説明

アルギニンとクーマリン色素から合成した蛍光性化合物

【課題】本発明は、単純クーマリン等のクーマリン色素を原材料とし、太陽エネルギーの効果的な利用のための材料となる光吸収帯が紫外〜可視に広がった新規物質、メモリーなどの波長制御を可能とする主要な吸収ピークが明瞭に分離したスペクトル特性を有する新規物質、紫外領域から可視領域に近い紫外線励起による可視発光特性を有する新規物質を得る。
【解決手段】本発明は、得られる新規物質アルギニルクーマリンにアルミニウムを添加することによって、紫外線による励起によって、可視領域の波長470〜490nm近傍の光を発光する特性を得るものであり、また、蛍光性色素クーマリン類またはその化合物に、アルミニウムを含む元素を添加して生成する錯体が紫外励起によって波長470〜490nm近傍に発光を得るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光性色素クーマリンを人工的に改変し、光エネルギー利用材料物質に応用するための、アミノ酸の一種であるアルギニンと色素クーマリンの一種である4-ヒドロキシクーマリンを原料として合成される化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
4-ヒドロキシクーマリン(ここでは単に4Cと略記場合あり)とは化1のような構造になっている単純ク−マリン化合物の一種である。
【0003】
【化1】

常温では淡黄色もしくは淡茶色の結晶性粉末である。今日では、天然物また合成物として1,000 種類以上のクーマリン化合物が見出されている。中でも4-ヒドロキシクーマリンは、現在、誘導体のワーファリンが血液の抗凝固剤や殺鼠剤として用いられているように、構造が単純なため、多様な物質合成の可能性を持っている。単純クーマリンにはまた、化2に示すような、7-ヒドロキシ-4-メチルクーマリン(ここでは単に7Cと略記場合あり)なども存在する。
【0004】
【化2】

クーマリンは、従来より香料などに応用されたり医学目的に使用されたりしてきたが、最近ではクーマリンの光吸収と発光特性を利用した有機色素レーザー材料などへの応用も多く試みられるようになってきた。また、近年、太陽エネルギー利用の新形態として注目されている色素増感太陽電池の増感剤となる効果的な物質がクーマリンの誘導体として実現された例も出てきているなど光エネルギー利用材料物質として工業的利用の可能性が広がりつつある。
【0005】
一方、アルギニンは、化3のような構造になっている塩基性アミノ酸の一種である。
【0006】
【化3】


