説明

アルミニウムペースト組成物及びこれを使用した太陽電池セル

【課題】シリコンウェハ上に塗付し焼成する際に、ふくれや微小な突起が生じることがないアルミニウムペースト組成物、及びこれによりアルミニウム電極層が形成された太陽電池セルを提供する。
【解決手段】シリコンウェハ上にアルミニウム電極層を形成するためのアルミニウムペースト組成物であって、アルミニウム粉と、有機物質バインダーと、ガラスフリットとから成り、アルミニウム粉はフレーク状のアルミニウム粉を含み、該アルミニウムペースト組成物を塗付し焼成してアルミニウム電極層と成した太陽電池セルである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池セルのアルミニウム電極層形成のために用いられるアルミニウムペースト組成物に関し、結晶系シリコン太陽電池を構成するシリコンウェハの上に塗付し焼成するアルミニウムペースト組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シリコンウェハ上にアルミニウム電極層が形成された太陽電池セルは、図1のような構成と成っている。
【0003】
太陽電池セル10は、厚みが180〜300μmのp型のシリコンウェハ1が基板となって構成される。シリコンウェハ1の受光面側には、厚みが0.1〜0.6μmのn型不純物層2と、その上に反射防止膜3及びAg表面電極4が形成されている。
【0004】
また、図1において、p型のシリコンウェハ1の裏面側には、アルミニウム電極層5が形成され、その内側にはp型不純物層6とAg裏面電極7が形成されている。
【0005】
アルミニウム電極層5は、アルミニウム粉、有機物質バインダーとガラスフリットから成るアルミニウムペースト組成物をスクリーン印刷等によってp型のシリコンウェハの裏面に塗付し乾燥した後、650℃以上の温度にて短時間焼成することによって形成され、この際p型不純物層6が形成される。このp型不純物層6は、焼成の際にアルミニウム原子がp型のシリコンウェハの内部に拡散することにより生じ、アルミニウム電極層5とp型のシリコンウェハ1との間にAl−Si合金層が形成されるのと同時に起こる。このp型不純物層6の存在により、電子の再結合が防止され、生成キャリアの収集効率が向上する、いわゆるBSF(Back Surface Field)効果が得られる。
【0006】
近年、太陽電池セルの低コスト化を図るためにシリコンウェハを薄くすることが検討されている。しかし、シリコンウェハと、当該裏面のほぼ全体に塗付され焼成されるアルミニウム電極層には、焼成後冷却される際の収縮率や収縮の際発生する応力に違いがあるため、シリコンウェハが薄くなると、焼成後に太陽電池セルに反りが発生する。当該反りの発生を抑制するためにはアルミニウム電極層の厚みを薄くする方法があるが、アルミニウム電極層を薄くすると、焼成時において当該アルミニウム電極層にふくれや微小な突起が発生しやくなる。このふくれや微小な突起は、太陽電池セルの次製造工程において、当該太陽電池セル自体に割れを発生させるという課題となっていた。
【0007】
これらの課題を解決する方法として、種々のアルミニウムペースト組成物が提案されている。
【0008】
特開2005−191107号公報(特許文献1)には、裏面電極(アルミニウム電極層)においてアルミニウムの玉・突起の形成やの膨れを抑制した高特性の裏面電極(アルミニウム電極層)を得るとともに、半導体基板の反りを低減した高い生産性を有する太陽電池素子の製造方法が開示されている。これに用いられるアルミニウムペーストとして、アルミニウム粉が体積基準による累積粒度分布の平均粒径D50が6〜20μmかつ、平均粒径D50の半分以下の粒径のものが全粒度分布に対して占める割合が15%以下であるものが提案されている。しかし、当該条件を満たすアルミニウム粉を使用しても十分に膨れや突起の形成が抑制されない場合があるという課題があった。
【0009】
