説明

アレルゲン剤形

【課題】アレルゲン含有医薬品およびアレルゲン遊離に関して低摩損度であり、剤形は早く溶解し、かつアジュバントを必要としない速分散性固体アレルゲン剤形の提供。
【解決手段】口粘膜投与に適する、ゼラチン及びマンニトールまたはデンプン及びマンニトールからなるマトリックスと少なくとも1種のアレルゲンとを含むアレルゲン含量の損失が少ない速分散性非圧縮固体剤形。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、アレルゲン含有医薬品、および特に速分散性固体アレルゲン剤形ならびにこのような剤形を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
アレルギーは、西洋の生活様式が適合した国における主要な健康問題である。さらに、アレルギー疾患の罹患率はこれらの国において増加している。通常、アレルギーは生命を脅かす疾患とは考えられないが、喘息は、一年でかなりの数の死を引き起こす。約30%の10代の若者における例外的な罹患率は、生活の質、労働時間およびお金に実質的な損失を示唆し、西洋世界における主要な健康問題への分類を正当化する。
【0003】
アレルギーは、複合疾患である。多くの因子が感作事象に貢献する。これらのうち、今のところは充分に理解されていない、いくつかの遺伝子間の相互作用により規定される個体の感受性がある。別の重要な因子は、ある閾値を越えるアレルゲンへの曝露である。汚染、小児期の感染、寄生虫感染、腸管微生物などを含むいくつかの環境因子は、感作プロセスに重要であろう。一旦個体が感作されてアレルギー性免疫応答が確立されると、少量のアレルゲンのみが効率的に症状に変換される。
【0004】
アレルギー疾患の自然な経過は、通常、2つのレベルでの悪化を伴う。第一に、症状および疾患重篤度の進行がある。例えば、枯草熱から喘息への進行がある。第二に、攻撃性(offending)アレルゲンの蔓延がおこると、ほとんどアレルギー多反応性(allergic multi-reactivity)をもたらす。慢性の炎症は、粘膜防御機構の全般的な脆弱化を導き、非特異的刺激およびついには粘膜組織の破壊をもたらす。幼児は、最初に食物、例えばミルクに対して感作され、湿疹または胃腸疾患をもたらす。しかしながら、ほとんどは成長してこれらの症状を自然に失う。これらの幼児は、その生涯の後のほうで吸入アレルギーを発生する危険性がある。
【0005】
最も重要なアレルゲンの源は、我々が呼吸する空気中のあるサイズの最も普及した粒子のうちで見られる。これらの源は、非常に一般的で、芝花粉(grass pollens)および室内チリダニの糞粒子を含み、これらはまとめて全アレルギーの約50%の原因である。世界的に重要なものは、動物の鱗屑、すなわちネコおよびイヌの鱗屑、ヨモギ(mugwort)花粉のような他の花粉、およびアルテルナリア(Alternaria)のような微小菌類である。領域ベースでは、北および中央ヨーロッパではカバノキ(birch)の花粉、米国の東および中央ではブタクサ(ragweed)、そして日本では日本杉の花粉のような他の花粉が優勢であろう。昆虫、例えばミツバチおよびスズメバチの毒ならびに食物は、それぞれ全アレルギーの約2%を占める。
【0006】
アレルギー、すなわちI型過敏症は、外来非病原物質に対する不適切な免疫反応により引き起こされる。アレルギーの重要な臨床的発現は、喘息、枯草熱、湿疹および胃腸疾患を含む。アレルギー反応は迅速で、攻撃性アレルゲンとの接触から20分以内でピークを迎える。さらに、アレルギー反応は特定の個体が特定のアレルゲンに感作されるという意味において特異的であるが、その個体は、アレルギー疾患を引き起こすことが知られている他の物質に必ずしもアレルギー反応を示さない。アレルギーの表現型は、標的器官の粘膜の顕著な炎症、ならびに血流中および肥満細胞および好塩基球の表面上にIgEクラスのアレルゲン特異的抗体が存在することにより特徴付けられる。
【0007】
アレルギー攻撃は、外来アレルゲンのアレルゲン特異的IgE抗体との反応により、抗体が肥満細胞および好塩基球の表面上の高親和性IgE特異的受容体に結合したときに開始される。肥満細胞および好塩基球は、予めつくられたメディエイタ、例えばヒスタミン、トリプターゼおよびその他の物質を含有し、これらは受容体に結合したIgE抗体の2つ以上が架橋することにより放出される。IgE抗体は、1つのアレルゲン分子が同時に結合することにより架橋される。肥満細胞の表面上で受容体に結合したIgEの架橋も、好酸球、アレルゲン特異的T細胞およびその他のタイプの細胞のアレルギー反応部位への誘引を担うシグナル分子の放出を導く。アレルゲン、IgEおよびエフェクター細胞と相互作用するこれらの細胞は、アレルゲンとの遭遇後12〜24時間で起こる、症状の新たなフラッシュを導く(遅発相反応)。
【0008】
アレルギー疾患管理は、診断と、予防治療を含む治療とを含む。アレルギーの診断は、アレルゲン特異的IgEの証明と、アレルゲン源の同定とに関する。多くの場合、注意深い既往歴が、アレルゲンの診断および攻撃性アレルゲン源物質の同定には充分であろう。しかしながら、ほとんどの場合、診断は、皮膚穿刺試験、血液検査または誘発試験のような物質的な測定により支持される。
【0009】
治療のオプションは、3つの主なカテゴリーに入る。最初の機会は、アレルゲンの回避または曝露の削減である。例えば食物アレルゲンの場合にはアレルゲンの回避が明らかであるのに対して、室内チリダニアレルゲンについては困難または高価であり、花粉アレルゲンについては不可能である。第二の最も広く用いられる治療オプションは、抗ヒスタミン剤およびステロイドのような伝統的な対症薬剤の処方である。
【0010】
対症薬剤は安全で有効である。しかし、これらは疾患の元来の原因を変えず、疾患の蔓延を制御しない。第三の治療的代案は、特異的アレルギーワクチン接種であり、これはほとんどの場合、問題のアレルゲンにより引き起こされるアレルギー症状を低減するかまたは緩和する。
通常の特異的アレルギーワクチン接種は、アレルギー疾患の原因療法である。これは、基本的な免疫機構に干渉し、患者の免疫状態の持続的な改善をもたらす。よって、特異的アレルギーワクチン接種の防御的効果は、対症薬療法と対照的に、治療期間を超えて及ぶ。この治療を受けたいくらかの患者は治癒し、加えて、ほとんどの患者は、疾患の重症性および経験した症状の軽減、または少なくとも疾患の悪化の阻止を経験する。よって、特異的アレルギーワクチン接種は、枯草熱が喘息に進行する危険性を減少させ、かつ新しい感受性を発生させる危険性を減少する予防的効果を有する。
【0011】
成功するアレルギーワクチン接種の根底にある免疫機構の詳細は、わかっていない。特定の病原菌に対する抗体産生のような特異的免疫応答は、適応免疫応答として知られている。この応答は、病原菌に対する非特異的反応である先天性免疫応答とは区別することができる。全てのアレルギーワクチンは、T細胞および抗体産生B細胞のような抗原特異性を持つ細胞および分子を含む適応免疫応答に対処するはずである。B細胞は、対応する特異性のT細胞の助けなしには、抗体産生細胞に成熟することができない。アレルギー免疫応答の刺激に参加するT細胞は、主にTh2型である。Th1およびTh2細胞の間の新しいバランスの確立は、有益でありかつ特異的アレルギーワクチン接種の免疫機構の中心であると提案されている。これがTh2細胞の減少、Th2からTh1細胞へのシフト、またはTh1細胞のアップレギュレーションによりもたらされるのかは、議論の余地があるところである。最近、調節性T細胞がアレルギーワクチン接種の機構に重要であることが提案されている。このモデルによると、調節性T細胞、すなわちTh3またはTr1細胞は、対応する抗原特異性のTh1およびTh2の両方の細胞をダウンレギュレーションする。これらのあいまいさにもかかわらず、活性なワクチンはアレルゲン特異的T細胞、好ましくはTH1細胞を刺激する能力を有さなければならないと一般に考えられている。
【0012】
主に2つの理由から、その長所にもかかわらず、特異的アレルギーワクチン接種は広く用いられていない。理由の1つは、数ヶ月にわたる接種のような反復ワクチン接種を含む、伝統的なワクチン接種プログラムに関連する不便さである。もう1つの理由は、より重要なことに、アレルギー副反応の危険性である。感染性因子に対する通常のワクチン接種は、単回または少し多い用量(dose)の免疫接種を用いて行われる。しかしながらこのストラテジーは、異常な免疫応答が既に進行中であるので、アレルギーワクチン接種には用いることができない。
【0013】
よって、通常の特異的アレルギーワクチン接種は、長期間にわたって適用される複数回の皮下免疫接種を用いて行われる。この経過は2つの段階、用量増加(up dosing)と維持の段階に分けられる。用量を増加する用量増加段階は、典型的には16週間の期間にわたって、微量の用量から開始して適用される。推奨される維持用量に到達したときに、この用量が、典型的には6週間毎の注射で維持段階に適用される。各注射に続いて、患者は、生命を脅かすことは原則的に非常に希ではあるが、アナフィラキシー副反応のために30分間医師のもとにいなければならない。これに加えて、クリニックは緊急治療をサポートするための設備を有さなければならない。異なる投与経路に基づくワクチンが、現在の皮下ベースのワクチンに固有のアレルギー副反応の危険性を除くかまたは減少させ、より広範な使用を促進し、家での自己ワクチン接種さえおそらく可能にすることは疑いがない。
【0014】
特異的アレルギーワクチン接種のためのワクチンを改良する試みは、30年間にわたって行われており、様々なアプローチを含む。いくつかのアプローチは、IgE反応性の修飾を介してアレルゲン自体に向けられている。その他のものは、この投与経路に向けられている。
【0015】
免疫系は、口腔および口粘膜(oromucosal)を介してアクセス可能であり、例えばアレルゲンの舌下投与は、既知の投与経路である。
【0016】
通常、口粘膜経路を用いるアレルギーワクチンは、少なくとも1日空ける間隔でのアレルゲン溶液の定期的な投与からなる。これに比べて、与えられた治療的(蓄積)維持用量は、比較できる皮下用量の維持の5〜500倍多い。この投与形態および投与経路の明らかな欠点は、患者による正しい用量の正確で均一な自己投与に関連する問題である(数滴与えなければならない、各1滴の均一性、適用部位の正確性など)。さらに、薬剤を冷蔵し、かつ薬剤に保存剤を加える必要がある。
【0017】
Netienら("Galenica 16 - Medicaments homeopathiques" 第2版、1986、77〜99頁)は、アレルゲンのような薬剤の舌下投与のための通常のラクトース、サッカロースまたはこれらの混合物の固体粒子(顆粒)または圧縮錠剤にしみ込ませる溶液を開示する。
DD-A.0 107 208は、アレルゲンを含有する通常の圧縮錠剤の製造方法を開示する。投与の際に、錠剤は唾液により溶解され、次いでアレルゲンは口腔粘膜を通して吸収される。この製剤は、水不溶性賦形剤、つまりタルクとともにパラフィンおよび脂肪酸を含有するが、脂肪酸は、患者の口に不快な残存物を残すであろうことから望ましくない。さらに、打錠プロセス中に発生する摩擦が、アレルゲンの物理的安定性に有害であろう。
【0018】
欧州特許第278 877号は、固体支持体が、アレルゲンの溶液で、該溶液を固体支持体小球上に噴霧したときに被覆された、舌下使用のための医薬組成物を開示している。得られる製剤は、迅速に(rapidly)崩壊すると主張されるが、即時(instantaneously)ではない。しかし、目的をどのように達成するかについて開示がない。さらに、該製剤は、ラクトースの形の還元糖を含有し、これはアレルゲンと反応する傾向がある。
特定アレルゲンの投与された用量のできるだけ多くが口腔の粘膜に提示され、さらに崩壊した物質の粘膜との接触時間が最大限になることを確実にするために、剤形が、口腔の唾液と接触する際に即時に崩壊することが非常に重要である。口腔内で有効成分を容易に(readily)遊離する速分散性固体剤形は、当該技術で知られている。
【0019】
米国特許第4,371,516号は、水中で迅速に崩壊する有効成分を含有する医薬剤形を開示している。該医薬剤形は、担体物質の開放マトリックス網目を含み、10秒以内で崩壊する。
WO 00/61117号に開示の凍結乾燥魚類ゼラチンベースの担体は、口腔に投与されたときに唾液との接触に際して有効成分を即時に遊離するように設計されている。
WO 00/44351号に開示の凍結乾燥化工デンプンは、口腔に投与されたときに唾液との接触に際して有効成分を即時に遊離するように設計されている。
WO 99/21579号は、ワクチンおよび経口使用のためのアジュバントを含む速分散性剤形を開示している。
【0020】
WO 02/13858号は、経口使用のための速溶解性「ケーキ」の形のワクチンを含有する速溶解性医薬組成物を開示している。WO 02/13858号の目的は、胃腸管において損なわれないままであるウイルスまたは細菌ワクチンを提供することのようである。これは、ケーキ中に炭酸カルシウムのような酸中和剤を組み込むことにより、胃の酸性内容物から抗原を守ることにより達成される。
WO 00/51568号は、速崩壊性圧縮低摩損度錠剤を開示しており、これは口の中で唾液との接触から30秒未満で溶解し、易嚥下性懸濁物を形成するように設計されている。
【0021】
米国特許第4,371,516号では、製剤が経口ワクチンに有用であることを主張している。WO 00/61117号、WO 00/44351号、WO 99/21579号およびWO 02/13858号の場合は、これらの発明が、全身性アレルギー症状、例えば枯草熱のような非感染性の免疫調節された症状に向けられていることも主張されている。しかしながら、これらの出願のいずれにも、どのように速分散性アレルゲンワクチン固体剤形を製造することができるかという技術的情報または実施例が開示されていない。例えば、いずれの開示された製剤においても、特定のアレルゲンの適切な投与量が示唆されていない。患者にアレルゲンの正しい投与量を投与することは、超過用量が患者にアナフィラキシーショックを誘発し得ることから、非常に重要である。さらに、このような製剤の安定性または摩損度(friability)に関する適切な測定の認識も示唆も与えられていない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0022】
発明の要約
本発明は、少なくとも1種のアレルゲンとマトリックスとを速分散性非圧縮固体剤形で含む、アレルゲンの口粘膜投与に適する医薬品に関し、これはアレルゲン含有剤形が、安定で充分に強固で、かつ患者による取り扱いの際にアレルゲン残渣の有害量を遊離しないことを特徴とする。
さらに、マトリックス形成剤とアレルゲンとを含む口粘膜投与に適する速分散性非圧縮固体剤形であって、ここでアレルゲンは安定であり、剤形はアレルゲン遊離に関して低摩損度であり、剤形は早く溶解し、かつアジュバントを必要としない。
【0023】
特に、本発明は、
(a) 少なくとも1つのマトリックス形成剤から形成されるマトリックス、および
(b) 個体をアレルゲンに対して脱感作するための有効量のアレルゲン
を含む口粘膜投与に適する速分散性非圧縮固体剤形を含み、
(c) 該剤形中のアレルゲン含量の損失が、25℃、60%相対湿度(RH)で3ヶ月間保持した後に、初期アレルゲン含量の50%未満であり、
(d) 該剤形からのアレルゲンの損失が、摩損度試験に供したときに約0.5μg未満のアレルゲン抽出物、または約0.05μg未満のメジャーアレルゲンである
アレルゲンの投与に適する医薬品に関する。
【0024】
本発明のある好ましい実施形態において、固体剤形は、魚類ゼラチンおよびマンニトールをマトリックス形成剤として含む。
本発明の別の好ましい実施形態において、固体剤形は、デンプンおよびマンニトールをマトリックス形成剤として含む。
【0025】
本発明は、これらの固体剤形の製造方法、およびこれらの固体剤形の投与によるアレルギーの治療方法も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明の詳細な説明
本発明は、いくつかの驚くべき知見に基づいており、これらのいずれも、成功の合理的な期待をもって論理に基づき予想することはできなかった。第一に、アレルゲンの投与のために速分散性非圧縮投与形態を用いることが可能であり、かつこのような製剤を用いて有効なアレルギー治療を得ることが可能であるという知見に基づく。特に、アレルゲンの充分量を、患者の免疫系に口粘膜経路を介して、速分散性非圧縮固体剤形を用いて、望ましくないレベルの副作用を誘発することなく送達することが実際に可能であることが示されている。さらに、本発明は、治療効果を容認しがたい副作用なしに得るための適切な用量レベルを提供する。
【0027】
第二に、本発明は、効果的な治療が、速分散性非圧縮剤形の使用により、アジュバントを使用せずに得ることができるという知見に基づく。
第三に、本発明は、アレルゲンを、安定性および低摩損度に関するアレルゲンに必要とされる特別の要求を満たしながら、速分散性非圧縮剤形として処方することが可能であるという知見に基づく。特に、充分な程度に速分散性で、安定でかつ低摩損度を有する剤形を得るように、剤形が、一方で速分散性であるべきであり、他方で安定かつ低摩損性であるべきであるという正反対の要件のバランスをとることができることが示される。
【0028】
アレルゲンタンパク質は、それらが含まれる環境のいくつかの因子により影響される分解に影響されやすい。アレルゲンが免疫系に治療的に適切な量で損なわれずに送達されることがアレルギー治療、および特にアレルギーワクチン接種に適切であると調べられている。よって、アレルゲンは製造、貯蔵および使用の間に安定なままでなければならない。本研究は、速分散性非圧縮剤形にアレルゲンタンパク質を処方することが実際に可能であり、これがアレルゲン用量およびアレルゲン活性に関して安定であることを示す。さらに驚くべきことに、これらの製剤は、室温で全く安定であることが見出されている。この知見は、最終製品の取り扱い手順に非常に重要である。製造プラントにおいて、輸送の間に、または薬局での貯蔵の間における冷蔵は、しばしば費用がかかる。なぜなら、冷却設備は密接に監視されなければならず、信頼性の高い冷却設備に投資することは非常に高価だからである。さらに、患者のコンプライアンスに関して、剤形が室温で貯蔵できることも好ましい。