アルギニンは、側鎖RがCH2CH2CH2NH(=NH)NH2であるα-アミノ酸で、荷電極性側鎖アミノ酸であり、塩基性アミノ酸である(蛋白質を構成するアミノ酸としては最も塩基性が高い)。側鎖Rの構造は通常のポリペプチドとは異なる高分子化合物を形成する材料となることを意味している。すなわち主鎖ではなく、側鎖のアミノ基を介して高分子化するポリアルギニン等の高分子材料となることを意味している。ポリアミノ酸にはまた、側鎖のカルボキシル基を介して高分子化するグルタミン酸など多様に存在し、食品、医薬品以外の材料系の応用例としては、生分解性プラスチックスや酵素硬化ハイドロゲル、インジェクション可能な生体材料として、細胞足場材料、DDSマトリックス、生医学用止血剤・接着剤等様々である。
【0007】
本発明で化学合成に用いるマイクロ波とは、波長0.3mm〜30cm、周波数1GHz〜1THzの電磁波を指し、マイクロ波の振動電場および振動磁場が物質中の永久・誘起双極子あるいは電荷と相互作用することにより、分子レベルで熱を発生し、物質を直接加熱する。化学反応系に利用した場合、迅速に、熱伝導および対流によらない均一な直接加熱、マイクロ波と相互作用をする物質のみの選択的加熱、パルス、連続照射による加熱モードの精密制御、といったことが可能である。また、反応器壁や物質移動の影響のない、また熱伝導の良否にかかわらない加熱が可能であり、外部熱源からの加熱では得られない精密な反応制御プロセスが構成できるものである。
【0008】
4-ヒドロキシクーマリンは、図1の線分(b)に示すような光吸収スペクトルを有する。この光吸収特性は紫外部における光吸収が大きく太陽エネルギーの紫外線領域の光吸収には向いているが、可視領域における光吸収帯は少ない。主要な吸収ピークは二つ有りその波長帯は接近しているため、このままでは波長制御を要するメモリー等の利用には不向きである。7-ヒドロキシ-4-メチルクーマリンの場合は、図1の線分(a)に示すような光吸収スペクトルを有する。この光吸収特性は紫外線領域の光吸収には向いていて、4-ヒドロキシクーマリンよりも少し長波長側に光吸収帯があるが可視領域における光吸収帯はやはり少ない。主要な吸収ピークは密集しているため、このままでは波長制御を要するメモリー等の利用には不向きである。
【0009】
したがって、太陽エネルギーの効果的な利用のための材料とするには光吸収帯が紫外〜可視に広領域にあることが、メモリーなどの波長制御を要する材料とするには主要な吸収ピークが明瞭に分離したスペクトル特性を有する物質であることがそれぞれ必要である。
【0010】
また、レーザー材料等の光放射を利用する材料としては、蛍光スペクトルにおける励起発光ピークの制御が重要となる。より高エネルギーの放射エネルギーをもたらす材料とするにはより短波長にピークのある蛍光スペクトルすなわち励起発光スペクトルを有する物質であることが求められる。
【0011】
前記蛍光とは、X線や紫外線、可視光線が照射されてそのエネルギーを吸収することで電子が励起し、それが基底状態に戻る際に余分なエネルギーを電磁波として放出するものをさす。
【0012】
前記発光とは、物質や物体が光を発すること。通常は可視光を発することを言うが、それ以外の領域の光(電磁波)に対しても発光(紫外発光、赤外発光など)と言う場合がある。
【0013】
蛍光と発光の相違点は、その包含関係にあり、より広い範囲を「発光」が表し、物質が原子や分子の単位で外界から電磁波エネルギーを吸収して励起状態(高エネルギー状態で、建物に例えると1階から3階に上がることになぞらえる)になり、励起状態(例えば、3階になぞらえる)から下の階に下がる(例えば2階になぞらえる)ときにエネルギーを電磁波として放出するとき、「蛍光」と定義される。物質は最終的には基底状態(1階になぞらえる)に下がり元に戻る。外界から、電磁波エネルギーが入ってくる限り、この変化が続く。電磁波エネルギーが途絶えると、蛍光発光は寿命が短いので光らなくなる。
【0014】
近年のマイクロ波によるクーマリンの誘導体合成の方法には、Stoyanovらが試みた、4-ヒドロキシクーマリンとアミン類の混合系へのマイクロ波照射と化学合成の例がある(非特許文献1を参照)。これは4-ヒドロキシクーマリンと第一級アミン類、第二級アミン類を混合しマイクロ波合成を試みたもので、4-ヒドロキシクーマリン分子の4位の水酸基(-OH基)が脱離しアミンが置換すること等を報告したものである。マイクロ波も電子レンジの利用で行なえる簡便な手法で行なえることが特徴である。
【0015】
研究レベルでは実用化に入ったマイクロ波合成化学の手法ではあるが、未だクーマリンの誘導体としてアルギニンとの合成を行なった例はない。
【0016】
クーマリン以外の色素とアルギニンの組み合わせによる技術開発の例は以下の3件ほどある。能田均と里園浩の発明による化学発光試薬及びそれを用いる過酸化水素の検出方法では、ダンシル系色素と有機合成によって出来るダンシルヒスタミン、ダンシルアルギニン、ダンシルアスパラギン等の化学発光試薬を用いて、過酸化水素の検出を実現するものである(特許文献1を参照)。また、ロッシュ ウォルター ジェイによる歯周病病原性細菌のタンパク質加水分解活性の測定系では、アルギニン含有化合物であるBANAを含むアルカリ性緩衝水溶液に色素生産性試験物質であるp−ニトロフェノールリン酸エステルを添加し、引き続く諸反応過程を経て微生物由来物質を発色団p−ニトロフェノール生成によって検出する方法である(特許文献2を参照)。三番目のブロンベルグ フレッドトウーレ、フリベルグ ジヤン オベ、グリンドレ ジヤンーオロフ ヴァルデマル、カンガスメツツエ ジヤリ ジユハニによるルミネセント又はルミノメトリック検定は前記第二の技術と類似しており、微生物由来物質と試験薬との反応によって発色団分子を生成検出する方法である(特許文献3を参照)。この中では第一の能田均と里園浩の技術において色素物質とアルギニンの化合物の有効性が示されている。ただし、利用目的が化学物質、特に過酸化水素の検出に限定されているのは、その化学反応性、すなわち、シュウ酸エステルを用いた過酸化水素の検出に用いるための分子中の化学発光色素と化学発光触媒機能に特化しているためである。その発明での請求項には二点あり、『請求項1 イミダゾール基又はグアニジノ基を有する触媒活性基と、発光色素団とを有することを特徴とする化学発光試薬。請求項2 前記発光色素団が、ダンシル系色素、ローダミン系色素、又はシアニン系色素である請求項1に記載の化学発光試薬。』とある。クーマリン色素は取り扱われておらず、材料工学的応用の道は示されていない。
【特許文献1】特開平10-139406号公報
【特許文献2】特表平08-500241号公報
【特許文献3】特表平05-505513号公報
【非特許文献1】Edmond V. Stoyanov and Ivo C. Ivanov, Molecule, Convenient Replacement of the Hydroxy by an Amino Group in 4-Hydroxycoumarin and 4-Hydroxy-6-methyl-2-pyrone under Microwave Irradiation,9 (2004) 627-631.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、単純クーマリン等のクーマリン色素を原材料とし、太陽エネルギーの効果的な利用のための材料となる光吸収帯が紫外〜可視に広がった、従来存在しなかった新規物質、メモリーなどの波長制御を可能とする主要な吸収ピークが明瞭に分離したスペクトル特性を有する、従来存在しなかった新規物質を得ることを課題とする。
【0018】
また、本発明は、可視領域の発光を得る色素レーザー材料、並びに生体細胞等に親和性が高く、かつ、可視領域の発光で被検体となる元素や分子の存在位置や存在量を検出する試験薬となる特徴を有する従来存在しなかった新規物質を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の蛍光性化合物は、アルギニンとクーマリン色素から合成される物質により構成される。
前記アルギニンはアミノ酸である。
前記クーマリン色素は4-ヒドロキシクマリン等化学合成可能な材料となるクーマリン類の化合物である。
前記蛍光性化合物はアルギニンとクーマリン色素から合成される1種類、もしくは複数種類の生成物から構成される物質群である。
【0020】
前記蛍光性化合物は、分子として存在し、共有結合で原子が強く結合している化合物である。
クーマリンが蛍光発光するメカニズムをもった基本部品であり、アルギニンなどの他の分子が結合すると化合物になるが、蛍光発光するメカニズムは多少違いが出るが残る。よって、新たな分子として蛍光性化合物となることになる。
前記蛍光性化合物は、
【0021】
【化4】

