説明

アンテナ関係の架台、およびその製造方法

【課題】第1に、部材の加工,準備が、高精度に行われると共に容易化され、第2に、組立ても、高精度に行われると共に容易化され、第3に、しかも軽量,高強度な、アンテナ関係の架台、およびその製造方法を提案する。
【解決手段】この架台1は、アンテナ2又はその反射板3が取付けられる。そしてまず、金属平板材4を、レーザー切断機,タレットパンチプレス,プレスブレーキ等の板材切断機やプレス機械を使用して、所定形状に切断,打ち抜き,折曲,取付孔あけ等の加工を施して、各基幹部材5が製作される。それから、溶接を伴わず、リベット,ボルトナット,又は接着剤等の接合手段6により、各該基幹部材5間を取付けることにより、基幹構造7へと組立てられる。この架台1は、このように組立てられて基幹構造7を構成する各基幹部材5と、各基幹部材5間を取付けるために用いられる接合手段6と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ関係の架台、およびその製造方法に関する。すなわち、アンテナ又はその反射板が取付けられる架台、および、このような架台の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
《技術的背景》
アンテナは、送信機からの電波を空中に発射したり、空中を伝搬されてきた電波を受信して受信機に送るために、空中に張られた導線や導体よりなる。
そして電波の種類に応じ、バー状,ロッド状,ホーン状,放物面状,その他の2次曲面状等々、各種形状,構造のものがある。又、1枚や1個等の単素子からなるものと、複数枚や複数個等の多素子からなるものとがある。更に、単独で用いられるものと、反射板と共に用いられるものとがある。
【0003】
《従来の技術》
さて、例えば業務用等の大型のアンテナは、アンテナ素子(一次放射器)や反射板が、架台に取付けられると共に、懸架,張架,支持されているが、この種のアンテナ用の架台やアンテナ反射板用の架台は従来、次のように製造されていた。例えば放物面状,その他の2次曲面状をなす大型の架台は、次のように、型材やパイプ材等を主に溶接により組立てて行くことにより、製造されていた。
すなわち、例えばアルミ製のH型,I型,L型等の型材やパイプ材等の素材が、まず、機械加工機材にセットされて切り出され、それから、パイプベンダ,その他の整形加工機材を用いて曲げ加工等されていた。
それから、このように加工,準備された部材が、溶接により、所定形状,構造の架台へと組立てられ,形作られていた。そして、この溶接は、アンテナ素子や反射板が取付けられることに鑑み、極めて高い組立て精度が要求されており、もって溶接機と共に、溶接組立治具が必須的に使用されていた。
このように溶接対象の部材は、溶接にあたって、まず溶接組立治具を使用して所定位置に位置決め配置され、それから溶接機により溶接されていた。なお溶接組立治具は、このような位置決め機能と共に、溶接に際し溶接対象の部材について熱歪発生抑制機能を、発揮すべく使用されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような従来のアンテナ関係の架台、およびその製造方法については、次の課題が指摘されていた。
《第1の問題点》
第1に、部材の加工,準備に手間や時間を要する、という問題が指摘されていた。すなわち、アンテナ素子や反射板が取付けられる架台であることに鑑み、その部材についても高精度であることが要求される。
そこで前述したように、型材やパイプ材等は、まず機械加工機材にセットされ、次に整形加工機材にセットされるが、これらのセットに手間や時間を要する、という指摘があった。又、整形加工機材として、3本ローラ−のように精度が得るのが難しい機材を使用することを要する等、高精度な部材の加工,準備が容易でなかった。もって、機械加工機材や整形加工機材等の使用機材自体のコストも相俟って、架台の製造コストが嵩む、という問題が指摘されていた。
【0005】
《第2の問題点》
第2に、加工,準備された部材は、溶接により、所定形状,構造の架台へと組立てられて行くが、このような溶接に際しては、前述したように高度の精度要求に鑑み、位置決め用等に溶接組立治具が使用されていた。
