説明

アジュバント化された抗原性髄膜炎菌性組成物

【課題】Neisseria由来の抗原に対して惹起される免疫応答を増強する代替的な改善された方法を提供すること。特に、Neisseria meningitidis血清群B由来の抗原に対して惹起される免疫応答を増強する代替的な改善された方法を提供すること。
【解決手段】Neisseria抗原および無毒化されたADP−リボシル化トキシンを含有する組成物。上記ナイセリア性抗原が、N.meningitidis抗原である、組成物。上記ナイセリア性抗原が、N.meningitidis血清群Bタンパク質抗原である、組成物

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に引用される全ての文書は、その全体が参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、ワクチン、特にNeisseria属(例えば、N.gonorrhoea
eまたは好ましくはN.meningitidis)由来の細菌に対するワクチンの分野
にある。
【背景技術】
【0003】
参考文献1〜6は、Neisseria細菌(N.gonorrhoeae、およびN.meningitidisの血清群(serogroup)AおよびBを含む)由来の抗原、タンパク質及びオープンリーディングフレームを開示する。参考文献7〜9は、これらのタンパク質を発現する種々の方法を開示する。特許文献1(参考文献10)は、CpGアジュバントが、アジュバントとして使用される場合、Neisseria抗原の免疫原性の増強を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第00/50075パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
Neisseria(特に、N.meningitidis血清群B)由来の抗原に対
して惹起される免疫応答を増強する代替的方法および改善された方法を提供することが、
本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、Neisseria抗原および無毒化されたADP−リボシル化トキシンを
含有する組成物を提供する。これらの組成物は、粘膜免疫のために有用であることが見出
された。
【0007】
組成物は、好ましくは、免疫原性組成物であり、より好ましくはワクチンである。
【0008】
(Neisseria性抗原)
Neisseria性抗原は、好ましくは、N.meningitidis抗原であり
、より好ましくは、N.meningitidis血清群B抗原である。血清群B内の好
ましい株は、2996、MC58、95N477、または394/98である。
【0009】
ナイセリア抗原は、好ましくは、タンパク質抗原である。より好ましくは、タンパク質
抗原は、以下からなる群から選択される:
(a)参考文献1に開示される446の偶数配列番号(すなわち、2、4、6、・・・
、890、892)の1つ以上を含むタンパク質;
(b)参考文献2に開示される45の偶数配列番号(すなわち、2、4、6、・・・、
88、90)の1つ以上を含むタンパク質;
(c)参考文献3に開示される1674の偶数配列番号2〜3020、偶数配列番号3
040〜3114、および配列番号3115〜3241の全ての1つ以上を含むタンパク
質;
(d)参考文献5に開示される2160のアミノ酸配列(NMB0001〜NMB21
60)の1つ以上を含むタンパク質;
(e)(a)、(b)、(c)または(d)に特定されるアミノ酸配列と同一の配列を
有するアミノ酸配列を含むタンパク質;
(f)(a)、(b)、(c)または(d)に特定されるアミノ酸配列のフラグメント
を含むタンパク質;
(g)参考文献7、参考文献8または参考文献9に開示されるアミノ酸配列の1つ以上
を含むタンパク質;あるいは
(h)式NH−A−[−X−L−]−B−COOHを有するタンパク質であって、
ここで、Xが、アミノ酸配列であり、Lが、任意のリンカーアミノ酸配列であり、Aが、
任意のN−末端アミノ酸配列であり、Bが、任意のC−末端アミノ酸配列であり、そして
nが、1より大きい整数である、タンパク質。
【0010】
(e)において言及される「配列同一性」の程度は、好ましくは、50%よりも高い(
例えば、60%、70%、80%、90%、95%、99%またはそれ以上、100%ま
でである)。これは、変異体、ホモログ、オルソログ、対立遺伝子改変体などを含む(例
えば、参考文献11を参照のこと)。同一性は、好ましくは、アフィンギャップ(aff
ine gap)検索(ギャップオープンペナルティ=12、およびギャップ伸長ペナル
ティ=1のパラメーターを有する)を使用するMPSRCHプログラム(Oxford
Molecular)において実行されるようなSmith−Waterman相同性検
索アルゴリズムによって、決定される。代表的には、2つのタンパク質間の50%以上の
同一性が、機能的等価の指標であるとみなされる。
【0011】
(f)において言及される「フラグメント」は、(a)(b)(c)(d)または(e
)由来でありかつ特定の配列に依存するアミノ酸配列由来の、少なくともm個連続したア
ミノ酸からなるべきであり、mは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18
、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、2
00またはそれ以上)である。好ましくは、このフラグメントは、(a)(b)(c)ま
たは(d)由来のアミノ酸配列由来のエピトープを含む。
【0012】
好ましいフラグメントは、参考文献12および参考文献13において開示されるフラグ
メントである。他の好ましいフラグメントは、C末端切断および/またはN末端切断(例
えば、Δ1−287、Δ2−287など)である。他の好ましいフラグメントは、全長配
列からポリ−グリシン配列が除外されている。これは、発現を補助することが見出されて
いる(参考文献8)。ポリ−グリシン配列は、(Gly)として表され得、ここで、g
≧3(例えば、4、5、6、7、8、9またはそれ以上)である。(h)における−X−
部分が、その野生型形態においてポリ−グリシン配列を含む場合、本発明のハイブリッド
タンパク質においてこの配列を除外することが好ましい。これは、欠失(例えば、CGG
GGS→CGGGS、CGGS、CGSまたはCS)、置換(例えば、CGGGGS→C
GXGGS、CGXXGS、CGXGXSなど)、および/または挿入(例えば、CGG
GGS→CGGXGGS、CGXGGGSなど)によって、(Gly)−を破壊または
除去することにより得る。(Gly)の欠失、特に、(Gly)までおよび(Gly
を含む全体的なN末端の欠失が好ましく、この欠失は、本明細書中で「ΔG」として
