アジュバント
抗原に対する適応免疫応答を誘発するための、フラジェリンタンパク質またはそのペプチド断片の有効量の患者への投与を含んで成る抗原に対する患者の適応免疫応答を誘発するための方法を供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗原に対する患者の免疫応答、特に、腸内上皮細胞のような粘膜組織における適応免疫応答の刺激または誘発に関する。また、本発明は新規な、変異および切頭したフラジェリンタンパク質およびそれらをコードしている核酸を供する。
【背景技術】
【0002】
腸管は通常のフローラの細菌および、同様に腸内病原性微生物にとって特有な最適な場所である。腸内上皮はホストの環境から内腔の環境を分ける物理的障壁を構成するだけでなく、腸内面において損傷を検知するセンチネルとして振舞う。腸内病原細菌は上皮にコロニーを形成し、そしてその上皮細胞との密接な相互作用は前炎症シグナル経路を活性化する(1-3)。この先天的な反応は細菌の素早い除去に必要である。適応免疫はまた、再感染を防止するために刺激されるが、腸管上皮における、この反応の開始機構は未だ解明されていない。
【0003】
樹状細胞(DC)は最初の免疫応答を誘発するための特有の能力を有する骨髄由来の抗原を提示する細胞である。そのため、DCの上皮への漸増は、適応応答を開始するために不可欠である。DCの往来はCCR6およびCCR7ケモカイン受容体の特異的な発現に依存する(4-7)。CCL20ケモカインはLARC,MIP-3アルファとしても知られており、ExodusはCCR6受容体のリガンドである(8)。未成熟なDCはCCR6を発現し、効果的に可溶で微粒な抗原を受け取る(9を参照のこと)。DCの成熟化は危険シグナル、すなわち、細菌、ウイルス、または細胞の構成要素によって誘発され、そして抗原の提示、共通の刺激分子およびその排出しているリンパ節への活性化DCの移動を媒介するCCR7ケモカイン受容体の上昇調節により特徴づけられる。CCL20遺伝子はネズミのパイエル板および結腸並びに人の結腸、虫垂、扁桃腺および皮膚ケラチノサイト上の上皮において発現する(4、6-8、10、11)。CCR6-発現DCはCCL20-発現上皮細胞またはケラチノサイトに近い組織において発見される(6、7、10)。CCR6-ノックアウトマウスにおいて、上皮下の骨髄のDCはパイエル板のドームにおいて不在であり、粘膜系免疫応答は機能しない(7)。それらの発見は腸管における適応応答の誘発において往来しているCCL20-依存DCの役立つ役割を強調している。
【0004】
腸内病原細菌は通常のフローラと競合し、そして先天的な防衛に打ち勝つために特定の毒性要因を生産する。腸内進入性細菌(例えば、サルモネラ(Salmonella)、シゲラ(Shigella)、イェルシニア(Yersinia)、リステリア(Listeria))はパイエル板のM 細胞を経由して上皮に付着し、そして進入する(12)。上皮下に移動後、それらはエンテロサイトまたは食細胞に進入し、および/または複製する。進入する細菌はタイプIII 分泌系を経由して細胞の細胞質に注入された毒を使用して、細胞表面の受容体またはサイトゾルのターゲットとの相互作用により、細胞のシグナリングの経路を変える(3、13)。哺乳類において腸炎を引き起こす様々な血清型サルモネラエンテリカ(Salmonella enterica)は粘膜の炎症と下痢によって特徴づけられる。サルモネラ(Salmonella)は小嚢腺に沿って小腸の絨毛軸まである腸の内側細胞の先端まで侵入することができる唯一の細菌である(14)。人の腸内上皮細胞において、サルモネラ(Salmonella)-誘発炎症性応答はIL-8(CXCL8)および上皮下区画において好中性白血球を漸増する様々な前炎症性ケモカインの基礎分泌によって特徴づけられる(1、15、16)。IL-8分泌の誘発はサルモネラ(Salmonella)の毒性要因および上皮NF-kBシグナリングに依存する(1、2、17、18)。
【0005】
本発明者は細菌に対する応答において、腸内上皮ケモカインの放出が、適応免疫を開始する免疫細胞を漸増できるかを調査してきた。彼らは以前にネズミチフス菌(S.typhimurium )のフラジェリンが上皮細胞からCCL20ケモカインの分泌を刺激し、それがDC走化性の引き金となることを報告している( PNAS 98 (24) 13722-13727,Nov 20th 2001 )。彼らはまた、前炎症性ケモカインIL-8の発現が腸内上皮細胞におけるフラジェリンによって誘発されることを観察した(Gewirtz 他)。
【0006】
本発明者は補助刺激分子の上昇調節およびMHCクラスII制限応答のための機能を示すことにより示されたように、フラジェリン、および特にサルモネラ(Salmonella)のフラジェリンが樹状細胞の直接の成熟化を誘発することを示した。樹状細胞はリンパ球に対する、抗原の最適および有効な提示のための必須条件として成熟する。
【0007】
本発明者はフラジェリン、および特にサルモネラ(Salmonella)のフラジェリンが免疫応答を誘発するために使用することができることを示した。彼らは、皮下および鼻腔内の免疫経路の後、周辺および粘膜組織においてこれを示した。本発明は上皮細胞および直接的に樹状細胞においてシグナリングを刺激するための、全身および粘膜部において、抗体ならびに細胞媒介の免疫応答の増加をもたらすフラジェリンおよびそのホモログ(変異もしくは切断した、またはその断片であるペプチド)の使用を供する。
【0008】
本発明はさらに修飾した、すなわち、突然変異または切頭したフラジェリンを供する。このような修飾したフラジェリンは、活性化部位、すなわち樹状細胞および上皮細胞上のToll-Like受容体(TLRs)またはTLR関連補受容体)と結合してそれらを活性化し、これらの受容体のシグナル分子としてふるまうだろう。
【0009】
本発明者はサルモネラ(Salmonella)のフラジェリンが特に上皮腸内細胞によって、未成熟の樹状細胞の走化性をもたらすCCL20ケモカインの発現および分泌を刺激することを示した。このようなDCの移動は、鞭毛のある腸内病原細菌の摂取、しかる後の腸管における適応免疫応答の誘発に必要な、抗原プロセシングおよび提示のために不可欠であろう。
【0010】
さらに、MHCクラスIエピトープで皮下注射した場合、フラジェリンはIFN-γを生産するためにCD8+リンパ球を刺激し、樹状細胞上の補助刺激性分子の上昇調節は樹状細胞上のMHCクラスI分子上に表出されたペプチドに対して向けられる細胞障害性Tリンパ球(CTL)の機能を活性化するのに十分であることを示唆している。そのため、フラジェリンは特に、共投与したMHCクラスI制限ペプチドに対するCD8免疫応答のアジュバントとして有用である。
【0011】
フラジェリンは種々の細菌株中に広く分布し、そして保存されている(25)。細胞シグナリングに関するドメインは、保存領域、すなわち170アミノ-および90カルボキシ-末端残基に存在することを示しているネズミチフス菌(S.typhimurium )のFliCおよびFljBならびにゲルトネル菌(S.enteritidis)のFliC分子により共有される。
【0012】
遺伝学および生物化学的ストラテジーを使うことにより、本発明者はこの度、アミノおよびカルボキシ末端領域は細胞シグナリングに必要であることを明らかにした。中央領域(191から353残基のあいだ)(それは様々なサルモネラ(Salmonella)血清型および様々な細菌株由来のフラジェリン中で不定である)は細胞シグナリングの役割を果たさない。
【0013】
リステリア・モノシトゲネス(L.monocytogenes )を含むグラム陰性および陽性菌由来のフラジェリンはピコモル範囲において前炎症性である(発明者の観察および(21、24、26-28))。このため、フラジェリンは病原体関連分子パターン(PAMP)のすべての特徴を供する。
【0014】
Toll-Like受容体(TLR)は哺乳類、植物および昆虫PAMPのシグナル伝達に関係する(29)。最近、TLR5はトランスフェクションされた哺乳類の細胞におけるフラジェリン依存シグナリングを媒介することが示された(28)。TLR5はCaco-2細胞において発現し(30)、腸管においてフラジェリンがTLR5を介してケモカイン発現の引き金となりうることを示唆している。さらに、人の腸内において、TLR5はエンテロサイトの頂上および基部の表面で検出される(30)。LPS(周辺組織または無菌の粘膜組織における損傷をシグナルする)は、グラム陰性菌が豊富な腸管の内腔において不活性である。腸管は他のPAMPを使用して、危険のための発達した検出系を有する。フラジェリンはひとつのPAMP候補であるが、他の細菌要素は粘膜の細胞シグナリングに関係する。例えば、大腸菌(E.coli P)の泌尿器の上皮におけるフィムブリエはTLR4を介して炎症の引き金となる(31)。
【0015】
発明者は様々な腸内病原ではあるが、共生細菌ではない細菌はCCL20およびIL-8遺伝子発現を刺激することを示した。病原菌において、鞭毛は感染の間に発現し、そしてそれに関連した運動性は感染力にとって必須である(3)。また、病原細菌は特有の付着および/または進入、および/または上皮細胞の損傷のために毒性要因を生産する(3)。共生細菌もまた鞭毛を備えうる。しかしながら、たとえin vivoで発現したとしても、おそらく共生細菌の鞭毛は上皮細胞と接触しないであろう。その細菌フローラはルミナルコンパートメントおよび粘膜層に制限される(32)。我々は、in vivoにおいて、腸内病原細菌だけが、フラジェリンを上皮細胞表面に密着させて、細胞シグナリングの誘発をもたらすことを提案する。あるいは、非病原細菌は上皮、フラジェリン媒介シグナリングの欠如ももたらし得るメカニズムである前炎症的カスケードを下降調節することが示された(33)。
【0016】
腸管は在住細菌を含むほとんどの内腔物質に対して耐性がある。安定した条件下で、未成熟なDCは、おそらく恒常的に形成されるCCL20-依存メカニズムを介して継続的に腸管に入っており、抗原を採取している(4、7)。補刺激の欠如においてDCによる抗原提示が起きるので、耐性を誘発するため(34を参照のこと)に腸管の損傷の欠如および/または抗炎症性の環境が提案された。CCL20およびIL-8の転写の活性化カップリングは腸管中の保護的免疫応答の誘発のために不可欠であろう。フラジェリンは上皮細胞において前炎症性IL-8ケモカインの発現を誘発することがすでに知られている(21、24、27)。もたらされた炎症は、DCの成熟のために必要とされる危険シグナル、特にTNF-アルファおよびIL-1サイトカインを供する。このため、フラジェリン刺激を得たDCは完全に活性化され、そして適応応答のための有力な刺激物となることができる。CCL20によるメモリーCD4およびBリンパ球の漸増もまた、腸管における免疫の一因となることができる(35)。
【0017】
IL-8およびCCL20遺伝子の転写活性化はNF-kB(p65/p65およびp50/p65)によって媒介される。(11、18)。p65結合部位はIL-8およびCCL20の両方の調節性配列に存在する(ATGから-150 bp のコンティグNT022115.2,)。これはフラジェリン依存のTLR5-媒介NF-kBシグナリングに一致する(28)。しかしながら、IL-8およびCCL20の発現のカップリングは完全ではない。IL-8遺伝子の転写は、熱滅菌した細菌またはフラジェリンに対してさらされた上皮細胞と比べ、生きたサルモネラにさらされた上皮細胞において有意に高く、一方CCLmRNAは一定のままであった。そのためCCL20発現の活性化は特異的にフラジェリンに依存しているように見える。一方、IL-8転写は前述したように生きた細菌によって伝達される他の構成要素によって調節される(1、2、33)。
【0018】
腸内病原微生物と上皮細胞との相互作用において漸増した未成熟DCは、細菌の生存および散在のために最適な場所を構成しうる。ネズミチフス菌(S.typhimurium)はパイエル板において上皮下のDCに取り込まれる(36)。DCにおけるネズミチフス菌(S.typhimurium)の生存はマクロファージにおける細胞内の生存に必要な毒性要因には依存しない(37)。このため、上皮下の未成熟DCは細菌を腸からより深い器官、例えば腸間膜リンパ節、脾臓または肝臓(そこでマクロファージに送達される)へと運ぶための最も有力な候補である。フラジェリンのケモカイン-刺激活性はDCのパイエル板および絨毛の上皮下部への移動を増強するために不可欠なはずである。DCを介した散在はリステリア・モノシトゲネス(L.monocytogenes )で説明されている(38)。
【0019】
サルモネラ(Salmonella)と同様にリステリア・モノシトゲネス(L.monocytogenes )は、他の毒性要因と同等に発現される鞭毛を生産する。リステリア(Listeria)の鞭毛がCCL20の誘発因子であるか否か、未成熟DCがこれらの細菌のための媒体であるか否かは病原性を明らかにするための重要な問題である。最近、Rescignoおよび共同者はin vitoro およびin vivoの両方において、内腔の細菌を採取するために、マウスのDCが腸内上皮に浸透することを報告した(39)。DCの急速な移動が、Caco-2細胞において観察されるCCL20誘発と並行しないため、このプロセスがフラジェリン-およびCCL20-媒介であるか否かを試験すべき事項が残されている。しかしながら、回腸をくくったマウスにおいて、フラジェリンの投与はパイエル板および絨毛におけるCCL20遺伝子の転写の誘発をもたらす(図10)。これらの観察は腸管上皮でのフラジェリンの効果は生理的な関連があることを示す。
【0020】
先天的および適応的免疫において、フラジェリンシグナリングの能力は粘膜のワクチン接種において新しい可能性を供する。
【0021】
単量体フラジェリンは、CCL20-媒介の樹状細胞の漸増をもたらす上皮腸内細胞において信号を送る。粘膜部位における樹状細胞の漸増は、排出しているリンパ節において、抗原およびワクチンの有効な取り込み、プロセシングおよび提示を行う。そのため、共投与した抗原への免疫応答を増強するように機能する。
【0022】
CCR6(未成熟樹状細胞において発見されるCCL20の受容体)ノックアウトマウスがこれらの反応において損なわれていることから、CCL20は粘膜免疫応答において役立つようにみえる。さらに、DCの往来は適応免疫応答を高めるために不可欠であることが知られている。
【発明の開示】
【0023】
このように、このたび、本発明者は、フラジェリンまたはフラジェリン断片が、上皮細胞および樹状細胞経由での適応免疫応答を誘発ために使用できることを示した。例えば、抗原に対する適応免疫応答を刺激し、増大し、または開始する。上記抗原は免疫応答を誘発または増強するために所望される、いかなる標的抗原であってよく、上記抗原は例えば、病原微生物として患者の体内に存在してもよい。または、例えばワクチンの形態として患者に投与してもよい。
【0024】
このように、本発明は上記応答を誘発するための有効量におけるフラジェリンタンパク質またはそのペプチド断片の患者への投与を含んで成る、標的抗原に対する患者における適応免疫応答の誘発方法を供する。
【0025】
好ましい第一の観点はまた、直接的にまたは上皮細胞の刺激を介する粘膜表面における樹状細胞の漸増によって、間接的に樹状細胞-依存適応免疫応答を誘発できる、フラジェリンタンパク質またはそのペプチド断片の有効量の患者への投与を含んで成る、標的抗原に対する患者の適応免疫応答の誘発方法を供する。さらに好ましい、第一の観点は、直接的に樹状細胞-依存適応免疫応答(上記において樹状細胞の成熟化は誘発されており、さらに好ましくは増大されている)を誘発できるフラジェリンタンパク質またはそのペプチド断片の有効量の患者への投与を含んで成る標的抗原に対する患者の細胞適応免疫応答を誘発する方法を供する。
【0026】
本発明の第二の好ましい観点は腸管粘膜、さらに一般的には、患者のいかなる粘膜上皮において、患者へのCCL20の放出における競合的な効果を有するフラジェリンタンパク質またはそのペプチド断片の有効量の投与を含んで成る、標的抗原に対する適応免疫応答の誘発方法を供する。
【0027】
特に、本発明の第一および第二の好ましい観点は、標的抗原に対する適応免疫応答の誘発の方法を供する。ここで、誘発は未成熟樹状細胞の漸増による。好ましくは、第一および第二の好ましい観点において使用されるフラジェリンまたはそのペプチド断片は非経口的にまたは経皮的に投与される。さらに好ましくは、第一および第二の好ましい観点において使用されるフラジェリンまたはそのペプチド断片は粘膜経路(口腔内伝達は特に好ましく、さらに好ましくは鼻腔内伝達)を経由して投与される。フラジェリンまたはそのペプチド断片は、例えば単独で、もしくは数種で標的抗原とともに、特にワクチンアジュバントの形態において投与または共投与できる。
【0028】
本発明の第一および第二の観点の最初のサブセットにおいて、上記反応を誘発することの所望される抗原をと一緒にフラジェリンタンパク質またはそのペプチド断片を投与することを含んで成る、例えば、適応免疫応答の誘発ための、経口ワクチン接種または鼻腔内ワクチン接種における未成熟な樹状細胞の漸増の誘発方法を供する。
