説明

アニオン変性ポリウレタン分散体

本発明は、芳香族ポリイソシアネートに基づくアニオン変性ポリウレタンウレア、その製造方法およびフラット材料の被覆物の製造のための、または接着剤の製造のための使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香族ポリイソシアネートに基づくアニオン変性ポリウレタンウレア、その製造方法およびフラット材料の被覆物の製造のための、または接着剤の製造のための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
1パックポリウレタン接着剤は、同様に多く用いられるポリ酢酸ビニル分散体をはるかに上回る、耐熱性および耐水性についての優位性を有するので、木材接着の分野においてますます重要になりつつある。これらのポリウレタン接着剤は、一般に、5および20%の間のかなりのNCO含有量を有するNCO末端ポリウレタンプレポリマーである。これは、木材へ適用した後、その基材湿気または周囲空気中の湿気と反応して、ポリウレタン−ポリウレアを形成する。ポリエーテルに基づくポリウレタン系は通常、ポリエステルに基づくポリウレタン系が、より耐湿性および耐微生物性であるので好ましい。対応するポリウレタン接着剤は、例えばWO−A03/066700に記載されている。
【0003】
1パックポリウレタン接着剤としてのポリウレタンプレポリマーの使用の1つの欠点は、接着剤の処方、加工および適用の作業の際、湿気を除くことを必要とするNCO基の高含有量に見られる。さらに、直接の皮膚との接触は、適切な保護手段により避けられなければならない。
【0004】
ポリエーテルに基づくポリウレタンまたはポリウレタンウレア水性分散体の使用により、1つの溶液が提供される。これは、先行技術に記載されている。例えばEP−A0615988には、接着剤として極めて低いウレア基含有量を有するポリウレタンを含有するポリウレタン水性分散体の使用が記載されている。
【0005】
先行技術から既知のポリウレタンおよびポリウレタンウレア分散体の欠点は、木材接着用の1パック接着剤として用いる場合に得られる、不適切な引張せん断強度に存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第03/066700号パンフレット
【特許文献2】欧州特許出願公開第0615988号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、木材接着のための1パック接着剤として用いる場合に向上した引張せん断強度をもたらすポリエーテルに基づくポリウレタンまたはポリウレタンウレア分散体を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、本発明による芳香族ジイソシアネートから作られたポリウレタンウレアの分散体により達成されることが見出された。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、一般式(I):
【化1】

〔式中、Aromat=フェニレン、トリレン、キシリレン、テトラメチルキシリレンまたはジフェニレンメタン、好ましくはトリレンまたはジフェニレンメタン〕
で示される構造単位を有するポリウレタンウレアポリマーを含有し、
A)1以上の芳香族ジイソシネート、
B)300〜1500Da、好ましくは500〜1250Daの数平均分子量を有する少なくとも1つのポリエーテルポリオール、
C)1〜2個のイソシアネート反応性基および少なくとも1つのイオノーゲン基を有する少なくとも1つの化合物、
D)60〜499Da、好ましくは90〜220Daの数平均分子量を有する少なくとも1つのポリオール、
E)水
から構成され、イソシアネート反応性化合物B)〜D)の平均全官能価は、1.85〜2.2、好ましくは1.9〜2.1であり、ポリウレタンウレアポリマーにおいて、芳香族ウレア基の含有量およびウレタン基の含有量の合計は、ポリウレタンウレアポリマー1kg当たり2700〜5000mmol、好ましくは1kg当たり2800〜4000mmol、特に好ましくは1kg当たり2850〜3500mmolである、ポリウレタンウレア水性分散体を提供する。
【0010】