参照される。ポリ−グリシンの除外は、タンパク質287、741、983およびTbp
2(ΔG287、ΔG741、ΔG983およびΔGTbp2(参考文献8))について
特に有用である。
【0013】
他の好ましいフラグメントは、全長野生型タンパク質からリーダーペプチド配列を除外
する。これは、特に、(h)群のタンパク質について有用である。(h)群の好ましいタ
ンパク質において、−X−部分における全てのリーダー配列は、N末端にて位置される−
X−部分の配列を除いて、欠失している(すなわち、Xのリーダーペプチドは、保持さ
れるが、X...Xのリーダーペプチドは、削除される)。このことは、全てのペプ
チドを欠失しかつ−A−部分としてXのリーダーペプチドを使用することと同等である

【0014】
他の好ましいフラグメントは、完全なタンパク質ドメインを除外する。これは、タンパ
ク質961(「NadA」)、287、およびORF46.1にとって特に有用である。
一旦タンパク質をドメインで概念的に分けると、(c)フラグメントおよび(j)フラグ
メントは、これらのドメイン(例えば、287B、287C、287BC、ORF46
〜433、ORF46433〜608、ORF46,961c−参考文献8;参考文献9
の図8および図9)の1つ以上を除外し得る。287タンパク質は、3つのドメイン(A
、BおよびCと称される)に概念的に分けられる(参考文献8の図5を参照のこと)。ド
メインBはIgAプロテアーゼと強く整合し、ドメインCはトランスフェリン結合タンパ
ク質と強く整合し、そしてドメインAはデータベース配列との強い整合を示さない。28
7の多型形態の整合は、参考文献11に開示されている。ORF46.1は、2つのドメ
インに概念的に分けられる−第1ドメイン(アミノ酸1〜433)は種と血清群との間で
十分に保存されており、第2ドメイン(アミノ酸433〜608)は、十分に保存されて
いない。第2ドメインは、好ましくは除去される。ORF46.1の多型形態の整合は、
参考文献11に開示されている。961タンパク質は、いくつかのドメインに概念的に分
けられる(参考文献9の図8)。
【0015】
群(a)〜群(d)において特に好ましいタンパク質は、以下のアミノ酸配列(参考文
献1〜9の命名法を使用する)を含む:orfl、orf4、orf25、orf40、
orf46.1、orf83、NMB1343、230、233、287、292、59
4、687、736、741、907、919、936、953、961または983。
これらの好ましいサブセットは以下である:orf46.1、230、287、741、
919、936、953、961および983。より好ましいサブセットは以下である:
orf46.1、287、741および961。
【0016】
群(h)に関して、nの値は2〜xであり、xの値は代表的に3、4、5、6、7、8
、9または10である。好ましくは、nは、2、3または4であり;より好ましくは2ま
たは3であり;最も好ましくは、nは2である。−X−部分の各々は、(a)、(b)、
(c)または(d)に特定されるようなアミノ酸配列である。
【0017】
nが2である場合、−X−部分の好ましい対は、以下である:ΔG287と230;Δ
G287と936;ΔG287と741;961cと287;961cと230;961
cと936;961cLと287;961cLと230;961cLと936;ORF4
6.1と936;ORF46.1と230;230と961;230と741;936と
961;936と741;ΔG741と741;ΔG287と287。特に好ましいタン
パク質は、参考文献14および15に開示されている。
【0018】
287は全長形態で使用される場合、これは、最終の−X−部分であり;これがN末
端で使用される場合(すなわち、−X−として)、これは、287のΔG形態を使用す
るために好ましい。
【0019】
[−X−L−]の各nの例について、リンカーアミノ酸配列−L−は、存在しても存在
しなくてもよい。例えば、nが2である場合、そのハイブリッドは、NH−X−L
−X−L−COOH、NH−X−X−COOH、NH−X−L−X
COOH、NH−X−X−L−COOHなどであり得る。
【0020】
リンカーアミノ酸配列−L−は、代表的には、短い(例えば、20個以下のアミノ酸、
すなわち、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個
、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個、1個)。例としては、ク
ローニングを容易にする短いペプチド配列、ポリグリシンリンカー(すなわち、Gly
、ここで、n=2、3、4、5、6、7、8、9、10以上である)、およびヒスチジン
タグ(すなわち、His、ここで、n=3、4、5、6、7、8、9、10以上である
)が挙げられる。他の適切なリンカーアミノ酸配列が、当業者に明らかである。
【0021】
n+1がΔGタンパク質でありかつLがグリシンリンカーである場合、これは、Δ
Gタンパク質ではなくLが存在しないXn+1と等価であり得る。
【0022】
−A−は、必要に応じたN末端アミノ酸配列である。これは、代表的には、短いアミノ
酸(例えば、40個以下のアミノ酸、すなわち、39個、38個、37個、36個、35
個、34個、33個、32個、31個、30個、29個、28個、27個、26個、25
個、24個、23個、22個、21個、20個、19個、18個、17個、16個、15
個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、
3個、2個、1個)である。例としては、タンパク質輸送を指向するリーダー配列、また
はクローニングもしくは精製を容易にする短いペプチド配列(例えば、ヒスチジンタグ、
すなわち、His、ここで、n=3、4、5、6、7、8、9、10以上である)が挙
げられる。他の適切なN末端アミノ酸配列が、当業者に明らかである。
【0023】
−B−は、必要に応じたC末端アミノ酸配列である。これは、代表的には、短いアミノ
酸(例えば、40個以下のアミノ酸、すなわち、39個、38個、37個、36個、35
個、34個、33個、32個、31個、30個、29個、28個、27個、26個、25
個、24個、23個、22個、21個、20個、19個、18個、17個、16個、15
個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、
3個、2個、1個)である。例としては、タンパク質輸送を指向する配列、クローニング
もしくは精製を容易にする短いペプチド配列(例えば、ヒスチジンタグ、すなわち、Hi
、ここで、n=3、4、5、6、7、8、9、10以上である)、またはタンパク質
の安定性を増強する配列が挙げられる。他の適切なC末端アミノ酸配列が、当業者に明ら
かである。他の適切なC末端アミノ酸配列が、当業者にとって明らかである。
