説明

アルファ7ニコチン性受容体に対する抗体を使用した炎症性疾患の治療

ニコチン性アセチルコリン受容体またはその機能的変異体の哺乳類α7サブユニットに結合し、また前記受容体または変異体の作動薬である、抗体またはその抗原結合性フラグメント。同抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む薬学的組成物。炎症状態を患う対象を治療する方法であり、本明細書で記載されるように、前記対象に抗体または抗原結合性フラグメントを投与するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2005年11月15日出願の米国仮出願第60/737,045号の利益を主張するものである。上記の出願の全体の内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の背景
哺乳類は、部分的に中枢神経の調整を通して炎症に反応する。一連の反応は、「コリン作動性抗炎症経路」と称される遠心性迷走神経シグナルを通る(Borovikovaら、Vagus nerve stimulation attenuates the systemic inflammatory response to endotoxin(迷走神経の刺激によってエンドトキシンに対する全身炎症反応を軽減する)。Nature:405:458−462(2000))。α−ブンガロトキシン感受性のニコチン性アセチルコリン受容体(例:アセチルコリンによる)による遠心性迷走神経の刺激またはシグナリングは、全身炎症反応およびマクロファージのサイトカイン合成を軽減する(Bernik,T.R.ら、Pharmacological stimulation of the cholinergic anti−inflammatory pathway(コリン作動抗炎症経路の薬理的刺激)、J.Exp.Med.195:781−788(2002);Traceyら、Mind over immunity、FASEB J.15:1575−1576(2001);米国特許出願第09/855,446号)。
【0003】
ニコチン性アセチルコリン受容体は、リガンド依存性五量体イオンチャネル群である。ヒトにおいて、はっきりと異なる構造および薬理学的特性を持つ多数のホモ−およびヘテロ−五量体受容体を形成する16の異なるサブユニット(α1−7、α9−10、β1−4、δ、ε、およびγ)が、同定されている(Lindstrom、1995;LeonardおよびBertrand、2001;Le NovereおよびChangeux、1995)。この受容体群の主な既知の機能は、神経筋接合部ならびに中枢および末梢神経系において、神経伝達物質アセチルコリンのシグナルを伝達することである(Lindstrom,J.M.「Hand Book Of Receptors And Channels:Ligand−And Voltage−Gated Ion Channels(受容体とチャンネルハンドブック:リガンドおよび電位依存性のイオンチャンネル)」、Nicotinic acetylcholine receptors(ニコチン性アセチルコリン受容体)、R.Alan North編集。CRC Press,Inc.(1995);Leonard,S.およびBertrand,D.、Neuronal nicotinic receptors:from structure to function(ニコチン性ニューロン受容体:構造から機能へ).Nicotine & Tobacco Res.3:203−223(2001);Le Novere,N. & Changeux,J−P.、Molecular evolution of the nicotinic acetylcholine receptor:an example of multigene family in excitable cells(ニコチン性アセチルコリン受容体の分子進化:興奮性細胞における多重遺伝子族の一例).J.Mol.Evol.40:155−172(1995)、Marubio,L.M.およびChangeux,J−P.、Nicotinic acetylcholine receptor knockout mice as animal models for studying receptor function(受容体機能研究のための動物モデルとしてのニコチン性アセチルコリン受容体ノックアウトマウス).Eur.J.Pharmacol.393:113−121(2000);Steinlein,O.、New functions for nicotine acetylcholine receptors?(ニコチン性アセチルコリンの新機能?)Behavioural Brain Res.95:31−35(1998))。
【0004】
同時係属の公開米国特許出願第2004/0204355号において、炎症反応の軽減の一次的原因となるアセチルコリン受容体のサブユニットの正体は、α7サブユニットであると開示された。しかしながら、α7サブユニットが作用する、および新たな抗炎症医薬品の設計を促進するであろうメカニズムは、未知のままであった。
【0005】
しかしながら、最小限の副作用で種類特異的にアセチルコリン受容体を活性化することにより、コリン作動性抗炎症経路を活用することができる薬学的活性薬剤が引き続き必要とされている。
【0006】
発明の開示
本発明は、ニコチン性受容体のα7サブユニットの特異的領域に結合することにより、コリン作動性抗炎症経路を活性化することができるという発見に基づく。具体的に、出願者は、受容体の特定のフラグメントと同種の抗体により、α7ニコチン性受容体に結合することで、コリン作動性抗炎症経路を活性化することを発見している(例4−7)。この発見に基づき、炎症状態の治療に役立つ同抗体を含む、新しい抗体および薬学的組成物が開示される。
【0007】
一実施形態では、本発明は、配列番号2、配列番号3、およびS配列番号4の群から選択される配列に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列から成るペプチドに特異的に結合する、単離抗体またはその抗原結合性フラグメントである。
【0008】
一実施形態では、本発明は、配列番号2に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列から成るペプチドに特異的に結合する、単離抗体またはその抗原結合性フラグメントである。
【0009】
別の実施形態では、本発明は、配列番号3に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列から成るペプチドに特異的に結合する、単離抗体またはその抗原結合性フラグメントである。
【0010】
別の実施形態では、本発明は、配列番号4に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列から成るペプチドに特異的に結合する、単離抗体またはその抗原結合性フラグメントである。
【0011】
別の実施形態では、本発明は、配列番号2またはそのフラグメントのアミノ酸配列によるペプチドに特異的に結合する、単離抗体またはその抗原結合性フラグメントである。
【0012】
別の実施形態では、本発明は、配列番号3またはそのフラグメントのアミノ酸配列によるペプチドに特異的に結合する、単離抗体またはその抗原結合性フラグメントである。
【0013】
さらなる実施形態では、本発明は、配列番号4またはそのフラグメントのアミノ酸配列によるペプチドに特異的に結合する、単離抗体またはその抗原結合性フラグメントである。
【0014】
一実施形態では、本発明は、薬学的に許容できる担体または希釈剤、および配列番号2、配列番号3、および配列番号4の群から選択される配列に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列から成るペプチドに特異的に結合する、抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む薬学的組成物である。
【0015】
別の実施形態では、本発明は、薬学的に許容できる担体または希釈剤、および配列番号2またはそのフラグメントから成るペプチドに特異的に結合する、抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む薬学的組成物である。
【0016】
一実施形態では、本発明は、炎症状態を患う対象を治療する方法であり、前記対象に効果的な量の抗体またはその抗原結合性フラグメントを投与するステップを含む。抗体またはその抗原結合性フラグメントは、配列番号2、配列番号3、および配列番号4の群から選択される配列に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列から成るペプチドに特異的に結合する。
【0017】
別の実施形態では、本発明は、炎症状態を患う対象を治療する方法であり、前記対象に効果的な量の抗体またはその抗原結合性フラグメントを投与するステップを含む。抗体またはその抗原結合性フラグメントは、配列番号2またはそのフラグメントのアミノ酸配列から成るペプチドに特異的に結合する。
【0018】
本明細書で開示される抗体は、生体外での炎症前サイトカインの生産を抑制(例5および6)、および盲腸結紮穿刺(CLP)実験手順に起因するマウスの致死性を防ぐ(例7)。
【0019】
発明の詳細な説明
本発明は、α7サブユニットの特異的領域の発見に基づき、それは同種の抗体への結合後、α7ニコチン性アセチルコリン受容体を刺激する。この刺激は、次に炎症状態の一因となるシグナル経路を抑制する。α7ニコチン性受容体にかかる刺激効果をもたらす抗体は、α7受容体作動薬である(以下も参照)。
【0020】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明は患者における炎症状態の治療方法である。方法は、対象に効果的な量の抗体またはその抗原結合性フラグメントを投与するステップを含み、ここで抗体またはその抗原結合性フラグメントは、α7ニコチン性受容体を刺激する。
【0021】
ここで使用されるように、「α7ニコチン性受容体」とはα7サブユニットを含むニコチン性受容体である。受容体はα7サブユニットのみを含むことができる。あるいは、受容体はα7サブユニット、および他のニコチン性受容体のサブタイプからのサブユニットを含む。受容体はホモ五量体であることができる。あるいは、受容体はヘテロ五量体であることができる。「α7サブユニット」は、すべてのサブユニットのアイソフォームおよび/または変異体を含むよう意図されており、それには、限定されないが、Villigerら、Journal of Immunology 126:86−98(2002)、およびGaultら、Genomics 52:173−85(1998)に記載されるα7重複ニコチン性アセチルコリン受容体(「dupα7」)、米国20040152160に記載されるスプライス変異体α7−2、および米国特許第6,875,606号に記載されるα7ニコチン性受容体のプロモーター変異体が含まれる。これらの出版物の関連する内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0022】
