説明

アンケートデータからの評価分析システム及び評価分析方法

【課題】 具現化していない製品やサービスのあいまいな情報に対する解釈の相違の抽出と補正を可能にする評価分析方法を提供する。
【解決手段】 同一対象について情報提示の詳細さを変えて行ったアンケートの結果から各被験者の情報の提示による評点データの変化を解釈のズレとして抽出し、さらに対象特徴と関係する解釈全体傾向成分と、個人特徴と関係する解釈個人差成分とに分離して特徴に関するデータとの関係パターンを抽出、蓄積しておくことで、アンケートの質問項目に被験者特徴及び対象特徴に関する設問を加えるだけで、解釈のズレを補正可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンケートデータなどを用いたマーケティングなどで被験者の解釈の違いを補正することで、的確な評価分析を実現するアンケートデータからの評価分析システム及び評価分析方法ならびにそれを実行するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、人間の感性の多様化や細分化などに伴い、個人の感性や表現の差が個人ごとに広がる傾向にある。関連する技術としては、個人の価値観を抽出し利用するシステムが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、以下のような技術が開示されている。アンケートの質問及びダミー質問の回答結果を収集する回答結果テーブルを設け、回答結果テーブル中の質問及びダミー質問の一方あるいは両方の回答結果をもとに被験者の心理的傾向を表すパターンを算出し、パターンに対応した係数を算出してアンケートの回答結果を補正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−287736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の関連技術の第一の課題としては、アンケートの評点における被験者の対象への解釈の相違を考慮することができないことがある。即ち、ダミー質問を利用して心理的な傾向として回答者の寛大化傾向や中央化傾向、対比誤差などを抽出している。しかしながら、これらはいずれも被験者の評点付けの特徴であり、アンケートの評価では通常、被験者が対象への評価を行う前に評価を質問される対象を解釈する必要があるが、この対象への解釈段階での相違である解釈のズレを考慮できていない。また、対象への解釈のズレは被験者と対象、質問内容のそれぞれの組み合わせで変化するが、目的の対象への質問と別に用意されたダミー質問では対象固有の解釈のズレに関する情報を含むことができず、それを解析することでは、解釈による変化を考慮することはできないためである。
【0006】
さらに、上記の関連技術の第二の課題としては、心理的な傾向を抽出するための手法を解釈のズレの抽出などに拡大適用することが困難であることがある。即ち、上記の関連技術ではダミー質問をアンケートの度に行う必要がある。しかしながら、解釈のズレは被験者だけでなく対象、質問内容によっても変化するため、解釈のズレを抽出するためには目的の対象への各質問項目に対応するダミー質問を行う必要があり、質問数が倍増してしまい、実用性を著しく損なうためである。
【0007】
本発明の目的は、具現化していない製品やサービスのあいまいな情報に対する解釈の相違の抽出と補正を可能にする評価分析方法を提供しようとするものである。
【0008】
本発明はまた、上記評価分析方法を実施するのに適した評価分析システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、同一対象について情報提示の詳細さを変えて行ったアンケートの結果から各被験者の情報の提示による評点データの変化を解釈のズレとして抽出し、さらに対象特徴と関係する解釈全体傾向成分と、個人特徴と関係する解釈個人差成分とに分離して特徴に関するデータとの関係パターンを抽出、蓄積しておくことで、アンケートの質問項目に被験者特徴及び対象特徴に関する設問を加えるだけで、解釈のズレを補正可能にした評価分析システム及び評価分析方法である。
【0010】
本発明の第一の態様によれば、アンケートデータから対象への評価を分析するシステムであって、複数の製品やサービスといった対象について情報提示のレベルを変えた複数の評価結果、及び被験者の特徴、対象の特徴を評点データとして収集する解釈相違収集手段と、同一の対象における前記評価結果の相違である解釈のズレを算出する解釈相違算出手段と、同一の対象に関する解釈のズレと対象の特徴や被験者の特徴との間の関係パターンである解釈特徴を抽出する分析手段と、前記解釈特徴と、対象の特徴、被験者の特徴、対応する解釈のズレの情報を蓄積するデータベースと、目的の対象に関する目的対象評価、目的対象の特徴、被験者の特徴をそれぞれ評点データとして収集する評価調査手段と、前記データベースにおける解釈特徴に基づいて目的対象の特徴や被験者の特徴に対応する解釈のズレを推算する解釈相違推算手段と、推算した解釈のズレと目的対象評価を合わせることで、解釈のズレを補正した目的対象に対する前記被験者の目的対象評価を推算する評点補正手段と、を含む評価分析システムが提供される。
【0011】
本発明の第二の態様による、アンケートデータからの評価分析システムは、複数の製品やサービスといった対象について曖昧な情報提示を行った場合の解釈曖昧評価と、詳細な情報提示を行った場合の解釈固定評価、及び被験者の特徴、対象の特徴を評点データとして収集する解釈相違収集手段と、同一の対象における解釈曖昧評価と解釈固定評価の評点の相違である解釈のズレを抽出し、解釈のズレを同一の対象について共通する要素を抽出することで対象独自の解釈のズレの成分である全体傾向成分を算出すると共に、解釈のズレを同一の被験者について共通する要素を抽出することで被験者独自の解釈のズレの成分である個人差成分を算出する解釈相違算出手段と、同一の対象に関する解釈全体傾向成分と対象の特徴との間の関係パターンである解釈全体傾向成分特徴を抽出する解釈全体傾向成分特徴分析手段と、前記解釈全体傾向成分特徴と、対象の特徴、対象の特徴と対応する解釈全体傾向成分の情報を蓄積する第一のデータベースと、同一の被験者に関する解釈個人差成分と被験者の特徴との間の関係パターンである解釈個人差成分特徴を抽出する解釈個人差成分特徴分析手段と、前記解釈個人差成分特徴と、被験者の特徴、被験者の特徴と対応する解釈個人差成分の情報を蓄積する第二のデータベースと、目的の対象に関する目的対象評価、目的対象の特徴、被験者の特徴をそれぞれ評点データとして収集する評価調査手段と、前記第一のデータベースにおける解釈全体傾向成分特徴に基づいて目的対象の特徴に対応する解釈全体傾向成分を推算すると共に、前記第二のデータベースの解釈個人差成分特徴に基づいて前記被験者の特徴に対応する解釈個人差成分を推算する解釈相違推算手段と、推算した解釈全体傾向成分、解釈個人差成分及び目的対象評価を合わせることで、解釈のズレを補正した目的対象に対する前記被験者の目的対象評価を推算する評点補正手段と、を含む。
【0012】
なお、上記のいずれの評価分析システムにおいても、前記解釈相違算出手段及び前記評価調査手段は、前記対象の特徴をアンケートではなく、公的機関や調査会社などから得られる一般的な情報に基づき収集する機能を備えていても良い。
【0013】
また、上記のいずれの評価分析システムにおいても、前記解釈相違収集手段で収集された解釈曖昧評価もしくは新たに用意した質問項目の回答内容に基づいて各被験者の各対象について曖昧な情報提示をされた対象への被験者の理解の度合いを示す理解度を算出する理解度算出手段を更に備え、前記解釈相違算出手段が更に、前記理解度によって解釈のズレの大きさを正規化することで解釈のズレの最大変化余地を算出し、解釈のズレの最大変化余地を新たな解釈のズレのデータセットとして更新する機能を備え、前記評価調査手段で収集された目的対象評価の情報に基づいて各本被験者の目的対象に対する理解度である目的対象理解度を算出する目的対象理解度抽出手段を更に備え、前記評点補正手段が更に、前記解釈相違推算手段で推算した解釈全体傾向成分及び解釈個人差成分に目的対象理解度により前記正規化の逆算を行うことで目的対象への理解度を補正した解釈のズレを推算し、前記評価調査手段で収集した目的対象評価と前記解釈のズレを組み合わせることで理解度も考慮した解釈のズレを補正した評点を算出する機能を備えていても良い。