【0024】
本発明は、N.meningitidisの任意の株由来のアミノ酸配列を使用し得る
。従って、特定のタンパク質(例えば、「287」または「ORF46.1」)に対する
言及は、任意の株由来のタンパク質を包含する。株間の配列変化は、(e)および(f)
に含まれる。
【0025】
N.meningitidis B血清群由来の原型配列としては、以下が挙げられる

【0026】
【表1−1】


参考文献11は、タンパク質ORF4、ORF40、ORF46、225、235、2
87、519、726、919および953の多型形態を開示する。961の多型形態は
、参考文献16および17に開示される。参考文献9は、741、961およびNMB1
343の多型形態を開示する。参考文献15は、741の多型形態を開示する。任意のこ
れらの多型形態が、本発明に従って使用され得る。
【0027】
Neisseriaのタンパク質抗原は、Neisseriaにおいて発現されるが、
本発明は、好ましくは、異種宿主を利用して、抗原を発現する。この異種宿主は、原核生
物細胞(例えば、細菌)または真核生物細胞であり得る。好ましくは、この異種宿主は、
E.coliであるが、他の適切な宿主としては、Bacillus subtilis
、Vibrio cholera、Salmonella typhi、Salmone
lla typhimurium、Neisseria lactamica、Neis
seria cinerea、Mycobacteria(例えば、M.tubercu
losis)、酵母などが挙げられる。
【0028】
(無毒化されたADP−リボシル化トキシン)
ADPリボシル化細菌体外トキシンは、広く知られている。例としては、ジフテリアト
キシン(Corynebacterium diphtheriae)、体外トキシンA
(Pseudomonas aeruginosa)、コレラトキシン(CT;Vibr
io cholera)、易熱性エンテロトキシン(LT;E.coli)および百日咳
トキシン(PT)が挙げられる。
【0029】
トキシンは、NAD+から標的タンパク質へのADP−リボースユニットの移動を触媒
する。
【0030】
このトキシンは、代表的には、機能的に異なる2つのドメインAおよびドメインBに分
けられる。Aサブユニットは、毒性の酵素活性を担うのに対して、Bサブユニットは、細
胞結合を担う。これらのサブユニットは、同じポリペプチド鎖上にあるドメインであって
もよいし、別個のポリペプチド鎖であってもよい。これらのサブユニットは、それら自体
オリゴマーであり得る。例えば、CTのAサブユニットは、AおよびAからなり、こ
れらは、ジスルフィド結合によって連結され、そのBサブユニットは、ホモペンタマーで
ある。代表的には、標的細胞との最初の接触は、Bサブユニットによって媒介され、次い
で、サブユニットA単独が細胞に入る。
【0031】
これらのトキシンは、代表的には、免疫原性であるが、それらの毒性により、ワクチン
にこれらを含めることが妨害されている。
【0032】
免疫原性は除去することなく、毒性を除去するために、これらのトキシンは、化学物質
(例えば、グルタルアルデヒドまたはホルムアルデヒド)で処理されている。より合理的
なアプローチは、免疫原性を維持しながら、毒性酵素活性を除去するための、重要な活性
部位残基の部位特異的変異誘発に依存する[例えば、参考文献18(CTおよびLT)、
19(PT)、20など]。現在の無細胞百日咳ワクチンは、2つのアミノ酸置換を有す
る百日咳トキシンの形態を含む(Arg→LysおよびGlu129→Gly;「PT
−9K/129G」[21])。
【0033】
それらの免疫原性特性と同様に、それらのトキシンは、アジュバントとして使用されて
きた。非経口アジュバンド作用性は、1972年に最初に認められ[22]、粘膜アジュ
バント作用性は、1984年に認められた[23]。驚くべきことに、1993年には、
無毒化された形態のトキシンが、アジュバント作用性を維持していることが見いだされた
[24]。
【0034】
本発明の組成物は、無毒化ADPリボシル化トキシンを含む。このトキシンは、ジフテ
リアトキシン、Pseudomonas体外トキシンAまたは百日咳トキシンであり得る
が、好ましくはコレラトキシン(CT)であるか、またはより好ましくは、E.coli
熱不安定性エンテロトキシン(LT)である。使用され得る他のトキシンは、参考文献2
5に開示されるトキシン(参考文献25中の配列番号1〜7)である。
【0035】
免疫原性活性および/またはアジュバント活性の損失を伴わないこれらのトキシンの無
毒化は、任意の適切な手段によって達成され得、変異誘発が好ましい。変異誘発は、1つ
以上の置換、欠失および/または挿入を含み得る。
【0036】
好ましい無毒化変異体は、以下である:残基Arg−7における変異(例えば、Lys
置換)を有するLT;残基Arg−7における変異(例えば、Lys置換)を有するCT
;残基Arg−11における変異(例えば、Lys置換)を有するCT;Val−53に
おける変異を有するLT;Val−53における変異を有するCT;残基Ser−61に
おいて変異(例えば、Phe置換)を有するCT;残基Ser−63における変異(例え
ば、Lys置換またはTyr置換)を有するCT[例えば、参考文献26−K63の第5
章];残基Ser−63における変異(例えば、Lys置換またはTyr置換)を有する
CT;残基Ala−72における変異(例えば、Arg置換)を有するLT[27〜R7
2];Val−97における変異を有するLT;Val−97における変異を有するCT
;Tyr−104における変異を有するLT;Tyr−104における変異を有するCT
;残基Pro−106における変異(例えば、Ser置換)を有する変異;残基Pro−
106における変異(例えば、Ser置換)を有するCT;Glu−112における変異
(例えば、Lys置換)を有するLT;Glu−112における変異(例えば、Lys置
換)を有するCT;残基Arg−192における変異(例えば、Gly置換)を有するC
T;残基Arg−9における変異(例えば、Lys置換)を有するLT;Glu−129
における置換(例えば、Gly置換)を有するPT;および参考文献18に開示される変
異体のいずれか。
【0037】
これらの変異は、組み合わされ得る(例えば、PTにおけるArg−9−Lys+Gl
u−129)。
【0038】
残基63または72における変異を有するLTは、好ましい無毒化トキシンである。
【0039】
これらの残基の番号付けは、プロトタイプ配列に基づき、そして例えば、Ser−63
は、実際は、所定のLT改変体中の63番目のアミノ酸ではあり得ないが、アミノ酸配列
の整列が、Ser−63に対応する位置を示すことが、理解される。
【0040】
無毒化トキシンは、活性に適切なように、Aサブユニットおよび/またはBサブユニッ
トの形態であり得る。
【0041】