また、特開2007−81059号公報(特許文献2)には、焼成時においてブリスターやアルミニウムの玉が裏面電極(アルミニウム電極層)に発生するのを抑制することが可能なアルミニウムペースト組成物を用いて形成された電極(アルミニウム電極層)を備えた太陽電池素子が開示されている。このアルミニウムペースト組成物はガラスフリット中にアルカリ土類金属酸化物を含有し、その割合がガラスフリット中の5重量%〜75重量%以下含有するものが提案されている。しかし、アルカリ土類金属酸化物を使用したガラスフリットは融点が高くなるため、焼成温度を高く維持する必要が有り、このため製造コストが高くなるという課題があると共に、使用できるガラスフリットが限定されるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−191107号公報
【特許文献2】特開2007−81059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、焼成時においてふくれや微小な突起が生じることが非常に少ないか、生じることの無いアルミニウムペースト組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1記載の発明は、シリコンウェハ上にアルミニウム電極層を形成するためのアルミニウムペースト組成物であって、アルミニウム粉と、有機物質バインダーと、ガラスフリットとから成り、アルミニウム粉はフレーク状のアルミニウム粉を含むことを特徴とするアルミニウムペースト組成物であり、シリコンウェハに塗付し焼成した際に、アルミニウム電極層にふくれや微小な突起が生じることが非常に少ないか、生じることが無い。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のアルミニウムペースト組成物において、アルミニウム粉にフレーク状のアルミニウム粉が1重量%以上100重量%以下の割合で含まれることを特徴とするアルミニウムペースト組成物であり、シリコンウェハに塗付し焼成した際に、アルミニウム電極層にふくれや微小な突起が生じることが非常に少ないか、生じることが無い。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載のアルミニウムペースト組成物をシリコンウェハ上に塗付後、焼成してアルミニウム電極層と成したことを特徴とする太陽電池セルであり、アルミニウム電極層にふくれや微小な突起が生じることが非常に少ないか、生じることが無く、このため太陽電池セルに割れが生じることが非常に少ないか、割れが生じることが無い。
【発明の効果】
【0015】
本発明のアルミニウム組成物は、シリコンウェハに塗付し焼成した際に、アルミニウム電極層にふくれや微小な突起が生じることが非常に少ないか、生じることが無いという効果がある。
【0016】
また本発明の太陽電池セルは、アルミニウム電極層のふくれや微小な突起が非常に少ないか全く無く、このため太陽電池セルに割れが生じることが非常に少ないか、生じることが無い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】p型のシリコンウェハの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のアルミニウムペースト組成物は、アルミニウム粉と有機質バインダーに加えて、ガラスフリットを含み、アルミニウム粉はフレーク状のアルミニウム粉を含むことを特徴とする。
【0019】
本発明に用いるガラスフリットは、溶融後にアルミニウム粉を結合する無機バインダーとしての役割を果たすほか、アルミニウムとシリコンとの反応促進、アルミニウム粉自身の焼結助剤として働く。これらの機能を有するガラスフリットとしては、一般的に主成分としてPbO−B−SiO系、PbO−B−Al系、PbO−B系、SiO−B−RO系(R:アルカリ金属)、B−ZnO系、Bi−B−SiO系およびBi−B−ZnO系等の酸化物を含むガラスフリットが使用されるが、環境負荷を鑑みて鉛を含まないものが好適に使用される。ガラスフリットの含有量はアルミニウムペースト組成物100重量%に対して0.5〜5重量%であり、好ましくは1〜3重量%である。0.5重量%未満では、シリコンウェハと焼成後のアルミニウム電極層との密着性が不良となり、5重量%超ではアルミニウム電極層の抵抗率が高くなる。1重量%未満では、シリコンウェハと焼成後のアルミニウム電極層との密着性が低下する傾向にあり、3重量%超ではアルミニウム電極層の抵抗率が上昇する傾向がある。
【0020】
