説明

アンテナ制御システム及びアンテナ制御システム拡張ユニット

【課題】端末機器に十分な電力を供給でき、制御ケーブルの最大長を延長することが可能なアンテナ制御システム及びアンテナ制御システム拡張ユニットを提供する。
【解決手段】無線基地局のアンテナの制御を行うデイジーチェーン接続可能な1台以上の端末機器11と、端末機器11に制御信号を送信し、端末機器11を制御してアンテナの制御を行うと共に、端末機器11に電源を供給する制御装置12と、制御装置12と端末機器11、および端末機器11同士を接続するために用いられる制御ケーブル13とを備え、AISG規格に準拠してアンテナの制御を行うアンテナ制御システムにおいて、端末機器11のデイジーチェーン接続用の出力コネクタ11bに接続され、出力コネクタ11bを介して端末機器11に電力を供給するアンテナ制御システム拡張ユニット2を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AISG(Antenna Interface Standards Group)規格に準拠してアンテナの制御を行うアンテナ制御システム及びアンテナ制御システム拡張ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動通信用の無線基地局では、一般に、アンテナのチルト制御を遠隔制御により行えるようになっている。当初は、アンテナの制御方式としてメーカーごとに独自の方式を用いていたが、近年のLTE(Long Term Evolution)無線基地局などでは、アンテナの制御をAISG規格で行うことが多くなっている。AISG規格は、アンテナの基本的な相互運用を確実にすべく標準化された規格である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6に示すように、AISG規格に準拠してアンテナの制御を行う従来のアンテナ制御システム61は、無線基地局のアンテナ(図示せず)の制御を行うRET(Remote Electrical Tilt)ユニットなどの端末機器(AISG端末機器)11と、端末機器11に制御信号(RS−485規格信号)を送信し、端末機器11を制御してアンテナの制御を行うと共に、端末機器11に電源を供給する制御装置(AISG制御装置)12と、制御装置12と端末機器11とを接続する制御ケーブル(AISG制御ケーブル)13と、を備えている。制御ケーブル13は、図示していないが、制御信号を伝送するための制御信号線と、電源を供給するための電源線とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2010−519804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のAISG規格に準拠したアンテナ制御システム61では、制御ケーブル13の電源線に使用できる導体線心の太さに上限があるため、電源線の導体抵抗を下げることには限界があるという問題がある。これは、電源線を太くすると、制御ケーブル13全体の径が太くなり、現在一般に使用されているAISG規格に準拠したコネクタ(AISGコネクタ)への制御ケーブル13の接続が困難になるためである。
【0006】
制御装置12の供給電圧をV0、端末機器11の消費電力をPL、制御ケーブル13の単位長さ当たりの導体抵抗をR0とすると、制御ケーブル13の最大長Lmaxは、下式
max=V02/4PL2R0
で表される。例えば、導体抵抗R0が24Ω/km、端末機器11の消費電力PLが10W、制御装置12の供給電圧V0が24Vであれば、制御ケーブル13の最大長Lmaxは300mに制限されることになる。この場合、制御ケーブル13の長さが300mを超えると、端末機器11における電力が不足してしまう。
【0007】
また、AISG規格に準拠したアンテナ制御システム61では、複数の端末機器11をデイジーチェーン接続することが可能である。しかし、多くの端末機器11をデイジーチェーン接続したり、消費電力の多い端末機器11を用いた場合には、制御ケーブル13の長さが短い場合であっても、端末機器11にて電力が不足してしまうことも考えられる。
【0008】
