説明

アミド化合物及びその植物病害防除用途

【課題】植物病害に対して優れた防除効力を有する化合物を提供すること。
【解決手段】式(I)


〔式中、R1はC1−C6直鎖状アルキル基を表す。〕
で示されるアミド化合物は、植物病害に対して優れた防除効力を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミド化合物及びその植物病害防除用途に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、植物病害防除剤の有効成分として多くの化合物が開発され、実用に供されている。しかしながら、これらの化合物は必ずしも十分な防除効力を示さない場合もある。
【0003】
【特許文献1】国際公開第2005/033079号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、植物病害に対して優れた防除効力を有する化合物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、植物病害に対して優れた防除効力を有する化合物を見出すべく検討の結果、下記式(I)で示されるアミド化合物が、植物病害に対して優れた防除効力を有することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は式(I)

〔式中、R1はC1−C6直鎖状アルキル基を表す。〕で示されるアミド化合物(以下、本発明化合物と記す。)、本発明化合物を有効成分として含有する植物病害防除剤、及び、本発明化合物の有効量を植物又は土壌に処理する工程を有してなる植物病害の防除方法を提供する。
また、本発明は本発明化合物の製造に用いられる式(II)

〔式中、R2はC2−C6直鎖状アルキル基を表す。〕
で示されるアミン化合物(以下、本アミン化合物と記す。)又はその塩も提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明化合物は植物病害に対して優れた防除効力を有することから、植物病害防除剤の有効成分として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明化合物の製造法について説明する。
本発明化合物は、例えば以下の(製造法)により製造することができる。
【0008】
(製造法)
本発明化合物は、化合物(III)と化合物(IV)又はその塩(例えば、塩酸塩及び臭化水素酸塩が挙げられる。)とを、脱水縮合剤の存在下に反応させることにより製造することができる。

〔式中、R1は前記と同じ意味を表す。〕
該反応は、通常溶媒の存在下で行われる。
反応に用いられる溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン(以下、THFと記す場合がある。)、エチレングリコールジメチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル(以下、MTBEと記す場合がある。)等のエーテル類、ヘキサン、へプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと記す場合がある。)等の酸アミド類、ジメチルスルホキシド(以下、DMSOと記す場合がある。)等のスルホキシド類、ピリジン等の含窒素芳香族化合物類等及びこれらの混合物が挙げられる。
反応に用いられる脱水縮合剤としては、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(以下、WSCと記す。)及び1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド類が挙げられる。
化合物(III)1モルに対して、化合物(IV)が通常0.5〜3モルの割合、脱水縮合剤が通常1〜5モルの割合で用いられる。
該反応の反応温度は、通常−20℃〜140℃の範囲であり、反応時間は通常1〜24時間の範囲である。
反応終了後は、水を加えた後、固体が析出した場合は、濾過することにより本発明化合物を単離することができ、また、固体が析出しない場合は、反応混合物を有機溶媒で抽出し、有機層を乾燥、濃縮する等の後処理操作を行うことにより、本発明化合物を単離することができる。単離された本発明化合物は、クロマトグラフィー、再結晶等によりさらに精製することもできる。
【0009】
次に本アミン化合物の製造法について説明する。
本アミン化合物は、例えば以下の(合成法)により製造することができる。
【0010】
(合成法)
本アミン化合物は、化合物(V)を、還元することにより製造することができる。

