説明

アパタイトが被覆された光触媒を含む塗料組成物及びこれを含む輻射熱放射装置

本発明は、ハイドロキシアパタイトが被覆された光触媒を含む光触媒塗料組成物及びこれを含む輻射熱放射装置に関し、より詳しくは、ハイドロキシアパタイトが被覆された光触媒、シリカ系列バインダー、アクリルエマルジョン、増粘剤及び水を含む光触媒塗料組成物及びその光触媒塗料組成物を含んだ、脱臭及び抗菌機能がある輻射熱放射装置に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アパタイトが被覆された光触媒を含む塗料組成物及びこれを含む輻射熱放射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
‘光触媒’とは、必要な波長帯の光を吸収して化学的反応が起きるように助ける物質を意味する。このような光触媒は、光照射下で酸素や水などを酸化剤として使用し、有毒性物質を二酸化炭素と水に完璧に酸化させる。
【0003】
1980年代後半から先進国では高度酸化処理技術の一種である光触媒を利用した光触媒酸化反応に対する研究が活発に進行されてきた。光触媒酸化反応は主にハイドロキシラジカル及びスーパーオキサイドを中間物質で生成し、汚染物である有機物を酸化処理する。このような光触媒酸化反応は、過酸化水素及びオゾンなどの酸化剤を追加せず単純に酸素のみを供給しても十分な有機汚染物の処理効果を得ることができ、また有機汚染物の処理効果と共に殺菌効果を同時に得ることができるという主要な長所を有している。
【0004】
このような‘光触媒’は、汚染物質を分解する目的で多様な産業分野に応用されている。日本では光触媒を適用した製品を製造して各種有害有機物質を分解できる多様な製品を続々と開発して商用化させている。その例として、外部のコンクリート及び建物の外装面に適用して10年が経過した後にも表面がきれいな状態で維持される建物外装タイルが挙げられる。しかし、有機汚染物質の分解にすぐれた性能を有している光触媒で作った応用品は光がない条件で、特に、室内のように紫外線が豊富ではない条件では特有の汚染物分解性能を発揮することができないので、これを室内用製品に適用する場合、その機能性が大きく減少する短所を有している。
【0005】
特許文献1は、殺菌機能を有した光触媒を使用することにより、冷却塔への使用時に殺菌効果が半永久的に持続され、したがって、定期的な薬品投入及び管理の必要がなく、冷却水を汚染させて設備に有害な影響を及ぼすことなくすぐれた殺菌効果を有した冷却塔充填材を開示している。
【0006】
特許文献2は、酸化チタン光触媒コーティング膜が具備された回転部材を利用した水質汚染浄化装置を開示している。
【0007】
特許文献3は、紫外線及び二酸化チタン光触媒を利用してポート内の水を浄化するようにしたことを特徴とする水質浄化ポートを開示している。
【0008】
特許文献4は、光触媒を利用した水の光分解装置を開示している。
【0009】
特許文献5は、有機物浄化機能がある構造用光触媒混和モルタルを開示している。
【0010】
特許文献6は、光触媒の製造方法を開示している。
【0011】
特許文献7は、光触媒を使用した空気浄化機を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】韓国特許出願2000−0059193号公報
【特許文献2】韓国特許出願2000−0045311号公報
【特許文献3】韓国特許出願2000−0035845号公報
【特許文献4】特開2008−105905号公報
【特許文献5】特開2008−094709号公報
【特許文献6】米国特許公開20070297973号公報
【特許文献7】米国特許公開20060159598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来の‘光触媒’を含む組成物は有機汚染物質分解にすぐれた性能を有しているが、主に紫外線領域で汚染物質分解性能を発揮するので、室内のような所では特有の汚染物分解性能を発揮することができないという短所がある。すなわち、従来の光触媒を室内用製品に応用する場合、汚染物分解及び殺菌効果など光触媒性能がまともに発揮されない問題点があった。
【0014】
したがって、室内用製品にも適切に応用できる光触媒塗料組成物の開発が要求される。
【0015】
また、光触媒には強い酸化性により支持体(supports)または担体までも分解させる短所がある。光触媒が紫外線を吸収してハイドロキシラジカルまたはスーパーオキサイドを生成して担体を水と二酸化炭素に分解すれば、光触媒が担体から脱離される現象が発生する。したがって、時間の経過によって光触媒成分が担体から脱離されて光触媒製品の性能が低下される問題点があった。
【0016】
したがって、光触媒の脱離を最小化することができる光触媒塗料組成物の開発が要求される。
【0017】
また、従来の輻射熱放射装置は室内の悪臭成分の浄化が不可能であった。輻射熱放射装置で室内を暖房する場合、タバコの煙、悪臭成分が温度上昇により活発な分子活動を行い、これによって、一層ひどい室内悪臭を誘発させる。更に、室内温度上昇により細菌も繁殖しやすい環境が造成される。すなわち、従来の輻射熱放射装置は室内空気浄化機能がないため、悪臭及び細菌増殖がさらにひどくなる現象がよく発生する問題点があった。
【0018】
したがって、室内空気浄化機能を有している輻射熱放射装置の開発が要求される。
【0019】
