説明

アルカリ土類金属−及び重金属イオンのための生物学的に分解可能な錯化剤としてのグリシン−N,N−二酢酸−誘導体の製法

【課題】グリシン−N,N−誘導体I及びそのアルカリ金属−、アルカリ土類金属−、アンモニウム−及び置換したアンモニウム塩の製法の提供。
【解決手段】A)相応する2−置換グリシン又は2−置換グリシンニトリル又は式;


の2倍体グリシン、又は式;


の2倍体グリシンニトリルをホルムアルデヒド及びシアン化水素又はアルカリ金属シアン化物と反応させるか、又はB)イミノ二酢酸又はイミノジアセトニトリルを相応するモノアルデヒド又は式;OHC−A−CHOのジアルデヒド及びシアン化水素又はアルカリ金属シアン化物と反応させ、引き続き存在するニトリル基を加水分解しカルボキシル基にすることを特徴とする製法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルカリ土類金属−、及び重金属イオンのための錯化剤としてのグリシン−N,N−二酢酸−誘導体及びそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩の使用に関するが、ただし粉末洗剤組成物中の繊維洗剤ビルダーとしての、及び口腔内清浄剤中のカルシウム離脱剤としてのα−アラニン−N,N−二酢酸は除く。
【0002】
更に、本発明はグリシン−N,N−二酢酸−誘導体の製法及びこの方法において生じる中間生成物に関する。
【0003】
グリシン−N,N−二酢酸−誘導体の1部は新規物質であるので、本発明はこの新規物質にも関する。
【背景技術】
【0004】
特開昭55−157695号公報(1)及び55−160099号公報(2)からは、Chem.Abstr.95(1981)、9123mもしくは9124nに記載されているように、アラニン−N,N−二酢酸を粉末状繊維洗剤中のビルダーとしてナトリウム塩の形で使用することは公知であり、この際特にウール繊維に関する洗浄力増強が観察される。
【0005】
EP−A 089136号明細書(3)は口腔内清浄剤に関し、これはカルシウム離脱剤として、特にα−アラニン−N,N−二酢酸を含有する。これは歯痛にウ蝕保護のために添加するフッ化カルシウムの量をコントロールするために使用される。
【0006】
部分的に相互に全くかけ離れた要求及び問題分野を有する種々の全く異なる技術分野におけるアルカリ土類金属及び重金属イオンのための錯化剤としては通常なお古くから公知の実証されたシステム、例えばポリホスフェート、ニトロ三酢酸又はエチレンジアミン四酢酸が使用されている。しかしながら、これらの薬剤はある程度の欠点を有する、根本的な弱点は特にそのより改良されるべきカルシウム−及びマンガン−結合能、漂白浴及び漂白システム中でのそのなお最適でない安定化作用、並びにその多くは不十分な生物学的な分解性もしくは除去可能性である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭55−157695号公報
【特許文献2】特開昭55−160099号公報
【特許文献3】EP−A 089136号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Chem.Abstr.95(1981)、9123mもしくは9124n
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の課題は、公知技術の欠点をもはや有しない錯化剤を製造することであった。
【0010】
こうして、一般式I:
【化1】

[式中、
Rはヒドロキシ基、ホルミル基、C−〜C−アルコキシ基、フェノキシ基又はC−〜C−アルコキシカルボニル基5個までを付加的に置換分として有していてよく、かつ隣接していない5個までの酸素原子で中断されていてよいC−〜C30−アルキル又はC−〜C30−アルケニル基、式:−(CH−O−(AO)−(AO)−Y(ここで、A及びAは相互に依存せずにC−原子数2〜4の1,2−アルキレン基を表し、Yは水素、C−〜C12−アルキル、フェニル又はC−〜C−アルコキシカルボニルを表し、kは数値1、2又は3で、m及びnはそれぞれ0〜50までの数値を表し、この際m+nからなる合計は少なくとも4を有する)のアルコキシレート基、又はアルキル基中にC−原子1〜20個を有するフェニルアルキル基、付加的にベンゼン環縮合していてよい、窒素、酸素及び硫黄の群からのヘテロ原子3個までを有する5又は6員の不飽和又は飽和複素環式環を有するC−〜C20−アルキル基を表し、この際Rの意味において挙げたすべてのフェニル核及び複素環式環は更に付加的に置換分としてC−〜C−アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホ基又はC−〜C−アルコキシカルボニル基3個までを有していてよく、又はRは式:
【化2】

(ここで、AはC−〜C12−アルキレン橋、有利にC−〜C12−アルキレン橋、又は化学結合を表す)の基を表し、かつ
Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属−、アンモニウム又は置換アンモニウムの相応する化学量論量を表す]のグリシン−N,N−二酢酸−誘導体のアルカリ土類金属−及び重金属イオンのための錯化剤としての使用、ただし粉末洗剤組成物中の繊維洗剤ビルダーとしての、及び口腔内清浄剤中のカルシウム脱離剤としてのα−アラニン−N,N−二酢酸は除く、を見いだした。
【0011】
有利な実施形は、化合物Iとして、RがC〜C20−アルキル基、C−〜C20−アルケニル基又は式:
【化3】