【0029】
よって、本研究は、アレルゲンタンパク質を、速分散性非圧縮剤形に治療的に有効にアジュバントを必要とせずに処方することが実際に可能であることを示す。さらに、このようなアレルゲン含有固体剤形は、有利な条件においてさらにより安定である。
【0030】
アレルゲンタンパク質が速分散性非圧縮剤形に処方される場合、得られる剤形がアレルゲンを周囲環境に、または固体剤形に直接接触して取り扱う人に対して実質的に遊離しないことがより有利である。論理に基づくと、非圧縮速分散性固体剤形は、非圧縮マトリックスの、壊れやすく、脆く、ほぼウェファー様である固有の性質のために、圧縮錠剤に比べて機械的強度が低いことにより特徴付けられる。例えば包装、貯蔵、輸送および患者による剤形の取り扱いの間に、アレルゲンを含有する残りの粒子が、環境および患者に遊離され得る。このことは、有効成分がアレルゲンであるときに特に不利益である。なぜなら、アレルゲンは、アレルギー反応を、傾向がある人に惹起するか、またはアレルギー反応を誘導することができ、このような感作またはアレルギー応答は用量依存的であるからである。塵中の例えばアレルゲンの形での環境への混入についての最大限に許容可能なレベルは、問題のアレルゲンに応じて、ハウスダスト1グラム当たり2μgのメジャーアレルゲンほど低いと提案されている(Allergy. Principles and practice (1993,第4版),Mosby-Year book, 第1巻、第520頁)。
【0031】
マトリックス形成剤、有効成分およびその他の任意の剤を含む固化された系からの液体の除去により製造される非圧縮速分散性固体剤形は、現場で(insitu)製造されるのが好ましい。現場での製造法は、通常、ブリスターパックのような最終容器内で、有効成分とマトリックス形成剤との固化された系からの溶媒の除去を含む。商業的に用いられている現場での方法は、剤形の通常の被覆を許容しない。剤形への被覆の適用は、ほとんどの場合、固体剤形の分散に影響を及ぼし、よって剤形の即時の遊離特性を危うくする。
【0032】
よって、これらの要件の正反対の性質にもかかわらず、本研究は、アレルゲンタンパク質の有効投与量を、低摩損度を得、かつ即分散性特性を同時に維持しながら、速分散性非圧縮剤形に処方することが実際に可能であることを示す。
上記の全ての知見は、実験室での研究、または適用可能である場合に実験動物、もしくは適用可能である場合に臨床試験を用いる前臨床実験により支持される。
【0033】
「速分散性剤形」の用語は、約90秒未満、好ましくは約60秒未満、好ましくは約30秒未満、より好ましくは約20未満、さらにより好ましくは約10秒未満で口腔内において、さらにより好ましくは約5秒未満で、そして最も好ましくは約2秒未満で、口腔に受容された後に崩壊する剤形のことをいう。本発明の固体剤形は、錠剤、カプセル、ロゼンジまたはカプレット(caplet)の形であり得る。
【0034】
「非圧縮」の用語は、マトリックス形成剤と、有効成分とその他の適切な成分とを含む固化された系から、液体の除去により製造され、アレルゲン含有固体マトリックスをもたらす固体剤形のことをいう。
「固体剤形」の用語は、口腔内に投与されるときに液体または粉末でない単位剤形のことをいい、よって「固体剤形」は、例えば有効成分の単位用量を含有する錠剤のことをいう。
錠剤、固体剤形およびワクチンは、本明細書において交換可能に用いられる。
【0035】
「マトリックス形成剤」の用語は、いずれの医薬的に許容される水溶性または水分散性の賦形剤(excipient)のことをいい、これは固体剤形中で活性成分の担体としての役割を果たす。
「賦形剤」の用語は、有効成分の他に製剤に添加され得るいずれの成分のことをいう。
【0036】
「剤形におけるアレルゲンの損失」の用語は、例えば貯蔵、輸送および使用の間の、剤形におけるアレルゲンの例えば分解または不活性化のことをいう。損失は、生物活性/効力の損失、またはアレルゲンの実際の含量の損失のいずれかにより決定される。好ましくは、アレルゲン含量の損失は、少なくとも1種のメジャーアレルゲンの損失として測定される。損失は、例えばObispoら(Allergy, 1997, 52,第806〜813頁、アレルゲン特異的試薬を用いる)に記載のELISA法において測定することができる。
【0037】
「剤形からのアレルゲンの損失」の用語は、例えば貯蔵、輸送および使用の間の、剤形におけるアレルゲンの例えば遊離のことをいう。損失は、生物活性/効力の損失、またはアレルゲンの実際の含量の損失のいずれかとして測定される。好ましくは、アレルゲン含量の損失は、少なくとも1種のメジャーアレルゲンの損失として測定される。損失は、例えばObispoら(Allergy, 1997, 52,第806〜813頁、アレルゲン特異的試薬を用いる)に記載のELISA法において測定することができる。
【0038】
「安定な」の用語は、アレルゲン含量の損失が、最終容器内で25℃、60%相対湿度で3ヶ月間保持した後に、生物活性/効力の損失または少なくとも1つのメジャーアレルゲンの含量の損失としてのいずれかで測定して、初期含量の50%未満である剤形のことをいう。損失は、例えば上記のようなELISA法において測定することができる。
【0039】
「低摩損度」の用語は、外部の力に付したときに、剤形から失われるアレルゲン含有物質の量のことをいう。固体剤形は、失われたアレルゲン含有物質が固体剤形当たり0.5μgのアレルゲン抽出物または0.05μgのメジャーアレルゲンを含有する場合、輸送、貯蔵および取り扱いに充分な摩損度および頑丈さを有する。本発明の目的のために、摩損度は本発明による方法により測定される。
【0040】
「引張強さσ」は、次の等式により算出される:
σ=3Wa × 9.8 Nmm-2 / 2d2b
ここで、w=破断ピーク荷重(Peak load to fracture) (kgF)
a=支持体間の距離
d=速分散性固体剤形の厚さ(mm)
b=速分散性固体剤形の直径(mm)
「破断ピーク荷重」は、適切な装置(例えばCT5、Engineering Systems, 1 Loach Court, Radford Bridge Road, Nottingham NG8 1NA, UK)を用いて三点曲げ試験において、ユニットを破断するのに必要なピークの力を意味する。
【0041】
「口粘膜投与」の用語は、剤形が舌の下または口腔内のいずれの場所に置かれ、有効成分の局所または全身の効果を得るために、有効成分が患者の口腔粘膜または咽頭と接触することを許容する投与経路をいう。口粘膜投与経路の例は、舌下投与である。
「舌下投与」の用語は、剤形が、有効成分の局所または全身の効果を得るために、舌の下におかれる投与経路をいう。
【0042】
「アレルゲン」の用語は、アレルギー性、すなわちIgE媒介反応を、個体への反復曝露のときに誘導すると報告されている、いずれの天然にあるタンパク質またはタンパク質の混合物のことをいう。天然にあるアレルゲンの例は、花粉アレルゲン(樹木(tree)、雑草(weed)、ハーブおよび芝花粉(grass pollen)のアレルゲン)、ダニアレルゲン(例えば室内チリダニ(house dust mite)および貯蔵ダニ(storage mite)から)、昆虫アレルゲン(吸入、唾液および毒物起源のアレルゲン)、例えばイヌ、ネコ、ウマ、ラット、マウスなどからの唾液、体毛および鱗屑からの動物アレルゲン、真菌アレルゲンならびに食物アレルゲンを含む。アレルゲンは、アレルゲン抽出物、精製アレルゲン、修飾アレルゲンまたは組換えアレルゲンもしくは組換え変異アレルゲン、30アミノ酸を超えるいずれのアレルゲン断片、あるいはこれらの組み合わせの形で用い得る。
【0043】
本明細書において用いられる「アレルゲン抽出物」の表現は、一般的にAllergy, principle and practise (S. Manning編) 1993, Mosby-Year Book, St. Louis中の"Allergenic extracts", H. Ipsenら、第20章に記載のような生物学的アレルゲン源物質の抽出により得られる抽出物のことをいう。このような抽出物は、水溶性物質の水性抽出、それに続くろ過のような精製工程により得ることができ、溶液、すなわち抽出物を得る。抽出物は、更なる精製および/または実質的に全ての水を除去する凍結乾燥のような処理に付すことができる。一般に、アレルゲン抽出物は、タンパク質の混合物およびその他の分子を含む。アレルゲンタンパク質は、しばしばメジャーアレルゲン、中間アレルゲン(intermediate allergen)、マイナーアレルゲンとして分類されるか、または分類されない。アレルゲン抽出物は、一般に、メジャーおよびマイナーアレルゲンの両方を含む。メジャーアレルゲンは、一般に、平均的アレルゲン抽出物の約5〜15%、より多くの場合は約10%を構成するであろう。アレルゲンの分類は、特定アレルゲンの臨床的重要性の評価に基づき、以下のとおりである。抽出物中に見出される重要なメジャーアレルゲンは、芝グループ1、5および6アレルゲン(すなわちPhl p 1、5および6)、チリダニグループ1および2アレルゲン(すなわちDer p 1、Der p 2)、樹木花粉アレルゲン1 (Bet v 1)、スギ花粉アレルゲン1および2 (すなわちCry j 1、Cry j 2)、ブタクサ花粉1および2 (Amb a 1、Amb a 2)、ネコアレルゲン1 (すなわちFel d1)を含む。平均的なアレルギーの人は、1種以上のメジャーアレルゲンに感作されかつ反応し、さらにマイナーアレルゲンに感作されて反応し得る。
【0044】
本明細書中に記載のアレルゲン抽出物の量は、このようなアレルゲン抽出物の乾燥物含量をいう。
乾燥物の水分含量は、好ましくは10%を超えず、より好ましくは5重量%を超えない。
【0045】
本明細書中の「生物学的アレルゲン源物質」の用語は、1種以上のアレルゲンを含むいずれの生物学的物質を含む。このような物質の例は、ダニ(acarids)PMB (純粋なダニの体、Pure Mite Body)、WMC (ダニの全培養物、Whole Mite Culture)、例えば芝、ハーブ、雑草および樹木からの脱脂または脱脂していない花粉、動物の体毛および鱗屑、毛皮(pelt)、真菌の菌糸および胞子、昆虫の体、毒または唾液ならびに食物である。
【0046】
生物学的アレルゲン源物質は、アレルゲン花粉源物質への外来花粉ならびに植物および花の破片のような混入物質を含み得る。
混入の程度は、最小限であるべきである。好ましくは、混入物の含量は、生物学的源物質の10% (W/W)を超えない。
通常、アレルゲン抽出物は、BCAまたはLowryのような標準的なタンパク質アッセイで測定されるものとして、アレルゲン抽出物の少なくとも10%の乾燥物質含量タンパク質を含有し、残りは、脂質、炭水化物または生物学的アレルゲン源に由来する結合水のような成分であり得る「非タンパク性物質」で構成される。
【0047】
アレルゲン抽出物は、液体アレルゲン抽出物を、800マイクロバールより低い圧力で100時間まで凍結乾燥して、水分を除去することにより得ることができる凍結乾燥物質の形で処方され、貯蔵されることができる。
アレルギー抽出物の分野では、国際的に受け入れられている標準化法がない。抽出物の強度、すなわち生物効力のいくつかの異なる単位が存在する。通常用いられる方法、および用いられる単位は、アレルゲン含量および生物活性を測定する。その例は、SQ-単位(標準化クオリティ単位、Standardised Quality Units)、BAU (生物学的アレルゲン単位、Biological Allergen Units)、BU (生物単位、Biological units)、UM (質量単位、Units of Mass)、IU (国際単位、International Units)およびIR (反応性指標、Index of Reactivity)である。よって、本明細書に開示されるもの以外の起源の抽出物を用いる場合、これらは、SQ単位または上記のいずれの単位でのその効力を決定するために、本明細書に記載の抽出物に対して標準化される必要がある。主題は、Allergy, principle and practise (S. Manning編) 1993, Mosby-Year Book, St. Louis中の"Allergenic extracts", H. Ipsenら、第20章、およびLowenstein H. (1980) Arb Paul Ehrlich Inst 75:122で取り扱う。
【0048】
所定の抽出物の生物効力、すなわちインビボアレルゲン活性は、いくつかの因子に依存し、最も重要なものは、抽出物中のメジャーアレルゲンの含量であり、これは生物学的源物質の組成により変動する。
所望の生物効力を得るために用いられるアレルゲン抽出物のグラムでの量は、問題の抽出物の種類とともに変動し、所定の抽出物の種類について、アレルゲン抽出物の量は、抽出物の実際の生物効力とともに、バッチごとに変動する。
【0049】
抽出物の所定のバッチについて、所望の生物効力を得るために用いられるアレルゲン抽出物のグラムでの量は、次の方法を用いて測定できる。
a) 種々の量の参照抽出物の生物効力は、1種以上の免疫学的インビボ試験を用いて測定され、生物効力と参照抽出物との間の関係を確立する。該免疫学的インビボ試験の例は、皮膚穿刺試験(SPT)、結膜誘発試験(Conjunctival Provocation Test, CPT)、アレルゲンでの気管支誘発(Bronchial Challenge with Allergen, BCA)および1種以上のアレルギー症状を監視する種々の臨床試験である。例えばHaugaardら、J Allergy Clin Immunol, 第91巻、第3号、709〜722頁、March 1993を参照。
【0050】
b) 生物効力と参照抽出物との間の確立された関係に基づいて、本発明の剤形において用いる1以上の適切な用量の生物効力を、i) アレルギー症状の治療または緩和効果、ii) 免疫学的インビボ試験において記録された副作用、およびiii) 個体ごとのi)およびii)の多様性の因子のバランスを考慮して選択する。バランスをとることは、最大限の適切な治療効果を、受け入れられないレベルの副作用を経験することなく得るために行われる。因子のバランスをとる方法は、当業者に公知である。
見出された1つ以上の適切な用量の生物効力は、SQ単位、BAU、IR単位、IU (上記を参照)のような使用可能ないずれの生物効力単位で表すことができる。
【0051】
c) 参照抽出物から1種以上の生物効力参照標準抽出物を調製し、そしてもし用いるならば、参照標準抽出物の生物効力単位の値を、1種以上の適切な用量に割り当てられた生物効力単位の値を基に算出し、例えばBAUについてのような標準物質は、以下に記載のようにFDAから得ることができる。
【0052】
d) 各抽出物の種類の参照標準抽出物について、抽出物の生物効力を評価するためのいくつかのパラメータを選択する。このような評価パラメータの例は、全アレルゲン活性、規定されたメジャーアレルゲンの量および抽出物全体の分子組成である。全アレルゲン活性は、ELISAやMagicLite (マジックライト、登録商標)発光イムノアッセイ(LIA)のようなインビトロ競合イムノアッセイを用いて、標準的方法を用いて得られる抽出物に指向された標準化された抗体混合物、例えばマウスもしくはウサギで作製された抗体、またはアレルギー患者の血清のプールを用いて測定できる。メジャーアレルゲンの量は、例えばロケット免疫電気泳動(RIE)により定量することができ、参照標準物質と比較される。全体の分子組成は、例えば交差免疫電気泳動(CIE)およびドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)を用いて検査することができる。
【0053】
e) 未知の生物効力の抽出物の与えられたバッチ(試験抽出物)について、所望の生物効力レベルを得るために用いられることとなる抽出物の量(本発明による固体剤形における使用のための有効用量)は、次のようにして決定できる。選択された評価パラメータのそれぞれについて、試験抽出物を参照標準抽出物と、上記のような適切な測定方法を用いて比較し、そして測定結果に基づいて、所望の生物効力を有する抽出物の量を算出する。
【0054】
SQ-単位:SQ-単位は、アルク−アベッロ エイ/エス(ALK-Abello A/S)の「SQ生物効力」−標準化方法に従って測定され、ここで100,000 SQ単位は、標準皮下維持用量に等しい。通常、抽出物1 mgは、起源であるアレルゲン源および用いられる製造方法に応じて100,000〜1,000,000 SQ-単位の間を含有する。精密なアレルゲンの量は、イムノアッセイにより決定でき、これはすなわち全メジャーアレルゲン含量および全アレルゲン活性である。
【0055】
BAU (生物学的アレルゲン単位)は、"Quantitative determination of relative potency of allergenic extracts" ("Methods of the allergen products testing Laboratory" "ELISA competition assay". 第15頁、#49N-0012, FDA, October 1993)に記載される、アレルゲン製品についてのFDAの要件に従って決定されるような生物効力である。芝抽出物を含む100,000 SQ-単位の用量は、上記の方法によると、2600〜4700 BAUの含量と等しい。同様に、他の抽出物を、上記の方法に従って評価できる。
【0056】
