説明

アルミニウム添加コンポジット固体推進薬の製造方法、および、アルミニウム添加コンポジット固体推進薬

本発明の主題は、(1)コンポジット固体推進薬(過塩素酸アンモニウムおよびアルミニウムが装填された、ポリウレタンバインダー含有コンポジット固体推進薬)を得る方法であって、特徴的には、上記推進薬の過塩素酸アンモニウム装薬が、特定の単峰性粒度分布をそれぞれ有する少なくとも2つの装薬から得られ、これにより、推力振動およびエンジン後部のアルミナ堆積物を低減することを追求する方法、ならびに、(2)コンポジット固体推進薬、固体推進薬装填物、および、関連するロケットエンジンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、
コンポジット固体推進薬(過塩素酸アンモニウムおよびアルミニウムが装填された、ポリウレタンバインダー含有のコンポジット固体推進薬)を得る方法、ならびに、
そのコンポジット固体推進薬、それに関連する固体推進薬装填物およびロケットエンジンである。
【0002】
本発明は、固体推進薬による推進の分野におけるものであり、より詳細には、アルミニウム添加コンポジット固体推進薬に関する。
【0003】
対象となる用途は、実用的には、打ち上げロケット用の固体推進薬エンジン(打ち上げロケットの加速装置またはステージ)に関連する。
【0004】
本発明の目的は、一体化ノズルを備えるエンジンの後部におけるアルミナ堆積物を低減すること、および、推進薬の発射特性、とりわけ燃焼速度を、既知の宇宙開発分野向け工業推進薬の特性に近いものに保ちつつ、空力的な要因による推力振動の低減を図ることである。
【背景技術】
【0005】
打ち上げロケット用の固体推進薬エンジンは、アリアン5ロケットまたは米国のスペースシャトルのエンジンと同種であり、大型で(高さ:〜20m、奥行き:〜5m)、一体化ノズルを備える。この種のエンジンに内蔵される固体推進薬装填物の質量は、数百キログラムから数百トンにおよぶ。その動作時間は、数十秒から数分程度である。本発明は、このような大型の固体推進薬エンジンを前提としている。
【0006】
このような用途向けの固体推進薬は、ポリウレタン系不活性バインダーを含有するコンポジット推進薬である。このような推進薬は、過塩素酸アンモニウムの装薬(酸化装薬)とアルミニウムの装薬(還元装薬)とを含む。上記推進薬に含まれる過塩素酸アンモニウム酸化装薬は、一般に、上記推進薬の調製の際に添加された、単峰性粒度分布がそれぞれ異なる複数の過塩素酸アンモニウムから形成される。これは、アルミニウム還元装薬の場合も同様である。本発明は、この系列の推進薬に関係している。これらの成分の重量割合は、一般に、過塩素酸アンモニウム約68%、アルミニウム約20%、バインダー約12%である。
【0007】
固体推進薬の燃焼速度は、燃焼室内に存在する圧力Pに依存し、従来より、以下のように表される法則(ヴィエイユの法則として知られている)に従う。
【0008】
Vc=aP
【0009】
上記の、推進薬の燃焼速度Vcおよび圧力指数nは、固体推進薬エンジンの発射制御(燃焼時間、推力、燃焼安定性等)の基本パラメータである。
【0010】
本発明が関係する推進薬の用途での発射パラメータの標準値は、ポリウレタンバインダー含有アルミニウム添加コンポジット推進薬を使用する場合、3MPaから10MPaの作動圧力範囲内で、燃焼速度Vcが数mm/sから10mm/s、圧力指数nが0.2から0.4である。
【0011】
当業者は、上記の固体推進薬の燃焼速度レベルを制御するためにこの固体推進薬を構成する複数の原料の粒径をどのように選択すればよいかについて知識がある。
【0012】
M.M.IqbalおよびW.Liangは、「Journal of Propulsion and Power」、vol.23、No.5(2007年9月)において、過塩素酸アンモニウムの粒径が固体推進薬の燃焼速度に及ぼす影響について述べた。彼らの目的は、表面燃焼の数学的モデルを実証して、この種の推進薬の燃焼速度を予測できるようにすることであった。
【0013】
L.MassaおよびT.L.Jacksonは、「Journal of Propulsion and Power」vol.24、No.2(2008年3月〜4月)において、アルミニウムの粒径が固体推進薬の燃焼速度に及ぼす影響について述べた。彼らの目的もまた、表面燃焼の数学的モデルを実証し、この種の推進薬の燃焼速度を予測できるようにすることであった。
【0014】
これら2つの刊行物は、推進薬の燃焼後に発生するアルミナの粒径についての情報、および、この粒径に関連する技術的課題(後述参照)についての情報を、何ら提供していない。さらに、上記の刊行物で考慮されている様々な過塩素酸アンモニウム装薬は、1つのパラメータのみ、すなわち、それらの粒度分布のピーク部最大点の粒子径によって、特徴付けられている。
【0015】
アルミニウム添加コンポジット推進薬は、燃焼時に、気体と、大部分はアルミナから構成される固体粒子(スラスタから噴射される物質量の約30%)とを生成する。
【0016】
コンポジット推進薬におけるアルミニウムからアルミナへの燃焼は、広く研究されている。しかしながら、当業者は、このような推進薬の燃焼により生成されるアルミナの粒径をどのように制御するかについては知識がない。