【0029】
好ましくは、本発明の第一および第二の観点において使用されるフラジェリンタンパク質フラジェリンのN末端配列またはC末端配列の保存領域の少なくとも一方を含む。さらに好ましくは、本発明の第一および第二の観点において使用されるフラジェリンタンパク質はサルモネラ(Salmonella)フラジェリンの170N末端配列および90C末端配列の保存領域、特にゲルトネル菌(S.enteritidis)またはネズミチフス菌(S.typhimurium)によって共有される保存領域を含む。予備結果はこの活性を有するその領域がネズミチフス菌(S.typhimurium)の1-190および354-494残基に制限されうることを示唆する。
【0030】
特に、ワクチンアジュバントとしてのこのようなフラジェリンタンパク質の使用を供する。
【0031】
最初のサブセットにおける使用のための薬剤の好ましいペプチド配列は10から60アミノ酸長、より好ましくは、20から45アミノ酸長であり、且つ、Caco-2細胞中のシグナリングに関与している、本明細書に記載した配列の対応部位(図8)に対し高いホモロジー、例えば70%以上、より好ましくは90%以上を有する。さらに好ましい配列は上記配列部位に対して70%以上の同一性を有する。
【0032】
ホモロジー(相同性)およびアイデンティティ(同一性)の説明並びにこの調査方法はこれらの当業者にとって周知であろう。特に、説明は引用により本明細書際に組み入れるPCT/EP00/09325、およびそれに由来する対応の米国出願において記載されている。相同性および同一性はまた、ギャップまたは欠失を適宜導入しながら、配列間のアミノ酸を順次対合させることにより決定できる。
【0033】
本発明の第三の観点において、例えば、適応免疫応答を誘発するための粘膜のワクチン接種、より好ましくは経口または鼻腔内ワクチン接種における未成熟樹状細胞の漸増を誘発するための医薬の製造におけるフラジェリンタンパク質またはそのペプチド断片の使用を供する。このように好ましい使用は、例えば、経口または鼻腔内ワクチンにおけるアジュバントとしてである。第三の観点におけるサブセットは、皮下のワクチン接種における、MHCクラスI制限ペプチドに対する適応免疫応答を誘発するためのフラジェリンまたはそのペプチド断片の使用を供する。
【0034】
本発明の第四の観点は、治療における使用のための(a)腸管上皮細胞からのCCL20の放出および(b)樹状細胞の成熟化、の1つまたは双方におけるアゴニスト効果を有するフラジェリンタンパク質またはそのペプチド断片を供する。ここでのタンパク質またはペプチドは免疫応答を誘発する能力を保持することを許容するように切断され、突然変異され、または欠損を有することを特徴とする。
【0035】
第四の観点のある好ましいタンパク質またはペプチド断片は、腸内または樹状フラジェリン受容体、例えば、TLRおよび関連受容体と結合する能力を保持し、そして免疫シグナリングを保持する。
【0036】
第二、第三およびさらなる観点のための好ましいタンパク質およびペプチドは上記の第一および第二の観点で説明したものとして存在するであろう。
【0037】
本発明の第五の観点は医薬受容担体、添加剤もしくは希釈剤と共に本発明のタンパク質もしくはペプチド断片を、または無菌および発熱遊離形態におけるこれらのタンパク質もしくはその断片を含んで成る組成物を供する。
【0038】
本発明の第六の観点は、ネズミチフス菌(S.typhimurium )のフラジェリンのアミノ酸配列に対応するが、突然変異、欠失または切頭され、腸内フラジェリン受容体結合特性を保持しながら、活性免疫シグナリング特性をも有するタンパク質またはそのペプチド断片の生産を含んで成る腸内上皮免疫応答の誘発剤の生産方法を供する。
【0039】
第六の観点の好ましい方法は、例えば、部位特異的突然変異PCRプライマーの使用により、上記突然変異、欠失または切断したフラジェリンをコードするDNAの生産を含んで成る。
【0040】
本発明はこのたび、以下の制限のない実施例への言及による例示のみで説明されるであろう。本発明の意図する範囲内にあるさらなる態様は、これらの観点から当業者により行われるであろう。
【実施例】
【0041】
方法
細菌株および培養条件:細菌株は表1に掲載する。SIN株はファージ P22 HT105/int-1 の形質導入により得た。サルモネラ(Salmonella)または大腸菌(E.coli)はLuria-Bertani(LB)培養液中で24時間37℃で培養し、それからLB培養液中で1/1000に希釈して、スタンディング状態で37℃で18時間培養した(19)。細菌濃度は600nmで109細菌毎ml毎ODユニットであり、プレーティングにより計算した。アンピシリンおよびカナマイシンをそれぞれ100および40μg/ml加えた。リステリア・モノシトゲネス(L.monocytogenes ) はブレインハートインフュージョン培地(BHI)中37℃で培養し、ビフィズス菌(B.bifidum) およびバクテロイデス・ブルガータス(B.vulgatus)はグリセロール凍結接種物を使用して嫌気性 GasPakTM(Becton Dickinson,Cockeysville)ビンにおいてBHI中、37℃で培養した。残留細菌を排除するために上澄み液をろ過し、トリプシン(Worthington Biochemical Corporation,Lakewood)10μg/mlにより37℃で30分間タンパク質分解を行った。具体的には、細菌または上澄み液を65℃で20分間熱処理した。補完のために ネズミチフス菌(S.typhimurium)fliC 遺伝子を伴う EcoRI フラグメントを宿すアンピシリン耐性プラスミドpRP2(K.Hughes提供)をサルモネラ(Salmonella)に導入した。フラジェリンの発現は(i)ウサギサルモネラ(Salmonella) H抗血清ポリa-z(Difco laboratories,Detroit)での凝集、(ii)0.35%アガロース中での運動性、および(iii )上澄み液のSDS-PAGE分析ならびにポリa-z 血清およびペルオキシダーゼ標識抗ウサギ血清(Sigma,St Louis)でのイムノブロットによりチェックした。
【0042】
細胞培養および刺激:人の結腸腺癌細胞株Caco-2クローン1を glutamax、10%FCS、1%非必須アミノ酸および4μg/mlのトランスフェリン(Gibco BRL,Rockvilleの細胞培養生成物)を伴うDMEM中で培養した。T-84腸内上皮細胞株は50%DMEM、50%Ham’s F12培地、10%FCSおよび2mM のL-グルタミン中で培養した。細胞はTranswell(直径6mm、3μm孔、Corning Inc.,Action)上で5%CO2下において37℃で10日間培養した。
【0043】
上皮横断(transepithelial)の電気抵抗の平均値はCaco-2およびT-84細胞でそれぞれ、450Ωcm2および1000Ωcm2であった。分化はまた、電子および共焦顕微鏡を使用して、末端の微絨毛の存在および特異性抗体(A.Zweibaum提供)を伴う末端のスクラーゼイソマルターゼの上昇調節によりチェックした。細菌および生物活性材料を完全にDMEMに懸濁し、上端部(300μl)または基底部(1ml)のいずれかを加えた。感染させるため、細胞を108の細菌,すなわち〜100の感染多重度(moi)で45分間インキュベートし、PBSで洗浄し、そして細胞内の細菌を殺すために、50μg/mlのゲンタマイシン(リステリア(Listeria)のために5μg/ml)を含む培地でインキュベートした。あるいは、実験の継続のため、細胞を上澄み液、リポポリサッカライド(LPS)またはフラジェリンに暴露させた。提示時間で、全RNAを調製し、および/または培地を回収した。
【0044】
mRNAレベルの分析のためのリアルタイム定量PCR:全RNAを3つのTranswellフィルター(Rneasy,Quiagen,Switzerland)の細胞から単離し、Sperscript II(Gibco BRL)を使用して100ngで逆転写を行った。生じたcDNA(1ng)をSYBR(登録商標)-GreenPCRアッセイでトリプケートで増幅し、そして生産物をPrism5700検出システム(SDS、ABI/Perkin-Elmer,Fooster City)で検出した。PCR反応を50℃で2分間および95℃で10分間インキュベートし、60℃において1分間アニーリング/伸長および95℃において15秒の変性で40増幅サイクルにより行った。cDNAの総量を標準化するために18SリボゾーマルRNAを使用した。配列(NM004591、Y00787、およびX03205)からデザインされたCCL20のためのプライマー(CCAAGAGTTTGCTCCTGGCTおよびTGCTTGCTGCTTCTGATTCG)IL-8のためのプライマー(CACCGGAAGGAACCATCTCAおよびGGAAGGCTGCCAAGAGAGC)および18Sのためのプライマー(ACATCCAAGGAAGGCAGCAGおよびTTTTCGTCACTACCTCCCCG)はそれぞれ、75、72および65 bpのPCR生成物を生成した。PCRの特異性は融解曲線分析チェックし、そしてシークエンシングした。相対mRNAレベル(2ΔΔC)は(i)注目の遺伝子および18S rRNA(ΔC)のcDNA間の立ち上がりPCRサイクル数(C)、(ii)処理および未処理コンディション(ΔΔC)間のΔC値を比較することにより測定し、相対mRNAレベルのSDは以下に従い計算した。
;2(ΔΔC±√{SD[ΔC(処理)]2+SD[ΔC(未処理)]2})2倍以下のRNAレベルの増大は有意であるとは考えない。
【0045】
CCL20-特異性 ELISA 法:3μg/mlの人のCCL20-特異性mAb(クローン67310.111,R&D Systems,Minneapolis)でコートしたマイクロプレートを、培養培地においてCCL20を捕らえるために使用した。1μg/mlに希釈したヤギの抗-人CCL20(R&D Systems)をAbの検知として使用し、そして1/2000に希釈したペルオキシダーゼ標識ウサギ抗-ヤギAb(Sigma)で発色を行った。CCL20濃度は遺伝子組み換え人(rh)CCL20(R&D Systems)を使用したスタンダードカーブから計算した。立ち上がり検出は0.5ng/mlだった。
【0046】
LPSおよびフラジェリンの精製:前述したように、LPSを熱フェノール抽出により精製した(20)。あるいは、ネズミチフス菌(S.typhimurium) LPS製品を使用する(L-6511,Sigma)。前述したように、フラジェリンは、LB中で撹拌しながら37℃で16時間培養したサルモネラ(Salmonella)株SEFK32(pRP2)から調製した。簡潔に言うと、鞭毛は表層から剥ぎ取り、超遠心分離によりペレットにし、そしてフラジェリンモノマーを放出させるために酸性化した。フラジェリンはPBSにおいて濃縮し、−80℃で保管した。
【0047】
CD34+-由来DCの世代:原種は抗-CD34 mAb(Immu-133.3,Immunotech,France)、ヤギ抗-マウスIgG-コートミクロビーズおよびMidiMacsカラム(Miltenyi Biotec,Germany)を使用したポジティブセレクションにより、臍帯血から単離した。CD34+細胞はRPMI-1640、10%FCS、200U/mlのrhGM-CSF(Schering-Plough Research Institute,Kenilworth)、50U/mlのrhTNFα(PeproTech Inc.,Rocky Hill)および10U/mlのrhSCF(R&D Systems)中で培養した。7日後、その細胞(30-50%CDla+DC、25-35%CDla-CD14+DC前駆体および分化していないCD34+細胞)を採取した。
【0048】
走化性アッセイ:完全DMEM(2%FCS)で培養されたCaco-2細胞由来の上澄み液、またはrhCCL20を24ウェルプレートに加え、また5×105DCをTranswellインサート(5μm孔、Corning Inc.)に加えた。プレートは37℃で1.5時間インキュベートした。遊走した細胞はFITC-ラベル抗-CDla mAbおよびPE-ラベル抗-CD14 mAbで染色し、そしてフローサイトメトリーにより数えた。中和のため、サンプルは10μg/mlのヤギ抗-CCL20Abとともに37℃で30分間インキュベートした。
【0049】
マウスの免疫化のためのフラジェリンの精製:FliC-生産性ネズミチフス菌(S.typhimurium)株SIN22(fljB5001::MudJ)およびフラジェリン欠損SIN41(fliC5050::MudJ fljB5001::Mud-Cam)をそれぞれ、ドナーとしてTH714およびTH2795株(K.Hughes提供)ならびにレシピエントとして野生型株ATCC14028を使用し、ファージP22 HT105/int-1の形質導入により得た(43、47)。フラジェリンは、前述したようにLuria Bertani培地において撹拌しながら37℃で16時間培養したSIN22株から調製した(48)。簡潔に言うと、鞭毛は表層から剥ぎ取り、超遠心分離によりペレットにし、そしてフラジェリンモノマーを放出させるために65℃で30分間熱した(5mg/l培養)。フラジェリンはPBSにおいて濃縮し、100kDカットオフデバイスでろ過し、Detoxi-Gel Affinity Colum(Pierce)を使用してエンドトキシン活性を枯渇させ、そして-20℃で保管した。エンドトキシンの夾雑は Limulus 変形細胞溶解産物のPyrochromeアッセイ(Cape Codが組み込まれた)を使用して定量した;本実験において4つの独立したバッチを使用し、エンドトキシン量は20pg毎μgフラジェリン以下だった。エンドトキシンの枯渇を除くSIN41株からの同様の調製はフラジェリンとは関係ない微生物の生産物による汚染を制御するために行った。具体的には、70℃で1時間不活性化した細胞培養クオリティートリプシン、0.05%EDTA、0.02%溶液(Biochrom AG)とともにフラジェリンを37℃で30分間完全に消化した。フラジェリン純度はSDS-PAGE分析並びにフラジェリン特異マウスのポリクローナル血清およびペルオキシダーゼ-標識抗-マウスIgG(Biorad)でのイムノブロットにより分析した。フラジェリン-特異血清は、35日目に皮下の免疫化したC57BL/6から、40μgのフラジェリン+CFAおよび20μgのフラジェリン+IFAは0および26日目に、それぞれ得た。
【0050】
オブアルブミン(OVA、Grade VII 、Sigma)およびニワトリの卵リゾチーム(HEL、Appligen)はまた、ポリミキシンカラム(<20pgエンドトキシン毎μgタンパク質)を使用して解毒した。タンパク質濃度はBradfordマイクロアッセイ法(Biorad)により検出した。
【0051】
抗体とフローサイトメトリー:FACS(登録商標)呈色分析は以下のmAbを使用して行った。:抗-CD11c-FITCまたは-PEまたは-ビオチン(クローンHL3)、抗-MHCII-PE(クローン2G9)、抗-B220-Cy5または-CyChrome(クローンRA3.6B2)、抗-CD8α-CyChrome(クローン53.6.7)、抗-CD4-CyChromeまたは-ビオチン(クローンLT4)、抗-CD80-ビオチン(クローン16-10A1)、抗-CD86-ビオチン(クローンGL-1)、抗-CD40-ビオチン(クローン3/23)(PharMingen)。抗-F4/80-FITCまたは-ビオチン(クローンF4/80)および抗-MHCII-ビオチン(クローン11.54.3)は実験室において精製し、標識した。
【0052】
I-Akとの関係でペプチドHEL46-61を認識するビオチン化したC4H3 mAbは Pr.R.Steinman (Yale University,USA)から提供された。ビオチン化抗体はPE(Serotec)、CyChrome (PharMingen)またはアロフィコシアミン(Molecular Probes)のいずれかに接合したストレプトアビジンで明らかにした。フローサイトメトリーは3または4色のFACSCaliburTMサイトマーを使用して行い、CELLQuestTMソフトウェア(Becton Dickinson)を使用して分析した。
【0053】
TLR5 mRNAのRT-PCR分析:全RNAを単離し、DNaseI(Quiagen)により処理した。逆転写(RT)はSuperscriptII(Gibro BRL)を使用して行った。マウスBMまたは脾臓細胞のために、前述したように、cDNAをTLR5に特異的なプライマー(CGCACGGCTTTATCTTCTCC,GGCAAGGTTCAGCATCTTCAA)および18S RNAの全量を標準化するために18SリボソーマルRNAに特異的なプライマーを使用してSYBR(商標登録)-Green PCRアッセイを行った(47)。PCRの特異性は融解曲線の分析によりチェックし、そしてシークエンシングした。相対mRNAレベル(2ΔΔC)は(i)注目の遺伝子および18S rRNA(ΔC)のcDNA間の立ち上がりPCRサイクル数(C)、(ii)全脾臓部のために得られたΔC値を控除したΔC値であって、任意の関係(ΔΔC)として選ばれた値を比較することにより測定した。