本発明に用いる有機物質バインダーは特に限定されないが、エチルセルロースやアクリル樹脂、ブチラール樹脂等の樹脂を、エステル系やグリコールエーテル系、ターピネオール系などの溶剤で溶解したものを使用することができる。有機物質バインダー中の樹脂の含有量は特に限定されるものではなく、後で述べるフレーク状のアルミニウム粉の配合割合によって、アルミニウムペースト組成物とした際の粘度やTI値によって適正な塗付特性が得られるように調整の上決定することが出来る。有機物質バインダー中の上記樹脂のアルミニウムペースト組成物100重量%に対する含有量は1〜10重量%、好ましくは2〜6重量%であり、1重量%未満になるとアルミニウムペースト組成物の印刷性が低下し、10重量%を超えるとアルミニウムペースト組成物の粘度が増大するだけでなく、過剰な有機物質によって焼成後のアルミニウム電極層中に有機物質が残って抵抗率の上昇を引き起こす。2重量%未満では印刷性が低下する傾向にあり、6重量%超では樹脂量が多く、電極中に樹脂が残って抵抗率が上昇する傾向にある。
【0021】
本発明に用いるフレーク状のアルミニウム粉以外のアルミニウム粉には、平均粒子径D50が1〜20μmのものが使用され、3〜10μmがより好適である。平均粒子径が1μm未満であると、焼成時のアルミニウム粉の溶融が早まってアルミニウム電極層のふくれや微小な突起が生じる。また、平均粒子径が20μmを超えると、アルミニウム電極層の膜厚が大となり、焼成後の収縮によりシリコンウェハにより大きな反りを生じさせる。3μm未満の場合はアルミニウム電極層の電気抵抗率が高くなる傾向があり、10μm超の場合はアルミニウム電極層の凹凸が大きくなる傾向がある。
【0022】
アルミニウム粉の含有量は、アルミニウムペースト組成物100重量%に対して20〜90重量%、好ましくは30〜85重量%である。20重量%未満ではアルミニウム電極層の抵抗率が高くなり、90重量%超ではアルミニウムペースト組成物が高粘度となって印刷後の平滑性が不良となる。また30重量%未満ではアルミニウム電極層の抵抗率が上昇する傾向にあり、85重量%超ではアルミニウムペースト組成物の粘度が上昇しレベリング性が低下し、シリコンウェハへの印刷後の平滑性が悪くなる傾向にある。
【0023】
本発明に用いるフレーク状のアルミニウム粉は、特に限定されるものではないが、平均粒子径D50が55μm以下、厚さが2μm以下、かつ比表面積が50000cm/g以下、平均粒子径D50と厚さとの比が5〜100のものを使用することが出来る。好ましくは、平均粒子径が30μm以下、厚さが0.5μm以下であって、平均粒子径D50と厚さとの比が20〜80である。平均粒子径D50が55μm超であると、アルミニウムペースト組成物を塗付する際のスクリーン印刷用メッシュ(250メッシュ相当)の糸と糸の間に詰まる恐れがある。本発明では、フレーク状のアルミニウム粉の配合量により、焼成時におけるアルミニウムの過度の溶融を抑制し、アルミニウム電極層のふくれや微小な突起の発生を非常に少なくするか、全く発生することがないようにすることができる。フレーク状のアルミニウム粉の配合量は、アルミニウムペースト組成物のコストと太陽電池セルの歩留まりによって決定される。
【0024】
本発明に用いるフレーク状のアルミニウム粉の含有量は、アルミニウム粉中の割合が1重量%以上とすることが好ましく、さらには5重量%以上となれば、焼成の際に発生するふくれや微小な突起の発生個数は大きく減少する。1重量%未満であると、所定のふくれや微小な突起の抑制効果が得られない傾向にあり、5%未満であると、フレーク状のアルミニウム粉を含まない場合と比べてふくれや微小な突起の発生個数は大きく減少するが、わずかな数のふくれや微小な突起が発生する傾向にある。
【0025】
本発明のアルミニウム粉及びフレーク状のアルミニウム粉の製造方法は特に限定されない。
【0026】
本発明のアルミニウムペースト組成物には、塗付特性等に応じて、分散剤、界面活性剤、可塑剤、カップリング剤、消泡剤、沈降防止剤、レベリング剤などを配合して調製することができる。配合調製には、各種の混合、混練、分散機を使用することができ、例えば、2本ロールミル、3本ロールミル、プラネタリーミキサー、高速ミキサー、自公転撹拌機等が挙げられる。
【実施例】
【0027】
実施例1(アルミニウム粉中のフレーク状のアルミニウム粉の割合2重量%)
