説明

アリールアミジン誘導体を含む抗真菌薬

本発明の主題は、N2−フェニルアミジン誘導体および場合によっては少なくとも一つの相乗性抗真菌剤をベースにした新規抗真菌薬である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規抗真菌薬に関する。
【0002】
さらに詳細には、本発明の主題は、N−フェニルアミジン誘導体および場合によって少なくとも一つの他の相乗性抗真菌剤をベースにした新規抗真菌薬に関する。
【背景技術】
【0003】
抗真菌薬という表現は、人間または動物に投与するための医薬組成物を意味すると理解される。
【0004】
国際出願国際公開公報第00/46184号は、一つ以上のN−フェニルアミジン誘導体を記載している。こうした化合物は、抗真菌剤として農業分野で用いられる。
【0005】
本出願は、N−フェニルアミジン誘導体が、人間においても動物においても最上の抗真菌化合物の構成要素にもなるということを、全く予想外に実証したものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の主目的は、N−フェニルアミジン誘導体をベースにした新規抗真菌薬を提供することである。
【0007】
本発明のもう一つの主目的は、とりわけ真菌に対するその効能の点で、完璧に有効な新規抗真菌薬を提供することである。
【0008】
本発明のもう一つの主目的は、少なくとも一つのN−フェニルアミジン誘導体と人間および動物において抗真菌活性を有するものとして知られている少なくとも一つの他の化合物とを相乗的に組み合せられている新規抗真菌薬を提供することである。
【0009】
本発明のもう一つの主目的は、広域スペクトルの新規抗真菌薬を提供することである。
【0010】
本発明のもう一つの主目的は、上記目的において定義したような新規抗真菌薬であり、真菌症、特にカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)およびアスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)感染の予防的および治療的処置に有用である新規抗真菌薬を提供することである。
【0011】
これらの目的のすべては、他も含めて、人間または動物に感染性である広いスペクトルの作用因子に対してN−フェニルアミジン誘導体が、意外にもおよび予想外にも、非常に高い永続性の抗真菌効能を示すことを発見するという手柄をあげた本発明者らによって、達成された。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上述の目的を全体的または部分的に叶え、従って、式(I):
【0013】
【化5】

[式中、
・Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環式または複素環式の一価の基(これらの各基は、置換されている可能性がある。)または水素であり;
・RおよびRは、同じであっても異なっていてもよく、Rについて定義した基のいずれか一つであり、シアノ、アシル、−ORまたは−SR(Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環式または複素環式の一価の基に相当し、これらの各基は、置換されている可能性がある。)であり、または、RとRまたはRとRが一緒に、およびこれらが結合している原子とともに、環(置換されていてもよい。)を形成していてもよく;
・Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環式もしくは複素環式の一価の基(これらの各基は、置換されている可能性がある。)、ヒドロキシル基、メルカプト、アジド、ニトロ、ハロ、シアノ、非置換もしくは置換アシル、アミノ、シアナト、チオシアナト、−SF、−OR、−SRまたは−Si(Rであり;
・mは0、1、2または3であり;
・一個または複数のいずれかのR基(これらは、互いに同じであっても異なっていてもよい。)は、Rに対して上で与えたものと同じ定義を有し;
・Rは、非置換のまたは置換されている炭素環式または複素環式の基であり;
・Aは、直接結合、
【0014】
【化6】