ここで使用されるように、「α7ニコチン性受容体作動薬」および「α7受容体作動薬」は、生体内または生体外で、α7サブユニットを含む受容体に結合し、その生理作用を行うために受容体を誘発する化合物(抗体を含む)である。この誘発の結果として、ニコチン性受容体作動薬は、炎症前のシグナル経路を抑制し、したがって炎症を緩和または除去、および炎症状態を治療または治癒する。
【0023】
抗体および抗体生産細胞
図1は、ヒトα7ニコチン性受容体サブユニットのアミノ酸配列を示す(配列番号1)。好ましくは、本発明の抗体はα7ニコチン性受容体の選択的作動薬である。
【0024】
本発明の抗体は、多クローン性または単クローン性であることができ、用語「抗体」は、多クローン性および単クローン性抗体の両方を包含するよう意図されている。用語、多クローン性および単クローン性は、抗体調製の均質性の度合いを意味し、特定の生産方法に限定されるよう意図されていない。用語「抗体」はまた、ここで使用されるように、キメラ化、ヒト化、霊長類化、ベニヤ化、または単鎖抗体のフラグメントを含む、抗体の機能フラグメントを包含する。機能フラグメントは、哺乳類α7ニコチン性受容体に結合する抗原結合性フラグメントを含む。例えば、抗体はIgGまたはIgGの抗原結合性フラグメントであることができる。哺乳類α7ニコチン性受容体またはそのフラグメントに結合することができる抗体フラグメントは、Fv、Fab、Fab’、およびF(ab’)フラグメントを含むがそれらに限定されない。かかるフラグメントは、酵素的切断または組み換え技術によって生産することができる。例えば、パパインまたはペプシン切断は、それぞれFabまたはF(ab’)フラグメントを生成することができる。必須の基質特異性を持つ他のプロテアーゼもまた、FabまたはF(ab’)フラグメントを生成するために使用できる。抗体もまた、1つ以上の終止コドンが自然停止位置の上流に誘発されている抗体遺伝子を使用して、様々な切断形態で生産することができる。例えば、F(ab’)重鎖フラグメントをエンコードするキメラ化遺伝子は、CHドメインおよび重鎖のヒンジ領域をエンコードするDNA配列を含むよう設計することができる。
【0025】
異なる種から得られたフラグメントを含む、単鎖抗体、およびキメラ化、ヒト化もしくは霊長類化(CDR移植)、またはベニヤ化抗体、ならびにキメラ化、CDR移植、またはベニヤ化単鎖抗体などはまた、本発明および用語「抗体」によって包含される。これらの抗体の様々なフラグメントは、従来の技術によって化学的に接合、または遺伝子工学技術を使用して隣接タンパク質として調製することができる。例えば、キメラ化またはヒト化鎖をエンコードする核酸は、隣接タンパク質を生産するために発現することができる。例えば、Cabillyら、米国特許第4,816,56号;Cabillyら、欧州特許第0,125,023 B1号;Bossら、米国特許第4,816,397号;Bossら、欧州特許第0,120,694 B1号;Neuberger,M.S.ら、WO 86/01533;Neuberger,M.S.ら、欧州特許第0,194,276 B1号;Winter、米国特許第5,225,539号;Winter、欧州特許第0,239,400 B1号;Queenら、欧州特許第0 451 216 B1号;およびPadlan,E.A.ら、EP 0 519 596 A1を参照。また、霊長類化抗体に関して、Newman,R.ら、BioTechnology,10:1455−1460(1992)、および単鎖抗体に関して、Ladnerら、米国特許第4,946,778号、およびBird,R.E.ら、Science,242:423−426(1988)を参照。
【0026】
ヒト化抗体は、標準方法または他の適した技術を使用した合成または組み換えDNA技術を使用して生産することができる。ヒト化可変領域に対する核酸(例:cDNA)配列コーディングはまた、以前にヒト化された可変領域からのDNA鋳型のような、ヒトまたはヒト化鎖をエンコードするDNA配列を変更するために、PCR変異誘発方法を使用して構成することができる(例えば、Kamman,M.ら、Nucl.Acids Res.,17:5404(1989);Sato,K.ら、Cancer Research,53:851−856(1993);Daugherty,B.L.ら、Nucleic Acids Res.,19(9):2471−2476(1991);ならびにLewis,A.P.およびJ.S.Crowe,Gene,101:297−302(1991)を参照)。これら、または他の適した方法を使用して、変異体もまた容易に生産することができる。一実施形態では、クローン可変領域を変異することができ、望ましい特異性を持つ変異体をエンコードする配列を選択することができる(例:ファージライブラリーから;例えば、Krebberら、米国特許第5,514,548号;1993年4月1日公開のHoogenboomら、WO 93/06213を参照。)
【0027】
哺乳類(例:ヒト)のα7ニコチン性受容体に対して特異的な抗体は、配列番号1またはそのフラグメントの分離および/または組み換えヒトタンパク質などの、適切な免疫原に対して産出されることができる(合成ペプチドのような合成分子を含む)。抗体はまた、マクロファージのようなα7ニコチン性受容体を発現する細胞で、適切な宿主(例:マウス)に免疫を与えることにより産出されることができる。さらに、トランスフェクト細胞などの組み換え哺乳類α7ニコチン性受容体を発現する細胞は、免疫原として、または受容体に結合する抗体のスクリーンニングにおいて使用することができる(例えば、Chuntharapaiら、J.Immunol.,152:1783−1789(1994);Chuntharapaiら、米国特許第5,440,021号を参照)。
【0028】
免疫抗原の調製、ならびに多クローン性および単クローン性抗体の生産は、いかなる適切な技術を使用しても行うことができる。様々な方法が記載されてきた(例えば、Kohlerら、Nature,256:495−497(1975)、およびEur.J.Immunol.6:511−519(1976);Milsteinら、Nature266:550−552(1977)、Koprowskiら、米国特許第4,172,124号;Harlow,E.およびD.Lane、1988、Antibodies:A Laboratory Manual、(Cold Spring Harbor Laboratory:ニューヨーク州コールドスプリングハーバー);Current Protocols In Molecular Biology,Vol.2(付録27、94年夏)、Ausubel,F.M.ら編集、(John Wiley & Sons:ニューヨーク州ニューヨーク)、第11章(1991)を参照)。一般的に、ハイブリドーマは抗体を生産する細胞を有する適切な永久細胞株(例:SP2/0、P3X63Ag8.653、または異種骨髄腫などの骨髄腫細胞株)を融合することにより産出される。抗体を生産する細胞は、重要な抗原の免疫を持つヒトまたは他の適切な動物の末梢血、または好ましくは脾臓もしくはリンパ節から得ることができる。融合細胞(ハイブリドーマ)は、選択的培養条件を使用して単離、および希釈を制限することによりクローン化することができる。望ましい特異性を持つ抗体を生産する細胞は、適切なアッセイ(例:ELISA)により選択することができる。
【0029】
必須の特異性の抗体(例:ヒト抗体または抗原結合性フラグメント)を生産または単離する他の適切な方法を使用することができ、例えば、ライブラリー(例:ファージ提示ライブラリー)から組み換え抗体を選択する方法、またはヒト抗体のレパートリーを生産することができる遺伝子導入動物(例:マウス)への免疫付与を利用する方法を含む(例えば、Jakobovitsら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA3 90:2551−2555(1993);Jakobovitsら、Nature,362:255−258(1993);Lonbergら、米国特許第5,545,806号;Suraniら、米国特許第5,545,807号;Lonbergら、WO97/13852を参照)。
【0030】
本発明はまた、哺乳類α7ニコチン性受容体、および少なくとも1つの他の抗原に結合する、二重特異性抗体またはその機能フラグメント(例:F(ab’))に関連する(例えば、米国特許第5,141,736号(Iwasaら)、米国特許第4,444,878号、5,292,668号、5,523,210号(すべてPaulusら)、および米国特許第5,496,549号(Yamazakiら)を参照)。
【0031】
一実施形態では、本発明の抗体または抗原結合性フラグメントは、配列番号2、配列番号3、または配列番号4のフラグメントに特異的に結合する(図2は、ヒトニコチン性受容体のα7サブユニット内におけるこれらの配列の相対位置を図解する)。フラグメントは、5から10のアミノ酸の長さ、10から15のアミノ酸の長さ、または15から19のアミノ酸の長さであることができる。
【0032】
あるいは、抗体または抗原結合性フラグメントは、配列番号2、配列番号3、または配列番号4に特異的に結合する。
【0033】
表1は、上記のアミノ酸配列を記載する。
【0034】
【表1】

【0035】
一実施形態では、抗体または抗原結合性フラグメントは、以下に定義する配列番号1の機能的変異体、またはそのフラグメントに結合する。例えば、抗体または抗原結合性フラグメントは、配列番号2、配列番号3、または配列番号4のペプチドに対して配列同一性を有するペプチドに結合することができる。抗体が結合するペプチドは、配列番号2、配列番号3、もしくは配列番号4、またはそのフラグメントから選択されたペプチドと少なくとも約80%のアミノ酸配列類似性を、好ましくは少なくとも約90%のアミノ酸配列類似性を、およびより好ましくは少なくとも約95%のアミノ酸配列類似性を共有することができる。配列類似性を確認する方法は、以下に記載される。
【0036】