【0017】
アルミニウム添加コンポジット固体推進薬に添加されるアルミニウムは、メジアン径が一般に1μmから50μmの間の、ほぼ球形の粒状である。添付の図1に、燃焼表面から放出されたアルミニウム粒体の燃焼を概略的に示す。このアルミニウム粒体を炎が取り囲み、この粒体の底部にはアルミナキャップが形成されている。燃焼によって、アルミナ煙霧(約1μmの小さい粒体)と、それより大きい、キャップに由来するアルミナ粒体とが発生し、このことにより、固体推進薬によって最終的に生成されるアルミナの双峰性粒度分布が説明される。このようなアルミニウム添加推進薬の燃焼について行われた研究によって(図2に関連する現象を示す)、推進薬の表面から脱落したアルミニウム粒子は、塊状化して、表面に取り込まれているアルミニウムよりも大きい粒体を形成する傾向があることが分かった。脱落しなかったものは、塊状化せずに表面に留まる。実験室観察により、アルミニウム添加コンポジット推進薬が発生させる燃焼残留物の粒度分布は、取り込まれているアルミニウムの粒径とは別に、一般に2つのピーク部、すなわち、径約60μmに中心がある主要ピーク部と、約0.5μmから3μmに中心がある二次ピーク部とを有することが分かった。粒径10μm超の粒子が総体積に占める割合は、通常、約30%である。
【0018】
上述したように、アルミニウム添加推進薬の燃焼により発生するアルミナは、スラスタから排出される物質量の約30%を占める。
【0019】
第1の観点については、大径(10μm超)のアルミナ粒子が生成されると、一体化ノズルを備える宇宙用スラスタの場合には、これらが後部に堆積されることになり、その結果、推進力が低下する。推進薬の質量の0.5%超が、後部で貯留されてエンジンから噴射されなかったアルミナとして見つかることが予測される。具体的には、このような大径粒子は空力抵抗が大きく、流線に抗い、(ノズルの一体型構造によって形成された椀状の)エンジンの後部に貯留される。放出されなかったこのような物質は、一方では、エンジン効率に不利益を生じ、他方では、エンジンが切られた後に宇宙空間での切り離し作業を通じて、かなりの大きさ(すなわち、数ミリメートル超)のアルミナの軌道上デブリを発生させる可能性がある。
【0020】
したがって、当業者は、微小粒径のアルミナを発生させる固体推進薬が利用可能になることを望んでおり、その理由は、粒径が小さいほど流線に沿ってノズルから噴射されやすく、それによりエンジン後部での累積が回避されるからである。
【0021】
第2の観点については、大型の固体推進薬エンジンの内部形態に固有の、空力的不安定性という問題が生じる可能性がある(燃焼生成物の側方噴射、噴流の合流、構造的事故(geometrical accidents)または突出部材のばたつき等)。このような空力的不安定性は、推進薬の燃焼および/または燃焼室の音響と相互作用して共鳴現象を誘発する可能性がある。このような共鳴現象は、結果として、打ち上げロケットのペイロードに対する機械的振動となる。したがって、ペイロードを保護するために、このような現象を低減することが常に求められている。
【0022】
当業者は、様々な手段によって、不利益をもたらすこのような空力的不安定性を低減しようと努めてきた。1つの方法として、バッフル、挿入物、または共鳴ロッドなどの流れに対する障害物や、キャビティを導入することがあげられる(この点については、仏国特許第2844557号、米国特許第3795106号および仏国特許第2764645号を参照してよい)。このような方法を用いた場合、いくつもの開発試験が必要となり、また、搭載される慣性質量の増加により常にエンジン効率の悪化が起こる。
【0023】
より最近では、複合的な理論的考察により、大型のエンジンの場合は、上記のような空力的不安定性を低減するためには、粒径の小さい(径1μmまで)のアルミナが生成されることが好ましいことが証明された。
【0024】
したがって、当業者は、発射特性、とりわけ燃焼速度を、既知の宇宙開発分野向け工業推進薬と同様のものに維持しつつ、燃焼によって小径のアルミナを生成する(それにより固体推進薬スラスタにおける推力振動の低減が促進され、またそれに併せて、ノズルの後部の堆積物を減少させるという好影響をもたらす)、アルミニウム添加固体推進薬が利用可能になることを望んでいる。
【0025】
以下では、全ての粒径データは、規格NF11−666に定められた手順に則って、光子相関光学的測定計(PCS−DLS:光子相関分光法−拡散光散乱法(Diffusion Light Scattering)を使用して行われた測定により得られたものである。
【0026】
1の粒径カテゴリについての粒径測定の結果は、曲線の形で表されるが、その一つが、粒子の径(球相当径)の関数としての粒子の体積百分率(ふるい通過量(passing volume)百分率としても知られる)の頻度分布、別の表示が、径が大きくなるにつれて積算されていく、粒子の直径(球相当径)の関数としての積算体積分布である。
【0027】
体積百分率の積算曲線には、分析された試料の3つの特徴的な値が記録される。
【0028】
10:積算体積百分率が10%にあたる径
50:積算体積百分率が50%にあたる径
90:積算体積百分率が90%にあたる径。