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するために行われたもので、可視光領域でも光触媒性能が発揮されて室内用製品にも応用できる光触媒塗料組成物及び室内空気浄化機能を有している輻射熱放射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述の目的を達成するために本発明は、ハイドロキシアパタイトが被覆された光触媒、シリカ系列バインダー、アクリルエマルジョン、増粘剤及び水を含む光触媒塗料組成物において、前記ハイドロキシアパタイトが被覆された光触媒は5〜20重量%、前記シリカ系列バインダーは5〜15重量%、前記アクリルエマルジョンは1〜5重量%、前記増粘剤は0.1〜1重量%、前記水は54〜85重量%を含むことを特徴とする光触媒塗料組成物を提供する。
【0021】
また、本発明において、前記ハイドロキシアパタイトが被覆された光触媒の被覆率は、5〜36%の範囲内であることを特徴とする光触媒塗料組成物を提供する。
【0022】
また、本発明において、前記ハイドロキシアパタイトが被覆された光触媒の平均粒径は、1〜250nmの範囲内であることを特徴とする光触媒塗料組成物を提供する。
【0023】
また、本発明において、前記光触媒は、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化柱石及び三酸化バナジウムから選択される一つまたはこれらの2以上の組合せであることを特徴とする光触媒塗料組成物を提供する。
【0024】
また、本発明において、前記増粘剤はキサンタンゴムであることを特徴とする光触媒塗料組成物を提供する。
【0025】
また、本発明において、前記光触媒塗料組成物の用途は、輻射熱放射装置に使用されることを特徴とする光触媒塗料組成物を提供する。
【0026】
また、本発明は、本発明による光触媒塗料組成物を含む輻射熱放射装置を提供する。
【0027】
また、本発明において、前記輻射熱放射装置は、基板2、発熱層1及び輻射熱放射層3を含むことを特徴とする輻射熱放射装置を提供する。
【0028】
また、本発明において、前記基板2は、ステンレス板(SUS)またはアルミニウム板からなる輻射熱放射装置を提供する。
【0029】
また、本発明において、前記発熱層1は、シリコン、テフロン(登録商標)またはガラス糸で被覆されたニクロム線からなる輻射熱放射装置を提供する。
【0030】
また、本発明において、前記輻射熱放射層3は、6〜12重量%のTiO、20〜30重量%のSiO、5〜10重量%のZrO、5〜10重量%のAl、5〜10重量%のFe、5〜10重量%のMnO、1〜5重量%のNaOの輻射無機物質と、20〜25重量%のアルコキシシラン接着剤及び10〜15重量%のアルコール溶媒の混合物を塗布した後、溶媒を乾燥させて形成されることを特徴とする輻射熱放射装置を提供する。
【0031】
また、本発明において、前記装置は輻射熱放射層3が具備された面と反対の面の最外側表面に断熱層4をさらに含むことを特徴とする輻射熱放射装置を提供する。
【0032】
また、本発明において、前記断熱層4は、ガラスファイバーであり、15〜25mm範囲の厚さを有したことを特徴とする輻射熱放射装置を提供する。
【0033】
また、本発明において、前記輻射熱放射層3の表面に表面凹凸処理層5をさらに含むことを特徴とする輻射熱放射装置を提供する。
【0034】
また、本発明において、前記表面凹凸処理層5は、SiO及びCaOの混合物の過飽和水溶液を輻射熱放射層3の表面上にコーティングした後に乾燥して形成されることを特徴とする輻射熱放射装置を提供する。
【0035】
また、本発明において、前記表面凹凸処理層5は、SiO及びCaOの重量比が1:4で混合された過飽和水溶液を輻射熱放射層の表面上にコーティングした後に乾燥して形成されることを特徴とする輻射熱放射装置を提供する。
【0036】
また、本発明において、光触媒コーティング層6をさらに含むことを特徴とする輻射熱放射装置を提供する。
【0037】
また、本発明において、光触媒コーティング層6の厚さは、30〜300μmの範囲内であることを特徴とする輻射熱放射装置を提供する。
【0038】
また、輻射熱放射層3を含む輻射熱放射装置の前記輻射熱放射層3に請求項1乃至請求項5の中でいずれか1項の光触媒塗料組成物を塗布するステップと、前記輻射熱放射層3の表面を18〜150℃の温度範囲で硬化させるステップとを含む、光触媒塗料組成物を含む輻射熱放射装置の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0039】
本発明のアパタイトが被覆された光触媒を含む光触媒塗料組成物は、可視光領域下でも光触媒が活性化される効果があり、これによって、室内用製品にも適用できる光触媒塗料組成物を提供することができる。
【0040】
また、本発明の光触媒塗料組成物は、時間の経過によって発生する光触媒の脱離現像がない。
【0041】
また、本発明のハイドロキシアパタイトが被覆された二酸化チタンを含む光触媒塗料組成物を使用して輻射熱放射装置の表面に被覆層を形成する場合、室内空気浄化性能を有した輻射熱放射装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施例による輻射熱放射装置の構造を示す図である。
【図2】可視光下での本発明による組成物のアセトアルデヒド除去率に対する試験成績書である。
【図3】可視光下での本発明による組成物のアンモニア除去率に対する試験成績書である。
