アンテナ装置
【課題】アンテナ本体の落雷対策を施し、小型化を図り、良好な水平偏波無指向性を得ることが可能なアンテナ装置を提供する。
【解決手段】アンテナ装置1は、導電性を有し、第1の接続部と、第1の接続部の反対側に設けられた第2の接続部とを含むアンテナ本体100と、第1の接続部に機械的に接続された避雷針7と、導電性を有し、第2の接続部に機械的に接続され、アンテナ本体100が鉛直方向に延伸するように支持するための支持部材4,8,9と、避雷針7に機械的かつ電気的に接続された第1端と、支持部材4,8,9に機械的かつ電気的に接続された第2端とを有し、互いに対向して設けられた少なくとも1対の避雷導線LT1,LT3とを備える。
【解決手段】アンテナ装置1は、導電性を有し、第1の接続部と、第1の接続部の反対側に設けられた第2の接続部とを含むアンテナ本体100と、第1の接続部に機械的に接続された避雷針7と、導電性を有し、第2の接続部に機械的に接続され、アンテナ本体100が鉛直方向に延伸するように支持するための支持部材4,8,9と、避雷針7に機械的かつ電気的に接続された第1端と、支持部材4,8,9に機械的かつ電気的に接続された第2端とを有し、互いに対向して設けられた少なくとも1対の避雷導線LT1,LT3とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置に関し、特に、避雷針を備えるアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アンテナ本体を雷の被害から防護するための避雷構造を備えたアンテナ装置が提案されている。たとえば特開2005−175637号公報(特許文献1)には、アンテナ本体を避雷針の保護範囲に配置させる避雷構造が開示されている。
【0003】
また、特開平10−98328号公報(特許文献2)には、筒状の放射素子と、その放射素子の内部に挿入されたリング状の絶縁スペーサと、そのリング状の絶縁スペーサの穴に挿入された支柱と、その支柱の先端に取り付けられた避雷針とを含む無指向性アンテナが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−175637号公報
【特許文献2】特開平10−98328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
避雷構造を備えた従来のアンテナ装置としては、円筒スロット形状のアンテナ素子において、その中央部分に避雷針が配置されているもの、クロスダイポールアンテナの中央部分に避雷針を配置したもの、およびスーパーターンスタイルアンテナ等がある。
【0006】
しかしながら、これらのアンテナ装置では、アンテナ装置の先端に取り付けられている避雷針に落雷すると、アンテナの中央部分に設けられた避雷針に接続される避雷導線に大電流が流れて磁界が発生し、避雷導線の外側に配置されているアンテナ素子および給電回路に誘導電流が流れて損傷等が生じる場合がある。また、給電線に発生した誘導電流が送信機等に流れ込んでしまう場合がある。さらに、誘導雷の影響も受けやすくなってしまう。
【0007】
また、円筒スロットアンテナでは、水平面における指向性のリップルが大きくなるため、水平偏波の良好な無指向性を得ることが困難である。
【0008】
また、クロスダイポールアンテナおよびスーパーターンスタイルアンテナでは、良好な無指向性を得ることが可能であるが、アンテナ装置全体の径が極端に太くなってしまい、小型化を図ることが困難である。
【0009】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、アンテナ本体の落雷対策を施し、小型化を図り、良好な水平偏波無指向性を得ることが可能なアンテナ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わるアンテナ装置は、導電性を有し、第1の接続部と、上記第1の接続部の反対側に設けられた第2の接続部とを含むアンテナ本体と、上記第1の接続部に機械的に接続された避雷針と、導電性を有し、上記第2の接続部に機械的に接続され、上記アンテナ本体が鉛直方向に延伸するように支持するための支持部材と、上記避雷針に機械的かつ電気的に接続された第1端と、上記支持部材に機械的かつ電気的に接続された第2端とを有し、互いに対向して設けられた少なくとも1対の避雷導線とを備える。
【0011】
好ましくは、上記アンテナ装置は、水平偏波の送信用または受信用であり、上記1対の避雷導線は、上記アンテナ本体の延伸方向に沿って延伸している。
【0012】
好ましくは、上記1対の避雷導線は、上記アンテナ本体を挟むように対向して設けられている。
【0013】
好ましくは、上記アンテナ本体は、上記避雷針と電気的に絶縁されている。
好ましくは、上記アンテナ装置は、上記避雷導線を複数対備える。
【0014】
好ましくは、上記アンテナ本体は、第1の長辺導体、第2の長辺導体、第1の短辺導体および第2の短辺導体を有し、略矩形状に周回している第1のループアンテナ素子と、第3の長辺導体、第4の長辺導体、上記第1の短辺導体と交差している第3の短辺導体および上記第2の短辺導体と交差している第4の短辺導体を有し、略矩形状に周回している第2のループアンテナ素子と、上記第1の長辺導体の延伸方向における中心から上記第1の短辺導体への方向に離れた位置において上記第1の長辺導体に接続された第1端と、上記第1端の反対側かつ上記第1の長辺導体および上記第2の長辺導体の間に位置する第2端とを有する第1の給電線路と、上記第2の長辺導体の延伸方向における中心から上記第1の短辺導体への方向に離れた位置において上記第2の長辺導体に接続された第1端と、上記第1端の反対側かつ上記第1の長辺導体および上記第2の長辺導体の間に位置する第2端とを有する第2の給電線路と、上記第3の長辺導体の延伸方向における中心から上記第3の短辺導体への方向に離れた位置において上記第3の長辺導体に接続された第1端と、上記第1端の反対側かつ上記第3の長辺導体および上記第4の長辺導体の間に位置する第2端とを有する第3の給電線路と、上記第4の長辺導体の延伸方向における中心から上記第3の短辺導体への方向に離れた位置において上記第4の長辺導体に接続された第1端と、上記第1端の反対側かつ上記第3の長辺導体および上記第4の長辺導体の間に位置する第2端とを有する第4の給電線路とを含み、上記第1の長辺導体ないし上記第4の長辺導体は上記アンテナ本体の共振波長の略1/2の長さを有し、上記第1の短辺導体ないし上記第4の短辺導体は上記アンテナ本体の共振波長の略1/6の長さを有し、上記第1の接続部は、上記第1の短辺導体および上記第3の短辺導体の第1の交差部に対応し、上記第2の接続部は、上記第2の短辺導体および上記第4の短辺導体の第2の交差部に対応する。
【0015】
より好ましくは、上記1対の避雷導線は、上記第1の交差部および上記第2の交差部を挟むように対向して設けられ、上記アンテナ本体の延伸方向に沿って延伸している。
【0016】
好ましくは、上記アンテナ装置は、さらに、上記アンテナ本体を収納し、上記避雷針および上記支持部材に機械的に接続された収納部材を備え、上記1対の避雷導線は、上記収納部材の内側、または外側表面上を上記アンテナ本体の延伸方向に沿って延伸している。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、アンテナ本体の落雷対策を施し、小型化を図り、良好な水平偏波無指向性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るアンテナ装置1の外観図である。
【図2】図1に示したアンテナ装置1の内部構造斜視図である。
【図3】図1に示したアンテナ装置1の内部構造断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るアンテナ装置1の上部の内部構造を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るアンテナ装置1の下部の内部構造を示す図である。
【図6】避雷導線を固定する構造を示す図である。
【図7】図3に示したアンテナユニット101の斜視図である。
【図8】図7に示したアンテナユニット101を図7のA3方向から見た図である。
【図9】図7に示したアンテナユニット101を図7のA1方向から見た図である。
【図10】図7に示したアンテナユニット101を図7のA2方向から見た図である。
【図11】避雷導線を通して流れる電流によって生じる磁界を示す図である。
【図12】避雷導線を通して流れる電流によって生じる磁界および力を示す図である。
【図13】本実施の形態に係るアンテナ装置の利得特性を示す図である。
【図14】本実施の形態に係るアンテナ装置のVSWR特性を示す図である。
【図15】本実施の形態に係るアンテナ装置の水平面指向性を示す図である。
【図16】本実施の形態に係るアンテナ装置の水平面指向性を示す図である。
【図17】本実施の形態に係るアンテナ装置が避雷導線を備えない場合の水平面指向性を示す図である。
【図18】本実施の形態に係るアンテナ装置が避雷導線を備えない場合の水平面指向性を示す図である。
【図19】本発明の第2の実施の形態に係るアンテナ装置71の外観図である。
【図20】本発明の第2の実施の形態に係るアンテナ装置71の水平方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0020】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナ装置1の外観図である。図2は、図1に示したアンテナ装置1の内部構造斜視図である。図3は、図1に示したアンテナ装置1の内部構造断面図である。図1〜図3を参照して、アンテナ装置1は、アンテナ本体100を収納した筒状のレドーム2と、導電体により形成され、レドーム2の2つの開口端の一方および他方にそれぞれ取り付けられた先端キャップ3および下部金具4と、アンテナ装置1を所定の場所に取り付けるための取付金具5,6と、避雷針7と、導電体により形成された支柱8と、導電体により形成された固定金具9とを備える。
【0021】
アンテナ装置1は、たとえば電柱の先端、鉄塔の先端、高層建築物の屋上等に取り付けられる。このためにアンテナ装置1は、取付金具5,6を備える。
【0022】
本明細書では「電気的かつ機械的に接続される」とは、2つの導電体が導通しかつ機械的に固定された状態を意味する。このための接続方法としては、たとえば金属製のネジによって、2つの導電体を機械的に接触させるとともにこれら2つの導電体を固定する方法がある。
【0023】
避雷針7は先端キャップ3に取り付けられる。すなわち、避雷針7は先端キャップ3に電気的かつ機械的に接続される。アンテナ本体100は、支柱15を介して先端キャップ3に取り付けられる。また、アンテナ本体100は、支柱8に取り付けられる。すなわち、アンテナ本体100は、支柱15を介して先端キャップ3に機械的に接続された第1の接続部と、この第1の接続部の反対側に設けられ、支柱8に機械的に接続された第2の接続部とを有する。これにより、アンテナ本体100は、先端キャップ3を介して避雷針7に機械的に接続される。
【0024】
支柱8は、固定金具9に取り付けられる。さらに固定金具9は下部金具4に取り付けられる。
【0025】
