説明

アナログ電気信号を用いた体内外間での高速通信方法及びそのシステム

アナログ電気信号を用いた人又は動物の体内外間での高速通信方法及びそのシステムにおいて、NTSC、PALなどの国際規格に準拠したテレビ標準信号をアナログ電気信号として用いることで、別途の複雑な受信システムを必要とせず、一般のテレビにより人又は動物の体内に関する画像情報を動画像でモニタする。アナログ電気信号を用いた人又は動物の体内外間での高速通信方法は、人又は動物の体内に挿入された送信部により、人又は動物体内の媒体を導線として用いて、人又は動物の体内情報に関するアナログ電気信号を伝達する段階と、人又は動物の体表面でアナログ電気信号を感知する段階と、媒体の表面で感知されたアナログ電気信号に含まれる人又は動物の体内情報を出力する段階と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナログ電気信号を用いた(人又は動物の)体内外間での高速通信方法及びそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術による体内外間での高速通信方法は、例えば、人体を媒体として用いる。この高速通信方法では、人体内部の器官に設置されたセンサにより、人体に無害な周波数領域の無線周波数(radio frequency:RF)信号を用いて収集した人体に関する様々な情報を、人体外部に伝送する。この関連技術の方法では、伝送のため、低速のデータを数MHz〜数百MHzのRF信号に変換する。よって、電力消費が増加する。さらに、アンテナの方向性により、RF信号の受信感度に変化を生じ易い。加えて、アンテナ及びRF回路は、小型化するのが困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
RF信号を用いた体内外間での通信方法に関するこのような問題を解決するため、本出願人は、大韓民国特許第0536188号で提案された「人体などの媒体を通信ラインとして用いた媒体内外間での通信方法及び装置」を開発した。ここで、媒体内での電気信号がデジタル信号として媒体外に伝送される。
【0004】
しかし、前記体内外間での情報伝送がデジタル方式でなされるため、伝送速度が制限される(例えば、1秒当たり2〜3フレーム)。従って、映像(画像)情報を伝送する場合に、動画像により情報を確認することができず、静止画像で情報を確認しなければならない。
【0005】
従って、本発明の一態様は、人又は動物の体内に関する情報、特に画像(映像)情報を、人又は動物の体内外間で送受信可能とするものである。
本発明の他の態様は、NTSC(National Television System Committee)、PAL(Phase Alternation Line)などの国際標準を用いることにより、高価な受信システムによらずに一般のテレビで人又は動物の体内に関する情報、特に画像情報(すなわち、動画像)をモニタ可能とする。ここで、前記国際標準のいずれか1つを用いて画像をエンコーディングすることで、この画像を再生するのが容易となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、人又は動物の体内外間での高速通信方法が提供され、この方法は、(a)人又は動物体内の送信部により、人又は動物の体内情報に関するアナログ電気信号を、この人又は動物の体を通じて伝達する段階と、(b)前記アナログ電気信号を人又は動物の体表面で感知する段階と、(c)前記感知されたアナログ電気信号に含まれる人又は動物の体内情報を出力する段階と、を含む。
【0007】
上記目的を達成するため、人又は動物の体内外間の高速通信システムが提供され、このシステムは、人又は動物の体内に設けられて、人又は動物の体内情報に関するアナログ電気信号を、この人又は動物の体を通じて伝達する送信部と、前記アナログ電気信号を人又は動物の体表面で感知する受信部と、前記感知されたアナログ電気信号に含まれる人又は動物の体内情報を出力する出力装置と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の一実施形態による高速通信システムの全体構成を示す図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態による図1の送信部の構成を示す図である。