ジイソシアネート成分A)の例として以下のものが挙げられる:1,4−ジイソシアナトベンゼン、2,4−ジイソシアナトトルエン、2,6−ジイソシアナトトルエン、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、2,2’−および2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネートおよびこれらの化合物からなる混合物。2,4−ジイソシアナトトルエン、2,6−ジイソシアナトトルエン、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、2,2’−および2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタンおよびこれらの化合物からなる混合物は好ましい。2,4−ジイソシアナトトルエンまたは2,6−ジイソシアナトトルエンまたはこれらの混合物は特に好ましい。
【0011】
ポリエーテルポリオールB)として、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドの重付加生成物、ならびにそれらのコ−重付加生成物及びグラフト重付加生成物、多価アルコール又はそれらの混合物の縮合により得られるポリエーテル、ならびに水、多価アルコール、アミン又はアミノアルコールのアルコキシル化により得られるポリエーテルを用いる。分子量が約1500Da未満、好ましくは500〜1250Daの分子量を有するエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのホモ−及び/又はコ−重付加化合物が好ましい。該ポリエーテルポリオールの平均官能価は、1.85より大きく、好ましくは1.92〜3である。1.95〜2.05の官能価を有する2官能性ポリエーテルが特に好ましい。
【0012】
エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコ−重付加化合物中のエチレンオキシドの割合は、1〜50%、好ましくは1〜30%、特に好ましくは5〜20%である。
【0013】
本発明の特に好ましい実施態様では、ポリエーテルポリオールB)は、750〜1250Daの分子量および1.95〜2.05の官能価を有するプロピレンオキシドのホモ−重付加生成物である。
【0014】
ポリウレタン化学から、例えばポリエステルの種類からそれ自体知られている、より高い分子量のポリヒドロキシル成分の少量を、必要に応じて用い得る。
【0015】
1〜2個のイソシアナート反応性基及び少なくとも1つのイオノーゲン基を有するイオノーゲン化合物C)として適当なものは、例えばヒドロキシカルボン酸及びメルカプトカルボン酸、アミノカルボン酸、例えばグリシン、アラニン又は4−アミノ酪酸、ジ−及びポリヒドロキシカルボン酸、例えばジメチロールプロピオン酸又はジメチロール酪酸、あるいはDE−A2446440(第4〜6頁)及びDE−A2437218(第3〜4頁)に記載のスルホネート基を含有する脂肪族ジオールなどの化合物である。好ましいイオノーゲン成分C)としては、ジメチロール酪酸またはジメチロールプロピオン酸が挙げられる。
【0016】
イオノーゲン成分(C)を非−中和カルボン酸及び/又はスルホン酸の形態で用いる限りにおいて、第3級アミン、例えばトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン又はアンモニア、アルカリ性水酸化物、例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、又はアルカリ炭酸塩あるいは炭酸水素塩が中和剤として好適である。
【0017】
ポリオールD)として、分子量が60Daを越え、好ましくは90および220Daの間であり、第1級または第2級アルコール基を含有する化合物を用いることが可能である。化合物D)として適当なのは、例えばジオール、例えばエタンジオール、ジ−、トリ−、テトラ−エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジ−、トリ−、テトラプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールまたはこれらの混合物等である。成分D)として適当な他の化合物は、2を越えるヒドロキシ官能価を有するポリオール化合物、例えばトリメチロールプロパンまたはグリセロールである。成分D)として特に好ましいのは、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール,1,5−ペンタンジオールまたは1,6−ヘキサンジオールである。