の基を表すものを使用するのが有利である。
【0012】
特に有利な実施形では、化合物Iとしてα−アラニン−N,N−二酢酸(R=CH)及びそのアルカリ金属−、アンモニウム−及び置換アンモニウム塩を使用する。
【0013】
そのような塩としては特にナトリウム−、カリウム−、及びアンモニウム塩、特にトリナトリウム−、トリカリウム−及びトリアンモニウム塩並びに第3窒素原子を有する有機トリアミン塩が好適である。
【0014】
有機アミン塩の基礎となる塩基としては、特に第3アミン、例えばアルキル基中にC−原子1〜4を有するトリアルキルアミン、例えばトリメチル−及びトリエチルアミン、及びアルカノール基中にCー原子2又は3個を有するトリアルカノールアミン、有利にトリエタノールアミン、トリ−n−プロパノールアミン又はトリイソプロパノールアミンを挙げることができる。
【0015】
アルカリ土類金属塩としては特にカルシウム−及びマグネシウム塩を使用する。
【0016】
基Rに関してはメチル基の他に、直鎖又は分枝鎖アルキル(アルケニル)基、特にC−〜C17−アルキル及び−アルケニル、この際特に直鎖の、飽和又は不飽和の脂肪酸から誘導された基を考慮する。個々の基Rに関する例は、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、3−ヘプチル(2−エチルヘキサン酸から誘導)、n−オクチル、イソオクチル(イソノナン酸から誘導)、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、イソドデシル(イソトリデカン酸から誘導)、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル、n−エイコシル及びn−ヘプタデセニル(油酸から誘導)である。Rに関しては混合物が生じてもよく、特に天然に存在する脂肪酸及び合成により得られた工業酸から、例えばオキソ合成により誘導されるようなものである。
【0017】
−〜C12−アルキレン−橋Aとしては特に式−(CH−(ここでkは2〜12の数値、特に2〜8の数値を示す)のポリエチレン基、すなわち1,2−エチレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、ウンデカメチレン及びドデカメチレンが使用される。ヘキサメチレン、オクタメチレン、1,2−エチレン及び1,4−ブチレンはこの際特に有利である。これとともに、分枝鎖のC−〜C12−アルキレン基も生じてよい、例えば−CHCH(CH)CH−、−CHC(CHCH−、−CHCH(C)−又は−CHCH(CH)−。
【0018】
−〜C30−アルキル、C−〜C30−アルケニル基は5個まで、特に3個まで前記種類の置換基を付加的に有していてよく、かつ5個まで、特に3個までの隣接していない酸素原子で中断されていてよい。そのように置換されたアルキル(アルケニル)基の例は−CHOH、−CHCHOH、−CHCH−O−CH、−CHCH−O−CHCH−O−CH、−CH−O−CHCH、−CH−O−CHCH−OH、−CH−CHO、−CH−Oph、−CH−COOCH又は−CHCH−COOCHである。
【0019】
アルコキシレート基としては特にm及びnがそれぞれ0〜30、特に0〜15の数であるものが挙げられる。A及びAはブチレンオキシドから、及び特にプロピレンオキシドから、及びエチレンオキシドから誘導された基を表す。特に興味深いのは純粋なエトキシレート及び純粋なプロポキシレートであるが、エチレンオキシド−プロピレンオキシド−ブロック構造が生じてもよい。
【0020】
窒素、酸素及び硫黄の群からなるヘテロ原子3個までを有し、付加的にベンゼン環縮合していてよく、かつ記載された基により置換されていてよい5又は6員の不飽和又は飽和複素環式環としては次のものを挙げることができる:
テトラヒドロフラン、フラン、テトラヒドロチオフェン、チオフェン、2,5−ジメチルチオフェン、ピロリジン、ピロリン、ピロール、イソキサゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、イミダゾリン、イミダゾール、1,2,3−トリアゾリジン、1,2,3−及び1,2,4−トリアゾール、1,2,3−及び1,2,4−及び1,2,5−オキサジアゾール、テトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、2H−及び4H−ピラン、ピペリジン、1,3−及び1,4−ジオキサン、モルホリン、ピラザン、ピリジン、α−、β−及びγ−ピコリン、α−及びγ−ピペリドン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、1,2,5−オキサチアジン、1,3,5−、1,2,3−及び1,2,4−トリアジン、ベンゾフラン、チオナフテン、インドリン、インドール、イソインドリン、ベンゾキサゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、クロマン、イソクロマン、2H−及び4H−クロメン、キノリン、イソキノリン、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン及びベンゾ−1,2,3−トリアジン。
【0021】
前記複素環中のNH−基は可能な限り、例えばN−アルキル基として、誘導体の形であるのがよい。
【0022】
フェニル核又は複素環式環への置換において(同一の又は異なる)2個の又は特に唯一の置換基が有利である。
【0023】
Rに関して、場合により置換されたフェニルアルキル基及び複素環を有するアルキル基の例はベンジル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、o−、m−又はp−ヒドロキシベンジル、o−、m−又はp−カルボキシベンジル、o−、m−又はp−スルホベンジル、o−、m−又はp−メトキシ又は−エトキシカルボニルベンジル、2−フリルメチル、N−メチルピペリジン−4−イルメチル又は2−、3−又は4−ピリジニルメチルである。
【0024】
フェニル核及び複素環の置換基において水可溶性化基、例えばヒドロキシ基、カルボキシル基又はスルホ基であるのが有利である。
【0025】
−〜C−、C−〜C12−及びC−〜C20−アルキル基の例としてはRに関して相応する前記のものと理解する。
【0026】
金属、プラスチック、ラッカー又はガラスからなる硬い表面のための工業用清浄剤組成物中への使用が有利である。
【0027】
硬質な表面の清浄化のためには、特に汚染除去の際に改良された特性を有する工業用清浄剤組成物が求められている。更に、廃水負荷を減少するために、この際に通常使用する有機溶剤を全く使用しないことが望ましい。
【0028】
グリシン−N,N−二酢酸−誘導体I又はその塩を含有する工業用清浄剤組成物の使用範囲は特に次のものである:
− アルカリ性錆除去剤
− アルカリ性浸漬脱脂剤
− 多目的清浄剤
− ブラシ−及び高圧洗浄用自動車用洗剤
− 蒸気噴射清浄剤
− 電解脱脂剤、特に鋼鉄用
− 電解錆除去剤
− 電解スケール除去剤
− 高アルカリ性清浄剤
− 高圧清浄剤
− 瓶充填−及び清浄化装置の搬送ベルト用鎖滑剤
− 鋼鉄用不動態化剤
− ノズル脱脂剤
− 水性低温清浄剤
一般に、これらの清浄剤組成物はグリシン−N,N−二酢酸−誘導体I又はその塩を0.1〜30重量%含有する。
【0029】
個々の使用分野に常用の組成は専門家には原則的に公知である。一般に、そのような組成物は錯化剤とともに、それぞれその使用目的により多泡性、又は少泡性である、アニオン系又は有利に非イオン系界面活性剤1〜35重量%、並びに所望の場合更なる助剤としての更なる錯化剤、ビルダー、消泡剤、乳化剤、防食剤、還元剤、溶解助剤、分散剤及び保存剤をこれらに常用の濃度で含有する。使用目的によっては更に特別な作用を有する他の成分も更に加えてよい。有機溶剤に関しては、記載した組成で十分に回避することができる。