支柱8、固定金具9および下部金具4は、アンテナ本体100に接続された避雷針7が鉛直方向に沿う方向に延びるようにアンテナ本体100を支持するための支持部材を構成する。
【0026】
アンテナ本体が避雷針からある程度の距離を隔てて設けられる場合には、アンテナ本体および避雷針を個別に支持する必要が生じる。この場合には、アンテナ本体および避雷針の各々を支持するための支持部材が必要となるのでアンテナ装置の部品点数が増加する。さらに、アンテナ本体と避雷針とが離れているために、アンテナ装置の全体のサイズが大きくなる。
【0027】
一方、本実施の形態によれば、アンテナ本体100が避雷針7および支持部材に機械的に接続されるため、アンテナ本体100と避雷針7と支持部材とが一体化される。したがってアンテナ本体と避雷針とを個別に支持しなくてもよいので、アンテナ装置の部品点数の増加を抑制できる。さらに、本実施の形態によればアンテナ本体100と避雷針7とが一体化されているので、避雷構造を有するアンテナ装置の小型化を図ることができる。
【0028】
アンテナ装置1は、さらに、避雷導線LT1〜LT4を備える。避雷導線LT1〜LT4は、先端キャップ3および下部金具4に取り付けられる。すなわち、避雷導線LT1〜LT4は、先端キャップ3を介して避雷針7に機械的かつ電気的に接続された第1端と、下部金具4に機械的かつ電気的に接続された第2端とをそれぞれ有し、互いに対向して設けられている。
【0029】
なお、図1〜図3には示していないが、避雷導線LT1〜LT4とは別の避雷導線が下部金具4に接続される。この避雷導線は大地(アース)に電気的に接続される。
【0030】
アンテナ本体100は、アンテナユニット101および102と、連結部材103とを備える。後に詳細に説明するように、アンテナユニット101,102の各々は、2つのループアンテナ素子により構成された無指向性アンテナである。連結部材103は、導電体により形成される。アンテナユニット101および102は連結部材103に電気的かつ機械的に接続される。なお、本実施の形態では、アンテナ本体100は送信アンテナとして適用されるものとするが、受信アンテナとして適用されてもよい。
【0031】
アンテナ装置1は、さらに、同軸ケーブルCBL1〜CBL7と、合成器51,52,53と、取付部材61,62,63と、コネクタCNCとを備える。
【0032】
同軸ケーブルCBL1およびCBL2はアンテナユニット101の2つのループアンテナ素子にそれぞれ接続される。合成器51は、同軸ケーブルCBL1およびCBL2を通してそれぞれ伝達される電気信号を合成する。同軸ケーブルCBL4およびCBL5はアンテナユニット102の2つのアンテナ素子にそれぞれ接続される。合成器52は、同軸ケーブルCBL4およびCBL5を通してそれぞれ伝達される電気信号を合成する。
【0033】
同軸ケーブルCBL3は合成器51の出力を合成器53に伝達する。同軸ケーブルCBL6は合成器52の出力を合成器53に伝達する。同軸ケーブルCBL3,CBL6の電気長は略同一となるように調整されている。合成器53は、同軸ケーブルCBL3およびCBL6を通してそれぞれ伝達される電気信号を合成する。同軸ケーブルCBL7は、下部金具4に設けられたコネクタCNCに合成器53の出力を伝達する。
【0034】
合成器51,52,53は、取付部材61,62,63に取り付けられる。取付部材61には連結部材103を通すための貫通孔が形成される。この貫通孔に連結部材103を通すことによって取付部材61が連結部材103に固定される。同様に取付部材62,63の各々には貫通孔が形成され、貫通孔に支柱8が通されることにより取付部材62,63が支柱8に固定される。また、取付部材61,62,63は樹脂材によって形成されているため、合成器51,52,53とは電気的に絶縁されている。なお、アンテナ装置1が取付部材63を備えず、合成器53が取付部材62において合成器52の反対側に取り付けられる構成であってもよい。
【0035】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナ装置1の上部の内部構造を示す図である。図4を参照して、避雷導線LT1〜LT4は、金属製のネジによって先端キャップ3と電気的に接続され、かつ先端キャップ3に固定されている。
【0036】
支柱15は、固定金具16に取り付けられる。先端キャップ3と固定金具16との間に樹脂材等の絶縁部材91が設けられている。これにより、アンテナ本体100と先端キャップ3とが電気的に絶縁される。
【0037】
図5は、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナ装置1の下部の内部構造を示す図である。図5を参照して、避雷導線LT1〜LT4は、金属製のネジによって下部金具4と電気的に接続され、かつ下部金具4に固定されている。
【0038】
また、下部金具4と固定金具9との間に樹脂材等の絶縁部材92が設けられている。これにより、固定金具9と下部金具4が電気的に絶縁される。
【0039】
すなわち、絶縁部材91および絶縁部材92により、アンテナ本体100と避雷針7とが電気的に絶縁され、アンテナ本体100と避雷導線LT1〜LT4とが電気的に絶縁される。
【0040】
図6は、避雷導線を固定する構造を示す図である。図6を参照して、アンテナ装置1は、さらに、避雷導線LT1〜LT4を支持する複数のリブRBを備える。リブRBは絶縁物で形成される。リブRBには貫通孔が設けられており、リブRBは、支柱8および連結部材103にたとえばL字金具等によって固定されている。避雷導線LT1〜LT4は、リブRBの貫通孔を通って延伸している。
【0041】
次にアンテナユニット101の構成について詳しく説明する。なおアンテナユニット102の構成は以下に説明する構成と同様であるので、アンテナユニット102の構成に関する詳細な説明は繰り返さない。
【0042】
図7は、図3に示したアンテナユニット101の斜視図である。図7を参照して、アンテナユニット101は、ループアンテナ素子11,12と、給電線路LN31,LN32,LN41,LN42と、固定金具21,22とを備える。
【0043】
ループアンテナ素子11は、長辺導体LP31、長辺導体LP32、短辺導体SP31および短辺導体SP32を有し、略矩形状に周回している。
【0044】
ループアンテナ素子12は、長辺導体LP41、長辺導体LP42、短辺導体SP31と交差する短辺導体SP41、および短辺導体SP32と交差する短辺導体SP42を有し、略矩形状に周回している。
【0045】
ループアンテナ素子11の各導体およびループアンテナ素子12の各導体、ならびに給電線路LN31,LN32,LN41,LN42は、たとえば導体板すなわち平板状の導体である。
【0046】
固定金具21(第1の接続部)は、導電体により形成され、短辺導体SP41に電気的かつ機械的に接続される。同様に、固定金具22(第2の接続部)は、導電体により形成され、短辺導体SP42に電気的かつ機械的に接続される。固定金具21は、先端キャップ3をアンテナユニット101に機械的に接続するためのものである。固定金具22は、連結部材103をアンテナユニ
ット101に電気的かつ機械的に接続するためのものである。
【0047】
なお、アンテナユニット102においては、固定金具21は、連結部材103をアンテナユニット102に電気的かつ機械的に接続するためのものであり、固定金具22は、支柱8をアンテナユニット102に電気的かつ機械的に接続するためのものである。
【0048】
図3および図7から分かるように、アンテナユニット(101,102)は、連結可能に構成される。すなわち、本実施の形態では、アンテナ本体100は、多段(具体的には2段)のアンテナユニットによって構成される。ただし、アンテナユニットの段数を3以上としてもよいし、1としてもよい。なお、アンテナユニットの段数が1の場合には、先端キャップ3がアンテナユニットの固定金具21に機械的に接続されるとともに支柱8がアンテナユニットの固定金具22に電気的かつ機械的に接続される。
【0049】
軸Zは、アンテナユニット101の中心軸である。アンテナユニット101は、軸Zが鉛直方向に沿って延びるように、支持部材(支柱8、固定金具9および下部金具4)により設置される。この状態では、短辺導体SP31およびSP41はアンテナユニット101の上側に位置し、短辺導体SP32およびSP42はアンテナユニット101の下側に位置する。これによりアンテナユニット101,102の各々の偏波面は水平面となる。
【0050】
図7に示したA1方向およびA2方向は、軸Zに沿った方向であり、かつ互いに逆の方向である。詳細にはA1方向はアンテナユニット101の上部から下部に向かう方向であり、A2方向はアンテナユニット101の下部から上部に向かう方向である。さらにA3方向は、軸Zに直交する方向である。図7のA4方向は、軸Zに直交し、かつ方向A3と直交する方向である。
【0051】
図8は、図7に示したアンテナユニット101を図7のA3方向から見た図である。図9は、図7に示したアンテナユニット101を図7のA1方向から見た図である。図10は、図7に示したアンテナユニット101を図7のA2方向から見た図である。また、図9および図10では、避雷導線LT1〜LT4も示しており、避雷導線LT1〜LT4がレドーム2の内側にあることも示している。
【0052】
図7〜図10を参照して、短辺導体SP31および短辺導体SP41は略直角に交差し、かつ短辺導体SP32および短辺導体SP42が略直角に交差する。
【0053】
以下、長辺導体LP31、長辺導体LP32、長辺導体LP41および長辺導体LP42の延伸方向、すなわちZ軸に平行な方向を「アンテナユニット101の垂直方向」とも称する。また、Z軸に対して垂直な方向(たとえばA3方向およびその逆方向、ならびにA4方向およびその逆方向)を「アンテナユニット101の水平方向」とも称する。また、図7に示したアンテナユニット101の設置状態におけるA1方向を「垂直下方向」とも称し、その反対方向、すなわちA2方向を「垂直上方向」とも称する。
【0054】
給電線路LN31は、長辺導体LP31に接続された第1端と、その第1端の反対側かつ長辺導体LP31および長辺導体LP32の間に位置する第2端とを有する。上記給電線路LN31の第1端は、長辺導体LP31の延伸方向(アンテナユニット101の垂直方向)における中心からその延伸方向たとえば垂直下方向に離れた所定の位置において長辺導体LP31に接続される。
【0055】
給電線路LN32は、長辺導体LP32に接続された第1端と、その第1端の反対側かつ長辺導体LP31および長辺導体LP32の間に位置する第2端とを有する。上記給電線路LN32の第1端は、長辺導体LP32の延伸方向(アンテナユニット101の垂直方向)における中心からその延伸方向たとえば垂直下方向に離れた所定の位置において長辺導体LP32に接続される。
【0056】
給電線路LN41は、長辺導体LP41に接続された第1端と、その第1端の反対側かつ長辺導体LP41および長辺導体LP42の間に位置する第2端とを有する。上記給電線路LN41の第1端は、長辺導体LP41の延伸方向(アンテナユニット101の垂直方向)における中心からその延伸方向たとえば垂直下方向に離れた所定の位置において長辺導体LP41に接続される。
【0057】