〔式中、R2は前記と同じ意味を表す。〕
該反応は、通常溶媒の存在下で行われる。
反応に用いられる溶媒としては、例えば1,4−ジオキサン、THF、エチレングリコールジメチルエーテル、MTBE等のエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類及びこれらの混合物が挙げられる。
反応に用いられる還元剤としては、例えばボランTHF錯体、ボランジメチルスルフィド錯体等のボラン類、水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム等の金属水素化物が挙げられる。
化合物(V)1モルに対して、還元剤は通常0.5〜10モルの割合で用いられるが、還元剤の種類により適宜変更することができる。
該反応の反応温度は、通常−20℃〜150℃の範囲であり、反応時間は通常、瞬時〜24時間の範囲である。
反応終了後は、反応混合物を必要に応じて酸で分解後、水に注加して有機溶媒抽出し、有機層を必要に応じて塩基性水(水酸化ナトリウム水溶液等)で洗浄してから、乾燥、濃縮する等の後処理操作を行うことにより、本アミン化合物を単離することができる。また本アミン化合物は、塩酸、臭化水素酸等の鉱酸、及び、酢酸等の有機酸などのプロトン酸との塩として単離することもできる。
【0011】
本発明化合物としては、具体的には、
N−(2−フルオロ−3−メチルフェニルメチル)−キノリン−6−カルボン酸アミド、
N−(2−フルオロ−3−エチルフェニルメチル)−キノリン−6−カルボン酸アミド、
N−(2−フルオロ−3−プロピルフェニルメチル)−キノリン−6−カルボン酸アミド、
N−(2−フルオロ−3−ブチルフェニルメチル)−キノリン−6−カルボン酸アミド、
N−(2−フルオロ−3−ペンチルフェニルメチル)−キノリン−6−カルボン酸アミド及び
N−(2−フルオロ−3−へキシルフェニルメチル)−キノリン−6−カルボン酸アミド、
が挙げられる。
【0012】
本アミン化合物としては、具体的には、
2−フルオロ−3−エチルフェニルメチルアミン、
2−フルオロ−3−プロピルフェニルメチルアミン、
2−フルオロ−3−ブチルフェニルメチルアミン、
2−フルオロ−3−ペンチルフェニルメチルアミン
及び
2−フルオロ−3−へキシルフェニルメチルアミン、
並びに、それらの塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、蟻酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩、シュウ酸塩等のプロトン酸との塩が挙げられる。
【0013】
本発明防除剤は、本発明化合物のみからなるものであってもよいが、通常は本発明化合物を、固体担体、液体担体、ガス担体、界面活性剤等と混合し、必要により固着剤、分散剤、安定剤等の製剤用補助剤を添加して、水和剤、顆粒水和剤、フロアブル剤、粒剤、ドライフロアブル剤、乳剤、水性液剤、油剤、くん煙剤、エアゾール剤、マイクロカプセル剤等に製剤化して用いる。これらの製剤には本発明化合物が重量比で通常0.1〜99%、好ましくは0.2〜90%含有される。
【0014】
固体担体としては、例えば、粘土類(例えば、カオリン、珪藻土、合成含水酸化珪素、フバサミクレー、ベントナイト、酸性白土)、タルク類、その他の無機鉱物(例えば、セリサイト、石英粉末、硫黄粉末、活性炭、炭酸カルシウム、水和シリカ)等の微粉末あるいは粒状物が挙げられ、液体担体としては、例えば、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルナフタレン)、脂肪族炭化水素類(例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサノン、灯油)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、イソブチルニトリル)、エーテル類(例えば、ジオキサン、ジイソプロピルエーテル)、酸アミド類(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、ジクロロエタン、トリクロロエチレン、四塩化炭素)等が挙げられる。
【0015】
界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル類、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルアリールエーテル類及びそのポリオキシエチレン化物、ポリオキシエチレングリコールエーテル類、多価アルコールエステル類、糖アルコール誘導体等が挙げられる。
【0016】
その他の製剤用補助剤としては、例えば固着剤や分散剤、具体的にはカゼイン、ゼラチン、多糖類(例えば、デンプン、アラビヤガム、セルロース誘導体、アルギン酸)、リグニン誘導体、ベントナイト、糖類、合成水溶性高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸類)、PAP(酸性りん酸イソプロピル)、BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、BHA(2−tert−ブチル−4−メトキシフェノールと3−tert−ブチル−4−メトキシフェノールとの混合物)、植物油、鉱物油、脂肪酸又はそのエステル等が挙げられる。
【0017】
本発明防除剤を施用する方法としては、実質的に本発明防除剤が施用され得る形態であればその方法は特に限定されないが、例えば茎葉散布等の植物体への処理、土壌処理等の植物の栽培地への処理、種子消毒等の種子への処理等が挙げられる。
【0018】
また、本発明防除剤を他の殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、除草剤、植物生長調節剤、肥料または土壌改良剤と混合して、または混合せずに同時に用いることもできる。
かかる他の殺菌剤としては、例えば、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、トリアジメノール、プロクロラズ、ペンコナゾール、テブコナゾール、フルシラゾール、ジニコナゾール、ブロムコナゾール、エポキシコナゾール、ジフェノコナゾール、シプロコナゾール、メトコナゾール、トリフルミゾール、テトラコナゾール、マイクロブタニル、フェンブコナゾール、ヘキサコナゾール、フルキンコナゾール、トリティコナゾール、ビテルタノール、イマザリル、フルトリアホール等のアゾール系殺菌化合物;フェンプロピモルフ、トリデモルフ、フェンプロピジン等の環状アミン系殺菌化合物;カルベンダジム、ベノミル、チアベンダゾール、チオファネートメチル等のベンズイミダゾール系殺菌化合物;プロシミドン;シプロディニル;ピリメタニル;ジエトフェンカルブ;チウラム;フルアジナム;マンコゼブ;イプロジオン;ビンクロゾリン;クロロタロニル;キャプタン;メパニピリム;フェンピクロニル;フルジオキソニル;ジクロフルアニド;フォルペット;クレソキシムメチル;アゾキシストロビン;トリフロキシストロビン;フルオキサストロビン;ピコキシストロビン;ピラクロストロビン;ジモキシストロビン;ピリベンカルブ;スピロキサミン;キノキシフェン;フェンヘキサミド;ファモキサドン;フェナミドン;ゾキサミド;エタボキサム;アミスルブロム;イプロヴァリカルブ;ベンチアバリカルブ;シアゾファミド;マンジプロパミド;ボスカリド;ペンチオピラド;メトラフェノン;フルオピラン;ビキサフェン;シフルフェナミド及びプロキナジドが挙げられる。
【0019】
本発明防除剤の施用量は、気象条件、製剤形態、施用時期、施用方法、施用場所、対象病害、対象作物等によっても異なるが、本発明防除剤中の本発明化合物量で10アールあたり、通常1〜500g、好ましくは2〜200gである。乳剤、水和剤、懸濁剤等は通常水で希釈して施用されるが、その場合の希釈後の本発明化合物濃度は、通常0.0005〜2重量%、好ましくは0.005〜1重量%であり、粉剤、粒剤等は通常希釈することなくそのまま施用される。種子への処理においては、種子1Kgに対して本発明防除剤中の本発明化合物量で、通常0.001〜100g、好ましくは0.01〜50gの範囲で施用される。
【0020】
本発明防除剤は、畑、水田、芝生、果樹園等の農耕地における植物病害の防除剤として使用することができる。本発明防除剤は、以下に挙げられる「作物」等を栽培する農耕地等において、当該農耕地の病害を防除することができる。
【0021】
農作物;トウモロコシ、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、エンバク、ソルガム、ワタ、ダイズ、ピーナッツ、ソバ、テンサイ、ナタネ、ヒマワリ、サトウキビ、タバコ等、野菜;ナス科野菜(ナス、トマト、ピーマン、トウガラシ、ジャガイモ等)、ウリ科野菜(キュウリ、カボチャ、ズッキーニ、スイカ、メロン等)、アブラナ科野菜(ダイコン、カブ、セイヨウワサビ、コールラビ、ハクサイ、キャベツ、カラシナ、ブロッコリー、カリフラワー等)、キク科野菜(ゴボウ、シュンギク、アーティチョーク、レタス等)、ユリ科野菜(ネギ、タマネギ、ニンニク、アスパラガス)、セリ科野菜(ニンジン、パセリ、セロリ、アメリカボウフウ等)、アカザ科野菜(ホウレンソウ、フダンソウ等)、シソ科野菜(シソ、ミント、バジル等)、イチゴ、サツマイモ、ヤマノイモ、サトイモ等、
花卉、
観葉植物、
果樹;仁果類(リンゴ、セイヨウナシ、ニホンナシ、カリン、マルメロ等)、核果類(モモ、スモモ、ネクタリン、ウメ、オウトウ、アンズ、プルーン等)、カンキツ類(ウンシュウミカン、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ等)、堅果類(クリ、クルミ、ハシバミ、アーモンド、ピスタチオ、カシューナッツ、マカダミアナッツ等)、液果類(ブルーベリー、クランベリー、ブラックベリー、ラズベリー等)、ブドウ、カキ、オリーブ、ビワ、バナナ、コーヒー、ナツメヤシ、ココヤシ等、
果樹以外の樹;チャ、クワ、花木、街路樹(トネリコ、カバノキ、ハナミズキ、ユーカリ、イチョウ、ライラック、カエデ、カシ、ポプラ、ハナズオウ、フウ、プラタナス、ケヤキ、クロベ、モミノキ、ツガ、ネズ、マツ、トウヒ、イチイ)等。
【0022】
上記「作物」とは、イソキサフルトール等のHPPD阻害剤、イマゼタピル、チフェンスルフロンメチル等のALS阻害剤、EPSP合成酵素阻害剤、グルタミン合成酵素阻害剤、ブロモキシニル等の除草剤に対する耐性が、古典的な育種法、もしくは遺伝子組換え技術により付与された作物も含まれる。
【0023】
古典的な育種法により耐性が付与された「作物」の例として、イマゼタピル等のイミダゾリノン系除草剤耐性のClearfield(登録商標)カノーラ、チフェンスルフロンメチル等のスルホニルウレア系ALS阻害型除草剤耐性のSTSダイズ等がある。また、遺伝子組換え技術により耐性が付与された「作物」の例として、グリホサートやグルホシーネート耐性のトウモロコシ品種があり、RoundupReady(登録商標)及びLibertyLink(登録商標)等の商品名ですでに販売されている。
【0024】
上記「作物」とは、遺伝子組換え技術を用いて、例えば、バチルス属で知られている選択的毒素等を合成する事が可能となった作物も含まれる。
この様な遺伝子組換え植物で発現される毒素として、バチルス・セレウスやバチルス・ポピリエ由来の殺虫性タンパク;バチルス・チューリンゲンシス由来のCry1Ab、Cry1Ac、Cry1F、Cry1Fa2、Cry2Ab、Cry3A、Cry3Bb1またはCry9C等のδ−エンドトキシン、VIP1、VIP2、VIP3またはVIP3A等の殺虫タンパク;線虫由来の殺虫タンパク;さそり毒素、クモ毒素、ハチ毒素または昆虫特異的神経毒素等動物によって産生される毒素;糸状菌類毒素;植物レクチン;アグルチニン;トリプシン阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、パタチン、シスタチン、パパイン阻害剤等のプロテアーゼ阻害剤;リシン、トウモロコシ−RIP、アブリン、ルフィン、サポリン、ブリオジン等のリボゾーム不活性化タンパク(RIP);3−ヒドロキシステロイドオキシダーゼ、エクジステロイド−UDP−グルコシルトランスフェラーゼ、コレステロールオキシダーゼ等のステロイド代謝酵素;エクダイソン阻害剤;HMG-COAリダクターゼ;ナトリウムチャネル、カルシウムチャネル阻害剤等のイオンチャネル阻害剤;幼若ホルモンエステラーゼ;利尿ホルモン受容体;スチルベンシンターゼ;ビベンジルシンターゼ;キチナーゼ;グルカナーゼ等が挙げられる。
