと前記判定部が判定した場合、前記通信チャネル受信部が、受信した前記アシスト情報を破棄することを特徴とするGPS位置測位装置である。
【0013】
また、本発明のアシスト情報配信システムにおいて、前記無線基地局は、前記通信チャネル情報を制御チャネルによるブロードキャストSMSを用いて送信することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の無線基地局においては、前記通信チャネル情報を制御チャネルによるブロードキャストSMSを用いて送信することを特徴とする。
【0015】
また、本発明のGPS位置測位装置においては、制御チャネルによるブロードキャストSMSで送信される通信チャネル情報を受信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、無線基地局が送信する制御信号の時間的占有を軽減し、GPS位置測位装置にアシスト情報を送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態におけるアシスト情報配信システムの概要を示した構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態におけるアシスト情報配信網が、GPS位置測位装置にデータを送信する際に用いるサブフレームに含まれる制御チャネルと通信チャネルのタイムスロットの概要を示した概要図である。
【図3】本発明の第1実施形態におけるアシスト情報を配信する手順を示したシーケンス図である。
【図4】本発明の第2実施形態におけるアシスト情報配信網100が、GPS位置測位装置200にデータを送信する際に用いるサブフレームに含まれる制御チャネルと通信チャネルのタイムスロットの概要を示した概要図である。
【図5】本発明の第3実施形態のアシスト情報配信システムの概要を示した構成図である。
【図6】本発明の第3実施形態におけるアシスト情報配信網100が、GPS位置測位装置200にアシスト情報を配信する手順を示したシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0019】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態のアシスト情報配信システムの概要を示した構成図である。アシスト情報配信システムは、アシスト情報配信網100と、GPS位置測位装置200とを備える。
【0020】
アシスト情報配信網100は、GPS受信機11と、アシスト情報サーバ12と、データ配信制御装置13と、制御局14と、無線基地局15とを備える。
【0021】
GPS受信機11は、GPS衛星300が送信するGPS信号を受信する。GPS信号は、時刻情報や、GPS衛星300の軌道情報や、エフェメリスや、GPS衛星位置補正情報などを含む信号である。
【0022】
アシスト情報サーバ12は、GPS受信機が受信したGPS信号に含まれるエフェメリスやGPS衛星位置補正情報などの情報からアシスト情報を生成する。データ配信制御装置13は、アシスト情報サーバ12が生成したアシスト情報を決められた時間割に基づいて配信するように制御局14を制御する。制御局14は、無線基地局15の制御を行う。
【0023】
無線基地局15は、制御チャネル送信部151と、通信チャネル送信部152と、無線送信部153とを備え、無線ネットワークを用いてGPS位置測位装置200と情報の送受信を行う。無線基地局15とGPS位置測位装置200とは、制御チャネルと通信チャネルとで構成された双方向通信チャネルを通じて無線接続されている。また、無線基地局15は、制御局14の制御により、無線基地局15の配下に存在する全てのGPS位置測位装置200に対して、通信チャネルを用いて各種データをマルチキャスト配信する機能を有している。本実施形態では、無線基地局15はGPS位置測位装置200に対してアシスト情報をマルチキャスト配信する。アシスト情報の配信方法については後述する。
【0024】
制御チャネル送信部151は、制御チャネルを用いて送信する制御データを無線送信部153に入力する。通信チャネル送信部152は、通信チャネルを用いて送信する通信データ(ユニキャストデータおよびマルチキャストデータ)を無線送信部153に入力する。無線送信部153は、制御チャネル送信部151から入力された制御データと通信チャネル送信部152から入力された通信データとを、無線ネットワークを用いてGPS位置測位装置200に送信する。
【0025】