「脱感作のためのアレルゲンの有効量」の用語は、1回または単一用量(monodose)もしくは漸増用量で1回または反復して摂取するときに、例えば適用免疫応答をもたらし、それによりアレルギー患者を脱感作する手段としての役目を果たす用量を意味する。好ましくは、この用語は、治療計画(数回の適用から、数ヶ月にわたる少なくとも1日当たり1回の適用までの範囲の期間にわたる)に従った固体剤形の反復投与の後に、適用免疫応答を誘導するのに必要な各剤形中のアレルゲンの量を意味する。好ましくは、脱感作は用量の投与によるアレルギー症状の緩和を含む。臨床アレルギー症状は、鼻炎、結膜炎、喘息、蕁麻疹、湿疹を含み、眼と鼻の発赤およびかゆみ、かゆみがあり鼻水の出る鼻、コーチング(coaching)、ウィージング(weezing)、息切れ、かゆみならびに皮膚の膨化のような一般的な症状を伴う皮膚、眼、鼻、上下の気道における反応を含む。
【0057】
本明細書において用いられる「含量の均一性」は、定まった用量からの投与量単位の変動のことをいう。
【0058】
本明細書において用いられる「水分含量」は、カールフィッシャー滴定原理を用いて定量的に測定される、固体投与量単位中の残存水分含量のことをいう。この方法は、所定量のI2が、等量の水の変換を導くという原理に基づく(欧州薬局方(EP)第3版、2.5.12)。
本明細書において用いられるように、「水分活性aw」は、試料中の有効水分である。水分活性測定は、当業者に公知の方法、例えば冷却ミラー露点法(chilled mirror dew point technology)、電気抵抗もしくはキャパシタンスを変えるセンサを用いるか、または塩化リチウム電極を用いる相対湿度を用いて行われる。
awは、次の等式に従って算出される:
aw = p/ps = ERH (%) / 100
ここで、p = 物質の表面での水蒸気の部分圧
ps = 飽和圧、または物質温度での純水を超える水蒸気の部分圧
ERH = 平衡相対湿度。
【0059】
「約」または「およそ」の用語は、特定の値について、当業者により決定される許容可能な範囲を意味し、これは部分的にその値がどのように測定または決定されたか、例えば測定系の制限に依存する。例えば、「約」は、与えられた値の20%まで、好ましくは10%まで、より好ましくは5%まで、さらにより好ましくは1%までの範囲であり得る。
【0060】
今回、驚くべくことに、本発明による固体剤形が、口粘膜医薬アレルゲン製品を提供し、これがアレルゲン特異的免疫反応を用量依存的な様式で与え、かつ許容可能な副作用を有する有効アレルゲン用量を提供することを見出した。
さらに、アレルゲンを含有する低摩損度の非圧縮速分散性固体剤形を実施に製造することができ、これは充分に頑丈で患者による取り扱いに際して残渣の有害量を遊離しないことが見出されている。
さらに、驚くべきことに、これらの製剤が室温で安定であることが見出されている。
【0061】
アレルゲンは、種々の程度で、特にアレルゲン水溶液中または高水分含量および/または高水分活性の物質中のような水性の環境において分解の影響を受けやすい。
アレルゲン製品についての欧州薬局方モノグラフ、および"Note for guidance on allergen products", CPMP (London 13, March 1996)は、凍結乾燥品(例えばバイアル中のアレルゲン抽出物)について、水分レベルは5%を超えるべきではなく、これらは凍結(−20℃)して保存されるべきであると記載している。冷蔵(2〜8℃)は、限定された貯蔵期限をさらに有する液体ベースの舌下製剤についての要件でもある。不安定なアレルゲンを含むアレルゲンが、室温条件で安定であることが驚くべきことに発見された。5%の規定された最大のレベルより高い水分含量を有する本発明による剤形でさえ、室温で安定である。理論に関係なく、このことは、速分散性固体剤形の賦形剤が、剤形中の残存水分と結合し、アレルゲン固体剤形中の水分活性を減少させているという事実により説明できる。よって、製剤の水分活性を減少させることにより、水分含量がバイアル中のアレルゲン抽出物に規定された5%の最大レベルより高くても、アレルゲンの分解がない安定な製剤を得ることが可能である。
【0062】
水分活性は、物質の貯蔵期限に貢献する重要な因子の1つである。物質の水分活性が、細菌の増殖とともに薬品の安定性、効力および硬度(consistency)に影響することがよく知られている。また、タンパク質安定性は、タンパク質の比較的壊れやすい性質のために、水分活性により大きく影響される。ほとんどのタンパク質は、活性なままでいるためにはコンフォメーションを維持しなければならない。水分活性を低レベルに保つことは、コンフォメーション変化を防ぐかまたは誘う(entice)助けとなり、このことはその後、アレルゲンの形にあるタンパク質が安定であることを確実にするのに重要である。また、酵素によるかまたはよらずに引き起こされるタンパク質の加水分解は、水分活性により影響される。
【0063】
さらに、水分含量は、固体剤形の機械強度に影響すると考えられている。一般に、低い値は固体剤形の頑丈さに影響するが、高い値は、固体剤形がより溶解性になる危険性を上昇させ、例えば固体剤形はより砕けやすく脆くなる。
水分活性測定は、当業者に公知の方法を用いて、例えば冷却ミラー露点法、電気抵抗またはキャパシタンスを変えるセンサでの相対湿度、または塩化リチウム電極を用いて行われる。
【0064】
固体剤形の水分活性は、好ましくは0.70を超えず、好ましくは0.1〜0.7の間、より好ましくは0.2〜0.6の間、より好ましくは0.3〜0.5の間、最も好ましくは0.4〜0.5の間である。
固体剤形の、実施例1に記載の方法により決定される水分含量は、好ましくは25%を超えず、好ましくは0.1〜20%の間、より好ましくは0.5〜15%の間、より好ましくは2〜8%の間、より好ましくは4〜7%の間、最も好ましくは4.5〜6%の間である。
【0065】
本発明のある実施形態によると、アレルゲン医薬品は速分散性固体剤形で提供され、これは唾液との接触において口腔内で迅速に溶解し、よってアレルゲンを粘膜の免疫学的に適切な組織と密接に接触させ、アレルゲンがこれらに対処することを許容する。天然に発生するアレルゲンの例は、花粉アレルゲン(樹木、ハーブ、雑草および芝花粉のアレルゲン)、昆虫アレルゲン(吸入、唾液および毒物アレルゲン、例えばダニアレルゲン、ゴキブリおよびユスリカ類のアレルゲン、膜翅類毒物アレルゲン)、動物の体毛および鱗屑アレルゲン(例えばイヌ、ネコ、ウマ、ラット、マウスなどから)、ならびに食物アレルゲンを含む。樹木、芝、およびハーブからの重要な花粉アレルゲンは、Fagales、Oleales、PinalesおよびPlatanaceaeの分類学上の目(もく)を起源とするもの、例えばカバノキ(Betula)、ハンノキ(Alnus)、ハシバミ(Corylus)、ツノギ(Carpinus)およびオリーブ(Olea)、スギ(CryptomeriaおよびJuniperus)、プラタナス(Platanus)、Poales目、例えばLolium、Phleum、Poa、Cynodon、Dactylis、Holcus、Phalaris、SecaleおよびSorghum属の芝、AstralesおよびUrticales目、例えばAmbrosia、ArtemisiaおよびParietaria属のハーブである。その他の重要な吸入アレルゲンは、DermatophagoidesおよびEuroglyphus属の室内チリダニ、例えばLepidoglyphys、GlycyphagusおよびTyrophagusの貯蔵ダニ、ゴキブリ、ユスリカ類およびノミ、例えばBlatella、Periplaneta、ChironomusおよびCtenocepphalidesからのもの、ならびにネコ(Felis属)、イヌ(Canis属)、ウシ(Bos属)およびウマ(Equus属)のような哺乳動物からのもの、ミツバチ(Apidae超科)、スズメバチ(Vespidea超科)およびアリ(Formicoidae超科)を含むHymenoptera目からのもののような有刺昆虫(stinging or biting insects)を起源とするものを含む毒物アレルゲンである。
【0066】
本発明のより好ましい実施形態において、アレルゲンは、Bet v 1、Aln g 1、Cor a 1およびCar b 1、Que a 1、Cry j 1、Cry j 2、Cup a 1、Cup s 1、Jun a 1、Jun a 2、jun a 3、Ole e 1、Lig v 1、Pla l 1、Pla a 2、Amb a 1、Amb a 2、Amb t 5、Art v 1、Art v 2 Par j 1、Par j 2、Par j 3、Sal k 1、Ave e 1、Cyn d 1、Cyn d 7、Dac g 1、Fes p 1、Hol l 1、Lol p 1および5、Pha a 1、Pas n 1、Phl p 1、Phl p 5、Phl p 6、Poa p 1、Poa p 5、Sec c 1、Sec c 5、Sor h 1、Der f 1、Der f 2、Der p 1、Der p 2、Der p 7、Der m 1、Eur m 2、Gly d 1、Lep d 2、Blo t 1、Tyr p 2、Bla g 1、Bla g 2、Per a 1、Fel d 1、Can f 1、Can f 2、Bos d 2、Equ c 1、Equ c 2、Equ c 3、Mus m 1、Rat n 1、Apis m 1、Api m 2、Ves v 1、Ves v 2、Ves v 5、Dol m 1、Dol m 2、Dol m5、Pol a 1、Pol a 2、Pol a 5、Sol i 1、Sol i 2、Sol i 3およびSol i 4、Alt a 1、Cla h 1、Asp f 1、Bos d 4、Mal d 1、Gly m 1、Gly m 2、Gly m 3、Ara h 1、Ara h 2、Ara h 3、Ara h 4、Ara h 5またはこれらのいずれかのモレキュラーブリーディング(Molecular Breeding) (Maxygen, Inc.)からの混合ハイブリッド(shufflant hybrid)である。
本発明の最も好ましい実施形態において、アレルゲンは芝花粉アレルゲンまたはチリダニアレルゲンまたはブタクサアレルゲンまたはスギアレルゲンまたはネコアレルゲンまたはカバノキアレルゲンである。
【0067】
本発明のさらに別の実施形態において、速分散性固体剤形は、同じアレルゲン源または異なるアレルゲン源のいずれかから生じた少なくとも2種の異なるタイプのアレルゲンを含む。例えば、速分散性固体剤形は、それぞれ異なるダニまたは芝の種からの芝グループ1、芝グループ2/3、芝グループ5および芝グループ6アレルゲン、またはダニグループ1およびダニグループ2アレルゲン、短(short)または巨大(giant)ブタクサのアレルゲンのような雑草抗原、アルテルナリアおよびクラドスポリウムのような異なる真菌アレルゲン、カバノキ、ハシバミ、ツノギ、オークおよびハンノキアレルゲンのような樹木アレルゲン、ピーナッツ、ダイズおよびミルクアレルゲンのような食物アレルゲンを含む。
【0068】
速分散性固体剤形中に組み込まれたアレルゲンは、抽出物、精製アレルゲン、修飾アレルゲン、組換えアレルゲンまたは組換えアレルゲンの突然変異体であり得る。組換えアレルゲンは一般的にアレルゲンの1種のイソ型だけを示すが、アレルゲンの抽出物は、同じアレルゲンの1以上のイソ型を本来含み得る。好ましい実施形態において、アレルゲンは組換えアレルゲンである。さらに好ましい実施形態において、アレルゲンは、天然に発生するIgE低結合突然変異体または組換えIgE低結合突然変異体である。
複数のアレルゲンは等モル量で存在することができ、存在する複数のアレルゲンの比は、好ましくは1:20まで変動し得る。
【0069】
本発明のさらなる実施形態において、IgE低結合アレルゲンは、WO 99/47680号またはWO02/40676号またはPCT/DK03/00322号(アレルゲン変異体("Allergen mutants"))によるアレルゲンである。
【0070】
いくらかの実験室での試験をアレルゲンの特徴付けに利用できる。最も広く用いられている技術は、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)、等電点電気泳動(IEF)、交差免疫電気泳動(CIE)およびロケット免疫電気泳動(RIE)である。個別のアレルゲンの定量は、定量免疫電気泳動法(QIE) の変形、放射免疫拡散(RIE)、または酵素結合免疫吸着法(ELISA)により行うことができる。全アレルゲン活性の測定は、放射線アレルギー吸着試験(RAST)、マジックライトアッセイ(LIA)または関係する技法により最も頻繁に行われる。ELISAベースの技法も用いることができる。
【0071】
生物効力を測定する通常適用される許容できる試験の手引きは、例えばNote for Guidance on Allergen Product; The European Agency for the Evaluation of Medicinal Product, CPMP BWP 243 96, London, 1996に見出される。
【0072】
メジャーアレルゲンとしてのアレルゲンの分類は、いくつかの試験の主題であり得る。アレルゲンは、少なくとも25%の患者が強いIgE結合を示し(スコア3)、50%の患者が少なくとも中ぐらいの結合を示す(スコア2)と、メジャーアレルゲンとして通常分類されるが、該結合は、CRIE (交差放射免疫電気泳動)により測定される(CRIEの強い結合は、例えば1日後のX線フィルム上で見ることができるIgE結合;CRIIEの中ぐらいの結合は、例えば3日後の結合、CRIEの弱い結合は、例えば10日後の結合)。少なくとも10%の患者からの強いIgEの結合は、アレルゲンを中ぐらいのアレルゲンと分類し、10%未満の患者からの明らかな特異的結合は、それをマイナーアレルゲンとして分類する。例えばIgE-ブロットのIgE結合を測定するのに、他の方法も用いることができる。
【0073】
速分散性固体剤形の形のアレルゲンの用量をある最大限まで増加させる古典的な漸増投与量脱感作において、剤形の単位用量の好ましい効力は、150〜1,000,000 SQ-U/剤形であり、より好ましくは効力が500〜500,000 SQ-U/剤形であり、より好ましくは効力が500〜375,000 SQ-U/剤形であり、より好ましくは効力が2500〜375,000 SQ-U/剤形であり、より好ましくは効力が2500〜250,000 SQ-U/剤形であり、より好ましくは25,000〜250,000 SQ-U/剤形、より好ましくは25,000〜125,000 SQ-U/剤形、より好ましくは25,000〜100,000 SQ-U/剤形、最も好ましくは25,000〜75,000 SQ-U/剤形である。
【0074】
本発明の別の実施形態において、固体剤形は、好ましくは2500〜375,000 SQ-U/剤形、より好ましくは2500〜250,000 SQ-U/剤形、より好ましくは25,000〜250,000 SQ-U/剤形、より好ましくは25,000〜125,000 SQ-U/剤形、さらにより好ましくは25,000〜100,000 SQ-U/剤形、最も好ましくは25,000〜75,000 SQ-U/剤形の範囲内の反復単一用量(repeated mono-dose)である。
【0075】
特に好ましい実施形態において、固体剤形は、効力が150〜1,000,000 SQ-U/剤形であり、より好ましくは効力が500〜500,000 SQ-U/剤形であり、より好ましくは効力が500〜375,000 SQ-U/剤形であり、より好ましくは効力が2500〜375,000 SQ-U/剤形であり、より好ましくは効力が2500〜250,000 SQ-U/剤形であり、より好ましくは25,000〜250,000 SQ-U/剤形、より好ましくは25,000〜125,000 SQ-U/剤形、より好ましくは25,000〜100,000 SQ-U/剤形、最も好ましくは25,000〜75,000 SQ-U/剤形である芝アレルゲン抽出物を含む。
【0076】
さらなる実施形態において、本発明による固体剤形の効力は、約5〜50,000 BAU/剤形であり、より好ましくは効力が15〜25,000 BAU/剤形であり、より好ましくは効力が約15〜17,600 BAU/剤形であり、より好ましくは効力が約65〜17,600 BAU/剤形であり、より好ましくは効力が約65〜15,000 BAU/剤形であり、より好ましくは効力が約650〜15,000 BAU/剤形であり、より好ましくは650〜6,000 BAU/剤形、より好ましくは650〜4,700 BAU/剤形、最も好ましくは650〜3,500 BAU/剤形である。
【0077】
本発明の別の実施形態において、固体剤形は、好ましくは約65〜17,600 BAU/剤形、より好ましくは約65〜15,000 BAU/剤形、より好ましくは約650〜15,000 BAU/剤形、より好ましくは650〜6,000 BAU/剤形、より好ましくは650〜4,700 BAU/剤形、最も好ましくは650〜3,500 BAU/剤形の範囲内の反復単一用量である。
【0078】
特に好ましい実施形態において、固体剤形は、効力が約5〜50,000 BAU/剤形であり、より好ましくは効力が15〜25,000 BAU/剤形であり、より好ましくは効力が約15〜17,600 BAU/剤形であり、より好ましくは効力が約65〜17,600 BAU/剤形であり、より好ましくは効力が約65〜15,000 BAU/剤形であり、より好ましくは効力が約650〜15,000 BAU/剤形であり、より好ましくは650〜6,000 BAU/剤形、より好ましくは650〜4,700 BAU/剤形、最も好ましくは650〜3,500 BAU/剤形である芝アレルゲン抽出物を含む。
【0079】