このように、従来のAISG規格に準拠したアンテナ制御システム61では、制御ケーブル13の最大長が制限されてしまい、また、多くの端末機器11をデイジーチェーン接続したり消費電力の多い端末機器11を用いた場合に、端末機器11にて電力が不足してしまうという問題があった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、端末機器に十分な電力を供給でき、制御ケーブルの最大長を延長することが可能なアンテナ制御システム及びアンテナ制御システム拡張ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、無線基地局のアンテナの制御を行うデイジーチェーン接続可能な1台以上の端末機器と、前記端末機器に制御信号を送信し、前記端末機器を制御して前記アンテナの制御を行うと共に、前記端末機器に電源を供給する制御装置と、前記制御装置と前記端末機器、および前記端末機器同士を接続するために用いられ、前記制御信号を伝送するための制御信号線と、前記電源を供給するための電源線とを備えた制御ケーブルと、を備え、AISG規格に準拠して前記アンテナの制御を行うアンテナ制御システムにおいて、前記端末機器のデイジーチェーン接続用の出力コネクタに接続され、該出力コネクタを介して前記端末機器に電力を供給するアンテナ制御システム拡張ユニットを備えたアンテナ制御システムである。
【0011】
前記アンテナ制御システム拡張ユニットは、電源に接続された給電線と、前記端末機器の前記出力コネクタに一端が接続される拡張ユニット用制御ケーブルと、前記給電線と、前記拡張ユニット用制御ケーブルの他端とが接続され、前記給電線と前記拡張ユニット用制御ケーブルの電源線とを電気的に接続する接続用ボックスと、を備えていてもよい。
【0012】
前記給電線が給電用制御ケーブルからなり、前記接続用ボックスは、前記給電用制御ケーブルの電源線と、前記拡張ユニット用制御ケーブルの電源線とを電気的に接続するように構成されてもよい。
【0013】
また、本発明は、無線基地局のアンテナの制御を行うデイジーチェーン接続可能な1台以上の端末機器と、前記端末機器に制御信号を送信し、前記端末機器を制御して前記アンテナの制御を行うと共に、前記端末機器に電源を供給する制御装置と、前記制御装置と前記端末機器、および前記端末機器同士を接続するために用いられ、前記制御信号を伝送するための制御信号線と、前記電源を供給するための電源線とを備えた制御ケーブルと、を備え、AISG規格に準拠して前記アンテナの制御を行うアンテナ制御システムに用いるアンテナ制御システム拡張ユニットであって、前記端末機器のデイジーチェーン接続用の出力コネクタに接続され、該出力コネクタを介して前記端末機器に電力を供給するよう構成されたアンテナ制御システム拡張ユニットである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、端末機器に十分な電力を供給でき、制御ケーブルの最大長を延長することが可能なアンテナ制御システム及びアンテナ制御システム拡張ユニットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態に係るアンテナ制御システムの概略構成図である。
【図2】図1のアンテナ制御システムに用いる制御ケーブルの一例を示す横断面図である。
【図3】(a),(b)は、本発明の一変形例に係るアンテナ制御システムの概略構成図である。
【図4】本発明の一変形例に係るアンテナ制御システムの概略構成図である。
【図5】本発明の一変形例に係るアンテナ制御システムの概略構成図である。
【図6】従来のアンテナ制御システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0017】
図1は、本実施の形態に係るアンテナ制御システムの概略構成図である。
【0018】
図1に示すように、アンテナ制御システム1は、無線基地局のアンテナ(図示せず)の制御を行うRETユニットなどの端末機器(AISG端末機器)11と、端末機器に制御信号(RS−485規格信号)を送信し、端末機器11を制御してアンテナの制御を行うと共に、端末機器11に電源を供給する制御装置(AISG制御装置)12と、制御装置12と端末機器11、および端末機器11同士を接続するための制御ケーブル(AISG制御ケーブル)13と、を備えている。アンテナ制御システム1は、AISG規格に準拠してアンテナのチルト角等の制御を行うものである。
