説明

アントラニルアミド殺虫剤

本発明は、式(1)


[式中、RはMe、Cl、BrまたはIであり;RはCl、Br、Iまたは−CNであり;RはCl、Br、CF、OCHCFまたはOCFHであり;
はHであるか;またはそれぞれ場合によりCNもしくはSmeによって置換されていてもよいC〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニルであり;そしてRはF、Cl、BrおよびMeよりなる群から選択される1〜3個の置換基によって置換されたフェニルである]の化合物、そのN−オキシドおよび適切な塩を提供する。また、無脊椎有害生物またはその環境を式(1)の化合物、そのN−オキシドまたはその化合物の適切な塩(例えば、本明細書に記載の組成物として)の生物学的に有効な量と接触させることを含んでなる、無脊椎有害生物の防除方法も開示される。また本発明は、式(1)の化合物、そのN−オキシドまたはその化合物の適切な塩の生物学的に有効な量と、界面活性剤、固体希釈剤および液体希釈剤よりなる群から選択される少なくとも1種の追加成分とを含んでなる、無脊椎有害生物を防除するための組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下に記載されるそれらの使用を含む農業的および非農業的使用に適切な特定のアントラニルアミド、そのN−オキシド、塩および組成物、ならびに農業的および非農業的環境の両方における無脊椎有害生物の防除のためのそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高い作物効率を達成するために、無脊椎有害生物の防除は極めて重要である。成長中の農作物および貯蔵された農作物に及ぼす無脊椎有害生物による損害は、生産性の著しい減少を引き起こす可能性があり、それによって消費者に費用増加をもたらす可能性がある。林業、温室作物、装飾物、苗作物、貯蔵食品および繊維製品、家畜、家庭用品ならびに公衆衛生および動物の健康においても無脊椎有害生物の防除は重要である。これらの目的のための多くの製品が市販品として入手可能であるが、より有効であり、費用が低く、毒性が低く、環境的に安全であるか、または異なる作用形態を有する新規化合物に対する必要性が存続している。
【0003】
特許文献1は、殺節足動物剤として式iのN−アシルアントラニル酸誘導体を開示している。
【0004】
【化1】

【0005】
[式中、中でも、AおよびBは独立してOまたはSであり;Jは場合により置換されていてもよいフェニル環、5員もしくは6員の芳香族複素環ナフチル環系または芳香族8員、9員もしくは10員の縮合複素二環式環系であり;RおよびRは独立してHまたは場合により置換されていてもよいC〜Cアルキルであり;RはHまたはC〜Cアルキルであり;各Rは独立してH、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、ハロゲンまたはCNであり;そしてnは1〜4である]
【0006】
【特許文献1】国際公開第01/070671号パンフレット
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、全ての幾何異性体および立体異性体を含む式1の化合物、そのN−オキシドおよび農業的または非農業的に適切な塩、それらを含む農業用および非農業用組成物ならびに無脊椎有害生物を防除するためのそれらの使用に関する。
【0008】
【化2】

【0009】
[式中、
はMe、Cl、BrまたはIであり;
はCl、Br、Iまたは−CNであり;
はCl、Br、CF、OCHCFまたはOCFHであり;
はHであるか;またはそれぞれ場合によりCNまたはSMeによって置換されていてもよいC〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニルであり;そして
はF、Cl、BrおよびMeよりなる群から選択される1〜3個の置換基によって置換されたフェニルである]
【0010】
また本発明は、生物学的に有効な量の式1の化合物と、界面活性剤、固体希釈剤および液体希釈剤よりなる群から選択される少なくとも1種の追加成分とを含んでなる無脊椎有害生物を防除するための組成物も提供する。本発明は、生物学的に有効な量の式1の化合物と、有効量の少なくとも1種の追加の生物学的に活性な化合物または薬剤とを含んでなる組成物にも関する。
【0011】
また本発明は、無脊椎有害生物またはその環境を、生物学的に有効な量の式1の化合物(例えば本明細書に記載の組成物として)と接触させることを含んでなる無脊椎有害生物の防除方法も提供する。本発明は、無脊椎有害生物またはその環境を、生物学的に有効な量の式1の化合物と、あるいは式1の化合物と、生物学的に有効な量の無脊椎有害生物のための少なくとも1種の追加の化合物または薬剤とを含んでなる組成物と接触させるかかる方法にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本明細書に使用される場合、用語「含んでなる」、「含んでなっている」、「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」またはそれらの他のいずれかの変形は、非排他的包含を包括するように意図される。例えば、要素のリストを含んでなる組成物、プロセス、方法、物品または装置はそれらの要素のみに必ず限定されるのではなく、明白に記載されていないか、またはかかる組成物、混合物、プロセス、方法、物品もしくは装置に固有である他の要素を含んでもよい。さらに、それとは反対の記載が明白にされない限り、「あるいは、または、もしくは」は包含的論理和を指し、そして排他的論理和を指さない。例えば、条件AまたはBは以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真であり(または存在する)、そしてBが偽である(または存在しない)。Aが偽であり(または存在しない)、そしてBが真である(または存在する)。ならびにAおよびBの両方が真である(または存在する)。
【0013】
また本発明の要素および成分を記載するために「a」または「an」の使用が利用される。これは単に便宜上にすぎず、本発明の一般的意味を与えるものである。この記載は1つもしくは少なくとも1つを含むものとして読解されるべきであり、そしてまた他の意味があることが明白でない限り、この単数形は複数形を含む。
【0014】
上記において、置換基中の全炭素原子数を接頭辞「C〜C」で表し、ここでiおよびjは1〜4の数である。用語「アルキル」としては直鎖または分枝鎖アルキルが挙げられる。例えばC〜Cアルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピルまたは種々のブチル異性体を示す。「アルケニル」としては、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニルおよび種々のブテニル異性体のような直鎖または分枝鎖アルケンが挙げられる。「アルケニル」としては、1,2−プロパジエニルのようなポリエンも挙げられる。「アルキニル」としては、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニルおよび種々のブチニル異性体のような直鎖または分枝鎖アルキンが挙げられる。「アルキニル」としては、1,3−ブタジイニルのような複数の三重結合から構成される部分も挙げることができる。
【0015】
窒素はオキシドへの酸化に利用可能な孤立電子対を必要とすることから、全ての窒素含有複素環がN−オキシドを形成し得ないことを当業者は認識し、N−オキシドを形成できるそれらの窒素含有複素環を当業者は認識するだろう。第三級アミンがN−オキシドを形成し得ることも当業者は認識するだろう。複素環および第三級アミンのN−オキシドの製造に関する合成法は当業者に周知であり、過酢酸およびm−クロロ過安息香酸(MCPBA)のようなペルオキシ酸、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシドのようなアルキルヒドロペルオキシド、過ホウ酸ナトリウム、ならびにジメチルジオキシランのようなジオキシランによる複素環および第三級アミンの酸化を含む。これらのN−オキシドの製造方法は文献に広く記載されており、概説されている。例えば、T.L.ギルクリスト(T.L.Gilchrist)著、コンプリヘンシブ オーガニック シンテシス(Comprehensive Organic Synthesis)、第7巻、第748〜750頁、S.V.レイ(S.V.Ley)編、ペルガモン プレス(Pergamon Press);M.ティスラー(M.Tisler)およびB.スタノウニコ(B.Stanovnik)著、コンプリヘンシブ ヘテロサイクリック ケミストリー(Comprehensive Heterocyclic Chemistry)、第3巻、第18〜20頁、A.J.ボウルトン(A.J.Boulton)およびA.マクキロップ(A.McKillop)編、ペルガモン プレス(Pergamon Press);M.R.グリムメット(M.R.Grimmett)およびB.R.T.ケーン(B.R.T.Keene)著、アドバンシス イン ヘテロサイクリック ケミストリー(Advances in Heterocyclic Chemistry)、第43巻、第149〜161頁、A.R.カトリッキー(A.R.Katritzky)編、アカデミック プレス(Academic Press);M.ティスラー(M.Tisler)およびB.スタノウニコ(B.Stanovnik)著、アドバンシス イン ヘテロサイクリック ケミストリー(Advances in Heterocyclic Chemistry)、第9巻、第285〜291頁、A.R.カトリッキー(A.R.Katritzky)およびA.J.ボウルトン(A.J.Boulton)編、アカデミック プレス(Academic Press);ならびにG.W.H.チーズマン(G.W.H.Cheeseman)およびE.S.G.ウェルスティク(E.S.G.Werstiuk)著、アドバンシス イン ヘテロサイクリック ケミストリー(Advances in Heterocyclic Chemistry)、第22巻、第390〜392頁、A.R.カトリッキー(A.R.Katritzky)およびA.J.ボウルトン(A.J.Boulton)編、アカデミック プレス(Academic Press)を参照のこと。
【0016】
本発明の化合物は、1個もしくはそれ以上の立体異性体として存在することも可能である。様々な立体異性体としては、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体および幾何異性体が挙げられる。他の立体異性体に関して濃縮された場合、または他の立体異性体から分離された場合、一種の立体異性体がより活性であり得るか、または有利な効果を示し得ることを当業者は認識するだろう。加えて、当業者は、前記立体異性体をいかにして分離するか、濃縮するか、そして/または選択的に製造するかを知っている。従って、本発明は、式1から選択される化合物、そのN−オキシドおよび農業的に適切な塩を含んでなる。本発明の化合物は、立体異性体の混合物として、個々の立体異性体として、または光学的に活性な形態として存在し得る。
【0017】
本発明の化合物の塩としては、臭化水素酸、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、酢酸、酪酸、フマル酸、乳酸、マレイン酸、マロン酸、オキサル酸、プロピオン酸、サリチル酸、酒石酸、4−トルエンスルホン酸または吉草酸のような無機または有機酸による酸付加塩が挙げられる。
【0018】
本発明の実施形態としては以下が挙げられる。
実施形態1。RがMe、ClまたはBrである式1の化合物、そのN−オキシドまたは適切な塩。
【0019】
実施形態2。RがMeまたはClである実施形態1の化合物。
【0020】
実施形態3。RがMeである実施形態2の化合物。
【0021】
実施形態4。RがClである実施形態2の化合物。
【0022】
実施形態5。RがCl、Brまたは−CNである式1の化合物、そのN−オキシドまたは適切な塩。
【0023】
実施形態6。RがClまたは−CNである実施形態5の化合物。
【0024】
実施形態7。RがClである実施形態6の化合物。
【0025】
実施形態8。Rが−CNである実施形態6の化合物。
【0026】
実施形態9。RがCl、BrまたはCFである式1の化合物、そのN−オキシドまたは適切な塩。
【0027】
実施形態10。RがOCHCFまたはOCFHである式1の化合物、そのN−オキシドまたは適切な塩。
【0028】
実施形態11。RがH、または場合によりCNもしくはSMeによって置換されていてもよいC〜Cアルキルである式1の化合物、そのN−オキシドまたは適切な塩。
【0029】
実施形態12。RがHである実施形態11の化合物。
【0030】
実施形態13。RがC〜Cアルキルである実施形態11の化合物。
【0031】
実施形態14。RがMe、Et、i−Prまたはt−Buである実施形態13の化合物。
【0032】
実施形態15。Rが2−クロロフェニル、2−フルオロフェニル、2−ブロモフェニル、2,4−ジクロロフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2,6−ジフルオロフェニルまたは2,4,6−トリクロロフェニルである式1の化合物、そのN−オキシドまたは適切な塩。
【0033】
実施形態1〜15の組み合わせを以下に説明する。
実施形態A
がClであり;
がCl、BrまたはCFであり;
がMe、Et、i−Prまたはt−Buであり;そして
が2−クロロフェニル、2−フルオロフェニル、2−ブロモフェニル、2,4−ジクロロフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2,6−ジフルオロフェニルまたは2,4,6−トリクロロフェニルである上記式1の化合物、そのN−オキシドまたは適切な塩。
【0034】
実施形態B。
がCNであり;
がCl、BrまたはCFであり;
がMe、Et、i−Prまたはt−Buであり;そして
が2−クロロフェニル、2−フルオロフェニル、2−ブロモフェニル、2,4−ジクロロフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2,6−ジフルオロフェニルまたは2,4,6−トリクロロフェニルである上記式1の化合物、そのN−オキシドまたは適切な塩。
【0035】
また本発明は、生物学的に有効な量の式1の化合物、そのN−オキシドまたはその農業的もしくは非農業的に適切な塩と、界面活性剤、固体希釈剤および液体希釈剤よりなる群から選択される少なくとも一種の追加成分とを含んでなる、無脊椎有害生物を防除するための組成物であって、場合により、有効量の少なくとも一種の追加の生物学的に活性な化合物または薬剤をさらに含んでなる組成物も提供する。本発明の組成物の実施形態としては、上記実施形態1〜15ならびにAおよびBの化合物を含んでなるものが挙げられる。
【0036】
また本発明は、無脊椎有害生物またはその環境を、生物学的に有効な量の式1の化合物、そのN−オキシドまたはその農業的もしくは非農業的に適切な塩と、あるいは生物学的に有効な量の本明細書に記載の本発明の組成物と接触させることを含んでなる無脊椎有害生物の防除方法も提供する。使用方法の実施形態としては、上記実施形態1〜15ならびにAおよびBの化合物を含むものが挙げられる。
【0037】
1つもしくはそれ以上の以下のスキーム1〜12に記載の方法および変法により、式1の化合物を製造することができる。以下の式1〜21の化合物におけるR、R、R、Rおよび Rの定義は、特記されない限り、上記発明の要約において定義された通りである。
【0038】
スキーム1に概説されるように、式2のベンゾオキサジノンと式HNRのアミンとの反応によって式1の化合物を製造することができる。そのまま、あるいはテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、酢酸エチル、塩化メチレンまたはクロロホルムを含む様々な適切な溶媒中で、0℃から溶媒の還流温度の範囲に及ぶ最適温度で反応を実行することができる。スキーム1の方法は実施例1および2に説明される。アントラニルアミドを生成するベンゾオキサジノンとアミンとの一般的反応は、化学文献に十分に証明されている。ベンゾオキサジノンの化学に関する概説に関して、ジャコブセン(Jakobsen)ら、バイオーガニック アンド メディシナル ケミストリー(Biorganic and Medicinal Chemistry)2000、8、2095〜2103、およびその中の引用文献を参照のこと。コッポラ(Coppola)、ジャーナル オブ ヘテロサイクリック ケミストリー(J.Heterocyclic Chemistry)1999、36、563〜588も参照のこと。
【0039】
【化3】