アレルゲン抽出物1 mgは、通常、100,000〜1,000,000 SQ単位の間を含む。これは、1,000,000 SQが抽出物1 mg〜アレルゲン抽出物10 mgに含まれ、100,000 SQが抽出物0.1 mg〜アレルゲン抽出物1 mgに含まれることを意味する。同様の様式で、いずれのSQ用量はアレルゲン抽出物用量範囲に変換できる。これに基づいて、SQで与えられる上記の用量の範囲は、mgまたはμgのアレルゲン抽出物の用量範囲に再計算することができ、ここで範囲のSQの下限について、対応するアレルゲン抽出物範囲の下限が用いられ、かつ範囲のSQの上限について、対応するアレルゲン抽出物範囲の上限が用いられる。
【0080】
よって、さらなる実施形態において、本発明による固体剤形は、約0.15μg〜10 mg/剤形のアレルゲン抽出物含量、より好ましくは約0.5μg〜5 mg/剤形のアレルゲン抽出物含量、より好ましくは約0.5μg〜3.75 mg/剤形のアレルゲン抽出物含量、より好ましくは約2.5μg〜3.75 mg/剤形のアレルゲン抽出物含量、より好ましくは約2.5μg〜2.5 mg/剤形のアレルゲン抽出物含量、より好ましくは約25μg〜2.5 mg/剤形のアレルゲン抽出物含量、より好ましくは25μg〜1.25 mg/剤形、さらにより好ましくは約25μg〜1 mg/剤形、最も好ましくは約25μg〜0.75 mg/剤形を有する。
【0081】
本発明の別の実施形態において、固体剤形は、好ましくは約2.5μg〜3.75 mg/剤形、より好ましくは約2.5μg〜2.5 mg/剤形、より好ましくは約25μg〜2.5 mg/剤形、より好ましくは約1.5μg〜1.25 mg/剤形、さらにより好ましくは25μg〜1 mg/剤形、最も好ましくは約25μg〜0.75 mg/剤形の範囲内での反復単一用量である。
さらなる実施形態において、本発明による固体剤形は、約0.015μg〜1 mg/剤形、より好ましくは約0.05μg〜500μg/剤形、より好ましくは約0.05μg〜375μg/剤形、より好ましくは約0.25μg〜375μg/剤形、より好ましくは約0.25μg〜250μg/剤形、より好ましくは約2.5μg〜250μg/剤形、より好ましくは約2.5μg〜125μg/剤形、さらにより好ましくは約2.5μg〜100μg/剤形、最も好ましくは約2.5μg〜75μg/剤形のメジャーアレルゲン含量を有する。
【0082】
本発明の別の実施形態において、固体剤形は、好ましくは0.25μg〜375μg/剤形、より好ましくは約0.25μg〜250μg/剤形、より好ましくは約2.5μg〜250μg/剤形、より好ましくは2.5μg〜125μg/剤形、さらにより好ましくは約2.5μg〜100μg/剤形、最も好ましくは約2.5μg〜75μg/剤形の範囲内での反復単一用量である。
【0083】
メジャーアレルゲン含量は、問題のアレルゲン源に応じて、いくつかのメジャーアレルゲンにより占められていてもよい。通常、メジャーアレルゲンの数は1〜10種の範囲内、ほとんど1〜5種である。
メジャーアレルゲンは、アレルゲン抽出物中に含まれていてもよいし、組換え的に産生されてもよい。組換えメジャーアレルゲンは、そのようなメジャーアレルゲンを含むアレルゲン抽出物と同様の用量またはより高い用量で用いることができる。より高い用量はより効果的であると考えられるが、より頻度の高い、またはより深刻な副作用の可能性の危険性と関連するとも考えられる。
【0084】
さらなる実施形態において、メジャーアレルゲンは、芝グループ1アレルゲン、例えばphl p 1、lol p 1、sor h 1、dac g 1、cyn d 1、hol l 1、pha a 1、芝グループ2/3アレルゲン、例えばphl p 2/3、lol p 2/3、芝グループ5アレルゲン、例えばphl p 5、lol p 5、dac g 5、poa p 5、芝グループ6アレルゲン、例えばphl p 6、poa p 6、樹木花粉グループ1アレルゲン、例えばbet v1、aln g 1、cor a 1、car b 1、ダニグループ1アレルゲン、例えばder p 1、der f 1、eur m 1、ダニグループ2アレルゲン、例えばder p 2、derf 2、eur m 2、ネコアレルゲン、例えばfel d 1、スギグループ1およびグループ2アレルゲン、例えばcry j 1、cry j 2、短または巨大ブタクサ花粉アレルゲン、例えばamb a 1、amb a 2、amb 1、amb t 2を含む。
【0085】
用量応答効果は、口粘膜投与された固体剤形についての実施例6を参照して見出される。アレルギー性の個体は、同じアレルゲンに曝露されても異なる症状および異なる程度のその症状の重篤度を示す不均質な群であるので、有効量は変動し得る。ある患者は受け入れられない副作用を経験することなく高い用量に耐えることができるが、別の患者は過敏性である。一般に、高い用量がより有効な用量であると考えられるので、高い用量レベルに到達するのに漸増用量を与えることができる場合もある。平均的アレルギー人口の大多数について、本発明によるアレルゲンの有効量は、65 BAU/固体投与量形態〜17,600 BAU/固体剤形の間が好ましいと考えられているが、4ほど低く47,000 BAUまでの用量を他のアレルギー患者に適用することができる。同様に、0.5μg〜3.75 mg/剤形のアレルゲン抽出物の用量、または0.05μg〜375μg/剤形のメジャーアレルゲン含量の用量が、平均的なアレルギー個体に適切である。
【0086】
メジャーアレルゲンの低アレルギー性の変異体、すなわち即時または遅発相アレルギー反応を引き起こす能力が低減されたアレルゲンについて、本発明による剤形は、剤形当たり10〜100倍多いメジャーアレルゲンを含有する。このような低アレルギー性の変異体は、組換えまたは天然起源であり得る。
【0087】
本発明による固体剤形のアレルゲン含量は、CIE (交差免疫電気泳動)、RIE (放射性免
疫電気泳動)およびSDS-PAGE (ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動)のような一般的なイムノアッセイ、ならびにメジャーアレルゲンのような抽出物の成分に対するELISAおよびマジックライト特異的IgEアッセイ(LIA)のようなイムノアッセイにより測定できる。
【0088】
最終製品について充分な貯蔵期限を確実にするために、製造後に物理的および化学的特性、例えばアレルゲンの効力および含量、機械的頑丈さならびに感覚器への反応の特性を大きく変えない剤形が好ましい。
本発明の目的のために、有効成分、すなわちアレルゲンの安定性は、メジャーアレルゲン含量により評価される。これに加えて、安定性は、全アレルゲン活性のようなアレルゲンの効力の測定により評価されることも好ましい。
【0089】
固体剤形の「初期アレルゲン活性」または「少なくとも1種のメジャーアレルゲンの初期含量」とは、製造プロセスが終了した後の最終剤形中の「アレルゲン活性」または「少なくとも1種のメジャーアレルゲンの含量」の値を意味する。
固体剤形の「理論上のアレルゲン活性」または「少なくとも1種のメジャーアレルゲンの理論上の含量」とは、固体剤形に処方される前の、例えば抽出物の形の添加されたアレルゲンの用量の「アレルゲン活性」または「少なくとも1種のメジャーアレルゲンの含量」を意味する。
【0090】
少なくとも1種のメジャーアレルゲンのアレルゲン含量の損失は、好ましくは全初期含量の50%未満、より好ましくは全初期含量の30%未満、より好ましくは全初期含量の20%未満、より好ましくは初期含量の15%未満、より好ましくは初期含量の10%未満、より好ましくは初期含量の5%未満、より好ましくは初期含量の2%未満である。
さらに、実施例1に記載の方法による全アレルゲン活性の損失は、好ましくは全初期含量の50%未満、より好ましくは全初期含量の30%未満、より好ましくは全初期含量の20%未満、より好ましくは全初期含量の15%未満である。
【0091】
通常、安定性試験は、ICH (すなわちICHガイドラインICQ/Q1AR2 (CPMPにより2003年3月に採択、CPMP/ICH/2736/99として発行))およびFDAによる現在のガイドラインに従って行われる。安定性試験の条件は、しばしばゾーン1〜4条件とよばれる。ゾーン1および2は、EC、日本およびUSでの気候条件を表す。通常、最終容器内の本発明の固体剤形は、好ましくは少なくとも3ヶ月、より好ましくは少なくとも6ヶ月、より好ましくは少なくとも12ヶ月、さらにより好ましくは少なくとも18ヶ月、最も好ましくは少なくとも2年、「長期」条件である25℃/60 RHで、より好ましくは中間条件である30℃/65 RH、さらにより好ましくは「促進条件」である40℃/75 RHで安定である。
【0092】
固体剤形が、貯蔵中および患者による取り扱いの際に充分に頑丈であることを確実にするために、剤形は、外力にある程度の抵抗性を有する必要があるが、同時に、固体剤形は、口の中ですぐに崩壊する必要がある。
よって、有効成分の安定性に加えて、アレルゲン固体剤形は、摩損度のような機械的頑丈さ、引張強さ、および破断ピーク荷重のようなさらなるパラメータにより評価することもできる。これに加えて、固体剤形の安定性は、分散時間のような物質的特性および剤形の視覚的外観のような感覚的な特性により評価することができる。
【0093】
これらのパラメータは、例えば本発明の固体剤形の破断ピーク荷重または引張強さの測定により評価できる。引張強さが計算できる等式から明らかなように、得られる引張強さの値は、変動しやすいパラメータの数に依存する。例えば、固体剤形の厚さまたは直径は、値の変動に貢献するであろう。よって、破断ピーク荷重は、本発明の固体剤形の頑丈さの評価のためにより正確なパラメータであると考えられる。
ある実施形態において、固体剤形は0.05 KgF以上で0.9 KgF未満の破断ピーク荷重を有する。0.05〜0.9 KgFの間の破断ピーク荷重を有する剤形が好ましく、より好ましくは0.1〜0.8 KgF、最も好ましくは0.1〜0.6 KgFである。
本発明におけるさらなる実施形態において、固体剤形は、1.0 N/mm2未満の引張強さを有し、より好ましくは0.9 N/mm2未満である。
【0094】
好ましくは、速分散性剤形は、嚥下する前に粘膜の免疫適格組織へのアレルゲンの最大限の曝露を確実にするために、口の中で唾液との接触に際して即時にまたはすぐに(quickly)崩壊する。好ましい実施形態において、固体剤形は約90秒未満、好ましくは約60秒未満、好ましくは約30秒未満、より好ましくは約20秒未満、より好ましくは約15秒未満、さらにより好ましくは約10秒未満で口腔内で、さらにより好ましくは約5秒未満、最も好ましくは約2秒未満で口腔内で崩壊する。
【0095】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、アレルゲンの固体の網目と、いずれの水溶性または水分散性のマトリックスとを含む速分散性固体剤形である。該網目は、アレルゲンの溶液とマトリックスとを含む固体状態の組成物から溶媒を昇華させることにより得られる。より好ましくは、網目は凍結乾燥により得られる。
【0096】
本発明による速分散性固体剤形中のマトリックスの一部分を形成する医薬的に許容される賦形剤は、マトリックス形成剤ならびに酸中和剤、希釈剤、エンハンサー、粘膜付着剤、矯味矯臭剤、風味隠蔽剤、保存剤、抗酸化剤、界面活性剤、増粘剤、着色剤、pH調整剤および甘味剤などのような追加の他の適切な賦形剤である。これらの賦形剤は、アレルゲン治療薬の処方の当業者により理解される様式の通常の薬学的なプラクティスに従って選択される。
【0097】
本発明に用いるのに適切なマトリックス形成剤は、ゼラチン、デキストリンおよび大豆、コムギおよびオオバコタンパク質のような動物または植物タンパク質由来の賦形剤;アカシア、グアー、アガーおよびキサンタンのようなガム;多糖類;デンプンおよび化工デンプン、アルジネート;カルボキシメチルセルロース;カラギーナン;デキストラン;ペクチン;ポリビニルピロリドンのような合成ポリマー;ならびにゼラチン−アカシア複合体のようなポリペプチド/タンパク質または多糖複合体を含む。ゼラチンは、水溶性コロイド巨大分子の不均質混合物である。平均分子量分布のこのような不均質混合物は、骨、皮膚、腱、靱帯などのような動物起源のコラーゲンに富む物質への加水分解作用により得ることができる。ゼラチンは、哺乳動物、例えばウシ、ブタ、または哺乳動物以外、例えば温水魚もしくは冷水魚(warm or cold-water fish)に由来することができる。ゼラチンは、加水分解したものであるか、または加水分解しないものであることができ、架橋したものであるか、または架橋しないものであることができる。これらはさらに、ゲル化タイプまたは非ゲル化タイプであることができ、非ゲル化タイプは、一般に冷水魚に由来する。別の特定の実施形態において、デンプンが用いられる。デンプンは、炭水化物のポリマー複合混合物である。
【0098】
本発明に用いるのに適切な他のマトリックス形成剤は、マンニトール、デキストロース、ラクトース、ガラクトースおよびトレハロースのような糖類;シクロデキストリンのような環状糖;リン酸ナトリウム、塩化ナトリウムおよびケイ酸アルミニウムのような無機塩;ならびにグリシン、L−アラニン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L-ヒドロキシプロリン、L−イソロイシン、L−ロイシンおよびL−フェニルアラニンのような2〜12の炭素原子を有するアミノ酸を含む。
【0099】
固体剤形は、投与溶液の少なくとも約50% W/Wの少なくとも1種のマトリックス形成剤を含むのが好ましい。この関係において用いられる「投与溶液」の用語は、固化工程の前に調製される、マトリックス形成剤とアレルゲンとその他の任意の賦形剤との処方の非固体容量を意味する。
本発明のある実施形態において、固体剤形を形成するための投与溶液は、約5〜30% W/W、より好ましくは約5〜20% W/W、さらにより好ましくは約5〜12% W/Wの間の少なくとも1種のマトリックス形成剤を含む。
【0100】
投与溶液の乾燥物質含量の必要性は、錠剤の寸法にも依存するだろう。好ましくは、本発明による固体剤形は、約3〜約30 mmの間、より好ましくは約5〜約20 mmの間の直径を有する。好ましくは、本発明による固体剤形は、約1〜約100 mgの間、より好ましくは約10〜約50 mgの間、最も好ましくは約25〜約35 mgの間の重量を有する。好ましくは、本発明による固体剤形は、約0.5〜約7.5 mmの間、より好ましくは約1〜約5 mmの間の高さを有する。
【0101】
マトリックス形成賦形剤として魚類ゼラチンおよびマンニトールを含む速分散性固体剤形は、安定性、外観、低摩損度、引張強さ、破断ピーク荷重および口内感触に関して特に有利であることが見出されている。好ましい実施形態において、速分散性固体剤形は、アレルゲンと魚類ゼラチンおよびマンニトールの形でのマトリックス形成剤との固体の網目を含む。固体の網目を得るには、魚類ゼラチンのマンニトールに対する比を調節するべきである。好ましい実施形態において、魚類ゼラチンのマンニトールに対する比は、約2:20〜約20:1、より好ましくは約2:10〜約10:1、最も好ましくは約3:5.5〜約6.5:3である。
さらなる実施形態において、魚類ゼラチンのマンニトールに対する比は、4:3である。
別の実施形態において、魚類ゼラチンのマンニトールに対する比は、6.5:5.5である。
さらなる実施形態において、魚類ゼラチンのマンニトールに対する比は、6.0:5.08である。
【0102】
本発明による固体剤形は、投与溶液から製造することができ、これはまず凍結させ、次いで凍結乾燥される。好ましい実施形態において、魚類ゼラチンの含量は投与溶液の約2〜20% W/Wの間であり、かつマンニトールの含量は投与溶液の約1〜20% W/Wの間である。別の好ましい実施形態において、魚類ゼラチンの含量は投与溶液の約2〜10% W/Wの間であり、かつマンニトールの含量は投与溶液の約1〜10% W/Wの間である。さらに好ましい実施形態において、魚類ゼラチンの含量は投与溶液の約3〜6.5% W/Wの間であり、かつマンニトールは投与溶液の約3〜5.5% W/Wの間である。
【0103】
さらなる実施形態において、マトリックスは、投与溶液の約4% W/Wの魚類ゼラチン、および投与溶液の約3% W/Wのマンニトールを含む。
別の実施形態において、マトリックスは投与溶液の約6.5% W/Wの魚類ゼラチン、および投与溶液の約5.5% W/Wのマンニトールを含む。
さらなる実施形態において、マトリックスは投与溶液の約6.0% W/Wの魚類ゼラチン、および投与溶液の約5.08% W/Wのマンニトールを含む。
【0104】
マトリックス形成賦形剤としてデンプンおよびマンニトールを含有する速分散性固体剤形も、安定性、外観、低摩損度、引張強さ、破断ピーク荷重および口内感触に関して特に有利であることが見出されている。好ましい実施形態において、速分散性固体剤形は、アレルゲンと好ましくは例えばポテト、小麦、トウモロコシ(maize)、コーン(corn)またはコメからのα化されたデンプンおよびマンニトールの形でのマトリックス形成剤との固体の網目を含む。固体の網目を得るには、デンプンのマンニトールに対する比を調節するべきである。好ましい実施形態において、デンプンのマンニトールに対する比は、約2:20〜約20:1、より好ましくは約2:10〜約10:1、最も好ましくは約3:5.5〜約6.5:3である。
さらに好ましい実施形態において、デンプンのマンニトールに対する比は1:1である。
【0105】
本発明による固体剤形は、投与溶液から製造され、これはまず凍結され、次いで凍結乾燥される。好ましい実施形態において、デンプンの含量は投与溶液の約2〜20% W/Wの間であり、かつマンニトールの含量は投与溶液の約1〜20% W/Wの間である。別の好ましい実施形態において、デンプンの含量は投与溶液の約2〜10% W/Wの間であり、かつマンニトールの含量は投与溶液の約1〜10% W/Wの間である。さらに好ましい実施形態において、デンプンの含量は投与溶液の約3〜6.5% W/Wの間であり、かつマンニトールは投与溶液の約3〜5.5% W/Wの間である。
別の実施形態において、マトリックスは、投与溶液の約4.4% W/Wのデンプン、および投与溶液の約4.4% W/Wのマンニトールを含む。