【0030】
この種の工業用清浄剤のための処方の提案は、例えばBASF株式会社の1991年1月の工業情報"工業用清浄剤"TI/ES 1167dに見いだされる;そこに記載した公知技術の錯化剤をグリシン−N,N−二酢酸−誘導体Iもしくはその塩により置換することができる。
【0031】
グリシン−N,N−二酢酸−誘導体I及びその塩の更に有利な使用は飲料−及び食料産業のための、特に飲料産業における瓶清浄のための並びに酪農業における、醸造業における、保存食−、パン菓子類−、砂糖−、脂肪加工及び肉加工産業における装置清浄のためのアルカリ性清浄剤中への使用である。
【0032】
飲料及び食料産業における容器及び装置の清浄に関しては、汚染除去において特に改良された特性を有する組成物が求められている。廃水負荷を減少させるためには、更にこの種の組成物中に有機溶剤を完全に回避することが望まれている。
【0033】
本発明のアルカリ性清浄剤組成物は一般に8〜14、有利に9〜13、特に10〜12のPH−値を示す。
【0034】
記載した清浄剤の有利な使用分野は飲料産業の瓶清浄であり、特に時間当たりの仕事量、通常30000〜70000本である自動瓶洗浄装置での瓶清浄である。汚染された瓶は例えばビール、牛乳、清涼飲料、果汁、発酵前果実酒又はミネラルウォーターを有する。
【0035】
記載した清浄剤組成物の他の有利な使用分野は酪農における装置の清浄である。主に脱脂であるバター製造機の清浄化においてはこれは有利な効果で使用される。特に、リン酸カルシウム、他の多くの場合は有機酸のカルシウム塩及びカゼイン(乳石)からなる残分及び沈着物を除去する所で、すなわち例えばミルクプレートヒーター、ミルク遠心分離用挿入皿、又はミルクのための貯蔵−及び搬送タンクで、グリシン−N,N−二酢酸−誘導体Iもしくはその塩を含有する清浄剤が有利に好適である。
【0036】
記載した清浄剤組成物の他の有利な使用分野は、醸造業における装置の清浄化である。ここでは特に、蓚酸カルシウム、ホップ樹脂及び蛋白質化合物(ビール石)を、例えば発酵タンク、貯蔵タンク又はビール導管から除去することである。
【0037】
記載した清浄剤組成物の他の有利な使用分野は保存食産業における装置の清浄化である。食料で満たし、かつ密閉したブリキ缶の、通常オートクレーブ中での加熱の際に、又は缶の例えば連続噴射装置中での最終清浄化の際にブリキ又はそのラッカーに作用することなく、充填物の残分を洗浄する清浄剤を使用しなければならない。更に、この清浄剤は缶上又は装置中に水垢が析出することを阻止するべきである。
【0038】
記載した清浄剤組成物の他の有利な使用分野はパン菓子類産業における装置清浄化、特に焦げたパン焼き用脂肪及びパン生地残分で汚れた焼き型及び生地型の清浄化である。この清浄化は通常アルカリ性清浄化溶液での煮沸により、又は連続噴射装置中で洗浄することにより行われる。
【0039】
記載した清浄化剤組成物の他の有利な使用分野は砂糖産業の装置清浄化である。砂糖ダイコン又はサトウキビからのショ糖の獲得の際にカルシウム塩を含有する不純物又は残分が生じ、この除去のためにはグリシン−N,N−二酢酸−誘導体Iもしくはその塩を含有する前記組成物が著しく好適である。
【0040】
記載した清浄化剤の他の有利な使用分野は、動物又は植物由来の油脂から、特に食用油脂、獣脂、食用油又は接触水添硬化脂又は油脂、例えばマーガリンを製造する、脂肪加工産業の装置の清浄化である。この種の生成物はその食料分野において重要であるとともに、繊維加工用製品、塗料、皮革製品手入れ用薬剤、化粧品、ロウソク、セッケン、界面活性剤、潤滑剤、可塑剤、セメント添加物及びアスファルト添加物の製造のための並びにプラスチックの製造のための重要な原料でもある。
【0041】
記載の清浄剤組成物の他の有利な使用分野は、肉製品加工産業における装置の清浄化である。ここでは特に水垢防止清浄剤を、例えば清浄化すべき装置及び機械に熱蒸気−液体混合物を噴射する、いわゆる蒸気噴射清浄装置中で、使用しなければならない。
【0042】
記載したグリシン−N,N−二酢酸−誘導体Iもしくはその塩を含有するアルカリ性清浄剤組成物は有機溶剤をほとんど不含で使用することができる。こうして起こりうる環境負荷が十分に除外される。
【0043】
列挙した飲料及び食料産業の使用分野に常用の清浄剤水性組成物は次のものを含有する;
(i)グリシン−N,N−二酢酸誘導体I又はそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩又は置換されたアンモニウム塩0.05〜30重量%、有利に0.1〜25重量%、特に0.5〜15重量%、
(ii)アルカリ金属水酸化物、−炭酸塩、−ケイ酸塩又はこれらの混合物2〜50重量%、有利に5〜40重量%、特に8〜25重量%、
(iii)界面活性剤1〜30重量%、有利に2〜25重量%、特に3〜20重量%。
【0044】
この際、成分(ii)としては特に水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムであるが、それとともに炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムも好適である;これらアルカリ類の混合物も使用することができる。
【0045】
界面活性剤(iii)としてはすべての常用のアニオン系又は非イオン系界面活性剤又はこれらからなる混合物を使用することができるが、特にアルキルスルフェート、アルキルスルホネート、脂肪アルコールアルコキシレート、オキソアルコールアルコキシレート、アルキルポリグルコシド及び脂肪アミンアルコキシレートが好適である。
【0046】
この組成物は前記のすべての使用分野における基本組成を示す。この基本組成の中で相互に異なる個々の組成は、異なる種類の食料及び飲料汚染により、その残分及び堆積物中の異なる量のアルカリ土類金属イオンにより、並びに異なる使用分野における清浄化すべき容器及び装置の異なる感度の材料により説明される。この観点から、グリシン−N,N−二酢酸誘導体I又はその塩を含有する前記のアルカリ性清浄剤組成物は一般に腐食性を示さず、感度の高い装置材料にも優れていることは、記載に値するものである。
【0047】
成分(i)〜(iii)からなる前記の基本組成物は、更に常用の助剤をここで常用の濃度で含有していてよく、例えばこれは所望の細菌学的な純度を達成するための殺菌剤、湿潤剤、溶解助剤、防食剤又は保存剤であってよい。
【0048】
グリシン−N,N−二酢酸誘導体I及びその塩の他の有利な使用は、食器清浄剤組成物、特に家庭で又は営業で、例えば大きなキッチンで又はレストランで皿洗い機中での機械的な食器清浄のためのホスフェート不含の食器清浄剤にある。
【0049】
グリシン−N,N−二酢酸誘導体I及びその塩の他の有利な使用は製紙産業における漂白浴中である。ここでは例えばナトリウムジチオニットでの還元的漂白において、又は例えば過酸化水素での酸化的漂白において、漂白行程の効果、すなわち木材パルプの白度を高めるために錯化剤は必要である。錯化剤は、重金属カチオンの、主に鉄、銅及び特にマンガンの除去のために使用される、これらはミョウバン及び樹脂酸ナトリウムを有するロジンサイズにおいても不溶性塩の形成により妨害的に作用する。紙上への鉄の沈積は、そこでセルロースの酸化的接触分解が始まる"熱汚点"に導く。
【0050】
木材パルプのための製紙産業における、この種の水性還元漂白浴(例えば物質濃度4%)の典型的組成はそれぞれ木材パルプに対して、錯化剤I 0.05〜0.1重量%、ナトリウムジチオニット約1重量%を含有する。浴温は約60℃であり、かつ漂白時間は通常1時間であり、pH値は約5.8である。
