説明

アニオン性薬剤を電気的輸送送達するための陰極

アニオン性薬剤を送達するための電気的輸送薬剤送達システム用陰極。この陰極に複合構造を持たせて、それに、電気的輸送中に還元を受けた時に如何なる気体を発生することもアニオン性薬剤と競合するアニオンを発生することもない電気活性種を含有させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アニオン性薬剤を体の表面または膜に通して送り込むための陰極が備わっている電気的輸送薬剤送達システム(electrotransport drug delivery system)に関する。特に、本発明は、投与すべきアニオンと競合するイオンが陰極に生じないような様式でアニオン性薬剤を体の表面もしくは膜に通して電気的輸送経皮投与するための陰極が備わっているシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
活性薬剤を皮膚経由で送達することができれば数多くの利点が得られ、そのような利点には心地よさ、便利さおよび非侵襲であることが含まれる。経口送達で直面する胃腸の刺激かつ吸収速度および代謝速度(初回通過効果を包含)の変動が回避される。また、経皮送達は所定活性薬剤の血中濃度を制御する度合も高い。
【0003】
いろいろな活性薬剤が大きさ、イオン電荷特徴および親水性が理由で受動的経皮送達には適さない。そのような活性薬剤を経皮送達するに適した1つの方法は、電流を用いた電気的輸送で当該活性薬剤を積極的に無傷の皮膚に通して体の中に輸送することを伴う。電気的輸送技術にはイオン導入、電気浸透およびエレクトロポレーションが含まれ得る。電気的輸送装置、例えばイオン導入装置などは本技術、例えば特許文献1、2、3、4、5、6、7および8などで公知である。活性もしくは供与電極と呼ばれる一方の電極は、活性薬剤を体の中に送達する電極である。対電極もしくは対極と呼ばれるもう一方の電極は、体の中を通った電気回路を閉鎖させる働きをする。前記電極を電気エネルギー源、通常は当該装置の中を通る電流を制御し得る回路と連結させると患者の体組織、例えば皮膚などと協力して回路が完成する。体の中に入らせようとするイオン性物質が正に帯電している場合には正電極(陽極)を活性電極にして負電極(陰極)を対電極として働かせる。送達しようとするイオン性物質が負に帯電している場合には陰極電極を活性電極にして陽極電極を対電極にする。
【0004】
電気的輸送装置には体の中に送達または導入すべき活性薬剤の貯蔵層または源が必要である。そのような貯蔵層を電気的輸送装置の陽極もしくは陰極につなげることで1種以上の所望活性薬剤の固定式または再生可能源を生じさせる。電流を電気的輸送装置の中に流すと陽極で化学種の酸化が起こる一方で陰極では化学種の還元が起こる。これらの反応の両方によって典型的には帯電した状態の可動性イオン種、例えばイオン形態の活性薬剤種などが生じ得る。そのような可動性イオン種は競合種または競合イオンと呼ばれる、と言うのは、そのような種は電気的輸送で送達すべき活性薬剤と競合する可能性があり得るからである。例えば、陽極で生じる銀イオンなどはカチオン性薬剤と競合する可能性があり、そして陰極で生じる塩化物イオンはアニオン性薬剤と競合する可能性がある。
【0005】
陽極の電極材料は典型的に銀で出来ている。電気的輸送中に銀が酸化され、その結果として銀イオンが生じる。陰極では、典型的に、AgCl(固体)が還元を受けて銀金属と塩化物イオンが生じる。
【0006】
Ag→Ag+e
AgCl(s)+e→Ag(s)+Cl
【0007】
カチオン性薬剤、例えばフェンタニル、リドカイン、メトクロプラミドなどを送達しようとする場合、供与区分室の中の銀(Ag)電極を陽極として働かせることができそして塩化銀(AgCl)を陰極として用いることが受け入れられている。しかしながら、アニ
オン性薬剤の送達に興味が持たれる場合にはAgClが陰極として用いられてはいるが、使用中に塩化物イオンが生じる。その塩化物イオンは送達すべきアニオン性薬剤と競合する可能性があり、それによって輸送効率が低下し得る。その上、陰極で生じる銀は中程度の酸化剤でありかつ蛋白質と結合する能力を有し、このことは、送達すべきアニオン性薬剤がペプチドまたは蛋白質の時には望ましくない。従って、アニオン性薬剤を体表面に通して送達しようとする時に塩化銀を陰極材料として用いるのは望ましくない。
【0008】
AgとAgClを陽極と陰極として用いる例は消費される電極の種類に入り、このことは、その電極材料が反応中に時間の関数として消費されることで寿命が限られていることを意味する。他方、消費されない電極、例えば白金またはステンレス鋼などを電極として用いると、反応中に水の電気分解が誘発されることから、気体状種、例えば酸素および水素などが発生し得る。勿論、貯蔵層内にも電極の所にも如何なる気体の発生も望ましくない。消費されない電極を用いた反応のいくつかを以下に示す。
【0009】
陽極
O→4H+O+4e(E=1.229V)
【0010】
陰極
2HO+2e→2OH+H(E=−0.828V)
【0011】
また、HおよびOHの発生も配合物のpHをシフトさせることで薬剤の溶解性および電荷状態が影響を受け得る点で否定的な影響を与える。
【0012】
アニオン性薬剤を電気的輸送しようとする場合、気体の発生もアニオン性薬剤と競合する競合イオンの発生もなく還元を受け得る陰極材料が必要とされている。
【0013】
【特許文献1】米国特許第5057072号
【特許文献2】米国特許第5084008号
【特許文献3】米国特許第5147297号
【特許文献4】米国特許第6039977号
【特許文献5】米国特許第6049733号
【特許文献6】米国特許第6181963号
【特許文献7】米国特許第6216033号
【特許文献8】米国特許公開20030191946
【発明の開示】
【0014】
要約
本発明は、アニオン性薬剤を体の表面に通して(例えば皮膚を通して経皮的にか或は眼組織、例えば結膜または強膜などを通して)電気的輸送送達するための陰極材料に関する。本発明は、イオン導入用途で気体の発生も競合イオンの発生もなくアニオンを送達するための陰極を得る化学および方法論を特定するものである。アニオン形態で必要な効果を示す治療薬である効力のある薬剤が数多く存在する。本発明の陰極材料は、そのようない
ろいろな薬剤、例えばクロモリン(抗喘息薬)、インドメタシン(抗炎症薬)、ケトプロフェン(抗炎症薬)およびケトロラクトロメタミン(NSAIDおよび鎮痛活性)などの送達で使用可能である。そのような薬剤はアニオン性形態、特に生理学的pHでアニオン性形態で存在する。また、生物製剤、例えばDNA/RNAなどもアニオンとして存在する。
【0015】
本発明は、1つの面において、意図したアニオン(例えば生物学的に有益な薬剤アニオン)を体表面に通して投与するための電気的輸送システムを提供する。本システムには、意図したアニオンが入っている陰極貯蔵層および前記アニオンを送り込む電流を導くための陰極電極が備わっている。その陰極電極に、酸化状態が高い方の金属含有イオンを有する電気活性物質を含有させる。電気的輸送中、気体の発生も電気的輸送送達で意図するか或は電気的輸送送達する必要のあるアニオンと競合し得る競合イオン、例えば非ヒドロキシアニオン、例えばハロゲンイオン(例えば塩化物イオン)などの発生もなく、電気活性種が高い方の酸化状態から低い方の酸化状態に還元される。