【0025】
またこの様な遺伝子組換え作物で発現される毒素として、Cry1Ab、Cry1Ac、Cry1F、Cry1Fa2、Cry2Ab、Cry3A、Cry3Bb1又はCry9C等のδ−エンドトキシンタンパク、VIP1、VIP2、VIP3またはVIP3A等の殺虫タンパクのハイブリッド毒素、一部を欠損した毒素、修飾された毒素も含まれる。ハイブリッド毒素は組換え技術を用いて、これらタンパクの異なるドメインの新しい組み合わせによって作り出される。一部を欠損した毒素としては、アミノ酸配列の一部を欠損したCry1Abが知られている。修飾された毒素としては、天然型の毒素のアミノ酸の1つ又は複数が置換されている。
これら毒素の例及びこれら毒素を合成する事ができる組換え植物は、EP-A-0 374 753、WO 93/07278、WO 95/34656、EP-A-0 427 529、EP-A-451 878、WO 03/052073等に記載されている。
これらの組換え植物に含まれる毒素は、特に、甲虫目害虫、双翅目害虫、鱗翅目害虫への耐性を植物へ付与する。
【0026】
また、1つ若しくは複数の殺虫性の害虫抵抗性遺伝子を含み、1つ又は複数の毒素を発現する遺伝子組換え植物は既に知られており、いくつかのものは市販されている。これら遺伝子組換え植物の例として、YieldGard(登録商標)(Cry1Ab毒素を発現するトウモロコシ品種)、YieldGard Rootworm(登録商標)(Cry3Bb1毒素を発現するトウモロコシ品種)、YieldGard Plus(登録商標)(Cry1AbとCry3Bb1毒素を発現するトウモロコシ品種)、Herculex I(登録商標)(Cry1Fa2毒素とグルホシネートへの耐性を付与する為にホスフィノトリシン N−アサチルトランスフェラーゼ(PAT)を発現するトウモロコシ品種)、NuCOTN33B(Cry1Ac毒素を発現するワタ品種)、Bollgard I(登録商標)(Cry1Ac毒素を発現するワタ品種)、Bollgard II(登録商標)(Cry1AcとCry2Ab毒素とを発現するワタ品種)、VIPCOT(登録商標)(VIP毒素を発現するワタ品種)、NewLeaf(登録商標)(Cry3A毒素を発現するジャガイモ品種)、NatureGard(登録商標)Agrisure(登録商標)GT Advantage(GA21 グリホサート耐性形質)、Agrisure(登録商標) CB Advantage(Bt11コーンボーラー(CB)形質)、Protecta(登録商標)等が挙げられる。
【0027】
上記「作物」とは、遺伝子組換え技術を用いて、選択的な作用を有する抗病原性物質を産生する能力を付与されたものも含まれる。
抗病原性物質の例として、PRタンパク等が知られている(PRPs、EP-A-0 392 225)。このような抗病原性物質とそれを産生する遺伝子組換え植物は、EP-A-0 392 225、WO 95/33818、EP-A-0 353 191等に記載されている。
こうした遺伝子組換え植物で発現される抗病原性物質の例として、例えば、ナトリウムチャネル阻害剤、カルシウムチャネル阻害剤(ウイルスが産生するKP1、KP4、KP6毒素等が知られている。)等のイオンチャネル阻害剤;スチルベンシンターゼ;ビベンジルシンターゼ;キチナーゼ;グルカナーゼ;PRタンパク;ペプチド抗生物質、ヘテロ環を有する抗生物質、植物病害抵抗性に関与するタンパク因子(植物病害抵抗性遺伝子と呼ばれ、WO 03/000906に記載されている。)等の微生物が産生する抗病原性物質等が挙げられる。
【0028】
本発明により防除することができる植物病害としては、例えば糸状菌等が挙げられ、より詳しくは以下の病害を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
通常、本発明防除方法は、本発明防除剤を前記した本発明防除剤を施用する方法で用いることにより行われる。
【0029】
イネのいもち病(Magnaporthe grisea)、ごま葉枯病(Cochliobolus miyabeanus)、紋枯病(Rhizoctonia solani)、馬鹿苗病(Gibberella fujikuroi);
ムギ類のうどんこ病(Erysiphe graminis)、赤かび病(Fusarium graminearum, F. avenacerum, F. culmorum, Microdochium nivale)、さび病(Puccinia striiformis, P. graminis, P. recondita, P. hordei)、雪腐病(Typhula sp.,Micronectriella nivalis)、裸黒穂病(Ustilago tritici, U. nuda)、なまぐさ黒穂病(Tilletia caries)、眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)、雲形病(Rhynchosporium secalis)、葉枯病(Septoria tritici)、ふ枯病(Leptosphaeria nodorum)、網斑病(Pyrenophora teres Drechsler)、立枯れ病(Gaeumannomyces graminis);
カンキツ類の黒点病(Diaporthe citri)、そうか病(Elsinoe fawcetti)、果実腐敗病(Penicillium digitatum, P. italicum);
リンゴのモニリア病(Monilinia mali)、腐らん病(Valsa ceratosperma)、うどんこ病(Podosphaera leucotricha)、斑点落葉病(Alternaria alternata apple pathotype)、黒星病(Venturia inaequalis)、炭そ病(Glomerella cingulata);
ナシの黒星病(Venturia nashicola, V. pirina)、黒斑病(Alternaria alternata Japanese pear pathotype)、赤星病(Gymnosporangium haraeanum);
モモの灰星病(Monilinia fructicola)、黒星病(Cladosporium carpophilum)、フォモプシス腐敗病(Phomopsis sp.);
【0030】
ブドウの黒とう病(Elsinoe ampelina)、晩腐病(Glomerella cingulata)、うどんこ病(Uncinula necator)、さび病(Phakopsora ampelopsidis)、ブラックロット病(Guignardia bidwellii)、べと病(Plasmopara viticola);
カキの炭そ病(Gloeosporium kaki)、落葉病(Cercospora kaki, Mycosphaerella nawae);
ウリ類の炭そ病(Colletotrichum lagenarium)、うどんこ病(Sphaerotheca fuliginea)、つる枯病(Mycosphaerella melonis)、つる割病(Fusarium oxysporum)、べと病(Pseudoperonospora cubensis)、疫病(Phytophthora sp.)、苗立枯病(Pythium sp.);
トマトの輪紋病(Alternaria solani)、葉かび病(Cladosporium fulvum)、疫病(Phytophthora infestans);
ナスの褐紋病(Phomopsis vexans)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum);
アブラナ科野菜の黒斑病(Alternaria japonica)、白斑病(Cercosporella brassicae);
ネギのさび病(Puccinia allii)、ダイズの紫斑病(Cercospora kikuchii)、黒とう病(Elsinoe glycines)、黒点病(Diaporthe phaseolorum var. sojae)、さび病( Phakopsora pachyrhizi)
インゲンの炭そ病(Colletotrichum lindemthianum)
ラッカセイの黒渋病(Cercospora personata)、褐斑病(Cercospora arachidicola)、白絹病(Sclerotium rolfsii);
エンドウのうどんこ病(Erysiphe pisi);
ジャガイモの夏疫病(Alternaria solani)、疫病(Phytophthora infestans)、半身萎凋病(Verticillium albo-atrum, V. dahliae, V. nigrescens);
イチゴのうどんこ病(Sphaerotheca humuli);
チャの網もち病(Exobasidium reticulatum);白星病(Elsinoe leucospila)、輪斑病(Pestalotiopsis sp.)、炭そ病(Colletotrichum theae-sinensis)
タバコの赤星病(Alternaria longipes)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、炭そ病(Colletotrichum tabacum)、べと病(Peronospora tabacina)、疫病(Phytophthora nicotianae);
【0031】
テンサイの褐斑病(Cercospora beticola)、葉腐病(Thanatephorus cucumeris)、根腐病(Thanatephorus cucumeris);
バラの黒星病(Diplocarpon rosae)、うどんこ病(Sphaerotheca pannosa);
キクの褐斑病(Septoria chrysanthemi−indici)、白さび病(Puccinia horiana);
タマネギの白斑葉枯病(Botrytis cinerea, B. byssoidea, B. squamosa)、灰色腐敗病(Botrytis alli)、小菌核性腐敗病(Botrytis squamosa);
種々の作物の灰色かび病(Botrytis cinerea)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum);ダイコンの黒すす病(Alternaria brassicicola);
シバのダラースポット病(Sclerotinia homeocarpa)、シバのブラウンパッチ病およびラージパッチ病(Rhizoctonia solani);並びに
バナナのシガトカ病(Mycosphaerella fijiensis、Mycosphaerella musicola、Pseudocercospora musae)。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を製造例、製剤例及び試験例等によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。
まず、本発明化合物の製造例を示す。
【0033】
製造例1
キノリン−6−カルボン酸0.30g、2−フルオロ−3−メチルベンジルアミン塩酸塩0.30g、WSC0.40g、ピリジン0.4ml及びDMF5mlを混合し、室温で4時間撹拌した。その後、反応混合物に塩化アンモニウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣にヘキサンを加え、析出した結晶を濾別し、ヘキサンで洗浄後、減圧下で乾燥してN−(2−フルオロ−3−メチルフェニルメチル)キノリン−6−カルボン酸アミド(以下、本発明化合物(1)と記す。)0.28gを得た。
本発明化合物(1)