または、
【0022】
【化5】

または、
【0023】
【化6】

または、
【0024】
【化7】

の化学構造をした化合物である。
本発明のアルギニンとクーマリン色素から合成した蛍光性化合物は、アルミニウム添加によって、紫外励起による波長470〜490nm近傍における発光が得られるものである。
本発明のアルギニンとクーマリン色素から合成した蛍光性化合物は、添加あるいは分子環境に存在するアルミニウム濃度に依存して、紫外励起による波長470〜490nm近傍における発光強度が増大し元素アルミニウムの存在量を検知する試験試薬となりうるものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、アルギニンとクーマリン色素の混合溶液にマイクロ波を印加することによって、明瞭に分離した光吸収ピークを有する新規物質を合成する方法を提供するものであり、励起発光ピークの波長帯が原材料のクーマリン色素より短波長である新規物質を得ることができる。
【0026】
この特徴的な新規物質の発明によって、太陽エネルギーの効果的な利用のための材料となる光吸収帯が紫外〜可視に広がった従来存在しなかった物質材料を提供可能であり、メモリーなどの波長制御を可能とする主要な吸収ピークが明瞭に分離したスペクトル特性を有する従来存在しなかった物質材料としての応用などが期待できる。
【0027】
この特徴的なアルギニンとクーマリン色素から合成した新規物質と金属元素の組み合わせによって、可視領域の発光を得る色素レーザー材料、並びに生体細胞等に親和性が高く、かつ、可視領域の発光で被検体となる元素や分子の存在位置や存在量を検出する試験薬を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明者は、アミノ酸とくにアミノ基を二個以上有するアミノ酸とクーマリン類の官能基等の原子または原子団の脱離、置換等化学反応の可能性とその化合物の従来物質に比べての有利性について考察した。その結果、レチナールやレチノイン酸等の光捕集分子の構造と機能の相関に近い相関関係を有する物質の可能性を予測した。これはアミノ酸の一種のアルギニン分子の側鎖構造のもつ高分子化の可能性とクーマリンのパイ電子系の組み合わせによる予測である。すなわち、クーマリン分子本体のいずれかの原子団が脱離し、そこにアルギニンが結合すると電子密度分布の変化が大きく生成し、光吸収過程におけるエネルギー値に大きな変化が現れるのではないかと予測したのである。
【0029】
また、クーマリンとアミン類の化学合成に効果があるマイクロ波合成の方法は、前記予測による新規物質合成にも有効に働くのではないかと予測した。これは、アミノ酸はアミン類と機能は異なるが、構造上アミノ基を有していることがその理由である。
【0030】
以下、本発明による新規蛍光性物質及び、その製造方法について、図面を用いて詳細に説明する。
【0031】
反応に用いたアミノ酸のアルギニンだけを含む水溶液の紫外可視光吸収は、207nm近傍の紫外部に吸収波長帯があるだけである。
【0032】
アルギニンと4−ヒドロキシクーマリンを1:1のモル比で混合した場合、両者は反応するかどうかを確かめる実験を行なってみた。すると、光吸収スペクトルは図1のような結果となった。図1は線分(a)7-ヒドロキシ-4-メチルクーマリンと線分(b)4-ヒドロキシクーマリンの紫外可視光吸収スペクトルを示すグラフ図である。1、2、3が4-ヒドロキシクーマリンの光吸収極大、4,5が7-ヒドロキシ-4-メチルクーマリンの光吸収極大である。0.05mM、0.1mM、0.2mMの三段階の濃度依存性を調べた結果、いずれも205nm,286nm,299nmに吸収極大が見られただけであり、これは、4−ヒドロキシクーマリンの極大波長206nm,286nm,300nmとほぼ一致しており、4-ヒドロキシクーマリンの存在が確認されただけである。アルギニンの光吸収帯と4-ヒドロキシクーマリンの205nmピークをもつ光吸収帯はほぼ重なっている。この実験結果からは、単に両者を混合しただけでは反応しないことがわかった。図1では、7-ヒドロキシ-4-メチルクーマリンの光吸収スペクトルも測定し載せた。化1と化2で比較して分かるようにヒドロキシル基(-OH)の位置の違いが大きな違いとなって現れている。図1により7-ヒドロキシ-4-メチルクーマリンは波長290nmと322nmに主要な吸収帯があることがわかる。よくみると、322nmの吸収は4-ヒドロキシクーマリンにもある。これは基本的な分子構造由来である。
【0033】
次に、三段階の濃度の混合溶液をそれぞれ、容積15mL、最大耐圧1400kPaの高耐圧ガラスチューブ(Ace社製)に5mL入れ、それぞれ別々にマイクロ波を4分間印加した場合について説明する。図5はマイクロ波印加装置の概略図である。1は電子レンジ本体、2は被照射物質を設置する部分、3はマイクロ波を発生させるマグネトロン、4は高耐圧ガラスチューブ、および5はビーカーである。マイクロ波印加装置には一般家庭用電子レンジ(2.45GHz約900W)を使用した。ビーカー5に入れた高耐圧ガラスチューブ4を電子レンジ1の被照射物質を設置する部分2に設置し、マイクロ波を照射した。反応前と反応後の光吸収スペクトルを図2に示す。線分1は照射前、線分2は2分間照射後、線分3は4分照射後のそれぞれのスペクトルである、可視波長域には吸収は見られず、208nm,287nm,300nmに吸収極大が見られた。これは、4‐ヒドロキシクーマリンの極大波長207nm,286nm,299nmとほぼ一致しており、4-ヒドロキシクーマリンの存在が確認された。しかしながら、アルギニンと4-ヒドロキシクーマリンの吸収領域と、4−ヒドロキシクーマリンのみに特有の吸収領域の吸光度が減少し、253nmと331nm近傍の吸光度が増加している。これは、アルギニンと4-ヒドロキシクーマリンが、何らかの反応を起こして吸収極大がシフトしていると考えられた。
【0034】
このマイクロ波印加時間を2分で行なった場合、図2の線分2に示したように、吸収スペクトルの変化が観察されたが吸収値の変化量は少なく、286nm,0.05mMにおいて、マイクロ波照射前後で、吸光度は、0.125下がった。4−ヒドロキシクーマリン水溶液の検量線を別途実験的に求め、0.01mM〜0.04mMの濃度においては、吸光度をy、濃度をxとすると、関数y=54.44x+0.055で近似されることが分かっている。

