説明

アンケートシステム

【課題】対象者が映像等の時系列コンテンツを視聴し、アンケートに回答することを支援するアンケートシステムにおいて、正確な回答を得る。
【解決手段】脳波計3は、対象者の脳波を計測し(S21)、コンピュータ2に脳波データとして送信する(S24)。対象者は、電子ペン5を用いて時系列コンテンツを視聴中にアンケートの回答結果を記入する。電子ペン5は、記入データを生成し(S31)、コンピュータ2に記入データを送信する(S32)。コンピュータ2は、回答結果と脳波データを記憶部に記憶し(S42、S43)、対象者の時系列コンテンツに対する興味度の算出を行い(S45)、興味度と回答結果を同期して出力結果として表示する(S47)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンケート対象者(以下、単に「対象者」と表記する。)が映像等の時系列コンテンツを視聴し、アンケートに回答することを支援するアンケートシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、CM等の効果測定を行う為に、対象者に映像を視聴してもらい、アンケートに回答してもらうことが行われている。従来手法では、対象者がCMを全て見終わった後、所定のアンケート用紙に記入していた。その為、従来手法では、対象者がCMの内容を正確に思い出すことができず、正確な回答を得られないという第1の課題があった。また、従来手法では、対象者の潜在意識までは調査できないという第2の課題があった。尚、第2の課題は、どのようなアンケートに対しても共通する課題である。
【0003】
特許文献1では、回答者(本発明の「対象者」に相当)の脳活動のモニタ結果に応じて、アンケート等の質問に対する回答を解析することにより、回答者の正直な回答が得られる回答獲得装置が開示されている。特許文献1では、回答者Aは、脳活動に伴って発生する電場を計測する第1センサ2と脳血流の状態を検出する第2センサ3とを有するブレインハット1を頭部に被る。解析装置11は、回答者Aの脳活動を表す情報(第1センサ2で得られた脳内電場を示す信号と第2センサ3で得られた脳血流の状態を示す信号)に基づいて、アンケートの質問に対する回答者Aの回答を解析する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−305334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の回答獲得装置では、少なくとも前述の第1の課題を解決することができない。つまり、特許文献1の回答獲得装置を用いてCM等の効果測定を行う場合も、回答者がCMを全て見終わった後、所定のアンケート用紙に記入することには変わりがない。そして、回答者がCMの内容を正確に思い出すことができなければ、正確な回答が得られないことにも変わりがない。特に、CMの第1印象を知りたい場合、回答者にCMを再度視聴してもらうこともできない。
【0006】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とすることは、対象者が映像等の時系列コンテンツを視聴し、アンケートに回答する場合において、正確な回答を得ることができるアンケートシステムを提供することである。また、本発明の副次的な目的は、対象者の潜在意識とアンケートによる顕在意識とを正確かつ容易に比較することができるアンケートシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために本発明は、時系列コンテンツを再生又は録画するコンテンツ機器と、前記時系列コンテンツに対するアンケートの対象者の脳波を計測する脳波計と、前記対象者が前記アンケートの回答をアンケート用紙に記入する為の電子ペンと、前記コンテンツ機器、前記脳波計及び前記電子ペンに接続されるコンピュータと、から構成され、前記対象者が前記時系列コンテンツを視聴し、前記アンケートに回答することを支援するアンケートシステムであって、前記コンピュータは、前記コンテンツ機器を制御するコンテンツ機器制御手段と、前記脳波計によって計測される前記対象者の脳波データを記憶する脳波データ記憶手段と、前記脳波データに基づいて、前記対象者の前記時系列コンテンツに対する潜在意識度を算出する潜在意識度算出手段と、前記電子ペンから送信される前記アンケート用紙への記入データを記憶する記入データ記憶手段と、前記記入データに基づいて、前記アンケートの回答結果を生成する回答結果生成手段と、前記コンテンツ機器制御手段が前記コンテンツ機器の再生又は録画の開始を指示する時刻である第1開始時刻と、前記脳波データ記憶手段に記憶されるデータの解析対象範囲の開始時刻である第2開始時刻と、前記電子ペンデータ記憶手段に記憶されるデータの解析対象範囲の開始時刻である第3開始時刻と、を同期する同期手段と、を具備することを特徴とするアンケートシステムである。第1の発明によって、対象者が映像等の時系列コンテンツを視聴し、アンケートに回答する場合において、正確な回答を得ることができる。また、対象者の潜在意識及びアンケートによる顕在意識の両方を得ることができる。
【0008】
前記同期手段は、前記電子ペンから開始信号を受信すると、前記コンテンツ機器制御手段に前記コンテンツ機器の再生又は録画の開始を指示させるとともに、前記電子ペンから開始信号を受信した時刻に基づいて前記第2開始時刻及び前記第3開始時刻を決定することが望ましい。これによって、対象者の潜在意識とアンケートによる顕在意識とを正確に比較することができる。また、対象者の準備が整ったタイミングで、コンテンツの再生又録画を開始することができる。
【0009】
また、前記潜在意識度と前記回答結果とを同期させて出力する出力手段、を更に具備することが望ましい。これによって、対象者の潜在意識とアンケートによる顕在意識とを容易に比較することができる。
【0010】
また、前記出力手段は、更に、前記コンテンツ機器によって再生又は録画された前記時系列コンテンツの一部又は全部を、前記潜在意識度と前記回答結果とに同期させて出力することが望ましい。これによって、時系列コンテンツの内容と合わせて、対象者の潜在意識とアンケートによる顕在意識とを比較することができる。
【0011】
また、前記出力手段によって出力される前記回答結果の位置を修正する修正手段、を更に具備することが望ましい。これによって、対象者自身が回答結果の位置を修正することができ、ひいては正確な回答を得ることができる。
【0012】
また、複数の前記対象者が、各々前記脳波計を装着し、各々前記電子ペンを利用する場合において、前記同期手段は、特定の前記対象者が利用する前記電子ペンから開始信号を受信すると、特定の前記対象者が利用する前記電子ペンから開始信号を受信した時刻に基づいて全ての前記対象者に係る前記第2開始時刻及び前記第3開始時刻を決定することが望ましい。これによって、複数の対象者の潜在意識とアンケートによる顕在意識とを正確に比較することができる。
【0013】
