説明

アルキルスルホニルトリアゾール誘導体およびその製造方法

【課題】 トリアゾリノン類の効率のよい提供手段の提供。
【解決手段】 一般式(II)
【化1】


[式中、Rは各場合において任意に置換されたアルキルもしくはシクロアルキルを表し、Rはアミノ、または各場合において任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルもしくはフェニルを表し、そしてRはアルキルを表す。]
のトリアゾリノンの製造のための新規中間体その製造のためのさらなる前駆体、ならびにそれらの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリアゾリノン類の除草剤および殺虫剤の製造のための中間体として使用できるトリアゾリノン化合物およびそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、化合物4−メチル−5−トリフルオロメチル−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オンのようなある種の置換トリアゾリノンは、例えば、化合物4−メチル−5−トリフルオロメチル−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−チオンのような適切なトリアゾリンチオンが、例えば、ナトリウムメチラートのような酸結合剤の存在下で、例えば、ヨウ化メチルのようなアルキル化剤と最初に反応し、その得られるアルキルチオトリアゾール誘導体が、常法において単離され、次いで、酢酸の存在下で過酸化水素とともに加熱され、そしてその生成物が冷却され、次いで、中和され、常法において採取されて得られることは既知である(特許文献1参照)。
【0003】
さらに、上記化合物4−メチル−5−トリフルオロメチル−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オンは、また1−トリフルオロアセチル−4−メチルセミカルバジドを160℃〜180℃で加熱し、続いて、酢酸エチルで抽出し、カラムクロマト処理によって得られることも、知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】米国特許第3780052号明細書(実施例2および3)
【発明の開示】
【0004】
しかしながら、その得られた生成物の収量および品質は、上記両方の合成法においては決して満足できるものではない。そこで、本発明者等は、高収率、かつ、高純度で目的化合物を得ることのできる下記の改良製造方法を開発した。
一般式(I)
【0005】
【化1】

【0006】
[式中、Rは、各場合において任意に置換されたアルキルもしくはシクロアルキルを表し、Rは、アミノ、または各場合において任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルもしくはフェニルを表す]
のトリアゾリノンの製造方法に関するものであって、その方法は、一般式(II)
【0007】
【化2】

【0008】
[式中、RおよびRは、前記意味を有し、Rは、アルキルを表す]
のアルキルスルホニルトリアゾール誘導体を、温度0〜100℃、大気圧下で、アルカリ金属水酸化物の水溶液と反応させ、その生成物を酸性化し、次いで、常法により採取することを特徴とする。
【0009】
驚くべきことに、これらの方法は、一般式(I)のトリアゾリノンを、簡単な方法で非常に高収量−先行技術と比較してかなり改良されており、高純度で採取することを可能にする。
【0010】
これらのほう方法の出発原料として使用できる一般式(II)で表される化合物は、さらに該化合物の製造用原料である一般式(III)で表される化合物も本発明者等の知る限りでは、従来技術文献未載の化合物であり、本発明はこれらの一般式(II)で表される化合物および一般式(III)で表される化合物、ならびにそれらの化合物の製造方法を提供する。
<発明の詳細な記述>
本発明に関する式(I)の化合物は、次の場合のものである:
式中、Rは、ハロゲン、シアノもしくはC−C−アルコキシによって任意に置換されている1〜6個の炭素原子を有するアルキルを表すか、またはハロゲン、シアノもしくはC−C−アルキルによって任意に置換されている3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキルを表し、そしてRは、アミノを表すか、または、各々が、アルキル、アルケニルもしくはアルキニル基において6個までの炭素原子を有し、そして各々が、ハロゲン、シアノもしくはC−C−アルコキシによって任意に置換されているアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアミノもしくはジアルキルアミノを表すか、または、各々が、ハロゲン、シアノ、C−C−アルキル、C−C−アルコキシもしくはC−C−アルコキシ−カルボニルによって任意に置換されているC−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキルもしくはフェニルを表す。
【0011】
アルキルのような基の定義において、またアルコキシ、アルキルチオもしくはアルキルアミノにおけるようなヘテロ原子との組み合わせにおいて述べられる炭化水素基は、明記していない場合でも、直鎖もしくは分枝状である。
【0012】
一般に、ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素、好ましくはフッ素、塩素もしくは臭素、特にフッ素もしくは塩素を表す。
【0013】
特に、式(I)の化合物は、次の場合のものが好ましい:
式中、Rが、各々が、フッ素、塩素、臭素、シアノ、メトキシもしくはエトキシによって任意に置換されているメチル、エチル、n−もしくはi−プロピルまたはn−、i−もしくはs−ブチルを表すか、または各々が、フッ素、塩素、臭素、シアノもしくはメチルによって任意に置換されているシクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチルもしくはシクロヘキシルを表し、そしてRが、アミノを表すか、または、各々が、フッ素、塩素、シアノ、メトキシもしくはエトキシによって任意に置換されているメチル、エチル、n−もしくはi−プロピル、n−、i−もしくはs−ブチル、アリル、プロパルギル、メトキシ、エトキシ、n−もしくはi−プロポキシ、n−、i−もしくはs−ブトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、n−もしくはi−プロピルアミノ、n−、i−もしくはs−ブチルアミノ、ジメチルアミノまたはジエチルアミノを表すか、または各々が、フッ素、塩素、臭素、シアノ、メチル、エチル、n−もしくはi−プロピル、メトキシ−カルボニルもしくはエトキシ−カルボニルによって任意に置換されているシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルもしくはフェニルを表す

