説明

アルデヒド類捕集剤

【課題】 アルデヒド類との反応性を有する酸性ガスを発生する性質を有する固体のアルデヒド類捕集用化合物を必須成分として含むアルデヒド類捕集剤でありながら、製造条件・環境によっては熱圧工程前に発生していた不快臭を抑制する。
【解決手段】 木質材料中又はホルムアルデヒド系接着剤中に添加、分散して使用するアルデヒド類捕集剤であって、
前記アルデヒド類捕集剤は、
少なくとも1種類以上の常温で粒状であるアルデヒド類捕集用化合物を含有し、
前記アルデヒド類捕集用化合物は、加温により亜硫酸ガスを発生する性質を有するものを、少なくとも1種類以上含有し、
前記アルデヒド類捕集用化合物は、1粒若しくは複数の粒の塊としてその外側表面が被覆されており、その被覆成分が、常温で前記亜硫酸ガスと化学的に中和する1粒若しくは複数の粒の塊の塩基性フィラーとこの塩基性フィラーをまぶした溶融被覆成分を含有し、前記溶融被覆成分が前記1粒若しくは複数の粒の塊の外側表面を溶融被覆成分の融点以上の温度で被覆されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホルムアルデヒド系接着剤から発生するホルムアルデヒド等のアルデヒド類を捕集するアルデヒド類捕集剤、前記アルデヒド類捕集剤を含有するホルムアルデヒド系接着剤、更には、これらを用いて製造される木質板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーティクルボード、合板、木質繊維板等の木質板の製造には、接着剤としてホルムアルデヒド系接着剤を使用することが一般的に行われている。この場合、木質板から、前記ホルムアルデヒド系接着剤に起因する遊離したホルムアルデヒドが大気中に放出され、環境や健康に害を与える問題がある。
【0003】
従来、この問題の解決手段として、ホルムアルデヒドと反応してこれを捕集するいわゆるホルムアルデヒド捕集剤として、尿素、亜硫酸塩、ヒドラジド類を木質材料表面に塗布することが行われている(特許文献1、特許文献2参照)。この場合、ホルムアルデヒド捕集剤は通常水等に希釈して、スプレー塗工、ロール塗工等で塗布される。木質板は、ホルムアルデヒド捕集剤を塗布後、積み重ねて保管され、出荷される。
【特許文献1】特開平11−240002号公報
【特許文献2】特開2002−331504号公報
【0004】
ところで、木質板は、アルデヒド捕集剤を塗布後、表面美観を向上する為及び所要の寸法とする為に表面を薄く研磨して出荷されるのが通常であるが、表面研磨を行った場合、特に研磨厚が大きい場合には木質板表面に存在するアルデヒド類捕集剤も少なくなり、その結果、上記手段ではホルムアルデヒド補捉能が低下或いはなくなってしまうという問題が生じる。この問題を解決する手段として、表面研磨をせずに、木質材料中に亜硫酸ナトリウムや尿素をホルムアルデヒド捕集成分として添加してホルムアルデヒド放散量を低減する方法が提案されている(特許文献3)。
【特許文献3】特開平10−119010号公報
【0005】
しかしながら、特許文献3記載の方法では、ホルムアルデヒド捕集成分である亜硫酸ナトリウムや尿素が固体であることから、ホルムアルデヒドとの反応は、固体−気体反応となる。このため、ホルムアルデヒドは、当該ホルムアルデヒド捕集成分の粒子表面で捕集されることになる。すなわち、木質板中に捕集剤が点在するフィルター状となってしまうので、遊離ホルムアルデヒドを十分捕集しきれない。特に、近年JIS法が改正され、ホルムアルデヒド放出量の制限が厳しくなったことを鑑みれば、上記手段では、使用制限を受けないF☆☆☆☆評価の木質板とするにはホルムアルデヒド捕集能が不十分であった。
【0006】
そこで、アルデヒド類捕集剤として、常温で粉末であって、かつ加温により、亜硫酸ガスのような、アルデヒド類との反応性を有する酸性ガスを発生する性質を有する固体のアルデヒド類捕集用化合物を必須成分として含むアルデヒド類捕集剤を用いることで、熱圧工程などにおける加熱で、ガス状での反応を生じさせることにより、優れたアルデヒド類捕集性能が得られることが分かった(特許文献4)。
【特許文献4】特開2007−38661号公報
【0007】
また、上記アルデヒド類捕集用化合物から発生する、亜硫酸ガスのような、アルデヒド類との反応性を有する酸性ガスが、熱圧成型前、すなわち接着剤が未硬化で木質材料中に存在する状態で発生すると、熱圧による接着剤の硬化が阻害され、木質板の強度が低下する課題があったが、これを解決するため、粉末または粒状のアルデヒド類捕集用化合物を1粒若しくは複数の塊として、その外側表面をワックス類等の外被物によって被覆されたアルデヒド類捕集用複合物を主成分として含有するアルデヒド類捕集剤を提案している(特許文献5)。
【特許文献5】特開2006−179717号公報
【0008】
一方、アルデヒド類捕集剤ではないが、漂白剤を含む粒子が、ワックス類を含有する第1コート剤でコーティングされ、さらに該第1コート剤で形成されたコーティング層が、無機粉体および有機粉体より選択される1種以上からなる第2コート剤でコーティングされ、かつ前記第1コート剤と前記第2コート剤との配合比が1:3〜4:1であることを特徴とした漂白剤カプセル化粒子が提供されている(特許文献6)。
【特許文献6】特開2009−7566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、木質板製造時に前記特許文献5に示すような上記アルデヒド類捕集剤を使用する場合、製造条件・環境によっては熱圧工程前の段階で亜硫酸ガス等の不快臭を発生し、作業環境上好ましくない状態に陥る場合があった。
【0010】
この熱圧工程前の段階で亜硫酸ガス等の不快臭を発生する原因について鋭意検討した結果、亜硫酸ガスのような、アルデヒド類との反応性を有する酸性ガスを発生する性質を有する固体のアルデヒド類捕集用化合物を核として有すると、この核と水分が積極的に接触することを促すような木質板の製造条件・環境である場合に、この核から発生していることが原因として考えられる。
【0011】
そこで、本発明では、アルデヒド類との反応性を有する酸性ガスを発生する性質を有する固体のアルデヒド類捕集用化合物を必須成分として含むアルデヒド類捕集剤でありながら、製造条件・環境によっては熱圧工程前に発生していた亜硫酸ガス等の不快臭を抑制した、ホルムアルデヒド系接着剤用アルデヒド類捕集剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、次の構成からなるアルデヒド類捕集剤を採用した。
本発明は、木質材料中又はホルムアルデヒド系接着剤中に添加、分散して使用するアルデヒド類捕集剤であって、
前記アルデヒド類捕集剤は、
少なくとも1種類以上の常温で粒状であるアルデヒド類捕集用化合物を含有し、
前記アルデヒド類捕集用化合物は、加温により亜硫酸ガスを発生する性質を有するものを、少なくとも1種類以上含有し、