本発明の抗体は、様々な適切な方法によって識別することができる。例えば、かかる抗体は、哺乳類α7ニコチン性受容体への結合をめぐって、先述の抗体のいずれかと競う能力に基づいて識別することができる。別の例では、かかる抗体の結合、および同一または同様のエピトープ特異性を持つ抗体の結合は、天然ペプチドまたは合成ペプチドによって抑制することができる。ペプチドは、5から約50のアミノ酸を含むことができる。好ましくは、ペプチドは10から約20のアミノ酸を含む。さらに別の例では、先述のように抗体として同一または同様のエピトープ特異性を持つ抗体は、キメラ化受容体を使用して識別することができる(例えば、Ruckerら、Cell 87:437−446(1996)を参照)。
【0037】
特定の実施形態では、二重特異性抗体またはその機能フラグメントは、配列番号2、配列番号3、または配列番号4、および少なくとも1つの他の抗体のペプチドに結合する抗体として、同一または同様のエピトープ特異性を有する。
【0038】
α7ニコチン性受容体に対する抗体を生成する方法の限定されない方法は、α7受容体またはそのフラグメントで適切な実験動物に免疫を与え、α7サブユニットに結合する、免疫付与によって誘発された抗体を単離することである。免疫付与および単離の手順は、当業者にはよく知られている。
【0039】
α7ニコチン性受容体に対する選択性は、少なくとも1つの他のニコチン性またはコリン作動性受容体への結合に対するスクリーニングによって、評価することができる。α7受容体に対する選択的作動薬と考えられる抗体は、サイトカイン放出の抑制、および/またはここに記載される1つ以上の炎症性疾患の治療におけるそれらの有効性について、例えば動物モデルにおける追加の生体外試験または生体内試験で、さらに評価してもよい。
【0040】
作動薬である抗体は、例えば、単離抗体を、炎症前サイトカインを放出するために刺激を受けたマクロファージと組み合わせることによって、またはα7受容体の活性を評価するいかなる他の適切な方法によって、ここに記載される手順によって識別することができる。サイトカイン放出の抑制は作動薬の活性を示す。
【0041】
一般にニコチン性受容体、および特にα7受容体に対する作動薬抗体を識別する方法は、以下に記載される。好ましい方法では、作動薬抗α7抗体の結合活性は、作動薬投与後、α7受容体のサブタイプまたは別の受容体のサブタイプ(例:α4β2)のいずれかを発現するアフリカツメガエル卵母細胞の活性(電流反応)によって測定する。α7受容体のサブタイプのより大きな活性化をもたらす作動薬は、α7選択的作動薬と決定される。
【0042】
機能分析
哺乳類α7ニコチン性受容体またはその機能的変異体を含む組成物は、本発明の抗体を含む、受容体に結合することができる薬剤を検出および/または識別するために、結合アッセイにおいて使用することができる。
【0043】
結合アッセイにおける使用に適した組成物は、例えば、哺乳類α7ニコチン性受容体またはその機能的変異体を自然に発現する細胞、および哺乳類α7ニコチン性受容体またはその機能的変異体を発現する組み換え細胞を含む。結合アッセイにおける使用に適した組成物はまた、哺乳類α7ニコチン性受容体またはその機能的変異体を含む膜標本を含む。かかる膜標本は、天然(例:プラズマ細胞膜)または合成膜を含むことができる。好ましくは、膜標本は、哺乳類α7ニコチン性受容体またはその機能的変異体を発現する細胞の膜画分である。
【0044】
ここで使用されるように、「哺乳類α7ニコチン性受容体」は、ニコチン性受容体のα7サブユニットを含む、自然発生的または内在性哺乳類タンパク質、および自然発生的または内在性の対応する哺乳類のα7サブユニットタンパク質(例:組み換えタンパク質、合成タンパク質(すなわち、有機合成化学の方法を使用して生産))と同じアミノ酸配列を有するタンパク質を意味する。したがって、ここで定義するように、用語は成熟受容体タンパク質、多型または対立変異体、および哺乳類のα7サブユニットの他のアイソフォーム(例:選択的スプライシング、または他の細胞過程により生成)、ならびに前述の変性型または未変性型(例:脂質化、グリコシル化、未グリコシル化)を含む。自然発生的または内在性の哺乳類のα7サブユニットタンパク質は、成熟α7ニコチン性受容体、および哺乳類(例:ヒト、非ヒト霊長類)において自然発生する多型または対立変異体と他のアイソフォームなどの野生型タンパク質を含む。かかるタンパク質は、例えば、哺乳類のα7サブユニットを自然に生産する源から回収または単離することができる。
【0045】
哺乳類α7ニコチン性受容体の「機能的変異体」は、適切な方法(例:突然変異生成(例:科学的突然変異生成、放射線突然変異生成)、遺伝子組み換え技術)を使用して生産することができる、機能フラグメント、機能的変異タンパク質、および/または機能的融合タンパク質を含む。「機能的変異体」は、結合活性、シグナル伝達活性、および/または細胞応答を刺激する能力のような、ここに記載される哺乳類α7ニコチン性受容体タンパク質の少なくとも1つの機能特性を有するタンパク質、またはポリペプチドである。好ましい機能的変異体は、リガンド(すなわち、アセチルコリン、または本発明の抗体などの1つ以上のリガンド)に結合することができる。
【0046】
一般的に、哺乳類α7ニコチン性受容体のフラグメントは、成熟哺乳類α7ニコチン性受容体に関連したアミノ酸(すなわち、1つ以上のアミノ酸)の欠失(すなわち、1つ以上の欠失)を有するものを含む(N末端、C末端、または内部欠失など)。隣接アミノ酸のみが欠失している、または成熟哺乳類α7ニコチン性受容体に関連して非隣接アミノ酸が欠失しているフラグメントもまた、想定される。
【0047】
突然変異哺乳類α7ニコチン性受容体は、1つ以上の隣接または非隣接アミノ酸残基(例:受容体キメラ)の添加、欠失、および/または置換によって異なる、哺乳類α7ニコチン性受容体の自然または人工変異体を含む。かかる突然変異は、例えば、保存領域(他のケモカイン受容体またはGタンパク質共役受容体と比較して)、細胞外領域、細胞質領域、膜貫通領域などの、タンパク質上の1つ以上の位置で発生することができる。
【0048】
融合タンパク質は、自然界で見られるような哺乳類α7サブユニットまたはα7ニコチン性受容体において発生しない、第2部分に共有結合(ペプチド結合)を通して連鎖している、第1部分としての哺乳類α7サブユニットまたはその変異体を含むポリペプチドを包含する。したがって、第2部分は、アミノ酸、オリゴペプチド、またはポリペプチドであることができる。第2部分は、例えば、N末端、C末端、または内部のような適切な位置で、第1部分と連鎖することができる。一実施形態では、融合タンパク質は、第1部分として親和性リガンド(例:酵素、抗原、エピトープ標識、結合ドメイン)、ならびにリンカー配列およびヒトα7サブユニット、またはそのフラグメントを含む第2部分を含む。さらなる部分(例:第3、第4)は、必要に応じて存在することができる。
【0049】
一実施形態では、哺乳類α7ニコチン性受容体サブユニットの機能的変異体(例:リガンド結合変異体)は、前記哺乳類α7サブユニットと少なくとも約80%のアミノ酸配列類似性を、好ましくは前記哺乳類α7サブユニット(例:ヒトα7サブユニット(例:配列番号1))と少なくとも約90%のアミノ酸配列類似性を、およびより好ましくは、少なくとも約95%のアミノ酸配列類似性を共有する。別の実施形態では、機能的融合タンパク質は、哺乳類α7サブユニットと少なくとも約85%の配列類似性を、好ましくは少なくとも約90%の配列類似性を、およびより好ましくは、哺乳類α7サブユニットと少なくとも約95%の配列類似性を共有する第1部分を含む。別の実施形態では、機能的哺乳類α7サブユニット、または哺乳類α7サブユニットの機能的変異体は、自然発生的ヒトα7サブユニットと、少なくとも約80%のアミノ酸配列類似性、好ましくは少なくとも約90%のアミノ酸配列類似性、およびより好ましくは、少なくとも約95%のアミノ酸配列を共有する。
【0050】
アミノ酸配列類似性は、PAM250残基重量表、10のギャップペナルティ、10のギャップ長さペナルティ、およびデフォルトパラメータ(対方式アラインメントパラメータ:ktuple=1、ギャップペナルティ=3、ウインドウ=4、および対角=5)でのクラスタル法を使用した、LASERGENEシステム(配列アセンブリおよびアラインメントのソフトウェア;DNASTAR,Inc.、ウィスコンシン州マディソン)などの、適切な配列アラインメントアルゴリズムを使用して、決定することができる。
【0051】
別の実施形態では、機能的変異体は、自然発生的核酸配列とは異なるが、遺伝子コードの縮退によって哺乳類α7サブユニット、またはそのフラグメントをエンコードする、核酸配列によってエンコードされる。
【0052】
一実施形態では、哺乳類α7ニコチン性受容体に結合する抗体を検出または識別する方法は、参照薬(例:既知の特異性のリガンド、または別の抗体)の結合を抑制する試験薬(例:抗体)の能力が評価される、競合的結合アッセイである。例えば、ここに記載されるような適切な標識で参照薬を標識付けし、アッセイにおいて存在するα7ニコチン性受容体を飽和させるために必要とされる標識参照薬の量を決定することができる。飽和量の標識参照薬、および様々な量の試験薬は、決定された結合および複合体形成に適した条件の下、哺乳類α7ニコチン性受容体、またはその機能的変異体を含む組成物と接触することができる。
【0053】
上述のように抗原性ペプチドを含む、参照または試験薬のいずれか、およびα7ニコチン性受容体、またはその機能的変異体もしくはそのフラグメント間の複合体の形成は、適切な方法を使用して直接または間接的に、検出または測定することができる。例えば、薬剤は適切な標識で標識付けすることができ、複合体の形成は標識の検出によって決定することができる。複合体の特異性は、非標識薬剤または標識のみなどの適切な対照を使用して、決定することができる。薬剤および哺乳類α7ニコチン性受容体、またはその機能的変異体間の複合体の検出における使用に適した標識は、例えば、ラジオアイソトープ、エピトープ、親和性標識(例:ビオチン、アビジン)、スピン標識、酵素、蛍光基、または化学発光基を含む。
【0054】
α7ニコチン性受容体に結合する、抗体などの試験薬の能力を決定するために使用される競合的結合アッセイに関して、かかる能力は、標識参照薬の特異的結合の50%の抑制(IC50値)に必要とされる試験薬の濃度として計上することができる。特異的結合は、好ましくは、非特異的結合を引いた総結合(例:複合体における総標識)として定義される。非特異的結合は、好ましくは、過剰の非標識参照薬の存在下で形成された複合体において、なお検出される標識の量として定義される。方法における使用に適した参照薬は、例えば、α7サブユニットのリガンド、または抗体などの、哺乳類α7サブユニットまたはその機能的変異体に特異的に結合する分子および化合物を含む。好ましい参照薬は、配列番号2、 配列番号 3、および 配列番号 4の群から選択されたヒトニコチン性受容体( 配列番号 1)のα7サブユニットのフラグメントに対して、既知の特異性を有する抗体である。
【0055】