【0054】
(ヒト細胞のために、スタンダードPCRは40サイクル(94℃45秒、53℃45秒、72℃1分)で、人のTLR5のための以下のプライマー;AGTTCTCCCTTTTCATTGTATGおよびGAATCTGTTTTGGTCACTGTAT(259bp)ならびに人のβ-アクチンのためのプライマー;TGACGGGGTCACCCACACTGTGCCCATCTAおよびCTAGAAGCATTGCGGTGGACGATGGAGGG(660bp)を使用して行った。)
【0055】
免疫化した動物の血清におけるフラジェリン-およびOVA-特異抗体の検出:血清を採取し、前述したように、ELISA法により分析した(42)。IgGの測定のために、PBS中でマイクロプレート(Maxisorp Nunc,Life Technologies)を100ngのフラジェリンまたは1gのOVA毎ウェルをコートした。プレイムノ血清および模擬免疫化マウス由来の血清をネガティブコントロールとして使用した。全IgGの検出はペルオキシダーゼ標識ヤギ抗-マウスIgG(Biorad)で行った。力価は0.1の吸収を示した最高希釈として表した。IgG1およびIgG2a力価の絶対定量化は対照血清およびペルオキシダーゼ(Serotec)で標識したウサギ抗-マウスIgG1もしくは羊抗-マウスIgG2aまたはビオチン−標識ヤギ抗-マウスIgG1およびIgG2a(Caltag)のいずれかを使用して行った。
【0056】
マウスの骨髄由来の樹状細胞の調製:骨髄由来のDCをマウスの大腿骨および脛骨から培養した(44)。簡潔に言うと、骨髄細胞をRBC中で枯渇させ、10%FCS(Myoclone supreplus)、2mMのL-グルタミン10mMのHEPES、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibro BRL)を含む完全RPMI1640培地中の10ng/mlのGM-CSF(Biosource)の存在下において培養処理した6-ウェルプレート(Nunc)において2×105で培養した。3日後、GM-CSFで補った新鮮な培地を加えた。6日後、全細胞または浮遊細胞のいずれかを上記のように刺激した。その細胞の表現型を、様々な表面マーカーに特異的な抗体を使用してフローサイトメトリーにより分析した。
【0057】
TLR5の発現を分析するため、骨髄CD11c+細胞をCD11c抗体(N418,Miltenyi Biotech)に結合したMACSマグネチックビーズを使用したポジティブセレクションにより単離した。DCの純度は〜90%だった。
【0058】
スプレノサイト(splenocyte)およびサイトカインの放出の分析:血清中のスプレノサイト(splenocyte)およびサイトカインの放出を分析するため、フラジェリン、ネズミチフス菌(S.typhimurium)LPS(L-6511、Sigma)またはホスホロチオエートCpGオリゴヌクレオチド(TCCATGAC GTTCCTGATGCT,Eurogentec)を尾の血管に注射した。スプレノサイト(splenocyte)を単離するために脾臓を摘出し、および/または実験により、異なる時期に血清を採取した。
【0059】
免疫化したマウスの脾臓由来の細胞の調製:脾臓のDCを前述したように単離した(41)。簡潔に言うと、脾臓の小断片を、5%FCSで補ったRPMI1640培地中の0.5mg/mlCollagenase D(Roche)および40μg/mlDnase I(Roche)とともに37℃で10分間インキュベートした。機械的に解離後、5%FCSおよび5mMのEDTAで補ったPBS中で広範囲に洗浄し、そして5mMのEDTAを含んだ冷えた等浸透性のOptipurepTM溶液(Nycomed)において再懸濁した。遠心分離において、低密度分画(LDF)は通常、脾臓中1%と比較して20-30%のDCを含む。TLR5の発現を評価するため、適当な抗体で呈色した後、DC(CD11c+ F4/80-/low B220-)、Bリンパ球(B220+ CD11c-)およびマクロファージ(F4/80high)をFACStarTMフローサイトメーター(Becton Dickinson)におけるFACSソーティングにより単離した。
【0060】
サイトカイン特異ELISA法:サイトカイン(IL−12 p40、IL−12 p70およびTNF-α)は血清および培養上澄み液において製造業者の推薦によるPharmingen 製のサンドイッチELISAキットにより定量した。
【0061】
人の樹状細胞の調製:人のDCの調製のために、前駆細胞をへその緒の血液から、抗-CD34 mAb(Immu-133.3,Immunotech)、ヤギ抗-マウスIgGマイクロビーズおよびMACS(登録商標)(Miltenyi Biotec)を使用したポジティブセレクションにより単離した。CD34+細胞はRPMI-1640、10%FCS、200U/mlのrhGM-CSF(Schering-Plough Research)、50U/mlのrhTNF(PeproTech Inc.)および10U/mlのrhSCF(R&D System)中で培養した。7日後、その細胞(30-50%CDla+DC、25-35%CDla-CD14+DC前駆体および分化していないCD34+細胞)を採取した。
【0062】
Adoptive transfer(養子移植法)実験:OVA-特異性CD4+T細胞を、DO11.10 SCIDマウスの脾臓およびリンパ管から純度>98%のMACS CD4ビーズ(Miltenyi Biotech)を使用して単離した。その細胞を5μMのカルボキシフルオレスセインジアセテートサクシニニルエステル(carboxyflluorescein diacetate succininyl ester)(CFSE、Molecular Probes)で染色し、そして4-5×106細胞をBALB/cレシピエントマウスに静脈注射した。1日後、マウスをPBS、フラジェリンおよび/またはOVAのいずれかで免疫化し、そして免疫化した動物由来のスプレノサイトをフローサイトメトリーにより72時間後に分析した。CFSE陽性細胞を検出し、そしてVβ8+(トランスジェニックTCRに存在)CD4+細胞中でカウントした。
【0063】
実施例1
ネズミチフス菌(S.typhimurium)は腸内上皮細胞においてCCL20遺伝子の発現を誘発する:様々な刺激に応答する、透過性のあるフィルター上で増殖させた人の腸内上皮Caco-2細胞株におけるCCL20ケモカイン遺伝子の発現はリアルタイムRT-PCRおよびELISA法により決定した。未処理細胞において、すべての約1.8±1.0×106のCCL20コピー毎μgが1細胞あたり〜10コピーであることを検出した。頂端および基底の培地においてCCL20の濃度は0.5ng/mlを決して超えなかった。これらの観察は他者により報告されたCaco-2細胞において形成されるCCL20遺伝子の発現を裏付けた(11)。
【0064】
Caco-2細胞の頂端部を伝染力の強いネズミチフス菌(S.typhimurium )ATCC14028にさらすと0.25%の細菌が2時間以内に内在化したことから、効果的な感染をもたらした(補助的材料)。CCL20の転写は感染後、2から3.5時間の間に [15.2±6.9倍(n=20)]最大に増大した(図la)。これらの条件下において、IL-8転写は以前報告したように、27.6±7.8倍増加した(1、15)。CCL20分泌は感染2時間後に有意に増大し、そして6時間でプラトーに達した。感染から20時間後、基底区画において64.8%±6.9%(n=7)回収したためにCCL20の分泌は、局在していた。
【0065】
実施例2
CCL20応答は病原体によって誘発される:CCL20の誘発の特異性を腸管において出会う様々な細菌に対する応答において分析した。大腸菌(E.coli)株、DH5-αおよび共生細菌 E.coli EMO、ビフィズス菌(B.bifigum)、またはバクテロイデス・ブルガータス(B.vulgatus) はCCL20の発現を誘発することができない(図2aおよびb)。対照的に、ゲルトネル菌(S.enteritidis) およびリステリア・モノシトゲネス(L.monocytogenes )を含む病原性細菌はネズミチフス菌(S.typhimurium)のようにCCL20の転写を活性化する(図2c)。
【0066】
実施例3
CCL20の誘発は上皮細胞への進入を必要としない:上皮細胞の侵入はSopEのように、上皮細胞の細胞質中に毒素を注入するサルモネラ(Salmonella)病原性アイランド1(SPI-1)によってコードされるタイプIII 分泌系に依存している(13、22)。これらの毒素は、細菌の内在化およびシグナリング経路の阻害をもたらす細胞膜のしわを誘発する。SPI-1遺伝子の活性化因子をコードするhilA遺伝子の不活性化は侵入を弱める。ネズミチフス菌(S.typhimurium)のhilA変異SIN14およびsopE-不活性化種SIN18は上皮Caco-2細胞においてCCL20の発現を誘発するためのATCC14028として有用であることが発見された(図3a)。熱殺したおよび生きた細菌によるCCL20の誘発は有意な相違はなく(図3a)、このように細菌侵入の機能を排除している。このため、我々の実験はCCL20の刺激は上皮細胞の侵入もSopE毒素の注入も必要としないことを示した。
【0067】
実施例4
CCL20-誘発要素は熱に安定な分泌タンパク質である:ネズミチフス菌(S.typhimurium)の上澄み液は、上皮細胞の表面に塗布すると、強くCCL20の発現を誘発した(図3c)。LPSは細胞シグナリングに関するグラム陰性菌由来の外側の細胞膜の熱-耐性分子である。市販のネズミチフス菌(S.typhimurium)のLPSまたはATCC14028から精製したLPSを伴うCaco-2細胞の頂端部または基底部の処理は、CCL20遺伝子の転写を活性化しなかった(図3b)。このように、LPSそれ自体はCCL20刺激のための誘発要因ではない。
【0068】
すべての細菌で観察されたように、熱処理は上澄み液の活性を消失させなかった(図3c)。しかしながら、上澄み液のトリプシン消化は、完全にCCL20の誘発を無効にした。要するに、これらの実験はCCL20-特異性誘発要因が熱に安定な誘発タンパク質であることを示した。
【0069】
実施例5
フラジェリンはCCL20誘発要因である:鞭毛のフラグメントを構成しているサブユニットであるフラジェリンは、ネズミチフス菌(S.typhimurium)またはゲルトネル菌(S.enteritidis)の上澄み液から回収された主なタンパク質である(図4c)(23)。ネズミチフス菌(S.typhimurium)は2つの52KDaのフラジェリン:FliCまたはFljBを生産するのに対し、ゲルトネル菌(S.enteritidis)は1つの56KDaのフラジェリンFliCを生産する。FliC-欠損ゲルトネル菌(S.enteritidis) SEFK32は前駆種SE857に対して、CCL20遺伝子の発現を誘発することができない(図4a)。ネズミチフス菌(S.typhimurium)由来のFliC遺伝子によるFliC変異の補完は完全にCCL20誘発を回復させた。付け加えると、ネズミチフス菌(S.typhimurium)変異のFljBまたはFliCのいずれかを生産するSIN20またはSIN22は、野生型細菌と同様のレベルまでCCL20転写を刺激した(データ不掲載)。最後に、精製したネズミチフス菌(S.typhimurium)のFliCフラジェリンはCaco-2細胞においてCCL20転写を活性化した(ED50〜20pMおよび図4b)。同様の結果はT-84上皮細胞種の使用により得られた(表)。最近の報告によると(21、24)、フラジェリンはCaco-2細胞において、IL-8遺伝子の転写を誘発することが発見された(図4a-b)。我々の実験はフラジェリンが、上皮腸内細胞において、CCL20およびIL-8遺伝子の発現の誘発に必要とされることを示した。
【0070】
実施例6
フラジェリン-処理細胞からの培地は未成熟DCの遊走を誘発する:人の未成熟DCはrhCCL20に応答して遊走することができる(図5)。遊走はCCL20-特異性抗体とのインキュベーションにより阻害される。DCの低い遊走は未処理細胞からの基底の培地で観察された。おそらくCaco-2細胞によって形成されるCCL20の分泌を反映している。さらに、CCL20-特異性mAbでの培地のインキュベーションは、完全に走化性を無効とした。結論として、フラジェリン-刺激Caco-2からの未成熟DC培地の遊走は特に、CCL20活性に依存する。
【0071】
フラジェリンの配列190および357-494は上皮細胞シグナリングのために必要である:ホタルのルシフェラーゼ受容体遺伝子と結合したccl20プロモーターを含むプラスミドを伴うCaco-2細胞(人の腸内上皮細胞)の安定トランスフェクタントを、96ウェルマイクロプレートにおいて、様々な濃度のフラジェリン、フラジェリン断片または遺伝子操作したフラジェリン変異で処理した。(切頭したフラジェリン分子はプラスミドFliCの遺伝子操作により、または、ネズミチフス菌(S.typhimurium)由来のflicC フラジェリンのトリプシン消化により生産した。)18時間のインキュベーション後、細胞を溶解し、Stedy-Glo 試薬(Progema)を使用してルシフェラーゼ活性をアッセイした。ccl20遺伝子転写における上昇倍率はPBSで処理した細胞の化学発光に対するサンプルの化学発光の割合として測定した。
【0072】
図19、20および21に示した結果はアミノおよびカルボキシ末端領域が、細胞シグナリングに必要であることを示す。中央の領域(191から353残基の間)(様々なサルモネラ(Salmonella)血清型および様々な細菌株由来のフラジェリンの中で不定である)はシグナリングにおいて役割を担わない。このため、不可欠な領域は2つの領域(1から190までの残基および354から446までの残基)に制限されているように見える。
【0073】
実施例8
皮下的に投与されたフラジェリンおよびMHCクラスI-制限ペプチドによるCD8+リンパ球を生産する抗原-特異性IFN-γの刺激:
リンパ組織においてIFN-γを生産するリンパ球の個体数を測定するため、IFN-γ ELISPOTを使用した。オブアルブミンMHCクラスI-制限ペプチドを使用することにより、発明者はこの度、フラジェリンの存在下において、上記ペプチドを皮下的(尾の基底)に投与した場合にペプチドに応答するリンパ球の数の増加を示す。ネガティブコントロールとして、ペプチドを単独で注入した。ポジティブコントロールとして、破傷風菌の毒素由来のユニバーサルヘルパーペプチドおよび不完全なFreund's アジュバント(ミネラルオイル)(これは強いCD8応答の引き金になることが知られている)と共に注入した。
【0074】
手順は以下に従う:IFN-γ ELISPOT
-2番目のIFN-γ抗体を加えるまで、無菌に保つ。
-数日前に、実験に十分な細胞を得るために、APC細胞を分裂させる。
-それぞれの条件で少なくとも4重にする。
【0075】
DAY-1
1-コートは一昼夜、RTマルチスクリーンマイクロプレートにおいて、7.3ml毎プレートにおいて>44μlのPBS6μg/mlで希釈した75μl/ウェルの捕獲抗体(34.1)で行う。
2-設計はペーパー上のプレートで行う。
【0076】
DAY0
3-マウスにおける組織およびエフェクター細胞の採取
-エフェクター細胞は脾臓または他のリンパ組織から得ることができる。リンパ管もしくは脾臓をホモジェナイズまたは温侵し、そして赤血球を溶解する。
-RPMI-10においてプレートを3回洗浄し、インキュベーター(1時間以上)において、100μl/ウェルで満たす。
【0077】
4-エフェクター細胞のカウント
-RPMI-10においてエフェクター細胞を洗浄し、そして10mlで再懸濁する。
-細胞をカウントし、そして100μl/ウェルをディスパッチするために適当な細胞濃度および容量のチューブを用意する。
通常:スプレノサイトまたはLN細胞は、最初のポイントとして600μlで106とカウントされる。それから倍々希釈(1:10)する。それぞれのポイントは3回ずつ行う。
【0078】
5-細胞の分配
-プレートから完全RPMIを捨てる。
-100μlのPRMI-10/ウェル中の100μl/ウェルのエフェクター細胞+ペプチド20-100μlを加える。
-37℃5%CO2で15-24時間インキュベートする。
【0079】
DAY+1
6-エリスポット(Elispot)の開発
-1回水で洗浄する。
-4回PBS-Tween0.05%で洗浄する。
-7.3ml毎プレートにおいて2μg/mlのPBS-0.05->30μlで希釈した抗体(35.1)の75μl/ウェルの検出で37℃で2時間(または4℃で一昼夜)インキュベートする。
-PBS-T0.05で4回洗浄する。
