説明

アルミニウム材の表面処理方法および表面処理されたアルミニウム材

【課題】VOCなどの環境負荷物質の放出を低減するためのアルミニウム材の表面処理方法、および該方法で得られた長期間、耐候性を発揮するアルミニウム材を提供することを目的とする。
【解決手段】アルミニウム材の表面に陽極酸化処理により皮膜を生成した後、フッ素樹脂系粉体塗料を塗装するアルミニウム材の表面処理方法。前記フッ素樹脂系粉体塗料は静電塗装により塗装することが、また、前記陽極酸化処理後に、湯洗または沸騰水浸漬により仮封孔を行うことが好ましい。および上記表面処理方法で表面処理されてなるアルミニウム材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム材の表面処理方法、および前記表面処理方法で表面処理されてなるアルミニウム材に関する。さらに詳しくは、本発明はアルミニウム材の表面を特定の方法で処理することにより、長期間、耐候性を発揮するアルミニウム材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築物の内壁や外壁などには、アルミニウムやその合金を基材とするアルミニウム材が多用されている。そのようなアルミニウム材として、アルミニウムカーテンウォールが例示されるが、特に屋外で使用されるときには、耐候性が必要となるので、アルミニウム基材の表面に高耐候性焼付け塗装が行われている。
そのような高耐候性焼付け塗装の方法として、アルミニウム材を厚膜陽極酸化皮膜処理した後、高耐候性ポリエステル粉体塗料を塗装する方法が提案されている(特許文献1)。
この方法は、下地処理方法として、従来使用されていた6価クロムを用いて化成処理する方法に替えて、陽極酸化皮膜処理を採用したこと、および、従来使用されていた溶剤型フッ素樹脂塗料では、塗装中にトルエン、キシレンなどの揮発性有害物質、いわゆるVOCを大気中に放出し、地球環境への負荷の増大や人体への悪影響を招くところから、溶剤型フッ素樹脂塗料に替えて、高耐候性ポリエステル粉体塗料を用いて静電塗装する方法を採用したことにより、6価クロムもVOCも発生させることない、環境にやさしい表面処理方法として注目される。
【0003】
しかしながら、前記特許文献1記載の方法を追試したところ、高耐候性ポリエステル粉体塗装で表面処理されたアルミニウム材は、長期間にわたる耐候性において、問題が残ることがわかった。加えてアルミニウムカーテンウォールは、一度設置されると、設置したままの状態で再度静電塗装することは事実上不可能であり、塗替え時には、環境負荷物質を放出する溶剤型塗料を使用しなければならないという問題もあった。
【0004】
【特許文献1】特開2007−196124号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、環境負荷物質の放出を低減するためのアルミニウム材の表面処理方法、および該方法で得られた長期間、耐候性を発揮するアルミニウム材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、上記の厚膜陽極酸化処理後、ポリエステル粉体を塗料する方法に比べて、より長期間耐候性を発揮する塗膜をアルミニウム材の表面に形成させることで、塗替え回数を低減させることができることを見出し、本願発明を完成させたもので、以下を要旨とする。
1.アルミニウム材の表面に陽極酸化処理により皮膜を生成した後、フッ素樹脂系粉体塗料を塗装することを特徴とするアルミニウム材の表面処理方法。
2.前記陽極酸化処理面にさらに電解着色処理を行い、ついでフッ素樹脂系粉体塗料を塗装する上記1記載のアルミニウム材の表面処理方法。
3.前記フッ素樹脂系粉体塗料は、静電塗装により塗装する上記1または2に記載のアルミニウム材の表面処理方法。
4.前記陽極酸化処理後に、湯洗または沸騰水浸漬により仮封孔を行う上記1〜3のいずれかに記載のアルミニウム材の表面処理方法。