【図3】図3は、アナログNTSC信号に変換された画像(映像)信号の一例を示す図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態による図1の受信部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明することとし、添付図面には、それらの例を示す。説明の上で、関連する機能又は構成についての詳細な説明が本発明の内容(目的)を不明瞭にする場合は、その詳細な説明を省略する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態による高速通信システムの全体構成を示す図である。高速通信システムは、媒体110と、人又は動物の体内情報に関するアナログ電気信号を、媒体110を通じて伝達する送信部120と、伝達されたアナログ電気信号を媒体110の表面から感知するとともに、所定の処理を施し、この処理後の信号を出力装置に転送する受信部130と、受信部130から転送された信号に含まれる情報を出力する出力装置150と、を含む。
【0011】
本発明で用いられる媒体110は、人又は動物の体のみならず、水又は特定化学物質を含有する水溶液などの高いインピーダンスを有する物質であってもよい。従って、媒体110は、人を含むあらゆる動物の体及び導電性媒体からなるあらゆる物質を意味する。
【0012】
送信部120は、媒体110内に設けることが可能であり、人又は動物の体内に関する情報を最適なアナログ電気信号に変換し、この情報を人又は動物の体外に伝送する。本実施形態によれば、送信部120は、人又は動物の体内情報を直接収集するユニットを含んでもよい。
【0013】
本明細書では、送信部120が人又は動物体内の画像情報を収集し、収集された情報を人又は動物の体外に伝送する実施形態について説明する。しかし、人又は動物の体内情報は、様々な情報(例えば、PH、温度、電気的インピーダンスなど)を含む人又は動物体内の分析結果、画像情報、音響情報などを含んでもよい。従って、本実施形態において、送信部120は、上記各種の情報を収集するのに適した装置又はシステムとして実現される。例えば、送信部120は、人又は動物の体内に関する画像(情報)を取得するカメラを含むことができる。
【0014】
図2は、送信部120の動作原理をより詳細に説明するため、本発明の一実施形態による図1の送信部の構成を示す図である。
図2に示すように、送信部120は、画像信号を取得するとともに、これを保存するピクセルアレイ121と、取得された画像信号を最適化する画像信号処理装置122と、最適化された画像信号をNTSCフォーマットに適するように変換するNTSCビデオエンコーダ123と、NTSCビデオエンコーダ123により生成されたデジタル信号をアナログビデオ信号に変換するビデオDAC(digital to analog conversion)124と、ピクセルアレイ121、画像信号処理装置122及びNTSCビデオエンコーダ123の状態を制御する制御装置126と、NTSCビデオDACからのアナログビデオ信号を2つの送信電極に伝達するインピーダンスマッチング回路125と、画像信号に関するアナログ電気信号を、媒体110(すなわち、人又は動物の体)を通じて伝達するための2つの送信電極128a、128bと、動作周波数を決定するクロック発生器127と、を含む。また、送信部120は、画像の明暗を調節する照明装置をさらに含んでもよい。
【0015】
ここで、画像信号処理装置122は、オートゲインコントロール、色補正、ガンマ補正、エッジ強調などの機能を実行して、画像信号(情報)を最適化することが可能である。
NTSCビデオエンコーダ123は、画像信号処理装置122により最適化された画像信号のフォーマットを、標準テレビジョン放送方式であるNTSCフォーマットに変換する。しかし、これは単なる例示にすぎず、NTSCビデオエンコーダ123は、画像情報(信号)をNTSCフォーマットだけでなく、PALフォーマットの標準画像信号に変換可能な装置であってもよいし、画像信号を実施形態に応じた適切な画像信号に変換可能ないかなる装置又はシステムであってもよい。
【0016】
ビデオDAC124は、NTSCビデオエンコーダ123から生成されたデジタルNTSC信号をアナログNTSCビデオ信号に変換する。変換されたアナログNTSC信号は、2つの送信電極128a、128bにそれぞれ印加される電圧の差に応じて人又は動物の体外に伝送される。よって、人又は動物体内の画像情報を、デジタル信号ではなく、アナログ電気信号として人又は動物の体外に伝送することができる。このように、画像情報がアナログ信号として伝送されるので、例えば、1秒当たり30フレーム(30frame/s)の速度で画像を伝送することができる。図3は、アナログNTSC信号の1フレームの波形及びアナログNTSC信号の1ラインの波形を例示的に示す図である。
【0017】