【0040】
スキーム2に概説されるように、式3のアミドと式4のピラゾール酸クロリドとの反応によって式1の化合物を製造することもできる。ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、塩化メチレンまたはクロロホルムを含む様々な適切な溶媒中で、0℃から溶媒の還流温度の範囲に及ぶ最適温度で反応を実行することができる。反応を促進するために、一般的にピリジン、トリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミンのようなアミン塩基を添加する。式4の酸クロリドは、塩化チオニルまたは塩化オキサリルによる塩素化のような既知の方法によって式6の相当する酸から入手可能である。
【0041】
【化4】

【0042】
式2のベンゾオキサジノンは様々な手順によって製造可能である。スキーム3において、式5のアントラニル酸と式6のピラゾール酸とのカップリングによってベンゾオキサジノンを直接的に製造する。この方法はアセトニトリルのような溶媒中でのアントラニル酸とピラゾール酸との混合、そしてそれに続く3−ピコリンおよび塩化メタンスルホニルの連続添加を含む。好ましい温度は−10℃から室温の範囲に及ぶ。この手順は一般的に式2のベンゾオキサジノンの良好な収量を与え、そして実施例1(工程H)に説明される。
【0043】
【化5】

【0044】
スキーム4に示されるように、式2のベンゾオキサジノンの別の製造では式4のピラゾール酸クロリドと式7のイサト酸無水物とのカップリングを含み、直接に式2のベンゾオキサジノンを提供する。ピリジンまたはピリジン/アセトニトリルのような溶媒は、この反応のために適切である。
【0045】
【化6】

【0046】
式3のアントラニルアミドは様々な既知の方法によって入手可能である。一般的な手順はスキーム5に示され、そして式7のイサト酸無水物とアミンとの反応を含み、直接的に式3のアントラニルアミドを提供する。
【0047】
【化7】

【0048】
式5のアントラニル酸は様々な既知の方法によって入手可能である。これらの化合物の多くは既知である。クロロ、ブロモおよびヨードのR置換基をを含有するアントラニル酸は、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミドまたはN−ヨードスクシンイミドのいずれかによって式8の未置換アントラニル酸の直接ハロゲン化によって式5の相当する置換された酸をそれぞれ製造することによって製造可能である。
【0049】
【化8】

【0050】
がシアノである式1の化合物は本発明の一実施形態である。式5aの要求されたアントラニル酸中間体(Rがシアノである式5)は、シアニドによる置換によって相当する式8aのヨードまたはブロモ誘導体から製造可能である。N,N−ジメチルホルムアミドによるシアン化銅による処理は本変換のために有用な方法として文献に良好に説明されている。本方法はスキーム7に示され、そして実施例1(工程G)にさらに説明される。
【0051】
【化9】

【0052】
スキーム8に概説される方法によって、RがCl、BrまたはCFである式6のピラゾール酸を製造することができる。この順序は、式10のハロゲン化ヒドラゾニルからいくつかの工程で達成することができる。アクリル酸メチルによる10の付加環化によって、所望の異性体に対する良好な位置特異性を有する式11のピラゾリンが得られる。限定されないが、過酸化水素、有機ペルオキシド、一過硫酸カリウム(例えばオキソン(Oxone)(登録商標))、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムまたは過マンガン酸カリウムを含む様々な酸化試薬によって11の酸化を達成することができる。従来の加水分解方法によって、式12のピラゾールエステルは式6の酸に変換される。この方法は実施例1でさらに説明される。
【0053】
【化10】

【0054】
がClまたはBrである式10のハロゲン化ヒドラゾニルは文献において既知である。この種の化合物の製造に関して、例えば、ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(Journal of Organic Chemistry)1972、37(12)、2005〜9およびジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(Journal of Organic Chemistry)1972、37(3)、386〜90を参照のこと。スキーム9には別法が描写されている。式13のヒドラジンとグリコール酸との縮合によって式14の酸が得られる。式14のグリオキシル酸誘導体のハロゲン化はN−ブロモスクシンイミドまたはN−クロロスクシンイミドのいずれによっても良好な収量の式10の塩化ヒドラゾニルが直接的に得られることが見出された。本方法は実施例1(工程AおよびB)にさらに説明される。
【0055】
【化11】

【0056】
式10aのハロゲン化ヒドラゾニル(RがCFである式10)も既知である。それらの調製方法はスキーム10に示される。式13のフェニルヒドラジンとトリフルオロアセトアルデヒドとの縮合、それに続いてN−ブロモスクシンイミドまたはN−クロロスクシンイミドのいずれかによる反応によって、式10aのハロゲン化ヒドラゾニルの良好な収量が得られる。
【0057】
【化12】

【0058】
スキーム11および12に概説される方法によって、RがOCFHおよびOCHCF、ならびにClおよびBrである式6のピラゾール酸を製造することができる。式13のフェニルヒドラジンとマレイン酸ジエチルとの反応によって、良好な収量で式18のピラゾロンが製造される。Rがクロロまたはブロモである式19の化合物は、それぞれ18と塩化ホスホリルまたは臭化ホスホリルとの反応によって製造可能である。RがOCFHまたはOCHCFである式20の化合物は、式18のピラゾロンと適切なハロゲン化フルオロアルキル(RX)との反応によって製造可能である。
【0059】
【化13】

【0060】
スキーム12に示されるように、19または20の酸化は、スキーム8に前記されたようにエステルの加水分解に続いて達成される。スキーム11および12の合成方法は国際特許出願公開第2003/016283号に記載される。
【0061】
【化14】