また、前記アンケート用紙は前記アンケートの回答を自由な位置に記入可能とすることが望ましい。これによって、時系列コンテンツが映像の場合であっても、対象者が時系列コンテンツを見逃すことなく、正確な回答を記入することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、対象者が映像等の時系列コンテンツを視聴し、アンケートに回答する場合において、正確な回答を得ることができるアンケートシステムを提供することができる。また、対象者の潜在意識とアンケートによる顕在意識とを正確かつ容易に比較することができるアンケートシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態におけるアンケートシステムの概要図
【図2】各装置のハードウエア構成図
【図3】アンケート用紙の第1の例
【図4】アンケート用紙の第2の例
【図5】アンケート用紙の第3の例
【図6】同期処理の第1の例を示すシーケンス図
【図7】同期が実現可能なことを説明する図
【図8】アンケート用紙の第4の例
【図9】同期処理の第2の例を示すシーケンス図
【図10】アンケートシステム全体の処理を示すフローチャート
【図11】フィルタ算出処理の一例を示すフローチャート
【図12】S51を説明する図
【図13】S52を説明する図
【図14】S53を説明する図
【図15】S54を説明する図
【図16】解析データの第1の例
【図17】出力結果の第1の例
【図18】出力結果の修正処理を説明する図
【図19】解析データの第2の例
【図20】出力結果の第2の例
【図21】第2の実施形態におけるアンケートシステムの概要図
【図22】同期処理の第3の例を示すシーケンス図
【図23】アンケート用紙の第5の例
【図24】解析結果データの第3の例
【図25】出力結果の第3の例
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。最初に、用語の定義について説明する。
【0017】
時系列コンテンツとは、時間的に変化するコンテンツである。時系列コンテンツは、例えば、動画像、間欠的に表示させる複数枚の静止画像、音声や音楽等を含む。また、時系列コンテンツは、対象者が視聴する前に電子化されているコンテンツ(以下、「電子コンテンツ」という。)の他、実時間に実演される授業、講演、デモンストレーション等、対象者が視聴する前に電子化されていないコンテンツ(以下、「非電子コンテンツ」という。)も含む。後述する第1の実施形態ではデジタルコンテンツ、第2の実施形態では非電子コンテンツを対象としている。
【0018】
コンテンツ機器とは、時系列コンテンツを再生又は録画(録音を含む。)する為の機器である。コンテンツ機器は、例えば、DVDプレイヤ、プロジェクタ、CDプレイヤ等の再生機器(=プレイヤ)、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ICレコーダ等の録画(録音)機器(=レコーダ)を含む。尚、DVDプレイヤにはディスプレイが接続され、CDプレイヤにはスピーカが接続される。後述する第1の実施形態ではプレイヤ、第2の実施形態ではレコーダを利用する。第2の実施形態では、レコーダによって非電子コンテンツが電子化され、出力結果に反映される。
【0019】
潜在意識度とは、脳波計によって取得される脳波データに基づく対象者の潜在意識の度合を示すデータである。潜在意識度は、例えば、対象者の潜在的な興味関心の度合を示す興味度や、対象者の潜在的な理解の度合を示す理解度等を含む。また、潜在意識度は、これらの例に限定されず、アンケートの内容に応じて捉え方は様々である。後述する第1の実施形態では興味度、第2の実施形態では理解度として捉える。
【0020】
<第1の実施形態>
図1に示すように、第1の実施形態におけるアンケートシステム1は、コンピュータ2、脳波計3、プレイヤ4、電子ペン5、アンケート用紙6、ディスプレイ7等を含む。アンケートシステム1は、対象者8が時系列コンテンツを視聴し、アンケートに回答することを支援する。
【0021】
コンピュータ2は、脳波計3及びプレイヤ4と有線によって接続される。また、コンピュータ2は、電子ペン5と無線によって接続される。脳波計3は、ヘッドバンド31を備える。ヘッドバンド31は、対象者8の頭部に装着される。
【0022】
コンピュータ2は、プレイヤ4を制御するとともに、脳波計3及び電子ペン5から受信するデータを記憶する。また、コンピュータ2は、アンケートの回答結果などを解析し、解析結果を出力する。脳波計3は、時系列コンテンツに対するアンケートの対象者8の脳波を計測する。プレイヤ4は、時系列コンテンツを再生する。電子ペン5は、対象者8がアンケートの回答をアンケート用紙6に記入する為に用いられる。アンケート用紙6は、電子ペン5専用の用紙である。
【0023】
図2に示すように、コンピュータ2は、制御部21、記憶部22、表示部23、入力部24、I/O(Input/Output interface)25等を備える。
【0024】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成される。CPUは、記憶部22、ROM、記録媒体等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、各装置を駆動制御し、コンピュータ2が行う後述する処理を実現する。ROMは、不揮発性メモリであり、コンピュータ2のブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持している。RAMは、揮発性メモリであり、記憶部22、ROM、記録媒体等からロードしたプログラム、データ等を一時的に保持するとともに、制御部21が各種処理を行う為に使用するワークエリアを備える。
【0025】
記憶部22は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)であり、制御部21が実行するプログラム、プログラム実行に必要なデータ、OS(Operating System)等が格納される。プログラムに関しては、OSに相当する制御プログラムや、後述する処理をコンピュータ2に実行させるためのアプリケーションプログラムが格納されている。これらの各プログラムコードは、制御部21により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて各種の手段として実行される。
【0026】
表示部23は、液晶パネル等のディスプレイ装置、ディスプレイ装置と連携してコンピュータ2のビデオ機能を実現するための論理回路等(ビデオアダプタ等)を有する。入力部24は、データの入力を行い、例えば、キーボード、マウス等のポインティングデバイス、テンキー等の入力装置を有する。入力部24を介して、コンピュータ2に対して、操作指示、動作指示、データ入力等を行うことができる。尚、表示部23及び入力部24は、タッチパネルディスプレイのように、一体となっていても良い。