【図4】紫外線下での本発明による組成物のアセトアルデヒド除去率に対する試験成績書である。
【図5】紫外線下での本発明による組成物のアンモニア除去率に対する試験成績書である。
【図6】大腸菌、化膿菌及びサルモネラ菌に対する抗菌試験成績書である。
【図7】大腸菌、化膿菌及びサルモネラ菌に対する抗菌試験成績書に添付された大腸菌試験結果を示す写真である。
【図8】大腸菌、化膿菌及びサルモネラ菌に対する抗菌試験成績書に添付された化膿菌試験結果を示す写真である。
【図9】大腸菌、化膿菌及びサルモネラ菌に対する抗菌試験成績書に添付されたサルモネラ菌試験結果を示す写真である。
【図10】本発明による光触媒塗料を含む輻射熱放射装置の遠赤外線放射率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明を説明する前に、本明細書及び請求項に使われた用語について説明する。
【0044】
本発明において、‘塗料’とは、ペイントやエナメルのように固体物質の表面に塗って固体膜を形成し、物体の表面を保護する又は美しくする流動性物質の総称を意味する。塗布する時には一般的にゲル(gel)形状の流動状態であり、塗布後には早く乾燥硬化されるものがよい。
【0045】
本発明の‘アパタイト’は、有機物及び細菌を吸着できる能力を有しており、Ca(PO)(OH)[x=5z、y=3z、z=1〜50]の分子式を有する物質である。アパタイトは燐灰石とも言う。アパタイトの中で代表的なものは‘ハイドロキシアパタイト’であり、その分子式はCa10(PO)(OH)である。
【0046】
本発明において、‘被覆率’は物質の全体表面積を基準として、ある物質が吸着または占有している比表面積に100を掛けた値で定義される。
【0047】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明による光触媒塗料組成物は、その全体組成物100重量%を基準として、ハイドロキシアパタイトが被覆された光触媒は5〜20重量%、シリカ系列バインダーは5〜15重量%、アクリルエマルジョンは1〜5重量%、増粘剤は0.1〜1重量%、水は54〜85重量%を含むことを特徴とする。
【0048】
前記ハイドロキシアパタイトが被覆された光触媒は本発明の非常に重要な構成である。従来の光触媒は汚染物質だけではなく、光触媒を支持する支持体(supports)または担体も分解し、時間の経過によって光触媒が担体から脱離される現象が発生した。しかし、本発明の光触媒は、光触媒の表面がアパタイトで被覆されたものを使用することにより、担体と光触媒の直接的な接触を防止して光触媒を担体から脱離させない。また、アパタイトは多孔性構造により汚染物質の吸着能力を高めて、光触媒が汚染物質を一層効率的に分解できるようにする効果がある。
【0049】
前記ハイドロキシアパタイトが被覆された光触媒は、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化柱石及び三酸化バナジウムから選択される一つまたはこれらの2以上の組合せになったものを使用することができる。好ましくは、光触媒の活性が高い二酸化チタンを使用する。光触媒活性は二酸化チタン>酸化亜鉛>酸化ジルコニウム>酸化柱石>三酸化バナジウムの順序であると知られている。
【0050】
ハイドロキシアパタイトが被覆された光触媒は全体組成物100重量%を基準として5〜20重量%の範囲で添加されることが好ましい。前記ハイドロキシアパタイトが被覆された光触媒が5重量%未満で添加される場合には、光触媒が有している抗菌、抗かび、脱臭、室内空気質の改善などの機能性を発揮することが難しく、20重量%を超過して添加される場合には生産単価が高くなって経済面で好ましくない。
【0051】
前記ハイドロキシアパタイトの光触媒表面に対する被覆率は5〜36%であることが好ましい。前記ハイドロキシアパタイトの光触媒表面に対する被覆率が5%未満であれば、ハイドロキシアパタイトによる汚染物の吸着性が発揮されにくく、アパタイトが被覆された光触媒が担体から脱離され、36%を超過する場合には、ハイドロキシアパタイトが光触媒粒子を完全に囲んでしまうため光触媒の性能を阻害するようになり好ましくない。
【0052】
前記アパタイトが被覆された光触媒の平均粒径は1〜250nmの範囲内であることが望ましい。前記光触媒は平均粒径が1nm未満の場合には、光触媒を塗料として適用しにくいだけではなく、光触媒として光を吸収する受光能力が減少して光触媒として使いにくく、250nmを超過する場合には、水に光触媒粒子を分散させることが難しく光触媒が均一に分散されている塗料を作りにくいため、好ましくない。
【0053】
前記シリカ系列のバインダーは光触媒との混和性が優れているため、本発明のバインダーとして好ましい。前記シリカ系列のバインダーは、ハイドロキシアパタイトが被覆された光触媒の粒子間凝集を防止して二酸化チタン粒子を水分散させるために、全体100重量%を基準として5〜15重量%を添加することが好ましい。5重量%未満では被覆された光触媒の粒子間凝集が発生し、15重量%を超過すれば、アパタイトが被覆された光触媒の表面を遮断して光触媒活性が低下する。
【0054】
前記アクリルエマルジョンは補助的な役目をする補助バインダーである。前記アクリルエマルジョンはアパタイトが被覆された光触媒及びシリカバインダーが輻射熱放射装置の表面によく接着されるようにする役割を果たし、全体組成物100重量%を基準としてその含量が1〜5重量%の範囲内であることが好ましい。前記範囲を脱すれば固着及び光触媒活性の性能に影響を及ぼすので好ましくない。