であり、
は、互いに同じであるか異なり、各々、非置換もしくは置換アルキルに相当し、シクロアルキルもしくはフェニル(これらの各基は、置換されている可能性がある)、水素、ハロゲン、シアノに相当し、またはアシルに相当し;
は、互いに同じであるか異なり、各々、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ(これらの各基は、置換されている可能性がある。)、炭素環式もしくは複素環式の一価の基(これらは、非置換であっても置換されていてもよい。)に相当し、または水素に相当し;
は、互いに同じであるか異なり、各々、非置換もしくは置換アルキルに相当し、一価の炭素環式もしくは複素環式の基(これらは、非置換であってもよいし、または置換されていてもよい。)に相当し、またはアシルに相当し;または、二つのR基が一緒に、およびこれらが結合している原子とともに、5〜7員環を形成していてもよく;
結合Aの右側に表されている基は、Rに結合されており;または
−A−RとRとベンゼン環Mとが一緒に、非置換もしくは置換縮合環構造を形成している。)
の少なくとも一つの化合物;ならびに
・式(I)の誘導体の、医薬適合性である、可能な光学および/または幾何異性体、互変異性体および塩、特に酸または塩基での付加塩;ならびに
・それらの混合物
を含むことを特徴とする抗真菌薬に、まず第一に関する。
【0015】
上記式(I)の化合物の定義において、用いられている様々なラジカルおよび化学用語は、別に述べられていない限り、下記の意味を有する:
・「アルキルまたはアルキル」は、炭素原子を1から8個含有する直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素ラジカルを意味する;
・「アルケニル」は、炭素原子を1から8個および二重結合の形態での不飽和を少なくとも一つ含有する直鎖または分枝鎖の炭化水素ラジカルを意味する;
・「アルキニル」は、炭素原子を1から8個および三重結合の形態での不飽和を少なくとも一つ含有する直鎖または分枝鎖の炭化水素ラジカルを意味する;
・「アルコキシ」は、アルキルオキシラジカルを意味する;
・「アシル」は、ホルミルラジカルまたはアルコキシカルボニルラジカルを意味する;
・「シクロアルキル」は、炭素原子を3から8個含有する飽和環状炭化水素ラジカルを意味する;
・「ハロアルキル」または「ハロアルキル」は、炭素原子を1から8個含有する、および1個以上のハロゲン原子、特にフッ素、塩素および臭素で置換されている、直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素ラジカルを意味する;
・「アリール」は、1個以上の芳香族ラジカル、好ましくはフェニルまたはナフチルを意味する;
・「複素環」は、炭素、窒素、硫黄および酸素から選択された原子を3から8個含有する不飽和または完全もしくは不完全飽和環状ラジカル、例えば(限定ではない)ピリジル、ピリジニル、キノリル、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリニルを意味する;
・「非置換であるか置換されている」という表現は、このように呼ばれるラジカルが、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ、シアノおよびアシルから選択された1個以上のラジカルで置換されていてもよいことを意味する。
【0016】
本発明の好ましい実施態様によると、前記生成物(I)は、
・Rが、アルキル、アルケニルまたはアルキニル(これらの各基は、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオール、ハロゲン、またはフェニル(非置換であるかアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオールもしくはハロゲンで置換されている。)で、置換されている可能性がある。)であり、または水素であり;
・RおよびRが、同じであっても異なっていてもよく、およびRに対して上で与えたものと同じ定義を有するか、アルコキシ、アルコキシアルキル、ベンジルオキシ、シアノまたはアルキルカルボニルに相当し;
・Rが、アルキル、アルケニルまたはアルキニル(これらの各基は、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオール、ハロゲン、またはフェニル(非置換であるかアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオールもしくはハロゲンで置換されている。)で、置換されている可能性がある。)、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、アシル(好ましくは、−C(=O)R、−C(=S)Rまたは−S(O)、この場合のRは、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオールに相当する)、アミン、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、またはフェニル(非置換であるかアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシもしくはアルキルチオールで置換されている。)であり;
・mは0または1であり;
・存在する際には、Rが、Rに対して上で与えたものと同じ定義を有する基であり;
・Aが、直接結合、−O−、−S−、−NR−、−CHR−または−O−CHR−であり、この場合、