【0016】
本発明は、1つの面において、意図したアニオン(例えば生物学的に有益な薬剤アニオン)を体表面に通して投与するための電気的輸送システムを製造する方法を提供し、前記システムには、意図したアニオンが入っている陰極貯蔵層および高い方の酸化状態の金属含有イオンを有する電気活性物質が入っている陰極電極が備わっている。別の面において、本発明は、前記電気的輸送システムおよび前記電極の使用方法を提供する。
【0017】
詳細な説明
本発明は、送達を意図するアニオン性薬剤と競合する競合イオンも気体も発生させることなく還元を受け得る電気的輸送薬剤送達システムの陰極電極に向けたものである。特に、本発明のシステムは、送達すべき所望アニオンと競合する競合イオン、例えばハロゲン化物、例えば塩化物なども気体も発生させることなく還元を受け得る電気活性種、例えば遷移金属イオンなどを含有する材料で出来ている陰極電極を提供する。
【0018】
本発明の実施では、特に明記しない限り、製薬学的製品開発技術分野の技術者が使用する通常方法を用いる。
【0019】
本発明の説明では、下記の用語を以下に示す定義に従って用いる。
【0020】
単数形「a」、「an」および「the」は、本文で明らかに他の様式であると示さない限り、複数対象を包含する。従って、例えば「重合体」の言及は単一の重合体ばかりでなく異なる2種以上の重合体の混合物を包含する。
【0021】
本明細書で用いる如き用語「成分」は、鎮痛剤貯蔵層内の要素を指し、それには、これらに限定するものでないが、この上で定義した如き鎮痛剤、添加剤、透過促進剤、安定剤、染料、希釈剤、可塑剤、粘着付与剤、顔料、担体、不活性充填剤、抗酸化剤、賦形剤、ゲル化剤、抗刺激剤、血管収縮剤などが含まれる。
【0022】
本発明を実施する様式
本発明は、アニオン性化合物(例えばアニオン性薬剤)を表面、例えば皮膚または粘膜、例えば口腔、直腸、眼瞼後方、目経由、例えば経結膜または経強膜などで電気的輸送送達するための陰極を提供する。
【0023】
電気的輸送装置、例えばイオン導入装置などは本技術分野、例えば米国特許第6216033号などで公知であり、本発明の電極を組み込んで機能させるに適合し得る。そのような電気的輸送薬剤送達システムは、典型的に、陽極電極または陰極電極のいずれかと関
係している貯蔵層を有する部分(「電極/貯蔵層部分」)を含有する。一般的には、陽極部分と陰極部分の両方が存在する。そのような電極/貯蔵層部分はイオン性薬剤を送達するためのものである。その電極/貯蔵層部分は、典型的に、薬剤を使用者に送達する目的で使用者の皮膚の近くまたは皮膚上に位置させるべき薬剤貯蔵層を層の形態で含有する。前記薬剤貯蔵層に典型的にはイオン化し得る薬剤が入っている。その上、典型的なイオン導入経皮装置にはプッシュボタンスイッチの形態の作動スイッチおよび発光ダイオード(LED)の形態のディスプレーが装備されている可能性がある。そのような装置の中の電子回路は、電気送達機構の活性化を通して薬剤を送達するための電流または電圧を制御する手段を与えるものである。その電子機器はハウジングの中に格納されており、そして典型的には、当該装置を数日間、例えば1日、3日、7日間などに渡って着用することができるように患者の体表面、例えば皮膚などの上に取り付けるための接着剤が前記ハウジングの上に存在する。電気的輸送に関してこの上に開示した特許は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる。
【0024】
図1に、本発明の電極/貯蔵層部分200の態様を示す。この電極/貯蔵層部分200は、化学反応体(例えば供与薬剤)が入っている貯蔵層202および電流コレクタ206および酸化性/還元性部分208が入っている電極204を含有する。当該貯蔵層がアニオン貯蔵層でありそして当該電極204が陰極電極である態様における酸化性/還元性部分208は還元性部分である。当該貯蔵層がカチオン貯蔵層でありそして当該電極204が陽極電極である態様における酸化性/還元性部分208は酸化性部分である。要約として、カチオンの場合には陽極が供与電極でありそしてアニオンの場合には陰極が供与電極である。本明細書では以降、電極/貯蔵層部分および電極を説明する時、アニオン性薬剤を陰極から送達すべきケースを例として説明する。極性が逆の態様も同様に構築可能であると理解されるべきであるが、但し化学薬剤が異なることと電極の酸化と還元が逆であることを条件とする。
【0025】
図2に、陽極電極/貯蔵層部分210が貯蔵層202と電極212を含有していて電極212が電流コレクタ214および酸化性/還元性部分216を含有する別の態様の例を示す。導電性接着剤218を金属板214と酸化性/還元性部分216の間に位置させてそれらを一緒に積層させる。図1および図2の陰極/貯蔵層部分は、勿論、陽極、対イオン貯蔵層、ハウジング(米国特許第6216033号に示すそれと同様に体表面に数日間に渡って接着剤で付着させる)などを伴う電気的輸送システムの一部であり得る。
【0026】
アニオンを送達しようとする時の酸化性/還元性部分208、216は還元性部分であり、この部分に、電子を受け取りかつ気体(例えば水素)を発生させることも送達すべきアニオン性薬剤と競合する競合アニオン(例えばハロゲン化物イオン、例えば塩化物)などを発生させることもなく還元され得る化学薬剤を含有させる。競合イオンを発生させることなく還元を受け得る電気活性種のいずれも使用可能である。それらには、複数の酸化状態を示し得る遷移金属イオン、例えばCo、Cuなどが含まれる。他の陰極材料には、層間化合物、例えば五酸化バナジウムV、金属性WO、タングステン、および一般構造タイプABO(ここで、AおよびBは、酸化状態が2の金属である、即ち二価金属である)で表されるスピネルなどが含まれる。
【0027】
本発明の1つの好適な面では、中心遷移金属イオンを有する有機金属錯体を電気活性種として用いる。その電気活性種は、電気化学的還元中、外部の回路から電子を受け取りそして酸化状態が変化することで競合イオンを放出することなく還元を受ける。
【0028】
有用な錯体には、金属、例えばコバルト(Co)、銅(Cu)および亜鉛(Zn)などのイオンを有する有機錯体が含まれる。その中心金属イオンは、電気活性を示しかつ安定な複数の酸化状態を有する限り如何なるカチオンであってもよい。そのような錯体には、