-100μl/ウェルのアルカリンファスファターゼ(AP)-Extravidin番号118(PBS-T中1:5000で希釈)でRTで1時間インキュベートする。
-PBS-Tにおいて4回洗浄する。
-PBSにおいて2回洗浄する。Tween無し。
-100μl/ウェルのAP試薬を加え、そしてRTで暗室において15-20分間インキュベートする(ブルースポット)。
-水道水でよく洗浄することにより、反応を止め、乾燥させる。
材料
-マルチスクリーンマイクロプレート96ウェル(HA無菌プレート 0.45μm、Millipore°MAHAS4510)。
-捕獲抗体:ラット抗-マウスIFN-g R4-6A2(Phrmingen°18181D)。
-検出抗体:ビオチン-標識ラット抗-マウスIFN-g XMG1.2(Phrmingen°18182D)。
-Extravidin-AP=Extravidin がアルカリンフォスファターゼで標識している(Sigma、E26-36、4℃でn°118)。
-AP試薬:
バッファー:-トリス-HCl pH9.5 100mM
-NaCl 100mM
-MgCl2 50mM
10mlのバッファーとして、
-50mg/mlで100%メタノール中の67μlのニトロブルーテトラゾリウムクロライド(NIBT)(Sigma N-5514)->最終濃度:0.33mg/ml
-50mg/mlで100%ジメチル-ホルムアミド(DMEF)中の20μlの5-ブロモ-4-クロロ-3インドリルフォスフェート(BCIP)p-トルイジン塩(Sigma B-8503)->最終濃度:0.1mg/ml
を加える。
【0080】
実施例9
樹状細胞はフラジェリンにより特異的に活性化される:マウスにPBS、フラジェリンまたはLPS(S.typhimurium)静脈注射(尾の血管)。注射6時間後、脾臓を摘出し、そしてスプレノサイトを単離する。単離した細胞はフローサイトメトリーにより分析した。図13Aおよび13Bに示すように、樹上細胞はフラジェリンにより特異的に活性化される。
【0081】
実施例10
フラジェリンは全身アジュバントである:0および21日において、マウスを皮下的にPBS、フラジェリン、フラジェリンまたはオブアルブミンを伴うLPSで処理したトリプシンで免疫化する(尾の基部)。血清を28/35日目において採取し、そして血清抗体応答をELISA法を使用して測定する。
【0082】
実施例11
フラジェリンの全身投与は血清抗体応答を増強する:マウス(同系交配BALB/cおよび異系交配NMRI)を皮下経路により、フラジェリン(0.1から30g)および/または200lのエンドトキシンがないPBSにおいて調製したOVA(10-100g)で免疫化した。注射は0および21日目に行った。血清は2および5週間後に採取し、フラジェリンまたはOVAに特異的な抗体反応をELISA法により分析した。
【0083】
実施例12
フラジェリンはin-vitroで樹状細胞の成熟を誘発する:骨髄由来DCを、前述したようにマウスの大腿骨および脛骨から培養した(4)。簡潔に言うと、骨髄細胞をRBC中で枯渇させ、10%FCS(Myoclone supreplus)、2mMのL-グルタミン、10mMのHEPES、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibro BRL)を含む完全RPMI1640培地中の10ng/mlのGM-CSF(Biosource)の存在下において培養処理した6-ウェルプレート(Nunc)において2×105で培養した。3日後、GM-CSFで補った新鮮な培地を加えた。6日後、全細胞または浮遊している細胞のいずれかを、言及したように刺激した。その細胞の表現型を、様々な表面マーカーに特異的な抗体を使用してフローサイトメトリーにより分析した。
【0084】
参考文献
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】上皮細胞におけるCCL20遺伝子のネズミチフス菌(S.typhimurium )で調整された発現。Transwell培養においてCCL20細胞の頂端はネズミチフス菌(S.typhimurium )ATCC14028(moi=100)に45分間感染させ、洗浄し、そしてゲンタマイシン補助培地で支持時間インキュベートした。(a)CCL20遺伝子の転写活性:全RNAを抽出し、逆転写した。CCL20 mRNAレベルをリアルタイムPCRおよびスタンダードとしての18S rRNAを使用して定量した。値は感染していないCaco-2細胞と比較したCCL20 mRNA量の関連した増加として表した。(b)基底培養培地におけるCCL20キモカインの分泌。CCL20濃度はCaco-2細胞の細胞培地において、CCL20-特異性ELISA法により測定した。
【0086】
【図2】上皮細胞における病原体-特異性CCL20転写の誘発。Caco-2細胞の単分子層の頂端を45分間細菌株(moi=100)にさらし、ゲンタマイシンを含む培地において2.5時間インキュベートした。CCL20発現はリアルタイムPCRで定量した。ATCC14028をCCL20誘発のポジティブコントロールとして使用した。結果は2以上の独立した実験を代表する。CCL20転写は(a)実験室用E.coli DH5α、(b)人の結腸フローラ由来の細菌:E.coli EMO、バクテロイデス・ブルガータス(B.vulgatus)、および ビフィズス菌(B.bifidum)、および(c)腸内侵入細菌:ゲルトネル菌(S.enteritidis) SE857および リステリア・モノシトゲネス(L.monocytogenes ) LO28にさらして分析した。
【0087】
【図3】サルモネラ(Salmonella)のCCL20発現のための誘発因子は熱に安定な分泌タンパク質である。分裂したCaco-2細胞の頂端を45分間、細菌(moi=100)にさらした(a)。それからゲンタマイシン補助培地において、細胞を2.5時間インキュベートした。あるいは、細胞を表示された濃度における細菌生産物に3.25時間さらした(b、c)。CCL20遺伝子の転写の活性化はリアルタイムRT-PCRにより定量した。結果は3以上の独立した実験を代表する。(a)CCL20転写の誘発はサルモネラ(Salmonella)-媒介侵入に依存しない。(b)LPS-独立CCL20転写。上皮細胞の頂端または基底部をネズミチフス菌(S.typhimurium)由来の10μg/mlのLPSで処理した。(c)誘発因子はサルモネラ(Salmonella)が分泌したタンパク質である。細胞の頂端をネズミチフス菌(S.typhimurium)からの上澄み液、熱処理上澄み液、またはトリプシン温侵および熱処理の上澄みにさらした。同じ状態において処理したLBブロスはコントロールとして使用した。
【0088】
【図4】サルモネラ(Salmonella)のフラジェリンは上皮細胞における、CCL20およびIL-8の転写の誘発因子である。分裂したCaco-2細胞を頂端的に細菌(moi=100)またはフラジェリンで処理した。CCL20およびIL-8遺伝子の転写はリアルタイムRT-PCRにより定量した(a、b)。結果は3以上の独立した実験を代表する。(a)細胞は45分間、ゲルトネル菌(S.enteritidis)、fliC 変異SEFK32、またはSEFK32(pRP2)(ネズミチフス菌(S.typhimurium)のFliCフラジェリンで補足された)で感染させ、ゲンタマイシンを含んだ培地において2.5時間インキュベートした。(b)フラジェリンによるCCL20およびIL-8発現の用量依存誘発。細胞は頂端的に3.25時間、表示された濃度において精製したネズミチフス菌(S.typhimurium)のFliCフラジェリンにさらした。(c)サルモネラ(Salmonella)株におけるフラジェリンの発現。サルモネラ(Salmonella)の培養からの上澄み(0.5ml)または精製したネズミチフス菌(S.typhimurium)のFliCフラジェリン(1μg)をクマシーブルー呈色(上)およびフラジェリン-特異性Abでのイムノブロッティング(下)によるSDS-PAGE後に分析した。矢印およびアステリスクは、それぞれATCC14028(52KDa)およびSE857(56KDa)由来のフラジェリンの位置を示す。フラジェリン-特異性抗体での凝集は同じ状態で培養した細菌において行った。
【0089】
【図5】フラジェリン処理上皮細胞からの培地に対する応答における未成熟DCの遊走。rhCCL20(7ng/ml)、コントロール培地または未処理のもしくは、フラジェリン処理Caco-2細胞の基底培地(7ng/mlのCCL20)を未成熟DCの遊走アッセイにおいて使用した。具体的には、CCL20を中和するために、アッセイの30分前に、CCL20-特異性mAbを培地と混合した。結果は2つの独立した実験を代表する。
【0090】
【図6】TLR-5の発現については図面上の凡例を参照のこと。
【0091】
【図7】上皮細胞におけるサルモネラ(Salmonella)のフラジェリンによるCCL20の転写の誘発。
【0092】
【図8】サルモネラ(Salmonella)ネズミチフス菌(typhimurium)由来のフラジェリンFliCのアミノ酸配列。太字の下線部の残基は提示されたシグナリング領域を示す。EMBLに記載された全フラジェリン配列の数はD13689であり、それからコードしているDNAも利用できる。
【0093】
【図9】RT-PCRにより測定された、マウスの脾臓から単離した様々な細胞型のTLR5 mRNAレベルのヒストグラム。
【0094】
【図10】フラジェリンはマウスの小腸の絨毛およびパイエル板においてin vivoでCCL20転写を誘発する。BALB/cマウスを麻酔し、そして縛った小腸の係蹄(回腸)を準備した。係蹄の内腔に100μgのフラジェリンまたは100μgのオブアルブミンをネガティブコントロールとして注入した(200μlのPBS中)。2時間後、殺したマウスおよび腸閉塞の係蹄を組織の薄い断片を調製するために冷凍した。放射線ラベルしたアンチセンスCCL20RNAでハイブリダイゼーションを行った。成長後、断片を対比染色し、そして光学顕微鏡で観察した。パイエル板または絨毛を含む領域が観察された。
【0095】
【図11】フラジェリン、油、およびTヘルパーペプチドを伴うコントロールアジュバントに対する応答におけるリンパ細胞によるIFN-γの放出。
【0096】
【図12A】フローサイトメトリーは樹状細胞がフラジェリンにより特異的に活性化されることを示す。
【図12B】フローサイトメトリーは樹状細胞がフラジェリンにより特異的に活性化されることを示す。
【0097】
【図13】フラジェリンは in-vitro で樹状細胞の成熟を誘発する。フラジェリンは低濃度、10ng/mlで活性である。
【0098】
【図14】フローサイトメトリーはフラジェリンに対する応答において in-vivo で樹状細胞の成熟を示す。
【0099】
【図15】フラジェリン、OVA、LPSまたはトリプシン消化フラジェリンで免疫化したマウス由来の血清における抗-オブアルブミンおよび抗-フラジェリン抗体価のヒストグラム。
【0100】
【図16A】BALB Cマウス(図16A)およびNMRIマウス(図16B)におけるフラジェリンおよびOVAに対する血清抗体応答のヒストグラム。
【図16B】BALB Cマウス(図16A)およびNMRIマウス(図16B)におけるフラジェリンおよびOVAに対する血清抗体応答のヒストグラム。
【0101】
【図17】オブアルブミン、オブアルブミンとフラジェリンおよびオブアルブミンとIFA中のTヘルパーペプチドに対する応答における脾臓細胞によるINF-γの放出のヒストグラム。
【0102】
【図18】粘膜経路(鼻腔内)を介したフラジェリンで免疫化されたマウス由来の血清サンプルにおけるオブアルブミン特異性抗体価を示すグラフ。マウスはオブアルブミンまたはフラジェリンで鼻腔内経路を介して、0日目および21日目に免疫化された。オブアルブミン特異性抗体応答はELISA法により28日目の血清サンプルで測定した。
【0103】
【図19】CCL20ルシフェラーゼ受容体構成物で安定的にトランスフェクトしたCaco-2細胞におけるシグナル(CCL20の誘発を介する)に対するフラジェリンの能力を示すグラフ。保存された末端領域1-52および451-494から欠損したすべてのトリプシン断片はシグナリング活性を欠いている。
【0104】
【図20】CCL20ルシフェラーゼ受容体構成物で安定的にトランスフェクトしたCaco-2細胞におけるフラジェリンのトリプシン断片の細胞シグナリングの定量分析を示すグラフ。保存された末端領域1-58、462-494および487-494のどれかが欠損したトリプシン断片はシグナリング活性において強く阻害される。
【0105】
【図21】CCL20ルシフェラーゼ受容体構成物で安定的にトランスフェクトされたCaco-2細胞における、変異フラジェリン(通常切断された形態で設計される)の阻害されたシグナリングを示すグラフ。遺伝子工学により遺伝子操作された切断した変異体の分子中の191-353のみがシグナリングしている。
【0106】
【図22】フラジェリンの部分変異体および欠損形態の細胞シグナリングの定量分析を示すグラフ。保存された領域におけるすべてのフラジェリンの部分変異体および欠損形態は、野生型分子のように同じ濃度範囲においてシグナリングしている。
【技術分野】
【0001】
本発明は抗原に対する患者の免疫応答、特に、腸内上皮細胞のような粘膜組織における適応免疫応答の刺激または誘発に関する。また、本発明は新規な、変異および切頭したフラジェリンタンパク質およびそれらをコードしている核酸を供する。
【背景技術】
【0002】
腸管は通常のフローラの細菌および、同様に腸内病原性微生物にとって特有な最適な場所である。腸内上皮はホストの環境から内腔の環境を分ける物理的障壁を構成するだけでなく、腸内面において損傷を検知するセンチネルとして振舞う。腸内病原細菌は上皮にコロニーを形成し、そしてその上皮細胞との密接な相互作用は前炎症シグナル経路を活性化する(1-3)。この先天的な反応は細菌の素早い除去に必要である。適応免疫はまた、再感染を防止するために刺激されるが、腸管上皮における、この反応の開始機構は未だ解明されていない。
【0003】
樹状細胞(DC)は最初の免疫応答を誘発するための特有の能力を有する骨髄由来の抗原を提示する細胞である。そのため、DCの上皮への漸増は、適応応答を開始するために不可欠である。DCの往来はCCR6およびCCR7ケモカイン受容体の特異的な発現に依存する(4-7)。CCL20ケモカインはLARC,MIP-3アルファとしても知られており、ExodusはCCR6受容体のリガンドである(8)。未成熟なDCはCCR6を発現し、効果的に可溶で微粒な抗原を受け取る(9を参照のこと)。DCの成熟化は危険シグナル、すなわち、細菌、ウイルス、または細胞の構成要素によって誘発され、そして抗原の提示、共通の刺激分子およびその排出しているリンパ節への活性化DCの移動を媒介するCCR7ケモカイン受容体の上昇調節により特徴づけられる。CCL20遺伝子はネズミのパイエル板および結腸並びに人の結腸、虫垂、扁桃腺および皮膚ケラチノサイト上の上皮において発現する(4、6-8、10、11)。CCR6-発現DCはCCL20-発現上皮細胞またはケラチノサイトに近い組織において発見される(6、7、10)。CCR6-ノックアウトマウスにおいて、上皮下の骨髄のDCはパイエル板のドームにおいて不在であり、粘膜系免疫応答は機能しない(7)。それらの発見は腸管における適応応答の誘発において往来しているCCL20-依存DCの役立つ役割を強調している。
【0004】
腸内病原細菌は通常のフローラと競合し、そして先天的な防衛に打ち勝つために特定の毒性要因を生産する。腸内進入性細菌(例えば、サルモネラ(Salmonella)、シゲラ(Shigella)、イェルシニア(Yersinia)、リステリア(Listeria))はパイエル板のM 細胞を経由して上皮に付着し、そして進入する(12)。上皮下に移動後、それらはエンテロサイトまたは食細胞に進入し、および/または複製する。進入する細菌はタイプIII 分泌系を経由して細胞の細胞質に注入された毒を使用して、細胞表面の受容体またはサイトゾルのターゲットとの相互作用により、細胞のシグナリングの経路を変える(3、13)。哺乳類において腸炎を引き起こす様々な血清型サルモネラエンテリカ(Salmonella enterica)は粘膜の炎症と下痢によって特徴づけられる。サルモネラ(Salmonella)は小嚢腺に沿って小腸の絨毛軸まである腸の内側細胞の先端まで侵入することができる唯一の細菌である(14)。人の腸内上皮細胞において、サルモネラ(Salmonella)-誘発炎症性応答はIL-8(CXCL8)および上皮下区画において好中性白血球を漸増する様々な前炎症性ケモカインの基礎分泌によって特徴づけられる(1、15、16)。IL-8分泌の誘発はサルモネラ(Salmonella)の毒性要因および上皮NF-kBシグナリングに依存する(1、2、17、18)。
【0005】