よって、Δy=-0.125として、

Δy=-0.125=54.44Δx , Δx=-2.30×10-3mM

つまり、286nm,0.05mMにおいて、マイクロ波照射前後で4-ヒドロキシクーマリンは、2.30×10-3mM減少したことになり、全体の(2.30×10-3/0.05)×100=4.6%が反応したと考えられる。同様にして、0.1mMでは4.2%、0.2mMでは3.1%(吸光度が0.25〜0.7を大きく越えているため誤差が大きい)となり、マイクロ波照射前後で、4-ヒドロキシクーマリンは、約4%近く反応したと考えられた。4分になると図2の線分3に示したような劇的な変化が生じ90%以上が反応したものと考えられた。
【0035】
この反応の前後における光吸収スペクトルデータから差スペクトルを計算し、グラフ図化したものが図3である。図3はマイクロ波2分間及び4分間照射前後における、アルギニンと4-ヒドロキシクーマリンを含む水溶液の紫外可視光吸収差スペクトルを示すグラフ図である。線分1,4は濃度0.05mMの場合、線分2,5は濃度0.1mMの場合、線分3,6は濃度0.2mMの場合である。可視波長域には吸収は見られず、208nm,253nm,330nm近傍に吸収極大が見られた。これは、4‐ヒドロキシクーマリンの極大波長207nm,286nm,299nmと比べると短波長の208nmのみほぼ一致し、それ以外は一致せず、吸収極大のシフトが見られた。このことから、4−ヒドロキシクーマリンは、ほとんど存在していないと考えられ、ほとんどの4−ヒドロキシクーマリンが化学反応を起こし別の物質になったと考えられる。
【0036】
また、2分間照射の場合、約4%が反応したと考えられるが、4分間照射の場合、4-ヒドロキシクーマリンの吸収領域である286nm,300nm付近の吸収帯がほとんどシフトしているので、前述のようにほとんどが反応したと考えられ、照射時間2分間と4分間の間で大幅に反応割合が増加している。このことから、ある一定の高温高圧の条件でこの反応過程が急速に進むと考えられる。
【0037】
この反応をさらに続けて4分超行なうと、高耐圧ガラスチューブ4といえども耐え切れない圧力となり、破壊現象が起きることも確かめることができた。様々な条件で実験を試みたところ、以下の事象が確認できた。
【0038】
ビーカー5に高耐圧ガラスチューブ4をそのまま入れた場合は4分の照射でほぼ反応物は全て生成物となり、その後は化学反応にエネルギーが消費されることがないために高耐圧ガラスチューブ4内のエネルギーの充満によって圧力が一気に上昇し破壊現象が起きる。
【0039】
ビーカー5内に酸化アルミニウムの粉末を敷き詰めて同様の反応を行なった場合、約半分の2分間の照射で反応生成物が飽和し、破壊現象が始まる。これはマイクロ波のエネルギーの反応物への効率的な伝達が起きるためであると考えられる。
【0040】
反応生成物は10ヶ月以上の長期間保存しておいても安定しており元のアルギニンと4−ヒドロキシクーマリンに戻ることはなかった。
【0041】
この化学合成で得られる合成物の大きな特徴は、吸収スペクトル上ふたつある。ひとつは4-ヒドロキシクーマリン特有の波長286nm,300nm近傍の吸収極大が消失し、324nmへと長波長側へシフトしている点、もうひとつは253へ短波長シフトしている点である。これは、分子の鎖の長さが長くなると、電気的対称性の変化によって光吸収過程に大きな変化が生じ、吸収極大波長が長波長側へシフトするという特徴がある、という考察から、4-ヒドロキシクーマリンとアルギニンが反応し、鎖の長さが長くなったためであると考えられる。また、文献で報告されているマイクロ波の照射下における、アミンの-NH基による4-ヒドロキシクーマリンのヒドロキシル基(-OH)との置換反応と同じように、マイクロ波による熱触媒作用により、アルギニンの-NH基と、4-ヒドロキシクーマリンのヒドロキシル基とが脱水を伴う置換反応を起こしたのではないかと考えられる。推定される化学構造式は、化8に示す。
【0042】
【化8】