は、それが存在する際には、アルキル、アルケニルまたはアルキニル(これらの各基は、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオール、ハロゲン、またはフェニル(非置換であるかアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオールもしくはハロゲンで置換されている。)で、置換されている可能性がある。)に相当し、または水素に相当し、ならびに
は、Rに対して与えたものと同じ定義を有するか、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、アシル、アルコキシ、ハロアルコキシまたはアルキルチオールを表し;
・Aが、ベンゼン環Mの4位に結合しており;ならびに
・Rが、非置換であるか一つ以上の置換基[これらは、同じであっても異なっていてもよく、ならびに、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、アシル(好ましくは、−C(=O)R、−C(=S)Rまたは−S(O)(この場合、Rはアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオール、またはフェニル(非置換であるかアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシもしくはアルキルチオールで置換されている。)である。)、アミン、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アルキル、ハロアルキル、RO−アルキル、アシルオキシアルキル、シアノオキシアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオール、シクロアルキル(非置換であるかアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシもしくはアルキルチオールで置換されている。)(好ましくは、シクロヘキシルまたはシクロペンチル)、およびベンジル(非置換であるかアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシもしくはアルキルチオールで置換されている。)から選択することができる。]で置換されている、フェニルまたは芳香族複素環である、
式(I)に相当する。
【0017】
さらにいっそうとりわけ好ましい式(I)の化合物は、別個にまたは併用で、次の特徴:
− RがHであり;
− RがC〜Cアルキル、好ましくはエチルであり;
− RがC〜Cアルキル、好ましくはメチルであり;
− RがC〜Cアルキル、好ましくはメチルであり;
− RがC〜Cアルキル、好ましくはメチル、およびRが、ベンジル環M(この場合、mは1である。)のCの炭素に結合しており;
− Aが、ベンジル環MのCの炭素に結合しており、および−O−を表し;
が少なくとも一つのアルキルおよび/または少なくとも一つのハロゲンもしくは少なくとも一つのシアノ基で有利には置換されている、アリール、好ましくはベンジル、
を有するものである。
【0018】
例として、用いられる化合物(I)は、とりわけ、
− N−エチル−N−メチル−N’−[4−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)−2,5−ジメチルフェニル]イミドホルムアミド、および/または
− N−エチル−N−メチル−N’−[4−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)−2,5−ジメチルフェニル]イミドホルムアミド、および/または
− N−エチル−N−メチル−N’−[4−(4−シアノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)−2,5−ジメチルフェニル]イミドホルムアミド、ならびに
− これらの化合物(I)の、医薬適合性である、可能な互変異性体および塩、特に酸または塩基での付加塩
である。
【0019】
本発明の有利な実施態様によると、この抗真菌薬は、少なくとも一つの他の抗真菌化合物(II)を含む。
【0020】
こうした抗真菌化合物は、当業者には公知である化合物の一部を形成し、および単独でまたは混合物として、次の抗真菌系統群:
− ビホナゾール、ブトコナゾール、クロトリマゾール、エベルコナゾール、エコナゾール、フェンチコナゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、オキシコナゾール、ポサコナゾール、スルコナゾール、テルコナゾール、チオコナゾール、ボリコナゾール、ジノコナゾールなどの、アゾール類;
− アンホテリシンB、ナイスタチンなどの、ポリエン類;
− ブテナフィン、ナフチフィン、テルビナフィンなどの、アリルアミン類およびベンジルアミン類;
− トルナフテートなどのチオカルバメート類;
− カスポフンジン、シロフンジンなどの、カンジン類;
− フルシトシンなどのヌクレオシド類似体;
− ソルダリン類;
− ニッコーマイシンZ、J、プソイドJ、PX、RZ、プソイドZなどの、ポリオキシン類およびニッコーマイシン類;
− プラジマイシンAなどのプラジマイシン類;
− ベナノマイシン類;
− オーレオバシジン類;
− UK−2AまたはUK−3A;
− カチオン性ペプチド類;ならびに
医薬適合性である、これらの可能な互変異性体および塩、特に酸または塩基での付加塩、これらの脂質またはリポソーム調合物
から有利に選択される。
【0021】
重量の観点から、本発明に従って、質量比(I/II)は、下記:
0.02≦I/II≦50、
好ましくは、0.1≦I/II≦20、
さらにいっそう好ましくは、0.5≦I/II≦10
のように定義されることを特記しなければならない。
【0022】
化合物(II)がフルコナゾールまたはイトラコナゾール(またはそれらの同等物の一つ)である場合、前記質量比(I/II)は、有利には0.5と10の間である。