前記アルデヒド類捕集用化合物は、1粒若しくは複数の粒の塊としてその外側表面が被覆されており、その被覆成分が、1粒若しくは複数の粒の塊の塩基性フィラーとこの塩基性フィラーをまぶした溶融被覆成分を混合状態で含有し、前記溶融被覆成分が前記1粒若しくは複数の粒の塊の外側表面を溶融被覆成分の融点以上の温度で被覆されてなるアルデヒド類捕集剤である。
なお、塩基性フィラーは常温で前記亜硫酸ガスと化学的に中和するものが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のアルデヒド類捕集剤は、加温により、アルデヒド類との反応性を有する酸性ガスを発生する性質を有するアルデヒド類捕集用化合物を含有する常温で粉末であるアルデヒド類捕集剤でありながら、熱圧工程前に不快臭を発生して作業環境が好ましくない状態になることなく使用できる。
【0014】
特に、このアルデヒド類捕集剤は、溶融被覆成分の融点以上で前記1粒若しくは複数の粒の塊の外側表面を被覆する点で特許文献5とは相違している。また特に、アルデヒド類捕集用化合物が、1粒若しくは複数の粒の塊としてその外側表面が被覆されているため、亜硫酸ガス等の不快臭がアルデヒド類捕集用化合物の1粒若しくは複数の粒の塊として内側から発生しても、その外側表面では溶融被覆成分が溶融状態において被覆されており、かつアルデヒド類捕集用化合物よりも粒子径が小さな塩基性フィラーが溶融被覆成分でまぶされているため、物理的な障壁および塩基性フィラーとの化学的な中和作用により、亜硫酸ガス等の不快臭は物理的かつ化学的に有効に遮蔽される。この点、第1コート剤と第2コート剤が積層された特許文献6とは相違している。
【0015】
さらに、粉末または粒状のアルデヒド類捕集用化合物を1粒若しくは複数の塊として、その外側表面を溶融被覆成分及び塩基性フィラーを被覆する工程を、溶融被覆成分の融点以上を保ちながらおこなうことにより、アルデヒド類捕集用化合物の周囲に十分な被覆処理を施し、且つ、塩基性フィラーのような粒子径が小さく流動性が悪い粉末が同居してもアルデヒド類捕集剤としては粉末の流動性を維持できるので、生産、保管、使用の各面において、取り扱いやすい粉末とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(ホルムアルデヒド系接着剤)
本発明のアルデヒド類捕集剤は、木質板の作製において、使用時にアルデヒド類を放出しながら接着が行われるホルムアルデヒド系接着剤を使用する場合に、前記接着剤とともに用いると好適なアルデヒド類捕集効果を奏するものである。
ホルムアルデヒド系接着剤とはホルムアルデヒドを成分として含有する接着剤全般を指し、代表的なホルムアルデヒド系接着剤としては、尿素とホルムアルデヒドを主成分とする尿素系接着剤(U系接着剤)、メラミン、尿素及びホルムアルデヒドを主成分とするメラミン系接着剤(M系接着剤)、フェノールとホルムアルデヒドを主成分とするフェノール系接着剤(P系接着剤)を挙げることができる。これらのホルムアルデヒド系接着剤は、木質板の製造に好んで用いられる。また、これらホルムアルデヒド系接着剤とホルムアルデヒド系以外の接着剤(例えばイソシアネート系接着剤)と併用して使用することもある。
【0017】
(アルデヒド類捕集剤)
本発明は、木質材料とホルムアルデヒド系接着剤を用いて木質板を製造するに際して、該木質材料中或いは該ホルムアルデヒド系接着剤中に添加または分散して使用するアルデヒド類捕集剤についてのものであり、その性状は常温で粉末である。なお、常温の語は、一般的な意味あいで用いるものあるが、厳密に定義すれば、25℃を指す。
【0018】
(平均粒子径)
また本発明のアルデヒド類捕集剤粉末においては、効率のよいアルデヒド類捕集能を付与し、また本発明のアルデヒド類捕集剤粉末を用いて製造した木質板の外観を向上させるため、前記粉末の平均粒子径は3mm以下が好ましく、70重量%以上が2mm以下である方がより好ましい。一方、平均粒子径があまりに小さすぎると、粉末として取り扱いづらくなるだけでなく、アルデヒド捕集能が却って悪くなったり、凝集が発生し却って外観上の問題を発生させたりする可能性があるため、20μm以上、更に好ましくは50μm以上であることが好ましい。
【0019】
(安息角)
本発明のアルデヒド類捕集剤粉末は、安息角が小さいほうが好ましい。安息角は粉末の性質を知る指標の一つであり、積み上げた粉末が、崩れないで安定しているときの斜面と水平面とのなす最大角度のことをいう。本発明のアルデヒド類捕集剤においては、安息角が小さいとその粉末はさらさらであり、安息角が大きいとその粉末はベタつくという指標になる。具体的には本発明のアルデヒド類捕集剤粉末では、安息角が80°以下であることが好ましく、65°以下であることが更に好ましい。安息角が大きすぎると、上述のとおりその粉末はベタつきやすく、取り扱いが困難になるだけでなく、該粉末が装置にこびりつきやすくなり、生産性に問題が生じる。前記安息角の具体的な測定方法は、後述の実施例において記載した。
【0020】
(アルデヒド類捕集用化合物)
アルデヒド類捕集用化合物としては、アルデヒド類と反応する公知のアルデヒド類捕集能を有する化合物であれば足りる。好ましいアルデヒド類捕集化合物の例としては、亜硫酸塩、重亜硫酸塩類、尿素類等を挙げることができる。
【0021】
亜硫酸塩としては、亜硫酸ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等の金属塩や、モノエタノールアミン等のアミン塩、アンモニウム塩及びこれらの複塩等が挙げられるが、なかでも、アルデヒド類捕集性能をもち、低コストである点より、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸アンモニウムが好適である。本発明ではこれらの亜硫酸塩類のうち1種類または2種類以上を併用して使用することも出来る。
【0022】
重亜硫酸塩類としては、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、亜二チオン酸塩が挙げられる。前記塩の種類は、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム等の金属塩や、モノエタノールアミン等のアミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。このうち、ナトリウム塩、カリウム塩などが好ましい。本発明ではこれらの重亜硫酸塩類のうち1種類または2種類以上を併用して使用することも出来る。
【0023】
尿素類としては、尿素及び尿素結合を有する化合物が例示され、例えば、メチル尿素、エチル尿素、ジメチル尿素、ジエチル尿素、グアニル尿素、アセチル尿素、チオ尿素の他、エチレン尿素、アラントイン等の環状尿素縮合体や、ビウレットなどの尿素二量体などの非環状尿素縮合体などが挙げられる。本発明ではこれら尿素類のうち1種或いは2種以上を併用して使用することもできる。これらのうち好ましい例としては、尿素、エチレン尿素、チオ尿素が挙げられ、なかでも価格等から尿素が好ましい。
【0024】