【0029】
粒状材料の粒径カテゴリは、D10、D50およびD90の最小値および最大値によって定義される粒径枠(particle size envelope)によって定義される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
本発明は、
ポリウレタンバインダー含有で、過塩素酸アンモニウム装薬およびアルミニウム装薬を内蔵し、
推進用途に適した発射特性(Vc、n)を有し、さらに、
燃焼中に小粒径のアルミナ粒子を発生させる、固体推進薬に関する。
【0031】
出願人は、宇宙開発の推進分野に適した発射パラメータの標準的な値を維持しつつ、径10μm超の粒子の生成を低減すること、さらには実質的になくすことを目的として、推進薬の燃焼の際に燃焼するアルミニウムの塊状化が抑制されるように、(単峰性)粒度がそれぞれ異なる過塩素酸アンモニウムを選択して組み合わせることに成功した。
【0032】
本発明の固体推進薬によって(その燃焼中に)生成されるアルミナは微小粒径であるため、エンジン後部における堆積が低減され、圧力振動が減衰される。
【課題を解決するための手段】
【0033】
本発明の第1の主題は、
液体ポリマーポリオール(一般には5質量%から15質量%の割合で、より一般には7質量%から14質量%の割合で混合物中に含まれる)と、過塩素酸アンモニウム酸化装薬(一般には40質量%から80質量%の割合で、より一般には60質量%から75質量%の割合で混合物中に含まれる)と、アルミニウム還元装薬(一般には、15質量%から20質量%の割合で、より一般には16質量%から19質量%の割合で混合物中に含まれる)と、NCO/OH架橋比が0.8から1.1の間であり、有利には1であるような量の、少なくとも1つの、前記液体ポリマーポリオールの架橋剤と、少なくとも1つの可塑剤と、少なくとも1つの添加剤(前記一または複数の、架橋剤、可塑剤、および添加剤は、一般には5質量%未満の割合で、より一般には1質量%から3質量%の割合で混合物中に含まれる)とを含む混合物をミキサで混合してペーストを作製するステップと、
得られた前記ペーストを型に注入するステップと、
前記型内の前記ペーストを熱架橋させるステップとを備える、コンポジット固体推進薬を得る方法である。
【0034】
特徴的には、前記ペースト中の前記過塩素酸アンモニウム酸化装薬が、少なくとも、
単峰性粒度分布でD10の値が100μmから110μmの間、D50の値が170μmから220μmの間、D90の値が315μmから340μmの間である(「カテゴリA」)第1の装薬と、
単峰性粒度分布でD10の値が15μmから20μmの間、D50の値が60μmから120μmの間、D90の値が185μmから220μmの間である(「カテゴリB」)第2の装薬と、さらに任意選択的に、
単峰性粒度分布でD10の値が1.7μmから3.6μmの間、D50の値が6μmから12μmの間、D90の値が20μmから32μmの間である(「カテゴリC」)第3の装薬とを、単独でまたは混合物として、前記ミキサに投入した結果得られる。
【0035】
本発明の方法は、目的とする推進薬の構成材料からペーストを作製するステップと、このペーストを型に注入するステップと、熱処理により架橋を行う(焼成)ステップとを含む、従来に類似の方法である。考慮されている構成材料は、この種の推進薬に標準的な構成材料である。その構成材料は、
好ましくはヒドロキシテレケリックポリブタジエンである液体ポリマーポリオールと、
過塩素酸アンモニウム(AP)酸化装薬と、
アルミニウム(Al)還元装薬と、
一般にポリイソシアネート類から選択され、好ましくは脂環式ポリイソシアネートからなる、少なくとも1つの、前記ポリマーポリオールの架橋剤(通常液体)(少なくとも2官能性)とを含み、上記架橋剤は、有利には、ジシクロヘキシル−メチレンジイソシアネート(dicyclohexyl−methylene diisocyanate)(MCDI)からなり、
さらに、上記構成材料は、ジオクチルアゼレート(DOZ)、セバシン酸ジイソオクチル、イソデシルペラルゴネート、ポリイソブチレン、およびジオクチルフタレート(DOP)から選択される、少なくとも1つの可塑剤と、
少なくとも1つの添加剤とを含み、この少なくとも1つの添加剤は、特には、たとえばビス(2−メチルアジリジニル)メチルアミノ−ホスフィンオキシド)(メチルBAPO)またはトリエチレンペンタミンアクリロニトリル(TEPAN)などの、バインダーと酸化装薬とを結合させる一または複数の薬剤でもよく、たとえばジ−tert−ブチル−パラ−クレゾール(di−tert−butyl−para−cresol)(DBC)または2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)(2,2’−methylene−bis(4−methyl−6−tert−butylphenol))(MBP5)などの、ゴム産業の酸化防止剤に由来する一または複数の酸化防止剤でもよく、たとえば鉄アセチルアセトネートもしくは銅アセチルアセトネート、またはジブチル錫ジラウレート(DBTL)などの一または複数の架橋触媒でもよく、たとえば酸化鉄などの一または複数の燃焼触媒でもよい。
【0036】
上記の構成材料は、上述した標準的な量(質量パーセント)で配合される。