給電線路LN42は、長辺導体LP42に接続された第1端と、その第1端の反対側かつ長辺導体LP41および長辺導体LP42の間に位置する第2端とを有する。上記給電線路LN42の第1端は、長辺導体LP42の延伸方向(アンテナユニット101の垂直方向)における中心からその延伸方向たとえば垂直下方向に離れた位置において長辺導体LP42に接続される。
【0058】
長辺導体LP31、長辺導体LP32は、軸Zに沿って延伸し、かつ略平行となるように対向して配置される。長辺導体LP41、長辺導体LP42は、軸Zに沿って延伸し、かつ略平行となるように対向して配置される。長辺導体LP31,LP32,LP41,LP42のZ軸方向の長さは略同じである。
【0059】
短辺導体SP31は、長辺導体LP31の一方端とその一方端に対向する長辺導体LP32の一方端とを接続する。短辺導体SP32は長辺導体LP31の他方端とその他方端に対向する長辺導体LP32の他方端とを接続する。短辺導体SP41は、長辺導体LP41の一方端とその一方端に対向する長辺導体LP42の一方端とを接続する。短辺導体SP42は長辺導体LP41の他方端とその他方端に対向する長辺導体LP42の他方端とを接続する。
【0060】
短辺導体SP31,SP32はA4方向に延伸するよう配置される。一方、短辺導体SP41,SP42はA3方向に延伸するよう配置される。短辺導体SP31,SP32の各々のA4方向の長さ、および、短辺導体SP41,SP42の各々のA3方向の長さは略同じである。
【0061】
短辺導体SP31および短辺導体SP32は、ループアンテナ素子11で囲まれた空間の体積を減じる方向に屈曲している。短辺導体SP41および短辺導体SP42は、ループアンテナ素子12で囲まれた空間の体積を減じる方向に屈曲している。言い換えれば、短辺導体SP31および短辺導体SP32の各々は、ループアンテナ素子11で囲まれた空間の方向に凹んだ凹み部を有している。短辺導体SP41および短辺導体SP42の各々は、ループアンテナ素子12で囲まれた空間の方向に凹んだ凹み部を有している。
【0062】
短辺導体SP31およびSP41は、両者の交差部に対応する位置、すなわち短辺導体SP31およびSP41の略中央においてネジ41により固定される。固定金具21は、短辺導体SP41の中央部、すなわち短辺導体SP31およびSP41の交差部に対応する位置に設置される。
【0063】
図10に示すように、短辺導体SP32およびSP42は、両者の交差部に対応する位置、すなわち短辺導体SP32およびSP42の略中央においてネジ42により固定される。固定金具22は、短辺導体SP42の中央部、すなわち短辺導体SP32およびSP42の交差部に対応する位置に設置される。また、短辺導体SP31と短辺導体SP41の交差部には絶縁物が挟まれている。同様に、短辺導体SP32と短辺導体SP42の交差部には絶縁物が挟まれている。ただし、これらの絶縁物をなくすことも可能である。
【0064】
給電線路LN31およびLN32は、たとえば、短辺導体SP32の下端から同じ高さにおいて長辺導体LP31および長辺導体LP32とそれぞれ接続されている。給電線路LN41,LN42は、たとえば、短辺導体SP32の下端から略同じ高さかつ給電線路
LN31およびLN32と比べて低い位置において長辺導体LP41および長辺導体LP42とそれぞれ接続されている。
【0065】
また、給電線路LN31,LN32,LN41,LN42は、アンテナユニット101の水平方向すなわち長辺導体LP31,LP32,LP41,LP42と略垂直な方向に延伸している。給電線路LN31は長辺導体LP31から長辺導体LP32への方向に延伸し、給電線路LN32は長辺導体LP32から長辺導体LP31への方向に延伸し、給電線路LN41は長辺導体LP41から長辺導体LP42への方向に延伸し、給電線路LN42は長辺導体LP42から長辺導体LP41への方向に延伸している。
【0066】
また、給電線路LN31,LN32,LN41,LN42の各々の第2端は他の給電線路の第2端と接触しないように、長辺導体LP31および長辺導体LP32間の中心付近かつ長辺導体LP41および長辺導体LP42間の中心付近に設けられている。
【0067】
なお、給電線路LN31,LN32,LN41,LN42は導体板であるとしたが、給電線路LN31,LN32を1枚のプリント基板状に形成することも可能である。この場合、給電線路LN31の第2端と給電線路LN32の第2端は、プリント基板状で絶縁される。同様に、給電線路LN41,LN42を1枚のプリント基板状に形成することが可能である。この場合、給電線路LN41の第2端と給電線路LN42の第2端は、プリント基板状で絶縁される。
【0068】
図7に戻り、ループアンテナ素子11および12は「ヘンテナ」と称されるループアンテナである。すなわち、長辺導体LP31、長辺導体LP32、長辺導体LP41および長辺導体LP42は、Z軸方向に、アンテナユニット101の共振波長λ(すなわちアンテナユニット101が送信または受信すべき波長)の略1/2の長さを有する。短辺導体SP31、短辺導体SP32は、A4方向に、上記波長λの略1/6の長さを有する。短辺導体SP41、短辺導体SP42は、A3方向に、上記波長λの略1/6の長さを有する。
【0069】
同軸ケーブルCBL1は、給電線路LN31の第2端における給電点FD1に接続された内部導体CI1と、給電線路LN32の第2端における給電点FD2に接続された外部導体CO1とを有する。
【0070】
同軸ケーブルCBL2は、給電線路LN41の第2端における給電点FD3に接続された内部導体CI2と、給電線路LN42の第2端における給電点FD4に接続された外部導体CO2とを有する。同軸ケーブルCBL1,CBL2の電気長は互いにλ/4異なるように調整されている。
【0071】
なお、図示しないが、給電点FD1およびFD2には、たとえばバランがインピーダン
スマッチングのために接続される。さらに、給電点FD3およびFD4には、たとえばバランがインピーダンスマッチングのために接続される。これらのバランはたとえばUバランである。ただし図が複雑になるのを回避するため、図7ではバランを示していない。
【0072】
図9および図10を参照して、アンテナ装置1の水平面において、避雷導線LT1と避雷導線LT3とを結ぶ線と、避雷導線LT2と避雷導線LT4とを結ぶ線とは略直交する。また、避雷導線LT1〜LT4は、短辺導体SP31およびSP41の交差部および短辺導体SP32およびSP42の交差部を中心とする略同一円周上に配置されている。
【0073】
アンテナ装置1が電波を送信または受信する際、アンテナユニット101のループアンテナ素子を通して流れる電流およびアンテナユニット102のループアンテナ素子を通して流れる電流によってそれぞれ磁界が生じ、これらの磁界に直交する方向に電界が生じる、すなわち、図9および図10の矢印で示すような回転方向を有する電界が生じる。
【0074】
そして、アンテナ装置1では、避雷導線LT1〜LT4はこの電界と直交する方向に延伸していることから、避雷導線LT1〜LT4がアンテナ装置1の特性に影響を及ぼすことを防ぐことができる。
【0075】
図11は、避雷導線を通して流れる電流によって生じる磁界を示す図である。図11および後述する図12では、避雷導線LT1,LT3を代表的に示している。図11を参照して、落雷によって避雷導線LT1〜LT4を通して電流Iが流れると、アンペールの右ねじの法則に従い、磁界MFが生じる。
【0076】
ここで、避雷導線LT1およびLT3は、アンテナ本体100を挟んで互いに対向して延伸している。また、図示しない避雷導線LT2およびLT4は、アンテナ本体100を挟んで互いに対向して延伸している。このような構成により、避雷導線LT1およびLT3の各々によって生じる磁界MFはアンテナ本体100の位置において互いに打ち消し合い、また、避雷導線LT2およびLT4の各々によって生じる磁界MFはアンテナ本体100の位置において互いに打ち消し合うことから、これらの磁界がアンテナ装置1の特性に及ぼす影響を低減することができ、良好な特性を得ることができる。また、アンテナ本体100が2対の避雷導線を備える構成により、磁界の打ち消し合う領域が1対の避雷導線を備える構成と比べて広がることにより、磁界がアンテナ装置1の特性に及ぼす影響をさらに低減することができる。
【0077】
さらに、前述のようにアンテナ本体100と避雷導線LT1〜LT4とは電気的に絶縁されていることから、誘導電流がアンテナ本体100に流れてアンテナ本体100が破損することを防ぐことができる。
【0078】
図12は、避雷導線を通して流れる電流によって生じる磁界および力を示す図である。図12を参照して、落雷によって避雷導線LT1〜LT4を通して電流Iが流れると、前述のように磁界が打ち消し合う。そうすると、フレミングの左手の法則に従い、磁界の弱まった領域への方向、すなわち対向する避雷導線へ向かう力Fが生じる。
【0079】
この力Fが避雷導線に作用することにより、避雷導線が歪む可能性がある。しかしながら、図6において説明したように、避雷導線LT1〜LT4は、リブRBの貫通孔を通って延伸している。このような構成により、避雷導線LT1〜LT4の歪みを防止することができる。
【0080】
次に、上記のように構成されたアンテナ装置の性能を具体的に説明する。なお、以下に説明するアンテナ装置の性能は、日本におけるUHFテレビ放送の周波数帯(470〜770MHz)の電波が送受信可能なようにアンテナ装置1を構成することによって得られたものである。具体的には、アンテナ装置1が上記UHF帯、特に日本における地上デジタル放送の周波数帯(470〜710MHz)のうちのL帯域(470MHz〜584MHz)の電波の送受信に好適なアンテナ装置となるよう、アンテナ装置1(アンテナユニット101,102)における各部位の長さ、幅、および距離のパラメータを設計した。
【0081】
また、以下では、アンテナ装置1の性能として利得、VSWRおよび指向性パターンを
示す。利得を示す数値が高いほどアンテナの性能が優れている。また、VSWRを示す数値が低いほどアンテナの特性が優れている。さらに、本実施の形態に係るアンテナ装置は水平偏波無指向性アンテナであるので、指向性パターンは円形に近いほど好ましい。
【0082】
図13は、本実施の形態に係るアンテナ装置の利得特性を示す図である。図13において、グラフG1はアンテナ装置1の特性を示し、グラフG2は避雷導線LT1〜LT4を備えない場合のアンテナ装置1の特性を示す。
【0083】
図13を参照して、上述した470〜584MHzでの周波数帯では、アンテナ装置1の利得は、約+1.0dB〜約+2.0dBであり、避雷導線を備えない構成と同等の良好な特性が実現されている。
【0084】
図14は、本実施の形態に係るアンテナ装置のVSWR特性を示す図である。図14において、グラフG1はアンテナ装置1の特性を示し、グラフG2は避雷導線LT1〜LT4を備えない場合のアンテナ装置1の特性を示す。図14を参照して、上述した470〜584MHzでの周波数帯では、アンテナ装置のVSWRはほぼ1.0〜1.5の範囲内である。一般的には実用的な観点からはVSWRは1.5以下であることが好ましいとされている。したがって、アンテナ装置1では、470〜584MHzでの周波数帯において、避雷導線を備えない構成と同等の良好なVSWR特性が実現されている。
【0085】
図15および図16は、本実施の形態に係るアンテナ装置の水平面指向性を示す図である。図17および図18は、本実施の形態に係るアンテナ装置が避雷導線を備えない場合の水平面指向性を示す図である。
