アブレーションカテーテル
【課題】小径且つ振動可能な先端を備えたアブレーションカテーテルを提供する。
【解決手段】生体組織を焼灼するための電極21を先端に有するカテーテルシャフト20内に、カテーテルシャフトの先端側部分を屈曲変形させる少なくとも1本のワイヤ22a,22bが挿入されている。カテーテルシャフトの後端から導出された少なくとも1本のワイヤに断続的に張力を印加することにより、カテーテルシャフトの先端を振動させる。
【解決手段】生体組織を焼灼するための電極21を先端に有するカテーテルシャフト20内に、カテーテルシャフトの先端側部分を屈曲変形させる少なくとも1本のワイヤ22a,22bが挿入されている。カテーテルシャフトの後端から導出された少なくとも1本のワイヤに断続的に張力を印加することにより、カテーテルシャフトの先端を振動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不整脈の治療に使用されるアブレーションカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
頻脈性不整脈の治療方法の一つとして、カテーテル(一般に「アブレーションカテーテル」と呼ばれる)を用いたカテーテルアブレーション術が知られている。この治療方法は、概略、以下のように行われる。最初に、カテーテルを足の付け根にある太い血管(例えば大腿動脈又は大腿静脈)に挿入し、その先端を心臓内に到達させる。次いで、カテーテルの先端の電極を心臓の内壁に接触させながら心電図を計測し、異常部位を探索する。異常部位が見つかると、カテーテルの先端の電極から高周波(RF波)電流を発生させ、深部にある心筋を焼灼し、不整脈発生の原因となっている部位(病巣)の細胞を壊死させる。
【0003】
このカテーテルアブレーション術では、焼灼面積や焼灼深さを制御することは一般に難しい。例えば、高周波電流出力が高すぎると、心臓内壁を穿孔してしまったり、電極温度が高くなり血栓が生じたりする。
【0004】
カテーテルの先端には、心臓内壁の表面温度を測定するためのサーミスタが設けられている。サーミスタを通じて検出された表面温度があらかじめ設定した危険温度を越えると、高周波電流出力を低下させることで、過剰焼灼を防止することが一般に行われている。
【0005】
ところが、このような心臓内壁の表面温度制御を行うと、表面のみが焼灼されて、深部の病巣を焼灼できないという問題が生じることがある。
【0006】
そこで、心臓内壁表面を冷却することで表面のみが焼灼されるのを回避しながら、深部の病巣を焼灼する手法が検討されている。
【0007】
その一手法として、先端に冷却用の生理食塩水を吹き出す孔を設けたイリゲーションカテーテルを用いる方法がある。ところが、この方法は、心臓内壁表面に対するカテーテルの向きによっては冷却効果にムラが生じる、生理食塩水を用いるので心不全や腎臓障害を有する患者には不向きである、生理食塩水を供給するためのポンプが必要であるので装置が大型且つ高価である、などの問題を有している。
【0008】
特許文献1には、カテーテルの先端を振動させ、これにより生じる血流により、カテーテルの先端を冷却させるアブレーションカテーテルが記載されている。この手法であれば、イリゲーションカテーテルが有する上述した問題は生じない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4582015号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
カテーテルの先端は、血管を通って心臓内に挿入されるから、小径であることが望ましい。カテーテルの先端を大径化することなく、特許文献1に記載されたようにカテーテルの先端を振動させることが望まれる。
【0011】
本発明は、小径且つ振動可能な先端を備えたアブレーションカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のアブレーションカテーテルは、生体組織を焼灼するための電極を先端に有するカテーテルシャフトを備える。更に、前記アブレーションカテーテルは、前記カテーテルシャフト内に挿入され、前記カテーテルシャフトの先端側部分を屈曲変形させる少なくとも1本のワイヤと、前記カテーテルシャフトの後端から導出された前記少なくとも1本のワイヤに断続的に張力を印加することにより、前記カテーテルシャフトの先端を振動させる振動発生機構とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、カテーテルシャフトの先端側部分を屈曲変形させる少なくとも1本のワイヤに断続的に張力を印加することにより、カテーテルシャフトの先端を振動させる。従って、先端を振動させるためにカテーテルシャフトに新たな部材を追加する必要がないので、カテーテルシャフトを大径化することなく、カテーテルシャフトの先端を振動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の実施形態1に係るアブレーションカテーテルの透視平面図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態1に係るアブレーションカテーテルの上ケースを取り外した状態を示した分解斜視図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態1に係るアブレーションカテーテルの構成部品を示した分解斜視図である。
【図4A】図4Aは、本発明の実施形態1に係るアブレーションカテーテルにおいて揺動部材が一方の側に回動した状態を示した平面図である。
【図4B】図4Bは、本発明の実施形態1に係るアブレーションカテーテルにおいて揺動部材が他方の側に回動した状態を示した平面図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態2に係るアブレーションカテーテルの透視平面図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態2に係るアブレーションカテーテルの上ケースを取り外した状態を示した分解斜視図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態2に係るアブレーションカテーテルの構成部品を示した分解斜視図である。
【図8A】図8Aは、本発明の実施形態2に係るアブレーションカテーテルにおいてスライド部材が一方の側に移動した状態を示した平面図である。
【図8B】図8Bは、本発明の実施形態2に係るアブレーションカテーテルにおいてスライド部材が他方の側に移動した状態を示した平面図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態3に係るアブレーションカテーテルの主要部の外観を示した斜視図である。
【図10】図10は、本発明の実施形態3に係るアブレーションカテーテルの構成部品を示した分解斜視図である。
【図11】図11は、本発明の実施形態4に係るアブレーションカテーテルの主要部の外観を示した斜視図である。
【図12】図12は、本発明の実施形態4に係るアブレーションカテーテルの構成部品を示した分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の上記のアブレーションカテーテルにおいて、前記ワイヤの数が2本であることが好ましい。この場合、前記2本のワイヤは、前記カテーテルシャフトの先端側部分を互いに逆方向に屈曲変形させることができることが好ましい。そして、前記振動発生機構は前記2本のワイヤに交互に張力を印加することが好ましい。かかる好ましい構成によれば、振動発生機構がカテーテルシャフトの先端を互いに逆方向に屈曲変形させるので、振動数の向上、振幅の増大に有利である。従って、冷却効果を高めることができる。
【0016】
前記カテーテルシャフトの先端の振幅を調整することができることが好ましい。かかる好ましい構成によれば、振幅を変えることでカテーテルシャフトの先端が振動することによる冷却効果を調整することができるので、冷却効果の調整範囲の拡大に有利である。
【0017】
前記振動発生機構は前記少なくとも1本のワイヤと係合する往復運動部材を含むことが好ましい。この場合、前記往復運動部材が往復運動することにより、前記少なくとも1本のワイヤに断続的に張力が印加されることが好ましい。かかる好ましい構成によれば、比較的簡単な構成で振動発生機構を実現できるので、振動発生機構の信頼性の向上やコストの低減に有利である。
【0018】
前記往復運動部材が揺動軸に対して揺動する揺動部材であってもよい。あるいは、前記往復運動部材が往復直線移動するスライド部材であってもよい。かかる構成によれば、比較的簡単な構成で往復運動部材を実現できるので、往復運動部材を含む振動発生機構の信頼性の向上やコストの低減に更に有利である。
【0019】
前記少なくとも1本のワイヤが前記往復運動部材を貫通していることが好ましい。かかる好ましい構成によれば、ワイヤと往復運動部材との係合が外れる可能性が極めて低いので、アブレーションカテーテルの信頼性の向上に有利である。
【0020】
以下に、本発明を好適な実施形態を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態の構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。また、以下の各図中の部材の寸法は、実際の構成部材の寸法および各部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0021】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るアブレーションカテーテル(以下、「カテーテル」という)1の透視平面図である。図2は、カテーテル1の上ケース10aを取り外した状態を示した分解斜視図、図3は、カテーテル1の構成部品を示した分解斜視図である。
【0022】
図3に示されているように、このカテーテル1は、上ケース10aと下ケース10bとが重ね合わされたハンドル10を備える。ハンドル10は、全体として略棒状形状を有しており、その長手方向の一端にカテーテルシャフト20が接続されている。図1に示すように、カテーテルシャフト20の先端には、生体組織に高周波電流を印加して焼灼するための電極21が設けられている。カテーテルシャフト20は、従来のアブレーションカテーテルに使用されるカテーテルシャフトと同程度の長さ、外径、及び柔軟性を有している。図面を簡単化するために、図1ではカテーテルシャフト20の中間部分の図示を省略しており、図2及び図3ではカテーテルシャフト20のハンドル10の近傍部分を除いてカテーテルシャフト20の図示を省略している。以下の説明の便宜のために、カテーテルシャフト20の先端(電極21)(図1参照)側を、カテーテルの「前」側、これと反対側をカテーテルの「後ろ」側と呼ぶことにする。この「前」、「後」は、後述する実施形態2〜4についても同様である。
【0023】
本実施形態1のカテーテル1は、従来のカテーテルと同様にカテーテルシャフト20の先端側部分を所望する向きに屈曲させることができ、更に、カテーテルシャフト20の先端を振動させることができる。
【0024】
最初に、カテーテルシャフト20の先端側部分を所望する向きに屈曲させるための機構(屈曲機構)について説明する。
【0025】
図3に示されているように、カテーテルシャフト20の後端29から、2本のワイヤ22a,22bが導出されている。ワイヤ22a,22bはカテーテルシャフト20内に挿入され、その前端はカテーテルシャフト20の先端近傍にまで達している。2本のワイヤ22a,22bのうちの一方を引っ張ってカテーテルシャフト20から引き出すとカテーテルシャフト20の先端側部分を屈曲させることができる。カテーテルシャフト20の屈曲量は、ワイヤ22a又はワイヤ22bの引き出し量に依存する。ワイヤを用いてカテーテルシャフトの先端側部分を屈曲させるためのカテーテルシャフト内の構成は公知であり、本発明においても当該公知の構成を用いることができる。カテーテルシャフト20から導出された2本のワイヤ22a,22bは、揺動部材40(詳細は後述する)に形成された挿通孔41を貫通し(図2参照)、その後端に留め具23a,23bが固定されている。
【0026】
