説明

アミド又はチオエステルで予備鎖延長したエポキシ末端増粘剤及びその製造方法

本発明は増粘剤、特に官能性末端基を有する末端基含有ポリマーに関するものであり、前記ポリマーはポリアミン、ポリメルカプタン、(ポリ)アミノアルコール、(ポリ)メルカプトアルコール、又は(ポリ)アミノメルカプタンによって予備鎖延長されており、反応によって別の官能基を末端に有するポリマーを与える。この増粘剤は、組成物の特性を低下させる抽出物又は抽出物派生物を低い含量でしか含まない。それらはまた、高分子量付加生成物の形成がかなり低減あるいは除かれて、得られた生成物は低粘度且つ良好な貯蔵安定性を有する。式(I)のエポキシ末端ポリマーは特に好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は靭性改良剤(toughness improver)の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーはかねてから材料として用いられてきている。しかし、いくつかのポリマーは、突然の衝撃応力でポリマーマトリクスが壊れる、すなわちその靭性が低い、という問題をもっている。特にエポキシ樹脂に基づくポリマーマトリクスは非常に硬いが、多くの場合、それほど耐衝撃性がない。したがって、その耐衝撃性を向上させる試みが長く行なわれてきた。
【0003】
これは、これまで、例えば、いわゆる液状ゴムとよばれる特定のコポリマーを用いて試みられてきている。化学反応性基、例えば、ヒドロキシル、カルボキシル、ビニル、又はアミノ基を用いることによって、そのような液状ゴムをマトリクス中に化学的に組み込むことができる。例えば、かねてから、ヒドロキシル、カルボキシル、ビニル、又はアミノ基を末端に有する反応性液状ゴムのブタジエン/アクリロニトリルコポリマーが存在しており、これはHycar(登録商標)の商品名でB.F.Goodrich社又はNoveon社によって供給されている。したがって、用いられる初めに元となるものは、常にカルボキシル末端ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーであり、これに対して大過剰のジアミン、ジエポキシド、又はグリシジル(メタ)アクリレートが通常、添加される。しかし、このことは、一方で高粘度になるという影響を、他方では非常に多い量の未転化のジアミン、ジエポキシド、又はグリシジル(メタ)アクリレート(これらは複雑な方法で除去しなければならないか、そうでなければ機械特性に著しい悪影響を及ぼす)という影響をもたらす。
【0004】
しかし、多くの場合に望まれることは、さらに強化された耐衝撃性が得られ、かつ多種多様な靭性改良剤をもつことである。この方向における一つのそのような可能性は、靭性改良剤調製における、ビスフェノール類によるエポキシ末端ポリマーの鎖延長、又は高分子量エポキシ樹脂の使用にある。この場合もまた、その反応形態にしたがって、多量の未転化ビスフェノール又は多量の鎖延長されたエポキシ樹脂が生じ、これらの両方とも組成物の特性に悪影響を直ちに及ぼしうる。さらにそのような付加体は急速に、もはや液状ではなくなり、その結果としてそのような靭性改良剤を含む組成物は、しばしば、多くの場合に、もはや信頼できる方法で適用できなくなる。さらに、ビスフェノール類の使用は、低下した貯蔵安定性をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、従来技術を解決することができる、末端官能基をもつ靭性改良剤を提供することである。請求項1、10、12、及び13に記載したポリマーは、そのようなポリマーを提供する。それらは全て、請求項10に記載したカルボキシル末端ポリマーから調製でき、これは容易に入手可能なカルボキシル末端ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーから得ることができる。予めの鎖延長と末端停止のための様々な分子から生じる可能性は、広範囲の様々な靭性改良剤を可能にし、要求に合わせることを可能にする。官能基を末端に有するこのポリマーは、それらが、狭い分子量分布と、靭性改良剤として好適な分子を非常に高い割合で有するという大きな利点をもっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この利点は、請求項1、12、及び13に記載したポリマーの調製の出発点として役立つ請求項10に記載したカルボキシル末端ポリマーを調製する方法を通して、特に、請求項16に記載した末端基で末端封鎖されたポリマーを調製するための2つの工程を含む方法を通して生まれる。請求項14に記載した方法は、存在する全ての未転化の反応剤が、既に靭性改良剤として作用する物質のみであることを確実にし、さらにこの物質は、請求項1、12、又は13に記載されたポリマーへさらに導くいずれかの反応工程において反応して反応性靭性改良剤を与える。したがって、機械特性に悪影響を及ぼす極くわずかな量の化合物(これが存在したとしても)しか形成されず、それによって非常に効果の高い靭性改良剤を提供できる。予備鎖延長及びエポキシ末端化から生じる多くの可能性にもかかわらず、このポリマーは驚くほど低い粘度を有する。
【0007】
請求項1、10、12、および13に記載されたポリマーは、請求項16に記載したとおり、ポリマーマトリクスの耐衝撃性を高める手段として広く使用できる。特に好ましいのは、エポキシ樹脂マトリクス中でのそれらの使用である。
【0008】
本発明のさらなる側面は、請求項1、10、12、又は13に記載のポリマーを含む組成物、及び請求項22及び23に記載の硬化した組成物に関する。
【0009】
特に好ましいのは、そのようなポリマーを接着剤、特に熱硬化性エポキシ樹脂接着剤に用いることである。これらは非常に良好な耐衝撃性を有する。
【0010】
本発明の好ましい態様は、従属請求項の主題である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本発明を実施する方法]
第一の側面では、本発明は下記式(I)のエポキシ末端ポリマーに関する。
【0012】
【化1】

【0013】
上記式中、Rは、カルボキシル末端のブタジエン/アクリロニトリルコポリマーCTBNから、末端のカルボキシル基を取り除いた後の二価の基である。さらに、Rは、n個のXH基を有し且つポリアミン、ポリメルカプタン、(ポリ)アミノアルコール、(ポリ)メルカプトアルコール、及び(ポリ)アミノメルカプタンからなる群から選択される化合物XAVから、n個のXH基を取り除いた後の残基である。さらに、YはH又はメチルである。Rは、ジグリシジルエーテルDGEから2つのグリシジルエーテル基を取り除いた後のものである。Xは独立に、S、NHもしくはNR、又はOであり、但し、分子中の一つのXだけがOであることを条件とし、Rは1から8個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、又はアリール基であるか、あるいはRに結合している二価の基、特にアルキレン基である。最後に、nは2〜4、特に2である。
【0014】
この関連では、「グリシジルエーテル基」は、下記式:
【化2】

の基を意味すると理解され、この式のYがHである場合と並んで、本明細書においては簡単化のために、この語はYがメチルである上記式の基をもいう。
【0015】
本明細書中における物質の名称、例えば、「ポリオール」、「ポリアミン」、又は「ポリメルカプタン」の中の接頭語「ポリ」は、その特定の物質が形式的な意味で1分子当たりその名称にある官能基を1つより多く含むことを示す。
【0016】
より特に、Rは、Noveon社によってHycar(登録商標)CTBNの名称で市販されているカルボキシル末端ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーCTBNのカルボキシル基を形式的に取り除くことによって得られる基である。それは下記式(IV)の構造を有することが好ましい。
【0017】
【化3】