複数(例えば3または2)の酸化状態を有する金属のイオンを伴う錯体が含まれる。そのような1つの錯体は、図3に示す構造で表されるコバラミンである。図3中のRは基または分子、例えばCN、OH、HO、CHなどである。RがCNの時のコバラミンはシアノコバラミン(ビタミンB12)である。コバラミンの中のコバルトはCo(III)として高い方の酸化状態にあり、これが還元を受けると低い方の酸化状態のCo(II)になる。いろいろなコバラミンおよびコバラミン誘導体を商業的に入手することができる。別のコバルト錯体はB12aヒドロキソコバラミン(またはヒドロキシルコバラミン)であり、この場合の軸配位子基の1つはヒドロキシル基である。好適な錯体には、アクオコバラミン(R=HO)、メチルコバラミン(R=CH3)、アジドコバラミン(R=N3)、アデノシルコバラミン(R=5’−デオキシ−5’αアデノシル)などが含まれる。コバルトはCo(III)からCo(II)またはCo(II)からCo(I)状態に還元を受け得る。図4に、アクオコバラミンの還元を示す。還元中に水分子が放出される。コバラミン以外のコバルト含有錯体の数種は、コバルトアセチルアセトネート(これはIIIまたはII形態のいずれかになる)、コバルト(II)フタロシアニン、Co(III)セプルクレート(sepulchrate)遊離塩基、ヘキサミンCo(III)遊離塩基、コバルトのエチレンジアミン錯体などであり、それらもまた使用可能である。コバルトの有機錯体は低い方の電圧で還元を受け得る点で他の電気活性種よりも有利である。例えば、ビタミンB12(シアノコバラミン)の場合、Co(III)→Co(II)反応およびCo(II)→Co(I)反応の両方ともそれぞれ標準的カロメル電極に対して約0.2および0.8Vで起こる。Lexa,Doris;saveant,Jean−Michel、「The Electrochemistry of Vitamin B12」、Acc.Chem.Res.1983、16、235−243を参照。そのようなコバルト反応の電圧は非常に低く、Ag/AgCl反応化学の範囲と同様な範囲である。ビタミンB12を電極で用いるとサイクリックボルタンメトリーの中に化学的に可逆的な2対のピークが現れることを確認した。Mbindy他、「Catalytic Electrochemical Synthesis Using Nanocrystalline Titaniium Dioxide Cathodes in Microemulsions」、Langmuir 1998、14、7027−7033参照。飽和カロメル電極に対するCo(III)→Co(II)の酸化還元電位は約−0.04Vである。pHが5.6より高い時にはCo(II)→Co(I)還元が−0.74Vで起こる。このように、コバラミンまたは他の有機金属コバルト(III)錯体のいずれかで作られた陰極電極が備わっている電気的輸送装置は1V未満、好適には0.3V未満の低い電圧で機能する可能性があり、高い電圧で作動させる必要はない。
【0029】
図5Aに、ヒドロキシコバラミンの中のCo(III)が還元されてCo(II)になることに伴って軸の水配位子が失われることを示す。この場合、Co(III)がより高いアルカリ性のpH、例えばpH8以上で還元を受けると、プロトンが配位子部位の所でヒドロキシコバラミンに吸収される結果として水分子がCo錯体から放出される。
【0030】
図5Bに、ヒドロキソコバラミンの構造を示す。このように、コバラミンを陰極の所に存在させると、還元過程で気体が発生することも競合イオンが発生することもない。アニオン性薬剤を送達しようとする場合には、電極をpHが7以上、好適にはpHが7−10、好適にはpHが8以上の薬剤貯蔵層内で用いるのが好適である。そのような態様では、アニオン性薬剤を送達する時の薬剤分子はプロトン化した非イオン化形態ではなくむしろアニオン形態である。一般的に、非イオン性薬剤のイオン化は約pH3−5で起こって、6以上のpHでイオン化が実質的に完了する。例えば、アニオン性の薬剤であるケトプロフェン(抗炎症用途で用いられる)は塩基性pHの時にイオン化した形態で溶液の中に存在したままであり、そしてpHが酸性の範囲になると製剤から沈澱してくる。このように、ヒドロキソコバラミン(および同様なビタミンB12およびこれの類似物)を電気活性材料としてアニオン性薬剤を送達するための陰極として用いる場合には中性以上のpHが
有利である。
【0031】
コバルトイオンが電気的輸送過程中に還元を受け得る限りビタミンB12またはこれの類似物を用いることができると理解する。例えば、ビタミンB−12または類似分子にいろいろな側基または分子部分を置換基として持たせることで還元電圧を若干シフトさせることができると考えている。陰極を得る別の方策は、酸化状態が高い方の金属イオンを導電性重合体マトリクスの中に取り込ませることで陰極を生じさせる方策である。この目的で用いるに有用なイオンには、金属、例えばZn、Fe、Cu、Coなどのイオン、または複数の安定な酸化状態を有する遷移金属カチオンのいずれも含まれる。そのような金属イオンは還元を受けると、最初の酸化状態に応じて、より低い酸化価を取り得るか或は還元されてゼロ電荷になる、即ち金属になり得る。
【0032】
フェロセン[これは(ビスシクロペンタジエニル)鉄である]が本発明の陰極電極で使用可能な別の電気活性化合物である。陰極反応で1個の電子が還元を受けると酸化状態がFe(III)からFe(II)に変化する。フェロセンはBarrette他、「Voltammetric Evaluation of the Effective Acidities(pKa’)for Bronsted Acids in Aprotic Solvents」、Analytical Chemistry(1984)、56、1890−1898頁に記述されている。
【0033】
競合イオンを全く発生しない別の種類の電気活性種は、電荷移動種のファミリーである。この場合、酸化または還元の生成物が、送達すべきイオンの電荷と反対の電荷を持つ点で、「競合しない」種を生じる。
【0034】
陽極反応の一例は下記である:
[Fe(CN)4−→[Fe(CN)3−+e
【0035】
この反応の酸化方向では、Feの酸化状態が酸化によって+2から+3になる。逆に、還元の方向では、Feの酸化状態が+3から+2になる。
【0036】
電気的輸送用途用の金属有機錯体含有陰極を製造する効率の良い方法は、電極積層体または電極インクを製造する方法であろう。
【0037】
電気活性材料を用いて電気的輸送装置用の陰極を製造しようとする時、電気活性種、結合剤および導電性充填剤(複合陰極を導電性にするための)を含有するか或はそれらで構成させた複合電極を用いることが実行可能な方策である。図1に示すように、その複合材料を電流源との電気連結をもたらす金属板(例えば金属板206または金属板214)の上に直接位置させるか、或はそれを接着剤層で金属板に付着させてもよい。そのような金属板は、例えば銀、銅、アルミニウムおよび他の公知導電体などで構成可能である。
【0038】
導電性充填剤、例えばグラファイト粉末、炭素繊維または他の公知の導電性充填剤材料などを含有させておいた疎水性重合体マトリクスを用いて複合電極を生じさせることができる。好適には、粉末状または繊維状の不活性な導電性材料を用いる。炭素材料以外に、また、電子伝導性重合体を組み込むことも可能である。導電性充填剤を疎水性重合体マトリクスの中に混合することで疎水性重合体が基になった電極を作成することができる。還元性の導電性複合体を製造する方法の態様は下記の通りである。作成する複合体に、還元性材料、重合体材料および離散的導電体(例えばカーボンブラック)を含有させる。炭素粉末、炭素繊維およびこれらの混合物を疎水性重合体(例えばポリイソブチレンPIB)マトリクスの中に混合してもよく、その導電性充填剤の好適な量は約30から90体積%の範囲内でありそしてその残りは疎水性重合体マトリクス、還元性材料、例えばコバラミ
ンまたはコバルト錯体などであり、それらを固体形態で凝集しないようにヘプタンの中に分散させてもよく、それをカーボンブラックおよび重合体材料、例えばポリイソブチレン(PIB)などと混合した後、押出し加工する。
【0039】