例えば、アナログNTSCビデオ信号が有し得る大きさAの範囲がA1≦A≦A2であり、2つの送信電極128a、128bにそれぞれ印加される電圧の差Vの範囲がV1≦V≦V2であると仮定する。ここで、アナログビデオ信号Aに対して2つの送信電極128a、128bにそれぞれ印加される電圧の差Vは、次式(1)となる。
【0018】
V={(V2−V1)/(A2−A1)}X(A−A1) ・・・(1)
従って、取得された画像情報を示すアナログNTSCビデオ信号をスケーリングし、電圧の大きさの差に応じて人又は動物の体外に伝送することができる。これは、単に理解を助けるための例示にすぎない。
【0019】
本実施形態によれば、前記アナログ信号は、電気信号として、他の方法により媒体110(すなわち、人又は動物の体)を通じて伝達することが可能である。すなわち、元の信号を変調せずに伝送するのである。前記アナログ電気信号は、人又は動物の体内で最も高い伝導性を有する周波数の搬送波に乗せて送信することができる。この場合は、送信部120に変調部を付加的に設けて、特定周波数の信号のみ送信するとともに、受信部130に復調器を付加的に設けて、前記特定周波数の信号を復調し、これを元の信号に復元することができる。
【0020】
インピーダンスマッチング回路125は、媒体110(すなわち、人又は動物の体)内でアナログ電気信号を最適に伝達するため、アナログ電気信号を媒体110(すなわち、人又は動物の体)のインピーダンスとマッチングさせ、人又は動物の体に有害な電流の流れを制限する。インピーダンスマッチング回路の一例を構成要素125の下方に示す。しかし、これは実施形態によって異なるものであり、上記機能を実行するいかなる回路又は装置によっても実現することが可能である。
【0021】
前述のように、図2は、画像情報をNTSCフォーマットのアナログ電気信号として人又は動物の体外に伝送する形態を示すものである。これは、単なる例示にすぎない。送信部120は、人又は動物の体内に関するあらゆる情報を、電気信号又はPALフォーマットのアナログ電気信号を用いて人又は動物の体外に伝送可能な装置、回路及びシステムのいずれであってもよいことに留意すべきである。
【0022】
送信部120の2つの送信電極128a、128bの間に電圧差が生じるため、2つの送信電極128a、128bの間では、電線(導線)のように人又は動物の体を通じて電流が流れる。ここで、この電流は、人又は動物の体表面でも流れる。従って、画像情報は、人又は動物の体表面(例えば、人又は動物の皮膚)上の2箇所(例えば、2つの送信電極)から流れる電気信号により、人又は動物の体外に伝送することができる。
【0023】
前述のように、媒体110表面上の2箇所、すなわち、2つの受信電極のそれぞれで受信された電気信号の差は、図1の受信部130で増幅され、フィルタを通過する。媒体110などの伝送チャネルを通過する際に歪んだ信号は、復元(補償又は補正)され、出力装置150に転送される。
【0024】
図4は、本発明の一実施形態による図1の受信部の構成を示す図である。
受信部130は、受信電極131a、131b、インピーダンスマッチング回路132a、132b、第1スイッチング回路133a、第2スイッチング回路133b、アナログフィルタ135、A/D変換器136、アナログ信号補償器137、デジタル信号補償器138、制御装置139、D/A変換器140、アナログフィルタ141、及び第3スイッチング回路142を含む。第1スイッチング回路133a及び第2スイッチング回路133bは、受信電極131a、131bにそれぞれ接続され、その出力ラインが差動増幅器134の正(+)端子及び負(−)端子にそれぞれ接続されている。差動増幅器134は、その正端子及び負端子にそれぞれ接続された第1スイッチング回路133a及び第2スイッチング回路133bから出力された信号の差を増幅する。アナログフィルタ135は、増幅された信号のノイズを除去する。A/D変換器136は、アナログフィルタ135を通過した信号をデジタル信号に変換し、変換されたデジタル信号を制御装置139に入力する。アナログ信号補償器137は、アナログフィルタ135を通過した歪みのある信号を補償する。デジタル信号補償器138は、A/D変換器136により変換された歪みのあるデジタル信号を補償する。第3スイッチング回路142は、アナログ信号補償器137及びデジタル信号補償器138からの信号のうち最適な信号を選択し、その選択された最適な信号を出力ライン143に出力する。制御装置139は、アナログ信号補償器137、デジタル信号補償器138、ならびに第1スイッチング回路133a、第2スイッチング回路133b及び第3スイッチング回路142を制御する。受信部130は、対応する受信電極131a、131bと、対応する第1スイッチング回路133a及び第2スイッチング回路133bとの間にそれぞれ接続されたインピーダンスマッチング回路132a、132bをさらに含むのが好ましい。以下、受信部130のこれらの構成要素を、より詳細に説明する。