1H-NMR (DMSO-d6)δ: 9.25 (1H, t, J = 5.6 Hz), 8.99 (1H, dd, J = 4.1, 1.7 Hz), 8.57 (1H, d, J = 2.0 Hz), 8.48 (1H, dd, J = 8.4, 1.3 Hz), 8.22 (1H, dd, J = 8.9, 2.1 Hz), 8.09 (1H, d, J = 8.8 Hz), 7.62 (1H, dd, J = 8.3, 4.4 Hz), 7.25-7.18 (2H, m), 7.07 (1H, t, J = 7.6 Hz), 4.57 (2H, d, J = 5.6 Hz), 2.26 (3H, d, J = 2.0 Hz).
【0034】
製造例2
キノリン−6−カルボン酸0.30g、2−フルオロ−3−エチルベンジルアミン塩酸塩0.33g、WSC0.40g、ピリジン0.4ml及びDMF5mlを混合し、室温で4時間撹拌した。その後、反応混合物に水を加え析出した固体を濾別し、水及びヘキサンで洗浄後減圧下で乾燥してN−(2−フルオロ−3−エチルフェニルメチル)キノリン−6−カルボン酸アミド(以下、本発明化合物(2)と記す。)0.41gを得た。
本発明化合物(2)

1H-NMR (DMSO-d6)δ: 9.25 (1H, t, J = 5.7 Hz), 8.99 (1H, dd, J = 4.1, 1.7 Hz), 8.57 (1H, d, J = 2.0 Hz), 8.48 (1H, d, J = 7.6 Hz), 8.22 (1H, dd, J = 8.8, 2.0 Hz), 8.09 (1H, d, J = 8.8 Hz), 7.62 (1H, dd, J = 8.3, 4.1 Hz), 7.26-7.19 (2H, m), 7.10 (1H, t, J = 7.6 Hz), 4.58 (2H, d, J = 5.6 Hz), 2.65 (2H, q, J = 7.5 Hz), 1.19 (3H, t, J = 7.6 Hz).
【0035】
製造例3
キノリン−6−カルボン酸0.30g、2−フルオロ−3−n−プロピルベンジルアミン塩酸塩0.35g、WSC0.40g、ピリジン0.4ml及びDMF5mlを混合し、室温で4時間撹拌した。その後、反応混合物に水を加え析出した固体を濾別し、水及びヘキサンで洗浄後減圧下で乾燥してN−(2−フルオロ−3−n−プロピルフェニルメチル)キノリン−6−カルボン酸アミド(以下、本発明化合物(3)と記す。)0.42gを得た。
本発明化合物(3)

1H-NMR (DMSO-d6)δ: 9.25 (1H, t, J = 5.7 Hz), 8.99 (1H, dd, J = 4.1, 1.7 Hz), 8.57 (1H, d, J = 2.0 Hz), 8.50-8.47 (1H, m), 8.22 (1H, dd, J = 8.8, 2.0 Hz), 8.10 (1H, d, J = 8.8 Hz), 7.62 (1H, dd, J = 8.3, 4.4 Hz), 7.27-7.23 (1H, m), 7.21-7.17 (1H, m), 7.09 (1H, t, J = 7.6 Hz), 4.58 (2H, d, J = 5.6 Hz), 2.60 (2H, t, J = 7.4 Hz), 1.64-1.55 (2H, m), 0.92 (3H, t, J = 7.3 Hz).
【0036】
製造例4
キノリン−6−カルボン酸0.30g、2−フルオロ−3−n−ブチルベンジルアミン塩酸塩0.39g、WSC0.40g、ピリジン0.4ml及びDMF5mlを混合し、室温で4時間撹拌した。その後、反応混合物に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣にヘキサンを加え、析出した結晶を濾別し、ヘキサンで洗浄後、減圧下で乾燥してN−(2−フルオロ−3−n−ブチルフェニルメチル)キノリン−6−カルボン酸アミド(以下、本発明化合物(4)と記す。)0.23gを得た。
本発明化合物(4)