【0019】
図1では、3台の端末機器11をデイジーチェーン接続した場合を示しているが、端末機器11の台数はこれに限定するものではなく、1台以上であればよい。
【0020】
制御装置12には、各端末機器11に制御信号と電力を出力するための出力コネクタ(メスコネクタ)12aが設けられている。各端末機器11には、制御装置12からの制御信号と電力が入力される入力コネクタ(オスコネクタ)11aと、デイジーチェーン接続用の出力コネクタ(メスコネクタ)11bとが設けられている。また、制御ケーブル13の一端にはオスコネクタ13aが設けられ、制御ケーブル13の他端にはメスコネクタ13bが設けられている。これらコネクタ11a,11b,12a,13a,13bは、AISG規格に準拠した一般的なコネクタ(AISGコネクタ)であり、例えば、第一電子工業社製のAIC−M16R−8SCなどである。
【0021】
制御装置12の出力コネクタ12aには、制御ケーブル13のオスコネクタ13aが接続され、その制御ケーブル13のメスコネクタ13bが1段目(図示左側)の端末機器11の入力コネクタ11aに接続される。これにより、制御装置12と1段目の端末機器11とが制御ケーブル13を介して接続される。
【0022】
また、1段目の端末機器11の出力コネクタ11bには、制御ケーブル13のオスコネクタ13aが接続され、その制御ケーブル13のメスコネクタ13bが2段目(図示中央)の端末機器11の入力コネクタ11aに接続される。これにより、1段目の端末機器11と2段目の端末機器11とが制御ケーブル13を介して接続される。2段目の端末機器11と3段目(図示右側)の端末機器11についても同様である。最も制御装置12から離れた3段目の端末機器11の出力コネクタ11bは、何も接続されず開放された状態となっているのが通常である。
【0023】
制御ケーブル13は、図2に示すように、制御信号を伝送するための2本の制御信号線14と、電源を供給するための3本の電源線15とを備えている。2本の制御信号線14には、ドレインワイヤ16が縦添えされており、2本の制御信号線14とドレインワイヤ16の周囲には、これらを一括して取り囲むようにシールドテープ(金属テープ)17が設けられている。
【0024】
3本の電源線15は、異なる電圧が設定された2本の電源線15a,15cと、DCリターン用の電源線15bとからなる。ここでは、−48V線15aと27V線15cを備える場合を説明する。ただし、本実施の形態では、−48V線15aについては、予備的に備えるのみで実際には使用しないので、省略することも可能である。
【0025】
3本の電源線15は、介在18と共に2本の制御信号線14の周囲(シールドテープ17の周囲)に配置され、これらを一括して取り囲むように、シールドテープ19、編組シールド20、シース21が順次設けられている。
【0026】
なお、図2の制御ケーブル13は、あくまで一例として示したものであり、制御ケーブル13は、図2の構成に限定されるものではなく、少なくとも2本の制御信号線14と2本の電源線15とを備えるものであればよい。
【0027】
さて、アンテナ制御システム1は、端末機器11に供給する電力を増加させ、システムの拡張を行うためのアンテナ制御システム拡張ユニット2を備えている。
【0028】
アンテナ制御システム拡張ユニット2は、端末機器11のデイジーチェーン接続用の出力コネクタ11bに接続され、出力コネクタ11bを介して端末機器11のそれぞれに電力を供給するよう構成される。
【0029】
アンテナ制御システム拡張ユニット2を接続する端末機器11は特に限定されるものではなく、どの端末機器11にアンテナ制御システム拡張ユニット2を接続してもよい。本実施の形態では、1段目と2段目の端末機器11の出力コネクタ11bが使用されているため、開放されている3段目の端末機器11の出力コネクタ11bにアンテナ制御システム拡張ユニット2を接続する。
【0030】
出力コネクタ11bと入力コネクタ11aとは端末機器11の内部で電気的に接続されているので、アンテナ制御システム拡張ユニット2から供給された電力は、3段目の端末機器11のみならず、3段目の端末機器11を介して2段目と1段目の端末機器11にも供給されることになる。