【0018】
この式中、破線は2つのカルボキシル基の結合部位を表す。Rは、1〜6個の炭素原子を有する、特に4個の炭素原子を有する、直鎖又は分岐状のアルキレン基であり、これは任意選択により不飽和基で置換されていてもよい。特に言及すべき態様では、置換基Rは式(VII)の置換基であり、式中、破線はここでも結合部位を表す。
【0019】
【化4】

【0020】
さらに、指数qは40〜100、特に50〜90である。さらに、標識b及びcは、ブタジエンに由来する構造要素を表し、aはアクリロニトリルに由来する構造要素を表す。次に指数x、m、及びpは、構造要素a、b、及びcの互いに対する割合を記述する値を表す。指数xは、0.05〜0.3、指数mは0.5〜0.8、指数pは0.1〜0.2を表し、但しx、m、及びpの合計が1に等しいことを条件とする。
【0021】
当業者には、式(IV)で示される構造及び、式(V’)、(V’’’)及び(VI’’’)中に示されるさらなる構造も、単純化された表現として理解されるべきであることが明らかである。単位a、b及びc、又はd及びe、又はd’及びe’は、したがって、それぞれ、ランダムに、交互に、又はブロックとして配列されていることができる。より詳細には、式(IV)は、したがって必ずしもトリブロックコポリマーではない。
【0022】
基は、n個のXH基を有し且つポリアミン、ポリメルカプタン、(ポリ)アミノアルコール、(ポリ)メルカプトアルコール、及び(ポリ)アミノメルカプタンからなる群から選択される化合物XAVからn個のXH基を除いた後のものである。
【0023】
化合物XAVには、ジアミン、トリアミン、テトラミン、ジメルカプタン、トリメルカプタン、テトラメルカプタン、及びまた(ポリ)アミノアルコール、(ポリ)アミノメルカプタン、及び(ポリ)メルカプトアルコールが含まれる。これは、n個のXH基を有する化合物XAVは、SH及び/又はOH及び/又はアミノ基を同時に有する化合物をも包含することを意味する。n個の混合XH基を有するそのような化合物XAVの例は、また、(ポリ)アミノアルコール、(ポリ)メルカプトアルコール、及び(ポリ)アミノメルカプタンの例として、チオグリコール、ジチオグリセロール、アミノエタノール、2-アミノプロパノール、3-アミノプロパノール、2-アミノ-2,2-ジメチルエタノール、2-アミノ-1-メチルエタノール、2-アミノプロパン-2-オール、及びアミノエタンチオールである。
【0024】
一つの態様では、化合物XAVはポリアミンである。そのようなポリアミンは特にジアミン又はトリアミン、好ましくは脂肪族又は脂環式のジアミン又はトリアミンである。
【0025】
ジアミンの例は以下のものである。
− 脂肪族ジアミン。例えば、エチレンジアミン、1,2-及び1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,2-プロパンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,3-及び1,4-ブタンジアミン、1,3-及び1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、2,2,4-及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン及びそれらの混合物、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、メチルビス(3-アミノプロピル)アミン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(MPMD)、1,3-ジアミノペンタン(DAMP)、2,5-ジメチル-1,6-ヘキサメチレンジアミン、脂環式ポリアミン、例えば、1,3-及び1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン、2-メチルペンタメチレンジアミン、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(= イソホロンジアミンあるいはIPDA)、2-及び4-メチル-1,3-ジアミノシクロヘキサン及びそれらの混合物、1,3-及び1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1-シクロヘキシルアミノ-3-アミノプロパン、2,5(2,6)-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(NBDA、三井化学製)、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDA)、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、ピペラジン、1-(2-アミノエチル)ピペラジン、1,3-及び1,4-キシリレンジアミン;
− エーテル含有脂肪族ポリアミン。例えば、ビス(2-アミノエチル)エーテル、4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、及びこれらの高級オリゴマー、2又は3つのアミノ基を有するポリオキシアルキレンポリアミン類、例えば、ジェファーミン(Jeffamine(登録商標))の名称(Huntsman Chemicals社)で、ポリエーテラミン(Polyetheramine)の名称(BASF社)で、又はPCアミン(PC Amine(登録商標))の名称(Nitroil社)の名称で入手可能なもの、及び前記のポリアミン類の混合物。
【0026】
そのようなトリアミンは、例えば、Huntsman Chemicals社からJeffamine(登録商標)T系列、例えば、Jeffamine(登録商標)T-3000、Jeffamine(登録商標)T-5000、又はJeffamine(登録商標)T-403として販売されている。
【0027】
好ましいジアミンは下記式(V’)の2つのアミノ基を有するポリオキシアルキレンポリアミンである。
【0028】
【化5】