1H-NMR (CDCl3) δ: 8.98 (1H, dd, J = 4.1, 1.7 Hz), 8.32 (1H, d, J = 1.7 Hz), 8.23 (1H, d, J = 8.3 Hz), 8.15 (1H, d, J = 8.8 Hz), 8.06 (1H, dd, J = 8.8, 2.0 Hz), 7.47 (1H, dd, J = 8.3, 4.1 Hz), 7.29-7.26 (1H, m), 7.17-7.13 (1H, m), 7.05 (1H, t, J = 7.4 Hz), 6.66 (1H, s), 4.75 (2H, d, J = 5.6 Hz), 2.66 (2H, t, J = 7.6 Hz), 1.64-1.56 (2H, m), 1.43-1.33 (2H, m), 0.94 (3H, t, J = 7.3 Hz).
【0037】
製造例5
キノリン−6−カルボン酸0.30g、2−フルオロ−3−n−ペンチルベンジルアミン塩酸塩0.40g、WSC0.40g、ピリジン0.6ml及びDMF5mlを混合し、室温で4時間撹拌した。その後、反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付してN−(2−フルオロ−3−n−ペンチルフェニルメチル)キノリン−6−カルボン酸アミド(以下、本発明化合物(5)と記す。)0.31gを得た。
本発明化合物(5)

1H-NMR (CDCl3) δ: 8.99 (1H, dd, J = 4.3, 1.8 Hz), 8.32 (1H, d, J = 1.7 Hz), 8.24 (1H, dd, J = 8.3, 1.0 Hz), 8.15 (1H, d, J = 8.8 Hz), 8.06 (1H, dd, J = 8.8, 2.2 Hz), 7.47 (1H, dd, J = 8.3, 4.1 Hz), 7.30-7.26 (1H, m), 7.15 (1H, td, J = 7.3, 1.7 Hz), 7.06 (1H, t, J = 7.6 Hz), 6.64 (1H, s), 4.76 (2H, d, J = 5.6 Hz), 2.65 (2H, t, J = 7.6 Hz), 1.64-1.59 (2H, m), 1.38-1.32 (4H, m), 0.90 (3H, t, J = 7.0 Hz).
【0038】
製造例6
キノリン−6−カルボン酸0.30g、2−フルオロ−3−n−ヘキシルベンジルアミン塩酸塩0.43g、WSC0.40g、ピリジン0.4ml及びDMF5mlを混合し、室温で4時間撹拌した。その後、反応混合物に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣にヘキサンを加えて濾過し、濾別した結晶をヘキサンで洗浄後、減圧下で乾燥してN−(2−フルオロ−3−n−ヘキシルフェニルメチル)キノリン−6−カルボン酸アミド(以下、本発明化合物(6)と記す。)0.39gを得た。
本発明化合物(6)

1H-NMR (CDCl3) δ: 8.97 (1H, dd, J = 4.3, 1.8 Hz), 8.31 (1H, d, J = 2.0 Hz), 8.20 (1H, dd, J = 8.4, 1.1 Hz), 8.12 (1H, d, J = 8.8 Hz), 8.05 (1H, dd, J = 8.8, 2.0 Hz), 7.45 (1H, dd, J = 8.3, 4.4 Hz), 7.26 (1H, td, J = 7.3, 1.8 Hz), 7.14 (1H, td, J = 7.4, 1.7 Hz), 7.04 (1H, t, J = 7.6 Hz), 6.80 (1H, s), 4.74 (2H, d, J = 5.9 Hz), 2.64 (2H, t, J = 7.6 Hz), 1.64-1.56 (2H, m), 1.38-1.24 (6H, m), 0.88 (3H, t, J = 7.0 Hz).
【0039】
次に本アミン化合物又はその塩の製造について合成例に示す。
【0040】
合成例1
2−フルオロ−3−エチルベンズアミド2.3g、ボランTHF錯体の1モル/リットル−THF溶液41ml及びTHF10mlを混合し、60℃で8時間撹拌した。その後、反応混合物にメタノール及び5%塩酸を加え60℃で1時間撹拌した。反応混合物を冷却後、減圧下濃縮し、得られた残渣に水を加え、次いで27%水酸化ナトリウム水溶液を加えて水層のpHを13に調節した後にMTBEで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、炭酸カリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣にアセトニトリル及び36%塩酸1.6mlを加え、析出した結晶を濾別し、ヘキサンで洗浄後、減圧下で乾燥して2−フルオロ−3−エチルベンジルアミン塩酸塩1.6gを得た。
2−フルオロ−3−エチルベンジルアミン塩酸塩

1H-NMR (DMSO-d6)δ: 8.63 (3H, s), 7.45 (1H, td, J = 7.4, 1.5 Hz), 7.33 (1H, td, J = 7.5, 1.5 Hz), 7.18 (1H, t, J = 7.7 Hz), 4.03 (2H, s), 2.65 (2H, q, J = 7.6 Hz), 1.18 (3H, t, J = 7.6 Hz).
【0041】
合成例2
2−フルオロ−3−n−プロピルベンズアミド3.7g、ボランTHF錯体の1モル/リットル−THF溶液61ml及びTHF30mlを混合し、60℃で8時間撹拌した。その後、反応混合物にメタノール及び5%塩酸を加え60℃で1時間撹拌した。反応混合物を冷却後、減圧下濃縮し、得られた残渣に水を加え、次いで27%水酸化ナトリウム水溶液を加えて水層のpHを13に調節した後にMTBEで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、炭酸カリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣にアセトニトリル及び36%塩酸2.3mlを加え、析出した結晶を濾別し、ヘキサンで洗浄後、減圧下で乾燥して2−フルオロ−3−エチルベンジルアミン塩酸塩2.8gを得た。
2−フルオロ−3−エチルベンジルアミン塩酸塩

1H-NMR (DMSO-d6)δ: 8.54 (3H, s), 7.43 (1H, td, J = 7.3, 1.6 Hz), 7.32 (1H, td, J = 7.5, 1.6 Hz), 7.17 (1H, t, J = 7.6 Hz), 4.04 (2H, d, J = 3.7 Hz), 2.60 (2H, t, J = 7.4 Hz), 1.63-1.54 (2H, m), 0.91 (3H, t, J = 7.3 Hz).
【0042】
合成例3
2−フルオロ−3−n−ブチルベンズアミド1.0g、ボランTHF錯体の1モル/リットル−THF溶液15ml及びTHF20mlを混合し、60℃で8時間撹拌した。その後、反応混合物にメタノール及び5%塩酸を加え60℃で1時間撹拌した。反応混合物を冷却後、減圧下濃縮し、得られた残渣に水を加え、次いで27%水酸化ナトリウム水溶液を加えて水層のpHを13に調節した後にMTBEで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、炭酸カリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣にアセトニトリル及び36%塩酸0.8mlを加え、析出した結晶を濾別し、ヘキサンで洗浄後、減圧下で乾燥して2−フルオロ−3−n−ブチルベンジルアミン塩酸塩1.2gを得た。
2−フルオロ−3−n−ブチルベンジルアミン塩酸塩