【0014】
本発明の第三の態様によれば、アンケートデータから対象への評価を分析する方法であって、複数の製品やサービスといった対象について情報提示のレベルを変えた複数の評価結果、及び被験者の特徴、対象の特徴を評点データとして収集する解釈相違収集と、同一の対象における前記評価結果の相違である解釈のズレを算出する解釈相違算出と、同一の対象に関する解釈のズレと対象の特徴や被験者の特徴との間の関係パターンである解釈特徴を抽出する分析と、を実行し、前記解釈特徴と、対象の特徴、被験者の特徴、対応する解釈のズレの情報をデータベースに蓄積し、続いて、目的の対象に関する目的対象評価、目的対象の特徴、被験者の特徴をそれぞれ評点データとして収集する評価調査と、前記データベースにおける解釈特徴に基づいて目的対象の特徴や被験者の特徴に対応する解釈のズレを推算する解釈相違推算と、推算した解釈のズレと目的対象評価を合わせることで、解釈のズレを補正した目的対象に対する前記被験者の目的対象評価を推算する評点補正と、を実行することを特徴とするアンケートデータからの評価分析方法が提供される。
【0015】
本発明の第四の態様によれば、複数の製品やサービスといった対象について曖昧な情報提示を行った場合の解釈曖昧評価と、詳細な情報提示を行った場合の解釈固定評価、及び被験者の特徴、対象の特徴を評点データとして収集する解釈相違収集と、同一の対象における解釈曖昧評価と解釈固定評価の評点の相違である解釈のズレを抽出し、解釈のズレを同一の対象について共通する要素を抽出することで対象独自の解釈のズレの成分である全体傾向成分を算出すると共に、解釈のズレを同一の被験者について共通する要素を抽出することで被験者独自の解釈のズレの成分である個人差成分を算出する解釈相違算出と、同一の対象に関する解釈全体傾向成分と対象の特徴との間の関係パターンである解釈全体傾向成分特徴を抽出する解釈全体傾向成分特徴分析と、を実行し、前記解釈全体傾向成分特徴と、対象の特徴、対象の特徴と対応する解釈全体傾向成分の情報を第一のデータベースに蓄積し、続いて、同一の被験者に関する解釈個人差成分と被験者の特徴との間の関係パターンである解釈個人差成分特徴を抽出する解釈個人差成分特徴分析を実行し、前記解釈個人差成分特徴と、被験者の特徴、被験者の特徴と対応する解釈個人差成分の情報を第二のデータベースに蓄積し、続いて、目的の対象に関する目的対象評価、目的対象の特徴、被験者の特徴をそれぞれ評点データとして収集する評価調査と、前記第一のデータベースにおける解釈全体傾向成分特徴に基づいて目的対象の特徴に対応する解釈全体傾向成分を推算すると共に、前記第二のデータベースの解釈個人差成分特徴に基づいて前記被験者の特徴に対応する解釈個人差成分を推算する解釈相違推算と、推算した解釈全体傾向成分、解釈個人差成分及び目的対象評価を合わせることで、解釈のズレを補正した目的対象に対する前記被験者の目的対象評価を推算する評点補正と、を実行することを特徴とするアンケートデータからの評価分析方法が提供される。
【0016】
本発明の第五の態様によれば、複数の製品やサービスといった対象について情報提示のレベルを変えた複数の評価結果、及び被験者の特徴、対象の特徴を評点データとして収集する解釈相違収集手段と、目的の対象に関する目的対象評価、目的対象の特徴、被験者の特徴をそれぞれ評点データとして収集する評価調査手段とを備えたアンケートシステムに接続され、アンケートデータから対象への評価を分析する評価分析用のコンピュータに、同一の対象における前記評価結果の相違である解釈のズレを算出する解釈相違算出ステップと、同一の対象に関する解釈のズレと対象の特徴や被験者の特徴との間の関係パターンである解釈特徴を抽出する分析ステップと、前記解釈特徴と、対象の特徴、被験者の特徴、対応する解釈のズレの情報をデータベースに蓄積するステップと、前記データベースにおける解釈特徴に基づいて目的対象の特徴や被験者の特徴に対応する解釈のズレを推算する解釈相違推算ステップと、推算した解釈のズレと目的対象評価を合わせることで、解釈のズレを補正した目的対象に対する前記被験者の目的対象評価を推算する評点補正ステップと、を実行させるための評価分析用プログラムが提供される。
【0017】
本発明の第六の態様によれば、複数の製品やサービスといった対象について曖昧な情報提示を行った場合の解釈曖昧評価と、詳細な情報提示を行った場合の解釈固定評価、及び被験者の特徴、対象の特徴を評点データとして収集する解釈相違収集手段と、目的の対象に関する目的対象評価、目的対象の特徴、被験者の特徴をそれぞれ評点データとして収集する評価調査手段とを備えたアンケートシステムに接続され、アンケートデータから対象への評価を分析する評価分析用のコンピュータに、同一の対象における解釈曖昧評価と解釈固定評価の評点の相違である解釈のズレを抽出し、解釈のズレを同一の対象について共通する要素を抽出することで対象独自の解釈のズレの成分である全体傾向成分を算出すると共に、解釈のズレを同一の被験者について共通する要素を抽出することで被験者独自の解釈のズレの成分である個人差成分を算出する解釈相違算出ステップと、同一の対象に関する解釈全体傾向成分と対象の特徴との間の関係パターンである解釈全体傾向成分特徴を抽出する解釈全体傾向成分特徴分析ステップと、前記解釈全体傾向成分特徴と、対象の特徴、対象の特徴と対応する解釈全体傾向成分の情報を第一のデータベースに蓄積するステップと、同一の被験者に関する解釈個人差成分と被験者の特徴との間の関係パターンである解釈個人差成分特徴を抽出する解釈個人差成分特徴分析ステップと、前記解釈個人差成分特徴と、被験者の特徴、被験者の特徴と対応する解釈個人差成分の情報を第二のデータベースに蓄積するステップと、前記第一のデータベースにおける解釈全体傾向成分特徴に基づいて目的対象の特徴に対応する解釈全体傾向成分を推算すると共に、前記第二のデータベースの解釈個人差成分特徴に基づいて前記被験者の特徴に対応する解釈個人差成分を推算する解釈相違推算ステップと、推算した解釈全体傾向成分、解釈個人差成分及び目的対象評価を合わせることで、解釈のズレを補正した目的対象に対する前記被験者の目的対象評価を推算する評点補正ステップと、を実行させるための評価分析用プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第一の効果は、質問した対象への評点データに含まれる解釈のズレを抽出することが可能になることにある。その理由は、同一対象について情報提供の詳細さを変えて行ったアンケートの結果から各被験者の提示情報の違いによる評点データの変化を算出することで、評価成分の無い解釈のズレに関する成分だけを分離可能にしているためである。
【0019】
本発明の第二の効果は、目的の対象についてアンケートを行う際に、少ない質問数で解釈のズレを推算することが可能になることにある。その理由は解釈のズレと対象の特徴との関係及び被験者の特徴との関係を利用して推算することで、目的の対象についてアンケートを行う際に質問を解釈のズレに影響する項目に限定でき、さらに対象の特徴は解釈曖昧評価や解釈固定評価の回答や、アンケートではなく公開されている一般的な情報を代用することで専用の質問を用意しなくても解釈のズレを補正可能になるためである。同様に被験者の特徴についても一般的な質問項目として質問される属性情報などで代用することで専用の質問を用意しなくても解釈のズレを補正可能になるため、予め解釈固定評価に関する質問を実施していないような過去のアンケートデータも分析可能になる。
【0020】
