説明

アミジニルフェニル化合物の殺菌性混合物

本発明は、特定のフェニルアミジン類、それらのN−オキシド及び/又はそれらの農業上適切な塩の殺菌性混合物、並びに、そのような混合物を含んでいる組成物及びそのような混合物の殺菌剤としての使用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のフェニルアミジン類、それらのN−オキシド及び/又はそれらの農業上適切な塩の殺菌性混合物、並びに、そのような混合物を含んでいる組成物及びそのような混合物の殺菌剤としての使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
菌類の植物病原体に起因する植物病害を防除することは、高い生産量効率(crop efficiency)を達成する上で極めて重要である。植物病害による観賞植物、野菜作物、畑作物、禾穀類及び果樹作物に対する損傷は、生産性における有意な低減の原因となり得るが、それによって、消費者に対するコストが増大し得る。これらの目的のために、多くの製品が市販されている。しかしながら、これまでよりも効果が高く、費用がかからず、毒性が低く及び環境に対して安全な新しい混合物及び組成物、又は、異なった作用機序を有する混合物及び組成物が、引き続き求められている。
【0003】
栽培者は、植物に寄生する菌類を効果的に防除する殺菌剤を常に必要としている。
【0004】
病害の防除を促進し、抵抗性の発達を遅らせるために、多くの場合、殺菌剤の組合せが用いられる。植物病原体の治療的防除及び浸透移行的防除及び予防的防除の組合せを提供する活性成分の混合物を用いることによって病害防除の活性スペクトルを拡大し及び効力を強化するということは望ましい。さらにまた、散布の間隔をあけることを可能とするために、残効性がより大きな防除を提供する組合せも望ましい。さらにまた、いずれか1種類の特定の植物病害防除剤に対する抵抗性の発達を遅らせるために、菌類病原体内の異なる生化学的経路を阻害する殺菌剤を組み合わせることも、極めて望ましい。
【0005】
植物病原体に起因する病害から作物を効果的に確実に保護しながら、環境中に放出される化学薬剤の量を低減することが可能であるということが、常に望ましい。殺菌剤の混合物は、個々の成分の活性に基づいて予測され得るであろう病害防除よりも有意に優れた病害防除を提供し得る。このような相乗作用は、「独立して別々に得られる2種類(又は、それ以上)の成分の効果の合計と比較して総合的な効果が高いか又は長く続くような、特定の混合物の2種類の成分の協力作用」として既に記述されている(「P. M. L. Tames, Neth. J. Plant Pathology 1964, 70, 73-80」を参照されたい)。
【0006】
上記目的のうちの1つ以上を達成する上で特に有利な新規殺菌剤が、引き続き求められている。
【0007】
WO2003/093224には、新規殺菌活性成分として、式(i)で表される特定のフェニルアミジン類が開示されている。
【0008】
【化1】

【0009】
WO2005/120234には、植物病害を防除するための殺菌性混合物、組成物及び方法が開示されており、これは、(a)式(I)[式中、Aは、1又は2のメチルで場合により置換されていてもよいCアルキレンであり;Wは、CR又はSiR10であり;並びに、R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10は、当該開示の中で定義されているとおりである。]で表されるフェニルアミジン類とそのN−オキシド及び農業上適切な塩から選択される少なくとも1種類の化合物;並びに、(b)アルキレンビス(ジチオカーバメート)系殺菌剤、菌類のミトコンドリア呼吸電子伝達部位のbc1複合体において作用する化合物、シモキサニル、ステロール生合成経路のデメチラーゼ酵素において作用する化合物、ステロール生合成経路に対して作用するモルホリン及びピペリジン化合物、フェニルアミド系殺菌剤、ピリミジノン系殺菌剤、クロロタロニル、菌類のミトコンドリア呼吸電子伝達部位の複合体IIにおいて作用するカルボキサミド類、キノキシフェン、メトラフェノン、シフルフェナミド、シプロジニル、銅化合物、フタルイミド系殺菌剤、ホセチル−アルミニウム、ベンゾイミダゾール系殺菌剤、シアゾファミド、フルアジナム、イプロバリカルブ、プロパモカルブ、バリダマイシン、ジクロロフェニルジカルボキシイミド系殺菌剤、ゾキサミド及びジメトモルフとそれらの農業上適切な塩から選択される少なくとも1種類の化合物を含んでいる組合せに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO2003/093224
【特許文献2】WO2005/120234
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】P. M. L. Tames, Neth. J. Plant Pathology 1964, 70, 73-80
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記混合物の活性は良好である。しかしながら、低施用量においては、該活性は場合により不充分である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、
(a) 式(I)
【0014】
【化2】

[式中、
は、C−Cアルキルであり;
は、C−Cアルキル又はシクロプロピルであり;
は、水素、C−Cアルキル又はハロゲンであり;
は、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、メトキシ、ハロメトキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルスルフィニル、C−Cアルキルスルホニル又はハロゲンであり;
Aは、1又は2のメチルで場合により置換されていてもよいCアルキレンであり;
Wは、CR又はSiR10であり;
は、水素であり又はハロゲンで場合により置換されていてもよいC−Cアルキルであり;及び、
各R、R、R、R及びR10は、独立して、ハロゲンで場合により置換されていてもよいC−Cアルキルである。]
で表されるフェニルアミジン類とそのN−オキシド及び農業上適切な塩から選択される少なくとも1種類の化合物;
及び、
(b) 化合物(b−1)から化合物(b−20)
【0015】
【化3】