または、アルギニン分子中の主鎖の-NH2基の水素H、側鎖の-NH2基の水素H、不斉炭素原子から第4位の窒素Nに結合した水素H、と4-ヒドロキシクーマリンのヒドロキシル基(-OH)とが脱水を伴う置換反応が起きたと推定される場合は、それぞれ化9、化10、化11の化合物となる。
【0043】
【化9】

【0044】
【化10】

【0045】
【化11】

いずれもアルギニルクーマリンと呼ぶことができる。
【0046】
次に得られた生成物アルギニルクーマリンの励起発光スペクトルを測定したところ、図4のようになった。線分1はマイクロ波照射前のアルギニンと4-ヒドロキシクーマリンの混合物の励起発光スペクトルである。線分2は生成物の励起発光スペクトルである。反応前は374nm近傍に発光強度の極大があるが、生成物アルギニルクーマリンの発光強度極大点は348に26nmも短波長シフトしていることが分かった。よって生成物アルギニルクーマリンには元の4-ヒドロキシクーマリンよりも高エネルギーの光量子が放出される性質が備わっていることが明らかになった。
【0047】
次に、得られた生成物アルギニルクーマリンに金属元素であるアルミニウムを添加し、286nmの紫外線によって励起発光スペクトルを測定したところ、図6のようになった。線分1はアルギニルクーマリンのみ場合の励起発光スペクトルである。線分2はアルギニルクーマリンに元素数比率200倍だけのアルミニウム元素が添加されるように塩化アルミニウムを添加した場合の励起発光スペクトルである。線分3はアルギニルクーマリンに塩化水素を添加して、pHが2.2となるように調製した場合の励起発光スペクトルである。これは、塩化アルミニウムを添加した場合にpHが低下する現象が誘起されるため、その効果をアルミニウム添加と別個に測定し、pH低下による励起発光スペクトル変化の因子と影響の範囲を知るために行なったものである。線分4は塩化アルミニウムのみの場合の励起発光スペクトルである。
【0048】
アルギニルクーマリンのみの場合は発光強度極大点の波長は348nmにあり、塩化アルミニウムのみの場合ではほとんど発光は観られない。ところが、アルミニウムを添加すると、362nm近傍、および、470〜490nm近傍の2点の波長において発光が観られた。このうち362nm近傍における発光はアルミニウム無添加で塩化水素を添加してpHを低下させた場合でも観られたことから、pH低下の影響による発光であると考えられた。しかし、第二の主要な発光ピークである470〜490nm近傍の発光はpH低下とは無関係にアルミニウム添加にのみ依存して生起することが分かった。これはアルギニルクーマリンには金属元素であるアルミニウムと錯体を形成し、元のアルギニルクーマリンよりも低エネルギーの光量子が放出される性質が新しく備わるからであると考えられた。
【0049】
次に、アルギニルクーマリンにアルミニウムを元素数比率200倍から1000倍まで比率を変化させてアルミニウム元素が添加されるように塩化アルミニウムを添加した場合の励起発光スペクトルを測定したところ、図7のようになった。線分1はアルギニルクーマリンに元素数比率200倍、線分2は同じく400倍、線分3は600倍、線分4は800倍、線分5は1000倍、だけ、それぞれアルミニウム元素濃度がアルギニルクーマリンに比して添加された場合の励起発光スペクトルである。その結果、アルミニウム元素濃度が増大すると第二の主要な可視領域の発光ピークの強度の増大が観られた。
【0050】
次に、その濃度依存性をより詳しく調べる目的でアルギニルクーマリンにアルミニウムを元素数比率1倍から1000倍まで比率を変化させてアルミニウム元素が添加されるように塩化アルミニウムを添加した場合の470〜490nm近傍における発光強度を測定したところ、図8のようになった。その結果、アルミニウム元素濃度が増大するとおよそ470〜490nm近傍の発光強度は元素比率の対数に比例して増大する傾向が明らかになった。
【0051】
次に、典型的クーマリン類の例としての4-ヒドロキシクーマリン、蛍光性色素クーマリン類の化合物の例としてのアルギニルクーマリンを用い、これらのアルミニウム元素添加の条件下での紫外励起による発光現象を励起波長を270nmから400nmまで変化させて得られる発光スペクトルで比較する。
【0052】
4-ヒドロキシクーマリンの場合、波長270nm〜310nmにおける励起では、励起波長の増大とともに、374nm近傍における発光、470〜490nm近傍における発光ともに、減少する。図9はこれを表したものである。この実験は、4-ヒドロキシクーマリンに対するアルミニウム元素としての塩化アルミニウムを3000倍添加した場合の測定比較である。線分1は波長270nm、線分2は波長280nm、線分3は波長290nm、線分4は波長310nmのそれぞれの励起光で励起した場合の発光スペクトルを示している。
【0053】
引き続く4-ヒドロキシクーマリンの場合の波長310〜370nmにおける励起では、励起波長の増大とともに、374nm近傍における発光は減少し続けるが、470〜490nm近傍における発光は増大する。すなわち、波長370nmにおける励起で470〜490nm近傍における発光強度の励起波長依存性は極大となる。図10はこれを表したものである。
【0054】
引き続く4-ヒドロキシクーマリンの場合の波長370〜400nmにおける励起では、励起波長の増大とともに、470〜490nm近傍における発光も減少する。図11はこれを表したものである。
【0055】