【0023】
化合物(I)/化合物(II)の比は、これら2つの化合物の重量比であると定義される。同定義は、この比と異なる定義を特に与えないので、本文中で後に測定されるいずれの二化合物比にも適用される。
【0024】
本発明の組成物において、化合物(I)/化合物(II)の比は、有利には、相乗効果を生じるように選択される。本文において解釈される場合の相乗効果という用語は、実施例の2.4の箇所で定義する。
【0025】
上記本文から明白であるのように、本発明の相乗的併用の好ましい例は、化合物(I)、フルコナゾールおよび/またはイトラコナゾール、ならびにそれらの可能な互変異性体および酸または塩基(但し、これらの同等物が、人間または獣医製剤分野において許容される場合)での付加塩を含む。
【0026】
上で示した化合物(I)/化合物(II)の比は、いかなる点においても本発明の範囲を制限するものではなく、指標として言及するものであり、当業者には、追加試験を行って、相乗効果が観察されるこれら二化合物の分配比の他の値を見つけることが完全に可能である。
【0027】
本発明の好ましい特徴によると、本発明の抗真菌組成物中に存在する活性薬剤(I/II)の量は、0.5重量%と99重量%の間である。
【0028】
必然的に、少なくとも一つの化合物(I)および少なくとも一つの化合物(II)をベースにした本発明の抗真菌薬は、一つ以上の他の活性製品も含むことができる。
【0029】
これらの追加の活性薬剤に加えて、本発明の抗真菌薬は、医薬調合物に有用な他のあらゆる賦形剤および/または助剤も含有することができる。
【0030】
本発明の薬の体裁に関して言えば、それらが真菌治療における公知の適する生薬形すべてに適切であることを示しておかなければならない。従って、これらの薬は、経口、局所、静脈内または腹腔内投与用の調合物の形態で提供することができる。
【0031】
化合物(I)の調製に関しては、国際特許出願国際公開公報第00/46184号を参照することができる。
【0032】
公知相乗性化合物(II)を調製する場合は、通常の薬局法規則に従って調製する。
【0033】
もう一つの目的によると、本発明は、上で定義したような抗真菌薬の使用に存することを特徴とする、人間または動物病原真菌を治療的にまたは予防的に防除するための方法に関する。
【0034】
本発明の抗真菌薬は、化合物(I)と化合物(II)の組合せを通常は0.5から99%含有する。
【0035】
最適な用量は、処置すべき病原性真菌のタイプおよびその感染の重症度に明らかに依存する。
【0036】
本抗真菌薬のターゲットである病原性真菌は、特に、全体として考えて下記を含むものである:
・不完全菌類(Deuteromycetes)群、特に、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、スポロスリックス・シェンキー(Sporothrix schenckii)、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis);
・子嚢菌類(Ascomycetes)群、特に、アルテルナリア属(Alternaria spp)、アスペルギルス・フミガーツス、黄色アスペルギルス(Aspergillus flavus)、黒色アスペルギルス(Aspergillus niger)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、クラドセファロスポリウム属(Cladocephalosporium spp)、クラドスポリウム属(Cladosporium spp)、有毛表皮糸状菌(Epidermophyton floccosum)、エキソフィアラ・デルマチチジス(Exophiala dermatitidis)、フォンセカ・コンパクタ(Fonsecaea compacta)、フォンセカ・ペドロソ(Fonsecaea pedroso)、フザリウム属(Fusarium spp)、ヒストプラスマ・カプスラーツム・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum capsulatum)、ヒストプラスマ・カプスラーツム・デュボアシ(Histoplasma capsulatum duboisi)、小胞子菌属(Microsporum spp)、ペシロミセス属(Paecilomyces spp)、ブラジルパラコクシジオイデス(Paracoccidioides brasiliensis)、セドスポリウム・アピオスペルムム(Scedosporium apiospermum)、セドスポリウム・プロリフィカンス(Scedosporium prolificans)、スコプラリオプシス属(Scopulariopsis spp)、紅色白癬菌(Trichophyton rubrum);
・担子菌類(Basidiomycetes)群、特に、クリプトコックス・ネオフォルマンス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans neoformans)、クリプトコックス・ネオフォルマンス・ガチ(Cryptococcus neoformans gati)。
【0037】
本発明のさらにもう一つの主題は、抗真菌薬の製造のための、単独でまたは別の抗真菌化合物(II)と併用で考えられる、上で定義したような式(I)の少なくとも一つの化合物の使用に関する。
【0038】
有利には、前記抗真菌化合物(II)は、上で定義した抗真菌化合物の系統群から選択される。
【0039】
本発明のさらにもう一つの主題は、真菌由来の感染、特に、カンジダ・アルビカンスまたはアスペルギルス・フミガーツスによって引き起こされる感染を治療するための、上で定義したような薬の使用に関する。