本発明の第三の効果は、目的の対象についてアンケートを行う際に、特殊な質問を含めずに解釈のズレを推算することが可能になることにある。その理由は事前に実施したアンケートに基づき、解釈のズレと対象の特徴の関係及び被験者の特徴の関係をデータベースに蓄積することで、目的の対象も被験者も異なる条件でのアンケートであっても、一般的なアンケートには含まれない解釈固定評価に関する質問を実施することなく解釈のズレを補正可能になるためである。
【0021】
本発明の第四の効果は、解釈のズレを補正するための予備情報となる解釈全体傾向成分特徴データベース及び解釈個人差成分特徴データベースの作成におけるアンケート調査の負荷を小さくすることが可能になることにある。その理由は、解釈のズレを全体傾向成分と個人差成分に分離して独立に扱うことで、被験者の違いと対象の違いの組み合わせの考慮が不要になり、解釈のズレのパターン抽出が容易になるためである。
【0022】
本発明の第五の効果は、データベースを構築する際の各対象の曖昧情報提示の提示情報内容の作成や、提示時期、提示状況の選定、被験者の選定が容易になることにある。その理由は、データベースを構築する際の各対象の曖昧情報提示の提示情報内容や提示時期、提示状況、被験者群などによる理解の違いによる解釈のズレの変化の大きさを考慮しなくて良くなるためである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第一の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第一の実施形態の動作を示す流れ図である。
【図3】対象について被験者に提示する解釈固定情報と解釈曖昧情報の例を示す図である。
【図4】被験者に質問する対象評価アンケートの例を示す図である。
【図5】被験者に質問する対象特徴アンケートの例を示す図である。
【図6】被験者に質問する被験者特徴アンケートの例を示す図である。
【図7】解釈曖昧評価と解釈固定評価と解釈のズレの関係を示す概念図である。
【図8】本発明の第二の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第二の実施形態の動作を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の第一の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の第一の実施形態の構成を示し、アンケートデータからの評価分析システムの機能ブロック図である。
【0026】
図1において、本発明の第一の実施形態は、基本的に電子機器内もしくはサーバと電子機器及びこれらを相互に接続するインターネット等の情報通信ネットワークからなるシステム内に、少なくとも、解釈特徴分析部10と、解釈全体傾向成分特徴データベース(第一のデータベース)20と、解釈個人差成分特徴データベース30(第二のデータベース)と、評価分析部40とを含む。上記各部は、システム構成に応じて、評価分析システムを構成する一つの装置もしくは複数の装置に分散して設けられる。例えば、後述する実施例の説明で明らかになるように、解釈特徴分析部10の少なくとも一部、評価分析部40の少なくとも一部は、プログラム制御により動作するコンピュータやサーバで実現可能である。この種のコンピュータやサーバは、プログラムを格納した内部あるいは外部記憶装置(図示せず)を有し、動作に際しては、記憶装置からプログラムを読み出して後述する動作を実行する。
【0027】
解釈特徴分析部10は、解釈相違収集部101、解釈相違算出部102、解釈全体傾向成分特徴分析部103、解釈個人差成分特徴分析部104を機能要素として含む。解釈特徴分析部10は、アンケートなどによって複数の対象について解釈の度合いが異なる情報提示による評点の相違を解釈のズレとして抽出し、抽出した解釈のズレを被験者によらず対象に共通する成分である全体傾向成分と、対象によらず被験者に共通する成分である個人差成分に分離することで、全体傾向成分と対象を含むカテゴリの特徴に関する設問データの関係、及び個人差成分と被験者の特徴に関する設問データの関係を独立に分析し抽出する。なお、対象としては評価を得たい製品やサービスなどが考えられる。
【0028】
解釈相違収集部101は、任意の複数の対象について曖昧な情報提示を行った場合の解釈曖昧評価と、前記複数の対象と同一の対象について解釈のズレが起きにくいよう詳細な情報提示を行った場合の解釈固定評価、及び被験者の特徴、対象の特徴をそれぞれアンケート調査などにより評点データとして収集する。ここで、対象の特徴は独立に設問を準備しても良いが、対象を含むカテゴリの特徴が得られれば良いため、アンケートではなく公的機関や調査会社などから得られる一般的な情報などで代用しても良いし、解釈曖昧評価や解釈固定評価の回答を転用することも考えられる。
【0029】
解釈相違算出部102は、収集した同一対象間の解釈曖昧評価の評点と解釈固定評価の評点の相違から、被験者毎、対象毎、質問項目毎の相違を算出し、複数の質問項目の相違をまとめたデータセットを解釈のズレとして算出する。解釈のズレの算出方法としては解釈曖昧評価と解釈固定評価の間の質問毎の評点の差や質問毎の評点の比などが考えられる他、解釈曖昧評価データを解釈固定評価データに変換する際の変換行列なども考えられる。さらに、解釈相違算出部102は算出した解釈のズレのデータセットを全被験者に共通する解釈全体傾向成分と被験者毎に異なる解釈個人差成分に分解し、それぞれのデータセットを抽出する。解釈全体傾向成分は対象別に全被験者の解釈のズレを利用して算出する定量値で、解釈のズレの質問毎の被験者間の平均値や中央値、最頻値などが考えられる。一方、解釈個人差成分は被験者毎の解釈のズレを利用して算出する定量値で、個々の被験者の解釈のズレと解釈全体傾向成分との差の対象間の平均値や中央値、最頻値などが考えられる。
【0030】
解釈全体傾向成分特徴分析部103は、解釈相違収集部101での収集情報、解釈相違算出部102での算出情報及び後述の解釈全体傾向成分特徴データベース20の蓄積情報から、同一の対象に関する解釈全体傾向成分の情報と対象の特徴の情報を読み込み、解釈全体傾向成分と対象の特徴との間にある関係パターンを重回帰分析や相関分析、決定木などの統計分析や機械学習を利用して抽出する。解釈全体傾向成分特徴分析部103は、抽出した関係パターンを解釈全体傾向成分特徴とし、抽出に利用した対象の特徴、解釈全体傾向成分の情報とともに解釈全体傾向成分特徴データベース20へ送信する。
【0031】
解釈個人差成分特徴分析部104は、解釈相違収集部101での収集情報、解釈相違算出部102での算出情報及び後述の解釈個人差成分特徴データベース30の蓄積情報から、同一の被験者に関する解釈個人差成分の情報と被験者の特徴の情報を読み込み、解釈個人差成分と被験者の特徴との間にある関係パターンを重回帰分析や相関分析、決定木などの統計分析や機械学習を利用して抽出する。解釈個人差成分特徴分析部104は、抽出した関係パターンを解釈個人差成分特徴とし、抽出に利用した被験者の特徴、解釈個人差成分の情報とともに解釈個人差成分特徴データベース30へ送信する。
【0032】
解釈全体傾向成分特徴データベース20は、解釈全体傾向成分特徴分析部103から解釈全体傾向成分特徴に加え、対象の特徴と対応する解釈全体傾向成分の情報を受信し、解釈全体傾向成分特徴は最新の情報に更新し、対象の特徴と対応する解釈全体傾向成分の情報は既存データベースに追加することで、情報を蓄積する。
【0033】
解釈個人差成分特徴データベース30は、解釈個人差成分特徴分析部104から解釈個人差成分特徴に加え、被験者の特徴と対応する解釈個人差成分の情報を受信し、解釈個人差成分特徴は最新の情報に更新し、被験者の特徴と対応する解釈個人差成分の情報は既存データベースに追加することで、情報を蓄積する。
【0034】
次に、評価分析部40は、評価調査部401、解釈相違推算部402、評点補正部403を機能要素として含む。評価分析部40は、アンケートによって目的の対象に関する目的対象評価、目的対象の特徴、本被験者の特徴などを抽出し、目的対象の特徴、本被験者の特徴の情報を解釈全体傾向成分特徴データベース20及び解釈個人差成分特徴データベース30に蓄積された情報に照らし合わせて、各本被験者の目的の対象に対する解釈のズレを推測し、評点を補正する。
