アンテナ装置
【課題】所望のナル点形成部から確定的に簡易な位相分布を設定できる励振分布設定方法を適用したアンテナ装置を得る。
【解決手段】一次元アレーアンテナは、各アンテナ素子が等間隔に配置され、各アンテナ素子のうち、中央部(A)のアンテナ素子は、位相が均一であり、両端部(B、C)のアンテナ素子は、同一の位相傾きを持つとともに、両端部のそれぞれの位相中心における位相が異なるように構成され、両端部のアンテナ素子の位相傾きは、所望の角度にて両端部のアンテナ素子による放射パターンの振幅レベルが所望値となるように設定され、両端部のアンテナ素子の位相中心の間隔は、所望の角度にて両端部のアンテナ素子から放射される電界のビーム幅が所望値となるように設定され、両端部のアンテナ素子の位相中心における位相差は、所望の角度にて両端部のアンテナ素子から放射される電界の位相が所望値となるように設定される。
【解決手段】一次元アレーアンテナは、各アンテナ素子が等間隔に配置され、各アンテナ素子のうち、中央部(A)のアンテナ素子は、位相が均一であり、両端部(B、C)のアンテナ素子は、同一の位相傾きを持つとともに、両端部のそれぞれの位相中心における位相が異なるように構成され、両端部のアンテナ素子の位相傾きは、所望の角度にて両端部のアンテナ素子による放射パターンの振幅レベルが所望値となるように設定され、両端部のアンテナ素子の位相中心の間隔は、所望の角度にて両端部のアンテナ素子から放射される電界のビーム幅が所望値となるように設定され、両端部のアンテナ素子の位相中心における位相差は、所望の角度にて両端部のアンテナ素子から放射される電界の位相が所望値となるように設定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の角度にナル点を形成するための励振分布設定方法を適用したアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アンテナ装置において、妨害波やクラッタが存在する場合には、これらの到来方向に対する受信感度を小さくするために、放射パターンの平常の形を変形して、妨害波方向にナル点を形成する必要がある。このようなアンテナ装置として、平面波合成法と非線形最適化法とを組み合わせることで、不要信号波の方向にナル点を形成する従来技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−019902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
従来のアンテナ装置においては、所望のナル点形成部から各素子の励振位相分布を確定的に求められないという問題があった。
【0005】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、所望のナル点形成部から確定的に簡易な位相分布を設定できる励振分布設定方法を適用したアンテナ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るアンテナ装置は、直線状に配列された一次元アレーアンテナを備えたアンテナ装置において、一次元アレーアンテナは、各アンテナ素子が等間隔に配置され、各アンテナ素子のうち、中央部のアンテナ素子は、位相が均一であり、両端部のアンテナ素子は、同一の位相傾きを持つとともに、両端部のそれぞれの位相中心における位相が異なるように構成され、両端部のアンテナ素子の位相傾きは、所望の角度にて両端部のアンテナ素子による放射パターンの振幅レベルが所望値となるように設定され、両端部のアンテナ素子の位相中心の間隔は、所望の角度にて両端部のアンテナ素子から放射される電界のビーム幅が所望値となるように設定され、両端部のアンテナ素子の位相中心における位相差は、所望の角度にて両端部のアンテナ素子から放射される電界の位相が所望値となるように設定され、中央部による放射パターンと、両端部による放射パターンとを、所望の角度にて互いに相殺させることで、所望の角度においてナル点を形成するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るアンテナ装置によれば、直線状に配列され、各アンテナ素子が等間隔に配置された一次元アレーアンテナを有し、中央部のアンテナ素子は、位相が均一であり、両端部のアンテナ素子は、同一の位相傾きを持つとともに、位相中心における位相が異なるように、アンテナ装置が構成され、両端部のアンテナ素子の位相傾き、位相中心の間隔、および位相中心における位相差を適切に設定することで、中央部による放射パターンと、両端部による放射パターンとを、所望の角度にて互いに相殺させて、ナル点を形成することにより、所望のナル点形成部から確定的に簡易な位相分布を設定できる励振分布設定方法を適用したアンテナ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1におけるアンテナ装置のアンテナ素子配列および各アンテナ素子の位相分布を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1におけるアンテナ装置の放射パターンを示す図である。
【図3A】本発明の実施の形態1のアンテナ装置において、B(C)部の位相傾きを変化させたときの放射パターンの変化を示す図である。
【図3B】本発明の実施の形態1のアンテナ装置において、B、C部の位相傾きを変化させたときの放射パターンの変化を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1のアンテナ装置において、B、C部の位相中心間隔を変化させたときの放射パターンの変化を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1のアンテナ装置において、B、C部の位相中心における位相差を変化させたときの放射パターンの変化を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1のアンテナ装置において、所望の角度にてナル点が形成されたことを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態2における二次元平面アレーアンテナ装置のアンテナ素子配列および各アンテナ素子の位相分布を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態4のアンテナ装置において、ビーム走査位相が付加されたときの位相分布、および放射パターンを示す図である。
