説明

アレルギー対応蒲鉾の製造方法

【課題】
蒲鉾の製造方法に関し、健康志向に十分に応えることができ、従来見られない全く異なった特長であるアレルギー対応を有する蒲鉾を実現することを目的とする。
【解決手段】
魚のすり身、みりん、及魚のだし汁、海水からの塩を順次添加しながら混練した後、熟成、加熱をして調製した。魚のすり身は、急速冷凍されたえそ、金時鯛、イワシ、ホッケまたは南ダラで、魚あらのだし汁を使用したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リン酸塩を添加しない魚のすり身からのアレルギー対応蒲鉾の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蒲鉾および蒲鉾の製造方法としては、従来から色々試みられており、また各地方地方で、独特な蒲鉾が製造されている。さらに、蒲鉾の消費増大のために、公報などに掲載されているように、イカの胴の部分にイカの手を細かく挽いた肉片と魚肉の摺り身とを混ぜて調味を施した蒲鉾原料を詰め込み、蒸し上げて透明の合成樹脂フィルムで真空包装してなる蒲鉾などが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
蒲鉾および蒲鉾の製造方法に関し、健康志向やグルメ志向に十分に応えることができ、従来見られない全く異なった特長を有する蒲鉾を実現することを目的とする。少なくとも魚のすり身、調味料、澱粉、ひとえぐさ及び青菜汁を混練した状態で平らに形成したものと、少なくとも魚のすり身、調味料、澱粉およびイカ墨を混練した状態で平らに形成したものとを重ね、渦巻状に巻き付けた状態で加熱することを特徴と蒲鉾の製造方法である(特許文献2参照)。
【0004】
卵アレルギーの体質の改善が図れ、または、卵アレルギーの予防が図れる食材を、上記卵アレルギー体質改善材または卵アレルギー予防材を配合してなる加工食品を提供する。卵の蛋白を含有しない加工卵白を配合してなる卵アレルギー体質改善用または卵アレルギー予防用加工食品として蒲鉾の提供するものである(特許文献3参照)。しかし完全に魚製品で、安心安全で食すろもの目的にして、とくに特質体質の方に喜ばれる魚加工食品は少ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭60−85184号公報
【特許文献2】特開平9−28351号公報
【特許文献3】特開2006−36669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、いろいろと工夫が施され、また各種の原料が用いられているが、近年の健康志向に応えられ、またグルメ志向にも応えられるように美観を伴った蒲鉾を実現できると、より一層需要が増すものと考えられる。
【0007】
本発明は、このような観点から改良を加え、アレルギー対応、さらに健康志向やグルメ志向に十分に応えることができ、従来見られない全く異なった特長を有するアレルギー対応蒲鉾製造方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】

