説明

アセトニトリル化合物および農園芸用殺菌剤

【課題】植物病害、特にべと病および疫病に対して、より低薬量で高い治療的な効果、耐雨性効果、薬害安全性効果を発揮する新規なアセトニトリル化合物を提供することを課題とする。さらに、それらの化合物を有効成分として含有する殺菌剤、特に農園芸用殺菌剤を提供することを課題とする。
【解決手段】下記一般式(I)で示される化合物(光学異性体を含む)またはその塩、さらにそれを含む農園芸用殺菌剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アセトニトリル化合物およびこれを有効成分として含有することを特徴とする殺菌剤、特に農園芸用殺菌剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、殺菌活性を有すると報告された化合物として、以下の(1)〜(4)に記載した化合物が挙げられる。これらの化合物は、植物病害、特に、べと病および疫病に対して防除効果を示す。
【0003】
(1) 下記一般式(A)または(B)で示される化合物が、殺菌活性を有することが知られている(特許文献1または2参照)。一般式(A)または(B)で示される化合物はいずれも、フェニルプロパルギルエーテル部位を有することを特徴とする。
【0004】
【化1】

【0005】
(2) 下記一般式(C)または(D)で示されるα−オキシまたはα−チオカルボン酸フェネチルアミド誘導体が、殺菌活性を有することが知られている(特許文献3または4参照)。一般式(C)または(D)におけるR3は水素原子、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基を示すことを特徴とする。
【0006】
【化2】

【0007】
(3) 下記一般式(E)で表されるグリオキシル酸アミド類が、殺菌活性を有することが知られている(特許文献5参照)。一般式(E)で表される化合物は、α-イミノカルボン酸アミド構造を有することを特徴とする。
【0008】
【化3】

【0009】
(4) 下記一般式(F)で表される化合物が、殺菌活性を有することが知られている(特許文献6参照)。特許文献6には、一般式(F)で表される化合物の具体例として、(F’)で表される化合物が例示されている。
【0010】
【化4】

【0011】
一般式(F’)で表される化合物は、フェネチルアミド部位のフェニル環上にジメトキシを有することを特徴とする。特許文献6に記載の方法によっては、式(F’)におけるフェネチルアミド部位のフェニル環上の置換基(ジメトキシ)を変更することができる範囲が限られている。
【0012】
一方、農薬は予防的に使用される(例えば、植物病害が発病する前に使用して病原菌の侵入を防ぐ)ことが多い。しかしながら、近年においては農薬の環境に対する負荷の軽減または省力化の要請などから、予防的な効果に加え、さらに治療的な効果を示す(例えば、植物病害が発病した後に使用されても病気を治癒することができる)農薬の開発が望まれている。また、農薬、特に殺菌剤が安定な防除効果を発揮するためには、耐雨性を有することも必要不可欠である。また、農作物に対して薬害のない安全性の高い農薬の開発が望まれている。
【0013】
しかしながら、前記した化合物の植物病害に対する治療的な効果は十分ではない。また、べと病および疫病に対する耐雨性効果についても満足できるものではない。また、必ずしも農作物に対して安全性が高いとは言えない。
【特許文献1】特表2002−534494号公報
【特許文献2】特表2003−533502号公報
【特許文献3】国際公開第03/42167号パンフレット
【特許文献4】国際公開第03/42168号パンフレット
【特許文献5】特表2003−515566号公報
【特許文献6】特表平8−511772号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明はこのような問題点を改善し、植物病害、特にべと病および疫病に対してより低薬量で高い治療的な効果を発揮する新規なアセトニトリル化合物を提供することを課題とする。
また本発明は、べと病および疫病に対してより低薬量で高い耐雨性効果を発揮する新規なアセトニトリル化合物を提供することを課題とする。
また本発明は、農作物に対して薬害のない高い安全性を発揮する新規なアセトニトリル化合物を提供することを課題とする。
さらに、それらの化合物を有効成分として含有する殺菌剤、特に農園芸用殺菌剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、上記課題を解決するために種々の化合物を合成して、それらの殺菌作用について鋭意検討した。その結果、下記の一般式(I)で表されるアセトニトリル化合物が植物病害、特にべと病および疫病に対してより低薬量で高い治療的な効果を示し、また、より低薬量で高い耐雨性効果を発揮することを見出した。また、農作物に対して薬害のない高い安全性を発揮することを見出した。また、それを有効成分として含む組成物が、農園芸用殺菌剤として有用であることを見出して本発明を完成させた。
【0016】
したがって本願の第1の発明は、下記一般式(I)で表されるアセトニトリル化合物またはその塩に関するものである。
ここで、一般式(I)で表されるアセトニトリル化合物は光学異性体であってもよい。
【0017】
【化5】

【0018】
一般式(I)において、
1は、水素原子;ハロゲン原子、アルコキシ基もしくはシアノ基を有していてもよい鎖状もしくはシクロアルキル基;ハロゲン原子を有していてもよいアルケニル基;ハロゲン原子を有していてもよいアルキニル基;または、アルキルカルボニル基を示し、
2は、水素原子またはアルキル基を示し、
mは、0から2の整数を示し、
Xは、ハロゲン原子;アルコキシ基もしくはハロゲン原子を有していてもよい鎖状もしくはシクロアルキル基;ハロゲン原子を有していてもよいアルケニル基:ハロゲン原子を有していてもよいアルキニル基;ヒドロキシ基;ハロゲン原子を有していてもよい鎖状もしくはシクロアルコキシ基;ハロゲン原子を有していてもよいアルケニルオキシ基;ハロゲン原子を有していてもよいアルキニルオキシ基;ハロゲン原子を有していてもよいアルキルチオ基、アルキルスルフィニル基もしくはアルキルスルホニル基;フェニル基;フェノキシ基;シアノ基;ニトロ基;ホルミル基;カルボキシル基;アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基およびアルキニルオキシカルボニル基から選ばれるカルボニル基;1または2のアルキル基を有していてもよいアミノ基;ベンジル基;または、下記一般式(II)
【0019】
【化6】