本発明のAbの有効性の検証は、抗体が哺乳類細胞からの炎症前サイトカイン放出を抑制するかどうかを決定することによって、行うことができる。
【0056】
これらの方法は、好ましくは、炎症前サイトカインカスケードを刺激する薬剤と共に抗体で、哺乳類細胞を処理するステップを含む。好ましい薬剤は、細菌性リポ多糖(LPS)である。化合物は、薬剤前、薬剤と同時、または薬剤後のいずれかに、哺乳類細胞に投与することができる。好ましくは、化合物は薬剤前に投与される。例えば、米国特許第6,610,713号を参照し、その関連する内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0057】
これらの方法に対して、細胞は、炎症前サイトカインを生産するよう誘導することができる、いかなる細胞であることができる。好ましい実施形態では、細胞は、例えばマクロファージ、単球、または好中球などの免疫細胞である。最も好ましい実施形態では、細胞はマクロファージである。
【0058】
抑制に関して測定される炎症前サイトカインは、細胞から放出されるよう誘導することができる、いかなる炎症前サイトカインであることができる。好ましい実施形態では、サイトカインはTNFである。
【0059】
サイトカイン産出の抑制の評価は、既知のいかなる手段でありうる。それには、 サイトカインの定量(例:ELISAによる)、あるいは、バイオアッセイ(例:炎症前サイトカイン活性が減少するかどうか決定)、または炎症前サイトカインmRNAの測定によるものを含む。当業者は、必要以上の実験なしでこれらのアッセイのいずれも活用することができるであろう。また、この点において役立ついくつかのアッセイの例に関して、米国特許第6,610,713号を参照し、その関連する内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0060】
これらの方法は、炎症前サイトカインカスケードを刺激する薬剤と共に化合物で、例えばラットなどの動物を処理するところの、生体内で実行することができ、炎症前サイトカインカスケードの誘発への薬剤の効果は、例えば血清TNF濃度を測定することにより測定される。しかしながら、丸ごとの動物よりも細胞培養を使用してこれらの種類のアッセイを行うことが、相対的に容易であることから、方法は好ましくは、例えば、マクロファージ培養物を使用して生体外で実行する。
【0061】
他の実施形態では、本発明は、抗体が炎症を抑制する能力を有するかどうかを決定する方法を目的とする。ある側面では、これらの方法は、抗体がα7ニコチン性受容体の作動薬であるかどうかを決定するステップを含む。好ましくは、方法は、抗体が少なくとも1つの他のニコチン性受容体を活性化する能力に関して試験を行うことによって、抗体がα7に対して選択的であるかどうかを決定するステップをさらに含む。これらの決定は、例えば抗体が、哺乳類細胞、好ましくはマクロファージからの炎症前サイトカインの放出を抑制するかどうかを決定することによって、前述のように行うことができる。
【0062】
治療法
本発明は、サイトカイン放出のレベルを、α7受容体の活性化によって減少することができるところの、サイトカイン媒介性の炎症状態を治療することを目的とする。好ましい実施形態では、状態は、炎症サイトカインカスケードが、マクロファージからの炎症前サイトカインの放出を通して影響を受けたところの状態である。状態は、炎症サイトカインカスケードが、敗血性ショックを伴うなどの、全身性反応を引き起こすところの状態である可能性がある。あるいは、状態は、関節リウマチにあるような、限局性炎症サイトカインカスケードによって媒介される可能性がある。
【0063】
本発明を使用して効果的に治療することができる状態の限定されない例は、虫垂炎、消化性、胃、または十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵炎、急性または虚血性結腸炎、憩室炎、咽頭蓋炎、アカラシア、胆管炎、胆嚢炎、肝臓炎、炎症性腸疾患(例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎を含む)、腸炎、ウィップル病、喘息、慢性閉塞性肺疾患、腸閉塞(例えば、術後腸閉塞を含む)、アレルギー、アナフィラキシー・ショック、免疫複合体病、臓器虚血、再潅流傷害、器官神経症、枯草熱、敗血症、腐敗症、内毒素性ショック、悪液質、過高熱、好酸球性肉芽腫、肉芽腫症、サルコイドーシス、感染流産、精巣上体炎、膣炎、前立腺炎、尿道炎、気管支炎、気腫、鼻炎、嚢胞性線維症、肺炎、珪性肺塵症、肺胞炎、気管支梢炎、咽頭炎、胸膜炎、副鼻腔炎、インフルエンザ、呼吸器合胞体ウイルス、ヘルペス、散在性菌血、デング熱、カンジダ症、マラリア、フィラリア症、アメーバ症、包虫嚢胞、やけど、皮膚炎、皮膚筋炎、日焼け、蕁麻疹、疣、膨疹、血管炎、脈管炎、心内膜炎、動脈炎、アテローム性動脈硬化症、静脈血栓症、心膜炎、心筋炎、心筋虚血、結節性動脈周囲炎、リウマチ熱、アルツハイマー病、セリアック病、鬱血性心不全、成人呼吸窮迫症候群、骨膜炎、脳炎、多発性硬化症、脳梗塞、脳塞栓、ギランバレー症候群、神経炎、神経痛、脊髄損傷、麻痺、ブドウ膜炎、関節炎疹、関節痛、骨髄炎、筋膜炎、パジェット病、痛風、歯周病、間接リウマチ、滑膜炎、重症筋無力症、甲状腺炎、全身性エリテマトーデス、グッドパスチャー症候群、ベーチェット症候群、同種移植拒絶反応、移植片対宿主病、1型糖尿病、強直性脊椎炎、バージャー病、2型糖尿病、ライター症候群、またはホジキン病を含む。
【0064】
一実施形態では、状態は、虫垂炎、消化性、胃および十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵炎、肝臓炎、喘息、アレルギー、アナフィラキシー・ショック、器官神経症、枯草熱、敗血症、腐敗症、内毒素性ショック、悪液質、感染流産、散在性菌血、やけど、セリアック病、鬱血性心不全、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、間接リウマチ、全身性エリテマトーデス、心筋虚血、脳梗塞、脳塞栓、脊髄損傷、麻痺、同種移植拒絶反応、または移植片対宿主病から選択される。
【0065】
他の実施形態では、状態は、腹膜炎、膵炎、敗血症、内毒素性ショック、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、間接リウマチ、全身性エリテマトーデス、クローン病、潰瘍性大腸炎、腸閉塞、アルツハイマー病、やけど、心筋虚血、同種移植拒絶反応、喘息、移植片対宿主病、鬱血性心不全、および嚢胞性線維症から成る群から選択される。
【0066】
これらの状態は、好ましくは、本明細書で開示される抗体、または本明細書で開示される抗体、およびα7ニコチン性受容体の1つ以上追加作動薬との組み合わせによって治療される。適切な追加作動薬は、例えば、同時係属の米国特許出願第10/729,427号において開示される。米国特許出願第10/729,427号の関連する内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0067】
投与方法
α7受容体作動薬の投与経路は、治療される状態による。例えば、敗血性ショックなどの全身性疾患の治療には、静脈注射が好まれるであろうし、胃潰瘍などの胃腸疾患を治療するためには、経口投与が好まれることがある。
【0068】
方法に応じて、本発明の1つ以上の抗体を単独で、または別の薬と組み合わせて、適切な経路で対象に投与することができる。効果的な量の薬剤(すなわち、α7受容体作動薬抗体、またはその抗原結合性フラグメント)が投与される。「効果的な量」は、例えば炎症反応の抑制、または炎症状態の緩和または治癒に十分な量などの、投与条件下で望ましい治療または予防効果を達成するために十分な量である。薬剤は、単回または反復投与によって投与することができる。投与量は、当技術分野で既知の方法によって決定することができ、例えば、選択された特定の薬剤、対象の年齢、薬への過敏性および耐性、および全般的健康に左右される。抗体の適切な投与量は、一回の治療につき約0.01mg/kgから約100mg/kg体重であることができる。
【0069】
例えば、経口、食事/飼料、局所性、経皮、直腸、非経口(例:静脈、動脈、筋肉、皮下注射、皮内注射)、および吸入(例:気管支内、経鼻、または経口吸入、鼻内点滴)投与経路を含む、様々な投与経路が可能であり、薬剤、および治療される疾患または状態による。投与は記載のとおり、局所または全身であることができる。好ましい投与方法は、選択された特定の薬剤(α7受容体作動薬抗体、またはその抗原結合性フラグメント)、および治療される特定の状態(例:疾患)により異なりうる。静脈、経口または非経口投与が好ましい。
【0070】
薬剤は、中性化合物として、または薬学的に許容できる塩として投与することができる。アミンまたは他の塩基性基を含む化合物の塩は、例えば、塩化水素、臭化水素、酢酸、過塩素酸などの適切な有機、または無機酸との反応によって得ることができる。第4アンモニウム基の化合物はまた、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、過塩素酸塩などの対アニオンを含む。カルボン酸または他の酸性官能基を含む化合物の塩は、例えば、水酸化基のような適切な塩基との反応によって調製することができる。酸性官能基の塩は、ナトリウム、カリウムなどの対陽イオンを含む。
【0071】
ここで使用されるように、開示される化合物の「薬学的に許容できる塩」は、対象への投与に適した、酸または塩基のいずれかとの本発明の化合物の反応によるイオン結合含有の生成物である。例えば、アミンまたは他の塩基性基を含む化合物の酸性塩は、化合物を、塩化水素、臭化水素、酢酸、過塩素酸などの適切な有機、または無機酸と反応させることによって得ることができる。かかる塩の他の例は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、メタルスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩(例:(+)−酒石酸塩、(−)−酒石酸塩、またはラセミ混合物を含む、それらの混合物)、琥珀酸塩、安息香酸塩、およびグルタミン酸などのアミノ酸を有する塩を含む。塩はまた、化合物が−COOHまたは−SO3Hなどの酸性官能基を有するとき、適切な有機塩基によって形成することができる。本発明の化合物での、薬学的に許容できる塩基添加塩の形成に適した、かかる塩基は、非中毒性で、酸性官能基と反応するのに十分な強い有機塩基を含む。かかる有機塩基は、当技術分野でよく知られており、アルギニンおよびリジンなどのアミノ酸、モノ−、ジ−、およびトリエタノールアミン、コリン、メチルアミン、ジメチルアミン、およびトリメチルアミンなどのモノ−、ジ−、およびトリアルキルアミン、グアニジン、N−ベンジルフェネチルアミン、N−メチルグルコサミン、N−メチルピペラジン、モルホリン、エチレンジアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンなどを含む。