【0062】
式1の化合物を調製するための上記のいくつかの試薬および反応条件は、中間体に存在する特定の官能基には適合しないであろうことが認識される。これらの例において、合成系中に保護/脱保護配列または官能性の相互転換を組み入れることにより、所望の生成物を得ることが助けられるだろう。保護基の使用および選択は化学合成の当業者に明白であろう(例えば、グリーン、T.W.(Greene,T.W.);ワッツ、P.G.M.(Wuts,P.G.M.) プロテクティブ グループス イン オーガニック シンテシス(Protective Groups in Organic Synthesis)、第2版;ウィリー(Wiley):ニューヨーク(New York)、1991年を参照のこと)。いくつかの場合、いずれかの個々のスキームに記述されたように与えられた試薬の導入後、式1の化合物の合成を完了するために、詳細に記載されていない追加の慣例合成工程を実行する必要があることを当業者は認識するだろう。式1の化合物を調製するために提案された特定の順序により示されるもの以外の順番で、上記スキームに図示された工程の組み合わせを実行する必要があることも当業者は認識するだろう。
【0063】
前記を使用する当業者は、本発明をその最も十分な範囲まで利用することができると考えられる。従って、以下の実施例は単なる実例として解釈され、かついずれかの様式に本開示を限定するものではない。H NMRスペクトルは、テトラメチルシランからのppm低磁場で報告され、sは一重項であり、dは二重項であり、tは三重項であり、qは四重項であり、mは多重項であり、ddは二重項の二重項であり、そしてbrは広域一重項である。
【実施例】
【0064】
実施例1
3−ブロモ−1−(2−クロロフェニル)−N−[4−シアノ−2−メチル−6−[((1−メチルエチル)アミノ)−カルボニル]フェニル]−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの製造
工程A:(2E)−[(2−クロロフェニル)ヒドラゾノ]酢酸の製造
室温において水(300mL)中のヒドラジン塩酸2−クロロフェニル(18.8g、0.105モル)の溶液に濃塩酸(13.2g、0.136モル)を添加し、続いて20分かけて50%グリオキシル酸(17.1g、0.115モル)を滴下添加し、濃厚沈殿物を形成させた。次いで反応混合物を30分間撹拌した。生成物を濾過によって単離し、水洗浄し、次いで酢酸エチル(400mL)で溶解した。得られた溶液を乾燥させ(MgSO)、そして減圧下で濃縮して表題生成物を黄褐色固体(20.5g)として得た。
H NMR(MeSO−d)δ12.45(s、1H)、10.7(s、1H)、7.59(d、1H)、7.54(s、1H)、7.40(d、1H)、7.23(t、1H)、6.98(t、1H)
【0065】
工程B:(2−クロロフェニル)カルボノヒドラゾンジブロミドの製造
N,N−ジメチルホルムアミド(188mL)中の工程Aからの生成物(20.5g、0.103モル)の溶液に0℃で30分かけてN−ブロモスクシンイミド(35.7g、0.206モル)を滴下添加した。得られた混合物を周囲温度で一晩撹拌した。反応混合物を水(150mL)で希釈し、そしてジエチルエーテル(3×200mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物を乾燥させ(MgSO)、シリカゲル上へ吸収させ、そしてクロマトグラフィによって精製し、表題化合物を赤色油状物(12.0g)として得た。
H NMR(CDCl)δ8.15(br d、1H)、7.41(d、1H)、7.31(d、1H)、7.21(d、1H)、6.90(d、1H)
【0066】
工程C:3−ブロモ−1−(2−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボン酸メチルの製造
N,N−ジメチルホルムアミド(110mL)中の工程Bからの生成物(12.0g、38.5ミリモル)の溶液にアクリル酸メチル(13.85mL、153.8ミリモル)を一部分で添加し、続いてN,N−ジイソプロピルエチルアミン(7.38mL、42.3ミリモル)を15分かけて滴下添加した。次いで反応混合物を1時間、周囲温度で撹拌した。反応混合物を水(200mL)で希釈し、そしてジエチルエーテル(2×200mL)で抽出した。組み合わせた抽出物を水および塩水で洗浄した。エーテル抽出物を乾燥させ(MgSO)、そして減圧下で濃縮し、表題化合物(12.2g)を得た。
H NMR(CDCl)δ7.4(t、1H)、7.34(d、1H)、7.21(d、1H)、7.1(t、1H)、5.2(m、1H)、3.55(s、3H)、3.4(m、1H)
【0067】
工程D:3−ブロモ−1−(2−クロロフェニル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸メチルの製造
40℃未満に反応温度を維持しながら、工程Cからの生成物(12.2g、38.4ミリモル)およびアセトン(400mL)を充填した1000mLフラスコに過マンガン酸カリウム(24.2g、153.6ミリモル)を10分ごとに約1グラム部分づつ添加した。次いで反応混合物を周囲温度で一晩撹拌した。反応混合物をセライト(Celite)(登録商標)珪藻フィルター助剤に通して濾過して固体を除去し、次いでジエチルエーテル(4×100mL)で洗浄した。溶媒の除去後、シリカゲル上クロマトグラフィによって粗生成物を精製し、表題化合物を油状物(5.8g)として得た。これは静置時に凝固した。
H NMR(CDCl)δ7.5(d、1H)、7.4−7.5(m、3H)、7.01(s、1H)、3.784(s、1H)
【0068】
工程E:3−ブロモ−1−(2−クロロフェニル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸の製造
メタノール(40mL)中の工程Dからのエステル(5.8g、18.4ミリモル)を含有する100mLフラスコに12%水酸化ナトリウム水溶液(8.8g、30.5ミリモル)を添加した。反応混合物を周囲温度で2時間撹拌した。次いで反応混合物を水(100mL)で希釈し、そしてジエチルエーテル(2×75mL)で洗浄した。濃塩酸によって水溶液をpH2まで酸性化し、次いで酢酸エチル(3×150mL)で抽出した。組み合わせた酢酸エチル抽出物を乾燥させ(MgSO)、そして減圧下で濃縮して表題化合物(5.8g)を得た。
H NMR(CDCl)δ7.4−7.55(m、4H)、7.1(s、1H)
【0069】
工程F:2−アミノ−3−メチル−5−ヨード安息香酸の製造
N,N−ジメチルホルムアミド(30mL)中の2−アミノ−3−メチル安息香酸(5g、33ミリモル)の溶液にN−ヨードスクシンイミド(7.8g、34.7ミリモル)を添加し、そして反応混合物を75℃(油浴温度)で一晩加熱した。油浴を取り外した後、次いで反応混合物を氷水(100mL)にゆっくり注ぎ入れ、淡灰色固体を沈殿させた。固体を濾過し、そして水(4×)で洗浄し、次いで真空オーブン中70℃で乾燥させた。所望の中間体を淡灰色固体(8.8g)として単離した。
H NMR(MeSO−d)δ7.86(d、1H)、7.44(d、1H)、2.08(s、3H)
【0070】
工程G:2−アミノ−3−メチル−5−シアノ安息香酸の製造
2−アミノ−3−メチル−5−ヨード安息香酸(17.0g、61.3ミリモル)およびシアン化銅(7.2g、78.7ミリモル)の混合物をN,N−ジメチルホルムアミド(200mL)中で20時間、140〜145℃まで加熱した。次いで反応混合物を冷却し、そして減圧下のロータリーエバポレーター上で大部分のジメチルホルムアミドを濃縮によって除去した。水(200mL)を油状固体に添加し、次いでエチレンジアミン(20mL)を加え、そして混合物を強力に撹拌して大部分の固体を溶解させた。残渣固体を濾過によって除去し、そして濃塩酸を濾液に添加してpHを5に調節した。pHが低下すると、いくらかの固体が沈殿した。得られた混合物を酢酸エチルと水との間で分配した。分離された有機溶液を乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして減圧下で濃縮した。残渣固体をエーテル、ヘキサンおよび酢酸エチルの混合物で倍散し、表題化合物を黄褐色の固体(7.61g)として得た。
H NMR(MeSO−d)δ7.97(s、1H)、7.50(s、1H)、7.3−7.5(br s、1H)、2.12(s、3H)
【0071】
工程H:2−[3−ブロモ−1−(2−クロロフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−8−メチル−4−オキソ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−6−カルボニトリルの製造
室温でアセトニトリル(60mL)中の3−ブロモ−1−(2−クロロフェニル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸(すなわち、工程Eのカルボン酸生成物)(2.0g、6.29ミリモル)および2−アミノ−3−メチル−5−シアノ安息香酸(すなわち、工程Gの生成物)(1.1g、6.29ミリモル)の溶液に3−ピコリン(3.2mL、32.7ミリモル)を添加した。反応混合物を5分間撹拌し、次いで−10℃まで冷却した。次いで塩化メタンスルホニル(1.3mL、16.4ミリモル)を滴下添加し、そして添加終了後、反応混合物は室温まで加温した。室温で一晩撹拌時に反応混合物が固体沈殿物を形成した。固体を濾過によって単離し、そして水で洗浄し、過剰量の塩化メチレン中に溶解し、そして乾燥させた(MgSO)。溶媒除去後、残渣をシリカゲル上クロマトグラフィによって精製し、表題化合物(1.9g)を得た。
H NMR(CDCl)δ8.31(s、1H)、7.73(s、1H)、7.45−7.6(m、4H)、7.31(s、1H)、1.84(s、1H)
【0072】
工程I:3−ブロモ−1−(2−クロロフェニル)−N−[4−シアノ−2−メチル−6−[((1−メチルエチル)アミノ)カルボニル]フェニル]−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの製造
アセトニトリル(150mL)中の2−[3−ブロモ−1−(2−クロロフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−8−メチル−4−オキソ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−6−カルボニトリル(すなわち、工程Hの生成物)(2.7g、5.7ミリモル)の溶液に、イソプロピルアミン(1.95mL、22.9ミリモル)を滴下添加し、次いで全固体が溶解するまで水浴を使用して反応を約50℃まで加温した。反応混合物を周囲温度で2時間撹拌した。反応が進行すると濃厚な白色固体が形成した。固体を濾過によって単離し、そしてジエチルエーテルおよびヘキサンで洗浄し、本発明の化合物である表題化合物を白色固体(2.34g)として得た。これは145〜149℃で溶解した。
H NMR(CDCl)δ10.5(br s、1H)、7.59(d、1H)、7.56(m、2H)、7.4(m、3H)、7.02(s、1H)、5.98(br d、1H)、4.2(m、1H)、2.25(s、3H)、1.27(d、6H)
【0073】
実施例2
3−ブロモ−1−(2−クロロフェニル)−N−[4−シアノ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)−カルボニル]フェニル]−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの製造
アセトニトリル(150mL)中の2−[3−ブロモ−1−(2−クロロフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−8−メチル−4−オキソ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−6−カルボニトリル(すなわち、実施例1、工程Hの生成物)(2.7g、5.7ミリモル)の溶液にメチルアミン(2.0M THF溶液、18.0mL、36.0ミリモル)を滴下添加し、次いで混合物を室温で30分間撹拌した。反応が進行すると濃厚な白色固体が形成した。反応混合物を0℃まで冷却し、そして固体を濾過によって単離し、シリカゲルクロマトグラフィによって精製して本発明の化合物である表題化合物を白色固体(2.1g)として得た。これは242〜243℃で溶解した。
H NMR(CDCl)δ10.45(br s、1H)、7.5−7.6(m、3H)、7.4(m、3H)、7.03(s、1H)、6.3(br d、1H)、2.98(d、3H)、2.25(s、3H)
【0074】
実施例3
3−ブロモ−1−(2−クロロフェニル)−N−[2,4−ジクロロ −6−[(メチルアミノ)−カルボニル]フェニル]−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの製造
工程A:2−[3−ブロモ−1−(2−クロロフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−6,8−ジクロロ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オンの製造
アセトニトリル(60mL)中の3−ブロモ−1−(2−クロロフェニル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸(すなわち、実施例1、工程Eのカルボン酸生成物)(3.0g、9.44ミリモル)および3,5−ジクロロアントラニル酸(1.94g、9.44ミリモル)の混合物に、室温で3−ピコリン(4.81mL、49.1ミリモル)を添加し、そして反応混合物を5分間撹拌した。反応混合物を−10℃まで冷却し、そしてアセトニトリル(5mL)中の塩化メタンスルホニル(1.91mL、24.56ミリモル)を滴下添加した。反応混合物を室温に加温し、そして一晩撹拌した。得られた固体を濾過によって単離し、水で洗浄し、次いで過剰量の塩化メチレン中に溶解し、そして乾燥させた(MgSO)。溶媒を減圧下で蒸発させ、そして残渣固体をシリカゲル上クロマトグラフィによって精製して表題化合物(2.0g)を得た。
H NMR(CDCl)δ8.0(s、1H)、7.72(s、1H)、7.4−7.55(m、4H)、7.28(s、1H)
【0075】
工程B:3−ブロモ−1−(2−クロロフェニル)−N−[2,4−ジクロロ−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの製造
0℃まで冷却されたアセトニトリル(150mL)中の2−[3−ブロモ−1−(2−クロロフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−6,8−ジクロロ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン(すなわち、工程Aの生成物)(2.4g、8.8ミリモル)の溶液に、メチルアミン(2.0M THF溶液、17.7mL、35.4ミリモル)を滴下添加し、そして反応混合物を15分間撹拌した。反応が進行すると濃厚な白色固体が形成した。固体を濾過によって単離し、そしてシリカゲルクロマトグラフィによって精製して本発明の化合物である白色固体(2.08g)として表題化合物を得た。これは209〜210℃で溶解した。
H NMR(CDCl)δ9.3(br s、1H)、7.5(m、1H)、7.45(m、2H)、3.39(m、2H)、7.31(d、1H)、7.08(s、1H)、6.18(br d、1H)、2.91(d、1H)
【0076】
当該分野で既知の方法と一緒に、本明細書に記載の手順によって以下の表1〜3の化合物を製造することができる。表中、以下の略号を使用する:tは第三級を意味し、iはイソを意味し、cはシクロを意味し、Meはメチルを意味し、Etはエチルを意味し、i−Prはイソプロピルを意味し、Buはブチルを意味し、SMeはメチルチオを意味し、CNはシアノを意味し、2,6−ジ−Clは2,6−ジクロロを意味し、2,6−ジ−Fは2,6−ジフルオロを意味し、2,4,6−トリ−Clは2,4,6−トリクロロを意味し、Yは式1のRのフェニル環上の1〜3個の置換基を指す。
【0077】
【表1】

【0078】
【表2】

【0079】
【表3】

【0080】
【表4】

【0081】
【表5】

【0082】
【表6】

【0083】
【表7】

【0084】
【表8】

【0085】
【表9】

【0086】
【表10】

【0087】
【表11】

【0088】
【表12】

【0089】
【表13】

【0090】
製剤/効用
本発明の化合物は一般的に、少なくとも1つの液体希釈剤、固体希釈剤または界面活性剤を含んでなる農業的もしくは非農業的用途に適切な担体とともに製剤または組成物として使用される。製剤または組成物成分は、活性成分の物性、適用形態、ならびに土壌タイプ、湿度および温度のような環境要因と調和するように選択される。有用な製剤は、場合によりゲルへと濃厚化されることが可能な、溶液(乳化可能な濃縮物を含む)、懸濁液、乳液(ミクロエマルジョンおよび/またはサスポエマルジョンを含む)等のような液体を含む。有用な製剤はさらに、水分散性(「水和」)または水溶性であり得る、ダスト、粉末、顆粒、ペレット、タブレット、フィルム等のような固体を含む。活性成分を(マイクロ)カプセル化することができ、さらに懸濁液または固体製剤へと形成することができ、あるいは活性成分の全製剤をカプセル化(または「オーバーコート」)することができる。カプセル化により、活性成分放出を制御することができるか、または遅らせることができる。噴霧可能な製剤を適切な培地に施すことができ、1ヘクタールあたり約1〜数百リットルの噴霧量で使用することができる。さらなる製剤の中間体として、最初に高強度組成物を使用する。
【0091】
製剤は典型的に、以下の100重量%まで加算される適切な範囲内で、有効量の活性成分および少なくとも一種の液体希釈剤、固体希釈剤または界面活性剤を含む。
【0092】
【表14】