【0020】
(一般式(II)において、R3は、水素原子またはアルキル基を示し、R4は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基を示す。)
で表される置換基であり、
nは、0から5の整数を示し、
nが2以上のときは、それぞれのXは同一または相異していてもよく、
2つのXがフェニル環炭素の隣り合う2つの炭素にそれぞれ結合し、該2つのXが一緒になってアルキレンジオキシ基またはアルキレン基を示していてもよい。
【0021】
本願の第2の発明は、上記の一般式(I)で表されるアセトニトリル化合物またはその塩を含有することを特徴とする農園芸用殺菌剤に関する。
【0022】
<本発明のアセトニトリル化合物>
本発明のアセトニトリル化合物は、前記一般式(I)で表される化合物である。本発明のアセトニトリル化合物は塩になることができる。例えば、一般式(I)で表される化合物が水素化ナトリウムや炭酸カリウムなどの塩基で処理されると、フェネチルアミド部位の窒素原子上の水素が脱離して塩基性塩になり得る。
【0023】
また本発明のアセトニトリル化合物は、前記一般式(I)で示された通り、アミド部位のカルボニル炭素のα位炭素の位置にキラル中心(不斉中心)を有する。本発明のアセトニトリル化合物は、該キラル中心についての鏡像異性体の混合物であってもよいし、一方の鏡像異性体(R体またはS体)だけからなる光学異性体であってもよい。鏡像異性体の混合物である場合、両異性体の比率は特に制限されず、両異性体を等量ずつ含むラセミ体であってもよいし、いずれかの異性体の比率が高い混合物であってもよい。
本発明のアセトニトリル化合物の光学純度またはエナンチオマー過剰率は、光学分割用カラムを用いたHPLCや、シフト試薬を用いたNMRなどにより求めることができる。
【0024】
以下において、前記一般式(I)におけるR1、R2およびXで示される各置換基、ならびにmおよびnについて説明する。ただし、前記一般式(I)におけるR1、R2およびX、ならびにmおよびnが、ここに示す例に限定されることはない。
【0025】
一般式(I)において、R1は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはアルキルカルボニル基を示す。本願明細書において、アルキル基とは飽和炭化水素基を意味し、アルケニル基とは少なくとも一つの炭素二重結合を有する炭化水素基を意味し、アルキニル基とは少なくとも一つの炭素三重結合を有する炭化水素基を意味する。
【0026】
1で示されるアルキル基は、鎖状アルキル基でも、環状のシクロアルキル基であってもよい。またR1で示されるアルキル基は、無置換のアルキル基でもよいが、任意の原子または置換基を有していてもよく、ハロゲン原子を有するハロアルキル基、アルコキシ基を有するアルコキシアルキル基、シアノ基を有するシアノアルキル基などでありうる。
【0027】
1で示される鎖状アルキル基としては炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を挙げることができる。具体的には、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、2-メチルブチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、4-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、1-メチル-1-エチルプロピル基、1,2-ジメチルブチル基、2-メチル-1-エチルプロピル基、2,2-ジメチルブチル基などを挙げることができる。これらのうち好ましくは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基などが挙げられる。
また、R1で示されるシクロアルキル基としては炭素数3〜7のシクロアルキル基を挙げることができる。また、該シクロアルキル基は炭素数1〜6の分岐鎖を有していてもよい。具体的には、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2-メチルシクロプロピル基、2-メチルシクロペンチル基または2-メチルシクロヘキシル基などを挙げることができる。これらのうち好ましくは、シクロプロピル基が挙げられる。
【0028】
1で示されるハロアルキル基が有するハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素の各原子を挙げることができる。R1で示されるハロアルキル基としては、前記したアルキル基が有する任意の水素原子をフッ素、塩素、臭素またはヨウ素のようなハロゲン原子で置換したアルキル基を挙げることができる。具体的には、例えばトリフルオロメチル基、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、2-フルオロエチル基、2-クロロエチル基、2-ブロモエチル基、1-フルオロエチル基、1,1-ジフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、1-フルオロプロピル基、3-フルオロプロピル基、2-クロロプロピル基、3-クロロプロピル基、3-ヨードプロピル基、1-フルオロブチル基、4-フルオロブチル基、1-クロロブチル基などを挙げることができる。これらのうち好ましくは、トリフルオロメチル基が挙げられる。
【0029】
1で示されるアルコキシアルキル基が有するアルコキシ基は、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシであることが好ましい。
1で示されるアルコキシアルキル基は、例えばメトキシメチル基、エトキシメチル基、n-プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基、n-ブトキシメチル基、イソブトキシメチル基、sec-ブトキシメチル基、tert-ブトキシメチル基、n-ペンチルオキシメチル基、イソペンチルオキシメチル基、n-ヘキシルオキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、n-プロポキシエチル基、イソプロポキシエチル基、n-ブトキシエチル基、イソブトキシエチル基、sec-ブトキシエチル基、tert-ブトキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、n-プロポキシプロピル基、イソプロポキシプロピル基、n-ブトキシプロピル基などを挙げることができる。これらのうち好ましくは、メトキシメチル基、エトキシメチル基が挙げられる。
【0030】
1で示されるシアノアルキル基としては炭素数2〜4の直鎖状又は分岐鎖状のシアノアルキル基を挙げることができる。具体的には、例えばシアノメチル基、2-シアノエチル基、1-シアノエチル基、3-シアノプロピル基などを挙げることができる。より好ましくはシアノメチル基が挙げられる。
【0031】
1で示されるアルケニル基は、鎖状アルケニル基でも、環状のシクロアルケニル基であってもよい。またR1で示されるアルケニル基は、任意の原子または置換基を有していてもよく、ハロゲン原子を有するハロアルケニル基などでありうる。
【0032】
1で示されるアルケニル基としては炭素数2〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基を挙げることができる。具体的には、例えばビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-メチル-2-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、2-エチル-2-プロペニル基、2-ブテニル基、1-メチル-2-ブテニル基、2-メチル-2-ブテニル基、1-エチル-2-ブテニル基、3-ブテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基または4-ヘキセニル基などを挙げることができる。これらのうち好ましくは、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-メチル-2-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、2-エチル-2-プロペニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基が挙げられる。
【0033】
1で示されるハロアルケニル基が有するハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素の各原子のいずれでもよい。ハロアルケニル基としては前記のアルケニル基が有する水素原子をフッ素、塩素、臭素またはヨウ素のようなハロゲン原子で置換したアルケニル基を挙げることができる。具体的には、例えば2-フルオロビニル基、3-クロロ-2-プロペニル基、3,3-ジクロロ-2-プロペニル基、2-フルオロ-1-プロペニル基、3,3,3-トリフルオロ-1-プロペニル基、4-クロロ-3-ブテニル基、2-クロロ-3-メチル-1-ブテニル基、2-フルオロ-5-へキセニル基などを挙げることができる。これらのうち好ましくは、3,3,3-トリフルオロ-1-プロペニル基が挙げられる。
【0034】
1で示されるアルキニル基は無置換のアルキニル基でもよいが、任意の原子または置換基を有していてもよく、ハロゲン原子を有するハロアルキニル基などでもよい。
1で示されるアルキニル基としては炭素数2〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキニル基を挙げることができる。具体的には、例えばエチニル基、1−プロピニル基、2-プロピニル基、1-メチル-2-プロピニル基、1,1-ジメチル-2-プロピニル基、2-ブチニル基、1-メチル-2-ブチニル基、1-エチル-2-ブチニル基、3-ブチニル基、2-メチル-3-ブチニル基、2-ペンチニル基、4-ペンチニル基、2-ヘキシニル基、3-ヘキシニル基、4-ヘキシニル基または5-ヘキシニル基などを挙げることができる。これらのうち好ましくは、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1,1-ジメチル-2-プロピニル基、2-ブチニル基、2-ペンチニル基が挙げられる。
1で示されるハロアルキニル基としては、前記のアルキニル基が有する水素原子をフッ素、塩素、臭素またはヨウ素のようなハロゲン原子で置換したアルキニル基を挙げることができる。具体的には、例えば2-フルオロエチニル基、2-クロロエチニル基、3-クロロ-2-プロピニル基、4-フルオロ-3-ブチニル基、5-クロロ-4-ペンチニル基、6-ブロモ-5-へキシニル基などを挙げることができる。これらのうち好ましくは、3-クロロ-2-プロピニル基が挙げられる。
【0035】
1で示されるアルキルカルボニル基としては、アルキル部分が炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルカルボニル基を挙げることができる。具体的には、例えばメチルカルボニル基、エチルカルボニル基、n-プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基、n-ブチルカルボニル基、イソブチルカルボニル基、sec-ブチルカルボニル基、tert-ブチルカルボニル基などを挙げることができる。これらのうち好ましくは、メチルカルボニル基が挙げられる。
【0036】
前述の通り、R1は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはアルキルカルボニル基を示すが、好ましくは無置換の炭素数1〜4の鎖状アルキル基(より好ましくはエチル基またはn-プロピル基)、炭素数2〜4のアルケニル基(より好ましくは2-プロペニル基)、もしくは炭素数2〜4のアルキニル基(より好ましくは2-プロピニル基または2-ブチニル基)、またはシアノメチル基が挙げられる。最も好ましくは2-プロピニル基が挙げられる。
【0037】
一般式(I)においてR2は、水素原子またはアルキル基を示すが、好ましくは水素原子を示す。R2で示されるアルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を挙げることができる。具体的には、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、2-メチルブチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、4-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、1-メチル-1-エチルプロピル基、1,2-ジメチルブチル基、2-メチル-1-エチルプロピル基、2,2-ジメチルブチル基などを挙げることができる。これらのうち好ましくは、メチル基が挙げられる。
【0038】
一般式(I)においてmは、0または1もしくは2の整数を示す。殺菌活性の点からは、好ましくはm=0または2(より好ましくはm=0)の化合物が挙げられる。また、m=2の化合物は殺菌活性の残効性の点で顕著な効果を有する可能性がある。
【0039】
一般式(I)においてXは、フェニル環炭素の任意の炭素に結合している。
Xはハロゲン原子;アルキル基;アルケニル基;アルキニル基;ヒドロキシ基;脂肪族オキシ基;芳香族オキシ基;アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基;フェニル基;フェノキシ基;シアノ基;ニトロ基;ホルミル基;カルボキシル基;カルボニル基;アミノ基;ベンジル基;または、前記一般式(II)で表される置換基などを示す。
【0040】
Xで示されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素の各原子を挙げることができる。
Xで示されるアルキル基は、鎖状アルキル基または環状のシクロアルキル基のいずれでもよい。また、無置換のアルキル基でもよいが、ハロアルキル基もしくはアルコキシアルキル基などの置換アルキル基であってもよい。
Xで示される鎖状アルキル基、シクロアルキル基、ハロアルキル基、アルコキシアルキル基としては、具体的にはR1で示される鎖状アルキル基、シクロアルキル基、ハロアルキル基、アルコキシアルキル基と同様の基を挙げることができる。
【0041】
Xで示されるアルケニル基は、無置換のアルケニル基またはハロアルケニル基などの置換アルケニル基である。Xで示されるアルケニル基またはハロアルケニル基としては、R1で示されるアルケニル基またはハロアルケニル基と同様の基を挙げることができる。
Xで示されるアルキニル基は、無置換のアルキニル基またはハロアルキニル基などの置換アルキニル基である。Xで示されるアルキニル基またはハロアルキニル基としては、R1で示されるアルキニル基またはハロアルキニル基と同様の基を挙げることができる。
【0042】
Xで示される脂肪族オキシ基としては、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基が挙げられる。
Xで示されるアルコキシ基は、鎖状アルコキシ基または環状のシクロアルコキシ基である。また、Xで示されるアルコキシ基は無置換のアルコキシ基でも、ハロアルコキシ基などの置換アルコキシ基であってもよい。
Xで示される鎖状アルコキシ基としては炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基を挙げることができる。具体的には、例えばメトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基などを挙げることができる。これらのうち好ましくは、メトキシ基、エトキシ基が挙げられる。
Xで示されるシクロアルコキシ基としては炭素数3〜7のシクロアルキルオキシ基を挙げることができる。また、該シクロアルコキシ基は炭素数1〜6の分岐鎖を有していてもよい。具体的には、例えばシクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などを挙げることができる。これらのうち好ましくは、シクロプロピルオキシ基が挙げられる。
Xで示されるハロアルコキシ基としては炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のハロアルコキシ基を挙げることができる。具体的には、例えばフルオロメトキシ基、クロロメトキシ基、ブロモメトキシ基、ヨードメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、1-フルオロエトキシ基、2-フルオロエトキシ基、2-クロロエトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、1-フルオロプロポキシ基、3-フルオロプロポキシ基、2-クロロプロポキシ基、3-クロロプロポキシ基、1-フルオロブトキシ基、4-フルオロブトキシ基、1-クロロブトキシ基などを挙げることができる
。これらのうち好ましくは、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基が挙げられる。
【0043】
Xで示されるアルケニルオキシ基は無置換のアルケニルオキシ基でも、ハロアルケニルオキシ基などの置換アルケニルオキシ基でもよい。
Xで示される無置換のアルケニルオキシ基としては炭素数3〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニルオキシ基を挙げることができる。具体的には、例えば2-プロペニルオキシ基、1-メチル-2-プロペニルオキシ基、1-エチル-2-プロペニルオキシ基、2-ブテニルオキシ基、3-ブテニルオキシ基、2,2-ジメチル-3-ブテニルオキシ基、4-ペンテニルオキシ基、5-ヘキセニルオキシ基などを挙げることができる。これらのうち好ましくは、2-プロペニルオキシ基が挙げられる。
Xで示されるハロアルケニルオキシ基としては、前記のアルケニルオキシ基が有する水素原子をフッ素、塩素、臭素またはヨウ素のようなハロゲン原子で置換したハロアルケニルオキシ基を挙げることができる。具体的には、例えば3-クロロ-2-プロペニルオキシ基、3,3-ジクロロ-2-プロペニルオキシ基、2-フルオロ-1-プロペニルオキシ基、3,3,3-トリフルオロ-1-プロペニルオキシ基、4-クロロ-3-ブテニルオキシ基、2-クロロ-3-メチル-1-ブテニルオキシ基、2-フルオロ-5-へキセニルオキシ基などを挙げることができる。これらのうち好ましくは、3,3,3-トリフルオロ-1-プロペニルオキシ基が挙げられる。
【0044】
Xで示されるアルキニルオキシ基は、無置換のアルキニルオキシ基でも、ハロアルキニルオキシ基などの置換アルキニルオキシ基であってもよい。
Xで示される無置換のアルキニルオキシ基としては炭素数3〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキニルオキシ基を挙げることができる。具体的には、例えば2-プロピニルオキシ基、1-メチル-2-プロピニルオキシ基、1-エチル-2-プロピニルオキシ基、2-ブチニルオキシ基、3-ブチニルオキシ基、4-ペンチニルオキシ基、5-ヘキシニルオキシ基などを挙げることができる。これらのうち好ましくは、2-プロピニルオキシ基が挙げられる。
Xで示されるハロアルキニルオキシ基としては前記のアルキニルオキシ基が有する水素原子をフッ素、塩素、臭素またはヨウ素のようなハロゲン原子で置換したハロアルキニルオキシ基を挙げることができる。具体的には、例えば3-クロロ-2-プロピニルオキシ基、3-フルオロ-2-プロピニルオキシ基、4-フルオロ-3-ブチニルオキシ基、5-クロロ-4-ペンチニルオキシ基、6-ブロモ-5-へキシニルオキシ基などを挙げることができる。これらのうち好ましくは、3-フルオロ-2-プロピニルオキシ基が挙げられる。
【0045】
Xで示される芳香族オキシ基としては、置換または無置換のフェノキシ基が挙げられる。
【0046】
Xで示されるアルキルチオ基は、無置換のアルキルチオ基でも、ハロアルキルチオ基などの置換アルキルチオ基でもよい。
Xで示される無置換のアルキルチオ基としては炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルチオ基を挙げることができる。具体的には、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n-ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、tert-ブチルチオ基などを挙げることができる。これらのうち好ましくは、メチルチオ基が挙げられる。
Xで示されるハロアルキルチオ基としては炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のハロアルキルチオ基を挙げることができる。具体的には、例えばフルオロメチルチオ基、クロロメチルチオ基、ブロモメチルチオ基、ヨードメチルチオ基、ジフルオロメチルチオ基、トリフルオロメチルチオ基、1-フルオロエチルチオ基、2-フルオロエチルチオ基、2-クロロエチルチオ基、2,2,2-トリフルオロエチルチオ基、ペンタフルオロエチルチオ基
、1-フルオロプロピルチオ基、3-フルオロプロピルチオ基、2-クロロプロピルチオ基、3-クロロプロピルチオ基、1-フルオロブチルチオ基、4-フルオロブチルチオ基、1-クロロブチルチオ基などを挙げることができる。これらのうち好ましくは、トリフルオロメチルチオ基、ジフルオロメチルチオ基が挙げられる。
【0047】
Xで示されるアルキルスルフィニル基としては、アルキル部分が炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルスルフィニル基を挙げることができる。具体的には、例えばメチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、n-プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、n-ブチルスルフィニル基、イソブチルスルフィニル基、sec-ブチルスルフィニル基、tert-ブチルスルフィニル基などを挙げることができる。これらのうち好ましくはメチルスルフィニル基が挙げられる。アルキルスルフィニル基は、ハロアルキルスルフィニル基などの置換アルキルスルフィニル基であってもよい。
Xで示されるアルキルスルホニル基としては、アルキル部分が炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルスルホニル基を挙げることができる。具体的には、例えばメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n-プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、n-ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec-ブチルスルホニル基、tert-ブチルスルホニル基などを挙げることができる。これらのうち好ましくは、メチルスルホニル基が挙げられる。アルキルスルホニル基は、ハロアルキルスルホニル基などの置換アルキルスルホニル基であってもよい。
【0048】
Xで示されるカルボニル基としては、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アルキニルオキシカルボニル基などが挙げられる。
Xで示されるアルキルカルボニル基としては、アルキル部分が炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルカルボニル基を挙げることができる。具体的には、例えばメチルカルボニル基、エチルカルボニル基、n-プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基、n-ブチルカルボニル基、イソブチルカルボニル基、sec-ブチルカルボニル基、tert-ブチルカルボニル基などを挙げることができる。これらのうち好ましくはメチルカルボニル基が挙げられる。
Xで示されるアルコキシカルボニル基としては、アルコキシ部分が炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシカルボニル基を挙げることができる。具体的には、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec-ブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基などを挙げることができる。これらのうち好ましくはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基が挙げられる。
Xで示されるアルケニルオキシカルボニル基としては、アルケニルオキシ部分が炭素数2〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニルオキシカルボニル基を挙げることができる。具体的には、例えばビニルオキシカルボニル基、1-プロペニルオキシカルボニル基、2-プロペニルオキシカルボニル基、1-メチル-2-プロペニルオキシカルボニル基、2-ブテニルオキシカルボニル基、3-ブテニルオキシカルボニル基、2-ペンテニルオキシカルボニル基、3-ペンテニルオキシカルボニル基などを挙げることができる。これらのうち好ましくはビニルオキシカルボニル基、2-プロペニルオキシカルボニル基が挙げられる。
Xで示されるアルキニルオキシカルボニル基としては、アルキニルオキシ部分が炭素数3〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキニルオキシカルボニル基を挙げることができる。具体的には、例えば2-プロピニルオキシカルボニル基、1-メチル-2-プロピニルオキシカルボニル基、2-ブチニルオキシカルボニル基、3-ブチニルオキシカルボニル基、2-ペンチニルオキシカルボニル基、4-ペンチニルオキシカルボニル基などを挙げることができる。これらのうち好ましくは、2-プロピニルオキシカルボニル基が挙げられる。
【0049】
Xで示されるアミノ基は、無置換のアミノ基、またはモノアルキルアミノ基やジアルキルアミノ基などの置換アミノ基のいずれでもよい。
Xで示されるモノアルキルアミノ基としては、アルキル部分が炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状アルキルであるアルキルアミノ基を挙げることができる。具体的には、例えばメチルアミノ基、エチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、sec-ブチルアミノ基、tert-ブチルアミノ基、n-ペンチルアミノ基、イソペンチルアミノ基、2−メチルブチルアミノ基、ネオペンチルアミノ基、n-ヘキシルアミノ基、4-メチルペンチルアミノ基、3-メチルペンチルアミノ基、2-メチルペンチルアミノ基、3,3-ジメチルブチルアミノ基、1,1-ジメチルブチルアミノ基、1,3-ジメチルブチルアミノ基、2,3-ジメチルブチルアミノ基、1-エチルブチルアミノ基、1-メチル−1-エチルプロピルアミノ基、1,2-ジメチルブチルアミノ基、2-メチル−1-エチルプロピルアミノ基、2,2-ジメチルブチルアミノ基などを挙げることができる。これらのうち、好ましくはメチルアミノ基が挙げられる。
Xで示されるジアルキルアミノ基としては各々のアルキル部分が炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状アルキルであるジアルキルアミノ基を挙げることができる。具体的には、例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジn-プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジn-ブチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、n-プロピルメチルアミノ基、イソプロピルメチルアミノ基、n-ブチルメチルアミノ基、エチルn-プロピルアミノ基、エチルイソプロピルアミノ基、エチルn-ブチルアミノ基などを挙げることができる。これらのうち好ましくは、ジメチルアミノ基が挙げられる。
【0050】
前記一般式(II)で表される置換基において、R3は、水素原子またはアルキル基を示し、R4は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基を示す。ただし、前記一般式(II)におけるR3およびR4がここに示す例に限定されることはない。
3およびR4で示されるアルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を挙げることができる。具体的には、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、2-メチルブチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、4-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、1-メチル-1-エチルプロピル基、1,2-ジメチルブチル基、2-メチル-1-エチルプロピル基、2,2-ジメチルブチル基などを挙げることができる。これらのうち好ましくは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。
【0051】
4で示されるアルケニル基としては、炭素数2〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基を挙げることができる。具体的には、例えばビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-メチル-2-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、2-エチル-2-プロペニル基、2-ブテニル基、1-メチル-2-ブテニル基、2-メチル-2-ブテニル基、1-エチル-2-ブテニル基、3-ブテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基または4-ヘキセニル基などを挙げることができる。これらのうち好ましくは、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-メチル-2-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基などが挙げられる。
【0052】
4で示されるアルキニル基としては炭素数2〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキニル基を挙げることができる。具体的には、例えばエチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-メチル-2-プロピニル基、1,1-ジメチル-2-プロピニル基、2-ブチニル基、1-メチル-2-ブチニル基、1-エチル-2-ブチニル基、3-ブチニル基、2-メチル-3-ブチニル基、2-ペンチニル基、4-ペンチニル基、2-ヘキシニル基、3-ヘキシニル基、4-ヘキシニル基または5-ヘキシニル基などを挙げることができる。これらのうち好ましくは、エチニル基、1-プロピニル基、2−プロピニル基、1,1-ジメチル-2-プロピニル基などが挙げられる。
【0053】
Xは前述した基から任意に選択される基を示すが、好ましくはハロゲン原子;アルコキシ基もしくはハロゲン原子を有していてもよいアルキル基(好ましくは炭素数1〜4);ハロゲン原子を有していてもよいアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜3);アルケニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜3);アルキニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜3);アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜2);ヒドロキシ基、もしくは;シアノ基を示す。
これらのうち、さらに好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、ビニルオキシ基、2-プロペニルオキシ基、2-プロピニルオキシ基、メチルチオ基、エチルチオ基、ヒドロキシ基、シアノ基等が挙げられる。
【0054】
一般式(I)において置換基Xの置換数を示すnは、0〜5の整数であり、好ましくは0〜3であり、さらに好ましくは0〜2である。なお、置換基Xが結合していないベンゼン環炭素には水素原子が結合していることはいうまでもない。
nが1以上の場合は、置換基Xの1つは、−(CH2m−の結合位置に対して4位のフェニル環炭素に結合していることが好ましい。nが2以上の場合は、それぞれの置換基Xは同一または相違していてもよく、このうちの2つは−(CH2m−の結合位置に対して3および4位のフェニル環炭素に結合していることが好ましい。
【0055】
また、一般式(I)における2つのXが、フェニル環炭素のうちの隣り合う2つの炭素それぞれに結合し、該2つのXが一緒になってアルキレンジオキシ基もしくはアルキレン基を形成していてもよい。
該2つのXが一緒になって形成するアルキレンジオキシ基としてはアルキレン部分が炭素数1〜3であるアルキレンジオキシ基を挙げることができ、例えばメチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基などが挙げられる。またアルキレン基としては、例えばトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基などのような炭素数3〜5のアルキレン基を挙げることができる。これらのうち好ましくは、トリメチレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。
Xnは、さらに好ましくは4-ハライド(特に4-クロロ、ブロモまたはヨード)または3,4-ジハライド(特に3,4-ジクロロ)である。
【0056】
本発明の一般式(I)で表される化合物には不斉炭素が存在する(例えば、フェネチルアミドのα位の炭素が挙げられる)。したがって、これらの化合物には光学異性体が存在する可能性がある。本発明の化合物は、それら考えられるすべての光学異性体を含み、純粋なまたは実質的に純粋な光学異性体またはそれらが任意の割合で混合された混合物を含む。
【0057】
次に、一般式(I)で表される化合物の具体例を表1に示すが、本発明の化合物がここに例示された化合物のみに限定されることはない。表1におけるXnの欄において「−」との表示は、n=0であって、全て水素原子であることを示し、Xnの欄における数字は、置換基Xのフェニル環における置換位置を示す(下記式参照)。
表1において、それぞれ「Me」はメチル基、「Et」はエチル基、「Pr」はプロピル基、「Bu」はブチル基および「Ph」はフェニル基を表す。「Cyclo-C3H5-」は、シクロプロプルを表す。
また、表1における化合物番号は、以下の表2、実施例、製剤例および試験例でも参照される。
表1におけるR2の欄において、R体およびS体のいずれの表示もされていない場合(化合物番号1〜194、237〜267)は、R体とS体の混合物であることを示す。ま
た、R体またはS体と表示されている場合(化合物番号195〜236)は、アミド部位のカルボニル炭素のα位炭素のキラル中心の絶対配置が、それぞれR体またはS体である、純粋なまたは実質的に純粋な光学異性体であることを示す。
【0058】
【化7】