かかるアルデヒド類捕集用化合物のなかでも、常温では固体であるが、加温により、アルデヒド類との反応性を有する酸性ガスを発生する性質を有するものが好ましく、亜硫酸ガスを発生する性質を有するものを1種類以上含むことがより好ましい。このような性質を有する化合物であれば、熱圧成型工程において、アルデヒド類捕集能を有する酸性ガスが発生し、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類とガス状での反応を生じることによりアルデヒド類を除去するため、固体−気体反応でアルデヒド類を除去する他のアルデヒド類捕集能を有する化合物を用いた場合よりも高いアルデヒド類捕集能を発揮できるからである。
【0025】
具体的な、加温により、アルデヒド類との反応性を有する酸性ガスを発生する性質を有するものとしては、硫黄酸化物ガスや硫化水素を挙げることができる。硫黄酸化物ガスとしては、代表的な亜硫酸ガスの他、SOガスなどを挙げることができる。なお亜硫酸ガスが発生する場合にはSOガスも副生として発生する場合がある。本発明のアルデヒド類捕集剤では、このように2種以上の硫黄酸化物ガスが混在して発生する場合でも、お互いが阻害要因とならず、両者ともアルデヒド類を捕集するので好ましく使用できる。
加温により、アルデヒド類との反応性を有する酸性ガスを発生する化合物は、次のような加熱反応によって、亜硫酸ガスを代表とする硫黄酸化物ガスや硫化水素ガスを発生させる。加温により亜硫酸ガスを発生させる化合物として亜硫酸水素ナトリウム、加温により硫化水素ガスを発生させる化合物として硫化水素ナトリウムの場合を例にとって説明する。
2NaHSO →(加熱)→ NaSO+HO+SO
2NaHS →(加熱)→ NaS+HS↑
【0026】
上記反応によってアルデヒド類捕集用化合物から発生した酸性ガスが、熱圧工程でアルデヒド類を捕集する機構は、次のような化学反応を辿ることによるものと推測される。アルデヒド類としてホルムアルデヒドの場合を例にとって説明する。
(亜硫酸ガスの場合)
HCHO+SO+HO → HOCHSOH・・・不安定な酸を生成
HOCHSOH+NaSO → HOCHSONa+NaHSO
(硫化水素ガスの場合)
S+HOCHOH→HOCHSH+H
熱圧工程において、上記反応がガス状で反応するため、アルデヒド類が効果的に除去される。
【0027】
上記のような加温により亜硫酸ガスを発生させる性質を有するアルデヒド類捕集用化合物の例としては、上記の亜硫酸水素ナトリウムのような重亜硫酸塩類を挙げることができる。重亜硫酸塩類のうちでも、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、亜二チオン酸塩などが好ましい。前記塩の種類の例として考えられるものは、ナトリウム、カリウム、マグネシウム等の金属塩や、モノエタノールアミン等のアミン塩、アンモニウム塩等がある。なお重亜硫酸塩類によっては、加温によって亜硫酸ガスとともに副生成物としてSOガスを発生する化合物もある。一方、加温により硫化水素ガスを発生させる性質を有するアルデヒド類捕集用化合物の例としては、上記のとおり、硫化水素ナトリウム等の硫化水素塩等がある。
【0028】
本発明のアルデヒド類捕集剤には、少なくとも一種類の亜硫酸ガスを発生させる性質を有するアルデヒド類捕集用化合物が含有されている必要があるが、二種類以上のアルデヒド類捕集用化合物を用いてもよい。また他の公知のアルデヒド類捕集能を有する化合物と併用して使用することもできる。なかでもアルデヒド類捕集能を有する化合物が亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウムであれば、それぞれのアルデヒド類捕集能力を打ち消しあうことなく、相乗的な効果が生じ、臭気の除去能力が更に増加し効果的に作用する。
【0029】
上記のように、他の化合物を含有する場合、前記アルデヒド類捕集用化合物の含有量は、アルデヒド類捕集剤全体量に対して50〜85重量%であることが好ましく、60〜82重量%であることがより好ましい。
【0030】
加温により、アルデヒド類との反応性を有する酸性ガスを発生する性質を有する化合物という語を更に厳密に定義する必要があるならば、前記酸性ガスが亜硫酸ガスの場合においては、下記のように厳密に定義することができる。すなわち、前記アルデヒド類捕集用化合物からの亜硫酸ガス発生濃度が、140℃加熱時に500ppm以上の化合物であるか、または亜硫酸ガスを発生する化合物であってその分解開始温度が250℃以下、好ましくは200℃以下の化合物をいうものとする。亜硫酸ガスの発生濃度が小さすぎると、アルデヒド類捕集能が十分でないからである。また分解開始温度が高すぎる化合物は、熱圧工程で接着を行う際、200℃程度の温度であっても亜硫酸ガスを十分には発生しないと考えられるからである。その一方、加温により発生する亜硫酸ガス濃度が50%を超えるような化合物の場合、例え室温で固体であったとしても容易に分解しやすい化合物であり、臭気も強く、取り扱いが困難であるからあまり好ましくない。
【0031】
加温時の亜硫酸ガス発生濃度の測定方法はJISなどで確立された測定方法が存在しないので、下記に説明する方法で測定することとした。また熱分解開始温度の測定は下記の条件で行うものとする。
【0032】
[亜硫酸ガス濃度の測定方法]
試験装置・器具:JIS K 2234−1994に記載されている伝熱面腐食試験装置を使用する。但し、金属試験片に相当する部分はSUS304で作製し、熱板とする。
試験方法:ガラスセル上部より試料1.0gを入れて封入した後、金属試験片に相当する部分をヒーターで加温し目的の温度まで昇温する。目的の温度に達した後30分間温度を保持して試料より亜硫酸ガスを発生させた後、試験装置上部の栓を開け、ガス検知管により亜硫酸ガス濃度を測定する。尚、ガラスセルは内径40mm、全長530mmのものを使用する。また、ガス検知管はJIS
K0804−1998に規定する(株)ガステック製検知管式ガス測定器(二酸化イオウ)を使用した。
【0033】
[熱分解開始温度]
TG(SEIKO社製 TG/DTA6200)により熱分解し、分解開始温度を外挿した。昇温条件は次のとおりである。
温度範囲30−300℃
昇温速度:10℃/分
【0034】
上記試験の結果は表1にまとめた。なお、亜硫酸水素ナトリウムについては、試料量0.1gの場合の濃度も補足的に測定した。表1のとおり、亜硫酸水素ナトリウム,亜硫酸水素カリウム,ピロ亜硫酸ナトリウム,ピロ亜硫酸カリウム,亜硫酸マグネシウム,亜硫酸亜鉛及び亜硫酸アルミニウムは、亜硫酸ガス発生濃度が、140℃加熱時に500ppm以上の化合物であるか、または亜硫酸ガスを発生する化合物であってその分解開始温度が250℃以下の化合物であることが確認された。一方、亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸カルシウムは上記要件満たさず、本発明では酸性ガスを発生しない化合物といえることが確認された。
【0035】
【表1】