【0051】
木材パルプのための製紙産業における、この種の水性酸化漂白浴(例えば物質濃度20%)の典型的組成はそれぞれ木材パルプに対して、錯化剤I 0.05〜0.15重量%、水ガラス約2重量%、NaOH約0.75重量%及びH約1重量%を含有する。浴温は約50℃であり、かつ漂白時間は通常2時間である。
【0052】
グリシン−N,N−二酢酸誘導体I又はその塩の他の有利な使用は写真漂白−及び漂白固定浴である。写真産業においては、難溶性カルシウム塩及びマグネシウム塩の沈積を回避するために、硬水が添加されるような浴中にこの化合物を添加することができる。沈積はフィルム及び写真上にグレーのヴェール及びタンク中への堆積に導き、こうしてこれは回避されるのが有利である。鉄−IIII−錯化剤溶液として、これは有利に漂白固定浴中に有利に使用することができ、ここでは経済的な理由から問題のあるヘキサシアノ鉄溶液をこれに変えることができる。
【0053】
この種の典型的な水性写真漂白もしくは漂白固定浴組成物は次のとおりである:
錯化剤Iとの鉄(III)−錯体 0.04〜0.4モル/l
遊離錯化剤I 〜1.3モル/l
チオ硫酸ナトリウム 0.2〜2.0モル/l
亜硫酸ナトリウム 0.2〜0.3モル/l
このような浴のpH値は通常4〜8である。
【0054】
グリシン−N,N−二酢酸誘導体I及びその塩の他の有利な使用は繊維産業における前処理−及び漂白浴中にある。前処理浴とは特に糊抜き浴及びアルカリ前処理浴又はマルセル化浴を表す。こうして、繊維産業においてはこの化合物は綿、ウール又はポリエステルのような天然及び合成繊維の製造工程の際の痕跡量重金属の除去のために使用される。これにより多くの妨害、例えば繊維製品上への汚れのシミ及び線、光沢の損失、不良な湿潤性、不均質な染色及び染色欠陥を阻止する。
【0055】
繊維製造における典型的なこの種の水性前処理浴は次のものを含有する;
錯化剤I 0.1〜10重量%
常用の湿潤−又は乳化剤 0.5〜20重量%
ナトリウムジチオニットのような還元剤 0〜10重量%
pH値を5〜10の間に調節するための緩衝剤混合物 0〜5重量%
並びに他の常用の助剤、例えば保存剤又は糊抜き剤、例えばアミラーゼのような酵素。
【0056】
グリシン−N,N−二酢酸誘導体I及びその塩の他の有利な使用は汚染重金属カチオンの遮蔽のためのガルヴァーニ浴である。該化合物は毒性の高いシアニドの代替品として使用される。
【0057】
例えば、銅、ニッケル、亜鉛又は金の析出のためのこの種の水性ガルヴァーニ浴の典型的な組成は次の銅浴である:
硫酸銅(II)・五水和物 約10g/l
ホルムアルデヒド 10〜12g/l
錯化剤I 12〜15g/l
湿潤剤として、エチレンオキシド12モル及びプロピレンオキシド6モルと反応したC13/C15−オキソアルコール 1〜2g/l
この浴は通常水酸化ナトリウム溶液でpH13に調節される;更に通常の安定化剤、例えばアミン又はシアン化ナトリウムを含有していてよい。
【0058】
他の有利な使用としては、重金属不足の手当のために植物への栄養付与において、化合物Iの銅−、鉄−、マンガン−及び亜鉛錯体の使用である。生物学的に不活性で、不溶性の塩としての沈殿を阻止するために、重金属をキレートとして添加する。
【0059】
グリシン−N,N−二酢酸誘導体I及びその塩は有利に、技術的方法においてカルシウム−、マグネシウム−及び重金属塩の沈殿が妨害し、かつ阻止するすべての場合に、例えば漕、導管中に、又は噴射ノズル上又は一般的に平坦な表面上に沈積及び堆積の阻止のために、使用することができる。
【0060】
アルカリ性脱脂浴中のホスフェートの安定化のために、及び石灰セッケンの沈殿の阻止に使用でき、かつこれにより非鉄表面の"曇り"が阻止され及びアルカリ性清浄化剤の寿命が延長される。
【0061】
化合物Iでの冷却水処理は沈着を阻止し、すでに存在するものを再び溶かす。アルカリ媒体中への一般的な適用性、及びそれによる腐食問題の回避が利点である。
【0062】
弾性ゴムの重合体化において、これをこの際に使用したレドックス触媒の製造のために使用することができる。これは、更にアルカリ性重合体化環境での水酸化鉄の沈殿を阻止する。
【0063】
繊維洗濯物のための粉末洗剤組成物中には化合物Iを錯化剤として、又はビルダー(Builder)として使用することができる。α−アラニン−N,N−二酢酸はビルダーとしてのこの種の使用は公知である。従来の形(嵩密度、約450g/l)とともに小型−及び超小型洗剤(嵩密度、≧700g/l)がますます重要性を増している。小型洗剤組成物は従来の粉末洗剤に対して公知のように高含量の洗浄活性物質(界面活性剤)、ビルダー(例えば、ゼオライト)、漂白剤及びポリマーを有する。化合物Iはそのような小型洗剤組成物中で通常0.1〜25重量%、特に1〜15重量%の量で有効である。
【0064】
繊維洗濯物用液体洗剤組成物中に、化合物Iを錯化剤として、洗剤組成物全量に対して0.05〜20重量%の量で使用する。
【0065】
液体洗剤組成物中に、化合物Iを更に保存剤として、有利に洗剤組成物全量に対して0.05〜1重量%の量で使用することもできる。
【0066】
セッケンにおいて、これは金属により触媒される酸化分解を阻止する。
【0067】
他の使用としては、例えばオレフィン系二重結合の金属触媒酸化を阻止し、こうして製品の酸敗を阻止するために、例えば薬剤、化粧品及び食料品中での適用も考慮される。
【0068】
化合物Iの他の適用分野は煙道ガス洗浄、すなわち煙道ガスからのNOxの除去、HS−酸化、金属抽出並びに有機合成、例えばパラフィンの空気酸化又はオレフィンのアルコールへのヒドロホルミル化、のための触媒としての適用である。
【0069】
グリシン−N,N−二酢酸誘導体Iもしくはその塩の有利な作用は、例えば繊維製品、木パルプ又はパルプの漂白の際の、漂白剤安定化である。
【0070】
痕跡量の重金属、例えば鉄、銅及びマンガンは漂白浴の成分自体中に、水中に及び漂白する製品中に存在し、漂白剤の分解を触媒する。この錯化剤Iはこの金属イオンを結合し、かつ貯蔵の間及び適用の際の漂白システムの不所望な分解を阻止する。これにより漂白システムの能率が上昇し及び漂白する製品を損傷することが押さえられる。
【0071】
グリシン−N,N−二酢酸誘導体Iもしくはその塩の他の有利な作用はマンガン、特に酸化段階II及びIVのマンガンと化合物Iとの錯体の強力な漂白活性化作用である。そのような錯体はppm−領域の量で漂白触媒として繊維洗剤組成物中の常用の漂白活性剤の代替品として使用することができる。
【0072】
グリシン−N,N−二酢酸誘導体I及びその塩はアルカリ土類金属イオン及び重金属イオン、特にカルシウム及びマンガンのための著しく効果的な錯化剤であるので、この化合物は特に記載した適用目的に好適である。そのカルシウム−及びマンガン−結合能は著しく高い。
【0073】
更なる利点はその非常に僅かな毒性とその良好な生物学的分解性である。こうして、α−アラニン−N,N−二酢酸はツァーン−ヴェレンのテスト(Zahn−Wellens−Test)において標準条件下に生物学的分解度>90%(28日値)を示し、これに対して例えばエチレンジアミン四酢酸は同じ条件下に<10%の値を示した。
【0074】
その良好な生物学的分解性とともに、化合物Iを含有する清浄剤組成物を有機溶剤をほとんど含有することなく使用することができるということは、非常に大きな利点である。こうして起こりうる環境負荷を十分に閉め出すことができる。
【0075】
本発明の課題はグリシン−N,N−誘導体I及びそのアルカリ金属−、アルカリ土類金属−、アンモニウム−及び置換したアンモニウム塩の製法でもあり、この方法は、
A)相応する2−置換グリシン又は2−置換グリシンニトリル又は式;
【化4】