【0027】
I/O25は、コンピュータ2に周辺機器(例えば、脳波計3、プレイヤ4、電子ペン5、プリンタ(不図示)、ネットワーク機器(不図示))を接続させるためのポートや送受信機である。コンピュータ2は、I/O25を介して周辺機器とのデータの送受信を行う。I/O25は、USB、IEEE1394、RS−232C等のポートや、無線LAN機器、Bluetooth(登録商標)送受信機等によって構成されている。周辺機器との接続形態は、有線、無線を問わない。
【0028】
また、図2に示すように、脳波計3は、ヘッドバンド31、電極32、変換器33、増幅器34等を備える。脳波計3は、対象者8の頭部、詳細には国際10−20法におけるFp1に当たる箇所(左前部前頭葉)に、ヘッドバンド31によって固定された電極32が当接する構造となっている。Fp1は、一般に感情や情動に関する反応を計測できることが知られている。変換器33は、電極32から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。増幅器34は、変換器33から出力されるデジタル信号を増幅し、コンピュータ2のI/O25に出力する。A/D変換におけるサンプリング周波数は例えば1024Hzである。
【0029】
脳波計3の詳細については、例えば、特開2010−131328号公報や特開2011−45541号公報に記載されている。脳波計3の一例としては、例えば、株式会社脳力開発研究所の「alphatec-IV」、「Brain Builder Unit」などの簡易脳波計が挙げられる。簡易脳波計による脳波は、例えば、電気的に不活性な耳朶に一方の電極を装着し、電気的に活性な頭皮に他方の電極を装着し、二極間の電位差の変動を導出する単極誘導法によって計測される。
【0030】
また、図2に示すように、電子ペン5は、筐体の内部に、プロセッサ51、圧力センサ52、カメラ53、メモリ54、トランシーバ55等を備える。プロセッサ51は、CPU等により構成され、各装置を制御する。圧力センサ52は、対象者8が電子ペン5によってアンケート用紙6の上に文字などを書く際に、ペン先部からインクカートリッジを通じて与えられる圧力(=筆圧)を検出し、その値をプロセッサ51に送信する。
【0031】
ここで、アンケート用紙6は、電子ペン5専用の用紙である。アンケート用紙6には、ほぼ全面に、ドットパターン(コード化パターン)が印刷されている。また、アンケート用紙6には、後述するように記入欄やアンケート内容等が印刷されている。ドットパターンは、赤外線を吸収するカーボンを含んだインキにより印刷される。ドットパターン以外は、赤外線を吸収する性質を持たないインキにより印刷される。
【0032】
カメラ53は、ペン先部付近に取り付けられるLED(Light Emitting
Diode)とCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等から構成される。電子ペン5の筐体には、LED及びCMOSイメージセンサと対向する部分に開口部が形成されている。LEDは、アンケート用紙6のペン先部近傍に向けて赤外線を照射する。CMOSイメージセンサは、LEDによって赤外線が照射された領域内のドットパターンを撮影し、ドットパターンの画像データをプロセッサ51に送信する。CMOSイメージセンサによる撮影は、毎秒50〜100回程度行われる。尚、アンケート用紙6におけるドットパターンは、同一の用紙内では重複しない為、文字等が記入された位置がアンケート用紙6のどの位置にあたるかを、プロセッサ51による座標演算により特定することができる。
【0033】
メモリ54は、ROMやRAM等によって構成される。メモリ54には、電子ペン5を識別する為の電子ペン識別情報が記憶されている。トランシーバ55は、Bluetooth(登録商標)等の無線通信を行う通信ユニットである。
【0034】
プロセッサ51は、リアルタイムクロックから発信される現在時刻(=タイムスタンプ)と、筆圧データと、画像データのドットパターンと、アンケート用紙6における座標データとを関連付けて、メモリ54に記憶する。また、プロセッサ51は、電子ペン識別情報と、タイムスタンプと、筆圧データと、ドットパターンと、座標データとを関連付けて記入データとし、トランシーバ55を介して、記入データをコンピュータ2のI/O25に送信する。プロセッサ51は、リアルタイムに記入データを送信しても良いし、蓄積された記入データを纏めて送信しても良い。
【0035】
電子ペン5及びアンケート用紙6の詳細については、例えば、特開2009−199381号公報に記載されている。電子ペン5の一例としては、例えば、スウェーデンのアノト(Anoto)社が開発したアノトペン(Anoto pen)が挙げられる。
【0036】
図3〜図5には、アンケート用紙の例を示している。図3〜図5に示すアンケート用紙6には、CMの映像に対するアンケート内容と所定の記入欄が印刷されている。尚、ドットパターンについては不図示である。
【0037】
図3〜図5に示すアンケート用紙6a〜6cには、CM番号記入欄61、対象者番号記入欄62、開始合図記入欄63等の記入欄が印刷されている。CM番号記入欄61は、CMを一意に識別する番号を記入する為の欄である。対象者番号記入欄62は、対象者8を一意に識別する番号を記入する為の欄である。開始合図記入欄63は、開始の合図を指示する為の欄である。
【0038】
アンケート用紙6aに印刷されているアンケート内容は、「CMの中で興味関心があるシーンがあったら、その瞬間に○を書いて下さい」である。前述した通り、電子ペン5は、筆圧データと関連付けてタイムスタンプも記憶することから、それぞれの「○」がいつ記入されたのかを判別することができる。従って、アンケート用紙6aには、シーンと関連付けた記入欄を設けることなく、「○」を自由な位置に記入可能とすることができる。
【0039】
アンケート用紙6bに印刷されているアンケート内容は、「CMの中で興味関心があるシーンがあったら、その瞬間に興味度(5点満点で1〜5点)を書いて下さい」である。アンケート用紙6bについても、それぞれの数字がいつ記入されたのかを判別することができることから、シーンと関連付けた記入欄を設けることなく、数字を自由な位置に記入可能とすることができる。
【0040】
アンケート用紙6cに印刷されているアンケート内容は、「CMの中で興味関心があるシーンがあったら、その瞬間に上の図の数字が書いてあるところに○をつけていって下さい」である。アンケート用紙6cについても、それぞれの「○」がいつ記入されたのかを判別することができることから、シーンと関連付けた記入欄を設ける必要はない。但し、アンケート用紙6cでは、「○」の記入位置がある程度制約される。
【0041】
アンケート用紙6a、6b及び6cのように、CM再生中にアンケートの回答を記入させる場合、CMを全て見終わった後にアンケートの回答を記入させる場合と比較して正確な回答を得やすくなる。つまり、CM再生中にアンケートの回答を記入させる場合、対象者8はCMの内容を忘れることはなく、正確な回答を記入することができる。