【0036】
(溶融被覆成分)
本発明で用いることのできる溶融被覆成分は、常温で固体状であれば公知のものが使用できる。好ましい溶融被覆成分の具体例としては、ワックス類やシリコーン類、ろう等が挙げられる。
【0037】
ワックス類としては、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスに代表される天然ワックスや、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、α−オレフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、合成脂肪酸エステルに代表される合成ワックスが挙げられる。またこれら天然ワックスや合成ワックスを酸化した酸化ワックス、水素添加した硬化油脂(例えば牛脂硬化油やカスターワックスなど)及び変性したワックス誘導体なども挙げられる。更にはオレフィンと無水マレイン酸からなるワックス、オレフィンとアクリル酸からなるワックス、酢酸ビニルからなるワックスまたは高級アルコール、高級脂肪酸、脂肪酸アマイド、ポリエーテルなどのワックスも使用できる。シリコーン類としては、例えばジメチルシリコーンオイルの変性体が挙げられる。
【0038】
これらの中でも、融点が40℃以上100℃未満の溶融被覆成分が好ましく、融点が50℃以上90℃以下の溶融被覆成分がより好ましい。融点が低過ぎる場合は、低融点の溶融被覆成分を使用して製造した粉体を夏場等の高温下にて保存すると、粒同士の融着が生じ、取り扱いが困難な粉体になってしまうため好ましくない。融点が高過ぎる場合は、造粒時の温度を融点以上に保って造粒をおこなったときにアルデヒド類捕集用化合物の分解が始まってしまうため好ましくない。
好ましい具体例としては、カルナバワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の天然ワックスや、牛脂硬化油、パーム硬化油、カスターワックス等の硬化油脂、高級アルコール、高級脂肪酸が挙げられる。これらは、単独でも使用できるが2種以上を組み合わせて使用してもよい。
この場合、前記2種類以上のワックス類等の混合物が、例えば示差走査熱量計(DSC)で分析した結果、2以上の融点を示す場合には、該融点の全てが前記溶融被覆成分の融点温度範囲に入るものとする。
【0039】
前記溶融被覆成分をアルデヒド捕集用化合物の表面に被覆させる場合、溶融被覆成分の含有割合は、アルデヒド類捕集剤全体量に対して2〜30重量%であることが好ましく、4〜20重量%であることがより好ましい。割合が小さすぎるとアルデヒド類捕集用化合物の表面に十分な被覆膜が形成されず、臭気を抑制する効果が発揮できないことと、アルデヒド類捕集用化合物に被覆された溶融被覆成分の表面に、後に添加する塩基性フィラーが付着しないため、造粒物の流動性が悪くなり取り扱いが困難となるためである。一方、割合が多すぎるとアルデヒド類捕集剤本来の効果であるアルデヒド類捕集能を低下させてしまうことと、造粒時に粒子同士の凝集や装置への付着が起こりやすくなり、収率が低下してしまうためである。
【0040】
(塩基性フィラー)
塩基性フィラーとしては、フィラー懸濁水のpHが8〜11程度のものであれば足りる。好ましい塩基性フィラーの例としては、天然ケイ酸カルシウム(ウォラストナイト)、合成ケイ酸カルシウム(ゾノトライト)、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム等のケイ酸塩、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム等の炭酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、硫酸バリウム、塩基性硫酸マグネシウム等の硫酸塩、珪藻土、タルク、マイカ、ベントナイト、シリチン、セピオライト等の粘土鉱物、A型ゼオライト、ZSM−5型ゼオライト、Mordenite型ゼオライト、Y型ゼオライト、Silicalite型ゼオライト等のアルミノケイ酸塩、天然シリカ、乾式合成シリカ、湿式合成シリカ等のシリカが挙げられる。中でも、ケイ酸塩、炭酸塩、アルミノケイ酸塩、粘土鉱物を1種以上含むことがより好ましい。
前記塩基性フィラーをアルデヒド捕集用化合物の表面に被覆させる場合、塩基性フィラーの含有割合は、アルデヒド類捕集剤全体量に対して6〜25重量%であることが好ましく、9〜22重量%であることがより好ましい。割合が低すぎると著しい臭気抑制効果が得られにくく、多すぎると造粒物の流動性が悪くなり取り扱いが困難になるためである。
前記塩基性フィラーをアルデヒド捕集用化合物の表面に被覆させる場合、相対的に粒子径はアルデヒド捕集用化合物よりも前記塩基性フィラーの粒子径が小さくすることが好ましい。具体的には前記塩基性フィラーは75μm以下の粒子が99.5%以上あれば足りる。下限については0.5μm以上が望ましい。これ以上細かすぎると粉同士が凝集して均一に造粒できなかったり、造粒中に集塵機に吸い取られてしまう可能性がある。
前記塩基性フィラーは前記溶融被覆成分に対してその重量比率(溶融被覆成分/塩基性フィラー比率)は、10%〜200%、好ましくは16〜167%である。
【0041】
(その他添加剤)
本発明のアルデヒド類捕集剤組成物中には、上記化合物のほかに、必要に応じて、酸化防止剤、防腐剤、着色剤、木粉、防錆剤の他、製造工程上必要な薬剤を含有させることもできる。
【0042】
(製造方法)
上記本発明のアルデヒド類捕集剤は、以下の(1)〜(5)の工程を少なくとも経ることで、収率良く製造することができる。
(1) アルデヒド類捕集用化合物を加温する工程
(2) 前記(1)工程後、アルデヒド類捕集用化合物を、該被覆溶融成分の融点よりも高い温度の状態に保ちつつ、アルデヒド類捕集用化合物を攪拌混合しながら、溶融した前記被覆溶融成分を滴下或いは噴霧する工程
(3) 前記(2)工程にて得られた混合物を、該被覆溶融成分の融点よりも高い温度の状態に保ちつつ、攪拌混合しながら塩基性フィラーを添加・混合する工程
(4) 前記(3)工程にて得られた混合物を、攪拌混合しながら冷却する工程
(5) 前記(4)工程にて得られた混合物を篩い分けして粉末状アルデヒド類捕集剤を得る整粒工程
【0043】
((1) 工程)
本発明の(1)工程は、アルデヒド類捕集用化合物を溶融被覆成分の融点以上に加温する工程である。
また、効率よくアルデヒド類捕集用化合物の昇温をおこなうために、アルデヒド類捕集用化合物以外の物質をあらかじめ混ぜておいてもよい。
【0044】
((2) 工程)
本発明の製造方法の(2)工程は、アルデヒド類捕集用化合物を該被覆溶融成分の融点以上で、あらかじめ溶融した被覆溶融成分をアルデヒド類捕集用化合物に滴下或いは噴霧する工程である。該溶融被覆成分の溶融に用いるヒーターは公知のヒーターを用いることができる。このときの滴下或いは噴霧温度は、該被覆溶融成分の融点よりも1〜20℃高い温度とする。例えば、被覆溶融成分として融点55℃のパラフィンワックスを用いた場合の滴下或いは噴霧する温度は、56〜75℃とする。更に、被覆溶融成分の融点よりも5〜10℃高い温度で滴下或いは噴霧を行うことがより好ましい。滴下或いは噴霧時の温度が低すぎると、被覆溶融成分が固化して配管詰まりを起こしやすくなる。一方、滴下或いは噴霧時の温度が高すぎると、造粒機内の温度が上昇するので冷却時間が長くなり余分なエネルギーロスになる。