【0086】
図15〜図18を参照して、アンテナ装置1では、避雷導線を備えない構成と同様に、470MHz〜584MHzの範囲の各周波数において良好な無指向性すなわち略楕円状または略円状の無指向性が実現される。このことから、470MHz〜584MHzの周波数帯において、安定した水平面の無指向性が実現されていることが分かる。
【0087】
図1に示すようにアンテナ本体100は、レドーム2に収納される。レドーム2は筒状である。アンテナ装置1の小型化の観点からは、レドーム2の径、すなわちアンテナ本体の水平方向の長さが短いほど好ましい。
【0088】
レドーム2の径を小さくすることが可能な構造を有するアンテナとしては、たとえば円筒の一部にスロットが形成されたスロットアンテナ、2巻き先端開放ループアンテナなどが考えられる。しかしながらこれらのアンテナの場合、水平面指向性が良好な無指向性になりにくい。一方、良好な無指向性(水平面無指向性)を得るためのアンテナとしては、たとえばアルホードアンテナ、クローバーリーフアンテナ、クロスダイポールアンテナなどが知られている。ただし、これらのアンテナの場合、水平方向の長さが大きくなるとい
う課題が生じる。
【0089】
本発明の第1の実施の形態に係るアンテナ装置では、2つのループアンテナ素子の各々がヘンテナであるので、長辺導体LP31、長辺導体LP32、長辺導体LP41および長辺導体LP42が、アンテナユニット101の共振波長の略1/2の長さを有するとともに、短辺導体SP31、短辺導体SP32、短辺導体SP41および短辺導体SP42は、アンテナユニット101の共振波長の略1/6の長さを有する。つまり短辺導体は長辺導体よりも短い。
【0090】
そして、短辺導体の延伸方向が略水平方向となるように(長辺導体の延伸方向が略鉛直方向となるように)アンテナユニットが支持される。このように、ループアンテナ素子11および12をそれぞれヘンテナとし、かつ、そのヘンテナの短辺の延伸方向が略水平方向となるようにヘンテナを配置することによって水平方向の長さを小さくすることができる。さらに、2つのヘンテナは、各々の短辺導体が互いに直交するように配置される。これにより、アンテナユニットは、特性として、水平偏波無指向性を有する。
【0091】
なお、本実施の形態では、固定金具21,22が、Z軸方向(第1の方向)に沿って配置された第1および第2の接続部にそれぞれ対応する。ただし、固定金具21,22を設けずに、ループアンテナ素子11,12の2つの交差部の一方に避雷針7が直接的に接続され、他方の交差部に支柱8(または連結部材103)が接続されても良い。この場合の2つの交差部は、第1および第2の接続部にそれぞれ対応する。
【0092】
また、本実施の形態では、ループアンテナ素子に含まれる短辺導体が屈曲しているが、短辺導体を屈曲させることは必須ではなく、真っ直ぐな導電板を短辺導体として用いてもよい。
【0093】
本発明の第1の実施の形態に係るアンテナ装置では、避雷導線LT1〜LT4により、避雷針7に落ちた雷を大地に逃がすことが可能となる。より詳細には、アンテナ装置1では、ループアンテナ素子の間の4箇所に対称に避雷導線LT1〜LT4を設ける。これにより、アンテナ装置1の先端に取り付けられた避雷針7から流れてくる直撃雷電流をアンテナ本体100の外部へ4分配して流す。
【0094】
ここで、避雷針または避雷導線の断面積は、JIS規格 A4201によると、材質がアルミニウムの場合には50mm2確保する必要があるが、上記のように避雷導線を4本設ける構成により、各避雷導線は最低12.5mm2の太さすなわち4mmの径を有するアルミニウム棒とすることが可能となる。
【0095】
このように、避雷導線を細くすることが可能であるため、避雷導線を設けることによるアンテナ装置の指向特性への影響を極力小さくすることができる。また、避雷導線をアンテナ装置の中央部に配置する必要がなくなる。
【0096】
アンテナ装置1では、前述のように避雷導線LT1〜LT4を配置することにより、放射電界に影響を与えること無く、避雷導線に発生する磁界が打ち消し合うようにしてアンテナおよび給電回路への影響を押えつつ、雷電流を接地側に流すことが可能となる。
【0097】
また、アンテナ装置1は、比較的外径を細くして小型にすることができる。また、水平偏波指向性も比較的リップルの小さい綺麗な指向性にすることができる。
【0098】
したがって、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナ装置では、アンテナ本体の落雷対策を施し、小型化を図り、良好な水平偏波無指向性を得ることができる。
【0099】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0100】
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係るアンテナ装置と比べて避雷導線の配置を変更したアンテナ装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係るアンテナ装置と同様である。
【0101】
図19は、本発明の第2の実施の形態に係るアンテナ装置71の外観図である。図20は、本発明の第2の実施の形態に係るアンテナ装置71の水平方向の断面図である。図19および図20を参照して、アンテナ装置71は、レドーム2の代わりにレドーム72を備える。アンテナ装置71では、避雷導線LT1〜LT4は、レドーム72の内側ではなくレドーム72の外側表面上をアンテナ本体100の延伸方向に沿って延伸している。より詳細には、避雷導線LT1〜LT4は、レドーム72の内側における先端キャップ3からレドーム72の外側上部へ貫通し、レドーム72の外側表面において下部金具4の方向へ延伸し、レドーム72の外側下部からレドーム72の内側へ貫通し、下部金具4に固定される。
【0102】
このような構成により、図12において説明したような力Fが避雷導線に作用しても、避雷導線が歪むことを防ぐことができる。したがって、リブRBが不要となる。
【0103】
なお、避雷導線LT1〜LT4がレドーム72を貫通する構成に限らず、レドーム72と先端キャップ3を固定するためのネジによって避雷導線LT1〜LT4が固定される構成であってもよい。
【0104】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係るアンテナ装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0105】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0106】
1,71 アンテナ装置、2,72 レドーム、3 先端キャップ、4 下部金具、5,6 取付金具、7 避雷針、8 支柱、9 固定金具、11,12 ループアンテナ素子、21,22 固定金具、41,42 ネジ、51〜53 合成器、61,62,63 取付部材、91,92 絶縁部材、100 アンテナ本体、101,102 アンテナユニット、103 連結部材、CBL1〜CBL7 同軸ケーブル、CI1〜CI3 内部導体、CL1〜CL3 コイル、CNC コネクタ、CO1,CO2 外部導体、FD1〜FD4 給電点、LT1〜LT4 避雷導線、LN31,LN32,LN41,LN42 給電線路、LP31,LP32,LP41,LP42 長辺導体、R 抵抗素子、RB リブ、SP31,SP32,SP41,SP42 短辺導体。
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置に関し、特に、避雷針を備えるアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アンテナ本体を雷の被害から防護するための避雷構造を備えたアンテナ装置が提案されている。たとえば特開2005−175637号公報(特許文献1)には、アンテナ本体を避雷針の保護範囲に配置させる避雷構造が開示されている。
【0003】
また、特開平10−98328号公報(特許文献2)には、筒状の放射素子と、その放射素子の内部に挿入されたリング状の絶縁スペーサと、そのリング状の絶縁スペーサの穴に挿入された支柱と、その支柱の先端に取り付けられた避雷針とを含む無指向性アンテナが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−175637号公報
【特許文献2】特開平10−98328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
避雷構造を備えた従来のアンテナ装置としては、円筒スロット形状のアンテナ素子において、その中央部分に避雷針が配置されているもの、クロスダイポールアンテナの中央部分に避雷針を配置したもの、およびスーパーターンスタイルアンテナ等がある。
【0006】
しかしながら、これらのアンテナ装置では、アンテナ装置の先端に取り付けられている避雷針に落雷すると、アンテナの中央部分に設けられた避雷針に接続される避雷導線に大電流が流れて磁界が発生し、避雷導線の外側に配置されているアンテナ素子および給電回路に誘導電流が流れて損傷等が生じる場合がある。また、給電線に発生した誘導電流が送信機等に流れ込んでしまう場合がある。さらに、誘導雷の影響も受けやすくなってしまう。
【0007】
また、円筒スロットアンテナでは、水平面における指向性のリップルが大きくなるため、水平偏波の良好な無指向性を得ることが困難である。
【0008】
また、クロスダイポールアンテナおよびスーパーターンスタイルアンテナでは、良好な無指向性を得ることが可能であるが、アンテナ装置全体の径が極端に太くなってしまい、小型化を図ることが困難である。
【0009】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、アンテナ本体の落雷対策を施し、小型化を図り、良好な水平偏波無指向性を得ることが可能なアンテナ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わるアンテナ装置は、導電性を有し、第1の接続部と、上記第1の接続部の反対側に設けられた第2の接続部とを含むアンテナ本体と、上記第1の接続部に機械的に接続された避雷針と、導電性を有し、上記第2の接続部に機械的に接続され、上記アンテナ本体が鉛直方向に延伸するように支持するための支持部材と、上記避雷針に機械的かつ電気的に接続された第1端と、上記支持部材に機械的かつ電気的に接続された第2端とを有し、互いに対向して設けられた少なくとも1対の避雷導線とを備える。
【0011】
好ましくは、上記アンテナ装置は、水平偏波の送信用または受信用であり、上記1対の避雷導線は、上記アンテナ本体の延伸方向に沿って延伸している。
【0012】
好ましくは、上記1対の避雷導線は、上記アンテナ本体を挟むように対向して設けられている。
【0013】
好ましくは、上記アンテナ本体は、上記避雷針と電気的に絶縁されている。
好ましくは、上記アンテナ装置は、上記避雷導線を複数対備える。
【0014】