【0106】
アレルゲンおよびマトリックスを含有する溶液の固化の前に、アレルゲンの変性、沈殿を防ぎ、安定な生成物を確実にするためにpHを調整するのが好ましい。溶液中の種々のアレルゲンについての最適pHは、ほぼ全pH範囲に及び、それらの等電点(pI)も同様である。抽出物のようなアレルゲンの混合物は、抽出物中の個々のアレルゲンの濃度のような要因により決定される溶解度および安定性について最適pHを等しく有する。よって、本発明による製剤についてのpHの可能な範囲の個別の決定は、想像できる。問題のアレルゲンについての最適pHは、異なるpHで製剤を用いて促進安定性試験を行うことにより決定される。このような試験の設計は、当業者に周知である。
好ましくは、アレルゲンを含有するマトリックス組成物は、3.5〜10、より好ましくは4〜9、最も好ましくは6〜9の間のpHに調整されるべきである。
【0107】
さらに、イオン強度が、凍結乾燥固体剤形の安定性に、主に凍結乾燥プロセスへのその影響を通して影響し得るパラメータであることが、当該技術において公知である。また、高いイオン強度が沈殿に影響することも知られている。よって、当業者に公知の測定により、最適値を確立しなければならない。好ましくは、10μg/mlの抽出物のイオン強度は、1〜1500μS/cm (S = ジーメンス(Simens))の間、より好ましくは300〜800μS/cmの間、最も好ましくは約500μS/cmであり、マトリックスとアレルゲンとを含有する系については、好ましくはイオン強度が1〜2000μS/cm、より好ましくは約500〜1500μS/cmの間である。
【0108】
本発明による固体剤形は、着色剤、矯味矯臭剤、pH調整剤または風味隠蔽剤をさらに含み得る。適切な着色剤は、酸化第二鉄、鉄黒および黄色酸化鉄ならびにFD&C黒色2号およびFD&C赤色40号のようなFD&C染料を含む。適切な矯味矯臭剤は、ミント、ラズベリー、カンゾウ、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、カラメル、バニラ、チェリーおよびグレープの矯味矯臭剤ならびにこれらの組み合わせを含む。適切なpH調整剤は、クエン酸、酒石酸、リン酸、塩酸およびマレイン酸を含む。適切な甘味料は、アスパルテーム、アセスルファムKおよびタウマティック(thaumatic)を含む。適切な風味隠蔽剤は、重炭酸ナトリウム、イオン交換樹脂、シクロデキストリン封入化合物、吸着剤またはマイクロカプセル化活性剤を含む。
【0109】
アジュバントは、アレルゲンの吸収を増進し、かつアレルゲンの免疫刺激特性を増進するために、通常用いられる。
本発明の別の好ましい実施形態において、本発明による固体剤形は、アジュバントを含まない。
驚くべきことに、問題のアレルゲンの免疫刺激特性を増進するために、速分散性固体剤形にアジュバントを組み込む必要がないことも見出されている。つまり、本明細書において記載される固体剤形は、実施例6において証明されるように、特異的免疫応答を高めることができる。
【0110】
本発明のある実施形態において、少なくとも1種のアジュバントが、本発明による固体剤形に組み込まれる。適切なアジュバントの例は、アルミニウム塩、Alhydrogel (登録商標)のような水酸化アルミニウム、非毒性細菌断片、サイトカイン、コレラトキシン(およびその無毒化フラクション)、コレラトキシンサブユニットb、キトサン、イー・コリ(E. coli)の相同熱不安定性断片(およびそれらの無毒化フラクション)、サポニン、リポ多糖(LPS)およびムラミルジペプチド(MDP)のような細菌産物、リポソーム、CpG (免疫刺激性DNA配列)、微粒子ポリマーの形のラクチド/グリコリドホモ±コポリマーなどである。アレルゲン医薬品、例えばワクチンにおけるアジュバントの使用は、問題のアレルゲンが通過するべきバリアを通過できないという事実により、しばしば理由付けられる。よって、アジュバントは、吸収促進剤として貢献するか、または免疫増強剤として作用し得る。しかしながら、アジュバントの使用は、免疫応答の種々の機構の意図しない刺激、全身性エリテマトーデスのような重要な障害、または粘膜のバリア能力に影響することにより有害物質の通過を許容することに関連し得る。さらに工業的な観点から、アジュバントの添加は、薬物の登録に関する文書化についての多くの必要性の他にも、さらなる製造および材料費を構成する。
【0111】
非圧縮速分散性固体剤形は、ある程度粘膜接着性(mucoadhesive)であってもよい。しかしながら、本発明の好ましい実施形態において、口腔の粘膜と剤形との接触時間を増加させるために、剤形に粘膜接着性添加物をさらに加えることが必要であろう。適切な粘膜接着性添加物は、カルボマーおよびカルボマー誘導体のようなポリアクリルポリマー;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース誘導体;ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ペクチンおよびグリセロールのような天然ポリマーである。
【0112】
本発明のさらなる実施形態において、唾液に溶解したアレルゲン剤形は、例えば口内の粘膜一面の吸収のための充分な接触時間を許容するために、投与の後3分間までは飲み込まれない。
さらに好ましい実施形態において、アレルゲン剤形は、例えば水のような流体の摂取により、5分後までは口腔内で希釈されない。
【0113】
アレルギー治療の関係においても、有害事象または副作用が存在することが知られている。特に、感作された個体における進行中の応答の調節を目的とする治療は、アレルゲンの投与に際して、副作用を誘導する危険性の原因となり得る。通常、口粘膜での処理に関連してみられる副作用は、眼、鼻、口、上下の気道において報告されており、許容できると見られる度合いに依存する。最も一般的なものは、かゆみの現象である。アナフィラキシーショック、上下気道の膨化、呼吸困難、血圧降下、心停止のような有害反応は許容できないだろう。
【0114】
本発明による速分散性固体剤形は、製造して、多数の固体剤形を含有する使い捨ての容器、すなわち複数回投与形態容器(multi dosage container)に包装される。米国特許第5,729,958号および同5,343,762号に記載の方法および材料が特に好ましい。適切な複数回投与形態容器の例は、全アルミニウムブリスターパック、ポリマー、例えばポリプロピレン製ブリスターパック、PVCのブリスターパック、およびPVC/PVdCラミネートでつくられ、例えばカレンダーされたクラフト紙にラミネートされたアルミニウムでシールされるブリスターパック、Aclar (登録商標)またはTriplex (登録商標)である。
【0115】
ある実施形態において、速分散性剤形は製造され、PVC/PVdCラミネートでつくられ、カレンダーされたクラフト紙にラミネートされたアルミニウムでシールされるブリスターパックに包装される。別の実施形態において、ブリスターパックは、カレンダーされたクラフト紙にラミネートされたアルミニウムで構成される、適切なサイズのアルミニウムのサッシェに封入される。
【0116】
さらに別の実施形態において、速分散性剤形は、アルミニウムでつくられ、カレンダーされたクラフト紙にラミネートされたアルミニウムでシールされるブリスターパックに包装される。
さらなる実施形態において、速分散性剤形は、例えば5層のアルミニウムラミネートからつくられ、カレンダーされたクラフト紙にラミネートされたアルミニウムでシールされる多層(multilaminar)ブリスターパックに包装される。
さらに別の実施形態において、速分散性剤形は、アルミニウムラミネートでつくられ、子供がブリスターパックを開封するのが困難な様式で、カレンダーされたクラフト紙にラミネートされたアルミニウムでシールされるブリスターパック、例えばチャイルドレシスタントパックに包装される。
【0117】
この種類の固体剤形は、一般に、このような非圧縮剤形の固有の性質のために、圧縮錠剤に比べて低い機械強度により特徴付けることができる。このことにより、ブリスターポケットから取り出す際、および患者による剤形の取り扱いの間にアレルゲンを含有する残渣粒子が放出される結果となるだろう。ほとんどの状況において、このことは、ほとんどの場合に重要ではないか、または主に見かけ上の重要性がある。しかしながら、有効成分がアレルゲンであるときには、特に有害である。なぜなら、少量のアレルゲンが曝露された人にアレルギー反応を誘発するか、または以前は感作されていない個体を感作することができるからである。通常、曝露は、例えば花粉アレルゲンまたはチリダニアレルゲンについて蓄積されたメジャーアレルゲンタンパク質への10μg/年の範囲であり、これが感作または症状を与えるのに充分である。
【0118】
固体剤形の取り扱いの際に、アレルゲンは、気道または目のような標的器官と接触して、アレルギー性の人に応答を引き起こす。1つの剤形は、曝露の性質に応じて、人が1年にわたって曝露される以上の量のアレルゲンを含有し得る。結膜のアレルゲン攻撃を用いて、アレルギー患者において目の症状を誘発することが可能である。このような攻撃実験に基づいて、結膜の症状を誘発するのにどれぐらいのアレルゲンが必要なのかを推定できる。重度の芝花粉誘発枯草熱の患者の個体群において、結膜の症状を引き起こす芝花粉抽出物の最低の用量は、3000 SQ-U/ml×0.05 ml=150 SQ-U (平均値)であると提案された(S. R. Durham、S. M. Walker、E. M. Varga、M. R. Jacobson、F. O'Brien、W. Noble、S. J. Till、Q. A. HamidおよびK. T. Nouri-Aria. Long-term clinical efficacy of grass-pollen immunotherapy. N.Engl. J. Med. 341 (7): 468〜475、1999)。
【0119】
固体剤形からのアレルゲン含有残渣が、複数回投与形態容器の開封の際に環境に放出されないことを確実にするために、剤形の摩損度が、経口投与に続く剤形からのアレルゲン放出を危うくすることなく、できる限り低いことが重要である。
よって、ある実施形態において、約500 SQ-U未満が手動の取り扱いの間に各固体剤形から放出されてもよく、より好ましくは約250 SQ-U未満、より好ましくは約150 SQ-U未満、より好ましくは約75 SQ-U未満、より好ましくは約25 SQ-U未満、最も好ましくは約10 SQ-U未満である。
【0120】
別の実施形態において、手動の取り扱いの間に各固体剤形から約13 BAU未満、より好ましくは約7 BAU未満、最も好ましくは約5 BAU未満、より好ましくは約1.95 BAU未満、より好ましくは約0.65 BAU未満、最も好ましくは約0.26 BAU未満が遊離し得る。
さらなる実施形態において、手動の取り扱いの間に各固体剤形から約0.5μg未満のアレルゲン抽出物、より好ましくは約0.25μg未満のアレルゲン抽出物、最も好ましくは約0.15μg未満のアレルゲン抽出物、より好ましくは約0.075μg未満のアレルゲン抽出物、より好ましくは約0.025μg未満のアレルゲン抽出物、最も好ましくは約0.01μg未満のアレルゲン抽出物が遊離し得る。
さらなる別の実施形態において、手動の取り扱いの間に各固体剤形から約0.05μg未満のメジャーアレルゲン、より好ましくは約0.025μg未満のメジャーアレルゲン、最も好ましくは約0.015μg未満のメジャーアレルゲン、より好ましくは約0.0075μg未満のメジャーアレルゲン、より好ましくは約0.0025μg未満のメジャーアレルゲン、最も好ましくは約0.001μg未満のメジャーアレルゲンが遊離し得る。
【0121】
本発明の好ましい実施形態において、剤形の移動後の複数回投与形態容器内の微粉の残留物含量は、全アレルゲン含量の約2%、より好ましくは固体剤形の全アレルゲン含量の約0.5%、より好ましくは固体剤形の全アレルゲン含量の約0.2%、最も好ましくは固体剤形の全アレルゲン含量の約0.1%、より好ましくは約0.01%、より好ましくは約0.005%、より好ましくは固体剤形の全アレルゲン含量の約0.003%、最も好ましくは固体剤形の全アレルゲン含量の約0.001%を超えない。
【0122】
本明細書において用いられる「摩損度試験」とは、固体剤形が粉々に崩れ、破片になり、粉末になる容易さを測定するいずれの適切な試験をいう。本発明において用いるのに適切な摩損度試験は、以下に説明し、欧州薬局方第3版(EP 3rd Ed.) Pharmaceutical technical procedures 2.9.7を含む。通常、錠剤の摩損度試験は、EP第3版2.9.7およびUSP <1216>に記載のようにして行うが、ここでは重量の損失は、無傷の剤形のパラメータとして評価される。EP第3版2.9.7摩損度試験は、直径286 mmおよび深さ約39 mmを有するドラムを用いる。錠剤の試料を第100号のふるい上におき、いずれの遊離の残留物を、空気圧またはソフトブラシの使用により除去する。錠剤を秤量し、その後ドラム内に入れる。錠剤をドラム内で100回回転させる。遊離の残留物を、上記のようにして除去し、錠剤を再び秤量する。そして結果を質量の損失として表し、初期質量のパーセンテージとして算出する。USP <1216>によると、直径283〜291 mmの間、深さ36〜40 mmの間のドラムを用いることができ、回転は25±1 rpmである。よって、本発明の剤形の無傷さは、視覚的な検査およびこのような方法に付された際の錠剤重量の測定により評価することができる。代わりに、本発明による剤形の重量が低いので、秤量を問題のアレルゲンに特異的な免疫アッセイで置き換えることができる。
修飾された摩損度試験は、いずれの組成物が頑丈さおよび機械的強度の点で最も安定であるかを評価するのに有用な手段であることが見出されている。
【0123】
ある実施形態において、遊離のアレルゲン量として測定される固体剤形の摩損度は、試験される組成物に充分な外力を発揮するいずれの適切な摩損度試験において、固体剤形当たり約500 SQ-U未満、より好ましくは固体剤形当たり約250 SQ-U未満、より好ましくは固体剤形当たり約150 SQ-U未満、より好ましくは固体剤形当たり約75 SQ-U未満、より好ましくは固体剤形当たり約50 SQ-U未満、より好ましくは固体剤形当たり約25 SQ-U未満、最も好ましくは固体剤形当たり約10 SQ-U未満である。
【0124】
より好ましい実施形態において、遊離のアレルゲン量として測定される摩損度は、薬局方EP第3版により行われる摩損度試験において、固体剤形当たり約500 SQ-U未満、より好ましくは固体剤形当たり約250 SQ-U未満、より好ましくは固体剤形当たり約150 SQ-U未満、より好ましくは固体剤形当たり約75 SQ-U未満、より好ましくは固体剤形当たり約50 SQ-U未満、より好ましくは固体剤形当たり約25 SQ-U未満、最も好ましくは固体剤形当たり約10 SQ-U未満である。
【0125】
さらにより好ましい実施形態において、遊離のアレルゲン量として測定される摩損度は、次の工程:
a) 固体剤形をそれぞれ含有する個別の密閉されたブリスターを、摩損度測定に適する装置内に置く工程;
b) 固体剤形を含有する密閉されたブリスターを、適切な時間、適切な速度で動かす工程;
c) 固体剤形を含有する密閉されたブリスターを取り出す工程;
d) ブリスターを開封し、固体剤形およびいずれの残渣を容器内に入れる工程;
e) 固体剤形ユニットを容器から、該容器内にいずれの遊離の残留物を残して取り出す工程;
f) 該残渣について、該残渣中のアレルゲン含量を決定するアレルゲン特異的アッセイを行う工程;そして
g) 固体剤形ユニットの全アレルゲン含量の該残渣中のパーセンテージアレルゲン含量を任意に計算する工程
を含む方法において、固体剤形当たり500 SQ-U未満、より好ましくは固体剤形当たり250 SQ-U未満、より好ましくは固体剤形当たり約150 SQ-U未満、より好ましくは固体剤形当たり約75 SQ-U未満、より好ましくは固体剤形当たり約50 SQ-U未満、より好ましくは固体剤形当たり約25 SQ-U未満、最も好ましくは固体剤形当たり約10 SQ-U未満である。
【0126】
別の実施形態において、遊離のアレルゲン量として測定される固体剤形の摩損度は、次の工程:
a) 固体剤形をそれぞれ含有する個別の密閉されたブリスターを、摩損度測定に適する装置内に置く工程;
b) 固体剤形を含有する密閉されたブリスターを、適切な時間、適切な速度で動かす工程;
c) 固体剤形を含有する密閉されたブリスターを取り出す工程;
d) ブリスターを開封し、固体剤形およびいずれの残渣を容器内に入れる工程;
e) 固体剤形ユニットを容器から、該容器内にいずれの遊離の残留物を残して取り出す工程;
f) 該残渣について、該残渣中のアレルゲン含量を決定するアレルゲン特異的アッセイを行う工程;そして
g) 固体剤形ユニットの全アレルゲン抽出物含量の該残渣中のパーセンテージアレルゲン抽出物含量を任意に計算する工程
を含む方法において、手動の取り扱いの間に固体剤形当たり約0.5μg未満のアレルゲン抽出物、より好ましくは固体剤形当たり約0.25μg未満のアレルゲン抽出物、より好ましくは固体剤形当たり約0.15μg未満のアレルゲン抽出物、より好ましくは固体剤形当たり約0.075μg未満のアレルゲン抽出物、より好ましくは固体剤形当たり約0.025μg未満のアレルゲン抽出物、最も好ましくは固体剤形当たり約0.01μg未満のアレルゲン抽出物である。
【0127】
さらに別の実施形態において、遊離のアレルゲン量として測定される摩損度は、次の工程:
a) 固体剤形をそれぞれ含有する個別の密閉されたブリスターを、摩損度測定に適する装置内に置く工程;
b) 固体剤形を含有する密閉されたブリスターを、適切な時間、適切な速度で動かす工程;
c) 固体剤形を含有する密閉されたブリスターを取り出す工程;
d) ブリスターを開封し、固体剤形およびいずれの残渣を容器内に入れる工程;