又はこれらの農業上適切な塩からなる群から選択される少なくとも1種類の化合物
を含んでいる、極めて良好な殺菌特性を有する新規活性化合物組合せを見いだした。
【0016】
本発明は、さらにまた、殺菌剤として有効な量の本発明混合物及び少なくとも1種類の付加的な成分(ここで、該付加的な成分は、界面活性剤、固体希釈剤及び液体希釈剤からなる群から選択される。)を含んでいる殺菌剤組成物にも関する。
【0017】
本発明は、さらにまた、菌類の植物病原体に起因する植物病害を防除する方法にも関し、ここで、該方法は、殺菌剤として有効な量の本発明混合物(例えば、本明細書中に記載されている組成物としての本発明混合物)を当該植物若しくはその一部分又は当該植物の種子若しくは実生に施用することを含む。
【0018】
上記において、用語「アルキル」は、単独で使用されている場合又は「アルキルチオ」若しくは「ハロアルキル」などの複合語中で使用されている場合、直鎖又は分枝鎖のアルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル又はi−プロピルなどを包含する。本明細書中で言及されている場合、「アルキレン」は、直鎖骨格を有するアルカンジイルを意味する。置換基Aの定義中の「Cアルキレン」は、−CHCHCH−を意味し、ここで、上記で表されているように、一方の末端は置換基Wに結合しており、もう一方の末端は酸素原子を介して式(I)の残りの部分に結合している。
【0019】
「アルキルチオ」には、メチルチオ及びエチルチオが包含される。「アルキルスルフィニル」には、アルキルスルフィニル基の両方のエナンチオマーが包含される。「アルキルスルフィニル」の例としては、CHS(O)及びCHCHS(O)などがある。
【0020】
「アルキルスルホニル」の例としては、CHS(O)及びCHCHS(O)などがある。用語「ハロゲン」は、単独で使用されている場合又は「ハロアルキル」などの複合語中で使用されている場合、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を包含する。さらに、「ハロアルキル」などの複合語中で使用されている場合、そのアルキルは、同一であるか又は異なっていることが可能なハロゲン原子で完全に置換され得るか又は部分的に置換され得る。
【0021】
「ハロアルキル」の例としては、FC、ClCH、CFCH及びCFCClなどがある。置換基内の炭素原子の総数は、接頭語「C−C」(ここで、i及びjは、iからjまでの数である。)によって示されている。例えば、C−Cアルキルは、メチルからプロピルまでを示している。
【0022】
ある基が水素であることが可能な置換基(例えば、R又はR)を含んでいる場合において、当該置換基が水素である場合、これは当該基が置換されていないということと同等であるということは理解される。
【0023】
本発明の化合物は、1種類以上の立体異性体として存在し得る。種々の立体異性体には、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体及び幾何異性体が包含される。1種類の立体異性体が、残りの立体異性体から分離されて該残りの異性体に比較して富化された場合、活性がより高いことがあり得る及び/又は有益な効果を示し得るということは、当業者には理解されるであろう。当業者は、そのような立体異性体を分離させる方法、富化させる方法及び/又は選択的に調製する方法を知っている。従って、本発明は、式(I)とそのN−オキシド及び農業上適切な塩から選択される化合物を含んでいる。本発明の化合物は、立体異性体の混合物として、個々の立体異性体として、又は、光学的に活性な形態として存在し得る。
【0024】
当業者は、第3級アミンがN−オキシドを形成し得るということを理解するであろう。第3級アミンのN−オキシドを調製するための合成的方法は当業者には周知されており、該方法は、過酸(例えば、過酢酸及びm−クロロ過安息香酸(MCPBA))、過酸化水素、アルキルヒドロペルオキシド(例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド)、過ホウ酸ナトリウム及びジオキシラン(例えば、ジメチルジオキシラン)を用いて第3級アミンを酸化することを含んでいる。
【0025】
N−オキシドを調製するためのこれらの方法は、文献中に幅広く記載され、検討されている。例えば、「T. L. Gilchrist in Comprehensive Organic Synthesis, vol. 7, pp 748-750, S. V. Ley (Ed.), Pergamon Press」、「M. Tisler and B. Stanovnik in Comprehensive Heterocyclic Chemistry, vol. 3, pp 18-20, A. J. Boulton and A. McKillop, Eds., Pergamon Press」、「M. R. Grimmett and B. R. T. Keene in Advances in Heterocyclic Chemistry, vol. 43, pp 149-161, A. R. Katritzky (Ed.), Academic Press; M. Tisler and B. Stanovnik in Advances in Heterocyclic Chemistry, vol. 9, pp 285-291, A. R. Katritzky and A. J. Boulton, Eds., Academic Press」及び「G. W. H. Cheeseman and E. S. G. Werstiuk in Advances in Heterocyclic Chemistry, vol. 22, pp 390-392, A. R. Katritzky and A. J. Boulton, Eds. , Academic Press」を参照されたい。
【0026】
本発明混合物中の化合物の農業上適切な塩としては、無機酸又は有機酸(例えば、臭化水素酸、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、酢酸、酪酸、フマル酸、乳酸、マレイン酸、マロン酸、シュウ酸、プロピオン酸、サリチル酸、酒石酸、4−トルエンスルホン酸又は吉草酸など)との付加塩などがある。本発明混合物中の化合物がカルボン酸などの酸性基又はフェノールを含んでいる場合、該化合物の農業上適切な塩としては、さらにまた、有機塩基(例えば、ピリジン、アンモニア又はトリエチルアミン)又は無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム又はバリウムの水素化物、水酸化物又は炭酸塩)を用いて形成された塩などがある。
【0027】
本発明の実施形態としては、以下のものなどを挙げることができる:
実施形態1: 成分(a)として式(I)[式中、Rは、メチル又はエチルであり、Rは、メチル、エチル又はシクロプロピルである]で表される化合物又は農業上適切な塩を含んでいる混合物;
実施形態2: 成分(a)がN−[5−トリフルオロメチル−2−メチル−4−[3−(トリメチルシリル)プロポキシル]フェニル]−N−エチル−N−メチルメタンイミドアミド及びN−[5−ジフルオロメチル−2−メチル−4−[3−(トリメチルシリル)プロポキシル]フェニル]−N−エチル−N−メチル−メタンイミドアミドからなる群から選択される実施形態1の混合物;
実施形態3: 成分(a)がN−[5−トリフルオロメチル−2−メチル−4−[3−(トリメチルシリル)プロポキシル]フェニル]−N−エチル−N−メチルメタンイミドアミドである実施形態2の混合物;
実施形態4: 成分(a)がN−[5−ジフルオロメチル−2−メチル−4−[3−(トリメチルシリル)プロポキシル]フェニル]−N−エチル−N−メチルメタンイミドアミドである実施形態2の混合物。
【0028】
注目すべきものは、実施形態1〜実施形態4のいずれかの成分(a)を含んでいる混合物であり、成分(b)は、(b−1)〜(b−14)からなる群から選択される少なくとも1種類の化合物を含んでいる。
【0029】
実施形態5: 成分(b)が化合物(b−1)である混合物;
実施形態6: 成分(b)が化合物(b−2)である混合物;
実施形態7: 成分(b)が化合物(b−3)である混合物;
実施形態8: 成分(b)が化合物(b−4)である混合物;
実施形態9: 成分(b)が化合物(b−5)である混合物;
実施形態10: 成分(b)が化合物(b−6)である混合物;
実施形態11: 成分(b)が化合物(b−7)である混合物;
実施形態12: 成分(b)が化合物(b−8)である混合物;
実施形態13: 成分(b)が化合物(b−9)である混合物;
実施形態14: 成分(b)が化合物(b−10)である混合物;
実施形態15: 成分(b)が化合物(b−11)である混合物;
実施形態16: 成分(b)が化合物(b−12)である混合物;
実施形態17: 成分(b)が化合物(b−13)である混合物;
実施形態18: 成分(b)が化合物(b−14)である混合物;
実施形態19: 成分(b)が化合物(b−15)である混合物;
実施形態20: 成分(b)が化合物(b−16)である混合物;
実施形態21: 成分(b)が化合物(b−17)である混合物;
実施形態22: 成分(b)が化合物(b−18)である混合物;
実施形態23: 成分(b)が化合物(b−19)である混合物;
実施形態24: 成分(b)が化合物(b−20)である混合物;
実施形態25: 成分(b)が(b−1)、(b−2)、(b−3)、(b−4)、(b−5)、(b−6)、(b−7)、(b−8)、(b−9)、(b−10)、(b−11)、(b−12)、(b−13)、(b−14)、(b−15)、(b−16)、(b−17)、(b−18)、(b−19)及び(b−20)から選択される2種類の異なった化合物のそれぞれから選択される少なくとも1種類の化合物を含んでいる混合物。
【0030】
本発明の好ましい実施形態は、以下の表1〜表7によって開示してある。
【0031】
実施形態として同様に注目すべきものは、殺菌剤として有効な量の実施形態1〜実施形態18の混合物及び少なくとも1種類の付加的な成分(ここで、該付加的な成分は、界面活性剤、固体希釈剤及び液体希釈剤からなる群から選択される。)を含んでいる本発明の殺菌剤組成物である。本発明の実施形態は、さらにまた、菌類の植物病原体に起因する植物病害を防除する方法も包含し、ここで、該方法は、殺菌剤として有効な量の実施形態1〜実施形態18の混合物(例えば、本明細書中に記載されている組成物としての実施形態1〜実施形態18の混合物)を当該植物若しくはその一部分又は当該植物の種子若しくは実生に施用することを含む。
【0032】
式(I)で表される化合物は、WO2003/093224に記載されてる方法及びその変形態様のうちの1種類以上によって調製することができる。
【0033】
表1〜表7には、本発明の殺菌性混合物、組成物及び方法において有用な式(I)で表される特定の化合物が挙げられている。これらの化合物は、例示するためのものであって、本発明の開示を決して限定するものではないと解釈されるべきである。
【0034】
下記表において、以下の略語が使用されている:「t」は「第3級」を意味し、「s」は「第2級」を意味し、「n」は「ノルマル」を意味し、「i」は「イソ」を意味し、及び、「c」は「シクロ」を意味する。
【0035】
【表1】








【0036】
【表2】





【0037】
【表3】





【0038】
【表4】





【0039】
【表5】


【0040】
【表6】







【0041】
表6において、Aとして示されているラジカルの左側末端はWに結合しており、Wとして示されているラジカルの右側末端は当該分子構造の残りの部分の酸素原子に結合している。
【0042】
【表7】


【0043】
式(b−1)による殺菌性化合物は、WO2006/015866に記載されているのと同様にして調製することができる。
【0044】
式(b−2)、式(b−3)、式(b−4)、式(b−5)、式(b−6)、式(b−7)、式(b−8)、式(b−9)、式(b−10)、式(b−11)、式(b−12)、式(b−13)、式(b−14)、式(b−15)及び式(b−16)による殺菌性化合物は、WO2004/058723に記載されているのと同様にして調製することができる。
【0045】
式(b−17)及び式(b−18)による殺菌性化合物は、WO2004/035589に記載されているのと同様にして調製することができる。
【0046】
式(b−19)による殺菌性化合物は、EP−A−00206999に記載されているのと同様にして調製することができる。
【0047】
式(b−20)による殺菌性化合物は、WO2001/087822に記載されているのと同様にして調製することができる。
【0048】
さらに、それらは、公表された特許及び科学雑誌の論文の中に記載されている。上記化合物の大部分は、殺菌剤製品中の活性成分として市販されている。
【0049】
製剤/有用性
本発明の混合物は、一般に、農業上適切な液体希釈剤、固体希釈剤及び界面活性剤から選択される少なくとも1種類の担体を含んでいる製剤又は組成物として使用される。該製剤又は組成物の成分は、当該活性成分の物理的特性、施用方法及び環境要因(例えば、土壌のタイプ、湿度及び温度)と調和するように選択する。有用な製剤としては、液状剤、例えば、溶液剤(これは、乳剤を包含する)、懸濁製剤及びエマルション剤(これは、マイクロエマルション剤及び/又はサスポエマルション剤を包含する。)などがあり、これらは、場合により、濃厚化してゲルとすることができる。有用な製剤としては、さらに、固形剤、例えば、粉剤(dust)、粉末剤(powder)、粒剤、ペレット剤、錠剤及びフィルム剤などがあり、これらは、水分散性(「水和性(wettable)」)又は水溶性であることができる。該活性成分は、(マイクロ)カプセル化することが可能であり、そして、さらに懸濁製剤又は固形製剤を形成させることができる。あるいは、活性成分の製剤全体をカプセル化(又は、「オーバーコーティング化」)することができる。カプセル化することによって、活性成分の放出を制御することができるか又は遅延させることができる。噴霧可能な製剤は、適切な媒体中に入れて増量し、1ヘクタール当たり約100リットルから数百リットルの散布液量で使用することができる。高濃度組成物は、主に、さらなる製剤のための中間物として使用する。
【0050】
該製剤には、典型的には、有効量(例えば、0.01−99.99重量%)の活性成分を以下に記載されているおおよその範囲の希釈剤及び/又は界面活性剤と一緒に含ませて合計で100重量%とする。
【0051】
本発明の組成物は、成分(a)及び成分(b)を、1:100〜100:1、好ましくは、1:50〜50:1、最も好ましくは、1:10〜10:1の成分(a)と成分(b)の重量比で含んでいる。
【0052】
【表8】