【0042】
また、アンケート用紙6a及び6bのように、アンケートの回答を自由な位置に記入可能であれば、対象者8は、CM再生中、ディスプレイ7から目を離さなくても、アンケートの回答を記入することができる。従って、対象者8はCMの一部を見逃すことはなく、より正確な回答を記入することができる。
【0043】
図6には、同期処理の第1の例が示されている。同期処理とは、コンピュータ2がプレイヤ4の再生の開始を指示する時刻(以下、「第1開始時刻」という。)、脳波計3によって計測され、コンピュータ2の記憶部22に記憶される脳波データの解析対象範囲の開始時刻(以下、「第2開始時刻」という。)、及び電子ペン5によって記録され、コンピュータ2の記憶部22に記憶される記入データの解析対象範囲の開始時刻(以下、「第3開始時刻」という。)を同期する処理である。CMのように再生時間が予め決まっている場合、開始時刻を同期させれば、終了時刻も同期することになる。
【0044】
図6に示すように、対象者8がアンケート用紙6(6a、6b及び6cのいずれも同様である。)の開始合図記入欄63に電子ペン5をペンダウンさせると、電子ペン5のプロセッサ51は、コンピュータ2に開始信号を送信する(S1)。開始信号の送信後、電子ペン5のプロセッサ51は、記入データの記録を開始する(S4)。
【0045】
コンピュータ2の制御部21は、電子ペン5から開始信号を受信すると、プレイヤ4に再生開始を指示するとともに(S2)、脳波計3に計測開始を指示する(S3)。再生開始及び計測開始の指示後、コンピュータ2の制御部21は、現在時刻を同期開始時刻として記憶部22に記憶する(S5)。
【0046】
プレイヤ4は、コンピュータ2から再生開始の指示を受信すると、CMの再生を開始する(S6)。また、脳波計3は、コンピュータ2から計測開始の指示を受信すると、脳波の計測を開始、すなわちコンピュータ2への脳波データの送信を開始する(S7)。
【0047】
尚、S3、S4及びS7の処理は、S1の処理より前に行っても同期を実現することができる。つまり、電子ペン5は、対象者8がアンケート用紙6の開始合図記入欄63にペンダウンさせる前から、記入データの記録を開始していても良い。同様に、コンピュータ2は、電子ペン5から開始信号を受信する前に脳波計3に計測開始を指示し、脳波計3からの脳波データを受信していても良い。
【0048】
ここで、図7を参照しながら、S3、S4及びS7の処理をS1の処理より前に行っても同期を実現できる理由について説明する。図7では、横軸に時間を取り、コンテンツ、記入データ及び脳波データを時系列順に示している。図7では、コンテンツの各シーンを矩形ブロック、記入データを★マーク、脳波データを太い曲線によって模式的に示している。
【0049】
まず、S5の処理の実行タイミングによって、図7に示す(1)同期開始時刻が決まる。また、S2及びS6の処理の実行タイミングによって、(2)コンテンツ推定開始時刻は、(1)同期開始時刻に等しいことが推定できる。次に、(3)コンテンツ再生時間は予め決まっていることから、(4)コンテンツ推定終了時刻も決まる。最後に、(5)同期終了時刻は、(4)コンテンツ推定終了時刻と等しいものとすれば、(6)記入データの解析対象範囲及び(7)脳波データの解析対象範囲が、(1)同期開始時刻から(5)同期終了時刻までの範囲と決まる。このように、S3、S4及びS7の処理の実行タイミングに無関係に、(6)記入データの解析対象範囲及び(7)脳波データの解析対象範囲が決まるので、S3、S4及びS7の処理をS1の処理より前に行っても同期処理を実現することができる。
【0050】
そこで、コンピュータ2の制御部21は、電子ペン5から開始信号を受信すると、少なくとも、プレイヤ4に再生開始を指示するとともに、現在時刻を同期開始時刻として記憶部22に記憶すれば良い。そして、コンピュータ2の制御部21は、記憶部22に記憶された同期開始時刻を、第2開始時刻及び第3開始時刻とする。第1開始時刻と同期開始時刻も同期していることから、第1開始時刻、第2開始時刻及び第3開始時刻の全てが同期されることになる。
【0051】
図8には、アンケート用紙の別の例を示している。図8に示すアンケート用紙6dには、キャッチコピーが1つずつ表現された複数の静止画像に対するアンケート内容と所定の記入欄が印刷されている。尚、ドットパターンについては不図示である。
【0052】
アンケート用紙6dには、対象者番号記入欄62及び開始合図記入欄63が印刷されている。アンケート用紙6dに印刷されているアンケート内容は、各キャッチコピー(=Q1、Q2、・・・)に対して、「1.全く興味がない、2.興味がない、3.あまり興味がない、4.やや興味がある、5.興味がある、5.とても興味がある」の6つの選択肢である。
【0053】
複数の静止画像を対象者8に視聴させる場合、予め定められた時間間隔によってスライドショーのように再生することもできる。しかし、スライドショーのように再生してしまうと、対象者8が回答を終える前に、次の静止画像が再生されてしまうことも考えられる。そこで、図9に示す同期処理のように、対象者8が各静止画像の再生開始と再生終了を指示可能としても良い。
【0054】
図9には、同期処理の第2の例が示されている。図9に示す同期処理では、前述の第1開始時刻、第2開始時刻及び第3開始時刻を同期させる。また、図9に示す同期処理では、更に、コンピュータ2がプレイヤ4の再生の終了を指示する時刻(以下、「第1終了時刻」という。)、脳波計3によって計測される脳波データの解析対象範囲の終了時刻(以下、「第2終了時刻」という。)、及び電子ペン5によって記録される記入データの解析対象範囲の終了時刻(以下、「第3終了時刻」という。)も同期させる。対象者8が各静止画像の再生開始と再生終了を指示して複数の静止画像を視聴する場合、各静止画像の再生時間は不定である為、開始時刻だけでなく、終了時刻も同期させる必要がある。
【0055】
図9に示すS1〜S7は、図6に示すS1〜S7と同様である。また、S3、S4及びS7の処理は、S1の処理より前に1回だけ行っても同期を実現することができる。
【0056】
対象者8がアンケート用紙6dにアンケートの回答を記入し、電子ペン5をペンアップさせると、電子ペン5のプロセッサ51は、コンピュータ2に終了信号を送信する(S11)。終了信号の送信後、電子ペン5のプロセッサ51は、記入データの記録を終了する(S14)。
【0057】
コンピュータ2の制御部21は、電子ペン5から終了信号を受信すると、プレイヤ4に再生終了を指示するとともに(S12)、脳波計3に計測終了を指示する(S13)。再生終了及び計測終了の指示後、コンピュータ2の制御部21は、現在時刻を同期終了時刻として記憶部22に記憶する(S15)。
【0058】
プレイヤ4は、コンピュータ2から再生終了の指示を受信すると、静止画像の再生を終了する(S16)。また、脳波計3は、コンピュータ2から計測終了の指示を受信すると、脳波の計測を終了、すなわちコンピュータ2への脳波データの送信を終了する(S17)。