【0072】
薬剤は、ニコチン性受容体作用の調節のための薬学的組成物の一部として、個人に投与することができ、それは、かかる作用の抑制剤 および薬学的に許容できる担体を含む。
【0073】
ここで使用されるように、「薬学的組成物」は対象への投与に適した形での、開示される抗体、および薬学的に許容できる希釈剤または担体を含む剤形である。適した薬学的に許容できる担体は、不活固体賦形剤または希釈剤、および滅菌水溶液および有機溶液を含む。剤形は、選択された投与経路に応じて異なる(例:溶液、乳剤、カプセル)。適した薬学的担体は、ニコチン性受容体作用の促進剤(作動薬)または抑制剤(拮抗薬)と相互作用しない不活性成分を含むことができる。Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、ペンシルベニア州イーストンに記載のものなど、標準的な薬剤処方技術を採用することができる。非経口的投与のための適切な薬学的担体は、例えば、滅菌水、生理食塩水、静菌生理食塩水(約0.9%mg/mlベンジルアルコールを含む生理食塩水)、リン酸緩衝生理食塩水、ハンクス溶液、乳酸加リンゲル液などを含む。組成物をカプセル化する方法(硬ゼラチンまたはシクロデキストランのコーティングなど)は、当技術分野で既知である(Bakerら、「Controlled Release of Biological Active Agents(生理活性物質の制御放出)」、John Wiley and Sons、1986)。吸入に関して、薬剤は可溶化し、投与のために適したディスペンサーに入れることができる(例:アトマイザー、ネブライザー、または加圧式エアゾールディスペンサー)。
【0074】
薬学的組成物は、大量または単一投与形態であることができる。単一投与形態は、例えば、カプセル、静注袋、タブレット、エアゾール吸入器上の単回使用ポンプ、またはバイアルなどを含む、様々な形態のいずれかであることができる。組成物の単位用量における活性成分の分量(すなわち、開示される化合物、またはその塩の剤形)は効果的な量であり、関連する特定の治療に応じて異なってもよい。患者の年齢および状態によって、投与量に定期的変化を加えることが必要であろうことは、理解されよう。用量は投与経路に依存する。
【0075】
ここで使用されるように、「対象」は、例えば、ヒト、コンパニオン・アニマル(例:犬、猫、鳥など)、家畜(例:牛、羊、豚、馬、鳥類など)、および実験動物(例:ラット、マウス、モルモットなど)などの哺乳類を含む。開示される方法の好ましい実施形態では、対象はヒトである。
【0076】
本発明の実行は、他に指示がない限り、当技術分野の範囲内である細胞培養、分子生物学、微生物学、細胞生物学、および免疫学の従来の技術を採用する。かかる技術は、文献において十分に説明される。例えば、Sambrookら、1989、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual(分子クローニング:実験室の手引き)」、Cold Spring Harbor Laboratory Press;Ausubelら(1995)、「Short Protocols in Molecular Biology(分子生物学における短い手順)」、John Wiley and Sons;Methods in Enzymology(酵素学の方法)(複数巻);Methods in Cell Biology(細胞生物学の方法)(複数巻)、およびMethods in Molecular Biology(分子生物学の方法)(複数巻)を参照。
【0077】
本発明の好ましい実施形態は、以下の例に記載される。本明細書の請求項の範囲内の他の実施形態は、ここに開示されるように本発明の仕様または実行の考察から、当業者には明らかとなるであろう。例と共に仕様は、例に続く請求項によって示される本発明の範囲および精神内で、例示的なものとしてのみ見なされることを意図とする。
【0078】
(実施例)
実施例1.ニコチン性受容体α7サブユニットを発現するマクロファージ
実施例の要約
我々は、ニコチン性受容体のα7サブユニットが、マクロファージTNF放出のアセチルコリンによる抑制に必要とされることを以前報告した(同時係属の米国特許出願第10/729,427号を参照)。以下に要約されるように、α−ブンガロトキシンは、初代ヒトマクロファージの表面で発現した分離型受容体クラスターに結合し、したがって、α7特異的抗体でのα−ブンガロトキシン共役ビーズへの付着によって単離したタンパク質の免疫ブロット法が、α−ブンガロトキシン結合受容体サブユニットの識別を、α7サブユニットと確認した。
【0079】
結果および考察
初代ヒトマクロファージは、アセチルコリン受容体のサブセットに結合するペプチド拮抗薬、FITC−α−ブンガロトキシンで標識付けされた。α−ブンガロトキシンの強力な結合がマクロファージ表面で認められた(図3A)。ニコチンの前処理が、結合の強度を著しく低減した(図3B)。神経筋接合部および神経シナプスでは、ニコチン性受容体が、速いシグナル伝送を促進する受容体会合体またはクラスターを形成する。α−ブンガロトキシン結合の分離型クラスターは、マクロファージの表面で、特に細胞体の表面に集中して、高倍率の下ではっきりと認めることができる(図3C、D)。
【0080】
今日まで、α1、α7、およびα9は、ヒト細胞において既知のα−ブンガロトキシン結合ニコチン性受容体サブユニットである(Lindstrom, J. M.、「Hand Book Of Receptors And Channels: Ligand− And Voltage−Gated Ion Channels(受容体とチャンネルの手引き:リガンド依存性および電位依存性イオンチャンネル)」Nicotinic acetylcholine receptors(ニコチン性アセチルコリン受容体)、R. Alan North編集、CRC Press, Inc.(1995);Leonard,S.およびBertrand,D.、Neuronal nicotinic receptors:from structure to function(ニコチン性ニューロン受容体:構造から機能へ).Nicotine & Tobacco Res.3:203−223(2001))。β1、δ、およびε(成人)またはγ(胎児)のいずれかと共にα1は、筋肉収縮を調整するヘテロ五量体ニコチン性受容体を形成し、α7およびα9はそれぞれ、ホモ五量体ニコチン性受容体を形成する。これらの受容体サブユニットがマクロファージにおいて発現しているかどうか決定するために、我々は、生体外で末梢血単核細胞(PBMC)から分化した初代ヒトマクロファージからRNAを単離し、RT−PCR分析を行った。実験の感度および特異性を増加するために、我々は、各サブユニットに特異的な入れ子プライマーを使用して、逆転写後2回のPCRを行った。PCR生成物の識別は、順序つけによって確認された。α1、α10(データは図示せず)、およびα7(図4A)mRNAの発現は、無関係の供血者から得られたヒトマクロファージにおいて検出された。同じRT−PCR方法は、マクロファージにおけるα9サブユニットmRNAの発現を検出しなかった(データは図示せず)。
【0081】
次に、α1およびα7サブユニットのタンパク質発現を、ウエスタンブロット法によって検査した。α7特異的抗体は、分化初代マクロファージ、および分化PBMC(データは図示せず)の両方から、約55kDの見掛け分子量の明らかなバンドを認めた(Peng,X.ら、Human α7 acetylcholine receptor: cloning of the α7 subunit from the SH−SY5Y cell line and determination of pharmacological properties of native receptors and functional α7 homomers expressed in Xenopus oocytes(ヒトα7アセチルコリン受容体:SH−SY5Y細胞株からのα7サブユニットのクローニングおよびアフリカツメガエル卵母細胞において発現された自然受容体および機能性を持つα7ホモマーの薬学的特性の決定).Mol.Pharmacol.45:546−554(1994))で報告されたα7タンパク質に対する分子量に相似)。α1タンパク質の発現は、マクロファージへのPBMCの生体外分化の間、検出不可能なレベルに下方制御された(データは図示せず)。α1へテロ五量体ニコチン性アセチルコリン受容体の必要成分である、δサブユニットは、この入れ子RT−PCR方法では検出することができなった(データは図示せず)。マクロファージにおける正のシグナルが、α−ブンガロトキシンに結合するα7ニコチン性受容体を表したことを確認するために、我々は、ヒトマクロファージまたはPC12細胞(α7ホモ五量体を発現することが示されている、ラット褐色細胞腫の細胞)のいずれかから調製されたタンパク質をプルダウンするために、α−ブンガロトキシン共役ビーズを使用した。残留タンパク質は、ヒトおよびラットα7タンパク質(ヒトおよびラットα7タンパク質は、同数のアミノ酸、および94%の同一性を有する)の両方を認めた多クローン性、または単クローン性α7特異性抗体を使用して、ウエスタンブロット法により分析した。結果は、ヒトマクロファージが、PC12細胞におけるα7サブユニットと同様の見掛け分子量の、α−ブンガロトキシン結合α7タンパク質を発現することをはっきりと示した(図4B)。マクロファージα7サブユニットの識別は、RT−PCR法により全長のマクロファージより発現されたα7をクローン化することによって確認した。マクロファージにおける全長ニコチン性アセチルコリンα7サブユニットは、神経細胞において発現したニコチン性アセチルコリンα7サブユニットと同一の、エクソン1から10を含む(Gault,J.ら、Genomic organization and partial duplication of the human α7 neuronal nicotinic acetylcholine receptor gene (CHRNA7)(ヒトα7神経ニコチン性アセチルコリン受容体遺伝子のゲノム機構および部分複製(CHRNA7)).Genomics 52:173−185(1998))。これらを総合して、これらのデータは、ニコチン性アセチルコリンα7サブユニットを、ヒトマクロファージの表面で発現したα−ブンガロトキシン結合受容体であると認める。
【0082】
実施例2 α7ニコチン性受容体に対するウサギ多クローン性抗体の調製