【0014】
式(I)の化合物の著しく好適な群は、次の場合の化合物である:
式中、Rが、各々が、フッ素および/または塩素により、任意にモノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサもしくはヘプタ置換されているメチル、エチル、n−もしくはi−プロピル、シクロプロピルもしくはシクロプロピルメチルを表し、そしてRが、メチル、エチル、n−もしくはi−プロピル、メトキシ、エトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ,シクロプロピル、フェニルもしくはトリルを表す。
【0015】
各基の前記一般的定義、または好適な範囲が示された基の定義は、式(I)の最終生成物に適用され、同様に、各場合において製造のために必要とされる、本発明の化合物である、出発物質もしくは中間体にも適用される。
【0016】
これらの基の定義は、必要に応じ互いに組み合わされる、すなわち好適な化合物の上記範囲内での組み合わせも、また可能である。
【0017】
例えば、本発明に従う、3−ジフルオロメチル−4−メチル−5−メチルスルホニル−4H−1,2,4−トリアゾールおよび水酸化カリウムが、出発物質として使用されるならば、式(I)の化合物を提供する反応過程は、次の式によって略述される:
【0018】
【化3】

【0019】
一般式(I)の化合物の製造のための出発物質として使用される、本発明に従う式(II)のアルキルスルホニルトリアゾール誘導体の一般的定義を以下に提供する。
【0020】
式(II)において、RおよびRは、好ましくは、または特に、RおよびRについて好適、または特に好適であるような式(I)の化合物の記述との関連で既に前述された意味を有し;Rは、1〜4個の炭素原子を有するアルキル、特にメチルもしくはエチルを表す。
【0021】
一般式(II)の新規アルキルスルホニルトリアゾール誘導体は、一般式(III)
【0022】
【化4】