の2倍体グリシン、又は式;
【化5】

の2倍体グリシンニトリルをホルムアルデヒド及びシアン化水素又はアルカリ金属シアン化物と反応させるか、又は
B)イミノ二酢酸又はイミノジアセトニトリルを相応するモノアルデヒド又は式;OHC−A−CHOのジアルデヒド及びシアン化水素又はアルカリ金属シアン化物と反応させ、引き続き存在するニトリル基を加水分解しカルボキシル基にすることを特徴とする製法により解決する。
【0076】
前記の両方の実施形A及びBは、一般的アルデヒドとアンモニア又はアミン及び青酸("酸性"方法)又はシアン化物("アルカリ性"方法)とを反応させアミノ酸又はその誘導体にする"ストレッカー(Strecker)合成"に関する例を示す。
【0077】
ストレッカー合成の"アルカリ性"方法は例えば米国特許第3733355号明細書(4)中に一般式で示されている。しかしながら、そこに記載された実施例は常に多量の副生成物、特に不所望のグリコール酸が生じることを示す;このことは最大でも僅かに約89%である変換率からも推量される。
【0078】
ストレッカー合成の"酸性"方法は例えば西独特許公開第2027972号公報(5)から公知である。そこには、酸性媒体中でグリシン、ホルムアルデヒド及び青酸から出発するカルボキシメチルイミノジアセトニトリルの製造が記載されている。ここでは、pH値を7より低い範囲に保持するために付加的な酸を添加することが勧められている。
【0079】
本発明の課題はグリシン−N,N−二酢酸誘導体Iの効果的で、かつ経済的な製法を提供することでもあり、この方法は特に不所望な副生成物の形成を押さえ、かつ付加的な助剤、例えばpH−値調節用助剤を必要としない。
【0080】
こうして、前記の方法が見いだされた。
【0081】
特に有利なものとしてはシアン化水素("酸性"方法)で実施する方法を示す。有利には、通常大規模な方法で適用される、無水シアン化水素を使用する。この際、特に有利であるのは2−置換グリシン又は式;
【化6】

の2倍体グリシンであるか又はイミノジアセトニトリルから出発する反応である。
【0082】
A又はBによる反応は有利に水中、又は有機溶剤又はこれらの混合物中で実施される。有機溶剤としては有利に水と部分的に又は完全に混合可能であるもの、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール,tert−ブタノール、ジオキサン又はテトラヒドロフランを使用する。溶解助剤を使用することもできる。
【0083】
実施形Aにおいては、有利にアミノ化合物1モル当たりホルムアルデヒド2〜2.6モルを有利にその約30重量%水溶液の形で、もしくはアルデヒド2〜2.6モルを無水の形で又は水溶液として、及びシアン化水素又はアルカリ金属シアン化物、例えばシアン化ナトリウム又はシアン化カリウム2〜2.3モルを使用する。この反応を通常無水シアン化水素の場合温度0〜120℃で、特に15〜80℃で、及びアルカリ金属シアン化物の場合40〜110℃、特に70〜100℃で実施する。無水シアン化水素との反応の際に、実施形Bにおいては鉱酸、例えば硫酸、塩酸又はオルト燐酸を共用して、実施形Bにおいて0〜11、特に1〜9のpH範囲が考慮され、アルカリ金属シアン化物との反応の場合通常pH10〜14、特に11〜13で作業する。
【0084】
この反応に、なお存在するニトリル基のカルボキシル基への加水分解が続き、この方法は公知の方法で水性反応媒体中で塩基、例えば水酸化ナトリウム−又は水酸化カリウム水溶液の存在で又は酸、例えば硫酸又は塩酸の存在で、温度20〜110℃、特に40〜100℃で実施する。
【0085】
出発アミノ化合物として使用したグリシン及びグリシンニトリル誘導体はラセミ体としてもエナンチオマー純粋D−又はL−化合物としても使用することができる。
【0086】
反応条件に相応して、グリシン−N,N−二酢酸誘導体Iが遊離カルボン酸又は例えばアルカリ金属塩として得られる。遊離酸からは相応する塩基、例えばアミノ塩基での中和により所望の塩が困難なく製造される。
【0087】
グリシン−N,N−二酢酸誘導体I及びその塩はその溶剤から問題なく純粋な形で単離される。このためには特に噴霧乾燥又は凍結乾燥、結晶化及び沈殿が提供される。製造の際に生じた溶液を直接工業的使用に供給するのが有利である。
【0088】
本発明の課題は文献中で公知でない2−位で基Rにより置換されたグリシン−N,N−ジアセトニトリル及びグリシンニトリル−N,N−ジアセトニトリル[ここでRはヒドロキシ基、ホルミル基、C−〜C−アルコキシ基、フェノキシ基又はC−〜C−アルコキシカルボニル基5個までを付加的に置換分として有していてよく、かつ隣接していない5個までの酸素原子で中断されていてよいC−〜C30−アルキル又はC−〜C30−アルケニル基、式:−(CH−O−(AO)−(AO)−Y(ここで、A及びAは相互に依存せずにC−原子数2〜4の1,2−アルキレン基を表し、Yは水素、C−〜C12−アルキル、フェニル又はC−〜C−アルコキシカルボニルを表し、kは数値1、2又は3で、m及びnはそれぞれ0〜50までの数値を表し、この際m+nからなる合計は少なくとも4を有する)のアルコキシレート基、アルキル基中にC−原子1〜20個を有するフェニルアルキル基、付加的にベンゼン環縮合していてよい、窒素、酸素及び硫黄の群からのヘテロ原子3個までを有する5又は6員の不飽和又は飽和複素環式環を有するC−〜C20−アルキル基を表し、この際Rの意味において挙げたすべてのフェニル核及び複素環式環は付加的に置換基としてC−〜C−アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホ基又はC−〜C−アルコキシカルボニル基3個までを有していてよい]であり、例えば化合物α−アラニン−N,N−ジアセトニトリル及びα−アラニンニトリル−N,N−ジアセトニトリルであり、かつ式;
【化7】

[式中、Xはカルボン酸−又はニトリル官能基を表す]の2倍体のグリシン−N,N−ジアセトニトリル及び2倍体のグリシンニトリル−N,N−ジアセトニトリルであり、これらはグリシン−N,N−二酢酸誘導体I及びその塩の製造のための中間生成物である。これらの化合物は前記グリシン−もしくはグリシンニトリル−誘導体とホルムアルデヒド及びシアン化水素との反応において、もしくはイミドアセトニトリルと相応するモノ−又はジアルデヒド及びシアン化水素との反応における中間段階として生じる。
【0089】
本発明方法において、実施形Aでの"酸性"方法において2−位で置換されたグリシン又は式:
【化8】

の2倍体のグリシンを出発物質とする場合、付加的な酸は回避される、それというのも意外なことに、このカルボキシル基の酸性は反応を実施するために十分である。
【0090】
一般的にこの反応生成物は高い収率で十分に純粋な形で得られる。副生成物の含量は僅かである。本発明による製法の更なる利点は塩不含の方法及び容易に入手可能な供給物質である。
【0091】
本発明の課題は文献中に記載されていない、一般式Ia:
【化9】

[式中、R′はヒドロキシ基、ホルミル基、C−〜C−アルコキシ基、フェノキシ基又はC−〜C−アルコキシカルボニル基5個までを付加的に置換分として有していてよく、かつ隣接していない5個までの酸素原子で中断されていてよいC−〜C30−アルキル、特にC−〜C30−アルキル、又はC−〜C30−アルケニル基、式:−(CH−O−(AO)−(AO)−Y(ここで、A及びAは相互に依存せずにC−原子数2〜4の1,2−アルキレン基を表し、Yは水素、C−〜C12−アルキル、フェニル又はC−〜C−アルコキシカルボニルを表し、かつkは数値1、2又は3で、m及びnはそれぞれ0〜50までの数値を表し、この際m+nからなる合計は少なくとも4の数値を有する)のアルコキシレート基、又はアルキル基中にC−原子1〜20個を有するフェニルアルキル基、付加的にベンゼン環縮合していてよい、窒素、酸素及び硫黄の群からのヘテロ原子3個までを有する5又は6員の不飽和又は飽和複素環式環を有するC−〜C20−アルキル基を表し、この際Rの意味において挙げたすべてのフェニル核及び複素環式環は更に付加的に置換基としてC−〜C−アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホ基又はC−〜C−アルコキシカルボニル基3個までを有していてよく、又はR′は式:
【化10】