【0040】
以下の実施例は、単に本発明の実例として与えるものであり、いかなる点においても本発明を制限するものではない。
【実施例】
【0041】
カンジダ・アルビカンスおよびアスペルギルス・フミガーツスに対して単独または併用で使用される様々な化合物の抗真菌活性のインビトロ測定
1−試験の目的
本試験の目的は、アリールアミジンタイプの化合物、および既に市販されているアゾール類の系統群の二つの抗真菌化合物、フルコナゾールおよびイトラコナゾールの効能を検定することである。これらの試験は、第一に、単独で考えたアリールアミジンタイプの抗真菌活性とアゾール類の抗真菌活性との比較を目的とする。これらの目的は、こうした化合物の併用の相乗特性を示すことでもある。
【0042】
2−材料および方法
2.1−菌株および培地
次の真菌をこの研究に用いた: パスツール研究所のthe Collection Nationale de Cultures de Microorganismes (CNCM)から入手したカンジダ・アルビカンス菌株IP 48.72(ATCC 10231)およびアスペルギルス・フミガーツス株IP 864.64。これらの菌株を、0.5%の酵母エキス、0.5%のバクトペプトン、2%のグルコースおよび2%の寒天を含む酵母エキス−ペプトン−デキストロース(YEPD)寒天培地を用いて30℃、暗所で培養する。
【0043】
2.2−検定した生成物は、次のとおりである:
化合物(I.1): N−エチル−N−メチル−N’−[4−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)−2,5−ジメチルフェニル]イミドホルムアミド。
【0044】
→ 化合物(I.2): N−エチル−N−メチル−N’−[4−(4−シアノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)−2,5−ジメチルフェニル]イミドホルムアミド。
【0045】
→ 化合物(II.1): フルコナゾール。
【0046】
→ 化合物(II.2): イトラコナゾール。
【0047】
これらすべての化合物は、DMSO溶液中、最終濃度100mg/mLで調製した。それらの保存溶液を使用時まで−20℃で保管した。
【0048】
2.3−試験培地:
試験は、2%グルコースで強化した(≪リッチ≫)またはそうでない(≪最小≫)、1リットル当たり0.165molの3−[N−モルホリノ]プロパンスルホン酸(MOPS)で緩衝した、L−グルタミンを含有するが、重炭酸ナトリウムは含有しない、RPMI 1640倍地中で行う。この培地のpHを7.0に調整する。濾過(0.22μm)によって培地を滅菌し、使用時まで4℃で保管する。
【0049】
2.4−マイクロタイタープレートでの測定
すべての抗真菌検定は、マイクロタイタープレートで行う。胞子の初期懸濁液は、0.01%でTween 80を補足した、0.85%NaCl含有無菌溶液中で調製する。次に、これらの初期懸濁液を培地(2%グルコースで強化した、またはそうでないRPMI 1640)中で希釈して、1mL当たり胞子数10の最終濃度にする。各接種物の生存度の測定は、YEPD寒天培地を用いる容量300μLの継代培養によって検証する。
【0050】
抗真菌化合物は、0.026から100μgの活性成分/mLにわたる濃度範囲で検定する。その後、これらの抗真菌化合物を、2%グルコースで強化した、またはそうでないRPMI 1640中で希釈する。0.2%の最終DMSO濃度を、測定全体を通して使用する。各試験は、抗真菌化合物の系列希釈で二重に行う。抗真菌希釈液(0.1mL)および真菌接種物(0.1mL)をマイクロタイタープレートの各々のウエルに添加する。その後、分光光度計(ELX 800UV Bio−Tek Instruments,Inc)を用いて590nmの波長でそれらのプレートを読み取る。プレートは、30℃、暗所でのインキュベーションの直後(t=0)および48時間後に読み取る。得られた光学密度値を、時間t=0とt=48時間の間の真菌の成長と相関させる。それらの光学密度値を用いて、対照との比較により抗真菌薬の濃度ごとに成長阻害率を計算する。その後、それらの値を用いて、用量−反応曲線をプロットし、the Grafit 5.0(登録商標)ソフトウエア(Erithacus software Ltd.)を利用して各真菌および各化合物についてのEC50値を決定する。
【0051】
混合物の形態の抗真菌化合物間に存在する相互作用のタイプを判断するために用いた方法は、ワドレー(Wadley)法である。
【0052】
ワドレー・アプローチにおいて、化合物AおよびB各々ならびにそれらの混合物ABについての用量−反応曲線を作成する。個別に考える各化合物について、およびそれらの混合物についてのEC50を計算する。AおよびBが、混合物中の化合物AおよびBの絶対量である(本発明者らの条件下では、a=1、b=1、a+b=2)場合、期待有効濃度(EC50exp)は、下記の方法で計算することができる:
EC50exp=(a+b)/[a/EC50A]+b/(EC50B
【0053】
ワドレー・アプローチを用いて、濃度に関係なく真菌化合物間に存在する相互作用のタイプを予測することができる。その信頼度は、その阻害率に依存しない。二つの化合物間の相互作用のタイプは、それらの混合物の期待有効濃度(EC50exp)と実測濃度(EC50obs)の間の比率に相当する相互作用レベル(LI)によって得られる。ワドレーの式によって得た相互作用の性質を下の表1に提示する(U.Gisi,「殺真菌薬混合物における相乗性相互作用(Synergistic interaction in fungicide mixtures)」,1996.Phytopathology 86,1273−1279参照)。
【0054】
【表1】