【0025】
受信電極131a、131bは、媒体110の表面を流れる電流を受信する電極である。説明のため、図3には2つの受信電極のみを示す。しかし、一対の受信電極ばかりでなく、複数対の受信電極を用いることもできる。ここで、受信電極対のうち電圧の差が最も大きい1つの対が選択され、人又は動物体内の画像情報を復元するのに使用される。
【0026】
従って、複数の受信電極対のうち互いの電圧の差が最も大きい一対の受信電極131a、131bを選択し、選択された対を構成する2つの受信電極131a、131bからの信号を差動増幅器134に入力するように、第1スイッチング回路133a及び第2スイッチング回路133bが設けられる。従って、図4の実施形態に示すように、互いの電圧の差が最も大きい一対の受信電極131a、131bが第1スイッチング回路133a及び第2スイッチング回路133bによりそれぞれ選択される。このような選択は、制御装置139の制御のもとで行われる。例えば、複数の受信電極対の信号差を保存し、互いに比較することで行われる。
【0027】
対応する受信電極131a、131bと、対応する第1及び第2スイッチング回路133a、133bとの間に、インピーダンスマッチング回路132a、132bがさらに設けられる。ここで、インピーダンスマッチング回路132a、132bのそれぞれは、限られた電流範囲内で最適な受信が可能となるように、媒体110とのインピーダンスマッチングを行う。また、インピーダンスマッチング回路132a、132bのそれぞれは、元の信号の歪みを減少させるように、人又は動物の体の伝導性を補償(補正)する。インピーダンスマッチング回路は、図4の構成要素132bにおいて矢印により示される回路により構成されるが、これは単なる例示にすぎない。インピーダンスマッチング回路として、前述の機能を実行可能なあらゆる回路、装置及びシステムを用いることが可能である。
【0028】
第1スイッチング回路133aの出力ラインは、差動増幅器134の正(+)端子に、第2スイッチング回路133bの出力ラインは、差動増幅器134の負(−)端子に接続される。差動増幅器134は、選択された受信電極131a、131bの信号間の差を増幅する。受信電極131a、131bで受信される電気信号は、例えば、人又は動物の体などの高抵抗媒体110を通過させることにより、非常に微弱になっている。従って、このような差動増幅器134が設けられるのが好ましい。
【0029】
人又は動物の体などの媒体110の周波数伝導性は、非線形である。すなわち、伝導性が周波数に依存する。例えば、人又は動物の体を媒体として用いる場合に、周波数に応じた伝導性は、個人ごとに、又は人もしくは動物体内の部位によって異なる。従って、人又は動物の体などの媒体110を通過したNTSC信号は、大きく歪み、送信部120により伝送された信号のものとは異なる形態の信号となる。すなわち、特定周波数成分が減衰又は増幅され、矩形波がインパルス型で出力される。このような信号の歪みは、NTSC信号の周波数成分が多様であるので、より大きくなる。従って、アナログ信号補償器137及びデジタル信号補償器138は、伝送チャネル(例えば、人又は動物の体などの媒体110)を通過する際に生じた歪みのある信号を補償するのに必要となる。
【0030】
受信部130の制御装置139は、歪みのない信号(例えば、NTSC信号)の周波数特性に関する情報(すなわち、フーリエ変換後に得られる情報)を有する。従って、制御装置139は、伝送チャネルを通過した歪みのある信号の周波数伝導性を分析し、これを歪みのない信号の周波数特性と比較して、アナログ信号補償器137又はデジタル信号補償器138で適切な信号処理が行われて歪みのある信号が補償されるようにする。このような信号処理は、特定周波数成分を増幅又は減衰させることにより行われる。また、転送上の特性は、伝送チャネル(すなわち、人又は動物の体などの媒体)及び周波数に応じて異なる。従って、アナログ信号補償器137又はデジタル信号補償器138は、様々な信号処理アルゴリズムを含むのが好ましい。
【0031】