(粘膜投与)
本発明の組成物は、特に粘膜免疫に適しているが、非経口免疫もまた可能である。粘膜
投与の適切な経路としては、経口経路、鼻腔内経路、胃内経路、肺経路、腸管経路、直腸
経路、眼内経路、および膣内経路が挙げられる。経口投与または鼻腔内投与が好ましい。
【0042】
組成物は、好ましくは、粘膜投与のために適合される(例えば、参考文献28、29お
よび30を参照のこと)。組成物が経口投与用である場合、例えば、これは、錠剤または
カプセル剤(必要に応じて腸溶性である)、液剤、トランスジェニック植物などの形態で
あり得る(参考文献31、および参考文献32の17章もまた参照のこと)。
【0043】
この組成物が鼻腔内投与用である場合、これは、経鼻スプレー剤、点鼻薬、ゲル剤また
は粉剤などの形態であり得る(例えば、参考文献33を参照のこと)。
【0044】
(組成物のさらなる成分)
本発明の組成物は、代表的には、上記の抗原およびトキシン成分に加えて、1つ以上の
薬学的に受容可能なキャリアを含み、このようなキャリアとしては、組成物を受容する個
体に対して有害な抗体の産生をそれ自体が誘発しない任意のキャリアが挙げられる。適切
なキャリアは、代表的には、大きな緩慢に代謝される巨大分子であり、例えば、タンパク
質、ポリサッカリド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマー性アミノ酸、アミノ酸コポ
リマー、トレハロース、および脂質凝集体(例えば、油滴またはリポソーム)が挙げられ
る。このようなキャリアは当業者に周知である。ワクチンはまた、希釈剤(例えば、水、
生理食塩水、グリセロールなど)を含み得る。さらに、補助物質(例えば、湿潤剤または
乳化剤、pH緩衝化物質など)が存在し得る。薬学的に受容可能な賦形剤の徹底した考察
は、Remington’s Pharmaceutical Sciencesにおい
て有用である。
【0045】
ワクチンとして使用される免疫原性組成物は、免疫有効量の抗原、ならびに必要に応じ
て上記成分の任意の他の成分を含む。「免疫有効量」とは、単一用量で、または一連の投
与の一部としてのいずれかでの個体へのその量の投与が、処置または予防に有効であるこ
とを意味する。この量は、処置されるべき個体の健康状態および身体状態、年齢、処置さ
れるべき個体の分類学上の群(例えば、非ヒト霊長類、霊長類など)、個体の免疫系の抗
体合成能、所望される保護の程度、ワクチンの処方、医療状態についての治療医の評価、
および他の関連した要因に依存して変動する。この量は、慣用の試験を通して決定され得
る比較的広い範囲内にあることが期待される。投薬処置は、単一投薬スケジュールまたは
複数投薬スケジュール(例えば、ブースター投薬を含む)であり得る。ワクチンは、他の
免疫調節剤と共に投与され得る。
【0046】
この組成物は、無毒化トキシンに加えて他のアジュバントを含み得る。この組成物の効
果を増強するのに好ましいアジュバントとしては、以下が挙げられるがこれらに限定され
ない:(1)オイルインウォーターエマルジョン処方物(他の特定の免疫刺激因子(例え
ば、ムラミルペプチド(以下を参照のこと)または細菌細胞壁成分)を含むものまたは含
まないもの)、例えば、(a)マイクロフルイダイザーを用いてミクロン未満粒子に処方
された、5%スクアレン(Squalene)、0.5% Tween 80、および0
.5% Span 85(必要に応じてMTP−PEを含む)を含む、MF59TM(W
O91/14837;参考文献32の第10章)、(b)ミクロン未満エマルジョンに微
流体化されたかまたは大粒子サイズのエマルジョンを生成するためボルテックスされたか
いずれかの、10%スクアレン、0.4% Tween 80、5% プルロニックブロ
ックポリマー(pluronic−blocked polymer) L121、およ
びthr−MDPを含むSAF、ならびに(c)2%スクアレン、0.2% Tween
80、ならびにモノホスホリルリピドA(MPL)、トレハロースジミコレート(TD
M)、および細胞壁骨格(CWS)からなる群からの1つ以上の細菌細胞壁成分(好まし
くは、MPL+CWS(DetoxTM))を含むRibiTMアジュバント系(RAS
)(Ribi Immunochem,Hamilton,MT);(2)サポニンアジ
ュバント(例えば、QS21またはStimulonTM(Cambridge Bio
science,Worcester,MA))が使用され得るかまたはそれらから生成
される粒子(例えば、ISCOM(免疫刺激複合体、ISCOMは、さらなる界面活性剤
を欠く、例えば、WO00/07621));(3)完全フロイントアジュバント(CF
A)および不完全フロイントアジュバント(IFA);(4)サイトカイン(例えば、イ
ンターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−
7、IL−12(WO99/44636)など))、インターフェロン(例えば、γイン
ターフェロン)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、腫瘍壊死因子(TN
F)など);(5)モノホスホリルリピドA(MPL)または3−O−脱アシル化MPL
(3dMPL)(例えば、GB2220221、EP−A−0689454);(6)3
dMPLと、例えば、QS21および/またはオイルインウォーターエマルジョンの組み
合わせ(例えば、EP−A−0835318、EP−A−0735898、EP−A−0
761231);(7)CpGモチーフを含むオリゴヌクレオチド(Krieg Vac
cine 2000,19,618−622;Krieg Curr opin Mol
Ther 2001 3:15−24;Romanら,Nat.Med.,1997,
3,849−854;Weinerら,PNAS USA,1997,94,10833
−10837;Davisら,J.Immunol.,1998,160,870−87
6;Chuら,J.Exp.Med.,1997,186,1623−1631;Lip
fordら,Eur.J.Immunol.,1997,27,2340−2344;M
oldoveanuら,Vaccine,1988,16,1216−1224,Kri
egら,Nature,1995,374,546−549;Klinmanら,PNA
S USA,1996,93,2879−2883;Ballasら,J.Immuno
l.,1996,157,1840−1845;Cowderyら,J.Immunol
.,1996,156,4570−4575;Halpernら,Cell.Immun
ol.,1996,167,72−78;Yamamotoら,Jpn.J.Cance
r Res.,1988,79,866−873;Staceyら,J.Immunol
.,1996,157,2116−2122;Messinaら,J.Immunol.