溶融被覆成分が2種類以上のワックスで構成される場合は、これらを予め混合溶融させて均一化したものを添加することが望ましい。
【0045】
なお、上記のように滴下或いは噴霧する際、温度を一定範囲に制御するためには、滴下或いは噴霧する被覆溶融成分の貯蔵されたタンクから溶融した被覆溶融成分を噴霧或いは滴下する噴霧ノズル或いは滴下口までの系統部の温度を制御することが好ましい。本工程で該被覆溶融成分の滴下或いは噴霧時の温度範囲をコントロールしつつ、該被覆溶融成分をアルデヒド類捕集用化合物に滴下或いは噴霧、なかでも噴霧することで、アルデヒド類捕集用化合物粒子表面に前記被覆溶融成分が被覆された複合粒子の発生する確率が増え、接着性低下防止効果のより大きい粉末状アルデヒド類捕集剤とすることができる。成分の偏りが少ないアルデヒド類捕集剤とするため、被添加・噴霧成分であるアルデヒド類捕集用化合物を攪拌しながら滴下或いは噴霧を行うことが好ましい。
【0046】
また、アルデヒド類捕集用化合物を該被覆溶融成分の融点よりも高い温度の状態に加温または保持する工程は、使用するアルデヒド類捕集用化合物の分解開始温度未満でおこなわれることが好ましい。望ましくは100℃以下でおこなわれることがより好ましい。
保つ温度が低過ぎる場合は、液状の溶融被覆成分を滴下或いは噴霧したときに固化し、十分にアルデヒド類捕集用化合物に被覆せず、臭気抑制効果が得られないからである。
保つ温度が高過ぎる場合は、製造時に材料の変質が起こり好ましくない。さらには、生産時にアルデヒド類捕集用化合物が分解し、ガスを発生してしまう恐れがあるからである。
なお、アルデヒド類捕集用化合物は目的の温度に達していれば良く、加温は造粒装置内で行っても良いし、装置外で予め行っても良い。
【0047】
((3) 工程)
本発明の製造方法の(3) 工程は、前記(2)工程にて得られた混合物を、該被覆溶融成分の融点よりも高い温度の状態に保ちつつ、攪拌混合しながら塩基性フィラーを添加し混合する工程である。
この塩基性フィラーを添加した後の混合工程では、急激な温度低下でなければ溶融被覆成分の融点を下回ってもよい。
【0048】
((4) 工程)
本発明の製造方法の(4) 工程は、前記(3)工程にて得られた混合物を、攪拌混合しながら溶融被覆成分の融点の10℃以下まで冷却する工程である。冷却により、溶融していた溶融被覆成分は再び固化する。
(3)工程後すぐに(4)工程に移ることももちろん可能であるが、(3)工程後再び(2)工程に戻り、再度(3)工程を経てから(4)工程に移ることもできる。また、(3)工程から(2)工程に戻る手順は1回以上繰り返すこともできる。
【0049】
(攪拌)
前記(2) 工程及び(3) 工程における攪拌の処理条件としては、下記式(i)で定義される攪拌フルード数Frが0.1以上5.0未満となる条件で行うことが好ましい。
Fr=V/[(R×g)0.5] (i)
なお、(i)式中、Vは攪拌翼の先端の周速[m/s]を、Rは攪拌翼の回転半径[m]を、gは重力加速度[m/s2])を表す。攪拌フルード数Frを上記範囲に制御することで、粘性のある溶融被覆成分を選択した場合でも、アルデヒド類捕集用化合物に均一に添加できる。溶融被覆成分噴霧時のフルード数Frが小さすぎると、粒子の凝集を起こし、粗大粒子を生成しやすくなる。また造粒機の壁への付着が生じ、負荷が過大となり易くなり、好ましくない。一方、フルード数Frが大きすぎる、すなわち攪拌速度が速すぎると、攪拌による摩擦熱により造粒機の内温が上昇するため、冷却時間が長くなり、エネルギーロスとなるので好ましくない。
【0050】
((5) 工程)
本発明の製造方法の(5)工程は、前記(4)工程にて得られた混合物を篩い分けして粉末状アルデヒド類捕集剤を得る整粒工程である。本発明のアルデヒド類捕集剤では、該アルデヒド類捕集剤粉末に含まれる粒子の70重量%以上が、粒子径2mm以下であることが好ましいため、篩い分けも開き目が2mmの篩いを用いて行うことが好ましいが、他の篩い目の大きさの篩いにて篩い分けることももちろん可能であり、目的とする木質板の品質、特に外観上の品質と本発明のアルデヒド類捕集剤の生産効率とのバランスより、適宜決定することができる。篩い分けの前に(4)工程で得られたアルデヒド類捕集剤を粉砕し、または篩い分け上に残った粉末を粉砕して、再び篩い分けすることも可能ではあるが、できるだけ臭気のしない粒子を得るためには粉砕しないことが望ましい。そのために、篩い分け上に残った粉末を粉砕して、再度(2)工程のアルデヒド類捕集用化合物と混合し造粒することができる。
【0051】
(造粒方法、装置)
上記(1)〜(4)の工程は、攪拌型造粒法、転動造粒法にて行うことができ、具体的な装置としては、ハイスピードミキサー、ヘンシェルミキサー、ニューグラマシン、シュギミキサー、レディーゲミキサー、プロシェアミキサー、リボンミキサー、スパルタンミキサー、パグミキサー、タービュライザー(以上、攪拌造粒法)水平円筒型混合機(転動造粒法)などを用いて行うとことができる。
【0052】
上記(5)工程の整粒(篩い分け)は、オシレーター、振動ふるいなどを用いて行うことができる。また粉末の粉砕を行う際には、パワーミル、ハンマーミル、ピンミルなどを用いて行うことができる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。各例中、特に言及しない限り、部および%は質量基準である。
【0054】
(実施例1)
ハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製)に粉末の無水重亜硫酸ナトリウム(大東化学(株)製)70部を入れ、前記粉体の温度が70℃となるまで釜内部を昇温した。融点58℃のパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)8部を溶融して、前記粉体に75℃の状態において噴霧し、攪拌フルード数Frが2.1の造粒条件にて造粒を行った。このとき粉体温度は、73℃まで上昇した。次に、攪拌条件(攪拌フルード数Frが2.1)および釜内部の粉温を維持したままでゼオライト(「シルトンB」水澤化学工業(株)製)22部を添加し攪拌し混合した。次に、前記粉体の温度が45℃になるまで、攪拌条件(攪拌フルード数Frが2.1)を維持したままで冷却し、製造装置内のアルデヒド類捕集剤を採取し、採取したサンプルの温度が冷却温度(45℃)に達したことを確認し、アルデヒド類捕集剤を得た。このアルデヒド類捕集剤の造粒時に用いた塩基性フィラー(ゼオライト)の懸濁液のpHは10.0であった。
【0055】
(実施例2)
ハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製)に粉末の無水重亜硫酸ナトリウム(大東化学(株)製)70部を入れ、前記粉体の温度が70℃となるまで釜内部を昇温した。融点61℃のパラフィンワックス140(日本精蝋(株)製)8部を溶融して、前記無水重亜硫酸ナトリウムに75℃の状態において噴霧し、攪拌フルード数Frが2.1の造粒条件にて造粒を行った。このとき粉体温度は、73℃まで上昇した。次に、攪拌条件(攪拌フルード数Frが2.1)および釜内部の粉温を維持したままでゼオライト(「シルトンB」水澤化学工業(株)製)18部を添加し攪拌し混合した。次に、前記粉体の温度が45℃になるまで、攪拌条件(攪拌フルード数Frが2.1)を維持したままで冷却し、製造装置内のアルデヒド類捕集剤を採取し、採取したサンプルの温度が冷却温度(45℃)に達したことを確認し、アルデヒド類捕集剤を得た。このアルデヒド類捕集剤の造粒時に用いた塩基性フィラー(ゼオライト)の懸濁液のpHは10.0であった。
【0056】
(実施例3)
ゼオライト(「シルトンB」水澤化学工業(株)製)の代わりに炭酸カルシウム18部を添加した以外は実施例2と同様にして、アルデヒド類捕集剤を得た。このアルデヒド類捕集剤の造粒時に用いた塩基性フィラー(炭酸カルシウム)の懸濁液のpHは10.5であった。
【0057】
(比較例1)
ゼオライト(「シルトンB」水澤化学工業(株)製)の代わりに酸性白土18部を添加した以外は実施例2と同様にして、アルデヒド類捕集剤を得た。このアルデヒド類捕集剤の造粒時に用いた塩基性フィラー(酸性白土)の懸濁液のpHは7.4であった。
【0058】
(比較例2)
ゼオライト(「シルトンB」水澤化学工業(株)製)の代わりにカオリンクレー18部を添加した以外は実施例2と同様にして、アルデヒド類捕集剤を得た。このアルデヒド類捕集剤の造粒時に用いたフィラー(カオリンクレー)の懸濁液のpHは5.0であった。
【0059】
(比較例3)
ゼオライト(「シルトンB」水澤化学工業(株)製)の代わりに活性白土18部を添加した以外は実施例2と同様にして、アルデヒド類捕集剤を得た。このアルデヒド類捕集剤の造粒時に用いたフィラー(活性白土)の懸濁液のpHは3.0であった。
【0060】
【表2】

【0061】
〔評価:造粒物臭気〕
前記で得られたホルムアルデヒド類捕集剤は、下記試験方法にて造粒物の臭気を評価した。
20℃、65%RH環境下にて、実施例により得られたホルムアルデヒド類捕集剤を小皿に10g秤量し、スポイトでイオン交換水を3滴落とす。それを2Lのテドラーバッグ内に入れて密閉し、2時間後のテドラーバッグ内のガス濃度を検知管にて測定した。ガス検知管はJIS K0804−1998に規定する(株)ガステック製検知管式ガス測定器(二酸化硫黄)を使用した。
【0062】
表2に示すように、造粒時に用いる粉体として塩基性のものを使用することが、臭気を抑制するのに効果的であることが認められる。
塩基性フィラーを用いることで、核成分から発生する臭気を、溶融被覆成分とフィラーから成る物理的な障壁によって遮蔽し、かつ、障壁を構成するフィラーが塩基性であることから、核から発生する酸性ガスを化学的に中和する効果が働き、有効に臭気を抑制できる。
【0063】
次に、塩基性フィラーの最適量について評価した。(実施例4)
ハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製)に粉末の無水重亜硫酸ナトリウム(大東化学(株)製)67部を入れ、前記粉体の温度が60℃となるまで釜内部を昇温した。融点59℃の牛脂硬化油(ミヨシ油脂(株)製)4部を溶融して、前記粉体に75℃の状態において噴霧し、攪拌フルード数Frが2.1の造粒条件にて造粒を行った。このとき粉体温度は、63℃まで上昇した。次に、攪拌条件(攪拌フルード数Frが2.1)および釜内部の粉温を維持したままでゼオライト(「シルトンB」水澤化学工業(株)製)25部及びステアリン酸カルシウム(堺化学工業(株)製)4部を添加し攪拌し混合した。次に、前記粉体の温度が45℃になるまで、攪拌条件(攪拌フルード数Frが2.1)を維持したままで冷却し、製造装置内のアルデヒド類捕集剤を採取し、採取したサンプルの温度が冷却温度(45℃)に達したことを確認し、アルデヒド類捕集剤を得た。
【0064】
(実施例5) ハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製)に粉末の無水重亜硫酸ナトリウム(神洲化学(株)製)70部を入れ、前記粉体の温度が60℃となるまで釜内部を昇温した。融点58℃のパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)9部を溶融して、前記粉体に72℃の状態において噴霧し、攪拌フルード数Frが2.1の造粒条件にて造粒を行った。このとき粉体温度は、70℃まで上昇した。次に、攪拌条件(攪拌フルード数Frが2.1)および釜内部の粉温を維持したままでゼオライト(「シルトンB」水澤化学工業(株)製)18部、シリカ(DSL.シ゛ャハ゜ン(株)製)3部を添加し攪拌し混合した。次に、前記粉体の温度が45℃になるまで、攪拌条件(攪拌フルード数Frが2.1)を維持したままで冷却し、製造装置内のアルデヒド類捕集剤を採取し、採取したサンプルの温度が冷却温度(45℃)に達したことを確認し、アルデヒド類捕集剤を得た。
【0065】
(実施例6)(実施例6) ハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製)に粉末の無水重亜硫酸ナトリウム(大東化学(株)製)69部を入れ、前記粉体の温度が60℃となるまで釜内部を昇温した。融点58℃のパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)9部を溶融して、前記粉体に75℃の状態において噴霧し、攪拌フルード数Frが2.1の造粒条件にて造粒を行った。このとき粉体温度は、64℃まで上昇した。次に、攪拌条件(攪拌フルード数Frが2.1)および釜内部の粉温を維持したままでゼオライト(「シルトンB」水澤化学工業(株)製)15部、シリカ(DSL.シ゛ャハ゜ン(株)製)4部及びステアリン酸カルシウム(堺化学工業(株)製)3部を添加し攪拌し混合した。次に、前記粉体の温度が45℃になるまで、攪拌条件(攪拌フルード数Frが2.1)を維持したままで冷却し、製造装置内のアルデヒド類捕集剤を採取し、採取したサンプルの温度が冷却温度(45℃)に達したことを確認し、アルデヒド類捕集剤を得た。
【0066】
