説明

アジド組成物並びにその製造及び使用方法

i)UOCRCR
(式中、Uは、D、又はウレタン(−CO−NR)であり、Rは、独立して、H、D、又は有機基である);
ii)R’NCRCR若しくはA−R’NCRCR
(式中、R’は有機基であり、Aはアニオンである);又は
iii)G(N
(式中、mは2〜約10の整数であり、Gはm価の有機基であり、少なくとも2つのアジド基が脂肪族炭素原子を介して結合しており、Gは有機基を含んでもよい);から選択されるアジド組成物、及びその使用を記載する。具体的には、NCHCHOCHCHOHCH、CHOCHCHOHCH、CHOCHCH(OCONHC)CH、NCHCHO[CHCH(CH)O]H、CHCHC[CH(OCHCH(CH))OCOCH、NCHCHOCONH(CHNHCOOCHCH、(CHCNHCOOCHCH、n−CNDCOOCHCH、CNHCOOCHCH、COCFCFNDCOOCHCH、DOCHCH、及び[(CHNCHCHIからなる群から選択されアジド組成物について記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フルオロポリマーの硬化に用いることができるアジド組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フルオロポリマー、即ち、フッ素化骨格を有するポリマーは、熱安定性を含む幾つかの望ましい特性のために、種々の用途で長い間用いられてきた。
【0003】
フルオロエラストマー、特にペルフルオロエラストマーは、高温及び厳しい化学環境に対して高い耐性を示す。種々の硬化系が、ペルフルオロエラストマーを硬化させることが知られている。例えば、John B.Marshall,「Kalrez(登録商標)−Type Perfluoroelastomers−Synthesis,Properties and Applications」,in Modern Fluoropolymers,John Scheirs,editor,John Wiley & Sons Ltd.,New York,(2000)p.351〜353を参照のこと。ニトリル含有ペルフルオロエラストマーは、典型的には、米国特許第6,281,296号に記載されているもの等のアンモニア発生化合物、米国特許第6,657,013号に記載されているもの等のイミダート触媒、米国特許第6,846,880号に記載されているもの等のアミジン硬化系、並びに米国特許第7,294,677号及び同第6,890,995号に記載されているもの等のフルオロオニウム硬化系等の種々の触媒を用いて、ニトリル基をトリアジン架橋に三量体化することにより硬化される。最も注目すべきペルフルオロエラストマー用の硬化系は、米国特許第4,983,680号、同第7,388,054号、及び同第6,465,576号に記載されているようなペルオキシド硬化系、並びにトリアジン形成硬化系である。
【0004】
選択された硬化系は、フルオロエラストマーの耐化学性及び熱安定性にも影響を与え得る。例えば、最も熱安定性の高いペルフルオロエラストマーは、トリアジン形成硬化系で硬化されるが、これらのペルフルオロエラストマーは、耐化学性が低いことが知られており(例えば、体積膨潤)、温脂肪族アミン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び温水/蒸気の適用における使用は推奨されない。例えば、John B.Marshall,「Kalrez(登録商標)−Type Perfluoroelastomers−Synthesis,Properties and Applications」,in Modern Fluoropolymers,John Scheirs,editor,John Wiley & Sons Ltd.,New York,(2000)p.351〜353を参照のこと。他方、トリアリルイソシアヌレート等の助剤の存在下でペルオキシドを用いて硬化されるペルフルオロエラストマーは、耐化学性であるが、熱安定性を欠くことが従来から知られている。例えば、John B.Marshall,「Kalrez(登録商標)−Type Perfluoroelastomers−Synthesis,Properties and Applications」,in Modern Fluoropolymers,John Scheirs,editor,John Wiley & Sons Ltd.,New York,(2000)p.351〜353を参照のこと。
【0005】
耐化学性及び熱安定性の両方を達成するペルフルオロエラストマー組成物の開発が、業界で望まれている。出願時点において当該技術分野において既知であった、耐化学性及び熱安定性の両方を達成することを試みていた組成物は、「できる限り広い範囲の化学物質及び温度において卓越した性能をもたらす」と言われている、商品名「KALREZ SPECTRUM 6375」として販売されているO−リング、及び「最も広い使用温度範囲と、最も広い化学媒体耐性」を付与する、商品名「TECNOFLON PFR 95」として販売されているポリマーガムである。それぞれ1999年10月に印刷された「KALREZ SPECTRUM 6375」製品速報H−82112−01、及び2003年2月に改訂された「TECNOFLON PFR 95」製品速報を参照のこと。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ペルフルオロエラストマー組成物の性能を改善する別の方法は、トリアジン形成硬化系とペルオキシド硬化系とを組み合わせて、ペルオキシド硬化系の耐化学性と、トリアジン形成硬化系の高温耐性を利用することである。しかし、性能のトレードオフが生じる(即ち、混合硬化系は、個々の硬化系のいずれかと同程度に優れた又は貧弱な性能を示さない)。したがって、性能特性のバランスをとるためにトリアジン硬化剤とペルオキシド硬化剤との最適な比を決定することが必要であり、最終的には、混合硬化ペルフルオロエラストマー組成物は、個々の2種の硬化系の間のある程度の性能を有する。これまで、高温性能と広範な耐化学性との両方を必要とする特定の封止用途に望ましい全ての特性を満たすことはできていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
幾つかの実施形態では、新規硬化系を有することが望ましい。
【0008】
幾つかの実施形態では、高温性能及び耐化学性を組み合わせる要求を満たす単一硬化系を有することが望ましい。
【0009】
簡潔に言えば、1つの実施形態では、本開示は、以下から選択されるアジド組成物を提供する:
i)UOCRCR
(式中、Uは、D、又はウレタン(−CO−NR)であり、Rは、独立して、H、D、又は有機基である);
ii)R’NCRCR若しくはA−R’CRCR
(式中、R’は有機基であり、Aはアニオンである);又は
iii)G(N
(式中、mは2〜約10の整数であり、Gはm価の有機基であり、少なくとも2つのアジド基が脂肪族炭素原子を介して結合しており、Gは有機基を含んでもよい)。
【0010】
別の実施形態では、本開示は、NCHCHOCHCHOHCH、CHOCHCHOHCH、CHOCHCH(OCONHC)CH、NCHCHO[CHCH(CH)O]H、CHCHC[CH(OCHCH(CH))OCOCH、NCHCHOCONH(CHNHCOOCHCH、(CHCNHCOOCHCH、n−CNDCOOCHCH、CNHCOOCHCH、COCFCFNDCOOCHCH、DOCHCH、及び[(CHNCHCHからなる群から選択されるアジド組成物を提供する。
【0011】