略円板形状のワイヤグリップ30がハンドル10内に収納されている。ワイヤグリップ30の上下面には、円柱状の支軸31が突出している(図3では下側の支軸31は見えない)。また、ワイヤグリップ30の外周面には、一対のコントロールホイール32a,32bが突出している。一対のコントロールホイール32a,32bは、上下の支軸31に共通する中心軸に直交する直線に沿って延びている。ワイヤグリップ30のコントロールホイール32a,32bより前側の外周面上には、一対の係止凹部33a,33bが形成されている。
【0027】
ワイヤグリップ30の一対の係止凹部33a,33bに、2本のワイヤ22a,22bの後端に固定された留め具23a,23bが嵌入され固定される。ワイヤグリップ30は、その上下の支軸31を上ケース10aの支持孔11a及び下ケースの支持孔11bにそれぞれ嵌入させて、ハンドル10内に収納される。これにより、ワイヤグリップ30は、ハンドル10に対して、支軸31の回りに回動可能である。一対のコントロールホイール32a,32bは、上ケース10a及び下ケース10bにそれぞれ形成された切り欠き12a及び切り欠き12bを介してハンドル10外に突出する。一対のコントロールホイール32a,32bを操作して、ワイヤグリップ30の回動角度を任意に調整することができる。ワイヤ22a,22bの揺動部材40と係止凹部33a,33bとの間の部分は、下ケース10bの内面に立設された2本のワイヤガイド13a,13bによってそれぞれ案内される。
【0028】
カテーテルシャフト20の先端側部分の屈曲動作は以下ののようにして行う。
【0029】
図1に示すように、一対のコントロールホイール32a,32bを結ぶ方向がハンドル10の長手方向と直交するとき、カテーテルシャフト20の先端側部分は、実線で示すように直線状に延びている。
【0030】
一対のコントロールホイール32a,32bを矢印30aの向きに操作してワイヤグリップ30を時計回り方向に回動させると、2本のワイヤ22a,22bのうちコントロールホイール32aに近い側の係止凹部33aに固定されたワイヤ22aが引っ張られカテーテルシャフト20からわずかに引き出され、これとは逆のワイヤ22bが緩みカテーテルシャフト20にわずかに引き込まれる。従って、カテーテルシャフト20の先端側部分(特に屈曲可能部分25)は二点鎖線20aに示したように、右側に屈曲する。カテーテルシャフト20の屈曲量は、ワイヤグリップ30(またはコントロールホイール32a,32b)の時計回り方向30aへの回動角度に応じて調整することができる。
【0031】
上記とは逆に、一対のコントロールホイール32a,32bを矢印30bの向きに操作してワイヤグリップ30を反時計回り方向に回動させると、2本のワイヤ22a,22bのうちコントロールホイール32bに近い側の係止凹部33bに固定されたワイヤ22bが引っ張られカテーテルシャフト20からわずかに引き出され、これとは逆のワイヤ22aが緩みカテーテルシャフト20にわずかに引き込まれる。従って、カテーテルシャフト20の先端側部分(特に屈曲可能部分25)は二点鎖線20bに示したように、左側に屈曲する。カテーテルシャフト20の屈曲量は、ワイヤグリップ30(またはコントロールホイール32a,32b)の反時計回り方向30bへの回動角度に応じて調整することができる。
【0032】
次に、カテーテルシャフト20の先端を振動させる機構(振動発生機構)について説明する。
【0033】
上述したように、2本のワイヤ22a,22bが揺動部材40を貫通している(図2参照)。図3において、揺動部材40の揺動軸孔42に下ケース10bの内面に立設された揺動軸15が挿入される。これにより、揺動部材40は揺動軸15に対して揺動可能である。揺動軸孔42からわずかに離れた位置に、スロット状の貫通孔であるガイド孔43が形成されている。ガイド孔43の長軸の延長線上に揺動軸孔42が位置している。このガイド孔43の長軸又はその延長線に対して対象位置に、ワイヤ22a,22bが貫通する2つの挿通孔41が形成されている。
【0034】
図3に示すように、ワイヤグリップ30と下ケース10bとの間に大ギヤ51が設けられている。大ギヤ51は、ワイヤグリップ30と同軸にワイヤグリップ30に支持されており、ワイヤグリップ30とは独立して回転することができる。大ギヤ51と噛み合う小ギア52が、下ケース10bの内面に立設されたワイヤガイド13aに回転可能に支持されている。小ギア52と噛み合う偏芯ギア53が設けられている。偏芯ギア53は、その下ケース10b側の面に突出した回転軸(図示せず)を下ケース10bの偏芯ギア軸孔14に挿入することにより、下ケース10bに回転可能に支持されている。偏芯ギア53の上ケース10a側の面には、偏芯ギア53の回転中心軸に対して半径方向にずれた位置に偏芯軸54が立設されている。偏芯軸54は、揺動部材40のガイド孔43内に挿入されている。
【0035】
大ギア51は、図示しない駆動機構によってワイヤグリップ30に対して回転する。大ギア51の駆動機構は、特に制限はない。例えば、大ギア51上にロータを形成し、下ケース10b上にステータを形成して、大ギア51を直接駆動するモータを構成してもよい。あるいは、大ギア51と噛み合うギアを駆動軸上に設けたモータをハンドル10内に内蔵させてもよい。
【0036】
本実施形態1において、カテーテルシャフト20の先端は以下のようにして振動させることができる。
【0037】
大ギア51を回転させると、小ギア52及び偏芯ギア53が順に回転する。偏芯ギア53が回転することにより、偏芯ギア53に設けた偏芯軸54が偏芯ギア53の回転軸の回りに回転する。その結果、偏芯軸54は、揺動部材40のガイド孔43内でガイド孔43の長軸方向に沿って往復移動しながら、揺動部材40を揺動軸孔42に対して揺動させる。揺動部材40には2本のワイヤ22a,22bが貫通している。ワイヤ22a,22bの、カテーテルシャフト20の後端29及びワイヤガイド13a,13bでの位置は拘束されている(後述する図4A、図4Bを参照)。従って、ワイヤ22aに沿ったカテーテルシャフト20の後端29からワイヤガイド13aまでの距離と、ワイヤ22bに沿ったカテーテルシャフト20の後端29からワイヤガイド13bまでの距離とは、揺動部材40が揺動することによって、逆位相で変化する。従って、揺動部材40の揺動の位相に応じて、2本のワイヤ22a,22bのうちの一方が引っ張られ、他方が緩む。
【0038】
図4Aは、揺動部材40が、矢印40aの向きに、即ちワイヤガイド13aの側に回動した状態を示している。この状態では、ワイヤ22aは引っ張られカテーテルシャフト20からわずかに引き出され、ワイヤ22bは緩みカテーテルシャフト20にわずかに引き込まれる。従って、カテーテルシャフト20の先端側部分は、図1の右側(二点鎖線20aと同じ側)にわずかに屈曲する。
【0039】
図4Bは、上記とは逆に、揺動部材40が、矢印40bの向きに、即ちワイヤガイド13bの側に回動した状態を示している。この状態では、ワイヤ22bは引っ張られカテーテルシャフト20からわずかに引き出され、ワイヤ22aは緩みカテーテルシャフト20にわずかに引き込まれる。従って、カテーテルシャフト20の先端側部分は、図1の左側(二点鎖線20bと同じ側)にわずかに屈曲する。
【0040】
揺動部材40が揺動することで生じるワイヤ22a,22bのカテーテルシャフト20に対する抜き差し量(変位量)は微小であるから、揺動部材40の揺動によって発生するカテーテルシャフト20の先端側部分の屈曲量も微小である。大ギア51を連続的に回転させて揺動部材40を継続的に揺動させると、図4Aの状態と図4Bの状態とが交互に発現するので、カテーテルシャフト20の先端側部分は交互に屈曲運動する。揺動部材40を高速で揺動させることにより、カテーテルシャフト20の先端を振動させることができる。カテーテルシャフト20の先端の振動数は、揺動部材40の揺動速度、即ち大ギア51の回転速度に依存する。
【0041】
本実施形態1のカテーテル1は、例えば上述した特許文献1のカテーテルと同様に使用することができる。即ち、コントロールホイール32a,32bを操作してカテーテルシャフト20の先端側部分を適宜屈曲させて、カテーテルシャフト20の先端を心臓内に挿入し、心臓内壁内の異常部位を探索する。異常部位が発見されると、先端の電極21を心臓内壁面に接触させながら電極21を介して心臓内壁面に高周波電流を印加する。これと同時に電極21を含むカテーテルシャフト20の先端を振動させる。これにより、心臓内壁の表面及びその近傍の温度を適切に管理しながら、深部の病巣組織を焼灼することができる。カテーテルシャフト20の先端の振動による冷却効果は、先端の振動数を適宜変更することで調整することができる。
【0042】
以上のように、本実施形態1によれば、カテーテルシャフト20の先端側部分を屈曲させるための2本のワイヤ22a,22bに交互に張力を印加して2本のワイヤ22a,22bを互いに逆方向に変位させることにより、カテーテルシャフト20の先端を振動させる。従って、従って、カテーテルシャフト20に、振動させるための新たな部材を追加する必要がない。よって、カテーテルシャフト20を大径化させることなく、カテーテルシャフト20の先端を振動させることができる。
【0043】
また、カテーテルシャフト20の先端を振動させるための本実施形態1の機構(振動発生機構)は、カテーテルシャフト20の先端側部分を屈曲させるための2本のワイヤ22a,22bが貫通する揺動部材40と、これを揺動させる駆動機構のみで構成されるから、構造が簡単で、安価である。しかも、本実施形態1の振動発生機構は、カテーテルシャフト20の先端側部分を所望する向きに屈曲させるための従来から公知の機構(屈曲機構)に容易に追加することが可能であり、振動発生機構を追加したことによるコスト上昇はわずかである。
【0044】
振動発生機構を構成する大ギア51は、屈曲機構を構成するワイヤグリップ30とは独立して回転することができる。従って、カテーテルシャフト20の先端を振動させながら、コントロールホイール32a,32bを操作してカテーテルシャフト20の先端側部分の屈曲量を調整する操作が可能である。
【0045】
上記の例では、モータ(図示せず)の回転動力を、大ギア51、小ギア52、及び偏芯ギア53に順に伝達させて、揺動部材40を揺動させたが、揺動部材40を揺動させるための動力の伝達経路はこれに限定されず、適宜変更することができる。例えば、大ギア51及び小ギア52を省略し、偏芯ギア53を直接回転駆動させるようにモータを配置してもよい。
【0046】
(実施形態2)
図5は、本発明の実施形態2に係るアブレーションカテーテル(以下、「カテーテル」という)2の透視平面図である。図6は、カテーテル2の上ケース10aを取り外した状態を示した分解斜視図、図7は、カテーテル2の構成部品を示した分解斜視図である。これらの図面において、実施形態1で説明した部材と同じ部材には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。以下、実施形態1と異なる点を中心に、本実施形態2のカテーテル2を説明する。
【0047】
本実施形態2では、実施形態1の揺動部材40に代えてスライド部材60を用いる。カテーテルシャフト20から導出された2本のワイヤ22a,22bは、スライド部材60(詳細は後述する)に形成された挿通孔61を貫通し(図6参照)、その後端に留め具23a,23bが固定されている。
【0048】
本実施形態2のカテーテル2は、カテーテルシャフト20の先端側部分を屈曲させるための屈曲機構に関して、実施形態1のカテーテル1と同じである。従って、屈曲機構の詳細な説明を省略する。実施形態1と同様に、本実施形態2においても、図5に示すように、一対のコントロールホイール32a,32bを矢印30aの向きに操作してワイヤグリップ30を時計回り方向に回動させると、2本のワイヤ22a,22bのうちワイヤ22aが引っ張られカテーテルシャフト20からわずかに引き出され、ワイヤ22bが緩みカテーテルシャフト20にわずかに引き込まれる。従って、カテーテルシャフト20の先端側部分(特に屈曲可能部分25)を二点鎖線20aに示したように、右側に屈曲させることができる。逆に、一対のコントロールホイール32a,32bを矢印30bの向きに操作してワイヤグリップ30を反時計回り方向に回動させると、2本のワイヤ22a,22bのうちワイヤ22bが引っ張られカテーテルシャフト20からわずかに引き出され、ワイヤ22aが緩みカテーテルシャフト20にわずかに引き込まれる。従って、カテーテルシャフト20の先端側部分(特に屈曲可能部分25)を二点鎖線20bに示したように、左側に屈曲させることができる。
【0049】