(実施例7) ハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製)に粉末の無水重亜硫酸ナトリウム(大東化学(株)製)70部を入れ、前記粉体の温度が60℃となるまで釜内部を昇温した。融点58℃のパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)8部を溶融して、前記粉体に75℃の状態において噴霧し、攪拌フルード数Frが2.1の造粒条件にて造粒を行った。このとき粉体温度は、69℃まで上昇した。次に、攪拌条件(攪拌フルード数Frが2.1)および釜内部の粉温を維持したままでゼオライト(「シルトンB」水澤化学工業(株)製)9部、シリカ(DSL.シ゛ャハ゜ン(株)製)4部及びタルク(松村産業(株)製)9部を添加し攪拌し混合した。次に、前記粉体の温度が45℃になるまで、攪拌条件(攪拌フルード数Frが2.1)を維持したままで冷却し、製造装置内のアルデヒド類捕集剤を採取し、採取したサンプルの温度が冷却温度(45℃)に達したことを確認し、アルデヒド類捕集剤を得た。
【0067】
(実施例8) ハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製)に粉末の無水重亜硫酸ナトリウム(大東化学(株)製)80部を入れ、前記粉体の温度が60℃となるまで釜内部を昇温した。融点58℃のパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)10部を溶融して、前記粉体に75℃の状態において噴霧し、攪拌フルード数Frが1.9の造粒条件にて造粒を行った。このとき粉体温度は、66℃まで上昇した。次に、攪拌条件(攪拌フルード数Frが1.9)および釜内部の粉温を維持したままでゼオライト(「シルトンB」水澤化学工業(株)製)6部、シリカ(DSL.シ゛ャハ゜ン(株)製)4部を添加し攪拌し混合した。次に、前記粉体の温度が45℃になるまで、攪拌条件(攪拌フルード数Frが1.2)で冷却し、製造装置内のアルデヒド類捕集剤を採取し、採取したサンプルの温度が冷却温度(45℃)に達したことを確認し、アルデヒド類捕集剤を得た。
【0068】
(比較例4)
粉末の無水重亜硫酸ナトリウム(大東化学(株)製)58部及びゼオライト(「シルトンB」水澤化学工業(株)製)30部とした以外は、実施例6と同様にし、アルデヒド類捕集剤を得た。
【0069】
(比較例5)
ハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製)に粉末の無水重亜硫酸ナトリウム(大東化学(株)製)82部を入れた。このとき、特に釜内部を昇温する操作は行わなかった。融点58℃のパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)17部を溶融して、前記粉体に75℃の状態において噴霧し、攪拌フルード数Frが2.1の造粒条件にて造粒を行った。このとき粉体温度は、30℃まで上昇した。次に、攪拌条件(攪拌フルード数Frが2.1)および釜内部の粉温を維持したままでステアリン酸カルシウム(堺化学工業(株)製)1部を添加し攪拌して、アルデヒド類捕集剤を得た。
【0070】
【表3】

【0071】
上記で得られた実施例及び比較例のアルデヒド類捕集剤粉末について、安息角を測定し、流動性を評価した。測定には、特開2008-155453と同測定条件にしたがって行った。すなわち、特開2008-155453の図1に示したような上部に開放口、短辺側側面に側面蓋を有する長方形容器を用いた。なお開放口広さは10cm(縦:a)×3cm(横:a)であり、容器高さaは10cmであり、側面蓋は、底辺部分から開放でき、その大きさは3cm(横:b)×8cm(高さ:b)である。まず前記側面蓋を閉めた状態で、容器上部の前記開放口から静かに粉末試料を約280cm入れる。次に容器を水平にした状態で側面蓋を静かに開け、粉末試料が流れ出した後、該粉末試料の流れが止まった時の粉体面の角度を測定し、該角度θをその試料を安息角とした。前記安息角による流動性の評価基準は次のとおりである。 ○:70°未満 △:70°以上、80°未満 ×:80°以上
【0072】
表3より、塩基性粉体の最適添加量は、アルデヒド類捕集剤全量に対して6重量%〜25重量%、より好ましくは9重量%〜22重量%であることが理解できる。添加割合が低すぎると著しい臭気抑制効果が得られにくく、多すぎると製品の流動性が悪くなるため実用的でない。
【0073】
(実施例9)
次に、造粒開始前の粉体温度を60℃まで昇温し、使用した溶融被覆成分の融点以上(上記の場合、ハ゜ーム硬化油の融点が58℃であるため58℃以上)を保って造粒した実施例5を示す。このとき実際に造粒した温度範囲は61〜67℃であった。実施例9のアルデヒド類捕集剤は造粒開始前の粉体温度を70℃まで昇温したことを除いて他は実施例5と同じである。このとき実際に造粒した温度範囲は68〜72℃であった。なお、比較例6は造粒開始前の粉体温度を45℃まで昇温し、釜内温度を45℃程度で維持するように調節したことを除いて他は実施例5と同じである。このとき実際に造粒した温度範囲は43〜46℃であった。比較例7は造粒開始前の粉体温度を55℃まで昇温したことを除いて他は実施例5と同じである。このとき実際に造粒した温度範囲は51〜53℃であった。
【0074】
【表4】

【0075】
表4より、造粒する温度を融点以上を保って造粒することで、臭気を効果的に抑制することができる。融点より低い温度で造粒を行うと得られる造粒物の流動性が悪くなるため実用的でない。
【0076】
(実施例10)
次に、粉末の無水重亜硫酸ナトリウム(大東化学(株)製)75部及びゼオライト(「シルトンB」水澤化学工業(株)製)13部としたことを除いて実施例6と同様にしてアルデヒド類捕集剤を得た。
【0077】
(比較例8)
比較例5で得られたアルデヒド類捕集剤87部とゼオライト(「シルトンB」水澤化学工業(株)製)13部を外気温環境下にて混合し、アルデヒド類捕集剤を得た。
【0078】
【表5】

【0079】
表5より、比較例5に対して塩基性フィラーを混ぜただけでも臭気は改善できるが、比較例8のように比較例5の造粒物 87%とセ゛オライト 13%の混合物である製品では流動性が悪化する。これに対して実施例10は塩基性フィラーであるゼオライトが粉末の無水重亜硫酸ナトリウムの粒子表面に接合されているために造粒物の臭気も抑えられると同時に、流動性も良好である。
【0080】
(実施例11) 次に、ハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製)に粉末の無水重亜硫酸ナトリウム(大東化学(株)製)48部及び尿素(三井化学(株))21部を入れ、前記粉体の温度が60℃となるまで釜内部を昇温した。融点58℃のパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)9部を溶融して、前記粉体に75℃の状態において噴霧し、攪拌フルード数Frが2.1の造粒条件にて造粒を行った。このとき粉体温度は、65℃まで上昇した。次に、攪拌条件(攪拌フルード数Frが2.1)および釜内部の粉温を維持したままでゼオライト(「シルトンB」水澤化学工業(株)製)18部、シリカ(DSL.シ゛ャハ゜ン(株)製)4部を添加し攪拌し混合した。次に、前記粉体の温度が45℃になるまで、攪拌条件(攪拌フルード数Frが2.1)を維持したままで冷却し、製造装置内のアルデヒド類捕集剤を採取し、採取したサンプルの温度が冷却温度(45℃)に達したことを確認し、アルデヒド類捕集剤を得た。