【0029】
この式中、g’はプロピレンオキシドに由来する構造要素であり、h’はエチレンオキシドに由来する構造要素である。加えて、g、h、及びiはそれぞれ0〜40であり、但し、g、h、及びiの合計が1以上であることを条件とする。
【0030】
200〜5000g/モルの分子量が特に好ましい。
【0031】
Huntsman Chemicals社によってD系列及びED系列として供給されているJeffamine(登録商標)、例えば、Jeffamine(登録商標)D-230、Jeffamine(登録商標)D-400、Jeffamine(登録商標)D-2000、Jeffamine(登録商標)D-4000、Jeffamine(登録商標)ED-600、Jeffamine(登録商標)ED-900、Jeffamine(登録商標)ED-2003、又はJeffamine(登録商標)EDR-148が特に好ましい。
【0032】
さらなる態様では、化合物XAVはポリメルカプタンである。好ましいポリメルカプタンは特にジメルカプタンである。
【0033】
好適なポリメルカプタンは、例えば、ポリオールのポリメルカプトアセテートである。特に、以下のポリオールのポリメルカプトアセテートがある。
− ポリオキシアルキレンポリオール。これはポリエーテルポリオールとしても知られ、これはエチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-又は2,3-ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、又はそれらの混合物の重合生成物であり、これは場合により、2つ又は3つの活性水素原子を有する出発分子、例えば、水、又は2つもしくは3つのOH基を有する化合物を用いて重合してもよい。例えば、いわゆるダブル金属シアン化物錯体触媒(短縮してDMC触媒)を用いて調製された、低不飽和度(ASTM D−2849−69に準拠して測定され、ポリオール1g当たりの不飽和度をミリ当量で報告される(meq/g))をもつポリオキシアルキレンポリオール、又は例えば、アニオン触媒、例えば、NaOH、KOH、又はアルカリ金属アルコキシドを用いて調製された、高不飽和度をもつポリオキシアルキレンポリオールのいずれも用いることができる。特に好適な物質は、0.02meq/gより低い不飽和度と300〜20000ダルトンの範囲の分子量をもつポリオキシプロピレンジオール及びトリオール、ポリオキシブチレンジオール及びトリオール、400〜8000ダルトンの分子量をもつポリオキシプロピレンジオール及びトリオール、並びにいわゆる「EO末端キャップされた」(エチレンオキシド末端キャップ)ポリオキシプロピレンジオール又はトリオールである。後者は、例えば、ポリプロポキシル化が終了したときに純粋なポリオキシプロピレンポリオールをエチレンオキシドでアルコキシル化することによって得られ、したがって、一級水酸基を有する、特別なポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオールである。
【0034】
− ヒドロキシ末端ポリブタジエンポリオール、例えば、1,3-ブタジエン及びアリルアルコールを重合することによって、又はポリブタジエンを酸化することによって得られるもの、並びにそれらの水素化生成物。
【0035】
− スチレン-アクリロニトリルグラフト化ポリエーテルポリオール。例えば、Elastogran社によってLupranol(登録商標)の名称で供給されているもの。
【0036】
− ポリエステルポリオール。例えば、2〜3官能アルコール(例えば、1,2-エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパン、または前記アルコール類の混合物)と、有機ジカルボン酸又はそれらの無水物もしくはエステル(例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及びヘキサヒドロフタル酸、又は前記の酸類の混合物)から得られるもの、及びラクトン類、例えば、ε-カプロラクトンから形成されるポリエステルポリオール。
【0037】
− ポリカーボネートポリオール。例えば、ポリエステルポリオールを形成するための用いられる上述したアルコール類を、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、又はホスゲンと反応させることによって得られるものなど。
【0038】
− 1,2-エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール(=2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール)、ジペンタエリスリトール(=3-(3-ヒドロキシ-2,2-ビスヒドロキシメチルプロポキシ)-2,2-ビスヒドロキシメチルプロパン-1-オール)、グリセロール(=1,2,3-プロパントリオール)、トリメチロールプロパン(=2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール)、トリメチロールエタン(=2-(ヒドロキシメチル)-2-メチル-1,3-プロパンジオール)、ジ(トリメチロールプロパン)(=3-(2,2-ビス(ヒドロキシメチル)ブトキシ)-2-エチル-2-ヒドロキシメチルプロパン-1-オール)、ジ(トリメチロールエタン)(=3-(3-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-2-メチルプロポキシ)-2-ヒドロキシメチル-2-メチルプロパン-1-オール)、ジグリセロール(=ビス(2,3-ジヒドロキシプロピル)エーテル)。
【0039】
− 二量化脂肪酸の還元によって得られるポリオール類。
【0040】
特に好ましいものは、グリコールジメルカプトアセテート、トリメチロールプロパントリメルカプトアセテート、及びブタンジオールジメルカプトアセテートである。
【0041】
最も好ましいポリメルカプタン類は、下記式(V’’)のジメルカプタン類であると考えられる。
【0042】
【化6】

【0043】
この式中、yは1〜45、特に5〜23である。好ましい分子量は、800〜7500g/モル、特に1000〜4000g/モルである。
【0044】
そのようなポリメルカプタンは、Toray Fine Chemicals社からThiokol(登録商標)LP系列として市販されている。
【0045】
上述したR基は、ジグリシジルエーテルDGEから2つのグリシジルエーテル基を取り除いたものである。
【0046】
一つの態様では、ジグリシジルエーテルDGEは、脂肪族又は脂環式のジグリシジルエーテル、特に、二官能の飽和もしくは不飽和の、分岐もしくは非分岐の、環式もしくは開鎖(オープンチェーン)のC〜C30アルコールのジグリシジルエーテル、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、オクタンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルである。
【0047】
より特に、ジグリシジルエーテルDGEは、第一に、脂肪族又は脂環式ジグリシジルエーテル、特に、下記式(VI’’)又は(VI’’’)のジグリシジルエーテルである。
【0048】
【化7】

【0049】
これらの式中、rは1〜9、特に3又は5である。さらに、qは0〜10であり、tは0〜10であり、但し、qとtの合計が1以上であることを条件とする。最後に、dはエチレンオキシドに由来する構造要素であり、eはプロピレンオキシドに由来する構造要素である。したがって、式(VI’’’)は、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、及び(ポリ)エチレングリコール/プロピレングリコールジグリシジルエーテルであり、単位d及びeは、ブロック、交互、又はランダムに配列されることができる。
【0050】
特に好適な脂肪族又は脂環式ジグリシジルエーテルは、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、又はヘキサンジオールジグリシジルエーテルである。
【0051】
さらなる態様では、ジグリシジルエーテルDGEはエポキシ樹脂である。このエポキシ樹脂は、液状エポキシ樹脂又は固体エポキシ樹脂であることができる。
【0052】
「固体エポキシ樹脂」の用語は、エポキシ技術分野の当業者に周知であり、「液状エポキシ樹脂」と対比して使われる。固体樹脂のガラス転移温度は室温より高く、すなわち、それらは室温で自由に流動する粉末にまで細かく粉砕できる。
【0053】
好ましい固体エポキシ樹脂は下記(VIII)式を有する。
【0054】
【化8】

【0055】
この式中、置換基R、R、及びYはそれぞれ独立に、H又はCHである。さらに、指数S1は1.5より大きく、特に2〜12である。
【0056】
本明細書中、置換基、残基、又は基と関連しての「独立に」の用語の使用は、同じ記号をもつ置換基、残基、又は基が、同じ分子内で同時に異なる定義で現れることができると解釈されるべきである。
【0057】
そのような固体エポキシ樹脂は、例えば、Dow社、Huntsman社、又はHexion社から市販されている。
【0058】
1〜1.5の指数S1をもつ式(VIII)の化合物は、当業者によって、半固体エポキシ樹脂(semisolid epoxy resin)と言われている。本発明に対しては、それらは同様に固体樹脂であると考えられる。しかし、好ましい固体エポキシ樹脂は狭い意味における固体エポキシ樹脂であり、すなわち、指数S1が1.5より大きな値を有する。
【0059】
好ましい液状エポキシ樹脂は下記式(IX)を有する。
【0060】
【化9】

【0061】
この式中、置換基R、R、及びYはそれぞれ独立に、H又はCHである。さらに、指数S1は0〜1の値を有する。S1が0.2未満の値を有することが好ましい。
【0062】
したがって、これらは好ましくは、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、及びビスフェノールA/Fのジグリシジルエーテル(「A/F」の記号はここでは製造において反応剤として用いられるアセトンとホルムアルデヒドとの混合物をいう)である。そのような液状樹脂は、例えば、Araldite(登録商標)GY 250、Araldite(登録商標)PY 304、Araldite(登録商標)GY 282(Huntsman社)、又はD.E.R.(登録商標)331もしくはD.E.R.(登録商標)330(Dow社)、又はEpikote 828(Hexion社)として入手可能である。
【0063】
さらに、ジグリシジルエーテルDGEは、エポキシ化されたノボラックであってもよい。
【0064】
さらに特に好ましい態様では、ジグリシジルエーテルDGEは、2つのジグリシジルエーテル基を取り除いた後でRに対応して下記式(VI)又は(VI’)を有するジグリシジルエーテルである。
【0065】
【化10】