次に、カテーテルシャフト20の先端を振動させる機構(振動発生機構)について説明する。
【0050】
上述したように、2本のワイヤ22a,22bがスライド部材60を貫通している(図2参照)。図3に示すように、スライド部材60には、スロット状の貫通孔であるガイド孔63が形成されている。ガイド孔63の長軸は、下ケース10bに形成された案内バー16a,16b(詳細は後述する)の長手方向に対して垂直である。ガイド孔63の長軸に対して対象位置に、ワイヤ22a,22bが貫通する2つの挿通孔61が形成されている。
【0051】
実施形態1と同様に、大ギア51、小ギア52、偏芯ギア53が下ケース10b上に配置される。なお、図7では、偏芯ギア53を支持する偏芯ギア軸孔14(図3参照)は見えない。本実施形態2では、ハンドル10の長手方向と直交する方向に延びた2本の案内バー16a,16bが、下ケース10bに設けられている。2本の案内バー16a,16bは、互いに平行に且つ離間して、偏芯ギア53の上方に位置している。スライド部材60は、2本の案内バー16a,16bの間に、偏芯ギア53上に載置される。偏芯ギア53の偏芯軸54は、スライド部材60のガイド孔63内に挿入される。
【0052】
本実施形態2において、カテーテルシャフト20の先端は以下のようにして振動させることができる。
【0053】
図示しない駆動機構によって大ギア51を回転させると、小ギア52及び偏芯ギア53が順に回転する。偏芯ギア53が回転することにより、偏芯ギア53に設けた偏芯軸54が偏芯ギア53の回転軸の回りに回転する。その結果、偏芯軸54は、スライド部材60のガイド孔63内でガイド孔63の長軸方向に沿って往復移動しながら、スライド部材60を2本の案内バー16a,16b間で、案内バー16a,16bの長手方向に沿って往復直線移動させる。スライド部材60には2本のワイヤ22a,22bが貫通している。ワイヤ22a,22bの、カテーテルシャフト20の後端29及びワイヤガイド13a,13bでの位置は拘束されている(後述する図8A、図8Bを参照)。従って、ワイヤ22aに沿ったカテーテルシャフト20の後端29からワイヤガイド13aまでの距離と、ワイヤ22bに沿ったカテーテルシャフト20の後端29からワイヤガイド13bまでの距離とは、スライド部材60が往復移動することによって、逆位相で変化する。従って、スライド部材60の往復移動の位相に応じて、2本のワイヤ22a,22bのうちの一方が引っ張られ、他方が緩む。
【0054】
図8Aは、スライド部材40が、矢印60aの向きに、即ちワイヤガイド13aの側に移動した状態を示している。この状態では、、ワイヤ22aは引っ張られカテーテルシャフト20からわずかに引き出され、ワイヤ22bは緩みカテーテルシャフト20にわずかに引き込まれる。従って、カテーテルシャフト20の先端側部分は、図5の右側(二点鎖線20aと同じ側)にわずかに屈曲する。
【0055】
図8Bは、上記とは逆に、スライド部材60が、矢印60bの向きに、即ちワイヤガイド13bの側に移動した状態を示している。この状態では、ワイヤ22bは引っ張られカテーテルシャフト20からわずかに引き出され、ワイヤ22aは緩みカテーテルシャフト20にわずかに引き込まれる。従って、カテーテルシャフト20の先端側部分は、図5の左側(二点鎖線20bと同じ側)にわずかに屈曲する。
【0056】
スライド部材60が移動することで生じるワイヤ22a,22bのカテーテルシャフト20に対する抜き差し量(変位量)は微小であるから、スライド部材60の往復移動によって発生するカテーテルシャフト20の先端側部分の屈曲量も微小である。大ギア51を連続的に回転させてスライド部材60を継続的に往復移動させると、図4Aの状態と図4Bの状態とが交互に発現するので、カテーテルシャフト20の先端側部分は交互に屈曲運動する。スライド部材60を高速で往復移動させることにより、カテーテルシャフト20の先端を振動させることができる。カテーテルシャフト20の先端の振動数は、スライド部材60の移動速度、即ち大ギア51の回転速度に依存する。
【0057】
以上のように、本実施形態2によれば、実施形態1と同様に、カテーテルシャフト20の先端側部分を屈曲させるための2本のワイヤ22a,22bに交互に張力を印加して2本のワイヤ22a,22bを互いに逆方向に変位させることにより、カテーテルシャフト20の先端を振動させる。従って、カテーテルシャフト20に、振動させるための新たな部材を追加する必要がない。よって、カテーテルシャフト20を大径化させることなく、カテーテルシャフト20の先端を振動させることができる。
【0058】
また、カテーテルシャフト20の先端を振動させるための本実施形態2の機構(振動発生機構)は、カテーテルシャフト20の先端側部分を屈曲させるための2本のワイヤ22a,22bが貫通するスライド部材60と、これを往復移動させる駆動機構のみで構成されるから、構造が簡単で、安価である。しかも、本実施形態2の振動発生機構は、カテーテルシャフト20の先端側部分を所望する向きに屈曲させるための従来から公知の機構(屈曲機構)に容易に追加することが可能であり、振動発生機構を追加したことによるコスト上昇はわずかである。
【0059】
振動発生機構を構成する大ギア51は、屈曲機構を構成するワイヤグリップ30とは独立して回転することができる。従って、カテーテルシャフト20の先端を振動させながら、コントロールホイール32a,32bを操作してカテーテルシャフト20の先端側部分の屈曲量を調整する操作が可能である。
【0060】
上記の例では、スライド部材60を往復移動させるための案内構造として2本の案内バー16a,16bを用いたが、スライド部材60の案内構造はこれに限定されない。例えば、スライド部材60に直線状の溝を形成し、この溝に1本の案内バーを嵌入させて、当該案内バーに沿ってスライド部材60を案内してもよい。また、スライド部材60の案内構造を下ケース10bではなく、上ケース10aに設けてもよい。
【0061】
本実施形態2は、上記を除いて実施形態1と同じである。実施形態1の説明は、本実施形態2にも適用される。
【0062】
(実施形態3)
実施形態1では、カテーテルシャフト20の先端の振幅は一定であった。これに対して、本実施形態3では、カテーテルシャフト20の先端の振幅を任意に調整することができる。本実施形態3において参照する図面において、実施形態1で説明した部材と同じ部材には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。以下、実施形態1と異なる点を中心に、本実施形態3に係るアブレーションカテーテル(以下、「カテーテル」という)3を説明する。
【0063】
図9は、本実施形態3のカテーテル3の主要部の外観を示した斜視図である。図10は、カテーテル3の構成部品を示した分解斜視図である。
【0064】
本実施形態3のカテーテル3は、カテーテルシャフト20の先端側部分を屈曲させるための屈曲機構に関して、実施形態1のカテーテル1と同じである。従って、屈曲機構の詳細な説明を省略する。
【0065】
カテーテルシャフト20の先端を振動させる機構(振動発生機構)について説明する。
【0066】
図10に示されているように、実施形態1と同様に、揺動部材40には、2本のワイヤ22a,22bが貫通する挿通孔41と、下ケース10bの内面に立設された揺動軸15が挿入される揺動軸孔42とが形成されている。但し、本実施形態3の揺動部材40には、実施形態1のガイド孔43が形成されていない。この代わりに、揺動部材40の下ケース10b側の面上の揺動軸孔42から離れた位置に、2本の被駆動バー45が下ケース10bに向かって立設されている。2本の被駆動バー45は、互いに離間し且つ平行に延びている。
【0067】
ワイヤグリップ30と下ケース10bとの間に、回動リング71が設けられている。回動リング71は、ワイヤグリップ30と同軸にワイヤグリップ30に支持されており、ワイヤグリップ30とは独立して時計回り方向及び反時計回り方向に正逆回転することができる。回動リング71は、円環形状を有している。回動リング71の外周面から駆動バー72が半径方向に沿って外向きに突出している。駆動バー72は、揺動部材40の2本の被駆動バー45の間に挿入される。
【0068】
2本の駆動ワイヤ73が、回動リング71の、駆動バー72とは反対側の外周面と、振動部材75の前端とを繋いでいる。振動部材75は全体として長い板形状を有している。振動部材75の後ろ側の部分には、スロット状のカム溝76が形成されている。駆動ワイヤ73が接続された前端と、カム溝76との間の部分に、軸受け77が装着されている。軸受け77は、カム溝76の長軸の延長線上に位置している。下ケース10bの内面に立設された振動軸17を軸受け77に嵌入させる。これにより、振動部材75は、軸受け77を介して振動軸17に対して揺動することができる。
【0069】
80は偏芯カムであり、離間した位置に互いに平行な2つの孔81a,81bが形成されている。偏芯カム80の一方の孔81aには、モータ84の駆動軸が嵌入され、他方の孔81bには偏芯軸82の一端が嵌入される。偏芯軸82の他端には軸受け83が装着される。軸受け83は、振動部材75のカム溝76に挿入される。
【0070】
モータ84は、モータ固定板85の中央に形成された貫通孔86内に嵌入されてモータ固定板85に固定され保持される。モータ固定板85には、貫通孔86の両側に、雌ネジ87が形成されている。
【0071】
上ケース10aには、長孔18と、長孔18の両側にスロット状の一対の調整孔19とが形成されている。長孔18及び固定孔19は、ハンドル10の長手方向に沿って互いに平行に延びている。
【0072】
図9に示すように、モータ固定板85に保持されたモータ84の一部を長孔18を貫通させてハンドル10外に突出させる。この状態で、上ケース10aの外側から、一対のノブ88の雄ネジ89をモータ固定板85の雌ネジ87に螺入する(図10参照)。上ケース10aの調整孔19の端縁を、ノブ88とモータ固定板85とで挟むことにより、モータ固定板85を上ケース10aに固定することができる。
【0073】
本実施形態3において、カテーテルシャフト20の先端は以下のようにして振動させることができる。
【0074】
モータ84を回転させると、偏芯カム80を介して軸受け83がモータ84の駆動軸の回りに回転する。軸受け83は振動部材75のカム溝76内に挿入されているので、振動部材75は振動軸17に対して揺動する。揺動部材75は2本の駆動ワイヤ73を交互に引っ張り、回動リング71をワイヤグリップ30に対して揺動させる。回動リング71の揺動は、駆動バー72及び被駆動バー45を介して揺動部材40に伝達され、揺動部材40が揺動軸孔42に対して揺動する。揺動部材40には2本のワイヤ22a,22bが貫通している。従って、実施形態1と同様に、揺動部材40の揺動の位相に応じて、2本のワイヤ22a,22bのうちの一方が引っ張られ、他方が緩む。よって、カテーテルシャフト20の先端を振動させることができる。カテーテルシャフト20の先端の振動数は、揺動部材40の揺動速度、即ちモータ84の回転速度に依存する。
【0075】
次に、カテーテルシャフト20の先端の振幅を調整する方法を説明する。
【0076】
図9において、一対のノブ88を回して、雄ネジ89と雌ネジ87とを緩める。この状態で、モータ84及びノブ88を長孔18及び調整孔19に沿ってハンドル10の長手方向の任意の位置に移動させる。その後、一対のノブ88を回して、雄ネジ89を雌ネジ87に締め付けて、モータ固定板85を上ケース10aに固定する。
【0077】
図10から理解できるように、モータ84の位置を変えると、カム溝76に対する軸受け83の位置が変化する。
【0078】
モータ84を前側(カテーテルシャフト20に近づく側)に移動させると、軸受け83と振動軸17との距離が短くなるので、モータ84が回転したときの振動部材75の揺動角度範囲(揺動振幅)が大きくなる。これにより、振動部材75に連動する回動リング71及び揺動部材40の揺動角度範囲(揺動振幅)も大きくなる。揺動部材40の揺動角度範囲が大きくなると、ワイヤ22a,22bのカテーテルシャフト20に対する変位量が大きくなる。従って、カテーテルシャフト20の先端の振幅を大きくすることができる。
【0079】
上記とは逆に、モータ84を後ろ側(カテーテルシャフト20から遠ざかる側)に移動させると、軸受け83と振動軸17との距離が長くなるので、モータ84が回転したときの振動部材75の揺動角度範囲(揺動振幅)が小さくなる。これにより、振動部材75に連動する回動リング71及び揺動部材40の揺動角度範囲(揺動振幅)も小さくなる。揺動部材40の揺動角度範囲が小さくなると、ワイヤ22a,22bのカテーテルシャフト20に対する変位量が小さくなる。従って、カテーテルシャフト20の先端の振幅を小さくすることができる。