e) 固体剤形ユニットを容器から、該容器内にいずれの遊離の残留物を残して取り出す工程;
f) 該残渣について、該残渣中の少なくとも1種のメジャーアレルゲンのメジャーアレルゲン含量を決定するアレルゲン特異的アッセイを行う工程;そして
g) 固体剤形ユニットの全メジャーアレルゲン含量の該残渣中の少なくとも該メジャーアレルゲンのパーセンテージを任意に計算する工程
を含む方法において、約0.05μg未満のメジャーアレルゲン、より好ましくは約0.025μg未満のメジャーアレルゲン、より好ましくは固体剤形当たり約0.015μg未満のメジャーアレルゲン、より好ましくは固体剤形当たり約0.0075μg未満のメジャーアレルゲン、より好ましくは固体剤形当たり約0.0025μg未満のメジャーアレルゲン、最も好ましくは固体剤形当たり約0.001μg未満のメジャーアレルゲンである。
【0128】
本発明の別の好ましい実施形態において、
固体剤形を含有する1〜100のブリスター、
欧州薬局方V.2.9.7に記載の摩損度測定用の装置が工程a)において用いられ、
固体剤形が、工程b)において、25±1 rpmで100回回転され、そして
アレルゲン特異的アッセイが、工程f)において免疫化学的アレルゲン特異的アッセイである。
摩損度測定方法のさらに好ましい実施形態において、アレルゲン含量はELISAアッセイにより測定される。
【0129】
さらに、経口剤形は、引き立つ外観を有さなければならない。よって、品質管理の一部として、本発明の速分散性固体剤形は、例えば色、形、不規則なものおよび欠陥品の外観検査に付されるのが好ましい。
【0130】
患者の最適なコンプライアンスを確実にするために、剤形は、口内感触について試験されることもできる。例えば、患者は、剤形が口内に置かれ、崩壊するのを許容したときに、快適であると認識する。
【0131】
アレルゲンはアレルギー性の人に対して、大きく生物的影響を与える(bio-potent)、すなわち少量でさえも応答を誘発するので、含量の均一性は、治療の間に重要なパラメータであり、例えば患者により経験されたパターンが、同じ用量を摂取したときに再現可能であることを確実にする。好ましくは、複数回投与形態容器内の単位のアレルゲン含量の変動は、固定の用量(set dose)に比べて、±10%以内、好ましくは±7%以内、最も好ましくは±5%以内である。
【0132】
複数回投与形態容器は、いずれの考えられる数の速分散性固体剤形を含有してもよい。好ましくは、固体アレルゲン剤形は、群として包装され、用いられる。個別の固体剤形は、個別の容器内へ液体混合物として分配され、続いて水分を除去することにより包装される。複数のブリスターは、より大きいシートに配置され、複数のシートを一緒に包装して販売することができる。例えば、ブリスターパックのような容器は、ブリスターパック当たり好ましくは1〜100固体剤形の複数の固体剤形、より好ましくは1〜35、最も好ましくは1〜10の固体剤形を含み得る。別の実施形態は、治療の使用の単一の意図する経過のための例えば2、3、4、5、6またはそれより多いものを提供する複数ブリスターパックの使用を通して、製造、流通および貯蔵の経済性を提供する。この具体的な包装スキームは、特に単一用量治療に有用であり、本明細書に記載のように、用量増加工程を欠く投与計画により可能になる。
【0133】
別の実施形態は、アレルギーの治療またはアレルギー症状の緩和のための治療パックを提供する。治療パックは、複数回固体剤形の密閉包装であって、それぞれがアレルゲンの有効量を含む密閉包装を含む。治療パックは、例えば少なくとも2、4、6、7、10、14、30、60、90、100、120、200、240またはそれより多い固体剤形を含有することができる。治療パックは、治療全体のために充分な、または治療の一部分に充分な剤形を含み得る。有利には、治療パックは少なくとも1ヶ月の供給の単位用量を含有する。
本発明の別の有利な実施形態において、治療パックのすべての固体剤形は、同じアレルゲン投与量を含有し、これにより個体における単一のアレルギーの治療用の複数回投与量単位を製造、流通および貯蔵する必要性を除く。
【0134】
治療パックを含むキットは、固体剤形の使用に関する指示書をさらに含み得る。指示書は、注意書き、投与計画指示、または使用者に有用ないずれの他の情報を含み得る。指示書は、例えば別個の指示書パンフレット、紙、プラカード、および/または単位用量を保持する箱のような容器に印刷された1以上の注意を物理的に含み得る。指示書は、コンパクトディスクまたは他のコンピューターが読み取り可能な媒体またはビデオカセットとして供給され得る。
【0135】
最も望ましくは、治療パックの複数回固体剤形は、水および/または他の有機溶媒を含むことができ、かつ速分散性である懸濁および/または溶媒化液体を除去する現場でのプロセスにより、液体混合物から形成される。
【0136】
別の実施形態において、治療パックの固体剤形のそれぞれは、複数ブリスターパックの個別の密閉されたブリスターに位置する。
さらなる実施形態において、治療パックの固体剤形は、ゼラチン、より好ましくは魚類ゼラチンを含む。
さらなる実施形態において、治療パックの固体剤形は、さらにマンニトールを含む。
治療パックのさらに別の実施形態において、固体剤形の有効量は、約2.5μg〜約3.75 mg抽出物/固体剤形である。
【0137】
臨床的なアレルギー発現および症状はいくつかあり、感作された個体および負荷されたアレルギーに応じて変動し得る。一般的なものは、浮腫、痒み、目および鼻の発赤ならびに垂れ(鼻炎および結膜炎)のような症状、および喘鳴、咳、息切れのような上下の気道の症状、湿疹、蕁麻疹および痒みのような皮膚の状態である。疲労のようなその他の症状も経験される。対症療法は、症状の重症度を減少するかまたはそれに作用すること、あるいは平行して与えられる他の薬剤に対する必要性を減少させることをねらいとする。対症薬剤は、H1およびH2受容体アンタゴニストのような抗ヒスタミン剤、鼻腔内および全身性の副腎皮質ホルモン、非ステロイド抗炎症薬、アドレナリン受容体アゴニストのような鼻腔うっ血除去薬を含む。1種以上のアレルギー性症状の軽減および治療、または他の薬剤投与の必要性の低減は、本発明のさらなる目的である。
【0138】
アレルギーは、ヒトおよびイヌやウマのような動物を含む哺乳動物において広まった疾患である。よって、本発明のさらなる目的は、(a) マトリックスと、(b) いずれの上記の実施形態に記載の少なくとも1種のアレルゲンとを含むアレルゲンワクチン剤形の有効量を口粘膜投与することを含む、哺乳動物におけるアレルギーの治療またはアレルギー症状の緩和の方法である。
【0139】
枯草熱のような特に季節的なアレルギーの治療は、通常、攻撃アレルゲンへの曝露が存在するかまたは上昇する一年の特定の期間に結びつく。アレルゲンの季節は、アレルゲン源、例えば花粉、および特定の領域でのアレルゲン源についての気候的条件により変動する。よって、アレルゲンの季節は、気候に応じて世界各地で異なるが、通常、その年の実際の条件とともに変化しながら、同じ領域については一年の同じ期間に含まれる(例えば"Aerobiology and inhalant allergies"、第19章、T.A.E. Platts-MillsおよびW.R. Solomon (S. Manning編) 1993、Mosby-Year Book, St Louisを参照)。特定のアレルゲンについて、特定の領域で季節が通常いつ開始すると予想されるかは、当業者には周知であろう。
【0140】
本発明のある実施形態において、治療の方法は、季節前の治療、すなわち本発明の固体剤形の、アレルゲンの季節前の投与を含んで提供される。特に好ましい実施形態において、季節前の治療期間は、アレルゲンの季節前に2週間以上、好ましくは4〜20週間、最も好ましくは8〜12週間の期間の本発明による固体投与量の投与を含む。
【0141】
本発明の別の目的は、(a) マトリックスと、(b) 少なくとも1種の抗アレルギー薬、例えばいずれの上記の実施形態の抗ヒスタミン剤およびヒスタミン合成阻害剤をさらに含む少なくとも1種のアレルゲンとを含むアレルゲンワクチン剤形の有効量を口粘膜投与することを含む、アレルギーまたはアレルギー症状の治療方法を提供する。好ましくは、このような抗アレルギー薬は、ブロマフェニラミン、セチリジン、フェキソフェナジン、シプロヘプタジン、デキシコロールフェニラミン、ヒドロキシジン、ケトフェン、メキタジン、オキソトミド、ミゾラスチン、エバスチン、アステミゾール、カルビノキサミド、アリメマジン、ブクリジン、シクリジン、ヒドロクロレート、ドキシラミン、トリトクアリンを含む。
【0142】
また本発明は、アレルゲンと少なくとも1種のマトリックス形成剤とを含む非圧縮速分散性固体剤形を含む医薬品の、アレルギーの口粘膜治療またはアレルギー症状の緩和のための使用も含む。
さらに本発明の別の実施形態において、(a) マトリックスと(b) 抗ヒスタミン剤をさらに含む少なくとも1種のアレルゲンとを含む低摩損度を有する安定な速分散性非圧縮アレルゲン固体剤形を含む医薬品を、アレルギーまたはアレルギー症状の口粘膜治療に用いる。
【0143】
別の実施形態は、a) 治療パックを与え、そしてb) 症状が緩和されるまで治療パックから1つ以上の剤形を繰返し口粘膜投与することを含む、アレルギーの治療またはアレルギー症状の緩和の方法を提供する。
【0144】
またさらなる実施形態は、用量の増加、すなわち特定の用量に至るまで異なるレベルのアレルゲンを用いて増加することなく、全ての感作治療を完了するための単一用量を用いる治療計画を提供する。この実施形態は、単一の治療のために複数の用量を必要としないことにより剤形の製造、流通および貯蔵を単純化および節約するので、有利である。さらに、治療経過を単純化することにより、患者のコンプライアンスが改善され、このことが臨床上の効率を大きくすることに直接導く。
【0145】
本発明の別の実施形態は、少なくとも1種の医薬的に許容される物質、アレルゲンに対してヒトを脱感作するためのアレルゲンの有効量から形成されるマトリックスを含む経口投与可能な固体剤形を含む医薬品であり、該剤形は、25℃、60%相対湿度で3ヶ月間保持した後に、初期アレルゲン含量の少なくとも約50%のアレルゲン含量を有する。好ましくは、該医薬品はロゼンジ、錠剤、カプセルまたはカプレットの形態にある。
【0146】
本発明の速分散性固体剤形は、米国特許第4,371,516号に開示のプロセスに従って、昇華プロセスにより製造できる。よって、アレルゲンとマトリックス形成賦形剤の固化された溶液を、昇華に付す。昇華プロセスは、溶液の凍結乾燥により行われるのが好ましい。溶液は、複数回投与形態容器のくぼみに凍結乾燥工程の間に収容され、いずれの所望の形の固体形態を生成する。複数回投与形態容器は、液体窒素または固体二酸化炭素を用いて冷却できる。凍結工程の後、複数回投与形態容器内の凍結溶液は、減圧、および所望により、溶媒の昇華を促進する制御された熱適用に付される。
【0147】
さらに本発明は、アレルゲンの、アレルギーの治療またはアレルギー症状の緩和に用いるための(a) マトリックスと、(b) 少なくとも1種のアレルゲン形態とを含む、低摩損度を有する安定な速分散性非圧縮アレルゲンワクチン固体剤形の製造のための使用を含む。
【0148】
別の実施形態において、少なくとも1種のマトリックス形成剤と、少なくとも1種のアレルゲンに対して個体を脱感作するための有効量とを含む、低摩損度を有する口粘膜投与のために適切な、速分散性非圧縮固体安定剤形を製造する方法が提供され、この方法は:
a) 少なくとも1種のアレルゲンと少なくとも1種のマトリックス形成剤とを含む水溶液を調製する工程、
b) 該溶液を、型の1つ以上のくぼみに導入する工程、
c) ロードされたシートを凍結に付し、そして棚温度とチャンバー圧の標準の条件を用いて凍結乾燥して、各くぼみ内に固体剤形を得る工程
を含む。
【0149】
さらに別の実施形態において、少なくとも1種のマトリックス形成剤と、少なくとも1種のアレルゲンに対して個体を脱感作するための有効量とを含む、低摩損度を有する口粘膜投与のために適切な、速分散性非圧縮固体安定剤形を製造する方法が提供され、この方法は:
a) 少なくとも1種のアレルゲンと少なくとも1種のマトリックス形成剤とを含む水溶液を調製する工程、
b) 該溶液を、ラミネートされたブリスターシートのくぼみに導入する工程、
c) ロードされたシートを凍結に付し、そして棚温度とチャンバー圧の標準の条件を用いて凍結乾燥して、各くぼみ内に固体剤形を得る工程
を含む。
該方法の好ましい実施形態において、ブリスターシートは、全てアルミニウムのブリスターシートである。該方法の特に好ましい実施形態において、ブリスターシートは多層の全てアルミニウムのブリスターシートである。
【0150】
さらに別の実施形態において、少なくとも1種のマトリックス形成剤と、少なくとも1種のアレルゲンに対して個体を脱感作するための有効量とを含む、口粘膜投与に適切な速分散性非圧縮固体安定剤形を含む医薬品を製造する方法が提供され、該低摩損度を有する剤形は:
1) 安定な速分散性非圧縮固体剤形を製造し、
2) 該剤形の摩損度を、
(a) 固体剤形をそれぞれ含有する個別の密閉されたブリスターを、摩損度測定に適する装置内に置く工程;
(b) 固体剤形を含有する密閉されたブリスターを、適切な時間、適切な速度で動かす工程;
(c) 固体剤形を含有する密閉されたブリスターを取り出す工程;
(d) ブリスターを開封し、固体剤形およびいずれの残渣を容器内に入れる工程;
(e) 固体剤形ユニットを容器から、該容器内にいずれの遊離の残留物を残して取り出す工程;
(f) 該残渣について、該残渣中の少なくとも1種のメジャーアレルゲンのメジャーアレルゲン含量を決定するアレルゲン特異的アッセイを行い、そして
(g) 固体剤形ユニットの全メジャーアレルゲン含量の該残渣中の少なくとも該メジャーアレルゲンのパーセンテージを計算する工程
を含むアッセイにおいて測定して、固体剤形が低摩損度の要件を充足するかを検出し、そして
3) 固体剤形についての要件が充足されるまで、1)および2)を繰り返す
ことを含む。
【0151】
口粘膜免疫療法は、免疫寛容性を誘導し、かつ粘膜ワクチン接種を誘導する方法とみなすことができる。口の粘膜は、抗原提示のための強い潜在能力を有する樹状細胞に富む。樹状細胞は、アレルゲンを処理し、次いで局所リンパ節に移動し、そこでアレルゲン由来ペプチドをアレルゲン特異的T細胞に提示すると考えられている。舌下の免疫療法の間、この樹状細胞−T細胞の相互作用は、調節性の潜在能力を有するT細胞を誘導するか、またはアレルゲン特異的Th1細胞のアレルゲン特異的Th2細胞に対する比を増加させると考えられている。アレルギーのワクチン接種の間に監視される免疫学的パラメータのいくつかは、単独または組み合わせのそれぞれで、治療の効果または効率の適切なマーカーであり得る。これらは、全身性および粘膜の抗体応答、例えば特異的IgA、IgGおよびIgE抗体;サイトカインレベル、例えば血液または粘膜分泌物中のINF-γ、IL-2、IL-4、IL-5、IL-10、IL-12、TNF-α;調節性T細胞、Th1細胞、Th2細胞、CD8細胞、他のT細胞亜集団またはB細胞もしくはNK細胞の活性化、走化性、増殖、シグナリング、サイトカイン産生および他の応答、ならびにCD (cluster of differentiation)マーカー、例えばCD4、CD8、CD23、CD25、CD62L、CLA、β7、CCR9、CD69、CD45RO、CCR3、CXCR5のような細胞表面マーカーの発現、好塩基球の全ヒスタミン含量のようなエフェクター細胞の機能;血液、組織および分泌物中の好酸球、好塩基球、リンパ球、単球の数;好酸球、好塩基球、リンパ球、単球のメディエータの放出、サイトカイン産生、活性化、走化性、増殖、シグナリングおよび他の応答を含む。
【0152】
好ましい実施形態において、本発明によるワクチンは、次の免疫学的変化の1つ以上が見出されるプロフィールを有する;
アレルゲン特異的IgG応答の上昇、アレルゲン特異的IgA応答の上昇、アレルゲン特異的IgE応答の低下、局所副作用がほとんどない;好酸球、好塩基球、リンパ球および/または単球のアレルゲン特異的エフェクター応答の低下;調節性潜在能力を有するT細胞の誘導、アレルゲン特異的Th1細胞のアレルゲン特異的Th2細胞に対する比の増加、調節性潜在能力を有する他の細胞の誘導、アレルゲン特異的Th2応答の減少。
【0153】
アレルギーは、動物、特に家畜およびペットの動物においても知られる疾患である。これらは、芝、室内チリダニおよび寄生虫を含む多種のアレルゲン源に対してアレルギーを発生することが、当該技術において知られている。吸血性昆虫の外寄生は、ノミアレルギー性皮膚炎(FAD)とよばれる過敏性応答に導くことが知られている。本発明の好ましい実施形態において、動物ワクチン用のアレルゲンは、外部寄生虫(例えばノミ、ダニ、カ、ハエ)、寄生回虫毒(心糸状虫症、すなわちDirofilaria、またはオンコセルカ症、すなわちオンコセルカ(Onchocerca))のような寄生虫および室内チリダニを起源とするか、またはこれらから運ばれるアレルゲンを含む。より好ましくは、Ctenocephalides、例えばC. canisおよびC. felisのようなノミ類、Ixodes、Arnblyommaのようなマダニ類、Ornithodorosのようなヒメダニ類、およびCulicoidesのようなユスリカ属からの唾液アレルゲンである。
【実施例】
【0154】
実施例
略記;
API:活性タンパク質成分
ELISA:酵素結合免疫吸着アッセイ
DDT:ジチオスレイトール
HRP:セイヨウワサビペルオキシダーゼ
LIA:マジックライト特異的IgEアッセイ
LITE試薬:発光標識抗IgE
PMP:常磁性粒子
SDS-PAGE:ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動
TMB:テトラメチルベンジジン
【0155】
実施例1 Phleum pretense (チモシー)芝花粉抽出物と魚類ゼラチンとを含有するアレル
ゲンワクチン
組成:
【0156】
表1
【表1】