【0066】
これらの式中、R’、R’’、及びR’’’はそれぞれ独立に、H、メチル、又はエチルであり、zは0又は1であり、sは0又は0.1〜12である。
【0067】
特に好ましいジグリシジルエーテルDGEはビスフェノールFジグリシジルエーテルである。
【0068】
式(I)のエポキシ末端ポリマーは以下のように調製できる:
第一の工程(「予備鎖延長」)では、式HOOC-R-COOHのカルボキシル末端ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーCTBNと、XH基を有する化合物XAVとを、ある化学量論比(n’≧n)のHOOC-R-COOHを用いて、下記式(II)のカルボキシル末端ポリマーを調製する。
【0069】
【化11】

【0070】
この反応のためには、XH基を有する化合物XAVとHOOC-R-COOHとを、XH基に対するCOOH基の化学量論比[COOH]/[XH]が2以上となる量で用いる。
【0071】
この比が2である(n’=nに対応する)場合、より高分子量のものが高い割合に向かう傾向となり、これは式(II)のカルボキシル末端ポリマーの、あるいは式(I)のエポキシ末端ポリマーの顕著な粘度の上昇をもたらすおそれがあり、これはいくらかの状況下で問題を引き起こすおそれがある。2未満(<2)の比(n’<nに対応する)、特に2よりかなり小さい(<<2)比の場合、この問題は非常に顕著に大きくなる。したがって、2より大きな(>2)値がこの比として好ましい。典型的には、4より大きな値、特に2よりかなり大きな(>>2)値(n’>>nに対応する)が、非常に好ましい。これらの場合には、反応混合物は、かなり多い量の未転化のHOOC-R-COOHを含む。しかし、このことは、以下に議論するように、どのようなさらなる問題も引き起こさない。
【0072】
当業者には、XH基を有する化合物XAV及び/又は式HOOC-R-COOHのカルボキシル末端ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーCTBNの混合物を用いることができることも明らかである。
【0073】
第二の工程(「停止(termination)」)では、式(II)のカルボキシル末端ポリマーと式(III)のジグリシジルエーテルDGEを、化学量論的過剰量(n’’≧n)のジグリシジルエーテルDGEを用いて、下記式(I)のエポキシ末端ポリマーを調製する。
【0074】
【化12】

【0075】
この反応のためには、式(II)のポリマーと式(III)のジグリシジルエーテルとを、COOH基に対するジグリシジルエーテル基の化学量論比:
【化13】

が2以上となるような、互いに対する量で用いる。
【0076】
この比が2である場合(n’’=nに相当する)、より高分子量のものの割合が大きくなり、これは式(I)のエポキシ末端ポリマーの顕著に高い粘度をもたらすおそれがあり、このことはいくらかの状況下で問題を引き起こすおそれがある。2より小さな比(n’<nに対応する)、特に2よりかなり小さい比(<<2)では、この問題は非常に大きくなる。したがって、この比として2より大きな値(>2)が好ましい。典型的には、4より大きな値(>4)、特に2よりかなり大きな値(>>2)(n’’>>nに対応する)が非常に好ましい。
【0077】
第一の工程からの未転化のカルボキシル末端ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーCTBN(HOOC-R-COOH)がこの第二の工程の開始時に反応混合物中になお存在する場合には、それは第二の工程で反応して、従来技術によって公知の下記式(X)のエポキシ末端ポリマーを与える。
【0078】
【化14】

【0079】
この方法では、耐衝撃性改良剤として用いることができる最大数のエポキシ末端ポリマーが最終的な混合物中に存在することを確実にすることができる。より特に、従来技術の方法とは対照的に、適用特性の悪化、特に高粘度をもたらす大きな分子量分布となることを防ぐことができる。
【0080】
当業者には、式(II)のカルボキシル末端ポリマー類及び/又は式(III)のジグリシジルエーテル類DGEの混合物を用いることもできることが明らかである。そのような調製の様式では、式(I)のエポキシ末端ポリマー類の混合物はその場で生成する。
【0081】
第一の工程では、エステル、アミド、又はチオエステルが形成される一方で、エステルが第二の工程で形成される。
【0082】
アルコール、アミン、又はメルカプタンとカルボン酸との、あるいはグリシジルエーテルとカルボン酸とのそのような反応は、当業者に公知であり、それらの反応条件も同様である。より詳細には、この反応は昇温して、かつ場合によっては触媒の影響下で行うことができる。
【0083】
アミド形成のためには、特に高温と、チタン酸触媒、例えば、n-ブチルチタネートが好ましい。エステル化で形成される水は、大気圧下あるいは減圧下で反応混合物から除去することができる。反応混合物の上又はその中を通してガスを流すこともできる。用いるガス流は、例えば、空気又は窒素であってよい。
【0084】
カルボキシル末端ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーCTBNを用いたポリ(アミノアルコール)又はポリ(メルカプトアルコール)のエステル化は、昇温して、特にエステル化触媒の影響下、特に酸の影響下で行うことが好ましい。そのような酸は、好ましくは、硫酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、リン酸、又は亜リン酸である。硫酸が好ましい。エステル化で生じた水は、大気圧下、あるいは減圧下で反応混合物から除去することができる。反応混合物の上又はその中を通るガス流を行うこともできる。ガス流は、例えば、空気又は窒素であってよい。
【0085】
カルボキシル末端ポリマーによるジグリシジルエーテルDGEのエステル化は、好ましくは高温で、典型的には100℃、好ましくは約140℃の温度で、且つ場合によって触媒を用い、かつ好ましくは保護ガス下で行われる。そのような触媒の例は、トリフェニルホスフィン、三級アミン、四級ホスホニウム塩又は四級アンモニウム塩である。
【0086】
下記式(II)のカルボキシル末端ポリマーは、したがって、本発明のさらなる側面を形作る。式(II)に示される基及び指数の定義、選択肢、及び好ましい態様は、式(I)のエポキシ末端ポリマーについて詳細に既に上述したものに対応する。
【0087】
本発明のさらなる側面は、式R(XH)で表されるXH基を有する化合物XAVと、式HOOC-R-COOHのカルボキシル末端ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーCTBNとの反応によって、式(II)のカルボキシル末端ポリマーを調製する方法であって、この方法は、R(XH)及びHOOC-R-COOHを、XH基に対するCOOH基の化学量論比[COOH]/[XH]が2以上に対応した互いに対する量で、この反応に用いることを特徴とする。この方法は既に本明細書中で上に詳細に説明している。
【0088】
本発明のさらなる側面は、下記式(II)のカルボキシル末端ポリマーと下記式(III)のジグリシジルエーテルDGEとの反応による、式(I)のエポキシ末端ポリマーの調製方法であって、この方法は、下記式(II)のポリマーと下記式(III)のジグリシジルエーテルを、COOH基に対するグリシジルエーテル基の化学量論比:
【化15】