更に別の実施形態では、本開示は、ニトリル含有硬化部位を有するフルオロポリマーと、ベータ位に少なくとも1つの官能基を有するモノアジド、ポリアジド、又はこれらの組み合わせから選択される硬化剤とを含む組成物を提供する。
【0012】
上記要約は、各実施形態を説明することを意図するものではない。また、本発明の1つ以上の実施形態の詳細を以下の説明に示す。他の特徴、目的、及び利点は、説明及び特許請求の範囲から明らかとなる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の組成物は、アジド組成物及びアジド硬化系を含むポリマーを含む。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語
「ベータ位」は、アジド含有炭素に隣接する炭素原子上に存在する位置、即ち、アジド含有炭素に対して2位に存在する官能基を指す。
「末端基」は、重合が開始又は終結したポリマーの部分を指す。
「フルオロポリマー」は、フルオロポリマーの総重量に基づいて、少なくとも30重量%のフッ素含量を有するポリマーを指す。
「ニトリル含有硬化部位」とは、硬化中に沈殿し得るニトリル含有基を指す。
「有機基」は、炭素原子を介して結合している、炭素に基づく基を指し、有機基は、ヒドロキシ、アミン、アンモニウム、エーテル、エステル、ウレタン、アジド、又は他の基等の官能基を含んでもよい。
「1つの(a、 an)」、「その(the)」、及び「少なくとも1つの」は、互換的に用いられ、1つ以上を意味する。
【0015】
また本明細書では、端点による範囲の列挙は、その範囲内に含まれる全ての数値を含む(例えば1〜10の範囲には、1.4、1.9、2.33、5.75、9.98等が含まれる)。
【0016】
また本明細書では、端点による整数範囲の列挙は、その範囲内に含まれる全ての整数値を含む(例えば、1〜10は、1、2、3、4、5等を含む)。
【0017】
本開示のアジド組成物は、ベータ位に少なくとも1つの官能基を有するモノアジド、ポリアジド、又はこれらの組み合わせから選択される。官能基としては、所望の硬化反応に干渉せず、ベータ位において酸素原子又は窒素原子を介して結合している基(例えば、ヒドロキシル、デューテロヒドロキシル、ウレタン、アミン、アミン塩、又はこれらの組み合わせ)が挙げられる。官能基は、所望により、官能化されてもよい。官能基の例としては、−OH;−OD;−NR;−OCONHZ;−OCONDZ;−NY;又はこれらの組み合わせが挙げられる。Rは、独立して、H、D、又はZであり、Zは、エーテル、エステル、アジド、ウレタン、又は他の基を含んでもよい炭化水素及び/又はフルオロカーボン部分を含む有機イソシアネートの残基等の、反応に干渉しない有機基である。所望により、Zは、官能化されてもよい。Yは、独立して、反応に干渉しない有機基である。
【0018】
1つの実施形態では、アジドは、以下の式:
UOCRCR (1)
(式中、Uは、H、D、又はウレタン(−CO−NR)であり、Rは、独立して、H、D、又は有機基である);
R’NCRCR若しくはA−R’CRCR (2)
(式中、R’は、炭素を介して結合している有機基であり、Aは、アニオン(例えば、I−、Br−、Cl−、SO−2、スルホネート等)である);
G(N (3)
(式中、mは2〜約10の整数であり、Gは、m価の有機基であり、少なくとも2つのアジド(N)基は、脂肪族炭素原子を介して結合しており、Gは、ヒドロキシル、アミン、アンモニウム、エーテル、エステル、ウレタン、又は所望の反応に干渉しない他の基等の他の非干渉有機基を含んでもよい);又は両方の種類のベータ位基(窒素結合及び酸素結合)を含んでもよいこれらの組み合わせ、又は式(1)、(2)、及び/又は(3)の任意の硬化剤の混合物である。
【0019】
式(1)及び(2)のアジドは、単官能性であってもよい。式(1)、(2)、及び(3)のアジドは、多官能性(即ち、1超のアジド部分を有する)であってもよい。
【0020】
式(1)の組成物の例としては、DOCHCH、HOCHCH、CNDCOOCHCH、(CHCNHCOOCHCH、CNHCOOCHCH、COCFCFNDCOOCHCH、NCHCHOCONH(CHNHCOOCHCH、CHOCHCHOHCH、CHOCHCH(OCONHC)CH、NCHCHOCHCHOHCH、NCHCHO[CHCH(CH)O]H、CHCHC(CHOCHCHOHCH、CNHCOOCHCH、及びCOCFCFNDCOOCHCHが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
式(2)の組成物の例としては、NCHCH(CH及び(CHNCHCHが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
式(3)の組成物の例としては、CHCHC[CH(OCHCH(CH))OCOCH及びCHCHC[CH(OCHCH(CH))OH]が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
アジド硬化系の1つの実施形態では、アジド部分を含む硬化剤が、ニトリル含有硬化部位を有するフルオロポリマーに添加される。
【0024】
本開示のフルオロポリマーとしては、部分フッ素化プラスチック、ペルフルオロプラスチック、部分フッ素化エラストマー、ペルフルオロエラストマー、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好適なフルオロポリマーとしては、ペルフルオロ化及び部分フッ素化モノマーから誘導される共重合化単位が挙げられる。好適な例のモノマーとしては、ペルフルオロオレフィン(例えば、テトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレン)、ペルフルオロビニルエーテル(例えば、ペルフルオロアルキルビニルエーテル及びペルフルオロアルコキシビニルエーテル)、及び部分フッ素化オレフィン(例えば、フッ化ビニリデン又はクロロトリフルオロエチレン)が挙げられる。フルオロポリマーはまた、オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン等)から誘導される共重合化単位を含んでもよい。
【0025】
好適なペルフルオロ化ビニルエーテルとしては、式:
CF=CFO(R’O)(R”O)
(式中、R’及びR”は、同じであるか、又は異なる1〜6個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐鎖ペルフルオロアルキレン基であり;a及びbは、独立して、0又は1〜10の整数であり;Rは、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基である)が挙げられる。
【0026】
ペルフルオロアルキルビニルエーテルは、式:
CF=CFO(CFCFXO)
(式中、Xは、F又はCFであり;nは、0〜5であり、Rは、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基である)の組成物を含んでもよい。
【0027】
ペルフルオロアルキルビニルエーテルは、上記式1又は2のいずれかを参照して、nが0又は1であり、かつRが1〜3個の炭素原子を含むものである。かかるペルフルオロ化エーテルの例としては、ペルフルオロメチルビニルエーテル、ペルフルオロエチルビニルエーテル、及びペルフルオロプロピルビニルエーテルが挙げられる。
【0028】
他の有用なペルフルオロ化モノマーとしては、式:
CF=CFO[(CF(CFZ)O]
(式中、Rは、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基であり、qは、0〜2であり、uは、0又は1であり、nは、0〜5であるが、但しqとnの両方がゼロではなく、Zは、F又はCFである)の化合物が挙げられる。この分類のメンバーとしては、RがCF又はCであり、qが0であり、nが1であるものを挙げることができる。