【0037】
なお、上に列挙した構成材料は、完全網羅的なものでないことに留意されたい。したがって、他のエネルギー性物質がミキサに投入されることは除外されない。
【0038】
上述の技術的課題を参照すると、本発明の方法において、過塩素酸アンモニウム酸化装薬は、最適になり、上述のような単峰性粒度分布をそれぞれ有する、少なくとも第1の装薬および第2の酸化装薬から(場合によっては第3酸化装薬からも)得られる。この過塩素酸アンモニウム酸化装薬は、特徴的には、単峰性粒度分布がそれぞれ異なる少なくとも2つの装薬、すなわちカテゴリA(上記参照)の第1の装薬とカテゴリB(上記参照)の第2の装薬とを、単独でまたは混合物として、ミキサに投入した結果得られる。カテゴリC(上記参照)の第3の酸化装薬を投入することは、明示的に想定されている。少なくとも1つの他の装薬を、(カテゴリA、B、およびCの装薬に追加して)投入することは、本発明の範囲から除外されない。これは、原則として、あまり有益ではない。
【0039】
特徴的には、混合物中の過塩素酸アンモニウム酸化装薬は、少なくとも部分的に、有利には全体的に、特定の単峰性粒度分布を(それぞれ)有する第1の装薬および第2の酸化装薬から、場合によっては、特定の単峰性粒度分布を(それぞれ)有する第1の装薬、第2の酸化装薬、および第3の酸化装薬から、ミキサ内で作製される。
【0040】
特定の単峰性粒度分布がそれぞれ異なる、第1の酸化装薬および第2の酸化装薬の、または、第1の酸化装薬、第2の酸化装薬、および第3の酸化装薬の混合物(2成分系または3成分系)は、事前に作製されてもよい。このような変形例によると、推進薬の酸化装薬は、事前に作製されて、すなわち予め形成されてからミキサに添加される。
【0041】
特定の単峰性粒度分布がそれぞれ異なる、第1の酸化装薬および第2の酸化装薬の、または、第1の酸化装薬、第2の酸化装薬、および第3の酸化装薬の混合物(2成分系または3成分系)は、ミキサ内のみで、ペースト中に作製されてよい。この変形例によると、混合物は予め形成されない。したがって、第1の装薬、第2の装薬、場合によっては第3の装薬も、別々に投入されてよい。この変形例においては、3種類の酸化装薬が投入される場合、第1の酸化装薬と第2の酸化装薬との2成分系の混合物、第1の酸化装薬と第3の酸化装薬との2成分系の混合物、または、第2の酸化装薬と第3の酸化装薬との2成分系の混合物(各酸化装薬はそれぞれ特定の単峰性粒度分布を有する)を予め形成することも可能である。その後、上記の混合物はミキサに加えられ、次いで、推進薬の酸化装薬が第1の装薬、第2の装薬、および第3の装薬によって構成されるように、それぞれについて、第3の酸化装薬、第2の酸化装薬、または第1の酸化装薬(不足を補う酸化装薬)が加えられる。
【0042】
単独または混合物(2成分系または3成分系の混合物)としての投入という上記の概念が、これらの変形例全てを包含していることが理解されよう。
【0043】
発明者らは、称賛すべきには、過塩素酸アンモニウムの単峰性粒度分布カテゴリーA、BおよびCを特定し、アルミニウム添加コンポジット固体推進薬の酸化装薬の組成におけるそれらの値を具体的に示した。
【0044】
有利な一変形例によると、ペースト中の過塩素酸アンモニウム酸化装薬は、単峰性粒度分布が上述(D10、D50およびD90の値の範囲によって記述)したものである第1および第2の装薬を、(単独でまたは混合物として)ミキサに投入することによってのみ生じる。
【0045】
上記の第1の酸化装薬、第2の酸化装薬、さらには第3の酸化装薬のそれぞれの量については、完全に非限定的な形で、以下のように記述することが可能である。
【0046】
前記ペースト中の前記過塩素酸アンモニウム酸化装薬(100%)が、一般に、
12質量%から70質量%の前記第1の装薬(カテゴリA)と、
10質量%から81質量%の前記第2の装薬(カテゴリB)と、
0から23質量%の前記第3の装薬(カテゴリC)とを、単独でまたは混合物として、前記ミキサに投入した結果得られる。
【0047】
前記酸化装薬は、特には、
20質量%から65質量%(さらには20質量%から60質量%)の前記第1の装薬(カテゴリA)と、
35質量%から80質量%(さらには、それぞれ、40質量%から80質量%)の前記第2の装薬(カテゴリB)と、
0から22質量%の前記第3の装薬(カテゴリC)とを、単独でまたは混合物として、前記ミキサに投入した結果得られてよい。
【0048】
前記ペースト中の前記過塩素酸アンモニウム酸化装薬(100%)が、極めて一般には、
12質量%から61質量%の前記第1の装薬(カテゴリA)と、
36質量%から81質量%の前記第2の装薬(カテゴリB)と、
0から23質量%の前記第3の装薬(カテゴリC)とを、単独でまたは混合物として、前記ミキサに投入した結果得られる。
【0049】
上述の有利な変形例(第1の酸化装薬および第2の酸化装薬のみが関与する)では、前記ペースト中の前記過塩素酸アンモニウム酸化装薬(100%)が、好ましくは、
20質量%から65質量%の前記第1の装薬(カテゴリA)と、
35質量%から80質量%の前記第2の装薬(カテゴリB)とを、単独でまたは混合物として、前記ミキサに投入した結果得られ、より好ましくは、