アナログフィルタ135を通過する際にノイズが除去された増幅信号は、アナログ信号補償器137に入力される。アナログ信号補償器137は、伝送チャネルを通過して歪んだ信号の補償を、アナログ信号に関して行う。アナログ信号補償器137は、必要になると見込まれる複数の信号処理回路を含むことができる。従って、歪みのあるアナログ信号及び歪みのないアナログ信号の分析に応じ、アナログフィルタ135を通過した信号がいずれか1つの適切な信号処理回路のみを通過することもあるし、複数の信号処理回路を順次通過することもある。このように、歪みのあるアナログ信号は、アナログ信号補償器137内の適切な信号処理回路を通過することにより、歪みのないアナログ信号とほぼ同一となるように補償される。ここで、歪みのある信号及び歪みのない信号の分析及び比較、ならびに適切な信号処理回路の選択は、全て受信部130内の制御装置139により実行することができる。
【0032】
デジタル信号補償器138は、A/D変換器136から出力された信号を受信し、伝送チャネルを通過する際に歪んだ信号の補償を、デジタル信号に関して行う。デジタル信号補償器138は、アナログ信号補償器をデジタル方式で実現することにより得られる。デジタル信号補償器138は、アナログ信号補償器137に比べて自由かつ容易に実現することが可能であり、様々な形態のものが存在する。従って、デジタル信号を補償するための信号処理機能がこれにより達成される。アナログ信号補償器137は、信号処理回路を既に含むものであるので、後でその構成を変更することは不可能であるか、又は非常に難しい。これに対し、デジタル信号補償器138は、実装後もその変更が可能なだけでなく、様々な信号処理ブロックを含むことができる。従って、分析された結果に応じて柔軟に対処することができる。
【0033】
第3スイッチング回路142は、アナログ信号補償器137及びデジタル信号補償器138の出力のうち一方を選択し、これを出力ライン143に出力する。ここで、制御装置139は、アナログ信号補償器137及びデジタル信号補償器138から出力される信号を歪みのない信号と比較し、第3スイッチング回路142がこの歪みのない信号により近い一方の信号を選択することを可能とする。ここで、出力ライン143は、一般のテレビのビデオ入力端子に接続される。従って、デジタル信号補償器138から出力される信号を使用のために選択するには、図4に示すように、D/A変換器140及びアナログフィルタ141をさらに必要とする。
【0034】
図4に示す受信部130の構成は、単なる例示にすぎない。受信部130は、受信部130としての機能を実行することのできる装置、回路及びシステムのいずれとしても実現することが可能である。実施形態に応じ、受信部130は、媒体110の表面を流れるアナログ電気信号を受信し、一般のテレビなどの出力装置150の入力端子に適した出力信号を出力するように、様々な形態で実現することができる。
【0035】
図4の出力ライン143は、図1の出力装置150に接続される。出力装置150は、出力ライン143から信号を受信して人又は動物の体内に関する情報を出力することのできるいかなる装置又はシステムであってもよい。
【0036】
図1の送信部120は、人又は動物の体内情報(すなわち、画像情報)をアナログNTSC電気信号として人又は動物の体外に伝送する。従って、本実施形態において、出力装置150は、一般的なNTSC方式のテレビであってよく、図4の出力ライン144は、このテレビのビデオ入力端子に接続される。このように、アナログ電気信号としてアナログNTSC電気信号を用いることで、受信部130の出力ラインを、いかなる送受信システムも必要とせずに一般のテレビのビデオ入力端子に接続し、人又は動物体内の画像情報を動画像で直接モニタすることが可能となる。すなわち、従来においては、国際規格に準拠した信号を用いては人又は動物の体内外間での情報伝送が達成されず、受信部130に別途の画像処理回路を必要としていた。これに対し、本実施形態では、別途の画像処理回路及び別途のディスプレイを必要とせず、受信部130の出力を一般のテレビのビデオ入力端子に接続することにより、容易に画像を復元することができる。
【0037】
これは、単なる例示にすぎない。出力装置150は、NTSC方式のテレビだけでなく、一般的なPAL方式のテレビであってもよい。さらに、出力装置150は、人又は動物の体内情報を画像として表示するディスプレイ、人又は動物の体内情報を保存する記憶装置、又は人もしくは動物の体内情報を音声として出力する音声出力装置であってもよい。出力装置150は、人又は動物の体内情報を出力することのできるいかなる装置又はシステムであってもよい。
【0038】