【0081】
(実施例12) ハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製)に粉末の無水重亜硫酸ナトリウム(大東化学(株)製)69部を入れ、前記粉体の温度が60℃となるまで釜内部を昇温した。融点59℃の牛脂硬化油(ミヨシ油脂(株)製)9部を溶融して、前記粉体に75℃の状態において噴霧し、攪拌フルード数Frが2.1の造粒条件にて造粒を行った。このとき粉体温度は、67℃まで上昇した。次に、攪拌条件(攪拌フルード数Frが2.1)および釜内部の粉温を維持したままでゼオライト(「シルトンB」水澤化学工業(株)製)18部、シリカ(DSL.シ゛ャハ゜ン(株)製)4部を添加し攪拌し混合した。次に、前記粉体の温度が45℃になるまで、攪拌条件(攪拌フルード数Frが2.1)を維持したままで冷却し、製造装置内のアルデヒド類捕集剤を採取し、採取したサンプルの温度が冷却温度(45℃)に達したことを確認し、アルデヒド類捕集剤を得た。
【0082】
(比較例9) ハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製)に粉末の無水重亜硫酸ナトリウム(大東化学(株)製)57部及び尿素(三井化学(株))25部を釜に入れた。このとき、特に釜内部を昇温する操作は行わなかった。融点59℃の牛脂硬化油(ミヨシ油脂(株)製)17部を溶融して、前記粉体に75℃の状態において噴霧し、攪拌フルード数Frが2.1の造粒条件にて造粒を行った。このとき粉体温度は、30℃まで上昇した。次に、攪拌条件(攪拌フルード数Frが2.1)を維持したままでステアリン酸カルシウム(堺化学工業(株)製)1部を添加し攪拌して、アルデヒド類捕集剤を得た。
【0083】
(比較例10) ハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製)に粉末の無水重亜硫酸ナトリウム(大東化学(株)製)82部を釜に入れた。このとき、特に釜内部を昇温する操作は行わなかった。牛脂硬化油(ミヨシ油脂(株)製)17部を溶融して、前記粉体に75℃の状態において噴霧し、攪拌フルード数Frが2.1の造粒条件にて造粒を行った。このとき粉体温度は、30℃まで上昇した。次に、攪拌条件(攪拌フルード数Frが2.1)を維持したままでステアリン酸カルシウム(堺化学工業(株)製)1部を添加し攪拌して、アルデヒド類捕集剤を得た。
【0084】
【表6】

【0085】
表6により、無水重亜硫酸ナトリウムに変えて無水重亜硫酸ナトリウム及び尿素を使用した実施例11、及びパーム硬化油に変えて牛脂硬化油を使用した実施例12についても、前記実施例と同じく、製品の臭気が有効に抑えられている。
【0086】
なお、本実施例及び比較例には次の化合物が用いられている。無水重亜硫酸ソータ゛(大東化学(株)、神洲化学(株))セ゛オライト(シルトンB;水澤化学工業(株))シリカ(カーフ゜レックス#67;DSL.シ゛ャハ゜ン(株))ステアリン酸カルシウム(SC-100;堺化学工業(株))酸性白土(天然ケイ酸アルミニウム;帝国白土(株))活性白土(カ゛レオンアースV2;水澤化学工業(株))カオリンクレー(RC-1;竹原化学工業(株)) 炭酸カルシウム(カルヒ゜ンY;矢橋工業(株))ハ゜ーム硬化油(IHP-58;ミヨシ油脂(株))m.p.=58℃牛脂硬化油(IHT-59;ミヨシ油脂(株))m.p.=59℃尿素(三井化学(株))ハ゜ラフィンワックス140(日本精蝋(株))m.p.=61℃
タルク(クラウンタルクSC-S;松村産業(株))

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質材料中又はホルムアルデヒド系接着剤中に添加、分散して使用するアルデヒド類捕集剤であって、
前記アルデヒド類捕集剤は、
少なくとも1種類以上の常温で粒状であるアルデヒド類捕集用化合物を含有し、
前記アルデヒド類捕集用化合物は、加温により亜硫酸ガスを発生する性質を有するものを、少なくとも1種類以上含有し、
前記アルデヒド類捕集用化合物は、1粒若しくは複数の粒の塊としてその外側表面が被覆されており、その被覆成分が、常温で前記亜硫酸ガスと化学的に中和する1粒若しくは複数の粒の塊の塩基性フィラーとこの塩基性フィラーをまぶした溶融被覆成分を混合状態で含有し、前記溶融被覆成分が前記1粒若しくは複数の粒の塊の外側表面を溶融被覆成分の融点以上の温度で被覆されてなるアルデヒド類捕集剤。
【請求項2】
前記塩基性フィラーが、炭酸塩、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩及び粘土鉱物のうち少なくとも1つ以上の化合物であることを特徴とする請求項1記載のアルデヒド類捕集剤。
【請求項3】
前記溶融被覆成分が、カルナハ゛ワックス、モンタンワックス、ハ゜ラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、油脂硬化油、高級アルコール及び高級脂肪酸のうち少なくとも1つ以上の化合物であることを特徴とする請求項1記載のアルデヒド類捕集剤。
【請求項4】
前記塩基性フィラーはアルデヒド類捕集剤全量に対して6wt%〜25wt%であることを特徴とする請求項1又は2記載のアルデヒド類捕集剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかの項に記載されたアルデヒド類捕集剤を製造する方法であって、 前記アルデヒド類捕集用化合物を溶融被覆成分の融点以上に加温する工程、 溶融被覆成分の融点以上に保ちながら、融点以上に加温した溶融被覆成分を、加温したアルデヒド類捕集用化合物に噴霧或いは滴下する工程、溶融被覆成分の融点以上に保ちながら、溶融した溶融被覆成分が被覆されたアルデヒド類捕集用化合物に塩基性フィラーを添加する工程、溶融被覆成分の融点の10℃以下まで冷却し、固化した前記溶融被覆成分と塩基性フィラーが被覆された、常温で粒状であるアルデヒド類捕集用化合物を得る工程とを少なくとも有するアルデヒド類捕集剤の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかの項に記載されたアルデヒド類捕集剤を使った木質板の作製方法。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかの項に記載されたアルデヒド類捕集剤を木質材料に添加した後、当該木質材料を熱圧成型することにより得られる木質板。




【公開番号】特開2011−190338(P2011−190338A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57222(P2010−57222)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(390029458)一方社油脂工業株式会社 (30)
【Fターム(参考)】