【0031】
アンテナ制御システム拡張ユニット2は、具体的には、電源に接続された給電線3と、端末機器11の出力コネクタ11bに一端が接続される拡張ユニット用制御ケーブル4と、給電線3と拡張ユニット用制御ケーブル4の他端とが接続される接続用ボックス5と、を備えている。
【0032】
給電線3としては、2心の導体線心を有するものであれば、どのようなものを用いてもよい。ただし、給電線3としては、なるべく導体抵抗が小さいもの(導体の径が太いもの)を用いることが望ましい。本実施の形態では、給電線3に接続される電源として制御装置12を用いる場合を説明する。
【0033】
拡張ユニット用制御ケーブル4は、上述の制御ケーブル13と同じものであり、その一端にはオスコネクタ4aが設けられ、他端にはメスコネクタ4bが設けられている。
【0034】
接続用ボックス5は、ボックス本体5aと、拡張ユニット用制御ケーブル4が接続されるオスコネクタ5bと、給電線3が接続される給電線用コネクタ5cと、を備えている。なお、拡張ユニット用制御ケーブル4のコネクタ4a,4b、および接続ボックス5のオスコネクタ5bは、AISG規格に準拠した一般的なコネクタである。
【0035】
接続用ボックス5のボックス本体5aは、給電線3と拡張ユニット用制御ケーブル4の電源線とを電気的に接続するように構成されている。具体的には、ボックス本体5aは、給電線用コネクタ5cを介して給電線3の2心の導体線心とそれぞれ電気的に接続される内部配線5dを、拡張ユニット用制御ケーブル4が接続されるオスコネクタ5bのDCリターン、27Vのピン端子(7番、6番のピン端子)に電気的に接続することで、給電線3と拡張ユニット用制御ケーブル4の電源線とを電気的に接続するように構成されている。なお、括弧内に示したピン端子の番号は、AISG規格で規定されている番号である。
【0036】
拡張ユニット用制御ケーブル4のオスコネクタ4aを3段目の端末機器11の出力コネクタ11bに、拡張ユニット用制御ケーブル4のメスコネクタ4bを接続用ボックス5のオスコネクタ5bにそれぞれ接続し、電源(ここでは制御装置12)から延びる給電線3をボックス本体5aの給電線用コネクタ5cに接続することで、電源(制御装置12)と3段目の端末機器11の出力コネクタ11bとが、給電線3、接続用ボックス5、拡張ユニット用制御ケーブル4を介して、電気的に接続されることになる。
【0037】
接続用ボックス5を設ける位置は、なるべく端末機器11に近い位置であることが望ましい。換言すれば、拡張ユニット用制御ケーブル4の長さは、なるべく短いことが望ましい。これは、電源と端末機器11との間の抵抗(すなわちアンテナ制御システム拡張ユニット2全体での抵抗)をなるべく小さくして、端末機器11に供給可能な電力を大きくするためである。
【0038】
なお、本実施の形態では、給電線3と拡張ユニット用制御ケーブル4と接続用ボックス5とをそれぞれ別体としたが、給電線3と接続用ボックス5、あるいは接続用ボックス5と拡張ユニット用制御ケーブル4、あるいは給電線3と接続用ボックス5と拡張ユニット用制御ケーブル4とを一体に構成するようにしてもよい。
【0039】
本実施の形態の作用を説明する。
【0040】
本実施の形態に係るアンテナ制御システム1では、端末機器11のデイジーチェーン接続用の出力コネクタ11bに接続され、出力コネクタ11bを介して端末機器11のそれぞれに電力を供給するアンテナ制御システム拡張ユニット2を備えている。
【0041】
デイジーチェーン接続に対応した端末機器11では、出力コネクタ11bと入力コネクタ11aとが端末機器11の内部で電気的に接続されているので、アンテナ制御システム拡張ユニット2から供給された電力は、3段目の端末機器11はもちろん、3段目の端末機器11に接続されている2段目と1段目の端末機器11にも供給されることになり、アンテナ制御システム拡張ユニット2を介して全ての端末機器11に電力を供給することが可能になる。
【0042】