好ましくは、上記アンテナ本体は、第1の長辺導体、第2の長辺導体、第1の短辺導体および第2の短辺導体を有し、略矩形状に周回している第1のループアンテナ素子と、第3の長辺導体、第4の長辺導体、上記第1の短辺導体と交差している第3の短辺導体および上記第2の短辺導体と交差している第4の短辺導体を有し、略矩形状に周回している第2のループアンテナ素子と、上記第1の長辺導体の延伸方向における中心から上記第1の短辺導体への方向に離れた位置において上記第1の長辺導体に接続された第1端と、上記第1端の反対側かつ上記第1の長辺導体および上記第2の長辺導体の間に位置する第2端とを有する第1の給電線路と、上記第2の長辺導体の延伸方向における中心から上記第1の短辺導体への方向に離れた位置において上記第2の長辺導体に接続された第1端と、上記第1端の反対側かつ上記第1の長辺導体および上記第2の長辺導体の間に位置する第2端とを有する第2の給電線路と、上記第3の長辺導体の延伸方向における中心から上記第3の短辺導体への方向に離れた位置において上記第3の長辺導体に接続された第1端と、上記第1端の反対側かつ上記第3の長辺導体および上記第4の長辺導体の間に位置する第2端とを有する第3の給電線路と、上記第4の長辺導体の延伸方向における中心から上記第3の短辺導体への方向に離れた位置において上記第4の長辺導体に接続された第1端と、上記第1端の反対側かつ上記第3の長辺導体および上記第4の長辺導体の間に位置する第2端とを有する第4の給電線路とを含み、上記第1の長辺導体ないし上記第4の長辺導体は上記アンテナ本体の共振波長の略1/2の長さを有し、上記第1の短辺導体ないし上記第4の短辺導体は上記アンテナ本体の共振波長の略1/6の長さを有し、上記第1の接続部は、上記第1の短辺導体および上記第3の短辺導体の第1の交差部に対応し、上記第2の接続部は、上記第2の短辺導体および上記第4の短辺導体の第2の交差部に対応する。
【0015】
より好ましくは、上記1対の避雷導線は、上記第1の交差部および上記第2の交差部を挟むように対向して設けられ、上記アンテナ本体の延伸方向に沿って延伸している。
【0016】
好ましくは、上記アンテナ装置は、さらに、上記アンテナ本体を収納し、上記避雷針および上記支持部材に機械的に接続された収納部材を備え、上記1対の避雷導線は、上記収納部材の内側、または外側表面上を上記アンテナ本体の延伸方向に沿って延伸している。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、アンテナ本体の落雷対策を施し、小型化を図り、良好な水平偏波無指向性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るアンテナ装置1の外観図である。
【図2】図1に示したアンテナ装置1の内部構造斜視図である。
【図3】図1に示したアンテナ装置1の内部構造断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るアンテナ装置1の上部の内部構造を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るアンテナ装置1の下部の内部構造を示す図である。
【図6】避雷導線を固定する構造を示す図である。
【図7】図3に示したアンテナユニット101の斜視図である。
【図8】図7に示したアンテナユニット101を図7のA3方向から見た図である。
【図9】図7に示したアンテナユニット101を図7のA1方向から見た図である。
【図10】図7に示したアンテナユニット101を図7のA2方向から見た図である。
【図11】避雷導線を通して流れる電流によって生じる磁界を示す図である。
【図12】避雷導線を通して流れる電流によって生じる磁界および力を示す図である。
【図13】本実施の形態に係るアンテナ装置の利得特性を示す図である。
【図14】本実施の形態に係るアンテナ装置のVSWR特性を示す図である。
【図15】本実施の形態に係るアンテナ装置の水平面指向性を示す図である。
【図16】本実施の形態に係るアンテナ装置の水平面指向性を示す図である。
【図17】本実施の形態に係るアンテナ装置が避雷導線を備えない場合の水平面指向性を示す図である。
【図18】本実施の形態に係るアンテナ装置が避雷導線を備えない場合の水平面指向性を示す図である。
【図19】本発明の第2の実施の形態に係るアンテナ装置71の外観図である。
【図20】本発明の第2の実施の形態に係るアンテナ装置71の水平方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0020】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナ装置1の外観図である。図2は、図1に示したアンテナ装置1の内部構造斜視図である。図3は、図1に示したアンテナ装置1の内部構造断面図である。図1〜図3を参照して、アンテナ装置1は、アンテナ本体100を収納した筒状のレドーム2と、導電体により形成され、レドーム2の2つの開口端の一方および他方にそれぞれ取り付けられた先端キャップ3および下部金具4と、アンテナ装置1を所定の場所に取り付けるための取付金具5,6と、避雷針7と、導電体により形成された支柱8と、導電体により形成された固定金具9とを備える。
【0021】
アンテナ装置1は、たとえば電柱の先端、鉄塔の先端、高層建築物の屋上等に取り付けられる。このためにアンテナ装置1は、取付金具5,6を備える。
【0022】
本明細書では「電気的かつ機械的に接続される」とは、2つの導電体が導通しかつ機械的に固定された状態を意味する。このための接続方法としては、たとえば金属製のネジによって、2つの導電体を機械的に接触させるとともにこれら2つの導電体を固定する方法がある。
【0023】
避雷針7は先端キャップ3に取り付けられる。すなわち、避雷針7は先端キャップ3に電気的かつ機械的に接続される。アンテナ本体100は、支柱15を介して先端キャップ3に取り付けられる。また、アンテナ本体100は、支柱8に取り付けられる。すなわち、アンテナ本体100は、支柱15を介して先端キャップ3に機械的に接続された第1の接続部と、この第1の接続部の反対側に設けられ、支柱8に機械的に接続された第2の接続部とを有する。これにより、アンテナ本体100は、先端キャップ3を介して避雷針7に機械的に接続される。
【0024】
支柱8は、固定金具9に取り付けられる。さらに固定金具9は下部金具4に取り付けられる。
【0025】
支柱8、固定金具9および下部金具4は、アンテナ本体100に接続された避雷針7が鉛直方向に沿う方向に延びるようにアンテナ本体100を支持するための支持部材を構成する。
【0026】
アンテナ本体が避雷針からある程度の距離を隔てて設けられる場合には、アンテナ本体および避雷針を個別に支持する必要が生じる。この場合には、アンテナ本体および避雷針の各々を支持するための支持部材が必要となるのでアンテナ装置の部品点数が増加する。さらに、アンテナ本体と避雷針とが離れているために、アンテナ装置の全体のサイズが大きくなる。
【0027】
一方、本実施の形態によれば、アンテナ本体100が避雷針7および支持部材に機械的に接続されるため、アンテナ本体100と避雷針7と支持部材とが一体化される。したがってアンテナ本体と避雷針とを個別に支持しなくてもよいので、アンテナ装置の部品点数の増加を抑制できる。さらに、本実施の形態によればアンテナ本体100と避雷針7とが一体化されているので、避雷構造を有するアンテナ装置の小型化を図ることができる。
【0028】
アンテナ装置1は、さらに、避雷導線LT1〜LT4を備える。避雷導線LT1〜LT4は、先端キャップ3および下部金具4に取り付けられる。すなわち、避雷導線LT1〜LT4は、先端キャップ3を介して避雷針7に機械的かつ電気的に接続された第1端と、下部金具4に機械的かつ電気的に接続された第2端とをそれぞれ有し、互いに対向して設けられている。
【0029】
なお、図1〜図3には示していないが、避雷導線LT1〜LT4とは別の避雷導線が下部金具4に接続される。この避雷導線は大地(アース)に電気的に接続される。
【0030】
アンテナ本体100は、アンテナユニット101および102と、連結部材103とを備える。後に詳細に説明するように、アンテナユニット101,102の各々は、2つのループアンテナ素子により構成された無指向性アンテナである。連結部材103は、導電体により形成される。アンテナユニット101および102は連結部材103に電気的かつ機械的に接続される。なお、本実施の形態では、アンテナ本体100は送信アンテナとして適用されるものとするが、受信アンテナとして適用されてもよい。
【0031】
アンテナ装置1は、さらに、同軸ケーブルCBL1〜CBL7と、合成器51,52,53と、取付部材61,62,63と、コネクタCNCとを備える。
【0032】
同軸ケーブルCBL1およびCBL2はアンテナユニット101の2つのループアンテナ素子にそれぞれ接続される。合成器51は、同軸ケーブルCBL1およびCBL2を通してそれぞれ伝達される電気信号を合成する。同軸ケーブルCBL4およびCBL5はアンテナユニット102の2つのアンテナ素子にそれぞれ接続される。合成器52は、同軸ケーブルCBL4およびCBL5を通してそれぞれ伝達される電気信号を合成する。
【0033】
同軸ケーブルCBL3は合成器51の出力を合成器53に伝達する。同軸ケーブルCBL6は合成器52の出力を合成器53に伝達する。同軸ケーブルCBL3,CBL6の電気長は略同一となるように調整されている。合成器53は、同軸ケーブルCBL3およびCBL6を通してそれぞれ伝達される電気信号を合成する。同軸ケーブルCBL7は、下部金具4に設けられたコネクタCNCに合成器53の出力を伝達する。
【0034】
合成器51,52,53は、取付部材61,62,63に取り付けられる。取付部材61には連結部材103を通すための貫通孔が形成される。この貫通孔に連結部材103を通すことによって取付部材61が連結部材103に固定される。同様に取付部材62,63の各々には貫通孔が形成され、貫通孔に支柱8が通されることにより取付部材62,63が支柱8に固定される。また、取付部材61,62,63は樹脂材によって形成されているため、合成器51,52,53とは電気的に絶縁されている。なお、アンテナ装置1が取付部材63を備えず、合成器53が取付部材62において合成器52の反対側に取り付けられる構成であってもよい。
【0035】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナ装置1の上部の内部構造を示す図である。図4を参照して、避雷導線LT1〜LT4は、金属製のネジによって先端キャップ3と電気的に接続され、かつ先端キャップ3に固定されている。
【0036】
支柱15は、固定金具16に取り付けられる。先端キャップ3と固定金具16との間に樹脂材等の絶縁部材91が設けられている。これにより、アンテナ本体100と先端キャップ3とが電気的に絶縁される。
【0037】
図5は、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナ装置1の下部の内部構造を示す図である。図5を参照して、避雷導線LT1〜LT4は、金属製のネジによって下部金具4と電気的に接続され、かつ下部金具4に固定されている。
【0038】
また、下部金具4と固定金具9との間に樹脂材等の絶縁部材92が設けられている。これにより、固定金具9と下部金具4が電気的に絶縁される。
【0039】