α7ニコチン性受容体の細胞外ドメインおよび特異的ペプチドに対する多クローン性抗体は、カスタム多クローン性抗体生産(Covance Research Products, Inc.、ペンシルベニア州デンバー)の118日プロトコルに応じて、ウサギにおいて生成した。手短に、ペプチドは無菌食塩水で希釈し、同量の完全フロインドアジュバントと組み合わせた。不完全フロインドアジュバントにおける0.125mgの抗原(抗原は、以下に記載するペプチド、およびGST N末端細胞外ドメインを含む)を、0日目の前採血後、3、6、9、12、および15週目に、ウサギに6回皮下注射した。9、12、および15週目の注射の10日後に、耳静脈から血液を採取した。適定量に関して、ウエスタンブロット法によってウサギからの血清を検査した。製造会社の指示に応じて、プロテインAアガロースを使用してIgGを抗a7抗血清から精製した[Sigma、ミズーリ州セントルイス]。
【0083】
抗体1918および1920を生成するために、ペプチドであるKELVKNYNPLERPVANDSOP(配列番号2、配列番号1のアミノ酸31−50に対応)を2匹の異なるウサギに注射した。抗体1921および1922を生成するために、ペプチドであるWKPDILLYNSADERFDATFH(配列番号3、配列番号1のアミノ酸108−127に対応)を2匹の異なるウサギに注射した。抗体1923および1924を生成するために、ペプチドであるKRSERFYECCKEPYPDYTYT(配列番号4、配列番号1のアミノ酸204−223に対応)を2匹の異なるウサギに注射した。アミノ酸1−227(α7の細胞外ドメインに対応)は、大腸菌におけるGST融合タンパク質として発現した。GST融合タンパク質を精製し、抗体1973から1982を生成するために、10匹の異なるウサギに注射した。
【0084】
結果は図5に示され、それは、配列番号1の様々なフラグメントに対して産出された多くのウサギ多クローン性抗体の結合特異性を示す、ウエスタンブロットの写真を示す。抗体1973−1981は、位置23から250に及ぶ配列番号1の様々なフラグメントに対して産出された。抗体1918は、配列番号2のペプチドに対して産出され、抗体1921は、配列番号3のペプチドに対して産出された。
【0085】
実施例3 細胞株におけるニコチン性受容体のα7サブユニットの発現
細胞株および初代ヒトマクロファージにおけるα7サブユニットの発現を、抗体1918を使用して、ウエスタンブロットによって、スクリーニング検査した。
【0086】
マウスマイクロファージ様RAW 264.7、ジャーカット細胞、ヒーラ細胞、U937細胞、およびPC12細胞が、ATCC(American Type Culture Collection、メリーランド州ロックビル)から得られた。5%のCOおよび95%の大気の加湿インキュベーター内の10%加熱不活性化FBS、2mMグルタミン、1xペニシリン、およびストレプトマイシンが追加された、RPMI 1640またはDMEM培地で、細胞を培養した。初代ヒトマクロファージを、3人の供血者の血液から単離した。
【0087】
冷溶菌バッファー(1%のBrij 97、50mMのトリス、ρH7.5、150mMの塩化ナトリウム、1mMのEDTA、それぞれ1mg/mlのロイペプチンおよびペプスタチン、1mMのPMSF、および10mMのフッ化ナトリウム)で細胞を培養することによって、細胞溶解物を調製した。各細胞溶解物(2x10細胞相当)をSDS−PAGEにかけ、抗体1918で免疫ブロットした。製造会社(Amersham Life Science,Inc.、イリノイ州アーリントンハイツ)の指示に従って、ECLキットを使用してシグナルを検出した。
【0088】
この実験の結果を図6に示す。
【0089】
実施例4 配列番号2を含むニコチン性受容体のα7サブユニットのフラグメントに対して産出された抗体は、LPSによって刺激されたマクロファージにおけるTNFαおよびIL−8生産を抑制する
ヒトマクロファージ培養物を次のように調製した。健常な供血者の血液から軟膜を採取した。Ficoll/Hypaque(Pharmacia、ニュージャージー州)での密度勾配遠心分離法によって、初代血中単核細胞を単離、10%加熱不活性化ヒト血清(Gemini Bio−Products,Inc.、カリフォルニア州カラバサス)を追加したPRMI 1640培地で懸濁(8x10細胞/ml)、およびフラスコ(PRIMARIA;Beckton and Dickinson Labware、ニュージャージー州フランクリンレイクス)で播種した。37℃で2時間培養した後、付着細胞を広範囲にわたり洗浄、10mMのEDTAで簡単に処理、分離、PRMI培地(10%ヒト血清)において再懸濁(10細胞/ml)し、ヒトマクロファージコロニー刺激因子(MCSF;Sigma Chemical Co.、ミズーリ州セントルイス;2ng/ml)を追加、および24ウェルの組織培養皿(PRIMARIA;Falcon)(10細胞/ウェル)で播種した。細胞を、mCSFの存在下で7日間分化させた。7日目に、1xダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(PBS、GibcoBRL、Life Technologies、メリーランド州ロックビル)で、細胞を3回洗浄し、mCSFを持たない新鮮培地を追加し、示されるように実験を行った。
【0090】
マクロファージコロニー刺激因子(MCSF;Sigma Chemical Co.、ミズーリ州セントルイス)の存在下で、ヒト末梢血単核細胞を培養することによって、初代ヒトマクロファージ培養物を確立した。LPSへの4時間の暴露によって調整されたマクロファージ培養物における、TNFαおよびIL−8レベルへの本発明の抗体の影響を決定するために、これらの細胞を実験に使用した。
【0091】
これらの実験では、抗体1918(配列番号2のペプチドに対して産出)、1921(配列番号3のペプチドに対して産出)、および抗体1924、1973、1974、および1976(配列番号1の様々なフラグメントに対して産出)、ならびに対照(無関係なIgG抗体)を、示されるように40μg/mlまたは5μg/mlのいずれかの濃度で、30分間ヒトマクロファージ培養物に添加した(図7A−D)。LPSを30分後に添加し(5ng/ml)、酵素免疫測定法(ELISA)による次の分析のために、2.5時間の刺激後、調整済みの上清を採取した。すべての実験条件を3回実行した。9つの個々のマクロファージ調製からのデータを、平均+/‐標準誤差;n=9として示す。
【0092】
図7A−Dからわかるように、すべての試験済み抗体は、無関係な抗体の対照と比較したとき、40μg/mlで抑制活性(すなわち、アセチルコリン受容体に対する作動薬活性)活動を示した。5μg/mlでさえ、抗体1918、1921および1924は、対照と比較して、TNFαおよびIL−8放出の著しい抑制を示した。
【0093】
実施例5 配列番号2を含むニコチン性受容体のα7サブユニットのフラグメントに対して産出された抗体は、LPS刺激性RAW細胞からのTNF放出を抑制する
マウスRAW 264.7マクロファージ様細胞(American Type Tissue Culture Collection、米国メリーランド州ロックビル)を、10%ウシ胎仔血清、ペニシリンおよびストレプトマイシンを追加したDMEM下で成長させた。Opti−MEM 1培地における24ウェルの組織培養皿で細胞を播種、および90%コンフルエンスで使用した。示されるように、LPS(5ng/ml)で細胞を2.5時間処理した。示されるように、40μg/mlの抗体1918(配列番号2のペプチドに対して産出)で、細胞を30分間前処理した。上清を採取し、マウスELISAキット(R&D Systems Inc.、ミネソタ州ミネアポリス)を使用して、TNF濃度を測定した。
【0094】
結果は図8に示され、それは、抗体1918がRAW細胞におけるTNFα生産を抑制したことを、はっきりと示す。
【0095】
実施例6 配列番号2を含むニコチン性受容体のα7サブユニットのフラグメントに対して産出された抗体は、用量依存性の形で、LPS刺激性マクロファージからのTNFαおよびHMGB−1放出を抑制する
マクロファージを、上記の例4に記載したように成長させた。
【0096】
TNFα放出への、抗体1918(配列番号2のペプチドに対して産出)の抑制効果が決定された実験では、0、2.5、5、10、20、40、80、および160μg/mlで、抗体が添加された。HMGB−1放出への抗体1918の抑制効果が決定された実験では、0、10、50、および100μg/mlで、抗体が添加された。
【0097】
抗体1918の添加の30分後に、5.0ng/mlの濃度のLPSで、培養物を処理した。培地を18時間後に採取した。培地をCentriconTM10フィルターで濃縮した。ヒトELISAキット(R&D Systems Inc.、ミネソタ州ミネアポリス)を使用して、TNFαレベルを分析した。米国特許第6,303,321号(その関連する内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載のように、抗HMGB−1多クローン性抗血清を使用して、ウエスタンブロットによってHMGB−1レベルを分析した。TNFα抑制の結果を、LPS処理のみの刺激に対する百分率として図9Aに示す。HMGB−1抑制の結果を、バンド強度の漸減として図9Bに示す。
【0098】
図9Aおよび9Bは、抗体1918が、用量依存性の形でTNFαおよびHMGB−1放出を抑制したことを、はっきりと示す。
【0099】
実施例7 配列番号2のペプチドに対して産出された作動薬抗体は、CLPに起因するマウスの致死性を防ぐ
FinkおよびHeard,J.、Surg.Res.49:186−196(1990)、Wichmanら、Crit.Care Med.26:2078−2086(1998)、およびRemickら、Shock 4:89−95(1995)に記載されるように、盲腸結紮穿刺(CLP)を実行した。一時的に、75mg/kgのケタミン(Fort Dodge、アイオワ州フォートドッジ)、および20mg/kgのキシラジュン(Bohringer Ingelheim、ミズーリ州セントジョセフ)を用い、筋肉注射でBalb/cマウスを麻酔した。正中切開を行い、盲腸を分離した。回盲弁から離れた盲腸の先端から5.0mmのレベルで、6−0プロレン縫合結紮を置いた。
【0100】
次に、排泄物の直接押し出しなしで、22ゲージ針で一度結紮した盲腸断端を刺した。次に、盲腸をその正常な腹内の位置に戻した。次に腹部を、6−0プロレンの連続縫合で、液体の漏れを防ぐために腹膜および筋膜と別々に二層に閉じた。すべての動物を、20ml/kg体重で皮下注射した生理食塩水で蘇生した。手術の30分後、各マウスにイミペネム(0.5mg/マウス)(プリマキシン、Merck & Co.,Inc.、ペンシルベニア州ウエストポイント)の皮下注射を施した。次に、動物を回復させた。