【0018】
本発明のポリウレタンまたはポリウレタンウレア水性分散体の製造は、均質に1以上の段階においてまたは部分的に分散相中において多段階反応において行うことができる。重付加を完全または部分的に行った後、分散、乳化または溶解化工程を行う。その後、さらなる重付加または変性を分散相中において必要に応じて行う。先行技術から知られている全ての方法、例えば乳化/せん断力法、アセトン法、プレポリマー混合法、溶融乳化法、ケチミン法および固体/自然分散法またはこれらの派生法等を用いることができる。溶融乳化法、プレポリマー混合法およびアセトン法が好ましい。プレポリマー混合法およびアセトン法は特に好ましく、アセトン法は最も特に好ましい。
【0019】
本発明はまた、本発明のポリウレタンポリウレア水性分散体の製造方法を提供し、まず、成分A)、B)、C)およびD)を、ポリウレタンプレポリマーを製造するために完全または部分的に反応器中に投入し、イソシアネート基に対して不活性の水混和性溶媒で必要に応じて希釈し、好ましくは溶媒を用いずに、50〜120℃、好ましくは70〜100℃の範囲の温度に加熱し、次いで反応の開始時に添加しなかった任意の成分A)、B)、C)またはD)を計量投入し、中和を適当な中和剤で分散前または分散中に行い、次いで必要に応じて用いた有機溶媒を留去することを特徴とする。
【0020】
適当な溶媒は、例えばアセトン、ブタノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルまたは1−メチル−2−ピロリドンであり、これらは、製造の開始時だけでなく、必要に応じて後に分けて添加することができる。アセトンおよびブタノンが好ましい。反応は、標準圧または加圧下で行うことができる。
【0021】
プレポリマーを製造するために、用いた個々の成分A)〜D)の量は、1.05〜3.0、好ましくは1.1〜1.8のイソシアネート指数が生じるように算出する。プレポリマーのイソシアネート含有量は、1.0および9.0%、好ましくは1.3および7.0%、特に好ましくは1.5および6.0%の間である。
【0022】
10〜60重量部、好ましくは20〜40重量部の成分A)、40〜80重量部、好ましくは50〜70重量部の成分B)、1〜20重量部、好ましくは3〜12重量部の成分C)および0.5〜20重量部、好ましくは1〜10重量部の成分D)を用いるが、成分の合計は100である。
【0023】
成分A)と、成分B)、C)およびD)との反応は、イソシアネート反応性基の全量に基づいて、部分的にまたは完全に、好ましくは完全に行う。変換度は通常、以下の反応混合物のNCO含有量により監視する。この目的のために、分光計測、例えば赤外または近赤外スペクトル、屈折率の決定および取り出した試料の滴定のような化学分析を行うことが可能である。
【0024】
イソシアネート付加反応を促進させるために、従来法による触媒、例えば当業者に既知の触媒等を用いて、NCO−OH反応を促進させることが可能である。その例は、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ−[2.2.2]−オクタン、ジブチル錫オキシド、錫ジオクトエートまたはジブチル錫ジラウレート、錫ビス(2−エチルヘキノエート)または他の有機金属化合物である。
【0025】
ポリウレタンまたはポリウレタンウレア分散体を製造するために、プレポリマーを分散水に直接または適当な溶媒、好ましくはアセトン中に溶解後に、必要に応じて強撹拌のような強せん断力下で添加するか、または分散水をプレポリマー中に撹拌投入する。
【0026】