もってその分、溶接に手間と時間を要すると共に、溶接機や溶接組立治具等の使用機材自体のコストも相俟って、架台の製造コストが嵩む、という問題が指摘されていた。特に少量生産の場合、溶接組立治具使用によるコスト高が、顕著となっていた。
更に、溶接組立治具を使用しても、溶接に際し溶接対象の部材に熱歪が発生し、その修正に多くの手間を要しており、この面からも架台の製造コストが嵩む、という問題が指摘されていた。
【0006】
《第3の問題点》
第3に、質量や強度面にも、問題が指摘されていた。すなわち、まず準備される部材に関し、溶接に対応困難な材質や肉薄のものは使用できず、もって、架台の質量増加を招くことがあった。
又、軽量化を図るためアルミ等に代表される熱処理材を部材として用いる場合は、溶接による熱により、素材の熱処理が阻害され、もって架台の強度低下を招くことがあった。対策としては、部材の肉厚を増加させる必要が生じ、結果的に架台の質量とコストの増加を招く、という問題が指摘されていた。
【0007】
《本発明について》
本発明のアンテナ関係の架台、およびその製造方法は、このような実情に鑑み、上記従来技術の課題を解決すべくなされたものである。
そして本発明は、第1に、部材の加工,準備が、高精度に行われると共に容易化され、第2に、組立ても、高精度に行われると共に容易化され、第3に、しかも軽量,高強度で,低コストな、アンテナ関係の架台およびその製造方法を提案することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
《各請求項について》
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、特許請求の範囲に記載したように、次のとおりである。
請求項1については、次のとおり。
請求項1のアンテナ関係の架台は、アンテナ素子又はその反射板が取付けられる架台に関する。そして、組立てられて基幹構造を構成する外枠および基幹部材と、該外枠と基幹部材間を取付ける接合手段と、を有している。
そして該外枠および基幹部材は、レーザー切断機,タレットパンチプレス,プレスブレーキ,その他の板材切断機やプレス機械を使用して、金属平板材を所定形状に、切断,打ち抜き,折曲,取付孔あけ等の加工を施して製作される。該接合手段は、溶接を伴わず、リベット,ボルトナット,又は接着剤等が使用されること、を特徴とする。
請求項2については、次のとおり。
請求項2のアンテナ関係の架台は、請求項1において、更にリブを有している。そして該リブは、該基幹部材に準じて加工,製作されると共に、該接合手段を用いて、該基幹構造の基幹部材に取付けられること、を特徴とする。
【0009】
請求項3については、次のとおり。
請求項3のアンテナ関係の架台の製造方法は、アンテナ素子又はその反射板が取付けられる架台の製造方法に関する。そしてまず、金属平板材を、レーザー切断機,タレットパンチプレス,プレスブレーキ,その他の板材切断機やプレス機械を使用し、所定形状に切断,打ち抜き,折曲,取付孔あけ等の加工を施して、外枠および基幹部材を製作する。
それから、溶接を伴わず、リベット,ボルトナット,又は接着剤等の接合手段により、該外枠と基幹部材間を取付けることにより、一定形状の基幹構造へと組立てられること、を特徴とする。
請求項4については、次のとおり。
請求項4のアンテナ関係の架台の製造方法は、請求項3において、更にリブが用いられている。そして該リブは、該基幹部材に準じて加工,製作された後、該基幹構造の組立に際し、該接合手段を用いて該基幹部材に取付けられること、を特徴とする。
【0010】
《作用等について》
本発明は、このような手段よりなるので、次のようになる。
(1)この製造方法では、まず、レーザー切断機,タレットパンチプレス,プレスブレーキ等の板材切断機やプレス機械を用いて、金属平板材を切断,打ち抜き,折曲,取付孔あけ等することにより、外枠および基幹部材が、簡単容易に精度高く製作,準備される。
(2)そして外枠と基幹部材間を、リベット,ボルトナット,接着剤等、溶接によらない接合手段により取付けることにより、基幹構造が、簡単容易に精度高く組立てられる。特に、外枠や基幹部材の接合対象部位に予め取付孔を穿設しておくことにより、精度高く組立てられる。又、溶接によらないので熱歪発生の虞がなく、精度高く組立てられる。