【0035】
評価調査部401は、アンケートにより目的の対象に関する目的対象評価、目的対象の特徴、本被験者の特徴などをそれぞれ評点データとして収集する。
【0036】
解釈相違推算部402は、解釈全体傾向成分特徴データベース20における解釈全体傾向成分特徴を参照して、評価調査部401で収集した目的対象の特徴に対応する解釈全体傾向成分を推算する。解釈相違推算部402はまた、解釈個人差成分特徴データベース30における解釈個人差成分特徴を参照して、評価調査部401で収集した本被験者の特徴に対応する解釈個人差成分を推算する。
【0037】
評点補正部403は、解釈相違推算部402で推算した解釈全体傾向成分及び解釈個人差成分を組み合わせることで目的対象への本被験者それぞれの解釈のズレを推算し、評価調査部401で収集した各本被験者の目的対象評価の評点と組み合わせることで、解釈のズレを補正した目的対象に対する各本被験者の目的対象評価を推算する。
【0038】
なお、解釈相違収集部101及び評価調査部401は、インターネット等のネットワークを利用してデータを収集しても良いし、紙のような印刷媒体や外部メモリ等の記憶媒体を利用しても良い。紙や外部メモリ等の媒体を利用する場合は、媒体に即した読取り装置が解釈相違収集部101及び評価調査部401に含まれる。
【0039】
次に、図1及び図2を参照して本発明の第一の実施形態の全体の動作について詳細に説明する。図2は、第一の実施形態による、アンケートデータからの評価分析システムの動作を図1の構成要素別に示すフローチャートである。
【0040】
解釈特徴分析部10は、任意の複数の対象について曖昧な情報提示を行った場合の解釈曖昧評価と、前記複数の対象と同一の対象について解釈のズレが起きにくいよう詳細な情報提示を行った場合の解釈固定評価、及び被験者の特徴、対象の特徴をそれぞれアンケートにより評点データとして収集する(ステップA1)。解釈特徴分析部10はまた、収集した同一対象間の解釈曖昧評価の評点と解釈固定評価の評点の相違から、被験者毎、対象毎、質問項目毎の相違を算出し、複数の質問項目の相違をまとめたデータセットを解釈のズレとして算出する(ステップA2)。解釈特徴分析部10はさらに、算出した解釈のズレのデータセットを全被験者に共通する解釈全体傾向成分と被験者毎に異なる解釈個人差成分に分解し、それぞれのデータセットを抽出する(ステップA3)。解釈特徴分析部10はさらに、当該解釈特徴分析部10で収集、算出した情報及び後述の解釈全体傾向成分特徴データベース20の蓄積情報から、同一の対象に関する解釈全体傾向成分の情報と対象の特徴の情報を読み込み、解釈全体傾向成分と対象の特徴との間にある関係パターンを重回帰分析や相関分析、決定木などの統計分析や機械学習を利用して抽出し、抽出した関係パターンを解釈全体傾向成分特徴とし、抽出に利用した対象の特徴、解釈全体傾向成分の情報とともに解釈全体傾向成分特徴データベース20へ送信する(ステップA4)。
【0041】
解釈特徴分析部10はさらに、当該解釈特徴分析部10で収集、算出した情報及び後述の解釈個人差成分特徴データベース30の蓄積情報から、同一の被験者に関する解釈個人差成分の情報と被験者の特徴の情報を読み込み、解釈個人差成分と被験者の特徴との間にある関係パターンを重回帰分析や相関分析、決定木などの統計分析や機械学習を利用して抽出し、抽出した関係パターンを解釈個人差成分特徴とし、抽出に利用した被験者の特徴、解釈個人差成分の情報とともに解釈個人差成分特徴データベース30へ送信する(ステップA5)。
【0042】
解釈全体傾向成分特徴データベース20は、解釈特徴分析部10から、解釈全体傾向成分特徴に加え、対象の特徴と対応する解釈全体傾向成分の情報を受信し、解釈全体傾向成分特徴は最新の情報に更新し、対象の特徴と対応する解釈全体傾向成分の情報は既存データベースに追加することで、情報を蓄積する(ステップA6)。
【0043】
解釈個人差成分特徴データベース30は、解釈特徴分析部10から、解釈個人差成分特徴に加え、被験者の特徴と対応する解釈個人差成分の情報を受信し、解釈個人差成分特徴は最新の情報に更新し、被験者の特徴と対応する解釈個人差成分の情報は既存データベースに追加することで、情報を蓄積する(ステップA7)。
【0044】
評価分析部40は、アンケートにより目的の対象に関する目的対象評価、目的対象の特徴、本被験者の特徴などをそれぞれ評点データとして収集する(ステップA8)。
【0045】
評価分析部40はまた、解釈全体傾向成分特徴データベース20における解釈全体傾向成分特徴を参照して、評価調査部401で収集した目的対象の特徴に対応する解釈全体傾向成分を推算する(ステップA9)。
【0046】
評価分析部40はさらに、解釈個人差成分特徴データベース30における解釈個人差成分特徴を参照して、評価調査部401で収集した本被験者の特徴に対応する解釈個人差成分を推算する(ステップA10)。
【0047】
評価分析部40はさらに、推算した解釈全体傾向成分及び解釈個人差成分を組み合わせることで目的対象への本被験者それぞれの解釈のズレを推算し、収集した各本被験者の目的対象評価の評点と組み合わせることで、解釈のズレを補正した目的対象に対する各本被験者の目的対象評価を推算する(ステップA11)。
【0048】
次に、本発明の第一の実施形態の実施例について詳細に説明する。本実施例は、「情報セキュリティを向上する新サービス」を目的対象として、尺度法アンケートを利用して得た当該サービスに対する評点に解釈のズレを補正し、的確な評価を抽出することを目的としている。また、尺度法アンケートを実現する装置として、インターネットを介して一般の人々の持つPC(Personal Computer)端末や携帯端末と接続されており、Web上でアンケートの募集、情報の提示、アンケート質問の提示、回答の入力、集計などを実現するWebアンケートシステム(サーバ等)Wを備え、アンケートデータを解析する装置としてコンピュータSを備えている。
【0049】
本実施例では、解釈相違収集部101及び評価調査部401がWebアンケートシステムW内に含まれ、解釈相違算出部102、解釈全体傾向成分特徴分析部103、解釈個人差成分特徴分析部104、解釈全体傾向成分特徴データベース20と、解釈個人差成分特徴データベース30と、解釈相違推算部402、評点補正部403はコンピュータS内に含まれる。この様な手段を備えたWebアンケートシステムW、コンピュータSは以下のような動作をする。
【0050】
WebアンケートシステムWは、回答者に換金性の有るポイントなどの付与と引き換えに不特定多数の被験者に対してアンケートへの回答の募集を行う。WebアンケートシステムWは、回答に承諾したm人を被験者として、任意に用意したn種類の対象について、それぞれ、被験者による解釈のズレが起きる余地を与えない詳細な解釈固定情報の提示と被験者による解釈のズレが期待される曖昧情報の提示とを行う。
【0051】
図3はアフターサービス、ユビキタスサービス、リサイクルサービスを対象とした場合に提示する各情報の例を示す。本例では対象情報を文字のみで提示しているが、文字に加え、写真、映像、音声を提示しても良い。
【0052】
次に、WebアンケートシステムWは、対象jの情報提示に対する評価に関するp個の質問項目からなる対象評価アンケートと、対象に関するq個の質問項目からなる対象特徴アンケートと、被験者に関するr個の質問項目からなる被験者特徴アンケートを被験者iに対して行う。WebアンケートシステムWは、曖昧な情報提示を行った場合の対象評価アンケートへの評点のデータセットを解釈曖昧評価D’ij、解釈のズレが起きにくいよう詳細な情報提示を行った場合の対象評価アンケートへの評点のデータセットを解釈固定評価Dij、対象特徴アンケートへの評点データを対象特徴Oij、被験者特徴アンケートへの評点データを被験者特徴Sijとして各対象、各被験者について収集する。
【0053】