【0059】
【表1−1】

【0060】
【表1−2】

【0061】
【表1−3】

【0062】
【表1−4】

【0063】
【表1−5】

【0064】
【表1−6】

【0065】
【表1−7】

【0066】
【表1−8】

【0067】
【表1−9】

【0068】
次に、本発明のアセトニトリル化合物(一般式(I)で表される化合物)の一部について、そのプロトンNMRデータを表2に示す。NMRデータは、JNM−LA300スペクトロメーター(日本電子株式会社製)で測定し、全δ値をppmで示した。
【0069】
【表2−1】

【0070】
【表2−2】

【0071】
【表2−3】

【0072】
【表2−4】

【0073】
前述してきた一般式(I)で表されるアセトニトリル化合物のうち、本発明のアセトニトリル化合物としてより好ましい化合物は、以下で示される化合物もしくはその塩、またはそれらの光学異性体を挙げることができる。
【0074】
【化8】

【0075】
【化9】

【0076】
また、前述してきた一般式(I)で表されるアセトニトリル化合物のうち、本発明のアセトニトリル化合物としてより好ましい化合物は、以下に示される光学異性体の化合物またはその塩を挙げることができる。
【0077】
【化10】

【0078】
<本発明のアセトニトリル化合物の製造方法>
本発明のアセトニトリル化合物は、例えば下記する製造スキーム1に従って合成することができる。下記製造スキーム1〜3において、Yは脱離能を有する原子または基、例えば塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子のようなハロゲン原子を表す。R1、R2、X、mおよびnは、一般式(I)におけるR1、R2、X、mおよびnと同様である。
【0079】
【化11】

【0080】
本発明のアセトニトリル化合物である一般式(I)で表される化合物は、例えば上記のように一般式(XI)または(IX)で表される化合物のフェノール部位を、一般式(X)で示される化合物を用いてシアノメチル化することにより製造することができる(工程AまたはD)。一般式(XI)で表される化合物からはR1が水素原子の一般式(I)で表される化合物(I-a)が得られ、一般式(IX)で表される化合物からはR1が任意の一般式(I)で表される化合物が得ら
れる。
【0081】
化合物(I-a)は、式(VII)で示される化合物Y−R1を用いてヒドロキシ基の水素原子をR1で置換することにより、R1が任意の化合物(I)を製造することができる(工程C)。ここでY−R1におけるYは通常ハロゲン原子を示すが、脱離能を有する原子または原子団であれば特に制限されない。また、原料として用いられる式(VII)で示される化合物は、目的とする化合物に応じて適宜選択して使用することができる。また、有機化学の分野においてよく知られた化合物もあり、市販の(例えば東京化成工業株式会社より)試薬として入手することができるものもある。
【0082】
さらに、R1が水素原子の一般式(I)で表される化合物(I-a)は、式(IV)で表
される化合物と一般式(V
)で表される化合物を縮合させることで得ることもできる(工程B)。
以下、工程A〜Dについて詳細に説明する。
【0083】
〔工程A〕
上記製造スキーム1において工程Aは、式(XI)で示される化合物と式(X)で示される化合物とを反応させて、式(
I-a)で示される本発明のアセトニトリル化合物を得る工程である。該反応は、必要に応じて溶媒、塩基、および触
媒の存在下で行うことができる。
工程Aの反応において、式(XI)で示される化合物と式(X)で示される化合物との使用割合は特に制限されず、広い
範囲から適宜選択できるが、通常は等モル比またはその付近とすればよい。
【0084】
工程Aの反応は通常、不活性溶媒中で行われる。工程Aの反応に用いられる溶媒は、例えばベンゼン、トルエン、キシレンまたはクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチルまたはプロピオン酸エチルなどのエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランまたは1,4−ジオキサンなどのエーテル類;塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロホルムまたは四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタンまたはシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;メチルアルコール、エチルアルコールまたはtert-ブチルアルコールなどの脂肪族アルコール類;アセトンまたはメチルエチルケトンなどのケトン類;アセトニトリルなどのニトリル類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンまたは1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなどのアミド類;ジメチルスルホキシド;水、またはこれらの混合溶媒が挙げられる。これらのうち、好ましくはN,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランまたはアセトンなどが挙げられる。
【0085】
工程Aの反応において用いられる塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ピリジン、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンまたは1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセンなどの有機第三級アミン類;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドまたはカリウムtert-ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩類;水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物類;水素化ナトリウムまたは水素化カリウムなどの水素化アルカリ金属類を挙げることができる。これらのうち、好ましくは炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどが挙げられる。
塩基の使用量は特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるが、通常化学量論量またはそれよりも過剰とすればよく、好ましくは化学量論量よりも1〜7倍程度過剰な量とすればよい。なお、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基を用いる場合は、これらを大過剰に用いて溶媒とすることもできる。
【0086】
また、工程Aの反応においてヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムや相間移動触媒などの触媒を用いることで、反応速度を上げることができる。
【0087】
工程Aの反応温度は−50℃から反応系における還流温度の範囲であり、好ましくは0℃から100℃である。工程Aの反応は、減圧条件下または加圧条件下でも行うことができるが、通常は常圧条件下で行われる。工程Aの反応時間は、反応温度や反応基質により異なるが、通常30分〜24時間の範囲内である。
反応終了後は、反応溶液中から通常の後処理により目的化合物を得ることができる。例
えば、反応溶液にトルエン、酢酸エチルまたはクロロホルムなどの抽出溶媒と水を加えて抽出後、溶媒を留去することにより得られる。得られた目的化合物は必要ならばクロマトグラフィー、再結晶または蒸留などの操作により精製することができる。
工程Aにおいて、原料として用いられる式(XI)で示される化合物は、例えば後述する製造スキーム2に準じて製造することができる。また公知の化合物を使用してもよく、特表2002−534494号公報に記載の方法に準じて合成することもできる。
式(X)で示される化合物には有機化学の分野においてよく知られた化合物もあり、例えば、東京化成工業株式会社より試薬として入手することができる。
【0088】
〔工程B〕
前記の製造スキーム1に示された通り、式(I-a)で示されるアセトニトリル化合物は、工程Bにしたがって合成することもできる。工程Bは、式(IV)で示されるアミン化合物またはその塩と、式(V)で示されるカルボン酸化合物またはそのカルボキシル活性化誘導体とを必要に応じて、溶媒および塩基の存在下に反応させて、式(I-a)で示される本発明化合物を得る工程である。
工程Bにおいて、式(IV)で示されるアミン化合物またはその塩と式(V)で示されるカルボン酸化合物またはそのカルボキシル活性化誘導体との使用割合は特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるが、通常は等モル比またはその付近とすればよい。
【0089】
式(V)で示されるカルボン酸化合物はキラル中心を有しているが、光学活性体の式(V)で示されるカルボン酸化合物を用いることにより、式(I-a)の光学活性体を得ることができる。例えば、R体の式(V)で示されるカルボン酸化合物を用いることにより、R体の式(I-a)で示される化合物を得ることができ、一方、S体の式(V)で示されるカルボン酸化合物を用いることにより、S体の式(I-a)で示される化合物を得ることができると考えられる。
【0090】
式(V)で示されるカルボン酸化合物のカルボキシル活性化誘導体とは、式(V)で示される化合物のカルボキシル基が活性化カルボキシル基に変換された誘導体、および縮合剤によって式(V)で示される化合物のカルボキシル基が活性化されたカルボン酸化合物の誘導体を含む。
ここで、活性化カルボキシル基とは、酸塩化物などの酸ハロゲン化物、O−炭酸アルキルとの酸無水物などのような無水物、p-ニトロフェニルエステルまたはN-ヒドロキシスクシンイミドエステルなどを挙げることができる。
また、縮合剤とはジシクロヘキシルカルボジイミド、カルボニルジイミダゾール、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート、O-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N′,N′-ビス(ペンタメチレン)ウロニウム ヘキサフルオロホスフェート、O-ベンゾトリアゾ−ル-1-イル-N,N,N′,N′-ビス(テトラメチレン)ウロニウム ヘキサフルオロホスフェート、O-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N′,N′-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェートまたはベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジノホスホニウム ヘキサフルオロホスフェートなどを挙げることができる。
【0091】
工程Bは通常、不活性溶媒中で行われる。工程Bに用いられる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレンまたはクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチルまたはプロピオン酸エチルなどのエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランまたは1,4-ジオキサンなどのエーテル類;塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロホルムまたは四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタンまたはシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;アセトニトリルなどのニトリル類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンまたは1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなどのアミド類;ジメチルスルホキシドまた
はこれらの混合溶媒が挙げられる。好ましくは、N,N-ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフランなどが挙げられる。
【0092】
工程Bに用いられる塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ピリジン、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンまたは1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセンなどの有機第三級アミン類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩類;水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物類;水素化ナトリウムまたは水素化カリウムなどの水素化アルカリ金属類を挙げることができる。これらのうち、好ましくはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンまたはピリジンなどが挙げられる。
前記塩基の使用量は特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるが、通常化学量論量またはそれよりも過剰とすればよく、好ましくは化学量論量の1〜8倍程度過剰な量とすればよい。なお、トリエチルアミン、ピリジンなどの有機塩基を用いる場合は、これらを大過剰に用いて溶媒とすることもできる。
【0093】
工程Bの反応温度は−50℃から反応系における還流温度の範囲であり、好ましくは0℃から100℃である。また、工程Bの反応は、減圧条件下または加圧条件下でも行うことができるが、通常は常圧条件下で行われる。工程Bの反応時間は、反応温度や反応基質により異なるが、通常30分〜24時間の範囲内である。
反応終了後は、反応溶液中から通常の後処理により目的化合物を得ることができる。例えば、反応溶液にトルエン、酢酸エチルまたはクロロホルムなどの抽出溶媒と水を加えて抽出後、溶媒を留去することにより得られる。得られた目的化合物は必要ならばクロマトグラフィー、再結晶または蒸留などの操作により精製することができる。
【0094】
工程Bにおいて、原料として用いられる式(IV)で示されるアミン化合物またはその塩は公知の化合物であって、例えば特表2003−515566号公報に記載の方法に準じて合成することができる。さらに、その具体的製造例を後記の参考製造例2に示した。
【0095】
工程Bにおいて、原料として用いられる式(V)で示されるカルボン酸化合物は、公知の化合物としても知られており、例えば「オーガニック シンセセス(Organic Syntheses )」、1945年、第25巻、P.33、「オーガニック シンセセス コレクティブ
ボリュウム I(Organic Syntheses Collective Volume I)」、1941年、P
.336、「オーガニック シンセセス コレクティブ ボリュウム III(Organic Syntheses Collective Volume III)」1955年、P.538、「オーガニック シンセセス コレクティブ ボリュウム IV(Organic Syntheses Collective Volume IV)」1963年、P.110、「ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(Journal of Organic Chemistry )」、1968年、第33巻、P.2565、「ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(Journal of Organic Chemistry )」、1978年、第43巻、P.2702、国際公開特許WO2004/058685号パンフレット、特表2003−533502号公報、「ジャーナル オブ ジ アメリカン ケミカル ソサイエティー(Journal of the American Chemical Society)」、1961年、第83巻、P.2755、「シンセティック コミュニケーションズ(Synthetic Communications)」、1988年、第18巻、P.2141に記載の方法に準じて製造されうる。また、後述の参考製造例3に式(V)で表される化合物の具体的製造例を示した。
【0096】
式(V)で示されるカルボン酸化合物の光学異性体は、公知の化合物としても知られており、例えば特開昭55−47643号公報;国際公開第WO95/23139号パンフレット;テトラヘドロン レターズ(Tetrahedron Letters),1990年,第31巻,第9号,p1249;特開2003−226666号公報;特開平9−322797号公報
;特開平5−320102号公報;シンセシス(Synthesis),1990年,p575などに記載の方法に準じて製造されうる。また、後述の参考製造例4〜7に式(V)で示されるカルボン酸化合物の光学異性体の具体的製造例を示した。
【0097】
〔工程C〕
前記の製造スキーム1に示された通り、工程Cは式(I-a)で示される化合物を、式(VII)で示される化合物と反応させて、式(I)で示されるアセトニトリル化合物を得る工程である。該反応は、必要に応じて溶媒、塩基および相間移動触媒の存在下にて行うことができる。
式(I-a)で示される化合物と式(VII)で示される化合物との使用割合は特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるが、通常は等モル比またはその付近とすればよい。
【0098】
工程Cの反応は通常、不活性溶媒中で行われる。工程Cの反応に用いられる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレンまたはクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチルまたはプロピオン酸エチルなどのエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランまたは1,4−ジオキサンなどのエーテル類;塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロホルムまたは四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタンまたはシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;メチルアルコール、エチルアルコールまたはtert-ブチルアルコールなどの脂肪族アルコール類;アセトンまたはメチルエチルケトンなどのケトン類;アセトニトリルなどのニトリル類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンまたは1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなどのアミド類;ジメチルスルホキシド;水またはこれらの混合溶媒が挙げられる。好ましくは、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、または塩化メチレンおよび水の混合溶媒などである。
【0099】
工程Cにおいて用いられる塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ピリジン、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンまたは1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセンなどの有機第三級アミン類;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドまたはカリウムtert-ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩類;水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物類;水素化ナトリウムまたは水素化カリウムなどの水素化アルカリ金属類を挙げることができる。これらのうち、好ましくはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどが挙げられる。
上記の塩基の使用量は特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるが、通常化学量論量またはそれよりも過剰とすればよく、好ましくは化学量論量よりも1〜5倍程度過剰な量とすればよい。なお、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基を用いる場合は、これらを大過剰に用いて溶媒とすることもできる。
【0100】
工程Cの反応において必ずしも相間移動触媒を使用する必要はないが、相間移動触媒の存在下に実施してもよい。用いられる相間移動触媒としては、例えば臭化テトラブチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウムなどが挙げられる。相間移動触媒の使用量は特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるが、通常化学量論量の0.0001〜1倍量とすればよく、好ましくは化学量論量の0.01〜1倍量程度とすればよい。
【0101】
工程Cの反応温度は−50℃から反応系における還流温度の範囲であり、好ましくは0℃から100℃である。また、工程Cの反応は、減圧条件下または加圧条件下でも行うことができるが、通常は常圧条件下で行われる。工程Cの反応時間は、反応温度や反応基質
により異なるが、通常30分〜24時間の範囲内である。
反応終了後は、反応溶液中から通常の後処理により目的化合物を得ることができる。例えば、反応溶液にトルエン、酢酸エチルまたはクロロホルムなどの抽出溶媒と水を加えて抽出後、溶媒を留去することにより得られる。得られた目的化合物は必要ならばクロマトグラフィー、再結晶または蒸留などの操作により精製することができる。
【0102】
〔工程D〕
前記の製造スキーム1に示された通り、一般式(I)で表される化合物は、工程Dにしたがって製造することもできる。
工程Dは、式(IX)で示される化合物を、式(X)で示される化合物と反応させて、式(I)で示される本発明化合物を得る工程である。該反応は、必要に応じて溶媒、塩基および触媒の存在下で行うことができる。
式(IX)で示される化合物と式(X)で示される化合物との使用割合は特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるが、通常は等モル比またはその付近とすればよい。
【0103】
工程Dの反応は通常、不活性溶媒中で行われる。工程Dの反応に用いられる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレンまたはクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチルまたはプロピオン酸エチルなどのエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランまたは1,4−ジオキサンなどのエーテル類;塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロホルムまたは四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタンまたはシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;メチルアルコール、エチルアルコールまたはtert-ブチルアルコールなどの脂肪族アルコール類;アセトンまたはメチルエチルケトンなどのケトン類;アセトニトリルなどのニトリル類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンまたは1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなどのアミド類;ジメチルスルホキシド;水またはこれらの混合溶媒が挙げられる。これらのうち、好ましくはN,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、アセトンまたは水および塩化メチレンの混合溶媒などが挙げられる。
【0104】
工程Dにおいて用いられる塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ピリジン、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンまたは1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセンなどの有機第三級アミン類;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドまたはカリウムtert-ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩類;水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物類;水素化ナトリウムまたは水素化カリウムなどの水素化アルカリ金属類を挙げることができる。これらのうち、好ましくは炭酸カリウム、水素化ナトリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどが挙げられる。
上記の塩基の使用量は特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるが、通常化学量論量またはそれよりも過剰とすればよく、好ましくは化学量論量よりも1〜7倍程度過剰な量とすればよい。なお、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基を用いる場合は、これらを大過剰に用いて溶媒とすることもできる。
【0105】
工程Dの反応において必ずしも触媒を使用する必要はないが、触媒の存在下に実施してもよい。用いられる触媒としては、例えばヨウ化カリウムまたはヨウ化ナトリウムなどのヨウ化物塩、臭化テトラブチルアンモニウムまたは塩化ベンジルトリエチルアンモニウムなどの相間移動触媒が挙げられる。触媒の使用量は特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるが、通常化学量論量の0.0001〜1倍量とすればよく、好ましくは化学量論量の0.01〜1倍量程度とすればよい。
【0106】
工程Dの反応温度は−50℃から反応系における還流温度の範囲であり、好ましくは0℃から100℃である。また、工程Dの反応は減圧条件下または加圧条件下でも行うことができるが、通常は常圧条件下で行われる。工程Dの反応時間は反応温度や反応基質により異なるが、通常30分〜24時間の範囲内である。
反応終了後は、反応溶液中から通常の後処理により目的化合物を得ることができる。例えば、反応溶液にトルエン、酢酸エチルまたはクロロホルムなどの抽出溶媒と水を加えて抽出後、溶媒を留去することにより得られる。得られた目的化合物は必要ならばクロマトグラフィー、再結晶または蒸留などの操作により精製することができる。
【0107】
工程Dにおいて、原料として用いられる式(IX)で示される化合物は、例えば後述する製造スキーム3にしたがって合成することができる。また、公知の化合物を使用することも可能であり、特表2003−533502号公報に記載の方法に準じて合成することもできる。
【0108】
前述したように、工程Aに用いられる原料である式(XI)で示される化合物は、以下の製造スキーム2にしたがって製造することができる。以下、製造スキーム2における工程1〜3について説明する。
【0109】
【化12】