GPS位置測位装置200は、無線通信部21と、データ記憶部22と、GPS位置測位演算部23とを備える。無線通信部21は、無線受信部211と、制御チャネル受信部212と、通信チャネル受信部213とを備え、無線ネットワークを用いて無線基地局15とデータの送受信を行う。本実施形態では、無線通信部21は、通信チャネルを用いて無線基地局15から送信されたアシスト情報を受信する。アシスト情報の受信方法については後述する。
【0026】
無線受信部211は、無線ネットワークにより送信された無線信号を受信する。制御チャネル受信部212は、無線受信部211が受信した無線信号の制御チャネルに格納される制御データを受信する。通信チャネル受信部213は、無線受信部211が受信した無線信号の通信チャネルに格納される通信データを受信する。
【0027】
データ記憶部22は、無線通信部21が受信したアシスト情報を記憶する。GPS位置測位演算部23は、GPS衛星300から送信されるGPS信号を受信し、受信したGPS信号とデータ記憶部22が記憶するアシスト情報とに基づいて、位置測位を行う。
【0028】
次に、本実施形態におけるアシスト情報配信網100が、アシスト情報をGPS位置測位装置200に送信するタイミングについて説明する。図2は、本実施形態におけるアシスト情報配信網100が、GPS位置測位装置200にデータを送信する際に用いるサブフレームに含まれる制御チャネルと通信チャネルのタイムスロットの概要を示した概要図である。本実施形態では、アシスト情報配信網100は、通信方法として時分割多重方式を用いる。
【0029】
図示する例では、サブフレーム400は制御チャネル401と4つの通信チャネル402、403、404、405とを含む。なお、この例は時分割多重通信方式でのタイムスロットの配置を模式的に示しているに過ぎず、実際の制御チャネルおよび通信チャネルはこのような配置に限られる訳ではない。
【0030】
制御データスロット401は、アシスト情報配信網100がGPS位置測位装置200に制御データを送信するためのタイムスロットである。制御データは、端末IDと、周波数チャネル情報と、タイムスロット情報とを組み合わせたデータである。アシスト情報配信網100は、端末IDと、周波数チャネル情報と、タイムスロット情報とを組み合わせた制御データを用いて、データの送信先および送信に用いる周波数とスロットとを指定する。
【0031】
端末IDは、アシスト情報配信網100がデータを送信する先を示す情報であり、GPS位置測位装置200を一意に特定することができる情報である。例えば、端末ID「0001」は、ユーザ1が操作するGPS位置測位装置200を特定する情報である。また、端末ID「0000」は、全てのGPS位置測位装置200を特定する情報である。すなわち、アシスト情報配信網100は、全てのGPS位置測位装置200にデータを送信(マルチキャスト配信)する際には、端末ID「0000」を指定する。これにより、無線基地局15は、ユーザID「0000」に対してユニキャストデータを送信する動作と変わらない動作で、全てのGPS位置測位装置200にマルチキャスト配信を行うことができる。
【0032】
周波数チャネル情報は、アシスト情報配信網100がデータを送信する際に用いる周波数チャネルを特定する情報である。タイムスロット情報は、アシスト情報配信網100がデータを送信する際に用いるタイムスロットを特定する情報である。
【0033】
例えば、端末IDが「0000」であり、周波数チャネル情報が「XXX」であり、タイムスロット情報が「3」である組み合わせは、アシスト情報配信網100が、全てのGPS位置測位装置200に、周波数チャネルXXXとタイムスロット3とを用いてデータを送信することを示す。これにより、GPS位置測位装置200は、制御データを受信することで、アシスト情報配信網100から自装置に送信されるデータがどのように送信されるかを把握することができる。
【0034】
また、図示するように、サブフレームの先頭は制御チャネルである。この制御チャネルを用いて、アシスト情報配信網100は、定期的に制御データをGPS位置測位装置200に対して送信する。
【0035】
また、GPS位置測位装置200の無線通信部21が備える制御チャネル受信部212は、アシスト情報配信網100から一定時間毎に送信される制御チャネルを常にモニタし、制御チャネルを用いて送信される制御データを受信している。これにより、GPS位置測位装置200の無線通信部21が備える通信チャネル受信部213は、制御データに含まれる端末IDに基づいて自装置向けのデータが送信されるか否かを判定することができ、自装置向けのデータが送信されると判定した場合、周波数チャネル情報とタイムスロット情報とに基づいて自装置向けのデータを受信することができる。