(3)この製造方法では、溶接によらない接合手段が採用されているので、更に次のようになる。まず、肉薄の金属平板材を、外枠および基幹部材として使用可能となる。又、熱処理材も入熱や溶接による強度低下がないため、特に肉厚を増加させることなく使用可能となる。
(4)このようにして、基幹構造を構成する外枠と基幹部材間の接合手段を有した架台が、製造される。なお、剛性,強度向上のため、リブを付加した構成も考えられる。
(5)そして、このような架台に、アンテナや反射板が取付けられると共に、懸架,張架,支持される。
(6)さてそこで、本発明のアンテナ関係の架台、およびその製造方法は、次の効果を発揮する。
【発明の効果】
【0011】
《第1の効果》
第1に、部材の加工,準備が、高精度に行われると共に、容易化,低コスト化される。すなわち、本発明のアンテナ関係の架台およびその製造方法では、外枠および基幹部材は、板材切断機やプレス機械を使用機材として、金属平板材に切断,打ち抜き、折曲,取付孔あけ等の加工を施して、製作される。
このように、架台の基幹構造の外枠および基幹部材は、簡単容易に加工,準備されると共に、精度高く加工,準備される。前述したこの種従来技術のように、型材やパイプ材等を機械加工機材および整形加工機材等の使用機材にて、所定形状の部材へと加工,準備していたのに比し、手間や時間が削減されつつ加工,準備可能となる。
本発明の架台は、このような外枠や基幹部材が使用されると共に、使用機材もコストダウンされることも相俟って、低コスト化が実現され、製造コスト面や精度面に優れている。
【0012】
《第2の効果》
第2に、組立ても、高精度に行われると共に、容易化,低コスト化される。すなわち、本発明のアンテナ架台およびその製造方法では、外枠と基幹部材間を溶接によらない接合手段により取付けて行くことにより、基幹構造が組立てられる。
このように、本発明の架台の基幹構造は、簡単容易にしかも精度高く組立てられて行く。前述したこの種従来技術のように、溶接機と共に溶接組立治具を使用機材として、基幹構造を組立てていたのに比し、手間や時間が大幅削減される。
特に、外枠や基幹部材に予め取付孔を設けておいてから、リベットやボルトナット等で取付け,結合して行くことにより、位置精度が向上する。又、溶接によらないので、組立てられる外枠や基幹部材に熱歪が発生する虞がないと共に、熱歪修正の手間も削減される。
本発明の架台は、このようにして基幹構造が組立てられると共に、使用機材もコストダウンされる等、この面からも、低コスト化が実現され、製造コスト面や精度面に優れて製造される。
【0013】
《第3の効果》
第3に、しかも軽量,高強度である。すなわち、本発明の架台およびその製造方法では、溶接によらない接合手段が採用されている。もって、溶接を用いていた前述したこの種従来技術では使用困難とされていた肉薄の素材、つまり肉薄の金属平板材も、外枠や基幹部材として使用可能となる。もって、架台の質量軽減への道が開ける。
又、熱処理材を金属平板材,基幹部材として使用しても、前述したこの種従来技術のように、溶接熱による強度低下の虞がなく、強度面に優れている。もって強度保持のために、部材肉厚を増加させる必要もなく、この面からも、架台の質量軽減への道が開ける。更に、熱歪発生の虞がなく、この面からも強度面に優れている。
本発明の架台は、このように精度面のみならず、質量面や強度面にも優れており、質量強度比に優れ、軽量,高強度が
実現される。リブを併用すると、一段と剛性,強度面に優れるようになる。
このように、この種従来例に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るアンテナ関係の架台、およびその製造方法について、発明を実施するための形態の説明に供する。そして、(1)図,(2)図,(3)図は、その適用例を示し、(1)図は、その第1例の正面側の斜視図、(2)図は、第2例の背面側の斜視図、(3)図は、同第2例の側断面図である。
【図2】同発明を実施するための形態の説明に供し、第3例の正面図である。
【図3】同発明を実施するための形態の説明に供し、第3例の側断面図である。すなわち、図2のa−a線,b−b線,c−c線,d−d線,e−e線,f−f線,g−g線,h−h線,i−i線に沿った、矢視断面図である。