イオノーゲン基を有する成分(C)を、非−中和カルボン酸及び/又はスルホン酸の形態で用いる場合、中和を、分散前または分散中に、適当な中和剤、好ましくは第3級アミン、例えばトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、エチルジイソプロピルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミンおよびアルカリ性水酸化物、アルカリ炭酸塩および/またはアルカリ例えばナトリウムあるいはカリウムヒドロキシド、又はアルカリ炭酸水素塩を用いて行う。その量は、中和度が40および200%の間、好ましくは50および100%の間であるように算出する。
【0027】
分散中および/または分散後、なお存在するイソシアネート基を、水と反応させてウレア基を形成する。
【0028】
分散後、必要に応じて用いた有機溶媒、例えばアセトンを留去する。
【0029】
分散体は、10〜70重量%、好ましくは25〜50重量%、特に好ましくは30〜40重量%の固形分を有する。
【0030】
通常、本発明の方法において出発成分A)〜D)の量は、ポリマー1kg当たり50〜750mmol、好ましくは200〜600mmol、特に好ましくは250〜550mmolのアニオン性基を有するアニオン変性ポリウレタンウレアが生じるように算出する。
【0031】
本発明は、フラット材料の被覆物の製造のための、また接着剤としての本発明のポリウレタン分散体の使用を提供する。
【0032】
本発明はまた、本発明のポリウレタンウレア分散体を含有する接着剤を提供する。
【0033】
本発明のポリウレタンウレア分散体を含有する接着剤は、任意の基材、例えば紙、段ボール、木材、コルク、繊維製品、金属、皮革およびポリマーまたは鉱物物質等を接着するのに適している。本発明の接着剤は、木材またはコルクを接着するのに特に適している。
【0034】
本発明のポリウレタンウレア分散体を含有する接着剤は、基材へ適用して、湿潤接着法により接着する。これは、接着を、接着剤を塗布直後に乾燥することなく行うことを意味する。接着剤が硬化するまで、接着すべき部分の機械固定が必要である。しかしながら、熱活性法を用いて作業することも可能である。この場合、分散体を、基材に適用して、全ての水を蒸発させた後、接着層を熱により、例えば赤外ヒーターにより活性化し、接着状態へ変換する。
【0035】
これにより、少なくとも1つの基材および本発明のポリウレタンウレア分散体を含有する接着剤を含む接着剤複合材料が生じる。こうして製造された接着剤複合材料は、木材上で湿潤接着法を用いた後、4.4N/mmを越える、好ましくは>4.8N/mm、特に好ましくは>5.0N/mmの引張せん断強度を生じさせる。
【0036】
本発明は、同一または異なっていてよい1以上の基材、および本発明のポリウレタンウレア分散体を含有する接着剤層から構成された接着剤複合材料を提供する。
【0037】
本発明のポリウレタンウレア分散体を含有する接着剤はまた、基材、例えばガラス繊維布、炭素繊維布または鉱物繊維布または鉱物基材などを接着するのに適している。この場合、ガラス繊維布、炭素繊維布または鉱物繊維布複合材料が、鉱物表面へ好ましく接着する。この結果、建物または建築物を、機械的影響または振動による破壊から、より良好に保護することができる。
【0038】
従って、ガラス繊維、炭素繊維または鉱物繊維布の群から選択された1以上の基材、本発明のポリウレタンウレア分散体を含有する接着剤層ならびに鉱物基材から構成された接着複合材料が好ましい。
【0039】
2つの木質基材および本発明のポリウレタンウレア分散体を含有する接着層から構成された接着複合材料は好ましい。
【0040】
また、ポリマー材料で接着されたコルク顆粒、コルクディスクおよび本発明のポリウレタンウレア分散体を含有する接着剤層から構成された接着複合材料も好ましい。
【実施例】
【0041】
パーセンテージは、以下の実施例においていずれの場合にも重量を参照し、部は重量部である。
【0042】
本発明を、以下、実施例に基づいてより詳細に説明する。湿潤接着法を適用した後の引張せん断強度は、以下の方法により決定することができる。
【0043】
湿潤法の適用後の引張せん断強度の決定
決定は、1パック処方物(架橋剤を用いない)により行う。
【0044】
試験材料/試験片
ブナ材(かんな仕上げ)/ブナ材(かんな仕上げ)、寸法:40×20×5mm
【0045】
接着および計測