本発明者は細菌に対する応答において、腸内上皮ケモカインの放出が、適応免疫を開始する免疫細胞を漸増できるかを調査してきた。彼らは以前にネズミチフス菌(S.typhimurium )のフラジェリンが上皮細胞からCCL20ケモカインの分泌を刺激し、それがDC走化性の引き金となることを報告している( PNAS 98 (24) 13722-13727,Nov 20th 2001 )。彼らはまた、前炎症性ケモカインIL-8の発現が腸内上皮細胞におけるフラジェリンによって誘発されることを観察した(Gewirtz 他)。
【0006】
本発明者は補助刺激分子の上昇調節およびMHCクラスII制限応答のための機能を示すことにより示されたように、フラジェリン、および特にサルモネラ(Salmonella)のフラジェリンが樹状細胞の直接の成熟化を誘発することを示した。樹状細胞はリンパ球に対する、抗原の最適および有効な提示のための必須条件として成熟する。
【0007】
本発明者はフラジェリン、および特にサルモネラ(Salmonella)のフラジェリンが免疫応答を誘発するために使用することができることを示した。彼らは、皮下および鼻腔内の免疫経路の後、周辺および粘膜組織においてこれを示した。本発明は上皮細胞および直接的に樹状細胞においてシグナリングを刺激するための、全身および粘膜部において、抗体ならびに細胞媒介の免疫応答の増加をもたらすフラジェリンおよびそのホモログ(変異もしくは切断した、またはその断片であるペプチド)の使用を供する。
【0008】
本発明はさらに修飾した、すなわち、突然変異または切頭したフラジェリンを供する。このような修飾したフラジェリンは、活性化部位、すなわち樹状細胞および上皮細胞上のToll-Like受容体(TLRs)またはTLR関連補受容体)と結合してそれらを活性化し、これらの受容体のシグナル分子としてふるまうだろう。
【0009】
本発明者はサルモネラ(Salmonella)のフラジェリンが特に上皮腸内細胞によって、未成熟の樹状細胞の走化性をもたらすCCL20ケモカインの発現および分泌を刺激することを示した。このようなDCの移動は、鞭毛のある腸内病原細菌の摂取、しかる後の腸管における適応免疫応答の誘発に必要な、抗原プロセシングおよび提示のために不可欠であろう。
【0010】
さらに、MHCクラスIエピトープで皮下注射した場合、フラジェリンはIFN-γを生産するためにCD8+リンパ球を刺激し、樹状細胞上の補助刺激性分子の上昇調節は樹状細胞上のMHCクラスI分子上に表出されたペプチドに対して向けられる細胞障害性Tリンパ球(CTL)の機能を活性化するのに十分であることを示唆している。そのため、フラジェリンは特に、共投与したMHCクラスI制限ペプチドに対するCD8免疫応答のアジュバントとして有用である。
【0011】
フラジェリンは種々の細菌株中に広く分布し、そして保存されている(25)。細胞シグナリングに関するドメインは、保存領域、すなわち170アミノ-および90カルボキシ-末端残基に存在することを示しているネズミチフス菌(S.typhimurium )のFliCおよびFljBならびにゲルトネル菌(S.enteritidis)のFliC分子により共有される。
【0012】
遺伝学および生物化学的ストラテジーを使うことにより、本発明者はこの度、アミノおよびカルボキシ末端領域は細胞シグナリングに必要であることを明らかにした。中央領域(191から353残基のあいだ)(それは様々なサルモネラ(Salmonella)血清型および様々な細菌株由来のフラジェリン中で不定である)は細胞シグナリングの役割を果たさない。
【0013】
リステリア・モノシトゲネス(L.monocytogenes )を含むグラム陰性および陽性菌由来のフラジェリンはピコモル範囲において前炎症性である(発明者の観察および(21、24、26-28))。このため、フラジェリンは病原体関連分子パターン(PAMP)のすべての特徴を供する。
【0014】
Toll-Like受容体(TLR)は哺乳類、植物および昆虫PAMPのシグナル伝達に関係する(29)。最近、TLR5はトランスフェクションされた哺乳類の細胞におけるフラジェリン依存シグナリングを媒介することが示された(28)。TLR5はCaco-2細胞において発現し(30)、腸管においてフラジェリンがTLR5を介してケモカイン発現の引き金となりうることを示唆している。さらに、人の腸内において、TLR5はエンテロサイトの頂上および基部の表面で検出される(30)。LPS(周辺組織または無菌の粘膜組織における損傷をシグナルする)は、グラム陰性菌が豊富な腸管の内腔において不活性である。腸管は他のPAMPを使用して、危険のための発達した検出系を有する。フラジェリンはひとつのPAMP候補であるが、他の細菌要素は粘膜の細胞シグナリングに関係する。例えば、大腸菌(E.coli P)の泌尿器の上皮におけるフィムブリエはTLR4を介して炎症の引き金となる(31)。
【0015】
発明者は様々な腸内病原ではあるが、共生細菌ではない細菌はCCL20およびIL-8遺伝子発現を刺激することを示した。病原菌において、鞭毛は感染の間に発現し、そしてそれに関連した運動性は感染力にとって必須である(3)。また、病原細菌は特有の付着および/または進入、および/または上皮細胞の損傷のために毒性要因を生産する(3)。共生細菌もまた鞭毛を備えうる。しかしながら、たとえin vivoで発現したとしても、おそらく共生細菌の鞭毛は上皮細胞と接触しないであろう。その細菌フローラはルミナルコンパートメントおよび粘膜層に制限される(32)。我々は、in vivoにおいて、腸内病原細菌だけが、フラジェリンを上皮細胞表面に密着させて、細胞シグナリングの誘発をもたらすことを提案する。あるいは、非病原細菌は上皮、フラジェリン媒介シグナリングの欠如ももたらし得るメカニズムである前炎症的カスケードを下降調節することが示された(33)。
【0016】
腸管は在住細菌を含むほとんどの内腔物質に対して耐性がある。安定した条件下で、未成熟なDCは、おそらく恒常的に形成されるCCL20-依存メカニズムを介して継続的に腸管に入っており、抗原を採取している(4、7)。補刺激の欠如においてDCによる抗原提示が起きるので、耐性を誘発するため(34を参照のこと)に腸管の損傷の欠如および/または抗炎症性の環境が提案された。CCL20およびIL-8の転写の活性化カップリングは腸管中の保護的免疫応答の誘発のために不可欠であろう。フラジェリンは上皮細胞において前炎症性IL-8ケモカインの発現を誘発することがすでに知られている(21、24、27)。もたらされた炎症は、DCの成熟のために必要とされる危険シグナル、特にTNF-アルファおよびIL-1サイトカインを供する。このため、フラジェリン刺激を得たDCは完全に活性化され、そして適応応答のための有力な刺激物となることができる。CCL20によるメモリーCD4およびBリンパ球の漸増もまた、腸管における免疫の一因となることができる(35)。
【0017】
IL-8およびCCL20遺伝子の転写活性化はNF-kB(p65/p65およびp50/p65)によって媒介される。(11、18)。p65結合部位はIL-8およびCCL20の両方の調節性配列に存在する(ATGから-150 bp のコンティグNT022115.2,)。これはフラジェリン依存のTLR5-媒介NF-kBシグナリングに一致する(28)。しかしながら、IL-8およびCCL20の発現のカップリングは完全ではない。IL-8遺伝子の転写は、熱滅菌した細菌またはフラジェリンに対してさらされた上皮細胞と比べ、生きたサルモネラにさらされた上皮細胞において有意に高く、一方CCLmRNAは一定のままであった。そのためCCL20発現の活性化は特異的にフラジェリンに依存しているように見える。一方、IL-8転写は前述したように生きた細菌によって伝達される他の構成要素によって調節される(1、2、33)。
【0018】
腸内病原微生物と上皮細胞との相互作用において漸増した未成熟DCは、細菌の生存および散在のために最適な場所を構成しうる。ネズミチフス菌(S.typhimurium)はパイエル板において上皮下のDCに取り込まれる(36)。DCにおけるネズミチフス菌(S.typhimurium)の生存はマクロファージにおける細胞内の生存に必要な毒性要因には依存しない(37)。このため、上皮下の未成熟DCは細菌を腸からより深い器官、例えば腸間膜リンパ節、脾臓または肝臓(そこでマクロファージに送達される)へと運ぶための最も有力な候補である。フラジェリンのケモカイン-刺激活性はDCのパイエル板および絨毛の上皮下部への移動を増強するために不可欠なはずである。DCを介した散在はリステリア・モノシトゲネス(L.monocytogenes )で説明されている(38)。
【0019】
サルモネラ(Salmonella)と同様にリステリア・モノシトゲネス(L.monocytogenes )は、他の毒性要因と同等に発現される鞭毛を生産する。リステリア(Listeria)の鞭毛がCCL20の誘発因子であるか否か、未成熟DCがこれらの細菌のための媒体であるか否かは病原性を明らかにするための重要な問題である。最近、Rescignoおよび共同者はin vitoro およびin vivoの両方において、内腔の細菌を採取するために、マウスのDCが腸内上皮に浸透することを報告した(39)。DCの急速な移動が、Caco-2細胞において観察されるCCL20誘発と並行しないため、このプロセスがフラジェリン-およびCCL20-媒介であるか否かを試験すべき事項が残されている。しかしながら、回腸をくくったマウスにおいて、フラジェリンの投与はパイエル板および絨毛におけるCCL20遺伝子の転写の誘発をもたらす(図10)。これらの観察は腸管上皮でのフラジェリンの効果は生理的な関連があることを示す。
【0020】
先天的および適応的免疫において、フラジェリンシグナリングの能力は粘膜のワクチン接種において新しい可能性を供する。
【0021】
単量体フラジェリンは、CCL20-媒介の樹状細胞の漸増をもたらす上皮腸内細胞において信号を送る。粘膜部位における樹状細胞の漸増は、排出しているリンパ節において、抗原およびワクチンの有効な取り込み、プロセシングおよび提示を行う。そのため、共投与した抗原への免疫応答を増強するように機能する。
【0022】
CCR6(未成熟樹状細胞において発見されるCCL20の受容体)ノックアウトマウスがこれらの反応において損なわれていることから、CCL20は粘膜免疫応答において役立つようにみえる。さらに、DCの往来は適応免疫応答を高めるために不可欠であることが知られている。
【発明の開示】
【0023】
このように、このたび、本発明者は、フラジェリンまたはフラジェリン断片が、上皮細胞および樹状細胞経由での適応免疫応答を誘発ために使用できることを示した。例えば、抗原に対する適応免疫応答を刺激し、増大し、または開始する。上記抗原は免疫応答を誘発または増強するために所望される、いかなる標的抗原であってよく、上記抗原は例えば、病原微生物として患者の体内に存在してもよい。または、例えばワクチンの形態として患者に投与してもよい。
【0024】
このように、本発明は上記応答を誘発するための有効量におけるフラジェリンタンパク質またはそのペプチド断片の患者への投与を含んで成る、標的抗原に対する患者における適応免疫応答の誘発方法を供する。
【0025】
好ましい第一の観点はまた、直接的にまたは上皮細胞の刺激を介する粘膜表面における樹状細胞の漸増によって、間接的に樹状細胞-依存適応免疫応答を誘発できる、フラジェリンタンパク質またはそのペプチド断片の有効量の患者への投与を含んで成る、標的抗原に対する患者の適応免疫応答の誘発方法を供する。さらに好ましい、第一の観点は、直接的に樹状細胞-依存適応免疫応答(上記において樹状細胞の成熟化は誘発されており、さらに好ましくは増大されている)を誘発できるフラジェリンタンパク質またはそのペプチド断片の有効量の患者への投与を含んで成る標的抗原に対する患者の細胞適応免疫応答を誘発する方法を供する。
【0026】
本発明の第二の好ましい観点は腸管粘膜、さらに一般的には、患者のいかなる粘膜上皮において、患者へのCCL20の放出における競合的な効果を有するフラジェリンタンパク質またはそのペプチド断片の有効量の投与を含んで成る、標的抗原に対する適応免疫応答の誘発方法を供する。
【0027】
特に、本発明の第一および第二の好ましい観点は、標的抗原に対する適応免疫応答の誘発の方法を供する。ここで、誘発は未成熟樹状細胞の漸増による。好ましくは、第一および第二の好ましい観点において使用されるフラジェリンまたはそのペプチド断片は非経口的にまたは経皮的に投与される。さらに好ましくは、第一および第二の好ましい観点において使用されるフラジェリンまたはそのペプチド断片は粘膜経路(口腔内伝達は特に好ましく、さらに好ましくは鼻腔内伝達)を経由して投与される。フラジェリンまたはそのペプチド断片は、例えば単独で、もしくは数種で標的抗原とともに、特にワクチンアジュバントの形態において投与または共投与できる。
【0028】
本発明の第一および第二の観点の最初のサブセットにおいて、上記反応を誘発することの所望される抗原をと一緒にフラジェリンタンパク質またはそのペプチド断片を投与することを含んで成る、例えば、適応免疫応答の誘発ための、経口ワクチン接種または鼻腔内ワクチン接種における未成熟な樹状細胞の漸増の誘発方法を供する。
【0029】
好ましくは、本発明の第一および第二の観点において使用されるフラジェリンタンパク質フラジェリンのN末端配列またはC末端配列の保存領域の少なくとも一方を含む。さらに好ましくは、本発明の第一および第二の観点において使用されるフラジェリンタンパク質はサルモネラ(Salmonella)フラジェリンの170N末端配列および90C末端配列の保存領域、特にゲルトネル菌(S.enteritidis)またはネズミチフス菌(S.typhimurium)によって共有される保存領域を含む。予備結果はこの活性を有するその領域がネズミチフス菌(S.typhimurium)の1-190および354-494残基に制限されうることを示唆する。
【0030】
特に、ワクチンアジュバントとしてのこのようなフラジェリンタンパク質の使用を供する。
【0031】
最初のサブセットにおける使用のための薬剤の好ましいペプチド配列は10から60アミノ酸長、より好ましくは、20から45アミノ酸長であり、且つ、Caco-2細胞中のシグナリングに関与している、本明細書に記載した配列の対応部位(図8)に対し高いホモロジー、例えば70%以上、より好ましくは90%以上を有する。さらに好ましい配列は上記配列部位に対して70%以上の同一性を有する。
【0032】
ホモロジー(相同性)およびアイデンティティ(同一性)の説明並びにこの調査方法はこれらの当業者にとって周知であろう。特に、説明は引用により本明細書際に組み入れるPCT/EP00/09325、およびそれに由来する対応の米国出願において記載されている。相同性および同一性はまた、ギャップまたは欠失を適宜導入しながら、配列間のアミノ酸を順次対合させることにより決定できる。
【0033】
本発明の第三の観点において、例えば、適応免疫応答を誘発するための粘膜のワクチン接種、より好ましくは経口または鼻腔内ワクチン接種における未成熟樹状細胞の漸増を誘発するための医薬の製造におけるフラジェリンタンパク質またはそのペプチド断片の使用を供する。このように好ましい使用は、例えば、経口または鼻腔内ワクチンにおけるアジュバントとしてである。第三の観点におけるサブセットは、皮下のワクチン接種における、MHCクラスI制限ペプチドに対する適応免疫応答を誘発するためのフラジェリンまたはそのペプチド断片の使用を供する。
【0034】
本発明の第四の観点は、治療における使用のための(a)腸管上皮細胞からのCCL20の放出および(b)樹状細胞の成熟化、の1つまたは双方におけるアゴニスト効果を有するフラジェリンタンパク質またはそのペプチド断片を供する。ここでのタンパク質またはペプチドは免疫応答を誘発する能力を保持することを許容するように切断され、突然変異され、または欠損を有することを特徴とする。
【0035】
第四の観点のある好ましいタンパク質またはペプチド断片は、腸内または樹状フラジェリン受容体、例えば、TLRおよび関連受容体と結合する能力を保持し、そして免疫シグナリングを保持する。
【0036】
第二、第三およびさらなる観点のための好ましいタンパク質およびペプチドは上記の第一および第二の観点で説明したものとして存在するであろう。
【0037】
本発明の第五の観点は医薬受容担体、添加剤もしくは希釈剤と共に本発明のタンパク質もしくはペプチド断片を、または無菌および発熱遊離形態におけるこれらのタンパク質もしくはその断片を含んで成る組成物を供する。
【0038】
本発明の第六の観点は、ネズミチフス菌(S.typhimurium )のフラジェリンのアミノ酸配列に対応するが、突然変異、欠失または切頭され、腸内フラジェリン受容体結合特性を保持しながら、活性免疫シグナリング特性をも有するタンパク質またはそのペプチド断片の生産を含んで成る腸内上皮免疫応答の誘発剤の生産方法を供する。
【0039】
第六の観点の好ましい方法は、例えば、部位特異的突然変異PCRプライマーの使用により、上記突然変異、欠失または切断したフラジェリンをコードするDNAの生産を含んで成る。
【0040】