【0053】
典型的な固形希釈剤は、「Watkins et al., Handbook of Insecticide Dust Diluents and Carriers, 2nd edition, Dorland Books, Caldwell, New Jersey」に記載されている。典型的な液状希釈剤は、「Marsden, Solvents Guide, 2nd edition., Interscience, New York, 195O」に記載されている。「McCutcheon's Detergents and Emulsifiers Annual, Allured Publ. Corp., Ridgewood, New Jersey」及び「Sisely and Wood, Encyclopediaof Surface Active Agents, Chemical Publ. Co., Inc., New York, 1964」には、界面活性剤及び推奨される使用方法が挙げられている。全ての製剤には、泡、固化、腐食及び微生物の増殖などを低減させるために少量の添加剤を含ませることができるか、又は、粘性を増大させるために増粘剤を含ませることができる。
【0054】
界面活性剤としては、例えば、ポリエトキシル化アルコール、ポリエトキシル化アルキルフェノール、ポリエトキシル化ソルビタン脂肪酸エステル、ジアルキルスルホスクシネート、アルキルスルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、有機シリコーン、N,N−ジアルキルタウレート、リグニンスルホネート、ナフタレンスルホネートホルムアルデヒド縮合物、ポリカルボキシレート及びポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックコポリマーなどを挙げることができる。固形希釈剤としては、例えば、クレー、例えば、ベントナイト、モンモリロナイト、アタパルジャイト及びカオリン、澱粉、糖、シリカ、タルク、ケイ藻土、尿青、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム並びに硫酸ナトリウムなどを挙げることができる。液状希釈剤としては、例えば、水、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−アルキルピロリドン、エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、パラフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、オリーブ油、ヒマシ油、アマニ油、キリ油、ゴマ油、トウモロコシ油、ラッカセイ油、綿実油、大豆油、菜種油、ココナッツ油、脂肪酸エステル、ケトン、例えば、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、イソホロン及び4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、並びに、アルコール、例えば、メタノール、シクロヘキサノール、デカノール及びテトラヒドロフルフリルアルコールなどを挙げることができる。
【0055】
溶液剤(乳剤を包含する)は、成分を単に混合させることにより調製することができる。粉剤及び粉末剤は、混合させ、及び、通常、ハンマーミル又は流体エネルギーミル内で粉砕することによって調製することができる。懸濁製剤は、通常、湿式粉砕することによって調製する。例えば、米国特許第3,060,084号を参照されたい。好ましい懸濁製剤としては、当該活性成分に加えて、場合により50〜65%の液体希釈剤と組み合わされていてもよい5〜20%の非イオン性界面活性剤(例えば、ポリエトキシル化脂肪アルコール)及び最大で5%までのアニオン性界面活性剤を含んでいる懸濁製剤などがある。粒剤及びペレット剤は、予め形成された粒状の担体上に当該活性物質を噴霧することによって調製することができるか、又は、凝集技術によって調製することができる。以下のものを参照されたい:「Browning, "Agglomeration", Chemical Engineering, December 4, 1967, pp 147-48」、「Perry's ChemicalEngineer's Handbook, 4th edition, McGraw-Hill, New York, 1963, pages 8-57」及び下記、並びに、国際特許出願公開WO91/13546。ペレット剤は、米国特許第4,172,714号に記載されているのと同様にして調製することができる。顆粒水和剤及び水溶性粒剤は、米国特許第4,144,050号、米国特許第3,920,442号及びDE特許第3,246,493号において教示されているのと同様にして調製することができる。錠剤は、米国特許第5,180,587号、米国特許第5,232,701号及び米国特許第5,208,030号において教示されているのと同様にして調製することができる。フィルム剤は、GB特許第2,095,558号及び米国特許第3,299,566号において教示されているのと同様にして調製することができる。
【0056】
製剤技術についてのさらなる情報に関しては、以下のものを参照されたい:米国特許第3,235,361号、第6欄第16行〜第7欄第19行及び実施例10〜実施例41;米国特許第3,309,192号、第5欄第43行〜第7欄第62行並びに実施例8、実施例12、実施例15、実施例39、実施例41、実施例52、実施例53、実施例58、実施例132、実施例138〜実施例140、実施例162〜実施例164、実施例166、実施例167及び実施例169〜実施例182;米国特許第2,891,855号、第3欄第66行〜第5欄第17行及び実施例1〜実施例4;「Klingman, Weed Control asa Science, John Wiley and Sons, Inc., New York, 1961, pp 81-96」;及び、「Hance et al., Weed Control Handbook, 8th edition., Blackwell Scientific Publications, Oxford, 1989」。
【0057】
本発明による活性化合物組合せは、極めて優れた殺菌特性を有しており、ネコブカビ類(Plasmodiophoromycetes)、卵菌類(Oomycetes)、ツボカビ類(Chytridiomycetes)、接合菌類(Zygomycetes)、子嚢菌類(Ascomycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)及び不完全菌類(Deuteromycetes)などの植物病原性菌類を防除するのに適している。
【0058】
本発明による活性化合物組合せは、ブルメリア・グラミニス(Blumeria graminis)、セプトリア・トリシチ(Septoria tritici)、プッシニアリア・テレス(Puccinaria teres)、ピレノホラ・テレス(Pyrenophora teres)、チレチア・カリエス(Tilletia caries)及びウスチラゴ・ヌダ(Ustillago nuda)を防除するのに特に適している。
【0059】
菌類病を引き起こす、上記で挙げた総称名に分類される何種類かの病原体を、非限定的に、例として挙げることができる:
・ うどんこ病(powdery mildew disease)、例えば、
ブルメリア(Blumeria)病、例えば、ブルメリア・グラミニス(Blumeria graminis)に起因するもの;
ポドスファエラ(Podosphaera)病、例えば、ポドスファエラ・レウコトリカ(Podosphaera leucotricha)に起因するもの;
スファエロテカ(Sphaerotheca)病、例えば、スファエロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)に起因するもの;
ウンシヌラ(Uncinula)病、例えば、ウンシヌラ・ネカトル(Uncinula necator)に起因するもの;
・ さび病(rust disease)、例えば、
ギムノスポランギウム(Gymnosporangium)病、例えば、ギムノスポランギウム・サビナエ(Gymnosporangium sabinae)に起因するもの;
ヘミレイア(Hemileia)病、例えば、ヘミレイア・バスタトリクス(Hemileia vastatrix)に起因するもの;
ファコプソラ(Phakopsora)病、例えば、ファコプソラ・パキリジ(Phakopsora pachyrhizi)及びファコプソラ・メイボミアエ(Phakopsora meibomiae)に起因するもの;
プッシニア(Puccinia)病、例えば、プッシニア・レコンジタ(Puccinia recondita)に起因するもの;
ウロミセス(Uromyces)病、例えば、ウロミセス・アペンジクラツス(Uromyces appendiculatus)に起因するもの;
・ 卵菌類による病害(Oomycete disease)、例えば、
ブレミア(Bremia)病、例えば、ブレミア・ラクツカエ(Bremia lactucae)に起因するもの;
ペロノスポラ(Peronospora)病、例えば、ペロノスポラ・ピシ(Peronospora pisi)及びペロノスポラ・ブラシカエ(Peronospora brassicae)に起因するもの;
フィトフトラ(Phytophthora)病、例えば、フィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)に起因するもの;
プラスモパラ(Plasmopara)病、例えば、プラスモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola)に起因するもの;
プセウドペロノスポラ(Pseudoperonospora)病、例えば、プセウドペロノスポラ・フムリ(Pseudoperonospora humuli)及びプセウドペロノスポラ・クベンシス(Pseudoperonospora cubensis)に起因するもの;
ピシウム(Pythium)病、例えば、ピシウム・ウルチムム(Pythium ultimum)に起因するもの;
・ 葉斑点性、葉汚斑性及び葉枯れ性の病害(leafspot, leaf blotch and leaf blight disease)、例えば、
アルテルナリア(Alternaria)病、例えば、アルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)に起因するもの;
セルコスポラ(Cercospora)病、例えば、セルコスポラ・ベチコラ(Cercospora beticola)に起因するもの;
クラジオスポリウム(Cladiosporium)病、例えば、クラジオスポリウム・ククメリヌム(Cladiosporium cucumerinum)に起因するもの;
コクリオボルス(Cochliobolus)病、例えば、コクリオボルス・サチブス(Cochliobolus sativus)(分生子形態:Drechslera, 同義語:Helminthosporium)に起因するもの;
コレトトリクム(Colletotrichum)病、例えば、コレトトリクム・リンデムチアヌム(Colletotrichum lindemuthianum)に起因するもの;
シクロコニウム(Cycloconium)病、例えば、シクロコニウム・オレアギヌム(Cycloconium oleaginum)に起因するもの;
ジアポルテ(Diaporthe)病、例えば、ジアポルテ・シトリ(Diaporthe citri)に起因するもの;
エルシノエ(Elsinoe)病、例えば、エルシノエ・ファウセッチイ(Elsinoe fawcettii)に起因するもの;
グロエオスポリウム(Gloeosporium)病、例えば、グロエオスポリウム・ラエチコロル(Gloeosporium laeticolor)に起因するもの;
グロメレラ(Glomerella)病、例えば、グロメレラ・シングラタ(Glomerella cingulata)に起因するもの;
グイグナルジア(Guignardia)病、例えば、グイグナルジア・ビドウェリイ(Guignardia bidwellii)に起因するもの;
レプトスファエリア(Leptosphaeria)病、例えば、レプトスファエリア・マクランス(Leptosphaeria maculans)に起因するもの;
マグナポルテ(Magnaporthe)病、例えば、マグナポルテ・グリセア(Magnaporthe grisea)に起因するもの;
ミコスファエレラ(Mycosphaerella)病、例えば、ミコスファエレラ・グラミニコラ(Mycosphaerella graminicola)及びミコスファエレラ・フィジエンシス(Mycosphaerella fijiensis)に起因するもの;
ファエオスファエリア(Phaeosphaeria)病、例えば、ファエオスファエリア・ノドルム(Phaeosphaeria nodorum)に起因するもの;
ピレノホラ(Pyrenophora)病、例えば、ピレノホラ・テレス(Pyrenophora teres)に起因するもの;
ルムラリア(Ramularia)病、例えば、ルムラリア・コロ−シグニ(Ramularia collo-cygni)に起因するもの;
リンコスポリウム(Rhynchosporium)病、例えば、リンコスポリウム・セカリス(Rhynchosporium secalis)に起因するもの;
セプトリア(Septoria)病、例えば、セプトリア・アピイ(Septoria apii)に起因するもの;
チフラ(Typhula)病、例えば、チフラ・インカルナタ(Typhula incarnata)に起因するもの;
ベンツリア(Venturia)病、例えば、ベンツリア・イナエクアリス(Venturia inaequalis)に起因するもの;
・ 根及び茎の病害(root and stem disease)、例えば、
コルチシウム(Corticium)病、例えば、コルチシウム・グラミネアルム(Corticium graminearum)に起因するもの;
フサリウム(Fusarium)病、例えば、フサリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)に起因するもの;
ガエウマンノミセス(Gaeumannomyces)病、例えば、ガエウマンノミセス・グラミニス(Gaeumannomyces graminis)に起因するもの;
リゾクトニア(Rhizoctonia)病、例えば、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)に起因するもの;
タペシア(Tapesia)病、例えば、タペシア・アクホルミス(Tapesia acuformis)に起因するもの;
チエラビオプシス(Thielaviopsis)病、例えば、チエラビオプシス・バシコラ(Thielaviopsis basicola)に起因するもの;
・ 穂の病害(ear and panicle disease)(トウモロコシの穂軸を包含する)、例えば、
アルテルナリア(Alternaria)病、例えば、アルテルナリア属種(Alternaria spp.)に起因するもの;
アスペルギルス(Aspergillus)病、例えば、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)に起因するもの;
クラドスポリウム(Cladosporium)病、例えば、クラジオスポリウム・クラドスポリオイデス(Cladiosporium cladosporioides)に起因するもの;
クラビセプス(Claviceps)病、例えば、クラビセプス・プルプレア(Claviceps purpurea)に起因するもの;
フサリウム(Fusarium)病、例えば、フサリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)に起因するもの;
ジベレラ(Gibberella)病、例えば、ジベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae)に起因するもの;
モノグラフェラ(Monographella)病、例えば、モノグラフェラ・ニバリス(Monographella nivalis)に起因するもの;
・ 黒穂病(smut and bunt disease)、例えば、
スファセロテカ(Sphacelotheca)病、例えば、スファセロテカ・レイリアナ(Sphacelotheca reiliana)に起因するもの;
チレチア(Tilletia)病、例えば、チレチア・カリエス(Tilletia caries)に起因するもの;
ウロシスチス(Urocystis)病、例えば、ウロシスチス・オクルタ(Urocystis occulta)に起因するもの;