【0080】
以上のように、本実施形態3によれば、カテーテルシャフト20の先端の振幅を任意に調整することができる。従って、心臓内壁の表面及びその近傍の温度をモニタリングしながら、カテーテルシャフト20の先端の振動数に加えて振幅をも変更することで、カテーテルシャフト20の先端の振動による冷却効果を実施形態1に比べて更に広範囲に調整することができる。
【0081】
本実施形態3のカテーテルシャフト20の先端の振幅を調整するための機構(振幅調整機構)は、実施形態1の振動発生機構にわずかな変更を加えるだけで実現することができる。従って、本実施形態3の振幅調整機構は、構造が簡単で、安価である。
【0082】
カテーテルシャフト20の先端の振幅を調整するための機構は、上記の例に限定されない。揺動部材40の揺動角度範囲を調整することができる任意の構成を採用しうる。例えば、上記の例では、回動リング71と振動部材75とを別部材とし、両者を駆動ワイヤ73で連結したが、回動リング71に振動部材75を一体的に設けてもよい。あるいは、回動リング71に振動部材75及び揺動部材40を一体的に設けてもよい。これら場合、これら回動リング71を含む一体化物は、ワイヤグリップ30と同軸にワイヤグリップ30に支持されて、ワイヤグリップ30に対して揺動する。
【0083】
上記の例では、モータ84の一部がハンドル10より外側に突出していたが、モータ84をハンドル10内に収納してもよい。また、上記の例では、振幅を調整するために、雄ネジ89を緩めて一対のノブ88を移動させる必要があったが、この構成は例示であって、これ以外の任意の構成を採用することができる。
【0084】
本実施形態3は、上記を除いて実施形態1と同じである。実施形態1の説明は、本実施形態3にも適用される。
【0085】
(実施形態4)
本実施形態4では、実施形態2のアブレーションカテーテル2に、実施形態3と同様の振幅調整機構を追加して、カテーテルシャフト20の先端の振幅を任意に調整することができる。本実施形態4において参照する図面において、実施形態1〜3で説明した部材と同じ部材には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。以下、実施形態1〜3と異なる点を中心に、本実施形態4に係るアブレーションカテーテル(以下、「カテーテル」という)4を説明する。
【0086】
図11は、本実施形態4のカテーテル4の主要部の外観を示した斜視図である。図12は、カテーテル4の構成部品を示した分解斜視図である。
【0087】
本実施形態4のカテーテル4は、カテーテルシャフト20の先端側部分を屈曲させるための屈曲機構に関して、実施形態1,2のカテーテル1,2と同じである。従って、屈曲機構の詳細な説明を省略する。
【0088】
カテーテルシャフト20の先端を振動させる機構(振動発生機構)について説明する。
【0089】
図12に示されているように、実施形態2と同様に、スライド部材60には、2本のワイヤ22a,22bが貫通する挿通孔61が形成されている。但し、本実施形態4のスライド部材60には、実施形態2のガイド孔63が形成されていない。この代わりに、スライドの部材60の下ケース10b側の面上に、2本の被駆動バー65が下ケース10bに向かって立設されている。2本の被駆動バー65は、互いに離間し且つ平行に延びている。2本の被駆動バー65の間に、回動リング71の駆動バー72が挿入される。
【0090】
モータ84から回動リング71までの動力伝達機構の構成は実施形態3と同じである。実施形態3と同様に、モータ84を回転させると回動リング71がワイヤグリップ30に対して揺動する。回動リング71の揺動は、駆動バー72及び被駆動バー65を介して、スライド部材60に伝達され、スライド部材60が2本の案内バー16a,16b間で、案内バー16a,16bの長手方向に沿って往復直線移動する。スライド部材60には2本のワイヤ22a,22bが貫通している。従って、実施形態2と同様に、スライド部材60の往復移動の位相に応じて、2本のワイヤ22a,22bのうちの一方が引っ張られ、他方が緩む。よって、カテーテルシャフト20の先端を振動させることができる。カテーテルシャフト20の先端の振動数は、スライド部材60の移動速度、即ちモータ84の回転速度に依存する。
【0091】
カテーテルシャフト20の先端の振幅を調整する方法は実施形態3と同じである。即ち、ハンドル10の長手方向におけるモータ84の位置を変えることにより、振幅を調整することができる。モータ84を前側(カテーテルシャフト20に近づく側)に移動させると、スライド部材60の往復移動範囲が大きくなるので、ワイヤ22a,22bのカテーテルシャフト20に対する変位量が大きくなる。従って、カテーテルシャフト20の先端の振幅を大きくすることができる。これとは逆に、モータ84を後ろ側(カテーテルシャフト20から遠ざかる側)に移動させると、スライド部材60の往復移動範囲が小さくなるので、ワイヤ22a,22bのカテーテルシャフト20に対する変位量が小さくなる。従って、カテーテルシャフト20の先端の振幅を小さくすることができる。
【0092】
以上のように、実施形態3と同様に、本実施形態4によれば、カテーテルシャフト20の先端の振幅を任意に調整することができる。従って、心臓内壁の表面及びその近傍の温度をモニタリングしながら、カテーテルシャフト20の先端の振動数に加えて振幅をも変更することで、カテーテルシャフト20の先端の振動による冷却効果を実施形態2に比べて更に広範囲に調整することができる。
【0093】
本実施形態4のカテーテルシャフト20の先端の振幅を調整するための機構(振幅調整機構)は、実施形態2の振動発生機構にわずかな変更を加えるだけで実現することができる。従って、本実施形態4の振幅調整機構は、構造が簡単で、安価である。
【0094】
カテーテルシャフト20の先端の振幅を調整するための機構は、上記の例に限定されない。スライド部材60の往復移動範囲を調整することができる任意の構成を採用しうる。例えば、実施形態3で説明したように、回動リング71に振動部材75を一体的に設けてもよい。この場合、回動リング71及び振動部材75を含む一体化物は、ワイヤグリップ30と同軸にワイヤグリップ30に支持されて、ワイヤグリップ30に対して揺動する。
【0095】
本実施形態4は、上記を除いて実施形態2,3と同じである。実施形態2,3の説明は、本実施形態4にも適用される。
【0096】
上記の実施形態1〜4は例示であって、本発明はこれらの実施形態1〜4に限定されず、適宜変更することができる。
【0097】
カテーテルシャフトの先端を振動させるための振動発生機構が、実施形態1,3ではワイヤが貫通した揺動部材40を備え、実施形態2,4ではワイヤが貫通したスライド部材60を備えていたが、振動発生機構の構成はこれらに限定されない。カテーテルシャフト20の先端側部分を屈曲変形させるワイヤに張力を断続的に印加して、当該ワイヤをカテーテルシャフトに対して変位(抜き差し)させることができる任意の構成を用いることができる。例えば、揺動部材40やスライド部材60のような往復運動をする部材(往復運動部材)ではなく、回転運動をする部材を用いて、カテーテルシャフト20の先端側部分を屈曲変形させるワイヤに張力を断続的に印加する構成であってもよい。
【0098】
上記の実施形態1〜4の振動発生機構では、モータの回転運動を揺動部材40の揺動運動又はスライド部材60の往復運動に変換した。しかしながら、振動発生機構の駆動源はモータ以外のものを用いることができる。例えば、駆動源として往復運動をするリニアモータ又はソレノイドを用いることができる。振動発生機構の動力伝達経路の構成は、駆動源に応じて任意に変更しうる。
【0099】
上記の実施形態1〜4では揺動部材40やスライド部材60のような往復運動する部材(往復運動部材)をワイヤが貫通していたが、往復運動部材にワイヤが貫通している必要はない。往復運動部材がワイヤに係合していればよい。本発明では「係合」は「貫通」を含む概念である。往復運動部材とワイヤとの具体的な係合構造は任意に選択することができる。但し、上記の実施形態のように、ワイヤが往復運動部材を貫通していると、両者の係合が外れる可能性が極めて低いので、アブレーションカテーテルの信頼性を高めることができる。
【0100】
上記の実施形態1〜4では、カテーテルシャフトの先端側部分を2本のワイヤ22a,22bで互いに反対側に屈曲変形させることができるカテーテルシャフト20に本発明を適用した場合を例に説明したが、ワイヤの数は2本に限られず、1本であってもよく、あるいは3本以上であってもよい。例えば、1本のワイヤのみを用いて先端側部分をある向きに屈曲変形させることができるカテーテルシャフトに本発明を適用する場合、上述した本発明の振動発生機構を用いて当該ワイヤに断続的に張力を印加すればよい。張力を印加したとき、ワイヤはカテーテルシャフトから引き出され、張力を解除したとき、ワイヤはカテーテルシャフト自身の弾性回復力によってカテーテルシャフトに引き込まれる。従って、1本のワイヤのみを備えたカテーテルシャフト20であっても、カテーテルシャフトの先端を振動させることは可能である。
【0101】
実施形態1〜4において、ワイヤグリップ30が回動するのを防止するロック機構を設けることができる。例えば、焼灼時にロック機構を用いてワイヤグリップ30の回動を制限しながらカテーテルシャフト20の先端を振動させる。これにより、カテーテルシャフト20の先端側部分の屈曲量を一定に保ったまま焼灼することができるので、焼灼時に電極21の意図しない位置ズレを防止することができる。
【0102】
カテーテルシャフト20の材料、長さ及び外径などの寸法、先端の電極等の配置などに制限はなく、任意に選択することができる。また、先端の振動数及び振幅についても制限はなく、例えば振動による冷却効果等を考慮しながら適宜選択することができる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、不整脈の治療に使用されるアブレーションカテーテルとして広範囲に利用することができる。
【符号の説明】
【0104】
1,2,3,4 アブレーションカテーテル
20 カテーテルシャフト
21 電極
22a,22b ワイヤ
40 揺動部材(往復運動部材)
15 揺動軸
60 スライド部材(往復運動部材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、不整脈の治療に使用されるアブレーションカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
頻脈性不整脈の治療方法の一つとして、カテーテル(一般に「アブレーションカテーテル」と呼ばれる)を用いたカテーテルアブレーション術が知られている。この治療方法は、概略、以下のように行われる。最初に、カテーテルを足の付け根にある太い血管(例えば大腿動脈又は大腿静脈)に挿入し、その先端を心臓内に到達させる。次いで、カテーテルの先端の電極を心臓の内壁に接触させながら心電図を計測し、異常部位を探索する。異常部位が見つかると、カテーテルの先端の電極から高周波(RF波)電流を発生させ、深部にある心筋を焼灼し、不整脈発生の原因となっている部位(病巣)の細胞を壊死させる。
【0003】
このカテーテルアブレーション術では、焼灼面積や焼灼深さを制御することは一般に難しい。例えば、高周波電流出力が高すぎると、心臓内壁を穿孔してしまったり、電極温度が高くなり血栓が生じたりする。
【0004】
カテーテルの先端には、心臓内壁の表面温度を測定するためのサーミスタが設けられている。サーミスタを通じて検出された表面温度があらかじめ設定した危険温度を越えると、高周波電流出力を低下させることで、過剰焼灼を防止することが一般に行われている。
【0005】
ところが、このような心臓内壁の表面温度制御を行うと、表面のみが焼灼されて、深部の病巣を焼灼できないという問題が生じることがある。
【0006】
そこで、心臓内壁表面を冷却することで表面のみが焼灼されるのを回避しながら、深部の病巣を焼灼する手法が検討されている。
【0007】
その一手法として、先端に冷却用の生理食塩水を吹き出す孔を設けたイリゲーションカテーテルを用いる方法がある。ところが、この方法は、心臓内壁表面に対するカテーテルの向きによっては冷却効果にムラが生じる、生理食塩水を用いるので心不全や腎臓障害を有する患者には不向きである、生理食塩水を供給するためのポンプが必要であるので装置が大型且つ高価である、などの問題を有している。