42質量%から61質量%の前記第1の装薬(カテゴリA)と、
39質量%から58質量%の前記第2の装薬(カテゴリB)とを、単独でまたは混合物として、前記ミキサに投入した結果得られる。
【0050】
上述の技術的課題を参照すると、アルミニウム装薬の粒径(ここで、単峰性粒度分布が異なる複数のアルミニウム還元装薬が関与してもよいことが思い起こされる(以下の実施例参照))が2番目のパラメータである。アルミニウム粒子は、一般に、40μm以下のメジアン径を有する。中心が約1μmから3μmである単峰性粒度分布のアルミナが生成されることになるという最良の結果は、メジアン径が1μmから10μmの間のアルミニウム粒子と、ミキサに投入されて過塩素酸アンモニウム装薬を構成する、ある特定の配合の(後述の実施例参照)カテゴリAおよびカテゴリBの過塩素酸アンモニウムとによって得られる。
【0051】
したがって、前記アルミニウム装薬は、一般に40μm以下、有利には1μmから10μmの間のメジアン径(D50)を有する。前記アルミニウム装薬のD10の値およびD90の値が、有利には、前記メジアン径の少なくとも4分の1および前記メジアン径の4倍以下にそれぞれ対応する。
【0052】
第2の主題によると、本発明は、特定の単峰性粒度分布がそれぞれ異なる複数の過塩素酸アンモニウム酸化装薬が関係する上記の方法によって得ることができる、アルミニウム添加固体推進薬に関する。
【0053】
上述した本発明の方法は、実際に、新規なコンポジット固体推進薬につながる。過塩素酸アンモニウムおよびアルミニウムが装填された、ポリウレタンバインダー含有コンポジット固体推進薬であって、燃焼により、15体積%未満、一般には2体積%から10体積%の、径10μm超のアルミナ粒子を発生させる、コンポジット固体推進薬それ自体が、特許請求の範囲に記載されている。アルミナ粒子の径(球相当径)は、光子相関光学的測定計(後述参照)によって測定される。
【0054】
本発明の固体推進薬は、一般に、3MPaから10MPaの作動圧力範囲において、燃焼速度が6mm/sから12mm/sの間であり、圧力指数が0.15から0.4の間、有利には、0.2から0.4の間であり、これらは発射パラメータの標準的な値に対応する。本発明の方法の主要な関心事は、このような発射特性を有し、燃焼により小粒径のアルミナ粒子を発生させる、固体推進薬の製造を可能にすることである。
【0055】
本発明の推進薬の燃焼により生成されるアルミナの粒径は、「ロータリートラップ(rotary trap)」または「QPCB(quench particle combustion bomb)」として知られる、国際社会で認められた測定機器によって測定された。この機器は、モートン・チオコール(Morton Thiokol)社により開発された(P.C. Braithwaite、W.N. Christensen、V. Daugherty (Morton Thiokol)の「Quench bomb investigation of aluminium oxide formation from solid rocket propellants (partI)」参照:実験方法、第25回JANNAF燃焼会議、CPIA刊行物498、vol.1、p.175、1988年10月)。その原理は、通常窒素により加圧されたチャンバ内に固定されたロッドの端部で推進薬の試料小片を室温で燃焼させるということである。この試料の周りをアルコールを含む椀状体が回転する。試料と、椀状体の壁部に形成されたアルコール膜との距離は、調整可能である。燃焼表面から放出された粒体の多くは、この回転する液体に衝突する。試験終了後、この液体が回収され、粒子が分析される。
【0056】
次いで、回収された粒子の体積基準の粒度分布が、光子相関光学的測定計(PCS−DLS:光子相関分光法−拡散光散乱法)を用いて測定される。
【0057】
本発明の固体推進薬は、その燃焼中に、従来技術の同種の推進薬の燃焼によって生成される粒子より小径の粒子を生成する。本発明の推進薬については、径(球相当径)が10μm超の粒子が総体積に占める割合(ふるい通過量の割合)は、15%未満、一般には2%から10%の間であり、これは、従来技術の参照用推進薬(〜30%)よりも格段に低い。
【0058】
本発明の推進薬の燃焼により生成される粒子についての各粒径曲線は、常に、従来技術の推進薬と同様に、中心が約0.1μmから3μmの粒度分析上ピークを示す。本発明の推進薬のうちいくつかは、従来技術の推進薬と同じく、径10μm超の粒子に対応する第2の粒度分析上ピークも観察された。この第2のピークは、本発明の推進薬については、中心が約10μmから50μmであり、これは、従来技術の推進薬について観察されたもの(60μmから100μm)よりも小さい。本発明の好ましい推進薬には、このような第2の粒度分析上ピークがないため、生成される径10μm超の粒子は残余比率分だけである。
【0059】
別の主題によると、本発明は、本発明の固体推進薬を含む固体推進薬装填物に関する。
【0060】
さらに別の主題によると、本発明は、本発明の推進薬を含む装填物を少なくとも1つ備えるロケットエンジンに関する。
【0061】