ウスチラゴ(Ustilago)病、例えば、ウスチラゴ・ヌダ(Ustilago nuda)に起因するもの;
・ 果実の腐敗性及び黴性の病害(fruit rot and mould disease)、例えば、
アスペルギルス(Aspergillus)病、例えば、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)に起因するもの;
ボトリチス(Botrytis)病、例えば、ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)に起因するもの;
ペニシリウム(Penicillium)病、例えば、ペニシリウム・エクスパンスム(Penicillium expansum)及びペニシリウム・プルプロゲヌム(Penicillium purpurogenum)に起因するもの;
スクレロチニア(Sclerotinia)病、例えば、スクレロチニア・スクレロチオルム(Sclerotinia sclerotiorum)に起因するもの;
ベルチシリウム(Verticilium)病、例えば、ベルチシリウム・アルボアトルム(Verticilium alboatrum)に起因するもの;
・ 種子及び土壌が媒介する腐朽性、黴性、萎凋性、腐敗性及び苗立ち枯れ性の病害(seed- and soilborne decay, mould, wilt, rot and damping-off disease)、
アルテルナリア(Alternaria)病、例えば、アルテルナリア・ブラシシコラ(Alternaria brassicicola)に起因するもの;
アファノミセス(Aphanomyces)病、例えば、アファノミセス・エウテイケス(Aphanomyces euteiches)に起因するもの;
アスコキタ(Ascochyta)病、例えば、アスコキタ・レンチス(Ascochyta lentis)に起因するもの;
アスペルギルス(Aspergillus)病、例えば、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)に起因するもの;
クラドスポリウム(Cladosporium)病、例えば、クラドスポリウム・ヘルバルム(Cladosporium herbarum)に起因するもの;
コクリオボルス(Cochliobolus)病、例えば、コクリオボルス・サチブス(Cochliobolus sativus)(分生子形態:Drechslera、Bipolaris 異名:Helminthosporium)に起因するもの;
コレトトリクム(Colletotrichum)病、例えば、コレトトリクム・ココデス(Colletotrichum coccodes)に起因するもの;
フサリウム(Fusarium)病、例えば、フサリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)に起因するもの;
ジベレラ(Gibberella)病、例えば、ジベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae)に起因するもの;
マクロホミナ(Macrophomina)病、例えば、マクロホミナ・ファセオリナ(Macrophomina phaseolina)に起因するもの;
モノグラフェラ(Monographella)病、例えば、モノグラフェラ・ニバリス(Monographella nivalis)に起因するもの;
ペニシリウム(Penicillium)病、例えば、ペニシリウム・エクスパンスム(Penicillium expansum)に起因するもの;
ホマ(Phoma)病、例えば、ホマ・リンガム(Phoma lingam)に起因するもの;
ホモプシス(Phomopsis)病、例えば、ホモプシス・ソジャエ(Phomopsis sojae)に起因するもの;
フィトフトラ(Phytophthora)病、例えば、フィトフトラ・カクトルム(Phytophthora cactorum)に起因するもの;
ピレノホラ(Pyrenophora)病、例えば、ピレノホラ・グラミネア(Pyrenophora graminea)に起因するもの;
ピリクラリア(Pyricularia)病、例えば、ピリクラリア・オリザエ(Pyricularia oryzae)に起因するもの;
ピシウム(Pythium)病、例えば、ピシウム・ウルチムム(Pythium ultimum)に起因するもの;
リゾクトニア(Rhizoctonia)病、例えば、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)に起因するもの;
リゾプス(Rhizopus)病、例えば、リゾプス・オリザエ(Rhizopus oryzae)に起因するもの;
スクレロチウム(Sclerotium)病、例えば、スクレロチウム・ロルフシイ(Sclerotium rolfsii)に起因するもの;
セプトリア(Septoria)病、例えば、セプトリア・ノドルム(Septoria nodorum)に起因するもの;
チフラ(Typhula)病、例えば、チフラ・インカルナタ(Typhula incarnata)に起因するもの;
ベルチシリウム(Verticillium)病、例えば、ベルチシリウム・ダーリアエ(Verticillium dahliae)に起因するもの;
フサリウム(Fusarium)病、例えば、フサリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)に起因するもの;
フィトフトラ(Phytophthora)病、例えば、フィトフトラ・カクトルム(Phytophthora cactorum)に起因するもの;
ピシウム(Pythium)病、例えば、ピシウム・ウルチムム(Pythium ultimum)に起因するもの;
リゾクトニア(Rhizoctonia)病、例えば、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)に起因するもの;
スクレロチウム(Sclerotium)病、例えば、スクレロチウム・ロルフシイ(Sclerotium rolfsii)に起因するもの;
・ 腐乱性病害、開花病及び枯れ込み性病害(canker, broom and dieback disease)、例えば、
ネクトリア(Nectria)病、例えば、ネクトリア・ガリゲナ(Nectria galligena)に起因するもの;
・ 枯損性病害(blight disease)、例えば、
モニリニア(Monilinia)病、例えば、モニリニア・ラキサ(Monilinia laxa)に起因するもの;
・ 葉水泡性病害又は縮葉病(leaf blister or leaf curl disease)(花及び果実の奇形を包含する)、例えば、
タフリナ(Taphrina)病、例えば、タフリナ・デホルマンス(Taphrina deformans)に起因するもの;
・ 木本植物の衰退性病害(decline disease of wooden plant)、例えば、
エスカ(Esca)病、例えば、ファエオモニエラ・クラミドスポラ(Phaeomoniella clamydospora)及びファエオアクレモニウム・アレオフィルム(Phaeoacremonium aleophilum)及びフォミチポリア・メジテラネア(Fomitiporia mediterranea)に起因するもの;
・ 花及び種子の病害、例えば、
ボトリチス(Botrytis)病、例えば、ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)に起因するもの;
・ 塊茎の病害、例えば、
リゾクトニア(Rhizoctonia)病、例えば、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)に起因するもの;
ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)病、例えば、ヘルミントスポリウム・ソラニ(Helminthosporium solani)に起因するもの;
・ 例えば以下のものなどの細菌性微生物に起因する病害:
キサントマナス属各種(Xanthomanas species)、例えば、キサントモナス・カムペストリス pv.オリザエ(Xanthomonas campestris pv. Oryzae);
シュードモナス属各種(Pseudomonas species)、例えば、シュードモナス・シリンガエ pv.ラクリマンス(Pseudomonas syringae pv. Lachrymans);
エルビニア属各種(Erwinia species)、例えば、エルビニア・アミロボラ(Erwinia amylovora)。
【0060】
本発明に関連する化合物は、好ましくは、ダイズの以下の病害の防除するために使用する:
・ 葉、茎上部、鞘及び種子の菌類病、例えば:
アルタナリア斑点病(alternaria leaf spot)(Alternaria spec. atrans tenuissima)、炭疽病(Colletotrichum gloeosporoides dematium var. truncatum)、褐紋病(brown spot)(Septoria glycines)、紫斑病(cercospora leaf spot and blight)(Cercospora kikuchii)、コアネホラ葉枯病(choanephora leaf blight)(Choanephora infundibulifera trispora(Syn.))、ダクツリオホラ斑点病(dactuliophora leaf spot)(Dactuliophora glycines)、べと病(Peronospora manshurica)、ドレクスレラ胴枯病(drechslera blight)(Drechslera glycini)、斑点病(frogeye leaf spot)(Cercospora sojina)、そばかす病(leptosphaerulina leaf spot)(Leptosphaerulina trifolii)、灰星病(phyllostica leaf spot)(Phyllosticta sojaecola)、黒点病(Pod and Stem Blight)(Phomopsis sojae)、うどんこ病(Microsphaera diffusa)、ピレノカエタ斑点病(pyrenochaeta leaf spot)(Pyrenochaeta glycines)、葉腐病(rhizoctonia aerial, foliage, and web blight)(Rhizoctonia solani)、さび病(Phakopsora pachyrhizi、Phakopsora meibomiae)、黒とう病(Sphaceloma glycines)、ステムフィリウム葉枯病(stemphylium leaf blight)(Stemphylium botryosum)、褐色輪紋病(Corynespora cassiicola);
・ 根及び茎基部の菌類病、例えば:
黒根腐病(Calonectria crotalariae)、炭腐病(Macrophomina phaseolina)、赤かび病(fusarium blight or wilt, root rot, and pod and collar rot)(Fusarium oxysporum、Fusarium orthoceras、Fusarium semitectum、Fusarium equiseti)、ミコレプトジスクス根腐病(mycoleptodiscus root rot)(Mycoleptodiscus terrestris)、根腐病(neocosmospora)(Neocosmopspora vasinfecta)、黒点病(Diaporthe phaseolorum)、茎腐爛病(stem canker)(Diaporthe phaseolorum var. caulivora)、茎疫病(phytophthora rot)(Phytophthora megasperma)、落葉病(brown stem rot)(Phialophora gregata)、根茎腐敗病(pythium rot)(Pythium aphanidermatum、Pythium irregulare、Pythium debaryanum、Pythium myriotylum、Pythium ultimum)、リゾクトニア根腐病(rhizoctonia root rot, stem decay, and damping-off)(Rhizoctonia solani)、菌核病(sclerotinia stem decay)(Sclerotinia sclerotiorum)、スクレロチニアサウザンブライト病(sclerotinia southern blight)(Sclerotinia rolfsii)、チエラビオプシス根腐病(thielaviopsis root rot)(Thielaviopsis basicola)。
【0061】
植物病害を防除するために必要とされる濃度の該活性化合物組合せに対して植物は充分な耐性を有しているという事実により、植物全体(植物の地上部及び根)の処理、繁殖用茎(propagation stock)及び種子の処理、並びに、土壌の処理が可能である。本発明の活性化合物組合せは、茎葉処理に使用可能であるか、又は、種子粉衣として使用可能である。
【0062】
植物病害を防除するために必要とされる濃度の使用可能な該活性化合物に対して植物は充分な耐性を有しているという事実により、種子を処理することが可能である。従って、本発明による活性化合物は、種子粉衣として使用することが可能である。
【0063】
植物病原性菌類に起因する作物植物の被害の大部分は、早くも、貯蔵中に種子が攻撃された場合、並びに、種子が土壌中に導入された後で、植物が発芽している最中及び発芽の直後に起こる。この相は特に危険である。それは、生長している植物の根及び苗条は特に感受性が高く、小さな損傷であっても植物全体が死に至る場合があるからである。従って、適切な組成物を用いて種子及び発芽中の植物を保護することは、特に、極めて重要である。
【0064】
出芽後の植物に損傷を与える植物病原性菌類の防除は、主として、作物保護剤で土壌及び植物の地上部を処理することによって行われる。作物保護剤が環境並びにヒト及び動物の健康に対して影響を及ぼし得ることについての懸念があるために、施用される活性化合物の量を低減する努力が成されている。
【0065】
植物の種子を処理することによる植物病原性菌類の防除は、以前から知られており、継続的に改良が加えられている。しかしながら、種子の処理には、多くの場合、いつも満足のいくように解決することができるわけではない一連の問題が伴っている。従って、播種後若しくは植物の出芽後に作物保護剤を追加で施用することを省略するような、又は、追加の施用が少なくとも著しく低減されるような、種子及び発芽中の植物を保護するための方法を開発することは望ましい。さらに、使用する活性化合物によって植物自体に損傷を与えることなく、種子及び発芽中の植物を植物病原性菌類による攻撃から最大限に保護するように、使用する活性化合物の量を最適化することも望ましい。特に、種子を処理する方法では、最小量の作物保護剤を使用して種子及び発芽中の植物を最適に保護するために、トランスジェニック植物の内在的な殺菌特性も考慮に入れるべきである。
【0066】
従って、本発明は、特に、植物病原性菌類による攻撃から種子及び発芽中の植物を保護する方法にも関し、ここで、該方法は、本発明の組成物で種子を処理することによる。
【0067】
本発明は、同様に、種子及び発芽中の植物を植物病原性菌類から保護するために種子を処理するための本発明組成物の使用にも関する。
【0068】
さらに、本発明は、植物病原性菌類に対して保護されるように本発明組成物で処理された種子にも関する。
【0069】
本発明の有利な点の1つは、本発明組成物が際だった浸透移行特性を有しているので、当該組成物で種子を処理することにより、植物病原性菌類に対して、種子自体が保護されるのみではなく、出芽後に生じた植物も保護されるということである。かくして、播種時の作物の即時処理又は播種後間もなくの処理を省くことができる。
【0070】
さらに、本発明の混合物が、特に、トランスジェニック種子においても使用可能であるということは、有利な点として考慮されなければならない。
【0071】
本発明の組成物は、農業で、温室内で、森林で、又は、園芸で用いられる任意の植物品種の種子を保護するのに適している。特に、これは、禾穀類(例えば、コムギ、オオムギ、ライムギ、アワ及びエンバクなど)、トウモロコシ、ワタ、ダイズ、イネ、ジャガイモ、ヒマワリ、マメ類、コーヒー、ビート(例えば、テンサイ及び飼料ビートなど)、ラッカセイ、野菜(例えば、トマト、キュウリ、タマネギ及びレタスなど)、芝生及び観賞植物の種子を保護するのに適している。禾穀類(例えば、コムギ、オオムギ、ライムギ及びエンバクなど)、トウモロコシ及びイネの種子を処理することは、特に重要である。