1つの態様では、例えば、粉末形態の還元性材料(コバラミンまたはコバルト錯体)を重合体溶液(例えばPIBがヘプタンに10重量%固体で入っている)に入れて懸濁させることでスラリーを生じさせかつ良好な分散を確保する。カーボンブラックを重合体溶液に例えば10重量%のPIB溶液を基準にしてカーボンブラックが50体積%になるように混合することで2番目のスラリーを生じさせる。前記還元性材料/重合体スラリーをカーボンブラック/重合体/ヘプタンスラリーと混合する。その複合材料を熱い状態の金属板に付着させるか或は導電性接着剤を用いて積層させてもよい。
【0040】
また、前記スラリーを不織マトリクス、例えば導電性接着テープなどに担持させた後に乾燥させることも可能である。導電性金属充填剤が入っている導電性接着テープは本技術分野で公知でありかつ例えばTop Electronic Technology Co.、Fuzhou(中国)またはNitto Co.(日本)などから商業的に入手可能である。カーボンブラックが好適な場合、それを還元性材料/重合体スラリーに直接添加してもよいか、或は還元性材料をカーボンブラック/重合体スラリーの中に混合してもよい。高速混合装置を用いてもよい。添加するカーボンブラックの量は、2000Ω・cm、好適には1000Ω・cm未満の体積抵抗値を達成する量である。そのような抵抗値を達成するには、当該複合体に含有させるカーボンブラックに対する重合体の比率を一般に約30から90体積%、好適には40から70体積%にする。1つの態様では、コバラミンまたはコバルト錯体が40−70重量%でPIB(ポリイソブチレン)、LMMSが5−15重量%で、PIB、L−100が5−15重量%でカーボンブラックが1−5重量%である陰極電極を作成してもよい。その複合材料を生じさせた後、当該還元性材料を前記複合材料のマトリクスの中に埋め込まれた固相粒子として存在させる。
【0041】
前記重合体/カーボンブラック/還元性材料のスラリーを金属板の上に流し込み成形した後、乾燥させる結果として、前記金属板上に乾燥した複合体を電極として生じさせる。電流の流れをより有効にしようとする場合には、その乾燥複合膜の乾燥厚を好適には約0.1mmから1mmの厚みにする。別法として、前記PIB/カーボンブラック/還元性材料のスラリーを表面上に流し込み成形した後、乾燥させて膜を生じさせ、次にそれを導電性表面に積層させることで還元性電極を生じさせることも可能である。
【0042】
PIBの代わりに、複合電極を生じさせる時に使用可能な他の適切な重合体には、アクリル樹脂(またはポリアクリレート)が含まれる。当該重合体がこれに含有させるカーボンブラックを存在させた状態で所望の抵抗値で電流を流す複合体を形成する能力を有しかつ電気的輸送過程に耐える構造的一体性を有する限り如何なる重合体も本方法で使用可能であると理解する。使用可能な適切な溶媒は、選択する重合体に依存する。重合体溶液技術で一般的に用いられる公知の溶媒が使用可能である。
【0043】
別の態様は、電気活性種、例えばコバラミンまたはコバルト錯体などを結合剤および溶媒と一緒に用いて導電性インクを生じさせる態様である。この場合の電気活性種はコバラミンまたはコバルト錯体でありそして結合剤はビニル、ニトロセルロース、アクリル系ウレタンまたはポリウレタンが基になった結合剤であり得る。当該インクに導電性を与える目的で導電性材料、例えばカーボンブラックなどを前記インクに添加してもよい。
【0044】
還元性の導電性複合体を製造する方法の別の態様では、還元性材料、例えばコバラミンまたはコバルト錯体などをゲル化用水性溶液にカーボンブラックと一緒に入れて溶解または分散させることでスラリーを生じさせ、それによって、ヒドロゲルが入っている複合材
料を生じさせてもよい。そのようなヒドロゲル含有電気活性陰極種を用いると、電極材料と薬剤ゲルの間の接触が向上する可能性がある。そのような陰極ヒドロゲルの製造はかなり多数種の材料を用いて実施可能であるが、そのような材料には、好適には親水性重合体材料が含まれ、より好適には、それを親水性重合体材料で構成させ、好適には、薬剤の安定性が向上するように現実に極性を示す親水性重合体材料で構成させる。ヒドロゲルマトリクスに適した極性重合体には、いろいろな合成および天然に存在する重合体材料が含まれる。好適なヒドロゲル配合物は適切な親水性重合体マトリクスを含有する配合物であり、そして好適なゲル化用重合体はポリビニルアルコール、例えば洗浄して加水分解を完全に起こさせたポリビニルアルコール(PVOH)、例えばHoechst Aktiengesellschaftから商業的に入手可能なMOWIOL 66−100などである。その上、ゲル貯蔵層の中に入れるヒドロゲルに関して行う以下の説明もゲル複合電極を生じさせようとする場合に適する可能性がある。
【0045】
別の態様は、錯体、例えばビタミンB12などをカチオン交換樹脂に充填させる態様である。電極に固定する(例えば積層などで)前のカチオン交換樹脂に還元性カチオンを充填してもよい。カチオン交換樹脂、例えばIRP−64などに充填されているビタミンB12は商業的に入手可能である。別の方策は、ビタミンB12充填樹脂が水性ヒドロゲル、インクまたは有機スラリーに入っている配合物を生じさせそしてそれで適切な電極を被覆する方策である。樹脂の中に充填されている錯体、例えばコバラミン、例えばビタミンB12などを用いて複合陰極を生じさせる方策が更に別の方策である。
【0046】
カチオン交換樹脂はカルボキシル末端基を有し、そしてカルボキシル末端基のHは別のカチオンに置き換わり得る。本ケースでは、以下のスキームに概略を示すように、カチオン交換樹脂の末端基Hは金属イオン、例えばコバルト錯体イオンなどに置き換わるであろう。従って、その結果として電気活性材料が充填された樹脂を陰極配合で用いることができる。ビタミンB12充填樹脂は栄養サプリメントとしての用途で市販されている。
【0047】
例えば、ビタミンB−12をカチオン交換樹脂、例えばRohm and Haas Co.から入手可能なAMBERLITE IRP64などの中に取り込ませてもよい。イオン交換樹脂への還元性カチオンの充填を図6に示す。その重合体マトリクス300は負電荷302を有することから、還元性カチオン304を引き寄せて、それらを当該マトリクスの上に固定させ得る。
【0048】
還元性イオンがイオン交換樹脂の負電荷に引き寄せられることに関して本明細書で用いる如き用語「固定」は、当該樹脂の負電荷と還元性カチオンの間の静電結合を指す。そのような静電結合は、例えば交換性カチオンを高濃度で導入すると、当該還元性カチオンが別のカチオンによって追い出されることなどで壊れ得るが、そのような交換性カチオンを導入しない限り、その還元性カチオンは当該イオン交換樹脂のマトリクスの中に実質的に存在したままである。本発明で用いるに有用なカチオン交換樹脂は、酸部分を1個以上有する重合体であり得る。そのような酸部分には、例えばポリアクリル酸、ポリアクリル系スルホン酸、ポリアクリル系燐酸およびポリアクリル系グリコール酸などが含まれる。カチオンを引き寄せるための負電荷をマトリクス内に有する有用なカチオン交換樹脂には、例えばRohm and Haas Co.のAMBERLITE IRP64、BioradのBIO−REX 70およびMallinckrodt Baker Co.(ピッツバーグ、N.J.)のDowex 50などが含まれる。
【0049】