本実施の形態のように、電源として制御装置12を用いる場合には、例えば3段目の端末機器11から見ると、3本の制御ケーブル13とアンテナ制御システム拡張ユニット2とが並列接続されたような格好となり、制御装置12から3段目の端末機器11に至る電源供給用の線路全体で見ると、導体抵抗を減少させることが可能になる。1段目、2段目の端末機器11についても同様である。その結果、各端末機器11に十分な電力を供給することが可能となり、従来と比較して、制御ケーブル13の最大長(制御装置12と端末機器11間の距離)を延長することが可能になる。
【0043】
複数の端末機器11をデイジーチェーン接続する場合、制御装置12から離れた端末機器11ほど、制御ケーブル13での電圧降下によって供給できる電力が小さくなるが、本実施の形態では、アンテナ制御システム拡張ユニット2を介して、制御装置12から最も離れた終端に位置する端末機器11に電力供給できるため、最も条件が厳しい終端に位置する端末機器11に対して、確実に十分な電力を供給することが可能であり、効果は大きい。
【0044】
本発明は、AISG規格に準拠したアンテナ制御システムにおいて、何らかの理由で制御ケーブル13の距離(すなわち制御装置12と端末機器11間の距離)を長くしたいとき、あるいは、多くの端末機器11を接続したい場合や大電力の端末機器11を使用したい場合などに、好適に適用することができる。
【0045】
なお、本実施の形態では、給電線3に接続される電源として制御装置12を用いる場合を説明したが、これに限らず、図3(a)に示すように、給電線3に接続される電源として、制御装置12以外の商用電源から生成した独立した直流電源31を用いることも可能である。この場合、制御ケーブル13を介して端末機器11に送られる電力の不足分を直流電源31にて補うことができるので、図1の場合と同様に、端末機器11に十分な電力を供給し、制御ケーブル13の最大長を延長することが可能になる。
【0046】
さらには、図3(b)に示すように、接続用ボックス5と拡張ユニット用制御ケーブル4を省略し、給電線3に直接オスコネクタ32を設けて、そのオスコネクタ32を端末機器11の出力コネクタ11bに接続するよう構成することも可能である。この場合、AISG規格に準拠したオスコネクタ32を用いる必要があるため、給電線3の導体抵抗を小さくすること(導体の径を太くすること)には限界があるが、直流電源31と端末機器11の距離が近い場合には、給電線3を短くできるため、さほど問題とはならない。
【0047】
なお、接続用ボックス5と拡張ユニット用制御ケーブル4の両者を省略せずとも、拡張ユニット用制御ケーブル4のみを省略して、接続用ボックス5のオスコネクタ5bを端末機器11の出力コネクタ11bに直接接続することももちろん可能である。
【0048】
また、図4に示すアンテナ制御システム41のように、給電線3として給電用制御ケーブル42を用い、接続用ボックス5を、給電用制御ケーブル42の電源線と、拡張ユニット用制御ケーブル4の電源線とを電気的に接続するように構成してもよい。
【0049】
給電用制御ケーブル42は上述の制御ケーブル13と同じものであり、その一端にはオスコネクタ43が、他端にはメスコネクタ44が設けられている。制御装置12に出力コネクタ12aが複数設けてある場合には、給電用制御ケーブル42のオスコネクタ43を直接出力コネクタ12aに接続すればよい。制御装置12に出力コネクタ12aが1つしか設けられていない場合には、制御装置12の出力を分配器(AISG分配器)を用いて分配するよう構成すればよい。
【0050】
接続用ボックス5では、給電線用コネクタ5cに替えて、給電用制御ケーブル42のメスコネクタ44を接続するためのオスコネクタ5eが設けられる。接続用ボックス5のボックス本体5aは、両オスコネクタ5b,5e間で、DCリターン、27Vのピン端子(7番、6番のピン端子)同士のみを電気的に接続するように構成される。
【0051】
なお、アンテナ制御システム41において、接続用ボックス5を挿入している理由は、接続用ボックス5を挿入せず、制御装置12と端末機器11とを1本の制御ケーブルで接続した場合、制御信号がループしてしまうこととなり、問題があるためである。つまり、接続用ボックス5は、制御信号を遮断し、制御信号がループしないようにする役割を果たしている。
【0052】
このアンテナ制御システム41においても、図1のアンテナ制御システム1と同様に、端末機器11に十分な電力を供給し、制御ケーブル13の最大長を延長することが可能になる。
【0053】