対象評価アンケートは、例えば図4のように目的対象を含む様々な製品やサービスに共通して適用可能でかつ販売促進や市場予測などに活用するために評価として得たい内容に関する質問項目からなり、間隔尺度などで回答を選択する形態などが考えられる。
【0054】
対象特徴アンケートは、図5のように用意した対象毎に情報提示した対象だけに限定せず、類似する対象も含めた対象のカテゴリに対して被験者がどの様な特徴を持っていると見なしているのかに関する質問項目からなり、間隔尺度などで回答を選択する形態などが考えられる他、過去の利用回数、頻度などを比例尺度で問う形態なども考えられる。
【0055】
対象情報はアンケートで得られるデータに限定する必要はなく、普及率や市場占有率、平均価格、提供企業の名前や数など対象に関する一般的な情報を含めても良い。
【0056】
また、被験者特徴アンケートは、図6のように被験者がどの様な特徴を持っているのかに関する質問項目からなり、間隔尺度などで回答を選択する形態などが考えられる他、性別、居住地域などを名義尺度で問う質問や年齢などを比例尺度で問う質問を含むことも考えられる。質問項目には情報提示した対象への知識や関心の度合いなど、対象との関係性に関する質問を含むことも考えられる。
【0057】
コンピュータSは、WebアンケートシステムWで収集された各被験者、各対象について被験者i、対象jでの解釈曖昧評価D’ijと解釈固定評価Dijを読み込み、以下の数1のように解釈曖昧評価D’ijと解釈固定評価Dijの差を算出し、これを解釈のズレBijとする。解釈のズレBijは質問項目毎に算出されるためp×1の行列データとなる。
【0058】
【数1】

【0059】
解釈曖昧評価と解釈固定評価の差が解釈のズレに相当することを、図7を参照して説明する。図7は対象aに対する解釈曖昧評価D’と解釈固定評価Dをそれぞれベクトルと見なした時の関係を示す概念図である。通常のアンケートの評点に相当する解釈曖昧評価D’は質問された対象に対する解釈のズレに関する成分Bと対象に対する評価の成分Eの合成ベクトルと考えられるが、解釈曖昧評価D’の情報だけでは、成分Bと成分Eを分離することはできない。しかし、情報提示のレベルが異なるだけで同一の対象への評点である解釈固定評価Dを抽出すると、解釈のズレ成分を0と見なせる評価成分のみのベクトルが得られるため、解釈曖昧評価D’と解釈固定評価Dの差ΔDは解釈のズレに関する成分Bと同一となる。
【0060】
次に、コンピュータSは、以下の数2のように被験者毎、対象毎の解釈のズレBijの被験者平均を算出し、得られる対象毎のデータセットを解釈のズレの全体傾向成分Bjとする。解釈のズレの全体傾向成分Bjは対象評価アンケートの質問項目毎に算出されるためp×1の行列データとなる。
【0061】
【数2】

【0062】
次に、コンピュータSは、WebアンケートシステムWで収集された対象特徴Oijを読み込み、以下の数3のように被験者毎、対象毎の対象特徴Oijの被験者平均を算出し、得られる対象毎のデータセットを対象特徴平均Ojとする。対象特徴平均Ojは対象評価アンケートの質問項目毎、対象特徴アンケートの質問項目毎に算出されるためp×qの行列データとなる。
【0063】
【数3】

【0064】
次に、コンピュータSは、以下の数4のように対象毎の解釈のズレの全体傾向成分Bjと、被験者毎、対象毎の解釈のズレBijとの差の対象平均を算出し、得られる被験者毎のデータセットを解釈のズレの個人差成分Biとする。解釈のズレの個人差成分Biは対象評価アンケートの質問項目毎に算出されるためp×1の行列データとなる。
【0065】
【数4】

【0066】
次に、コンピュータSは、WebアンケートシステムWで収集された被験者特徴Sijを読み込み、以下の数5のように被験者毎、対象毎の被験者特徴Sijの対象平均を算出し、得られる被験者毎のデータセットを被験者特徴平均Siとする。被験者特徴平均Siは対象評価アンケートの質問項目毎、被験者特徴アンケートの質問項目毎に算出されるためp×rの行列データとなる。
【0067】
【数5】

【0068】
次に、コンピュータSは、解釈のズレの全体傾向成分Bjと対象特徴平均Ojとの間にある関係パターンとして、解釈のズレの全体傾向成分Bjを構成する各質問項目での値を目的変数、対象特徴平均Ojを構成する各質問項目での値を説明変数として重回帰分析を実施し、得られるp×(q+1)の行列からなる重回帰係数のデータセットを解釈全体傾向成分特徴αtとしてコンピュータS内のデータベース(図1の20)に蓄積する。対象特徴アンケートの質問項目数qがアンケートの対象の種類数(n−1)以上である場合、任意の方法で分析に利用する質問項目を(n−2)以下に取捨する必要がある。なお、解釈のズレの全体傾向成分と対象特徴との間に線形の関係が想定できない場合は重回帰分析に代えて回帰木やニューラルネットワークなどの機械学習などを利用しても良い。
【0069】
次に、コンピュータSは、解釈のズレの個人差成分Biと被験者特徴平均Siとの間にある関係パターンとして、解釈のズレの個人差成分Biを構成する各質問項目での値を目的変数とし、被験者特徴平均Siを構成する各質問項目での値を説明変数として重回帰分析を実施し、得られるp×(r+1)の行列からなる重回帰係数のデータセットを解釈個人差成分特徴αsとしてコンピュータS内のデータベース(図1の30)に蓄積する。なお、解釈のズレの個人差成分と被験者特徴との間に線形の関係が想定できない場合は重回帰分析に代えて回帰木やニューラルネットワークなどの機械学習などを利用しても良い。
【0070】
WebアンケートシステムWは、改めて回答者に換金性のあるポイントなどの付与と引き換えに不特定多数の被験者に対してアンケートへの回答の募集を行う。WebアンケートシステムWは、回答に承諾したx人を本被験者として、目的対象である「情報セキュリティを向上する新サービス」という対象について情報提示を行い、情報提示に対する評価に関するp個の質問項目からなる対象評価アンケートと、対象に関するq個の質問項目からなる対象特徴アンケートと、被験者に関するr個の質問項目からなる被験者特徴アンケートを本被験者に行う。WebアンケートシステムWはまた、対象評価アンケートへの評点データを目的対象評価A’io、対象特徴アンケートへの評点データを目的対象特徴Rio、被験者特徴アンケートへの評点データを本被験者特徴Tioとして収集する。アンケートを依頼する本被験者は先に解釈固定情報や曖昧情報の提示を行ったアンケートにおける被験者と異なっていても良いが、対象評価アンケートと対象特徴アンケート、被験者特徴アンケートの質問項目は同一の項目を含んでおく必要がある。
【0071】
コンピュータSは、WebアンケートシステムWで収集された本被験者毎の目的対象特徴Rioを読み込み、以下の数6のように全本被験者間の平均値を算出し、得られる対象のデータセットを目的対象特徴平均Roとする。目的対象特徴平均Roは対象評価アンケートの質問項目毎、対象特徴アンケートの質問項目毎に算出されるためp×qの行列データとなる。
【0072】
【数6】

【0073】
さらにコンピュータSは、データベース(図1の20)に蓄積されている解釈全体傾向成分特徴αtの重回帰係数データセットからなる重回帰式の説明変数として、目的対象特徴平均Roを代入し、算出される重回帰式の目的変数の値から目的対象の各質問項目の解釈全体傾向成分Boを推算する。
【0074】
次に、コンピュータSは、WebアンケートシステムWで収集された本被験者毎の本被験者特徴Tioを読み込み、データベースに蓄積されている解釈個人差成分特徴αsの重回帰係数データセットからなる重回帰式の説明変数として、本被験者特徴Tioの値を代入し、算出される重回帰式の目的変数の値から各本被験者の各質問項目の解釈個人差成分Bioを推算する。
【0075】
次に、コンピュータSは、WebアンケートシステムWで収集された本被験者毎の目的対象評価A’ioを読み込み、目的対象評価A’ioに推算した解釈全体傾向成分Bo及び解釈個人差成分Bioを足し合わせることで、解釈のズレを補正した目的対象に対する各本被験者の目的対象評価Aioを推算する。
【0076】