5.前記上記1〜4のいずれかに記載の表面処理方法で表面処理されてなるアルミニウム材。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、環境負荷物質の放出を低減するためのアルミニウム材の表面処理方法、および該方法で得られた長期間、耐候性を発揮するアルミニウム材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、アルミニウム材の表面に陽極酸化処理して皮膜を生成した後、フッ素樹脂系粉体塗料を塗装するアルミニウム材の表面処理方法に関する。
本発明では、建材の基材として、アルミニウムを使用する。本発明で使用されるアルミニウム基材は、アルミニウムや、アルミニウムに銅やマンガン、ケイ素、マグネシウムなどを混合して得られる各種のアルミニウム合金である。前記アルミニウム合金としては、アルミニウム−マグネシウム−ケイ素や、アルミニウム−亜鉛―マグネシウムなどの三元系アルミニウム合金などが挙げられる。
前記アルミニウム材の形状としては、本発明の表面処理方法が適用可能であれば、特に限定されず、例えば、板材、管(断面が四角または長方形の角管や、円または楕円形の丸管など)、棒(丸棒、角棒など)の他、押出形材などの加工品も使用することができる。
【0009】
これらのアルミニウム材は、まず必要に応じて、その表面を溶剤脱脂、酸性脱脂、弱アルカリ性脱脂または電解脱脂のいずれかの方法で脱脂を行い、表面を清浄にする。次いで、エッチング処理を行い、表面の自然酸化皮膜を除去し、付着性の向上を図る。エッチング処理は、通常は、適温に維持された、溶存アルミニウムを含む水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬することにより行なわれる。次いで、酸液を用いて、エッチング処理時に生成したスマット除去のための脱スマット処理を行う。なお、前記の脱脂とエッチング処理、脱スマット処理は必須ではなく、必要に応じて行うことができる。
【0010】
その後、アルミニウム材の表面に陽極酸化処理により陽極酸化皮膜を生成する。
本発明では、アルミニウム表面の下地処理方法として、前記特許文献1同様に、クロメート処理などの化成処理に替えて、陽極酸化処理を採用する。
陽極酸化処理では、硫酸、リン酸等の無機酸、または蓚酸などの有機酸の1種以上を含有する電解液中、好ましくは硫酸を含有する電解液中で、アルミニウム材を陽極に接続して直流電流、交流電流、またはパルス電流などを印加することにより行う。
陽極酸化処理条件としては、電解液の種類、濃度等に応じて、常法に従って選択すればよく、通常、電圧10〜60V、電流密度1〜10A/dm2、処理時間5〜60分間、温度10〜70℃程度の条件下に行われる。
なお、この陽極酸化処理方法は、前記特許文献1記載の方法も含めて、一般にアルマイト処理と呼ばれる処理方法の一種であるが、通常、前記アルマイト処理で得られる酸化皮膜の膜厚は10〜25μm程度とされるが、本発明においては、そのような厚膜は必要とせず、3〜15μm程度で十分である。これは、一般のアルマイト処理がもっぱらアルミニウム材の防食を目的とするが、本発明においては、防食と共に、後工程で塗布されるフッ素樹脂系粉体塗料による塗膜との密着性を向上させることも重きを置いているためである。このため、本発明においては、通常のアルマイト処理方法よりも陽極処理時間を短くすることができる。
前記陽極酸化処理により、アルミニウム材表面には無数の微細孔を有する多孔質皮膜ができる。
【0011】
次に、このまま下記の仮封孔を行ってもよいが、陽極酸化処理により生成した皮膜に、電解着色処理を行うことにより、傷ついた場合でも、目立たなくさせることができる。さらに傷を目立たなくさせるためには、上塗りと同等の明るさを有する下地色を着色しておくことが好ましい。
電解着色処理条件としては、金属塩を溶解した処理液中に、前記の陽極酸化処理済のアルミニウム材を浸漬し、直流電流、交流電流、非対称交流電流およびパルス波電流などを印加して、電流密度0.01〜1A/dm2、処理時間10〜500秒間、温度20〜70℃程度に調整する。
【0012】