【0059】
この後、対象者8がアンケート用紙6の開始合図記入欄63に電子ペン5をペンダウンさせてからペンアップさせると、次の静止画像に対して同様の処理が行われる。つまり、対象者8は、静止画像の枚数分だけ、開始合図記入欄63に電子ペン5をペンダウンさせてからペンアップさせることと、アンケート用紙6dにアンケートの回答を記入することを繰り返す。
【0060】
尚、S12、S13、S14、S16及びS17の処理は、最後の静止画像にだけ行っても同期を実現することができる。つまり、静止画像ごとの同期開始時刻及び同期終了時刻を記憶しておけば、図7と同様の考え方により、静止画像ごとの記入データ及び脳波データの解析対象範囲を決めることができる。
【0061】
図10には、アンケートシステム全体の処理を示すフローチャートが示されている。尚、図10では同期処理が不図示であるが、対象者8の動作に応じて、前述の同期処理が実行されることが前提である。また、図10に示す計測処理を行う前に、図11に例示する処理を予め行い、興味度の算出に用いるフィルタを求めておくことが前提である。
【0062】
脳波計3は、コンピュータ2からの計測開始や計測終了の指示に基づいて、脳波を計測する(S21)。そして、脳波計3は、所定のサンプリング周波数(例えば1024Hz)に、変換器33がAD変換を行い(S22)、増幅器34が増幅し(S23)、増幅結果をコンピュータ2に脳波データとして送信する(S24)。
【0063】
電子ペン5は、コンピュータ2からの記録開始や記録終了の指示に基づいて、プロセッサ51が記入データを生成し(S31)、トランシーバ55を介してコンピュータ2に記入データを送信する(S32)。尚、同期処理に無関係な記入データについては、一括して送信するようにしても良い。
【0064】
コンピュータ2の制御部21は、電子ペン5から記入データを受信し、記入データを記憶部22に記憶する(S41)。そして、制御部21は、アンケート用紙6内のアンケート記入欄(=CM番号記入欄61、対象者番号記入欄62及び開始合図記入欄63を除く領域)のストロークをアンケートの回答結果、対象者番号記入欄62のストロークを対象者情報、CM番号記入欄のストロークをCM情報として記憶部22に記憶する(S42)。電子ペン5の制御ソフトは、ストロークデータからの文字認識と記入時刻、記入箇所の対応付け処理を行う機能を備えている。例えば、図8に示すアンケート用紙6dに対しては、電子ペン5は、マルを形成するストロークデータを認識して、アンケート用紙6の数字1〜6のどれの上にドローされたかを判定し、アンケートの回答結果として、数字1〜6を特定する。
【0065】
また、制御部21は、脳波計3から脳波データを受信し、脳波データを記憶部22に記憶する(S43)。そして、制御部21は、脳波データについて高速フーリエ変換による周波数解析を行い(S44)、因子分析によって対象者8のCMに対する興味度の算出を行い(S45)、興味度に対象者情報及びCM情報を付加して記憶部22に記憶する(S46)。S44の高速フーリエ変換は、窓長1秒、窓の時間シフト幅1秒で行う。S45の興味度算出処理については、図11〜図15を参照しながら後述する。
【0066】
そして、制御部21は、記憶部22から、対象者情報及びCM情報が同じ興味度とアンケート回答結果を抽出し、時間を同期して表示部23に出力結果として表示する(S47)。出力結果は、表示部23に表示するだけでなく、プリンタに出力したり、他のコンピュータ2に送信したりしても良い。出力処理については、図16〜図20を参照しながら後述する。
【0067】
図11は、フィルタ算出処理の一例を示すフローチャートである。尚、図10と図11では対象者8が異なり、図11に例示する処理は、図10に示す計測処理の前処理である。図11に示すように、コンピュータ2の制御部21は、興味がないと仮定したデータの各周波数の平均を算出する(S51)。興味がないと仮定したデータとは、例えば、不特定多数の対象者8が映像や音楽などを視聴せずに計測された脳波データ、或いは興味がないと明らかにわかっている映像や音楽などを視聴したときに計測された脳波データである。不特定多数の対象者8は、任意に選択すれば良い。
【0068】
図12の表70aには、複数の対象者A、B、・・・について図10のS21〜S43と同様の方法で処理された脳波データが例示されている。また、図12の表70bには、図10のS44と同様の方法で、表70aに示す脳波データの周波数解析を行った結果の例として、1秒ごとに1秒〜60秒、1Hzごとに1Hz〜24Hzのパワースペクトルが示されている。制御部21は、これらのパワースペクトルのデータから、周波数ごとの平均を算出する。表70bでは、1Hzの平均が「0.0」、2Hzの平均が「3.2」、・・・、24Hzの平均が「1.2」である。
【0069】
図11の説明に戻る。制御部21は、興味がないと仮定したデータの平均と、フィルタ算出に使う各対象者8のデータとの差分を算出する(S52)。フィルタ算出に使う各対象者8のデータも、図10のS21〜S44と同様の方法で周波数解析を行ったパワースペクトルのデータである。
【0070】
図13の表71には、S51において算出された興味がないと仮定したパワースペクトルのデータの周波数ごとの平均が示されている。表72には、ある対象者8(=対象者A)について、1秒ごとに1秒〜60秒、1Hzごとに1Hz〜24Hzのパワースペクトルのデータが示されている。制御部21は、時間及び周波数ごとに、表71のデータと表72のデータとの差分を算出する。表73では、時間及び周波数ごとに、差分結果が示されている。表73では、1Hzの1秒目が「0.0」、1Hzの2秒目が「0.0」、・・・、1Hzの60秒目が「0.0」、2Hzの1秒目が「0.2」、2Hzの2秒目が「0.8」、・・・、2Hzの60秒目が「0.8」、・・・、24Hzの1秒目が「1.8」、24Hzの2秒目が「0.2」、・・・、24Hzの60秒目が「0.8」である。
【0071】
図11の説明に戻る。制御部21は、S52において算出された差分データの相関行列、固有値を算出し、初期因子数を決定する(S53)。初期因子数とは、S54において実行される因子分析に用いられる。
【0072】
図14の表74には、S52において算出された差分データが示されている。制御部21は、表74の列ベクトル同士の相関行列を算出する。表74では、1Hzの列ベクトルが(0.0,0.0,・・・,0.0)、2Hzの列ベクトルが(0.2,0.8,・・・,0.8)、・・・、60Hzの列ベクトルが(1.8,0.2,・・・,0.8)である。
【0073】
図14の表75には、表74の列ベクトル同士の相関行列が示されている。表75では、行列成分(1,1)が「1」、行列成分(1,2)が「0.81」、・・・、行列成分(1,24)が「0.12」、行列成分(2,1)が「0.81」、行列成分(2,2)が「1」、・・・、行列成分(2,24)が「0.20」、・・・、行列成分(24,1)が「0.12」、行列成分(2,2)が「0.20」、・・・、行列成分(24,24)が「1」である。次に、制御部21は、表75の相関行列に対する固有値を算出する。