【0072】
本発明に関連して、本発明の組成物は、種子に対して、単独で施用する又は適切な製剤中に含ませて施用する。好ましくは、種子は、処理中の損傷を回避するのに充分なほど安定な状態で処理する。一般に、種子は、収穫と播種の間の任意の時点で処理することができる。通常使用される種子は、植物から分離されており、穂軸、殻、葉柄、外皮、被毛又は果肉などを伴っていない。かくして、例えば、収穫され、付着物が除去され、含水量が15重量%未満となるまで乾燥された種子を使用することが可能である。あるいは、乾燥後、例えば、水で処理され、次いで、再度乾燥された種子を使用することも可能である。
【0073】
種子を処理する場合、種子の発芽が悪影響を受けないように、又は、生じた植物が損傷を受けないように、種子に施用する本発明組成物の量及び/又はさらなる添加剤の量を選択することについて、一般に注意しなくてはならない。このことは、特定の施用量で薬害作用を生じ得る活性化合物の場合には、特に留意しなくてはならない。
【0074】
本発明の組成物は、直接施用することができる。即ち、本発明の組成物は、さらに別の成分を含ませることなく、また、前もって希釈することなく、施用することができる。一般に、本発明組成物は、適切な製剤の形態で種子に施用するのが好ましい。種子を処理するための適切な製剤及び方法は、当業者には知られており、例えば、以下の文献に記載されている:US4,272,417A、US4,245,432A、US4,808,430A、US5,876,739A、US2003/0176428A1、WO2002/080675A1、WO2002/028186A2。
【0075】
本発明の活性化合物組合せは、さらにまた、作物の収量を増大させるのにも適している。さらに、本発明の活性化合物組合せは、毒性が低く、植物は充分な耐性を示す。
【0076】
本発明に従って、全ての植物及び植物の部分を処理することができる。本明細書において、植物というのは、望ましい及び望ましくない野生植物又は作物植物(自然発生した作物植物を包含する)のような全ての植物及び植物群を意味するものと理解される。作物植物は、慣習的な育種法及び最適化法により、又は、生物工学的方法及び遺伝子工学的方法により、又は、それら方法を組み合わせたものにより得ることが可能な植物であることができる。そのような作物植物には、トランスジェニック植物や、植物育種家の証明書により保護することができるか又は保護できない植物品種などが包含される。植物の部分は、植物の地上及び地下の全ての部分及び全ての器官、例えば、枝条、葉、花及び根などを意味するものと理解され、挙げることができる例は、葉、針状葉、茎、幹、花、果実体(fruiting body)、果実及び種子などであり、また、根、塊茎及び根茎なども挙げることができる。植物の部分には、さらに、収穫物(harvested material)、並びに、栄養繁殖器官及び生殖繁殖器官(vegetative and generative propagation material)、例えば、実生、塊茎、根茎、挿し穂及び種子なども包含される。
【0077】
上記活性化合物を用いた植物及び植物の部分の本発明による処理は、慣習的な処理方法に従い、例えば、浸漬、散布、気化、噴霧、ばらまき(broadcasting)若しくは塗布(brushing-on)により、直接的に行うか、又は、植物若しくは植物の部分の周囲、生息環境若しくは貯蔵場所に作用させることにより行い、また、繁殖器官(propagation material)の場合、特に種子の場合は、さらに、1層又は多層のコーティングを施すことにより行う。
【0078】
既に上記で述べたように、本発明により、全ての植物及びその部分を処理することができる。好ましい実施形態では、野生植物種及びその部分、並びに、植物品種、即ち、交雑又はプロトプラスト融合のような慣習的な生物学的育種法により得られた植物品種及びその部分を処理する。好ましいさらに別の実施形態では、適切な場合には慣習的な方法と組み合わせた、遺伝子工学的方法により得られたトランスジェニック植物及び植物品種(遺伝子組換え生物(Genetically Modified Organisms))及びそれらの部分を処理する。用語「部分(parts)」又は「植物の部分(parts of plants)」又は「植物の部分(plant parts)」については、上記で説明した。
【0079】
特に好ましくは、いずれの場合にも市販されているか又は使用されている植物品種の植物を本発明により処理する。
【0080】
植物種又は植物品種、それらの生育場所及び生育条件(土壌、気候、生育期、養分)に応じて、本発明により処理したときに相加効果を超える効果(「相乗効果」)が得られる場合もある。従って、例えば、本発明により使用可能な物質及び組成物の施用量の低減及び/又は活性スペクトルの拡大及び/又は活性の増大、植物のより良好な生育、高温又は低温に対する耐性の向上、渇水又は水中若しくは土壌中の塩分に対する耐性の向上、開花能力の向上、収穫の容易性の向上、より早い成熟、収穫量の増加、収穫された生産物の品質の向上及び/又は栄養価の増加、収穫された生産物の貯蔵安定性の向上及び/又は加工性の向上などが可能であり、これらは、実際に予期された効果を超えるものである。
【0081】
本発明により処理するのが好ましいトランスジェニック植物又は植物品種(即ち、遺伝子工学により得られた植物又は植物品種)には、特に有利で有益な特性(「形質」)を植物に付与する遺伝物質を遺伝子修飾において受け取った全ての植物が包含される。そのような特性の例は、植物のより良好な生育、高温又は低温に対する向上した耐性、渇水又は水中若しくは土壌中に含有される塩分に対する向上した耐性、向上した開花能力、向上した収穫の容易性、向上した成熟速度、増加した収穫量、収穫された生産物の向上した品質及び/又は向上した栄養価、収穫された生産物の向上した貯蔵安定性及び/又は向上した加工性などである。そのような特性の特に強調すべきさらなる例は、害虫及び有害な微生物に対する植物の向上した防御力、例えば、昆虫類、ダニ類、植物病原性の菌類、細菌類及び/又はウイルス類に対する植物の向上した防御力である。また、特定の除草活性化合物に対する植物の向上した耐性も特に強調すべき例である。挙げることができるトランスジェニック植物の例は、重要な作物植物、例えば、禾穀類(コムギ、イネ)、トウモロコシ、ダイズ、ジャガイモ、ワタ、ナタネ、及び、果実植物(果実のリンゴ、ナシ、柑橘類の果実及びブドウを有する植物)などであり、トウモロコシ、ダイズ、ジャガイモ、ワタ及びナタネは特に重要である。重要な形質は、特に、植物体内で形成された毒素による植物の昆虫類に対する向上した防御力であり、特に、バシルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)に由来する遺伝物質(例えば、遺伝子CryIA(a)、CryIA(b)、CryIA(c)、CryIIA、CryIIIA、CryIIIB2、Cry9c、Cry2Ab、Cry3Bb及びCryIF並びにそれらの組合せ)により植物体内で形成された毒素による植物の昆虫類に対する向上した防御力である(以下、「Bt植物」と称する)。さらに特に重要な形質は、特定の除草活性化合物(例えば、イミダゾリノン系、スルホニル尿素系、グリホセート又はホスフィノトリシンなど)に対する植物の向上した耐性である(例えば、「PAT」遺伝子)。望ましい上記形質を付与する当該遺伝子は、トランスジェニック植物体内において、相互に組み合わせて存在させることも可能である。挙げることができる「Bt植物」の例は、YIELD GARD(登録商標)(例えば、トウモロコシ、ワタ、ダイズ)、KnockOut(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、StarLink(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、Bollgard(登録商標)(ワタ)、Nucoton(登録商標)(ワタ)、及び、NewLeaf(登録商標)(ジャガイモ)の商品名で販売されているトウモロコシ品種、ワタ品種、ダイズ品種及びジャガイモ品種である。挙げることができる除草剤耐性植物の例は、Roundup Ready(登録商標)(グリホセートに対する耐性、例えば、トウモロコシ、ワタ、ダイズ)、Liberty Link(登録商標)(ホスフィノトリシンに対する耐性、例えば、ナタネ)、IMI(登録商標)(イミダゾリノン系に対する耐性)、及び、STS(登録商標)(スルホニル尿素系に対する耐性、例えば、トウモロコシ)の商品名で販売されているトウモロコシ品種、ワタ品種及びダイズ品種である。挙げることができる除草剤抵抗性植物(除草剤耐性に関して慣習的な方法で品種改良された植物)には、Clearfield(登録商標)(例えば、トウモロコシ)の名称で販売されている品種などがある。もちろん、上記で述べたことは、これらの遺伝形質を有するか又はこれから開発される遺伝形質を有し、将来において開発及び/又は販売される植物品種にも適用される。
【0082】
本発明の活性化合物組合せは、それらの特定の物理的及び/又は化学的特性に応じて、溶液剤、エマルション剤、懸濁製剤、粉末剤(powders)、粉剤(dusts)、泡剤(foams)、ペースト剤、可溶性粉末剤(soluble powders)、粒剤、エーロゾル剤、サスポエマルション製剤、活性化合物を含浸させた天然物質及び合成物質、ポリマー物質及び種子用コーティング材料中にマイクロカプセル化したもの、並びに、ULV冷煙霧製剤(cool fogging formulation)及びULV温煙霧製剤(warm fogging formulation)のような慣習的な製剤に変換することができる。
【0083】
これらの製剤は、既知方法で、例えば、場合により界面活性剤(即ち、乳化剤及び/又は分散剤及び/又は泡形成剤)を使用して、上記活性化合物又は活性化合物組合せを増量剤(即ち、液体溶媒、加圧下の液化ガス及び/又は固体担体)と混合させることにより、製造する。
【0084】
使用する増量剤が水である場合、例えば有機溶媒を補助溶媒として使用することもできる。本質的に、適切な液体溶媒は以下のものである:芳香族化合物、例えば、キシレン、トルエン又はアルキルナフタレン類、塩素化芳香族化合物又は塩素化脂肪族炭化水素、例えば、クロロベンゼン類、クロロエチレン類又は塩化メチレン、脂肪族炭化水素、例えば、シクロヘキサン又はパラフィン類、例えば、石油留分、鉱油及び植物油、アルコール類、例えば、ブタノール又はグリコールとそれらのエーテル及びエステル、ケトン類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン又はシクロヘキサノン、強極性溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシド、又は、水。
【0085】
液化したガス増量剤又は担体は、大気圧下、標準温度では気体である液体、例えば、エーロゾルの噴射剤、例えば、ブタン、プロパン、窒素及び二酸化炭素などを意味するものと理解される。
【0086】
適切な固体担体は、例えば、アンモニウム塩、及び、粉砕された天然鉱物、例えば、カオリン、クレー、タルク、チョーク、石英、アタパルジャイト、モンモリロナイト又はケイ藻土、及び、粉砕された合成鉱物、例えば、微粉化シリカ、アルミナ及びシリケートなどである。粒剤に適した固体担体は、例えば、粉砕して分別した天然石、例えば、方解石、軽石、大理石、海泡石及びドロマイト、又は、無機及び有機の粗挽き粉からなる合成顆粒、並びに、有機材料(例えば、おがくず、ココナッツ殻、トウモロコシ穂軸及びタバコの葉柄など)からなる顆粒などである。適切な乳化剤及び/又は泡形成剤は、例えば、非イオン性及びアニオン性の乳化剤、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、例えば、アルキルアリールポリグリコールエーテル、アルキルスルホネート、アルキルスルフェート、アリールスルホネート、又は、タンパク質加水分解産物などである。適切な分散剤は、例えば、リグノスルファイト廃液及びメチルセルロースなどである。
【0087】
上記製剤において、粘着付与剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、粉末又は顆粒又はラテックスの形態にある天然ポリマー及び合成ポリマー、例えば、アラビアゴム、ポリビニルアルコール及びポリ酢酸ビニル、又は、天然のリン脂質、例えば、セファリン及びレシチン、並びに、合成リン脂質などを使用することができる。別の可能な添加剤は、鉱油及び植物油である。
【0088】
着色剤、例えば、無機顔料、例えば、酸化鉄、酸化チタン及びプルシアンブルー(Prussian Blue)、並びに、有機染料、例えば、アリザリン染料、アゾ染料及び金属フタロシアニン染料、並びに、微量栄養素、例えば、鉄塩、マンガン塩、ホウ素塩、銅塩、コバルト塩、モリブデン塩及び亜鉛塩などを使用することができる。
【0089】
市販されている製剤から調製した使用形態の上記活性化合物の含有量は、広い範囲で変えることができる。昆虫類及びコナダニ類などの害虫を防除するするための使用形態における活性化合物の濃度は、0.0000001〜95重量%の活性化合物であることができ、好ましくは、0.0001〜1重量%である。施用は、その使用形態に適合させた方法で行う。
【0090】
望ましくない植物病原性菌類を防除するための製剤は、一般に、0.1〜95重量%の活性化合物、好ましくは、0.5〜90重量%の活性化合物を含有する。
【0091】
本発明の活性化合物組合せは、そのままでも使用することができるし、その製剤の形態又はそれから調製される使用形態、例えば、即時使用可能な(ready-to-use)溶液剤、乳剤、エマルション剤、懸濁製剤、水和剤、可溶性粉末剤、粉剤及び粒剤などの形態でも使用することができる。それらは、慣習的な方法で、例えば、灌水(灌注)、点滴灌漑、散布、噴霧、ばらまき(broadcasting)、散粉、泡状散布(foaming)、塗布(spreading-on)などにより、並びに、乾燥種子処理用の粉末として、種子処理用の溶液として、種子処理用の水溶性粉末として、スラリー処理用の水溶性粉末として、又は、表面を覆うことによって使用する。
【0092】
本発明の活性化合物組合せは、市販されている製剤中及びそのような製剤から調製した使用形態中に、殺虫剤、誘引剤、不妊剤、殺細菌剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺菌剤、成長調節物質又は除草剤などの別の活性化合物との混合物として存在させることができる。
【0093】
本発明の活性化合物組合せを使用する場合、その施用量は、施用の種類に応じて、比較的広い範囲内でさまざまであり得る。植物の部分への処理においては、活性化合物組合せの施用量は、一般に、0.1〜10000g/ha、好ましくは、10〜1000g/haである。種子処理の場合は、活性化合物組合せの施用量は、一般に、種子1kg当たり0.001〜50g、好ましくは、種子1kg当たり0.01〜10gである。土壌処理の場合は、活性化合物組合せの施用量は、一般に、0.1〜10000g/ha、好ましくは、1〜5000g/haである。
【0094】
本発明の活性化合物組合せは、それ自体で使用することが可能であり、又は、濃厚物の形態で使用することが可能であり、又は、粉末剤、粒剤、溶液剤、懸濁製剤、エマルション剤若しくはペースト剤などの概して慣習的な製剤の形態で使用することが可能である。
【0095】
上記で挙げた製剤は、自体公知の方法で、例えば、当該活性化合物を、少なくとも1種類の溶媒若しくは稀釈剤、乳化剤、分散剤、及び/又は、結合剤若しくは固定剤、撥水剤と混合させ、必用に応じて、さらに、乾燥剤及び紫外線安定剤と混合させ、必用に応じて、さらに、染料及び顔料、並びに、別の加工助剤と混合させることにより、調製することができる。
【0096】
本発明の活性化合物組合せは、優れた殺菌効果を示す。個々の活性化合物の殺菌効果は弱いが、該組合せは、効果の単なる総和を超えた効果を示す。
【0097】
該活性化合物組合せの殺菌効果が個別に施用された場合の活性化合物の効果の総和を超えている場合、該殺菌剤における相乗効果が常に存在している。
【0098】
2種類の活性化合物の所与の組合せに対して期待される殺菌効果は、S.R. Colby("Calculating Synergistic and Antagonistic Responses of Herbicide Combinations", Weeds 1967, 15, 20-22)に従って、以下のように計算することができる:
Xは、活性化合物Aを(g/ha)の施用量で使用した場合の効力であり;
Yは、活性化合物Bを(g/ha)の施用量で使用した場合の効力であり;
Eは、活性化合物A及び活性化合物Bを及び(g/ha)の施用量で使用した場合の効力である;
とした場合、
【0099】
【数1】