予めエチルセルロースであるSTD45(ダウケミカル社製、商品名)をターピネオール系溶剤であるターピネオールC(日本テルペン化学社製、商品名)とブチルカルビトールアセテート(大伸化学株式会社製、商品名)の2:1の混合溶媒に溶解した8.4重量%の有機物質バインダーAを調整する。以下の実施例、比較例はすべてこの有機物質バインダーAを用いた。
この有機物質バインダーA 44.2重量部、アルミニウム粉であるH−3(VALIMET社製、商品名、平均粒子径D50:4.6μm、粒子形状:球状)51.9重量部、フレーク状アルミニウム粉であるNo.800(大和金属株式会社製、平均粒子径D50が28μm、厚みが0.44μm、平均粒子径D50と厚さとの比が64、比表面積が18000cm/g)1.1重量部、ガラスフリットであるAFB3211(セントラル硝子株式会社製、ホウ酸亜鉛ビスマス系、平均粒子径D500.6μm)1.5重量部、分散剤であるフローレンG−900(共栄社化学株式会社製、カルボキシル基含有ポリマー変性物)0.5重量部、可塑剤であるDOP(株式会社ジェイ・プラス製、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル))0.8重量部を三本ロールミルを用いて均一に混合した。粘度は45Pa・s/23℃、TI値は1.6/23℃であった。
【0028】
実施例2(アルミニウム粉中のフレーク状のアルミニウム粉の割合5重量%)
有機物質バインダーA 44.2重量部、アルミニウム粉であるH−3 50.3重量部、フレーク状アルミニウム粉であるNo.800 2.7重量部、ガラスフリットであるAFB3211 1.5重量部、分散剤であるフローレンG−900 0.5重量部、可塑剤であるDOP 0.8重量部を三本ロールミルを用いて均一に混合した。粘度は49Pa・s/23℃、TI値は1.6/23℃であった。
【0029】
実施例3(アルミニウム粉中のフレーク状のアルミニウム粉の割合20重量%)
有機物質バインダーA 44.2重量部、アルミニウム粉であるH−3 42.4重量部、フレーク状アルミニウム粉であるNo.800 10.6重量部、ガラスフリットであるAFB3211 1.5重量部、分散剤であるフローレンG−900 0.5重量部、可塑剤であるDOP 0.8重量部を三本ロールミルを用いて均一に混合した。粘度は55Pa・s/23℃、TI値は1.7/23℃であった。
【0030】
実施例4(アルミニウム粉中のフレーク状のアルミニウム粉の割合100%)
有機物質バインダーA 64重量部、フレーク状アルミニウム粉であるNo.800 30重量部、ガラスフリットであるAFB3211 1.5重量部、分散剤であるフローレンG−900 1.5重量部、可塑剤であるDOP 3.0重量部を三本ロールミルを用いて均一に混合した。粘度は25Pa・s/23℃、TI値は2.1/23℃であった。
【0031】
実施例5(アルミニウム粉中のフレーク状のアルミニウム粉の割合20%)
有機物質バインダーA 44.2重量部、アルミニウム粉であるH−3 42.4重量部、フレーク状アルミニウム粉であるNo.18000(大和金属株式会社製、商品名、平均粒子径D50が15μm、厚さが0.22μm、平均粒子径D50と厚さとの比が68、比表面積が36000cm/g)10.6重量部、ガラスフリットであるAFB3211 1.5重量部、分散剤であるフローレンG−900 0.5重量部、可塑剤であるDOP 0.8重量部を三本ロールミルを用いて均一に混合した。粘度は59Pa・s/23℃、TI値は1.8/23℃であった。
【0032】
実施例6(アルミニウム粉中のフレーク状のアルミニウム粉の割合5%)
有機物質バインダーA 44.2重量部、アルミニウム粉であるH−3 50.3重量部、フレーク状のアルミニウム粉であるNo.E(大和金属株式会社製、平均粒子径D50が50μm、厚みが1.54μm、平均粒子径D50と厚さとの比が32、比表面積が5200cm/g)2.7重量部、ガラスフリットであるAFB3211 1.5重量部、分散剤であるフローレンG−900 0.5重量部、可塑剤であるDOP 0.8重量部を三本ロールミルを用いて均一に混合した。粘度は39Pa・s/23℃、TI値は1.6/23℃であった。
【0033】
比較例1(フレーク状のアルミニウム粉を含有していない場合)