【0036】
次に、アシスト情報配信網100が、GPS位置測位装置200にアシスト情報を配信する手順について説明する。図3は、本実施形態におけるアシスト情報配信網100が、GPS位置測位装置200にアシスト情報を配信する手順を示したシーケンス図である。
【0037】
(ステップS101)GPS受信機11は、GPS衛星300から送信されるGPS信号を受信する。アシスト情報サーバ12は、GPS受信機11が受信したGPS信号(航法データ)に基づいてアシスト情報を生成する。なお、GPS信号は時間が経過すると更新されるため、アシスト情報サーバ12は、定期的にアシスト情報を生成する。
【0038】
(ステップS102)データ配信制御装置13は、アシスト情報の配信時間を管理し、アシスト情報の配信時間が到来した場合、アシスト情報サーバ12からアシスト情報を取得する。なお、アシスト情報の配信時間は任意に設定することができる。
【0039】
(ステップS103)データ配信制御装置13は、ステップS102で取得したアシスト情報を制御局14に送信する。この際、データ配信制御装置13は、送信するアシスト情報に付加情報としてデータIDを付加する。
【0040】
(ステップS104)制御局14は、アシスト情報配信網100が備える全ての無線基地局15に、ステップS103で受信したアシスト情報を送信する。
【0041】
(ステップS105)制御局14は、アシスト情報配信網100が備える全ての無線基地局15に、マルチキャスト配信の開始を要求するメッセージを送信する。
【0042】
(ステップS106)ステップS105で制御局14から送信されたマルチキャスト配信の開始を要求するメッセージを受信した無線基地局15は、マルチキャスト配信を行うことが可能な場合、マルチキャスト配信を行うことが可能であることを示す応答メッセージを制御局14に送信する。なお、このステップS106は設けなくてもよい。
【0043】
(ステップS107)無線基地局15は、マルチキャスト配信を行うことが可能な場合、マルチキャスト配信の配信先を特定する端末IDと、マルチキャスト配信でデータを送信する周波数を特定する周波数チャネル情報と、マルチキャスト配信でデータを送信するタイムスロットを特定するタイムスロット情報とを組み合わせた制御データを、制御チャネルに含まれる制御データスロット401を用いて全てのGPS位置測位装置200に対して送信する。
【0044】
(ステップS108)GPS位置測位装置200は、ステップS107で無線基地局15から送信された制御データに基づいて、制御データで指定される周波数チャネルとタイムスロットを用いて通信チャネルで送信されるアシスト情報の受信処理を開始する。
【0045】
(ステップS109)無線基地局15は、制御局14の制御により、制御データの周波数チャネル情報で指定した周波数チャネルと、タイムスロット情報で指定したタイムスロットとを用いて、全てのGPS位置測位装置200に対して、通信チャネルでアシスト情報のマルチキャスト配信を行う。
【0046】
(ステップS110)GPS位置測位装置200は、制御データに基づいて、アシスト情報が配信される周波数チャネルとタイムスロットとを特定し、無線基地局15から通信チャネルで送信されたアシスト情報を受信する。続いて、GPS位置測位装置200は、受信したアシスト情報が所望する情報であるか否かを判定する。判定方法としては、アシスト情報に付加されているデータIDを確認し、このデータIDがアシスト情報を示すIDであれば、所望する情報であると判定する。
【0047】
(ステップS111)GPS位置測位装置200は、ステップS110で、受信したアシスト情報が所望する情報であると判定した場合、自身が備えるデータ記憶部22に受信したアシスト情報を記憶する。なお、GPS位置測位装置200は、データ記憶部22に記憶するアシスト情報のデータファイル名を常に同一の名称とする。そして、以前受信したアシスト情報がデータ記憶部22に記憶されている場合、GPS位置測位装置200は、新たに受信したアシスト情報を既に記憶しているアシスト情報に上書きする。これにより、GPS位置測位装置200は、常に最新のアシスト情報をデータ記憶部22に記憶することができる。
【0048】
上述したステップS101〜ステップS111の処理により、GPS位置測位装置200は、アシスト情報配信網100から通信チャネルで送信されるアシスト情報を受信し、データ記憶部22に記憶することができる。そして、GPS位置測位装置200は、アシスト情報配信網100から送信されたアシスト情報を自身の記憶領域に記憶しているため、このアシスト情報を用いて位置測位を行うことができる。