【0055】
前記増粘剤は反応物に粘性を付与する成分としてキサンダンゴム(xanthan gum)を使用し、全体100重量%を基準としてその含量が0.1〜1重量%の範囲であることが好ましい。前記範囲を脱すれば粘度がとても低い又はとても高くなり、流動性及び作業性に悪影響を与える。
【0056】
前記水は経済性と二酸化チタン活性、塗料の粘度及び塗料と塗膜工程の円滑性を考慮した時、全体100重量%に対して54〜85重量%を含むことが好ましい。
【0057】
以下、本発明の光触媒塗料組成物のコーティング方法について説明する。
本発明による光触媒塗料組成物は、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、ローラーコーティング法を使用してコンクリート、木、プラスチックなどの多様な基質(substrate)の表面上にコーティングすることができる。
【0058】
前記コーティング方法により被覆された輻射熱放射装置の輻射板のパネル(panel)は18〜150℃の温度範囲で硬化させることが好ましい。18℃未満の場合にはコーティングされた塗膜の硬度が弱くなる問題があり、150℃を超過する場合には急な硬化によりコーティング塗膜が割れる現象が発生する恐れがある。
【0059】
以下、本発明の光触媒塗料組成物を含む輻射熱放射装置について説明する。
本発明の輻射熱放射装置は、本発明の光触媒塗料組成物を含み輻射熱放射物質と発熱装置を具備したものであれば、その輻射熱放射物質及び発熱装置は特別に制限されない。高い遠赤外線放射効率を有した本発明の輻射熱放射装置の一実施例を説明すれば、下記の通りになる。
【0060】
本発明の輻射熱放射装置の一実施例は、光触媒塗料組成物を含み、基板2、発熱層1及び輻射熱放射層3を含む輻射熱放射装置である。光触媒塗料組成物は輻射熱放射層3に均質・混合されるか、別の光触媒コーティング層6を形成する方法で、本発明の輻射熱放射装置を形成することができる。また、断熱層4をさらに具備することもできる。
【0061】
図1は、本発明の別の一実施例による輻射熱放射装置の構造を示す図である。本発明の別の一実施例では、基板2、発熱層1、輻射熱放射層3、断熱層4、表面凹凸処理層5及び光触媒コーティング層6を含むことを特徴とする。
【0062】
前記輻射熱放射層3は、TiO、SiO、ZrO、Al、Fe、MnO、2MgO・2Al・5SiO、Al・TiOなどのような無機物材料を使用して製作することができ、好ましくは、TiO、SiO、ZrO、Al、Fe及びMnO、NaOからなった群より選択される無機物材料を使用する。前記無機物材料は単独でまたは混合して使うことができる。
【0063】
特に、6〜12重量%のTiO、20〜30重量%のSiO、5〜10重量%のZrO、5〜10重量%のAl、5〜10重量%のFe、5〜10重量%のMnO、1〜5重量%のNaOの輻射無機物質と、20〜25重量%のアルコキシシラン接着剤及び10〜15重量%のアルコール溶媒の混合物を塗布した後、溶媒を乾燥させて形成されたものを使用することがさらに好ましい。前記のような輻射熱放射層3は温度が約92〜110℃であるとき、輻射熱電磁波の中で波長が2.5〜25μm(中心波長9μm)の輻射熱電磁波を放出することができる。2.5〜25μm(中心波長9μm)波長の輻射熱電磁波は浸透力が非常に強いことが知られている。
【0064】
本発明で使われる前記輻射熱放射層3の材料は、高純度であり、粒度が大きいものを使用する。例えば、粒度が350メッシュ(mesh)以上のものが好ましい。
【0065】
前記輻射熱放射層3は、前記のような無機物材料を接着剤及び溶媒と混合してこれを基板2の一方側表面に塗布した後に乾燥することで形成することができる。本発明において、輻射熱放射層3の形成のための接着剤の伝導性及び耐熱性は、好ましくは250℃以上、より好ましくは300℃以上での熱安全性を有し、その材料は特別に限定されない。例えば、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂などを使用できる。また、前記溶媒としてケトン系溶媒を使用することができる。
【0066】
前記輻射熱放射層3の形成時に、前記輻射熱放射層3の材料と本発明の光触媒塗料組成物を混合して乾燥することにより、本発明の空気浄化機能がある輻射熱放射装置を作ることもできる。しかし、この場合、輻射熱放射層3とは別に光触媒塗料組成物を塗布した場合に比べて光触媒の活性が多少低下する短所がある。
【0067】
前記基板2は輻射熱放射層3及び発熱層1を支持する役目を持つもので、その材料は特別に限定されない。前記基板2は合成樹脂板で構成でき、ステンレスまたはアルミニウムからなった板で構成することもできる(ステンレス板はSUSとしても当業界の通常の知識を持った者に広く知られている)。ただし、本発明では基板として耐熱性が優秀であり、すなわち、92〜250℃で化学的・物理的変化がなく、92〜250℃の間の熱膨脹率が基板2に接触する周辺層、例えば、発熱層1及び輻射熱放射層3と類似のものが好ましい。また、基板2の材料は熱伝導率が優れており、比重が小さく本発明の装置を軽量で製造することにおいて役に立つ材料であるものが好ましい。本発明の装置は使用時に天井または壁面に配置させるか支持台があるものに附着して使用することもできるので、本発明の装置において軽量性は重要であり、前記基板2はアルミニウム板で構成することが好ましい。