(ここで、A′はC−〜C12−アルキレン橋を表す)の基を表し、かつ
Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属−、アンモニウム又は置換アンモニウムの相応する化学量論量を表す]のグリシン−N,N−二酢酸誘導体でもある。
【0092】
−〜C−アルキルを有する化合物Iはすでに文献Chem.zvesti28(3)、332〜335(1974)から公知である。
【実施例】
【0093】
製造例
実施例1
イミノジアセトニトリルからのα−D,L−アラニン−N,N−二酢酸−トリナトリウム塩の製造
水500ml中のイミノジアセトニトリル(100重量%)95gの懸濁液に硫酸(100重量%)14g、無水青酸27g及びアセトアルデヒド(100重量%)44gを35〜50℃で順次加えた。青酸含有量の滴定において、全く変化が確認されなくなるまで撹拌した。10℃に冷却した後、沈殿を濾別し、乾燥した。融点82℃のα−D,L−アラニンニトリル−N,N−ジアセトニトリル123.4g(理論値の83%に相当)が得られた。
【0094】
得られたα−D,L−アラニンニトリル−N,N−ジアセトニトリルを50℃で25重量%水酸化ナトリウム水溶液440g中に挿入し、引き続き更に2時間この温度で後撹拌した。その後95℃に10時間加熱した。反応の終了の頃、この反応混合物を水で希釈した。こうして鉄結合能1.285ミリモル/gのα−D,L−アラニン−N,N−二酢酸−トリナトリウム塩の水溶液610gが得られた(使用したα−D,L−アラニンニトリル−N,N−ジアセトニトリルにたいして理論値の94%に相当する)。
【0095】
実施例2
α−D,L−アラニンからのα−D,L−アラニン−N,N−二酢酸−トリナトリウム塩の製法
水200g中のD,L−アラニン(>99重量%)44gの懸濁液にホルムアルデヒド(30重量%)105g及び青酸(89.5重量%)31.7gを30℃で同時に加えた。青酸−減少は理論値の>97%の変換に相応した。
【0096】
このようにして得られたα−D,L−アラニン−N,N−ジアセトニトリルの水溶液を水酸化ナトリウム50重量%水溶液132g中に30℃で8時間撹拌した後、温度を95〜102℃に高めた。
【0097】
更に4時間後、反応は実質的に完了した。その鉄結合能によりα−D,L−アラニン−N,N−二酢酸トリナトリウム塩37.4重量%を含有する溶液352.5gが得られる(両方の行程に関して理論値の97.4%の収率に相当する)。
【0098】
実施例3
L−チロシンからのL−チロシン−N,N−二酢酸−トリナトリウム塩
チロシン45.8gを水200ml中に懸濁し、HCN7.5g(90重量%)及びホルムアルデヒド(30重量%)25gを水溶液中に添加した。40℃で2.5時間後青酸の変換は最大であり、更なるHCN(90重量%)12.0g及びホルムアルデヒド(30重量%)40.0gを水溶液中にpH1で添加した。更に35℃で5時間及び80℃で4時間後にL−チロシン−N,N−ジアセトニトリルの溶液が理論値の94%の収率で得られた。
【0099】
この溶液を40℃で50重量%水酸化ナトリウム水溶液130gに滴加した。60℃で2時間及び95℃で2時間の後、鉄結合能0.543ミリモル/gのL−チロシン−N,N−二酢酸−トリナトリウム塩の溶液385g(理論収率の89%に相当する)が得られた。
【0100】
実施例4
イミノジアセトニトリルからのD,L−エチルグリシン−N,N−二酢酸−トリナトリウム塩
水2070g中のイミノジアセトニトリル570gの懸濁液中に硫酸(96重量%)41g、シアン化水素(99重量%)180g及びプロピオンアルデヒド(99.5重量%)385gを順次滴加し、滴定により青酸含量の変化がもはや確認されなくなるまで、35℃で撹拌した。10℃に冷却した後D,L−エチルグリシンニトリル−N,N−ジアセトニトリル977g(収率:理論値の97%)が沈殿として純度96.8重量%で濾過により得られた。
【0101】
次いで、この沈殿を60℃で17重量%の水酸化ナトリウム水溶液4430g中に挿入し、60℃で3時間、95℃で10時間後撹拌し、かつ終了時に水で希釈した。これにより、鉄結合能0.985ミリモル/gのD,L−エチルグリシン−N,N−二酢酸−トリナトリウム塩の溶液5275g(理論値の89%の収率に相当する)が得られる。
【0102】
実施例5
イミノジアセトニトリルからのD,L−プロピルグリシン−N,N−二酢酸−トリナトリウム塩
水500g中のイミノジアセトニトリル95gの懸濁液中に硫酸(96重量%)14g、シアン化水素(99.3%)26.9g及びブチルアルデヒド79.3gを順次滴加し、滴定により青酸含量の変化がもはや確認されなくなるまで、35℃で4時間撹拌した。10℃に冷却した後、D,L−n−プロピルグリシンニトリル−N,N−ジアセトニトリル165g(収率:理論値の94%)が相分離により得られた。
【0103】
次いで、この油状物質から、70.4gを40℃で15重量%の水酸化ナトリウム水溶液350g中に挿入し、95℃で2時間後撹拌し、最後に水で希釈した。これにより、鉄結合能0.573ミリモル/gのD,L−n−プロピルグリシン−N,N−二酢酸−トリナトリウム塩の溶液600g(理論値の86%の収率に相当する)が得られた。
【0104】
実施例6
イミノジアセトニトリルからのD,L−1−メチルプロピルグリシン−N,N−二酢酸−トリナトリウム塩
水350g中のイミノジアセトニトリル95gの懸濁液中に硫酸(96重量%)6g、シアン化水素(99.4重量%)30g及び2−メチルブチルアルデヒド103.2gを順次滴加し、滴定により青酸含量の変化がもはや確認されなくなるまで、35℃で2時間、55℃で25時間撹拌した。10℃に冷却した後、D,L−1−メチルプロピルグリシンニトリル−N,N−ジアセトニトリル167g(収率:理論値の88%)が相分離により得られた。
【0105】
次いで、この油状物質から、143gを40℃で18重量%の水酸化ナトリウム水溶液600g中に挿入し、95℃で20時間後撹拌し、最後に水で希釈した。これにより、鉄結合能0.619ミリモル/gのD,L−1−メチルプロピルグリシン−N,N−二酢酸−トリナトリウム塩の溶液960g(理論値の79%の収率に相当する)が得られた。
【0106】
実施例7
イミノジアセトニトリルからのD,L−2−メチルプロピルグリシン−N,N−二酢酸−トリナトリウム塩
水350g中のイミノジアセトニトリル95gの懸濁液中に硫酸(96重量%)7g、シアン化水素(98.3重量%)30g及び3−メチルブチルアルデヒド103.4gを順次滴加し、青酸含量の変化がもはや確認されなくなるまで、35℃で2時間及び50℃で3時間撹拌した。10℃に冷却した後、D,L−2−メチルプロピルグリシンニトリル−N,N−ジアセトニトリル175g(収率:理論値の92%)が相分離により得られた。
【0107】
次いで、この得られた油状物質を40℃で14重量%の水酸化ナトリウム水溶液860g中に挿入し、60℃で3時間及び95℃で5時間後撹拌した。これにより、鉄結合能0.775ミリモル/gのD,L−2−メチルプロピルグリシン−N,N−二酢酸−トリナトリウム塩の溶液1070g(理論値の90%の収率に相当)が得られた。
【0108】
実施例8
イミノジアセトニトリルからのD,L−n−ノニルグリシン−N,N−二酢酸
水500g中のイミノジアセトニトリル95gの懸濁液中に硫酸(96重量%)14g、シアン化水素(98.4重量%)30.2g及びn−デカナール172gを順次滴加し、滴定により青酸含量の変化がもはや確認されなくなるまで、60℃で17時間及び80℃で2時間撹拌した。10℃に冷却した後、水相を分離し、かつ残留油状物質を水500mlで2回振出し、有機相からD,L−n−ノニルグリシンニトリル−N,N−ジアセトニトリル205g(収率:理論値の79%)が得られた。
【0109】
次いで、この油状物質から、205gをn−ブタノール600mlとともに40℃で18重量%の水酸化ナトリウム水溶液600g中に挿入し、95℃で30時間後撹拌した。引き続き、揮発性成分を留去し、かつ残分を水中に取り込み、HClでpH1とし、かつ生じた沈殿を濾過により単離した。これにより、鉄結合能2.57ミリモル/gのD,L−n−ノニルグリシン−N,N−二酢酸209g(理論値の68%の収率に相当する)が得られた。