有機物質バインダーA 44.2重量部、アルミニウム粉であるH−3 53重量部、ガラスフリットであるAFB3211 1.5重量部、分散剤であるフローレンG−900 0.5重量部、可塑剤であるDOP 0.8重量部を三本ロールミルを用いて均一に混合した。粘度は43Pa・s/23℃、TI値は1.7/23℃であった。
【0034】
上記の各種アルミニウムペースト組成物の粘度はBH回転式粘度計(東機産業株式会社)を使用し、ローターはNo.7を使用し、回転は20rpmで測定した。TI値は2rpmの粘度/20rpmの粘度の値とした。アルミニウムペースト組成物をスクリーン印刷により塗付する場合は、粘度は20〜60Pa・s/23℃、TI値は1.5〜3.0であることが好ましく、この場合、印刷後の塗膜は厚さが均一に保持され且つ平滑で、塗付作業性に優れる。
【0035】
評価方法
上記の各種アルミニウムペースト組成物を、厚みが200μm、大きさが156mm×156mmの多結晶p型のシリコンウェハに、250メッシュのスクリーン印刷版を用いて154mm×154mmの面積になるように中央に印刷し、熱風乾燥機を使用して150℃30分間で乾燥させた。焼成は、4ゾーンのワイヤー式ベルト炉を使用した。ゾーン1の温度は400℃、ゾーン2の温度は600℃、ゾーン3の温度は800℃、ゾーン5の温度は600℃に設定し、ゾーン1での停止時間は25秒間、残りのゾーン2〜4の停止時間は7秒間とし、各ゾーン間の移動速度は20m/分とした。焼成後のアルミニウム電極層の膜厚は平均で35μmであった。このシリコンウェハの上に形成されたアルミニウム電極層において、当該アルミニウム電極層全面(154mm×154mm)のふくれと微小な突起の数を目視で計数した。その合計値を表1に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
評価結果のまとめ
表1において、実施例1〜6は比較例1と比較して、ふくれ、アルミニウムのふくれや微小な突起の発生量が少ない。これは、本発明の発明者が見出したことであるが、フレーク状のアルミニウム粉がシリコンウェハ上で焼成時に生じる局部的な温度の過上昇を緩和するためと推察される。アルミニウムのふくれや微小な突起が生じる原因は、焼成時の局部的な温度の過上昇にあると考えられ、このためその部分のアルミニウムが溶融して液状化し、当該液状化したアルミニウムが周囲の未だ液状化していないアルミニウム粒子の隙間からなんらかの原因でわずかに溢出し、固化するために生ずると考えられる。フレーク状のアルミニウム粉は熱を他に伝える能力が球状のアルミニウムと比べて大きく、このため、局部的に熱が上昇することが抑制又は防止される。このため結果として完全に溶融して液状化するアルミニウムの局部的な発生数が減少又はゼロになるものと推察される。
【符号の説明】
【0038】
1 p型のシリコンウェハ
2 n型不純物層
3 反射防止膜
4 Ag表面電極
5 アルミニウム電極層
6 p型不純物層
7 Ag裏面電極
10 太陽電池セル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンウェハ上にアルミニウム電極層を形成するためのアルミニウムペースト組成物であって、アルミニウム粉と、有機物質バインダーと、ガラスフリットとから成り、アルミニウム粉はフレーク状のアルミニウム粉を含むことを特徴とするアルミニウムペースト組成物。
【請求項2】
前記アルミニウム粉にフレーク状のアルミニウム粉が1重量%以上100重量%以下の割合で含まれることを特徴とする請求項1記載のアルミニウムペースト組成物。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のアルミニウムペースト組成物をシリコンウェハ上に塗付後、焼成してアルミニウム電極層と成したことを特徴とする太陽電池セル。



【図1】
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【公開番号】特開2010−251389(P2010−251389A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96619(P2009−96619)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(000100698)アイカ工業株式会社 (566)
【Fターム(参考)】