すなわち、絶縁部材91および絶縁部材92により、アンテナ本体100と避雷針7とが電気的に絶縁され、アンテナ本体100と避雷導線LT1〜LT4とが電気的に絶縁される。
【0040】
図6は、避雷導線を固定する構造を示す図である。図6を参照して、アンテナ装置1は、さらに、避雷導線LT1〜LT4を支持する複数のリブRBを備える。リブRBは絶縁物で形成される。リブRBには貫通孔が設けられており、リブRBは、支柱8および連結部材103にたとえばL字金具等によって固定されている。避雷導線LT1〜LT4は、リブRBの貫通孔を通って延伸している。
【0041】
次にアンテナユニット101の構成について詳しく説明する。なおアンテナユニット102の構成は以下に説明する構成と同様であるので、アンテナユニット102の構成に関する詳細な説明は繰り返さない。
【0042】
図7は、図3に示したアンテナユニット101の斜視図である。図7を参照して、アンテナユニット101は、ループアンテナ素子11,12と、給電線路LN31,LN32,LN41,LN42と、固定金具21,22とを備える。
【0043】
ループアンテナ素子11は、長辺導体LP31、長辺導体LP32、短辺導体SP31および短辺導体SP32を有し、略矩形状に周回している。
【0044】
ループアンテナ素子12は、長辺導体LP41、長辺導体LP42、短辺導体SP31と交差する短辺導体SP41、および短辺導体SP32と交差する短辺導体SP42を有し、略矩形状に周回している。
【0045】
ループアンテナ素子11の各導体およびループアンテナ素子12の各導体、ならびに給電線路LN31,LN32,LN41,LN42は、たとえば導体板すなわち平板状の導体である。
【0046】
固定金具21(第1の接続部)は、導電体により形成され、短辺導体SP41に電気的かつ機械的に接続される。同様に、固定金具22(第2の接続部)は、導電体により形成され、短辺導体SP42に電気的かつ機械的に接続される。固定金具21は、先端キャップ3をアンテナユニット101に機械的に接続するためのものである。固定金具22は、連結部材103をアンテナユニ
ット101に電気的かつ機械的に接続するためのものである。
【0047】
なお、アンテナユニット102においては、固定金具21は、連結部材103をアンテナユニット102に電気的かつ機械的に接続するためのものであり、固定金具22は、支柱8をアンテナユニット102に電気的かつ機械的に接続するためのものである。
【0048】
図3および図7から分かるように、アンテナユニット(101,102)は、連結可能に構成される。すなわち、本実施の形態では、アンテナ本体100は、多段(具体的には2段)のアンテナユニットによって構成される。ただし、アンテナユニットの段数を3以上としてもよいし、1としてもよい。なお、アンテナユニットの段数が1の場合には、先端キャップ3がアンテナユニットの固定金具21に機械的に接続されるとともに支柱8がアンテナユニットの固定金具22に電気的かつ機械的に接続される。
【0049】
軸Zは、アンテナユニット101の中心軸である。アンテナユニット101は、軸Zが鉛直方向に沿って延びるように、支持部材(支柱8、固定金具9および下部金具4)により設置される。この状態では、短辺導体SP31およびSP41はアンテナユニット101の上側に位置し、短辺導体SP32およびSP42はアンテナユニット101の下側に位置する。これによりアンテナユニット101,102の各々の偏波面は水平面となる。
【0050】
図7に示したA1方向およびA2方向は、軸Zに沿った方向であり、かつ互いに逆の方向である。詳細にはA1方向はアンテナユニット101の上部から下部に向かう方向であり、A2方向はアンテナユニット101の下部から上部に向かう方向である。さらにA3方向は、軸Zに直交する方向である。図7のA4方向は、軸Zに直交し、かつ方向A3と直交する方向である。
【0051】
図8は、図7に示したアンテナユニット101を図7のA3方向から見た図である。図9は、図7に示したアンテナユニット101を図7のA1方向から見た図である。図10は、図7に示したアンテナユニット101を図7のA2方向から見た図である。また、図9および図10では、避雷導線LT1〜LT4も示しており、避雷導線LT1〜LT4がレドーム2の内側にあることも示している。
【0052】
図7〜図10を参照して、短辺導体SP31および短辺導体SP41は略直角に交差し、かつ短辺導体SP32および短辺導体SP42が略直角に交差する。
【0053】
以下、長辺導体LP31、長辺導体LP32、長辺導体LP41および長辺導体LP42の延伸方向、すなわちZ軸に平行な方向を「アンテナユニット101の垂直方向」とも称する。また、Z軸に対して垂直な方向(たとえばA3方向およびその逆方向、ならびにA4方向およびその逆方向)を「アンテナユニット101の水平方向」とも称する。また、図7に示したアンテナユニット101の設置状態におけるA1方向を「垂直下方向」とも称し、その反対方向、すなわちA2方向を「垂直上方向」とも称する。
【0054】
給電線路LN31は、長辺導体LP31に接続された第1端と、その第1端の反対側かつ長辺導体LP31および長辺導体LP32の間に位置する第2端とを有する。上記給電線路LN31の第1端は、長辺導体LP31の延伸方向(アンテナユニット101の垂直方向)における中心からその延伸方向たとえば垂直下方向に離れた所定の位置において長辺導体LP31に接続される。
【0055】
給電線路LN32は、長辺導体LP32に接続された第1端と、その第1端の反対側かつ長辺導体LP31および長辺導体LP32の間に位置する第2端とを有する。上記給電線路LN32の第1端は、長辺導体LP32の延伸方向(アンテナユニット101の垂直方向)における中心からその延伸方向たとえば垂直下方向に離れた所定の位置において長辺導体LP32に接続される。
【0056】
給電線路LN41は、長辺導体LP41に接続された第1端と、その第1端の反対側かつ長辺導体LP41および長辺導体LP42の間に位置する第2端とを有する。上記給電線路LN41の第1端は、長辺導体LP41の延伸方向(アンテナユニット101の垂直方向)における中心からその延伸方向たとえば垂直下方向に離れた所定の位置において長辺導体LP41に接続される。
【0057】
給電線路LN42は、長辺導体LP42に接続された第1端と、その第1端の反対側かつ長辺導体LP41および長辺導体LP42の間に位置する第2端とを有する。上記給電線路LN42の第1端は、長辺導体LP42の延伸方向(アンテナユニット101の垂直方向)における中心からその延伸方向たとえば垂直下方向に離れた位置において長辺導体LP42に接続される。
【0058】
長辺導体LP31、長辺導体LP32は、軸Zに沿って延伸し、かつ略平行となるように対向して配置される。長辺導体LP41、長辺導体LP42は、軸Zに沿って延伸し、かつ略平行となるように対向して配置される。長辺導体LP31,LP32,LP41,LP42のZ軸方向の長さは略同じである。
【0059】
短辺導体SP31は、長辺導体LP31の一方端とその一方端に対向する長辺導体LP32の一方端とを接続する。短辺導体SP32は長辺導体LP31の他方端とその他方端に対向する長辺導体LP32の他方端とを接続する。短辺導体SP41は、長辺導体LP41の一方端とその一方端に対向する長辺導体LP42の一方端とを接続する。短辺導体SP42は長辺導体LP41の他方端とその他方端に対向する長辺導体LP42の他方端とを接続する。
【0060】
短辺導体SP31,SP32はA4方向に延伸するよう配置される。一方、短辺導体SP41,SP42はA3方向に延伸するよう配置される。短辺導体SP31,SP32の各々のA4方向の長さ、および、短辺導体SP41,SP42の各々のA3方向の長さは略同じである。
【0061】
短辺導体SP31および短辺導体SP32は、ループアンテナ素子11で囲まれた空間の体積を減じる方向に屈曲している。短辺導体SP41および短辺導体SP42は、ループアンテナ素子12で囲まれた空間の体積を減じる方向に屈曲している。言い換えれば、短辺導体SP31および短辺導体SP32の各々は、ループアンテナ素子11で囲まれた空間の方向に凹んだ凹み部を有している。短辺導体SP41および短辺導体SP42の各々は、ループアンテナ素子12で囲まれた空間の方向に凹んだ凹み部を有している。
【0062】
短辺導体SP31およびSP41は、両者の交差部に対応する位置、すなわち短辺導体SP31およびSP41の略中央においてネジ41により固定される。固定金具21は、短辺導体SP41の中央部、すなわち短辺導体SP31およびSP41の交差部に対応する位置に設置される。
【0063】
図10に示すように、短辺導体SP32およびSP42は、両者の交差部に対応する位置、すなわち短辺導体SP32およびSP42の略中央においてネジ42により固定される。固定金具22は、短辺導体SP42の中央部、すなわち短辺導体SP32およびSP42の交差部に対応する位置に設置される。また、短辺導体SP31と短辺導体SP41の交差部には絶縁物が挟まれている。同様に、短辺導体SP32と短辺導体SP42の交差部には絶縁物が挟まれている。ただし、これらの絶縁物をなくすことも可能である。
【0064】
給電線路LN31およびLN32は、たとえば、短辺導体SP32の下端から同じ高さにおいて長辺導体LP31および長辺導体LP32とそれぞれ接続されている。給電線路LN41,LN42は、たとえば、短辺導体SP32の下端から略同じ高さかつ給電線路
LN31およびLN32と比べて低い位置において長辺導体LP41および長辺導体LP42とそれぞれ接続されている。
【0065】
また、給電線路LN31,LN32,LN41,LN42は、アンテナユニット101の水平方向すなわち長辺導体LP31,LP32,LP41,LP42と略垂直な方向に延伸している。給電線路LN31は長辺導体LP31から長辺導体LP32への方向に延伸し、給電線路LN32は長辺導体LP32から長辺導体LP31への方向に延伸し、給電線路LN41は長辺導体LP41から長辺導体LP42への方向に延伸し、給電線路LN42は長辺導体LP42から長辺導体LP41への方向に延伸している。
【0066】
また、給電線路LN31,LN32,LN41,LN42の各々の第2端は他の給電線路の第2端と接触しないように、長辺導体LP31および長辺導体LP32間の中心付近かつ長辺導体LP41および長辺導体LP42間の中心付近に設けられている。
【0067】
なお、給電線路LN31,LN32,LN41,LN42は導体板であるとしたが、給電線路LN31,LN32を1枚のプリント基板状に形成することも可能である。この場合、給電線路LN31の第2端と給電線路LN32の第2端は、プリント基板状で絶縁される。同様に、給電線路LN41,LN42を1枚のプリント基板状に形成することが可能である。この場合、給電線路LN41の第2端と給電線路LN42の第2端は、プリント基板状で絶縁される。
【0068】
図7に戻り、ループアンテナ素子11および12は「ヘンテナ」と称されるループアンテナである。すなわち、長辺導体LP31、長辺導体LP32、長辺導体LP41および長辺導体LP42は、Z軸方向に、アンテナユニット101の共振波長λ(すなわちアンテナユニット101が送信または受信すべき波長)の略1/2の長さを有する。短辺導体SP31、短辺導体SP32は、A4方向に、上記波長λの略1/6の長さを有する。短辺導体SP41、短辺導体SP42は、A3方向に、上記波長λの略1/6の長さを有する。