次に、第一の実施形態の効果について説明する。
【0077】
第一の効果は、質問した対象への評点データに含まれる解釈のズレを抽出することが可能になることにある。その理由は、同一対象について情報提供の詳細さを変えて行ったアンケートの結果から各被験者の提示情報の違いによる評点データの変化を算出することで、評価成分の無い解釈のズレに関する成分だけを分離可能にしているためである。
【0078】
第二の効果は、目的の対象についてアンケートを行う際に、少ない質問数でかつ特殊な質問を含めずに解釈のズレを推算することが可能になることにある。その理由は事前に実施したアンケートに基づき、解釈のズレと対象の特徴の関係及び被験者の特徴の関係をデータベースに蓄積することで、質問する特徴を解釈のズレに影響する項目に限定できるからである。加えて、目的の対象も被験者も異なるアンケートであっても、一般的なアンケートには含まれない解釈固定評価に関する質問を実施することなく解釈のズレを補正可能になるためである。
【0079】
第三の効果は、解釈のズレを補正するための予備情報となるデータベースを作成する際に行う、アンケート調査の負荷を小さくすることが可能になることにある。その理由は、解釈のズレを全体傾向成分と個人差成分に分離して扱うことで、被験者の違いと対象の違いの組み合わせを考慮せずに解釈のズレのパターン抽出及びデータベース化が容易になるためである。
【0080】
次に、図8を参照して本発明の第二の実施形態について説明する。第一の実施形態と比較すると、第二の実施形態は、解釈特徴分析部10が理解度算出部105を含み、解釈相違調査部101で収集された解釈曖昧評価もしくは新たに用意した質問項目の回答内容に基づいて各被験者の各対象への理解度を算出する点で異なる。理解度は曖昧な情報提示をされた対象への被験者の理解の度合いを示す指標で、解釈曖昧評価のデータセットの評点と中間評点の差の絶対値が変動余地に占める割合やその関数などを利用することが考えられるが、質問項目として被験者に直接回答させても良い。
【0081】
第二の実施形態はさらに、解釈相違算出部102が、解釈のズレのデータセットから解釈全体傾向成分と解釈個人差成分を分解してそれぞれのデータセットを抽出する前に、理解度算出部105で算出した理解度によって解釈のズレの大きさを正規化することで解釈のズレの最大変化余地を算出し、解釈のズレの最大変化余地を新たな解釈のズレとして更新し、解釈全体傾向成分と解釈個人差成分のそれぞれのデータセットの抽出に利用する点で異なる。なお、解釈のズレの最大変化余地とは、解釈のズレが変化するポテンシャルとして理解度が最低となった場合の解釈のズレに相当し、理解度が最低値でない被験者や対象のデータセットの場合は、解釈のズレを単純に各被験者の各対象の理解度に対して単調減少する関数で除すなどの算出方法が考えられる。
【0082】
第二の実施形態はさらに、評価分析部40が目的対象理解度抽出部404を含み、評価調査部401で収集された目的対象評価の情報に基づいて各本被験者の目的対象に対する理解度である目的対象理解度を算出する点で異なる。
【0083】
第二の実施形態はさらに、評点補正部403が、解釈相違推算部402で推算した解釈全体傾向成分及び解釈個人差成分に理解度抽出部404で算出した目的対象理解度により前記正規化の逆算を行うことで目的対象への理解度を補正した解釈のズレを推算し、評価調査部401で収集した目的対象評価と組み合わせることで理解度も考慮した解釈のズレを補正した評点を算出する点で異なる。
【0084】
次に、図8及び図9を参照して第二の実施形態の全体の動作について説明する。図9では、図2と同じ動作ステップには同じステップ符号を付しており、詳しい説明は省略する。
【0085】
解析特徴分析部10の動作であるステップA1とA2の間に、解釈特徴分析部10がステップA1で収集した解釈曖昧評価もしくは新たに用意した質問項目の回答内容に基づき、各被験者の各対象への理解度を算出する動作(ステップB1)を加えている。またステップA2とA3の間に、理解度によってステップA2で算出した解釈のズレの大きさを正規化することで解釈のズレの最大変化余地を算出し、解釈のズレの最大変化余地を新たな解釈のズレのデータセットとして更新する動作(ステップB2)を加えている。
【0086】
一方、評価分析部40の動作であるステップA8とA9の間に、評価分析部40が収集された目的対象評価もしくは新たに用意した質問項目の回答内容に基づき、各本被験者の目的対象に対する理解度である目的対象理解度を算出する動作(ステップB3)を加えている。
【0087】
加えて、図2のステップA11の動作を変更している。すなわち、ステップA10に続く変更ステップA11’においては、推算した解釈全体傾向成分及び解釈個人差成分に目的対象理解度を用いて前記正規化の逆算を行うことで目的対象への理解度を補正した解釈のズレを推算し、目的対象評価と組み合わせることで理解度も考慮した解釈のズレを補正した評点を算出する。
【0088】
他のステップの動作は、第一の実施形態における動作と同じである。
【0089】
次に、本発明の第二の実施形態の実施例について詳細に説明する。第二の実施例では、第一の実施形態の実施例と比較して、コンピュータSが、WebアンケートシステムWで収集された被験者毎、対象毎の解釈曖昧評価の情報を読み込みこんで各被験者の各対象への理解度を算出し、理解度と解釈のズレを組み合わせることで解釈のズレの最大変化余地を解釈のズレのデータセットとして変換する点で異なる。また、コンピュータSが、WebアンケートシステムWで収集された本被験者毎の目的対象評価の情報を読み込みこんで各本被験者の目的対象への理解度を算出し、解釈全体傾向成分及び解釈個人差成分に目的対象への理解度を組み合わせて解釈のズレを推算し、本被験者毎の目的対象評価の情報と組み合わせることで解釈のズレを補正した評点を算出する点で異なる。
【0090】
この様な手段を備えたコンピュータSは、WebアンケートシステムWから読み込んだ被験者i、対象jの解釈曖昧評価D’ijの情報から、理解度βijを算出する。理解度βijは曖昧な情報提示をされた対象iへの被験者jの理解の度合いを示す0から1の指標である。理解度βijの算出方法は、対象への理解が充分で無い場合は極端に高い評点や低い評点を付けにくいという性質を利用して、以下の数7のように中間評点d’cと最大評点d’maxの差の絶対値に対する実際の解釈曖昧評価を構成する各質問への評点d’ijkと中間評点d’cとの差の絶対値の割合の各質問項目kでの平均として算出する。ここで、d’ijkは解釈曖昧評価のデータセットD’ijの対象評価アンケートの質問項目kへの評点をさし、pは総質問項目数をさす。
【0091】
【数7】

【0092】
さらに、コンピュータSは、算出した理解度を用いて解釈のズレBijのデータセットから解釈のズレの最大変化余地Cijを算出し、解釈のズレの最大変化余地Cijを新たな解釈のズレBijのデータセットとして更新し、解釈全体傾向成分Bjと解釈個人差成分Biのそれぞれのデータセットを抽出する。解釈のズレのデータセットBijから解釈のズレの最大変化余地Cijへの変換は、以下の数8のように各被験者の各対象の解釈のズレのデータセットBijを理解度に対して単調減少する関数で除すことで行う。なお、解釈のズレの最大変化余地Cijと解釈固定評価Dijの和が最大評点D’maxから最小評点D’minの範囲に収まらない場合などは、差分の比率で按分するなど任意の調整を行っても良い。
【0093】
【数8】

【0094】
さらに、コンピュータSは、WebアンケートシステムWで収集された被験者毎の目的対象評価A’ioを読み込み、理解度βijの算出方法と同一の計算式に従って、目的対象に対する各本被験者の目的対象理解度βioを算出する。理解度βijの算出方法が数7に従う場合、目的対象理解度βioの算出は、以下の数9のように中間評点a’cと最大評点a’maxの差の絶対値に対する実際の目的対象評価を構成する各質問への評点a’iokと中間評点a’cとの差の絶対値の割合の各質問項目kでの平均として算出する。ここで、a’iokは目的対象評価のデータセットA’ioの対象評価アンケートの質問項目kへの評点をさし、pは総質問項目数をさす。