【0110】
〔工程1〕
上記製造スキーム2における工程1は、式(VI)で示される化合物から、必要に応じて溶媒および酸の存在下に処理してベンジル基を脱保護させ、式(XI)で示される化合物を得る工程である。なおベンジル基は保護基としての例であって、他の保護基としてもよい。
【0111】
工程1の反応は通常、不活性溶媒中で行われる。工程1に用いられる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレンまたはクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチルまたはプロピオン酸エチルなどのエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランまたは1,4−ジオキサンなどのエーテル類;塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロホルムまたは四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタンまたはシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;メチルアルコール、エチルアルコールまたはtert-ブチルアルコールなどの脂肪族アルコール類;アセトンまたはメチルエチルケトンなどのケトン類;アセトニトリルなどのニトリル類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンまたは1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなどのアミド類;ジメチルスルホキシド;酢酸;水またはこれらの混合溶媒が挙げられる。好ましくは、酢酸、アセトニトリルまたは塩化メチレンなど
である。
【0112】
工程1の反応において用いられる酸は、例えば臭化水素酸、ヨウ化水素酸、トリフルオロ酢酸、塩化アルミニウム、三臭化ホウ素または三塩化ホウ素などである。好ましくは、臭化水素酸などである。上記の酸の使用量は特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるが、通常化学量論量またはそれよりも過剰とすればよく、好ましくは化学量論量よりも1〜5倍程度過剰な量とすればよい。なお、トリフルオロ酢酸などの有機酸を用いる場合は、これらを大過剰に用いて溶媒とすることもできる。
【0113】
工程1の反応温度は−50℃から反応系における還流温度の範囲であり、好ましくは0℃から120℃である。工程1の反応は、減圧条件下または加圧条件下でも行うことができるが、通常は常圧条件下で行われる。工程1の反応時間は、反応温度や反応基質により異なるが、通常30分〜24時間の範囲内である。
反応終了後は、反応溶液中から通常の後処理により目的化合物を得ることができる。例えば、反応溶液にトルエン、酢酸エチルまたはクロロホルムなどの抽出溶媒と水を加えて抽出後、溶媒を留去することにより得られる。得られた目的化合物は必要ならばクロマトグラフィー、再結晶または蒸留などの操作により精製することができる。
【0114】
〔工程2〕
上記工程1において原料として用いられる化合物(VI)は、製造スキーム2に示されたように、工程2にしたがって得ることができる。上記製造スキームにおいて工程2は、式(II)で示されるアミン化合物またはその塩と、式(V)で示されるカルボン酸化合物またはそのカルボキシル活性化誘導体とを反応させて、式(VI)で示される化合物を得る工程である。該反応は、必要に応じて溶媒および塩基の存在下にて行うことができる。また、式(II)で示される化合物のベンジル基は保護基として用いられている基であって、他の保護基を用いてもよい。
また、式(V)の光学異性体(R体またはS体)を用いることにより、式(VI)の光学異性体(R体またはS体)を得ることができると考えられる。
【0115】
工程2の反応において、式(II)で示されるアミン化合物またはその塩と、式(V)で示されるカルボン酸化合物またはそのカルボキシル活性化誘導体との使用割合は特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるが、通常は等モル比またはその付近とすればよい。
【0116】
工程2の反応は、工程Bの反応と同様にして行うことができる。
すなわち、式(V)で示されるカルボン酸化合物のカルボキシル活性化誘導体の種類;用いられる反応溶媒、ならびに塩基の種類および量;反応温度、反応圧力および反応時間などの反応条件、後処理や精製方法など、工程Bの反応と同様にして選択することができる。
【0117】
工程2の反応において原料として用いられる式(II)で示されるアミン化合物またはその塩は、公知の化合物としても知られており、例えば特開2002−356465号公報に記載の方法に準じて合成することができる。さらに、その具体的製造例を後述の参考製造例1に示した。
また、工程2の反応において原料として用いられる式(V)で示されるカルボン酸化合物は、工程Bにおける説明と同様にして得ることができる。
【0118】
〔工程3〕
一方、工程Aに用いられる原料である化合物(XI)は、前記製造スキーム2に示されたように、工程3にしたがって製造することもできる。工程3は、式(III)で示され
るアミン化合物またはその塩と、式(V)で示されるカルボン酸化合物またはそのカルボキシル活性化誘導体とを、必要に応じて溶媒および塩基の存在下にて反応させて、式(XI)で示される化合物を得る工程である。
工程3の反応において、式(III)で示されるアミン化合物またはその塩と、式(V)で示されるカルボン酸化合物またはそのカルボキシル活性化誘導体との使用割合は特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるが、通常は等モル比またはその付近とすればよい。
【0119】
工程3の反応は、工程Bの反応と同様にして行うことができる。
すなわち、式(V)で示されるカルボン酸化合物のカルボキシル活性化誘導体の種類;用いられる反応溶媒、ならびに塩基の種類および量;反応温度、反応圧力および反応時間などの反応条件、後処理や精製方法など、工程Bの反応と同様にして選択することができる。
また、式(V)の光学異性体(R体またはS体)を用いることにより、式(XI)の光学異性体(R体またはS体)を得ることができると考えられる。
【0120】
工程3において、原料として用いられる式(III)で示されるアミン化合物またはその塩は、公知の化合物としても知られており、例えば、「ブレテン オブ ザ ケミカル
ソサイエティー ジャパン(Bulletin of the Chemical Society Japan)」、1990年、第63巻、P.1252、「ジャーナル オブ ジ アメリカン ケミカル ソサイエティー(Journal of the American Chemical Society)」、1950年、第72巻、P.2781、薬学雑誌、1963年、第83巻、P.1035、薬学雑誌、1969年、第89巻、P.230、特公昭49−13777号公報、「オーガニック シンセセス コレクティブ ボリュウム I(Organic Syntheses Collective Volume I)」、1941年、P.107、「ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(Journal of Organic Chemistry )」、1976年、第41巻、P.2502に記載の方法に準じて合成される。
また、工程3において、原料として用いられる式(V)で示される化合物は、工程Bにおける説明と同様にして得ることができる。
【0121】
〔工程4〕
前述の工程Dの原料である式(IX)で示される化合物は、例えば下記の製造スキーム3にしたがって製造することができる。
【0122】
【化13】

【0123】
〔工程4〕
上記製造スキーム3における工程4は、式(VIII)で示される化合物からベンジル基を脱保護させて、式(IX)で示される化合物を得る工程である。該反応は必要に応じて、溶媒および酸の存在下にて行うことができる。ベンジル基は保護基として用いられて
おり、ベンジル基の代わりに他の保護基を適宜用いることができる。
【0124】
工程4の反応は、前記工程1の反応と同様にして行うことができる。
すなわち、工程4の反応に用いられる溶媒の種類、ならびに酸およびその量、反応温度、反応圧力、反応時間などの条件、後処理や精製方法など、工程1の反応と同様に選択することができる。
【0125】
〔工程5〕
製造スキーム3に示された通り、工程4の原料である式(VIII)で示される化合物は、工程5にしたがって製造することができる。工程5は、式(VI)で示される化合物を、式(VII)で示される化合物と反応させて、式(VIII)で示される化合物を得る工程である。該反応は、必要に応じて溶媒、塩基および相間移動触媒の存在下にて行うことができる。
工程5の反応において、式(VI)で示される化合物と式(VII)で示される化合物との使用割合は特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるが、通常は等モル比またはその付近とすればよい。
【0126】
工程5の反応は、前記工程Cの反応と同様にして行うことができる。
すなわち、工程5の反応に用いられる溶媒の種類、塩基の種類および量、ならびに相間移動触媒の種類および量、反応温度、反応圧力および反応時間などの反応条件、後処理および精製方法は、工程Cと同様に選択することができる。
工程5において原料として用いられる式(VI)で示される化合物は、前述の工程2にしたがって製造することができる。
【0127】
〔本発明の殺菌剤〕
前述した一般式(I)で示される本発明のアセトニトリル化合物(以下、単に「化合物(I)とも称する)のうち、好ましい化合物は殺菌活性を有する。よって、本発明のアセトニトリル化合物は、殺菌剤の成分として用いられることが好ましく、農園芸用の殺菌剤の成分として用いられることがより好ましい。以下、本発明のアセトニトリル化合物を含む殺菌剤を「本発明の殺菌剤」と称する。
【0128】
本発明の殺菌剤は、化合物(I)を含むこと以外は通常の殺菌剤と同様の組成とすることができる。すなわち、本発明の殺菌剤は、農薬補助剤として製剤化に一般的に用いられる成分が含まれ得る。また、補助剤以外にも、有効成分として他の殺菌成分を含んでいてもよい。
【0129】
本発明の殺菌剤における化合物(I)の含有量は、通常0.1〜90重量部の範囲から任意に選択される。また化合物(I)は、本発明の殺菌剤における有効成分として含有されることが好ましい。
また、本発明の殺菌剤に含まれる農薬補助剤としての成分としては、1)担体、2)界面活性剤および3)その他補助剤が挙げられる。
【0130】
本発明の殺菌剤に含まれる担体は、農園芸用薬剤に用いることができるものであれば、固体担体または液体担体のいずれでもよく、特定のものに限定されることはない。
固体担体としては、例えば澱粉、活性炭、大豆粉、小麦粉、木粉、魚粉、粉乳等の動植物性粉末、タルク、カオリン、ベントナイト、ゼオライト、珪藻土、ホワイトカーボン、クレー、アルミナ、炭酸カルシウム、塩化カリウム、硫安などの鉱物性粉末が挙げられる。
液体担体としては、例えば水、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなどのアルコール類、シクロヘキサノン、メチルエチルケトンなどのケトン類、プロピレングリコ
ールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルなどのエーテル類、ケロシン、軽油などの脂肪族炭化水素類、キシレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、メチルナフタリン、ソルベントナフサなどの芳香族炭化水素類、N-メチル-2-ピロリドンなどのアミド類、脂肪酸のグリセリンエステルなどのエステル類、大豆油、ナタネ油などの植物油が挙げられる。これらの担体は、2種以上を併用することができる。
【0131】
本発明の殺菌剤に含まれる界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などがあり、具体的には次のものが挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキレート、ポリオキシエチレンフェニルエーテルポリマー、ポリオキシエチレンアルキレンアリールフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーなどが挙げられる。
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、リグニンスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルサルフェート、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルサルフェートなどが挙げられる。
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩などが挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩アルキルベタイン、アミンオキサイドなどが挙げられる。
なお、製剤化に際して使用できる界面活性剤は、これらに限定されるものではない。また、2種以上の界面活性剤を併用することもできる。
【0132】
本発明の殺菌剤に含まれるその他の補助剤としては、粘結剤、増粘剤、固着剤、防腐防かび剤、溶剤、農薬活性成分の安定化剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、結晶析出防止剤、消泡剤、物性向上剤、着色剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
粘結剤、増粘剤、固着剤としては、特に限定されるものではないが、たとえば澱粉、デキストリン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、プルラン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、グアーガム、ローカストビーンガム、アラビアゴム、キサンタンガム、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、エチレン・プロピレンブロックポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0133】
本発明の殺菌剤は、本発明のアセトニトリル化合物(化合物(I))を配合する(好ましくは有効成分として含有する)こと以外は、目的とする剤型に応じて、一般的な製剤化法に従って製造することができる。
本発明の殺菌剤の剤型は、乳剤、懸濁剤、粉剤、粒剤、錠剤、水和剤、水溶剤、液剤、フロアブル剤、顆粒水和剤、エアゾール剤、ペースト剤、油剤、乳濁剤等の種々の形態の剤型にすることができる。
【0134】
後述の製剤例に、本発明の殺菌剤の製造方法についてより具体的に記載した。もちろん、本発明の殺菌剤がこれらの製剤例に限定されることはなく、他の種々の添加物を任意の割合で混合することができ、また他の殺菌剤などを任意の割合で混合して製剤化することもできる。
【0135】
本発明の殺菌剤は、通常の殺菌剤の使用法と同様に使用され得る。
すなわち、本発明の殺菌剤は、そのまま使用するか、または水などの希釈剤で所定濃度に希釈して使用することができる。
また、本発明の殺菌剤(その希釈物を含む)の施用方法としては、散布(例えば噴霧、ミスティング、アトマイジング、散粉、散粒、水面施用、箱施用等)、土壌施用(例えば混入、潅注等)、表面施用(例えば塗布、粉衣、被覆等)、浸漬等が挙げられる。
本発明の殺菌剤の施用量は特に限定されず、殺菌剤中の有効成分の濃度、製剤の形態、対象病害や作物の種類、病害による被害の程度、施用場所、施用方法、施用時期、混用併用する薬剤や肥料などの使用量、種類などの種々の条件に応じて、広い範囲から適宜選択される。目安として通常、100m2あたり、本発明の化合物の0.001〜100g程度、好ましくは0.01〜50g程度が施用される。
【0136】
本発明の殺菌剤が、乳剤、水和剤またはフロアブル剤などである場合は、水で希釈されて用いられることがある。その施用濃度は0.1〜1000質量ppm程度、好ましくは1〜500質量ppm程度で使用されるが、これらに限定されるものではない。
一方、粒剤、粉剤などは、通常希釈することなく製剤のままで施用される。
【0137】
なお、本発明の殺菌剤は単独でも十分有効であることはいうまでもないが、必要に応じて他の肥料、農薬、例えば殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺菌剤、抗ウイルス剤、誘引剤、除草剤、植物生長調整剤、共力剤などと混用、併用することがでる。
【0138】
本発明の殺菌剤は、後述するように「治療的な効果が高い」という特徴を有する。したがって、植物病害が発生する前に予防的に施用することができることに加え、植物病害が発生してから治療的に施用することもでき、それにより本発明の殺菌剤の特徴がより効果的に発揮される。
また本発明の殺菌剤は、後述するように「耐雨性効果が高い」という特徴を有する。したがって、施設内施用することもできることに加え、屋外に施用することもでき、それにより本発明の殺菌剤の特徴がより効果的に発揮される。
また本発明の殺菌剤は、後述するように「薬害安全性が高い」という特徴を有する。したがって、薬害の危険性を危惧することなく安心して施用することができ、それにより本発明の殺菌剤の特徴がより効果的に発揮される。
【0139】
本発明の殺菌剤は、殺菌剤として次のような防除効果を奏する。
第1に、本発明の殺菌剤は特に農園芸作物の重要病害であるキュウリべと病、トマト疫病およびジャガイモ疫病、さらにはブドウべと病などに対して、従来の殺菌剤と比べてより低薬量で高い防除効果を示す。
第2に、本発明の殺菌剤は特にキュウリべと病、トマト疫病およびジャガイモ疫病、さらにはブドウべと病などに対して、従来の殺菌剤と比べてより低薬量で高い治療的な効果を有しており、農園芸殺菌剤として有用である。
第3に、本発明の殺菌剤は特にキュウリべと病、トマト疫病およびジャガイモ疫病、さらにはブドウべと病などに対して、従来の殺菌剤と比べてより低薬量で高い耐雨性効果を有しており、農園芸殺菌剤として有用である。
第4に、本発明の殺菌剤は、農園芸作物の病害に対して、茎葉散布、土壌施用などにより使用することができる。
第5に、本発明の殺菌剤は、有用作物に対して薬害を与えることがない。
【0140】
本発明のアセトニトリル化合物を含有する本発明の殺菌剤は、例えば下記の植物病害の防除に適用することができる。ただし、本発明の殺菌剤が適用され得る植物病害はこれらに限定されるものではない。
本発明の殺菌剤により防除され得る植物病害としては、例えば、イネのいもち病(Pyric
ularia grisea)、ごま葉枯病(Cochliobolus miyabeanus)、紋枯病(Thanatephorus cucumeris)、ばか苗病(Gibberella fujikuroi)、苗立枯病(Fusarium 菌、Rhizopus菌、Pythium菌、Trichoderma viride)、稲こうじ病(Claviceps virens)、ムギ類の赤かび病(Gibberella zeae、Fusarium avenaceum、Fusarium culmorum、Monographella nivale)、雪腐病(Pythium菌、Typhula菌、Monographella nivalis、Myriosclerotinia borealis)、裸黒穂病(Ustilago nuda)、なまぐさ黒穂病(Tilletia controversa)、眼紋病(Pseudocercosporella
herpotrichoides)、葉枯病(Septoria tritici)、ふ枯病(Phaeosphaeria nodorum)、カンキツ類の黒点病(Diaporthe citri)、小黒点病(Diaporthe medusa, Alternaria citri)、そうか病(Elsinoe fawcettii)、褐色腐敗病(Phytophthora citrophthra)、緑かび病(Penicillium digitatum)、青かび病(Penicillium italicum)、リンゴのモニリア病(Monilinia
mali)、黒星病(Venturia inaequalis)、斑点落葉病(Alternaria mali)、黒点病(Mycosphaerella pomi)、すす斑病(Gloeodes pomigena)、すす点病(Zygophiala jamaicensis)、輪紋病(Botryosphaeria berengeriana)、褐斑病(Diplocarpon mali)、赤星病(Gymnosporangium yamadae)、腐らん病(Valsa ceratosperma)ナシの黒星病(Venturia nashicola)、赤星病(Gymnosporangium asiaticum)、輪紋病(Botryosphaeria berengeriana)、胴枯病(Phomopsis fukushii)、モモの縮葉病(Taphrina deformans)、灰星病(Monilinia fructicola、 Monilinia fructigena)、黒星病(Cladosporium carpophilum)、ホモプシス腐敗病(Phomopsis sp.)、オウトウの灰星病(Monilinia fructicola 、Monilinia fructigena)、幼果菌核病(Monilinia kusanoi)、ウメの黒星病(Cladosporium carpophilum)、ブドウの黒とう病(Elsinoe ampelina)、晩腐病(Colletotrichum acutatum、Glomerella cingulata)、褐斑病(Pseudocercospora vitis)、つる割病(Phomopsis viticola)、カキの角斑落葉病(Cercospora kaki)、円星落葉病(Mycosphaerella nawae)、チャの輪斑病(Pestalotiopsis longiseta、Pestalotiopsis theae)、褐色円星病(Pseudocercospora ocellata、Cercospora chaae)、もち病(Exobasidium vexans)、網もち病(Exobasidium reticulatum)、ウリ類のつる枯病(Mycosphaerella melonis)、つる割病(Fusarium oxysporum)、黒星病(Cladosporium cucumerinum)、褐斑病(Corynespora cassiicola)、トマトの葉かび病(Fulvia fulva)、輪紋病(Alternaria solani)、ナスの褐紋病(Phomopsis vexans)、すすかび病(Mycovellosiella nattrassii)、アブラナ科野菜の白さび病(Albugo macrospora)、白斑病(Cercosporella brassicae、Pseudocercosporella capsellae)、タマネギの灰色腐敗病(Botrytis allii)、イチゴのじゃのめ病(Mycosphaerella fragariae)、ジャガイモの夏疫病(Alternaria solani)、ダイス゛の茎疫病(Phytophthora sojae)、紫斑病( Cercospora kikuchii)、アズキの茎疫病(Phytophthora vignae)、ラッカセイの褐斑病(Mycosphaerella arachidis)、テンサイの褐斑病(Cercospora beticola)、葉腐病(Thanatephorus cucumeris)、シバのカーブラリア葉枯病(Curvularia菌)、ダラースポット病(Sclerotinia homoeocarpa)、ヘルミントスポリウム葉枯病(Cochliobolus菌)、バラの黒星病(Diplocarpon rosae)、キクの白さび病(Puccinia horiana) などがあげられる。
【0141】
さらに、各種作物のべと病(Peronospora菌、Pseudoperonospora菌、Plasmopara菌、Bremia菌)、疫病(Phytophthora菌)、うどんこ病(Erysiphe菌、Blumeria菌、Sphaerotheca菌、Podosphaerea菌、Phyllactinia菌、Uncinula菌、Oidiopsis菌)、さび病(Puccinia菌、Uromyces菌、Physopella菌)、炭疽病(Glomerella菌、 Colletotrichum菌、Gloeosporium菌)、黒斑病(Alternaria菌)、灰色かび病(Botrytis cinerea)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、白紋羽病(Rosellinia necatrix)、紫紋羽病(Helicobasidium mompa)、白絹病(Sclerotium rolfsii)、その他各種土壌病害(Fusarium菌、Rhizoctonia菌、Pythium菌、Aphanomyces菌、Phoma菌、Verticillium菌、Plasmodiophora brassicaeなど)などの病害を挙げることができる。
これらのうち、好ましくはキュウリべと病、トマト疫病、ジャガイモ疫病、ブドウべと病など、べと病菌あるいは疫病菌によって引き起こされる野菜、畑作物、果樹などのべと病、疫病を挙げることができる。
【0142】
本発明の殺菌剤の有用性(病害に対する防除効果)は、後述の試験例1〜試験例6により具体的に示されている。
【実施例】
【0143】
以下に、実施例(化合物の合成及び製剤例)および試験例を参照して、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの範囲に限定されるものではない。
〔実施例1〕
N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-クロロフェニル)アセトアミド(化合物番号18)の製造
【0144】
【化14】