【0074】
図14の表76には、表75の相関行列に対する固有値が示されている。表76では、1Hzの固有値が「13.50」、2Hzの固有値が「2.160」、・・・、24Hzの固有値が「0.008」である。次に、制御部21は、表76の固有値をグラフにプロットする(スクリ―プロット)。
【0075】
図14のグラフ77には、表76の固有値の折れ線グラフが示されている。例えば、ユーザは、グラフ77から、傾きがなだらかになっている箇所を判断し、初期因子数を決定する。グラフ77では、周波数が3Hzと4Hzの間(点線78)の傾きがなだらかになっていることから、初期因子数を「3」と決定する。また、例えば、制御部21が、周波数の小さい方から、折れ線グラフの傾きと予め定めた閾値とを比較していき、閾値以下になったら、傾きがなだらかになっていると判定し、初期因子数を決定しても良い。
【0076】
図11の説明に戻る。制御部21は、初期因子数から1ずつ因子数を増やしていき、累積寄与率が所定の割合になるまで、因子分析を実行する(S54)。所定の割合については、任意に決定して良いが、例えば、0.8である。
【0077】
図15の表79には、因子分析の結果が示されている。表79は、オープンソースの統計解析ソフトである「R」による算出結果である。因子負荷量は、観測変数に対して共通因子がどれくらいの強さで影響を与えているかを示している。共通性は、観測変数ごとの因子負荷量の2乗和である。共通性の値が高ければ、その観測変数が共通因子によって良く説明されていることになる。
【0078】
表79は、例示目的の為、第2因子までの因子負荷量や累積寄与率を示しているが、因子数が「3」であれば、第3因子の因子負荷量や累積寄与率も算出されることになる。そして、第3因子の累積寄与率が所定の割合を超えていなければ、制御部21は、因子数を「4」にして因子分析を再度実行する。尚、S53及びS54の処理の詳細については、特開2010−131328号公報や特開2011−45541号公報にも記載されている。
【0079】
図11の説明に戻る。制御部21は、周波数ごとに、寄与率を考慮した因子負荷量を重みとしたフィルタを算出する(S55)。N人の対象者から求めたフィルタの算出式は、次式の通りである。
【0080】
【数1】

【0081】
ここで、z:周波数、i:対象者数、j:因子数、H(z):周波数zのフィルタ(重み)、Fij(z):周波数z、対象者i、第j因子の因子負荷量、Pij:対象者i、第j因子の寄与率、である。
【0082】
制御部21は、このように算出されたフィルタを用いて、図10のS45において、興味度を算出する。興味度の算出式は、次式の通りである。
【0083】
【数2】

【0084】
ここで、z:周波数、t:時刻、R(t):t秒における興味度、B(z、t):t秒における脳波の周波数zの振幅、H(z):周波数zのフィルタ、である。
【0085】
このように、制御部21は、脳波計3によって取得される脳波データに基づき、対象者8の潜在意識の度合(興味度)を算出する。これによって、アンケートシステム1では、アンケートの回答結果に現れる対象者8の顕在意識だけでなく、対象者8の潜在意識も得ることができる。
【0086】
図16は、アンケート用紙6b(図4参照)を用いてアンケートを行ったときの解析データの一例である。コンピュータ2の制御部21は、電子ペン5から受信する記入データを解析し、解析データ81〜83を生成する。解析データ81〜83は、それぞれ、対象者番号、CM番号、時間(=第3開始時刻からの経過時間)、回答結果を含む。尚、時間は、第3開始時刻からの経過時間に限らず、対象者8が電子ペン5を用いて記入した時刻であっても良い。
【0087】
また、制御部21は、図6に示す同期処理によって、解析データ81〜83と、時系列コンテンツの各シーンとを関連付けて、記憶部22に記憶する。図16では、解析データ81がシーンA、解析データ82がシーンB、解析データ83がシーンFにそれぞれ関連付けられている。より詳細には、制御部21は、フレーム単位(例えば、1秒間に約30フレーム)で解析データの関連付けを行った後、予め設定された各シーンのフレーム範囲に基づいて、解析データと各シーンの関連付けを行う。また、各シーンのフレーム範囲が予め設定されていなければ、制御部21は、解析データをフレームに対してのみ関連付けても良い。
【0088】
図17は、図16の解析データに対する出力結果を示している。図17では、横軸が時間t、縦軸が興味度(脳波)と回答結果である。コンピュータ2の制御部21は、興味度グラフ91と、回答結果92と、シーン代表画像93とを、時系列を同期させて、例えば表示部23に表示する。興味度グラフ91は、脳波計3から受信する脳波データに対して、図11に示す興味度算出処理によって算出された1秒ごとの興味度をプロットし、連結させたものである。回答結果92は、図16の解析データに含まれる回答結果をプロットしたものである。シーン代表画像93は、時系列コンテンツの各シーンを代表する静止画像である。
【0089】
制御部21は、図6に示す同期処理によって定められた第2開始時刻及び第3開始時刻に従って、興味度グラフ91及び回答結果92の解析対象範囲の位置合わせを行い、図17に示すように、表示部23に表示する。これによって、ユーザは、対象者8の潜在意識(興味度)と、アンケートによる顕在意識(回答結果)とを容易かつ正確に比較することができる。
【0090】
図18には、出力結果を修正する為の画面インターフェースが示されている。回答結果92の表示位置は、対象者8が電子ペン5を用いてアンケート用紙6に記入した時刻に基づいて算出されている。例えば、対象者8の記入タイミングが遅れた場合、興味関心があると感じたシーンとは異なるシーンと位置合わせされてしまうことが考えられる。そこで、図18に示すように、スライドバー94を表示し、対象者8自身が位置合わせの修正をできるようにしても良い。ラジオボタン95は、回答結果92を単独で修正するか、全ての回答結果92を連動させて修正するかを選択する為の選択ボタンである。
【0091】
例えば、1つの回答結果92の位置合わせを修正したい場合、対象者8は、入力部24を介して、修正したい回答結果92を選択し、ラジオボタン95を「単独」にし、スライドバー94を左右に移動させる。これによって、1つの回答結果92の位置合わせを修正することができ、ひいては正確な回答を得ることができる。
【0092】
また、例えば、全ての回答結果92の位置合わせを連動させて修正したい場合、対象者8は、入力部24を介して、基準とする回答結果92を選択し、ラジオボタン95を「連動」にし、スライドバー94を左右に移動させる。これによって、全ての回答結果92の位置合わせを連動させて修正することができ、ひいては正確な回答を得ることができる。例えば、対象者8の記入タイミングの遅れが毎回同程度の時間の場合には、連動させて修正することによって、効率良く修正作業を行うことができる。