最後に、本発明の主題は、上述の本発明のコンポジット固体推進薬を得る方法において特に有用な、また、上述の本発明のコンポジット固体推進薬を得るのに特に有用な、過塩素酸アンモニウム酸化装薬である。前記酸化装薬は、上で定義された前記第1の装薬、前記第2の装薬、および前記第3の装薬から選択される少なくとも2つの装薬を混合することによって得ることができ(2成分系または3成分系の混合物)、有利には、上で定義された、少なくとも前記第1の装薬と、少なくとも第2の装薬とを混合すること(2成分系の混合物)、さらには選択的に少なくとも前記第3の装薬も混合すること(3成分系の混合物)によって得ることができ、非常に有利には、上で定義された、少なくとも前記第1の装薬と、少なくとも前記第2の装薬とを混合すること(2成分系の混合物)によって得ることができる。また、前記酸化装薬は、有利には、上述の質量割合で前記第1から第3の装薬を含む。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】アルミニウム粒体の燃焼の概略図である。
【図2】固体推進薬の燃焼中に粒径の異なるアルミナが生成される現象を示す図である。
【図3】従来技術の参照用推進薬(下記参照)により生成された粒子と比較した、本発明の好ましい推進薬(下記実施例9参照)により生成された粒子についての、光子相関光学的測定計(PCS−DLS、光子相関分光法−拡散光散乱法)を使用して測定された、体積基準の粒径曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下、いかなる限定も意図せず、添付の図面および下記の実施例を参照しつつ、本発明を説明する。
【0064】
図1では、固体推進薬を1、この固体推進薬の燃焼表面を2、燃焼中のアルミニウム粒体を3、この粒体3の底部のアルミナキャップを4、炎を5、噴煙を6で示す。
【0065】
図2では、固体推進薬を1、その燃焼表面を2、アルミニウム粒体を3、燃焼中のその粒体3の底部のアルミナキャップを4で示す。上記図2では、塊状化したアルミニウム粒体を3’、小径粒子(径約1μm)で構成される煙を7、残留酸化物粒子(径がそれぞれ約0.5μm〜4μmおよび40μm〜100μm)を8および8’で示す。
【0066】
ここで、実施例(本発明の推進薬の配合についての実施例)によって本発明を説明することとする。
【0067】
下記の表1に、本発明による固体推進薬の構成物質(PA、Al)の質量百分率、この推進薬の発射特性、および、この推進薬の燃焼中に生成されるアルミナの粒径を示す。3つの参照用推進薬についても、同様のデータが示されている。表1の固体推進薬は、ポリウレタンバインダー含有コンポジット固体推進薬であり、過塩素酸アンモニウム酸化装薬およびアルミニウム装薬を含む。
【0068】
参照用推進薬1および2は、標準的な組成である。これらは、宇宙開発分野で使用される種類のものである。参照用推進薬3は、過塩素酸アンモニウムの小径粒子が相当量(42%)存在することが燃焼速度に及ぼす影響を示す(当然ながら、小径アルミナ粒子が得られる)。
【0069】
実施例1〜12による本発明の固体推進薬は、参照用推進薬1および2の燃焼速度および圧力指数と同様に、目的とする用途の分野で期待される速度・指数範囲内の、5MPaで測定された燃焼速度および圧力指数を有する。
【0070】
表1の最終行は、Massaらの表3の推進薬M12(Journal of Propulsion and Power、vol.24、No.2、2008年3月〜4月)に関する。この推進薬は、200μmおよび82.5μmの過塩素酸アンモニウム粒子(それぞれ、26.92%=27%、40.38%=40%)と、3μmのアルミニウム粒子(20%)とを含有する。
【0071】
表1に記載のアルミニウム装薬の粒径枠を、表2に示す。
【0072】
表1の固体推進薬によって生成されるアルミナ粒子は、捕集手段(上で説明した「ロータリートラップ」試験手段)を備える加圧チャンバを使用して回収された。粒子を捕捉する手順は以下の通りである。
試験用推進薬試料は、抑制面なし(no inhibited face)の立方体(一辺の長さが1センチメートル)の形状であり、
この試験用試料を保持する試料支持体が、ロータリートラップの内部に配置され、
試験中、ロータリートラップ内に含まれるアルコールが、回転により、椀状体の側壁に、膜状(厚さ約2mm)にしだいに配列し、
チャンバ内部の圧力は、相対圧力5MPaに設定され、加圧は窒素により行われ、推進薬試料とアルコール膜との距離は、燃焼開始時点で20mmであり、放出された粒子は、水平方向に採取され、
アルコール膜に対向する推進薬立方体の自由面(free face)が点火される(燃焼の持続時間が非常に短時間であることにより、実質上一定の燃焼表面を維持することができる)。
【0073】
回収の原理は、推進薬試料の燃焼ガス中に放出された凝縮相の粒子を、アルコール中で回収することである。
【0074】
次いで、回収された粒子の体積基準の粒度分布が、光子相関光学的測定計(PCS−DLS:光子相関分光法−拡散光散乱法)を用いて測定される。
【0075】
浮遊状態でエタノール中に回収された残留物は、この測定計にかけられる前に、超音波処理にかけられる。
【0076】