【0008】
特許文献1には、カテーテルの先端を振動させ、これにより生じる血流により、カテーテルの先端を冷却させるアブレーションカテーテルが記載されている。この手法であれば、イリゲーションカテーテルが有する上述した問題は生じない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4582015号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
カテーテルの先端は、血管を通って心臓内に挿入されるから、小径であることが望ましい。カテーテルの先端を大径化することなく、特許文献1に記載されたようにカテーテルの先端を振動させることが望まれる。
【0011】
本発明は、小径且つ振動可能な先端を備えたアブレーションカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のアブレーションカテーテルは、生体組織を焼灼するための電極を先端に有するカテーテルシャフトを備える。更に、前記アブレーションカテーテルは、前記カテーテルシャフト内に挿入され、前記カテーテルシャフトの先端側部分を屈曲変形させる少なくとも1本のワイヤと、前記カテーテルシャフトの後端から導出された前記少なくとも1本のワイヤに断続的に張力を印加することにより、前記カテーテルシャフトの先端を振動させる振動発生機構とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、カテーテルシャフトの先端側部分を屈曲変形させる少なくとも1本のワイヤに断続的に張力を印加することにより、カテーテルシャフトの先端を振動させる。従って、先端を振動させるためにカテーテルシャフトに新たな部材を追加する必要がないので、カテーテルシャフトを大径化することなく、カテーテルシャフトの先端を振動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の実施形態1に係るアブレーションカテーテルの透視平面図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態1に係るアブレーションカテーテルの上ケースを取り外した状態を示した分解斜視図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態1に係るアブレーションカテーテルの構成部品を示した分解斜視図である。
【図4A】図4Aは、本発明の実施形態1に係るアブレーションカテーテルにおいて揺動部材が一方の側に回動した状態を示した平面図である。
【図4B】図4Bは、本発明の実施形態1に係るアブレーションカテーテルにおいて揺動部材が他方の側に回動した状態を示した平面図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態2に係るアブレーションカテーテルの透視平面図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態2に係るアブレーションカテーテルの上ケースを取り外した状態を示した分解斜視図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態2に係るアブレーションカテーテルの構成部品を示した分解斜視図である。
【図8A】図8Aは、本発明の実施形態2に係るアブレーションカテーテルにおいてスライド部材が一方の側に移動した状態を示した平面図である。
【図8B】図8Bは、本発明の実施形態2に係るアブレーションカテーテルにおいてスライド部材が他方の側に移動した状態を示した平面図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態3に係るアブレーションカテーテルの主要部の外観を示した斜視図である。
【図10】図10は、本発明の実施形態3に係るアブレーションカテーテルの構成部品を示した分解斜視図である。
【図11】図11は、本発明の実施形態4に係るアブレーションカテーテルの主要部の外観を示した斜視図である。
【図12】図12は、本発明の実施形態4に係るアブレーションカテーテルの構成部品を示した分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の上記のアブレーションカテーテルにおいて、前記ワイヤの数が2本であることが好ましい。この場合、前記2本のワイヤは、前記カテーテルシャフトの先端側部分を互いに逆方向に屈曲変形させることができることが好ましい。そして、前記振動発生機構は前記2本のワイヤに交互に張力を印加することが好ましい。かかる好ましい構成によれば、振動発生機構がカテーテルシャフトの先端を互いに逆方向に屈曲変形させるので、振動数の向上、振幅の増大に有利である。従って、冷却効果を高めることができる。
【0016】
前記カテーテルシャフトの先端の振幅を調整することができることが好ましい。かかる好ましい構成によれば、振幅を変えることでカテーテルシャフトの先端が振動することによる冷却効果を調整することができるので、冷却効果の調整範囲の拡大に有利である。
【0017】
前記振動発生機構は前記少なくとも1本のワイヤと係合する往復運動部材を含むことが好ましい。この場合、前記往復運動部材が往復運動することにより、前記少なくとも1本のワイヤに断続的に張力が印加されることが好ましい。かかる好ましい構成によれば、比較的簡単な構成で振動発生機構を実現できるので、振動発生機構の信頼性の向上やコストの低減に有利である。
【0018】
前記往復運動部材が揺動軸に対して揺動する揺動部材であってもよい。あるいは、前記往復運動部材が往復直線移動するスライド部材であってもよい。かかる構成によれば、比較的簡単な構成で往復運動部材を実現できるので、往復運動部材を含む振動発生機構の信頼性の向上やコストの低減に更に有利である。
【0019】
前記少なくとも1本のワイヤが前記往復運動部材を貫通していることが好ましい。かかる好ましい構成によれば、ワイヤと往復運動部材との係合が外れる可能性が極めて低いので、アブレーションカテーテルの信頼性の向上に有利である。
【0020】
以下に、本発明を好適な実施形態を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態の構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。また、以下の各図中の部材の寸法は、実際の構成部材の寸法および各部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0021】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るアブレーションカテーテル(以下、「カテーテル」という)1の透視平面図である。図2は、カテーテル1の上ケース10aを取り外した状態を示した分解斜視図、図3は、カテーテル1の構成部品を示した分解斜視図である。
【0022】
図3に示されているように、このカテーテル1は、上ケース10aと下ケース10bとが重ね合わされたハンドル10を備える。ハンドル10は、全体として略棒状形状を有しており、その長手方向の一端にカテーテルシャフト20が接続されている。図1に示すように、カテーテルシャフト20の先端には、生体組織に高周波電流を印加して焼灼するための電極21が設けられている。カテーテルシャフト20は、従来のアブレーションカテーテルに使用されるカテーテルシャフトと同程度の長さ、外径、及び柔軟性を有している。図面を簡単化するために、図1ではカテーテルシャフト20の中間部分の図示を省略しており、図2及び図3ではカテーテルシャフト20のハンドル10の近傍部分を除いてカテーテルシャフト20の図示を省略している。以下の説明の便宜のために、カテーテルシャフト20の先端(電極21)(図1参照)側を、カテーテルの「前」側、これと反対側をカテーテルの「後ろ」側と呼ぶことにする。この「前」、「後」は、後述する実施形態2〜4についても同様である。
【0023】
本実施形態1のカテーテル1は、従来のカテーテルと同様にカテーテルシャフト20の先端側部分を所望する向きに屈曲させることができ、更に、カテーテルシャフト20の先端を振動させることができる。
【0024】
最初に、カテーテルシャフト20の先端側部分を所望する向きに屈曲させるための機構(屈曲機構)について説明する。
【0025】
図3に示されているように、カテーテルシャフト20の後端29から、2本のワイヤ22a,22bが導出されている。ワイヤ22a,22bはカテーテルシャフト20内に挿入され、その前端はカテーテルシャフト20の先端近傍にまで達している。2本のワイヤ22a,22bのうちの一方を引っ張ってカテーテルシャフト20から引き出すとカテーテルシャフト20の先端側部分を屈曲させることができる。カテーテルシャフト20の屈曲量は、ワイヤ22a又はワイヤ22bの引き出し量に依存する。ワイヤを用いてカテーテルシャフトの先端側部分を屈曲させるためのカテーテルシャフト内の構成は公知であり、本発明においても当該公知の構成を用いることができる。カテーテルシャフト20から導出された2本のワイヤ22a,22bは、揺動部材40(詳細は後述する)に形成された挿通孔41を貫通し(図2参照)、その後端に留め具23a,23bが固定されている。
【0026】
略円板形状のワイヤグリップ30がハンドル10内に収納されている。ワイヤグリップ30の上下面には、円柱状の支軸31が突出している(図3では下側の支軸31は見えない)。また、ワイヤグリップ30の外周面には、一対のコントロールホイール32a,32bが突出している。一対のコントロールホイール32a,32bは、上下の支軸31に共通する中心軸に直交する直線に沿って延びている。ワイヤグリップ30のコントロールホイール32a,32bより前側の外周面上には、一対の係止凹部33a,33bが形成されている。
【0027】
ワイヤグリップ30の一対の係止凹部33a,33bに、2本のワイヤ22a,22bの後端に固定された留め具23a,23bが嵌入され固定される。ワイヤグリップ30は、その上下の支軸31を上ケース10aの支持孔11a及び下ケースの支持孔11bにそれぞれ嵌入させて、ハンドル10内に収納される。これにより、ワイヤグリップ30は、ハンドル10に対して、支軸31の回りに回動可能である。一対のコントロールホイール32a,32bは、上ケース10a及び下ケース10bにそれぞれ形成された切り欠き12a及び切り欠き12bを介してハンドル10外に突出する。一対のコントロールホイール32a,32bを操作して、ワイヤグリップ30の回動角度を任意に調整することができる。ワイヤ22a,22bの揺動部材40と係止凹部33a,33bとの間の部分は、下ケース10bの内面に立設された2本のワイヤガイド13a,13bによってそれぞれ案内される。
【0028】
カテーテルシャフト20の先端側部分の屈曲動作は以下ののようにして行う。
【0029】
図1に示すように、一対のコントロールホイール32a,32bを結ぶ方向がハンドル10の長手方向と直交するとき、カテーテルシャフト20の先端側部分は、実線で示すように直線状に延びている。
【0030】
一対のコントロールホイール32a,32bを矢印30aの向きに操作してワイヤグリップ30を時計回り方向に回動させると、2本のワイヤ22a,22bのうちコントロールホイール32aに近い側の係止凹部33aに固定されたワイヤ22aが引っ張られカテーテルシャフト20からわずかに引き出され、これとは逆のワイヤ22bが緩みカテーテルシャフト20にわずかに引き込まれる。従って、カテーテルシャフト20の先端側部分(特に屈曲可能部分25)は二点鎖線20aに示したように、右側に屈曲する。カテーテルシャフト20の屈曲量は、ワイヤグリップ30(またはコントロールホイール32a,32b)の時計回り方向30aへの回動角度に応じて調整することができる。
【0031】
上記とは逆に、一対のコントロールホイール32a,32bを矢印30bの向きに操作してワイヤグリップ30を反時計回り方向に回動させると、2本のワイヤ22a,22bのうちコントロールホイール32bに近い側の係止凹部33bに固定されたワイヤ22bが引っ張られカテーテルシャフト20からわずかに引き出され、これとは逆のワイヤ22aが緩みカテーテルシャフト20にわずかに引き込まれる。従って、カテーテルシャフト20の先端側部分(特に屈曲可能部分25)は二点鎖線20bに示したように、左側に屈曲する。カテーテルシャフト20の屈曲量は、ワイヤグリップ30(またはコントロールホイール32a,32b)の反時計回り方向30bへの回動角度に応じて調整することができる。