【0068】
前記発熱層1を構成する材料は外部から電源が供給される場合、発熱可能な物質であれば制限されない。ただし、発熱層1の材料は温度変化による抵抗の変化が少ないもの、すなわち、抵抗の温度係数が低く柔軟性が優秀であり、物理的・化学的変化が少ないものが好ましい。例えば、発熱層1の材料として使われる発熱細線の機械的強度が低い又は表面が酸化されて接触抵抗が増加する場合には、本発明の装置の作動に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0069】
例えば、本発明では鉄クロム(Fe−Cr)、ニクロム(Ni−Cr)または銅ニッケル(Cu−Ni)などの発熱線を、好ましくは、300℃以上の高温で安全性を有する合成樹脂、例えば、ポリフルオロエチレン系列の樹脂からなったアメリカデュポン社のテフロン(登録商標)やシリコン樹脂及びガラス糸(glass yarn:ガラスファイバーの一種で当業界に広く知られたものである)から選択されたものなどでコーティングしたのを使用することができる。このような合成樹脂でコーティングされた発熱線は電源が供給されると発熱して輻射熱放射層3に熱を伝達する。
【0070】
本発明の輻射熱放射装置は、本発明の装置が所定の空間に配置される時、外部配置表面に接する面、すなわち、輻射熱放射層3が具備された面と反対の面の最外側の表面に断熱層4をさらに具備することができる。このように断熱層4を具備する場合、発熱層1から発散される熱が、輻射熱放射層3が具備された面と反対の面に放射されるのを遮断することにより、輻射熱放射層3の方向に輻射熱が効率的に放射されるようにする。また、断熱層4により発熱層1から発生した熱を遮断することにより火事を防止することができる。
【0071】
本発明では、断熱層4の材料は不燃性で軽量のものを使用する。例えば、石膏ボードまたは高密度ガラスファイバーボードを使用し、この中でも軽くて公害性の問題が少ない高密度ガラスファイバーボードを使用することがより好ましい。断熱層4の材料としてガラスファイバーボードを使用する場合、ガラスファイバーの露出を防止するためにガラスファイバーボードの外部露出面は接着剤で処理されたガラスファイバー及びベパバリア(ベパバリアはアルミニウムホイル、P.V.Cフィルム、繊維ガラス糸などが結合された複合素材である)で被覆することができる。しかし、これら材料に限定されずに当該技術分野に知られている断熱材料であれば制限なく使用することができる。前記断熱層4の厚さは全体装置の重さ及び体積やその他の工程を考慮して当業者が決定するが、本発明ではその厚さが15〜25mm前後のものを使用することが一番好ましい。
【0072】
前記断熱層4は、上述の断熱層4の材料を発熱層1に接着剤を利用して接着して形成することもできるが、接着剤なしに基板2または発熱層1と組み立てて形成することもできる。例えば、本発明の装置を構成する断熱層4、発熱層1、基板2及び輻射熱放射層3をアルミニウムフレーム(frame)で固定することにより接着剤なしに本発明の装置を組み立てることができる。
【0073】
本発明の輻射熱放射装置は、輻射熱放射層3の輻射熱を放射する表面上に表面凹凸処理層5をさらに具備することができる。このような表面凹凸処理層5は本発明の装置の輻射熱放射表面を粗くして輻射熱の放射面積を増大させることにより輻射効率を高める。また、人体の一部が前記表面凹凸処理層5に接する場合に、前記表面凹凸処理層5は輻射熱放射層3に比べて少し温度が低いので使用者の火傷の危険を減少させる付随的効果もある。
【0074】
前記表面凹凸処理層5は、例えば、二酸化シリコン(SiO)及び二酸化カルシウム(CaO)の混合物などで形成することができる。形成方法では、前記例示した材料を水に溶解度以上で添加して過飽和水溶液を製造した後、これを輻射熱放射層3の表面に塗布して溶媒を乾燥させる方法を利用することができる。過飽和水溶液の過飽和度は特別に制限されず、輻射熱放射層3の表面に均一分布させることができる程度であれば好ましい。このような方法を利用する場合、前記材料の粒子質感がそのまま残っているように本発明の装置の表面を粗くして輻射表面を増加させることができる。すなわち、表面凹凸処理層5が形成されると、滑らかな表面に凹凸が形成され、このような凹凸が最外側表面積を増加させて究極的に放射率を高める効果がある。ここで、SiO及びCaO過飽和水溶液のSiO及びCaOの割合は任意に調整して使うこともできるが、SiO:CaO=1:4(重量比)にすることが放射率を高めてコーティングが円滑になるため一番好ましい。
【0075】
前記光触媒コーティング層6は、本発明の光触媒塗料組成物を前記輻射熱放射層3に塗布して形成することができる。また、輻射熱放射装置が表面凹凸処理層5を有する場合、前記表面凹凸処理層5上に本発明の光触媒塗料組成物を塗布すれば、光触媒コーティング層6を形成することができる。本発明の光触媒塗料組成物は硬化・乾燥された後にも遠赤外線など輻射熱が透過できる透明性を有する。したがって、光触媒コーティング層6の形成が輻射熱放射装置の遠赤外線放射効率に及ぶ影響は最小化される。ただし、光触媒コーティング層6がとても厚い場合、遠赤外線の放射効率に悪影響を及ぼすのでコーティング層の厚さは30〜300μmの範囲内にすることが好ましく、より好ましくは、30〜150μmの範囲内にする。
【0076】