【0023】
[式中、R、RおよびRは、前記意味を有する]
のアルキルチオトリアゾール誘導体が、温度0〜100℃で、必要ならば反応補助剤の存
在で、そして必要ならば希釈剤の存在下でオキシダントと反応する場合に得られる(製造実施例、参照)。
【0024】
この目的に適する酸化剤の例は、酸素、オゾン、過酸化水素、塩素、次亜塩素酸ナトリウム溶液、過マンガン酸カリウム、過ギ酸、過酢酸、過プロピオン酸および任意にハロゲン化された過安息香酸である。
【0025】
この目的に適する反応補助剤−特に過酸化水素が用いられる場合−は、主に、元素の周期表のサブグループIV,VおよびVIの金属の塩である。列挙できる例は、(メタ)バナジン酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウムおよびタングステン酸ナトリウムである。
【0026】
この目的に適する希釈剤は、特に、脂肪族、脂環式もしくは芳香族の任意にハロゲン化された炭化水素類、例えば、ベンジン、ベンゼン、トルエン、キシレン クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、石油エーテル、ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、またはエチレングリコールジメチルエーテルもしくはエチレングリコールジエチルエーテル;ケトン類、例えばアセトン、ブタノンもしくはメチルイソブチルケトン;ニトリル類、例えばアセトニトリル、プロピオニトリルもしくはベンゾニトリル;アミド類、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−ホルムアニリド、N−メチル−ピロリドンもしくはヘキサメチルリン酸トリアミド;カルボン酸類、例えばギ酸、酢酸もしくはプロピオン酸;エステル類、例えば酢酸メチルもしくは酢酸エチル、ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類、アルコール類、例えばメタノール、エタノール、n−もしくはi−プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、それらの水との混合液、または純粋な水、である。
【0027】
さらなる前駆体として必要とされる一般式(III)のアルキルチオトリアゾール誘導体は、これまで、化合物4−メチル−3−トリフルオロメチル−5−メチルチオ−1H−1,2,4−トリアゾール(特許文献1−実施例2、参照)を除いて、文献からは未知である;新規物質として、それらは、本出願の主題である。
【0028】
一般式(III)のアルキルチオトリアゾール誘導体は、一般式(IV)
【0029】
【化5】

【0030】
[式中、RおよびRは、前記意味を有する]
のトリアゾリンチオンが、温度0〜100℃で、必要ならば、例えば水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムのような酸受容体の存在下で、そして必要ならば、例えばメタノールもしくはエタノールのような希釈剤の存在下で、例えば、臭化メチル、ヨウ化メチル、臭化エチルもしくはヨウ化エチルのようなアルキル化剤と反応する場合に得られる(製造実施例、参照)。
【0031】
一般式(IV)のトリアゾリンチオンは、既知であり、および/または本質的に既知の
方法によって製造することができる(米国特許第3719686号および米国特許第3780052号参照)。
【0032】
一般式(IV)のトリアゾリンチオンは、一般式(V)
−CO−X (V)
[式中、Rは、前記意味を有し、Xは、ヒドロキシルもしくはハロゲンを表す]のカルボン酸が、一般式(VI)
−NH−CS−NH−NH (VI)
[式中、Rは、前記意味を有する]
のアルキルチオセミカルバジドと、温度0〜100℃で反応する場合に得られる(製造実施例、参照)。
【0033】
一般式(I)のトリアゾリノンの製造のための本発明による方法は、アルカリ金属水酸化物の水溶液を用いて実施される。この目的に好適なものは、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムの水溶液である。
【0034】
本発明による方法を実施する場合には、反応温度は、実際的な範囲内で変化させられる。一般に、その方法は、温度0〜100℃、好ましくは温度10〜80℃、特別には温度20〜60℃で実施される。
【0035】
一般には、本発明による方法は、大気圧下で実施される。しかし、その方法は、また加圧もしくは減圧下−一般に0.1〜10bar−で実施することもできる。
【0036】
式(I)の化合物の製造のための本発明による方法を実施するために、水に溶解されたアルカリ金属水酸化物(“アルキル金属水酸化物の水溶液”)の1〜15モル、好ましくは2〜8モルが、式(II)のアルキルスルホニルトリアゾール誘導体の1モルに対して通常用いられる。
【0037】
本発明による方法の好適な実施態様においては、アルキル金属水酸化物の溶液が、最初に導入され、式(II)のアルキルスルホニルトリアゾールが、徐々に、必要ならば冷却しつつ定量添加される。次いで、その反応混合液は、反応が終了するまで−必要ならば高温で撹拌される。続いて、その混合液は、酸、好ましくは例えば、塩酸もしくは硫酸のようなプロトン酸を用いて酸性にされる。必要ならば、その反応混合液は、酸性化段階の前もしくは後に濃縮されるか、または水で希釈することができる。
【0038】
その反応生成物は、常法において精製され、単離される。例えば、それは、水とほとんど混和しない有機溶媒、例えば、塩化メチレンもしくは酢酸エチルとともに振盪され、その有機相が分別され、例えば硫酸ナトリウムを用いて乾燥される。次いで、その混合液は濾過され、溶媒が、減圧蒸留によってその濾液から注意深く除去される。残渣として残る粗生成物は、その後の反応に直接使用されるか、常法、例えばカラムクロマトグラフィーおよび/または再結晶化によってさらに精製される。
【0039】
本発明による方法によって製造されるべき式(I)のトリアゾリノンは、農業において利用される活性化合物の製造のための中間体として使用することができる(米国特許第3780052号、米国特許第3780053号、米国特許第3780054号および欧州特許出願公開第341489号、参照)。
【0040】
製造実施例:
(例1)
【0041】
【化6】