【0145】
a)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した50ml4つ口フラスコ中に、4-ヒドロキシ-3-メトキシ-β-フェネチルアミン1.00g(6.0mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド15ml、ジイソプロピルエチルアミン3.10g(24.0mmol)および4-クロロマンデル酸1.12g(6.0mmol)を入れた。室温でベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート3.19g(7.2mmol)を加えた後、室温で9時間攪拌した。得られた反応混合物に1N塩酸を加えて酸性とした後、さらに酢酸エチルを加えて2回抽出処理した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を、展開溶媒としてクロロホルム-メタノール混液(溶媒容量比率クロロホルム:メタノール=50:1)を用いて、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-クロロフェニル)アセトアミド1.3gを淡黄色油状物として得た(収率65%)。
【0146】
b)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した50ml4つ口フラスコ中に、炭酸カリウム1.18g(8.6mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド15mlおよびN-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-クロロフェニル)アセトアミド2.23g(6.6mmol)を入れた。室温でブロモアセトニトリル1.19g(9.9mmol)を加えた後、室温で5時間攪拌した。得られた反応混合物に1N塩酸を加えて酸性とした後、酢酸エチルを加えて抽出処理した。得られた有機層を飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を展開溶媒としてトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=5:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-クロロフェニル)アセトアミド2.47gを淡黄色油状物として得た(収率100%)。
【0147】
〔実施例2〕
N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-メチルフェニル)アセトアミド(化合物番号63)の製造
【0148】
【化15】

【0149】
a)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した200ml4つ口フラスコ中に、4-ベンジルオキシ-3-メトキシ-β-フェネチルアミン4.4g(17.0mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド40ml、ジイソプロピルエチルアミン8.8g(68.0mmol)および4-メチルマンデル酸3.4g(20.4mmol)を入れた。室温でベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート9.0g(20.4mmol)を加えた後、室温で6時間攪拌した。
得られた反応混合物に水を加えて、さらに酢酸エチルを加えて抽出処理した。得られた有機層に1N塩酸を加えて酸性とし、飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を、展開溶媒としてトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=10:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-メチルフェニル)アセトアミド4.1gを淡黄色油状物として得た(収率59%)。
【0150】
b)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した50ml4つ口フラスコ中にN-[2-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-メチルフェニル)アセトアミド2.03g(5.0mmol)、塩化メチレン10ml、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロマイド0.16g(0.5mmol)およびプロパルギルブロマイド0.89g(7.5mmol)を入れた。室温で30%水酸化ナトリウム水溶液1.2mlを加えた後、加熱還流下で6時間攪拌した。
得られた反応混合物に3N塩酸を加えて酸性とし、さらにクロロホルムを加えて抽出処理した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を、展開溶媒としてトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=10:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-メチルフェニル)アセトアミド2.0gを淡黄色油状物として得た(収率91%)。
【0151】
c)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した50ml4つ口フラスコ中に、N-[2-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-メチルフェニル)アセトアミド1.95g(4.5mmol)および酢酸10mlを入れた。室温で48%臭化水素酸水溶液0.84g(5.0mmol)を加えた後、80℃で2.5時間攪拌した。
得られた反応混合物を中和した後、酢酸エチルで抽出処理した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を展開溶媒にトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=10:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-メチルフェニル)アセトアミド1.27gを淡黄色油状物として得た(収率79%)。
【0152】
d)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した50ml4つ口フラスコ中に、N-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロ
プ-2-イニルオキシ)-2-(4-メチルフェニル)アセトアミド1.27g(3.6mmol)、塩化メチレン8ml、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロマイド0.12g(0.4mmol)およびクロロアセトニトリル0.41g(5.4mmol)を入れた。室温で30%水酸化ナトリウム水溶液0.8mlを加えた後、加熱還流下で6時間攪拌した。
得られた反応混合物を酸性として、さらにクロロホルムを加えて抽出処理した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を、展開溶媒としてトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=10:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-メチルフェニル)アセトアミド1.2gを淡黄色油状物として得た(収率86%)。
【0153】
〔実施例3〕
N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-ブロモフェニル)アセトアミド(化合物番号39)の製造
【0154】
【化16】

【0155】
a)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した50ml4つ口フラスコ中に、4-ベンジルオキシ-3-メトキシ-β-フェネチルアミン塩酸塩1.2g(4.09mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド20ml、ジイソプロピルエチルアミン2.64g(20.45mmol)および4-ブロモマンデル酸(4.09mmol)を入れた。室温でベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート2.17g(4.91mmol)を加えた後、室温で4時間攪拌した。
得られた反応混合物に水を加え、さらに酢酸エチルを加えて抽出処理した。有機層を1N塩酸で酸性として、飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を、展開溶媒としてトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=8:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-ブロモフェニル)アセトアミド1.6gを淡黄色油状物として得た(収率83%)。
【0156】
b)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した100ml4つ口フラスコ中に、N-[2-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-ブロモフェニル)アセトアミド1.6g(3.4mmol)、塩化メチレン25ml、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロマイド0.11g(0.34mmol)およびプロパルギルブロマイド0.81g(6.8mmol)を入れた。室温で30%水酸化ナトリウム水溶液1.0mlを加えた後、加熱還流下で7時間攪拌した。
得られた反応混合物に塩酸を加えて酸性とし、さらに酢酸エチルを加えて抽出処理した。有機層を飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を展開溶媒にトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=20:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)エ
チル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-ブロモフェニル)アセトアミド1.7gを淡黄色油状物として得た(収率93%)。
【0157】
c)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した50ml4つ口フラスコ中にN-[2-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-ブロモフェニル)アセトアミド1.7g(3.35mmol)および酢酸10mlを入れた。室温で48%臭化水素酸水溶液0.71g(4.19mol)を加えた後、80℃で2時間攪拌した。
得られた反応混合物を中和した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を、展開溶媒としてトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=10:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-ブロモフェニル)アセトアミド1.20gを淡黄色油状物として得た(収率86%)。
【0158】
d)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した50ml4つ口フラスコ中に、室温でN-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-ブロモフェニル)アセトアミド1.20g(2.87mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド15ml、炭酸カリウム0.52g(3.73mmol)、ブロモアセトニトリル0.52g(4.31mmol)およびヨウ化カリウム0.10g(0.57mmol)を入れ、室温で6時間攪拌した。
得られた反応混合物に水を加えて、さらに酢酸エチルを加えて抽出処理した。有機層を1N塩酸で洗い、飽和食塩水で洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を、展開溶媒としてクロロホルムを用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-ブロモフェニル)アセトアミド0.7gを淡黄色油状物として得た(収率54%)。
【0159】
〔実施例4〕
N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-エチルフェニル)アセトアミド(化合物番号76)の製造
【0160】
【化17】

【0161】
a)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した100ml4つ口フラスコ中に4-ベンジルオキシ-3-メトキシ-β-フェネチルアミン塩酸塩2.44g(8.33mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド35ml、4-エチルマンデル酸1.50g(8.33mmol)およびジイソプロピルエチルアミン5.37g(41.65mmol)を入れた。室温でベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート4.42g(10.00mmol)を加えた後、室温で4時間攪拌した。
得られた反応混合物に水を加え、さらに酢酸エチルを加えて抽出処理した。有機層を1N塩酸で酸性とし飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に
溶媒を留去した。得られた粗生成物を、展開溶媒としてトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=7:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-エチルフェニル)アセトアミド3.10gを淡黄色油状物として得た(収率89%)。
【0162】
b)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した50ml4つ口フラスコ中に、N-[2-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-エチルフェニル)アセトアミド3.1g(7.4mmol)、塩化メチレン25ml、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロマイド0.37g(1.11mmol)およびプロパルギルブロマイド2.64g(22.2mmol)を入れた。室温で30%水酸化ナトリウム水溶液2.0mlを加えた後、加熱還流下で4時間攪拌した。
得られた反応混合物を酸性とし、酢酸エチルを加えて抽出処理した。有機層を飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を、展開溶媒としてトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=25:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-エチルフェニル)アセトアミド3.0gを淡黄色油状物として得た(収率89%)。
【0163】
c)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した50ml4つ口フラスコ中に、N-[2-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-エチルフェニル)アセトアミド3.0g(6.56mmol)および酢酸20mlを入れた。室温で48%臭化水素酸水溶液1.41g(8.20mmol)を加えた後、80℃で1.5時間攪拌した。
得られた反応混合物を中和した後、酢酸エチルを加えて抽出処理した。得られた有機層を飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を、展開溶媒としてトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=15:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-エチルフェニル)アセトアミド1.55gを淡黄色油状物として得た(収率64%)。
【0164】
d)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した50ml4つ口フラスコ中に室温でN-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-エチルフェニル)アセトアミド1.55g(4.22mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド15ml、炭酸カリウム1.16g(8.44mmol)、ブロモアセトニトリル1.16g(9.71mmol)およびヨウ化カリウム0.14g(0.84mmol)を入れ、室温で6時間攪拌した。
得られた反応混合物に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を1N塩酸で洗い、飽和食塩水で洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を展開溶媒にクロロホルムを用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-エチルフェニル)アセトアミド1.0gを淡黄色油状物として得た(収率58%)。
【0165】
〔実施例5〕
N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(アセチルオキシ)-2-(4-クロロフェニル)アセトアミドの製造法(化合物番号32)
【0166】
【化18】