また、前記光触媒コーティング層6は基質(substrate)上の模様と同一に形成され輻射熱放射効率に対する影響を最小化する。例えば、図1に示されたように、光触媒コーティング層6が表面凹凸処理層5上に形成される場合、光触媒コーティング層6は表面凹凸処理層5の凹凸模様と同一に形成され輻射熱の放射効率に対する影響が最小化される。本発明の光触媒塗料組成物はこのような前記の光触媒コーティング層6の形成において適切な粘度を有している。
【0077】
本発明による装置の大きさは最終用途や工程条件によって当業者が決定できる。また、本発明の装置を構成する各層は全て同一の大きさである必要はなく、上述した各層の機能を毀損しない範囲内でその大きさを調節することができる。
【実施例】
【0078】
以下、本発明について具体的な実施例を参照してより詳しく説明するが、これは説明のためのもので、本発明の範囲はこれに限定されない。
【0079】
ハイドロキシアパタイトが被覆された光触媒の製造
まず、ハイドロキシアパタイトを二酸化チタンに被覆するためにハイドロキシアパタイトと類似の液体を形成した。前記類似液体は蒸留水にNa+(213mM)、K(7.5mM)、Ca2+(50mM)、Mg(1.5mM)、Cl(147.8mM)、HCO(6mM)、HPO2−(12mM)、SO2−(0.75mM)の割合で混合して形成した。
【0080】
この類似液体を高速で回転させながら二酸化チタンを添加して分散させて、一時間の間撹拌しながら二酸化チタンの表面に一定にハイドロキシアパタイトが位置するようにした。
【0081】
以後、撹拌を止めた状態で24時間の間ハイドロキシアパタイトを成長させる。このようにして、表面にハイドロキシアパタイトの分布が均一に被覆された二酸化チタンを得ることができ、これに1時間の間200〜300℃の熱を加えてより安定した製品を得ることができた。
【0082】
この時、使用する二酸化チタンはアナターゼ(anatase)型、ルチル(rutile)型、板チタン石型の中でいずれかを一つ使ってもよいが、本発明の実施例では汎用で使用されるアナターゼ型のP25タイプ(ドイツデグ社の製品)の光触媒を使用した。
【0083】
光触媒塗料組成物の製造
前記方法により作られたハイドロキシアパタイトが被覆された二酸化チタンの水容液をシリカバインダー及びアクリルエマルジョンと混合して低速で撹拌する。その後、増粘剤としてキサンタンゴム(xanthan gum)を添加して高速で撹拌して本発明のハイドロキシアパタイトが被覆された二酸化チタンを含む光触媒塗料組成物を製造する。
【0084】
一方、前記シリカバインダーはシランをアルコールに分散させて使用されたシランの総重量100重量%を基準で10〜20重量%の水を撹拌しながらゆっくり添加した後、24〜48時間の間水和させて作ったシリカで製造した。
【0085】
前記シリカバインダーは、本発明のハイドロキシアパタイトが被覆された二酸化チタンを含んだ光触媒塗料組成物の硬化以後、シリカと二酸化チタンがリング化されることにより、水気を遮断しながら空気を通過させる理想的な状態を維持するようになる。
【0086】
光触媒塗料組成物の塗布及び本発明の輻射熱放射装置の製造
本発明のハイドロキシアパタイトが被覆されたナノ二酸化チタン触媒塗料組成物を、スプレーコーティング(spray coating)、ディップコーティング(dip coating)、ローラーコーティング法、筆コーティング法の中で選択されるいずれか一つの方法で、輻射熱放射装置の輻射熱放射層3または表面凹凸処理層5に塗布する。塗布後、18〜150℃の温度範囲でコーティングされた光触媒塗料組成物を硬化させて機能性輻射熱放射装置を作る。
【0087】
[実験例]
以下、前記実施例により製造された光触媒塗料組成物及びこれを含む輻射熱放射装置を対象として実施した実験について説明する。
【0088】
実験例1:可視光線条件下での有機物分解能
前記実施例により製造した光触媒塗料組成物の乾燥粉末を試料で使用して、CHCHO及びNH除去率に対する実験を実施した。実験は公認機関である韓国建資材試験研究院で施行した。試験成績書を図2及び図3に添付した。
【0089】
1.CHCHO除去率に対する実験条件及び方法
1)試料の製造:試料0.5gをアルミニウム板に塗布した後24時間自然乾燥する。
2)ランプの照射条件:3波長蛍光ランプ(Philips FL20SS/18 Super80)2個を設置して試料とランプの距離を10cmで調節する。
3)試料の前処理方法:前処理なしに試験前3時間の間ランプを照射する。
4)試験方法
−5L容量のPVF樹脂ガスバッグ(東京テオドラント社製)4個を準備して試料を入れて封入した後、CHCHO 90ppmの試験ガスを製造して各々のガスバッグに3Lずつ注入する。
−2個はランプの照射下で2時間の間のCHCHO濃度変化を測定し、2個は暗室で2時間の間のCHCHO濃度変化を測定する。
−CHCHO濃度はガス検知管を使用して測定する。
【0090】
2.NH除去率に対する実験条件及び方法
前記CHCHO除去率に対する実験条件及び方法と同一にした。
【0091】
3.実験結果
実験結果は下記の表1の通りであった。
【0092】
【表1】

【0093】
*備考
N.D.:CHCHOの場合、2時間の可視光線照射後にCHCHOが検出されない又は最小検出限界0.25ppm未満の濃度であった。
【0094】
99<:CHCHO除去率は99%超過。
【0095】