【0029】
本発明において有用な更なるペルフルオロアルキルビニルエーテルモノマーとしては、式:
CF=CFO[(CFCF(CF)O)(CF(OCF]C2x+1
(式中、gは0又は1〜5の整数であり、kは0又は1〜6の整数であり、pは1〜3であり、xは1〜5であるが、但しkが0であるとき、pも0である)が挙げられる。この分類のメンバーとしては、gが0又は1であり、kが0又は1であり、pが0又は1であり、xが1である化合物を挙げることができる。
【0030】
本発明において有用なペルフルオロアルコキシビニルエーテルとしては、式:
CF=CFO(CF(CFZ)O(CFO)2x+1
(式中、Zは、F又はCFであり、tは1〜3であり、uは0〜1であり、wは0〜3であり、xは1〜5であり、好ましくは1である)であるものが挙げられる。有用なペルフルオロアルコキシビニルエーテルの具体的な代表例としては、CF=CFOCFOCFCFCF、CF=CFOCFOCF、CF=CFO(CFOCF、及びCF=CFOCFCFOCFが挙げられる。
【0031】
ペルフルオロアルキルビニルエーテルとペルフルオロアルコキシビニルエーテルとの混合物を使用してもよい。
【0032】
本発明において有用なペルフルオロオレフィンとしては、式:
CF=CF−R
(式中、Rは、1〜8個の炭素原子、又は更には1〜3個の炭素原子を含むフッ素又はペルフルオロアルキルである)であるものが挙げられる。
【0033】
更に、部分的フッ素化モノマー又はオレフィン等の水素含有モノマー(例えば、エチレン、プロピレン等)、及びフッ化ビニリデンを、本発明のフルオロポリマーにて使用することができる。
【0034】
有用なフルオロポリマーの1つの例は、テトラフルオロエチレン及びペルフルオロメチルビニルエーテルから構成される。かかるコポリマーでは、共重合ペルフルオロ化エーテル単位は、ポリマー中に存在する全モノマー単位の約15〜約50モルパーセント(モル%)、又は約30〜約40モル%を構成する。
【0035】
有用なフルオロポリマーの例は、米国仮出願第61/032269号に開示されているもののような、−CF3、−CFH、−CFH、及び−CHの少なくとも1つにより表される末端基を有し、フルオロポリマーガムのカルボニル含有末端基の積分吸光度比が0.08未満、0.06未満、0.05未満、0.025未満、又は更には0.01未満であるものである。
【0036】
フルオロポリマーのカルボニル含有量は、フーリエ変換赤外分光分析(FTIR)に基づく積分吸光度比法によって決定することができる。具体的には、ポリマー内のカルボキシル、カルボン酸塩、及びカルボキサミド基の総含有量は、FTIR分光計を使用して薄いポリマーフィルムの積分カルボニル吸光度(つまり、1620〜1840cm−1の領域内の全ピークの総面積)を測定することによって決定される。異なるポリマーサンプル内のカルボニル濃度を比較するために、積分吸光度を、ポリマーフィルムの厚さにおける差異のために、カルボニル積分吸光度を取って厚みバンド積分吸光度に正規化する。厚みバンド積分吸光度は、2200〜2740cm−1の領域内の全ピークの総面積である。後者の領域内のピークの積分吸光度は、ポリマーフィルムの厚さに比例する。ピーク高吸光度方法を使用して、カルボキシル、カルボン酸塩、及びカルボキサミド基を決定することもできる。この試験は、フルオロポリマーの圧縮フィルムのFTIRスペクトルにおける突出したピーク下の積分吸光度に補正されたベースラインに依存する。特に、約1620cm−1〜1840cm−1の最も突出したピークの積分吸光度を測定する。これらのピークは、ポリマー内に存在するカルボニル部分に起因する吸光度と一致する。1620cm−1〜1840cm−1の範囲内の最も強いピーク下の積分吸光度に補正されたこのベースラインは、2220cm−1〜2740cm−1のC−F高次倍音の積分吸光度に補正されたベースラインによって分割され、これは、サンプルの厚さを示す。これは、ポリマーのカルボキシル、カルボン酸塩、及びカルボキサミド含有量を特徴付けるカルボニル吸光度比を与える。
【0037】
別の実施形態では、本開示で有用なポリマーは、低濃度のカルボニルフッ化物末端基を有するフルオロポリマーを有する。低濃度とは、FTIR(1830〜1900cm−1)で分析されたときに、フルオロポリマーゴム内のカルボニルフッ化物基の量が10%未満、5%未満、又は更には1%未満であることを意味する。別の実施形態では、フルオロポリマーは、カルボニルフッ化物末端基を実質的に含まず、これは、FTIRで分析されたときに、フルオロポリマーゴム内のカルボニルフッ化物基の量が0.5%未満であることを意味する。カルボニルフッ化物末端基は、最も突出したカルボニルフッ化物のピークが約1848cm−1及び1884cm−1で生じることを除き、上述のFTIR方法を使用して決定することができ、これは、当該技術分野において周知のとおり、高次カルボニルフッ化物に対応する。
【0038】
窒素含有硬化部位成分により、フルオロポリマーの硬化反応が可能になる。硬化部位成分は、部分的に又は完全にフッ素化することができる。窒素含有硬化部位を含むフルオロポリマーを調製するのに有用な窒素含有基を含むモノマーの例としては、フリーラジカル重合可能なニトリルが挙げられる。
【0039】
有用なニトリル基含有硬化部位モノマーとしては、ニトリル含有フッ素化オレフィン及びニトリル含有フッ素化ビニルエーテル、例えば、ペルフルオロ(8−シアノ−5−メチル−3,6−ジオキサ−1−オクテン);CF=CFO(CFCN(式中、Lは2〜12の整数である);CF=CFO(CFOCF(CF)CN(式中、uは2〜6の整数である);CF=CFO[CFCF(CF)O](CFO)CF(CF)CN若しくはCF=CFO[CFCF(CF)O](CFOCF(CF)CN(式中、qは0〜4の整数であり、yは0〜6の整数である);又はCF=CF[OCFCF(CF)]O(CFCN(式中、rは1又は2であり、tは1〜4の整数である);並びに前述の誘導体及び組み合わせが挙げられる。
【0040】
フルオロポリマーは、架橋反応に対して硬化部位として機能することができる十分な量のニトリル官能基を含有していなくてはならない。ニトリル部分は、ニトリル含有硬化部位モノマーの使用によって導入することができる、つまり、ニトリル部分は、重合中にポリマーに導入される。しかしながら、他の導入方法も本開示で想到される。ニトリル含有硬化部位モノマーの例としては、CF=CFOCF(CFCFCN;CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCN;又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0041】
更に、1つ以上の他のフルオロポリマー(1つ以上のコポリマーを含み得る)を、ニトリル部分を含む硬化部位モノマーから誘導される共重合単位を有するフルオロポリマー(コポリマーを含み得る)とブレンドすることができる。ブレンド及び/又はコポリマーにおいて有用なかかる他のフルオロポリマーとしては、上記配列全てが挙げられる。その他のフルオロポリマー(1又は複数)は、ニトリル部分を含む硬化部位モノマーから誘導される共重合化単位を欠いてもよく、及び/又は選択された硬化剤系に適合した反応部位を含んでもよい。例えば、各々がニトリル基を含む硬化部位モノマーから誘導される共重合化単位を有する2つの異なるフルオロポリマーが、ブレンドされて、ニトリル含有硬化部位を有するフルオロポリマーを提供することが可能である。
【0042】