【0100】
ここで、上記効力は、パーセント(%)で求められる。0%は、対照の効力に相当する効力を意味するのに対して、100%の効力は感染が観察されないことを意味する。
【0101】
実際の殺菌効果が計算による値を超えている場合、当該組合せの効果は、相加的なものを超えていてる。即ち、相乗効果が存在している。この場合、実際に観察された効力は、期待される効力(E)について上記式を用いて計算した値を超えていなければならない。
【0102】
本発明について下記実施例により例証するが、本発明は、それら実施例に限定されることはない。
【実施例】
【0103】
調製実施例
2−ブロモ−4−メチル−5−ニトロベンズアルデヒドの調製
【0104】
【化4】

【0105】
65mLの硫酸(95%)中の11.00g(55.2mmol)の2−ブロモ−4−メチルベンズアルデヒドの溶液に、11mLの硝酸(68%)を5℃で滴下して加える。その反応温度は15℃未満に維持する。その反応混合物を15℃で1時間撹拌し、次いで、氷水の中に注ぎ入れる。濾過し、水で洗浄した後、固体残渣を減圧下に乾燥させる。13.00g(GC−MSによる純度74%、39.4mmol、理論による収率の71%)の2−ブロモ−4−メチル−5−ニトロベンズアルデヒド(logP(HCOOH)=2.61)が得られる。
【0106】
1−ブロモ−2−(ジフルオロメチル)−5−メチル−4−ニトロベンゼンの調製
【0107】
【化5】