【0093】
典型的な固体希釈剤は、ワトキンス(Watkins)ら、ハンドブック オブ インセクティサイド ダスト ディリューエンツ アンド キャリアズ(Handbook of Insecticide Dust Diluents and Carriers)第2版、ドーランド ブックス(Dorland Books)、コールドウェル(Caldwell)、ニュージャージー州(New Jersey)に記載されている。典型的な液体希釈剤は、マルスデン(Marsden)、ソルベンツ ガイド(Solvents Guide)第2版、インターサイエンス(Interscience)、ニューヨーク(New York)、1950年に記載されている。マクカッチェオンズ デタージェンツ アンド エマルシフィアズ アニュアル(McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers Annual)、アルレッド パブリッシング コーポレーション(Allured Publ.Corp.)、リッジウッド(Ridgewood)、ニュージャージー州(New Jersey)およびシスレー(Sisely)およびウッド(Wood)、エンサイクロペディア オブ サーフェイス アクティブ エージェンツ(Encyclopedia of Surface Active Agents)、ケミカル パブリッシング カンパニー インコーポレイテッド(Chemical Publ.Co.,Inc.)、ニューヨーク(New York)、1964年は界面活性剤および推奨される使用を記載している。全ての製剤は、発泡、ケーキング、腐食、微生物の増殖等を低下させるための添加剤、または粘度を増加させるための増粘剤を少量含有し得る。
【0094】
界面活性剤としては、例えば、ポリエトキシル化アルコール、ポリエトキシル化アルキルフェノール、ポリエトキシル化ソルビタン脂肪酸エステル、ジアルキルスルホスクシネート、アルキルスルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、オルガノシリコーン、N,N−ジアルキルタウレート、リグニンスルホネート、ナフタレンスルホネートホルムアルデヒド縮合物、ポリカルボキシレートおよびポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックコポリマーが挙げられる。固体希釈剤としては、例えば、ベントナイト、モンモリロナイト、アタパルジャイトおよびカオリンのような粘土、澱粉、糖、シリカ、タルク、珪藻土、尿素、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウム、ならびに硫酸ナトリウムが挙げられる。液体希釈剤としては、例えば、水、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−アルキルピロリドン、エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、パラフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、オリーブ油、ひまし油、亜麻仁油、桐油、ゴマ油、コーン油、ピーナッツ油、綿実油、大豆油、菜種油およびココナッツ油、脂肪酸エステル、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、イソホロンおよび4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンのようなケトンならびにメタノール、シクロヘキサノール、デカノールおよびテトラヒドロフルフリルアルコールのようなアルコールが挙げられる。
【0095】
本発明の有用な製剤は、消泡剤、フィルム成形要素および染料のような製剤補助剤として既知の材料を含み得、そして当業者に周知である。
【0096】
消泡剤としては、ロードーシル(Rhodorsil)(登録商標)415のようなポリオルガノシロキサンを含んでなる水分散性液体が挙げられる。フィルム形成要素としては、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマーおよびワックスが挙げられる。染料としては、プロ−ルゼド(Pro−lzed)(登録商標)カーラント レッド(Colorant Red)のような水分散性液体の顔料組成物が挙げられる。これが製剤補助剤の完全リストでないことを当業者は認識するだろう。製剤補助剤の適切な例としては、本明細書に記載されるもの、ならびにMC パブリッシング カンパニー(MC Publishing Company)から出版されたマカッチャンズ(McCutcheon’s)2001、第2巻:ファンクショナル マテリアルズ(Functional materials)およびPCT国際公開第03/024222号パンフレットに記載されるものが挙げられる。
【0097】
成分を単純に混合することにより、乳化可能濃縮物を含む溶液を製造することができる。ブレンドおよび通常、ハンマーミルまたは流体エネルギーミルにおいて粉砕することにより、ダストおよび粉末を製造することができる。懸濁液は通常、湿式粉砕により製造される。例えば、米国特許第3,060,084号明細書を参照のこと。予備形成された顆粒担体上に活性材料を噴霧することにより、または凝集技術により、顆粒およびペレットを製造することができる。ブローニング(Browning)、「アグロメレーション(Agglomeration)」、ケミカル エンジニアリング(Chemical Engineering)、1967年12月4日、第147〜48頁、ペリーズ ケミカル エンジニアズ ハンドブック(Perry’s Chemical Engineer’s Handbook)、第4版、マクグロウ−ヒル(McGraw−Hill)、ニューヨーク(New York)、1963年、第8〜57頁以下およびPCT国際公開第91/13546号パンフレットを参照のこと。米国特許第4,172,714号明細書に記載されるようにペレットを製造することができる。米国特許第4,144,050号明細書、米国特許第3,920,442号明細書およびDE3,246,493号明細書に教示されるように水分散性および水溶性顆粒を製造することができる。米国特許第5,180,587号明細書、米国特許第5,232,701号明細書および米国特許第5,208,030号明細書に教示されるようにタブレットを製造することができる。GB2,095,558号明細書および米国特許第3,299,566号明細書に教示されるようにフィルムを製造することができる。
【0098】
製剤の分野に関するさらなる情報に関しては、T.S.ウッズ(T.S.Woods)、ペスティサイド ケミストリー アンド バイオサイエンス、ザ フード−エンバイロンメント チャレンジ(Pesticide Chemistry and Bioscience,The Food−Environment Challenge)における「ザ フォーミュレーターズ ツールボックス−プロダクト フォームス フォー モダン アグリカルチャー(The Formulator’s Toolbox −Product Forms for Modern Agriculture)」、T.ブルックス(T.Brooks)およびT.R.ロバーツ(T.R.Roberts)編、プロシーディングス オブ ザ ナインス インターナショナル コングレス オン ペスティサイド ケミストリー(Proceedings of the 9th International Congress on Pesticide Chemistry)、ザ ロイヤル ソサエティー オブ ケミストリー(The Royal Society of Chemistry)、ケンブリッジ(Cambridge)、1999年、第120〜133を参照のこと。米国特許第3,235,361号明細書、第6欄、第16行〜第7欄、第19行および実施例10〜41;米国特許第3,309,192号明細書、第5欄、第43行〜第7欄、第62行および実施例8、12、15、39、41、52、53、58、132、138〜140、162〜164、166、167および169〜182;米国特許第2,891,855号明細書、第3欄、第66行〜第5欄、第17行および実施例1〜4;クリングマン(Klingman)、ウィード コントロール アズ ア サイエンス(Weed Control as a Science)、ジョン ウィリー アンド サンズ インコーポレイテッド(John Wiley and Sons,Inc)、ニューヨーク(New York)、1961年、第81〜96頁;ハンス(Hance)ら、ウィード コントロール ハンドブック(Weed Control Handbook)、第8版、ブラックウェル サイエンティフィック パブリケーションズ(Blackwell Scientific Publications)、オックスフォード(Oxford)、1989年;ならびにデベロップメンツ イン フォーミュレーション テクノロジー(Developments in formulation technology)、PJB パブリケーションズ(PJB Publications)、英国、リッチモンド(Richmond、UK)、2000年も参照のこと。
【0099】
以下の実施例において、全てのパーセントは重量によるものであり、全ての製剤は従来法で製造される。化合物の番号は、索引表Aの化合物を参照する。
【0100】
【表15】