【0167】
攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した30ml4つ口フラスコ中に室温でN-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-アセチルオキシ-2-(4-クロロフェニル)アセトアミド1.1g(2.9mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド10ml、炭酸カリウム0.80g(5.8mmol)、ブロモアセトニトリル0.70g(5.8mmol)およびヨウ化カリウム0.10g(0.58mmol)を入れ、室温で4時間攪拌した。
得られた反応混合物に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を1N塩酸で洗い、飽和食塩水で洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を展開溶媒にトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=10:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(アセチルオキシ)-2-(4-クロロフェニル)アセトアミド1.07gを淡黄色油状物として得た(収率88%)。
【0168】
〔実施例6〕
N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-トリフルオロメチルフェニル)アセトアミドの製造法(化合物番号142)
【0169】
【化19】

【0170】
a)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した50ml4つ口フラスコ中に4-ベンジルオキシ-3-メトキシ-β-フェネチルアミン1.16g(4.5mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド15ml、4-トリフルオロメチルマンデル酸0.99g(4.5mmol)およびジイソプロピルエチルアミン2.03g(15.8mmol)を入れた。室温でベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート2.39g(5.4mmol)を加えた後、室温で4時間攪拌した。
得られた反応混合物に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を1N塩酸で酸性とし飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を展開溶媒にトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=7:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-トリフルオロメチルフェニル)アセトアミド1.48gを淡黄色油状物として得た(収率70%)。
【0171】
b)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した50ml4つ
口フラスコ中にN-[2-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-トリフルオロメチルフェニル)アセトアミド1.48g(3.2mmol)および酢酸10mlを入れた。室温で48%臭化水素酸水溶液0.70g(4.2mmol)を加えた後、80℃で2時間攪拌した。
得られた反応混合物を中和した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を展開溶媒にトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=5:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-トリフルオロメチルフェニル)アセトアミド0.69gを淡黄色油状物として得た(収率58%)。
【0172】
c)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した30ml4つ口フラスコ中に室温でN-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-トリフルオロメチルフェニル)アセトアミド0.69g(1.9mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド8ml、炭酸カリウム0.79g(5.7mmol)、ブロモアセトニトリル0.46g(3.8mmol)およびヨウ化カリウム0.06g(0.38mmol)を入れ、室温で2.5時間攪拌した。
得られた反応混合物に1N塩酸を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を展開溶媒にトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=6:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-トリフルオロメチルフェニル)アセトアミド0.70gを淡黄色油状物として得た(収率92%)。
【0173】
d)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した50ml4つ口フラスコ中にN-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-トリフルオロメチルフェニル)アセトアミド0.7g(1.7mmol)、塩化メチレン10ml、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロマイド0.11g(0.34mmol)およびプロパルギルブロマイド0.40g(3.4mmol)を入れた。室温で30%水酸化ナトリウム水溶液0.4mlを加えた後、加熱還流下で3時間攪拌した。
得られた反応混合物を酸性としクロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を展開溶媒にトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=10:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-トリフルオロメチルフェニル)アセトアミド0.65gを淡黄色油状物として得た(収率84%)。
【0174】
〔実施例7〕
N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-クロロフェニル)アセトアミドの製造法(化合物番号16)
【0175】
【化20】

【0176】
a)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した500ml4つ口フラスコ中に4-ベンジルオキシ-3-メトキシ-β-フェネチルアミン塩酸塩8.4g(28.7mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド70ml、4-クロロマンデル酸5.35g(28.7mmol)およびジイソプロピルエチルアミン14.8g(114.8mmol)を入れた。室温でベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート15.2g(34.4mmol)を加えた後、室温で6時間攪拌した。
得られた反応混合物に水を加え酢酸エチルで2回抽出した。有機層を1N塩酸で酸性とし飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を展開溶媒にトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=10:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-クロロフェニル)アセトアミド10.14gを淡黄色油状物として得た(収率83%)。
【0177】
b)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した200ml4つ口フラスコ中にN-[2-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-クロロフェニル)アセトアミド10.14g(23.8mmol)および酢酸50mlを入れた。室温で48%臭化水素酸水溶液5.22g(30.9mmol)を加えた後、80℃で2時間攪拌した。
得られた反応混合物を中和した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を展開溶媒にトルエン-酢酸エチル混液(溶媒容量比率トルエン:酢酸エチル=3:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-クロロフェニル)アセトアミド5.24gを淡黄色油状物として得た(収率66%)。
【0178】
c)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した50ml4つ口フラスコ中に室温でN-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-クロロフェニル)アセトアミド1.21g(3.6mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド12ml、炭酸カリウム1.0g(7.2mmol)、ブロモアセトニトリル0.86g(7.2mmol)およびヨウ化カリウム0.12g(0.72mmol)を入れ、室温で5時間攪拌した。
得られた反応混合物に1N塩酸を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を展開溶媒にトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=5:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-クロロフェニル)アセトアミド1.16gを淡黄色油状物として得た(収率85%)。
【0179】
d)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した50ml4つ
口フラスコ中にN-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-クロロフェニル)アセトアミド0.85g(2.3mmol)、塩化メチレン10ml、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロマイド0.08g(0.23mmol)およびプロパルギルブロマイド0.55g(4.6mmol)を入れた。室温で30%水酸化ナトリウム水溶液0.6mlを加えた後、加熱還流下で1.5時間攪拌した。
得られた反応混合物を酸性としクロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を展開溶媒にトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=10:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-クロロフェニル)アセトアミド0.83gを白色結晶として得た(収率87%)。m.p.63-65℃。
【0180】
〔実施例8〕
N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(ブチ-2-イニルオキシ)-2-(4-クロロフェニル)アセトアミドの製造法(化合物番号25)
【0181】
【化21】

【0182】
攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した50ml4つ口フラスコ中にN-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-クロロフェニル)アセトアミド0.85g(2.3mmol)、塩化メチレン10ml、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロマイド0.08g(0.23mmol)および1-ブロモ-2-ブチン0.61g(4.6mmol)を入れた。室温で30%水酸化ナトリウム水溶液0.6mlを加えた後、加熱還流下で1.5時間攪拌した。
得られた反応混合物を酸性としクロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を展開溶媒にトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=10:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(ブチ-2-イニルオキシ)-2-(4-クロロフェニル)アセトアミド0.84gを淡黄色油状物として得た(収率86%)。
【0183】
〔実施例9〕
N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(インダン-5-イル)アセトアミドの製造法(化合物番号184)
【0184】
【化22】

【0185】
a)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した50ml4つ口フラスコ中に4-シアノメトキシ-3-メトキシ-β-フェネチルアミン0.54g(2.
62mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド8ml、インダン-5-イル-2-ヒドロキシ酢酸0.56g(2.62mmol)およびジイソプロピルエチルアミン1.35g(10.5mmol)を入れた。室温でベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート1.39g(3.14mmol)を加えた後、室温で5時間攪拌した。
得られた反応混合物に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を1N塩酸で酸性とし飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を展開溶媒にトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=5:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(インダン-5-イル)アセトアミド0.83gを淡黄色油状物として得た(収率83%)。
【0186】
b)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した30ml4つ口フラスコ中にN-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(インダン-5-イル)アセトアミド0.80g(2.11mmol)、塩化メチレン10ml、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロマイド0.20g(0.63mmol)およびプロパルギルブロマイド0.38g(3.16mmol)を入れた。室温で30%水酸化ナトリウム水溶液0.5mlを加えた後、加熱還流下で4時間攪拌した。
得られた反応混合物を酸性としクロロホルムで抽出した。有機層を水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を展開溶媒にトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=7:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(インダン-5-イル)アセトアミド0.75gを淡黄色油状物として得た(収率85%)。
【0187】
〔実施例10〕
N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-クロロ-3-メチルフェニル)アセトアミドの製造法(化合物番号116)
【0188】
【化23】

【0189】
a)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した50ml4つ口フラスコ中に4-シアノメトキシ-3-メトキシ-β-フェネチルアミン0.93g(4.5mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド15ml、4-クロロ-3-メチルマンデル酸0.9g(4.5mmol)およびジイソプロピルエチルアミン2.32g(18.0mmol)を入れた。室温でベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート2.38g(5.4mmol)を加えた後、室温で5時間攪拌した。
得られた反応混合物に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を1N塩酸で酸性とし飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を展開溶媒にトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=5:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-クロロ-3-メチルフェニル)アセトアミド0.76gを淡黄色油状物と
して得た(収率43%)。
【0190】
b)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した30ml4つ口フラスコ中にN-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-クロロ-3-メチルフェニル)アセトアミド0.76g(2.0mmol)、塩化メチレン13ml、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロマイド0.13g(0.4mmol)およびプロパルギルブロマイド0.47g(4.0mmol)を入れた。室温で30%水酸化ナトリウム水溶液0.5mlを加えた後、加熱還流下で1.5時間攪拌した。
得られた反応混合物を酸性としクロロホルムで抽出した。有機層を水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を展開溶媒にトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=7:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-クロロ-3-メチルフェニル)アセトアミド0.61gを淡黄色油状物として得た(収率73%)。
【0191】
〔実施例11〕
N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(3,4-ジクロロフェニル)アセトアミドの製造法(化合物番号88)
【0192】
【化24】

【0193】
a)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した30ml4つ口フラスコ中に4-シアノメトキシ-3-メトキシ-β-フェネチルアミン0.65g(3.2mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド12ml、3,4-ジクロロマンデル酸0.71g(3.2mmol)およびジイソプロピルエチルアミン1.65g(12.8mmol)を入れた。室温でベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート1.70g(3.84mmol)を加えた後、室温で5時間攪拌した。
得られた反応混合物に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を1N塩酸で酸性とし飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を展開溶媒にトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=5:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(3,4-ジクロロフェニル)アセトアミド0.78gを淡黄色油状物として得た(収率60%)。
【0194】
b)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した30ml4つ口フラスコ中にN-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(3,4-ジクロロフェニル)アセトアミド0.21g(0.5mmol)、塩化メチレン10ml、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロマイド0.02g(0.05mmol)およびプロパルギルブロマイド0.12g(1.0mmol)を入れた。室温で30%水酸化ナトリウム水溶液0.5mlを加えた後、加熱還流下で3時間攪拌した。
得られた反応混合物を酸性としクロロホルムで抽出した。有機層を水洗後、無水硫酸ナ
トリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を展開溶媒にトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=7:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(3,4-ジクロロフェニル)アセトアミド0.15gを淡黄色油状物として得た(収率65%)。
【0195】
〔実施例12〕
N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-クロロフェニル)アセトアミドの製造法(化合物番号16)
【0196】
【化25】

【0197】
a)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した100ml4つ口フラスコ中に4-シアノメトキシ-3-メトキシ-β-フェネチルアミン1.78g(8.6mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド20ml、4-クロロマンデル酸1.5g(8.0mmol)およびジイソプロピルエチルアミン4.1g(32.0mmol)を入れた。室温でベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート4.3g(9.6mmol)を加えた後、室温で5時間攪拌した。
得られた反応混合物に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を1N塩酸で酸性とし飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を展開溶媒にトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=5:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-クロロフェニル)アセトアミド2.91gを淡黄色油状物として得た(収率97%)。
【0198】
b)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した50ml4つ口フラスコ中にN-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-クロロフェニル)アセトアミド1.5g(4.0mmol)、塩化メチレン15ml、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロマイド0.26g(0.8mmol)およびプロパルギルブロマイド0.95g(8.0mmol)を入れた。室温で30%水酸化ナトリウム水溶液1.0mlを加えた後、加熱還流下で2時間攪拌した。
得られた反応混合物を酸性としクロロホルムで抽出した。有機層を水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を展開溶媒にトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=7:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-クロロフェニル)アセトアミド1.55gを白色結晶として得た(収率94%)。m.p.63-65℃。
【0199】
〔実施例13〕
N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-3-(4-クロロフェニル)プロピオンアミドの製造法(化合物番号36)
【0200】
【化26】

【0201】
a)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した50ml4つ口フラスコ中に4-シアノメトキシ-3-メトキシ-β-フェネチルアミン1.49g(7.25mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド15ml、3-(4-クロロフェニル)-2-ヒドロキシプロピオン酸1.45g(7.25mmol)およびジイソプロピルエチルアミン3.74g(29mmol)を入れた。室温でベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート3.85g(8.70mmol)を加えた後、室温で2時間攪拌した。
得られた反応混合物に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を1N塩酸で酸性とし飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を展開溶媒にトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=5:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-3-(4-クロロフェニル)プロピオンアミド1.62gを淡黄色油状物として得た(収率57%)。
【0202】
b)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した50ml4つ口フラスコ中にN-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-3-(4-クロロフェニル)プロピオンアミド1.60g(4.12mmol)、塩化メチレン12ml、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロマイド0.40g(1.24mmol)およびプロパルギルブロマイド0.74g(6.18mmol)を入れた。室温で30%水酸化ナトリウム水溶液1.0mlを加えた後、加熱還流下で5時間攪拌した。
得られた反応混合物を酸性としクロロホルムで抽出した。有機層を水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を展開溶媒にトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=5:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-3-(4-クロロフェニル)プロピオンアミド1.37gを淡黄色油状物として得た(収率78%)。
【0203】
〔実施例14〕
R-(−)-N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-クロロフェニル)アセトアミドの製造法(化合物番号199)
【0204】
【化27】

【0205】
a)撹拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した100ml4つ口フラスコ中に、4-シアノメトキシ-3-メトキシ-β-フェネチルアミン0.69g
(3.3mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド10ml、R-(−)-4-クロロマンデル酸(αD23=−125.92°(C=0.98、EtOH))0.56g(3.0mmol)およびジイソプロピルエチルアミン1.55g(12.0mmol)を入れた。室温でベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート1.59g(3.6mmol)を加えた後、室温で6時間撹拌した。
得られた反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を1N塩酸で酸性として、飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を展開溶媒にトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=5:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、R-N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-クロロフェニル)アセトアミド0.56gを淡黄色油状物として得た(収率50%)。
【0206】
b)撹拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した50ml4つ口フラスコ中に、R-N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-クロロフェニル)アセトアミド0.56g(1.5mmol)、塩化メチレン10ml、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロマイド0.10g(0.3mmol)およびプロパルギルブロマイド0.36g(3.0mmol)を入れた。室温で30%水酸化ナトリウム水溶液0.4mlを加えた後、加熱還流下で2時間撹拌した。
得られた反応混合物を酸性としてクロロホルムで抽出した。有機層を水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を、展開溶媒にトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=10:1)を用いて、、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、R-(−)-N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-クロロフェニル)アセトアミド0.56gを淡黄色油状物として得た(収率90%)。αD24=−53.73°(C=1.01、EtOH)
【0207】
〔実施例15〕
S-(+)-N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-クロロフェニル)アセトアミドの製造法(化合物番号200)
【0208】
【化28】

【0209】
a)撹拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した100ml4つ口フラスコ中に、4-シアノメトキシ-3-メトキシ-β-フェネチルアミン0.92g(4.4mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド10ml、S-(+)-4-クロロマンデル酸(αD24=+134.29°(C=1.42、EtOH))0.75g(4.0mmol)およびジイソプロピルエチルアミン2.0g(16.0mmol)を入れた。室温でベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート2.12g(4.8mmol)を加えた後、室温で3時間撹拌した。
得られた反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を1N塩酸で酸性として、飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を展開溶媒にトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:ア
セトン=5:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、S-N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-クロロフェニル)アセトアミド1.50gを淡黄色油状物として得た(収率100%)。
【0210】
b)撹拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した50ml4つ口フラスコ中に、S-N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-クロロフェニル)アセトアミド1.50g(4.0mmol)、塩化メチレン10ml、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロマイド0.27g(0.8mmol)およびプロパルギルブロマイド0.95g(8.0mmol)を入れた。室温で30%水酸化ナトリウム水溶液1.0mlを加えた後、加熱還流下で3時間撹拌した。
得られた反応混合物を酸性としてクロロホルムで抽出した。有機層を水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を、展開溶媒にトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=10:1)を用いて、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、S-(+)-N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-クロロフェニル)アセトアミド1.46gを淡黄色油状物として得た(収率88%)。αD24=+67.19°(C=1.01、EtOH)
【0211】
〔実施例16〕
R-(−)-N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-ブロモフェニル)アセトアミドの製造法(化合物番号201)
【0212】
【化29】