1H-NMR (DMSO-d6)δ: 8.46 (3H, s), 7.41 (1H, td, J = 7.4, 1.5 Hz), 7.34-7.31 (1H, m), 7.17 (1H, t, J = 7.6 Hz), 4.06-4.02 (2H, m), 2.62 (2H, t, J = 7.6 Hz), 1.56-1.51 (2H, m), 1.35-1.29 (2H, m), 0.90 (3H, t, J = 7.3 Hz).
【0043】
合成例4
2−フルオロ−3−n−ペンチルベンズアミド0.83g、ボランTHF錯体の1モル/リットル−THF溶液12ml及びTHF6mlを混合し、60℃で8時間撹拌した。その後、反応混合物にメタノール及び5%塩酸を加え60℃で1時間撹拌した。反応混合物を冷却後、減圧下濃縮し、得られた残渣に水を加え、次いで27%水酸化ナトリウム水溶液を加えて水層のpHを13に調節した後にMTBEで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、炭酸カリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣にアセトニトリル及び36%塩酸0.5mlを加え、析出した結晶を濾別し、ヘキサンで洗浄後、減圧下で乾燥して2−フルオロ−3−ペンチルベンジルアミン塩酸塩0.48gを得た。
2−フルオロ−3−ペンチルベンジルアミン塩酸塩

1H-NMR (DMSO-d6)δ: 8.40 (3H, s), 7.39 (1H, t, J = 7.0 Hz), 7.32 (1H, t, J = 6.7 Hz), 7.17 (1H, t, J = 7.6 Hz), 4.05 (2H, s), 2.61 (2H, t, J = 7.6 Hz), 1.60-1.52 (2H, m), 1.34-1.27 (4H, m), 0.86 (3H, t, J = 6.7 Hz).
【0044】
合成例5
2−フルオロ−3−n−ヘキシルベンズアミド1.3g、ボランTHF錯体の1モル/リットル−THF溶液17ml及びTHF30mlを混合し、60℃で8時間撹拌した。その後、反応混合物にメタノール及び5%塩酸を加え60℃で1時間撹拌した。反応混合物を冷却後、減圧下濃縮し、得られた残渣に水を加え、次いで27%水酸化ナトリウム水溶液を加えて水層のpHを13に調節した後にMTBEで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、炭酸カリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣にアセトニトリル及び36%塩酸0.9mlを加え、析出した結晶を濾別し、ヘキサンで洗浄後、減圧下で乾燥して2−フルオロ−3−n−ヘキシルベンジルアミン塩酸塩0.9gを得た。
2−フルオロ−3−n−ヘキシルベンジルアミン塩酸塩

1H-NMR (DMSO-d6)δ: 8.67 (3H, s), 7.46 (1H, t, J = 7.1 Hz), 7.31 (1H, t, J = 7.2 Hz), 7.16 (1H, t, J = 7.6 Hz), 4.02 (2H, s), 2.61 (2H, t, J = 7.6 Hz), 1.57-1.52 (2H, m), 1.28 (6H, s), 0.86 (3H, t, J = 6.6 Hz).
【0045】
次に、本発明化合物及び本アミン化合物の製造中間体の製造について参考製造例を示す。
【0046】
参考製造例1
2−フルオロ−トリフルオロメチルベンゼン10g、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン12g及びTHF150mlを混合し、−70℃でn−ブチルリチウム1.6モル/リットル−ヘキサン溶液38mlを混合し、−70℃で1時間撹拌した。該混合物に1−ヨウドエタン5.4mlを混合し、−70℃で3時間混合後、徐々に室温まで昇温した。次いで反応混合物に水及び5%塩酸を加えてヘキサンで抽出した。有機層を5%塩酸、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄した後に、硫酸マグネシウム、活性炭及び活性白土と混合した。該混合物を濾過し、残渣をヘキサンで洗浄した、得られた有機層を減圧下で濃縮して3−エチル−2−フルオロ−トリフルオロメチルベンゼン9.4gを得た。
3−エチル−2−フルオロ−トリフルオロメチルベンゼン

1H-NMR (CDCl3) δ: 7.47-7.37 (2H, m), 7.18-7.12 (1H, m), 2.73 (2H, q, J = 7.6 Hz), 1.25 (3H, t, J = 7.6 Hz).
【0047】
参考製造例2
参考製造例1に記載の方法に準じて、2−フルオロ−トリフルオロメチルベンゼン10g、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン12g、n−ブチルリチウム1.6モル/リットル−ヘキサン溶液38ml及び1−ヨウド−n−プロパン6.6mlを用いて、2−フルオロ−3−n−プロピルトリフルオロメチルベンゼン13gを得た。
2−フルオロ−3−n−プロピルトリフルオロメチルベンゼン

1H-NMR (CDCl3) δ: 7.45-7.37 (2H, m), 7.14 (1H, t, J = 7.7 Hz), 2.69-2.65 (2H, m), 1.70-1.61 (2H, m), 0.96 (3H, t, J = 7.4 Hz).
【0048】
参考製造例3
参考製造例1に記載の方法に準じて、2−フルオロ−トリフルオロメチルベンゼン10g、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン12g、n−ブチルリチウム1.6モル/リットル−ヘキサン溶液38ml及び1−ヨウド−n−ブタン7.6mlを用いて、2−フルオロ−3−n−ブチルトリフルオロメチルベンゼン18gを得た。
2−フルオロ−3−n−ブチルトリフルオロメチルベンゼン

1H-NMR (CDCl3) δ: 7.44-7.37 (2H, m), 7.14 (1H, t, J = 7.8 Hz), 2.71-2.67 (2H, m), 1.62-1.57 (2H, m), 1.42-1.35 (2H, m), 0.94 (3H, t, J = 7.3 Hz).
【0049】
参考製造例4
参考製造例1に記載の方法に準じて、2−フルオロ−トリフルオロメチルベンゼン6.6g、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン7.6g、n−ブチルリチウム1.6モル/リットル−ヘキサン溶液25ml及び1−ヨウド−n−ペンタン8.7mlを用いて、2−フルオロ−3−n−ペンチルトリフルオロメチルベンゼン8.7gを得た。
2−フルオロ−3−n−ペンチルトリフルオロメチルベンゼン

1H-NMR (CDCl3) δ: 7.44-7.37 (2H, m), 7.14 (1H, t, J = 7.7 Hz), 2.70-2.66 (2H, m), 1.66-1.58 (2H, m), 1.38-1.31 (4H, m), 0.90 (3H, t, J = 6.8 Hz).
【0050】
参考製造例5
参考製造例1に記載の方法に準じて、2−フルオロ−トリフルオロメチルベンゼン10g、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン12g、n−ブチルリチウム1.6モル/リットル−ヘキサン溶液38ml及び1−ヨウド−n−ヘキサン9.9mlを用いて2−フルオロ−3−n−ヘキシルトリフルオロメチルベンゼン13gを得た。
2−フルオロ−3−n−ヘキシルトリフルオロメチルベンゼン