【図9】本発明の実施の形態5におけるアンテナ装置の構成を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態5におけるアンテナ装置の位相分布の変化を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態5におけるアンテナ装置の放射パターンを示した図である。
【図12】本発明の実施の形態6におけるアンテナ装置の位相分布の変化を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態7におけるアンテナ装置の位相分布の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のアンテナ装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1におけるアンテナ装置のアンテナ素子配列および各アンテナ素子の位相分布を示す図であり、(a)がアンテナ素子配置、(b)が各素子の位相分布をそれぞれ示している。図1(a)に示すように、アンテナ素子は、X軸方向に一次元に等間隔に配置されている。そして、中央部に相当するA部のアンテナ素子は、位相が均一とし、両端部に相当するB、C部のアンテナ素子は、位相傾きを持つとする。
【0011】
なお、B、C部における位相傾き角度、およびX軸方向の幅は、等しいとする。さらに、ナル点形成角度に応じて、B、C部の位相傾き角度、B、C部の位相中心の間隔、およびB、C部の位相中心における位相差は、任意に設定できるとする。
【0012】
ここで、所望の角度においてナル点を形成する方法について説明する。図2は、本発明の実施の形態1におけるアンテナ装置の放射パターンを示す図である。図2(a)は、A部による放射パターンを示している。一方、図2(b)は、B部またはC部単体の放射パターン(以下、B(C)部による放射パターンと称す)、およびB部とC部の組合せによる放射パターン(以下、B、C部による放射パターンと称す)を示している。
【0013】
図2中の+、−の記号は、放射パターンの位相を示し、点線間の角度幅を所望のナル点形成角度とする。ここで、B部とC部は、同じ位相傾きを有しているため、B(C)部による放射パターンとB、C部による放射パターンとを比較すると、それぞれの放射パターンの包絡線は、レベルは異なるが同形状となる。
【0014】
さらに、各素子は、1波長以上隔てて配置されるため、グレーティングローブが発生し、図2(b)のような放射パターンを描く。ここで、ナル点を形成するためには、A部による放射パターンと、B部とC部による放射パターンとを、所望の角度にて互いに相殺させる必要がある。
【0015】
そこで、本発明のアンテナ装置では、以下の3つのパラメータを適切に設定することで、A部による放射パターンと、B部とC部による放射パターンとを、所望の角度にて互いに相殺させ、所望のナル点形成部から確定的に簡易な位相分布を設定できるアンテナ装置を実現している。
[パラメータ1]両端部であるB部、C部のアンテナ素子の位相傾き
[パラメータ2]両端部であるB部、C部のアンテナ素子の位相中心の間隔
[パラメータ3]両端部であるB部、C部のアンテナ素子の位相中心における位相差
以下に、各パラメータの役目について、個別に説明する。
【0016】
まず、パラメータ1について説明する。
図3Aは、本発明の実施の形態1のアンテナ装置において、B(C)部の位相傾きを変化させたときの放射パターンの変化を示す図である。また、図3Bは、本発明の実施の形態1のアンテナ装置において、B、C部の位相傾きを変化させたときの放射パターンの変化を示す図である。
【0017】
図3Aに示すように、B(C)部の位相傾きを変えることにより、B(C)部による放射パターンのビームはシフトする。そのため、B、C部による放射パターンもビームがシフトし、所望の角度にてB、C部による放射パターンの振幅レベルを制御することが可能となる。これにより、図3Bに示すように、所望の角度において、A部による放射パターンに対して、B部とC部による放射パターンの振幅レベルを等しくすることができる。
【0018】
次に、パラメータ2について説明する。
図4は、本発明の実施の形態1のアンテナ装置において、B、C部の位相中心間隔を変化させたときの放射パターンの変化を示す図である。図4に示すように、B、C部の位相中心の間隔を変えることにより、グレーティングローブの発生角度幅を変化させることが可能となる。そのため、所望の角度において、A部による放射パターンのビーム幅に対して、B、C部による放射パターンのビーム幅を等しくすることができる。
【0019】
次に、パラメータ3について説明する。
図5は、本発明の実施の形態1のアンテナ装置において、B、C部の位相中心における位相差を変化させたときの放射パターンの変化を示す図である。図5に示すように、B、C部の位相中心における位相差を変えることにより、B、C部による放射パターンのビームをシフトさせることが可能となる。そのため、B、C部による放射パターンの位相が制御でき、所望の角度において、A部による放射パターンのナル点位置に対して、B、C部による放射パターンのナル点位置を等しくすることができる。
【0020】
最後に、パラメータ1〜3の全てを適切に調整した場合について説明する。
図6は、本発明の実施の形態1のアンテナ装置において、所望の角度にてナル点が形成されたことを示す図である。図3A、図3B、図4、図5を用いて説明したパラメータ1〜3の作用により、図6に示すように、A部による放射パターンと、B、C部による放射パターンとを所望の角度にて相殺させることができ、ナル点を形成することができる。
【0021】
以上のように、実施の形態1によれば、直線状に配列され、各アンテナ素子が等間隔に配置された一次元アレーアンテナを有するアンテナ装置において、中央部のアンテナ素子は、位相が均一であり、両端部のアンテナ素子は、同一の位相傾きを持つとともに、位相中心における位相が異なるように構成されている。このような構成を備えたアンテナ装置において、両端部のアンテナ素子の位相傾き、位相中心の間隔、および位相中心における位相差を適切に設定することで、中央部による放射パターンと、両端部による放射パターンとを、所望の角度にて互いに相殺させて、ナル点を形成することができる。この結果、所望のナル点形成部から確定的に簡易な位相分布を設定できるアンテナ装置を実現できる。
【0022】
実施の形態2.