【0049】
なお、GPS衛星300から送信されるGPS信号は、時間が経過すると新たな情報に更新されるため、アシスト情報サーバ12は、一日に数回アシストデータを生成する。また、データ配信制御装置13は、配信時間が到来した場合、アシスト情報サーバ12から新たにアシスト情報を取得し、新たに取得したアシスト情報を制御局に送信する。これにより、アシスト情報配信網100は、更新されたGPS信号に基づいたアシスト情報をGPS位置測位装置200に配信することができる。また、GPS位置測位装置200は、更新されたGPS信号に基づいたアシスト情報を自身が備えるデータ記憶領域に記憶することができる。
【0050】
また、アシスト情報配信網100が数分毎に繰り返しアシスト情報を配信するようにしてもよい。例えば、GPS位置測位装置200は、音声通話など別の用途のために通信チャネルを使用しており、アシスト情報を受信できなかった場合においても、アシスト情報配信網100から数分程度の時間をおいて再度アシスト情報がマルチキャスト配信されるため、GPS位置測位装置200は、アシスト情報を受信することができなくても次にアシスト情報が配信されるタイミングでアシスト情報を受信することができる。
【0051】
このように、アシスト情報配信網100が数分毎にアシスト情報を配信し、GPS位置測位装置200がアシスト情報を複数回受信することができる機会を設けることで、GPS位置測位装置200によるアシスト情報の受信の成功率を上げることができる。なお、この場合においても、エフェメリスなどアシスト情報の基となる情報は2時間程度に1回の更新しかされないため、GPS位置測位装置200がアシスト情報を毎回受信することができなくても問題はない。
【0052】
また、本実施形態では、GPS位置測位装置200は、受信したアシスト情報が所望する情報であると判定した場合、自身が備えるデータ記憶部22に受信したアシスト情報を記憶したが、これに限らず、アシスト情報の配信を有料サービスとする場合には、有料サービスに未加入であるGPS位置測位装置200は、受信したアシスト情報をデータ記憶部22に記憶せずに破棄するようにしてもよい。
【0053】
例えば、GPS位置測位装置200は、自装置がアシスト情報の受信を許可されるサービスに加入している装置であるか否かを判定する判定部を備え、自装置がこのサービスに加入していないと判定部が判定した場合、受信したアシスト情報をデータ記憶部22に記憶せずに破棄する。これにより、容易にアシスト情報の有料配信を開始することができる。
【0054】
上述したとおり、本実施形態によれば、アシスト情報配信網100は、通信チャネルを用いてGPS位置測位装置200に対してアシスト情報をマルチキャスト配信するため、アシスト情報配信網100が送信する制御信号の時間的占有を軽減し、かつアシスト情報の配信対象となる全てのGPS位置測位装置200にアシストデータの配信を行うことができる。
【0055】
例えば、アシスト情報配信網100とGPS位置測位装置200との間の通信チャネルが、100kbpsのスループットが得られる通信チャネルである場合、アシスト情報が100kバイト程度のサイズとすると、GPS位置測位装置200は、約8秒でアシスト情報の受信を完了することができる。また、本実施形態では、アシスト情報は自動的にデータ記憶部22に記憶されるため、GPS位置測位装置200を操作するユーザは、アシスト情報の受信動作処理をほとんど意識することがない。
【0056】
一方、特許文献1に記載されている従来の方法を用いた場合は以下の通りである。例えば、制御信号は、時分割多重通信方式を用いており、1秒間に2000個のタイムスロットが設定されているとする。また、アシスト情報配信網は、平均して1個のタイムスロットをアシスト情報データの配信に用いることができるとする。
【0057】
制御信号の物理レートは一般に数10kbpsであるが、計算を簡略化するために仮に100kbpsとすると、1秒間に伝送できるアシスト情報は、100kビット×1÷2000=50ビットとなる。アシスト情報データのサイズを100kバイトとすると受信にかかる所要時間は、100kバイト×8÷50bps=16000秒(約4時間27分)となる。このことから考えると、本発明の利用のしやすさが明確である。また、アシスト情報の基となるエフェメリスデータは約2時間毎に更新されているが、特許文献1に記載の技術では最新のエフェメリスデータに基づいたアシスト情報をタイムリーに送信を完了することさえ困難である。