本発明はこのたび、以下の制限のない実施例への言及による例示のみで説明されるであろう。本発明の意図する範囲内にあるさらなる態様は、これらの観点から当業者により行われるであろう。
【実施例】
【0041】
方法
細菌株および培養条件:細菌株は表1に掲載する。SIN株はファージ P22 HT105/int-1 の形質導入により得た。サルモネラ(Salmonella)または大腸菌(E.coli)はLuria-Bertani(LB)培養液中で24時間37℃で培養し、それからLB培養液中で1/1000に希釈して、スタンディング状態で37℃で18時間培養した(19)。細菌濃度は600nmで109細菌毎ml毎ODユニットであり、プレーティングにより計算した。アンピシリンおよびカナマイシンをそれぞれ100および40μg/ml加えた。リステリア・モノシトゲネス(L.monocytogenes ) はブレインハートインフュージョン培地(BHI)中37℃で培養し、ビフィズス菌(B.bifidum) およびバクテロイデス・ブルガータス(B.vulgatus)はグリセロール凍結接種物を使用して嫌気性 GasPakTM(Becton Dickinson,Cockeysville)ビンにおいてBHI中、37℃で培養した。残留細菌を排除するために上澄み液をろ過し、トリプシン(Worthington Biochemical Corporation,Lakewood)10μg/mlにより37℃で30分間タンパク質分解を行った。具体的には、細菌または上澄み液を65℃で20分間熱処理した。補完のために ネズミチフス菌(S.typhimurium)fliC 遺伝子を伴う EcoRI フラグメントを宿すアンピシリン耐性プラスミドpRP2(K.Hughes提供)をサルモネラ(Salmonella)に導入した。フラジェリンの発現は(i)ウサギサルモネラ(Salmonella) H抗血清ポリa-z(Difco laboratories,Detroit)での凝集、(ii)0.35%アガロース中での運動性、および(iii )上澄み液のSDS-PAGE分析ならびにポリa-z 血清およびペルオキシダーゼ標識抗ウサギ血清(Sigma,St Louis)でのイムノブロットによりチェックした。
【0042】
細胞培養および刺激:人の結腸腺癌細胞株Caco-2クローン1を glutamax、10%FCS、1%非必須アミノ酸および4μg/mlのトランスフェリン(Gibco BRL,Rockvilleの細胞培養生成物)を伴うDMEM中で培養した。T-84腸内上皮細胞株は50%DMEM、50%Ham’s F12培地、10%FCSおよび2mM のL-グルタミン中で培養した。細胞はTranswell(直径6mm、3μm孔、Corning Inc.,Action)上で5%CO2下において37℃で10日間培養した。
【0043】
上皮横断(transepithelial)の電気抵抗の平均値はCaco-2およびT-84細胞でそれぞれ、450Ωcm2および1000Ωcm2であった。分化はまた、電子および共焦顕微鏡を使用して、末端の微絨毛の存在および特異性抗体(A.Zweibaum提供)を伴う末端のスクラーゼイソマルターゼの上昇調節によりチェックした。細菌および生物活性材料を完全にDMEMに懸濁し、上端部(300μl)または基底部(1ml)のいずれかを加えた。感染させるため、細胞を108の細菌,すなわち〜100の感染多重度(moi)で45分間インキュベートし、PBSで洗浄し、そして細胞内の細菌を殺すために、50μg/mlのゲンタマイシン(リステリア(Listeria)のために5μg/ml)を含む培地でインキュベートした。あるいは、実験の継続のため、細胞を上澄み液、リポポリサッカライド(LPS)またはフラジェリンに暴露させた。提示時間で、全RNAを調製し、および/または培地を回収した。
【0044】
mRNAレベルの分析のためのリアルタイム定量PCR:全RNAを3つのTranswellフィルター(Rneasy,Quiagen,Switzerland)の細胞から単離し、Sperscript II(Gibco BRL)を使用して100ngで逆転写を行った。生じたcDNA(1ng)をSYBR(登録商標)-GreenPCRアッセイでトリプケートで増幅し、そして生産物をPrism5700検出システム(SDS、ABI/Perkin-Elmer,Fooster City)で検出した。PCR反応を50℃で2分間および95℃で10分間インキュベートし、60℃において1分間アニーリング/伸長および95℃において15秒の変性で40増幅サイクルにより行った。cDNAの総量を標準化するために18SリボゾーマルRNAを使用した。配列(NM004591、Y00787、およびX03205)からデザインされたCCL20のためのプライマー(CCAAGAGTTTGCTCCTGGCTおよびTGCTTGCTGCTTCTGATTCG)IL-8のためのプライマー(CACCGGAAGGAACCATCTCAおよびGGAAGGCTGCCAAGAGAGC)および18Sのためのプライマー(ACATCCAAGGAAGGCAGCAGおよびTTTTCGTCACTACCTCCCCG)はそれぞれ、75、72および65 bpのPCR生成物を生成した。PCRの特異性は融解曲線分析チェックし、そしてシークエンシングした。相対mRNAレベル(2ΔΔC)は(i)注目の遺伝子および18S rRNA(ΔC)のcDNA間の立ち上がりPCRサイクル数(C)、(ii)処理および未処理コンディション(ΔΔC)間のΔC値を比較することにより測定し、相対mRNAレベルのSDは以下に従い計算した。
;2(ΔΔC±√{SD[ΔC(処理)]2+SD[ΔC(未処理)]2})2倍以下のRNAレベルの増大は有意であるとは考えない。
【0045】
CCL20-特異性 ELISA 法:3μg/mlの人のCCL20-特異性mAb(クローン67310.111,R&D Systems,Minneapolis)でコートしたマイクロプレートを、培養培地においてCCL20を捕らえるために使用した。1μg/mlに希釈したヤギの抗-人CCL20(R&D Systems)をAbの検知として使用し、そして1/2000に希釈したペルオキシダーゼ標識ウサギ抗-ヤギAb(Sigma)で発色を行った。CCL20濃度は遺伝子組み換え人(rh)CCL20(R&D Systems)を使用したスタンダードカーブから計算した。立ち上がり検出は0.5ng/mlだった。
【0046】
LPSおよびフラジェリンの精製:前述したように、LPSを熱フェノール抽出により精製した(20)。あるいは、ネズミチフス菌(S.typhimurium) LPS製品を使用する(L-6511,Sigma)。前述したように、フラジェリンは、LB中で撹拌しながら37℃で16時間培養したサルモネラ(Salmonella)株SEFK32(pRP2)から調製した。簡潔に言うと、鞭毛は表層から剥ぎ取り、超遠心分離によりペレットにし、そしてフラジェリンモノマーを放出させるために酸性化した。フラジェリンはPBSにおいて濃縮し、−80℃で保管した。
【0047】
CD34+-由来DCの世代:原種は抗-CD34 mAb(Immu-133.3,Immunotech,France)、ヤギ抗-マウスIgG-コートミクロビーズおよびMidiMacsカラム(Miltenyi Biotec,Germany)を使用したポジティブセレクションにより、臍帯血から単離した。CD34+細胞はRPMI-1640、10%FCS、200U/mlのrhGM-CSF(Schering-Plough Research Institute,Kenilworth)、50U/mlのrhTNFα(PeproTech Inc.,Rocky Hill)および10U/mlのrhSCF(R&D Systems)中で培養した。7日後、その細胞(30-50%CDla+DC、25-35%CDla-CD14+DC前駆体および分化していないCD34+細胞)を採取した。
【0048】
走化性アッセイ:完全DMEM(2%FCS)で培養されたCaco-2細胞由来の上澄み液、またはrhCCL20を24ウェルプレートに加え、また5×105DCをTranswellインサート(5μm孔、Corning Inc.)に加えた。プレートは37℃で1.5時間インキュベートした。遊走した細胞はFITC-ラベル抗-CDla mAbおよびPE-ラベル抗-CD14 mAbで染色し、そしてフローサイトメトリーにより数えた。中和のため、サンプルは10μg/mlのヤギ抗-CCL20Abとともに37℃で30分間インキュベートした。
【0049】
マウスの免疫化のためのフラジェリンの精製:FliC-生産性ネズミチフス菌(S.typhimurium)株SIN22(fljB5001::MudJ)およびフラジェリン欠損SIN41(fliC5050::MudJ fljB5001::Mud-Cam)をそれぞれ、ドナーとしてTH714およびTH2795株(K.Hughes提供)ならびにレシピエントとして野生型株ATCC14028を使用し、ファージP22 HT105/int-1の形質導入により得た(43、47)。フラジェリンは、前述したようにLuria Bertani培地において撹拌しながら37℃で16時間培養したSIN22株から調製した(48)。簡潔に言うと、鞭毛は表層から剥ぎ取り、超遠心分離によりペレットにし、そしてフラジェリンモノマーを放出させるために65℃で30分間熱した(5mg/l培養)。フラジェリンはPBSにおいて濃縮し、100kDカットオフデバイスでろ過し、Detoxi-Gel Affinity Colum(Pierce)を使用してエンドトキシン活性を枯渇させ、そして-20℃で保管した。エンドトキシンの夾雑は Limulus 変形細胞溶解産物のPyrochromeアッセイ(Cape Codが組み込まれた)を使用して定量した;本実験において4つの独立したバッチを使用し、エンドトキシン量は20pg毎μgフラジェリン以下だった。エンドトキシンの枯渇を除くSIN41株からの同様の調製はフラジェリンとは関係ない微生物の生産物による汚染を制御するために行った。具体的には、70℃で1時間不活性化した細胞培養クオリティートリプシン、0.05%EDTA、0.02%溶液(Biochrom AG)とともにフラジェリンを37℃で30分間完全に消化した。フラジェリン純度はSDS-PAGE分析並びにフラジェリン特異マウスのポリクローナル血清およびペルオキシダーゼ-標識抗-マウスIgG(Biorad)でのイムノブロットにより分析した。フラジェリン-特異血清は、35日目に皮下の免疫化したC57BL/6から、40μgのフラジェリン+CFAおよび20μgのフラジェリン+IFAは0および26日目に、それぞれ得た。
【0050】
オブアルブミン(OVA、Grade VII 、Sigma)およびニワトリの卵リゾチーム(HEL、Appligen)はまた、ポリミキシンカラム(<20pgエンドトキシン毎μgタンパク質)を使用して解毒した。タンパク質濃度はBradfordマイクロアッセイ法(Biorad)により検出した。
【0051】
抗体とフローサイトメトリー:FACS(登録商標)呈色分析は以下のmAbを使用して行った。:抗-CD11c-FITCまたは-PEまたは-ビオチン(クローンHL3)、抗-MHCII-PE(クローン2G9)、抗-B220-Cy5または-CyChrome(クローンRA3.6B2)、抗-CD8α-CyChrome(クローン53.6.7)、抗-CD4-CyChromeまたは-ビオチン(クローンLT4)、抗-CD80-ビオチン(クローン16-10A1)、抗-CD86-ビオチン(クローンGL-1)、抗-CD40-ビオチン(クローン3/23)(PharMingen)。抗-F4/80-FITCまたは-ビオチン(クローンF4/80)および抗-MHCII-ビオチン(クローン11.54.3)は実験室において精製し、標識した。
【0052】
I-Akとの関係でペプチドHEL46-61を認識するビオチン化したC4H3 mAbは Pr.R.Steinman (Yale University,USA)から提供された。ビオチン化抗体はPE(Serotec)、CyChrome (PharMingen)またはアロフィコシアミン(Molecular Probes)のいずれかに接合したストレプトアビジンで明らかにした。フローサイトメトリーは3または4色のFACSCaliburTMサイトマーを使用して行い、CELLQuestTMソフトウェア(Becton Dickinson)を使用して分析した。
【0053】
TLR5 mRNAのRT-PCR分析:全RNAを単離し、DNaseI(Quiagen)により処理した。逆転写(RT)はSuperscriptII(Gibro BRL)を使用して行った。マウスBMまたは脾臓細胞のために、前述したように、cDNAをTLR5に特異的なプライマー(CGCACGGCTTTATCTTCTCC,GGCAAGGTTCAGCATCTTCAA)および18S RNAの全量を標準化するために18SリボソーマルRNAに特異的なプライマーを使用してSYBR(商標登録)-Green PCRアッセイを行った(47)。PCRの特異性は融解曲線の分析によりチェックし、そしてシークエンシングした。相対mRNAレベル(2ΔΔC)は(i)注目の遺伝子および18S rRNA(ΔC)のcDNA間の立ち上がりPCRサイクル数(C)、(ii)全脾臓部のために得られたΔC値を控除したΔC値であって、任意の関係(ΔΔC)として選ばれた値を比較することにより測定した。
【0054】
(ヒト細胞のために、スタンダードPCRは40サイクル(94℃45秒、53℃45秒、72℃1分)で、人のTLR5のための以下のプライマー;AGTTCTCCCTTTTCATTGTATGおよびGAATCTGTTTTGGTCACTGTAT(259bp)ならびに人のβ-アクチンのためのプライマー;TGACGGGGTCACCCACACTGTGCCCATCTAおよびCTAGAAGCATTGCGGTGGACGATGGAGGG(660bp)を使用して行った。)
【0055】
免疫化した動物の血清におけるフラジェリン-およびOVA-特異抗体の検出:血清を採取し、前述したように、ELISA法により分析した(42)。IgGの測定のために、PBS中でマイクロプレート(Maxisorp Nunc,Life Technologies)を100ngのフラジェリンまたは1gのOVA毎ウェルをコートした。プレイムノ血清および模擬免疫化マウス由来の血清をネガティブコントロールとして使用した。全IgGの検出はペルオキシダーゼ標識ヤギ抗-マウスIgG(Biorad)で行った。力価は0.1の吸収を示した最高希釈として表した。IgG1およびIgG2a力価の絶対定量化は対照血清およびペルオキシダーゼ(Serotec)で標識したウサギ抗-マウスIgG1もしくは羊抗-マウスIgG2aまたはビオチン−標識ヤギ抗-マウスIgG1およびIgG2a(Caltag)のいずれかを使用して行った。
【0056】
マウスの骨髄由来の樹状細胞の調製:骨髄由来のDCをマウスの大腿骨および脛骨から培養した(44)。簡潔に言うと、骨髄細胞をRBC中で枯渇させ、10%FCS(Myoclone supreplus)、2mMのL-グルタミン10mMのHEPES、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibro BRL)を含む完全RPMI1640培地中の10ng/mlのGM-CSF(Biosource)の存在下において培養処理した6-ウェルプレート(Nunc)において2×105で培養した。3日後、GM-CSFで補った新鮮な培地を加えた。6日後、全細胞または浮遊細胞のいずれかを上記のように刺激した。その細胞の表現型を、様々な表面マーカーに特異的な抗体を使用してフローサイトメトリーにより分析した。
【0057】
TLR5の発現を分析するため、骨髄CD11c+細胞をCD11c抗体(N418,Miltenyi Biotech)に結合したMACSマグネチックビーズを使用したポジティブセレクションにより単離した。DCの純度は〜90%だった。
【0058】
スプレノサイト(splenocyte)およびサイトカインの放出の分析:血清中のスプレノサイト(splenocyte)およびサイトカインの放出を分析するため、フラジェリン、ネズミチフス菌(S.typhimurium)LPS(L-6511、Sigma)またはホスホロチオエートCpGオリゴヌクレオチド(TCCATGAC GTTCCTGATGCT,Eurogentec)を尾の血管に注射した。スプレノサイト(splenocyte)を単離するために脾臓を摘出し、および/または実験により、異なる時期に血清を採取した。
【0059】
免疫化したマウスの脾臓由来の細胞の調製:脾臓のDCを前述したように単離した(41)。簡潔に言うと、脾臓の小断片を、5%FCSで補ったRPMI1640培地中の0.5mg/mlCollagenase D(Roche)および40μg/mlDnase I(Roche)とともに37℃で10分間インキュベートした。機械的に解離後、5%FCSおよび5mMのEDTAで補ったPBS中で広範囲に洗浄し、そして5mMのEDTAを含んだ冷えた等浸透性のOptipurepTM溶液(Nycomed)において再懸濁した。遠心分離において、低密度分画(LDF)は通常、脾臓中1%と比較して20-30%のDCを含む。TLR5の発現を評価するため、適当な抗体で呈色した後、DC(CD11c+ F4/80-/low B220-)、Bリンパ球(B220+ CD11c-)およびマクロファージ(F4/80high)をFACStarTMフローサイトメーター(Becton Dickinson)におけるFACSソーティングにより単離した。