可視光線下でCHCHO及びNHの除去率が各々99%超過、9%であった。アンモニアに対する除去率がアセトアルデヒドに比べて多少低い結果を見せたが、窒化物アセトアルデヒドに比べて元素間結合力が一層強くて分解が難しい点を考慮すれば、紫外線より低いエネルギーを有した可視光線下で少なくない除去率を示したと評価される。
【0096】
実験例2:紫外線条件下での有機物分解能
前記実施例により製造した光触媒塗料組成物の乾燥粉末を試料で使用して、CHCHO及びNH除去率に対する実験を実施した。実験は公認機関である韓国建資材試験研究院で施行した。試験成績書を図4及び図5に添付した。
【0097】
1.CHCHO除去率に対する実験条件及び方法
1)試験方法:PRKS L−002(ガスバッグA法)
2)試験条件
−ブラックライト蛍光ランプのブランド及びランプ数:Sankyo denki、2個。
−紫外線強度計のブランド及び形式:Konica Minolta(UM−10)、UD−360。
−試料の採取量:粉末0.5gをアルミニウム板を塗布した後24時間自然乾燥した。
−試料の前処理方法及び紫外線照射期間:前処理なしに紫外線を3時間照射した。
−試料上面までの距離:ランプ中央から10cm。
−試験室の試験開始から終了時までの温度:22℃。
−試験成立条件の成立確認:
PRKS L−002:暗状況におけるガスバッグ内のアセトアルデヒド濃度は変わらなかった。
(初期の最高ガス濃度−初期のガス濃度)/算術平均値=0
【0098】
2.NH除去率に対する実験条件及び方法
1)試料の製造:依頼者が提示した粉末0.5gをアルミニウム板に塗布した後24時間自然乾燥する。
2)紫外線の照射条件:ブラックライト蛍光ランプ(Sankyo denki社、20W)2個を設置し、紫外線受光機(Konica Minolta、UD−360)を利用して紫外線照射量を1.0mWで照射する。
3)試料の前処理方法:前処理なしに試験前3時間の間紫外線を照射する。
4)実験方法
−5L容量のPVF樹脂ガスバッグ(東京テオドラント社製)4個を準備して試料を入れて封入した後、NH 90ppmの試験ガスを製造して各々のガスバッグに3Lずつ注入した。
−2個はランプの照射下で2時間の間のNH濃度変化を測定し、2個は暗室で2時間の間のNH濃度変化を測定する。
−NHの濃度はガス検知管を使用して測定する。
【0099】
3.実験結果
実験結果は下記の表2の通りである。
【0100】
【表2】

【0101】
*備考
N.D.:CHCHO(またはNH)の場合、2時間可視光線を照射した後にCHCHOが検出されないか最小検出限界0.25ppm未満の濃度であった。
【0102】
99<:CHCHO(またはNH)除去率99%超過。
【0103】
紫外線下でCHCHO及びNHの除去率は共に99%超過であった。
【0104】
実験例3:殺菌・抗菌効能実験
大腸菌、化膿菌及びサルモネラ菌に対する殺菌・抗菌を実験した。実験は公認機関である韓国建資材試験研究院で施行した。試験成績書を図6乃至図8に添付した。
【0105】
1.実験条件及び方法
1)ランプの照射条件
−3波長蛍光ランプ(Philips FL20ss/18 Super80)2個を設置して試料とランプの距離を10cmで調節する。
2)菌液接種後の蛍光ランプの照射時間:2時間
3)ペトリ皿に試料を入れて、試料の上に菌液を接種した後2時間蛍光ランプに露出させてバッファー(Buffer)で洗浄して残っている菌数を測定した。
4)試験菌株
−Escherichia coli ATCC 25922
−Staphylococcus aureus ATCC 6538
−Salmonella typhimurium IFO 14193
5)試料サイズ:5×5cm
【0106】
2.実験結果
実験結果は下記の表3の通りである。
【0107】
【表3】

【0108】
大腸菌(Escherichia coli ATCC 25922)、化膿菌(Staphylococcus aureus ATCC 6538)及びサルモネラ菌(Salmonella typhimurium IFO 14193)に対する細菌減少率は全て99.9%に達した。
【0109】
実験例4:輻射熱放射装置の遠赤外線放射率及び光触媒密着性測定
輻射熱放射装置の遠赤外線放射率実験は、公認機関である韓国エネルギー技術研究院で施行した。試験成績書を図10に添付した。
【0110】
1.実験条件及び方法
1)遠赤外線放射率
前記実施例により製作した本発明の光触媒塗料組成物を含む輻射熱放射装置を対象とした。遠赤外線放出試験は韓国エネルギー技術研究院でFT−IR Spectrometerを利用したBlack Body対比により測定した。
2)光触媒塗料の密着性
前記実施例により製作した本発明の光触媒塗料組成物を含む輻射熱放射装置表面に吸着性テープを附着した後、前記テープを除去した。テープはプロピレン/ゴム系であり、粘着力1162g/in、引張強度6.8kg/inであるのもを使用した(ASTM Test Method D−3652 D−3652 D−3330 D−3759 D−3759)。
【0111】
2.実験結果
実験結果は下記の表4の通りである。
【0112】
【表4】

【0113】
本発明の光触媒塗料組成物が表面に塗布された輻射熱放射装置は94.8%の高い遠赤外線放射率を示し、光触媒組成物の剥離もなかった。
【符号の説明】
【0114】
1 発熱層
2 基板
3 輻射熱放射層
4 断熱層
5 表面凹凸処理層
6 光触媒コーティング層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイドロキシアパタイトが被覆された光触媒、シリカ系列バインダー、アクリルエマルジョン、増粘剤及び水を含む光触媒塗料組成物において、
