説明

アンカーボアホールを調査するための装置

本発明は、アンカーボアホールを調査するための装置であって、光学的な検出装置を備えた、プッシュロッドによりボアホール内を走行可能なゾンデが設けられている形式のものに関する。本発明により、アンカーボアホールゾンデ(1)が、コーンミラー(13)とビューウィンドウと発光ダイオード(15)とが設けられているレンズ(12)を備えたカラーCCDセンサ(11)を有するビデオヘッド(10)と、行程センサ(20)と、電子回路部分(21)と、記憶装置モジュール(22)と、赤外インターフェースが配置されているバッテリ部分(23)とから成っているようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンカーボアホール(Ankerbohrloch)を調査するための装置であって、光学的な検出ユニットを備えた、プッシュロッドによりボアホール内を走行可能なゾンデが設けられている形式のものに関する。
【0002】
米国特許第5663559号明細書には、石油探査孔における地層の画像を形成するための方法および装置が記載されている。
【0003】
欧州特許第0658253号明細書は、石油探査孔におけるボアホールもしくはシャフトの内部を調査するためのボアホール観察器具を開示している。
【0004】
国際公開第94/07147号パンフレットは、>2インチ(Zoll)のボア直径のための地下水流動方向および速度を同時にビデオ技術の利用下で求めるための方法および装置に関する。
【0005】
こられの明細書に開示された方法および装置はアンカーボアホールの調査のためには不適である。それというのも、アンカーボアホールは一般に1インチ〜2インチの直径を有しているからである。
【0006】
独国特許第19925733号明細書から、ボアホールが内視鏡により光学的に観察され得ることが公知である(ボアホール内視法)。
【0007】
この内視法では、ボアホール壁は現地で視察され、観察記録の保存および岩盤の機械的な組織データの真の空間的な対応付けは不可能である。
【0008】
本発明の課題は、アンカーボアホールのボアホール壁を光学的に検出し、そうして求められた情報を、岩盤状態の安全にとって重要な判定と、坑道掘進中の客観的な記録とが得られるように評価することを可能にする装置を提供することである。
【0009】
この課題は請求項1の特徴部に記載した特徴により解決される。
【0010】
有利な構成は従属請求項に記載されている。
【0011】
ケーブルレス、すなわち自給自足(autark)のゾンデもしくはプローブとして構成されている本発明によるアンカーボアホールゾンデ(Ankerbohrlochsonde)は、アンカーボアホール内を走行させられ、ボアホールの表面は光学的にデジタル形式で検出かつ保存される。それによりボアホール壁の記録が可能である。この記録により、評価プログラムを用いて、不連続面および層の真の空間位置が求められることができる。評価プログラムは、求められたデータの、データバンク内での快適な管理、ボアホール画像の画像処理および評価、さらにはその解釈を可能にする。
【0012】
石炭鉱業の坑内での使用のために、アンカーボアホールゾンデは防爆式に構成されている。
【0013】
行程検出は、行程を求めるための運動センサが配置されているコンタクトホイールにより実施される。ゾンデ運動を運動センサにより直接検出することも可能である。この運動センサはボアホール壁に向けて照射し、反射をセンサの運動時に検出し、そこから行程を求める。
【0014】
統合された位置センサにより、ボアホール内でのゾンデの位置が検出され、画像情報と共に保存される。不連続面の真の位置は評価プログラムによりゾンデ空間位置データを含めて求められる。
【0015】
ボアホール壁の表面の、保存されたデジタル形式のイメージは、構造解明および肉眼岩石学的かつ記載岩石学的な特性の分析のために使用される。
【0016】
その際、不連続面の真の空間位置およびその頻度分布は、坑道の上盤もしくはトンネルの天井内の割れ目体を求めるために求められる。ボアホールのより頻繁な巡視は、坑道天井の緩み経過および緩み状態についての、最適化された独立的かつ客観的な比較可能な情報を生ぜしめる。
【0017】
評価プログラムおよびデータバンクにより、以前の調査のデータを新しい調査結果と合わせることが可能である。その結果、開口幅の変化が検出可能である。緩み域のこの早期的な認識は早期の処置を可能にする。岩盤状態の安全にとって重要な判定はそれにより常時可能である。さらに、岩盤特性の解明は坑道支保の計画および最適化時および特にアンカー寸法設定時に重大である。坑道掘進中の問題の発生時に、迅速に、アンカーボアホールの記録が実施されることができる。
【0018】
アンカーボアホールゾンデの電流供給は従来慣用の単三電池(Mignon−Batterie)により実施される。ボアホール壁画像はカラーCCDセンサを介してデジタル形式で検出され、ゾンデ内に保存される。記憶装置は複数の測定のために十分である。その結果、ゾンデは測定毎に読み出されずに済む。アンカーボアホールゾンデの制御および校正は、モバイルPCと相俟って、ゾンデ端部でバッテリ部分に統合された高速赤外インターフェースを介して執り行われる。この赤外インターフェースを介して、検出されたデータも読み出されることができる。
【0019】