接着剤分散体を、両方ブナ材試験片上へ、刷毛を用いて塗布する。接着表面は、10×20mmである。2つの試験片を順に重ねて、72時間室温で5バール圧力下で接合する。
次いで、試験片を、室温で180度の角度で接着剤接合へ荷重をかけ、1分当たり100mmの速度で引き離す。これに必要な力(=剥離強度、引張せん断強度)を計測する。決定は、5回行い、平均値を得る。
【0046】
用いた材料
Luphen(登録商標) D259U (BASF AG、ルートウィヒスハーフェン/ドイツ):
ウレア基の低含有量(<50mmol/kg)および約40%の固形分を有する、ポリプロピレンオキシドポリエーテル、ジメチロールプロピオン酸およびトルエンジイソシアネートに基づくポリエーテル系ポリウレタン分散体。
【0047】
Dispercoll(登録商標) U XP 2643 (Bayer MaterialScience AG、ルートウィヒスハーフェン/ドイツ):
2000g/モルの平均分子量を有するポリプロピレンオキシドポリエーテル、ジメチロールプロピオン酸、エチレンジアミンおよびトルエンジイソシアネートに基づくポリエーテル系ポリウレタン分散体。固形分は、約40%である。
【0048】
実施例1(本発明による)
240g(239.5mmol)のポリプロピレンオキシドジオール(OH価112、平均分子量1000g/mol)およびジメチロールプロピオン酸25.7g(191.6mmol)を、60分間、100℃でおよび50mbarで脱水する。70℃に冷却後、121.7g(699.4mmol)の2,4−および2,6−トルエンジイソシアネートの80:20混合物を撹拌投入し、15分後に温度を90℃で一定にする。3時間後、4.60%のイソシアネート含有量に達する。該混合物を、アセトン69gで希釈し、トリエチルアミン12.6g(124.5mmol)で10分間、50℃で塩にする(versalzt)。次いで、該プレポリマー混合物を水750gへ強く撹拌しながら添加し、1時間40℃で分散する。アセトンを蒸留により除去した後、微細粒子分散体を、33%の固形分で得る。
【0049】
アニオン変性ポリウレタンウレア1kg当たりの式(I)で示される芳香族ウレア基の含有量:543mmol
(計算:405.7g固体当たり220.1mmolウレア基に相当する440.2mmolNCO)
アニオン変性ポリウレタンウレア1kg当たりのウレタン基の含有量:2363mmol
(計算:405.7g固体当たりの958.6mmol)
合計:アニオン変性ポリウレタンウレア1kg当たり2906mmol芳香族ウレア基およびウレタン基
湿潤接着法を適用した後の引張せん断強度の決定は、6.7N/mmを与える。
【0050】
実施例2(本発明による)
240g(239.5mmol)のポリプロピレンオキシドジオール(OH価112、平均分子量1000g/mol)およびジメチロールプロピオン酸25.7g(191.6mmol)を、60分間、100℃でおよび50mbarで脱水する。次いで、1,6−ヘキサンジオール2.85g(24.1mmol)を添加し、該混合物を15分間100℃で均質化する。70℃に冷却後、121.7g(699.4mmol)の2,4−および2,6−トルエンジイソシアネートの80:20混合物を撹拌投入し、15分後に温度を90℃にて一定にする。4時間後、4.91%のイソシアネート含有量に達する。該混合物を、アセトン69gで希釈し、トリエチルアミン12.6g(124.5mmol)で10分間、50℃で塩にする。次いで、該プレポリマー混合物を水720gへ強く撹拌しながら添加し、1時間、40℃にて分散する。アセトンを蒸留により除去した後、微細粒子分散体を、33%の固形分で得る。
【0051】
アニオン変性ポリウレタンウレア1kg当たりの式(I)で示される芳香族ウレア基の含有量:606mmol
(計算:402.85g固体当たり244.2mmolウレア基に相当する488.4mmolNCO)
アニオン変性ポリウレタンウレア1kg当たりのウレタン基の含有量:2260mmol
(計算:402.85g固体当たりの910.4mmol)
合計:アニオン変性ポリウレタンウレア1kg当たり2866mmol芳香族ウレア基およびウレタン基
湿潤接着法を適用した後の引張せん断強度の決定は、6.4N/mmを与える。
【0052】