フルオロポリマーの側鎖位置におけるニトリル含有硬化部位の量は、一般的に、約0.05〜約5モル%、又は更には約0.1〜約2モル%である。
【0043】
ポリアジド、ベータ位に官能基を有するモノアジド、又はこれらの組み合わせを、硬化剤として、ニトリル含有硬化部位を含むフルオロポリマーに添加してもよい。ニトリル硬化部位のモル量とアジド部分のモル量との比は、一般的に、約10:1〜0.1:1である。
【0044】
理論に縛られるものではないが、硬化剤のアジド部分とポリマーのニトリル部分が、まずテトラゾールを形成し、次いでこれが硬化中に更に反応すると考えられる。
【0045】
上記アジド硬化系を使用するとき、他の硬化剤をペルフルオロエラストマーガムに添加して、フルオロポリマーを架橋することもできる。一般に、1超の組成物を含み得る硬化剤の有効量は、重量基準で硬化性組成物100部当たり少なくとも約0.1部の硬化剤、より典型的には、硬化性組成物100部当たり少なくとも約0.5部の硬化剤である。重量基準で、硬化剤の有効量は、典型的には、硬化性組成物100部当たり約10部未満の硬化剤、より典型的には、硬化性組成物100部当たり約5部未満の硬化剤であるが、より多い及びより少ない量の硬化剤を使用してもよい。
【0046】
別のフルオロポリマーが、下記で述べるような別の硬化剤と共に含有されて、特定の性質を提供することが可能である。例えば、ペルオキシド硬化に適しているフルオロポリマー及びペルオキシド硬化剤を含有させて、化学安定性を向上させることができる。このようなブレンドは、得られるブレンドの熱安定性及び化学安定性を更に高め、経済的利点を提供することが可能である。
【0047】
フルオロポリマー組成物は、硬化性フルオロポリマー製剤にて一般に用いられている補助剤のうち任意のものを含むことができる。アジド硬化系はまた、更なる硬化剤、及び所望により助剤を含んでもよい。例えば、ペルオキシド硬化系、トリアジン形成硬化系、及びビスアミノフェノール硬化系を、アジド硬化系と共に用いてもよい。
【0048】
多くの場合、ペルオキシド硬化系の一部としてフルオロポリマー組成物とブレンドされる物質の1つは、硬化剤と協働して有用な硬化を提供することができる多価不飽和化合物で構成される助剤(時に硬化助剤(co-curative)とも呼ばれる)である。これら助剤は一般に、フルオロポリマー100部当たり、0.1〜10部、好ましくはフルオロポリマー100部当たり1〜5部に相当する量で添加することができる。有用な助剤の例としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリ(メチルアリル)イソシアヌレート、トリス(ジアリルアミン)−s−トリアジン、トリアリルホスファイト、N,N−ジアリルアクリルアミド、ヘキサアリルホスホラミド、N,N,N’,N’−テトラアルキルテトラフタルアミド、N,N,N’,N’−テトラアリルマロンアミド、トリビニルイソシアヌレート、2,4,6−トリビニルメチルトリシロキサン、及びトリ(5−ノルボルネン−2−メチレン)シアヌレートが挙げられる。トリアリルイソシアヌレート(TAIC)が特に有用である。
【0049】
ペルオキシド硬化剤と共に用いることができる他の助剤としては、欧州特許第0 661 304号、同第0 784 064号、及び同第0 769 521号に開示されているビスオレフィンが挙げられる。
【0050】
フルオロポリマー組成物はまた、他の種類の硬化剤を組み合わせることによっても硬化され得る。かかる硬化剤の例としては、ペルオキシド、芳香族アミノフェノール、ビスアミノフェノール(例えば、米国特許第5,767,204号及び同第5,700,879号に記載のように)、ビスアミドラゾン、ビスアミドオキシム(例えば、米国特許第5,621,145号に記載のように)、及びアンモニウム塩(例えば、米国特許第5,565,512号に記載のように)を含む芳香族アミノ化合物が挙げられる。例えば、米国特許第4,281,092号及び同第5,554,680号に記載のように、ヒ素、アンチモン、及びスズの有機金属化合物を用いてもよい。特定例としては、アリル−、プロパルギル−、トリフェニル−、アレニル−、及びテトラフェニルスズ並びにトリフェニルスズ水酸化物が挙げられる。これらの更なる硬化剤は、総硬化剤量(アジド硬化系+他の硬化剤(1又は複数))が、好ましくは、約0.05〜10phr、より好ましくは0.1〜5phr(ゴム100部当たりの部)に達するように添加される。
【0051】
1種以上のオニウム塩をフルオロポリマー組成物に添加して、ポリマー特性を改善することが有利である場合もある。好適なオニウム塩の例は、米国特許第4,882,390号に記載されている。具体例としては、トリフェニルベンジルホスホニウムクロリド、トリブチルアルキルホスホニウムクロリド、トリブチルベンジルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、及びトリアリールスルホニウムクロリドが挙げられる。ホスホニウム化合物が好ましい。
【0052】
1種以上の酸受容体を製剤に添加してもよいが、抽出可能な金属化合物の存在が望ましくない場合(半導体用途等)、無機酸受容体の使用は最低限に抑えるべきであり、全く使用しないことが好ましい。一般的に用いられている酸受容体としては、例えば、酸化亜鉛、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。これらの化合物は、一般的に、フルオロポリマー製剤で用いられて、フルオロポリマーが機能しなければならない高温で発生する可能性のあるHF又は他の酸のいずれとも結合する。
【0053】
安定剤、可塑剤、潤滑剤、充填剤などの添加剤、及び一般にフルオロポリマー配合にて利用される加工助剤は、組成物中へ組み込むことができるが、但し意図した使用条件で適切な安定性を有することが条件である。特に、ペルフルオロポリエーテルを組み込むことによって、低温性能を向上させることができる。例えば、米国特許第5,268,405号を参照されたい。
【0054】
有機又は無機充填剤を化合物に添加して、引張り強度及び弾性率等の物理的特性を改善することができる。充填剤としては、カーボンブラック;シリカ;又はハイドロタルサイト若しくは硫酸バリウム等の他のミネラル充填剤、及びフルオロポリマー充填剤;並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0055】
カーボンブラック充填剤はまた、典型的には、組成物の伸長、硬度、磨耗耐性、伝導度、及び加工性などのバランスをとるための手段として、フルオロポリマー中で用いられる。好適例としてはMTブラックス(メディアム・サーマル・ブラック)(名称:N−991、N−990、N−908、及びN−907)、FEF N−550、並びに大粒径ファーネスブラックが挙げられる。使用されるとき、1〜70phr(ゴム100部当たりの部)の大粒径ブラックが、通常十分である。
【0056】
また、フルオロポリマー充填剤も、組成物内に存在してよい。一般的に、1〜50phrのフルオロポリマー充填剤が使用され、好ましくは、少なくとも約5phrのフルオロポリマー充填剤が存在する。フルオロポリマー充填剤は、ペルフルオロエラストマー組成物の製造及び硬化に使用される最高温度で固体である、任意の超微粒子状で容易に分散されるプラスチック性フルオロポリマーであってよい。固体とは、部分的に結晶化している場合、フルオロプラスチックがフルオロエラストマーの処理温度より高い結晶融解温度を有することを意味する。そのような超微粒子状で容易に分散されるフルオロプラスチックは、一般に微粉末又はフルオロ添加剤と称される。微粉末は、通常、部分的に結晶性のポリマーである。
【0057】