先の実施の形態1では、一次元に配列したアンテナ素子により構成された、一次元のアンテナ装置について説明した。これに対して、本実施の形態2では、先の実施の形態1における一次元のアンテナ装置を、二次元平面アレーアンテナに応用した場合について説明する。図7は、本発明の実施の形態2における二次元平面アレーアンテナ装置のアンテナ素子配列および各アンテナ素子の位相分布を示す図であり、(a)がアンテナ素子配置、(b)が各素子の位相分布をそれぞれ示している。
【0023】
X軸方向は、先の実施の形態1と同様の位相分布とし、X軸と直交するY軸方向は、均一な位相分布としている。これにより、XZ面の所望の角度にて、ナル点を形成することができる。
【0024】
以上のように、実施の形態2によれば、先の実施の形態1の一次元アレーアンテナを一方の軸方向に有するとともに、一次元アレーアンテナに直交する他方の軸方向では均一な位相分布を有するようにアンテナ素子を配列することで、二次元平面アレーアンテナを形成している。このような構成を備えることで、二次元平面のアンテナ装置においても、先の実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0025】
実施の形態3.
本実施の形態3では、先の実施の形態1、2のアンテナ装置において、ナル点形成部を任意角度に変化させる場合について説明する。B、C部の位相傾き角度、B、C部の位相中心の間隔、さらにB、C部の位相中心における位相差を可変とすることで、ナル点形成部を任意角度に変化させることができる。すなわち、先の実施の形態1で説明したパラメータ1〜3を可変制御する制御部を備えたアンテナ装置とすることで、ナル点形成部を任意角度に変化させることが可能となる。
【0026】
以上のように、実施の形態3によれば、先の実施の形態1、2のアンテナ装置において、両端部のアンテナ素子の位相傾き、位相中心の間隔、および位相中心における位相差を適切に可変制御することで、ナル点形成部を任意角度に動的に変化させることが可能となる。
【0027】
実施の形態4.
本実施の形態4では、ビーム走査位相を付加する場合のアンテナ装置について説明する。
図8は、本発明の実施の形態4のアンテナ装置において、ビーム走査位相が付加されたときの位相分布、および放射パターンを示す図である。図8(a)は、先の実施の形態1〜3のアンテナ装置における位相分布に、ビーム走査位相を付加した場合の位相分布例である。この図8(a)に示すように、所望の角度幅にてナル点を形成することで、ビーム走査時においても、特定の固定角度にてナル点を保持することができる。
【0028】
図8(b)に示した放射パターンを参照すると、ビームが約15度走査されているにもかかわらず、固定角度(図8(b)中の点線部の角度)にてナル点が保持されていることが分かる。
【0029】
以上のように、実施の形態4によれば、先の実施の形態1〜3で示したアンテナ装置において、その位相分布に対してビーム走査位相を与えることでビーム走査をした場合にも、特定の固定角度にてナル点を保持することが可能となる。
【0030】
実施の形態5.
