説明

アスパラガス倒伏防止装置

【課題】資材費を低減化し、保管に場所をとらず、設置及び撤去作業に労力及び時間を要さず、保持部材の張力を容易に調整でき、アスパラガスの倒伏防止効果も低下しないアスパラガス倒伏防止装置を提供する。
【解決手段】畦に沿って定植したアスパラガスの茎葉部の間に支柱2,2,・・・を所定間隔で立設し、両端部に一対の支柱3,3を立設する。立設した支柱2の上端部にロープ保持部材4の装着基部4aを上方から挿入し、支柱2の上端部に装着する。ロープ5を保持杆部4bの先端部に形成された挿通環部4c内に挿通し、その両端部を支柱3,3の上端部に縛着して、アスパラガス倒伏防止装置1を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスパラガスを立茎栽培する際に、アスパラガスの茎葉部が倒伏するのを防止するアスパラガス倒伏防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アスパラガスを長期に亘って収穫できる栽培方法として、アスパラガスを立茎栽培する方法が採用されている。この立茎栽培においては、アスパラガスの収穫量を増大するために、定植初年目から夏秋期において、アスパラガスの茎葉部の倒伏防止処理を施すことが望ましい(例えば、特許文献1参照)。
倒伏防止処理を施すことによって、斑点病の発生を抑制できると共に、受光体勢の悪化を防止できる。これにより、光合成の効率化を図ることができ、貯蔵根に十分な栄養を蓄積できて、来春のアスパラガスの収穫量を増大させることができる。
【0003】
【特許文献1】特開平10−28466号公報
【0004】
アスパラガスの茎葉部の倒伏防止処理に使用される装置として、図4に示すように、畦に沿って定植したアスパラガスの両側に一対の支柱52,53を設置し、このような一対の支柱52,53を畦に沿って所定間隔で設置し、それら支柱52,53の所定高さにネット54を水平に張設したネット張設式倒伏防止装置51が知られている。
【0005】
このネット張設式倒伏防止装置51では、アスパラガスの茎葉部の上部をネット54の網目54aから上方に突出させ、ネット54の網目54aによって茎葉部を支持し、倒伏させないようにしている。
【0006】
又、図5に示すように、畦に沿って定植したアスパラガスの間に一本の支柱62を設置し、このような支柱62を畦に沿って所定間隔で設置し、それら支柱62,62の所定高さに環状としたプラスチックテープ63,64を二段に架設したテープ架設式倒伏防止装置61も知られている。
【0007】
このテープ架設式倒伏防止装置61では、アスパラガスの茎葉部の上部を環状としたプラスチックテープ63,64の内側から上方に突出させ、プラスチックテープ63,64によって茎葉部を支持し、倒伏させないようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、前記ネット張設式倒伏防止装置51は、畦に沿って両側に一対の支柱52,53を設置するから、支柱52,53の本数は多く、ネット54をも使用するので、資材費が高くなり、保管に場所をとると共に、設置及び撤去作業に労力及び時間を要した。
又、ネット54を使用するので、ネット54を一旦設置した後に、ネット54の張力を調整するのは困難であると共に、数年程度の耐久性しかなかった。
さらに、アスパラガスの両側に支柱52,53を設置するから、アスパラガスの生育途中において、中耕、害虫防除等の管理作業を行なう際、支柱52,53が邪魔になって作業がし難かった。
【0009】
一方、前記テープ架設式倒伏防止装置61は、支柱62,62間にプラスチックテープ63,64を張力付勢して架設するため、支柱62,62の間隔を狭くする必要があり、支柱62の本数は多くなり、資材費が高くなり、保管に場所をとった。
又、テープ63,64を架設するため、テープ63,64を一旦設置した後に、テープ63,64の張力を調整するのは困難であると共に、テープは一年程度の耐久性しかなかった。
さらに、プラスチックテープ63,64は劣化し易く、架設張力が緩んでくるため、アスパラガスの生育後半では、アスパラガスの倒伏防止効果は低下した。
【0010】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みて為されたものであって、その目的とするところは、資材費を低減化し、保管に場所をとらず、設置及び撤去作業に労力及び時間をも要さないアスパラガス倒伏防止装置を提供することにある。
又、一旦設置した後にも、保持部材の張力を容易に調整できると共に、保持部材の耐久性も高いアスパラガス倒伏防止装置を提供することにある。
さらに、アスパラガスの生育途中では、部材が邪魔にならずに管理作業がし易く、アスパラガスの生育後半では、アスパラガスの倒伏防止効果が低下しないアスパラガス倒伏防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のアスパラガス倒伏防止装置は、畦の長さ方向中間部に立設される複数の支柱と、両端部に立設される一対の支柱と、前記畦の長さ方向中間部に立設される支柱に装着されるロープ保持部材と、このロープ保持部材に保持され、前記両端部に立設される一対の支柱に縛着されるロープとから構成される。
【0012】
ここで、中間部に立設される支柱は、薄肉円管であって、前記ロープ保持部材は、装着基部を形成してあって、その装着基部を前記支柱の上端部に挿入することによって、支柱にロープ保持部材が装着されるようにしてもよい。
【0013】
前記ロープ保持部材は、下方に延出する装着基部及び側方に延出する保持杆部を有しており、この保持杆部に前記ロープを保持するようにしてもよい。
【0014】
前記ロープ保持部材は、前記保持杆部の先端部に挿通環部を形成してあり、この挿通環部内に前記ロープを挿通して、保持するようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明のアスパラガス倒伏防止装置の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明のアスパラガス倒伏防止装置の外観斜視図であり、図2は、ロープ保持部材を支柱に装着する方法を示す説明図であり、図3は、本発明のアスパラガス倒伏防止装置における支柱の配置図である。
【0016】