【0108】
150mLの無水ジクロロメタン中の9.50g(28.8mmol、GC−MSによる純度74%)の2−ブロモ−4−メチル−5−ニトロベンズアルデヒドの溶液に、12.20gのジエチルアミノ硫黄トリフルオリド(75.7mmol)を−30℃で滴下して加える。
【0109】
その反応混合物を−30℃で2時間撹拌し、一晩室温まで昇温させる。その反応混合物をメタノールでクエンチした後、50mLの水を添加する。その混合物をジクロロメタンで3回抽出する。有機相を合して硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下に濃縮する。
【0110】
カラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチルエステル=10:1)に付して、8.0g(22.2mmol、GC−MSによる純度74%、理論による収率の77%)の1−ブロモ−2−(ジフルオロメチル)−5−メチル−4−ニトロベンゼンを固体残渣として得る。
【0111】
{3−[2−(ジフルオロメチル)−5−メチル−4−ニトロフェノキシ]プロピル}(トリメチル)−シランの調製
【0112】
【化6】

【0113】
100mLの無水トルエン中の7.68g(58mmol)の3−(トリメチルシリル)プロパン−1−オールと11.87g(33mmol、GC−MSによる純度74%)の1−ブロモ−2−(ジフルオロメチル)−5−メチル−4−ニトロベンゼンと16.1g(49.5mmol)のCsCOの懸濁液を、アルゴン雰囲気下で10分間撹拌する。次いで、592.8mg(2.64mmol)の酢酸パラジウム及び984.9mg(3.3mmol)のビフェニル−2−イル(ジ−tert−ブチル)ホスフィンを添加する。その反応混合物を室温で10分間撹拌し、次いで、90℃で12時間撹拌する。冷却後、その反応混合物をセライトで濾過し、酢酸エチルエステルで洗浄する。減圧下に溶媒を蒸発させた後、カラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エステル)に付して、第1のフラクションの4.8g(LC−MSによる純度68%)とさらなるフラクションの2.4g(LC−MSによる純度82%)の{3−[2−(ジフルオロメチル)−5−メチル−4−ニトロフェノキシ]プロピル}(トリメチル)シラン(LogP(HCOOH)=5.44)を得る。
【0114】
5−(ジフルオロメチル)−2−メチル−4−[3−(トリメチルシリル)プロポキシ]アニリンの調製
【0115】
【化7】