,1991,147,1759−1764;Yiら,J.Immunol.,1996,
157,4918−4925;Yiら,J.Immunol.,1996,157,53
94−5402;Yiら,J.Immunol.,1998,160,4755−476
1;およびYiら,J.Immunol.,1998,160,5898−5906;国
際特許出願WO96/02555、WO98/16247、WO98/18810、WO
98/40100、WO98/55495、WO98/37919、およびWO98/5
2581)、すなわち、少なくとも1つのCG二ヌクレオチドを含み、シトシンの代わり
に必要に応じて5−メチルシトシンが使用される;(8)ポリオキシエチレンエーテルま
たはポリオキシエチレンエステル(例えば、WO99/52549);(9)ポリオキシ
エチレンソルビタンエステル界面活性剤とオクトキシノールとの組み合わせ(例えば、W
O01/21207)またはポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはエステル界面活
性剤と少なくとも1つのさらなる非イオン性界面活性剤(例えば、オクトキシノール)の
組み合わせ(例えば、WO01/21152);(10)免疫刺激性オリゴヌクレオチド
(例えば、CpGオリゴヌクレオチド)およびサポニン(例えば、WO00/62800
);(11)免疫刺激因子および金属塩の粒子(例えば、WO00/23105);(1
2)サポニンおよびオイルインウォーターエマルジョン(例えば、WO99/11241
);(13)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IL−12(必要に応じて、
+ステロール)(例えば、WO98/57659);(14)PLG微粒子;(15)免
疫刺激因子として作用し組成物の効果を増強する他の物質。
【0047】
ムラミルペプチドとしては、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグル
タミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグル
タミン(nor−MDP)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニ
ル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキ
シホスホリルオキシ)−エチルアミンMTP−PE)、などが挙げられる。
【0048】
本発明の組成物は好ましくは、緩衝液を含む。本発明の組成物は好ましくは、pH6と
pH8との間で(例えば、約pH7で)緩衝化される。
【0049】
本発明の組成物は好ましくは、無菌および/または発熱物質を含まない。
【0050】
(さらなる抗原)
本発明の組成物中に含まれ得るさらなる抗原としては、以下が挙げられる:
−N.meningitidis 血清群B由来の外膜ベシクル(OMV)調製物(例え
ば、参考文献34、35、36、37などに開示される外膜ベシクル(OMV)調製物)

−N.meningitidis血清群A、C、W135および/またはY由来のサッカ
リド抗原(例えば、血清群C由来の、参考文献38に開示されるオリゴサッカリド)[参
考文献39も参照のこと]。
−Streptococcus pneumoniae由来のサッカリド抗原[例えば、
参考文献40、41、42]。
−Helicobacter pylori由来のタンパク質抗原(例えば、CagA[
例えば、43]、VacA[例えば、43]、NAP[例えば、44]、HopX[例え
ば、45]、HopY[例えば、45]および/またはウレアーゼ)。
−A型肝炎ウイルス由来の抗原(例えば、不活化ウイルス)[例えば、46、47]。
−B型肝炎ウイルス由来の抗原(例えば、表面抗原および/またはコア抗原)[例えば、
47、48]。
−C型肝炎ウイルス由来の抗原[例えば、49]。
−Bordetella pertussis由来の抗原(例えば、B.pertuss
is由来の百日咳ホロトキシン(PT)および線状ヘマグルチニン(FHA))(必要に
応じて、ペルタクチンおよび/または凝集原2および凝集原3とも組み合わされる)[例
えば、参考文献50および51]。
−ジフテリア抗原(例えば、ジフテリアトキソイド[例えば、参考文献52の第3章]、
例えば、CRM197変異体[例えば、26])。
−破傷風抗原(例えば、破傷風トキソイド)[例えば、参考文献52の第4章]。
−Haemophilus influenzae B由来のサッカリド抗原[例えば、
39]。
−N.gonorrhoeae由来の抗原[例えば、1、2、3]。
−Chlamydia pneumoniae由来の抗原[例えば、53、54、55、
56、57、58、59]。
−Chlamydia trachomatis由来の抗原[例えば、60]。
−Porphyromonas gingivalis由来の抗原[例えば、61]。
−ポリオ抗原[例えば、62、63](例えば、IPVまたはOPV)。
−狂犬病抗原[例えば、64](例えば、凍結乾燥不活化ウイルス)[例えば、65、R
abAvertTM]。
−麻疹抗原、ムンプスおよび/または風疹抗原[例えば、参考文献52の第9章、第10
章および第11章]。
−インフルエンザ抗原[例えば、参考文献52の第19章](例えば、ヘマグルチニンお
よび/またはノイラミニダーゼ表面タンパク質)。
−Moraxella catarrhalis由来の抗原[例えば、66]。
−Streptococcus agalactiae由来の抗原(B群strepto
coccus)[例えば、67、68]。
−Streptococcus pyogenes由来の抗原(A群streptoco
ccus)[例えば、68、69、70]。
−Staphylococcus aureus由来の抗原[例えば、71]。
【0051】
この組成物は、これらのさらなる抗原のうちの1以上を含み得る。
【0052】
サッカリド抗原または糖抗原が使用される場合、この抗原は、好ましくは、免疫原性を
増強する目的で、キャリアタンパク質に結合体化される[例えば、参考文献72〜81]
。好ましいキャリアタンパク質は、細菌トキシンまたはトキソイド(例えば、ジフテリア
トキソイドまたは破傷風トキソイド)である。CRM197ジフテリアトキソイドが、特
に好ましい。他の適切なキャリアタンパク質としては、N.meningitidis外
膜タンパク質[例えば、参考文献82]、合成ペプチド[例えば、83、84]、熱ショ
ックタンパク質[例えば、85]、百日咳タンパク質[例えば、86、87]、H.in
fluenzae由来のプロテインD[例えば、88]、C.difficile由来の
トキシンAまたはトキシンB[例えば、89]などが挙げられる。混合物が、血清群A由
来の莢膜サッカリドと血清群C由来の莢膜サッカリドとの両方を含む場合、MenAサッ
カリド:MenCサッカリドの比(w/w)が1より大きい(例えば、2:1、3:1、