本開示の組成物に使用することができる微粉末としては、TFEポリマーとして知られているポリマーの群に基づくものを挙げることができるが、これらに限定されない。この群としては、樹脂が非溶解で製造可能のままである、そのような低濃度の少なくとも1つの共重合可能な変性モノマー(変性PTFE)を有する、TFE(PTFE)のホモポリマー及びTFEのコポリマーが挙げられる。変性モノマーは、例えば、HFP、ペルフルオロ(プロピルビニル)エーテル、ペルフルオロブチルエチレン、クロロトリフルオロエチレン、又はポリマー分子内に側基を導入する別のモノマーであってよい。ポリマー内のそのような共重合調整剤の濃度は、通常5モル%未満である。本発明に使用することができるPTFE及び変性PTFE樹脂としては、懸濁液重合及び乳化重合から派生するものの両方が挙げられる。
【0058】
かかる充填剤は、典型的には、100〜300℃の範囲の融点を有する。有用な充填剤の例としては、低分子量ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロプロピルビニルエーテルコポリマー(PFA)、及びテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(FEP)が挙げられる。
【0059】
フルオロポリマーのブレンドが所望される場合、1つの有用な導入経路は、典型的に、フルオロポリマーラテックスを選択された比率でブレンドし、その後凝固及び乾燥させることによるものである。
【0060】
硬化性組成物は典型的には、1以上のフルオロポリマー、硬化剤、いずれかの選択された添加剤(1又は複数)、いずれかの追加の硬化剤(所望される場合)、及びいずれかの他の補助剤(所望される場合)を、従来の加工設備中で混合することによって調製できる。所望量の配合成分及び他の従来の補助剤又は成分を硬化性組成物に添加し、内部ミキサー(例えば、バンベリーミキサー(Banbury mixers))、2ロールミル、又はいずれかの他の従来の混合装置等の従来の混合装置のいずれかを利用することにより、密に混合するか、又はそれらと配合することができる。混合プロセス中の混合物の温度は、典型的には、組成物の硬化温度よりも低く安全に保たれる。したがって、温度は、典型的に、約120℃を超えて上昇してはならない。混合中、構成成分及び補助剤をガム全体に均一に分布させることが一般に望ましい。
【0061】
フルオロエラストマーガム混合物の鋳型成形(Molding)又はプレス硬化(press curing)は典型的に、好適な圧力下で、所望の時間、混合物を硬化するのに十分な温度で実行される。一般に、これは95℃〜230℃、又は150℃〜205℃で、1分間〜15時間、又は5分間〜30分間である。鋳型中の混合物に通常700kPa〜21,000kPaの圧力をかける。
【0062】
次いで、混合物は、例えば押出成形(例えば、ホース又はホース内層の形状に)、又は鋳造(例えば、Oリングシールの形態に)により、加工及び成形される。次に、成形物品を加熱して、組成物を硬化させ、硬化物品を形成することができる。
【0063】
成形された混合物又はプレス硬化された物品は、次いで、所望により、硬化を完結させるのに十分な温度及び時間、通常、150℃〜300℃又は230℃で、2時間〜50時間以上の間(通常、物品の断面の厚さと共に増加する)、後硬化される(例えば、オーブン内で)。厚みのある部分では、後硬化中の温度は通常、範囲の下限から所望の最高温度まで次第に上昇する。最高使用温度は、好ましくは約300℃であり、この値を4時間以上保持する。この後硬化工程は通常、架橋を完成させるが、硬化した組成物から残留揮発物を放出させることもできる。最後に、プレス硬化された物品は、オーブンのスイッチを切ること等により周囲温度に戻される。
【0064】
本開示の物品は、熱安定性及び耐化学性の両方を示した。熱安定性は、フルオロポリマーの圧縮に反応する能力である。本開示の物品は、300℃で70時間試験したとき、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、又は更には50%未満の圧縮永久歪み耐性を有することができる。フルオロポリマーの耐化学性は、典型的には、水、蒸気、及びエチレンジアミンについて試験される。本開示の物品は、230℃で168時間試験したとき、体積膨潤が60%未満、又は更には50%未満である、蒸気耐性を有することができる。本開示の物品は、230℃で168時間試験したとき、体積膨潤が80%未満、50%未満、40%未満、又は更には30%未満である、水耐性を有することができる。本開示の物品は、100℃で168時間試験したとき、体積膨潤が50%未満、45%未満、又は更には40%未満である、エチレンジアミン耐性を有することができる。
【0065】
フルオロポリマー組成物は、Oリング、ガスケット、管、及び封止具等の物品の生産において有用である。このような物品は、各種添加剤を含むフルオロポリマー組成物の配合製剤を加圧下で成形し、部品を硬化させ、次に所望によりその部品に後硬化サイクルを施すことにより製造される。無機酸受容体無しで配合された硬化性組成物は、半導体装置を製造するためのシール及びガスケットなどの用途に、また高温での自動車用途のためのシールに特に有用である。
【0066】
本発明の利点及び実施形態は、以下の実施例により更に例示されるが、これらの実施例に列挙したその特定の材料及び量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を過度に限定すると解釈されるべきではない。他に言及されるか、明らかでない限り、全材料は市販であるか、又は当業者に知られている。
【実施例】
【0067】
本開示のフルオロポリマー組成物の調製を以下の実施例に更に説明する。これらの実施例において列挙されるその特定の材料及び量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を過度に制限しないと解釈されるべきである。これらの実施例では、全ての百分率、比率、及び比は、特に断らない限り重量による。
【0068】
これらの略記を以下の実施例で用いる:g=グラム、min=分、mol=モル、mmol=ミリモル、hr=時間、mL=ミリリットル、L=リットル、FTIR=フーリエ変換赤外分光法、及びFT−NMR=フーリエ変換核磁気共鳴。
【0069】
試験方法
硬化レオロジー:硬化レオロジー試験を、未硬化の配合サンプルに対して、ASTM D 5289−93aに記載されているMoving Die Rheometer(MDR)(Model 2000,Monsanto,St.Louis,MO)を用いて、177℃又は188℃にて、予加熱なしで、30分間又は必要に応じてそれ以上の経過時間で実行して、t’90及び0.5°のアークを得た。最小トルク(M)、及び平坦域又は最大トルクが得られない場合は特定の期間中に到達する最も高いトルク(M)の両方を測定した。トルクがMを2単位超えて増加する時間(「ts2」)、トルクがM+0.5(M−M)に等しい値に達する時間(「t’50」)、トルクがM+0.9(M−M)に等しい値に達する時間(「t’90」)もまた測定した。
【0070】
熱安定性及び耐化学性試験のために、配合した材料をクーポン又はOリングのいずれかに成形し、硬化させた。クーポンは、15mm×40mm×厚さ2mmであった。Oリングは、内径25mm及び断面積3.53mmであった。
【0071】
圧縮永久歪み:潤滑剤を用いなかったことを除いてASTM D 1414−94に記載の通り300℃で70時間サンプルを試験した。
【0072】