が2以上に対応した互いに対する量で、この反応に用いることを特徴とする。
【0089】
【化16】

【0090】
この方法は既に本明細書中で上に詳細に説明している。
【0091】
式(I)のエポキシ末端ポリマーをさらに反応させうることは当業者に明らかである。例えば、より特に、ポリフェノールを用いた、特にビスフェノール、例えばビスフェノールAを用いた鎖延長は、いくつかの状況下で、例えば以下の式(XIII)及び(XIV)で表される、より高分子量のエポキシ末端ポリマー又はフェノール末端ポリマーを得るために非常に有用である。
【0092】
【化17】

【0093】
これらの式中、指数fは0又は1である。RはここではH又はアルキル又はアルケニル基、特にアリル基である。
【0094】
さらなる側面は、式(II)のカルボキシル末端ポリマーと、ジアミン又は(メタ)アクリレート官能性アルコール又はグリシジルエーテル官能性(メタ)アクリレートとから形成される反応生成物であり、これは、以下の図式的反応スキームにしたがって、式(XI)、(XI’)、及び(XI’’)のアミン末端ポリマー、又は式(XII)及び(XII’)の(メタ)アクリレート末端ポリマーを特にもたらす。
【0095】
【化18】

【0096】
【化19】

【0097】
【化20】

【0098】
これらの式中、RはH又はメチルであり、Rは二価の基、特に、アルキレン、シクロアルキレン、又は(ポリ)オキシアルキレン基である。ジアミン類である、1-(2-アミノエチル)ピペラジン(DA1)又は2-メチルペンタメチレンジアミン(DA2)又は1,2-ジアミノシクロヘキサン(DA3)、及びグリシジル(メタ)アクリレート(GMA)及びヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート(HMA)は、それぞれ化学量論的過剰量で用いられ、すなわち、k、k’、k’’、k’’’、及びk’’’’はそれぞれnよりも大きい。
【0099】
アミド及びエステルの形成のための反応条件は文献公知であり、これらの反応生成物、特に式(XI)、(XI’)、(XI’’)、(XII)、及び(XII’)の合成に適用することができる。
【0100】
本発明のさらなる側面は、したがって、下記式(XV):
【化21】

の、末端基を有するポリマーの調製方法であって、その方法は以下の2つの工程を含む。
a)予備鎖延長(pre-extension)、すなわち、XH基を有し且つ式R(XH)の化合物XAVを、化学量論的過剰量の式HOOC-R-COOHのカルボキシル末端ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーCTBNと反応させて、既に上述した式(II)のカルボキシル末端ポリマーを得る反応であって、XH基を有する化合物XAVとHOOC-R-COOHとを、XH基に対するCOOH基の比[COOH]/[XH]が2以上となる互いに対する量で用いる方法での反応。ここで、XH基を有する化合物XAVと、式HOOC-R-COOHのカルボキシル末端ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーCTBNは、既に上述したように選択されるべきである。
b)停止(termination)、すなわち、式(II)のカルボキシル末端ポリマーと、ジグリシジルエーテル又はジアミン又は(メタ)アクリレート官能性アルコール又はグリシジルエーテル官能性(メタ)アクリレートとを反応させる工程であって、そのジグリシジルエーテル又はジアミン又は(メタ)アクリレート官能性アルコール又はグリシジルエーテル官能性(メタ)アクリレートと、式(II)のカルボキシル末端ポリマーとを、式(II)のカルボキシル末端ポリマーの分子のCOOH基当たり1モルのジグリシジルエーテル又はジアミン又は(メタ)アクリレート官能性アルコール又はグリシジルエーテル官能性(メタ)アクリレートに相当する互いに対する量で用いる方法で反応させる工程。
【0101】
ここで式(XV)中、R10は二価の基であり、Qは、下記式(XVI)、(XVI’)、(XVI’’)及び-NHからなる群から選択される末端基である。
【0102】
【化22】

【0103】
但し、
が-NH又は式(XVI’’)である場合には、Qは-NH-であり、
が式(XVI’)である場合には、Qは-O-又は式(XVII)であり、
が式(XVI)である場合には、Qは式(XVII)であることを条件とする。
【0104】
式(XV)の末端基を有するポリマーは、特に、上述した、式(I)のエポキシ末端ポリマー、式(II)のカルボキシル末端ポリマー、式(XI)、(XI’)、又は式(XI’’)のアミン末端ポリマー、及び式(XII)又は(XII’)の(メタ)アクリレート末端ポリマーであると考えられる。
【0105】
そのようにして調製された式(II)のカルボキシル末端ポリマー、及び記載した式(XV)の末端基を有するポリマー、特に、式(I)のエポキシ末端ポリマー、式(XI)、(XI’)、又は(XI’’)のアミン末端ポリマー、及び式(XII)又は(XII’)の(メタ)アクリレート末端ポリマーは、ポリマーマトリクスの耐衝撃性を増大させる手段として用いることができ、いわゆる耐衝撃性改良剤として有用である。
【0106】
式(II)のカルボキシル末端ポリマーと、式(XV)の末端基を有するポリマー、特に式(I)のエポキシ末端ポリマー、式(XI)、(XI’)、又は(XI’’)のアミン末端ポリマー、及び式(XII)又は(XII’)の(メタ)アクリレート末端ポリマーは、室温で液状又は粘稠乃至高粘度であることが好ましい。これらは、少なくとも60℃の温度で従来の手段によって加工可能であることが好ましい。最も好ましくは、それらは少なくとも60℃で、注ぐことができる、あるいは少なくとも蜂蜜状の稠度である。それらが高粘度又は固体である場合には、それらは任意選択により、溶媒又は樹脂、例えば、液状エポキシ樹脂中に、溶解、乳化、又は分散させてもよい。
【0107】
式(I)、(II)、(XI)、(XI’)、(XI’’)、(XII)、及び(XII’)のこれらのポリマーは、架橋性組成物、特にこれらのポリマーが反応によって組み込まれることができるシステム中に用いることが好ましい。これらのポリマーが用いられる組成物に関する問題は、したがって、特にポリマーマトリクスに左右される。例えば、特に、フリーラジカル開始又は紫外線開始重合反応によってポリマーマトリクスに架橋する(メタ)アクリレート又は不飽和ポリエステル樹脂に、式(XII)又は(XII’)の(メタ)アクリレート末端ポリマーを用いることが好ましい。
【0108】
式(I)のエポキシ末端ポリマー及び式(II)のカルボキシル末端ポリマー及び式(XI)、(XI’)、又は式(XI’’)のアミン末端ポリマーは、エポキシ樹脂組成物に用いることが好ましい。
【0109】
式(I)のエポキシ末端ポリマーの場合、これらはエポキシ樹脂Aが存在する成分中に用いることが好ましい。エポキシ樹脂Aは、式(IX)の液状エポキシ樹脂、又は式(VIII)の固体エポキシ樹脂であってよい。一つの態様では、この組成物は、エポキシ樹脂Aと並んで、エポキシ樹脂用の硬化剤Bを含み、この硬化剤は昇温により活性化される。そのような組成物は、特に熱硬化性エポキシ樹脂接着剤として用いられ、熱活性化可能な硬化剤Bの熱活性化よりも高い温度に加熱する過程で硬化して、硬化した組成物を形成する。
【0110】
式(II)のカルボキシル末端ポリマーの場合は、それらは同様に、エポキシ樹脂Aが存在する成分中に用いることができる。
【0111】
しかし、式(II)のカルボキシル末端ポリマー又は式(XI)、(XI’)、又は(XI’’)のアミノ末端ポリマーの場合は、それらは硬化剤成分中でも用いることができる。そのような硬化剤成分は、エポキシ樹脂用硬化剤、例えば、ポリアミン又はポリメルカプタンを含む。その2成分を混合する結果として、それらは特に室温においても互いに反応して硬化した組成物を形成する。
【0112】
そのような組成物は広く用いることができる。その例は、接着剤、シーラント、コーティング、発泡体、構造発泡体、塗料、注入樹脂、又は被覆剤である。それらは、例えば、建築又は土木工学に、工業製品又は消費者製品の製造又は修理に用いることができる。それらは、接着剤、特に車体構築、及び窓、屋内電気器具、又は輸送の態様、例えば、水用又は陸用乗り物、好ましくは、自動車、バス、トラック、列車、又は船舶を製造するための接着剤として、あるいは工業生産又は修理において、接合部(ジョイント)、継ぎ目、又は空洞を封止するためのシーラントとして用いることが特に好ましい。
【0113】
特に好ましくは、そのような組成物は、耐衝突性接着剤として、特に、輸送手段の構築のために、好ましくは輸送手段の構築のOEM部門において用いられる。
【0114】
加えて、好ましくは、そのような組成物は、建築及び土木工学のための構造接着剤として、又は大きな応力がかかりうる工業用コーティング剤として用いられる。
【実施例】
【0115】
[実施例]
【表1】