次に、アルギニルクーマリンの場合では、4-ヒドロキシクーマリンの場合と異なり、波長270〜310nmにおける励起では、励起波長の増大とともに、362nm近傍における発光は増大し、470〜490nmにおける発光は、減少する。すなわち、波長310nmにおける励起で362nm近傍における発光強度の励起波長依存性は極大となる。図12はこれを表したものである。この実験は、アルギニルクーマリンに対するアルミニウム元素としての塩化アルミニウムを3000倍添加した場合の測定比較である。線分1は波長270nm、線分2は波長280nm、線分3は波長290nm、線分4は波長300nm、線分5は波長310nmのそれぞれの励起光で励起した場合の発光スペクトルを示している。
【0056】
引き続くアルギニルクーマリンの場合の波長310〜370nmにおける励起では、励起波長の増大とともに、362nm近傍における発光は減少し続けるが、470〜490nmにおける発光は増大する。すなわち、波長370nmにおける励起で470〜490nm近傍における発光強度の励起波長依存性は極大となる。図13はこれを表したものである。
【0057】
引き続くアルギニルクーマリンの場合の波長370〜400nmにおける励起では、励起波長の増大とともに、470〜490nm近傍における発光は減少する。
【0058】
典型的クーマリン類の例としての4-ヒドロキシクーマリン、蛍光性色素クーマリン類の化合物の例としてのアルギニルクーマリンのアルミニウム元素添加の条件下での紫外励起による発光現象の比較から分かることは、クーマリン類またはその化合物に、アルミニウムを含む元素を添加し紫外励起することによって波長470〜490nm近傍にほぼ共通の発光を得るということである。これは、クーマリンの基本的化学構造が保持されていて、アルミニウム元素が添加されることにより錯体が形成され、その結果、紫外励起すると波長470〜490nm近傍にほぼ共通の発光を呈する特性を得るのである。
【0059】
前記発光特性は、クーマリンの基本的化学構造が保持されていて、アルミニウム元素が添加され、錯体が形成される条件を満たせば獲得できるものである。この特性は波長470〜490nm近傍の発光が青緑色を呈する可視光であるため、様々な用途に提供できるものである。
【0060】
よって前記アルミニウム元素添加による波長470〜490nm近傍における発光強度のアルミニウム元素濃度依存性は、アルギニンと化合していない4-ヒドロキシクーマリンに対しても波長470〜490nm近傍の発光として図15のようにわずかに観られる。この比較は、362nm近傍あるいは374nm近傍の発光強度を一定となるように濃度を規格化してアルギニルクーマリンと4-ヒドロキシクーマリンを比較して得られるものである。よって、アルギニルクーマリンの場合は、4-ヒドロキシクーマリンの場合よりも濃度依存性が顕著に出る。
【0061】
アルミニウム元素添加による波長470〜490nm近傍における発光強度のアルミニウム元素濃度依存性がアルギニルクーマリンにおいて顕著に得られる原因として考えられることは、クーマリンの基本的化学構造が保持されていて、なおかつ、アルギニンの化合によってアルミニウム元素と錯体を形成するに必要な配位結合をより多く作ることができるようになるからであると考えられる。
【0062】
前記アルミニウム元素と錯体を形成して生成する、アルミニウム錯体は、元素*(相手元素を仮に*のように記す。)と共有結合に比べて弱い配位結合によって、アルミニウム原子Alと元素*が集合した状態(Al・*)である。よって、「クーマリン化合物・アルミニウム錯体」の場合、元素*にクーマリンが該当する錯体である。
【0063】
前記クーマリン化合物・アルミニウム錯体では、クーマリンの分子構造中に観られる酸素原子Oの(=O)の部分にAl原子が配位結合していることが予想される。
【0064】
アルギニンとクーマリンの化合物とAl原子の配位結合は、クーマリンとAl原子の配位結合より多く結合数が起きていると予想され、従来品(クーマリン)より本発明品(出願内容=アルギニンとクーマリンの化合物)の蛍光特性がAl濃度依存性に優れている原因となっていると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上の段階的な実験研究を通して発見したことは、アルギニンと4-ヒドロキシクーマリンのマイクロ波による合成生成物の光吸収特性および励起発光特性はフォトニクス材料の出発材料となるということである。アルギニンと4-ヒドロキシクーマリンとは大きく異なり、太陽エネルギーの効果的な利用のための材料ならびにメモリーなどの波長制御を要する材料となる条件としての主要な光吸収ピークの明瞭な分離型スペクトル特性を有する物質であるということである。
【0066】
前述のように、産業上の利用可能性としては、クーマリンの光吸収と発光特性を利用した有機色素レーザー材料、太陽エネルギー利用の新形態として注目されている色素増感太陽電池の増感剤が考えられる。また、側鎖のアミノ基を介して高分子化するポリアルギニンとして色素クーマリン類と反応生成物を得るようにすれば、得られる性能はより特徴が顕著に出ると予想されるため、機能性高分子材料となることを意味している。生分解性プラスチックスや酵素硬化ハイドロゲル、インジェクション可能な生体材料の蛍光性の新規材料として、細胞足場材料、DDSマトリックス、生医学用止血剤・接着剤等となりうる可能性がある。
【0067】