【0116】
100mLの無水メタノール中の7.15gの{3−[2−(ジフルオロメチル)−5−メチル−4−ニトロフェノキシ]プロピル}(トリメチル)シランの溶液に、1gのPd/C(10%)を添加する。その反応混合物を1バールの水素で一晩処理する。その混合物をセライトで濾過し、減圧下に溶媒を蒸発させた後、カラムクロマトグラフィー(溶離剤:c−Hex/EE)に付して、3.4g(LC−MSによる純度75%)の5−(ジフルオロメチル)−2−メチル−4−[3−(トリメチルシリル)プロポキシ]アニリン(LogP(HCOOH)=3.8)を得る。
【0117】
N’−{5−(ジフルオロメチル)−2−メチル−4−[3−(トリメチルシリル)プロポキシ]フェニル}−N−エチル−N−メチルイミドホルムアミドの調製
【0118】
【化8】

【0119】
3.5g(LC−MSによる純度75%)の5−(ジフルオロメチル)−2−メチル−4−[3−(トリメチルシリル)プロポキシ]アニリンを58mLの無水トルエンに溶解させ、6.49gのN−(ジメトキシメチル)−N−メチルエタンアミンで処理する。その反応混合物を60℃で一晩撹拌する。減圧下に溶媒を蒸発させた後、カラムクロマトグラフィー(勾配:シクロヘキサン/酢酸エチルエステル;Alox)に付して、3.4g(LC−MSによる純度100%)のN’−{5−(ジフルオロメチル)−2−メチル−4−[3−(トリメチルシリル)プロポキシ]フェニル}−N−エチル−N−メチルイミドホルムアミド(LogP(HCOOH)=2.81)を得る。
【0120】
生物学的実施例
実施例A
ボトリチス(Botrytis)試験(インゲンマメ)/保護
溶媒: 24.5重量部のアセトン
24.5重量部のジメチルアセトアミド
乳化剤: 1重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテル
活性化合物の適切な調製物を調製するために、1重量部の活性化合物を上記量の溶媒及び乳化剤と混合し、得られた濃厚物を水で希釈して、所望の濃度とする。
【0121】
保護活性について試験するために、幼植物に、活性化合物の該調製物を噴霧する。噴霧による被膜が乾燥した後、増殖したボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)に覆われている寒天の小片2個を各葉の上に置く。その接種された植物を、20℃で相対大気湿度100%の暗室内に置く。
【0122】
上記接種の2日後、当該葉の表面の病斑の寸法について評価する。0%は、対照の効力に相当する効力を意味し、100%の効力は、病害が観察されないことを意味する。
【0123】
下記表は、本発明による活性化合物組合せについて観察された活性が計算による活性を超えているということ、即ち、相乗効果が存在しているということを、明瞭に示している。
【0124】
【表9】

【0125】
【表10】

【0126】
実施例B
レプトスファエリア・ノドルム(Leptosphaeria nodorum)試験(コムギ)/保護
溶媒: 50重量部のN,N−ジメチルアセトアミド
乳化剤: 1重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテル
活性化合物の適切な調製物を調製するために、1重量部の活性化合物又は活性化合物組合せを上記量の溶媒及び乳化剤と混合し、得られた濃厚物を水で希釈して、所望の濃度とする。
【0127】
保護活性について試験するために、幼植物に、活性化合物又は活性化合物組合せの調製物を記載されている施用量で噴霧する。噴霧による被膜が乾燥した後、その植物に、レプトスファエリア・ノドルム(Leptosphaeria nodorum)の胞子の懸濁液を噴霧する。その植物を20℃で相対大気湿度100%のインキュベーション室内に48時間維持する。
【0128】
その植物を、約15℃の温度で相対大気湿度約80%の温室内に置く。
【0129】
上記接種の10日後、当該試験について評価する。0%は、対照の効力に相当する効力を意味し、100%の効力は、病害が観察されないことを意味する。
【0130】
【表11】

【0131】
実施例C
セプトリア・トリシチ(Septoria tritici)試験(コムギ)/保護
溶媒: 50重量部のN,N−ジメチルアセトアミド
乳化剤: 1重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテル
活性化合物の適切な調製物を調製するために、1重量部の活性化合物又は活性化合物組合せを上記量の溶媒及び乳化剤と混合し、得られた濃厚物を水で希釈して、所望の濃度とする。
【0132】
保護活性について試験するために、幼植物に、活性化合物又は活性化合物組合せの調製物を記載されている施用量で噴霧する。噴霧による被膜が乾燥した後、その植物に、セプトリア・トリシチ(Septoria tritici)の胞子の懸濁液を噴霧する。その植物を、相対大気湿度100%のインキュベーション室内に、20℃で48時間維持し、次いで、15℃で60時間維持する。
【0133】
その植物を、約15℃の温度で相対大気湿度約80%の温室内に置く。
【0134】
上記接種の20日後、当該試験について評価する。0%は、対照の効力に相当する効力を意味し、100%の効力は、病害が観察されないことを意味する。
【0135】
【表12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 式(I)
【化9】

[式中、
は、C−Cアルキルであり;
は、C−Cアルキル又はシクロプロピルであり;
は、水素、C−Cアルキル又はハロゲンであり;
は、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、メトキシ、ハロメトキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルスルフィニル、C−Cアルキルスルホニル又はハロゲンであり;
Aは、1又は2のメチルで場合により置換されていてもよいCアルキレンであり;
Wは、CR又はSiR10であり;
は、水素であるか又はハロゲンで場合により置換されていてもよいC−Cアルキルであり;及び、
各R、R、R、R及びR10は、独立して、ハロゲンで場合により置換されていてもよいC−Cアルキルである。]
で表されるフェニルアミジン類とそのN−オキシド及び農業上適切な塩から選択される少なくとも1種類の化合物;
及び、
(b) 化合物(b−1)から化合物(b−20)
【化10】





又はそれらの農業上適切な塩からなる群から選択される少なくとも1種類の化合物
を含んでいる、殺菌性前記混合物。
【請求項2】
成分(a)に関して、Rがメチル又はエチルであり、Rがメチル、エチル又はシクロプロピルである、請求項1に記載の混合物。
【請求項3】
殺菌剤として有効な量の請求項1又は2のいずれか1項に記載の混合物と界面活性剤、固体希釈剤及び液体希釈剤からなる群から選択される少なくとも1種類の付加的な成分を含んでいる殺菌剤組成物。
【請求項4】
成分(a)に対する成分(b)の重量比が100:1〜1:100である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
殺菌剤として有効な量の請求項1から4のいずれか1項に記載の混合物を当該植物若しくはその一部分又は当該植物の種子若しくは実生に施用することを含む、菌類の植物病原体に起因する植物病害を防除する方法。

【公表番号】特表2010−510997(P2010−510997A)
【公表日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−538614(P2009−538614)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【国際出願番号】PCT/EP2007/009904
【国際公開番号】WO2008/064780
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(302063961)バイエル・クロツプサイエンス・アクチエンゲゼルシヤフト (524)
【Fターム(参考)】