実施例3(本発明による)
240g(239.5mmol)のポリプロピレンオキシドジオール(OH価112、平均分子量1000g/mol)およびジメチロールプロピオン酸25.7g(191.6mmol)を、60分間、100℃でおよび50mbarで脱水する。次いで、1,6−ヘキサンジオール11.4g(96.5mmol)を添加し、該混合物を15分間100℃で均質化する。70℃に冷却後、121.7g(699.4mmol)の2,4−および2,6−トルエンジイソシアネートの80:20混合物を撹拌投入し、15分後に温度を90℃にて一定にする。5時間後、3.41%のイソシアネート含有量に達する。該混合物を、アセトン70gで希釈し、トリエチルアミン12.6g(124.5mmol)で10分間、50℃にて塩にする。次いで、該プレポリマー混合物を水740gへ強く撹拌しながら添加し、1時間、40℃にて分散する。アセトンを蒸留により除去した後、微細粒子分散体を、33%の固形分で得る。
【0053】
アニオン変性ポリウレタンウレア1kg当たりの式(I)で示される芳香族ウレア基の含有量:418mmol
(計算:411.4g固体当たり171.8mmolウレア基に相当する343.6mmolNCO)
アニオン変性ポリウレタンウレア1kg当たりのウレタン基の含有量:2565mmol
(計算:411.4g固体当たりの1055.2mmol)
合計:アニオン変性ポリウレタンウレア1kg当たり2983mmol芳香族ウレア基およびウレタン基
湿潤接着法を適用した後の引張せん断強度の決定は、5.4N/mmを与える。
【0054】
実施例4(本発明による)
240g(239.5mmol)のポリプロピレンオキシドジオール(OH価112、平均分子量1000g/mol)およびジメチロールプロピオン酸25.7g(191.6mmol)を、60分間、100℃でおよび50mbarで脱水する。次いで、1,6−ヘキサンジオール22.8g(192.9mmol)を添加し、該混合物を15分間100℃で均質化する。70℃に冷却後、121.7g(699.4mmol)の2,4−および2,6−トルエンジイソシアネートの80:20混合物を撹拌投入し、15分後に温度を90℃にて一定にする。5時間後、1.53%のイソシアネート含有量に達する。該混合物を、アセトン273gで希釈し、トリエチルアミン12.6g(124.5mmol)で10分間、50℃にて塩にする。次いで、該プレポリマー混合物を水1100gへ強く撹拌しながら添加し、1時間、40℃にて分散する。アセトンを蒸留により除去した後、微細粒子分散体を、30%の固形分で得る。
【0055】
アニオン変性ポリウレタンウレア1kg当たりの式(I)で示される芳香族ウレア基の含有量:177mmol
(計算:422.8g固体当たり75.0mmolウレア基に相当する150.0mmolNCO)
アニオン変性ポリウレタンウレア1kg当たりのウレタン基の含有量:2954mmol
(計算:422.8g固体当たりの1248.8mmol)
合計:アニオン変性ポリウレタンウレア1kg当たり3131mmol芳香族ウレア基およびウレタン基
湿潤接着法を適用した後の引張せん断強度の決定は、5.3N/mmを与える。
【0056】
実施例5(本発明による)
240g(239.5mmol)のポリプロピレンオキシドジオール(OH価112、平均分子量1000g/mol)およびジメチロールプロピオン酸25.7g(191.6mmol)を、60分間、100℃でおよび50mbarで脱水する。次いで、1,6−ヘキサンジオール5.7g(48.2mmol)を添加し、該混合物を15分間100℃で均質化する。70℃に冷却後、121.7g(699.4mmol)の2,4−および2,6−トルエンジイソシアネートの80:20混合物を撹拌投入し、15分後に温度を90℃にて一定にする。3.5時間後、4.30%のイソシアネート含有量に達する。該混合物を、アセトン70gで希釈し、トリエチルアミン12.6g(124.5mmol)で10分間、50℃にて塩にする。次いで、該プレポリマー混合物を水730gへ強く撹拌しながら添加し、1時間、40℃にて分散する。アセトンを蒸留により除去した後、微細粒子分散体を、33%の固形分で得る。
【0057】
アニオン変性ポリウレタンウレア1kg当たりの式(I)で示される芳香族ウレア基の含有量:509mmol