【0101】
180mg/マウスの抗体1918(配列番号2のペプチドに対して産出)を1日2回、または180mg/マウスの対照IgG抗体を1日2回のいずれかで、マウスを処理した。作動薬および対照抗体を、示された日数の間1日2回、腹腔内(intraperitoneally(i.p.))投与した。死亡率を、14日間毎日術後に観察した。結果は図10に示され、それは、作動薬1918抗体、または無関係な対照のいずれかによる処理後の生存動物の割合(%)を示す。図10に示すように、CLP後7日目に、IgG対照抗体で処理されたマウスの約10%が生存した一方で、抗体1918で処理されたマウスの50%が生存した。これらの結果は、α7サブユニットの特異的領域に対して産出された作動薬抗体が、敗血症マウスCLPモデルにおける生存を著しく改善したことを示す。
【0102】
実施例8 抗体1918は、RAW 264.7細胞におけるエンドトキシン誘発TNF放出を抑制する
RAW細胞を、IgGまたはAb1918(20mg/ml)の存在下で、LPSに暴露した。1.5時間後に、抗TNF抗体での免疫染色によって、細胞中におけるTNFを分析した。結果を図11Aに示す。蛍光の減少からわかるように(右下のパネル)、Ab1918での処理は、LPS処理によって誘発されたTNFのレベルを著しく低減した。
【0103】
図11Bは、Ab1918によるTNF放出の用量依存的な抑制を示す。初代ヒトマクロファージを、IgGまたはAb1918(1−180mg/ml)の存在下でLPSに暴露し、2時間後、培地内のTNFをELISAによって分析した。
【0104】
実施例9 抗体1918は、RAW 264.7からのLPS誘発HMGB1放出を抑制する
RAW細胞を、Ab1918(5−100mg/ml)の存在下、あるいは、その存在なしでLPSに暴露した。24時間後、ウエスタンブロットによって、分泌されたHMGB1を培地から決定した。結果は、Ab1918によるHMGB1生産の用量依存的な抑制を示す図12A、およびAb1918での処理後のRAW 264.7細胞による、LPS誘発HMGB1生産の著しい低減を示す図12Bに示される。
【0105】
実施例9 アセチルコリン受容体のα7サブユニットに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドは、初代マクロファージからのTNF放出へのAb1918の効果を抑制する
Ab1918が、アセチルコリン(Ach)受容体のα7サブユニットとの結合によって、TNF放出を抑制することを示すために、アンチセンスオリゴヌクレオチドで前処理されたLPS刺激性初代ヒトマクロファージからの、Ach受容体の異なるα7サブユニットへのTNF放出を測定した。Ab1918を使用したウエスタンブロットによって、α7サブユニットを検出し、培地内のTNFをELISAによって分析した。結果は図13に示され、それは、α7サブユニット合成がアンチセンスオリゴヌクレオチドによって抑制されたとき、Ab1918での処理がTNF生産を低減しなかったことを示し、それは、無抗体または無関係な抗体の処理のそれに相当するレベルのままであった。
【0106】
実施例10 抗体1918は、内毒素血症マウスにおける全身性TNFを抑制する
LPS(7.0mg/kg、i.p.)投与の12時間前に、マウス(1群につきn=11)を、IgG(対照)またはAb1918(7.2mg/kg)で腹腔内処理(i.p.)した。1.5時間に得られた血液中において、ELISAによって血清TNFレベルを分析した(*P<0.05対対照)。結果は図14(A)に示され、それは、Ab1918の投与後の血清TNFレベルの低減を示す。
【0107】
LPS投与の1.5時間後に、抗TNF抗体での免疫染色によって、脾臓中のTNFレベルを分析した。結果は図14(B)に示され、それは、Ab1918で処理されたマウスの脾臓における、LPS誘発TNFレベルの著しい低減を示す。
【0108】
実施例11 Ab1918は、全身性HMGB1レベルを抑制し、盲腸結紮穿刺誘発性の重度敗血症のマウスの生存を改善する
盲腸結紮穿刺(CLP)後2日間、マウスをIgG(対照)またはAb1918(1群につきn=7)で、1日2回(7.2mg/kg)i.p.処理した。血清HMGB1を、ウエスタンブロットによって分析した(*P<0.05対対照)。結果は図15Aに示され、それは、Ab1918の処理後の、血清HMGB1レベルの著しい低減を示す。
【0109】
生存実験では、手術の24時間後から始まり、3日間、マウス(n=24)をIgGまたはAb1918(7.2mg/kg)で処理した(*P<0.0008対対照)。結果は図15Bに示され、それは、無関係なIgGでの偽処理を受けたマウスと比較して、Ab1918で処理されたマウスの生存率が著しく改善されたことを示す。
【0110】
本発明が、その好ましい実施形態を参照して特に示され、記載されてきたが、添付の請求項によって包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態および詳細の様々な変更がその中で行われてもよいことは、当業者によって理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】図1は、受入番号P36544でGenBankに蓄積されているニコチン性アセチルコリン受容体のヒトα7サブユニットのアミノ酸配列(配列番号1)を図解する。
【図2】図2は、α7サブユニットに対する抗体を生産するために、免疫原として使用されたペプチド(配列番号2、配列番号3、および配列番号4)を図解する。
【図3】図3は、α−ブンガロトキシン結合ニコチン性受容体が、マクロファージの表面でクラスター化することを明らかにする蛍光顕微鏡写真である。初代ヒトマクロファージを、FITC標識α−ブンガロトキシン(α−bgt、1.5μg/ml)で染色し、蛍光共焦点顕微鏡で観察した。パネルAおよびBは、低倍率の顕微鏡写真を示す。パネルA:細胞はα−ブンガロトキシンのみで染色された。パネルB:500μMのニコチンが、α−ブンガロトキシンの添加の前に添加された。パネルCおよびDは、受容体クラスターを明らかにするために、高倍率の顕微鏡写真を示す。パネルC:焦点面は、中央(3つの下部の細胞)に近い、または細胞の表面(上部の細胞)に近い内層上であった。パネルD:焦点面は、細胞の上面であった。
【図4】図4は、初代ヒトマクロファージにおけるα7およびα1ニコチン性受容体のmRNAおよびタンパク質発現を示すゲルの写真、およびウエスタンブロットを示す。パネルAは、843bp α7バンドを生成した、α7特異的プライマーでのRT−PCRの結果を示す。PCR生成物は、配列することにより確認された(データは図示せず)。MAC1およびMAC2:2つの血縁関係を持たないドナーから得られたマクロファージ。パネルBは、ウエスタンブロットを示す。PC12細胞またはヒトマクロファージ(MAC)からの細胞溶解物を、対照のセファロースビーズまたはα−ブンガロトキシンに抱合されたセファロースビーズのいずれかで培養した。次に、図のように、α7特異的多クローン性または単クローン性抗体により、結合タンパクを分析した。
【図5】図5は、SEQ 配列番号1の様々なフラグメントに対して産出された多くのウサギ多クローン性抗体の結合特異性を示すウエスタンブロットの写真である。抗体1973−1981は、配列番号1の様々なフラグメントに対して産出され、位置23から250に及ぶ。抗体1918は配列番号2のペプチドに対して産出され、抗体1921は配列番号3のペプチドに対して産出された。
【図6】図6は、示されている細胞株におけるα7サブユニットの発現を示すウエスタンブロットの写真である。使用された一次抗体は、配列番号2の配列を有するペプチドに対して産出された抗体1918であった。
【図7A】図7Aは、異なる濃度での本発明の選択された抗体の活性を示す棒グラフである。活性は、LPS刺激初代ヒトマクロファージからのサイトカイン放出の抑制百分率として表される。図7A:抗体の40μg/mlでのTNF放出の抑制。
【図7B】図7Bは、異なる濃度での本発明の選択された抗体の活性を示す棒グラフである。活性は、LPS刺激初代ヒトマクロファージからのサイトカイン放出の抑制百分率として表される。図7B:抗体の40μg/mlでのIL−8放出の抑制。
【図7C】図7Cは、異なる濃度での本発明の選択された抗体の活性を示す棒グラフである。活性は、LPS刺激初代ヒトマクロファージからのサイトカイン放出の抑制百分率として表される。図7C:抗体の5μg/mlでのTNF放出の抑制。
【図7D】図7Dは、異なる濃度での本発明の選択された抗体の活性を示す棒グラフである。活性は、LPS刺激初代ヒトマクロファージからのサイトカイン放出の抑制百分率として表される。図7D:抗体の5μg/mlでのIL−8放出の抑制。
【図8】図8は、SEQ ID NO:2に包含されるニコチン性受容体(配列番号1)のヒトα7サブユニットのフラグメントに対して産出された1918の抗体のα7作動薬活性を示す棒グラフである。活性は、LPS刺激RAW細胞からのTNF放出の抑制百分率として表される。
【図9】図9AおよびBは、配列番号2によって包含されるニコチン性受容体(配列番号1)のヒトα7サブユニットのフラグメントに対して産出された、α7抗体1918によるマクロファージからのTNFα(図9A)およびHMGB−1(図9B)放出の抑制の用量依存性を図解する。図9Aは、抗体濃度の関数として、TNFα放出の抑制百分率のグラフである。図9Bは、HMGB−1に対応するバンドの強度の用量依存性減少を示すウエスタンブロットの写真である。
【図10】図10は、盲腸結紮穿刺(CLP)手順を受けたマウスの生存百分率を、CLP後の日数の関数として示したグラフである。マウスの2つの群が示される:(配列番号2のペプチドに対して産出された)抗体1918で処理された群、および無関係のIgG(対照)で処理された群。
【図11A】図11Aは、LPSによるTNF誘発後の、Ab1918または無関係のIgG細胞のいずれかで処理されたRAW264.7細胞におけるTNF生産の免疫染色顕微鏡写真を示す。
【図11B】図11Bは、LPSで処理されたRAW264.7細胞における、Ab1918によるTNF生産の用量依存性抑制を図解するグラフである。
【図12A】図12Aは、LPSで処理されたRAW264.7細胞における、Ab1918によるHMGB1の用量依存性抑制を図解するグラフである。
【図12B】図12Bは、LPSによるHMGB1誘発後の、Ab1918または無関係のIgG細胞のいずれかで処理されたRAW264.7細胞におけるHMGB1生産の免疫染色顕微鏡写真を示す。