一般に、アンカーボアホールゾンデによって行われた撮影は、USB読出しボックスによりゾンデ記憶装置からコピーされ、ソフトウェアによりインポートされる。アシスタントはその際その都度の測定のための特定の追加情報の入力を支援する。とりわけ、ボアホール長さおよびボアホール直径に関するデータのコメントの補足と、場合によっては既に以前の測定の枠内で規定されたロケーションおよびボアホールへの対応付けとが可能である。
【0020】
さらに、ゾンデにより記録されたデジタル画像データのグラフィック処理のための広範な可能性が提供される。オペレータは画像をとりわけ切り取り、明るさ、コントラスト、強度およびガンマ値を変更し、鮮鋭度を柔らかくし、かつ平滑化することができる。画像はその軸方向の向きに関して回転され、方向付けられることができる。その他に、測定アーチファクトの除去ためのクリア機能が存在する。
【0021】
ソフトウェアにより、ボアホール画像から十分に、ボーリングされた岩盤のデータが特定されることができる。不連続面の向きは一部自動的に「ピック(クリック)」および画像内に認識可能な構造のその都度のタイプ(例えば割れ目、層面)への対応付けにより求められる。ゾンデの空間位置データの付加的な処理により、不連続面の真の空間位置も評価プログラムにより求められることができる。相応の深度区分の肉眼岩石学的な描写もやはり可能である。
【0022】
評価の枠内で、それにより、岩石鑑定、境界の確定、緩み域の範囲および度合の特定が実施される。すべてのデータはデータバンク内に、記録および反復測定のために格納される。
【0023】
構造はボアホール壁の画像内でマーキングされ、種々異なる3D図で面として可視化される。その際、まず坑道の個々の測定横断面のための2Dシートがボアホール内視法に依拠して形成され、さらにソフトウェアがボアホールの3D描写を許可する(不連続面組織を有するボア周壁/坑道/トンネル内での位置)。
【0024】
データバンク内にアーカイブかつ管理された画像データおよびボアホールについての情報(ロケーション、空間位置、寸法、トンネルプロフィール等)により、最新の測定データと、同じボアホール内で前の時点に実施された測定または隣接するボアホールのデータとの比較が可能である。それにより、坑道内で、弱体域の種類、広がりならびに発生時が求められることができる。
【0025】
アンカーボアホールゾンデは有利な実施形態では23mmの直径を有するケーブルレスの自給自足の光学的なゾンデである。アンカーボアホールゾンデはそれにより25mm〜37mmの直径のボアホールのボアホール壁をデジタル形式で検出するために適している。小さな直径および僅かな重量に基づいて、ゾンデは延長ロッドにより簡単に手でボアホール内を走行させられることができる。
【0026】
ボアホールゾンデは、ビデオヘッドと、行程センサと、電子回路部分と、記憶装置モジュールと、付加的な赤外インターフェースを有するバッテリ部分とから構成されている。データ伝送により、調査のモニタリングが可能である。
【0027】
画像撮影は行程センサを介して制御される。行程センサは撮影制御の他に深度測定、ひいては構造の正確な測定、例えば不連続面間隔、RQD指数算出、亀裂開口幅測定、層厚さ等のための可能性を提供する。
【0028】
位置センサ値により、不連続面組織の真の空間位置が測定されることができる。
【0029】
本発明について以下に実施例および図面を参照しながら詳細に説明する。
図1:坑道周辺の岩盤構造を求める方法の概略図である。
図2:ビデオヘッドの横断面図である。
図3:アンカーボアホールゾンデの全体図である。
図4:行程センサの概略図である。
図5:ボアホール内にあるビデオヘッドの概略図である。
【0030】
実施例
以下の仕様を有するゾンデによりアンカーボアホールが調査される;
電流供給: 5×Duracel MN1500 1.5V
データ記憶装置: 256MB
ゾンデ長さ: 1.300mm
ゾンデ直径: 23mm
ゾンデ重量: 2.2kg
センサ: カラーCCD
測定クロック: 最大毎秒25画像
測定速度: 最大毎秒5cm
照明: 8×白色発光ダイオード
深度測定: ホイール制御式の行程センサ。
【0031】
ゾンデはプッシュロッドによりボアホール内を走行させられる。各カップリング内に組み込まれたウェブにより、ボアホール内でのゾンデの向きの良好なコントロールが保証される。アンカーボアホールゾンデは360°の角度をスキャンする、すなわちボアホール壁全周を検出する。円筒表面に相当するボアホール壁表面の二次元のイメージ内で、ボアホール壁は展開されて投影されている。このことは、ボアホール軸線に対して正確に垂直に位置していない平面構造、例えば層面、割れ目等が、このような視点では、正弦波状の線として見えることにつながる。ゾンデ調査により、割れ目面の真の空間位置および頻度が検出され、描写されることができる。
【0032】
図1には、坑道周辺の岩盤構造を求めるためのアンカーボアホールを調査するための方法が概略的に示されている。アンカーボアホールゾンデ1はプッシュロッドによりアンカーボアホール2内を走行させられる。坑道3内にはさらに別のアンカーボアホール2′が配置されている。それにより、アンカーボアホールゾンデ1により、岩盤4の構造が分析されることができる。アンカーボアホールゾンデ1はアンカーボアホール2内で亀裂5の領域に存在する。ビデオヘッドにより、ボアホール壁表面の二次元のイメージ6がデジタル形式で撮影される。
【0033】