本発明のアスパラガス倒伏防止装置1は、図1乃至3に示すように、中間部の支柱2,2,・・・、両端部の支柱3,3、ロープ保持部材4,4,・・・及びロープ5,5とから構成されている。
【0017】
中間部の支柱2は、ステンレス鋼等の金属材料から成形された薄肉円管であって、畦に沿って所定間隔で立設される。
両端部の支柱3も、ステンレス鋼等の金属材料から成形された薄肉円管であって、畦の長さ方向両端部に、畦の幅方向に一対となって立設される。
【0018】
ロープ保持部材4は、図2に示すように、ステンレス鋼等の金属製棒材を屈曲成形し、下方に延出する装着基部4a、側方に延出する保持杆部4b及び保持杆部4bの先端部に形成された挿通環部4cから構成され、その装着基部4aを前記支柱2の上端部に挿入して使用される。
【0019】
ロープ5は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のプラスチック材料から成る線材であって、前記ロープ保持部材4の挿通環部4cに挿通されて使用される。
【0020】
本発明のアスパラガス倒伏防止装置1は、以上のような構成部材から成り、以下のように設置されて使用される。
【0021】
先ず、図1及び3に示すように、畦に沿って定植したアスパラガスの茎葉部の間に支柱2,2,・・・を所定間隔で立設していく。そして、畦の長さ方向両端部には、畦の幅方向に所定間隔で一対の支柱3,3を立設する。
【0022】
次に、図2に示すように、立設した支柱2の上端部に、ロープ保持部材4の装着基部4aを上方から挿入し、図1に示すように、支柱2の上端部に装着する。この時、ロープ保持部材4の保持杆部4b,4bは、略水平状態となっている。
【0023】
次に、ロープ5を保持杆部4bの先端部に形成された挿通環部4c内に挿通し、その両端部を一対の支柱3,3の上端部外周に張力付勢した状態で縛着することによって、アスパラガス倒伏防止装置1は設置される。
【0024】
本発明のアスパラガス倒伏防止装置1によれば、畦に沿って幅方向に所定間隔で張設されたロープ5,5によって、畦に沿って定植されたアスパラガスの茎葉部が外方に傾斜するのを阻止することができ、倒伏するのを防止することができる。
【0025】
本発明のアスパラガス倒伏防止装置1は、畦に沿って一列に支柱2,2,・・・を立設し、両端部のみ一対の支柱3,3を立設するものであるから、従来のネット張設式倒伏防止装置51に比較して、支柱2,3は約半数と少なくなるから、資材コストを大幅に削減することができ、保管に場所をとらないと共に、設置及び撤去作業にそれほど労力及び時間を要しない。
又、ロープ5を挿通環部4c内に挿通し、その両端部を支柱3,3の上端部に縛着するものであるから、ロープ5を中間部で張力付勢する必要はない。よって、従来のテープ架設式倒伏防止装置61の如く、支柱2,2の間隔を狭くする必要はないから、支柱2の本数は少なくなり、資材コストを大幅に削減する等できる。
【0026】
又、ロープ5の両端部を支柱3,3の上端部に縛着しただけであるから、ロープ5を張設した後にあっても、ロープ5の両端部を一旦解き、再度縛着することによって、ロープ5の張力を容易に調整することができる。
さらに、ネット54、テープではなく、比較的に強度の高いロープ5を使用するから、十分な耐久性を有し、相当年数再使用することができる。
【0027】
又、ネット張設式倒伏防止装置51の如く、アスパラガスの茎葉部の両側に支柱52,53を設置するものではないから、アスパラガスの生育途中において、中耕、害虫防除等の管理作業を行なう際、支柱2が邪魔になって作業がし難いということはない。
【0028】
さらに、ロープ5は早期には劣化することはなく、もし架設張力が緩んだとしても、上記の如く、直ちにロープ5の張力を調整することができるから、アスパラガスの生育後半において、アスパラガスの倒伏防止効果が低下するということはない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のアスパラガス倒伏防止装置の外観斜視図である。
【図2】ロープ保持部材を支柱に装着する方法を示す説明図である。
【図3】本発明のアスパラガス倒伏防止装置における支柱の配置図である。
【図4】従来のアスパラガス倒伏防止装置であるネット張設式倒伏防止装置の外観斜視図である。
【図5】従来のアスパラガス倒伏防止装置であるテープ架設式倒伏防止装置の外観斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
1 アスパラガス倒伏防止装置
2 支柱
3 支柱
4 ロープ保持部材
4a 装着基部
4b 保持杆部
4c 挿通環部
5 ロープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
畦の長さ方向中間部に立設される複数の支柱と、両端部に立設される一対の支柱と、前記畦の長さ方向中間部に立設される支柱に装着されるロープ保持部材と、このロープ保持部材に保持され、前記両端部に立設される一対の支柱に縛着されるロープとから構成されるアスパラガス倒伏防止装置。
【請求項2】
前記中間部に立設される支柱は、薄肉円管であって、前記ロープ保持部材は、装着基部を形成してあって、その装着基部を前記中間部に立設される支柱の上端部に挿入することによって、支柱にロープ保持部材が装着されることを特徴とする請求項1に記載のアスパラガス倒伏防止装置。
【請求項3】
前記ロープ保持部材は、下方に延出する装着基部及び側方に延出する保持杆部を有しており、この保持杆部に前記ロープを保持するようにしたことを特徴とする請求項2に記載のアスパラガス倒伏防止装置。
【請求項4】
前記ロープ保持部材は、前記保持杆部の先端部に挿通環部を形成してあり、この挿通環部内に前記ロープを挿通して、保持するようにしたことを特徴とする請求項3に記載のアスパラガス倒伏防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−259822(P2007−259822A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−92598(P2006−92598)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(506107128)
【Fターム(参考)】