【0042】
4−メチル−3−メチルスルホニル−5−トリフルオロメチル−4H−1,2,4−トリアゾール 112g(0.49モル)を、水1.64リットル中水酸化ナトリウム111g(2.78モル)の溶液に添加し、その反応混合液を、16時間50℃で撹拌する。続いて、この過程で生成した澄明な黄色がかった溶液を、濃塩酸を用いて酸性化し、次いで、水流ポンプ真空下で、その容量を約半量に濃縮し、最後に塩化メチレンとともに振盪する。その有機相を分別した後、水相を塩化メチレンを用いてさらに2回再抽出する。一つに合わせた有機相を、硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、濾過する。次いで、その溶媒を、水流ポンプ真空下で蒸留によって、濾液から注意深く除去する。
【0043】
4−メチル−5−トリフルオロメチル−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン 71g(理論量の87%)を、融点64℃の白色粉末として得る。
【0044】
(例2)
【0045】
【化7】

【0046】
4−エチル−3−トリフルオロメチル−5−メチルスルホニル−4H−1,2,4−トリアゾール 317g(1.30モル)を、水1.8リットル中水酸化ナトリウム294g(7.35モル)の溶液に、30℃以下で滴下し(氷水で冷却しつつ)、その混合液を、8時間20℃で撹拌する。続いて、混合液を、氷水1.5リットル中に撹拌し、そのpHを、濃塩酸を用いて2〜3とし、混合液を酢酸エチルを用いて繰り返し抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、その溶媒を蒸発させる。
【0047】
融点54℃の4−エチル−5−トリフルオロメチル−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン 215g(理論量の91%)を得た。 同様にして製造される式(I)の化合物のその他の実施例は、以下の表1に挙げられるものである。
【0048】
本発明によって製造される式(I)の化合物の実施例
【0049】
【表1】

【0050】
式(II)の出発物質:
(例(II−1))
【0051】
【化8】

【0052】
4−メチル−3−トリフルオロメチル−5−メチルチオ−4H−1,2,4−トリアゾール 335g(1.7モル)を、塩化メチレン2.5リットル中に入れる。これに、ヘプタモリブデン酸アンモニウム四水和物5g(4ミリモル)およびギ酸225g(4.9モル)を添加し、次に、その混合液を還流し、そして35%濃度の過酸化水素溶液560g(H 5.76モル)を、激しく撹拌しつつ滴下する。還流を16時間継続し、次いで、過剰の過酸化水素を、亜硫酸水素ナトリウム(39%濃度水溶液)を用いて除去し、生成物を塩化メチレンを用いて3回抽出する。合わせた有機相を、5%濃度亜硫酸水素ナトリウム水溶液、次に水を用いて洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過する。
【0053】
溶媒を、水流ポンプ真空下で蒸留してその濾液から注意して除去する。
【0054】
融点96℃の4−メチル−3−メチルスルホニル−5−トリフルオロメチル−4H−1,2,4−トリアゾール 325g(理論量の83.5%)を得た。
【0055】
(例(II−2))
【0056】
【化9】