本発明の複合電極を生じさせる別の方策は、当該金属イオンが入っている溶液を電極と接触させることで金属イオンの固定が可能なマトリクス(または担体)を有する電極を生じさせる方策である。これは、当該金属イオンに親和性を示す重合体材料を生じさせた後に前記重合体材料に前記金属イオンを充填することで実施可能である。
【0050】
そのような方法の1つの態様では、アニオン性基、例えばカルボキシレートアニオン部分などを有する重合体マトリクスのバックボーンまたは側鎖のいずれかに金属イオンを結合させる。一例は、PLGA−(ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)であり、負電荷のカルボキシレートアニオン(COO)を有するPLGAが電気活性種の金属イオン、例えばビタミンB12のCoなどを配位させる働きをするであろう。PLGAの代替品は、負電荷を有する重合体材料である。それらには下記が含まれる:ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリ酢酸フタル酸ビニル、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリマレイン酸セルロース、アクリル酸エチルメタアクリル酸メチルおよびポリエチレンテレフタレート。
【0051】
そのようなマトリクスに導電性材料を添加することで電極を導電性にすることができる。そのような1つの方策は、PLGAとカーボンブラックを含有する配合物を生じさせそしてそれで電極基質を被覆する方策であろう。その電極を乾燥させた後、それをビタミンB12の溶液に浸漬することで交換を起こさせてもよい。
【0052】
そのような電極を金属塩溶液の中に一晩浸漬することで金属のカチオンをその負に帯電している通路/孔の中に取り込ませることができるであろう。その孔の中への金属イオンの捕捉は静電気で推進され、その重合体と化学的に結合しているカルボキシレートに金属カチオン、例えばZn2+などが配位するであろう。そのような複合陰極材料では、電気的輸送過程中に金属カチオンが還元を受けて酸化状態がゼロの天然金属形態(即ち金属)になるであろう。そのカルボキシレートは前記重合体バックボーンの一部であることから、それらは前記重合体鎖の中に存在したままであろう。このように、還元中に競合イオンも気体も発生することはない。カチオン、例えば亜鉛、コバルト、鉄および銅などのカチオンが通路/孔の中に取り込まれるか或はイオン交換を起こすことで前記電極の中に固定され得る。
【0053】
コバルトが基になった陰極(ビタミンB12を包含)は文献に報告されている。いくつかの例を以下に示す:
− Zhou,D.、Njue,C.K.およびRusling,J.F.(1999)、Journal of the American Chemical Society 121、2909−2914頁;
− Aga,H.、Aramata,A.およびHisaeda,Y.(1997)Journal of Electroanalytical Chemistry 437、111−118頁;
− Mbindyo,J.K.N.およびRusling,J.F.(1998)Langmuir 14、7027−7033頁;
− Zagal,J.H.、Aguirre,M.J.およびPiez,M.A.(1997)Journal of Electroanalytical Chemistry 437、45−52頁;
− Shimakoshi他、Hydrophobic B12、Dalton Trans.(2003)、2308−2312頁;
−Ruhe,A.、Walder,L.、Scheffold,R.(1987)Makromol Chem.Macromol.Symp.8、225−233頁、
− Zagal,J.H.、Paez,M.Paez,C.、J.Electroanal.Chem.、237(1987)145−148頁、
−Ariga,K.、Tanaka,K.、Katagiri,K.、Kikuchi,J.、Shimakoshi,H、Ohshimab,E.およびHisaedab,Y.(2001)Physical Chemistry Chemical Physics 3、3442−3446頁。
錯体、特にコバルト錯体、例えばビタミンB12などを電極に取り込ませるそのような方法は、本発明で電極を製造しようとする時に適用可能である。
【0054】
ビタミンB12を有する電極が過去に調査されはしたが、そのような調査は主にそのような電極を溶液中の触媒作用で用いることに関する調査であり、その場合には分子が自由に移動し得ることを特記する。そのような触媒作用は有機化合物の分解または合成用であり得る。例えばHrohide Aga他、Journal of Electroanalytical Chemistry 437(1997)、111−118頁、J.H.Zagal他、Journal of Electroanalytical Chemistry 437(1997)、45−52;De−Ling Zhou他、J.Am.Chem.Soc.1999、121、2909−2914およびHisashi
Shimkoshi他、The Royal Society of Chemistry Chem.Commun.、2004、50−51(これらは全部引用することによって本明細書に組み入れられる)を参照のこと。そのような触媒作用反応ではしばしば気体が反応体としてか或は反応生成物として関与する。本発明では、電極(より具体的には電極の中のカチオン、例えば錯体化合物の中のコバルトイオン)は触媒として作用せず、酸化還元反応を受けることで電流の流れを可能にしかつ貯蔵層の中のイオンの移動を可能にする。貯蔵層内に気体が存在するのは望ましくないことから気体を全く関与させない、と言うのは、それらは電気的輸送システムの貯蔵層内に通路を作り出す傾向があるからである。
【0055】
電気的輸送送達システムの貯蔵層は一般にゲルマトリクスを含有し、その貯蔵層の中の少なくとも1つの中に当該薬剤溶液が均一に分散している。ゲル貯蔵層は例えば米国特許第6039977号および6181963号(これらは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に記述されている。そのようなゲルマトリクスに適切な重合体には、本質的に、非イオン性の合成および/または天然に存在する高分子量材料のいずれも含まれ得る。当該活性薬剤が極性を有しそして/またはイオン化し得る時には、薬剤の溶解性が向上するように、極性のある性質が好適である。場合により、そのようなゲルマトリクスは水で膨潤し得る。適切な合成重合体の例には、これらに限定するものでないが、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アクリル酸2−ヒドロキシエチル)、ポリ(アクリル酸2−ヒドロキシプロピル)、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(n−メチロールアクリルアミド)、ポリ(ジアセトンアクリルアミド)、ポリ(メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル)、ポリ(ビニルアルコール)およびポリ(アリルアルコール)が含まれる。また、ヒドロキシル官能を有する縮合重合体(即ちポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン)も適切な極性合成重合体の例である。ゲルマトリクスとして用いるに適した天然に存在する極性重合体(またはこれの誘導体)の例はセルロースエーテル、メチルセルロースエーテル、セルロースおよびヒドロキシル化セルロース、メチルセルロースおよびヒドロキシル化メチルセルロース、ゴム、例えばグアー、ニセアカシア、カラヤ、キサンタン、ゼラチンおよびこれらの誘導体などである。また、イオン性重合体をマトリクスとして用いることも可能であるが、但し有効な対イオンが電荷が当該活性薬剤に対して反対である薬剤イオンもしくは他のイオンであることを条件とする。