【0213】
a)撹拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した100ml4つ口フラスコ中に、4-シアノメトキシ-3-メトキシ-β-フェネチルアミン0.65g(3.2mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド10ml、R-(−)-4-ブロモマンデル酸(αD24=−112.07°(C=1.424、EtOH))0.69g(3.0mmol)およびジイソプロピルエチルアミン1.55g(12.0mmol)を入れた。室温でベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート1.59g(3.6mmol)を加えた後、室温で5時間撹拌した。
得られた反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を1N塩酸で酸性として、飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を展開溶媒にトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=5:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、R-N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-ブロモフェニル)アセトアミド0.83gを淡黄色油状物として得た(収率66%)。
【0214】
b)撹拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した50ml4つ口フラスコ中に、R-N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-ブロモフェニル)アセトアミド0.83g(2.0mmol)、塩化メチレン10ml、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロマイド0.13g(0.4mm
ol)およびプロパルギルブロマイド0.48g(4.0mmol)を入れた。室温で30%水酸化ナトリウム水溶液0.5mlを加えた後、加熱還流下で2時間撹拌した。
得られた反応混合物を酸性としてクロロホルムで抽出した。有機層を水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を、展開溶媒にトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=10:1)を用いて、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、R-(−)-N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-ブロモフェニル)アセトアミド0.85gを淡黄色油状物として得た(収率83%)。αD23=−60.70°(C=1.02、EtOH)
【0215】
〔実施例17〕
S-(+)-N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-ブロモフェニル)アセトアミドの製造法(化合物番号202)
【0216】
【化30】

【0217】
a)撹拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した100ml4つ口フラスコ中に、4-シアノメトキシ-3-メトキシ-β-フェネチルアミン0.65g(3.2mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド10ml、S-(+)-4-ブロモマンデル酸(αD25=+112.83°(C=1.42、EtOH))0.69g(3.0mmol)およびジイソプロピルエチルアミン1.55g(12.0mmol)を入れた。室温でベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート1.59g(3.6mmol)を加えた後、室温で5時間撹拌した。
得られた反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を1N塩酸で酸性として、飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を展開溶媒にトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=5:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、S-N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-ブロモフェニル)アセトアミド0.96gを淡黄色油状物として得た(収率76%)。
【0218】
b)撹拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した50ml4つ口フラスコ中に、S-N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(4-ブロモフェニル)アセトアミド0.96g(2.3mmol)、塩化メチレン10ml、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロマイド0.15g(0.46mmol)およびプロパルギルブロマイド0.55g(4.6mmol)を入れた。室温で30%水酸化ナトリウム水溶液0.6mlを加えた後、加熱還流下で2時間撹拌した。
得られた反応混合物を酸性としてクロロホルムで抽出した。有機層を水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を、展開溶媒にトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=10:1)を用いて、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、S-(+)-N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシフェニル)エチル]-2-(プロプ-2-イニルオキシ)-2-(4-ブロモフェニル)アセトアミド0.94gを淡黄色油状物として得た(収率90%)。αD24=+60.15°(C=1.01、EtOH)
【0219】
〔参考製造例1〕
4-ベンジルオキシ-3-メトキシ-β-フェネチルアミンの製造法
【0220】
【化31】

【0221】
a)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した1l4つ口フラスコ中に炭酸カリウム29.6g(0.215mol)、N,N-ジメチルホルムアミド250mlおよびバニリン25g(0.165mol)を入れた。室温で、ベンジルブロマイド29.6g(0.173mol)を加えた後、60℃で3時間攪拌した。
得られた反応混合物の不溶物をろ過し、ろ液に水および酢酸エチルを加え抽出した。酢酸エチル層を水洗い、次に飽和食塩水で洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物をヘキサンで洗うことにより、4-ベンジルオキシ-3-メトキシベンズアルデヒド38.8gを白色結晶物として得た(収率97%)。
【0222】
b)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した1l4つ口フラスコ中に室温でニトロメタン14.6g(0.24mol)、酢酸300mlおよび4-ベンジルオキシ-3-メトキシベンズアルデヒド38.8g(0.16mol)を入れた。室温でn-ブチルアミン12.8g(0.176mol)を滴下し、加熱還流下2時間攪拌した。
得られた反応混合物に氷水を加えた。結晶をろ過し、結晶を2回水洗後、乾燥して、1-ベンジルオキシ-2-メトキシ-4-(2-ニトロビニル)ベンゼン37.1gを黄色結晶物として得た(収率81%)。
【0223】
c)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した2l4つ口フラスコ中に室温でリチウムアルミニウムハイドライド14.8g(0.39mol)およびテトラヒドロフラン500mlを入れた。室温で、1-ベンジルオキシ-2-メトキシ-4-(2-ニトロビニル)ベンゼン37.1g(0.13mol)を少しずつ加えた後、加熱還流下7時間攪拌した。得られた反応混合物を冷却後、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、不溶物をセライトろ過した。得られたろ液を真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。残渣を酢酸エチルで抽出、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去することにより、4-ベンジルオキシ-3-メトキシ-β-フェネチルアミン27.4gを淡褐色油状物として得た(収率82%)。
【0224】
〔参考製造例2〕
4-シアノメトキシ-3-メトキシ-β-フェネチルアミンの製造法
【0225】
【化32】

【0226】
a)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した2l4つ口フラスコ中に4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル酢酸25.4g(0.139mol)およびテトラヒドロフラン500mlを入れた。氷冷下、リチウムアルミニウムハイドライ
ド11.1g(0.292mol)を5回に分けて加えた後、還流下で7時間攪拌した。
得られた反応混合物に飽和塩化アンモニウム溶液を加え、セライトで不溶物ろ過した。ろ液を真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を展開溶媒にトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=5:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシ)フェネチルアルコール20.2gを淡黄色油状物として得た(収率87%)。
【0227】
b)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した500ml4つ口フラスコ中に室温で2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシ)フェネチルアルコール18.9g(112mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド120ml、炭酸カリウム23.2g(168mmol)、ブロモアセトニトリル22.8g(190mmol)およびヨウ化カリウム1.9g(11.2mmol)を入れ、室温で7時間攪拌した。
得られた反応混合物に1N塩酸を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を展開溶媒にトルエン-アセトン混液(溶媒容量比率トルエン:アセトン=10:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシ)フェネチルアルコール23.3gを淡黄色油状物として得た(収率100%)。
【0228】
c)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した500ml4つ口フラスコ中に室温で2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシ)フェネチルアルコール23.3g(112mmol)、トルエン150mlおよび塩化チオニル16.0g(134mmol)を入れ、80℃で1時間攪拌した。
得られた反応混合物を真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物を展開溶媒にトルエン-酢酸エチル混液(溶媒容量比率トルエン:酢酸エチル=25:1)を用い、シリカゲル(メルク社製商品名:シリカゲル60H)クロマトグラフィーにより精製し、2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシ)フェネチルクロライド20.7gを淡黄色油状物として得た(収率82%)。
【0229】
d)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した500ml4つ口フラスコ中に室温でフタルイミドカリウム28.9g(156mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド140mlおよび2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシ)フェネチルクロライド20.7g(92mmol)を入れ、80℃で10時間攪拌した。
得られた反応混合物に水を加え析出した結晶をろ過後、酢酸エチルで洗浄し、N-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシ)フェネチル]フタルイミド27.7gを白色結晶として得た(収率90%)。
【0230】
e)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した500ml4つ口フラスコ中に室温でN-[2-(4-シアノメトキシ-3-メトキシ)フェネチル]フタルイミド27.7g(82mmol)、メタノール180mlおよびヒドラジン水和物12.3g(246mmol)を入れ、室温で4時間攪拌した。反応混合物に3N塩酸を加え室温で5時間攪拌した。
得られた反応混合物をろ過後、ろ液を真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。残渣を3N水酸化ナトリウム水溶液でアルカリ性とした後、クロロホルムで4回抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。4-シアノメトキシ-3-メトキシ-β-フェネチルアミン13.0gを淡褐色油状物として得た(収率76%)。
【0231】
〔参考製造例3〕
4-メチルマンデル酸の製造法
【0232】
【化33】

【0233】
a)攪拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した500ml4つ口フラスコ中に水酸化カリウム19.5g(348mmol)、水65mlを入れた。氷冷下、塩化リチウム7.4g(174mmol)、ジオキサン65ml、4-メチルベンズアルデヒド10.4g(87mmol)およびブロモホルム22.1g(87mmol)を加えた。氷冷下、10時間攪拌後、室温で24時間攪拌した。得られた反応混合物に36%塩酸を加え、エーテルで抽出した。エーテル層を水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去した。得られた粗生成物をヘキサンで洗うことにより、4-メチルマンデル酸11.1gを白色結晶物として得た(収率77%)。
【0234】
〔参考製造例4〕
R‐(−)‐4-クロロマンデル酸の製造法
【0235】
【化34】

【0236】
a)撹拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した100ml4つ口フラスコ中にDL-4-クロロマンデル酸8.21g(44mmol)、L-アラニン2.62g(29.5mmol)および水13mlを加えた。反応混合物を70℃まで加熱後、室温まで冷却した。室温で1時間撹拌後、析出した結晶を濾取し、結晶を冷水で洗うことによりR‐(−)‐4-クロロマンデル酸‐L‐アラニン複合体2.49gを得た(収率31%)。αD25=−76.28°(C=1.01、H2O)
【0237】
b)撹拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した50ml4つ口フラスコ中にR‐(−)‐4‐クロロマンデル酸‐L‐アラニン複合体2.48g(9.0mmol)および1N塩酸15mlを加え、室温で30分間撹拌した。反応混合物にエーテルを加え、さらに室温で30分間撹拌した。反応終了後、エーテル層を得て、得られたエーテル層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去することによりR‐(−)‐4-クロロマンデル酸1.50gを白色結晶物として得た(収率89%)。αD23=−125.92°(C=0.98、EtOH)
【0238】
〔参考製造例5〕
S‐(+)‐4-クロロマンデル酸の製造法
【0239】
【化35】

【0240】
a)撹拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した200ml
4つ口フラスコ中にDL-4-クロロマンデル酸18.65g(100mmol)、D-アラニン5.96g(67.0mmol)および水30mlを加えた。反応混合物を70℃まで加熱後、室温まで冷却した。室温で1時間撹拌後、析出した結晶を濾取し、結晶を冷水で洗うことによりS‐(+)‐4-クロロマンデル酸‐D‐アラニン複合体9.81gを得た(収率53%)。αD23=+44.73°(C=1.01、H2O)
【0241】
b)撹拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した200ml4つ口フラスコ中にS‐(+)‐4‐クロロマンデル酸‐D‐アラニン複合体(αD23=+44.73°(C=1.01、H2O))9.81g(35.6mmol)および1N塩酸50mlを加え、室温で30分間撹拌した。反応混合物にエーテルを加え、さらに室温で30分間撹拌した。反応終了後、エーテル層を得て、得られたエーテル層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去することによりS‐(+)‐4-クロロマンデル酸6.01gを白色結晶物として得た(収率91%)。αD23=+71.84°(C=1.41、EtOH)
【0242】
c)撹拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した300ml4つ口フラスコ中にS‐(+)‐4-クロロマンデル酸(αD23=+71.84°(C=1.41、EtOH))6.01g(32.2mmol)、S‐(−)‐α‐メチルベンジルアミン3.90g(32.2mmol)およびエチルアルコール100mlを加えた。30分間加熱還流し、10時間室温で置いた後、析出した結晶を濾取し、冷エチルアルコールで洗浄して白色結晶物を得た。得られた結晶を、エチルアルコールから2回再結晶して、S‐(+)‐4‐クロロマンデル酸‐S‐(−)‐α‐メチルベンジルアミン複合体4.71gを得た(収率48%)。αD23=+47.92°(C=0.626、MeOH)
【0243】
d)撹拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した500ml4つ口フラスコ中にS‐(+)‐4‐クロロマンデル酸‐S‐(−)‐α‐メチルベンジルアミン複合体(αD23=+47.92°(C=0.626、MeOH))4.71g(15.3mmol)、1N塩酸40mlおよびエーテル100mlを加え、室温で1時間撹拌した。反応終了後、分液してエーテル層を得た。得られたエーテル層を1N塩酸で洗浄し、さらに水で2回、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。真空ポンプ減圧下で溶媒を留去してS‐(+)‐4‐クロロマンデル酸2.62gを白色結晶物として得た(収率92%)。αD24=+134.29°(C=1.42、EtOH)
【0244】
〔参考製造例6〕
R‐(−)‐4‐ブロモマンデル酸の製造法
【0245】
【化36】

【0246】
a)撹拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した200ml4つ口フラスコ中にDL-4-ブロモマンデル酸16.1g(69.7mmol)、L-アラニン4.17g(46.8mmol)および水30mlを加えた。反応混合物を70℃まで加熱後、室温まで冷却した。室温で1時間撹拌後、析出した結晶を濾取し、結晶を冷水で洗うことによりR‐(−)‐4‐ブロモマンデル酸‐L‐アラニン複合体8.72gを得た(収率39%)。αD25=−88.02°(C=1.00、H2O)
【0247】
b)撹拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した200ml
4つ口フラスコ中にR‐(−)‐4‐ブロモマンデル酸‐L‐アラニン複合体(αD25=−88.02°(C=1.00、H2O))8.67g(27.1mmol)および1N塩酸40mlを加え、室温で30分間撹拌した。反応混合物にエーテルを加え、さらに室温で30分間撹拌した。反応終了後、エーテル層を得て、得られたエーテル層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去することによりR‐(−)‐4‐ブロモマンデル酸5.67gを白色結晶物として得た(収率91%)。αD25=−107.71°(C=1.43、EtOH)
【0248】
c)撹拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した200ml4つ口フラスコ中にR‐(−)‐4‐ブロモマンデル酸(αD25=−107.71°(C=1.43、EtOH))5.67g(24.5mmol)、R‐(+)‐α‐メチルベンジルアミン2.97g(24.5mmol)およびエチルアルコール120mlを加えた。30分間加熱還流し、10時間室温で置いた後、析出した結晶を濾取した。得られた結晶を、エチルアルコールから再結晶して、R‐(−)‐4‐ブロモマンデル酸‐R‐(+)‐α‐メチルベンジルアミン複合体6.52gを白色結晶物として得た(収率75%)。αD23=−43.67°(C=0.632、MeOH)
【0249】
d)撹拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した300ml4つ口フラスコ中にR‐(−)‐4‐ブロモマンデル酸‐R‐(+)‐α‐メチルベンジルアミン複合体(αD23=−43.67°(C=0.632、MeOH))6.47g(18.4mmol)、1N塩酸40mlおよびエーテル100mlを加え、室温で1時間撹拌した。反応終了後、分液してエーテル層を得た。得られたエーテル層を水で2回、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。真空ポンプ減圧下で溶媒を留去してR‐(−)‐4‐ブロモマンデル酸4.0gを白色結晶物として得た(収率94%)。αD24=−112.07°(C=1.42、EtOH)
【0250】
〔参考製造例7〕
S‐(+)‐4‐ブロモマンデル酸の製造法
【0251】
【化37】