【0095】
【数9】

【0096】
さらに、コンピュータSは、第二の実施形態の実施例の詳細な説明に従って解釈全体傾向成分Bo及び解釈個人差成分Bioを推算し、以下の数10のように、解釈全体傾向成分Bo及び解釈個人差成分Bioの和に目的対象理解度βioに対して単調減少する関数を掛け合わせることで、理解度を補正した解釈のズレを推算し、これを本被験者毎の目的対象評価A’ioに加えることで解釈のズレを補正した目的対象に対する各本被験者の目的対象評価Aioを推算する。
【0097】
【数10】

【0098】
次に、第二の実施形態の効果について説明する。第二の実施形態では、第一の実施形態の効果に加え、データベースを構築する際の各対象の曖昧情報提示の提示情報内容や提示時期、提示状況、被験者群などによる理解の違いによる解釈のズレの変化の大きさを考慮しなくて良くなるため、データベースを構築する際の各対象の曖昧情報提示の提示情報内容の作成や、提示時期、提示状況の選定、被験者の選定が容易になる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明によれば、感性的な評価だけに特化した被験者の分類や特徴の抽出により、任意の製品やサービスに関するマーケティングの精度向上といった用途に適用できる。さらに、あいまいなサービスなどへの評価の詳細分析が可能になるため、オープンイノベーションなどの共創の実現といった用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0100】
10 解釈特徴分析部
20 解釈全体傾向成分特徴データベース
30 解釈個人差成分特徴データベース
40 評価分析部
101 解釈相違収集部
102 解釈相違算出部
103 解釈全体傾向成分特徴分析部
104 解釈個人差成分特徴分析部
105 理解度算出部
401 評価調査部
402 解釈相違推算部
403 評点補正部
404 目的対象理解度抽出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンケートデータから対象への評価を分析するシステムであって、
複数の製品やサービスといった対象について情報提示のレベルを変えた複数の評価結果、及び被験者の特徴、対象の特徴を評点データとして収集する解釈相違収集手段と、
同一の対象における前記評価結果の相違である解釈のズレを算出する解釈相違算出手段と、
同一の対象に関する解釈のズレと対象の特徴や被験者の特徴との間の関係パターンである解釈特徴を抽出する分析手段と、
前記解釈特徴と、対象の特徴、被験者の特徴、対応する解釈のズレの情報を蓄積するデータベースと、
目的の対象に関する目的対象評価、目的対象の特徴、被験者の特徴をそれぞれ評点データとして収集する評価調査手段と、
前記データベースにおける解釈特徴に基づいて目的対象の特徴や被験者の特徴に対応する解釈のズレを推算する解釈相違推算手段と、
推算した解釈のズレと目的対象評価を合わせることで、解釈のズレを補正した目的対象に対する前記被験者の目的対象評価を推算する評点補正手段と、
を含むことを特徴とするアンケートデータからの評価分析システム。
【請求項2】
アンケートデータから対象への評価を分析するシステムであって、
複数の製品やサービスといった対象について曖昧な情報提示を行った場合の解釈曖昧評価と、詳細な情報提示を行った場合の解釈固定評価、及び被験者の特徴、対象の特徴を評点データとして収集する解釈相違収集手段と、
同一の対象における解釈曖昧評価と解釈固定評価の評点の相違である解釈のズレを抽出し、解釈のズレを同一の対象について共通する要素を抽出することで対象独自の解釈のズレの成分である全体傾向成分を算出すると共に、解釈のズレを同一の被験者について共通する要素を抽出することで被験者独自の解釈のズレの成分である個人差成分を算出する解釈相違算出手段と、
同一の対象に関する解釈全体傾向成分と対象の特徴との間の関係パターンである解釈全体傾向成分特徴を抽出する解釈全体傾向成分特徴分析手段と、
前記解釈全体傾向成分特徴と、対象の特徴、対象の特徴と対応する解釈全体傾向成分の情報を蓄積する第一のデータベースと、
同一の被験者に関する解釈個人差成分と被験者の特徴との間の関係パターンである解釈個人差成分特徴を抽出する解釈個人差成分特徴分析手段と、
前記解釈個人差成分特徴と、被験者の特徴、被験者の特徴と対応する解釈個人差成分の情報を蓄積する第二のデータベースと、
目的の対象に関する目的対象評価、目的対象の特徴、被験者の特徴をそれぞれ評点データとして収集する評価調査手段と、
前記第一のデータベースにおける解釈全体傾向成分特徴に基づいて目的対象の特徴に対応する解釈全体傾向成分を推算すると共に、前記第二のデータベースの解釈個人差成分特徴に基づいて前記被験者の特徴に対応する解釈個人差成分を推算する解釈相違推算手段と、
推算した解釈全体傾向成分、解釈個人差成分及び目的対象評価を合わせることで、解釈のズレを補正した目的対象に対する前記被験者の目的対象評価を推算する評点補正手段と、
を含むことを特徴とするアンケートデータからの評価分析システム。
【請求項3】
前記解釈相違算出手段及び前記評価調査手段が、前記対象の特徴をアンケートではなく、公的機関や調査会社などから得られる一般的な情報に基づき収集する機能を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のアンケートデータからの評価分析システム。
【請求項4】
更に、前記解釈相違収集手段で収集された解釈曖昧評価もしくは新たに用意した質問項目の回答内容に基づいて各被験者の各対象について曖昧な情報提示をされた対象への被験者の理解の度合いを示す理解度を算出する理解度算出手段を備え、
前記解釈相違算出手段が更に、前記理解度によって解釈のズレの大きさを正規化することで解釈のズレの最大変化余地を算出し、解釈のズレの最大変化余地を新たな解釈のズレのデータセットとして更新する機能を備え、
更に、前記評価調査手段で収集された目的対象評価の情報に基づいて各本被験者の目的対象に対する理解度である目的対象理解度を算出する目的対象理解度抽出手段を備え、
前記評点補正手段が更に、前記解釈相違推算手段で推算した解釈全体傾向成分及び解釈個人差成分に目的対象理解度により前記正規化の逆算を行うことで目的対象への理解度を補正した解釈のズレを推算し、前記評価調査手段で収集した目的対象評価と前記解釈のズレを組み合わせることで理解度も考慮した解釈のズレを補正した評点を算出する機能を備えた、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のアンケートデータからの評価分析システム。
【請求項5】
アンケートデータから対象への評価を分析する方法であって、
複数の製品やサービスといった対象について情報提示のレベルを変えた複数の評価結果、及び被験者の特徴、対象の特徴を評点データとして収集する解釈相違収集と、
同一の対象における前記評価結果の相違である解釈のズレを算出する解釈相違算出と、
同一の対象に関する解釈のズレと対象の特徴や被験者の特徴との間の関係パターンである解釈特徴を抽出する分析と、を実行し、
前記解釈特徴と、対象の特徴、被験者の特徴、対応する解釈のズレの情報をデータベースに蓄積し、
続いて、目的の対象に関する目的対象評価、目的対象の特徴、被験者の特徴をそれぞれ評点データとして収集する評価調査と、
前記データベースにおける解釈特徴に基づいて目的対象の特徴や被験者の特徴に対応する解釈のズレを推算する解釈相違推算と、
推算した解釈のズレと目的対象評価を合わせることで、解釈のズレを補正した目的対象に対する前記被験者の目的対象評価を推算する評点補正と、
を実行することを特徴とするアンケートデータからの評価分析方法。
【請求項6】
アンケートデータから対象への評価を分析する方法であって、
複数の製品やサービスといった対象について曖昧な情報提示を行った場合の解釈曖昧評価と、詳細な情報提示を行った場合の解釈固定評価、及び被験者の特徴、対象の特徴を評点データとして収集する解釈相違収集と、