【0032】
次に、カテーテルシャフト20の先端を振動させる機構(振動発生機構)について説明する。
【0033】
上述したように、2本のワイヤ22a,22bが揺動部材40を貫通している(図2参照)。図3において、揺動部材40の揺動軸孔42に下ケース10bの内面に立設された揺動軸15が挿入される。これにより、揺動部材40は揺動軸15に対して揺動可能である。揺動軸孔42からわずかに離れた位置に、スロット状の貫通孔であるガイド孔43が形成されている。ガイド孔43の長軸の延長線上に揺動軸孔42が位置している。このガイド孔43の長軸又はその延長線に対して対象位置に、ワイヤ22a,22bが貫通する2つの挿通孔41が形成されている。
【0034】
図3に示すように、ワイヤグリップ30と下ケース10bとの間に大ギヤ51が設けられている。大ギヤ51は、ワイヤグリップ30と同軸にワイヤグリップ30に支持されており、ワイヤグリップ30とは独立して回転することができる。大ギヤ51と噛み合う小ギア52が、下ケース10bの内面に立設されたワイヤガイド13aに回転可能に支持されている。小ギア52と噛み合う偏芯ギア53が設けられている。偏芯ギア53は、その下ケース10b側の面に突出した回転軸(図示せず)を下ケース10bの偏芯ギア軸孔14に挿入することにより、下ケース10bに回転可能に支持されている。偏芯ギア53の上ケース10a側の面には、偏芯ギア53の回転中心軸に対して半径方向にずれた位置に偏芯軸54が立設されている。偏芯軸54は、揺動部材40のガイド孔43内に挿入されている。
【0035】
大ギア51は、図示しない駆動機構によってワイヤグリップ30に対して回転する。大ギア51の駆動機構は、特に制限はない。例えば、大ギア51上にロータを形成し、下ケース10b上にステータを形成して、大ギア51を直接駆動するモータを構成してもよい。あるいは、大ギア51と噛み合うギアを駆動軸上に設けたモータをハンドル10内に内蔵させてもよい。
【0036】
本実施形態1において、カテーテルシャフト20の先端は以下のようにして振動させることができる。
【0037】
大ギア51を回転させると、小ギア52及び偏芯ギア53が順に回転する。偏芯ギア53が回転することにより、偏芯ギア53に設けた偏芯軸54が偏芯ギア53の回転軸の回りに回転する。その結果、偏芯軸54は、揺動部材40のガイド孔43内でガイド孔43の長軸方向に沿って往復移動しながら、揺動部材40を揺動軸孔42に対して揺動させる。揺動部材40には2本のワイヤ22a,22bが貫通している。ワイヤ22a,22bの、カテーテルシャフト20の後端29及びワイヤガイド13a,13bでの位置は拘束されている(後述する図4A、図4Bを参照)。従って、ワイヤ22aに沿ったカテーテルシャフト20の後端29からワイヤガイド13aまでの距離と、ワイヤ22bに沿ったカテーテルシャフト20の後端29からワイヤガイド13bまでの距離とは、揺動部材40が揺動することによって、逆位相で変化する。従って、揺動部材40の揺動の位相に応じて、2本のワイヤ22a,22bのうちの一方が引っ張られ、他方が緩む。
【0038】
図4Aは、揺動部材40が、矢印40aの向きに、即ちワイヤガイド13aの側に回動した状態を示している。この状態では、ワイヤ22aは引っ張られカテーテルシャフト20からわずかに引き出され、ワイヤ22bは緩みカテーテルシャフト20にわずかに引き込まれる。従って、カテーテルシャフト20の先端側部分は、図1の右側(二点鎖線20aと同じ側)にわずかに屈曲する。
【0039】
図4Bは、上記とは逆に、揺動部材40が、矢印40bの向きに、即ちワイヤガイド13bの側に回動した状態を示している。この状態では、ワイヤ22bは引っ張られカテーテルシャフト20からわずかに引き出され、ワイヤ22aは緩みカテーテルシャフト20にわずかに引き込まれる。従って、カテーテルシャフト20の先端側部分は、図1の左側(二点鎖線20bと同じ側)にわずかに屈曲する。
【0040】
揺動部材40が揺動することで生じるワイヤ22a,22bのカテーテルシャフト20に対する抜き差し量(変位量)は微小であるから、揺動部材40の揺動によって発生するカテーテルシャフト20の先端側部分の屈曲量も微小である。大ギア51を連続的に回転させて揺動部材40を継続的に揺動させると、図4Aの状態と図4Bの状態とが交互に発現するので、カテーテルシャフト20の先端側部分は交互に屈曲運動する。揺動部材40を高速で揺動させることにより、カテーテルシャフト20の先端を振動させることができる。カテーテルシャフト20の先端の振動数は、揺動部材40の揺動速度、即ち大ギア51の回転速度に依存する。
【0041】
本実施形態1のカテーテル1は、例えば上述した特許文献1のカテーテルと同様に使用することができる。即ち、コントロールホイール32a,32bを操作してカテーテルシャフト20の先端側部分を適宜屈曲させて、カテーテルシャフト20の先端を心臓内に挿入し、心臓内壁内の異常部位を探索する。異常部位が発見されると、先端の電極21を心臓内壁面に接触させながら電極21を介して心臓内壁面に高周波電流を印加する。これと同時に電極21を含むカテーテルシャフト20の先端を振動させる。これにより、心臓内壁の表面及びその近傍の温度を適切に管理しながら、深部の病巣組織を焼灼することができる。カテーテルシャフト20の先端の振動による冷却効果は、先端の振動数を適宜変更することで調整することができる。
【0042】
以上のように、本実施形態1によれば、カテーテルシャフト20の先端側部分を屈曲させるための2本のワイヤ22a,22bに交互に張力を印加して2本のワイヤ22a,22bを互いに逆方向に変位させることにより、カテーテルシャフト20の先端を振動させる。従って、従って、カテーテルシャフト20に、振動させるための新たな部材を追加する必要がない。よって、カテーテルシャフト20を大径化させることなく、カテーテルシャフト20の先端を振動させることができる。
【0043】
また、カテーテルシャフト20の先端を振動させるための本実施形態1の機構(振動発生機構)は、カテーテルシャフト20の先端側部分を屈曲させるための2本のワイヤ22a,22bが貫通する揺動部材40と、これを揺動させる駆動機構のみで構成されるから、構造が簡単で、安価である。しかも、本実施形態1の振動発生機構は、カテーテルシャフト20の先端側部分を所望する向きに屈曲させるための従来から公知の機構(屈曲機構)に容易に追加することが可能であり、振動発生機構を追加したことによるコスト上昇はわずかである。
【0044】
振動発生機構を構成する大ギア51は、屈曲機構を構成するワイヤグリップ30とは独立して回転することができる。従って、カテーテルシャフト20の先端を振動させながら、コントロールホイール32a,32bを操作してカテーテルシャフト20の先端側部分の屈曲量を調整する操作が可能である。
【0045】
上記の例では、モータ(図示せず)の回転動力を、大ギア51、小ギア52、及び偏芯ギア53に順に伝達させて、揺動部材40を揺動させたが、揺動部材40を揺動させるための動力の伝達経路はこれに限定されず、適宜変更することができる。例えば、大ギア51及び小ギア52を省略し、偏芯ギア53を直接回転駆動させるようにモータを配置してもよい。
【0046】
(実施形態2)
図5は、本発明の実施形態2に係るアブレーションカテーテル(以下、「カテーテル」という)2の透視平面図である。図6は、カテーテル2の上ケース10aを取り外した状態を示した分解斜視図、図7は、カテーテル2の構成部品を示した分解斜視図である。これらの図面において、実施形態1で説明した部材と同じ部材には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。以下、実施形態1と異なる点を中心に、本実施形態2のカテーテル2を説明する。
【0047】
本実施形態2では、実施形態1の揺動部材40に代えてスライド部材60を用いる。カテーテルシャフト20から導出された2本のワイヤ22a,22bは、スライド部材60(詳細は後述する)に形成された挿通孔61を貫通し(図6参照)、その後端に留め具23a,23bが固定されている。
【0048】
本実施形態2のカテーテル2は、カテーテルシャフト20の先端側部分を屈曲させるための屈曲機構に関して、実施形態1のカテーテル1と同じである。従って、屈曲機構の詳細な説明を省略する。実施形態1と同様に、本実施形態2においても、図5に示すように、一対のコントロールホイール32a,32bを矢印30aの向きに操作してワイヤグリップ30を時計回り方向に回動させると、2本のワイヤ22a,22bのうちワイヤ22aが引っ張られカテーテルシャフト20からわずかに引き出され、ワイヤ22bが緩みカテーテルシャフト20にわずかに引き込まれる。従って、カテーテルシャフト20の先端側部分(特に屈曲可能部分25)を二点鎖線20aに示したように、右側に屈曲させることができる。逆に、一対のコントロールホイール32a,32bを矢印30bの向きに操作してワイヤグリップ30を反時計回り方向に回動させると、2本のワイヤ22a,22bのうちワイヤ22bが引っ張られカテーテルシャフト20からわずかに引き出され、ワイヤ22aが緩みカテーテルシャフト20にわずかに引き込まれる。従って、カテーテルシャフト20の先端側部分(特に屈曲可能部分25)を二点鎖線20bに示したように、左側に屈曲させることができる。
【0049】
次に、カテーテルシャフト20の先端を振動させる機構(振動発生機構)について説明する。
【0050】
上述したように、2本のワイヤ22a,22bがスライド部材60を貫通している(図2参照)。図3に示すように、スライド部材60には、スロット状の貫通孔であるガイド孔63が形成されている。ガイド孔63の長軸は、下ケース10bに形成された案内バー16a,16b(詳細は後述する)の長手方向に対して垂直である。ガイド孔63の長軸に対して対象位置に、ワイヤ22a,22bが貫通する2つの挿通孔61が形成されている。
【0051】
実施形態1と同様に、大ギア51、小ギア52、偏芯ギア53が下ケース10b上に配置される。なお、図7では、偏芯ギア53を支持する偏芯ギア軸孔14(図3参照)は見えない。本実施形態2では、ハンドル10の長手方向と直交する方向に延びた2本の案内バー16a,16bが、下ケース10bに設けられている。2本の案内バー16a,16bは、互いに平行に且つ離間して、偏芯ギア53の上方に位置している。スライド部材60は、2本の案内バー16a,16bの間に、偏芯ギア53上に載置される。偏芯ギア53の偏芯軸54は、スライド部材60のガイド孔63内に挿入される。
【0052】
本実施形態2において、カテーテルシャフト20の先端は以下のようにして振動させることができる。
【0053】
図示しない駆動機構によって大ギア51を回転させると、小ギア52及び偏芯ギア53が順に回転する。偏芯ギア53が回転することにより、偏芯ギア53に設けた偏芯軸54が偏芯ギア53の回転軸の回りに回転する。その結果、偏芯軸54は、スライド部材60のガイド孔63内でガイド孔63の長軸方向に沿って往復移動しながら、スライド部材60を2本の案内バー16a,16b間で、案内バー16a,16bの長手方向に沿って往復直線移動させる。スライド部材60には2本のワイヤ22a,22bが貫通している。ワイヤ22a,22bの、カテーテルシャフト20の後端29及びワイヤガイド13a,13bでの位置は拘束されている(後述する図8A、図8Bを参照)。従って、ワイヤ22aに沿ったカテーテルシャフト20の後端29からワイヤガイド13aまでの距離と、ワイヤ22bに沿ったカテーテルシャフト20の後端29からワイヤガイド13bまでの距離とは、スライド部材60が往復移動することによって、逆位相で変化する。従って、スライド部材60の往復移動の位相に応じて、2本のワイヤ22a,22bのうちの一方が引っ張られ、他方が緩む。
【0054】
図8Aは、スライド部材40が、矢印60aの向きに、即ちワイヤガイド13aの側に移動した状態を示している。この状態では、、ワイヤ22aは引っ張られカテーテルシャフト20からわずかに引き出され、ワイヤ22bは緩みカテーテルシャフト20にわずかに引き込まれる。従って、カテーテルシャフト20の先端側部分は、図5の右側(二点鎖線20aと同じ側)にわずかに屈曲する。