【0058】
また、従来、GPS位置測位装置を備えた移動体通信端末は、一般的に、位置測位の度に、アシスト情報を記憶しているサーバから無線ネットワークを介してアシスト情報を取得するため、位置測位を完了するまでに少なくともサーバとの通信処理時間が掛かってしまう。しかしながら、本実施形態においては、GPS位置測位装置200は、位置測位の度にサーバと通信を行う必要がないため、位置測位に必要な時間を短縮することができる。また、GPS位置測位装置200は、位置測位の度にサーバと通信することがなくなるため、サーバの処理負荷を減らすことができる。
【0059】
なお、本実施形態では、無線通信方式として時分割多重方式を用いた例について説明したが、時分割多重方式に限らず、制御チャネルと通信チャネルを有している無線通信方式であれば本発明を適用可能である。
【0060】
[第2実施形態]
第2実施形態は、上述した第1実施形態の変形例である。第2実施形態では、アシスト情報配信網100から一定時間毎に送信される制御チャネルは、SMSのメッセージを有する。SMSは、制御チャネルを用いて送信される本文の長さが短く制限された電子メールである。通常は電話番号を宛先として指定することで、該当の携帯電話にSMSを送信することができる。本実施形態では、全てのGPS位置測位装置200を宛先とするために、ブロードキャストSMSを使用する。
【0061】
図4は、第2実施形態におけるアシスト情報配信網100が、GPS位置測位装置200にデータを送信する際に用いるサブフレームに含まれる制御チャネルと通信チャネルのタイムスロットの概要を示した概要図である。本実施形態では、アシスト情報配信網100は、通信方法として時分割多重方式を用いる。
【0062】
図4において、ブロードキャストSMSには、周波数チャネル情報とタイムスロット情報とサービスID情報とが本文メッセージとして記述されている。GPS位置測位装置200は、制御チャネルが有するブロードキャストSMSを受信し、受信したブロードキャストSMSから周波数チャネル情報とタイムスロット情報とサービスID情報とを取得する。GPS位置測位装置200は、その取得した周波数チャネル情報とタイムスロット情報とサービスID情報とを用いて、自装置向けのデータが送信されるか否かを判定することができる。
【0063】
例えば、ブロードキャストSMSにおいて、周波数チャネル情報が「XXX」であり、タイムスロット情報が「3」であり、サービスID情報が「ZZZ」である組み合わせは、アシスト情報配信網100が、全てのGPS位置測位装置200に、周波数チャネルXXXとタイムスロット3とを用いてサービスIDがZZZのデータを送信することを示す。これにより、GPS位置測位装置200は、ブロードキャストSMSを受信することで、アシスト情報配信網100から自装置に送信されるデータがどのように送信されるか、その送信されるデータがどのような種別のものかを把握することができる。
【0064】
また、GPS位置測位装置200の無線通信部21が備える制御チャネル受信部212は、アシスト情報配信網100から一定時間毎に送信される制御チャネルを常にモニタし、制御チャネルを用いて送信されるブロードキャストSMSを受信している。これにより、GPS位置測位装置200の無線通信部21が備える通信チャネル受信部213は、ブロードキャストSMSに含まれる周波数チャネル情報とタイムスロット情報とに基づいて自装置向けのデータを受信することができる。例えば、ブロードキャストSMSにおいて、周波数チャネル情報が「XXX」であり、タイムスロット情報が「3」であり、サービスID情報が「ZZZ」である組み合わせは、アシスト情報配信網100から全てのGPS位置測位装置200に対してブロードキャストデータが存在することを示しており、全てのGPS位置測位装置200は、周波数チャネルXXXとタイムスロット3を用いてそのデータを受信することができる。サービスID情報「ZZZ」が、配信されるブロードキャストデータが自装置向けのデータではないことを示している場合は、GPS位置測位装置200はこれを受信しなくてもよい。
【0065】
[第3実施形態]
図5は、本発明の第3実施形態のアシスト情報配信システムの概要を示した構成図である。図5において、図1の各部に対応する部分には同一の符号を付している。図5に示す本実施形態のGPS位置測位装置200においては、図1に示す第1実施形態のGPS位置測位装置200に対して、制御部24を設ける。制御部24は、無線通信部21が受信した制御データを解析し、アシスト情報の受信方法をスケジューリングする。
【0066】