図3を参照すると、推進薬の燃焼中にエタノール中で収集された粒子の分布すなわち粒度分布は、2種類の曲線で表され、その一方が、分析対象の粒子の球相当径のカテゴリの関数としての、粒子の体積比率を示す頻度分布であり、他方が、分析対象の粒子の球相当径のカテゴリの関数としての積算体積比率を示す曲線である。
【0077】
図3には、参照用推進薬1について得られた曲線と、本発明による実施例9について得られた曲線とが示されている。
【0078】
参照用固体推進薬の燃焼によって生成されて回収された粒子の各粒径曲線、および、本発明による各実施例についての粒径曲線に示された特徴的な数値を表1に示す(表1の右方3列を参照)。
【0079】
表1の各固体推進薬の組成は、過塩素酸アンモニウム装薬の質量百分率およびこの装薬の構成(カテゴリA/B/C)と、アルミニウムの質量百分率およびその粒径カテゴリ(表2に記載)と、質量100%となるための残り部分とにより示され、この残り部分は、サートマー社が販売するヒドロキシテレケリックポリブタジエンポリマーポリオール(hydroxytelechelic polybutadiene polyol polymer)PBHT R45HTLOと、架橋剤MDCIと、可塑剤DOZと、複数の添加剤とから構成される。
【0080】
粒径頻度分布は常に、径10μm未満で、少なくとも1つの粒度分析上ピークを示す。表1の「Dピーク<10μm」欄に示す数値は、このような、測定された径10μm未満の少なくとも1つの粒度分析上ピークの最大値または最大値範囲(ピークが複数ある場合、または、複数の試験でばらついた値が測定された場合)に対応する。粒径曲線が、径10μm超の粒子について複数の粒度分析上ピークを示す場合は、径10μm超の粒子について記録された粒度分析上ピークの最大径値または最大径値範囲(たとえば、複数の試験にわたった場合)が、表1の「Dピーク>10μm」欄に記載されている。
【0081】
本発明の推進薬について「Dピーク<10μm」に記録された数値は、参照例の数値と同様である。一方、本発明の推進薬の「Dピーク>10μm」の数値は、すべて、参照例1および2の数値より小さい。本発明による実施例7、8、9、11および12については、10μm超の粒度分析上ピークが観察されなかった。
【0082】
本発明の固体推進薬は、参照用推進薬1および2と比較すると、径10μm超のアルミナ粒子が生成される量が少ない。このことは、径10μm超の粒子のカテゴリに相当する体積百分率(分析対象の粒子の球相当径カテゴリの関数としての積算体積比率を示す曲線上に示される、ふるい通過量)の値によって表1に示されている。本発明の推進薬のすべてで、参照用推進薬よりも格段に少ない、径10μm超の粒子のふるい通過量比率となった。
【0083】
表1に記載した複数の固体推進薬のうち、実施例8および9の固体推進薬の数値が注目されてよく、これらは、参照用推進薬(1および2)と同様の燃焼速度を示しつつ、非常に小さい比率で径10μm超の粒子を生成している。
【0084】
Massaらの表3の推進薬M12(Journal of Propulsion and Power、vol.24、No.2、2008年3月〜4月)は、中心がそれぞれ200μmと82.5μmである(すなわち、中心はそれぞれ本発明によるカテゴリAおよびBの装薬のD50の範囲内にある)粒度分布の過塩素酸アンモニウムからそれぞれ構成される2つの過塩素酸アンモニウム装薬を含有する。
【0085】
この推進薬M12は、40MPaで14mm/sの燃焼速度を有する(図12c)。固体推進薬の燃焼速度は、圧力に応じて増大するため、5MPaの圧力(本発明の実施例の基準圧力)での推進薬M12の燃焼速度は必然的に、この14mm/sという値よりも大きくなる。したがって、参照用推進薬1および2の燃焼速度よりも格段に速い。
【0086】
このことにより、複数の過塩素酸アンモニウム装薬をそのメジアン径(D50)だけを基準に選択するのでは、参照用推進薬1および2の燃焼速度に非常に近い燃焼速度と生成される径10μm超のアルミナ粒子が非常に小さい比率であることとの両方を確実にするために不十分であることが分かる(ここで、Massaらは、生成されるアルミナの粒径について何の情報も提供していないことを再度記載しておく)。したがって、適切なD10範囲、D50範囲、およびD90範囲の複数の過塩素酸アンモニウム装薬を選択することで、出願人は、所望の目的を達成した。
【0087】
【表1】

【0088】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体ポリマーポリオールと、過塩素酸アンモニウム酸化装薬と、アルミニウム還元装薬と、NCO/OH架橋比が0.8から1.1の間であり、有利には1であるような量の、少なくとも1つの、前記液体ポリマーポリオールの架橋剤と、少なくとも1つの可塑剤と、少なくとも1つの添加剤とを含む混合物をミキサで混合してペーストを作製するステップと、
得られた前記ペーストを型に注入するステップと、
前記型内の前記ペーストを熱架橋させるステップとを備え、
前記ペースト中の前記過塩素酸アンモニウム酸化装薬が、少なくとも、
単峰性粒度分布でD10の値が100μmから110μmの間、D50の値が170μmから220μmの間、D90の値が315μmから340μmの間である第1の装薬と、