【0057】
4−エチル−3−トリフルオロメチル−5−メチルチオ−4H−1,2,4−トリアゾール 727.6g(3.45モル)、ギ酸624gおよびモリブデン酸アンモニウム10gを、ジクロロメタン2リットル中に入れる。30%濃度の過酸化水素溶液2346gを、35℃以下で1時間かけて滴下する。撹拌を8時間継続し(反応は最初は発熱的である)、氷水2リットルを添加し、過剰の過酸化水素を、亜硫酸水素ナトリウム溶液を添加して除去し、その混合液を、ジクロロメタンを用いて繰り返し抽出し、合わせた有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を、ロータリーエバポレーターで蒸発させる。
【0058】
4−エチル−3−トリフルオロメチル−5−メチルスルホニル−4H−1,2,4−トリアゾール 811.6g(理論量の96.8%)を、油状物として得る。
【0059】
H NMR(CDCl、d):1.56−1.61;3.60;4.48−4.56ppm。
【0060】
同様にして製造される式(II)の化合物のその他の実施例は、以下の表2に挙げられるものである。
【0061】
式(II)の化合物の製造例
【0062】
【表2】

【0063】
式(III)の前駆体:
(例(III−1))
【0064】
【化10】

【0065】
4−メチル−5−トリフルオロメチル−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−チオン 250g(1.36モル)を、エタノール1.64リットル中に入れる。これに、水酸化ナトリウム61.2g(1.53モル)を添加すると、1時間内に澄明な溶液となり、その反応は、最初は発熱的である。続いて、ヨウ化メチル217g(1.53モル)を滴下し、その混合液を16時間20℃で撹拌する。次いで、その容量を約半分まで濃縮し、氷水約3リットルとともに撹拌し、濃塩酸で酸性として、塩化メチレンを用いて3回抽出する。合わせた有機相を、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過する。溶媒を、水流ポンプ真空下で蒸留してその濾液から注意深く除去する。
【0066】
4−メチル−3−メチルチオ−5−トリフルオロメチル−4H−1,2,4−トリアゾール 207.4g(理論量の77.4%)を、融点46℃の黄色粉末として得た。
【0067】
(例(III−2))
【0068】
【化11】

【0069】
4−エチル−5−トリフルオロメチル−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾリン−3−チオン 371.3g(1.88モル)および水酸化ナトリウム83.5g(2.09モル)を、エタノール1.5リットル中に入れる。ヨードメタン296.8g(2.09モル)を、30℃以下(冷却して)で添加し、撹拌を8時間20℃で継続する。その反応溶液を、氷水1.5リットルとともに撹拌し、ジクロロメタンを用いて3回抽出し;合わせた有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させる。
【0070】
4−エチル−3−トリフルオロメチル−5−メチルチオ−4H−1,2,4−トリアゾール 371.4g(理論量の93.6%)を、オイルとして得る。 H NMR(CDCl、d):1.40−1.45;280;4.04−4.10ppm.
同様にして製造される式(III)の化合物のその他の製造例は、以下の表3に挙げられるものである。
【0071】
式(III)の前駆体の製造例
【0072】
【表3】

【0073】
【表4】

【0074】
式(IV)の前駆体:
(例(IV−1))
【0075】
【化12】

【0076】
4−メチル−チオセミカルバジド257g(2.44モル)を、トリフルオロ酢酸1.2リットルに添加し、その混合液を16時間還流する。次いで、それを水流ポンプ真空下で濃縮し、残渣を、ジエチルエーテル/石油エーテル(容量で5:100)を用いて粉砕し、結晶形で得られる生成物を吸引濾過して単離する。
【0077】
融点115℃の4−メチル−5−トリフルオロメチル−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−チオン 444.5g(理論量の95.5%)を得る。
【0078】
(例(IV−2))
【0079】
【化13】