図6は、本実施形態におけるアシスト情報配信網100が、GPS位置測位装置200にアシスト情報を配信する手順を示したシーケンス図である。図6において、図3の各ステップに対応する部分には同一の符号を付している。
【0067】
本実施形態に係るアシスト情報配信手順では、図3に示すステップS107の制御データの送信に代えて、上述の図4のブロードキャストSMSを用いて、マルチキャスト配信でデータを送信する周波数を特定する周波数チャネル情報と、マルチキャスト配信でデータを送信するタイムスロットを特定するタイムスロット情報と、マルチキャストで配信されるデータの種別を特定するサービスIDとをメッセージとして全てのGPS位置測位装置200に対して送信する。GPS位置測位装置200は、ブロードキャストSMSに含まれるサービスIDを解析することにより、GPSアシスト情報配信網100からアシスト情報のマルチキャスト配信がスケジューリングされたことを認識し、アシスト情報のマルチキャスト配信を受信する動作をスケジューリングするようにGPS位置測位装置200の制御部24にプログラミングする。このとき、通常のSMSを受信した時のようにユーザにSMS受信を意識させることはしないようにする。制御部24は、ブロードキャストSMSのメッセージに記載されていたアシスト情報が配信されるタイムスロットが到来すると、無線基地局15から通信チャネルで送信されたアシスト情報を受信する。
【0068】
以下、図6を参照して、本実施形態に係るアシスト情報配信手順について説明する。
(ステップS200)データ配信制御装置13は、アシスト情報に係る次回のマルチキャスト配信をスケジューリングする。
(ステップS201)データ配信制御装置13は、アシスト情報に係る次回のマルチキャスト配信スケジュールを制御局14へ送信する。
(ステップS202)無線基地局15は、制御局14からの指示に従って、ブロードキャストSMSを用いて、マルチキャスト配信でデータを送信する周波数を特定する周波数チャネル情報と、マルチキャスト配信でデータを送信するタイムスロットを特定するタイムスロット情報と、マルチキャストで配信されるデータの種別を特定するサービスIDとをメッセージとして全てのGPS位置測位装置200に対して送信する。
【0069】
(ステップS203)GPS位置測位装置200は、ブロードキャストSMSに含まれるサービスIDを解析することにより、GPSアシスト情報配信網100からアシスト情報のマルチキャスト配信がスケジューリングされたことを認識し、アシスト情報のマルチキャスト配信を受信する動作をスケジューリングするようにGPS位置測位装置200の制御部24にプログラミングする。このとき、通常のSMSを受信した時のようにユーザにSMS受信を意識させることはしないようにする。
【0070】
(ステップS101)GPS受信機11は、GPS衛星300から送信されるGPS信号を受信する。アシスト情報サーバ12は、GPS受信機11が受信したGPS信号(航法データ)に基づいてアシスト情報を生成する。なお、GPS信号は時間が経過すると更新されるため、アシスト情報サーバ12は、定期的にアシスト情報を生成する。
【0071】
(ステップS102)データ配信制御装置13は、アシスト情報の配信時間を管理し、アシスト情報の配信時間が到来した場合、アシスト情報サーバ12からアシスト情報を取得する。なお、アシスト情報の配信時間は任意に設定することができる。
【0072】
(ステップS103)データ配信制御装置13は、ステップS102で取得したアシスト情報を制御局14に送信する。この際、データ配信制御装置13は、送信するアシスト情報に付加情報としてデータIDを付加する。
(ステップS104)制御局14は、アシスト情報配信網100が備える全ての無線基地局15に、ステップS103で受信したアシスト情報を送信する。
(ステップS105)制御局14は、アシスト情報配信網100が備える全ての無線基地局15に、マルチキャスト配信の開始を要求するメッセージを送信する。
【0073】
(ステップS109)無線基地局15は、制御局14の制御により、ブロードキャストSMSの周波数チャネル情報で指定した周波数チャネルと、タイムスロット情報で指定したタイムスロットとを用いて、全てのGPS位置測位装置200に対して、通信チャネルでアシスト情報のマルチキャスト配信を行う。
【0074】
(ステップS110)GPS位置測位装置200の制御部24は、ブロードキャストSMSのメッセージに記載されていたアシスト情報が配信されるタイムスロットが到来すると、無線基地局15から通信チャネルで送信されたアシスト情報を受信する。続いて、GPS位置測位装置200は、受信したアシスト情報が所望する情報であるか否かを判定する。判定方法としては、アシスト情報に付加されているデータIDを確認し、このデータIDがアシスト情報を示すIDであれば、所望する情報であると判定する。