【0101】
【表16】

【0102】
【表17】

【0103】
【表18】

【0104】
【表19】

【0105】
本発明の化合物は、都合のよい代謝および/または土壌残留パターンを持つことを特徴とし、農業と非農業の無脊椎有害生物のスペクトルを制御する活性を呈する。また本発明の化合物は、本発明の化合物を含んでなる殺虫剤組成物と直接接触することなく、葉面および他の植物の部分を保護するために転位置を示す、植物における都合のよい葉面または土壌適用組織性も特徴とする。(本願開示内容の文脈において、「無脊椎有害生物の防除」とは、摂食(feeding)を大きく低下させる無脊椎有害生物の発育または有害生物によって引き起こされる他の損傷あるいは被害の阻害(死滅させることを含む)を意味し、関連の表現については同様に定義する。)本願開示で用いる場合、「無脊椎有害生物」という用語には、有害生物として経済的観点から重要である節足動物、腹足類および線虫を含む。「節足動物」という用語には、昆虫、ダニ、クモ、サソリ、ムカデ、ヤスデ、ダンゴムシ、コムカデを含む。「腹足類」という用語には、カタツムリ、ナメクジ、その他の柄眼目を含む。「線虫」という用語には、回虫、犬糸状虫および植物寄生性線虫(線虫綱)、吸虫(吸虫綱)、鉤頭動物門および条虫(条虫綱)などのあらゆる蠕虫類を含む。すべての化合物があらゆる有害生物に同じように有効だとは限らないことは当業者であれば分かるであろう。本発明の化合物は、経済的に重要な農業的および非農業的有害生物に対して活性を示す。用語「農業的」は、食品および繊維のような農作物の生産を指し、禾穀類(例えば、小麦、オート麦、大麦、ライ麦、米、トウモロコシ)、大豆、野菜作物(例えば、レタス、キャベツ、トマト、豆)、ジャガイモ、サツマイモ、ブドウ、綿および果樹(例えば、梨状果、石果および柑橘類果物)の育成を含む。用語「非農業的」は、他の園芸(例えば森林、温室、苗床または原野で育成されない装飾用植物)、シラミ、ダニおよび蚊のような病原媒介性有害生物の防除による公衆衛生(人間の健康)および動物の健康(ペット、家畜、家禽、野生動物のような家畜化されていない動物)、家庭用および商業用建造体、家庭用品、ならびに貯蔵製品用途または有害生物を指す。無脊椎有害生物防除範囲および経済的重要性の理由のため、無脊椎有害生物防除による綿、トウモロコシ、大豆、米、野菜作物、ジャガイモ、サツマイモ、ブドウおよび果樹の農作物の保護(無脊椎有害生物により引き起こされる損害または傷害から)は本発明の一実施形態である。農業的および非農業的有害生物としては、ヤガ科のアーミーワーム、根切虫、ルーパー、タバコガ(ハスモンヨトウ(Spodoptera fugiperda J.E.スミス(Smith))、シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua ヒュブネル(Huebner))、タマナヤガ(Agrotis ipsilon ハフナゲル(Hufnagel))、イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni ヒュブネル(Huebner))、オオタバコガ(Heliothis virescens ファブリシウス(Fabricius))など);メイガ科の穿孔性害虫、繭を作る害虫、食葉に巣を作る群局性害虫、コーンワーム、アオムシ、葉脈を残して葉を食害する害虫(アワノメイガ(Ostrinia nubilalis ヒュブネル(Huebner))、ネーブルオレンジワーム(Amyelois transitella ウォーカー(Walker))、ウスギンツトガ(Crambus caliginosellus クレメンス(Clemens))、クロオビクロノメイガ(Herpetogramma licarsisalis ウォーカー(Walker))など);ハマキガ科のハマキムシ、芽を食害する害虫、種子を食害する害虫、果実を食害する害虫(コドリンガ(Cydia pomonella リンネ(Linnaeus))、グレープベリーモス(Endopiza viteana クレメンス(Clemens))、ナシヒメシンクイ(Grapholita molesta ブスク(Busck))など);経済的観点から重要な他の多くの鱗翅目(コナガ(Plutella xylostella リンネ(Linnaeus))、ワタアカミムシ(Pectinophora gossypiella ソーンダズ(Saunders))、マイマイガ(Lymantria dispar) リンネ(Linnaeus)など)などの鱗翅目の幼虫;チャバネゴキブリ科およびゴキブリ科(トウヨウゴキブリ(Blatta orientalis リンネ(Linnaeus))、アジアゴキブリ(Blatella asahinai ミズクボ(Mizukubo))、チャバネゴキブリ(Blattella germanica リンネ(Linnaeus))、チャオビゴキブリ(Supella longipalpa ファブリシウス(Fabricius))、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana リンネ(Linnaeus))、トビイロゴキブリ(Periplaneta brunnea バーマイスター(Burmeister))、マデラゴキブリ(Leucophaea maderae ファブリシウス(Fabricius)))などのゴキブリをはじめとするゴキブリ目のニンフおよび成虫;ヒゲナガゾウムシ科、マメゾウムシ科、ゾウムシ科のゾウムシ(ワタミゾウムシ(Anthonomus grandis ボヘマン(Boheman))、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus クッシェル(Kuschel))、オサゾウムシ(Sitophilus granarius リンネ(Linnaeus))、ココクゾウムシ(Sitophilus oryzae) リンネ(Linnaeus));ハムシ科のノミハムシ、ウリハムシ、根食い線虫、ハムシ、イモハムシおよびハモグリムシ(コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata セイ(Say))、ウェスタンコーンルートワーム(Diabrotica virgifera virgifera ルコンテ(LeConte))など);コガネムシ科(Scaribaeidae)のコガネムシおよび他の甲虫(マメコガネ(Popillia japonica ニューマン(Newman))、ヨーロピアンコガネムシ(European chafer)(Rhizotrogus majalis ラゾウモブスキー(Razoumowsky))など);カツオブシムシ科のカツオブシムシ;コメツキムシ科のコメツキムシ;キクイムシ科のキクイムシ、ゴミムシダマシ科のコクヌストモドキをはじめとする鞘翅目の食葉性幼虫および成虫が挙げられる。また農業的および非農業的有害生物としては、クギヌキハサミムシ科のハサミムシ(ヨーロッパクギヌキハサミムシ(Forficula auricularia) リンネ(Linnaeus)、ブラックイヤウィグ(black earwig)(Chelisoches morio ファブリシウス(Fabricius))など)をはじめとする革翅目の成虫および幼虫;カスミカメムシ科のカスミカメムシ、セミ科のセミ、ヨコバイ科のヨコバイ(カキノヒメヨコバイ(Empoasca)spp.など)、アワフキムシ科(Fulgoroidae)およびウンカ科のプラントホッパー、ツノゼミ科のツノゼミ、キジラミ科のキジラミ、コナジラミ科のコナジラミ、アブラムシ科のアブラムシ、ネアブラムシ科のネアブラムシ、コナカイガラムシ科のコナカイガラムシ、カタカイガラムシ科、マルカイガラムシ科およびワタフキカイガラムシ科のカイガラムシ、グンバイムシ科のグンバイムシ、カメムシ科のカメムシ、ナガカメムシ科のナガカメムシ(cinch bug)(Blissus spp.など)ならびに他のコバネナガカメムシ、コガシラアワフキ科のアワフキムシ、ヘリカメムシ科のヘリカメムシ、ホシカメムシ科のアカホシカメムシおよびホシカメムシなどの半翅目および同翅目の成虫およびニンフも挙げられる。さらに農業的および非農業的有害生物として、ハダニ科のハダニおよびアカダニ(リンゴハダニ(Panonychus ulmi コッチ(Koch))、ナミハダニ(Tetranychus urticae コッチ(Koch))、マクダニエルダニ(Tetranychus mcdanieli マクレガー(McGregor))など)、ヒメハダニ科のヒメハダニ(カンキツヒメハダニ(Brevipalpus lewisi マクレガー(McGregor))など)、フシダニ科のサビダニおよびフシダニならびに他の食葉性ダニなどのコナダニ(ダニ)ならびに、人間および動物の健康にとって重要なダニすなわち、チリダニ科のヒョウダニ、ニキビダニ科のニキビダニ、ニクダニ科のムギコナダニ、マダニ科のマダニ(シカダニ(Ixodes scapularis セイ(Say))、オーストラリアマダニ(Ixodes holocyclus ニューマン(Neumann))、カクマダニ(Dermacentor variabilis セイ(Say))、ローンスターチック(lone star tick)(Amblyomma americanum リンネ(Linnaeus))、キュウセンダニ科、シラミダニ科、ヒゼンダニ科の疥癬や皮癬のダニの成虫および幼虫;バッタ、イナゴおよびコオロギ(クルマバッタ(Melanoplus sanguinipes ファブリシウス(Fabricius)、M.differentialis トーマス(Thomas))、アメリカイナゴ(Schistocerca americana ドルーリー(Drury)など)、サバクバッタ(Schistocerca gregaria フォースカル(Forskal))、トノサマバッタ(Locusta migratoria リンネ(Linnaeus))、ヨーロッパイエコオロギ(Acheta domesticus リンネ(Linnaeus))、ケラ(Gryllotalpa spp.)など)をはじめとする直翅目の成虫および幼若虫;ハモグリムシ、ユスリカ、ミバエ(ミバエ科)、キモグリバエ(Oscinella frit リンネ(Linnaeus))、ウジバエ、イエバエ(Musca domestica リンネ(Linnaeus)など)、ヒメイエバエ(Fannia canicularis リンネ(Linnaeus)、F.femoralis ステイン(Stein)など)、サシバエ(Stomoxys calcitrans リンネ(Linnaeus))、イエバエの一種(face fly)、ノサシバエ、クロバエ(Chrysomya spp.、Phormia spp.)および他のイエバエ(muscoid)有害生物、アブ(Tabanus spp.など)、ウマバエ(Gastrophilus spp.、Oestrus spp.など)、ウシバエ(Hypoderma spp.など)、メクラアブ(Chrysops spp.)、ヒツジシラミバエ(Melophagus ovinus リンネ(Linnaeus)など)ならびに他の短角亜目、カ(Aedes spp.、Anopheles spp.、Culex spp.など)、ブユ(Prosimulium spp.、Simulium spp.など)、クロヌカカ、スナバエ、sciaridsおよび他の長角亜目をはじめとする双翅目の成虫および幼若虫;ネギアザミウマ(Thrips tabaci リンデマン(Lindeman))および他の食葉性アザミウマをはじめとする総翅目の成虫および幼若虫;アリ(アカオオアリ(Camponotus ferrugineus ファブリシウス(Fabricius))、クロオオアリ(Camponotus pennsylvanicus デ・ギーア(De Geer))、イエヒメアリ(Monomorium pharaonis リンネ(Linnaeus))、チビヒアリ(Wasmannia auropunctata Roger)、アカカミアリ(Solenopsis gemina
ta ファブリシウス(Fabricius))、ヒアリ(Solenopsis invicta ブレン(Buren))、アルゼンチンアリ(Iridomyrmex humilis メイル(Mayr))、アシナガキアリ(Paratrechina longicornis ラトレイル(Latreille))、トビイロシワアリ(Tetramorium caespitum リンネ(Linnaeus))、ヒメトビイロケアリ(Lasius alienus フォースター(Foerster))、コヌカアリ(Tapinoma sessile セイ(Say)))、ハチ(クマバチを含む)、スズメバチ(hornet)、スズメバチ(yellow jacket)、大形のハチ(wasp)をはじめとするハチ目の昆虫有害生物;ミゾガシラシロアリ(Reticulitermes flavipes コラー(Kollar))、セイヨウシロアリ(Reticulitermes hesperus バンクス(Banks))、イエシロアリ(Coptotermes formosanus シラキ(Shiraki))、ハワイシロアリ(Incisitermes immigrans シンダー(Snyder))および他の経済的観点から重要であるシロアリなどのシロアリ目の昆虫有害生物;セイヨウシミ(Lepisma saccharina リンネ(Linnaeus))、マダラシミ(Thermobia domestica パッカード(Packard))などのシミ目の昆虫有害生物;コロモジラミ(Pediculus humanus capitis デ・ギーア(De Geer))、アタマジラミ(Pediculus humanus humanus リンネ(Linnaeus))、ニワトリハジラミ(Menacanthus stramineus ニッツ(Nitszch))、イヌハジラミ(Trichodectes canis デ・ギーア(De Geer))、fluff louse(Goniocotes gallinae デ・ギーア(De Geer))、ヒツジハジラミ(Bovicola ovis シュランク(Schrank))、ウシジラミ(short−nosed cattle louse)(Haematopinus eurysternus ニッツ(Nitszch))、ウシジラミ(long−nosed cattle louse)(Linognathus vituli リンネ(Linnaeus))ならびに、人間や動物につく他の吸血シラミおよびハジラミを含むハジラミ目の昆虫有害生物;ケオプスネズミノミ(Xenopsylla cheopis ロッシュチャイルド(Rothschild))、ネコノミ(Ctenocephalides felis ブーシュ(Bouche))、イヌノミ(Ctenocephalides canis カーティス(Curtis))、ニワトリノミ(Ceratophyllus gallinae シュランク(Schrank))、ニワトリフトノミ(Echidnophaga gallinacea ウェストウッド(Westwood))、ヒトノミ(Pulex irritans リンネ(Linnaeus))および人間や鳥を悩ます他のノミを含むノミ目の昆虫有害生物が挙げられる。包含されるさらに他の無脊椎有害生物として、ドクイトグモ(Loxosceles reclusa グレッチュおよびミュレイク(Gertsch & Mulaik))ならびにクロゴケグモ(Latrodectus mactans ファブリシウス(Fabricius))などのクモ目のクモ、イエムカデ(Scutigera coleoptrata リンネ(Linnaeus))などの唇脚綱ゲジ目のムカデが挙げられる。本発明の化合物は、経済的観点から重要な農業有害生物(すなわち、ネコブセンチュウ属の根こぶ線虫、ネグサレセンチュウ属の根ぐされ線虫、ユミハリセンチュウ属のユミハリ線虫など)ならびに動物および人間の健康を害する有害生物(すなわち、経済的観点から重要なあらゆる吸虫、条虫および回虫であり、ウマの普通円虫(Strongylus vulgaris)、イヌの犬回虫(Toxocara canis)、ヒツジの捻転胃虫(Haemonchus contortus)、イヌの犬糸状虫(Dirofilaria immitis レイディ(Leidy))、ウマの葉状条虫(Anoplocephala perfoliata)、反芻動物の肝蛭虫(Fasciola hepatica リンネ(Linnaeus))など)などであるがこれに限定されるものではない、円虫目、回虫目、蟯虫目、ラブジチダ目、センビセンチュウ目、エノプルス目の経済的観点から重要な虫類をはじめとする、線虫綱、条虫綱、吸虫綱および鉤頭動物門の虫類にも活性を有する。
【0106】
本発明の化合物は、鱗翅目(ヤガの幼虫(Alabama argillacea Huebner)、果樹ハマキムシ(Archips argyrospila Walker)、セイヨウハマキ(A.rosana Linnaeus)およびその他のハマキ(Archips)種、ニカメイチュウ(Chilo suppressalis Walker)、コブノメイガ(Cnaphalocrosis medinalis Guenee)、ハムシモドキの幼虫(Crambus caliginosellus Clemens)、シバツトガ(Crambus teterrellus Zincken)、コドリンガ(Cydia pomonella Linnaeus)、ミスジアオリンガ(Earias insulana Boisduval)、クサオビリンガ(Earias vittella Fabricius)、オオタバコガ(Helicoverpa armigera Huebner)、オオタバコガの幼虫(Helicoverpa zea Boddie)、オオタバコガの幼虫(Heliothis virescens Fabricius)、クロオビクロノメイガ(Herpetogramma licarsisalis Walker)、ホソバヒメハマキ(Lobesia botrana Denis & Schiffermueller)、ワタアカミムシガ(Pectinophora gossypiella Saunders)、ミカンコハモグリ(Phyllocnistis citrella Stainton)、オオモンシロチョウ(Pieris brassicae Linnaeus)、モンシロチョウ(Pieris rapae Linnaeus)、コナガ(Plutella xylostella Linnaeus)、シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua Huebner)、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura Fabricius)、ヨトウガの一種(Spodoptera frugiperda J.E.Smith)、イラクサキンウワバ(Trichoplusia ni Huebner)およびキバガの一種(Tuta absoluta Meyrick)など)の有害生物に対して特に高い活性を示す。また、本発明の化合物は、エンドウヒゲナガアブラムシ(Acyrthisiphon pisum Harris)、マメアブラムシ(Aphis craccivora Koch)、マメクロアブラムシ(Aphis fabae Scopoli)、ワタアブラムシ(Aphis gossypii Glover)、リンゴアブラムシ(Aphis pomi De Geer)、ユキヤナギアブラムシ(Aphis spiraecola Patch)、ジャガイモヒゲナガアブラムシ(Aulacorthum solani Kaltenbach)、イチゴケナガアブラムシ(Chaetosiphon fragaefolii Cockerell)、ロシアコムギアブラムシ(Diuraphis noxia Kurdjumov/Mordvilko)、バラリンゴアブラムシ(Dysaphis plantaginea Paaserini)、リンゴワタムシ(Eriosoma lanigerum Hausmann)、モモコフキアブラムシ(Hyalopterus pruni Geoffroy)、ニセダイコンアブラムシ(Lipaphis erysimi Kaltenbach)、穀類につくアブラムシ(Metopolophium dirrhodum Walker)、チューリップヒゲナガアブラムシ(Macrosipum euphorbiae Thomas)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae Sulzer)、レタスアブラムシ)Nasonovia ribisnigri Mosley)、コブアブラムシ(Pemphigus spp.)、トウモロコシアブラムシ(Rhopalosiphum maidis Fitch)、ムギクビレアブラムシ(Rhopalosiphum padi Linnaeus)、ムギミドリアブラムシ(Schizaphis graminum Rondani)、ムギヒゲナガアブラムシ(Sitobion avenae Fabricius)、マダラアルファルファアブラムシ(Therioaphis maculata Buckton)、コミカンアブラムシ(Toxoptera aurantii Boyer de Fonscolombe)およびミカンクロアブラムシ(Toxoptera citricida Kirkaldy)、カサアブラムシ(Adelges spp.)、ペカンネアブラムシ(Phylloxera devastatrix Pergande)、タバココナジラミ(Bemisia tabaci Gennadius)、シルバーリーフコナジラミ(Bemisia argentifolii Bellows & Perring)、ミカンコナジラミ(Dialeurodes citri Ashmead)およびオンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum Westwood)、ジャガイモヒメヨコバイ(Empoasca fabae Harris)、ヒメトビウンカ(Laodelphax striatellus Fallen)、フタテンヨコバイ(Macrolestes quadrilineatus Forbes)、ツマグロヨコバイ(Nephotettix cinticeps Uhler)、クロスジツマグロヨコバイ(Nephotettix nigropictus Stal)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens Stal)、トウモロコシウンカ(Peregrinus maidis Ashmead)、セジロウンカ(Sogatella furcifera Horvath)、イネウンカ(Sogatodes orizicola Muir)、シロリンゴヨコバイ(Typhlocyba pomaria McAtee)、チマダラヒメヨコバイ(Erythroneoura spp.)