【0055】
3−結果
【0056】
【表2】

【0057】
【表3】

【0058】
【表4】

【0059】
【表5】

【0060】
【表6】

【0061】
【表7】

【0062】
4−結論
得られ、上に提示した様々な結果は、最小RPMI 1640倍地(MM)またはリッチRPMI 1640倍地(RM)いずれかでの、アスペルギルス・フミガーツスおよびカンジダ・アルビカンスに対する、0.1μg/mLと0.5μg/mLの間のEC50値での化合物I.1の効能を、従って、アスペルギルス・フミガーツスに対するイトラコナゾール(化合物II.2)のものと等価の活性およびカンジダ・アルビカンスに対するフルコナゾール(化合物II.1)のものと等価の活性を有することを、示している。
【0063】
化合物間の相互作用に関しては、ワドレー法によって得られた結果は、化合物I.1とフルコナゾール(化合物II.1)の併用が、アスペルギルス・フミガーツスに対してもカンジダ・アルビカンスに対しても驚くべき相乗効果を見せることを示している。従って、本発明の抗真菌薬は、市場の参照物質と比較して、抗真菌活性の改善という点で実質的な進歩の要因となる。
【0064】
第二の研究中に、本発明の化合物I.2を検定した。それは、N−エチル−N−メチル−N’−[4−(4−シアノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)−2,5−ジメチルフェニル]イミドホルムアミドである。
【0065】
本発明の化合物(I.1)とフルコナゾール(II.1)およびイトラコナゾール(II.2)も、強化培地中、カンジダ・アルビカンスおよびアスペルギルス・フミガーツスに対してインビトロで検定した。
【0066】
実験条件は、前に記載したものと同じである。
【0067】
結果
【0068】
【表8】

カンジダ・アルビカンスに関して、化合物I.1のEC50は、化合物II.1およびII.2のものより1.8および7.7倍高く、これに対して化合物I.2は、カンジダ・アルビカンスに対し、化合物I.1およびII.1より良好なインビトロでの効能を示す。
【0069】
アスペルギルス・フミガーツス(IP 864.64)に関して、化合物I.1のEC50は、化合物II.1のものより約700倍低く、化合物II.2のものと同様であり、これに対して、化合物I.2は、化合物I.1およびII.2のものより2倍高いアスペルギルス・フミガーツスに対するインビトロでの効能を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
・Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環式または複素環式の一価の基(これらの各基は、置換されている可能性がある。)または水素であり;
・RおよびRは、同じであっても異なっていてもよく、Rについて定義した基のいずれか一つであり、シアノ、アシル、−ORまたは−SR(Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環式または複素環式の一価の基に相当し、これらの各基は、置換されている可能性がある。)であり、または、RとRまたはRとRが一緒に、およびこれらが結合している原子とともに、環(置換されていてもよい。)を形成していてもよく;
・Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環式もしくは複素環式の一価の基(これらの各基は、置換されている可能性がある。)、ヒドロキシル基、メルカプト、アジド、ニトロ、ハロ、シアノ、非置換もしくは置換アシル、アミノ、シアナト、チオシアナト、−SF、−OR、−SRまたは−Si(Rであり;
・mは0、1、2または3であり;
・一個または複数のいずれかのR基(これらは、互いに同じであっても異なっていてもよい。)は、Rに対して上で与えたものと同じ定義を有し;
・Rは、非置換のまたは置換されている炭素環式または複素環式の基であり;
・Aは、直接結合、
【化2】