以上のように、陽極酸化処理後に、好ましくは電解着色処理を行い、次いで、湯洗処理、短時間の沸騰水への浸漬処理、または薬品処理による仮封孔を行って塗装下地を完成させる。湯洗処理は、温度70〜95℃程度の純水と、前記アルミニウム材とを1〜20分程度接触させて行う。湯洗処理は、環境負荷となる化学物質を使用することがないので、好ましい。
次いで、仮封孔を行うが、この仮封孔も、通常のアルマイト処理後に行われる封孔に比べると、目安として半分程度の微細孔を封孔する程度でよい。完全に封孔すると、後工程で塗装される塗料との密着性が劣るようになる。
以上の処理の結果、アルミニウム材の表面に防食性と密着性に優れた酸化皮膜が形成され、塗装下地ができる。
【0013】
次に、前記塗装下地面にフッ素樹脂系粉体塗装を行う。
なお、通常は、下地処理後、塗膜との接着性を向上させるために、プライマー塗装が行われるが、本願では前記仮封孔処理を行っているために、プライマー塗装は行う必要がない。
従って、プライマー塗装に伴う環境負荷物質の放出がなくなる。
フッ素樹脂系粉体塗装に使用するフッ素樹脂系粉体塗料に用いるフッ素樹脂としては、トリフルオロエチレンービニルエーテル系、テトラフルオロエチレンービニルエーテル系、トリフルオロプロピレンービニルエーテル系、テトラフルオロプロピレンービニルエーテル系、トリフルオロエチレンービニルエステル系、テトラフルオロエチレンービニルエステル系、トリフルオロプロピレンービニルエステル系、テトラフルオロプロピレンービニルエステル系、トリフルオロエチレンーエテレン系、テトラフルオロエチレンーエチレン系、ポリビニリデンフルオライド系、ポリクロロトリフルオロエチレン系などが挙げられ、このうちトリフルオロエチレンービニルエーテル系フッ素樹脂としては、大日本塗料社の「パウダーフロン」が例示される。
通常、アルミニウム材は意匠性を高めるために着色されるが、このフッ素樹脂系粉体塗料には、着色したい色に応じて、着色顔料、体質顔料などをはじめ、各種の顔料や粉体塗料などの着色剤が併用される。
このような着色顔料としては、二酸化チタン、ベンガラ、黄鉛、クロムグリーン、群青、マルスバイオレット、コバルトブルー、カーボンブラックなどが挙げられる。また、体質顔料としては、大理石パウダーやセラミックパウダーが挙げられる。さらに、アルミニウムや真鍮などの鱗片状箔片などの金属顔料を使用してもよい。また、必要に応じて、着色剤用分散剤や、その他の質材などを添加してもよい。
また、必要に応じてフィラーを添加してもよい。このようなフィラーとしては、珪石、アルミナ、ガラスなどの粉状物、カオリナイト、モンモリロナイト、バーミキュライトなどの粘土、雲母などの扁平状物、ガラス繊維などの繊維状物などが挙げられる。
フッ素樹脂系粉体塗料に、必要に応じて上記成分を添加し、加熱下に混合攪拌して均一に加熱混練して得られた分散体を冷却後、所定の粒度に微粉砕してフッ素樹脂系粉体塗料組成物が得られる。上記方法以外に、粉体塗料粒子に顔料を接着させる、いわゆるボンディング法を採用してもよい。
前記塗料組成物中の各成分の標準的含有量としては、着色剤10〜40質量%、フィラー0〜10質量%、フッ素樹脂系粉体塗料60〜90質量%程度を目安とする。なお、これら以外の添加物として、必要に応じて、一般に使用される粉体状の界面活性剤や分散剤、硬化促進剤、消泡剤などを添加してもよい。
【0014】
次に、上記の通り調製したフッ素樹脂系粉体塗料組成物を用いて、粉体塗装を行う。
粉体塗装は、静電粉体塗装法と流動浸漬塗装法があるが、本発明では、どちらを用いてもよい。
静電粉体塗装方法は、特許文献1記載のように、アースしたアルミニウム材を正極に、塗装ガンを負極にし、これに負の高電圧を与えて、両極間に静電界を作り、霧化した塗装粒子を負にコロナ帯電させて、反対極である被塗物のアルミニウム材に効率よく塗料を吸着させる方法である。この方法では、電圧や塗布時間を調整することにより、アルミニウム材の表面の塗膜厚さを調整することができ、通常、30〜50μm程度の薄膜をコーティングすることができる。塗膜形成後は、塗膜をアルミニウム材に固着させるために、160〜180℃程度の高温下で15〜20分間程度、焼付け・乾燥を行う。なお、上記のコロナ帯電方式以外にも、塗装ガン内部を粉体塗料が通過する際に発生する摩擦帯電を利用するトリボ帯電方式を採用してもよい。