【0055】
図8Bは、上記とは逆に、スライド部材60が、矢印60bの向きに、即ちワイヤガイド13bの側に移動した状態を示している。この状態では、ワイヤ22bは引っ張られカテーテルシャフト20からわずかに引き出され、ワイヤ22aは緩みカテーテルシャフト20にわずかに引き込まれる。従って、カテーテルシャフト20の先端側部分は、図5の左側(二点鎖線20bと同じ側)にわずかに屈曲する。
【0056】
スライド部材60が移動することで生じるワイヤ22a,22bのカテーテルシャフト20に対する抜き差し量(変位量)は微小であるから、スライド部材60の往復移動によって発生するカテーテルシャフト20の先端側部分の屈曲量も微小である。大ギア51を連続的に回転させてスライド部材60を継続的に往復移動させると、図4Aの状態と図4Bの状態とが交互に発現するので、カテーテルシャフト20の先端側部分は交互に屈曲運動する。スライド部材60を高速で往復移動させることにより、カテーテルシャフト20の先端を振動させることができる。カテーテルシャフト20の先端の振動数は、スライド部材60の移動速度、即ち大ギア51の回転速度に依存する。
【0057】
以上のように、本実施形態2によれば、実施形態1と同様に、カテーテルシャフト20の先端側部分を屈曲させるための2本のワイヤ22a,22bに交互に張力を印加して2本のワイヤ22a,22bを互いに逆方向に変位させることにより、カテーテルシャフト20の先端を振動させる。従って、カテーテルシャフト20に、振動させるための新たな部材を追加する必要がない。よって、カテーテルシャフト20を大径化させることなく、カテーテルシャフト20の先端を振動させることができる。
【0058】
また、カテーテルシャフト20の先端を振動させるための本実施形態2の機構(振動発生機構)は、カテーテルシャフト20の先端側部分を屈曲させるための2本のワイヤ22a,22bが貫通するスライド部材60と、これを往復移動させる駆動機構のみで構成されるから、構造が簡単で、安価である。しかも、本実施形態2の振動発生機構は、カテーテルシャフト20の先端側部分を所望する向きに屈曲させるための従来から公知の機構(屈曲機構)に容易に追加することが可能であり、振動発生機構を追加したことによるコスト上昇はわずかである。
【0059】
振動発生機構を構成する大ギア51は、屈曲機構を構成するワイヤグリップ30とは独立して回転することができる。従って、カテーテルシャフト20の先端を振動させながら、コントロールホイール32a,32bを操作してカテーテルシャフト20の先端側部分の屈曲量を調整する操作が可能である。
【0060】
上記の例では、スライド部材60を往復移動させるための案内構造として2本の案内バー16a,16bを用いたが、スライド部材60の案内構造はこれに限定されない。例えば、スライド部材60に直線状の溝を形成し、この溝に1本の案内バーを嵌入させて、当該案内バーに沿ってスライド部材60を案内してもよい。また、スライド部材60の案内構造を下ケース10bではなく、上ケース10aに設けてもよい。
【0061】
本実施形態2は、上記を除いて実施形態1と同じである。実施形態1の説明は、本実施形態2にも適用される。
【0062】
(実施形態3)
実施形態1では、カテーテルシャフト20の先端の振幅は一定であった。これに対して、本実施形態3では、カテーテルシャフト20の先端の振幅を任意に調整することができる。本実施形態3において参照する図面において、実施形態1で説明した部材と同じ部材には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。以下、実施形態1と異なる点を中心に、本実施形態3に係るアブレーションカテーテル(以下、「カテーテル」という)3を説明する。
【0063】
図9は、本実施形態3のカテーテル3の主要部の外観を示した斜視図である。図10は、カテーテル3の構成部品を示した分解斜視図である。
【0064】
本実施形態3のカテーテル3は、カテーテルシャフト20の先端側部分を屈曲させるための屈曲機構に関して、実施形態1のカテーテル1と同じである。従って、屈曲機構の詳細な説明を省略する。
【0065】
カテーテルシャフト20の先端を振動させる機構(振動発生機構)について説明する。
【0066】
図10に示されているように、実施形態1と同様に、揺動部材40には、2本のワイヤ22a,22bが貫通する挿通孔41と、下ケース10bの内面に立設された揺動軸15が挿入される揺動軸孔42とが形成されている。但し、本実施形態3の揺動部材40には、実施形態1のガイド孔43が形成されていない。この代わりに、揺動部材40の下ケース10b側の面上の揺動軸孔42から離れた位置に、2本の被駆動バー45が下ケース10bに向かって立設されている。2本の被駆動バー45は、互いに離間し且つ平行に延びている。
【0067】
ワイヤグリップ30と下ケース10bとの間に、回動リング71が設けられている。回動リング71は、ワイヤグリップ30と同軸にワイヤグリップ30に支持されており、ワイヤグリップ30とは独立して時計回り方向及び反時計回り方向に正逆回転することができる。回動リング71は、円環形状を有している。回動リング71の外周面から駆動バー72が半径方向に沿って外向きに突出している。駆動バー72は、揺動部材40の2本の被駆動バー45の間に挿入される。
【0068】
2本の駆動ワイヤ73が、回動リング71の、駆動バー72とは反対側の外周面と、振動部材75の前端とを繋いでいる。振動部材75は全体として長い板形状を有している。振動部材75の後ろ側の部分には、スロット状のカム溝76が形成されている。駆動ワイヤ73が接続された前端と、カム溝76との間の部分に、軸受け77が装着されている。軸受け77は、カム溝76の長軸の延長線上に位置している。下ケース10bの内面に立設された振動軸17を軸受け77に嵌入させる。これにより、振動部材75は、軸受け77を介して振動軸17に対して揺動することができる。
【0069】
80は偏芯カムであり、離間した位置に互いに平行な2つの孔81a,81bが形成されている。偏芯カム80の一方の孔81aには、モータ84の駆動軸が嵌入され、他方の孔81bには偏芯軸82の一端が嵌入される。偏芯軸82の他端には軸受け83が装着される。軸受け83は、振動部材75のカム溝76に挿入される。
【0070】
モータ84は、モータ固定板85の中央に形成された貫通孔86内に嵌入されてモータ固定板85に固定され保持される。モータ固定板85には、貫通孔86の両側に、雌ネジ87が形成されている。
【0071】
上ケース10aには、長孔18と、長孔18の両側にスロット状の一対の調整孔19とが形成されている。長孔18及び固定孔19は、ハンドル10の長手方向に沿って互いに平行に延びている。
【0072】
図9に示すように、モータ固定板85に保持されたモータ84の一部を長孔18を貫通させてハンドル10外に突出させる。この状態で、上ケース10aの外側から、一対のノブ88の雄ネジ89をモータ固定板85の雌ネジ87に螺入する(図10参照)。上ケース10aの調整孔19の端縁を、ノブ88とモータ固定板85とで挟むことにより、モータ固定板85を上ケース10aに固定することができる。
【0073】
本実施形態3において、カテーテルシャフト20の先端は以下のようにして振動させることができる。
【0074】
モータ84を回転させると、偏芯カム80を介して軸受け83がモータ84の駆動軸の回りに回転する。軸受け83は振動部材75のカム溝76内に挿入されているので、振動部材75は振動軸17に対して揺動する。揺動部材75は2本の駆動ワイヤ73を交互に引っ張り、回動リング71をワイヤグリップ30に対して揺動させる。回動リング71の揺動は、駆動バー72及び被駆動バー45を介して揺動部材40に伝達され、揺動部材40が揺動軸孔42に対して揺動する。揺動部材40には2本のワイヤ22a,22bが貫通している。従って、実施形態1と同様に、揺動部材40の揺動の位相に応じて、2本のワイヤ22a,22bのうちの一方が引っ張られ、他方が緩む。よって、カテーテルシャフト20の先端を振動させることができる。カテーテルシャフト20の先端の振動数は、揺動部材40の揺動速度、即ちモータ84の回転速度に依存する。
【0075】
次に、カテーテルシャフト20の先端の振幅を調整する方法を説明する。
【0076】
図9において、一対のノブ88を回して、雄ネジ89と雌ネジ87とを緩める。この状態で、モータ84及びノブ88を長孔18及び調整孔19に沿ってハンドル10の長手方向の任意の位置に移動させる。その後、一対のノブ88を回して、雄ネジ89を雌ネジ87に締め付けて、モータ固定板85を上ケース10aに固定する。
【0077】
図10から理解できるように、モータ84の位置を変えると、カム溝76に対する軸受け83の位置が変化する。
【0078】
モータ84を前側(カテーテルシャフト20に近づく側)に移動させると、軸受け83と振動軸17との距離が短くなるので、モータ84が回転したときの振動部材75の揺動角度範囲(揺動振幅)が大きくなる。これにより、振動部材75に連動する回動リング71及び揺動部材40の揺動角度範囲(揺動振幅)も大きくなる。揺動部材40の揺動角度範囲が大きくなると、ワイヤ22a,22bのカテーテルシャフト20に対する変位量が大きくなる。従って、カテーテルシャフト20の先端の振幅を大きくすることができる。
【0079】
上記とは逆に、モータ84を後ろ側(カテーテルシャフト20から遠ざかる側)に移動させると、軸受け83と振動軸17との距離が長くなるので、モータ84が回転したときの振動部材75の揺動角度範囲(揺動振幅)が小さくなる。これにより、振動部材75に連動する回動リング71及び揺動部材40の揺動角度範囲(揺動振幅)も小さくなる。揺動部材40の揺動角度範囲が小さくなると、ワイヤ22a,22bのカテーテルシャフト20に対する変位量が小さくなる。従って、カテーテルシャフト20の先端の振幅を小さくすることができる。
【0080】
以上のように、本実施形態3によれば、カテーテルシャフト20の先端の振幅を任意に調整することができる。従って、心臓内壁の表面及びその近傍の温度をモニタリングしながら、カテーテルシャフト20の先端の振動数に加えて振幅をも変更することで、カテーテルシャフト20の先端の振動による冷却効果を実施形態1に比べて更に広範囲に調整することができる。
【0081】
本実施形態3のカテーテルシャフト20の先端の振幅を調整するための機構(振幅調整機構)は、実施形態1の振動発生機構にわずかな変更を加えるだけで実現することができる。従って、本実施形態3の振幅調整機構は、構造が簡単で、安価である。
【0082】
カテーテルシャフト20の先端の振幅を調整するための機構は、上記の例に限定されない。揺動部材40の揺動角度範囲を調整することができる任意の構成を採用しうる。例えば、上記の例では、回動リング71と振動部材75とを別部材とし、両者を駆動ワイヤ73で連結したが、回動リング71に振動部材75を一体的に設けてもよい。あるいは、回動リング71に振動部材75及び揺動部材40を一体的に設けてもよい。これら場合、これら回動リング71を含む一体化物は、ワイヤグリップ30と同軸にワイヤグリップ30に支持されて、ワイヤグリップ30に対して揺動する。
【0083】
上記の例では、モータ84の一部がハンドル10より外側に突出していたが、モータ84をハンドル10内に収納してもよい。また、上記の例では、振幅を調整するために、雄ネジ89を緩めて一対のノブ88を移動させる必要があったが、この構成は例示であって、これ以外の任意の構成を採用することができる。
【0084】
本実施形態3は、上記を除いて実施形態1と同じである。実施形態1の説明は、本実施形態3にも適用される。
【0085】
(実施形態4)
本実施形態4では、実施形態2のアブレーションカテーテル2に、実施形態3と同様の振幅調整機構を追加して、カテーテルシャフト20の先端の振幅を任意に調整することができる。本実施形態4において参照する図面において、実施形態1〜3で説明した部材と同じ部材には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。以下、実施形態1〜3と異なる点を中心に、本実施形態4に係るアブレーションカテーテル(以下、「カテーテル」という)4を説明する。
【0086】
図11は、本実施形態4のカテーテル4の主要部の外観を示した斜視図である。図12は、カテーテル4の構成部品を示した分解斜視図である。
【0087】