【0157】
芝抽出物
芝花粉抽出物は、IpsenおよびLowensten (1983) Jour. Allergy. Clin. Immunol. 72: 2, 第150〜159頁に記載の方法に従って調製した。簡単に、芝花粉は、炭酸水素アンモニウム中に20時間、5℃で抽出した。微粒子物質を、遠心分離により除去し、上清を水に対して透析(3回)し、凍結乾燥して、水で元に戻すまで冷却保存した。
【0158】
固体剤形:
製造プロセス:
1.マンニトールを、精製水の一定量(バッチの全必要量の50%以上)に加えて溶解させた。
2.ゼラチンをマンニトール溶液に加え、溶液を、ゼラチンが完全に溶解するまでマグネティックスターラーで攪拌した。
3.精製水の第二の一定量(バッチの全必要量の35%以下)を、バイアル中のアレルゲン抽出物を元に戻すのに用いた。戻したアレルゲン抽出物を、マンニトール−ゼラチン溶液に加えた。
4.バルク配合物のpHを、調製してすぐの水酸化ナトリウム溶液(3重量%)を用いてpH7.5に調整した。
5.配合物を完成するのに必要な精製水の残りの量を計算して、バルクミックスに移した。
6.溶液を、予め形成されたブリスターパックに分けた。溶液は、周囲温度の条件下で分けた。
7.分けた後、充填されたブリスターパックを、液体窒素凍結トンネルを通過させた。全て凍結した生成物を、凍結乾燥前に直ちに凍結貯蔵に付した。棚温度とチャンバー圧の標準の条件を用いて、ユニットを凍結乾燥した。
8.凍結乾燥ユニットを、ふたのホイルでシールし、最後にサッシェの中に包装した。
【0159】
固体剤形は、18 mgの平均重量および11 mmの平均直径を有した。
【0160】
分析方法の簡単な説明
アイデンティティ(ID)、タンパク質プロフィール:タンパク質プロフィールは、製造業者の使用説明書に従って、Novex MiniCell Xcell IIシステム(Invitrogen)でのSDS-PAGEにより決定した。簡単に、サンプルを還元剤(0.5 M DDT)を加えたサンプルバッファーで希釈し、そして70℃に10分間付し、5分間冷却させる。ウェル当たりサンプル、内部参照および標準の低範囲サイズマーカー(BIO-RADより)を、NuPAGE 4〜12% Bis-Tris勾配ゲルにかける。電気泳動を200Vで約35分間行う。続いて、ゲルを銀染色により染色する。タンパク質のパターンは、内部参照のものと類似であるべきである。
【0161】
視覚的検査
全てのユニットを、例えば色、形、不規則なものおよび欠陥品の視覚的検査に付し、許容できる外観を確実にした。
【0162】
崩壊性:この試験は、欧州薬局方(第3版)または現行のUSPに記載のようにして行った。
【0163】
水分含量:残存水分は、カールフィッシャーの滴定原理を用いて測定した。この方法は、所定量のI2が、等しい量のH2Oの変換を導くという原理に基づいて、サンプル中の水分含量の定量測定を行う。
簡単に、バイアル当たり1〜3の固体剤形を、3重にカールフィッシャー滴定装置で、製造業者の使用説明書に従って、ブラインドサンプル(ラン当たり4つ)およびKF標準サンプルとともに試験した。実施例10参照。
【0164】
全アレルゲン活性:この試験は、競合的イムノアッセイであるLIA (Eikenら、Allergy 1992, 47:495〜497)を用いて行った。常磁性粒子(PMP) (ADVIA Centaur PMP, ALK-AbelloA/S, Denmark)に結合した抗ヒトIgEモノクローナル抗体100μlを、3回洗浄し、患者の血清のプール100μlおよび特異的チモシーIgE抗体を加えて、振とう器で2時間、2〜8℃でインキュベートしたが、これにより特異的IgEがPMPに結合する。PMPを3回、ゼラチンバッファーで洗浄して、IgG抗体を除去した。10個の固体剤形をゼラチンバッファーに溶解し、錠剤当たり625 SQ-単位または1250 SQ-単位の希釈を調製した。サンプル、または既知の濃度のビオチン化チモシーAPIの参照を適用し、振とうしながら2〜8℃で一晩インキュベートした。サンプルおよびビオチン化APIは、IgE結合部位に競合し、サンプル中のアレルゲン濃度が上昇すると、結合したビオチン化APIの量が落ちる。インキュベーションの後、サンプルを3回、ゼラチンバッファー中に洗浄し、LITE試薬、例えばストレプトアビジン結合アクリジニウムエステル化学発光化合物(ADVIA Centaur Lite Reagents, ALK-Abello A/S)を入れる。サンプルを2時間、振とう器で2〜8℃でインキュベートし、ゼラチンバッファー中に3回洗浄し、そしてルミノメータで読み取った。応答は、サンプル中のアレルゲンの濃度に対して反比例する。
【0165】
メジャーアレルゲン含量:この試験は、Obispoら、Allergy、1997、52、第806〜813頁に従って、ELISA法を用いて行った。
ELISA法は、チモシーメジャーアレルゲン5 (Phl p 5)の濃度を測定する。Phl p 5分子の異なるエピトープと反応する2つのモノクローナル抗体(ALK-Abello A/S、DK)で、マイクロタイタープレートを一晩、4℃でコートした。洗浄(洗浄バッファー0.1 M PBS、0.05%Tween-20で4回)してブロッキングバッファー(2%カゼインバッファー)でプレートをブロックした後、サンプル/参照を入れ、次いでこれが抗体に結合した。再び洗浄(洗浄バッファーで4回)した後、チモシー抗原に対するビオチン化ウサギポリクローナル抗体(ALK-Abello A/S、DK)をウェルに入れて、反応させた。
【0166】
洗浄バッファーで4回洗浄した後、HRP (セイヨウワサビペルオキシダーゼ)に結合したストレプトアビジン(DAKO、Denmark)をウェルに入れ、1時間、室温で反応させた(振とう)。洗浄バッファーで4回洗浄した後、HRP酵素に対する基質(TMB、KEM EN TEC)を入れ、20分間反応させ、次いで反応を0.5 N硫酸で停止した。発色した色を450 nmで、分光光度計、例えばMultilabelカウンターVictor 2で測定した。
【0167】
摩損度:
速分散性剤形の摩損度を、次の方法を用いて測定した。
各ブリスターが固体剤形を含有する10のブリスターを含有する密閉されたブリスターシートを、10個の個別のブリスターに切り分け、各ブリスターを、欧州薬局方第3版V. 2.9.7に記載の摩損度測定に適切な装置の部品の中に置き、ユニットを25±1 rpmで100回回転させた。個別のブリスターを取り出し、開封して、固体剤形を適切な容器に移した。次いで、固体剤形を容器から取り出し、いずれの遊離の残渣を該容器内に残した。免疫化学的アレルゲン特異的アッセイ(ELISA)を行って、残渣中のアレルゲン量を検出した(上記を参照)。
【0168】
安定性試験:
表2
【表2】

