説明

アンモニア貯蔵デバイスのエネルギー生成における利用

(i)一般式:Ma(NH3)nXzの塩を吸収および放出するアンモニアを備えるコンテナ(2)の形態のアンモニア貯蔵デバイスであって、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、およびLi、K、Mg、Ca、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、又はZnなどの遷移金属から選択された1以上の陽イオン、Xはフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸、チオシアン酸、硫酸、モリブデン酸、リン酸、および塩素酸の各イオンから選択された1以上の陰イオン、aは塩の分子当りの陽イオンの数、zは塩の分子当りの陰イオンの数、nは2から12までの配位数であるものと、(ii)前記コンテナ(2)とアンモニアガスを放出するためのアンモニア吸収放出塩を加熱する手段(3a)と、(iiia)アンモニアを直接電力に変換する燃料電池、又は(iiib1)アンモニアを水素と窒素に解離する反応器(6)および(iiib2)水素を電力に変換する燃料電池(4)とを有する電力発生ユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体形態でのアンモニアの可逆的貯蔵のための金属アンミン錯体を含んだアンモニア貯蔵デバイスの利用に関する。放出の際、アンモニアは、燃料電池における燃料として直接使われるか、または任意の浄化ステップの後に燃料電池における燃料として使うことのできる二水素と二窒素に分解される。
【背景技術】
【0002】
燃料電池を使うことの潜在的な利点が重大な注目を受けている。燃料として、例えば燃料電池としての二水素またはアンモニアの適用は、汚染性の排気を生成しないので魅力的である[非特許文献1]。大規模生産設備において、二水素およびアンモニアは、石炭、ナフサ、または天然ガスから[非特許文献2]、および蒸気と空気から生産される。これは明らかにCOを生成するが、適切な隔離方策[非特許文献3]によって、アンモニアまたは二水素は、必要ならば、酸化炭素のいかなる正味の放出もなく生成できる。これまで、二水素を燃料として使うことが主な焦点であった。しかしながら、この興味をそそる適用は、ガス状態の、および液体状態においてさえも、二水素の十分な量を貯蔵することについての問題のために阻害されてきた[非特許文献4]。この困難を克服するために、種々の固体の水素貯蔵材料が提案されてきたが、重量測定による水素貯蔵容量はまだ低く、水素の可逆的な貯蔵および放出は比較的高い気圧と温度を必要とする。現在では、複合化学水素化物[特許文献1]の使用に注目の焦点が合わせられているが、米国エネルギー省(The US Department of Energy)[www.energy.gov]により明確にされた仕様を満たす材料は、まだない。二水素は、十分な容積効率で貯蔵しておくことがまだできないため、代替案が研究されてきた。二水素の最も有望なソース(源)の中で、メタノールは、容易に輸送することのできる二水素の有力な源として、また、直接的なメタノール燃料電池における使用のためのものとしても、大きな注意を引き付けてきた[非特許文献5]。しかしながら、燃料としての二水素またはアンモニアと比較して、それは、メタノール生産設備における集中的なCO隔離と、それぞれの動作する燃料電池における分散的な隔離とが、生態バランスに対する有害な寄与をすべて回避する場合に、共に必要となるであろう。例えばメタン、ガソリン、ディーゼル燃料、およびエタノールのような、燃料電池のための他のすべての炭素含有燃料は、必ず類似の問題に遭遇する。アンモニアは、日々の生産能力が3000メートルトンを超えうる大きな設備ですでに生産されている。全体的な効率の観点から、アンモニアは、メタノールに対して興味をそそる代替物であると予測されてきた[非特許文献6]。
【0003】
アンモニアまたはアンミン錯体、すなわちアンモニアが金属イオンに結合した配位化合物は19世紀から知られており、多くのこのような化合物が今日古典的な無機化合物と考えられている。初期の文献では、アンミン錯体は、しばしばガスの金属塩とアンモニアとの反応によって生成されていた。同様に、多くの場合、アンモニアをわずかしか含んでいないか、または全く含んでさえいない化合物が、種々のアンミン錯体の制御された熱分解によって生成されることが示された。
【0004】