本実施形態4のカテーテル4は、カテーテルシャフト20の先端側部分を屈曲させるための屈曲機構に関して、実施形態1,2のカテーテル1,2と同じである。従って、屈曲機構の詳細な説明を省略する。
【0088】
カテーテルシャフト20の先端を振動させる機構(振動発生機構)について説明する。
【0089】
図12に示されているように、実施形態2と同様に、スライド部材60には、2本のワイヤ22a,22bが貫通する挿通孔61が形成されている。但し、本実施形態4のスライド部材60には、実施形態2のガイド孔63が形成されていない。この代わりに、スライドの部材60の下ケース10b側の面上に、2本の被駆動バー65が下ケース10bに向かって立設されている。2本の被駆動バー65は、互いに離間し且つ平行に延びている。2本の被駆動バー65の間に、回動リング71の駆動バー72が挿入される。
【0090】
モータ84から回動リング71までの動力伝達機構の構成は実施形態3と同じである。実施形態3と同様に、モータ84を回転させると回動リング71がワイヤグリップ30に対して揺動する。回動リング71の揺動は、駆動バー72及び被駆動バー65を介して、スライド部材60に伝達され、スライド部材60が2本の案内バー16a,16b間で、案内バー16a,16bの長手方向に沿って往復直線移動する。スライド部材60には2本のワイヤ22a,22bが貫通している。従って、実施形態2と同様に、スライド部材60の往復移動の位相に応じて、2本のワイヤ22a,22bのうちの一方が引っ張られ、他方が緩む。よって、カテーテルシャフト20の先端を振動させることができる。カテーテルシャフト20の先端の振動数は、スライド部材60の移動速度、即ちモータ84の回転速度に依存する。
【0091】
カテーテルシャフト20の先端の振幅を調整する方法は実施形態3と同じである。即ち、ハンドル10の長手方向におけるモータ84の位置を変えることにより、振幅を調整することができる。モータ84を前側(カテーテルシャフト20に近づく側)に移動させると、スライド部材60の往復移動範囲が大きくなるので、ワイヤ22a,22bのカテーテルシャフト20に対する変位量が大きくなる。従って、カテーテルシャフト20の先端の振幅を大きくすることができる。これとは逆に、モータ84を後ろ側(カテーテルシャフト20から遠ざかる側)に移動させると、スライド部材60の往復移動範囲が小さくなるので、ワイヤ22a,22bのカテーテルシャフト20に対する変位量が小さくなる。従って、カテーテルシャフト20の先端の振幅を小さくすることができる。
【0092】
以上のように、実施形態3と同様に、本実施形態4によれば、カテーテルシャフト20の先端の振幅を任意に調整することができる。従って、心臓内壁の表面及びその近傍の温度をモニタリングしながら、カテーテルシャフト20の先端の振動数に加えて振幅をも変更することで、カテーテルシャフト20の先端の振動による冷却効果を実施形態2に比べて更に広範囲に調整することができる。
【0093】
本実施形態4のカテーテルシャフト20の先端の振幅を調整するための機構(振幅調整機構)は、実施形態2の振動発生機構にわずかな変更を加えるだけで実現することができる。従って、本実施形態4の振幅調整機構は、構造が簡単で、安価である。
【0094】
カテーテルシャフト20の先端の振幅を調整するための機構は、上記の例に限定されない。スライド部材60の往復移動範囲を調整することができる任意の構成を採用しうる。例えば、実施形態3で説明したように、回動リング71に振動部材75を一体的に設けてもよい。この場合、回動リング71及び振動部材75を含む一体化物は、ワイヤグリップ30と同軸にワイヤグリップ30に支持されて、ワイヤグリップ30に対して揺動する。
【0095】
本実施形態4は、上記を除いて実施形態2,3と同じである。実施形態2,3の説明は、本実施形態4にも適用される。
【0096】
上記の実施形態1〜4は例示であって、本発明はこれらの実施形態1〜4に限定されず、適宜変更することができる。
【0097】
カテーテルシャフトの先端を振動させるための振動発生機構が、実施形態1,3ではワイヤが貫通した揺動部材40を備え、実施形態2,4ではワイヤが貫通したスライド部材60を備えていたが、振動発生機構の構成はこれらに限定されない。カテーテルシャフト20の先端側部分を屈曲変形させるワイヤに張力を断続的に印加して、当該ワイヤをカテーテルシャフトに対して変位(抜き差し)させることができる任意の構成を用いることができる。例えば、揺動部材40やスライド部材60のような往復運動をする部材(往復運動部材)ではなく、回転運動をする部材を用いて、カテーテルシャフト20の先端側部分を屈曲変形させるワイヤに張力を断続的に印加する構成であってもよい。
【0098】
上記の実施形態1〜4の振動発生機構では、モータの回転運動を揺動部材40の揺動運動又はスライド部材60の往復運動に変換した。しかしながら、振動発生機構の駆動源はモータ以外のものを用いることができる。例えば、駆動源として往復運動をするリニアモータ又はソレノイドを用いることができる。振動発生機構の動力伝達経路の構成は、駆動源に応じて任意に変更しうる。
【0099】
上記の実施形態1〜4では揺動部材40やスライド部材60のような往復運動する部材(往復運動部材)をワイヤが貫通していたが、往復運動部材にワイヤが貫通している必要はない。往復運動部材がワイヤに係合していればよい。本発明では「係合」は「貫通」を含む概念である。往復運動部材とワイヤとの具体的な係合構造は任意に選択することができる。但し、上記の実施形態のように、ワイヤが往復運動部材を貫通していると、両者の係合が外れる可能性が極めて低いので、アブレーションカテーテルの信頼性を高めることができる。
【0100】
上記の実施形態1〜4では、カテーテルシャフトの先端側部分を2本のワイヤ22a,22bで互いに反対側に屈曲変形させることができるカテーテルシャフト20に本発明を適用した場合を例に説明したが、ワイヤの数は2本に限られず、1本であってもよく、あるいは3本以上であってもよい。例えば、1本のワイヤのみを用いて先端側部分をある向きに屈曲変形させることができるカテーテルシャフトに本発明を適用する場合、上述した本発明の振動発生機構を用いて当該ワイヤに断続的に張力を印加すればよい。張力を印加したとき、ワイヤはカテーテルシャフトから引き出され、張力を解除したとき、ワイヤはカテーテルシャフト自身の弾性回復力によってカテーテルシャフトに引き込まれる。従って、1本のワイヤのみを備えたカテーテルシャフト20であっても、カテーテルシャフトの先端を振動させることは可能である。
【0101】
実施形態1〜4において、ワイヤグリップ30が回動するのを防止するロック機構を設けることができる。例えば、焼灼時にロック機構を用いてワイヤグリップ30の回動を制限しながらカテーテルシャフト20の先端を振動させる。これにより、カテーテルシャフト20の先端側部分の屈曲量を一定に保ったまま焼灼することができるので、焼灼時に電極21の意図しない位置ズレを防止することができる。
【0102】
カテーテルシャフト20の材料、長さ及び外径などの寸法、先端の電極等の配置などに制限はなく、任意に選択することができる。また、先端の振動数及び振幅についても制限はなく、例えば振動による冷却効果等を考慮しながら適宜選択することができる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、不整脈の治療に使用されるアブレーションカテーテルとして広範囲に利用することができる。
【符号の説明】
【0104】
1,2,3,4 アブレーションカテーテル
20 カテーテルシャフト
21 電極
22a,22b ワイヤ
40 揺動部材(往復運動部材)
15 揺動軸
60 スライド部材(往復運動部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織を焼灼するための電極を先端に有するカテーテルシャフトを備えたアブレーションカテーテルであって、
前記カテーテルシャフト内に挿入され、前記カテーテルシャフトの先端側部分を屈曲変形させる少なくとも1本のワイヤと、
前記カテーテルシャフトの後端から導出された前記少なくとも1本のワイヤに断続的に張力を印加することにより、前記カテーテルシャフトの先端を振動させる振動発生機構とを備えることを特徴とするアブレーションカテーテル。
【請求項2】
前記ワイヤの数が2本であり、
前記2本のワイヤは、前記カテーテルシャフトの先端側部分を互いに逆方向に屈曲変形させることができ、
前記振動発生機構は前記2本のワイヤに交互に張力を印加する請求項1に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項3】
前記カテーテルシャフトの先端の振幅を調整することができる請求項1又は2に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項4】
前記振動発生機構は前記少なくとも1本のワイヤと係合する往復運動部材を含み、
前記往復運動部材が往復運動することにより、前記少なくとも1本のワイヤに断続的に張力が印加される請求項1〜3のいずれかに記載のアブレーションカテーテル。
【請求項5】
前記往復運動部材が揺動軸に対して揺動する揺動部材である請求項4に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項6】
前記往復運動部材が往復直線移動するスライド部材である請求項4に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項7】
前記少なくとも1本のワイヤが前記往復運動部材を貫通している請求項4〜6のいずれかに記載のアブレーションカテーテル。
【請求項1】
生体組織を焼灼するための電極を先端に有するカテーテルシャフトを備えたアブレーションカテーテルであって、
前記カテーテルシャフト内に挿入され、前記カテーテルシャフトの先端側部分を屈曲変形させる少なくとも1本のワイヤと、
前記カテーテルシャフトの後端から導出された前記少なくとも1本のワイヤに断続的に張力を印加することにより、前記カテーテルシャフトの先端を振動させる振動発生機構とを備えることを特徴とするアブレーションカテーテル。
【請求項2】
前記ワイヤの数が2本であり、
前記2本のワイヤは、前記カテーテルシャフトの先端側部分を互いに逆方向に屈曲変形させることができ、
前記振動発生機構は前記2本のワイヤに交互に張力を印加する請求項1に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項3】
前記カテーテルシャフトの先端の振幅を調整することができる請求項1又は2に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項4】
前記振動発生機構は前記少なくとも1本のワイヤと係合する往復運動部材を含み、
前記往復運動部材が往復運動することにより、前記少なくとも1本のワイヤに断続的に張力が印加される請求項1〜3のいずれかに記載のアブレーションカテーテル。
【請求項5】
前記往復運動部材が揺動軸に対して揺動する揺動部材である請求項4に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項6】
前記往復運動部材が往復直線移動するスライド部材である請求項4に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項7】
前記少なくとも1本のワイヤが前記往復運動部材を貫通している請求項4〜6のいずれかに記載のアブレーションカテーテル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−85619(P2013−85619A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227176(P2011−227176)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000105659)日本電産コパル電子株式会社 (85)
【出願人】(000153030)株式会社ジェイ・エム・エス (452)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000105659)日本電産コパル電子株式会社 (85)
【出願人】(000153030)株式会社ジェイ・エム・エス (452)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]