【図4】同発明を実施するための形態の説明に供し、第3例に使用されている基幹部材やリブを示す。そして(1)図は、基幹部材の要部側面図、(2)図は、リブの折曲使用前の正面図、(3)図は、リブの折曲使用時の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。
《本発明の概要》
まず、本発明のアンテナ関係の架台1、およびその製造方法の概要について、図面を参照して説明する。
この架台1は、アンテナ素子2又はその反射板3が取付けられる。そしてまず、金属平板材4を、レーザー切断機,タレットパンチプレス,プレスブレーキ,その他の板材切断機やプレス機械を使用し、切断,打ち抜き,折曲,取付孔あけ等の加工を施して、外枠(図示せず)と基幹部材5が製作される。
それから、溶接を伴わず、リベット,ボルトナット,又は接着剤等の接合手段6により、外枠に基幹部材5を取付けることにより、基幹構造7が組立てられる。
この架台1は、このように組立てられ、基幹構造7を構成する外枠と基幹部材5と、外枠と基幹部材5間の接合手段6と、を有している。なお更に、リブ8を用いることも可能である。このリブ8は、基幹部材5に準じて加工,製作された後、基幹構造7の組立に際し、接合手段6を用いて基幹部材5に取付けられる。
本発明の概要については、以上のとおり。
【0016】
《本発明の詳細について》
以下、本発明について、更に詳細に説明する。まず、本発明のアンテナ素子2やアンテナ反射板(以下単に反射板という)3の架台1の製造方法については、次のとおり。
この製造方法では、アルミ,その他の金属平板材4が、素材として用いられる。金属平板材4としては、強度向上等の目的で熱処理が施された熱処理材も、使用可能である。
そして金属平板材4は、まず、例えばレーザー切断機,タレットパンチプレス,その他公知の板材切断機やプレス機械を使用して板金加工、つまり所定部位つまり各接合対象部位について取付孔9が穿設されると共に、所定形状に切断又は打ち抜き加工される。それから、このように加工された各金属平板材4は、プレスブレーキ,その他の折曲機を使用して折曲加工されて、所定形状に2次元曲げされる。
このような工程を辿ることにより、金属平板材4を素材として、塑性加工により外枠および基幹部材5が製作される。なお、量産の場合は、型を用いることにより、プレス機械にて切断や打ち抜きと折曲とを、同時実施することも可能である。
【0017】
この製造方法では、このように金属平板材4にて、板金曲げ構造の外枠および基幹部材5が、製作される。すなわち、金属平板材4を、切断,打ち抜き,折曲等塑性加工することにより、外枠や基幹部材5が製作される。なお外枠は、このような板金曲げ構造に限定されるものではなく、例えば、角パイプ等の型材組み付け構造のものも可能である。
そして、このように製作された基幹部材5は、外枠と共に一定形状の基幹構造7へと組立てられて行く。すなわち外枠と基幹部材5は、相互間が、リベット又はボルトナット更には接着剤等の接合手段6を用いて取付け,結合されることにより、所定形状,構造のアンテナ2や反射板3に対応した一定形状へと、例えば略3次曲面状に組立てられる(例えば、図1の各図,図2,図3等を参照)。
リベットやボルトナット等の接合手段6は、前述により外枠および基幹部材5の接合対象部位に多数穿設されていた取付孔9を利用することにより、所定位置にて取付け,結合を実施する。接着剤は、リベットやボルトナット等による取付け,結合に際し、必要に応じ、補助的な接合手段6として使用される。
【0018】
このような工程を辿ることにより、外枠と各基幹部材5にて基幹構造7が組立てられ、もって、アンテナ2用や反射板3用の架台1が製造される。製造された架台1は、基幹構造7を構成する外枠と基幹部材5と、外枠と基幹部材5間を取付け,結合する接合手段6とを、有してなる。
ところで、リブ8については次のとおり。リブ8は、例えば大型の架台1の基幹構造7について、その剛性,強度を増す目的で、付加的に採用される(図2,図3,図4等を参照)。
そしてリブ8は、基幹部材5に準じた板金曲げ構造よりなり、つまり、金属平板材4について切断,打ち抜き,折曲,取付孔9穿設等の加工を施して、製作される。そして、基幹構造7の組立に際し、リベット,ボルトナット,接着剤等の接合手段6により、必要に応じて各基幹部材5間及び基幹部材5と外枠との間に取付けられる。更にリブ8は、基幹構造7にアンテナ素子2や反射板3を取付けるために、使用されることもある(図2を参照)。