アンモニアがある特定の高温燃料電池に直接燃料として使えることができる、ということは、当技術分野でよく知られている[非特許文献7]。同様に、アンモニアが二水素、二窒素、および未反応のアンモニアの混合物に、触媒活性的に分解し、例えばアルカリ性の燃料電池(AFC)において直接燃料として使うことができる[非特許文献8]が、陽子交換膜(PEM)燃料電池のような他のタイプでは微量のアンモニアの除去後に限られる[非特許文献9]、ということが知られている。現在、主に農業での使用のために、液体アンモニアの輸送を可能にするインフラがすでに存在している。さらに、アンモニアは、最も大量に世界的な基盤の上で生産される化学物質の1つである。そのため、可逆的な水素貯蔵のためにアンモニアを使うことには有力な多くの利点がある。しかしながら、特定の1つの不都合が、この技術を開発する可能性を阻害してきたし、それはアンモニアの便利で安全な輸送の困難さである[非特許文献10]。室温において加圧されたコンテナ中での液体として貯蔵されたアンモニアの使用は、コンテナに物理的損傷があった場合の大量の有毒なアンモニアの非制御放出をもたらしうる。
【特許文献1】国際公開第WO 03/04553 A2号パンフレット
【非特許文献1】Hoogers, Thompsett著,「CatTech 2000年」,第3巻, 106頁
【非特許文献2】Dybkjaer著,「in Ammonia: Catalysis and Manufacture」(Ed. Nielsen), Springer, 1995年
【非特許文献3】Lackner著,「Annu. Rev. Energy Environ.」,2002年, 第27巻, 193頁
【非特許文献4】SchlapbachおよびZuttel著,「Nature」,2001年, 第414巻, 353頁
【非特許文献5】Hogart著,「Prospects of the direct methanol fuel cell」,Fuel cell technology handbook (2003年)
【非特許文献6】MetkemeijerおよびAchard著,「Int. J. Hydrogen Energy」,1994年, 第19巻, 535頁
【非特許文献7】Wojcik, Middleton, Damopoulos, van Herle著,「J.Power Sources」,2003年, 第118巻, 342頁
【非特許文献8】Kordeschら著,「J.Power Sources」,2000年, 第86巻, 162頁
【非特許文献9】Chellappaら著,「Appl. Catal. A.」,2002年, 第227巻, 231頁
【非特許文献10】Schlogl, Angew著,「Chem. Int. Ed.」,2003年, 第42巻, 2004頁
【非特許文献11】LiuおよびAika著,「Chem. Lett.」,2002年, 798頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記の困難を克服し、燃料電池における燃料として、および/または、燃料電池における使用のための二水素のソースとしても、アンモニアの効率的な利用を行なうことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
圧力スイング吸着法により、このような金属アンミン錯体が、平衡混合物からのアンモニアの容易な分離を可能にすることによって、アンモニア生産工場の効率を増加させるために使われうる、ということが提案された[非特許文献11]。
【0007】
さらに、アンミン錯体は、冷却と冷凍に関連した使用に対して実証されてきた。そしてその冷却および冷凍において、吸収脱離サイクルが効率的な冷却生成のために使用される。
【0008】
本発明は、前記錯体の使用をエネルギーキャリアと見なし、それによって完全に異なった技術分野中に本発明を位置付けるという点で、アンモニアの可逆的な吸収のこれら(上記の)2つの適用とは明らかに区別される。
【0009】
第1の局面では、本発明は、
(i)一般式:M(NHで表されるアンモニア吸収放出塩を備えるコンテナの形態のアンモニア貯蔵デバイスであって、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、およびLi、Na、K、Cs、Mg、Ca、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、CuまたはZnなどの遷移金属、もしくはNaAl、KAl、KZn、CsCu、またはKFeなどのそれらの組み合わせから選択された1以上の陽イオンであり、Xはフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸、チオシアン酸、硫酸、モリブデン酸、リン酸、および塩素酸の各イオンから選択された1以上の陰イオンであり、aは塩の分子当りの陽イオンの数であり、zは塩の分子当りの陰イオンの数であり、nは2から12までの配位数であるアンモニア貯蔵デバイスと、