【0110】
実施例9
イミノジアセトニトリルからのD,L−n−トリデシルグリシン−N,N−二酢酸
水500g中のイミノジアセトニトリル95gの懸濁液中に硫酸(96重量%)14g、シアン化水素(98.4重量%)30.2g及びn−テトラデカナール234gを順次滴加し、かつ滴定により青酸含量の変化がもはや確認されなくなるまで、60℃で17時間及び80℃で2時間撹拌した。10℃に冷却した後、水相を分離し残留した油状物質を水500mlで振出し、有機相からD,L−n−トリデシルグリシンニトリル−N,N−ジアセトニトリル259g(収率:理論値の82%)が得られた。
【0111】
次いで、この油状物質から、259gを40℃で18重量%の水酸化ナトリウム水溶液600g中にn−ブタノール600mlとともに挿入し、95℃で30時間後撹拌した。引き続き、揮発分を留去しかつ残分を水中に取り込み、HClでpH1とし、かつ残留したワックス様沈殿物を濾過により単離した。これにより、鉄結合能2.14ミリモル/gのD,L−n−テトラデシルグリシン−N,N−二酢酸252g(理論値の66%の収率に相当する)が得られた。
【0112】
実施例10
イミノジアセトニトリルからのD,L−(2−フェニルエチレン)グリシン−N,N−二酢酸−トリナトリウム塩
メタノール125g中のイミノジアセトニトリル23.8gの懸濁液中に硫酸(96重量%)3.5g、シアン化水素(98.3重量%)8.0g及び3−フェニルプロピオンアルデヒド35.2gを順次滴加し、50℃で50時間撹拌した、この時間の後青酸含量による変換は理論値の95.5%であった。
【0113】
メタノール中のD,L−(2−フェニルエチレン)グリシンニトリル−N,N−ジアセトニトリルの未処理の溶液から190gを40℃で19重量%の水酸化ナトリウム水溶液186g中に挿入し、60℃で3時間、更に95℃で22時間後撹拌し、この際留出するメタノールを水に変えた。これにより、鉄結合能0.368ミリモル/gのD,L−(2−フェニルエチレン)−グリシン−N,N−二酢酸−トリナトリウム塩の溶液510g(理論値の75%の収率に相当する)が得られた。pH1.5に酸性にすることにより、生じた沈殿を吸引濾過し、かつ40℃でメタノールで洗浄すると相応する遊離酸が純度96重量%で得られた。
【0114】
実施例11
イミノジアセトニトリルからの2−フリルメチレングリシン−N,N−二酢酸
水200g中のイミノジアセトニトリル47.5gの懸濁液中に硫酸(96重量%)4.8g、シアン化水素(90.2重量%)16.5g及びフルフラール52.9gを順次滴加し、滴定により青酸含量の変化がもはや確認されなくなるまで、60℃で6時間及び85℃で8時間撹拌した。この混合物を塩化ナトリウムで飽和させ、メチル−tert−ブチルエーテルで3回振出し、合した有機相を−20℃に冷却し、生じた沈殿を単離した。D,L−2−フリルメチレングリシンニトリル−N,N−ジアセトニトリル95g(収率:理論値の89%)が生じた。
【0115】
次いで、この結晶から、46gを40℃で22重量%の水酸化ナトリウム水溶液130g中に挿入し、40℃で3時間、及び95℃で4時間後撹拌した。引き続き、HClでpH1.5に調節し、生じた沈殿を濾過により単離し、かつ水で洗浄した。これにより、鉄結合能3.61ミリモル/gのD,L−2−フリルメチレングリシン−N,N−二酢酸47g(理論値の79%の収率に相当する)が得られた。
【0116】
実施例12
イミノジアセトニトリルからの1,3−プロピレン−ビス(D,L−グリシン−N,N−二酢酸)−ヘキサナトリウム塩
水410g中のイミノジアセトニトリル95gの懸濁液中に硫酸(96重量%)14g、シアン化水素(89.8重量%)33.1g及びグルタルジアルデヒド(水中の25重量%)220gを順次滴加し、滴定により青酸含量の変化がもはや確認されなくなるまで(理論値の99.1%変換)、35℃で2時間及び70℃で6時間撹拌した。10℃に冷却した後、水相を分離し残留した油状物質を水500mlで2回振出し、有機相から1,3−プロピレン−ビス(D,L−グリシンニトリル−N,N−ジアセトニトリル)149g(収率:理論値の97%)が得られた。
【0117】
次いで、この油状物質から、149gを30℃で19重量%の水酸化ナトリウム水溶液744g中に挿入し、70℃で12時間及び100℃で11時間後撹拌した。鉄結合能0.829ミリモル/gの1,3−プロピレン−ビス(D,L−グリシン−N,N−二酢酸)−ヘキサナトリウム塩の溶液が572g(理論値の99%の収率に相当する)が得られた。この溶液にメタノールを添加することにより生成物の純粋な単離が達せられた。
【0118】
適用技術上のデータ及び適用例
カルシウム結合能の測定
測定原理:
炭酸カルシウムの沈殿にたいする錯化剤又は分散剤の阻止作用は混濁滴定により測定される。試験すべき物質を予め挿入し、かつ炭酸ナトリウムの存在で酢酸カルシウム溶液で滴定する。終点を炭酸カルシウム沈殿の形成により示す。十分量の炭酸ナトリウムの使用により、効果がカルシウムイオンの錯形成に起因するだけでなく、炭酸カルシウムの分散にも起因する場合にも、測定が正確な結果を提供することが確実になる。すなわち、炭酸ナトリウムの量が少なすぎる場合には生成物の分散能が十分に使いきれないという危険性があり;この場合滴定終点は試験化合物のカルシウム塩の沈殿により測定される。
【0119】
滴定の間、光透過性の変化を光導体測光器により追跡する。この測光器においてはガラスファイバーを介して溶液中に導入された光線を鏡で反射し、反射光の強度を測定する。
【0120】
試薬:
Ca(OAc)−0.25M溶液
NaCO−10重量%溶液
NaOH−1N溶液
1重量%塩酸
実施:
トリナトリウム塩の形の作用物質(W.S.)1gを蒸留水100ml中に溶かす。引き続き、10重量%のNaCO−溶液10mlを添加する。室温(RT)で、かつ滴定の間pH値11に一定に保持し、かつ80℃でpH値10でCa(OAc)−0.25モル溶液で連続的に0.2ml/分で自動的に滴定する。
【0121】
計算:
CaCOmg/g W.Sの量=Ca(OAc)−溶液の使用量(ml)x25。自動滴定においては滴定曲線の第1屈折点が終点である。
【0122】
更に、下記の組成の清浄剤組成物1及び2の過硼素酸塩安定化を測定した。
【0123】
過硼素酸ナトリウム含有洗剤組成物の漂白効果に関与する過酸化水素を重金属イオン(Fe、Cu、Mn)は接触分解する。重金属イオンの錯形成によりこのことは阻止される。錯化剤の過酸化物安定化作用は重金属含有洗浄浴の加温貯蔵後の残留過酸化物含量を介して試験される。過酸化水素の含量は貯蔵の前及び後に酸性溶液中での過マンガン酸カリウムでの滴定により測定された。
【0124】
過硼素酸塩の安定化に関する試験のためには2つの洗剤組成物を使用し、この際加温貯蔵における分解は重金属触媒の添加により行われる(Fe3+ 2ppm、CU2+ 0.25ppm、Mn2+ 0.25ppmからなる混合物 2.5ppm)。
【0125】
1. リン酸塩含有組成物(重量%において):
12−アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(50重量%水溶液) 19.3%
過硼素酸ナトリウム・4HO 15.4%
三リン酸ナトリウム 30.8%
マレイン酸及びアクリル酸からなるコポリマー(重量比50:50、平均分子量50000) 2.6%
無水硫酸ナトリウム 31.0%
本発明による錯化剤又は比較化合物 0.9%
25゜dHを有する水の使用下に洗剤濃度は6.5g/lであった。貯蔵は80℃で2時間行った。
【0126】
2.リン酸塩含量減少組成物(重量%において):
12−アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(50重量%水溶液) 15%
獣脂アルコール1モルへのエチレンオキシド11モルの付加生成物 5%
過硼素酸ナトリウム・4HO 20%
メタケイ酸ナトリウム・5HO 6%
珪酸マグネシウム 1.25%
三リン酸ナトリウム 20%
無水硫酸ナトリウム 31.75%
本発明による錯化剤又は比較化合物 1%
25゜dHを有する水の使用下に洗剤濃度は8g/lであった。貯蔵は60℃で1時間行った。
【0127】
次の表1は測定の結果を示す。
【表1】