従来のアンテナ装置においては、ナル点形成位相分布を量子化した場合、量子化誤差により、ナル点レベルが劣化するという問題があった。そこで、本実施の形態5では、先の実施の形態2〜4の二次元平面アレーを有するアンテナ装置おいて、位相の量子化時によるナル点レベルの劣化を防ぐ方法について説明する。
【0031】
図9は、本発明の実施の形態5におけるアンテナ装置の構成を示す図である。送受信機10から電波が送信される場合を考えると、分配器/合成器20における分配器で分配された電波の位相に、付加位相発生部30から発生された乱数位相を付加して、移相器制御部40によりデジタル移相器(量子化移相器)50で量子化された電波が、アンテナ60から放射される構成となっている。
【0032】
この構成において、付加位相発生部30により付加位相を付加することで、位相の量子化時によるナル点レベルの劣化を防ぐことを可能としている。本実施の形態5では、付加位相として、付加位相発生部30により乱数位相を発生させる場合について、以下に説明する。
【0033】
図10は、本発明の実施の形態5におけるアンテナ装置の位相分布の変化を示す図である。図10(a)は、乱数位相を付加しない場合の位相分布の変化を示している。図10(a)に示すように、乱数位相を付加しない場合には、Y軸方向に均一な位相が量子化されることで、全素子が同一位相に量子化される。
【0034】
これに対して、図10(b)は、乱数位相を付加した場合の位相分布の変化を示している。図10(b)に示すように、全素子に最小量子化単位内乱数位相を付加した場合には、Y軸方向において位相が均等に分散される。このため、量子化によりY軸方向の位相平均値と初期位相がほぼ等しくなる。なお、図10(c)は、全素子に付加される最小量子化単位内乱数位相の確率密度分布を示したものである。
【0035】
ここで、Y軸方向の素子数が多ければ多いほど、その効果が得られる。図11は、本発明の実施の形態5におけるアンテナ装置の放射パターンを示した図である。図11(a)は、初期位相における放射パターン、図11(b)は、初期位相を量子化した場合の放射パターン、そして図11(c)は、乱数位相を付加して量子化した放射パターンをそれぞれ示している。
【0036】
図11(b)に示すように、初期位相を量子化した場合の放射パターンでは、15度付近でナル点レベルが劣化し、−40dB以上となっている。しかしながら、図11(c)に示すように、乱数位相を付加して量子化した放射パターンでは、図11(a)の初期位相による放射パターンが再現されていることがわかる。
【0037】
以上のように、実施の形態5によれば、付加位相として乱数位相を発生する付加位相発生部を備え、乱数位相を付加した後に量子化する構成としている。このような構成を備えることで、二次元平面アレーを有するアンテナ装置おいて、位相の量子化時によるナル点レベルの劣化を防ぐことができる。
【0038】
実施の形態6.
本実施の形態6では、付加位相として、付加位相発生部30によりガウス分布位相を発生させる場合について説明する。
図12は、本発明の実施の形態6におけるアンテナ装置の位相分布の変化を示す図である。この場合にも、付加位相として乱数位相を用いた先の実施の形態5と同様の効果が得られる。
【0039】
以上のように、実施の形態6によれば、付加位相としてガウス分布位相を発生する付加位相発生部を備え、ガウス分布位相を付加した後に量子化する構成としている。このような構成を備えることで、先の実施の形態5と同様に、二次元平面アレーを有するアンテナ装置おいて、位相の量子化時によるナル点レベルの劣化を防ぐことができる。
【0040】
実施の形態7.
本実施の形態7では、付加位相として、付加位相発生部30により正弦波位相を発生させる場合について説明する。
図13は、本発明の実施の形態7におけるアンテナ装置の位相分布の変化を示す図である。この場合にも、付加位相として乱数位相を用いた先の実施の形態5、あるいは、付加位相としてガウス分布位相を用いた先の実施の形態6と同様の効果が得られる。
【0041】
以上のように、実施の形態7によれば、付加位相として正弦波位相を発生する付加位相発生部を備え、正弦波位相を付加した後に量子化する構成としている。このような構成を備えることで、先の実施の形態5、6と同様に、二次元平面アレーを有するアンテナ装置おいて、位相の量子化時によるナル点レベルの劣化を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0042】
30 付加位相発生部
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の角度にナル点を形成するための励振分布設定方法を適用したアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アンテナ装置において、妨害波やクラッタが存在する場合には、これらの到来方向に対する受信感度を小さくするために、放射パターンの平常の形を変形して、妨害波方向にナル点を形成する必要がある。このようなアンテナ装置として、平面波合成法と非線形最適化法とを組み合わせることで、不要信号波の方向にナル点を形成する従来技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−019902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
従来のアンテナ装置においては、所望のナル点形成部から各素子の励振位相分布を確定的に求められないという問題があった。