蒸気及び水耐性:以下を除いてASTM D−471−06に記載の通り230℃で168時間サンプルを試験した。サンプルを、アルコール又はアセトンに浸漬しなかった。また、サンプルを、750mLの脱イオン水を収容している2Lのステンレス鋼Parr圧力容器に入れた。水耐性については、サンプルを水に完全に浸漬させた。蒸気耐性については、サンプルを水の上につるした。次いで、圧力容器を、230℃で168時間空気循環オーブン内に入れた。168時間後、圧力容器を冷水で室温まで急冷させて、30分以内に圧力容器から取り出し、サンプルを計量した。
【0073】
エチレンジアミン耐性:以下を除いてASTM D−471−06に記載の通り100℃で168時間サンプルを試験した。サンプルを、アルコール又はアセトンに浸漬しなかった。また、サンプルを、500mLのエチレンジアミンを収容している水冷コンデンサを備える1Lの樹脂製フラスコに入れた。試料を100℃で168時間エチレンジアミンに完全に浸漬させた。加熱マントルを用いて樹脂製フラスコを加熱した。168時間後、試料を樹脂製フラスコから取り出し、冷水ですすいだ。フラスコから取り出した後30分以内にサンプルを計量した。
【表0】

【0074】
ポリマーガムA:無酸素条件下で、150Lのやかんに105Lの脱イオン水を入れた。やかんに、520gのC15COONH(APFO)、203gのCSONH、及び73gのNHClを添加した。65℃に加熱した後、2000gのテトラフルオロエテン(TFE)及び5820gのペルフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)を添加した。MV5CN(140g)をプレエマルションとして添加した(米国特許出願公開第2004/0024134号に記載の通り)。1400mLの脱イオン水に溶解した155gのペルオキソ二硫酸アンモニウム(APS)の添加により、反応を開始させた。14barの圧力及び65℃にて、24.5kgのTFE、20.4kgのPMVE、及び1.7kgのCF=CFOCF(CFCFCN(MV5CN)(米国特許出願公開第2004/0024134号に記載のようにプレエマルションとして添加)を、310分間にわたって供給した。得られたラテックスは、32重量%の固形分を有しており、450gのMgClで凝固した。ポリマーを115℃で乾燥させた。ポリマーガムは、0.055のカルボニル含有末端基に対する積分吸光度比を有した。ムーニー粘度(1+10’、121℃)は、90であった。NMR分析は、以下の組成を示した:65.1モル%のTFE、33.6モル%のPMVE、1.06モル%のMV5CN、及び0.15モル%のCF末端基。
【0075】
ポリマーガムBは以下のように調製可能である:無酸素条件下で、150Lのやかんに105Lの脱イオン水を入れる。やかんに、2000gのAPFO(30%水溶液)、350kgのKHPO、及び112gのCSONaを添加する。71℃に加熱した後、2020gのTFE、6870gのPMVE、及び59gのブロモトリフルオロエチレン(BTFE)を添加する。10重量%のAPS水溶液750gを添加して、反応を開始させる。16barの圧力及び71℃にて、22.1kgのTFE、22.1kgのPMVE、及び0.33kgのBTFEを、約400分間(6.6時間)にわたってやかんに供給する。得られたラテックスは、典型的には、27重量%の固形分を有している。50kgのラテックスを360gのMgCl6H0で凝固させ、110℃で乾燥させる。典型的には、ムーニー粘度(1+10’、121℃)は90であり、ポリマーガムは以下の組成を有する:55重量%のTFE、44.2重量%のPMVE、及び0.8重量%のBTFE。
【0076】
ポリマーガムC:無酸素条件下で、150Lのやかんに105Lの脱イオン水を入れた。やかんに、520gのC15COONH(APFO)、及び240gのCSONHを添加した。73℃に加熱した後、1220gのTFE及び3570gのPMVEを添加した。CF=CFOCF(CFCFCN(122g MV5CN)を、プレエマルションとして添加した。1100mLの脱イオン水に溶解した180gのAPSの添加により反応を開始させた。10barの圧力及び73℃にて、24.5kgのTFE、20.4kgのPMVE、及び1.7kgのMV5CN(プレエマルションとして)を300分間にわたってやかんに供給した。得られたラテックスは、31重量%の固体分を有しており、450gのMgClで凝固させた。ポリマーを115℃で乾燥させた。ガムは、0.096のカルボニル含有末端基に対する積分吸光度比を有した。ムーニー粘度(1+10’、121℃)は、86であった。NMR分析は、以下の組成を示した:66.2モル%のTFE、32.5モル%のPMVE、1.05モル%のMV5CN、及び0.24モル%のCF末端基。
【0077】
特に明記しない限り、好適な出発物質及びアジド化合物を調製するための試薬は、Sigma−Aldrich Corporation,St.Louis,MOから入手することができる。収率(%)は、出発物質に対する割合として報告する。
【0078】
アジド1 NCHCHOCHCHOHCH(1−アジド−3−(2−アジドエトキシ)−2−プロパノール)を、工程1でメタノールの代わりに2−クロロエタノールを用いたことを除いて、アジド2と同じプロセス工程により調製した。黄色の液体を得た。FTIR分光法により構造を確定した。
【0079】
アジド2 CHOCHCHOHCH(1−アジド−3−メトキシ−2−プロパノール)を以下のように調製した。
【0080】
工程1−1−クロロ−3−メトキシ−2−プロパノール:5Lの3つ口フラスコ内でメタノール(640g)をSnCl(10.6g、4.76mL)と混合し、60℃に加熱した。エピクロロヒドリン(1480g)を、一定速度で添加して、温度を60℃〜75℃の範囲で維持した。添加完了後、反応混合物を25℃に冷却し、塩化メチレン(1000g)を添加した。エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(43g)、水酸化ナトリウム(9.2g)、及び水(1000g)の予め溶解させておいた混合物を添加し、1時間撹拌し、次いで一晩分離させた。下方の有機相は、大気圧で塩化メチレンを含んでおらず、次いで生成物を、22mmHgの圧力で、ポット温度82℃、ヘッド温度79℃にて水流吸引減圧を用いて蒸留した。回収した物質を、16〜18mmHg、ポット温度74〜80℃、及びヘッド温度70〜71℃で、Vigreauxカラムを用いて再蒸留した。収量は1403gであった。工程2−1−アジド−3−メトキシ−2−プロパノール:2Lの3つ口フラスコ内で、1−クロロ−3−メトキシ−2−プロパノール200gを、DMSO(200g)及び水(14g)と混合し、90℃に加熱した。アジ化ナトリウム(200g)を、50℃から始めて徐々に添加し、90℃になるまで続けた。添加には30分間かかり、添加が完了したとき温度は90℃であった。7.5時間反応させた。1000mLの水を添加し、混合物を15分間撹拌し、次いで分液漏斗に移した。分離前にこれを一晩静置することが簡便である。塩化メチレン(200g)を生成物相に添加し、次いで200mLの脱イオン水を添加し、相を分離させた。有機相を、20gの無水NaSOと共に30分間撹拌し、次いで1000mLの3つ口フラスコに濾過した。生成物を55℃の水浴、吸引器、及び約2時間の窒素パージを用いて揮散させた。黄色の液体が160g得られた。FTIR分光法により構造を確定した。
【0081】
アジド3窒素パージしながら250mLの3つ口フラスコ内で1−アジド−3−メトキシ−2−プロパノール(128g)をジブチルスズジラウレート(0.03g)と混合し、撹拌し、50℃に加熱することにより、CHOCHCH(OCONHC)CH(1−アジド−3−メトキシ−2−プロピル−N−n−ブチルエタン)を調製した。次いで、n−ブチルイソシアネート(100g、11%過剰)を50分間にわたって添加し、50℃で95時間にわたって反応させた。IRにより定期的に反応が完了したかどうかを確認したところ、95時間後、反応が完了したと見受けられた。過剰のブチルイソシアネートを、水流吸引器を用いて50℃で真空蒸留することにより除去した。黄色の液体が197g得られた。FTIR分光法により構造を確定した。