1H-NMR (CDCl3) δ: 7.44-7.37 (2H, m), 7.14 (1H, t, J = 7.7 Hz), 2.70-2.66 (2H, m), 1.65-1.57 (2H, m), 1.39-1.26 (6H, m), 0.89 (3H, t, J = 7.1 Hz).
【0051】
参考製造例6
3−エチル−2−フルオロ−トリフルオロメチルベンゼン9.7gおよび硫酸5mlを120℃で4時間攪拌した。室温まで冷却した反応混合物を水と混合してからセライト(登録商標)で濾過し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を酢酸エチルで抽出し、有機層を5%塩酸、水及び飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウム、活性炭及び活性白土と混合した。混合物を濾過し、残渣を酢酸エチルで洗浄した、得られた濾液を減圧下で濃縮して2−フルオロ−3−エチルベンゼンカルボン酸4.5gを得た。
2−フルオロ−3−エチルベンゼンカルボン酸

1H-NMR (DMSO-d6)δ: 13.17 (1H, s), 7.68 (1H, dd, J = 10.9, 4.0 Hz), 7.55-7.51 (1H, m), 7.21 (1H, t, J = 7.6 Hz), 2.66 (2H, q, J = 7.6 Hz), 1.18 (3H, td, J = 7.6, 0.7 Hz).
【0052】
参考製造例7
参考製造例6に記載の方法に準じて、2−フルオロ−3−n−プロピルトリフルオロメチルベンゼン13g及び硫酸6.5mlを用いて2−フルオロ−3−n−プロピルベンゼンカルボン酸5.3gを得た。
2−フルオロ−3−n−プロピルベンゼンカルボン酸

1H-NMR (DMSO-d6)δ: 13.09 (1H, s), 7.68 (1H, td, J = 7.3, 1.6 Hz), 7.50 (1H, td, J = 7.1, 1.6 Hz), 7.20 (1H, t, J = 7.7 Hz), 2.62 (2H, t, J = 7.3 Hz), 1.63-1.54 (2H, m), 0.90 (3H, t, J = 7.4 Hz).
【0053】
参考製造例8
参考製造例6に記載の方法に準じて、2−フルオロ−3−n−ブチルトリフルオロメチルベンゼン17g及び硫酸18mlを用いて、2−フルオロ−3−n−ブチルベンゼンカルボン酸1.3gを得た。
2−フルオロ−3−n−ブチルベンゼンカルボン酸


1H-NMR (CDCl3) δ: 7.88-7.84 (1H, m), 7.43 (1H, td, J = 7.1, 1.9 Hz), 7.14 (1H, t, J = 7.7 Hz), 2.70 (2H, t, J = 7.7 Hz), 1.63-1.59 (2H, m), 1.43-1.33 (2H, m), 0.94 (3H, t, J = 7.4 Hz).
【0054】
参考製造例9
参考製造例6に記載の方法に準じて、2−フルオロ−3−n−ペンチルトリフルオロメチルベンゼン8.0g及び硫酸8mlを用いて、2−フルオロ−3−n−ペンチルベンゼンカルボン酸2.2gを得た。
2−フルオロ−3−n−ペンチルベンゼンカルボン酸

1H-NMR (CDCl3) δ: 7.88-7.84 (1H, m), 7.43 (1H, td, J = 7.1, 1.5 Hz), 7.15 (1H, t, J = 7.6 Hz), 2.69 (2H, t, J = 7.6 Hz), 1.67-1.59 (2H, m), 1.37-1.32 (4H, m), 0.90 (3H, t, J = 7.5 Hz).
【0055】
参考製造例10
参考製造例6に記載の方法に準じて、2−フルオロ−3−n−ヘキシルトリフルオロメチルベンゼン18g及び硫酸18mlを用いて、2−フルオロ−3−n−ヘキシルベンゼンカルボン酸1.7gを得た。
2−フルオロ−3−n−ヘキシルベンゼンカルボン酸

1H-NMR (CDCl3) δ: 7.88-7.84 (1H, m), 7.43 (1H, td, J = 7.1, 1.5 Hz), 7.14 (1H, t, J = 7.7 Hz), 2.69 (2H, t, J = 7.7 Hz), 1.66-1.58 (2H, m), 1.39-1.28 (6H, m), 0.88 (3H, t, J = 7.1 Hz).
【0056】
参考製造例11
2−フルオロ−3−エチルベンゼンカルボン酸3.1g、塩化チオニル1.8ml、DMF1滴及びトルエン50mlを80℃で1時間、次いで110℃で2時間混合した。反応混合物を室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をトルエンに混合後、ここに28%アンモニア水4ml及びTHF50mlの混合物に加え、室温で15分間攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、水を加えて酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた固体を減圧下で乾燥して3−エチル−2−フルオロ−ベンズアミド3.0gを得た。
3−エチル−2−フルオロ−ベンズアミド

1H-NMR (DMSO-d6)δ: 7.68 (1H, s), 7.58 (1H, s), 7.45 (1H, td, J = 7.3, 1.7 Hz), 7.40 (1H, td, J = 7.4, 1.8 Hz), 7.17 (1H, t, J = 7.6 Hz), 2.65 (2H, q, J = 7.5 Hz), 1.18 (3H, t, J = 7.5 Hz).
【0057】
参考製造例12
参考製造例11に記載の方法に準じて、2−フルオロ−3−n−プロピルベンゼンカルボン酸4.7g、塩化チオニル2.4ml及び28%アンモニア水12mlを用いて、2−フルオロ−3−n−プロピル−ベンズアミド4.4gを得た。
2−フルオロ−3−n−プロピル−ベンズアミド

1H-NMR (CDCl3) δ: 7.94 (1H, td, J = 7.6, 1.8 Hz), 7.35 (1H, td, J = 7.4, 1.8 Hz), 7.17 (1H, t, J = 7.7 Hz), 6.71 (1H, s), 6.03 (1H, s), 2.69-2.65 (2H, m), 1.70-1.61 (2H, m), 0.97 (3H, t, J = 7.3 Hz).
【0058】
参考製造例13
参考製造例11に記載の方法に準じて、2−フルオロ−3−n−ブチルベンゼンカルボン酸1.2g、塩化チオニル0.8ml及び28%アンモニア水4mlを用いて、2−フルオロ−3−n−プロピル−ベンズアミド4.4gを得た。
2−フルオロ−3−n−プロピル−ベンズアミド


1H-NMR (CDCl3) δ: 7.94 (1H, td, J = 7.7, 2.0 Hz), 7.35 (1H, td, J = 7.4, 1.9 Hz), 7.17 (1H, t, J = 7.7 Hz), 6.69 (1H, s), 5.79 (1H, s), 2.71-2.67 (2H, m), 1.64-1.57 (2H, m), 1.43-1.33 (2H, m), 0.95 (3H, t, J = 7.3 Hz).
【0059】
参考製造例14
参考製造例11に記載の方法に準じて、2−フルオロ−3−n−ペンチルベンゼンカルボン酸2.0g、塩化チオニル1.1ml及び28%アンモニア水3mlを用いて、2−フルオロ−3−n−ペンチルベンズアミド1.9gを得た。
2−フルオロ−3−n−ペンチルベンズアミド