【0005】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、所望のナル点形成部から確定的に簡易な位相分布を設定できる励振分布設定方法を適用したアンテナ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るアンテナ装置は、直線状に配列された一次元アレーアンテナを備えたアンテナ装置において、一次元アレーアンテナは、各アンテナ素子が等間隔に配置され、各アンテナ素子のうち、中央部のアンテナ素子は、位相が均一であり、両端部のアンテナ素子は、同一の位相傾きを持つとともに、両端部のそれぞれの位相中心における位相が異なるように構成され、両端部のアンテナ素子の位相傾きは、所望の角度にて両端部のアンテナ素子による放射パターンの振幅レベルが所望値となるように設定され、両端部のアンテナ素子の位相中心の間隔は、所望の角度にて両端部のアンテナ素子から放射される電界のビーム幅が所望値となるように設定され、両端部のアンテナ素子の位相中心における位相差は、所望の角度にて両端部のアンテナ素子から放射される電界の位相が所望値となるように設定され、中央部による放射パターンと、両端部による放射パターンとを、所望の角度にて互いに相殺させることで、所望の角度においてナル点を形成するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るアンテナ装置によれば、直線状に配列され、各アンテナ素子が等間隔に配置された一次元アレーアンテナを有し、中央部のアンテナ素子は、位相が均一であり、両端部のアンテナ素子は、同一の位相傾きを持つとともに、位相中心における位相が異なるように、アンテナ装置が構成され、両端部のアンテナ素子の位相傾き、位相中心の間隔、および位相中心における位相差を適切に設定することで、中央部による放射パターンと、両端部による放射パターンとを、所望の角度にて互いに相殺させて、ナル点を形成することにより、所望のナル点形成部から確定的に簡易な位相分布を設定できる励振分布設定方法を適用したアンテナ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1におけるアンテナ装置のアンテナ素子配列および各アンテナ素子の位相分布を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1におけるアンテナ装置の放射パターンを示す図である。
【図3A】本発明の実施の形態1のアンテナ装置において、B(C)部の位相傾きを変化させたときの放射パターンの変化を示す図である。
【図3B】本発明の実施の形態1のアンテナ装置において、B、C部の位相傾きを変化させたときの放射パターンの変化を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1のアンテナ装置において、B、C部の位相中心間隔を変化させたときの放射パターンの変化を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1のアンテナ装置において、B、C部の位相中心における位相差を変化させたときの放射パターンの変化を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1のアンテナ装置において、所望の角度にてナル点が形成されたことを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態2における二次元平面アレーアンテナ装置のアンテナ素子配列および各アンテナ素子の位相分布を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態4のアンテナ装置において、ビーム走査位相が付加されたときの位相分布、および放射パターンを示す図である。
【図9】本発明の実施の形態5におけるアンテナ装置の構成を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態5におけるアンテナ装置の位相分布の変化を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態5におけるアンテナ装置の放射パターンを示した図である。
【図12】本発明の実施の形態6におけるアンテナ装置の位相分布の変化を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態7におけるアンテナ装置の位相分布の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のアンテナ装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1におけるアンテナ装置のアンテナ素子配列および各アンテナ素子の位相分布を示す図であり、(a)がアンテナ素子配置、(b)が各素子の位相分布をそれぞれ示している。図1(a)に示すように、アンテナ素子は、X軸方向に一次元に等間隔に配置されている。そして、中央部に相当するA部のアンテナ素子は、位相が均一とし、両端部に相当するB、C部のアンテナ素子は、位相傾きを持つとする。
【0011】
なお、B、C部における位相傾き角度、およびX軸方向の幅は、等しいとする。さらに、ナル点形成角度に応じて、B、C部の位相傾き角度、B、C部の位相中心の間隔、およびB、C部の位相中心における位相差は、任意に設定できるとする。
【0012】
ここで、所望の角度においてナル点を形成する方法について説明する。図2は、本発明の実施の形態1におけるアンテナ装置の放射パターンを示す図である。図2(a)は、A部による放射パターンを示している。一方、図2(b)は、B部またはC部単体の放射パターン(以下、B(C)部による放射パターンと称す)、およびB部とC部の組合せによる放射パターン(以下、B、C部による放射パターンと称す)を示している。
【0013】
図2中の+、−の記号は、放射パターンの位相を示し、点線間の角度幅を所望のナル点形成角度とする。ここで、B部とC部は、同じ位相傾きを有しているため、B(C)部による放射パターンとB、C部による放射パターンとを比較すると、それぞれの放射パターンの包絡線は、レベルは異なるが同形状となる。
【0014】