4:1、5:1、10:1、またはこれらより大きい)ことが好ましい。N.menin
gitidisの異なる血清群由来のサッカリドは、同じかまたは異なるキャリアタンパ
ク質に結合体化され得る。
【0053】
任意の適切な結合体化反応が、必要であれば任意の適切なリンカーを用いて、使用され
得る。
【0054】
毒性タンパク質抗原は、必要であれば、無毒化され得る(例えば、化学的手段および/
または遺伝的手段による、百日咳トキシンの無毒化[51])。
【0055】
ジフテリア抗原が組成物に含まれる場合、破傷風抗原および百日咳抗原をまた含むこと
が好ましい。同様に、破傷風抗原が含まれる場合、ジフテリア抗原および百日咳抗原をま
た含むことが好ましい。同様に、百日咳抗原が含まれる場合、ジフテリア抗原および破傷
風抗原をまた含むことが好ましい。
【0056】
抗原は、好ましくは、アルミニウム塩(例えば、リン酸塩、水酸化物、ヒドロキシリン
酸塩、オキシ水酸化物、オルトリン酸塩、硫酸塩)と混合される(そしてより好ましくは
、アルミニウム塩に吸着される)。この塩は、任意の適切な形態をとり得る(例えば、ゲ
ル、結晶、アモルファスなど)。
【0057】
組成物中の抗原は、代表的に、各々少なくとも1μg/mlの濃度で存在する。一般に
、任意の所定の抗原の濃度は、その抗原に対して免疫応答を引き起こすために十分である

【0058】
本発明の組成物においてタンパク質抗原を使用することの代替として、この抗原をコー
ドする核酸が使用され得る[例えば、参考文献90〜98]。従って、本発明の組成物の
タンパク質成分は、そのタンパク質をコードする核酸(好ましくは、DNA(例えば、プ
ラスミドの形態))によって置き換えられ得る。このような核酸は、多くの様式(例えば
、化学合成によって、ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーから、生物自体か
らなど)で調製され得、そして種々の形態(例えば、一本鎖、二本鎖、ベクター、プロー
ブなど)をとり得る。用語「核酸」は、DNAおよびRNAを包含し、そしてまた、これ
らのアナログ(例えば、改変された骨格を含むもの)、ならびにまた、ペプチド核酸(P
NA)などを包含する。
【0059】
(医薬)
本発明の組成物は、代表的に、ワクチン組成物である。
【0060】
本発明は、医薬として使用するための上記定義の組成物を提供する。この医薬は、好ま
しくは、哺乳動物において抗原に対する免疫応答を惹起し得(すなわち、これは、免疫原
性組成物である)、そしてより好ましくはワクチンである。
【0061】
本発明は、Neisseria細菌(好ましくは、N.meningitidis)に
起因する感染を処置または予防するための医薬の製造における、上記定義の組成物の使用
を提供する。
【0062】
本発明は、動物(例えば、哺乳動物(例えば、マウスまたはヒト))において免疫応答
を惹起する方法を提供し、この方法は、本発明の組成物をこの動物に投与する工程を包含
する。この免疫応答は、好ましくは保護的である。この動物は、好ましくは0〜3歳であ
る。
【0063】
本発明は、患者を処置する方法を提供し、この方法は、治療有効量の本発明の組成物を
患者に投与する工程を包含する。
【0064】
本発明に従うワクチンは、予防的(すなわち、感染を予防するため)または治療的(す
なわち、感染後の疾患を処置するため)のいずれかであり得るが、代表的には予防的であ
る。
【0065】
これらの使用および方法などは、好ましくは、Neisseria(例えば、meni
ngitis、septicaemia、gonorrhoeaなど)によって引き起こ
される疾患の予防および/または処置のためのものである。細菌性髄膜炎の予防および/
または処置が好ましい。
【0066】
免疫原性組成物の効力は、この組成物の投与後に動物において惹起された抗原特異的免
疫応答(例えば、T細胞または抗体応答)をモニタリングすることによって、評価され得
る。
【0067】
本発明の組成物の投与後の動物における殺細菌性抗体の生成もまた、効力を示す。
・本発明はさらに、以下を提供し得る:
・(項目1)
Neisseria抗原および無毒化されたADP−リボシル化トキシンを含む、組成物。
・(項目2)
項目1に記載の組成物であって、上記Neisseria抗原が、Neisseria meningitidis抗原である、組成物。
・(項目3)
項目2に記載の組成物であって、上記Neisseria抗原が、Neisseria meningitidis血清群Bタンパク質抗原である、組成物。
・(項目4)
項目3に記載の組成物であって、上記抗原が、以下:
(a)WO99/24578に開示される446個の偶数の配列番号(すなわち、2、4、6、...、890、892)のうちの1つ以上を含むタンパク質;
(b)参考文献WO99/36544に開示される45個の偶数の配列番号(すなわち、2、4、6、...、88、90)のうちの1つ以上を含むタンパク質;
(c)参考文献WO99/57280に開示される1674個の偶数の配列番号2〜3020、偶数の配列番号3040〜3114、および全ての配列番号3115〜3241のうちの1つ以上を含むタンパク質;
(d)2160個のアミノ酸配列NMB0001〜NMB2160のうちの1つ以上を含むタンパク質;
(e)(a)、(b)、(c)、または(d)に特定されるアミノ酸配列に対して、少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、タンパク質;
(f)(a)、(b)、(c)、または(d)に特定されるアミノ酸配列の少なくとも7アミノ酸のフラグメントを含む、タンパク質;
(g)WO01/64920またはWO01/64922またはPCT/IB02/03904に開示されるアミノ酸配列の1つ以上を含む、タンパク質;あるいは
(h)式NH−A−[−X−L−]−B−COOHを有するタンパク質であって、ここで、Xが、アミノ酸配列であり、Lが、任意のリンカーアミノ酸配列であり、Aが、任意のN末端アミノ酸配列であり、Bが、任意のC末端アミノ酸配列であり、そしてnが、1より大きな整数である、タンパク質、
からなる群より選択される、組成物。
・(項目5)
項目3または項目4に記載の組成物であって、上記抗原が、orf1、orf4、orf25、orf40、orf46.1、orf83、NMB1343、230、233、287、292、594、687、736、741、907、919、936、953、NadAまたは983のアミノ酸配列を含む、組成物。
・(項目6)
項目5に記載の組成物であって、上記抗原が、orf46.1、230、287、741、919、936、953、NadAまたは983のアミノ酸配列を含む、組成物。
・(項目7)
上記抗原が、orf46.1、287、741またはNadAのアミノ酸配列を含む、項目6に記載の組成物。
・(項目8)