【0069】
同軸ケーブルCBL1は、給電線路LN31の第2端における給電点FD1に接続された内部導体CI1と、給電線路LN32の第2端における給電点FD2に接続された外部導体CO1とを有する。
【0070】
同軸ケーブルCBL2は、給電線路LN41の第2端における給電点FD3に接続された内部導体CI2と、給電線路LN42の第2端における給電点FD4に接続された外部導体CO2とを有する。同軸ケーブルCBL1,CBL2の電気長は互いにλ/4異なるように調整されている。
【0071】
なお、図示しないが、給電点FD1およびFD2には、たとえばバランがインピーダン
スマッチングのために接続される。さらに、給電点FD3およびFD4には、たとえばバランがインピーダンスマッチングのために接続される。これらのバランはたとえばUバランである。ただし図が複雑になるのを回避するため、図7ではバランを示していない。
【0072】
図9および図10を参照して、アンテナ装置1の水平面において、避雷導線LT1と避雷導線LT3とを結ぶ線と、避雷導線LT2と避雷導線LT4とを結ぶ線とは略直交する。また、避雷導線LT1〜LT4は、短辺導体SP31およびSP41の交差部および短辺導体SP32およびSP42の交差部を中心とする略同一円周上に配置されている。
【0073】
アンテナ装置1が電波を送信または受信する際、アンテナユニット101のループアンテナ素子を通して流れる電流およびアンテナユニット102のループアンテナ素子を通して流れる電流によってそれぞれ磁界が生じ、これらの磁界に直交する方向に電界が生じる、すなわち、図9および図10の矢印で示すような回転方向を有する電界が生じる。
【0074】
そして、アンテナ装置1では、避雷導線LT1〜LT4はこの電界と直交する方向に延伸していることから、避雷導線LT1〜LT4がアンテナ装置1の特性に影響を及ぼすことを防ぐことができる。
【0075】
図11は、避雷導線を通して流れる電流によって生じる磁界を示す図である。図11および後述する図12では、避雷導線LT1,LT3を代表的に示している。図11を参照して、落雷によって避雷導線LT1〜LT4を通して電流Iが流れると、アンペールの右ねじの法則に従い、磁界MFが生じる。
【0076】
ここで、避雷導線LT1およびLT3は、アンテナ本体100を挟んで互いに対向して延伸している。また、図示しない避雷導線LT2およびLT4は、アンテナ本体100を挟んで互いに対向して延伸している。このような構成により、避雷導線LT1およびLT3の各々によって生じる磁界MFはアンテナ本体100の位置において互いに打ち消し合い、また、避雷導線LT2およびLT4の各々によって生じる磁界MFはアンテナ本体100の位置において互いに打ち消し合うことから、これらの磁界がアンテナ装置1の特性に及ぼす影響を低減することができ、良好な特性を得ることができる。また、アンテナ本体100が2対の避雷導線を備える構成により、磁界の打ち消し合う領域が1対の避雷導線を備える構成と比べて広がることにより、磁界がアンテナ装置1の特性に及ぼす影響をさらに低減することができる。
【0077】
さらに、前述のようにアンテナ本体100と避雷導線LT1〜LT4とは電気的に絶縁されていることから、誘導電流がアンテナ本体100に流れてアンテナ本体100が破損することを防ぐことができる。
【0078】
図12は、避雷導線を通して流れる電流によって生じる磁界および力を示す図である。図12を参照して、落雷によって避雷導線LT1〜LT4を通して電流Iが流れると、前述のように磁界が打ち消し合う。そうすると、フレミングの左手の法則に従い、磁界の弱まった領域への方向、すなわち対向する避雷導線へ向かう力Fが生じる。
【0079】
この力Fが避雷導線に作用することにより、避雷導線が歪む可能性がある。しかしながら、図6において説明したように、避雷導線LT1〜LT4は、リブRBの貫通孔を通って延伸している。このような構成により、避雷導線LT1〜LT4の歪みを防止することができる。
【0080】
次に、上記のように構成されたアンテナ装置の性能を具体的に説明する。なお、以下に説明するアンテナ装置の性能は、日本におけるUHFテレビ放送の周波数帯(470〜770MHz)の電波が送受信可能なようにアンテナ装置1を構成することによって得られたものである。具体的には、アンテナ装置1が上記UHF帯、特に日本における地上デジタル放送の周波数帯(470〜710MHz)のうちのL帯域(470MHz〜584MHz)の電波の送受信に好適なアンテナ装置となるよう、アンテナ装置1(アンテナユニット101,102)における各部位の長さ、幅、および距離のパラメータを設計した。
【0081】
また、以下では、アンテナ装置1の性能として利得、VSWRおよび指向性パターンを
示す。利得を示す数値が高いほどアンテナの性能が優れている。また、VSWRを示す数値が低いほどアンテナの特性が優れている。さらに、本実施の形態に係るアンテナ装置は水平偏波無指向性アンテナであるので、指向性パターンは円形に近いほど好ましい。
【0082】
図13は、本実施の形態に係るアンテナ装置の利得特性を示す図である。図13において、グラフG1はアンテナ装置1の特性を示し、グラフG2は避雷導線LT1〜LT4を備えない場合のアンテナ装置1の特性を示す。
【0083】
図13を参照して、上述した470〜584MHzでの周波数帯では、アンテナ装置1の利得は、約+1.0dB〜約+2.0dBであり、避雷導線を備えない構成と同等の良好な特性が実現されている。
【0084】
図14は、本実施の形態に係るアンテナ装置のVSWR特性を示す図である。図14において、グラフG1はアンテナ装置1の特性を示し、グラフG2は避雷導線LT1〜LT4を備えない場合のアンテナ装置1の特性を示す。図14を参照して、上述した470〜584MHzでの周波数帯では、アンテナ装置のVSWRはほぼ1.0〜1.5の範囲内である。一般的には実用的な観点からはVSWRは1.5以下であることが好ましいとされている。したがって、アンテナ装置1では、470〜584MHzでの周波数帯において、避雷導線を備えない構成と同等の良好なVSWR特性が実現されている。
【0085】
図15および図16は、本実施の形態に係るアンテナ装置の水平面指向性を示す図である。図17および図18は、本実施の形態に係るアンテナ装置が避雷導線を備えない場合の水平面指向性を示す図である。
【0086】
図15〜図18を参照して、アンテナ装置1では、避雷導線を備えない構成と同様に、470MHz〜584MHzの範囲の各周波数において良好な無指向性すなわち略楕円状または略円状の無指向性が実現される。このことから、470MHz〜584MHzの周波数帯において、安定した水平面の無指向性が実現されていることが分かる。
【0087】
図1に示すようにアンテナ本体100は、レドーム2に収納される。レドーム2は筒状である。アンテナ装置1の小型化の観点からは、レドーム2の径、すなわちアンテナ本体の水平方向の長さが短いほど好ましい。
【0088】
レドーム2の径を小さくすることが可能な構造を有するアンテナとしては、たとえば円筒の一部にスロットが形成されたスロットアンテナ、2巻き先端開放ループアンテナなどが考えられる。しかしながらこれらのアンテナの場合、水平面指向性が良好な無指向性になりにくい。一方、良好な無指向性(水平面無指向性)を得るためのアンテナとしては、たとえばアルホードアンテナ、クローバーリーフアンテナ、クロスダイポールアンテナなどが知られている。ただし、これらのアンテナの場合、水平方向の長さが大きくなるとい
う課題が生じる。
【0089】
本発明の第1の実施の形態に係るアンテナ装置では、2つのループアンテナ素子の各々がヘンテナであるので、長辺導体LP31、長辺導体LP32、長辺導体LP41および長辺導体LP42が、アンテナユニット101の共振波長の略1/2の長さを有するとともに、短辺導体SP31、短辺導体SP32、短辺導体SP41および短辺導体SP42は、アンテナユニット101の共振波長の略1/6の長さを有する。つまり短辺導体は長辺導体よりも短い。
【0090】
そして、短辺導体の延伸方向が略水平方向となるように(長辺導体の延伸方向が略鉛直方向となるように)アンテナユニットが支持される。このように、ループアンテナ素子11および12をそれぞれヘンテナとし、かつ、そのヘンテナの短辺の延伸方向が略水平方向となるようにヘンテナを配置することによって水平方向の長さを小さくすることができる。さらに、2つのヘンテナは、各々の短辺導体が互いに直交するように配置される。これにより、アンテナユニットは、特性として、水平偏波無指向性を有する。
【0091】
なお、本実施の形態では、固定金具21,22が、Z軸方向(第1の方向)に沿って配置された第1および第2の接続部にそれぞれ対応する。ただし、固定金具21,22を設けずに、ループアンテナ素子11,12の2つの交差部の一方に避雷針7が直接的に接続され、他方の交差部に支柱8(または連結部材103)が接続されても良い。この場合の2つの交差部は、第1および第2の接続部にそれぞれ対応する。
【0092】
また、本実施の形態では、ループアンテナ素子に含まれる短辺導体が屈曲しているが、短辺導体を屈曲させることは必須ではなく、真っ直ぐな導電板を短辺導体として用いてもよい。
【0093】
本発明の第1の実施の形態に係るアンテナ装置では、避雷導線LT1〜LT4により、避雷針7に落ちた雷を大地に逃がすことが可能となる。より詳細には、アンテナ装置1では、ループアンテナ素子の間の4箇所に対称に避雷導線LT1〜LT4を設ける。これにより、アンテナ装置1の先端に取り付けられた避雷針7から流れてくる直撃雷電流をアンテナ本体100の外部へ4分配して流す。
【0094】
ここで、避雷針または避雷導線の断面積は、JIS規格 A4201によると、材質がアルミニウムの場合には50mm2確保する必要があるが、上記のように避雷導線を4本設ける構成により、各避雷導線は最低12.5mm2の太さすなわち4mmの径を有するアルミニウム棒とすることが可能となる。
【0095】
このように、避雷導線を細くすることが可能であるため、避雷導線を設けることによるアンテナ装置の指向特性への影響を極力小さくすることができる。また、避雷導線をアンテナ装置の中央部に配置する必要がなくなる。
【0096】
アンテナ装置1では、前述のように避雷導線LT1〜LT4を配置することにより、放射電界に影響を与えること無く、避雷導線に発生する磁界が打ち消し合うようにしてアンテナおよび給電回路への影響を押えつつ、雷電流を接地側に流すことが可能となる。
【0097】
また、アンテナ装置1は、比較的外径を細くして小型にすることができる。また、水平偏波指向性も比較的リップルの小さい綺麗な指向性にすることができる。
【0098】
したがって、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナ装置では、アンテナ本体の落雷対策を施し、小型化を図り、良好な水平偏波無指向性を得ることができる。
【0099】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0100】
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係るアンテナ装置と比べて避雷導線の配置を変更したアンテナ装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係るアンテナ装置と同様である。