さらに、各素子は、1波長以上隔てて配置されるため、グレーティングローブが発生し、図2(b)のような放射パターンを描く。ここで、ナル点を形成するためには、A部による放射パターンと、B部とC部による放射パターンとを、所望の角度にて互いに相殺させる必要がある。
【0015】
そこで、本発明のアンテナ装置では、以下の3つのパラメータを適切に設定することで、A部による放射パターンと、B部とC部による放射パターンとを、所望の角度にて互いに相殺させ、所望のナル点形成部から確定的に簡易な位相分布を設定できるアンテナ装置を実現している。
[パラメータ1]両端部であるB部、C部のアンテナ素子の位相傾き
[パラメータ2]両端部であるB部、C部のアンテナ素子の位相中心の間隔
[パラメータ3]両端部であるB部、C部のアンテナ素子の位相中心における位相差
以下に、各パラメータの役目について、個別に説明する。
【0016】
まず、パラメータ1について説明する。
図3Aは、本発明の実施の形態1のアンテナ装置において、B(C)部の位相傾きを変化させたときの放射パターンの変化を示す図である。また、図3Bは、本発明の実施の形態1のアンテナ装置において、B、C部の位相傾きを変化させたときの放射パターンの変化を示す図である。
【0017】
図3Aに示すように、B(C)部の位相傾きを変えることにより、B(C)部による放射パターンのビームはシフトする。そのため、B、C部による放射パターンもビームがシフトし、所望の角度にてB、C部による放射パターンの振幅レベルを制御することが可能となる。これにより、図3Bに示すように、所望の角度において、A部による放射パターンに対して、B部とC部による放射パターンの振幅レベルを等しくすることができる。
【0018】
次に、パラメータ2について説明する。
図4は、本発明の実施の形態1のアンテナ装置において、B、C部の位相中心間隔を変化させたときの放射パターンの変化を示す図である。図4に示すように、B、C部の位相中心の間隔を変えることにより、グレーティングローブの発生角度幅を変化させることが可能となる。そのため、所望の角度において、A部による放射パターンのビーム幅に対して、B、C部による放射パターンのビーム幅を等しくすることができる。
【0019】
次に、パラメータ3について説明する。
図5は、本発明の実施の形態1のアンテナ装置において、B、C部の位相中心における位相差を変化させたときの放射パターンの変化を示す図である。図5に示すように、B、C部の位相中心における位相差を変えることにより、B、C部による放射パターンのビームをシフトさせることが可能となる。そのため、B、C部による放射パターンの位相が制御でき、所望の角度において、A部による放射パターンのナル点位置に対して、B、C部による放射パターンのナル点位置を等しくすることができる。
【0020】
最後に、パラメータ1〜3の全てを適切に調整した場合について説明する。
図6は、本発明の実施の形態1のアンテナ装置において、所望の角度にてナル点が形成されたことを示す図である。図3A、図3B、図4、図5を用いて説明したパラメータ1〜3の作用により、図6に示すように、A部による放射パターンと、B、C部による放射パターンとを所望の角度にて相殺させることができ、ナル点を形成することができる。
【0021】
以上のように、実施の形態1によれば、直線状に配列され、各アンテナ素子が等間隔に配置された一次元アレーアンテナを有するアンテナ装置において、中央部のアンテナ素子は、位相が均一であり、両端部のアンテナ素子は、同一の位相傾きを持つとともに、位相中心における位相が異なるように構成されている。このような構成を備えたアンテナ装置において、両端部のアンテナ素子の位相傾き、位相中心の間隔、および位相中心における位相差を適切に設定することで、中央部による放射パターンと、両端部による放射パターンとを、所望の角度にて互いに相殺させて、ナル点を形成することができる。この結果、所望のナル点形成部から確定的に簡易な位相分布を設定できるアンテナ装置を実現できる。
【0022】
実施の形態2.
先の実施の形態1では、一次元に配列したアンテナ素子により構成された、一次元のアンテナ装置について説明した。これに対して、本実施の形態2では、先の実施の形態1における一次元のアンテナ装置を、二次元平面アレーアンテナに応用した場合について説明する。図7は、本発明の実施の形態2における二次元平面アレーアンテナ装置のアンテナ素子配列および各アンテナ素子の位相分布を示す図であり、(a)がアンテナ素子配置、(b)が各素子の位相分布をそれぞれ示している。
【0023】
X軸方向は、先の実施の形態1と同様の位相分布とし、X軸と直交するY軸方向は、均一な位相分布としている。これにより、XZ面の所望の角度にて、ナル点を形成することができる。
【0024】
以上のように、実施の形態2によれば、先の実施の形態1の一次元アレーアンテナを一方の軸方向に有するとともに、一次元アレーアンテナに直交する他方の軸方向では均一な位相分布を有するようにアンテナ素子を配列することで、二次元平面アレーアンテナを形成している。このような構成を備えることで、二次元平面のアンテナ装置においても、先の実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0025】
実施の形態3.
本実施の形態3では、先の実施の形態1、2のアンテナ装置において、ナル点形成部を任意角度に変化させる場合について説明する。B、C部の位相傾き角度、B、C部の位相中心の間隔、さらにB、C部の位相中心における位相差を可変とすることで、ナル点形成部を任意角度に変化させることができる。すなわち、先の実施の形態1で説明したパラメータ1〜3を可変制御する制御部を備えたアンテナ装置とすることで、ナル点形成部を任意角度に変化させることが可能となる。
【0026】
以上のように、実施の形態3によれば、先の実施の形態1、2のアンテナ装置において、両端部のアンテナ素子の位相傾き、位相中心の間隔、および位相中心における位相差を適切に可変制御することで、ナル点形成部を任意角度に動的に変化させることが可能となる。
【0027】
実施の形態4.