【0082】
アジド4 n−ブチルイソシアネート(5g、50.5mmol)、N−CHCH−OH(4.8g、55.5mmol)、及びジブチルスズジラウレート(15mg)を、トルエン(50g)中にて85℃で1時間加熱することにより、nCNH−CO−OCHCHを調製した。過剰のN−CHCH−OH及びトルエンを、ロータリーエバポレータで蒸留することにより除去した。FT−NMR及びFTIR分光法により構造を確定した。収率は、95%超であった。
【0083】
アジド5 CHCHC(CHOCHCHOHCHを以下のように調製した。
【0084】
工程1−トリメチロールプロパン(134g)及び1gのCCH(SOCF(Journal of Organic Chemistry,38,p.3358,1973にしたがって、ベンジルマグネシウムクロリドとフッ化トリフリルとを反応させることにより作製した)の混合物を、撹拌棒及び滴下漏斗を備えるフラスコ内で融解させることにより、CHCHC(CHOCHCHOHCHClを調製した。温度を70℃に制御しながら、エピクロロヒドリン(277g)を2時間にわたって添加した。工程2−このトリクロロ化合物(未精製)を、500gの水中で、アジ化ナトリウム(200g)及び水酸化ナトリウム(5g)の熱溶液(100℃)に1時間にわたって添加することにより、トリス−アジド5に変換した。混合物を100℃で10時間撹拌し、次いで冷却させた。水相を生成物相から分離させ、酢酸エチル(500g)で抽出した。酢酸エチル相を生成物相と組み合わせ、残りの水を共沸蒸留により除去した。乾燥させた生成物の酢酸エチル溶液を濾過し、ロータリーエバポレータで酢酸エチルを除去した。生成物は、粘稠な黄色の液体であった。FTIR分光法により構造を確定した。
【0085】
アジド6最初の工程のエピクロロヒドリンと2−クロロエタノールとの比が6:1であり、生成物を蒸留せずに2番目の工程で用い、2番目の工程で塩化メチレンの代わりにキシレンを用いたことを除いて、アジド1で用いた手順によりNCHCHO[CHCH(CH)O]Hを調製した。FTIR分光法により構造を確定した。
【0086】
アジド7酸捕捉剤としてピリジンを用いて無水酢酸でアセチル化することにより、アジド6からCHCHC[CH(OCHCH(CH))OCOCHを調製した。FTIR分光法により構造を確定した。
【0087】
アジド8 n−ブチルイソシアネートをヘキサメチレンジイソシアネートに置き換え、2−アジドエタノールのモル量を2倍にしたことを除いて、アジド4と同様にNCHCHO−CO−NH−(CH−NH−CO−OCHCHを調製した。FT−NMR及びFTIR分光法により構造を確定した。収率は、95%超であった。
【0088】
アジド9 n−ブチルイソシアネートをt−ブチルイソシアネートに置き換えたことを除いて、アジド4と同様にt−CNH−CO−OCHCHを調製した。FT−NMR及びFTIR分光法により構造を確定した。収率は、95%超であった。
【0089】
アジド10 N−CHCH−OHをN−CHCH−ODに置き換えたことを除いて、アジド4と同様にnCND−CO−OCHCHを調製した。FT−NMR及びFTIR分光法により構造を確定した。収率は、95%超であった。
【0090】
アジド11 n−ブチルイソシアネートをフェニルイソシアネートに置き換えたことを除いて、アジド4と同様にCNH−CO−OCHCHを調製した。FT−NMR及びFTIR分光法により構造を確定した。収率は、95%超であった。
【0091】
アジド12 1重量%水酸化ナトリウム(EMD,Gibbstown,NJ)を含む脱イオン水中で、2−クロロエタノール(80.5g、1mol)を30分間にわたって70℃のアジ化ナトリウムの撹拌溶液(66.95g、1.03mol、American Azide Corp.,Las Vegas,NV)に滴下することにより、N−CHCH−OHを調製した。次いで、反応物を100℃で5時間加熱した。2−アジドエタノールをトルエン(EMD,Gibbstown,NJ)を用いて反応混合物から抽出して、トルエン及び水の共沸蒸留により乾燥させた。乾燥させた溶液を濾過し、次いでロータリーエバポレータを用いて蒸留することによりトルエンを除去した。FT−NMR及びFTIR分光法により構造を確定した。収率は、約75%であった。
【0092】
アジド13撹拌しながらアジ化ナトリウム(18.85g、290mmol)をジメチルスルホキシド(DMSO、100g)に懸濁させることにより、中でC−O−CF(CF)−ND−CO−OCHCHを調製した。C−O−CF(CF)C(O)F(100g、262mmol、3M Co.,St.Paul,MN)をFC−40(400g、3M Co.,St.Paul,MN)に溶解させた。フッ化カルボニル溶液を22分間にわたって、撹拌したアジ化ナトリウムのDMSO懸濁液に滴下した。反応懸濁液を脱イオン水で洗浄して、DMSO、HF、及び過剰のアジ化ナトリウムを除去し、次いで4Åの分子篩上で乾燥させ、最後にトルエンで洗浄して(第2の上相を形成した)、底相としてFC−40中に乾燥アジ化アシルを得た。次いで、FC−40中のアジ化アシルを100℃で3時間加熱し、クルチウス転位を介して対応するイソシアネートを得た。ロータリーエバポレータ蒸留することにより、イソシアネートをFC−40から単離した。テトラヒドロフラン(Alfa Aesar,Ward Hill,MA)を溶媒として用いて、アジド4の合成について記載した手順と同様に、未希釈のイソシアネートをN−CHCH−ODと反応させて、ウレタンを形成させた。FTIR分光法により構造を確定した。
【0093】
アジド14撹拌しながらメタノール(100g、Alfa Aesar,Ward Hills,MA)にNCHCHN(CH(20g、175mmol、以下のように調製、アジド15)を溶解させることにより、NCHCH(CHを調製した。ヨウ化メチル(27.4g、193mmol)を撹拌溶液に10分間にわたって滴下した。冷水浴を用いて最初の30分間反応を20℃で維持し、次いで室温に加温し、18時間撹拌した。メタノール及び未反応の出発物質を、ロータリーエバポレータを用いて蒸留することにより除去した。黄色固体生成物を、真空オーブン内で更に乾燥させた。収率は、80%であった。
【0094】
アジド15(CHNCHCHは、3M Co.,St.Paul,MNからL−15686として入手可能であるか、又はG.P.Schiemenz and H.Engelhard in Chem.Ber.,v.92,p.857〜862,1959に記載の通り調製可能である。
【0095】
アジド16 2−アジドエタノール(5g)をDO(10g、Cambridge Isotope Laboratory,Andover,MA)と共に20分間撹拌することにより、N−CHCH−ODを調製した。トルエン(50g)を添加し、懸濁液をトルエンとの共沸蒸留により乾燥させた。ロータリーエバポレータ蒸留することによりトルエンを除去し、未希釈の2−アジドエタノールを再度DOと反応させ、乾燥させ、トルエンを揮散させて、未希釈のN−CHCH−ODを得た。FT−NMR及びFTIR分光法により構造を確定した。収率は、約90%であった。
【0096】