【図13】図13は、アセチルコリン受容体の異なるサブユニットに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドでの処理後の、初代ヒトマクロファージにおけるLPS誘発TNF生産(対照のパーセントとして)を表す棒グラフである。
【図14A】図14Aは、Ab1918での処理後の、マウスにおけるLPS誘発TNF血清濃度を表す棒グラフである。
【図14B】図14Bは、LPSによるTNF誘発後の、Ab1918または無関係のIgG細胞のいずれかで処理されたマウスから採取された、脾臓組織切片の免疫染色顕微鏡写真を示す。
【図15A】図15Aは、Ab1918での処理後の、盲腸結紮穿刺を受けたマウスにおける、LPS誘発HMGB−1血清濃度を表す棒グラフである。
【図15B】図15Bは、Ab1918または無関係のIgGのいずれかでの処理後の、盲腸結紮穿刺を受けたマウスの生存率を比較するグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号2、配列番号3および配列番号4から成る群から選択される配列に対して、少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列から成るペプチドと特異的に結合する、単離抗体またはその抗原結合性フラグメント。
【請求項2】
前記抗体またはフラグメントは、配列番号2に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列から成るペプチドに特異的に結合する、請求項1の抗体または抗原結合性フラグメント。
【請求項3】
前記抗体またはフラグメントは、配列番号3に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列から成るペプチドに特異的に結合する、請求項1の抗体または抗原結合性フラグメント。
【請求項4】
前記抗体またはフラグメントが、配列番号4に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列から成るペプチドに特異的に結合する、請求項1の抗体または抗原結合性フラグメント。
【請求項5】
前記抗体またはフラグメントは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号2のフラグメント、配列番号3のフラグメント、およびS配列番号4のフラグメントから成る群から選択されるアミノ酸配列から成るペプチドに特異的に結合する、請求項1の抗体または抗原結合性フラグメント。
【請求項6】
前記抗体またはフラグメントはヒト、ヒト化、またはキメラ化である、請求項1の抗体または抗原結合性フラグメント。
【請求項7】
前記抗体またはフラグメントは単クローン性である、請求項1の抗体または抗原結合性フラグメント。
【請求項8】
前記抗体またはフラグメントは多クローン性である、請求項1の抗体または抗原結合性フラグメント。
【請求項9】
前記抗原結合性フラグメントは、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab)’フラグメント、およびFvフラグメントから成る群から選択される、請求項1の抗原結合性フラグメント。
【請求項10】
配列番号2またはそのフラグメントから成るペプチドに特異的に結合する、単離抗体またはその抗原結合性フラグメント。
【請求項11】
配列番号3またはそのフラグメントから成るペプチドに特異的に結合する、単離抗体またはその抗原結合性フラグメント。
【請求項12】
配列番号4またはそのフラグメントから成るペプチドに特異的に結合する、単離抗体またはその抗原結合性フラグメント。
【請求項13】
薬学的に許容できる担体または希釈剤、およびS配列番号2、配列番号3および配列番号4から成る群から選択される配列に対して、少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列から成るペプチドと特異的に結合する、抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む、薬学的組成物。
【請求項14】
前記抗体または抗原結合性フラグメントは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号2のフラグメント、配列番号3のフラグメント、および配列番号4のフラグメントから成る群から選択されるアミノ酸配列から成るペプチドに特異的に結合する、請求項13の組成物。
【請求項15】
前記抗体またはフラグメントはヒト、ヒト化、またはキメラ化である、請求項13の組成物。
【請求項16】
前記抗体または抗原結合性フラグメントは単クローン性である、請求項13の組成物。
【請求項17】
前記抗体または抗原結合性フラグメントは多クローン性である、請求項13の組成物。
【請求項18】
前記抗原結合性フラグメントは、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab)’フラグメント、およびFvフラグメントから成る群から選択される、請求項13の組成物。
【請求項19】
薬学的に許容できる担体または希釈剤と、配列番号2またはそのフラグメントから成るペプチドと特異的に結合する、抗体またはその抗原結合性フラグメントとを含む、薬学的組成物。
【請求項20】
薬学的に許容できる担体または希釈剤と、配列番号3またはそのフラグメントから成るペプチドと特異的に結合する、抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む、薬学的組成物。
【請求項21】
薬学的に許容できる担体または希釈剤と、配列番号4またはそのフラグメントから成るペプチドと特異的に結合する、抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む、薬学的組成物。
【請求項22】
炎症状態を患う対象を治療する方法であって、
前記対象に、効果的な量の抗体またはその抗原結合性フラグメントを投与するステップを含み、
ここで、前記抗体または前記抗原結合性フラグメントは、配列番号2、配列番号3および配列番号4の群から選択される配列に対して、少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列から成るペプチドと特異的に結合する、前記方法。
【請求項23】
前記抗体またはフラグメントは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号2のフラグメント、配列番号3のフラグメント、配列番号4のフラグメントから成る群から選択されるアミノ酸配列から成るペプチドに特異的に結合する、請求項22の方法。
【請求項24】
前記状態は、虫垂炎、消化性、胃および十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、腸閉塞、やけど、アルツハイマー病、咽頭蓋炎、アカラシア、胆管炎、胆嚢炎、肝臓炎、ウィップル病、喘息、アレルギー、アナフィラキシー・ショック、免疫複合体病、臓器虚血、再潅流傷害、器官神経症、枯草熱、敗血症、腐敗症、内毒素性ショック、悪液質、過高熱、好酸球性肉芽腫、肉芽腫症、サルコイドーシス、感染流産、精巣上体炎、膣炎、前立腺炎、尿道炎、気管支炎、気腫、鼻炎、嚢胞性線維症、肺炎、珪性肺塵症、肺胞炎、気管支梢炎、咽頭炎、胸膜炎、副鼻腔炎、インフルエンザ、呼吸器合胞体ウイルス感染、ヘルペス感染、HIV感染、B型肝炎ウイルス感染、C型肝炎ウイルス感染、散在性菌血、デング熱、カンジダ症、マラリア、フィラリア症、アメーバ症、包虫嚢胞、やけど、血管炎、脈管炎、心内膜炎、動脈炎、アテローム性動脈硬化症、静脈血栓症、心膜炎、心筋炎、心筋虚血、結節性動脈周囲炎、リウマチ熱、セリアック病、鬱血性心不全、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、骨膜炎、脳炎、神経炎、神経痛、脊髄損傷、麻痺、ブドウ膜炎、関節炎疹、関節痛、骨髄炎、筋膜炎、パジェット病、痛風、歯周病、間接リウマチ、滑膜炎、重症筋無力症、甲状腺炎、全身性エリテマトーデス、グッドパスチャー症候群、ベーチェット症候群、同種移植拒絶反応、移植片対宿主病、強直性脊椎炎、バージャー病、ライター症候群、およびホジキン病から成る群から選択される、請求項22の方法。
【請求項25】
前記状態は、腹膜炎、膵炎、敗血症、内毒素性ショック、クローン病、潰瘍性大腸炎、腸閉塞、やけど、アルツハイマー病、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、間接リウマチ、全身性エリテマトーデス、心筋虚血、同種移植拒絶反応、喘息、移植片対宿主病、鬱血性心不全、および嚢胞性線維症から成る群から選択される、請求項24の方法。
【請求項26】
前記哺乳類はヒトである、請求項22の方法。
【請求項27】
前記抗体または抗原結合性フラグメントはヒト、ヒト化、またはキメラ化である、請求項22の方法。
【請求項28】
前記抗体またはフラグメントは単クローン性である、請求項22の方法。
【請求項29】
前記抗体またはフラグメントは多クローン性である、請求項22の方法。
【請求項30】
前記抗原結合性フラグメントは、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab)’フラグメント、およびFvフラグメントから成る群から選択される、請求項22の方法。
【請求項31】
炎症状態を患う対象を治療する方法であって、
前記対象に、効果的な量の抗体またはその抗原結合性フラグメントを投与するステップを含み、
ここで、前記抗体または抗原結合性フラグメントは、配列番号2またはそのフラグメントから成るペプチドに特異的に結合する、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【公表番号】特表2009−515982(P2009−515982A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541306(P2008−541306)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/044329
【国際公開番号】WO2007/059203
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(501324834)ザ・フェインスタイン・インスティチュート・フォー・メディカル・リサーチ (14)
【氏名又は名称原語表記】The Feinstein Institute for Medical Research
【住所又は居所原語表記】350 Community Drive, Manhasset, NY 11030, U.S.A.
【Fターム(参考)】