一方、流動浸漬塗装法では、底部に多孔板を配した容器に上記の粉体塗料を充填し、多孔板から圧縮空気を送って塗料を流動させ、ここに予熱した被塗物のアルミニウム材を浸漬する方法である。流動層の中の塗料は熱により被塗物に融着し、通常200〜500μm程度の厚膜を塗布することができる。この方法においては、塗布後、表面を平滑化するために後加熱を行う。
以上の方法により、本発明では、長期間(例えば20年間程度)、耐候性を発揮する表面処理されたアルミニウム材が製造される。加えて、本発明で得られるアルミニウム材は、基材の材質や形状が従来から使用されているアルミニウム材と同じため、従来と同様の使用方法が可能であり、取外しや取付けを簡便に行うことができる。
【0015】
以上に詳細に述べたように、本発明で提供されるアルミニウム材の表面処理方法は、環境への環境負荷物質の放出を低減することができる。また、特許文献1記載のポリエステル粉体塗料を塗布する方法よりも、より長期間、耐候性を発揮する塗膜を形成させることで、塗替え回数を低減することを可能としたもので、長期耐候性を有する分、環境負荷物質の環境への放出を低減することができる。
また、本発明に関するアルミニウム材は、軽量で、化粧面の剥離や落下の問題が無く、取付け・取外しが容易で、しかも長尺物でも短期間で製造可能なアルミニウム材を提供することができる。
【実施例】
【0016】
次に、本発明を実施例、比較例により、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
JIS H 4100に規定されたA6063−T5材をアルミニウム基材とした角パイプ(縦60mm×横40mm、厚さ3mm、外R4mm、内R1mm、外周長193.1mm)からなるアルミニウム材を用いて実施した。
先ず、前記アルミニウム角パイプに前処理を施した。すなわち、3質量%に調整した弱アルカリ性の脱脂剤を用いて、40℃下5分間脱脂を行い、次いで上水で常温下5分間水洗した。次に50℃に維持した水酸化ナトリウムを70g/L、溶存アルミニウムを10g/L含む液槽に、前記アルミニウム材を浸漬し、10分間静置した後、前記アルミニウム材を取り出して、上水を用いて常温下5分間水洗した。その後、硝酸150g/Lを含む液と常温下5分間接触させて中和した。最後に、再度上水で常温下5分間水洗して、前処理を終了した。
次に、下記条件にて陽極酸化処理を行った。
処理液:19℃で硫酸180g/L、溶存アルミニウム5g/L含有
電解条件:直流、定電流、1A/dm2の電流密度で20分間(最終電圧は14V)
上記陽極酸化処理終了後に、純水で常温下5分間水洗した。その結果、アルミニウム材の表面に6μmの陽極酸化皮膜が得られた。次いで、以下の条件で電解着色処理を行った。
処理液:硫酸ニッケル100g/L、ホウ酸30g/L、pH4.8、30℃
第一ステージ電解条件:非対称交流(正>負)、電流密度0.2A/dm2、25秒間通電
第二ステージ電解条件:非対称交流(負>正)、電流密度0.15A/dm2、100秒間通電
上記第二ステージ電解終了後に、常温の純水で5分間水洗を行い、次いで、80℃の純水を5分間接触させて湯洗処理を行った。
次にフッ素樹脂系粉体塗料を用いて塗装を行った。
使用塗料はパウダーフロンCW(大日本塗料社製)で、色調は白色DN−93(日本塗料工業会色調見本)とした。静電塗装は、コロナ帯電ガン(PEM−C3:日本ワーグナー・スプレーテック社製)を用いて実施した。塗膜形成後、170℃条件下に15分間放置して焼付けと乾燥を行った。
その結果、塗膜厚実測値として、平均40μmの塗膜が確認された。
【0017】
比較例1
以下の条件で、実施例と同様の操作を行った。
1.前処理:脱脂、エッチング、中和(実施例通り)
2.化成皮膜処理:クロメート処理皮膜(ケミボンダー334;日本シービーケミカル社製)
処理条件:30℃×1分
水洗処理:常温×1分
乾燥処理:90℃×10分
3.塗装処理
プライマー:CFプライマー(大日本塗料社製)
上塗り:Vフロン#2000(大日本塗料社製)