アジド17 CHCHC(CHOCHCHOHCHとC−OCF(CF)COFとの反応生成物を、100mLのフラスコ内でアジド5(4.5g)を50mLの無水テトラヒドロフランに溶解させ、磁気撹拌棒を用いて撹拌することにより調製した。次いで、C−OCF(CF)COF(4.2g、3M Company,St.Paul,MN)を10分間にわたって少量ずつ添加した。穏やかな発熱がみられ、フッ化物質が全て溶解した。混合物を60℃で1時間加熱し、冷却し、次いで溶媒及びHFを蒸留により除去した。
【0097】
アジド20 3−クロロプロパノールを2−クロロプロパノールの代わりに用いたことを除いて、アジド12と同様に、(非硬化)N(CHOHを調製した。FT−NMR分光法により構造を確定した。
【0098】
アジド21撹拌しながら、2−アジドエタノール(3.9g、45mmol)及び2,6−ジメチルピリジン(4.9g、45mmol)をトルエン(25g)に溶解させることにより、(非硬化)CSO−CHCHを調製した。ベンゼンスルホニルクロリド(8g、45mmol)を1分間にわたって滴下した。反応物を2日間撹拌しながら放置し、次いで脱イオン水で洗浄した。次いで、ロータリーエバポレータを用いて蒸留することによりトルエンを除去し、未希釈の生成物を得た。FT−NMR分光法により構造を確定した。
【0099】
実施例1〜22の組成物を表1に列挙する。ポリマー、添加剤(1又は複数)、及び硬化剤(1又は複数)を、2ロールミルで配合した。配合された混合物の硬化レオロジーを試験した。結果を表1に報告する。

【表1A】

−−は添加しなかったことを示す
【表1B】


−−は添加しなかったことを示す
n/mは、測定しなかったことを示す
【0100】
実施例23〜25の組成物を表2に列挙する。
【表2】

【0101】
比較例CE−1及びCE−2の組成物を以下の表3に列挙する。ポリマー、添加剤(1又は複数)、及び硬化剤を、2ロールミルで配合した。配合された混合物の硬化レオロジーを試験した。結果を表3に示す。
【表3】

【0102】
表3では、比較例CE−1及びCE−2がMを2単位超えて増加しなかったため、ts2の値は存在しない。
【0103】
比較例CE−3及びCE−4の組成物を以下の表4に列挙する。ポリマー、添加剤(1又は複数)、及び硬化剤を、2ロールミルで配合した。配合された混合物の硬化レオロジーを試験した。結果を表4に報告する。
【表4】


−−は添加しなかったことを示す
【0104】
アジド硬化サンプルの耐化学性及び熱安定性を表5に示す。配合された組成物をまずOリング又はクーポンに成形し、次いで188℃で25分間プレス硬化させ、次いで後硬化に進めた。後硬化手順は、以下のように窒素環境下で実施した。45分で室温から200℃に加温、200℃で2時間維持、30分で200℃から250℃に加温、250℃で2時間維持、30分で250℃から300℃に加温、300℃で4時間維持。次いで、成形したサンプルを2時間かけて室温に冷却した。以下の表5における実施例15及び17を、窒素及び空気環境下の両方で後硬化させた。これらの実施例では、アスタリスク()で印をつけた数は、窒素環境を用いなかったことを除いて上記と同じ後硬化手順に従って空気中で後硬化させたサンプルであり、一方、印を付けていない数は、上記の通り窒素環境下で後硬化させた。表5では、括弧内の数は、試験を繰り返した数であり、括弧の前の数は、反復試験の平均を報告するものである。

【表5】



n/mは、測定しなかったことを示す
+注記:試験中に融解したサンプル
【0105】
比較例CE−3組成物をまずOリングに成形し、次いで177℃で7分間プレス硬化させ、続いて175℃で16時間窒素下で後硬化させた。比較例CE−4組成物をまずOリングに成形し、次いで177℃で10分間プレス硬化させ、続いて232℃で16時間空気下で後硬化させた。比較例CE−5は、Dupont Performance Elastomers,Wilmington,DEから商品名「KALREZ SPECTRUM 6375」として販売されているOリングである。Oリングの寸法は、内径25mm、断面積3.53mmであった。比較例CE−6は、以下のように調製した。商品名「TECNOFLON PFR 95」として販売されている100phrのペルフルオロエラストマーガムを、1.5phrのVarox DBPH−50、5phrの酸化亜鉛(USP1等級)、及びCabot Corp.,Alpharetta,GAから入手した30phrのMT N−990カーボンブラックと共に2ロールミルで配合した。サンプルを、内径25mm、断面積3.53mmのOリングに成形した。Oリングを176℃(350°F)で10分間プレス硬化させ、空気中にて232℃(450°F)で16時間後硬化させた。非アジド硬化サンプルの耐化学性及び熱安定性を表6に示す。表6では、括弧内の数は、試験を繰り返した数である。括弧の前の数は、反復試験の平均を報告するものである。
【表6】


++ CE−4は、圧縮永久歪み試験中に実際に融解した(即ち、変形し、カミソリの刃を用いて試験備品から擦り落とした)。融解したOリングに対して圧縮永久歪み試験を1回実施した。
**CE−4はまた、エチレンジアミン試験中にふくれた。
【0106】
表5に示すように、実施例の一部は、300℃、70時間において75%未満の圧縮永久歪み耐性、230℃、168時間において体積膨潤50%未満の水耐性、及び100℃、168時間において体積膨潤45%未満のエチレンジアミン耐性を示した。一方、全ての比較例は、300℃における圧縮永久歪みが高いことから証明されるように、高温耐性が乏しかった。
【0107】
本発明の範囲及び趣旨から外れることなく、本発明の予測可能な修正及び変更が当業者には自明であろう。本発明は、例証の目的のために本出願において説明された実施形態に限定されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)UOCRCR
(式中、Uは、D、又はウレタン(−CO−NR)であり、Rは、独立して、H、D、又は有機基である);
ii)R’NCRCR若しくはA−R’CRCR
(式中、R’は有機基であり、Aはアニオンである);又は
iii)G(N
(式中、mは2〜約10の整数であり、Gはm価の有機基であり、少なくとも2つのアジド基が脂肪族炭素原子を介して結合しており、Gは有機基を含んでもよい)から選択される、アジド組成物。
【請求項2】
i)群の前記アジドが、
CHOCHCHOHCH、CHOCHCH(OCONHC)CH、(CHCNHCOOCHCH、n−CNDCOOCHCH、CNHCOOCHCH、COCFCFNDCOOCHCH、及びDOCHCHからなる群から選択される、請求項1に記載のアジド組成物。
【請求項3】
ii)群の前記アジドが、NCHCHN(CH及び[(CHNCHCHからなる群から選択される、請求項1に記載のアジド組成物。
【請求項4】
iii)群の前記アジドが、
CHCHOCHCHOHCH、NCHCHO[CHCH(CH)O]H、CHCHC[CH(OCHCH(CH))OCOCH、及びNCHCHOCONH(CHNHCOOCHCHからなる群から選択される、請求項1に記載のアジド組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のアジドを含む物品。
【請求項6】
Oリング、ガスケット、管、又は封止具の少なくとも1つである、請求項5に記載の物品。

【公表番号】特表2011−529885(P2011−529885A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521134(P2011−521134)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/041105
【国際公開番号】WO2010/014276
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】