魚のすり身、みりん、及魚のだし汁、海水からの塩を順次添加しながら混練した後、熟成、加熱をして調製するアレルギー対応蒲鉾の製造方法である。
魚のすり身は、急速冷凍されたえそ、金時鯛、イワシ、ホッケまたは南ダラである。好ましくは、急速冷凍されたえそ、近海もののイワシ、ホッケが有効である。
【0009】
調味料としての塩とみりんは、すり身に対して塩を1〜3重量%、みりん1〜5重量%を添加しているアレルギー対応蒲鉾の製造方法である。好ましきは、すり身に対して塩を1〜2重量%、みりん1〜4重量%の添加で、なるべく減塩する。
【0010】
化学調味料を使用していない魚のだし汁は、魚あらを酵素分解して得ただし汁であって、1〜5重量%添加しているアレルギー対応蒲鉾の製造方法である。
好ましくはだし汁は、2〜4重量%である。
【0011】
魚のすり身、調味料、及魚のだし汁から得た混練物成型の熟成は、20〜50℃で1〜3時間静置する。好ましくは、20〜40℃である。
成形した練り製品は80〜100℃の蒸し器で蒸して蒲鉾製品にする。
【0012】
魚のすり身、みりん、または魚のだし汁を混練する場合に塩の添加は、−5℃〜+10℃の温度範囲で混錬するアレルギー対応蒲鉾の製造方法である。好ましくは
原料の状態によって異なるが、−3℃〜+5℃の温度範囲で混錬する
【発明の効果】
【0013】
蒲鉾の材料として、魚のすり身などのほかに、魚のたし汁を加えることによって栄養価も高く、アレルギーの発症する成分を含有しておらず、アレルギー対応の食品の用途の拡大にも寄与している。
【0014】
蒲鉾の材料として、魚のすり身などのほかに、だし汁などの独特な調味料によって、食欲の増進と珍しい外観によって消費の拡大に寄与でき、また特有の魚のたし汁味とコク、栄養価の高いことなどからも、食通たちに好まれる。さらにアレルギー発症者に対して症状も起こりにくく、有効な魚加工食品となる。
【0015】
これらを使った無添加にこだわったかまぼこはアレルギーの方や、体の健康を考えられている方々にとても喜ばれている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】蒲鉾の製造工程図
【発明を実施するための形態】
【0017】
冷凍すり身を解凍し、切断し、攪拌機に魚のだし汁・みりん・酒・塩を添加し、擂潰し、かまぼこ型に形成し、包装し、30℃〜40℃温室で一時間熟成させ、80℃の蒸し器で蒸し、冷却する。さらに包装して0℃以下の冷蔵庫で保存した。魚あらを酵素分解して得ただし汁を使用している。
【0018】
魚のすり身、調味料、澱粉を材料としたかまぼこの場合は無リンの魚のすり身を使用しているが、調味料は北海道道南産の真昆布を使用し、魚を熟成させて造った魚のだし汁である。国内産のコメを使用し、長期熟成させて造った本味醂と天然アミノ酸を豊富な酒と、沖縄の海水から造った塩と、遺伝子組み換えをしていない北海道の馬鈴薯から造った澱粉などで使用している。
【0019】
前期の食品原料を使用すると、魚のすり身の栄養素と昆布だし、みりん、酒、塩などの栄養素が相まって極めて優れた健康食となる。魚のすり身、調味料、澱粉を混練し、包装したものを熟成し、加熱し、冷却し、包装した後に、冷却・保存する。
【実施例1】
【0020】
次に本考案によるかまぼこ及びかまぼこの製造方法がどのように具体化されるかを実施例で説明する。
【0021】
無添加リン酸系のかまぼこの材料としては、
魚のすり身 10kg(解凍した場合)、 魚のだし〜300g、みりん〜160g、塩〜120g、昆布だし 〜50g、 酒 〜30g
〔製造方法〕
【0022】
急速冷凍されたえそのすり身10kgを解凍し、攪拌機に魚のだし汁290g、みりん150g、酒25g、塩110gを順次入れて擂潰した。だし汁は、魚あらを酵素分解して得た。魚のすり身、みりん、及魚のだし汁を混練する場合に塩の添加は、3℃の温度範囲で混錬した。混練物成型の熟成は、35℃で2時間静置した。
混練、熟成した後、成形したものを、水蒸気によって加熱して調製して、製品にした。
【0023】
このようにして造ったかまぼこの混練物を成型したあと、100℃の蒸し器に入れて蒸すと、アレルギー対応の味と栄養価の高い蒲鉾は得られる。
食物でアレルギーが発生する人に10名に試食してもらったが、すべての方がアレルギーの症状は出なかった。
【実施例2】
【0024】
次に本考案によるかまぼこ及びかまぼこの製造方法がどのように具体化されるかを実施例で説明する。
【0025】
無添加リン酸系のかまぼこの材料として、
魚のすり身 10kg(解凍した場合)、 魚のだし280g、 みりん140g、 塩100g、 昆布だし40g、 酒 20g
〔製造方法〕
【0026】
急速冷凍された金時鯛のすり身10kgを解凍し、攪拌機に魚のだし汁280g、みりん140g、酒20g、塩100gを順次入れて擂潰した。だし汁は、魚あらを酵素分解して得た。魚のすり身、みりん、及魚のだし汁を混練する場合に塩の添加は、3℃の温度範囲で混錬した。混練物成型の熟成は、40℃で1時間静置した。
混練、熟成した後、水蒸気によって成形したものを加熱して調製して、製品にした。
【0027】
このようにして造ったかまぼこの混練物を蒲鉾型に成型したあと、100℃の水蒸気による蒸し器に入れて蒸す。アレルギー対応の蒲鉾が得られた。
食物でアレルギーが発生する人に10名に試食してもらったが、すべての方がアレルギーの症状は出なかった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚のすり身、みりん、及魚のだし汁、海水からの塩を順次添加しながら混練した後、熟成、加熱をして調製することを特徴とするアレルギー対応蒲鉾の製造方法。
【請求項2】
魚のすり身は、急速冷凍されたえそ、金時鯛、イワシ、ホッケまたは南ダラであることを特徴とする請求項1に記載のアレルギー対応蒲鉾の製造方法。
【請求項3】
調味料としての塩とみりんは、すり身に対して塩を1〜3重量%、みりん1〜5重量%を添加していることを特徴とする請求項1、又は2に記載のアレルギー対応蒲鉾の製造方法。
【請求項4】
化学調味料を使用していない魚のだし汁は、魚あらを酵素分解して得ただし汁であって、1〜5重量%添加していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアレルギー対応蒲鉾の製造方法。
【請求項5】
魚のすり身、調味料、及魚のだし汁から得た混練物成型の熟成は、30〜40℃で1〜3時間静置することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアレルギー対応蒲鉾の製造方法。
【請求項6】
魚のすり身、みりん、及魚のだし汁を混練する場合に、塩の添加を−3℃〜+5℃の温度範囲で混錬操作を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のアレルギー対応蒲鉾の製造方法



【図1】
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【公開番号】特開2011−83259(P2011−83259A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−240473(P2009−240473)
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【出願人】(309029739)株式会社吉開のかまぼこ (1)
【Fターム(参考)】