単峰性粒度分布でD10の値が15μmから20μmの間、D50の値が60μmから120μmの間、D90の値が185μmから220μmの間である第2の装薬と、さらに任意選択的に、
単峰性粒度分布でD10の値が1.7μmから3.6μmの間、D50の値が6μmから12μmの間、D90の値が20μmから32μmの間である第3の装薬とを、単独でまたは混合物として、前記ミキサに投入した結果得られることを特徴とする、コンポジット固体推進薬を得る方法。
【請求項2】
前記ペースト中の前記過塩素酸アンモニウム酸化装薬が、前記第1の装薬と前記第2の装薬とを、単独でまたは混合物として、前記ミキサに投入した結果得られることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ペースト中の前記過塩素酸アンモニウム酸化装薬が、
12質量%から70質量%の前記第1の装薬と、
10質量%から81質量%の前記第2の装薬と、
0から23質量%の前記第3の装薬とを、単独でまたは混合物として、前記ミキサに投入した結果得られることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ペースト中の前記過塩素酸アンモニウム酸化装薬が、
12質量%から61質量%の前記第1の装薬と、
36質量%から81質量%の前記第2の装薬と、
0から23質量%の前記第3の装薬とを、単独でまたは混合物として、前記ミキサに投入した結果得られることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ペースト中の前記過塩素酸アンモニウム酸化装薬が、
20質量%から65質量%の前記第1の装薬と、
35質量%から80質量%の前記第2の装薬とを、単独でまたは混合物として、前記ミキサに投入した結果得られることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ペースト中の前記過塩素酸アンモニウム酸化装薬が、
42質量%から61質量%の前記第1の装薬と、
39質量%から58質量%の前記第2の装薬とを、単独でまたは混合物として、前記ミキサに投入した結果得られることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記アルミニウム還元装薬が、40μm以下、有利には1μmから10μmの間のメジアン径を有し、有利には、その粒度分布におけるD10の値およびD90の値が、前記メジアン径の値の少なくとも4分の1および前記メジアン径の値の4倍以下にそれぞれ対応することを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の方法によって得ることができる、過塩素酸アンモニウムおよびアルミニウムが装填された、ポリウレタンバインダー含有コンポジット固体推進薬。
【請求項9】
燃焼により、15体積%未満、一般には2体積%から10体積%の間の、径10μm超のアルミナ粒子を発生させる、請求項8に記載の固体推進薬。
【請求項10】
3MPaから10MPaの作動圧力範囲において、燃焼速度が6mm/sから12mm/sの間であり、圧力指数が0.15から0.4の間、有利には、0.2から0.4の間であることを特徴とする、請求項8または9に記載の固体推進薬。
【請求項11】
請求項8から10のいずれか1項に記載の固体推進薬を含むことを特徴とする、固体推進薬装填物。
【請求項12】
請求項11に記載の装填物を少なくとも1つ備えることを特徴とする、ロケットエンジン。
【請求項13】
請求項1から7のいずれか1項に記載の、コンポジット固体推進薬を得る方法において特に有用な、過塩素酸アンモニウム酸化装薬であって、請求項1で定義された前記第1の装薬、前記第2の装薬、および前記第3の装薬から選択される少なくとも2つの装薬を混合することによって得ることができ、有利には、請求項1で定義された、少なくとも前記第1の装薬と、少なくとも前記第2の装薬と、さらに選択的に少なくとも前記第3の装薬とを混合することによって得ることができ、非常に有利には、請求項1で定義された、少なくとも前記第1の装薬と、少なくとも前記第2の装薬とを混合することによって得ることができる、過塩素酸アンモニウム酸化装薬。
【請求項14】
請求項3から6のいずれか1項に示された質量パーセントで、前記第1の装薬、前記第2の装薬、および選択的に前記第3の装薬を含む、請求項13に記載の酸化装薬。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−531380(P2012−531380A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519034(P2012−519034)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051364
【国際公開番号】WO2011/001107
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(506100082)エスエムウー (24)
【氏名又は名称原語表記】SME
【住所又は居所原語表記】2,boulevard du General Martial,Valin 75015 Paris,FRANCE