【0060】
サイトカイン特異ELISA法:サイトカイン(IL−12 p40、IL−12 p70およびTNF-α)は血清および培養上澄み液において製造業者の推薦によるPharmingen 製のサンドイッチELISAキットにより定量した。
【0061】
人の樹状細胞の調製:人のDCの調製のために、前駆細胞をへその緒の血液から、抗-CD34 mAb(Immu-133.3,Immunotech)、ヤギ抗-マウスIgGマイクロビーズおよびMACS(登録商標)(Miltenyi Biotec)を使用したポジティブセレクションにより単離した。CD34+細胞はRPMI-1640、10%FCS、200U/mlのrhGM-CSF(Schering-Plough Research)、50U/mlのrhTNF(PeproTech Inc.)および10U/mlのrhSCF(R&D System)中で培養した。7日後、その細胞(30-50%CDla+DC、25-35%CDla-CD14+DC前駆体および分化していないCD34+細胞)を採取した。
【0062】
Adoptive transfer(養子移植法)実験:OVA-特異性CD4+T細胞を、DO11.10 SCIDマウスの脾臓およびリンパ管から純度>98%のMACS CD4ビーズ(Miltenyi Biotech)を使用して単離した。その細胞を5μMのカルボキシフルオレスセインジアセテートサクシニニルエステル(carboxyflluorescein diacetate succininyl ester)(CFSE、Molecular Probes)で染色し、そして4-5×106細胞をBALB/cレシピエントマウスに静脈注射した。1日後、マウスをPBS、フラジェリンおよび/またはOVAのいずれかで免疫化し、そして免疫化した動物由来のスプレノサイトをフローサイトメトリーにより72時間後に分析した。CFSE陽性細胞を検出し、そしてVβ8+(トランスジェニックTCRに存在)CD4+細胞中でカウントした。
【0063】
実施例1
ネズミチフス菌(S.typhimurium)は腸内上皮細胞においてCCL20遺伝子の発現を誘発する:様々な刺激に応答する、透過性のあるフィルター上で増殖させた人の腸内上皮Caco-2細胞株におけるCCL20ケモカイン遺伝子の発現はリアルタイムRT-PCRおよびELISA法により決定した。未処理細胞において、すべての約1.8±1.0×106のCCL20コピー毎μgが1細胞あたり〜10コピーであることを検出した。頂端および基底の培地においてCCL20の濃度は0.5ng/mlを決して超えなかった。これらの観察は他者により報告されたCaco-2細胞において形成されるCCL20遺伝子の発現を裏付けた(11)。
【0064】
Caco-2細胞の頂端部を伝染力の強いネズミチフス菌(S.typhimurium )ATCC14028にさらすと0.25%の細菌が2時間以内に内在化したことから、効果的な感染をもたらした(補助的材料)。CCL20の転写は感染後、2から3.5時間の間に [15.2±6.9倍(n=20)]最大に増大した(図la)。これらの条件下において、IL-8転写は以前報告したように、27.6±7.8倍増加した(1、15)。CCL20分泌は感染2時間後に有意に増大し、そして6時間でプラトーに達した。感染から20時間後、基底区画において64.8%±6.9%(n=7)回収したためにCCL20の分泌は、局在していた。
【0065】
実施例2
CCL20応答は病原体によって誘発される:CCL20の誘発の特異性を腸管において出会う様々な細菌に対する応答において分析した。大腸菌(E.coli)株、DH5-αおよび共生細菌 E.coli EMO、ビフィズス菌(B.bifigum)、またはバクテロイデス・ブルガータス(B.vulgatus) はCCL20の発現を誘発することができない(図2aおよびb)。対照的に、ゲルトネル菌(S.enteritidis) およびリステリア・モノシトゲネス(L.monocytogenes )を含む病原性細菌はネズミチフス菌(S.typhimurium)のようにCCL20の転写を活性化する(図2c)。
【0066】
実施例3
CCL20の誘発は上皮細胞への進入を必要としない:上皮細胞の侵入はSopEのように、上皮細胞の細胞質中に毒素を注入するサルモネラ(Salmonella)病原性アイランド1(SPI-1)によってコードされるタイプIII 分泌系に依存している(13、22)。これらの毒素は、細菌の内在化およびシグナリング経路の阻害をもたらす細胞膜のしわを誘発する。SPI-1遺伝子の活性化因子をコードするhilA遺伝子の不活性化は侵入を弱める。ネズミチフス菌(S.typhimurium)のhilA変異SIN14およびsopE-不活性化種SIN18は上皮Caco-2細胞においてCCL20の発現を誘発するためのATCC14028として有用であることが発見された(図3a)。熱殺したおよび生きた細菌によるCCL20の誘発は有意な相違はなく(図3a)、このように細菌侵入の機能を排除している。このため、我々の実験はCCL20の刺激は上皮細胞の侵入もSopE毒素の注入も必要としないことを示した。
【0067】
実施例4
CCL20-誘発要素は熱に安定な分泌タンパク質である:ネズミチフス菌(S.typhimurium)の上澄み液は、上皮細胞の表面に塗布すると、強くCCL20の発現を誘発した(図3c)。LPSは細胞シグナリングに関するグラム陰性菌由来の外側の細胞膜の熱-耐性分子である。市販のネズミチフス菌(S.typhimurium)のLPSまたはATCC14028から精製したLPSを伴うCaco-2細胞の頂端部または基底部の処理は、CCL20遺伝子の転写を活性化しなかった(図3b)。このように、LPSそれ自体はCCL20刺激のための誘発要因ではない。
【0068】
すべての細菌で観察されたように、熱処理は上澄み液の活性を消失させなかった(図3c)。しかしながら、上澄み液のトリプシン消化は、完全にCCL20の誘発を無効にした。要するに、これらの実験はCCL20-特異性誘発要因が熱に安定な誘発タンパク質であることを示した。
【0069】
実施例5
フラジェリンはCCL20誘発要因である:鞭毛のフラグメントを構成しているサブユニットであるフラジェリンは、ネズミチフス菌(S.typhimurium)またはゲルトネル菌(S.enteritidis)の上澄み液から回収された主なタンパク質である(図4c)(23)。ネズミチフス菌(S.typhimurium)は2つの52KDaのフラジェリン:FliCまたはFljBを生産するのに対し、ゲルトネル菌(S.enteritidis)は1つの56KDaのフラジェリンFliCを生産する。FliC-欠損ゲルトネル菌(S.enteritidis) SEFK32は前駆種SE857に対して、CCL20遺伝子の発現を誘発することができない(図4a)。ネズミチフス菌(S.typhimurium)由来のFliC遺伝子によるFliC変異の補完は完全にCCL20誘発を回復させた。付け加えると、ネズミチフス菌(S.typhimurium)変異のFljBまたはFliCのいずれかを生産するSIN20またはSIN22は、野生型細菌と同様のレベルまでCCL20転写を刺激した(データ不掲載)。最後に、精製したネズミチフス菌(S.typhimurium)のFliCフラジェリンはCaco-2細胞においてCCL20転写を活性化した(ED50〜20pMおよび図4b)。同様の結果はT-84上皮細胞種の使用により得られた(表)。最近の報告によると(21、24)、フラジェリンはCaco-2細胞において、IL-8遺伝子の転写を誘発することが発見された(図4a-b)。我々の実験はフラジェリンが、上皮腸内細胞において、CCL20およびIL-8遺伝子の発現の誘発に必要とされることを示した。
【0070】
実施例6
フラジェリン-処理細胞からの培地は未成熟DCの遊走を誘発する:人の未成熟DCはrhCCL20に応答して遊走することができる(図5)。遊走はCCL20-特異性抗体とのインキュベーションにより阻害される。DCの低い遊走は未処理細胞からの基底の培地で観察された。おそらくCaco-2細胞によって形成されるCCL20の分泌を反映している。さらに、CCL20-特異性mAbでの培地のインキュベーションは、完全に走化性を無効とした。結論として、フラジェリン-刺激Caco-2からの未成熟DC培地の遊走は特に、CCL20活性に依存する。
【0071】
フラジェリンの配列190および357-494は上皮細胞シグナリングのために必要である:ホタルのルシフェラーゼ受容体遺伝子と結合したccl20プロモーターを含むプラスミドを伴うCaco-2細胞(人の腸内上皮細胞)の安定トランスフェクタントを、96ウェルマイクロプレートにおいて、様々な濃度のフラジェリン、フラジェリン断片または遺伝子操作したフラジェリン変異で処理した。(切頭したフラジェリン分子はプラスミドFliCの遺伝子操作により、または、ネズミチフス菌(S.typhimurium)由来のflicC フラジェリンのトリプシン消化により生産した。)18時間のインキュベーション後、細胞を溶解し、Stedy-Glo 試薬(Progema)を使用してルシフェラーゼ活性をアッセイした。ccl20遺伝子転写における上昇倍率はPBSで処理した細胞の化学発光に対するサンプルの化学発光の割合として測定した。
【0072】
図19、20および21に示した結果はアミノおよびカルボキシ末端領域が、細胞シグナリングに必要であることを示す。中央の領域(191から353残基の間)(様々なサルモネラ(Salmonella)血清型および様々な細菌株由来のフラジェリンの中で不定である)はシグナリングにおいて役割を担わない。このため、不可欠な領域は2つの領域(1から190までの残基および354から446までの残基)に制限されているように見える。
【0073】
実施例8
皮下的に投与されたフラジェリンおよびMHCクラスI-制限ペプチドによるCD8+リンパ球を生産する抗原-特異性IFN-γの刺激:
リンパ組織においてIFN-γを生産するリンパ球の個体数を測定するため、IFN-γ ELISPOTを使用した。オブアルブミンMHCクラスI-制限ペプチドを使用することにより、発明者はこの度、フラジェリンの存在下において、上記ペプチドを皮下的(尾の基底)に投与した場合にペプチドに応答するリンパ球の数の増加を示す。ネガティブコントロールとして、ペプチドを単独で注入した。ポジティブコントロールとして、破傷風菌の毒素由来のユニバーサルヘルパーペプチドおよび不完全なFreund's アジュバント(ミネラルオイル)(これは強いCD8応答の引き金になることが知られている)と共に注入した。
【0074】
手順は以下に従う:IFN-γ ELISPOT
-2番目のIFN-γ抗体を加えるまで、無菌に保つ。
-数日前に、実験に十分な細胞を得るために、APC細胞を分裂させる。
-それぞれの条件で少なくとも4重にする。
【0075】
DAY-1
1-コートは一昼夜、RTマルチスクリーンマイクロプレートにおいて、7.3ml毎プレートにおいて>44μlのPBS6μg/mlで希釈した75μl/ウェルの捕獲抗体(34.1)で行う。
2-設計はペーパー上のプレートで行う。
【0076】
DAY0
3-マウスにおける組織およびエフェクター細胞の採取
-エフェクター細胞は脾臓または他のリンパ組織から得ることができる。リンパ管もしくは脾臓をホモジェナイズまたは温侵し、そして赤血球を溶解する。
-RPMI-10においてプレートを3回洗浄し、インキュベーター(1時間以上)において、100μl/ウェルで満たす。
【0077】
4-エフェクター細胞のカウント
-RPMI-10においてエフェクター細胞を洗浄し、そして10mlで再懸濁する。
-細胞をカウントし、そして100μl/ウェルをディスパッチするために適当な細胞濃度および容量のチューブを用意する。
通常:スプレノサイトまたはLN細胞は、最初のポイントとして600μlで106とカウントされる。それから倍々希釈(1:10)する。それぞれのポイントは3回ずつ行う。
【0078】
5-細胞の分配
-プレートから完全RPMIを捨てる。
-100μlのPRMI-10/ウェル中の100μl/ウェルのエフェクター細胞+ペプチド20-100μlを加える。
-37℃5%CO2で15-24時間インキュベートする。
【0079】
DAY+1
6-エリスポット(Elispot)の開発
-1回水で洗浄する。
-4回PBS-Tween0.05%で洗浄する。
-7.3ml毎プレートにおいて2μg/mlのPBS-0.05->30μlで希釈した抗体(35.1)の75μl/ウェルの検出で37℃で2時間(または4℃で一昼夜)インキュベートする。
-PBS-T0.05で4回洗浄する。
-100μl/ウェルのアルカリンファスファターゼ(AP)-Extravidin番号118(PBS-T中1:5000で希釈)でRTで1時間インキュベートする。
-PBS-Tにおいて4回洗浄する。
-PBSにおいて2回洗浄する。Tween無し。
-100μl/ウェルのAP試薬を加え、そしてRTで暗室において15-20分間インキュベートする(ブルースポット)。
-水道水でよく洗浄することにより、反応を止め、乾燥させる。
材料
-マルチスクリーンマイクロプレート96ウェル(HA無菌プレート 0.45μm、Millipore°MAHAS4510)。
-捕獲抗体:ラット抗-マウスIFN-g R4-6A2(Phrmingen°18181D)。
-検出抗体:ビオチン-標識ラット抗-マウスIFN-g XMG1.2(Phrmingen°18182D)。
-Extravidin-AP=Extravidin がアルカリンフォスファターゼで標識している(Sigma、E26-36、4℃でn°118)。
-AP試薬:
バッファー:-トリス-HCl pH9.5 100mM
-NaCl 100mM
-MgCl2 50mM
10mlのバッファーとして、
-50mg/mlで100%メタノール中の67μlのニトロブルーテトラゾリウムクロライド(NIBT)(Sigma N-5514)->最終濃度:0.33mg/ml
-50mg/mlで100%ジメチル-ホルムアミド(DMEF)中の20μlの5-ブロモ-4-クロロ-3インドリルフォスフェート(BCIP)p-トルイジン塩(Sigma B-8503)->最終濃度:0.1mg/ml
を加える。
【0080】
実施例9
樹状細胞はフラジェリンにより特異的に活性化される:マウスにPBS、フラジェリンまたはLPS(S.typhimurium)静脈注射(尾の血管)。注射6時間後、脾臓を摘出し、そしてスプレノサイトを単離する。単離した細胞はフローサイトメトリーにより分析した。図13Aおよび13Bに示すように、樹上細胞はフラジェリンにより特異的に活性化される。
【0081】
実施例10
フラジェリンは全身アジュバントである:0および21日において、マウスを皮下的にPBS、フラジェリン、フラジェリンまたはオブアルブミンを伴うLPSで処理したトリプシンで免疫化する(尾の基部)。血清を28/35日目において採取し、そして血清抗体応答をELISA法を使用して測定する。
【0082】
実施例11
フラジェリンの全身投与は血清抗体応答を増強する:マウス(同系交配BALB/cおよび異系交配NMRI)を皮下経路により、フラジェリン(0.1から30g)および/または200lのエンドトキシンがないPBSにおいて調製したOVA(10-100g)で免疫化した。注射は0および21日目に行った。血清は2および5週間後に採取し、フラジェリンまたはOVAに特異的な抗体反応をELISA法により分析した。
【0083】
実施例12
フラジェリンはin-vitroで樹状細胞の成熟を誘発する:骨髄由来DCを、前述したようにマウスの大腿骨および脛骨から培養した(4)。簡潔に言うと、骨髄細胞をRBC中で枯渇させ、10%FCS(Myoclone supreplus)、2mMのL-グルタミン、10mMのHEPES、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibro BRL)を含む完全RPMI1640培地中の10ng/mlのGM-CSF(Biosource)の存在下において培養処理した6-ウェルプレート(Nunc)において2×105で培養した。3日後、GM-CSFで補った新鮮な培地を加えた。6日後、全細胞または浮遊している細胞のいずれかを、言及したように刺激した。その細胞の表現型を、様々な表面マーカーに特異的な抗体を使用してフローサイトメトリーにより分析した。
【0084】
参考文献