【0093】
図19は、アンケート用紙6d(図8参照)を用いてアンケートを行ったときの解析データの一例である。解析データ84、85は、それぞれ、対象者番号、設問番号、時間(=記入時刻)、回答結果を含む。尚、時間は、記入時刻に限らず、第3開始時刻からの経過時間であっても良い。また、アンケート用紙6dを用いたアンケートでは、設問番号によって時系列コンテンツ(キャッチコピーの各静止画像)との対応付けが可能である。前述した通り、アンケート用紙6dに対しては、電子ペン5は、マルを形成するストロークデータを認識して、アンケート用紙6の数字1〜6のどれの上にドローされたかを判定し、アンケートの回答結果として、数字1〜6を特定する。
【0094】
図20は、図19の解析データに対する出力結果を示している。図19では、横軸が時間t、縦軸が興味度(脳波)と回答結果である。コンピュータ2の制御部21は、興味度グラフ91と、回答結果92と、キャッチコピー画像96とを、時系列を同期させて、例えば表示部23に表示する。
【0095】
制御部21は、図9に示す同期処理によって定められた第2開始時刻、第3開始時刻、第2終了時刻及び第3終了時刻に従って、興味度グラフ91及び回答結果92の解析対象範囲の位置合わせを行い、図20に示すように、表示部23に表示する。これによって、ユーザは、対象者8の潜在意識(興味度)と、アンケートによる顕在意識(回答結果)とを容易かつ正確に比較することができる。
【0096】
<第2の実施形態>
図21に示すように、第2の実施形態におけるアンケートシステム1aは、コンピュータ2、脳波計3x、3y、電子ペン5x、5y、アンケート用紙6x、6y、レコーダ9等を含む。アンケートシステム1aは、複数の対象者8x、8yが、教師10による授業(=時系列コンテンツ)を受けて、アンケートに回答することを支援する。
【0097】
第1の実施形態におけるアンケートシステム1との違いは、時系列コンテンツが非電子コンテンツになったこと、プレイヤ4がレコーダ9になったこと、対象者8が複数になったこと、である。レコーダ9は、教師10による授業(=時系列コンテンツ)を録画する。
【0098】
図22には、第2の実施の形態における同期処理の例が示されている。図22における同期処理では、コンピュータ2がレコーダ9の録画の開始を指示する時刻(前述の「第1開始時刻」と同様。)、脳波計3によって計測され、コンピュータ2の記憶部22に記憶される脳波データの解析対象範囲の開始時刻(前述の「第2開始時刻」と同様。)、及び電子ペン5によって記録され、コンピュータ2の記憶部22に記憶される記入データの解析対象範囲の開始時刻(前述の「第3開始時刻」と同様。)を同期する処理である。尚、第1開始時刻、第2開始時刻及び第3開始時刻は、全ての対象者8に対して共通である。
【0099】
図22に示すように、特定の対象者8(例えば、対象者8x)がアンケート用紙6(例えば、アンケート用紙6x)の開始合図記入欄63に電子ペン5(例えば、電子ペン5x)をペンダウンさせると、電子ペン5のプロセッサ51は、コンピュータ2に開始信号を送信する(S61)。開始信号の送信後、電子ペン5のプロセッサ51は、記入データの記録を開始する(S64)。
【0100】
コンピュータ2の制御部21は、電子ペン5から開始信号を受信すると、レコーダ9に録画開始を指示するとともに(S62)、脳波計3に計測開始を指示する(S63)。録画開始及び計測開始の指示後、コンピュータ2の制御部21は、現在時刻を同期開始時刻として記憶部22に記憶する(S65)。
【0101】
レコーダ9は、コンピュータ2から録画開始の指示を受信すると、教師10による授業の録画を開始する(S66)。また、脳波計3は、コンピュータ2から計測開始の指示を受信すると、脳波の計測を開始、すなわちコンピュータ2への脳波データの送信を開始する(S67)。
【0102】
尚、第1の実施の形態と同様、S63、S64及びS67の処理は、S61の処理より前に行っても同期処理を実現することができる。つまり、電子ペン5は、対象者8がアンケート用紙6の開始合図記入欄63にペンダウンさせる前から、記入データの記録を開始していても良い。同様に、コンピュータ2は、電子ペン5から開始信号を受信する前に脳波計3に計測開始を指示し、脳波計3からの脳波データを受信していても良い。
【0103】
そこで、コンピュータ2の制御部21は、単一の電子ペン5から開始信号を受信すると、少なくとも、レコーダ9に録画開始を指示するとともに、現在時刻を同期開始時刻として記憶部22に記憶すれば良い。そして、コンピュータ2の制御部21は、記憶部22に記憶された同期開始時刻を、全ての対象者8に係る第2開始時刻及び第3開始時刻とする。第1開始時刻と同期開始時刻も同期していることから、第1開始時刻、第2開始時刻及び第3開始時刻の全てが同期されることになる。
【0104】
図23には、第2の実施の形態におけるアンケート用紙6eが示されている。アンケート用紙6eに印刷されているアンケート内容は、「授業の中で理解できた内容や分からない内容があったら、その瞬間に理解度(5点満点で1〜5点)を書いて下さい」である。電子ペン5によってアンケート用紙6eに記入された数字は、いつ記入されたのかを判別することができる。また、記入データは、レコーダ9によって録画された授業内容と、時系列を同期させることができる。従って、対象者8は、理解度を記入したときの授業の内容を記入することなく、数字のみを自由な位置に記入すれば良い。尚、前述した通り、電子ペン5の制御ソフトは、ストロークデータからの文字認識と記入時刻、記入箇所の対応付け処理を行う機能を備えている。アンケート用紙6eに対しては、電子ペン5は、アンケート用紙6e上のストロークデータが数字の何を表しているかの認識処理を行い、アンケートの回答結果として、数字1〜5を特定する。
【0105】
図24は、アンケート用紙6e(図23参照)を用いてアンケートを行ったときの解析データの一例である。コンピュータ2の制御部21は、複数の電子ペン5から受信する記入データを解析し、解析データ86〜88等を生成する。解析データ86〜88等は、それぞれ、対象者番号、授業番号、時間(=第3開始時刻からの経過時間)、回答結果を含む。尚、時間は、第3開始時刻からの経過時間に限らず、各対象者8が電子ペン5を用いて記入した時刻であっても良い。
【0106】
また、制御部21は、図22に示す同期処理によって、解析データ86〜88等と、時系列コンテンツの各チャプタとを関連付けて、記憶部22に記憶する。図24では、解析データ86がチャプタA、解析データ87及び88がチャプタBにそれぞれ関連付けられている。より詳細には、制御部21は、フレーム単位(例えば、1秒間に30フレーム)で解析データの関連付けを行った後、録画した後に設定した各チャプタのフレーム範囲に基づいて、解析データと各チャプタの関連付けを行う。また、各チャプタのフレーム範囲が予め設定されていなければ、制御部21は、解析データをフレームに対してのみ関連付けても良い。