【0116】
〔カルボキシル末端ポリマーの調製〕
[ヘキサンジチオールでの予備鎖延長](「CTBN-HDT-CTBN」)
300.0 g(171 meqのCOOH)のカルボキシル末端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー(Hycar(登録商標)CTBN 1300X13)、3.22 gの1,6-ヘキサンジチオール(42.8 meqのSH)、及び1.0 gのp-トルエンスルホン酸・一水和物(5.3 meq)を、撹拌機、窒素注入口、及び真空への連結部を備えたフランジ接続型フラスコ中に量り取った。この混合物を穏やかな減圧下で150℃にて4時間にわたって一定質量になるまで撹拌した。粘稠な物が得られ、酸価は約24.6 mg/g KOH(約439 meq/kg)だった。触媒は中和しなかった。こうして得られた生成物はCTBN1と名付けた。
【0117】
[ヘキサンジアミンでの予備鎖延長](「CTBN-HDA-CTBN」)
300.0 g(171 meqのCOOH)のカルボキシル末端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー(Hycar(登録商標)CTBN 1300X13)、1.76 gの1,6-ヘキサンジアミン(28.5 meqのNH2)、及び3.0 gのn-ブチルチタネートを、撹拌機、窒素注入口、及び真空への連結部を備えたフランジ接続型フラスコ中に量り取った。この混合物を穏やかな減圧下で180℃にて4時間にわたって一定質量になるまで撹拌した。粘稠な物が得られ、酸価は約26.2 mg/g KOH(約468 meq/kg)だった。こうして得られた生成物はCTBN2と名付けた。
【0118】
〔エポキシ末端ポリマーの調製〕
[BFDGEでの末端処理](「BFDGE-CTBN-HDT-CTBN-BFDGE」)
100 g(約42.2 meqのCOOH)のCTBN1及び150.0 g(822 meqのエポキシ)のEpilox F 17-00を、撹拌機、窒素注入口、及び真空への連結部を備えたフランジ接続型フラスコ中に量り取った。この混合物を、約3.35 eq/kgのエポキシ含量をもつ粘稠なエポキシ樹脂が得られるまで、穏やかな減圧下で180℃にて3時間にわたって撹拌した。こうして得られた生成物はETBN1と名付けた。
【0119】
[BADGEでの末端処理](「BADGE-CTBN-HDA-CTBN-BADGE」)
100 g(約46.8 meqのCOOH)のCTBN2及び150.0 g(810 meqのEP)のD.E.R. 331を、撹拌機、窒素注入口、及び真空への連結部を備えたフランジ接続型フラスコ中に量り取った。この混合物を、約3.05 eq/kgのエポキシ含量をもつ粘稠なエポキシ樹脂が得られるまで、穏やかな減圧下で180℃にて3時間にわたって撹拌した。こうして得られた生成物はETBN2と名付けた。
【0120】
[ビスフェノールAを用いて後鎖延長したETBN1](「BFDGE-CTBN-HDT-CTBN-BFDGE-BPA-BFDGE-CTBN-HDT-CTBN-BFDGE」)
150 g(約503 meqのエポキシ)のETBN1及び7.5 g(約66 meqのOH)のビスフェノールAを、撹拌機、窒素注入口、及び真空への連結部を備えたフランジ接続型フラスコ中に量り取った。この混合物を、約2.77 eq/kgのエポキシ含量をもつ粘稠なエポキシ樹脂が得られるまで、穏やかな減圧下で180℃にて3時間にわたって撹拌した。こうして得られた生成物はETBN3と名付けた。
【0121】
[BADGEを末端に有するCTBN(比較)](「BADGE-CTBN-BADGE」)
100 g(約57 meqのCOOH)のカルボキシル末端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー(Hycar(登録商標) CTBN 1300X13)及び150.0 g(810 meqのEP)のD.E.R. 331を、撹拌機、窒素注入口、及び真空への連結部を備えたフランジ接続型フラスコ中に量り取った。この混合物を、約2.99 eq/kgのエポキシ含量をもつ粘稠なエポキシ樹脂が得られるまで、穏やかな減圧下で180℃にて3時間にわたって撹拌した。こうして得られた生成物はRef.ETBNと名付けた。
【0122】
〔耐衝撃性改良剤としての効果〕
エポキシ末端ポリマーETBN1、ETBN2、及びETBN3は、熱硬化性エポキシ樹脂接着剤において、比較ポリマーRef.ETBNと比べて大きな耐衝撃性の向上を示した。
【0123】
〔組成物例〕
表1にしたがって、接着剤組成物Z1、Z2、Z3、及び比較組成物ZRef1を以下のように調製した。
プラネタリーミキサーに最初にジシアンジアミド以外の全ての成分を投入し、90〜100℃で減圧下にて1時間撹拌し、次にジシアンジアミドを添加し、さらに10分間の撹拌の後、混合物をカートリッジに移した。
【0124】
[PUプレポリマーPUPrepの調製]
150 gのPoly-THF 2000(BASF社、OH価 57 mg/g KOH)及び150 gのLiquiflex H(Krahn社、ヒドロキシル末端ポリブタジエン、OH価 46 mg/g KOH)を、105℃にて減圧下で30分間乾燥させた。一度、温度を90℃に下げて、61.5 gのイソホロンジイソシアネートと0.14 gのジブチルスズジラウレートを添加した。反応を90℃にて減圧下で、NCO含量が2時間後に3.10%で一定になるまで行った(計算されたNCO含量: 3.15%)。次に、96.1 gのカルダノール(cardanol, Cardolite NC-700, Cardolite社)をブロック化剤として添加した。NCO含量が3.5時間後に0.1%未満になるまで、この混合物をさらに105℃にて減圧下で撹拌した。そして生成物はPUPrepとして用いた。
【0125】
〔試験法〕
[引張強度(TS)(DIN EN ISO 527)]
組成物のサンプルを2枚のテフロン(登録商標)ペーパーの間に2 mmの層の厚さに押しつけた。次に、この組成物を180℃にて30分間にわたって硬化させた。テフロン(登録商標)ペーパーを取り除き、熱い状態でDIN規格にしたがって試験体を打ち抜いた。1日の貯蔵後、この試験体を、標準気候条件下で、2 mm/分の引張速度で分析した。
引張強度(「TS」)は、DIN EN ISO 527に準拠して測定した。
【0126】
[破断に対する力学的抵抗(ISO 11343)]
上述した組成物と、90×20×0.8 mmの寸法の電気亜鉛メッキしたDC04スチール(eloZn)とから試験体を作製した。接着剤領域は、0.3 mmの層厚さで20×30 mmだった。硬化は180℃で30分間行った。破断に対する力学的抵抗は、それぞれの場合に、室温及びマイナス30℃で測定した。衝撃速度は2 m/sだった。破壊エネルギー(FE)(ジュール単位で表す)は、測定曲線の下の面積である(25%〜90%、ISO 11343に準拠)。
【0127】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)のエポキシ末端ポリマー:
【化1】