【0056】
本発明の特定態様における電気的輸送送達システムの貯蔵層に、例えば米国特許第6039977号に記述されている如きポリビニルアルコールヒドロゲルを含有させてもよい。ポリビニルアルコールヒドロゲルの調製は、例えば米国特許第6039977号に記述されているようにして実施可能である。本発明の方法の特定態様では、電気的輸送送達装置の貯蔵層用のゲルマトリクスを調製する時に用いるポリビニルアルコールの重量パーセントを約10%から約30%、好適には約15%から約25%、より好適には約19%にする。好適には、加工および使用を容易にする目的で、そのゲルマトリクスの粘度を約1,000から約200,000ポイズ、好適には約5,000から約50,000ポイズ
にする。
【0057】
そのような貯蔵層内のゲルマトリクスへの薬剤溶液の取り込みはかなり多数の様式で実施可能、即ちその溶液を貯蔵層マトリクスの中に吸収させること、薬剤溶液をヒドロゲル形成前のマトリクス材料と混合することなどで実施可能である。追加的態様では、場合により、前記薬剤貯蔵層に追加的成分、例えば添加剤、透過促進剤、安定剤、染料、希釈剤、可塑剤、粘着付与剤、顔料、担体、不活性充填剤、抗酸化剤、賦形剤、ゲル化剤、抗刺激剤、血管収縮剤および経皮技術で一般に公知の如き他の材料を含有させることも可能である。本分野の技術者はそのような材料を含有させることができるであろう。
【0058】
実施例
【実施例1】
【0059】
ビタミンB12の電極積層体の調製をビタミンB12とポリイソブチレン(PIB)とカーボンブラックを混合することで実施した。2種類の分子量グレードのPIBを結合剤として用いかつカーボンブラックを当該積層体を導電性にする目的で用いた。以下の表に、膜組成物の重量パーセント範囲を要約する。これらの材料を最初にヘプタンに入れて分散させた後、溶媒流し込み成形を用いて組成物でReemay 2250不織ポリエステル布を2回被覆することで積層体を得た。
14.58+/−0.78重量/重量のL100(高MWのPIB)
14.58+/−0.78重量/重量のLMMS(低MWのPIB)
68.27+/−0.78重量/重量のビタミンB12
2.56+/−0.08重量/重量のカーボンブラック
【0060】
そのようなビタミンB12積層体の特徴付けを放電容量試験で実施した。
【0061】
クロノポテンシオメトリーは、放電容量を測定する目的で用いられる技術である。作用電極と対電極の間に一定の電流をかけ、そして基準電極と比較した時の作用電極の電位を観察する。その走査は一般に電流がゼロの開路電位で始まる。その電位が定常状態に到達した後、作用電極全体が消費されるまで電位を一定に保持する。電圧が一定に維持される期間(時)に作用電極単位表面積(cm)当たりにかけた電流(mA)を掛けた値として放電容量を定義し、これをmAh/cmで表す。また、放電容量をmAh/gとして表すことも可能である。図7Aに放電容量データを示し、この場合の作用電極はビタミンB12積層体であり、基準電極はAg/AgClでありそして対電極はAgである。図7Aでは、電圧(基準に対するVで表す)を放電容量(mAh/cm)と対比させてプロットする。電流をかける貯蔵層の大きさを経皮電気的輸送装置の典型的な大きさにした。その厚みを約11.5ミル(0.29mm)にした。電流をかける表面積を約1cmにした。その貯蔵層にヒドロキシルエチルセルロースが基になった水性ゲル(約0.1MのNaClを含有する3−10%のHEC)を含有させた。
【0062】
異なる3種類の電極(n=3)に試験を少なくとも12時間に渡る連続活性に関して受けさせた。図7Aでは、3実験のデータを波形A、BおよびCで表す。患者が制御する送達システムの場合には、その患者が作動を断続的に行う。従って、そのような電極は数日間、例えば2日間から1週間に及んで使用される可能性がある。図7Bに、図7Aに示したビタミンB12電極の所の電流密度(mA/cm)を放電容量と対比させて示す。ビタミンB12積層体を陰極として用いた時に見られる電圧の変動は非常に僅かでありかつ電流密度の変動は全く見られなかった。電流を容量が2mAh/cmになるまで2mA/cmに維持した。これは、塩化銀(AgCl)電極を用いた実施に匹敵する。図7Bでは、3実験の電流が安定で同じであったことから、図7Bに示した前記3実験の結果は互いの上に重なっている。このような結果は、コバルト錯体(この実施例ではビタミンB
12)を用いて電気的輸送(アニオン性薬剤送達)に適した機能的電極を作成することができることを立証していた。従って、そのような電極を用いて電気的輸送システムを製造することができかつアニオン性薬剤の送達で機能すると予測する。
【実施例2】
【0063】
ビタミンB12類似物であるヒドロキソコバラミンの電極積層体の調製をヒドロキソコバラミンとポリイソブチレン(PIB)とカーボンブラックを混合することで実施した。2種類の分子量グレードのPIBを結合剤として用いかつカーボンブラックを当該積層体を導電性にする目的で用いた。以下の表に、膜組成の重量パーセント範囲を要約する。これらの材料を最初にヘプタンに入れて分散させた後、溶媒流し込み成形を用いて組成物でReemay 2250不織ポリエステル布を2回被覆することで積層体を得た。
14.58+/−0.78重量/重量のL100(高MWのPIB)
14.58+/−0.78重量/重量のLMMS(低MWのPIB)
68.27+/−0.78重量/重量のヒドロキソコバラミン
2.56+/−0.08重量/重量のカーボンブラック
【0064】
図8Aおよび8Bに放電容量データを示し、この場合の作用電極は各々ビタミンB12a(ヒドロキソコバラミン)積層体であり、基準電極はAg/AgClでありそして対電極はAgであった。その電極は、ヒドロキソコバラミンとシアノコバラミンが異なる以外は実施例1の電極と同様であった。前記電極に試験を少なくとも12時間に渡る連続活性に関して受けさせた。図8Aに電圧(2実験の波形DおよびE)を示しそして図8Bに2実験(n=2)におけるヒドロキソコバラミン電極の所の電流密度を放電容量と対比させて示す。ヒドロキソコバラミン積層体を陰極として用いた時に見られる電圧の変動は非常に僅かでありかつ電流密度の変動は全く見られなかった。電流密度を容量が2mAh/cmになるまで2mA/cmに維持した。これは、AgCl電極を用いた時の性能に匹敵する。このような結果は、コバルト錯体、例えばヒドロキソコバラミンなどを用いて電気的輸送に適した機能的電極を作成することができることを立証していた。従って、そのような電極を用いて電気的輸送システムを製造することができかつアニオン性薬剤の送達で機能すると予測する。その上、他のコバラミンまたはコバルト錯体を電極にすることでも同様な結果がもたらされるであろうと期待する。その上、他の有機金属錯体も陰極にすることができ、それも同様な様式で有効であろうと予測する。また、還元され得る酸化状態の遷移金属を有する他の材料も陰極にすることができ、それも同様な様式で有効であろうと予測する。