上記抗原が、式NH−A−[−X−L−]−B−COOHを有するタンパク質であって、ここで、Xが、アミノ酸配列であり、Lが、任意のリンカーアミノ酸配列であり、Aが、任意のN−末端アミノ酸配列であり、Bが、任意のC−末端アミノ酸配列であり、そしてnが、1より大きい整数である、項目4に記載の組成物。
・(項目9)
上記nの値が、2〜10の間である、項目8に記載の組成物。
・(項目10)
各X部分が、ΔG287;230;936;741;961c;287;961cL;ORF46.1;ΔG741からなる群より選択される、項目8または9に記載の組成物。
・(項目11)
−L−が、20未満のアミノ酸を有する、項目8〜10のいずれか1項に記載の組成物。
・(項目12)
−A−が、40未満のアミノ酸を有し、そして/または−B−が、40未満のアミノ酸を有する、項目8〜11のいずれか1項に記載の組成物。
・(項目13)
上記ADP−リボシル化トキシンが、コレラトキシンおよび/またはE.coli熱不安定性エンテロトキシンである、項目1〜12のいずれかに記載の組成物。
・(項目14)
上記トキシンが、残基Ser−63またはAla−72において変異を有するLTである、項目13に記載の組成物。
・(項目15)
上記トキシンが、LT−K63またはLT−R72である、項目14に記載の組成物。
・(項目16)
上記組成物が、粘膜投与に適合される、項目1〜15のいずれかに記載の組成物。
・(項目17)
上記組成物が、鼻腔内投与に適合される、項目16に記載の組成物。
・(項目18)
上記組成物が、以下の抗原:
−Neisseria meningitidis由来の外膜小胞(OMV)調製物;
−Neisseria meningitidis由来のサッカリド抗原;
−Streptococcus pneumoniae由来のサッカリド抗原;
−A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルスまたはC型肝炎ウイルス由来の抗原;
−Bordetella pertussis由来の抗原;
−ジフテリア抗原;
−破傷風抗原;
−Helicobacter pylori由来のタンパク質抗原;
−Haemophilus influenzae由来のサッカリド抗原;
−Neisseria gonorrhoeae由来の抗原;
−Chlamydia pneumoniae由来の抗原;
−Chlamydia trachomatis由来の抗原;
−Porphyromonas gingivalis由来の抗原;
−ポリオ抗原;
−狂犬病抗原;
−麻疹、ムンプスおよび/または風疹抗原;
−インフルエンザ抗原;
−Moraxella catarrhalis由来の抗原;
−Streptococcus agalactiae由来の抗原;
−Streptococcus pyogenes由来の抗原;ならびに/または
−Staphylococcus aureus由来の抗原、
の1つ以上をさらに含む、項目1〜17のいずれかに記載の組成物。
・(項目19)
緩衝液をさらに含む、項目1〜18のいずれかに記載の組成物。
・(項目20)
6〜8の間のpHを有する、項目1〜19のいずれかに記載の組成物。
・(項目21)
上記組成物が、滅菌されており、そして/または発熱物質を含まない、項目1〜20のいずれかに記載の組成物。
・(項目22)
医薬としての使用のための、項目1〜21のいずれか1項に記載の組成物。
・(項目23)
Neisseria細菌に起因する感染を処置または予防するための医薬の製造における、項目1〜21のいずれか1項に記載の組成物の使用。
・(項目24)
項目1〜21のいずれか1項に記載の組成物を動物に投与する工程を包含する、動物において免疫応答を惹起する方法。
・(項目25)
治療有効量の項目1〜21のいずれか1項に記載の組成物を患者に投与する工程を包含する、患者を処置する方法。
・(項目26)
上記組成物が、免疫原性組成物である、項目1〜21のいずれか1項に記載の組成物。
・(項目27)
上記組成物が、ワクチンである、項目1〜21のいずれか1項に記載の組成物。
・(項目28)
上記ナイセリア性抗原が、orf1またはorf40である、項目1〜21のいずれか1項に記載の組成物。
【0068】
(定義)
用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」および「
からなる(consisting)」を意味する。例えば、Xを「含む」組成物は、排他
的にXからなっても、さらなるものを含んでもよい(例えば、X+Y)。
【0069】
数的値xに関して用語「約(およそ)」とは、例えば、x±10%を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は、orf1により誘導されたIFN−γ(ng/ml)のレベルを示す。図1について、X軸上に4つのデータセット(左から右に:PBS;orf1;orf1+1μg/ml LT−K63;orf1+1μg/ml LT−R72)があり、その各々は、異なる抗原濃度についての3つの値(左から右に:0.1μg/ml;10μg/ml;100μg/ml)を有する。
【図2】図2は、orf1により誘導されたIL−5(pg/ml)のレベルを示す。図2に対について、X軸上に4つのデータセット(左から右に:PBS;orf1;orf1+1μg/ml LT−K63;orf1+1μg/ml LT−R72)があり、その各々は、異なる抗原濃度についての3つの値(左から右に:0.1μg/ml;10μg/ml;100μg/ml)を有する。
【図3】図3は、orf40により誘導されたIFN−γ(ng/ml)のレベルを示す。図3について、X軸上に5つのデータセット(左から右に:PBS;orf40;orf40+1μg/ml LT−K63;orf40+10μg/ml LT−K63;orf40+1μg/ml LT−R72)があり、その各々は、異なる抗原濃度についての3つの値(左から右に:0.1μg/ml;10μg/ml;100μg/ml)を有する。
【図4】図4は、orf40により誘導されたIL−5(pg/ml)のレベルを示す。図4について、X軸上に5つのデータセット(左から右に:PBS;orf40;orf40+1μg/ml LT−K63;orf40+10μg/ml LT−K63;orf40+1μg/ml LT−R72)があり、その各々は、異なる抗原濃度についての3つの値(左から右に:0.1μg/ml;10μg/ml;100μg/ml)を有する。
【図5】図5は、orf1およびorf40により誘導されたIgGの力価(log10)を示す。7つの柱は、左から右に:orf1;orf1+1μg/ml LT−K63;orf1+1μg/ml LT−R72;orf40;orf40+1μg/ml LT−K63;orf40+10μg/ml LT−K63;orf40+1μg/ml LT−R72である。
【図6】図6は、ORF40に対して応答するIgG抗体サブクラスを示す。4つのデータセットは、図5における右側の4つのセットと同じである。各々のデータセットにおいて、左側の柱はIgG1を示し、右側のカラムはIgG2aを示す。
【発明を実施するための形態】