(式中、Rは、カルボキシル末端のブタジエン/アクリロニトリルコポリマーCTBNから、末端のカルボキシル基を取り除いた後の二価の基であり;
は、n個のXH基を有し且つポリアミン、ポリメルカプタン、(ポリ)アミノアルコール、(ポリ)メルカプトアルコール、及び(ポリ)アミノメルカプタンからなる群から選択される化合物XAVから、n個のXH基を取り除いた後の残基であり;
は、ジグリシジルエーテルDGEから2つのジグリシジルエーテル基を取り除いた後のものであり;
はH又はメチルであり;
Xは独立に、S、NHもしくはNR、又はOであり、但し、分子中の一つのXだけがOであることを条件とし、Rは、1から8個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、又はアリール基であるか、あるいはRに結合している二価の基、特にアルキレン基であり;
nは2〜4、好ましくは2である。)
【請求項2】
が下記式(IV):
【化2】

(式中、破線は2つのカルボキシル基の結合部位を表し;
b及びcは、ブタジエンに由来する構造要素を表し、且つ、aはアクリロニトリルに由来する構造要素を表し;
Rは、1〜6個の炭素原子を有する、特に4個の炭素原子を有する、直鎖又は分岐状のアルキレン基であり、これは任意選択により不飽和基で置換されていてもよく;
qは40〜100、特に50〜90であり;
xは0.05〜0.3、mは0.5〜0.8、pは0.1〜0.2であり、但しx+m+p=1であることを条件とする。)
を有することを特徴とする、請求項1記載のエポキシ末端ポリマー。
【請求項3】
が、任意選択により酸素、窒素、又は硫黄原子を有していてもよい二価の脂肪族、脂環式、又は芳香族の有機基であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のエポキシ末端ポリマー。
【請求項4】
XH基を有する化合物XAVが、2つ又は3つのアミノ基を有するポリオキシアルキレンポリアミン、特に下記式(V’)のポリオキシアルキレンポリアミンであることを特徴とする、請求項1、2、又は3に記載のエポキシ末端ポリマー。
【化3】

(式中、g’はプロピレンオキシドに由来する構造要素であり、h’はエチレンオキシドに由来する構造要素であり、g、h、及びiはそれぞれ0〜40であり、但し、g、h、及びiの合計が1以上であることを条件とする。)
【請求項5】
XH基を有する化合物XAVがポリメルカプタン、特に式(V’’)のポリメルカプタンであることを特徴とする、請求項1、2、又は3に記載のエポキシ末端ポリマー。
【化4】

(式中、yは1〜45、特に5〜23である。)
【請求項6】
が下記式(VI)又は(VI’)を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエポキシ末端ポリマー。
【化5】

(式中、R’、R’’、及びR’’’はそれぞれ独立に、H、メチル、又はエチルであり、zは0又は1であり、sは0又は0.1〜12である。)
【請求項7】
前記ジグリシジルエーテルDGEがビスフェノールFジグリシジルエーテルであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のエポキシ末端ポリマー。
【請求項8】
前記ジグリシジルエーテルDGEが、脂肪族又は脂環式ジグリシジルエーテル、特に、下記式(VI’’)又は(VI’’’)のジグリシジルエーテルであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエポキシ末端ポリマー。
【化6】

(式中、rは1〜9であり、
dはエチレンオキシドに由来する構造要素であり、eはプロピレンオキシドに由来する構造要素であり、
qは0〜10であり、tは0〜10であり、但し、qとtの合計が1以上であることを条件とする。)
【請求項9】
前記ジグリシジルエーテルDGEが、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、又はヘキサンジオールジグリシジルエーテルであることを特徴とする、請求項8に記載のエポキシ末端ポリマー。
【請求項10】
下記式(II)のカルボキシル末端ポリマー。
【化7】

(式中、Rは、カルボキシル末端のブタジエン/アクリロニトリルコポリマーCTBNから、末端のカルボキシル基を取り除いた後の二価の基であり;
は、n個のXH基を有し且つポリアミン、ポリメルカプタン、(ポリ)アミノアルコール、(ポリ)メルカプトアルコール、及び(ポリ)アミノメルカプタンからなる群から選択される化合物XAVから、n個のXH基を取り除いた後の残基であり;
Xは独立に、S、NHもしくはNR、又はOであり、但し、この分子中の一つのXだけがOであることを条件とし、Rは、1から8個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、又はアリール基であるか、あるいはRに結合している二価の基、特にアルキレン基であり;
nは2〜4、好ましくは2である。)
【請求項11】
が下記式(IV)を有することを特徴とする、請求項10に記載のカルボキシル末端ポリマー。
【化8】