なお、上記実施の形態では、一例として、複数の端末機器11をデイジーチェーン接続した場合を説明したが、端末機器11の接続形態はこれに限らず、図5に示すアンテナ制御システム51のように、分配器(AISG分配器)52により分配された各制御ケーブル13に、それぞれ端末機器11を接続する場合においても、本発明は適用可能である。図5では、1つの入力コネクタ(オスコネクタ)53と3つの出力コネクタ(メスコネクタ)54を有する3分配の分配器52を用い、各出力コネクタ54に接続した制御ケーブル13に端末機器11をそれぞれ接続した場合を示している。
【0054】
この場合、3つの端末機器11のいずれにおいても出力コネクタ11bが開放されるので、開放されている出力コネクタ11bのいずれかにアンテナ制御システム拡張ユニット2を接続すればよい。なお、本発明においては、分配器52も端末機器の一種という扱いであり、分配器52に未使用の出力コネクタ54があれば、その出力コネクタ54にアンテナ制御システム拡張ユニット2を接続することももちろん可能である。
【0055】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0056】
1 アンテナ制御システム
2 アンテナ制御システム拡張ユニット
3 給電線
4 拡張ユニット用制御ケーブル
5 接続用ボックス
11 端末機器
11a 入力コネクタ
11b 出力コネクタ
12 制御装置
12a 出力コネクタ
13 制御ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線基地局のアンテナの制御を行うデイジーチェーン接続可能な1台以上の端末機器と、
前記端末機器に制御信号を送信し、前記端末機器を制御して前記アンテナの制御を行うと共に、前記端末機器に電源を供給する制御装置と、
前記制御装置と前記端末機器、および前記端末機器同士を接続するために用いられ、前記制御信号を伝送するための制御信号線と、前記電源を供給するための電源線とを備えた制御ケーブルと、を備え、
AISG規格に準拠して前記アンテナの制御を行うアンテナ制御システムにおいて、
前記端末機器のデイジーチェーン接続用の出力コネクタに接続され、該出力コネクタを介して前記端末機器に電力を供給するアンテナ制御システム拡張ユニットを備えた
ことを特徴とするアンテナ制御システム。
【請求項2】
前記アンテナ制御システム拡張ユニットは、
電源に接続された給電線と、
前記端末機器の前記出力コネクタに一端が接続される拡張ユニット用制御ケーブルと、
前記給電線と、前記拡張ユニット用制御ケーブルの他端とが接続され、前記給電線と前記拡張ユニット用制御ケーブルの電源線とを電気的に接続する接続用ボックスと、を備えている
請求項1記載のアンテナ制御システム。
【請求項3】
前記給電線が給電用制御ケーブルからなり、
前記接続用ボックスは、前記給電用制御ケーブルの電源線と、前記拡張ユニット用制御ケーブルの電源線とを電気的に接続するように構成される
請求項2記載のアンテナ制御システム。
【請求項4】
無線基地局のアンテナの制御を行うデイジーチェーン接続可能な1台以上の端末機器と、
前記端末機器に制御信号を送信し、前記端末機器を制御して前記アンテナの制御を行うと共に、前記端末機器に電源を供給する制御装置と、
前記制御装置と前記端末機器、および前記端末機器同士を接続するために用いられ、前記制御信号を伝送するための制御信号線と、前記電源を供給するための電源線とを備えた制御ケーブルと、を備え、
AISG規格に準拠して前記アンテナの制御を行うアンテナ制御システムに用いるアンテナ制御システム拡張ユニットであって、
前記端末機器のデイジーチェーン接続用の出力コネクタに接続され、該出力コネクタを介して前記端末機器に電力を供給するよう構成された
ことを特徴とするアンテナ制御システム拡張ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−257054(P2012−257054A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128580(P2011−128580)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】