、十七年ゼミ(Magcidada septendecim Linnaeus)、イセリヤカイガラムシ(Icerya purchasi Maskell)、サンホゼカイガラムシ(Quadraspidiotus perniciosus Comstock)、ミカンコナカイガラムシ(Planococcus citri Risso)、他のコナカイガラムシ(Pseudococcus spp.)、ヨーロッパナシキジラミ(Cacopsylla pyricola Foerster)、カキキジラミ(Trioza diospyri Ashmead)を含む同翅目の虫類に対して商業的に有用な活性を有する。これらの化合物は、アオクサカメムシ(Acrosternum hilare Say)、ヘリカメムシの一種(Anasa tristis De Geer)、コバネナガカメの一種(Blissus leucopterus leucopterus Say)、コットンレースバグ(Corythuca gossypii Fabricius)、トマトバグ(Cyrtopeltis modesta Distant)、アカホシカメムシ(Dysdercus suturellus Herrich−Schaeffer)、茶色のカメムシの一種(Euchistus servus Say)、イッテンカメムシ(Euchistus variolarius Palisot de Beauvois)、ヒメマダラカメムシ(Graptosthetus spp.)、マツノミヘリカメムシ(Leptoglossus corculus Say)、ミドリメクラガメ(Lygus lineolaris Palisot de Beauvois)、ミナミアオカメムシ(Nezara viridula Linnaeus)、イネカメムシ(Oebalus pugnax Fabricius)、ナガカメムシの一種(Oncopeltus fasciatus Dallas)、ワタノミハムシ(Pseudatomoscelis seriatus Reuterを含む半翅目の虫類に対する活性も有する。本発明の化合物で防除される他の昆虫目としては、総翅目(ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis Pergande)、ミカンアザミウマ(Scirthothrips citri Moulton)、ダイズアザミウマ(Sericothrips variabilis Beach)およびネギアザミウマ(Thrips tabaci Lindeman)など);鞘翅目(コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata Say)、インゲンテントウ(Epilachna varivestis Mulsant)およびアグリオテス(Agriotes)属、アトウス(Athous)属またはリモニウス(Limonius)属のコメツキムシの幼虫など)が挙げられる。
【0107】
本発明の化合物を、殺虫剤、殺菌・殺カビ剤、殺線虫剤、殺バクテリア剤、殺ダニ剤、発根刺激剤のような成長調整剤、不妊化剤、信号化学物質、忌避剤、誘引剤、フェロモン、摂食刺激剤、他の生物学的に活性な化合物または昆虫病原性バクテリア、ウィルスまたは菌・カビ類を含む、1つもしくはそれ以上の他の生物学的に活性な化合物または薬剤と混合して、より広範囲の農業的および非農業的効用を与える多成分有害生物防除剤を形成することもできる。従って、本発明は、生物学的に有効な量の式1の化合物と、有効量の少なくとも1つの追加の生物学的に活性な化合物または薬剤とを含んでなり、そして少なくとも1つの界面活性剤、固体希釈剤または液体希釈剤をさらに含んでなり得る組成物にも関する。本発明の化合物と配合することができるかかる生物学的に活性な化合物または薬剤の例は、アバメクチン、アセフェート、アセトアミプリド、アミドフルメト、アベルメクチン、アザジラクチン、アジンホス−メチル、ビフェントリン、ビンフェナゼート、ブプロフェジン、カルボフラン、クロルフェナピル、クロルフルアズロン、クロルピリホス、クロルピリホス−メチル、クロムアフェノジド、クロチアニジン、シフルトリン、β−シフルトリン、シハロトリン、λ−シハロトリン、シペルメトリン、シロマジン、デルタメトリン、ジアフェンチウロン、ジアジノン、ジフルベンズロン、ジメトエート、ジオフェノラン、エマメクチン、エンドスルファン、エスフェンバレレート、エチプロール、フェノチカルブ、フェノキシカルブ、フェンプロパトリン、フェンバレレート、フィプロニル、フロニカミド、フルシトリネート、τ−フルバリネート、フルフェネリム、フルフェノクロン、ホノホス、ハロフェノジド、ヘキサフルムロン、イミダクロプリド、インドキサカルブ、イソフェンホス、ルフェヌロン、マラチオン、メタルデヒド、メタミドホス、メチダチオン、メトミル、メトプレン、メトキシクロル、モノクロトホス、メトキシフェノジド、ニチアジン、ノバルロン、ノビフルムロン、オキサミル、パラチオン、パラチオン−メチル、ペルメトリン、ホレート、ホサロン、ホスメト、ホスファミドン、ピリミカルブ、プロフェノホス、ピメトロジン、ピリダリル、ピリプロキシフェン、ロテノン、スピノサド、スピロメシフェン、スルプロホス、テブフェノジド、テフルベンズロン、テフルトリン、テルブホス、テトラクロルビンホス、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオスルタプ−ナトリウム、トラロメトリン、トリクロルホンおよびトリフルムロンのような殺虫剤;アシベンゾラー、アゾキシストロビン、ベノミル、ブラストサイジン−S、ボルドー混合物(三塩基性硫酸銅)、ブロムコナゾール、カルプロパミド、カプタホール、カプタン、カルベンダジム、クロロネブ、クロロタロニル、酸塩化銅、銅塩、シフルフェナミド、シモキサニル、シプロコナゾール、シプロジニル、(S)−3,5−ジクロロ−N−(3−クロロ−1−エチル−1−メチル−2−オキソプロピル)−4−メチルベンズアミド(RH7281)、ジクロシメト(S−2900)、ジクロメジン、ジクロラン、ジフェノコナゾール、(S)−3,5−ジヒドロ−5−メチル−2−(メチルチオ)−5−フェニル−3−(フェニルアミノ)−4H−イミダゾール−4−オン(RP407213)、ジメトモルフ、ジモキシストロビン、ジニコナゾール、ジニコナゾール−M、ドジン、エジフェンホス、エポキシコナゾール、ファモキサドン、フェナミドン、フェナリモル、フェンブコナゾール、フェンカラミド(SZX0722)、フェンピクロニル、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、フェンチンアセテート、フェンチンヒドロキシド、フルアジナム、フルジオキソニル、フルメトバー(RPA403397)、フルモルフ/フルモリン(SYP−L190)、フルオキサストロビン(HEC5725)、フルキンコナゾール、フルシナゾール、フルトラニル、フルトリアホール、ホルペット、ホセチル−アルミニウム、フララキシル、フラメタピル(S−82658)、ヘキサコナゾール、イプコナゾール、イプロベンホス、イプロジオン、イソプロチオラン、カスガマイシン、クレソキシム−メチル、マンコゼブ、マネブ、メフェノキサム、メプロニル、メタラキシル、メトコナゾール、メトミノストロビン/フェノミノストロビン(SSF−126)、メトラフェノン(AC375839)、ミクロブタニル、ネオ−アソジン(メタンアルソネート第二鉄)、ニコビフェン(BAS510)、オリザストロビン、オキサジキシル、ペンコナゾール、ペンシクロン、プロベナゾール、プロクロラズ、プロパモカルブ、プロピコナゾール、プロキナジド(DPX−KQ926)、、プロチオコナゾール(JAU6476)、ピリフェノックス、ピラクロストロビン、ピリメタニル、ピロキロン、キノキシフェン、スピロキサミン、イオウ、テブコナゾール、テトラコナゾール、チアベンダゾール、チフルズアミド、チオファナート−メチル、チラム、チアジニル、トリアジメホン、トリアジメノール、トリシクラゾール、トリフロキシストロビン、トリチコナゾール、バリダマイシンおよびビンクロゾリンのような殺菌・殺カビ剤;アルジカルブ、オキサミルおよびフェナミホスのような殺線虫剤;ストレプトマイシンのような殺バクテリア剤;アミトラズ、キノメチオナト、クロロベンジラート、シヘキサチン、ジコホル、ジエノクロル、エトキサゾール、フェナザキン、フェンブタチンオキシド、フェンプロパトリン、フェンピロキシメート、ヘキシチアゾクス、プロパルギット、ピリダベンおよびテブフェンピラドのような殺ダニ剤;ならびに亜種アイザワイ(aizawai)およびクルスターキ(kurstaki)を含むバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)デルタエンドトキシン、バクロウィルス、および昆虫病原性バクテリア、ウィルスおよび菌・カビ類のような生物剤である。無脊椎有害生物に対してタンパク質毒性(例えば、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)毒素)を発現するように遺伝的に形質転換された植物に、本発明の化合物およびそれらの組成物を適用することができる。外因的に適用された本発明の無脊椎有害生物防除化合物の効果は、発現された毒素タンパク質と相乗的であり得る。
【0108】
これらの農業用保護剤に関する一般的参照は、ザ ペスティサイド マニュアル(The Pesticide Manual)第12版、C.D.S.トムリン(C.D.S.Tomlin)編、ブリティッシュ クロップ プロテクション カウンシル(British Crop Protection Council)、英国、サリー州、ファーナム(Farnham,Surrey,U.K.)、2000年である。
【0109】
本発明の化合物と混合するための殺虫剤および殺ダニ剤の一実施形態としては、アセトアミプリド、シペルメトリン、シハロトリン、シフルトリン、β−シフルトリン、エスフェンバレレート、フェンバレレートおよびトラロメトリンのようなピレスロイド;フェノチカルブ、メトミル、オキサミルおよびチオジカルブのようなカルバメート;クロチアニジン、イミダクロプリドおよびチアクロプリドのようなネオニコチノイド;インドキサカルブのような神経細胞ナトリウムチャンネルブロッカー;スピノサド、アバメクチン、アベルメクチンおよびエマメクチンのような殺虫性大環状ラクトン;エンドスルファン、エチプロールおよびフィプロニルのようなγ−アミノ絡酸(GABA)拮抗剤;フルフェノクロンおよびトリフルムロンのような殺虫性尿素;ジオフェノランおよびピリプロキシフェンのような幼生ホルモン模倣品(mimic);ピメトロジン;ならびにアミトラズが挙げられる。本発明の化合物と混合するための生物剤の一実施形態としては、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)およびバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)デルタエンドトキシン、ならびにバクロウィルス科の構成員を含む天然由来および遺伝子改変ウィルス性殺虫剤、ならびに食虫性菌・カビ類が挙げられる。
【0110】
混合物のもう1つの実施形態としては、本発明の化合物とアセトアミプリドとの混合物、本発明の化合物とシハロトリンとの混合物、本発明の化合物とβ−シフルトリンとの混合物、本発明の化合物とエスフェンバレレートとの混合物、本発明の化合物とメトミルとの混合物、本発明の化合物とイミダクロプリドとの混合物、本発明の化合物とチアクロプリドとの混合物、本発明の化合物とインドキサカルブとの混合物、本発明の化合物とアバメクチンとの混合物、本発明の化合物とエンドスルファンとの混合物、本発明の化合物とエチプロールとの混合物、本発明の化合物とフィプロニルとの混合物、本発明の化合物とフルフェノクロンとの混合物、本発明の化合物とピリプロキシフェンとの混合物、本発明の化合物とピメトロジンとの混合物、本発明の化合物とアミトラズとの混合物、本発明の化合物とバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)との混合物、および本発明の化合物とバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)デルタエンドトキシンとの混合物が挙げられる。
【0111】
特定の例において、同様の範囲の防除を有するが作用様式が異なる他の無脊椎有害生物防除化合物または薬剤との組み合わせは、抵抗処理に関して特に有利である。従って、本発明の組成物は、同様の範囲の防除を有するが作用様式が異なる少なくとも1つの追加の無脊椎有害生物防除化合物または薬剤の生物学的に有効な量をさらに含んでなり得る。植物保護化合物(例えば、タンパク質)を発現するように遺伝子改変された植物または植物の位置を本発明の化合物の生物学的に有効な量と接触させることによっても、より広い範囲の植物保護をもたらすこともでき、抵抗処理に有利となり得る。
【0112】
農業的および/または非農業的外寄生位置を含む有害生物環境に、保護されるべき領域に、または防除されるべき有害生物に直接、1つもしくはそれ以上の本発明の化合物を有効量で適用することにより、無脊椎有害生物は農業的および/または非農業的適用において防除される。従って、本発明は、無脊椎動物またはそれらの環境と、1つもしくはそれ以上の本発明の化合物の生物学的に有効な量と、あるいは少なくとも1つのかかる化合物を含んでなる組成物と、または少なくとも1つのかかる化合物および有効量の少なくとも1つの追加の生物学的に活性な化合物もしくは薬剤を含んでなる組成物とを接触させることを含んでなる、農業的および/または非農業的適用における無脊椎動物の防除方法をさらに含んでなる。本発明の化合物および少なくとも1つの追加の生物学的に活性な化合物または薬剤の有効量を含んでなる適切な組成物の例としては、追加の生物学的に活性な化合物が、本発明の化合物と同一顆粒上に、または本発明の化合物が存在する顆粒から分離された顆粒上に存在する顆粒組成物が挙げられる。
【0113】
接触方法の一実施形態は噴霧による。あるいは本発明の化合物を含んでなる顆粒組成物を植物の葉面または土壌に適用することができる。本発明の化合物は、植物と、液体製剤の土壌ドレンチ(soil drench)、土壌への顆粒製剤、苗床箱処理または移植浸透として適用される本発明の化合物を含んでなる組成物との接触による植物の取り込みを介しても有効に運搬され得る。注目すべきは、液体製剤の土壌ドレンチ(soil drench)として適用される本発明の組成物(および植物を、液体製剤の土壌ドレンチ(soil drench)として適用される本発明の組成物と接触させる方法)である。外寄生位置に、本発明の化合物を含んでなる組成物を局所適用することによっても、化合物は有効であり得る。他の接触方法としては、直接および残留噴霧、空気噴霧、ゲル、シードコート、マイクロカプセル化、浸透移行性取り込み、餌料、イヤータグ、ボーラス、霧発生器、燻蒸剤、エーロゾル、ダスト等による本発明の化合物または組成物の適用が挙げられる。無脊椎動物防除装置(例えば、昆虫網)を製作するために、本発明の化合物を材料中に含浸させることもできる。特殊形質を発現するように遺伝子転換された植物が発芽する種子を含む全種類の種子にシードコーティングを適用することができる。代表例としては、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)毒素のような無脊椎有害生物に対して有毒なタンパク質を発現するもの、または「ラウンドアップ レディ(Roundup Ready)」種子のような除草剤耐性を発現するものが挙げられる。
【0114】
無脊椎有害動物によって消費されるか、またはトラップ、餌料ステーション等のような装置内に使用される餌料組成物中に、本発明の化合物を組み入れることができる。かかる餌料組成物は、(a)活性成分、すなわち、式1の化合物、そのN−オキシド、またはその農業的もしくは非農業的に適切な塩と、(b)1つもしくはそれ以上の食物材料と、場合により(c)誘引剤と、場合により(d)1種もしくはそれ以上の保湿剤とを含んでなる、顆粒の形態であり得る。約0.001〜5%の間の活性成分と、約40〜99%の食物材料および/または誘引剤と、場合により、約0.05〜10%の保湿剤とを含んでなる、顆粒または餌料組成物は、非常に低い適用率で、特に直接接触よりも摂取による致死量である活性成分の適用量での土壌無脊椎有害生物の防除において有効であり得る。いくつかの食物材料は、食料源および誘引剤の両方として機能し得る。食物材料としては、炭水化物、タンパク質および脂質が挙げられる。食物材料の例としては、植物粉、糖、澱粉、脱脂コーングリット、動物脂肪、大豆油および/またはコーン油のような植物油、酵母抽出物および乳固形分が挙げられる。誘引剤の例としては、果物もしくは植物抽出物、香料、または他の動物もしくは植物成分、フェロモン、または標的の無脊椎有害生物を誘引することが既知である他の薬剤のような着臭剤および風味剤が挙げられる。保湿剤、すなわち、湿分を保持する薬剤の例としては、グリコールおよび他のポリオール、グリセリンおよびソルビトールが挙げられる。注目すべきは、アリ(ant)、シロアリ(termite)およびゴキブリ(cockroach)を個々または組み合わせで含む無脊椎有害生物を防除するために使用される餌料組成物(およびかかる餌料組成物を利用する方法)である。無脊椎有害生物の防除装置は、本発明の餌料組成物と、餌料組成物を受け取るために適応されたハウジングとを含んでなり得る。ここで、ハウジングは、ハウジングの外側の位置から無脊椎有害生物が餌料組成物に接近することができるように、無脊椎有害生物が開口を通過可能であるサイズの少なくとも1つの開口を有し、そしてハウジングは、無脊椎有害生物の潜在的もしくは既知の活動の位置に、またはその付近に配置されるようにさらに構成される。
【0115】
本発明の化合物を純粋な状態で適用することができるが、最も頻繁な適用は、適切な担体、希釈剤および界面活性剤とともに、可能であれば期待される最終用途次第の食品材料と組み合わせて1つもしくはそれ以上の化合物を含んでなる製剤である。適用方法の一実施形態は、化合物の水分散系または精製された油溶液の噴霧を含む。噴霧油、噴霧油濃縮物、散布展着剤、アジュバント、他の溶媒およびピペロニルブトキシドのような協力剤との組み合わせも化合物効能を増加させ得る。非農業的使用に関して、缶、ボトルまたは他の容器のような噴霧容器から、ポンプの手段によって、または高圧容器、例えば、加圧エーロゾル噴霧缶からそれを放出することによって、かかる噴霧を適用することができる。かかる噴霧組成物は、噴霧、ミスト、泡、フェームまたはフォッグを含む様々な形態を取ることができる。従って、かかる噴霧組成物は、場合によっては、噴射剤、発泡剤または水を含み得る担体をさらに含み得る。注目すべきは、本発明の化合物または組成物と担体とを含んでなる噴霧組成物である。かかる噴霧組成物の一実施形態は、本発明の化合物または組成物と噴射剤とを含んでなる。代表的な噴射剤としては、限定されないが、メタン、エタン、プロパン、イソプロパン、ブタン、イソブタン、ブテン、ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ペンテン、ヒドロフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、ジメチルエーテル、およびそれらの混合物が挙げられる。注目すべきは、カ(mosquito)、ブユ(black fly)、サシバエ(stable fly)、メクラアブ(deer fly)、アブ(horse fly)、大形のハチ(wasp)、スズメバチ(yellow jacket)、スズメバチ(hornet)、マダニ(tick)、クモ(spider)、アリ(ant)、ブヨ(gnat)等を個々または組み合わせで含む無脊椎有害生物を防除するために使用される噴霧組成物(および噴霧容器から分配されるかかる噴霧組成物を利用する方法)である。
【0116】
有効な防除に必要とされる適用率(すなわち、「生物学的に有効な量」)は、防除されるべき無脊椎動物の種類、有害生物の生命サイクル、生命段階、大きさ、位置、年齢、宿主作物または動物、摂食行動、交接行動、周囲湿度、温度等のような要因次第である。通常の環境下において、農業的生態系における有害生物を防除するために1ヘクタールあたり約0.01〜2kgの活性成分の適用率が十分であるが、0.0001kg/ヘクタール程度の少なさでも十分であり、または8kg/ヘクタール程度の多さが必要とされてもよい。非農業的適用に関して、有効な使用率は、約1.0〜50mg/平方メートルの範囲であるが、0.1mg/平方メートル程度の少なさでも十分であり、または150mg/平方メートル程度の多さが必要とされてもよい。所望のレベルの無脊椎有害生物防除に必要な生物学的に有効な量を当業者は容易に決定することができる。
【0117】
以下の試験は、特定の有害生物に対する本発明の化合物の防除効能を実証する。「防除効能」とは、著しく低下した摂食を引き起こす、無脊椎有害生物発育の抑制(死亡を含む)を意味する。しかしながら、化合物により得られる有害生物防除保護はこれらの種類に制限されない。化合物の記述に関しては索引表Aを参照のこと。索引表において以下の略号が使用される。iはイソであり、Meはメチルであり、Prはプロピルであり、i−Prはイソプロピルであり、そしてCNはシアノである。略号「Ex.」は「実施例」を表し、その後ろに化合物が調製される実施例を示す数字が続く。
【0118】
【表20】