図2からは、ビデオヘッド10がカラーCCDセンサ11を有しており、カラーCCDセンサ11にレンズ12が対応配置されていることが見て取れる。コーンミラー13により、ビューウィンドウ14を通して、発光ダイオード15により照明されるボアホール壁が光学的にデジタル形式で検出されることができる。ビデオヘッド10の下端には差込み接続部16が配置されている。
【0034】
図3にはアンカーボアホールゾンデ1が示されている。アンカーボアホールゾンデ1は、ビデオヘッド10と、行程センサ20と、電子回路部分21と、記憶装置モジュール22と、付加的に赤外インターフェース24を有するバッテリ部分23とから成っている。電子回路部分21内には2つの位置センサ25,26が配置されている。アンカーボアホールゾンデ1の個々の構成部分は差込み接続部16により互いに接続されている。
【0035】
図4からは、行程センサ20が、120°ずらされて配置され、ばね弾性的に支承された3つのホイール30,30′,30″から成っていることが見て取れる。ホイール30には、アンカーボアホールゾンデ1の行程を求めるための運動センサ31が配置されている。スペース上の理由から、ホイール30の運動は歯車32に伝達され、運動センサ31により検出される。
【0036】
図5からは、アンカーボアホールセンサ1のビデオヘッド10がアンカーボアホール2内に存在することが見て取れる。その他の符号は図2と同義である。発光ダイオード15により、ライトコーン35でもって、アンカーボアホール2のボアホール壁が照明される。ビーム36の領域で、アンカーボアホール2のボアホール壁が光学的にデジタル形式でカラーCCDセンサ11により行程に依存して検出される。ボアホール壁のこのイメージは評価プログラムにより記憶され、メニュー制御されて半自動的に調査される。それにより岩盤4の構造が求められる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】坑道周辺の岩盤構造を求める方法の概略図である。
【図2】ビデオヘッドの横断面図である。
【図3】アンカーボアホールゾンデの全体図である。
【図4】行程センサの概略図である。
【図5】ボアホール内にあるビデオヘッドの概略図である。
【符号の説明】
【0038】
1 アンカーボアホールゾンデ
2 アンカーボアホール
2′ アンカーボアホール
3 坑道
4 岩盤
5 亀裂
6 二次元のイメージ
10 ビデオヘッド
11 カラーCCDセンサ
12 レンズ
13 コーンミラー
14 ビューウィンドウ
15 発光ダイオード
16 差込み接続部
20 行程センサ
21 電子回路部分
22 記憶装置モジュール
23 バッテリ部分
24 赤外インターフェース
25 位置センサ
26 位置センサ
30 ホイール
30′ ホイール
30″ ホイール
31 運動センサ
32 歯車
35 ライトコーン
36 ビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンカーボアホールを調査するための装置であって、光学的な検出装置を備えた、プッシュロッドによりボアホール内を走行可能なゾンデが設けられている形式のものにおいて、アンカーボアホールゾンデ(1)が、コーンミラー(13)とビューウィンドウと発光ダイオード(15)とが設けられているレンズ(12)を備えたカラーCCDセンサ(11)を有するビデオヘッド(10)と、行程センサ(20)と、電子回路部分(21)と、記憶装置モジュール(22)と、赤外インターフェースが配置されているバッテリ部分(23)とから成っていることを特徴とする、アンカーボアホールを調査するための装置。
【請求項2】
行程センサ(20)が、120°ずらされて配置され、ばね弾性的に支承された3つのホイール(30,30′,30″)から成っており、ホイール(30)が、行程を求めるための運動センサ(31)を有している、請求項1記載の装置。
【請求項3】
行程センサ(20)に、ゾンデ運動を直接検出する運動センサが設けられている、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
電子回路部分(21)内に2つの位置センサ(25,26)が配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
アンカーボアホールゾンデ(1)が防爆式に構成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−500470(P2008−500470A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513762(P2007−513762)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【国際出願番号】PCT/EP2005/005474
【国際公開番号】WO2005/116401
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(300083169)ドイチェ モンタン テヒノロギー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (3)
【氏名又は名称原語表記】Deutsche Montan Technologie GmbH
【住所又は居所原語表記】Am Technologiepark 1,D−45307 Essen,Germany