本実施の形態4では、ビーム走査位相を付加する場合のアンテナ装置について説明する。
図8は、本発明の実施の形態4のアンテナ装置において、ビーム走査位相が付加されたときの位相分布、および放射パターンを示す図である。図8(a)は、先の実施の形態1〜3のアンテナ装置における位相分布に、ビーム走査位相を付加した場合の位相分布例である。この図8(a)に示すように、所望の角度幅にてナル点を形成することで、ビーム走査時においても、特定の固定角度にてナル点を保持することができる。
【0028】
図8(b)に示した放射パターンを参照すると、ビームが約15度走査されているにもかかわらず、固定角度(図8(b)中の点線部の角度)にてナル点が保持されていることが分かる。
【0029】
以上のように、実施の形態4によれば、先の実施の形態1〜3で示したアンテナ装置において、その位相分布に対してビーム走査位相を与えることでビーム走査をした場合にも、特定の固定角度にてナル点を保持することが可能となる。
【0030】
実施の形態5.
従来のアンテナ装置においては、ナル点形成位相分布を量子化した場合、量子化誤差により、ナル点レベルが劣化するという問題があった。そこで、本実施の形態5では、先の実施の形態2〜4の二次元平面アレーを有するアンテナ装置おいて、位相の量子化時によるナル点レベルの劣化を防ぐ方法について説明する。
【0031】
図9は、本発明の実施の形態5におけるアンテナ装置の構成を示す図である。送受信機10から電波が送信される場合を考えると、分配器/合成器20における分配器で分配された電波の位相に、付加位相発生部30から発生された乱数位相を付加して、移相器制御部40によりデジタル移相器(量子化移相器)50で量子化された電波が、アンテナ60から放射される構成となっている。
【0032】
この構成において、付加位相発生部30により付加位相を付加することで、位相の量子化時によるナル点レベルの劣化を防ぐことを可能としている。本実施の形態5では、付加位相として、付加位相発生部30により乱数位相を発生させる場合について、以下に説明する。
【0033】
図10は、本発明の実施の形態5におけるアンテナ装置の位相分布の変化を示す図である。図10(a)は、乱数位相を付加しない場合の位相分布の変化を示している。図10(a)に示すように、乱数位相を付加しない場合には、Y軸方向に均一な位相が量子化されることで、全素子が同一位相に量子化される。
【0034】
これに対して、図10(b)は、乱数位相を付加した場合の位相分布の変化を示している。図10(b)に示すように、全素子に最小量子化単位内乱数位相を付加した場合には、Y軸方向において位相が均等に分散される。このため、量子化によりY軸方向の位相平均値と初期位相がほぼ等しくなる。なお、図10(c)は、全素子に付加される最小量子化単位内乱数位相の確率密度分布を示したものである。
【0035】
ここで、Y軸方向の素子数が多ければ多いほど、その効果が得られる。図11は、本発明の実施の形態5におけるアンテナ装置の放射パターンを示した図である。図11(a)は、初期位相における放射パターン、図11(b)は、初期位相を量子化した場合の放射パターン、そして図11(c)は、乱数位相を付加して量子化した放射パターンをそれぞれ示している。
【0036】
図11(b)に示すように、初期位相を量子化した場合の放射パターンでは、15度付近でナル点レベルが劣化し、−40dB以上となっている。しかしながら、図11(c)に示すように、乱数位相を付加して量子化した放射パターンでは、図11(a)の初期位相による放射パターンが再現されていることがわかる。
【0037】
以上のように、実施の形態5によれば、付加位相として乱数位相を発生する付加位相発生部を備え、乱数位相を付加した後に量子化する構成としている。このような構成を備えることで、二次元平面アレーを有するアンテナ装置おいて、位相の量子化時によるナル点レベルの劣化を防ぐことができる。
【0038】
実施の形態6.
本実施の形態6では、付加位相として、付加位相発生部30によりガウス分布位相を発生させる場合について説明する。
図12は、本発明の実施の形態6におけるアンテナ装置の位相分布の変化を示す図である。この場合にも、付加位相として乱数位相を用いた先の実施の形態5と同様の効果が得られる。
【0039】
以上のように、実施の形態6によれば、付加位相としてガウス分布位相を発生する付加位相発生部を備え、ガウス分布位相を付加した後に量子化する構成としている。このような構成を備えることで、先の実施の形態5と同様に、二次元平面アレーを有するアンテナ装置おいて、位相の量子化時によるナル点レベルの劣化を防ぐことができる。
【0040】
実施の形態7.