であり、
は、互いに同じであるか異なり、各々、非置換もしくは置換アルキルに相当し、シクロアルキルもしくはフェニル(これらの各基は、置換されている可能性がある)、水素、ハロゲン、シアノに相当し、またはアシルに相当し;
は、互いに同じであるか異なり、各々、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ(これらの各基は、置換されている可能性がある。)、炭素環式もしくは複素環式の一価の基(これらは、非置換であっても置換されていてもよい。)に相当し、または水素に相当し;
は、互いに同じであるか異なり、各々、非置換もしくは置換アルキルに相当し、一価の炭素環式もしくは複素環式の基(これらは、非置換であってもよいし、または置換されていてもよい。)に相当し、またはアシルに相当し;または、二つのR基が一緒に、およびこれらが結合している原子とともに、5〜7員環を形成していてもよく;
結合Aの右側に表されている基は、Rに結合されており;または
−A−RとRとベンゼン環Mとが一緒に、非置換もしくは置換縮合環構造を形成している。]
の少なくとも一つの化合物;ならびに
・式(I)の誘導体の、医薬適合性である、可能な光学および/または幾何異性体、互変異性体および塩、特に酸または塩基での付加塩;ならびに
・それらの混合物
を含むことを特徴とする抗真菌薬。
【請求項2】
・Rが、アルキル、アルケニルまたはアルキニル(これらの各基は、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオール、ハロゲン、またはフェニル(非置換であるかアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオールもしくはハロゲンで置換されている。)で、置換されている可能性がある。)であり、または水素であり;
・RおよびRが、同じであってもよいし、または異なっていてもよく、およびRに対して上で与えたものと同じ定義を有するか、アルコキシ、アルコキシアルキル、ベンジルオキシ、シアノまたはアルキルカルボニルに相当し;
・Rが、アルキル、アルケニルまたはアルキニル(これらの各基は、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオール、ハロゲン、またはフェニル(非置換であるかアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオールもしくはハロゲンで置換されている。)で、置換されている可能性がある。)、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、アシル、アミン、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、またはフェニル(非置換であるかアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシもしくはアルキルチオールで置換されている。)であり;
・mはまたは1であり;
・存在する際には、Rが、Rに対して上で与えたものと同じ定義を有する基であり;
・Aが、直接結合、−O−、−S−、−NR−、−CHR−または−O−CHR−であり、この場合、
は、それが存在する際には、アルキル、アルケニルまたはアルキニル(これらの各基は、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオール、ハロゲン、またはフェニル(非置換であるかアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオールもしくはハロゲンで置換されている。)で、置換されている可能性がある。)に相当し、または、水素に相当し、ならびに
は、Rに対して与えたものと同じ定義を有するか、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、アシル、アルコキシ、ハロアルコキシまたはアルキルチオールを表し;
・Aが、ベンゼン環Mの4位に結合しており;ならびに
・Rが、非置換であるか一つ以上の置換基(これらは、同じであっても異なっていてもよく、ならびに、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、アシル、アミン、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アルキル、ハロアルキル、RO−アルキル、アシルオキシアルキル、シアノオキシアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオール、シクロアルキル(非置換であるかアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシもしくはアルキルチオールで置換されている。)、およびベンジル(非置換であるかアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシもしくはアルキルチオールで置換されている。)から選択することができる。)で置換されている、フェニルまたは芳香族複素環である
ことを特徴とする、請求項1に記載の薬。
【請求項3】
− RがHであり;
− RがC〜Cアルキル、好ましくはエチルであり;
− RがC〜Cアルキル、好ましくはメチルであり;
− RがC〜Cアルキル、好ましくはメチルであり;
− RがC〜Cアルキル、好ましくはメチルであり;およびRが、ベンジル環M(この場合、mは1である。)のCの炭素に結合しており;
− Aが、ベンジル環MのCの炭素に結合しており、および−O−を表し;
− Rが少なくとも一つのアルキルおよび/または少なくとも一つのハロゲンで有利には置換されている、アリール、好ましくはベンジルである
ことを特徴とする、請求項1に記載の薬。
【請求項4】
化合物(I)が、
− N−エチル−N−メチル−N’−[4−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)−2,5−ジメチルフェニル]イミドホルムアミド、および/または
− N−エチル−N−メチル−N’−[4−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)−2,5−ジメチルフェニル]イミドホルムアミド、および/または
− N−エチル−N−メチル−N’−[4−(4−シアノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)−2,5−ジメチルフェニル]イミドホルムアミド、ならびに
これらの化合物(I)の、医薬適合性である、可能な互変異性体および塩、特に酸または塩基での付加塩
であることを特徴とする、請求項3に記載の薬。
【請求項5】
少なくとも一つの他の抗真菌化合物(II)を追加的に含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の薬。
【請求項6】
前記抗真菌化合物(II)が、単独でまたは混合物として、次の抗真菌系統群:
− ビホナゾール、ブトコナゾール、クロトリマゾール、エベルコナゾール、エコナゾール、フェンチコナゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、オキシコナゾール、ポサコナゾール、スルコナゾール、テルコナゾール、チオコナゾール、ボリコナゾール、ジノコナゾールなどの、アゾール類;
− アンホテリシンB、ナイスタチンなどの、ポリエン類;
− ブテナフィン、ナフチフィン、テルビナフィンなどの、アリルアミン類およびベンジルアミン類;
− トルナフテートなどのチオカルバメート類;
− カスポフンジン、シロフンジンなどの、カンジン類;
− フルシトシンなどのヌクレオシド類似体;
− ソルダリン類;
− ニッコーマイシンZ、J、プソイドJ、PX、RZ、プソイドZなどの、ポリオキシン類およびニッコーマイシン類;
− プラジマイシンAなどのプラジマイシン類;
− ベナノマイシン類;
− オーレオバシジン類;
− UK−2AまたはUK−3A;
− カチオン性ペプチド類;ならびに
医薬適合性である、それらの可能な互変異性体および塩、特に酸または塩基での付加塩、それらの脂質またはリポソーム調合物
から選択されることを特徴とする、請求項5に記載の薬。
【請求項7】
質量比(I/II)が、下記:
0.02≦I/II≦50、
好ましくは、0.1≦I/II≦20、
さらにいっそう好ましくは、0.5≦I/II≦10
のように定義されることを特徴とする、請求項4または5に記載の抗真菌薬。
【請求項8】
前記化合物(I)/化合物(II)比が、相乗効果を生じるように選択されることを特徴とする、請求項4および5のいずれかに記載の抗真菌薬。
【請求項9】
前記化合物(I)/化合物(II)比が、0.5と10の間であることを特徴とする、請求項8に記載の抗真菌薬。
【請求項10】
少なくとも一つの医薬適合性の賦形剤を追加的に含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の抗真菌薬。
【請求項11】
化合物(I)と化合物(II)の組合せを0.5から99%含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の抗真菌薬。
【請求項12】
単独でまたは別の抗真菌化合物(II)と併用で、下記式(I):
【化3】