【0107】
図25は、図24の解析データに対する出力結果を示している。図25では、横軸が時間t、縦軸が理解度(脳波)と回答結果である。コンピュータ2の制御部21は、対象者8x、8yの興味度グラフ91x、92xと、対象者8x、8yの回答結果92x、92yと、チャプタ代表画像97とを、時系列を同期させて、例えば表示部23に表示する。チャプタ代表画像97は、時系列コンテンツの各チャプタを代表する静止画像である。理解度(脳波)の算出処理は、図11に示す興味度算出処理と同様である。
【0108】
制御部21は、図22に示す同期処理によって定められた全ての対象者8に係る第2開始時刻及び第3開始時刻に従って、興味度グラフ91x、92x及び回答結果92x、92yの解析対象範囲の位置合わせを行い、図25に示すように、表示部23に表示する。これによって、ユーザは、複数の対象者8の潜在意識(理解度)と、アンケートによる顕在意識(回答結果)とを容易かつ正確に比較することができる。
【0109】
以上、本発明の実施の形態によって、以下の効果を奏する。
1.脳波データを計測することによって、従来のアンケートでは得られない潜在意識に関するデータが得られる。その為、対象者8の潜在意識とアンケートによる顕在意識(主観評価)を、時系列を追って、容易に比較して分析することができる。
【0110】
2.脳波データを計測し、アンケートの回答結果と比較することによって、アンケートの前提となる作業(例えば、CMや授業の視聴など)を行わずに、適当に回答する対象者8の対策にもなる。
【0111】
3.従来の電子ペン5を利用しないアンケートでは、コンテンツを全て見終わった後にアンケートに回答を記入する。対象者8は、コンテンツの内容を思い出すことが困難な場合があり、負荷も高くなる。ひいては、正確な回答を得られない可能性がある。本発明の実施の形態のように、電子ペン5を利用するアンケートでは、アンケートの前提となる作業(例えば、CMや授業の視聴など)中に、対象者8に負荷をかけることなく、回答してもらうことができる為、対象者8がコンテンツの内容を忘れたり、見逃したり(聞き逃したり)することがない。ひいては、正確な回答を得ることができる。
【0112】
4.時系列コンテンツと、脳波計3による脳波データと、電子ペン5による記入データとを、時系列的に正確に同期させることによって、潜在意識と顕在意識の比較を容易かつ正確に行うことができる。視聴時間が長いコンテンツの場合には、特に有効である。
【0113】
5.アンケートの直後に、脳波データと記入データの同期結果を確認することができるので、対象者8にも、その場で確認してもらうことができる。また、対象者8が記入データの同期結果を修正できるので、より正確な回答を得ることができる。
【0114】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係るアンケートシステムの好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0115】
1、1a………アンケートシステム
2………コンピュータ
3、3x、3y………脳波計
4………プレイヤ
5、5x、5y………電子ペン
6、6a、6b、6c、6d、6e、6x、6y………アンケート用紙
7………ディスプレイ
8、8x、8y………対象者
9………レコーダ
10………教師

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時系列コンテンツを再生又は録画するコンテンツ機器と、前記時系列コンテンツに対するアンケートの対象者の脳波を計測する脳波計と、前記対象者が前記アンケートの回答をアンケート用紙に記入する為の電子ペンと、前記コンテンツ機器、前記脳波計及び前記電子ペンに接続されるコンピュータと、から構成され、前記対象者が前記時系列コンテンツを視聴し、前記アンケートに回答することを支援するアンケートシステムであって、
前記コンピュータは、
前記コンテンツ機器を制御するコンテンツ機器制御手段と、
前記脳波計によって計測される前記対象者の脳波データを記憶する脳波データ記憶手段と、
前記脳波データに基づいて、前記対象者の前記時系列コンテンツに対する潜在意識度を算出する潜在意識度算出手段と、
前記電子ペンから送信される前記アンケート用紙への記入データを記憶する記入データ記憶手段と、
前記記入データに基づいて、前記アンケートの回答結果を生成する回答結果生成手段と、
前記コンテンツ機器制御手段が前記コンテンツ機器の再生又は録画の開始を指示する時刻である第1開始時刻と、前記脳波データ記憶手段に記憶されるデータの解析対象範囲の開始時刻である第2開始時刻と、前記電子ペンデータ記憶手段に記憶されるデータの解析対象範囲の開始時刻である第3開始時刻と、を同期する同期手段と、
を具備することを特徴とするアンケートシステム。
【請求項2】
前記同期手段は、前記電子ペンから開始信号を受信すると、前記コンテンツ機器制御手段に前記コンテンツ機器の再生又は録画の開始を指示させるとともに、前記電子ペンから開始信号を受信した時刻に基づいて前記第2開始時刻及び前記第3開始時刻を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載のアンケートシステム。
【請求項3】
前記潜在意識度と前記回答結果とを同期させて出力する出力手段、
を更に具備することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアンケートシステム。
【請求項4】
前記出力手段は、更に、前記コンテンツ機器によって再生又は録画された前記時系列コンテンツの一部又は全部を、前記潜在意識度と前記回答結果とに同期させて出力する
ことを特徴とする請求項3に記載のアンケートシステム。
【請求項5】
前記出力手段によって出力される前記回答結果の位置を修正する修正手段、
を更に具備することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のアンケートシステム。
【請求項6】
複数の前記対象者が、各々前記脳波計を装着し、各々前記電子ペンを利用する場合において、
前記同期手段は、特定の前記対象者が利用する前記電子ペンから開始信号を受信すると、特定の前記対象者が利用する前記電子ペンから開始信号を受信した時刻に基づいて全ての前記対象者に係る前記第2開始時刻及び前記第3開始時刻を決定する
ことを特徴とする請求項2に記載のアンケートシステム。
【請求項7】
前記アンケート用紙は前記アンケートの回答を自由な位置に記入可能とする
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のアンケートシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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