本実施の形態7では、付加位相として、付加位相発生部30により正弦波位相を発生させる場合について説明する。
図13は、本発明の実施の形態7におけるアンテナ装置の位相分布の変化を示す図である。この場合にも、付加位相として乱数位相を用いた先の実施の形態5、あるいは、付加位相としてガウス分布位相を用いた先の実施の形態6と同様の効果が得られる。
【0041】
以上のように、実施の形態7によれば、付加位相として正弦波位相を発生する付加位相発生部を備え、正弦波位相を付加した後に量子化する構成としている。このような構成を備えることで、先の実施の形態5、6と同様に、二次元平面アレーを有するアンテナ装置おいて、位相の量子化時によるナル点レベルの劣化を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0042】
30 付加位相発生部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状に配列された一次元アレーアンテナを備えたアンテナ装置において、
前記一次元アレーアンテナは、各アンテナ素子が等間隔に配置され、前記各アンテナ素子のうち、中央部のアンテナ素子は、位相が均一であり、両端部のアンテナ素子は、同一の位相傾きを持つとともに、前記両端部のそれぞれの位相中心における位相が異なるように構成され、
前記両端部のアンテナ素子の位相傾きは、所望の角度にて前記両端部のアンテナ素子による放射パターンの振幅レベルが所望値となるように設定され、
前記両端部のアンテナ素子の位相中心の間隔は、前記所望の角度にて前記両端部のアンテナ素子から放射される電界のビーム幅が所望値となるように設定され、
前記両端部のアンテナ素子の位相中心における位相差は、前記所望の角度にて前記両端部のアンテナ素子から放射される電界の位相が所望値となるように設定され、
中央部による放射パターンと、両端部による放射パターンとを、前記所望の角度にて互いに相殺させることで、前記所望の角度においてナル点を形成する
ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアンテナ装置において、
前記両端部のアンテナ素子の位相傾き、前記両端部のアンテナ素子の位相中心の間隔、および前記両端部のアンテナ素子の位相中心における位相差を可変制御する制御部をさらに備える
ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のアンテナ装置において、
位相分布にビーム走査位相を与えることでビーム走査を行う
ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のアンテナ装置において、
前記一次元アレーアンテナを一方の軸方向に有するとともに、前記一次元アレーアンテナに直交する他方の軸方向では均一な位相分布を有するようにアンテナ素子を配列することで二次元平面アレーアンテナが形成されている
ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のアンテナ装置において、
各アンテナ素子に設けられた量子化移相器に最小量子化単位内の乱数位相を付加する付加位相発生部をさらに備える
ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項6】
請求項4に記載のアンテナ装置において、
各アンテナ素子に設けられた量子化移相器に最小量子化単位内のガウス分布を有する位相を付加する付加位相発生部をさらに備える
ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項7】
請求項4に記載のアンテナ装置において、
各アンテナ素子に設けられた量子化移相器に最小量子化単位内の正弦波位相を付加する付加位相発生部をさらに備える
ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項1】
直線状に配列された一次元アレーアンテナを備えたアンテナ装置において、
前記一次元アレーアンテナは、各アンテナ素子が等間隔に配置され、前記各アンテナ素子のうち、中央部のアンテナ素子は、位相が均一であり、両端部のアンテナ素子は、同一の位相傾きを持つとともに、前記両端部のそれぞれの位相中心における位相が異なるように構成され、
前記両端部のアンテナ素子の位相傾きは、所望の角度にて前記両端部のアンテナ素子による放射パターンの振幅レベルが所望値となるように設定され、
前記両端部のアンテナ素子の位相中心の間隔は、前記所望の角度にて前記両端部のアンテナ素子から放射される電界のビーム幅が所望値となるように設定され、
前記両端部のアンテナ素子の位相中心における位相差は、前記所望の角度にて前記両端部のアンテナ素子から放射される電界の位相が所望値となるように設定され、
中央部による放射パターンと、両端部による放射パターンとを、前記所望の角度にて互いに相殺させることで、前記所望の角度においてナル点を形成する
ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアンテナ装置において、
前記両端部のアンテナ素子の位相傾き、前記両端部のアンテナ素子の位相中心の間隔、および前記両端部のアンテナ素子の位相中心における位相差を可変制御する制御部をさらに備える
ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のアンテナ装置において、
位相分布にビーム走査位相を与えることでビーム走査を行う
ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のアンテナ装置において、
前記一次元アレーアンテナを一方の軸方向に有するとともに、前記一次元アレーアンテナに直交する他方の軸方向では均一な位相分布を有するようにアンテナ素子を配列することで二次元平面アレーアンテナが形成されている
ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のアンテナ装置において、
各アンテナ素子に設けられた量子化移相器に最小量子化単位内の乱数位相を付加する付加位相発生部をさらに備える
ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項6】
請求項4に記載のアンテナ装置において、
各アンテナ素子に設けられた量子化移相器に最小量子化単位内のガウス分布を有する位相を付加する付加位相発生部をさらに備える
ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項7】
請求項4に記載のアンテナ装置において、
各アンテナ素子に設けられた量子化移相器に最小量子化単位内の正弦波位相を付加する付加位相発生部をさらに備える
ことを特徴とするアンテナ装置。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−49962(P2011−49962A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198222(P2009−198222)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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