【0119】
【表21】

【0120】
【表22】

【0121】
【表23】

【0122】
本発明の生物学的実施例
試験A
コナガ(Plutella xylostella)の防除を評価するために、12〜14日齢ラディッシュ植物を内部に含む小型開放容器で試験ユニットを構成した。コアサンプラーの使用により、昆虫食餌の一片において10〜15個体の新生幼虫で、これを事前に外寄生させ、シート上に多くの発育幼虫を有する硬化した昆虫食餌のシートからプラグを取り出し、そして幼虫および食餌を含有するプラグを試験ユニットに移した。食餌プラグが乾燥すると、幼虫は試験植物上へと移動した。
【0123】
10%アセトン、90%水、ならびに300ppmのX−77(商標)スプレッダー ロー−フォーム フォーミュラ(Spreader Lo−Foam Formula)非イオン性界面活性剤(アルキルアリールポリオキシエチレン、遊離脂肪酸、グリコールおよびイソプロパノール含有)(米国、コロラド州、グリーリーのラブランド・インダストリーズ・インコーポレイテッド(Loveland Industries,Inc.Greeley,Colorado,USA))を含有する溶液を使用して、試験化合物を配合した。各試験ユニット上1.27cm(0.5インチ)上に位置する1/8JJカスタムボディーを有するSUJ2噴霧器ノズル(米国、イリノイ州、ホイートンのスプレーイング・システムス・カンパニー(Spraying Systems Co.Wheaton,Illinois,USA))を通して、配合された化合物を1mL液体で適用した。これらの試験における全ての実験化合物を50ppmで噴霧し、三回繰り返した。配合された試験化合物の噴霧後、各試験ユニットを1時間乾燥させ、次いで黒色のスクリーンキャップを上部に置いた。25℃および70%相対湿度で育成チャンバー中に6日間、試験ユニットを保持した。次いで、消費された葉を基準にして、植物摂食損害を視覚的に評価した。
【0124】
試験された化合物の中で、以下のものが非常に良好なレベルから優れたレベルの植物保護(20%以下の範囲の摂食損害)をもたらした:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102および103。
【0125】
試験B
ハスモンヨトウ(Spodoptera fugiperda)の防除を評価するために、4〜5日齢コーン(トウモロコシ)植物を内部に含む小型開放容器で試験ユニットを構成した。昆虫食餌の一片において10〜15個体の1日齢幼虫で、(コアサンプラーの使用により)これを事前に外寄生させた。
【0126】
試験Aに記載された通り、試験化合物を配合し、50ppmで噴霧した。適用を三回繰り返した。噴霧後、試験Aに記載された通り試験ユニットを育成チャンバー中で保持し、次いで視覚的に評価した。
【0127】
試験された化合物の中で、以下のものが優れたレベルの植物保護(20%以下の範囲の摂食損害)をもたらした:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、57、58、59、60、61、62、63、65、66、67、68、69、70、71、72、74、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、113、114、115、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131および132。
【0128】
試験C
接触および/または浸透移行性手段によるモモアカアブラムシ(Myzus persicae)の防除を評価するために、12〜15日齢ラディッシュ植物を内部に含む小型開放容器で試験ユニットを構成した。培養植物から切除した葉の一片上の30〜40個体のアブラムシを試験植物の葉の上に置くことにより、これを事前に外寄生させた(カットリーフ法)。葉の一片が乾燥すると、幼虫は試験植物上へと移動した。事前外寄生後、試験ユニットの土を砂の層で覆った。
【0129】
10%アセトン、90%水、ならびに300ppmのX−77(商標)スプレッダー ロー−フォーム フォーミュラ(Spreader Lo−Foam Formula)非イオン性界面活性剤(アルキルアリールポリオキシエチレン、遊離脂肪酸、グリコールおよびイソプロパノール含有)(ラブランド・インダストリーズ・インコーポレイテッド(Loveland Industries,Inc.))を含有する溶液を使用して、試験化合物を配合した。各試験ユニット上1.27cm(0.5インチ)上に位置する1/8JJカスタムボディーを有するSUJ2噴霧器ノズル(スプレーイング・システムス・カンパニー(Spraying Systems Co.))を通して、配合された化合物を1mL液体で適用した。このスクリーンにおける全ての実験化合物を250ppmで噴霧し、三回繰り返した。配合された試験化合物の噴霧後、各試験ユニットを1時間乾燥させ、次いで黒色のスクリーンキャップを上部に置いた。19℃〜21℃および50%〜70%相対湿度で育成チャンバー中に6日間、試験ユニットを保持した。次いで、昆虫死亡率に関して各試験ユニットを視覚的に評価した。
【0130】
試験された化合物の中で、以下のものが少なくとも80%の死亡率をもたらした:26、33、34、35、45、48、49、50、53、57、59、67、71、75、77、79、81、102、106、107、109、110、118、127、130および131。
【0131】
試験D
接触および/または浸透移行性手段によるジャガイモヒメヨコバイ(Empoasca fabae Harris)の防除を評価するために、5〜6日齢ロンジオビーン(Longio bean)植物(出現した初生葉)を内部に含む小型開放容器で試験ユニットを構成した。適用前に、土の上部に白砂を加え、そして初生葉の一枚を切除した。試験Cに記載された通り試験化合物を配合し、250ppmで噴霧し、そして適用を三回繰り返した。噴霧後、5個体のジャガイモヒメヨコバイ(18〜21日齢成虫)によってそれらを後外寄生させる前に、試験ユニットを1時間乾燥させた。黒色のスクリーンキャップをシリンダーの上部に置いた。19℃〜21℃および50%〜70%相対湿度で育成チャンバー中に6日間、試験ユニットを保持した。次いで、昆虫死亡率に関して各試験ユニットを視覚的に評価した。試験された化合物の中で、以下のものが少なくとも80%の死亡率をもたらした:11、12、19、20、34、55、59、67、75、77、79、81、83、85、87、88、105、106、107、109、118、120、121、130、131および132。
【0132】
試験E
接触および/または浸透移行性手段によるコットンメロンエイフィッド(Aphis gossypii)の防除を評価するために、6〜7日齢綿植物を内部に含む小型開放容器で試験ユニットを構成した。試験Cに記載されたカットリーフ法に従って、葉の一片上に30〜40個体で、これを事前に外寄生させ、そして試験ユニットの土を砂の層で覆った。試験Dに記載された通り試験化合物を配合し、250ppmで噴霧した。適用を三回繰り返した。噴霧後、試験ユニットを育成チャンバー中で保持し、次いで試験Dに記載される通り、視覚的に評価した。
【0133】
試験された化合物の中で、以下のものが少なくとも80%の死亡率をもたらした:49、67、81、102、105、106、107、109、130、131および132。
【0134】
試験F
接触および/または浸透移行性手段によるコーンプラントホッパー(Peregrinus maidis)の防除を評価するために、3〜4日齢コーン(トウモロコシ)植物(穂)を内部に含む小型開放容器で試験ユニットを構成した。適用前に、土の上部に白砂を加えた。試験Cに記載された通り試験化合物を配合し、250ppmで噴霧し、そして適用を三回繰り返した。噴霧後、サンドシェーカーによって砂上にそれらを振り撒くことによって、10〜20個体のコーンプラントホッパー(18〜20日齢若虫)によってそれらを後外寄生させる前に、試験ユニットを1時間乾燥させた。黒色のスクリーンキャップをシリンダーの上部に置いた。19℃〜21℃および50%〜70%相対湿度で育成チャンバー中に6日間、試験ユニットを保持した。次いで、昆虫死亡率に関して各試験ユニットを視覚的に評価した。
【0135】
試験された化合物の中で、以下のものが少なくとも80%の死亡率をもたらした:67。
【0136】
試験G
シルバーリーフホワイトフライ(Bemisia tabaci)の防除を評価するために、試験ユニットは、葉の裏面で2齢および3齢若虫により外寄生された少なくとも2枚の本葉を含む、レジ−アース(Redi−earth)(登録商標)培地(スコッツ・カンパニー(Scotts Co.))において育成された14〜21日齢綿植物からなる。
【0137】
2mL以下のアセトン中で試験化合物を配合し、次いで水で25mL〜30mLまで希釈した。フラットファンエアアシステッドノズル(スプレーイング・システムス(Spraying Systems)122440)を使用して、10psi(69kPa)で、配合された化合物を適用した。ターンテーブル噴霧器で植物を噴霧し、流出ささせた。このスクリーンにおいて全ての実験用化合物を250ppmで噴霧し、三回繰り返した。試験化合物の噴霧後、50%〜60%相対湿度で、28℃昼間温度および24℃夜間温度で育成チャンバー中に6日間、試験ユニットを保持した。次いで、葉を取り出し、死亡率を計算するために、死亡幼虫および生存幼虫の数を数えた。
【0138】
試験された化合物の中で、以下のものが少なくとも80%の死亡率をもたらした:57、101、102、110および127。
【0139】
試験H
オオタバコガ(Heliothis virescens)の葉面防除の評価のため、アルミニウムトレイの10cm植木鉢に入れたメトロミックス(Metromix)培養土中で綿植物を育成した。この植物が試験サイズ(28日齢、3〜4フルリーフ(full leaves))に達した時、試験化合物の溶液で植物を処理した。
【0140】
2.0mLのアセトン中に試験化合物を配合し、次いで水/オルト(Ortho)X−77(商標)溶液で希釈して50mLの50ppm貯蔵液を提供した。次いで10ppmから0.01ppmまでの範囲の率で連続希釈液を作成した。
【0141】
処理溶液を植物に適用し、空気噴霧器によって流出させた。植物を2時間乾燥させ、次いで処理された葉を切除し、そして24セルトレイの各セル中に配置した。各セル中に1個体の三齢オオタバコガ幼虫を導入した。各処理を別々のトレイ中で全部で24個体の幼虫で構成した。試験ユニットをトレイ上に配置し、そして26℃および50%相対湿度で4日間、育成チャンバー中に置いた。次いで、各試験ユニットを幼虫死亡率に関して視覚的に評価した。
【0142】
試験された化合物の中で、以下の化合物が10ppm以下の率で少なくとも80%の死亡率をもたらした:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、19、23、24、25、27、45、46、47、49、51、54、65および70。
【0143】
試験I
イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)の葉面防除の評価のため、アルミニウムトレイの10cm植木鉢に入れたメトロミックス(Metromix)培養土中で綿植物を育成した。この植物が試験サイズ(28日齢、3〜4フルリーフ(full leaves))に達した時、試験化合物で植物を処理した。
【0144】
試験Hに関して記載の通り、試験化合物を配合し、そして試験植物上に噴霧した。試験Hに記載の通り、2時間乾燥後、処理された葉を切除し、そして24個体の三齢イラクサギンウワバ幼虫で外寄生させた。試験ユニットをトレイ上に配置し、そして26℃および50%相対湿度で4日間、育成チャンバー中に置いた。次いで、各試験ユニットを幼虫死亡率に関して視覚的に評価した。
【0145】
試験された化合物の中で、以下の化合物が10ppm以下の率で少なくとも80%の死亡率をもたらした:1、2、3、4、5、9、23、24、44、45、46、47、49、51、54、65および70。
【0146】
試験J
シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)の葉面防除の評価のため、アルミニウムトレイの10cm植木鉢に入れたサッサフラス土中で大豆植物を育成した。この植物が試験サイズ(21日齢、3フルトリフォリエート(full trifoliates))に達した時、試験化合物で植物を処理した。
【0147】
試験Hに関して記載の通り、試験化合物を配合し、そして試験植物上に噴霧した。試験Hに記載の通り、2時間乾燥後、処理された葉を切除し、そして24個体のシロイチモジヨトウ幼虫で外寄生させた。試験ユニットをトレイ上に配置し、そして26℃および50%相対湿度で4日間、育成チャンバー中に置いた。次いで、各試験ユニットを幼虫死亡率に関して視覚的に評価した。
【0148】
試験された化合物の中で、以下の化合物が10ppm以下の率で少なくとも80%の死亡率をもたらした:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、19、23、24、25、26、27、31、33、35、44、45、46、47、49、51、65および70。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1
【化1】