好ましい実施形態では、本発明において人又は動物の体内外間での高速通信に使用されるアナログ電気信号は、ベースバンドアナログ電気信号であってもよい。例えば、20MHz未満のアナログ電気信号を、人又は動物の体などの媒体110に用いることができる。これは、その周波数を超える周波数ではノイズ及び干渉により信号伝送が制限されるからである。しかし、この数値は、単なる例示にすぎず、本発明を限定するものと解釈してはならない。実施形態によっては、異なる周波数帯域のアナログ電気信号を用いることができる。
【0039】
上述のように、画像情報は、アナログ電気信号を用いて人又は動物の体内外間で高速に送受信することができる。
また、NTSC、PALなどの標準信号フォーマットの信号をアナログ電気信号として用いることで、人又は動物の体内に関する画像情報を、高価な受信システムを用いることなく、一般のテレビにより動画像でモニタすることができる。
【0040】
本発明について実施形態を参照して説明したが、これらの実施形態は、単なる例示にすぎない。本発明において、その精神又は範囲を逸脱することなく多様な変更及び変形が可能であるということは、当業者にとって明らかである。従って、本発明は、添付の請求の範囲及びそれらの同等物に属する限り、変更及び変形を含むものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人又は動物の体内外間での高速通信方法であって、
(a)人又は動物体内の送信部により、前記人又は動物の体内情報に関するアナログ電気信号を、前記人又は動物の体を通じて伝達する段階と、
(b)前記アナログ電気信号を前記人又は動物の体表面で感知する段階と、
(c)前記感知されたアナログ電気信号に含まれる前記人又は動物の体内情報を出力する段階と、
を含む方法。
【請求項2】
前記人又は動物の体内情報は、前記人又は動物体内の画像情報であり、
前記段階(c)において、前記人又は動物体内の画像情報が動画像の形態で出力される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アナログ電気信号は、NTSC又はPALフォーマットのアナログ電気信号であり、
前記出力段階において、前記人又は動物体内の画像情報がNTSC又はPAL方式のテレビにより動画像で出力される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記(a)段階は、
前記人又は動物体内の画像情報をNTSC又はPALフォーマットのデジタル信号にエンコーディングする段階と、
前記NTSC又はPALフォーマットのデジタル信号をNTSC又はPALフォーマットのアナログ信号に変換する段階と、
前記NTSC又はPALフォーマットのアナログ信号を電位差に応じて2つの送信電極に印加する段階と、
を含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記(a)段階は、
前記エンコーディング段階の前に前記画像情報を最適化する段階と、
前記印加段階の前に前記NTSC又はPALフォーマットのアナログ信号を前記媒体のインピーダンスとマッチングさせる段階と、
をさらに含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記感知段階は、
前記伝達されたアナログ電気信号を前記人又は動物の体表面上の2箇所で受信する段階と、
前記受信されたアナログ電気信号間の差を増幅する段階と、
歪みのある前記増幅されたアナログ信号を補償する段階と、
を含む請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記感知段階は、
前記増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換する段階と、
歪みのある前記デジタル信号を補償する段階と、
をさらに含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記感知段階は、前記補償されたアナログ及びデジタル信号のうち一方を選択する段階をさらに含み、
前記選択段階において、前記補償された信号のうち歪みの小さい信号が選択される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記感知段階は、
前記2箇所で受信された前記NTSCフォーマットのアナログ電気信号を、前記人又は動物の体のインピーダンスとマッチングさせる段階をさらに含む請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記アナログ電気信号の周波数範囲は、20MHz未満であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
人又は動物の体内外間での高速通信システムであって、