また、この新規物質は金属元素のアルミニウムとの組み合わせによって可視領域の波長475nm近傍の発光を得ることが可能であり、色素レーザー材料となる可能性があり、生体親和性の高いアルギニンとの天然物の組み合わせのため、生体細胞等に親和性が高く、かつ、可視領域の発光で被検体となる元素や分子の存在位置や存在量を検出する試験薬を提供できる可能性がある。
【0068】
前述の金属元素のアルミニウムとの組み合わせによって可視領域の発光を得て、生体細胞等に親和性が高く、かつ、可視領域の発光で被検体となる元素や分子の存在位置や存在量を検出する試験薬を提供できる、具体的例としてはアルミニウム元素が一因子として関与すると考えられる疾病に関する検査や環境調査、予防に役立ちうることなどが想定される。
【0069】
また、付随的かつ体系的に発見された、典型的クーマリン類もクーマリン化合物もアルミニウム元素添加によって紫外励起によって470〜490nm近傍に発光を得る方法により、色素レーザー材料となる可能性があり、生体親和性の高い分子との化合させることによって、アルギニルクーマリンと同様の特性を得られることが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】7-ヒドロキシ-4-メチルクーマリンと4-ヒドロキシクーマリンの紫外可視光吸収スペクトルを示すグラフ図である。
【図2】アルギニンと4-ヒドロキシクーマリンを含む水溶液の紫外可視光吸収スペクトルを示すグラフ図である。
【図3】アルギニンと4-ヒドロキシクーマリンを含む水溶液の紫外可視光吸収差スペクトルを示すグラフ図である。
【図4】アルギニンと4-ヒドロキシクーマリンを含む水溶液のマイクロ波照射前と照射後における励起発光スペクトルを示すグラフ図である。
【図5】マイクロ波印加装置の概略図である。
【図6】アルギニンと4-ヒドロキシクーマリンから合成してできる新規蛍光性物質がアルミニウムを添加した場合、波長286nmの紫外線励起によって470〜490nm近傍の可視光の発光が得られることを示す、励起発光スペクトルを示すグラフ図である。
【図7】アルギニンと4-ヒドロキシクーマリンから合成してできる新規蛍光性物質がアルミニウムを新規蛍光性物質の200倍から1000倍の濃度で添加した場合、波長286nmの紫外線励起によって470〜490nm近傍の可視光の発光が添加アルミニウム濃度に依存して得られることを示す、励起発光スペクトルを示すグラフ図である。
【図8】アルギニンと4-ヒドロキシクーマリンから合成してできる新規蛍光性物質がアルミニウムを新規蛍光性物質の1倍から1000倍の濃度で添加した場合、波長286nmの紫外線励起によって475nmの可視光の発光が添加アルミニウム濃度に依存して得られることを示す、発光強度変化を示すグラフ図である。
【図9】4-ヒドロキシクーマリンに比して3000倍の濃度のアルミニウムを添加した場合、励起波長270〜310nmの紫外線励起によって得られる励起発光スペクトルを示すグラフ図である。
【図10】4-ヒドロキシクーマリンに比して3000倍の濃度のアルミニウムを添加した場合、励起波長310〜370nmの紫外線励起によって得られる励起発光スペクトルを示すグラフ図である。
【図11】4-ヒドロキシクーマリンに比して3000倍の濃度のアルミニウムを添加した場合、励起波長370〜400nmの紫外線励起によって得られる励起発光スペクトルを示すグラフ図である。
【図12】アルギニンと4-ヒドロキシクーマリンから合成してできる新規蛍光性物質に比して3000倍の濃度のアルミニウムを添加した場合、励起波長270〜310nmの紫外線励起によって得られる励起発光スペクトルを示すグラフ図である。
【図13】アルギニンと4-ヒドロキシクーマリンから合成してできる新規蛍光性物質に比して3000倍の濃度のアルミニウムを添加した場合、励起波長310〜370nmの紫外線励起によって得られる励起発光スペクトルを示すグラフ図である。
【図14】アルギニンと4-ヒドロキシクーマリンから合成してできる新規蛍光性物質に比して3000倍の濃度のアルミニウムを添加した場合、励起波長370〜400nmの紫外線励起によって得られる励起発光スペクトルを示すグラフ図である。
【図15】4-ヒドロキシクーマリンにアルミニウムを添加した場合、波長286nmの紫外線励起によって470〜490nm近傍の可視光の発光が添加アルミニウム濃度に依存してわずかにしか変化しないことを示す、励起発光スペクトルを示すグラフ図である。
【符号の説明】
【0071】
1 電子レンジ本体
2 被照射物質を設置する部分
3 マグネトロン
4 高耐圧ガラスチューブ
5 ビーカー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルギニンとクーマリン色素から合成される物質により構成されることを特徴とするアルギニンとクーマリン色素から合成した蛍光性化合物。
【請求項2】
前記アルギニンはアミノ酸であることを特徴とする請求項1記載のアルギニンとクーマリン色素から合成した蛍光性化合物。
【請求項3】
前記クーマリン色素は4-ヒドロキシクマリン等化学合成可能な材料となるクーマリン類の化合物であることを特徴とする請求項1記載のアルギニンとクーマリン色素から合成した蛍光性化合物。
【請求項4】
アルギニンとクーマリン色素から合成される1種類、もしくは複数種類の生成物から構成される物質群であることを特徴とする請求項1記載のアルギニンとクーマリン色素から合成した蛍光性化合物。
【請求項5】
前記蛍光性化合物は下記の化学構造をした化合物であることを特徴とする請求項1記載のアルギニンとクーマリン色素から合成した蛍光性化合物。
【化1】