[式中、
はMe、Cl、BrまたはIであり;
はCl、Br、Iまたは−CNであり;
はCl、Br、CF、OCHCFまたはOCFHであり;
はHであるか;またはそれぞれ場合によりCNもしくはSMeによって置換されていてもよいC〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニルであり;そして
はF、Cl、BrおよびMeよりなる群から選択される1〜3個の置換基によって置換されたフェニルである]
の化合物、そのN−オキシドまたは塩。
【請求項2】
がClであり;
がCl、BrまたはCFであり;
がMe、Et、i−Prまたはt−Buであり;そして
が2−クロロフェニル、2−フルオロフェニル、2−ブロモフェニル、2,4−ジクロロフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2,6−ジフルオロフェニルまたは2,4,6−トリクロロフェニル
である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がCNであり;
がCl、BrまたはCFであり;
がMe、Et、i−Prまたはt−Buであり;そして
が2−クロロフェニル、2−フルオロフェニル、2−ブロモフェニル、2,4−ジクロロフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2,6−ジフルオロフェニルまたは2,4,6−トリクロロフェニル
である請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
請求項1に記載の化合物の生物学的に有効な量、ならびに界面活性剤、固体希釈剤および液体希釈剤よりなる群から選択される少なくとも1種の追加の成分を含んでなり、場合により少なくとも1種の追加の生物学的に活性な化合物または薬剤の有効量をさらに含んでなる無脊椎有害生物の防除のための組成物。
【請求項5】
少なくとも1種の追加の生物学的に活性な化合物または薬剤が、ピレスロイド、カルバメート、ネオニコチノイド、神経細胞ナトリウムチャンネルブロッカー、殺虫性大環状ラクトン、γ−アミノ酪酸拮抗剤、殺虫性尿素、幼若ホルモン模倣品(mimic)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)の一員、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)デルタエンドトキシン、および天然由来または遺伝子改変ウイルス殺虫剤よりなる群の殺虫剤から選択される請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1種の追加の生物学的に活性な化合物または薬剤が、アバメクチン、アセフェート、アセトアミプリド、アセトプロール、アミドフルメト、アベルメクチン、アザジラクチン、アジンホス−メチル、ビフェントリン、ビフェナゼート、ビストリフルロン、ブプロフェジン、カルボフラン、クロルフェナピル、クロルフルアズロン、クロルピリホス、クロルピリホス−メチル、クロムアフェノジド、クロチアニジン、シフルトリン、β−シフルトリン、シハロトリン、λ−シハロトリン、シペルメトリン、シロマジン、デルタメトリン、ジアフェンチウロン、ジアジノン、ジフルベンズロン、ジメトエート、ジノテフラン、ジオフェノラン、エマメクチン、エンドスルファン、エスフェンバレレート、エチプロール、フェノチカルブ、フェノキシカルブ、フェンプロパトリン、フェンバレレート、フィプロニル、フロニカミド、フルシトリネート、τ−フルバリネート、フルフェネリム、フルフェノクロン、γ−カロトリン、ハロフェノジド、ヘキサフルムロン、イミダクロプリド、インドキサカルブ、イソフェンホス、ルフェヌロン、マラチオン、メタルデヒド、メタミドホス、メチダチオン、メトミル、メトプレン、メトキシクロル、メトキシフェノジド、メトフルトリン、モノクロトホス、メトキシフェノジド、ノバルロン、ノビフルムロン、オキサミル、パラチオン、パラチオン−メチル、ペルメトリン、ホレート、ホサロン、ホスメト、ホスファミドン、ピリミカルブ、プロフェノホス、プロフルトリン、プロトリフェンビュート、ピメトロジン、ピリダリル、ピリプロキシフェン、ロテノン、スピノサド、スピロメシフェン、スルプロホス、テブフェノジド、テフルベンズロン、テフルトリン、テルブホス、テトラクロルビンホス、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオスルタプ−ナトリウム、トルフェンピラド、トラロメトリン、トリクロルホン、トリフルムロン、アルジカルブ、フェナミホス、アミトラズ、チノメチオナト、クロロベンジレート、シヘキサチン、ジコホール、ジエノクロル、エトキサゾール、フェナザキン、フェンブタチンオキシド、フェンピロキシメート、ヘキシチアゾクス、プロパルギット、ピリダベン、テブフェンピラド、バチルス・チューリンゲンシス・アイザワイ(Bacillus thuringiensis aizawai)、バチルス・チューリンゲンシス・クルスターキ(Bacillus thuringiensis kurstaki)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)デルタエンドトキシン、バクロウィルス、昆虫病原性バクテリア、昆虫病原性ウィルスならびに昆虫病原性菌・カビ類よりなる群から選択される請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも1種の追加の生物学的に活性な化合物または薬剤が、シペルメトリン、シハロトリン、シフルトリンおよびβ−シフルトリン、エスフェンバレレート、フェンバレレート、トラロメトリン、フェノチカルブ、メトミル、オキサミル、チオジカルブ、アセトアミプリド、クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム、チアクロプリド、インドキサカルブ、スピノサド、アバメクチン、アベルメクチン、エマメクチン、エンドスルファン、エチプロール、フィプロニル、フルフェノクロン、トリフルムロン、ジオフェノラン、ピリプロキシフェン、ピメトロジン、アミトラズ、バチルス・チューリンゲンシス・アイザワイ(Bacillus thuringiensis aizawai)、バチルス・チューリンゲンシス・クルスターキ(Bacillus thuringiensis kurstaki)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)デルタエンドトキシンならびに食虫性菌・カビ類よりなる群から選択される請求項4に記載の組成物。
【請求項8】
無脊椎有害生物またはその環境を請求項1に記載の化合物の生物学的に有効な量と接触させることを含んでなる無脊椎有害生物の防除方法。
【請求項9】
無脊椎有害生物またはその環境を請求項4に記載の組成物の生物学的に有効な量と接触させることを含んでなる無脊椎有害生物の防除方法。
【請求項10】
無脊椎有害生物がゴキブリ、アリまたはシロアリであり、該生物が該化合物を含んでなる餌料組成物を消費することによって該化合物と接触する請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
無脊椎有害生物がカ、ブユ、サシバエ、メクラアブ、アブ、大形のハチ(wasp)、スズメバチ(yellow jacket)、スズメバチ(hornet)、マダニ、クモ、アリまたはブヨであり、該生物を噴霧容器から分配される該化合物を含んでなる噴霧組成物により接触させる請求項8または9に記載の方法。
【請求項12】
液体製剤の土壌ドレンチ(soil drench)として適用される該組成物と植物を接触させる請求項9に記載の方法。
【請求項13】
土壌ドレンチ(soil drench)液体製剤の形態である請求項4に記載の組成物。
【請求項14】
(a)請求項1に記載の化合物と、
(b)噴射剤と
を含んでなる噴霧組成物。
【請求項15】
(a)請求項1に記載の化合物と、
(b)1種もしくはそれ以上の食物材料と、
(c)場合により誘引剤と、
(c)場合により保湿剤と
を含んでなる餌料組成物。
【請求項16】
(a)請求項15に記載の餌料組成物と、
(b)餌料組成物を収容するように構成されたハウジングであって、ハウジングの外側の位置から無脊椎有害生物が餌料組成物に接近することができるように、無脊椎有害生物が開口を通過可能であるサイズの少なくとも1つの開口を有し、且つ無脊椎有害生物の潜在的または既知の活動の位置にまたはその付近に配置されるようにさらに構成されたハウジングと
を含んでなる無脊椎有害生物の防除装置。

【公表番号】特表2007−532661(P2007−532661A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508485(P2007−508485)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/012465
【国際公開番号】WO2005/118552
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】