【0169】
表3
【表3】

【0170】
表4
【表4】

【0171】
実施例2:チモシー芝花粉抽出物とデンプンとを含有するアレルゲンワクチン
組成:
【0172】
表5
【表5】

【0173】
製造プロセス:
実施例1と同様にして、α化デンプンをゼラチン(魚起源)の代わりに用いた。固体剤形は、19 mgの平均重量および11 mmの平均直径を有した。
【0174】
分析方法の簡単な説明:
実施例1と同様。
【0175】
安定性試験:
表6
【表6】

【0176】
表7
【表7】

【0177】
表8
【表8】

【0178】
実施例3:芝抽出物と魚類ゼラチンとを含有するアレルゲンワクチン
【0179】
表9
【表9】

【0180】
製造プロセス:
実施例1と同様。
固体剤形は、30 mgの平均重量および12 mmの平均直径を有した。
【0181】
分析方法の簡単な説明:
摩損度および安定性を測定しなかった以外は実施例1と同様。
【0182】
分析結果:
表10
【表10】

【0183】
これらの結果は、6.5%の魚類ゼラチンおよび5.5%のマンニトールからなるマトリックス形成剤中に、3種の異なる用量の芝アレルゲンを含む、アレルゲン含有固体剤形を具体的に表す。剤形中のアレルゲン含量およびアレルゲン活性は、製造の後、許容できる限度(以下を参照)内であった。さらに、これらの結果は、全ての剤形が、4〜7%の好ましい範囲内の水分含量を有することを示す。
【0184】
結果
実施例1、2および3から明らかなように、即座に崩壊する速分散性固体アレルゲンワクチン剤形を製造することができる。視覚的検査は、ブリスターパックのいくつかにおいて残渣が検出された(ほとんど、デンプン含有マトリックスについてより高い量)が、抽出物の全含量の損失は許容でき、残渣の量、すなわちアレルゲン含量の損失は、許容できる限度内、すなわち0.5μg未満の抽出物であることが見出された。よって、アレルゲンを含有する、低摩損度を有する非圧縮速分散性固体剤形を製造できる。
【0185】
安定性のデータは、製剤が室温で、ならびに上昇した温度および湿度で9ヶ月間安定であることを示す。アレルゲン含量および全アレルゲン活性は変化しないままであった(アッセイの変動範囲内、欧州薬局方第3版、Allergen Productsのモノグラフによる;全アレルゲン活性 理論値の50〜200%、メジャーアレルゲン含量 理論値の65〜135%)。
製造した全てのバッチを、視覚的検査に付して、許容できる限度内であることがわかった。
【0186】
実施例4:アレルゲンワクチン組成物
多様な比率のマトリックス形成剤を含有する固体アレルゲンワクチン剤形を製造した。
【0187】
表11:異なるパック内に製造した、75,000 SQ-Uのチモシー芝花粉を含有する固体剤形
【表11】

【0188】
全ての剤形を、以前に記載されたような12 mmのユニット直径を有するブリスターパックに製造した。全ての剤形は、迅速に崩壊し、外観、引張強さおよび破断ピーク荷重により評価したところ、頑丈であった。
【0189】
表12:魚類ゼラチンおよびマンニトール中に75,000 SQ-Uのチモシー芝花粉を含有する固体剤形
【表12】

【0190】
全ての剤形を、以前に記載されたような12 mmのユニット直径を有するブリスターパックに製造した。
全ての剤形は、迅速に崩壊し、外観および破断ピーク荷重により評価したところ、頑丈であった。
【0191】
実施例5:均質性
実施例1に記載の組成および製造による剤形を、均質性およびアレルゲン含量について試験した。アレルゲン含量は、芝花粉Phleum p 5の効力の均質性として、ELISAアッセイにより実施例1に記載のようにして、それぞれ25000および125000 SQ-単位を含有する剤形についてそれぞれ測定した。ブリスターパックからの10個の個別のユニットを、表13および14に示すように比較した。
【0192】
表13:25000 SQ-単位の剤形の含量の均質性
【表13】

【0193】
表14:125,000 SQ-単位の剤形の含量の均質性
【表14】

【0194】
全ての変動は、許容できる限度内であり、アレルゲン含量の良好な均質性が見られた。
【0195】
実施例6:チモシー芝花粉ワクチンのイヌへの投与
イヌは、性別に関して、各実験群内で等しく分配し、以下の表15に従って投与した。
【0196】
表15
【表15】

【0197】
イヌは、表15に示す用量を舌下に投与した。剤形を舌下に置き、口吻を閉じて保持し、剤形を溶解させた。動物は、1日当たり1回、連続4週間の期間、投与された。処置期間の終了後、各群の全てのイヌから血液サンプルを採取した。プラセボおよび高い用量の群のそれぞれ4匹のイヌは、4週間の回復期間を通して続け、その後、さらに血液サンプルを採取した。
【0198】
方法:
血清または血漿のいずれかのチモシー(Phl p)特異的IgGを、次のようにして測定した:ELISAプレート(Costar)を、10μg/ ml Phl p抽出物で、4℃で一晩コートした。プレートを1分間の浸漬を間に挟み4回洗浄し、2%カゼインバッファーを用いて1時間、室温にて、非特異的結合に対してブロックした。個別の血清または血漿サンプルを、ポリプロピレンプレートで希釈し、ELISAプレートに移して、2時間、室温でインキュベートした。洗浄後、HRP標識抗イヌIgG (ICN)をELISAプレートに加え、1時間、室温にてインキュベートした。さらに洗浄した後、TMBをELISAプレートに加え、ふたをして20分間、室温にてインキュベートした。反応を0.5M硫酸で停止させた。吸光度(OD)を、450 nmにて分光光度計で測定した。
【0199】
1:200希釈でのODの値を、3つの群の犬について比較した:プラセボ、25000 SQ/用量および500000 SQ/用量。3つの群の間の統計的な差を、2つの対でない群を比較する母数によらない試験であるマン・ホイットニ順位和検定を用いて計算した。500000 SQ単位を摂取したイヌは、25000およびプラセボの両方より高い平均値を有しており、このことは特異的抗体応答を示唆する。
【0200】
結果:
マン・ホイットニ検定からのP値を表16に示す。
表16
【表16】

Pレベル≦0.05=95%の確実性で有意。
【0201】
プラセボと500,000 SQ-U/用量の群との間には明確な有意差があり、このことは500,000 SQ-U/用量での4週間の舌下処置が、体液性特異的IgGのレベルをより高くすることを示唆する。プラセボと25,000 SQ-U/用量の群との間には、境界有意差があり、このことは、25,000 SQ-U/用量での処置が、500,000 SQ-U/用量での処置よりは弱いが、体液性特異的IgGレベルを与えることを示唆する。
【0202】
実施例7:チモシー芝花粉ワクチンのアレルギー患者への投与
芝花粉アレルギーと診断された女性および男性の両方の、18〜65歳のアレルギー患者に、実施例1に従って固体剤形を含有する芝花粉抽出物の1、2または3の単一用量および/または複数用量としての舌下用量を、無作為化二重盲検プラセボコントロールで設計された試験において投与した。
【0203】
安全性/許容度(tolerability)を、漸増する(progressing)単一用量を用いて評価した。プラセボ、2,500、25,000、75,000、125,000および375,000 SQ-Uの単一用量を、用量漸増様式で、プラセボと活性錠剤(直径12 mmおよび乾燥重量約18 mg)との組み合わせで段階的に投与して、必要な用量を得た。芝花粉に対してアレルギーを有する47人の患者を処置した。剤形を舌下に置き、そこで嚥下の前に1分間保持した。固体剤形の投与の後5分間は、飲食を禁じた。患者の症状を2時間観察した。全ての副作用を記録し、各投与の後、患者の許容度を視覚的評価尺度について記録した。有害事象が重傷度において主に温和であり、かつ口および喉における「かゆみ」の現象に限定されたことから、用量を含有する剤形は、125,000 SQ-Uを含んでここまで良好に許容されることがわかった。有害事象は、プラセボ群においても報告された。「口のかゆみ」は、漸増用量を用いるとより頻繁に報告され、例えば有害事象の増進は、漸増用量に関連した。
【0204】
さらに、繰返し用量の安全性/許容度を、3種の選択された用量、2,500、25,000および75,000 SQ-U、ならびにプラセボについて試験した。芝花粉にアレルギーを有する47人の患者を同等のサイズの4群に分配し、舌下剤形を8週間の期間、毎日摂取した。プラセボ、2,500および/または25,000 SQ-Uを含有する3種の錠剤(直径12 mmおよび乾燥重量約18 mg)の組み合わせを投与して、必要用量を得た。有害事象を記録し、症状を患者の日誌に集めた。剤形に含有される用量は、3つの有効な治療群の全てにおいて、良好に許容された
ことがわかった。有害事象および症状は、漸増用量を用いると、より頻繁に報告された。
【0205】
よって、試験された固体剤形は、漸増用量および単一繰返し用量の両方の治療における臨床使用に適する。
【0206】
実施例8:チモシー芝花粉抽出物と魚類ゼラチンとを含有するアレルゲンワクチン
実施例1の表1により記載され、実施例1に従って製造される固体剤形を、25℃/60% RHで12ヶ月間貯蔵し、視覚的検査、崩壊性、水分含量、塊(mass)の均質性、アイデンティティ(タンパク質プロフィール)、メジャーアレルゲン含量および全アレルゲン活性により評価した。全ての試験は、実施例1に記載のようにして行った。明記しない限りは、10個の錠剤のプールについての2重で行った測定の平均値を示す。
【0207】
表17
【表17】

【0208】
視覚的検査:
実験の間、錠剤の外観に変化はなかった。
崩壊性:
実験の間、崩壊時間に大きな変化はなかった。全ての試験サンプルは、即時に崩壊した。
【0209】
塊の均質性:
実験の間、塊の均質性に大きな変化はなかった(20個の錠剤の評価)。
水分含量:
実験の間、水分含量に大きな変化はなかった。
アイデンティティSDS-PAGE:
実験の間、タンパク質プロフィールに劇的な変化はなかった。サンプルは、全ての試験時に参照と類似であった。
【0210】
全アレルゲン活性:
錠剤について、全アレルゲン活性の大きな損失は測定されなかった(異なる強度について、12ヶ月で理論含量の105%〜119%変動し、この値は行われた試験の偏差の範囲内である)。
メジャーアレルゲン含量:
メジャーアレルゲン含量により測定されるようなアレルゲン含量の大きな損失は、錠剤について測定されなかった(異なる強度について、12ヶ月貯蔵で理論含量の99%〜104%変動し、この値は行われた試験の偏差の範囲内である)。
【0211】
実施例9:チモシー芝花粉抽出物と魚類ゼラチンとを含有するアレルゲンワクチン
組成は、実施例1の表1に記載される。
実施例1に従って製造された固体剤形を、25℃/60% RHで18ヶ月間貯蔵し、剤形、すなわち錠剤の視覚的検査により、および崩壊時間、水分含量、塊の均質性、アイデンティティ(タンパク質プロフィール)、メジャーアレルゲン含量および全アレルゲン活性の測定により評価した。全ての試験は、実施例1に記載のようにして行った。明記しない限りは、10個の錠剤のプールについての2重で行った測定の平均値を示す。
【0212】
表18
【表18】

【0213】
25,000 SQ-単位/固体剤形を含有する固体剤形については、IDの分析のみを行った。0ヶ月と比較して、貯蔵後18ヶ月で類似のIDパターンが見られた(データは示さず)。
固体剤形は安定であることが見出され、すなわち25℃/60% RHで18ヶ月間の貯蔵の後、アレルゲン含量および全アレルゲン活性は変わらないままであった(アッセイの変動の範囲内であり、欧州薬局方第3版、Allergen Productsのモノグラフによる;全アレルゲン活性 理論値の50〜200% メジャーアレルゲン含量 理論値の65〜135%)。さらに、実験の間、試験されたアレルゲン用量のすべてについて、固体剤形の外観に変化はなかった。さらに、実験の間、試験された剤形の塊の均質性に変化はなかった。水分含量に関して、検出可能な変化はなく、4〜7%の好ましい範囲内であった。
【0214】
実施例10:チモシー芝花粉抽出物と魚類ゼラチンとを含有するアレルゲンワクチン
固体剤形の組成は、実施例1の表9に示す。
固体剤形は、実施例1に従って調製し、安定性試験に付した。
全ての試験は、実施例1に従って行った。
【0215】
安定性の結果
表19
【表19】

【0216】
表20
【表20】

【0217】
表21:
【表21】

【0218】
剤形の質を、剤形(すなわち錠剤)の視覚的検査、および崩壊時間、水分含量、塊の均質性、アイデンティティ(タンパク質プロフィール)、メジャーアレルゲン含量および全アレルゲン活性の測定により評価した(全てのデータは示していない)。
全ての用量の固体剤形は、安定であることが見出され、すなわち25℃/60% RHおよび40℃/75% RHで6ヶ月間の貯蔵の後、アレルゲン含量および全アレルゲン活性は変わらないままであった(アッセイの変動の範囲内であり、EMEA第3版、Allergen Productsのモノグラフによる;全アレルゲン活性 理論値の50〜200% メジャーアレルゲン含量 理論値の65〜135%)。さらに、実験の間、試験されたアレルゲン用量のすべてについて、固体剤形の外観に変化はなかった。さらに、実験の間、試験された剤形について、塊の均質性に変化はなかった。水分含量に関して、実験の間に検出可能な変化はなかった。全ての用量について、40℃/75% RHでの貯蔵の間に、水分含量に増加の傾向がわずかに見られたが、全ての試験サンプルは、4〜7%の好ましい範囲内であった。
【0219】
実施例11:チモシー芝花粉抽出物と魚類ゼラチンとを含有するアレルゲン剤形における水分含量と水分活性の測定
組成
表22
【表22】

【0220】
固体剤形は、実施例1に従って調製した。
種々の固体剤形の水分含量を、Rotronic Hygroskop BT-RS1 (Rotronic ag, Switzerland)で測定した。各測定について、10個の錠剤を用いた。安定な出力シグナルは、平衡に達したことを示し、続いて、相対湿度を次の関係を用いて水分活性に変換した。
【0221】
【数1】

【0222】
ここで
awはサンプルの水分活性であり、
Pwはサンプル上の水蒸気分圧であり、
Pw*は純水上の水蒸気圧であり、そして
RHequ (ERH:相対湿度平衡)は、サンプルの相対湿度である。
【0223】
774 Oven Sample Processorを備える756 Karl Fischer Coulometer (Metrohm, Herisau, Switzerland)を、錠剤中の水分含量の測定に用いた。1〜3個の錠剤をガラスバイアルに入れ、PTFE被覆蓋(Metrohm, Herisau, Switzerland)で密閉した。サンプルバイアルを774 Oven Sample Processor (Metrohm, Herisau, Switzerland)に入れ、サンプルに存在するいずれの水分も130℃の温度で蒸発させた。蒸発させた蒸気は、Hydranal (登録商標)-Coulomat Oven試薬(Riedel-de-Haen)を含有する反応セルに窒素ガスにより移動させ、続いて、放出された水分の量の定量を、カールフィッシャー滴定により製造業者の使用説明書に従って行った。結果を表24に示す。
【0224】
表23:チモシー芝花粉抽出物と魚類ゼラチンとを含有する種々のアレルゲン剤形の水分活性および水分含量
【表23】

【0225】
全ての固体剤形は、0.41〜0.46の間の平均水分活性を有したが、いくつかは5%を超える水分含量を有した。
【0226】
実施例12:チモシー花粉抽出物を含有するアレルゲンワクチン
組成
表24
【表24】

【0227】
製剤は、Norland, Canadaからの魚類ゼラチンを用いた以外は、実施例1に記載のようにして製造した。固体剤形は、13 mmの平均直径を有した。
【0228】
表25
【表25】

【0229】
この結果は、芝アレルゲン抽出物の異なる2種の異なる用量と、6.0%の魚類ゼラチンおよび5.08%のマンニトールからなるマトリックス形成剤とを含む、アレルゲン含有固体剤形のさらなる実施形態を提供する。剤形は、実施例1に記載の方法に従って摩損度について試験された。結果は、アレルゲンの放出が検出されたので、製剤が摩損度に関して安定であることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 密閉された容器内の複数の固体経口剤形であって、固体経口剤形のそれぞれが密閉された囲いに保持され、口粘膜投与に適する有効量のアレルゲンを含むもの、及び
b) それぞれが同じ量のアレルゲンを含む該固体剤形
を含むアレルギーの治療またはアレルギー症状の緩和のためのキット。
【請求項2】
複数固体剤形を用いるための使用説明書をさらに含む請求項1に記載のキット。
【請求項3】
剤形が、速分散性剤形である請求項1または2に記載のキット。
【請求項4】
固体剤形のそれぞれが、複数ブリスターパックの個別に密閉されたブリスター内にある請求項1〜3のいずれか1つに記載のキット。
【請求項5】
固体剤形がゼラチン及びマンニトールを含む請求項1〜4のいずれか1つに記載のキット。
【請求項6】
固体剤形が、デンプン及びマンニトールを含む請求項1〜4のいずれか1つに記載のキット。
【請求項7】
ゼラチンが魚類ゼラチンである請求項5に記載のキット。
【請求項8】
アレルゲンの有効量が、2.5μg〜3.75 mg抽出物/固体剤形である請求項1〜7のいずれか1つに記載のキット。

【公開番号】特開2011−93926(P2011−93926A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1387(P2011−1387)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【分割の表示】特願2005−510223(P2005−510223)の分割
【原出願日】平成15年11月26日(2003.11.26)
【出願人】(505193472)
【氏名又は名称原語表記】ALK−ABELLO A/S
【住所又は居所原語表記】Boge Alle 6−8,DK−2970 Horsholm,DENMARK
【Fターム(参考)】