【請求項6】
前記蛍光性化合物は下記の化学構造をした化合物であることを特徴とする請求項1記載のアルギニンとクーマリン色素から合成した蛍光性化合物。
【化2】

【請求項7】
前記蛍光性化合物は下記の化学構造をした化合物であることを特徴とする請求項1記載のアルギニンとクーマリン色素から合成した蛍光性化合物。
【化3】

【請求項8】
前記蛍光性化合物は下記の化学構造をした化合物であることを特徴とする請求項1記載のアルギニンとクーマリン色素から合成した蛍光性化合物。
【化4】

【請求項9】
アルミニウム添加によって、紫外励起による波長470〜490nm近傍における発光が得られることを特徴とする請求項1記載のアルギニンとクーマリン色素から合成される蛍光性化合物。
【請求項10】
添加あるいは分子環境に存在するアルミニウム濃度に依存して、紫外励起による波長470〜490nm近傍における発光強度が増大し元素アルミニウムの存在量を検知する試験試薬となりうることを特徴とする請求項1記載のアルギニンとクーマリン色素から合成される蛍光性化合物。
【請求項11】
アルギニンとクーマリン色素から合成した蛍光性化合物において、クーマリン色素にアルミニウムを添加し、紫外励起による波長470〜490nm近傍における可視領域の発光を得る、発光体としてのクーマリン・アルミニウム錯体。
【請求項12】
アルギニンとクーマリン色素から合成した蛍光性化合物において、クーマリン色素化合物にアルミニウムを添加し、紫外励起による波長470〜490nm近傍における可視領域の発光を得る、発光体としてのクーマリン化合物・アルミニウム錯体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−179623(P2009−179623A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−22812(P2008−22812)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(504409543)国立大学法人秋田大学 (210)
【Fターム(参考)】