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】上皮細胞におけるCCL20遺伝子のネズミチフス菌(S.typhimurium )で調整された発現。Transwell培養においてCCL20細胞の頂端はネズミチフス菌(S.typhimurium )ATCC14028(moi=100)に45分間感染させ、洗浄し、そしてゲンタマイシン補助培地で支持時間インキュベートした。(a)CCL20遺伝子の転写活性:全RNAを抽出し、逆転写した。CCL20 mRNAレベルをリアルタイムPCRおよびスタンダードとしての18S rRNAを使用して定量した。値は感染していないCaco-2細胞と比較したCCL20 mRNA量の関連した増加として表した。(b)基底培養培地におけるCCL20キモカインの分泌。CCL20濃度はCaco-2細胞の細胞培地において、CCL20-特異性ELISA法により測定した。
【0086】
【図2】上皮細胞における病原体-特異性CCL20転写の誘発。Caco-2細胞の単分子層の頂端を45分間細菌株(moi=100)にさらし、ゲンタマイシンを含む培地において2.5時間インキュベートした。CCL20発現はリアルタイムPCRで定量した。ATCC14028をCCL20誘発のポジティブコントロールとして使用した。結果は2以上の独立した実験を代表する。CCL20転写は(a)実験室用E.coli DH5α、(b)人の結腸フローラ由来の細菌:E.coli EMO、バクテロイデス・ブルガータス(B.vulgatus)、および ビフィズス菌(B.bifidum)、および(c)腸内侵入細菌:ゲルトネル菌(S.enteritidis) SE857および リステリア・モノシトゲネス(L.monocytogenes ) LO28にさらして分析した。
【0087】
【図3】サルモネラ(Salmonella)のCCL20発現のための誘発因子は熱に安定な分泌タンパク質である。分裂したCaco-2細胞の頂端を45分間、細菌(moi=100)にさらした(a)。それからゲンタマイシン補助培地において、細胞を2.5時間インキュベートした。あるいは、細胞を表示された濃度における細菌生産物に3.25時間さらした(b、c)。CCL20遺伝子の転写の活性化はリアルタイムRT-PCRにより定量した。結果は3以上の独立した実験を代表する。(a)CCL20転写の誘発はサルモネラ(Salmonella)-媒介侵入に依存しない。(b)LPS-独立CCL20転写。上皮細胞の頂端または基底部をネズミチフス菌(S.typhimurium)由来の10μg/mlのLPSで処理した。(c)誘発因子はサルモネラ(Salmonella)が分泌したタンパク質である。細胞の頂端をネズミチフス菌(S.typhimurium)からの上澄み液、熱処理上澄み液、またはトリプシン温侵および熱処理の上澄みにさらした。同じ状態において処理したLBブロスはコントロールとして使用した。
【0088】
【図4】サルモネラ(Salmonella)のフラジェリンは上皮細胞における、CCL20およびIL-8の転写の誘発因子である。分裂したCaco-2細胞を頂端的に細菌(moi=100)またはフラジェリンで処理した。CCL20およびIL-8遺伝子の転写はリアルタイムRT-PCRにより定量した(a、b)。結果は3以上の独立した実験を代表する。(a)細胞は45分間、ゲルトネル菌(S.enteritidis)、fliC 変異SEFK32、またはSEFK32(pRP2)(ネズミチフス菌(S.typhimurium)のFliCフラジェリンで補足された)で感染させ、ゲンタマイシンを含んだ培地において2.5時間インキュベートした。(b)フラジェリンによるCCL20およびIL-8発現の用量依存誘発。細胞は頂端的に3.25時間、表示された濃度において精製したネズミチフス菌(S.typhimurium)のFliCフラジェリンにさらした。(c)サルモネラ(Salmonella)株におけるフラジェリンの発現。サルモネラ(Salmonella)の培養からの上澄み(0.5ml)または精製したネズミチフス菌(S.typhimurium)のFliCフラジェリン(1μg)をクマシーブルー呈色(上)およびフラジェリン-特異性Abでのイムノブロッティング(下)によるSDS-PAGE後に分析した。矢印およびアステリスクは、それぞれATCC14028(52KDa)およびSE857(56KDa)由来のフラジェリンの位置を示す。フラジェリン-特異性抗体での凝集は同じ状態で培養した細菌において行った。
【0089】
【図5】フラジェリン処理上皮細胞からの培地に対する応答における未成熟DCの遊走。rhCCL20(7ng/ml)、コントロール培地または未処理のもしくは、フラジェリン処理Caco-2細胞の基底培地(7ng/mlのCCL20)を未成熟DCの遊走アッセイにおいて使用した。具体的には、CCL20を中和するために、アッセイの30分前に、CCL20-特異性mAbを培地と混合した。結果は2つの独立した実験を代表する。
【0090】
【図6】TLR-5の発現については図面上の凡例を参照のこと。
【0091】
【図7】上皮細胞におけるサルモネラ(Salmonella)のフラジェリンによるCCL20の転写の誘発。
【0092】
【図8】サルモネラ(Salmonella)ネズミチフス菌(typhimurium)由来のフラジェリンFliCのアミノ酸配列。太字の下線部の残基は提示されたシグナリング領域を示す。EMBLに記載された全フラジェリン配列の数はD13689であり、それからコードしているDNAも利用できる。
【0093】
【図9】RT-PCRにより測定された、マウスの脾臓から単離した様々な細胞型のTLR5 mRNAレベルのヒストグラム。
【0094】
【図10】フラジェリンはマウスの小腸の絨毛およびパイエル板においてin vivoでCCL20転写を誘発する。BALB/cマウスを麻酔し、そして縛った小腸の係蹄(回腸)を準備した。係蹄の内腔に100μgのフラジェリンまたは100μgのオブアルブミンをネガティブコントロールとして注入した(200μlのPBS中)。2時間後、殺したマウスおよび腸閉塞の係蹄を組織の薄い断片を調製するために冷凍した。放射線ラベルしたアンチセンスCCL20RNAでハイブリダイゼーションを行った。成長後、断片を対比染色し、そして光学顕微鏡で観察した。パイエル板または絨毛を含む領域が観察された。
【0095】
【図11】フラジェリン、油、およびTヘルパーペプチドを伴うコントロールアジュバントに対する応答におけるリンパ細胞によるIFN-γの放出。
【0096】
【図12A】フローサイトメトリーは樹状細胞がフラジェリンにより特異的に活性化されることを示す。
【図12B】フローサイトメトリーは樹状細胞がフラジェリンにより特異的に活性化されることを示す。
【0097】
【図13】フラジェリンは in-vitro で樹状細胞の成熟を誘発する。フラジェリンは低濃度、10ng/mlで活性である。
【0098】
【図14】フローサイトメトリーはフラジェリンに対する応答において in-vivo で樹状細胞の成熟を示す。
【0099】
【図15】フラジェリン、OVA、LPSまたはトリプシン消化フラジェリンで免疫化したマウス由来の血清における抗-オブアルブミンおよび抗-フラジェリン抗体価のヒストグラム。
【0100】
【図16A】BALB Cマウス(図16A)およびNMRIマウス(図16B)におけるフラジェリンおよびOVAに対する血清抗体応答のヒストグラム。
【図16B】BALB Cマウス(図16A)およびNMRIマウス(図16B)におけるフラジェリンおよびOVAに対する血清抗体応答のヒストグラム。
【0101】
【図17】オブアルブミン、オブアルブミンとフラジェリンおよびオブアルブミンとIFA中のTヘルパーペプチドに対する応答における脾臓細胞によるINF-γの放出のヒストグラム。
【0102】
【図18】粘膜経路(鼻腔内)を介したフラジェリンで免疫化されたマウス由来の血清サンプルにおけるオブアルブミン特異性抗体価を示すグラフ。マウスはオブアルブミンまたはフラジェリンで鼻腔内経路を介して、0日目および21日目に免疫化された。オブアルブミン特異性抗体応答はELISA法により28日目の血清サンプルで測定した。
【0103】
【図19】CCL20ルシフェラーゼ受容体構成物で安定的にトランスフェクトしたCaco-2細胞におけるシグナル(CCL20の誘発を介する)に対するフラジェリンの能力を示すグラフ。保存された末端領域1-52および451-494から欠損したすべてのトリプシン断片はシグナリング活性を欠いている。
【0104】
【図20】CCL20ルシフェラーゼ受容体構成物で安定的にトランスフェクトしたCaco-2細胞におけるフラジェリンのトリプシン断片の細胞シグナリングの定量分析を示すグラフ。保存された末端領域1-58、462-494および487-494のどれかが欠損したトリプシン断片はシグナリング活性において強く阻害される。
【0105】
【図21】CCL20ルシフェラーゼ受容体構成物で安定的にトランスフェクトされたCaco-2細胞における、変異フラジェリン(通常切断された形態で設計される)の阻害されたシグナリングを示すグラフ。遺伝子工学により遺伝子操作された切断した変異体の分子中の191-353のみがシグナリングしている。
【0106】
【図22】フラジェリンの部分変異体および欠損形態の細胞シグナリングの定量分析を示すグラフ。保存された領域におけるすべてのフラジェリンの部分変異体および欠損形態は、野生型分子のように同じ濃度範囲においてシグナリングしている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者における標的抗原に対する適応免疫応答を誘発する方法であって、上記応答を誘発するための有効量において、上記患者への、フラジェリンタンパク質、またはそのペプチド断片の投与を含んで成る方法。
【請求項2】
上記フラジェリンまたはそのペプチド断片が直接的に樹状細胞の免疫応答を誘発することが可能な、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記樹状細胞の成熟度が増加される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
上記フラジェリンまたはそのペプチド断片が粘膜経路で投与される、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
上記フラジェリンまたはそのペプチド断片が経口または鼻腔内投与である、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
上記フラジェリンタンパク質がフラジェリンのN末端配列およびC末端配列の、1以上の保護領域を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
上記フラジェリンタンパク質が、図8においてアンダーラインで示した、ネズミチフス菌(S.typhimurium)の残基1-190および354-494の1以上の保護領域を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
上記フラジェリンタンパク質またはペプチド断片および上記標的抗原が共-投与される、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
適応免疫応答の誘発のための薬剤の製造におけるフラジェリンタンパク質またはそのペプチド断片の使用。
【請求項10】
前記薬剤が適応免疫反応を誘発するような粘膜的予防接種における未成熟樹状細胞の漸増を誘発するためのものとして特徴づけられる請求項9に記載の使用。
【請求項11】
上記薬剤がアジュバントであることにより特徴づけられる、請求項9または10に記載の使用。
【請求項12】
上記免疫応答を誘発するための能力を保持することを許容する、上記タンパク質またはペプチド断片が、切断され、突然変異され、またはその中に欠損を有することにより特徴づけられる治療における使用のためのフラジェリンタンパク質またはそのペプチド断片。
【請求項13】
腸内または上皮細胞のフラジェリン受容体と結合する能力を保持し、そして免疫シグナリングを保持することを特徴とする、請求項12に記載のフラジェリンタンパク質またはペプチド断片。
【請求項14】
上記フラジェリンタンパク質が、図8においてアンダーラインで示した、ネズミチフス菌(S.typhimurium)の残基1-190および354-494の1以上の保護領域を含むことを特徴とする、請求項12または請求項13に記載のフラジェリンタンパク質またはペプチド断片。
【請求項15】
医薬的に受容可能な担体、添加剤もしくは希釈剤を伴う、または無菌の発熱物質のない形態における請求項12から14のいずれか1項に記載のフラジェリンタンパク質またはそのペプチド断片を含んで成るアジュバント組成物。
【請求項16】
請求項15に記載のアジュバント組成物および標的抗原を含んで成るワクチン組成物。
【請求項1】
患者における標的抗原に対する適応免疫応答を誘発する方法であって、上記応答を誘発するための有効量において、上記患者への、フラジェリンタンパク質、またはそのペプチド断片の投与を含んで成る方法。
【請求項2】
上記フラジェリンまたはそのペプチド断片が直接的に樹状細胞の免疫応答を誘発することが可能な、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記樹状細胞の成熟度が増加される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
上記フラジェリンまたはそのペプチド断片が粘膜経路で投与される、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
上記フラジェリンまたはそのペプチド断片が経口または鼻腔内投与である、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
上記フラジェリンタンパク質がフラジェリンのN末端配列およびC末端配列の、1以上の保護領域を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
上記フラジェリンタンパク質が、図8においてアンダーラインで示した、ネズミチフス菌(S.typhimurium)の残基1-190および354-494の1以上の保護領域を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
上記フラジェリンタンパク質またはペプチド断片および上記標的抗原が共-投与される、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
適応免疫応答の誘発のための薬剤の製造におけるフラジェリンタンパク質またはそのペプチド断片の使用。
【請求項10】
前記薬剤が適応免疫反応を誘発するような粘膜的予防接種における未成熟樹状細胞の漸増を誘発するためのものとして特徴づけられる請求項9に記載の使用。
【請求項11】
上記薬剤がアジュバントであることにより特徴づけられる、請求項9または10に記載の使用。
【請求項12】
上記免疫応答を誘発するための能力を保持することを許容する、上記タンパク質またはペプチド断片が、切断され、突然変異され、またはその中に欠損を有することにより特徴づけられる治療における使用のためのフラジェリンタンパク質またはそのペプチド断片。
【請求項13】
腸内または上皮細胞のフラジェリン受容体と結合する能力を保持し、そして免疫シグナリングを保持することを特徴とする、請求項12に記載のフラジェリンタンパク質またはペプチド断片。
【請求項14】
上記フラジェリンタンパク質が、図8においてアンダーラインで示した、ネズミチフス菌(S.typhimurium)の残基1-190および354-494の1以上の保護領域を含むことを特徴とする、請求項12または請求項13に記載のフラジェリンタンパク質またはペプチド断片。
【請求項15】
医薬的に受容可能な担体、添加剤もしくは希釈剤を伴う、または無菌の発熱物質のない形態における請求項12から14のいずれか1項に記載のフラジェリンタンパク質またはそのペプチド断片を含んで成るアジュバント組成物。
【請求項16】
請求項15に記載のアジュバント組成物および標的抗原を含んで成るワクチン組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公表番号】特表2006−503825(P2006−503825A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−533616(P2004−533616)
【出願日】平成15年9月3日(2003.9.3)
【国際出願番号】PCT/GB2003/003797
【国際公開番号】WO2004/022092
【国際公開日】平成16年3月18日(2004.3.18)
【出願人】(505079257)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年9月3日(2003.9.3)
【国際出願番号】PCT/GB2003/003797
【国際公開番号】WO2004/022092
【国際公開日】平成16年3月18日(2004.3.18)
【出願人】(505079257)
【Fターム(参考)】
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