【0075】
(ステップS111)GPS位置測位装置200は、ステップS110で、受信したアシスト情報が所望する情報であると判定した場合、自身が備えるデータ記憶部22に受信したアシスト情報を記憶する。なお、GPS位置測位装置200は、データ記憶部22に記憶するアシスト情報のデータファイル名を常に同一の名称とする。そして、以前受信したアシスト情報がデータ記憶部22に記憶されている場合、GPS位置測位装置200は、新たに受信したアシスト情報を既に記憶しているアシスト情報に上書きする。これにより、GPS位置測位装置200は、常に最新のアシスト情報をデータ記憶部22に記憶することができる。
【0076】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0077】
11・・・GPS受信機、12・・・アシスト情報サーバ、13・・・データ配信制御装置、14・・・制御局、15・・・無線基地局、300・・・GPS衛星、21・・・無線通信部、22・・・データ記憶部、23・・・GPS位置測位演算部、24・・・制御部、100・・・アシスト情報配信網、151・・・制御チャネル送信部、152・・・通信チャネル送信部、153・・・無線送信部、200・・・GPS位置測位装置、211・・・無線受信部、212・・・制御チャネル受信部、213・・・通信チャネル受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アシスト情報をマルチキャストで送信する通信チャネルを特定する通信チャネル情報を制御チャネルで送信する制御チャネル送信部と、
前記通信チャネル情報で特定される通信チャネルを用いて、前記アシスト情報を送信する通信チャネル送信部と、
を備えた無線基地局と、
制御チャネルで送信される通信チャネル情報を受信する制御チャネル受信部と、
この受信した前記通信チャネル情報で特定されるマルチキャスト用通信チャネルで、アシスト情報を受信する通信チャネル受信部と、
を備えたGPS位置測位装置と、
を備えたことを特徴とするアシスト情報配信システム。
【請求項2】
アシスト情報をマルチキャストで送信する通信チャネルを特定する通信チャネル情報を制御チャネルで送信する制御チャネル送信部と、
前記通信チャネル情報で特定される通信チャネルを用いて、前記アシスト情報を送信する通信チャネル送信部と、
を備えた無線基地局。
【請求項3】
前記制御チャネル送信部は、前記通信チャネル情報を制御チャネルで繰り返し送信し、
前記通信チャネル送信部は、前記通信チャネル情報で特定される通信チャネルで前記アシスト情報を繰り返し送信する
ことを特徴とする請求項2に記載の無線基地局。
【請求項4】
制御チャネルで送信される通信チャネル情報を受信する制御チャネル受信部と、
この受信した前記通信チャネル情報で特定されるマルチキャスト用通信チャネルで、アシスト情報を受信する通信チャネル受信部と、
を備えたGPS位置測位装置。
【請求項5】
自装置が前記アシスト情報の受信を許可されるサービスに加入している装置であるか否かを判定する判定部
を備え、
自装置が前記サービスに加入していないと前記判定部が判定した場合、前記通信チャネル受信部が、受信した前記アシスト情報を破棄する
ことを特徴とする請求項4に記載のGPS位置測位装置。
【請求項6】
前記無線基地局は、前記通信チャネル情報を制御チャネルによるブロードキャストSMSを用いて送信することを特徴とする請求項1に記載のアシスト情報配信システム。
【請求項7】
前記通信チャネル情報を制御チャネルによるブロードキャストSMSを用いて送信することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の無線基地局。
【請求項8】
制御チャネルによるブロードキャストSMSで送信される通信チャネル情報を受信することを特徴とする請求項4または請求項5に記載のGPS位置測位装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−30211(P2011−30211A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141815(P2010−141815)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】