乾燥:160℃×20分
その結果、塗膜厚実測値として、平均39μmの塗膜が確認された。
【0018】
比較例2
以下の条件で、実施例と同様の操作を行った。
1.前処理、陽極酸化皮膜処理、電解着色処理、および湯洗処理は実施例通り。
2.塗装処理
上塗り:Vフロン#2000(大日本塗料社製)
乾燥:160℃×20分
その結果、塗膜厚実測値として、平均33μmの塗膜が確認された。
【0019】
比較例3
以下の条件で、実施例と同様の操作を行った。
1.前処理、陽極酸化皮膜処理、電解着色処理、および湯洗処理は実施例通り。
2.塗装処理
上塗り:VPET#4500SW(大日本塗料社製)
焼付条件:180℃×20分
その結果、塗膜厚実測値として、平均50μmの塗膜が確認された。
【0020】
以上の実施例1、および比較例1〜3で得られた塗膜を用いて、表1に示す性能試験を実施した。
結果を表1に示す。
なお、試験方法は以下の通り。
膜厚:JIS H 8680−2
光沢度:JIS Z 8741(60度鏡面光沢度)
鉛筆引っ掻き抵抗性:JIS K 5600-5-4
付着性:JIS K 5600-5-6
耐おもり落下性:JIS K 5600-5-3(デュポン式耐おもり落下性試験、1/2インチ×500g×30cm)
耐酸性:JIS H 8602(5.11塗膜の耐アルカリ性試験方法で、使用する液体を5g/Lの水酸化ナトリウムから、50g/Lの硫酸に変更し、試験時間を240時間とした。)
耐アルカリ性:JIS H 8602(5.11塗膜の耐アルカリ性試験方法で、使用する液体を5g/Lの水酸化ナトリウムから、50g/Lの水酸化ナトリウムに変更し、試験時間を240時間とした。)
キャス耐食性:JIS H 8602(5.10塗膜のキャス耐食性試験方法で、試験時間を240時間とした。)
促進耐候性:JIS H 8602(5.12塗膜の促進耐候性試験方法で、試験時間を1500時間、および3000時間とした。)
【0021】
【表1】

【0022】
表1から、実施例で得られた塗装は、従来のポリエステル樹脂系塗料よりも優れた性能を示し、また、溶剤型フッ素樹脂系塗装品と同等以上の性能を示したことから、長期間の使用に耐えうる優れた耐食性能、および耐候性能を有することが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明で表面処理されたアルミニウム材は、その優れた品質などから、建築部材、土木部材、日用品、家電部品、車両、船舶など、多様な分野で使用することができる。特に、建築土木分野では、内外装材として、カーテンウォ−ル、サッシ、ドア製品や、内外壁材、ルーバー材、エクステリア商品(門扉、フェンス、バルコニー、手摺など)、景観製品(ポール、ベンチ、サイン、フェンス、手摺、ベンチなど)に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム材の表面に陽極酸化処理により皮膜を生成した後、フッ素樹脂系粉体塗料を塗装することを特徴とするアルミニウム材の表面処理方法。
【請求項2】
前記陽極酸化処理面にさらに電解着色処理を行い、ついでフッ素樹脂系粉体塗料を塗装する請求項1記載のアルミニウム材の表面処理方法。
【請求項3】
前記フッ素樹脂系粉体塗料は、静電塗装により塗装する請求項1または2に記載のアルミニウム材の表面処理方法。
【請求項4】
前記陽極酸化処理後に、湯洗または沸騰水浸漬により仮封孔を行う請求項1〜3のいずれかに記載のアルミニウム材の表面処理方法。
【請求項5】
前記請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理方法で表面処理されてなるアルミニウム材。

【公開番号】特開2010−31330(P2010−31330A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196280(P2008−196280)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000005005)不二サッシ株式会社 (118)
【Fターム(参考)】