人又は動物の体内に配備されて、前記人又は動物の体内情報に関するアナログ電気信号を、前記人又は動物の体を通じて伝達する送信部と、
前記アナログ電気信号を前記人又は動物の体表面で感知する受信部と、
前記感知されたアナログ電気信号に含まれる前記人又は動物の体内情報を出力する出力装置と、
を含むことを特徴とする。
【請求項12】
前記人又は動物の体内情報は、前記人又は動物の体内の画像情報であり、
前記出力装置は、前記画像情報を動画像で出力可能な装置である請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記アナログ電気信号は、NTSC又はPALフォーマットのアナログ電気信号であり、
前記出力装置は、NTSC又はPAL方式のテレビである請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記送信部は、
前記画像情報をNTSC又はPALフォーマットのデジタル信号に変換するビデオエンコーダと、
前記NTSC又はPALフォーマットのデジタル信号をNTSC又はPALフォーマットのアナログ信号に変換するビデオDACと、
前記NTSC又はPALフォーマットのアナログ信号に応じた電位差が印加される2つの送信電極と、
を含む請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記送信部は、
前記画像情報を最適化し、前記最適化された画像情報を前記ビデオエンコーダに出力する画像信号処理装置と、
前記NTSC又はPALフォーマットのアナログ信号を前記人又は動物の体のインピーダンスとマッチングさせるインピーダンスマッチング回路と、
をさらに含む請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記受信部は、
前記伝達されたアナログ電気信号を前記人又は動物の体表面上の2箇所で受信する一対の受信電極と、
前記受信されたNTSCフォーマットのアナログ電気信号間の差を増幅する差動増幅器と、
歪みのある前記増幅されたアナログ信号を補償するアナログ信号補償器と、
を含み、
前記アナログ信号補償器は、少なくとも1つの信号処理回路を含む請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記受信部は、
前記増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、
歪みのある前記デジタル信号を補償するデジタル信号補償器と、
をさらに含み、
前記デジタル信号補償器は、少なくとも1つの信号処理ブロックを含む請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記受信部は、
前記アナログ信号補償器及び前記デジタル信号補償器のそれぞれから出力される信号のうち一方を選択するスイッチング回路と、
前記スイッチング回路に対し、前記アナログ信号補償器及び前記デジタル信号補償器のそれぞれから出力される信号から、歪みの小さい信号を選択させる制御装置と、
をさらに含む請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記受信部は、
前記2箇所で受信された前記NTSCフォーマットのアナログ電気信号を、前記人又は動物の体のインピーダンスとマッチングさせるインピーダンスマッチング回路をさらに含む請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記アナログ電気信号の周波数は、20MHz未満である請求項11に記載のシステム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図1】
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【公表番号】特表2010−509882(P2010−509882A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537067(P2009−537067)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【国際出願番号】PCT/KR2007/004344
【国際公開番号】WO2008/060030
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(509135418)アイスリーシステム コーポレーション (2)
【氏名又は名称原語表記】i3system Corp.
【Fターム(参考)】