【0071】
(発明を実施するための様態)
(N.meningitidisタンパク質抗原を用いた経鼻的な免疫)
5匹の雌性Balb/cマウスの群を、0日目、21日目および42日目に、エーテル
麻酔下で、以下を含む組成物を用いて経鼻的に免疫した:(a)N.meningiti
dis(血清型B)抗原orf1またはorf40;および(b)E.coliの熱標識
トキシン変異体R72またはK63。ネガティブコントロールマウスは、LTアジュバン
ドなしで、PBSまたは抗原のいずれかを受けた。この群は、以下の通りであった:
【0072】
【表1−2】


抗原(マウス1匹あたり5μg)およびアジュバンドを、マウス1匹あたり20μlの用
量で送達した。
【0073】
最後の免疫の2週間後に、動物を屠殺し、そして血液、脾臓および頚部リンパ節をマウ
スより取り出した。血清を回収し、そしてELISAを用いたorf1/orf40特異
的IgG、IgG1およびIgG2aの分析のために保存した。単個細胞浮遊液を脾臓お
よび頚部リンパ節から調製した。細胞を0μg/ml、0.1μg/ml、10μg/m
lおよび100μg/mlのorf1またはorf40を用いて、96ウェルプレート中
に配置した。ポジティブコントロールとして、細胞をPMAおよび抗CD3とともにイン
キュベートした。細胞を37℃で、5%のCOとともに、3日間インキュベートした。
3日目に、上清をIL4、IL5およびインターフェロンγ(IFNγ)の分析のために
回収した。H−チミジンを細胞に添加し、そしてプレートを4時間さらにインキュベー
トして抗原特異的増殖の評価を可能にした(データ示さず)。
【0074】
orflで免疫したマウス由来の再刺激脾細胞は、IFNγおよび少量のIL−5を産
生した(図1および2)。マウスをorflおよびLTK63で免疫した場合、そして特
にLTR72で免疫した場合、このサイトカイン応答は、かなり強かった。
【0075】
対照的に、抗原単独での免疫またはLT変異体と合わせた免疫は、有意なレベルの特異
的抗体の産生を引き起こさなかった(図5)。
【0076】
orf40単独での免疫は、特異的抗体応答(図5)を誘発した。これは、主にIgG
1サブクラスであった(図6)。これらのマウス由来の再刺激された脾細胞は、有意な量
のIL−5またはIFNγを産生しなかった(図3および図4)。orf40およびLT
K63(lμg)での免疫化は、結果としてIL−5産生を大きく増大し、そしてIFN
γを増大した。orf40およびl0μgのLTK63での免疫は、上清中のIFNγ濃
度をより高めた。orf40およびLTR72(lμg)で免疫されたマウス由来の再刺
激された脾細胞は、より高い用量のLTK63で免疫されたマウス由来の再刺激された脾
細胞に匹敵する濃度で、IL−5またはIFNγを分泌した。これらのマウス由来の血清
は、高い力価の特異的IgG1およびIgG2aを含んだ。対照的に、orf40および
LTK63で免疫されたマウス由来の血清は、抗原単独での免疫よりも高い力価の特異的
IgG1を含んだ。しかし、特異的IgG2aの力価は向上しなかった。10μg用量の
LTK63での免疫は、より高い力価の特異的IgG2aをもたらした。このより高い力
価は、この群においてより高いIFNγ産生と相関した。orf40特異的IgGIおよ
びorf40特異的IgG2aの個々の力価を、表1に示す。これらは、殺菌性の抗体力
価のためのアッセイを設定するのに必要である。
(表1)orf40単独またはLTK63/LTR72と共に免疫されたマウス由来の個
々のIgG1サブクラス力価およびIgG2aサブクラス力価
【0077】
【表1】


本発明は、例のみによって記載され、本発明の範囲内および精神内にある限り、改変が
なされ得ると理解される。
【0078】
(参考文献(この内容は本明細書中で参考として援用される))
1−国際特許出願WO99/24578
2−国際特許出願WO99/36544
3−国際特許出願WO99/57280
4−国際特許出願WO00/22430
5−Tettelinら(2000)Science 287:1809−1815
6−Pizzaら(2000)Science 287:1816−1820
7−国際特許出願WO01/64920
8−国際特許出願WO01/64922
9−国際特許出願PCT/IB02/03904
10−国際特許出願WO00/50075
11−国際特許出願WO00/66741
12−国際特許出願WO00/71574
13−国際特許出願WO01/04316
14−英国特許出願0223741.0
15−英国特許出願0227346.4
16−国際特許出願PCT/IB02/03396[17]Comanducciら(2002)J.Exp.Med.195:1445−1454
18−国際特許出願WO93/13202
19−欧州特許出願0306618、0322533および0322115
20−Del GiudiceおよびRappuoli(1999)Vaccine 1999 17 補遺2:S44−52
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23−ElsonおよびEalding(1984)J.Immunol.133:2892ffおよび132:2736ff
24−国際特許出願WO95/17211
25−国際特許出願WO02/079242
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27−国際特許出願WO98/18928
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78−米国特許第5,306,492号
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83−欧州特許出願 0378881
84−欧州特許出願 0427347
85−国際特許出願 WO93/17712
86−国際特許出願 WO98/58668
87−欧州特許出願 0471177
88−国際特許出願 WO00/56360
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載されるような方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−155344(P2009−155344A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96521(P2009−96521)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【分割の表示】特願2003−548874(P2003−548874)の分割
【原出願日】平成14年12月4日(2002.12.4)
【出願人】(592243793)カイロン ソチエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (107)
【Fターム(参考)】