1H-NMR (CDCl3)δ: 7.93 (1H, td, J = 7.6, 1.9 Hz), 7.35 (1H, td, J = 7.4, 1.9 Hz), 7.17 (1H, t, J = 7.6 Hz), 6.70 (1H, s), 5.90 (1H, s), 2.70-2.66 (2H, m), 1.66-1.58 (2H, m), 1.38-1.32 (4H, m), 0.90 (3H, t, J = 7.1 Hz).
【0060】
参考製造例15
参考製造例11に記載の方法に準じて、2−フルオロ−3−n−ヘキシルベンゼンカルボン酸1.5g、塩化チオニル0.8ml及び28%アンモニア水4mlを用いて、2−フルオロ−3−n−ヘキシルベンズアミド1.5gを得た。
2−フルオロ−3−n−ヘキシルベンズアミド

1H-NMR (CDCl3)δ: 7.94 (1H, td, J = 7.6, 2.0 Hz), 7.35 (1H, td, J = 7.4, 1.9 Hz), 7.17 (1H, t, J = 7.6 Hz), 6.69 (1H, s), 5.77 (1H, s), 2.70-2.66 (2H, m), 1.65-1.58 (2H, m), 1.37-1.28 (6H, m), 0.89 (3H, t, J = 7.0 Hz).
【0061】
参考製造例16
2−フルオロ−3−メチルベンジルブロミド1.0g、ヘキサメチレンテトラミン0.69g及びクロロホルム20mlの混合物を還流下2時間攪拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、析出した固体を濾別した。得られた固体を、エタノール2.5ml及び36%塩酸1.6mlと混合し、室温で30分間撹拌後、減圧下濃縮して再び固体を得る操作を3度繰返した。得られた固体に水を加え、次いで27%水酸化ナトリウム水溶液を加えて水層のpHを13に調節した後にメチル−t−ブチルエーテルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、炭酸カリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣にアセトニトリル及び36%塩酸0.5mlを加え、減圧下で濃縮し析出した結晶を濾別し、ヘキサンで洗浄後、減圧下で乾燥して2−フルオロ−3−メチルベンジルアミン塩酸塩0.64gを得た。
2−フルオロ−3−メチルベンジルアミン塩酸塩

1H-NMR (DMSO-d6)δ: 8.43 (3H, s), 7.36 (2H, dt, J = 24.0, 7.3 Hz), 7.15 (1H, t, J = 7.6 Hz), 4.04 (2H, d, J = 5.6 Hz), 2.26 (3H, s).
次に製剤例を示す。なお、部は重量部を表す。
【0062】
製剤例1
本発明化合物(1)〜(6)各50部、リグニンスルホン酸カルシウム 3部、ラウリル硫酸マグネシウム 2部及び合成含水酸化珪素 45部をよく粉砕混合することにより、水和剤を得る。
【0063】
製剤例2
本発明化合物(1)〜(6)各20部とソルビタントリオレエ−ト 1.5部とを、ポリビニルアルコ−ル 2部を含む水溶液 28.5部と混合し、湿式粉砕法で微粉砕した後、この中に、キサンタンガム 0.05部及びアルミニウムマグネシウムシリケ−ト 0.1部を含む水溶液 40部を加え、さらにプロピレングリコ−ル 10部を加えて攪拌混合し、フロアブル製剤を得る。
【0064】
製剤例3
本発明化合物(1)〜(6)各2部、カオリンクレー 88部及びタルク 10部をよく粉砕混合することにより、粉剤を得る。
【0065】
製剤例4
本発明化合物(1)〜(6)各5部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエ−テル 14部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム 6部及びキシレン 75部をよく混合することにより、乳剤を得る。
【0066】
製剤例5
本発明化合物(1)〜(6)各2部、合成含水酸化珪素 1部、リグニンスルホン酸カルシウム 2部、ベントナイト 30部及びカオリンクレー 65部をよく粉砕混合した後、水を加えてよく練り合せ、造粒乾燥することにより、粒剤を得る。
【0067】
製剤例6
本発明化合物(1)〜(6)各10部、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩 50部を含むホワイトカーボン 35部及び水 55部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕することにより、フロアブル製剤を得る。
【0068】
次に、本発明化合物が植物病害の防除に有用であることを試験例で示す。
なお防除効果は、調査時の供試植物上の病斑の面積を目視観察し、本発明化合物を処理した植物の病斑の面積と、無処理の植物の病斑の面積を比較することにより評価した。
【0069】
試験例1
キュウリ灰色かび病予防効果試験(Botrytis cinerea)
プラスチックポットに砂壌土を詰め、キュウリ(品種;相模半白)を播種し、温室内で12日間生育させた。本発明化合物(1)〜(4)及び(5)の各々を製剤例6に準じてフロアブル製剤とした後、水で希釈し所定濃度(200ppm)にし、上記キュウリ葉面に充分付着するように茎葉散布した。散布後植物を風乾し、キュウリ灰色かび病菌の胞子含有PDA培地をキュウリ葉面上に置いた。接種後12℃、多湿下に5日間置いた後、病斑面積を調査した。その結果、本発明化合物(1)〜(4)及び(5)を処理した植物における病斑面積は、無処理の植物における病斑面積の15%以下であった。
【0070】
試験例2
キュウリ菌核病予防効果試験(Sclerotinia sclerotiorum)
プラスチックポットに砂壌土を詰め、キュウリ(品種;相模半白)を播種し、温室内で12日間生育させた。本発明化合物(1)〜(5)及び(6)の各々を製剤例6に準じてフロアブル製剤とした後、水で希釈し所定濃度(50ppm)にし、上記キュウリ葉面に充分付着するように茎葉散布した。散布後植物を風乾し、菌核病菌の菌糸含有PDA培地をキュウリ葉面上に置いた。接種後18℃、多湿下に4日間置いた後、病斑面積を調査した。その結果、本発明化合物(1)〜(5)及び(6)を処理した植物における病斑面積は、無処理の植物における病斑面積の10%以下であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)

〔式中、R1はC1−C6直鎖状アルキル基を表す。〕
で示されるアミド化合物。
【請求項2】
1が、メチル基、ブチル基又はペンチル基である請求項1記載のアミド化合物。
【請求項3】
1が、ブチル基又はペンチル基である請求項1記載のアミド化合物。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか一項記載のアミド化合物を有効成分として含有する植物病害防除剤。
【請求項5】
請求項1〜3いずれか一項記載のアミド化合物の有効量を植物又は土壌に処理する工程を有してなる植物病害の防除方法。
【請求項6】
植物又は土壌に処理することにより、植物病害を防除するための請求項1〜3いずれか一項記載のアミド化合物の使用。
【請求項7】
式(II)

〔式中、R2はC2−C6直鎖状アルキル基を表す。〕
で示されるアミン化合物又はその塩。

【公開番号】特開2009−102255(P2009−102255A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−274873(P2007−274873)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】