(式中、破線は2つのカルボキシル基の結合部位を表し;
b及びcは、ブタジエンに由来する構造要素を表し、aはアクリロニトリルに由来する構造要素を表し;
Rは、1〜6個の炭素原子を有する、特に4個の炭素原子を有する、直鎖又は分岐状のアルキレン基であり、これは任意選択により不飽和基で置換されていてもよく;
qは40〜100、特に50〜90であり;
x=0.05〜0.3、m=0.5〜0.8、p=0.1〜0.2であり、但しx+m+p=1であることを条件とする。)
【請求項12】
下記式(XI)又は(XI’)又は(XI’’)のアミン末端ポリマー。
【化9】

(式中、Rは、カルボキシル末端のブタジエン/アクリロニトリルコポリマーCTBNから、末端のカルボキシル基を取り除いた後の二価の基であり;
は、n個のXH基を有し且つポリアミン、ポリメルカプタン、(ポリ)アミノアルコール、(ポリ)メルカプトアルコール、及び(ポリ)アミノメルカプタンからなる群から選択される化合物XAVから、n個のXH基を取り除いた後の残基であり;
Xは独立に、S、NHもしくはNR、又はOであり、但し、この分子中の一つのXだけがOであることを条件とし、Rは、1から8個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、又はアリール基であるか、あるいはRに結合している二価の基、特にアルキレン基であり;
nは2〜4、好ましくは2である。)
【請求項13】
下記式(XII)又は(XII’)の(メタ)アクリレート末端ポリマー。
【化10】

(式中、Rは、カルボキシル末端のブタジエン/アクリロニトリルコポリマーCTBNから、末端のカルボキシル基を取り除いた後の二価の基であり;
は、n個のXH基を有し且つポリアミン、ポリメルカプタン、(ポリ)アミノアルコール、(ポリ)メルカプトアルコール、及び(ポリ)アミノメルカプタンからなる群から選択される化合物XAVから、n個のXH基を取り除いた後の残基であり;
Xは独立に、S、NHもしくはNR、又はOであり、但し、この分子中の一つのXだけがOであることを条件とし、Rは、1から8個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、又はアリール基であるか、あるいはRに結合している二価の基、特にアルキレン基であり;
はH又はメチルであり;
は二価の基、特に、アルキレン、シクロアルキレン、又は(ポリ)オキシアルキレン基であり;
nは2〜4、好ましくは2である。)
【請求項14】
式R(XH)で表されるXH基を有する化合物XAVと、式HOOC-R-COOHのカルボキシル末端ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーCTBNとの反応によって、請求項10又は11に記載のカルボキシル末端ポリマーを調製する方法であって、R(XH)及びHOOC-R-COOHを、XH基に対するCOOH基の化学量論比[COOH]/[XH]が2以上に対応した互いに対する量で、この反応に用いることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項10又は11に記載した下記式(II)のカルボキシル末端ポリマーと下記式(III)のジグリシジルエーテルとの反応による、請求項1〜9のいずれか一項に記載のエポキシ末端ポリマーの調製方法であって、式(II)のポリマーと式(III)のジグリシジルエーテルを、COOH基に対するグリシジルエーテル基の化学量論比:
【化11】

が2以上となる互いに対する量でこの反応に用いることを特徴とする調製方法。
【化12】

【請求項16】
下記式(XV):
【化13】

の末端基含有ポリマーの調製方法であって、
以下の2つの工程:
a)予備鎖延長(pre-extension)、すなわち、XH基を有し且つ式R(XH)で表される化合物XAVを、化学量論的過剰量の式HOOC-R-COOHのカルボキシル末端ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーCTBNと反応させて、請求項10又は11に記載した式(II)のカルボキシル末端ポリマーを得る反応であって、XH基を有する化合物XAVとHOOC-R-COOHとを、XH基に対するCOOH基の比[COOH]/[XH]が2以上となる互いに対する量で用いる方法での反応工程であって、
ここで、XH基を有する化合物XAVと、式HOOC-R-COOHのカルボキシル末端ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーCTBNが、請求項1〜9のいずれか一項に記載したように選択される工程;
b)停止(termination)、すなわち、式(II)のカルボキシル末端ポリマーと、ジグリシジルエーテル又はジアミン又は(メタ)アクリレート官能性アルコール又はグリシジルエーテル官能性(メタ)アクリレートとを反応させる工程であって、前記ジグリシジルエーテル又はジアミン又は(メタ)アクリレート官能性アルコール又はグリシジルエーテル官能性(メタ)アクリレートと、式(II)のカルボキシル末端ポリマーとを、式(II)のカルボキシル末端ポリマーの分子のCOOH基当たり1モルのジグリシジルエーテル又はジアミン又は(メタ)アクリレート官能性アルコール又はグリシジルエーテル官能性(メタ)アクリレートに相当する、互いに対する量で用いる方法で反応させる工程、
を含み、
ここで式(XV)中、R10は二価の基であり、Qは、下記式(XVI)、(XVI’)、(XVI’’):
【化14】

(但し、
が-NH又は式(XVI’’)である場合には、Qは-NH-であり、
が式(XVI’)である場合には、Qは-O-又は式(XVII)であり、
が式(XVI)である場合には、Qは式(XVII)であることを条件とする。)
及び-NHからなる群から選択される末端基である、調製方法。
【請求項17】
ポリマーマトリクスの耐衝撃性を向上させる手段としての、請求項10又は11に記載の式(II)のカルボキシル末端ポリマー、請求項16に記載の方法によって調製される式(XV)の末端基含有ポリマー、特に請求項1〜9のいずれか一項に記載の式(I)のエポキシ末端ポリマー、請求項12に記載の式(XI)又は(XI’)又は(XI’’)のアミン末端ポリマー、又は請求項13に記載の式(XII)又は(XII’)の(メタ)アクリレート末端ポリマーの使用。
【請求項18】
前記ポリマーマトリクスがエポキシ樹脂マトリクスであることを特徴とする、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
請求項12に記載の式(XI)又は(XI’)又は(XI’’)のアミン末端ポリマー、又は請求項13に記載の式(XII)又は(XII’)の(メタ)アクリレート末端ポリマーを含む組成物。
【請求項20】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の式(I)のエポキシ末端ポリマー、又は請求項10もしくは11に記載の式(II)のカルボキシル末端ポリマーを含む組成物。
【請求項21】
少なくとも1種のエポキシ樹脂Aをさらに含むことを特徴とする、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
昇温によって活性化されるエポキシ樹脂用硬化剤Bをさらに含むことを特徴とする、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
請求項21に記載の組成物と、エポキシ樹脂用硬化剤の添加によって得られる、硬化した組成物。
【請求項24】
請求項22に記載の組成物を、熱活性化可能な硬化剤Bの熱活性化よりも高い温度に加熱することによって得られる、硬化した組成物。

【公表番号】特表2010−513643(P2010−513643A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542098(P2009−542098)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【国際出願番号】PCT/EP2007/064436
【国際公開番号】WO2008/077935
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】