(ii)前記コンテナとアンモニアガスを放出するためのアンモニア吸収放出塩とを加熱するための手段と、
(iiia)アンモニアを直接電力に変換するための燃料電池と、または、
(iiib1)アンモニアを水素と窒素に解離するための反応器および
(iiib2)水素を電力に変換するための燃料電池と、
を有することを特徴とする電力発生ユニット、に関する。
【0010】
第2の局面では、本発明は、
一般式:M(NHで表されるアンモニア吸収放出塩を備えるコンテナの形態で、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、およびLi、Na、K、Cs、Mg、Ca、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、CuまたはZnなどの遷移金属、もしくはNaAl、KAl、KZn、CsCu、またはKFeなどのそれらの組み合わせから選択された1以上の陽イオンであり、Xはフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸、チオシアン酸、硫酸、モリブデン酸、リン酸、および塩素酸の各イオンから選択された1以上の陰イオンであり、aは塩の分子当りの陽イオンの数であり、zは塩の分子当りの陰イオンの数であり、nは2から12までの配位数であるアンモニア貯蔵デバイスの利用であって、
(1)前記コンテナとアンモニアガスを放出するためのアンモニア吸収放出塩とを加熱するための手段と、
(2a)アンモニアを直接電力に変換するための燃料電池と
を有するか、または、
(2b1)アンモニアを水素と窒素に解離するための反応器と、
(2b2)水素を電力に変換するための燃料電池と
を有する電力発生ユニットにおけるエネルギー源としてのアンモニア貯蔵デバイスの利用、に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
添付の図面を参照しながら本発明をさらに詳細に開示する。
【0012】
本発明は、アンモニアのための固体の貯蔵媒体として金属アンミン塩を保持するアンモニア貯蔵デバイスの使用に基づいており、燃料電池のようなエネルギー生産ユニットのための原材料として、その純粋な形態、または二窒素と二水素を含むガス混合物への分解後のいずれかで順に使われる。金属アンミン塩は、加熱の際にアンモニアを放出する塩であって、その加熱の間にアンモニア放出塩の機能を果たす。すべてまたは一部の含有アンモニアが金属アンミンから放出された後に、結果として生じた固体にアンモニアを吸着させることが可能であり、その塩はアンモニア吸収塩の機能を果たす。このように、金属アンミン塩はアンモニアのための可逆的な固体の貯蔵媒体を構成し、それはアンモニアの貯蔵と運搬ための安全で実用的な選択肢(オプション)を代表する。アンモニアは、通常、10〜550℃の範囲の温度に塩を加熱することによって好ましい金属アンミン塩から放出される。
【0013】
本発明は大きなエネルギー生成設備のために使うことができ、微細製造された/小型化されたアンモニア分解反応器に一体化された再充電可能な、および/または、交換可能な小型のアンモニア貯蔵コンテナの使用によって、ラップトップコンピュータのようなモバイルユニットおよびポータブルデバイスにエネルギーを提供することも可能である。
【0014】
本発明による固体のアンモニア貯蔵媒体は、アンモニアを化学錯体の形態で結合させる物質を含むことができる。これらは、イオン性の塩、特に1つ以上のアルカリ金属、アルカリ土類金属、および/または、1つ以上の3d亜族元素の塩化物および/または硫酸塩を含む。このイオン性の塩は、MgCl、MgBr、Mg(ClO、ZnCl、Zn(NO、ZnBr、ZnI、ZnSO、KZnCl、(NHZnCl、(NHZnCl、Ca(NO、CaBr、CaI、CaCl、Ca(ClOBaCl、BaBr、BaI、Ba(NO、BeCl、FeCl、Fe(NO、FeCl、FeBr、FeI、FeSO、Fe(CNS)、KFeCl、SrCl、SrBr、SrI、Co(NO、CoCl、CoBr、CoI、CoSO、Co(CNS)、CoCl、NiCl、NiI、NiSO、Ni(NO、Ni(ClO、MnCl、MnBr、Cu(NO、CuCl、CuBr、CuI、CuSO、CrCl、NHAlCl、KAlCl、NHCl、NaBr、CsCuCl、TaCl、SnCl、PbCl、LiSO、LiPO、およびLiClを含む。
【0015】
本発明は、