【実施例3】
【0065】
死体皮膚に通したケトプロフェンの電気的輸送
ビタミンB12類似物であるヒドロキソコバラミンの電極積層体の調製を実施例2に示したようにして実施した。その電極積層体にフラックスに関する試験を死体皮膚を用いて受けさせた。作用電極を各々ビタミンB12a(ヒドロキソコバラミン)積層体にしそして対電極をAgにした。これらの電極に下記の構造で表されるケトプロフェン(アニオン性薬剤)のフラックスに関する試験を連続活性と一緒にある期間に渡って受けさせた:
【0066】
【化1】

【0067】
図9は、ヒドロキソコバラミン積層電極を用いた時の死体皮膚に関するケトプロフェン
フラックスを同様な寸法を有する典型的な伝統的AgCl積層電極を用いた時のそれと対比させた比較を示すグラフである。試験中、フラックスを時間の関数として測定する目的で電流を一定の密度である時間流した。曲線Fは、ヒドロキソコバラミン積層電極を用いて電流密度を100μA/cmにして9時間実験した時のデータを示す曲線である。曲線Fの実験では4電極(n=4)に試験を受けさせた。曲線G(4電極を伴う、n=4)は、ヒドロキソコバラミン積層電極を用いて電流密度を100μA/cmにして6時間実験した別の実験の曲線である。曲線H(2電極を伴う、n=2)は、ヒドロキソコバラミン積層電極を用いて50μA/cmにして9時間実験した時の曲線である。曲線I(4電極を伴う、n=4)は、ヒドロキソコバラミン積層電極を用いて100μA/cmにして9時間実験した時の曲線である。図9は、ヒドロキソコバラミン積層電極の性能は同様な寸法を有する典型的な標準的AgCl電極のそれと良好に匹敵していることを示している。
【0068】
例示の目的で下記の方法をインビトロフラックス実験で用いた。
【0069】
DELRIN(商標)重合体材料を用いて社内で注文に合わせて組み立てた水平拡散セルをインビトロ皮膚フラックス実験で用いかつ熱分離ヒト表皮を用いた。アニオン性薬剤の極性と同じ極性を有する陰極電極を供与セルとして機能するDELRIN(商標)材料拡散セルの一方の末端部に接着させた。Agで出来ている対電極を反対側の末端部に接着させた。これらの電極を電流発生装置(Maccor)につなげることで、前記セルに直流をかけた。前記Maccor装置は、一定のイオン導入電流を維持するように20Vに及ぶ電圧をかける能力を有する。
【0070】
典型的な実験では、熱分離ヒト表皮を打ち抜きで直径が24mm(15/16インチ)の適切な円形にした後、使用直前まで冷蔵庫に入れておいた。その皮膚をDELRIN(商標)ハウジングアセンブリの中央部の中に取り付けておいたスクリーン24mm(15/16インチ)の上に置いた。前記スクリーンの下方に直径が13mm(1/2インチ)で深さが1.6mm(1/16インチ)の小さな貯蔵層を置き、これは受容溶液を約250μlに保持する能力を有していた。前記皮膚の角質層側が前記薬剤含有ヒドロゲルに面しかつ表皮側が前記受容貯蔵層に面するように置いた。その受容溶液(食塩水、燐酸塩、または当該薬剤と適合し得る他の緩衝溶液)をシリンジ/ポンプアセンブリの末端部と連結しておいた重合体配管(Upchurch Scientific)経由で前記貯蔵層に通して連続的にポンプ輸送した。その薬剤含有重合体(ゲル)層を供与電極と熱分離表皮の間に位置させた。注文に合わせて作成したDELRIN(商標)スペーサーを用いて、アセンブリ全体を一緒に組み立てた時に薬剤含有重合体が皮膚にあまりにも激しく押し付けられることでそれに穴が開くことがないような様式で薬剤層を包み込んだ。両面粘着テープを用いてDELRIN(商標)部分全体の間にシールを生じさせかつ実験中に漏れが生じないことを確保した。このアセンブリ全体を2個の加熱ブロックの間に置いて、皮膚温度を模擬するように前記ブロックを37℃に設定した。
【0071】
実験組み立てと接合させたHanson Research MICROETTE(商標)収集システムを用いて、前記皮膚の下側に位置する前記貯蔵層から薬剤含有受容溶液を集めてHPLC瓶に直接入れた。その収集システムがサンプルをフラックス実験の長さに応じて指定した時間的間隔、例えば24時間の場合には1時間毎に集めるようにプログラムした。そのHansonシステムを用いてHPLCで分析すべきサンプルを集めることを通して、その配合物に入っている薬剤が送達される効率を測定した。
【0072】
1/10に希釈したDelbeccos燐酸塩緩衝食塩水(DPBS)受容溶液を受容槽流体として用いた、と言うのは、それは内因性流体と同じ濃度を有していたからである。そのDPBSを受容溶液貯蔵層に1ml/時でポンプ輸送した。前記薬剤を含有するゲ
ルを調製した後、その薬剤含有重合体ゲル材料を供与電極に隣接して位置する供与区分室の中に入れることで試験を実施した。
【0073】
図10は、ケトプロフェンを死体皮膚に通して電気的輸送する時にヒドロキソコバラミン積層電極を用いる別の2実験を示すグラフである。ヒドロキソコバラミン積層電極の作成および試験を図9に示した手順と同様な手順を用いて実施した。実験J(3電極を伴う、n=3)を100μA/cmの一定密度で実施した。実験K(3電極を伴う、n=3)を200μA/cmの一定密度で実施した。中心のデータ点記号から伸びる垂直な線は標準偏差値を表している。図10は、ヒドロキソコバラミン積層電極を用いて図9に示したフラックスと同様なフラックスを達成することができることを示している。このように、図9および10は、ヒドロキソコバラミン積層電極を用いることでも伝統的なAgCl電極を用いた時のそれに匹敵する皮膚貫通フラックスを達成することができることを示している。
【0074】
この上に記述した典型的な態様は本発明を制限的ではなくあらゆる点で例示することを意図したものである。このように、本分野の技術者は詳細な実施の点で本明細書に含めた説明から引き出すことが可能ないろいろな変形を本発明に対して成し得るであろう。そのような変形および修飾形は全部本発明の範囲内であると見なす。本資料に引用または記述した特許、特許出願および公開の各々の開示は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる。本発明の態様を具体的に記述してきた。本分野の技術者は本発明の範囲から逸脱することなく本明細書に開示したスキームのいろいろな部分および成分のいろいろな組み合わせおよび置換を行うことができるであろうと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0075】
本発明を例として添付図の図の中に態様および非限定として例示し、本図中の同様な参照符は同様な要素を示す。本文中で異なると示さない限り、本図を原寸に比例して示すものでない。
【図1】図1に、本発明の電極/貯蔵層部分の態様の図式的断面図を示す。
【図2】図2に、本発明の電極/貯蔵層部分の別の態様の図式的断面図を示す。
【図3】図3に、コバラミンの構造を示す。
【図4】図4に、pHがほぼ中性の時のアクオコバラミンの還元を示す。
【図5A】図5Aに、pHが中性より高い時のヒドロキソコバラミンの還元を示す。
【図5B】図5Bに、ヒドロキソコバラミンの構造を示す。