【0101】
図19は、本発明の第2の実施の形態に係るアンテナ装置71の外観図である。図20は、本発明の第2の実施の形態に係るアンテナ装置71の水平方向の断面図である。図19および図20を参照して、アンテナ装置71は、レドーム2の代わりにレドーム72を備える。アンテナ装置71では、避雷導線LT1〜LT4は、レドーム72の内側ではなくレドーム72の外側表面上をアンテナ本体100の延伸方向に沿って延伸している。より詳細には、避雷導線LT1〜LT4は、レドーム72の内側における先端キャップ3からレドーム72の外側上部へ貫通し、レドーム72の外側表面において下部金具4の方向へ延伸し、レドーム72の外側下部からレドーム72の内側へ貫通し、下部金具4に固定される。
【0102】
このような構成により、図12において説明したような力Fが避雷導線に作用しても、避雷導線が歪むことを防ぐことができる。したがって、リブRBが不要となる。
【0103】
なお、避雷導線LT1〜LT4がレドーム72を貫通する構成に限らず、レドーム72と先端キャップ3を固定するためのネジによって避雷導線LT1〜LT4が固定される構成であってもよい。
【0104】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係るアンテナ装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0105】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0106】
1,71 アンテナ装置、2,72 レドーム、3 先端キャップ、4 下部金具、5,6 取付金具、7 避雷針、8 支柱、9 固定金具、11,12 ループアンテナ素子、21,22 固定金具、41,42 ネジ、51〜53 合成器、61,62,63 取付部材、91,92 絶縁部材、100 アンテナ本体、101,102 アンテナユニット、103 連結部材、CBL1〜CBL7 同軸ケーブル、CI1〜CI3 内部導体、CL1〜CL3 コイル、CNC コネクタ、CO1,CO2 外部導体、FD1〜FD4 給電点、LT1〜LT4 避雷導線、LN31,LN32,LN41,LN42 給電線路、LP31,LP32,LP41,LP42 長辺導体、R 抵抗素子、RB リブ、SP31,SP32,SP41,SP42 短辺導体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有し、第1の接続部と、前記第1の接続部の反対側に設けられた第2の接続部とを含むアンテナ本体と、
前記第1の接続部に機械的に接続された避雷針と、
導電性を有し、前記第2の接続部に機械的に接続され、前記アンテナ本体が鉛直方向に延伸するように支持するための支持部材と、
前記避雷針に機械的かつ電気的に接続された第1端と、前記支持部材に機械的かつ電気的に接続された第2端とを有し、互いに対向して設けられた少なくとも1対の避雷導線とを備えるアンテナ装置。
【請求項2】
前記アンテナ装置は、水平偏波の送信用または受信用であり、
前記1対の避雷導線は、前記アンテナ本体の延伸方向に沿って延伸している請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記1対の避雷導線は、前記アンテナ本体を挟むように対向して設けられている請求項1または2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記アンテナ本体は、前記避雷針と電気的に絶縁されている請求項1から3のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記アンテナ装置は、前記避雷導線を複数対備える請求項1から4のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記アンテナ本体は、
第1の長辺導体、第2の長辺導体、第1の短辺導体および第2の短辺導体を有し、略矩形状に周回している第1のループアンテナ素子と、
第3の長辺導体、第4の長辺導体、前記第1の短辺導体と交差している第3の短辺導体および前記第2の短辺導体と交差している第4の短辺導体を有し、略矩形状に周回している第2のループアンテナ素子と、
前記第1の長辺導体の延伸方向における中心から前記第1の短辺導体への方向に離れた位置において前記第1の長辺導体に接続された第1端と、前記第1端の反対側かつ前記第1の長辺導体および前記第2の長辺導体の間に位置する第2端とを有する第1の給電線路と、
前記第2の長辺導体の延伸方向における中心から前記第1の短辺導体への方向に離れた位置において前記第2の長辺導体に接続された第1端と、前記第1端の反対側かつ前記第1の長辺導体および前記第2の長辺導体の間に位置する第2端とを有する第2の給電線路と、
前記第3の長辺導体の延伸方向における中心から前記第3の短辺導体への方向に離れた位置において前記第3の長辺導体に接続された第1端と、前記第1端の反対側かつ前記第3の長辺導体および前記第4の長辺導体の間に位置する第2端とを有する第3の給電線路と、
前記第4の長辺導体の延伸方向における中心から前記第3の短辺導体への方向に離れた位置において前記第4の長辺導体に接続された第1端と、前記第1端の反対側かつ前記第3の長辺導体および前記第4の長辺導体の間に位置する第2端とを有する第4の給電線路とを含み、
前記第1の長辺導体ないし前記第4の長辺導体は前記アンテナ本体の共振波長の略1/2の長さを有し、
前記第1の短辺導体ないし前記第4の短辺導体は前記アンテナ本体の共振波長の略1/6の長さを有し、
前記第1の接続部は、前記第1の短辺導体および前記第3の短辺導体の第1の交差部に対応し、
前記第2の接続部は、前記第2の短辺導体および前記第4の短辺導体の第2の交差部に対応する請求項1から5のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記1対の避雷導線は、前記第1の交差部および前記第2の交差部を挟むように対向して設けられ、前記アンテナ本体の延伸方向に沿って延伸している請求項6に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記アンテナ装置は、さらに、
前記アンテナ本体を収納し、前記避雷針および前記支持部材に機械的に接続された収納部材を備え、
前記1対の避雷導線は、前記収納部材の内側、または外側表面上を前記アンテナ本体の延伸方向に沿って延伸している請求項1から7のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項1】
導電性を有し、第1の接続部と、前記第1の接続部の反対側に設けられた第2の接続部とを含むアンテナ本体と、
前記第1の接続部に機械的に接続された避雷針と、
導電性を有し、前記第2の接続部に機械的に接続され、前記アンテナ本体が鉛直方向に延伸するように支持するための支持部材と、
前記避雷針に機械的かつ電気的に接続された第1端と、前記支持部材に機械的かつ電気的に接続された第2端とを有し、互いに対向して設けられた少なくとも1対の避雷導線とを備えるアンテナ装置。
【請求項2】
前記アンテナ装置は、水平偏波の送信用または受信用であり、
前記1対の避雷導線は、前記アンテナ本体の延伸方向に沿って延伸している請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記1対の避雷導線は、前記アンテナ本体を挟むように対向して設けられている請求項1または2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記アンテナ本体は、前記避雷針と電気的に絶縁されている請求項1から3のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記アンテナ装置は、前記避雷導線を複数対備える請求項1から4のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記アンテナ本体は、
第1の長辺導体、第2の長辺導体、第1の短辺導体および第2の短辺導体を有し、略矩形状に周回している第1のループアンテナ素子と、
第3の長辺導体、第4の長辺導体、前記第1の短辺導体と交差している第3の短辺導体および前記第2の短辺導体と交差している第4の短辺導体を有し、略矩形状に周回している第2のループアンテナ素子と、
前記第1の長辺導体の延伸方向における中心から前記第1の短辺導体への方向に離れた位置において前記第1の長辺導体に接続された第1端と、前記第1端の反対側かつ前記第1の長辺導体および前記第2の長辺導体の間に位置する第2端とを有する第1の給電線路と、
前記第2の長辺導体の延伸方向における中心から前記第1の短辺導体への方向に離れた位置において前記第2の長辺導体に接続された第1端と、前記第1端の反対側かつ前記第1の長辺導体および前記第2の長辺導体の間に位置する第2端とを有する第2の給電線路と、
前記第3の長辺導体の延伸方向における中心から前記第3の短辺導体への方向に離れた位置において前記第3の長辺導体に接続された第1端と、前記第1端の反対側かつ前記第3の長辺導体および前記第4の長辺導体の間に位置する第2端とを有する第3の給電線路と、
前記第4の長辺導体の延伸方向における中心から前記第3の短辺導体への方向に離れた位置において前記第4の長辺導体に接続された第1端と、前記第1端の反対側かつ前記第3の長辺導体および前記第4の長辺導体の間に位置する第2端とを有する第4の給電線路とを含み、
前記第1の長辺導体ないし前記第4の長辺導体は前記アンテナ本体の共振波長の略1/2の長さを有し、
前記第1の短辺導体ないし前記第4の短辺導体は前記アンテナ本体の共振波長の略1/6の長さを有し、
前記第1の接続部は、前記第1の短辺導体および前記第3の短辺導体の第1の交差部に対応し、
前記第2の接続部は、前記第2の短辺導体および前記第4の短辺導体の第2の交差部に対応する請求項1から5のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記1対の避雷導線は、前記第1の交差部および前記第2の交差部を挟むように対向して設けられ、前記アンテナ本体の延伸方向に沿って延伸している請求項6に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記アンテナ装置は、さらに、
前記アンテナ本体を収納し、前記避雷針および前記支持部材に機械的に接続された収納部材を備え、
前記1対の避雷導線は、前記収納部材の内側、または外側表面上を前記アンテナ本体の延伸方向に沿って延伸している請求項1から7のいずれかに記載のアンテナ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−97433(P2011−97433A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250657(P2009−250657)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】
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