又、更なる剛性,強度向上策として、基幹部材5とリブ8のフランジ同士を三角,矩形,その他形状のプレートで接合したり、直接該フランジ同士を重ねて接合することも考えられる。
本発明の詳細については、以上のとおり。
【0019】
《作用等》
本発明のアンテナ関係の架台1、およびその製造方法は、以上説明したように構成されている。そこで、以下のようになる。
(1)この製造方法では、架台1の基幹構造7を構成する外枠と各基幹部材5が、予め製作される。
そして、外枠と基幹部材5の製作は、公知のレーザー切断機,タレットパンチプレス,プレスブレーキ,その他の板材切断機やプレス機械を用いて、素材である金属平板材4を、切断,打ち抜き,折曲,取付孔あけ等、塑性加工することにより行われる。もって外枠や各基幹部材5は、簡単容易に、しかも精度高く加工,準備される。
【0020】
(2)それから、この製造方法では、このように製作された各基幹部材5と外枠間を、リベット,ボルトナット,接着剤等、溶接によらない接合手段6により、取付け,結合することにより、基幹構造7が組立てられる(図1の各図,図2等を参照。なお、図1の(1)図の適用例は更にプレート付よりなり、図2の適用例はリブ8付よりなる)。もって、この架台1の基幹構造7は、簡単容易にしかも精度高く組立てられる。
特に、外枠や各基幹部材5の接合対象部位に各取付孔9を穿設しておくことにより、リベットやボルトナット等の接合手段6にて、外枠と各基幹部材5間が正確な所定位置関係で取付け,接合されるようになる(図2,図3,図4等を参照)。すなわち外枠と各基幹部材5と外枠間が、簡単容易に、しかも必然的に所定位置関係で位置決め配置され、もって基幹構造7が、精度高く組立てられる。
又、溶接によらないので、外枠および各基幹部材5に熱歪発生の虞がなく、この面からも、基幹構造7が精度高く組立てられる。
【0021】
(3)この製造方法では、リベット,ボルトナット,接着剤等、溶接によらない接合手段6が採用されているので、更に次のようになる。
まず、肉薄の素材つまり肉薄の金属平板材4,外枠,基幹部材5を、使用可能となる。又、アルミ等の熱処理材を、金属平板材4,外枠,基幹部材5として用いても、熱処理の無効化,強度低下の虞がなく、もってこの面からも、肉薄の金属平板材4,外枠,基幹部材5を、使用可能となる。更に、熱歪発生の虞がないので、金属平板材4,外枠,基幹部材5について、強度低下の虞もない。
【0022】
(4)このようにして、架台1が製造され、もって架台1は、基幹構造7を構成する外枠と基幹部材5と、外枠と各基幹部材5間を取付け,結合する接合手段6とを、有している(図1の各図,図2を参照。なお、図1の(1)図の適用例は更にプレート付よりなり、図2の適用例はリブ8付よりなる)。
なお、架台1の剛性,強度向上のため、基幹構造7の基幹部材5にリブ8を付加した構成も、考えられる(図2,図3,図4等を参照)。又、更なる剛性,強度向上のため、基幹部材5とリブ8のフランジの片面もしくは両面にプレートを付加した構成も、考えられる。
【0023】
(5)そして架台1に、アンテナ素子2又は反射板3が取付けられると共に、懸架,張架,支持される。
アンテナのアンテナ素子(一次放射器)2は、金属導体製よりなるが、背景技術の欄にも記載したように、ホーン状,放物面状,その他の2次曲面状等々、各種の形状,構造のものがあると共に、1枚や1個等の単素子よりなるものと、複数枚や複数個等の多素子からなるものとがある。反射板3の形状等についてもアンテナに準じるが、金網,その他の各種メッシュ,エキスパンドメタル,等々も使用される。
いずれにしても架台1は、このようなアンテナ素子2や反射板3を取付けると共に、懸架,張架,支持するに足る一定形状をなす。その取付けには、リベット,ボルトナット,ピン,ワイヤ,接着,その他各種の取付方式が用いられる。
【0024】
(6)ここで、各図示適用例等について述べておく。まず、図1の(2)図,(3)図に示した適用例の架台1では、金網製の反射板3の裏面が、基幹構造7のリブ8や基幹部材5に取付けられている。