【図6】図6に、本発明に従って還元性カチオンをイオン交換樹脂に固定させる方法を示す。
【図7A】図7Aに、ポリイソブチレンマトリクス(〜29%)の中に68%の量のビタミンB12を〜3%の量のカーボンブラックと一緒に入れることで構成させた陰極積層体が示した放電容量プロット(容量と対比させた電圧)を示す。
【図7B】図7Bに、図7Aに示したビタミンB12が基になった陰極積層体を用いて送達した時のイオン導入電流が一定であることを示す。
【図8A】図8Aに、ポリイソブチレンマトリクス(〜29%)の中に68%の量のヒドロキソコバラミンを〜3%の量のカーボンブラックと一緒に入れることで構成させた陰極積層体が示した放電容量プロット(容量と対比させた電圧)を示す。
【図8B】図8Bに、図8Aに示したヒドロキソコバラミンが基になった陰極積層体を用いて送達した時のイオン導入電流が一定であることを示す。
【図9】図9は、皮膚に対してヒドロキソコバラミン積層電極を用いた時のケトプロフェン電気的輸送を典型的な伝統的AgCl積層電極を用いた時のそれと対比させた比較を示すグラフである。
【図10】図10は、皮膚に対してヒドロキソコバラミン積層電極を用いてケトプロフェンを電気的輸送することに関する別の2つの実験のデータを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体表面を通した電気的輸送のための生物学的に有益なアニオンを投与するための電気的輸送システムであって、
(a)生物学的に有益なアニオンを含有して成る陰極貯蔵層;
(b)前記陰極貯蔵層内の前記生物学的に有益なアニオンを送り込む電流を導くための陰極電極、
を含んで成り、前記陰極電極が高い方の酸化状態のカチオンを有し、前記生物学的に有益なアニオンと競合するハロゲン化物イオンが前記電極から発生することも気体が前記陰極貯蔵層内に発生することもなく前記カチオンが電気的輸送中に前記高い方の酸化状態から低い方の酸化状態に還元される電気的輸送システム。
【請求項2】
前記カチオンが錯体化合物の中のイオンまたは金属イオンである請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記カチオンが錯体化合物のイオンでありそして前記電極が少なくとも2mAh/cmで安定な電流および電圧を与え得る請求項1から2のいずれか記載のシステム。
【請求項4】
前記カチオンがコバルトを含有する請求項1から3のいずれか記載のシステム。
【請求項5】
前記カチオンが高い方の酸化状態のコバルト(III)である請求項1から4のいずれか記載のシステム。
【請求項6】
前記カチオンが金属イオンでありそして前記電極上の多孔質重合体基質の上に固定されている請求項1から5のいずれか記載のシステム。
【請求項7】
前記カチオンが亜鉛、コバルト、鉄および銅のイオンから成る群から選択される金属イオンである請求項1から6のいずれか記載のシステム。
【請求項8】
前記カチオンが負電荷を有する重合体の中に固定されている請求項1から7のいずれか記載のシステム。
【請求項9】
前記カチオンがカチオン交換材料の中に固定されている請求項1から8のいずれか記載のシステム。
【請求項10】
更に陽極電極および陽極貯蔵層も含有して成る請求項1から9のいずれか記載のシステム。
【請求項11】
更に陽極電極および陽極貯蔵層も含有して成りそして患者の体表面に数日間に渡って接着的に着用可能なハウジングを有する請求項1から10のいずれか記載のシステム。
【請求項12】
前記還元性カチオンが重合体マトリクスの中に固体の一部として埋め込まれている請求項1から11のいずれか記載のシステム。
【請求項13】
前記還元性カチオンに水またはヒドロキシル基のいずれかが配位していることで前記カチオンが還元されることによって水が放出される請求項1から12のいずれか記載のシステム。
【請求項14】
前記カチオンが重合体マトリクスの中に固体の一部として埋め込まれておりそして更に重合体マトリクスの中に埋め込まれている導電性で非還元性の粉末も有する請求項1から
13のいずれか記載のシステム。
【請求項15】
前記カチオンがコバラミンのコバルト錯体イオンである請求項1から14のいずれか記載のシステム。
【請求項16】
前記カチオンが錯体化合物の錯体イオンでありそして前記生物学的に有益なアニオンを電気的輸送している時に触媒として作用しない請求項1から15のいずれか記載のシステム。
【請求項17】
体表面を通した電気的輸送のための生物学的に有益なアニオンを投与するための電気的輸送システムを製造する方法であって、
前記生物学的に有益なアニオンを送り込む電流を導くための陰極電極を製造する目的で電気活性物質を用い、ここで前記電気活性物質は高い方の酸化状態のカチオンを有し、前記カチオンは、電気的輸送中に前記生物学的に有益なアニオンと競合するハロゲン化物イオンが前記電極から発生することも気体が前記生物学的に有益なアニオンが入っている陰極貯蔵層内で発生することもなく、前記高い方の酸化状態から低い方の酸化状態に還元され、そして
前記陰極電極を前記陰極貯蔵層と電気的につなげる、
ことを含んで成る方法。
【請求項18】
錯体化合物内のイオンおよび金属イオンの中の一方を前記カチオンとして用いることを含んで成る請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記電極内に固定されている錯体化合物のイオンまたは前記電極内に固定されている金属イオンの中の少なくとも一方を前記カチオンとして用いることを含んで成りそして前記電極によって少なくとも2mAh/cmで安定な電流および電圧を与えることができる請求項17から18のいずれか記載の方法。
【請求項20】
前記カチオンがコバルトを含有する請求項17から19のいずれか記載の方法。
【請求項21】
前記カチオンが高い方の酸化状態のコバルト(III)である請求項17から20のいずれか記載の方法。
【請求項22】
請求項1から16のいずれか記載のシステムを用いる請求項17記載の方法。
【請求項23】
体表面を通した電気的輸送のための生物学的に有益なアニオンを投与する必要のある患者にそれを投与するための電気的輸送システムの製造におけるカチオンの使用であって、生物学的に有益なアニオンが入っている陰極貯蔵層を含有して成り、前記陰極貯蔵層内の前記生物学的に有益なアニオンを送り込む電流を導くための陰極電極の中にカチオンが保持されていて、電気的輸送中に前記生物学的に有益なアニオンと競合するハロゲン化物イオンが前記電極から発生することも気体が前記陰極貯蔵層内で発生することもなく高い方の酸化状態から低い方の酸化状態に還元される高い方の酸化状態を有す、上記カチオンの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−505805(P2009−505805A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529276(P2008−529276)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【国際出願番号】PCT/US2006/034030
【国際公開番号】WO2007/027892
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】