(計算:406.86g固体当たり207.2mmolウレア基に相当する414.4mmolNCO)
アニオン変性ポリウレタンウレア1kg当たりのウレタン基の含有量:2419mmol
(計算:406.86g固体当たりの984.4mmol)
合計:アニオン変性ポリウレタンウレア1kg当たり2928mmol芳香族ウレア基およびウレタン基
湿潤接着法を適用した後の引張せん断強度の決定は、5.3N/mmを与える。
【0058】
実施例6(比較):
実施例1からのポリウレタン分散体の代わりに、Luphen D259Uを用いる。湿潤接着法を適用した後の引張せん断強度の決定は、2.6N/mmを与える。
【0059】
実施例7(比較):
実施例1からのポリウレタン分散体の代わりに、Dispercoll U XP 2643を用いる。湿潤接着法を適用した後の引張せん断強度の決定は、2.6N/mmを与える。
【0060】
実施例8(比較):
324g(323.4mmol)のポリプロピレンオキシドジオール(OH価112、平均分子量1000g/mol)およびジメチロールプロピオン酸29.55g(220.3mmol)を、60分間、100℃でおよび50mbarで脱水する。次いで、1,6−ヘキサンジオール5.7g(48.2mmol)を添加し、該混合物を15分間100℃で均質化する。70℃に冷却後、121.7g(699.4mmol)の2,4−および2,6−トルエンジイソシアネートの80:20混合物を撹拌投入し、15分後に温度を90℃にて一定にする。4時間後、1.69%のイソシアネート含有量に達する。該混合物を、アセトン160gで希釈し、トリエチルアミン14.49g(143.2mmol)で10分間、50℃にて塩にする。次いで、該プレポリマー混合物を水1050gへ強く撹拌しながら添加し、1時間、40℃にて分散する。アセトンを蒸留により除去した後、微細粒子分散体を、34%の固形分で得る。
【0061】
アニオン変性ポリウレタンウレア1kg当たりの式(I)で示される芳香族ウレア基の含有量:217mmol
(計算:495.44g固体当たり107.5mmolウレア基に相当する215.0mmolNCO)
アニオン変性ポリウレタンウレア1kg当たりのウレタン基の含有量:2389mmol
(計算:495.44g固体当たりの1183.8mmol)
合計:アニオン変性ポリウレタンウレア1kg当たり2606mmol芳香族ウレア基およびウレタン基
湿潤接着法を適用した後の引張せん断強度の決定は、3.3N/mmを与える。
【0062】
実施例9(比較):
288.3g(287.8mmol)のポリプロピレンオキシドジオール(OH価112、平均分子量1000g/mol)およびジメチロールプロピオン酸25.7g(191.6mmol)を、60分間、100℃でおよび50mbarで脱水する。70℃に冷却後、121.7g(699.4mmol)の2,4−および2,6−トルエンジイソシアネートの80:20混合物を撹拌投入し、15分後に温度を90℃にて一定にする。3時間後、4.00%のイソシアネート含有量に達する。該混合物を、アセトン77gで希釈し、トリエチルアミン12.6g(124.5mmol)で10分間、50℃にて塩にする。次いで、該プレポリマー混合物を水810gへ強く撹拌しながら添加し、1時間、40℃にて分散する。アセトンを蒸留により除去した後、微細粒子分散体を、33%の固形分で得る。
【0063】
アニオン変性ポリウレタンウレア1kg当たりの式(I)で示される芳香族ウレア基の含有量:491mmol
(計算:448.3g固体当たり220.0mmolウレア基に相当する440.0mmolNCO)
アニオン変性ポリウレタンウレア1kg当たりのウレタン基の含有量:2139mmol
(計算:448.3g固体当たりの958.8mmol)
合計:アニオン変性ポリウレタンウレア1kg当たり2630mmol芳香族ウレア基およびウレタン基
湿潤接着法を適用した後の引張せん断強度の決定は、4.0N/mmを与える。
【0064】