つまり、図示適用例の架台1では、反射板3は、基幹構造7に懸架,張架,支持されている。又、アンテナ素子2としては、ホーン状タイプものが1個用いられており、ロッド11を介し、搭載ベース12に取付け保持されている。このような適用例としては、放射器(アンテナ2)と反射鏡(反射板3)とを備えたパラボラアンテナ装置が、代表的である。
【0025】
(7)又、図1の(1)図に示した適用例の架台1では、基幹構造7に、各基幹部材5の正面側,表側,凹面側に取付穴部13を形成するプレートを備えており、この各取付穴部13に、それぞれホーン状タイプのアンテナ素子2が、挿着取付けされている。
【0026】
(8)更に、図2,図3,図4に示した適用例の架台1では、外枠や略コの字チャンネル状やZ型断面状の各基幹部材5(図2,図3,図4の(1)図を参照)と、同様に略コの字チャンネル状やZ型断面状の各リブ8(図2,図3,図4の(2)図そして(3)図を参照)と、が用いられており、基幹構造7へと組立てられている(図2を参照)。
そして正面側に、反射板3を、基幹構造7の各基幹部材5やリブ8の所定点に対し取付けられると共に、懸架,張架,支持されることにより、放物面となる。なおこれによらず、各基幹部材5や各リブ8に対して取付穴部13を形成する多数のプレートを取り付けると、前述した図1の(1)図の適用例となり、この各取付穴部13に対し、ホーン状のアンテナ素子2を挿着,取付けする例も可能である。
【0027】
(9)更に、次のような例も考えられる(図示せず)。すなわち、上述した当該プレートを裏面にも適用した架台1も、考えられる。すなわち、桁としての基幹部材5やリブ8を両面でプレートによりサンドイッチすることで、強度や剛性が一段と高まる。その場合、両面のプレート形状は任意であるが、帯状にスリットを入れたものは、3次曲面への密着が容易になる利点がある。この場合は、リブ8なしも可である。
作用等については、以上のとおり。
【符号の説明】
【0028】
1 架台
2 アンテナ
3 反射板
4 金属平板材
5 基幹部材
6 接合手段
7 基幹構造
8 リブ
9 取付孔
11 ロッド
12 搭載ベース
13 取付穴部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ素子又はその反射板が取付けられる架台であって、組立てられて基幹構造を構成する外枠および基幹部材と、該外枠と基幹部材間を取付ける接合手段と、を有しており、
該外枠および基幹部材は、レーザー切断機,タレットパンチプレス,プレスブレーキ,その他の板材切断機やプレス機械を使用して、金属平板材を所定形状に、切断,打ち抜き,折曲,取付孔あけ等の加工を施して製作され、
該接合手段は、溶接を伴わず、リベット,ボルトナット,又は接着剤等が使用されること、を特徴とするアンテナ関係の架台。
【請求項2】
請求項1において、該架台は更にリブを有しており、該リブは、該基幹部材に準じて加工,製作されると共に、該接合手段を用いて、該基幹構造の基幹部材に取付けられること、を特徴とするアンテナ関係の架台。
【請求項3】
アンテナ素子又はその反射板が取付けられる架台の製造方法であって、まず、金属平板材を、レーザー切断機,タレットパンチプレス,プレスブレーキ,その他の板材切断機やプレス機械を使用し、所定形状に切断,打ち抜き,折曲,取付孔あけ等の加工を施して、外枠および基幹部材を製作し、
それから、溶接を伴わず、リベット,ボルトナット,又は接着剤等の接合手段により、該外枠と基幹部材間を取付けることにより、一定形状の基幹構造へと組立てられること、を特徴とするアンテナ関係の架台の製造方法。
【請求項4】
請求項3において、更にリブが用いられており、該リブは、該基幹部材に準じて加工,製作された後、該基幹構造の組立に際し、該接合手段を用いて該基幹部材に取付けられること、を特徴とするアンテナ関係の架台の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−199765(P2012−199765A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62386(P2011−62386)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000187208)昭和飛行機工業株式会社 (72)
【Fターム(参考)】