同一の対象における解釈曖昧評価と解釈固定評価の評点の相違である解釈のズレを抽出し、解釈のズレを同一の対象について共通する要素を抽出することで対象独自の解釈のズレの成分である全体傾向成分を算出すると共に、解釈のズレを同一の被験者について共通する要素を抽出することで被験者独自の解釈のズレの成分である個人差成分を算出する解釈相違算出と、
同一の対象に関する解釈全体傾向成分と対象の特徴との間の関係パターンである解釈全体傾向成分特徴を抽出する解釈全体傾向成分特徴分析と、を実行し、
前記解釈全体傾向成分特徴と、対象の特徴、対象の特徴と対応する解釈全体傾向成分の情報を第一のデータベースに蓄積し、
続いて、同一の被験者に関する解釈個人差成分と被験者の特徴との間の関係パターンである解釈個人差成分特徴を抽出する解釈個人差成分特徴分析を実行し、
前記解釈個人差成分特徴と、被験者の特徴、被験者の特徴と対応する解釈個人差成分の情報を第二のデータベースに蓄積し、
続いて、目的の対象に関する目的対象評価、目的対象の特徴、被験者の特徴をそれぞれ評点データとして収集する評価調査と、
前記第一のデータベースにおける解釈全体傾向成分特徴に基づいて目的対象の特徴に対応する解釈全体傾向成分を推算すると共に、前記第二のデータベースの解釈個人差成分特徴に基づいて前記被験者の特徴に対応する解釈個人差成分を推算する解釈相違推算と、
推算した解釈全体傾向成分、解釈個人差成分及び目的対象評価を合わせることで、解釈のズレを補正した目的対象に対する前記被験者の目的対象評価を推算する評点補正と、を実行することを特徴とするアンケートデータからの評価分析方法。
【請求項7】
前記解釈相違算出及び前記評価調査において、前記対象の特徴をアンケートではなく、公的機関や調査会社などから得られる一般的な情報に基づき収集することを特徴とする請求項5又は6に記載のアンケートデータからの評価分析方法。
【請求項8】
更に、前記解釈相違収集で収集された解釈曖昧評価もしくは新たに用意した質問項目の回答内容に基づいて各被験者の各対象について曖昧な情報提示をされた対象への被験者の理解の度合いを示す理解度を算出する理解度算出を実行し、
前記解釈相違算出においては更に、前記理解度によって解釈のズレの大きさを正規化することで解釈のズレの最大変化余地を算出して、解釈のズレの最大変化余地を新たな解釈のズレのデータセットとして更新し、
更に、前記評価調査で収集された目的対象評価の情報に基づいて各本被験者の目的対象に対する理解度である目的対象理解度を算出する目的対象理解度抽出を実行し、
前記評点補正においては更に、前記解釈相違推算で推算した解釈全体傾向成分及び解釈個人差成分に目的対象理解度により前記正規化の逆算を行うことで目的対象への理解度を補正した解釈のズレを推算し、前記評価調査で収集した目的対象評価と前記解釈のズレを組み合わせることで理解度も考慮した解釈のズレを補正した評点を算出する、ことを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載のアンケートデータからの評価分析方法。
【請求項9】
複数の製品やサービスといった対象について情報提示のレベルを変えた複数の評価結果、及び被験者の特徴、対象の特徴を評点データとして収集する解釈相違収集手段と、目的の対象に関する目的対象評価、目的対象の特徴、被験者の特徴をそれぞれ評点データとして収集する評価調査手段とを備えたアンケートシステムに接続され、アンケートデータから対象への評価を分析する評価分析用のコンピュータに、
同一の対象における前記評価結果の相違である解釈のズレを算出する解釈相違算出ステップと、
同一の対象に関する解釈のズレと対象の特徴や被験者の特徴との間の関係パターンである解釈特徴を抽出する分析ステップと、
前記解釈特徴と、対象の特徴、被験者の特徴、対応する解釈のズレの情報をデータベースに蓄積するステップと、
前記データベースにおける解釈特徴に基づいて目的対象の特徴や被験者の特徴に対応する解釈のズレを推算する解釈相違推算ステップと、
推算した解釈のズレと目的対象評価を合わせることで、解釈のズレを補正した目的対象に対する前記被験者の目的対象評価を推算する評点補正ステップと、
を実行させるための評価分析用プログラム。
【請求項10】
複数の製品やサービスといった対象について曖昧な情報提示を行った場合の解釈曖昧評価と、詳細な情報提示を行った場合の解釈固定評価、及び被験者の特徴、対象の特徴を評点データとして収集する解釈相違収集手段と、目的の対象に関する目的対象評価、目的対象の特徴、被験者の特徴をそれぞれ評点データとして収集する評価調査手段とを備えたアンケートシステムに接続され、アンケートデータから対象への評価を分析する評価分析用のコンピュータに、
同一の対象における解釈曖昧評価と解釈固定評価の評点の相違である解釈のズレを抽出し、解釈のズレを同一の対象について共通する要素を抽出することで対象独自の解釈のズレの成分である全体傾向成分を算出すると共に、解釈のズレを同一の被験者について共通する要素を抽出することで被験者独自の解釈のズレの成分である個人差成分を算出する解釈相違算出ステップと、
同一の対象に関する解釈全体傾向成分と対象の特徴との間の関係パターンである解釈全体傾向成分特徴を抽出する解釈全体傾向成分特徴分析ステップと、
前記解釈全体傾向成分特徴と、対象の特徴、対象の特徴と対応する解釈全体傾向成分の情報を第一のデータベースに蓄積するステップと、
同一の被験者に関する解釈個人差成分と被験者の特徴との間の関係パターンである解釈個人差成分特徴を抽出する解釈個人差成分特徴分析ステップと、
前記解釈個人差成分特徴と、被験者の特徴、被験者の特徴と対応する解釈個人差成分の情報を第二のデータベースに蓄積するステップと、
前記第一のデータベースにおける解釈全体傾向成分特徴に基づいて目的対象の特徴に対応する解釈全体傾向成分を推算すると共に、前記第二のデータベースの解釈個人差成分特徴に基づいて前記被験者の特徴に対応する解釈個人差成分を推算する解釈相違推算ステップと、
推算した解釈全体傾向成分、解釈個人差成分及び目的対象評価を合わせることで、解釈のズレを補正した目的対象に対する前記被験者の目的対象評価を推算する評点補正ステップと、
を実行させるための評価分析用プログラム。
【請求項11】
前記解釈相違収集手段で収集された解釈曖昧評価もしくは新たに用意した質問項目の回答内容に基づいて各被験者の各対象について曖昧な情報提示をされた対象への被験者の理解の度合いを示す理解度を算出する理解度算出ステップを更に実行させ、
前記解釈相違算出ステップにおいては更に、前記理解度によって解釈のズレの大きさを正規化することで解釈のズレの最大変化余地を算出して、解釈のズレの最大変化余地を新たな解釈のズレのデータセットとして更新させ、
前記評価調査手段で収集された目的対象評価の情報に基づいて各本被験者の目的対象に対する理解度である目的対象理解度を算出する目的対象理解度抽出ステップを更に実行させ、
前記評点補正ステップにおいては更に、前記解釈相違推算ステップで推算した解釈全体傾向成分及び解釈個人差成分に目的対象理解度により前記正規化の逆算を行うことで目的対象への理解度を補正した解釈のズレを推算し、前記評価調査手段で収集された目的対象評価と前記解釈のズレを組み合わせることで理解度も考慮した解釈のズレを補正した評点を算出させる、
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の評価分析用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−170416(P2010−170416A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13403(P2009−13403)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(504139662)国立大学法人名古屋大学 (996)
【Fターム(参考)】