前記ハイドロキシアパタイトが被覆された光触媒は5〜20重量%、前記シリカ系列バインダーは5〜15重量%、前記アクリルエマルジョンは1〜5重量%、前記増粘剤は0.1〜1重量%、前記水は54〜85重量%を含むことを特徴とする光触媒塗料組成物。
【請求項2】
前記ハイドロキシアパタイトが被覆された光触媒の被覆率は、5〜36%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の光触媒塗料組成物。
【請求項3】
前記ハイドロキシアパタイトが被覆された光触媒の平均粒径は、1〜250nmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の光触媒塗料組成物。
【請求項4】
前記光触媒は、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化柱石及び三酸化バナジウムから選択される一つまたはこれらの2以上の組合せであることを特徴とする請求項1に記載の光触媒塗料組成物。
【請求項5】
前記増粘剤は、キサンタンゴムであることを特徴とする請求項1に記載の光触媒塗料組成物。
【請求項6】
前記光触媒塗料組成物は、輻射熱放射装置に使用されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の光触媒塗料組成物。
【請求項7】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項の光触媒塗料組成物を含むことを特徴とする輻射熱放射装置。
【請求項8】
前記輻射熱放射装置は、基板2、発熱層1及び輻射熱放射層3を含むことを特徴とする請求項7に記載の輻射熱放射装置。
【請求項9】
前記基板2は、ステンレス板(SUS)またはアルミニウム板からなることを特徴とする請求項8に記載の輻射熱放射装置。
【請求項10】
前記発熱層1は、シリコン、テフロン(登録商標)またはガラス糸で被覆されたニクロム線からなることを特徴とする請求項8に記載の輻射熱放射装置。
【請求項11】
前記輻射熱放射層3は、6〜12重量%のTiO、20〜30重量%のSiO、5〜10重量%のZrO、5〜10重量%のAl、5〜10重量%のFe、5〜10重量%のMnO、1〜5重量%のNaOの輻射無機物質と、アルコキシシラン接着剤20〜25重量%及びアルコール溶媒10〜15重量%の混合物を塗布した後、溶媒を乾燥させて形成されることを特徴とする請求項8に記載の輻射熱放射装置。
【請求項12】
前記装置は、輻射熱放射層3が具備された面と反対の面の最外側表面に断熱層4をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の輻射熱放射装置。
【請求項13】
前記断熱層4は、ガラスファイバーであり、15〜25mm範囲の厚さを有することを特徴とする請求項12に記載の輻射熱放射装置。
【請求項14】
前記輻射熱放射層3の表面に表面凹凸処理層5をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の輻射熱放射装置。
【請求項15】
前記表面凹凸処理層5は、SiO及びCaO混合物の過飽和水溶液を輻射熱放射層3の表面上にコーティングした後に乾燥することで形成されることを特徴とする請求項14に記載の輻射熱放射装置。
【請求項16】
前記表面凹凸処理層5は、重量比SiO:CaO=1:4で混合した過飽和水溶液を輻射熱放射層の表面上にコーティングした後に乾燥することで形成されることを特徴とする請求項14または請求項15に記載の輻射熱放射装置。
【請求項17】
光触媒コーティング層6をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の輻射熱放射装置。
【請求項18】
光触媒コーティング層6の厚さは、30〜300μm範囲内であることを特徴とする請求項17に記載の輻射熱放射装置。
【請求項19】
輻射熱放射層3を含む輻射熱放射装置の前記輻射熱放射層3に請求項1乃至請求項5のいずれか1項の光触媒塗料組成物を塗布するステップと、
前記輻射熱放射層3の表面を18〜150℃の温度範囲で硬化させるステップと、を含むことを特徴とする光触媒塗料組成物を含む輻射熱放射装置の製造方法。
【請求項20】
表面凹凸処理層5を含む輻射熱放射装置の前記表面凹凸処理層5に請求項1乃至請求項5のいずれか1項の光触媒塗料組成物を塗布するステップと、
前記表面凹凸処理層5の表面を18〜150℃の温度範囲で硬化させるステップと、を含むことを特徴とする光触媒塗料組成物を含む輻射熱放射装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−525565(P2011−525565A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516092(P2011−516092)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【国際出願番号】PCT/KR2008/004559
【国際公開番号】WO2009/157612
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(510339119)エナジー コリア インク. (1)
【Fターム(参考)】