実施例に見られる通り、本発明によるポリエーテル系ポリウレタンおよびポリウレタンウレア分散体は、木材接着用の1パック接着剤として用いた場合、著しく向上した引張せん断強度をもたらす。実施例1)〜5)では、これらの値は、5.3および6.7N/mmの間である。他方、先行技術に対応する比較例6)〜9)に見出される値は、2.6および4.0N/mmの間である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

〔式中、Aromat=フェニレン、トリレン、キシリレン、テトラメチルキシリレンまたはジフェニレンメタン〕
で示される構造単位を有するポリウレタンウレアポリマーを含有し、
A)1以上の芳香族ジイソシネート、
B)300〜1500Daの数平均分子量を有する少なくとも1つのポリエーテルポリオール、
C)1〜2個のイソシアネート反応性基および少なくとも1つのイオノーゲン基を有する少なくとも1つの化合物、
D)60〜499Daの数平均分子量を有する少なくとも1つのポリオール、
E)水
から構成され、イソシアネート反応性化合物B)〜D)の平均全官能価は、1.85〜2.2であり、ポリウレタンウレアポリマーにおいて、芳香族ウレア基の含有量およびウレタン基の含有量の合計は、ポリウレタンウレアポリマー1kg当たり2700〜5000mmolである、ポリウレタンウレア水性分散体。
【請求項2】
ポリエーテルポリオールの平均官能価は、1.92〜3であることを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタン水性分散体。
【請求項3】
ポリエーテルポリオールB)は、750〜1250Daの分子量および1.95〜2.05の官能価を有するプロピレンオキシドのホモ−重付加生成物であることを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタンウレア水性分散体。
【請求項4】
請求項1に記載のポリウレタンウレア水性分散体の製造方法であって、まず、成分A)、B)、C)およびD)を、ポリウレタンプレポリマーを製造するために完全または部分的に反応器中に投入し、イソシアネート基に対して不活性である水混和性溶媒で必要に応じて希釈し、50〜120℃の範囲の温度に加熱し、次いで反応の開始時に添加しなかった任意の成分A)、B)、C)またはD)を計量投入し、中和を適当な中和剤で分散前または分散中に行い、次いで必要に応じて用いた有機溶媒を留去することを特徴とする、前記方法。
【請求項5】
プレポリマーの製造の間、用いた個々の成分A)〜D)の量は、1.05〜3.0のイソシアネート指数が生じるように算出することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
プレポリマーのイソシアネート含有量は、1.0および9.0%の間であることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
フラット材料の被覆物の製造のための、または接着剤としての請求項1に記載のポリウレタンウレア水性分散体の使用。
【請求項8】
請求項1に記載のポリウレタンウレア水性分散体を含有する接着剤。
【請求項9】
同一または異なっていてよい1以上の基材、請求項1に記載のポリウレタンウレア分散体を含有する接着層から構成された接着複合材料。
【請求項10】
ガラス繊維布、炭素繊維布または鉱物繊維布の群から選択された1以上の基材、請求項1に記載のポリウレタンウレア分散体を含有する接着剤層、および鉱物基材から構成された、請求項9に記載の接着複合材料。
【請求項11】
2つの木質基材および請求項1に記載のポリウレタンウレア分散体を含有する接着層から構成された、請求項9に記載の接着複合材料。
【請求項12】
ポリマー材料で接着されたコルク顆粒、コルクディスクおよび請求項1に記載のポリウレタンウレア分散体を含有する接着層から構成された、請求項9に記載の接着複合材料。

【公表番号】特表2012−508799(P2012−508799A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535900(P2011−535900)
【出願日】平成21年10月31日(2009.10.31)
【国際出願番号】PCT/EP2009/007804
【国際公開番号】WO2010/054761
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】