【0080】
トリフルオロ酢酸248g(2.18モル)を、キシレン1000ml中の4−エチル−チオセミカルバジド235.4g(1.98モル)に滴下し、その過程で、温度は50
℃に上昇する。還流温度で1時間後、生成する反応水を、還流条件下で3時間かけて水分離器により除去する。反応終了後、反応混合液を濃縮する。
【0081】
融点93℃の4−エチル−5−トリフルオロメチル−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−チオン 371.3gを得る。
【0082】
同様にして製造される式(IV)の化合物のその他の製造例は、以下の表4に挙げられるものである。
【0083】
【表5】

【0084】
【表6】

【0085】
式(VI)の前駆体:
(例(VI−1))
【0086】
【化14】

【0087】
ヒドラジン水和物30g(0.6モル)を、エタノール250ml中で還流し、エタノール50ml中イソチオシアン酸メチル36.5g(0.5モル)溶液を、30分かけて滴下する。還流条件下でその混合液の撹拌を10分間継続し、次いで、混合液を+5℃まで冷却し、吸引濾別する。
【0088】
融点138℃の4−メチル−チオセミカルバジド 45g(理論量の86%)を得た。
【0089】
(例(VI−2))
【0090】
【化15】

【0091】
10%濃度のヒドラジン水和物水溶液1810g(3.62モル)を入れ、0〜5℃まで撹拌しつつ冷却する。イソチオシアン酸エチル300g(3.45モル)を、1時間かけて0〜5℃で滴下し、撹拌を2時間継続し、沈殿した生成物を吸引濾別する。その濾過を蒸発させた後、両方の残渣を合わせる。
【0092】
融点85℃の4−エチル−チオセミカルバジド 379gを得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(II)
【化1】

[式中、Rは、各場合において任意に置換されたアルキルもしくはシクロアルキルを表し、Rは、アミノ、または各場合において任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルもしくはフェニルを表し、そしてRは、アルキルを表す]
のアルキルスルホニルトリアゾール誘導体。
【請求項2】
一般式(II)
【化2】

[式中、Rは、各場合において任意に置換されたアルキルもしくはシクロアルキルを表し、Rは、アミノ、または各場合において任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルもしくはフェニルを表し、そしてRは、アルキルを表す]
のアルキルスルホニルトリアゾール誘導体の製造方法であって、一般式(III)
【化3】

[式中、R、RおよびRは、前記意味を有する]
のアルキルチオトリアゾール誘導体を、温度0℃〜100℃で、必要ならば反応補助剤の存在下で、そして必要ならば希釈剤の存在下で酸化剤と反応させることを特徴とする方法。
【請求項3】
一般式(III)
【化4】

[式中、Rは、各場合において任意に置換されたアルキルもしくはシクロアルキルを表し、Rは、アミノ、または各場合において任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルもしくはフェニルを表し、そしてRは、アルキルを表す]
のアルキルチオトリアゾール誘導体であるが、化合物4−メチルー3−トリフルオロメチル−5−メチルチオ−1H−1,2,4−トリアゾールを除いた化合物。
【請求項4】
化合物4−メチルー3−トリフルオロメチル−5−メチルチオ−1H−1,2,4−トリアゾールを除く一般式(III)
【化5】

[式中、Rは、各場合において任意に置換されたアルキルもしくはシクロアルキルを表し、Rは、アミノ、または各場合において任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルもしくはフェニルを表し、そしてRは、アルキルを表す]
のアルキルチオトリアゾール誘導体の製造方法であって、一般式(IV)
【化6】

[式中、RおよびRは、前記意味を有する]
のトリアゾリンチオンを、温度0℃〜100℃で、必要ならば、例えば水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムのような酸受容体の存在下で、そして必要ならば、例えばメタノールもしくはエタノールのような希釈剤の存在下で、例えば、臭化メチル、ヨウ化メチル、臭化エチルもしくはヨウ化エチルのようなアルキル化剤と反応させることを特徴とする方法。

【公開番号】特開2006−1937(P2006−1937A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−208848(P2005−208848)
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【分割の表示】特願平6−302697の分割
【原出願日】平成6年11月14日(1994.11.14)
【出願人】(591063187)バイエル アクチェンゲゼルシャフト (67)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−51368 Leverkusen,Germany
【Fターム(参考)】