【0252】
a)撹拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した200ml4つ口フラスコ中にDL-4-ブロモマンデル酸21.0g(91.0mmol)、D-アラニン5.4g(61.0mmol)および水30mlを加えた。反応混合物を80℃まで加熱後、室温まで冷却した。室温で1時間撹拌後、析出した結晶を濾取し、水で洗浄した。得られた結晶を水から再結晶することにより、S‐(+)‐4‐ブロモマンデル酸‐D‐アラニン複合体6.92gを得た(収率35%)。αD23=+63.49°(C=1.01、H2O)
【0253】
b)撹拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した200ml4つ口フラスコ中にS‐(+)‐4‐ブロモマンデル酸‐D‐アラニン複合体6.87g(21.5mmol)および1N塩酸40mlを加え、室温で30分間撹拌した。反応混合物にエーテルを加え、さらに室温で30分間撹拌した。反応終了後、エーテル層を得て、得られたエーテル層を水で2回、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空ポンプ減圧下に溶媒を留去することによりS‐(+)‐4‐ブロモマンデル酸4.55gを白色結晶物として得た(収率92%)。αD23=+98.59°(C=1.43、
EtOH)
【0254】
c)撹拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した200ml4つ口フラスコ中にS‐(+)‐4‐ブロモマンデル酸(αD23=+98.59°(C=1.43、EtOH))4.45g(19.3mmol)、S‐(−)‐α‐メチルベンジルアミン2.32g(19.3mmol)およびエチルアルコール100mlを加えた。30分間加熱還流し、10時間室温で置いた後、析出した結晶を濾取した。得られた結晶を、エチルアルコールから2回再結晶して、S‐(+)‐4‐ブロモマンデル酸‐S‐(−)‐α‐メチルベンジルアミン複合体4.31gを白色結晶物として得た(収率63%)。αD24=+42.94°(C=0.62、MeOH)
【0255】
d)撹拌装置、還流冷却器および100℃まで測定できる温度計を装備した300ml4つ口フラスコ中にS‐(+)‐4‐ブロモマンデル酸‐S‐(−)‐α‐メチルベンジルアミン複合体(αD24=+42.94°(C=0.62、MeOH))4.31g(12.2mmol)、1N塩酸30mlおよびエーテル80mlを加え、室温で1時間撹拌した。反応終了後、分液してエーテル層を得た。得られたエーテル層を水で2回、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。真空ポンプ減圧下で溶媒を留去してS‐(+)‐4‐ブロモマンデル酸2.49gを白色結晶物として得た(収率88%)。αD25=+112.83°(C=1.42、EtOH)
【0256】
次に、本発明の殺菌剤の製剤例を示す。製剤例中の「部」は重量部を表わす。
以下に示す製剤例の添加物および添加割合は、これら製剤例に限定されるものではなく、広範囲に変化させることが可能である。
【0257】
〔製剤例1〕 乳剤
化合物番号39の化合物(10部)を、ソルベッソ150(45部)およびN-メチル-2-ピロリドン(35部)に溶解した。得られた溶液に、ソルポール3005X(東邦化学工業株式会社製)(10部)を加え、攪拌混合して10%乳剤を得た。
さらに、化合物番号39の化合物に代えて、表1に記載の各化合物を用いること以外は、製剤例1と同様な方法により、それぞれの乳剤を得た。
【0258】
〔製剤例2〕 水和剤
化合物番号16の化合物(20部)を、ラウリル硫酸ナトリウム(2部)、リグニンスルホン酸ナトリウム(4部)、ホワイトカーボン(20部)およびクレー(54部)の混合物中に加え、ジュースミキサーで攪拌混合して20%水和剤を得た。
さらに、化合物番号16の化合物に代えて、表1に記載の各化合物を用いること以外は、同様な方法によりそれぞれの水和剤を得た。
【0259】
〔製剤例3〕 粒剤
化合物番号76の化合物(5部)に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(2部)、カルボキシメチルセルロース(2部)、ラウリル硫酸ナトリウム(2部)、ベントナイト(10部)およびクレー(79部)を加え、十分攪拌混合した。適当量の水を加えさらに攪拌し、造粒機で造粒した。得られた造粒物を通風乾燥して5%粒剤を得た。
さらに、化合物番号76の化合物に替えて、表1に記載の各化合物を用いること以外は、同様な方法により、それぞれの粒剤を得た。
【0260】
〔製剤例4〕 粉剤
化合物番号184の化合物(1部)を大豆油(2部)に溶解した。得られた溶液にホワイトカーボン(5部)、酸性リン酸イソプロピル(PAP)(0.3部)およびクレー(91.7部)を加え、ジュースミキサーで攪拌混合し、1%粉剤を得た。
さらに、化合物番号184の化合物に代えて、表1に記載の各化合物を用いること以外は、同様な方法により、それぞれの粉剤を得た。
【0261】
〔製剤例5〕 フロアブル剤
化合物番号88の化合物(20部)と、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ジアルキルスルホサクシネートナトリウムおよびプロキセルGXL(1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン)をそれぞれ2部、1部および0.2部含む水(20部)とを混合した。得られた混合物を、ダイノミルを用いて湿式粉砕した。得られた粉砕物と、プロピレングリコールおよびキサンタンガムをそれぞれ8部および0.32部含む水(60部)とを混合し、20%水中懸濁液であるフロアブル剤を得た。
さらに、化合物番号88の化合物に代えて、表1に記載の各化合物を用いること以外は、同様な方法により、それぞれのフロアブル剤を得た。
【0262】
〔製剤例6〕 顆粒水和剤
化合物番号102の化合物(20部)に、ラウリル硫酸ナトリウム(2部)、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム(3部)、デキストリン(5部)、ホワイトカーボン(20部)、クレー(50部)を加えて十分攪拌混合した。適当量の水を加えさらに攪拌し、造粒機で造粒した。得られた造粒物を通風乾燥して20%顆粒水和剤を得た。
さらに、化合物番号102の化合物に代えて、表1に記載の各化合物を用いること以外は、同様な方法により、それぞれの顆粒水和剤を得た。
【0263】
次に、本発明の殺菌剤の試験例を示す。
〔試験例1〕 キュウリべと病防除効果試験
温室内で直径6cmの大きさのプラスチックポットで栽培した、1.5葉期のキュウリ(品種:相模半白)に、製剤例2に準じて調製した水和剤の希釈液(1.6ppm)を、1ポットあたり10ml散布(茎葉散布)した。一方、別のポットで栽培したキュウリの葉上でキュウリべと病菌(Pseudoperonospora cubensis)の遊走子嚢を形成させた。
得られた遊走子嚢を、薬剤を散布処理したキュウリに、散布処理した翌日に接種した。このキュウリを20℃の接種箱内(相対湿度=100%)に24時間静置した後、さらに24℃の人工気象室内に静置し、発病を促した。
接種の5日後に、第1葉上のキュウリべと病の病斑面積歩合(%)を調査して各反復区から病斑面積歩合を求め、さらに下記の式1により防除価(%)を算出した。
防除価(%)=[1−(散布区の平均病斑面積歩合/無散布区の平均病斑面積歩合)]×100・・・〔式1〕
算出された防除価を、下記の表3の基準に従って評価値に換算した。
【0264】
本試験は、1薬液濃度当り、1区1ポットの3連制で行った。この結果を、表4の「防除効果の評価値」の欄に示した。
【0265】
【表3】

【0266】
また、下記の基準にしたがってキュウリ葉に対する薬害程度を調査した。
薬害程度の調査指数(6段階で評価)
5:激甚 4:甚 3:多 2:若干 1:わずか 0:なし
上記薬害程度の調査指数は、試験例2および試験例3においても適用した。この結果を表4の「薬害」の欄に示した。表4における比較化合物B〜Gとは以下の化合物を示す。これらの比較化合物は、特表2003−533502号公報に記載されている化合物である。また、これらの比較化合物は、試験例2,4,5,6においても用いられる。
【0267】
【化38】

【0268】
【表4】

【0269】
〔試験例2〕 トマト疫病防除効果試験
温室内で直径6cmの大きさのプラスチックポットで栽培した、5〜6葉期のトマト(品種:東光K)に、製剤例2に準じて調製した水和剤の希釈液(1.6ppm)を1ポットあたり10ml散布(茎葉散布)した。一方、じゃがいもスライス上で形成させたトマ
ト疫病菌(Phytophthora infestans)の遊走子嚢から遊走子を発芽させた。
その遊走子を薬剤散布したトマトに、薬剤処理の翌日に接種した。20℃の接種箱内(相対湿度=100%)に24時間静置した後、20℃の人工気象室内に静置し、発病を促した。接種の5日後に、第1〜5葉上のトマト疫病の病斑面積歩合(%)を調査し、その平均値を求めた。
得られた平均値から、上記の式1に従って防除価(%)を算出した。さらに上記の表3に従い、防除価を評価値に換算した。本試験は、1薬液濃度当り、1区1ポットの3連制で行った。これらの結果を表5に示した。
【0270】
【表5】

【0271】
〔試験例3〕 ジャガイモ疫病防除効果試験
温室内で直径9cmの大きさのプラスチックポットで栽培した、7〜8葉期のジャガイモ(品種:男爵)に、製剤例2に準じて調製した水和剤の希釈液(100ppm)を1ポ
ットあたり10ml散布(茎葉散布)した。一方、ジャガイモスライス上で形成させたジャガイモ疫病菌(Phytophthorainfestans)の遊走子嚢から遊走子を発芽させた。その遊走子を、薬剤処理の翌日、薬剤散布されたジャガイモに接種した。20℃の接種箱内(相対湿度=100%)に24時間静置した後、20℃の人工気象室内において発病を促した。接種の5日後に、第1〜6葉上のジャガイモ疫病の病斑面積歩合(%)を調査し、その平均値を求めた。得られた平均値から、上記の式1により防除価(%)を算出した。算出された防除価から上記の表3に従って、防除価を評価値に換算した。本試験は、1薬液濃度当り、1区1ポットの3連制で行った。これらの結果を表6に示した。
【0272】
【表6】

【0273】
〔試験例4〕 キュウリべと病治療効果試験
温室内で直径6cmの大きさのプラスチックポットで栽培した、1.5葉期のキュウリ(品種:相模半白)に、あらかじめ、別のポットで栽培したキュウリの葉上で形成させたキュウリべと病菌(Pseudoperonospora cubensis)の遊走子嚢を接種した。
20℃の接種箱内(相対湿度=100%)に24時間静置した。その接種後のキュウリのポットに、製剤例2に準じて調製した水和剤の希釈液(1.6ppm)を1ポットあたり10ml散布(茎葉散布)した。薬剤散布後、キュウリは、24℃の人工気象室内において、発病を促した。
接種の5日後に、第1葉上のキュウリべと病の病斑面積歩合(%)を調査し、その平均値を求めた。得られた平均値から上記の式1により防除価(%)を算出した。そして、上記の表3に従い、防除価を評価値に換算した。本試験は、1薬液濃度当り、1区1ポットの3連制で行った。これらの結果を表7に示した。
表7における比較化合物Aとは、下記の化合物を示す。比較化合物Aは、特表2003−533502号公報に記載されている化合物である。この比較化合物Aは、試験例5、試験例6および試験例7においても、比較化合物として用いられる。
【0274】
【化39】

【0275】
【表7】

【0276】
〔試験例5〕 トマト疫病治療効果試験
温室内で直径6cmの大きさのプラスチックポットで栽培した5〜6葉期のトマト(品種:東光K)に、あらかじめジャガイモスライス上で形成させたトマト疫病菌(Phytophthora infestans)の遊走子嚢から遊走子を発芽させ、その遊走子を接種した。これを20℃の接種箱内(相対湿度=100%)に24時間静置した。その接種後のポットに、製剤例2に準じて調製した水和剤の希釈液(6.3ppm)を1ポットあたり10ml散布(茎葉散布)した。
薬剤散布後、トマトを20℃の人工気象室内において発病を促した。接種の5日後に、第1〜5葉上のトマト疫病の病斑面積歩合(%)を調査し、平均値を求めた。得られた平
均値から上記の式1により防除価(%)を算出した。そして、上記の表3に従い、防除価を評価値に換算した。本試験は、1薬液濃度当り、1区1ポットの3連制で行った。これらの結果を表8に示した。
【0277】
【表8】

【0278】
〔試験例6〕 キュウリべと病耐雨性試験
温室内で直径6cmの大きさのプラスチックポットで栽培した、1.5葉期のキュウリ(品種:相模半白)に、製剤例2に準じて調製した水和剤の希釈液(25ppm)を、1ポットあたり10ml散布(茎葉散布)した。薬剤処理3時間後に、人工降雨装置により20mm/時間の強度で2時間(積算降水量40mm)、薬剤処理されたキュウリを降雨処理した。
薬剤処理24時間後に、あらかじめ別のキュウリ葉上で形成させたキュウリべと病菌(Pseudoperonospora cubensis)の遊走子嚢を、薬剤散布したキュウリに接種した。これを20℃の接種箱内(相対湿度=100%)に24時間静置した後、さらに24℃の人工気象室内において発病を促した。
接種の5日後に、第1葉上のキュウリべと病の病斑面積歩合(%)を調査し、その平均値を求めた。得られた平均値から上記の式1により防除価(%)を算出した。そして、上記の表3に従い、防除価を評価値に換算した。本試験は、1薬液濃度当り、1区1ポットの3連制で行った。これらの結果を表9に示した。
【0279】
【表9】

【0280】
〔試験例7〕 キュウリ果実に対する薬害試験
ビニル温室内で栽培したキュウリ(品種:よしなり)の果実(果実肥大期)に、製剤例2に準じて調製した水和剤の希釈液(150ppm)を1果実あたり5ml散布した。薬剤処理の翌日から経時観察し、散布14日後に、キュウリの全果実に対する薬害程度を上記の基準により判定した。本試験は、1薬液濃度当り、1区10果実の2連制で行った。これらの結果を表10に示した。表10における比較化合物Hとは以下の化合物を示す。比較化合物Hは、特表平8−511772号公報に記載されている化合物である。
【0281】
【化40】

【0282】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

(一般式(I)において、
1は、水素原子;ハロゲン原子、アルコキシ基もしくはシアノ基を有していてもよい鎖状もしくはシクロアルキル基;ハロゲン原子を有していてもよいアルケニル基;ハロゲン原子を有していてもよいアルキニル基;または、アルキルカルボニル基を示し、
2は、水素原子またはアルキル基を示し、
mは、0から2の整数を示し、
Xは、ハロゲン原子;アルコキシ基もしくはハロゲン原子を有していてもよい鎖状もしくはシクロアルキル基;ハロゲン原子を有していてもよいアルケニル基:ハロゲン原子を有していてもよいアルキニル基;ヒドロキシ基;ハロゲン原子を有していてもよい鎖状もしくはシクロアルコキシ基;ハロゲン原子を有していてもよいアルケニルオキシ基;ハロゲン原子を有していてもよいアルキニルオキシ基;ハロゲン原子を有していてもよいアルキルチオ基、アルキルスルフィニル基もしくはアルキルスルホニル基;フェニル基;フェノキシ基;シアノ基;ニトロ基;ホルミル基;カルボキシル基;アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基およびアルキニルオキシカルボニル基から選ばれるカルボニル基;1または2のアルキル基を有していてもよいアミノ基;ベンジル基;または、下記一般式(II)
【化2】

(一般式(II)において、R3は、水素原子またはアルキル基を示し、R4は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基を示す。)
で表される置換基であり、
nは、0から5の整数を示し、
nが2以上のときは、それぞれのXは同一または相異していてもよく、
2つのXがフェニル環炭素の隣り合う2つの炭素にそれぞれ結合し、該2つのXが一緒になってアルキレンジオキシ基またはアルキレン基を示していてもよい。)
で表される化合物またはその塩。
【請求項2】
前記一般式(I)におけるR2が水素原子を示すことを特徴とする、請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項3】
前記一般式(I)におけるmが0を示すことを特徴とする、請求項1または2に記載の化合物またはその塩。
【請求項4】
前記一般式(I)におけるmが1または2を示すことを特徴とする、請求項1または2に記載の化合物またはその塩。
【請求項5】
前記一般式(I)におけるR1が無置換の鎖状アルキル基、アルケニル基、もしくはア
ルキニル基、またはシアノアルキル基を示すことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物またはその塩。
【請求項6】
前記一般式(I)におけるnが1または2を示し、
前記一般式(I)におけるXがハロゲン原子;アルコキシ基もしくはハロゲン原子を有していてもよいアルキル基;ハロゲン原子を有していてもよい鎖状アルコキシ基もしくはシクロアルコキシ基;アルケニルオキシ基;アルキニルオキシ基;アルキルチオ基;ヒドロキシ基、または;シアノ基を示し、あるいは
2つのXがフェニル環炭素の隣り合う2つの炭素にそれぞれ結合する場合は、該2つのXが一緒になってアルキレンジオキシ基もしくはアルキレン基を示し、
nが2のときは、それぞれのXは同一または相異している
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物またはその塩。
【請求項7】
下記式で表される化合物から選ばれる少なくとも一の化合物またはその塩。
【化3】

【化4】

【請求項8】
光学異性体であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物またはその塩。
【請求項9】
下記式で表される化合物から選ばれる少なくとも一の化合物またはその塩。
【化5】

【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物もしくはその塩を含有することを特徴とする、農園芸用殺菌剤。

【公開番号】特開2006−182761(P2006−182761A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−337114(P2005−337114)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(000242002)北興化学工業株式会社 (182)
【Fターム(参考)】