(式中、
・Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環式または複素環式の一価の基(これらの各基は、置換されている可能性がある。)または水素であり;
・RおよびRは、同じであっても異なっていてもよく、Rについて定義した基のいずれか一つであり、シアノ、アシル、−ORまたは−SR(Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環式または複素環式の一価の基(これらの各基は、置換されている可能性がある。)に相当する。)であり、または、RとRまたはRとRが一緒に、およびこれらが結合している原子とともに、環(置換されていてもよい。)を形成していてもよく;
・Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環式もしくは複素環式の一価の基(これらの各基は、置換されている可能性がある。)、ヒドロキシル基、メルカプト、アジド、ニトロ、ハロ、シアノ、非置換もしくは置換アシル、アミノ、シアナト、チオシアナト、−SF、−OR、−SRまたは−Si(Rであり;
・mは0、1、2または3であり;
・一個または複数のいずれかのR基(これらは、互いに同じであっても異なっていてもよい。)は、Rに対して上で与えたものと同じ定義を有し;
・Rは、非置換のまたは置換されている炭素環式または複素環式の基であり;
・Aは、直接結合、
【化4】


であり、
は、互いに同じであるか異なり、各々、非置換もしくは置換アルキルに相当し、シクロアルキルもしくはフェニル(これらの各基は、置換されている可能性がある)、水素、ハロゲン、シアノに相当し、またはアシルに相当し;
は、互いに同じであるか異なり、各々、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ(これらの各基は、置換されている可能性がある。)、炭素環式もしくは複素環式の一価の基(これらは、非置換であってもよいし、または置換されていてもよい。)に相当し、または水素に相当し;
は、互いに同じであるか異なり、各々、非置換もしくは置換アルキルに相当し、一価の炭素環式もしくは複素環式の基(これらは、非置換であってもよいし、または置換されていてもよい。)に相当し、またはアシルに相当し;または、二つのR基が一緒に、およびそれらが結合している原子とともに、5〜7員環を形成していてもよく;
結合Aの右側に表されている基は、Rに結合されており;または
−A−RとRとベンゼン環Mとが一緒に、非置換もしくは置換縮合環構造を形成している。)
の少なくとも一つの化合物;ならびに
・式(I)の誘導体の、医薬適合性である、可能な光学および/または幾何異性体、互変異性体および塩、特に酸または塩基での付加塩;ならびに
・それらの混合物
の、抗真菌薬製造のための使用。
【請求項13】
前記抗真菌化合物(II)が、単独でまたは混合物として、次の抗真菌系統群:
− ビホナゾール、ブトコナゾール、クロトリマゾール、エベルコナゾール、エコナゾール、フェンチコナゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、オキシコナゾール、ポサコナゾール、スルコナゾール、テルコナゾール、チオコナゾール、ボリコナゾール、ジノコナゾールなどの、アゾール類;
− アンホテリシンB、ナイスタチンなどの、ポリエン類;
− ブテナフィン、ナフチフィン、テルビナフィンなどの、アリルアミン類およびベンジルアミン類;
− トルナフテートなどのチオカルバメート類;
− カスポフンジン、シロフンジンなどの、カンジン類;
− フルシトシンなどのヌクレオシド類似体;
− ソルダリン類;
− ニッコーマイシンZ、J、プソイドJ、PX、RZ、プソイドZなどの、ポリオキシン類およびニッコーマイシン類;
− プラジマイシンAなどのプラジマイシン類;
− ベナノマイシン類;
− オーレオバシジン類;
− UK−2AまたはUK−3A;
− カチオン性ペプチド類;ならびに
医薬適合性である、それらの可能な互変異性体および塩、特に酸または塩基での付加塩、それらの脂質またはリポソーム調合物
から選択されることを特徴とする、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)感染の治療のための、請求項1から11のいずれか一項に記載の抗真菌薬の使用。
【請求項15】
アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)感染の治療のための、請求項1から11のいずれか一項に記載の抗真菌薬の使用。

【公表番号】特表2006−505576(P2006−505576A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−546028(P2004−546028)
【出願日】平成15年10月24日(2003.10.24)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013335
【国際公開番号】WO2004/037239
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(503325538)バイエル・クロツプサイエンス・エス・アー (73)
【Fターム(参考)】