【0128】
マンガン結合能の測定
測定法
0.005MMnSO・HO−溶液10.0mlを蒸留水50ml、5重量%酒石酸カリウムナトリウム溶液10滴、緩衝溶液約3ml、アスコルビン酸約30mg及び指示薬(エリオクロム黒 T 1重量部をNaCl 400重量部とすりつぶす)スパーテル先端量と混合し、かつ75℃に加温する。この溶液を錯化剤(K.B.)の0.001M溶液で青色への変色が保持されるまで滴定する。
【0129】
評価
【数1】

【0130】
次の表2は測定の結果を示す。
【表2】

【0131】
実施例13
酪農用高アルカリ性清浄剤組成物
50重量%の水酸化ナトリウム溶液 40重量部、
実施例2からのα−D,L−アラニン−N,N−二酢酸−トリナトリウム塩の30重量%水溶液 20重量部、
エトキシル化度約4を有するC10−オキソアルコールエトキシレー 4重量部、
溶解助剤としての市販のアルキルカルボン酸混合物 4重量部、
水硬物質分解用グルコン酸ナトリウム 7重量部
及び
水 25重量部
からなる混合物をリン酸カルシウム、蓚酸カルシウム、蛋白質及び灰分からなる沈着物の除去の際に使用した。この沈着物は問題なく除去された。
【0132】
実施例14
醸造用高アルカリ性清浄剤組成物
50重量%の水酸化カリウム溶液 40重量部、
実施例2からのα−D,L−アラニン−N,N−二酢酸−トリナトリウム塩の30重量%水溶液 20重量部、
エトキシル化度約3を有するC10−オキソアルコールエトキシレート 3重量部、
溶解助剤としての市販のアルキルカルボン酸混合物 3重量部
及び
水 34重量部
からなる混合物を蓚酸カルシウム、ホップ樹脂及び蛋白質からなる沈着物の除去の際に使用した。この沈着物は問題なく除去された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I:
【化1】

[式中、
Rはヒドロキシ基、ホルミル基、C−〜C−アルコキシ基、フェノキシ基又はC−〜C−アルコキシカルボニル基5個までを付加的に置換分として有していてよく、かつ隣接していない5個までの酸素原子で中断されていてよいC−〜C30−アルキル又はC−〜C30−アルケニル基、式:−(CH−O−(AO)−(AO)−Y(ここで、A及びAは相互に依存せずにC−原子数2〜4の1,2−アルキレン基を表し、Yは水素、C−〜C12−アルキル、フェニル又はC−〜C−アルコキシカルボニルを表し、かつkは数値1、2又は3で、m及びnはそれぞれ0〜50までの数値を表し、この際m+nからなる合計は少なくとも4を有する)のアルコキシレート基、又はアルキル基中にC−原子1〜20個を有するフェニルアルキル基、付加的にベンゼン環縮合していてよい、窒素、酸素及び硫黄の群からのヘテロ原子3個までを有する5又は6員の不飽和又は飽和複素環式環を表し、この際Rの意味において挙げたすべてのフェニル核及び複素環式環は更に付加的に置換分としてC−〜C−アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホ基又はC−〜C−アルコキシカルボニル基3個までを有していてよく、又はRは式:
【化2】

(ここで、AはC−〜C12−アルキレン橋又は化学結合を表す)の基を表し、かつ
Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は置換アンモニウムの相応する化学量論量を表す]のグリシン−N,N−二酢酸−誘導体を製造する方法において、
A)相応する2−置換グリシン又は2−置換グリシンニトリル又は式;
【化3】

の2倍体グリシン、又は式;
【化4】

の2倍体グリシンニトリルをホルムアルデヒド及びシアン化水素と反応させ、引き続き存在するニトリル基を加水分解しカルボキシル基にすることを特徴とする、グリシン−N,N−二酢酸−誘導体の製法。

【公開番号】特開2011−148802(P2011−148802A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33296(P2011−33296)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【分割の表示】特願2008−59565(P2008−59565)の分割
【原出願日】平成6年6月7日(1994.6.7)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】