(i)一般式:M(NHで表されるアンモニア吸収放出塩を備えるコンテナの形態のアンモニア貯蔵デバイスであって、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、およびLi、Na、K、Cs、Mg、Ca、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、CuまたはZnなどの遷移金属、もしくはNaAl、KAl、KZn、CsCu、またはKFeなどのそれらの組み合わせから選択された1以上の陽イオンであり、Xはフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸、チオシアン酸、硫酸、モリブデン酸、リン酸、および塩素酸の各イオンから選択された1以上の陰イオンであり、aは塩の分子当りの陽イオンの数であり、zは塩の分子当りの陰イオンの数であり、nは2から12までの配位数であるアンモニア貯蔵デバイスと、
(ii)前記コンテナとアンモニアガスを放出するためのアンモニア吸収放出塩とを加熱するための手段と、
(iiia)アンモニアを直接電力に変換するための燃料電池と、または、
(iiib1)アンモニアを水素と窒素に解離するための反応器および
(iiib2)水素を電力に変換するための燃料電池と、
を有することを特徴とする電力発生ユニット、に関する。
【0016】
エネルギー貯蔵に関連したアンモニア貯蔵材料の使用は新規であると考えられる。アンモニアを吸収および脱離するための金属アンミンの能力は文献においてよく知られているが、それらのエネルギーキャリアとしての可能性は、現在まで提案されてこなかった。実現可能なエネルギーキャリアとしてのこれらの塩の使用を見出し、実証することは、すべての既存の技術から遠く離れて存在し、同じ材料の高いエネルギー密度は、水素のための実現可能な貯蔵密度と比較して躍進を与える。さらにこのシステムは、ほとんどすべての他のエネルギーキャリア、特に既知の水素貯蔵媒体と比較して非常に安全である。同時に金属アンミン塩は、類似の固体の水素貯蔵媒体に対して可能なものより遥かに高い速度でアンモニア/水素を放出することができる。要約すると、金属アミン塩は、より高いエネルギー密度、改善された使用者の安全性、より簡単な取り扱いと輸送、ほとんどの、またはすべての既知のタイプの燃料電池との良好な互換性、および/または、燃料電池のために燃料を貯蔵する既存の技術よりも好ましい放出動力学を提供することによって、エネルギー貯蔵のための既存の媒質の使用を妨げる数多くの問題を解決した。
【0017】
本発明の発電ユニットは、限定された期待の使用時間を持ったデバイスにおいて使用するための使い捨て可能なユニットとすることができる。その状況では、例えばラップトップコンピュータの伝統的なバッテリ技術の代替品として、または人のいない地域または空間で使用するラジオ送信機のためのエネルギー源として、高密度のエネルギーが好ましい。
【0018】
本発明の好ましい実施形態によれば、発電ユニットは、使用するに好ましいユニットを再充電可能にするアンモニアを、アンモニア吸収放出塩に染み込ませるアンモニア付加手段を有し、そこでは、エネルギーの消費がユニットのアンモニア貯蔵容量と比較して多量である。
【0019】
アンモニアの放出の際に、式M(NHの金属アンミン塩の当初の錯体は、式M(NHの金属アンミン塩の他の錯体に徐々に変換し、ここにm<nである。必要なすべてのアンモニアが放出された時、結果として生じたM(NHは、アンモニア含有ガス流れによる吸収処理によってM(NHに再変換しうる。好ましくは、アンモニアの吸着は、単にアンモニア含有ガスをアンモニア吸収塩に通過させることによって100℃を下回る温度において行なわれる。
【0020】
金属アンミン錯体の典型的な水素含有量は3〜14wt%の範囲であり、好ましくは5wt%を超える。いくつかの金属アンミン塩に対して、すべてのアンモニアを放出し、その次に結果として生じた物質を多数のサイクルにおける最初の金属アンミン塩に変換することが可能である。これは明らかに好ましい実施形態を構成する。モバイルユニットおよび小型ポータブルデバイスに対しては、燃料電池から取り外し、別個の再充電ユニットにおいてアンモニアによって再充電することができるコンテナに金属アンミンを保持することが特に有用である。
【0021】
金属アンミン錯体の典型的なアンモニア含有量は、通常、20〜60wt%の範囲であり、好ましくは30wt%を超える。本発明の好ましい実施形態では、アンモニア吸収放出塩は、51.7wt%のアンモニアを含むMg(NHClである。このように本発明は、液体アンモニアのアンモニア体積濃度に近いアンモニア水および尿素水よりもかなり高い濃度の(体積基準および重量基準の両方での)アンモニア貯蔵を提供する。
【0022】
塩化マグネシウムを含む固体の貯蔵媒体が有利に使われる。周囲条件において塩化マグネシウムはマグネシウムイオン当り最高6つのアンモニア分子を貯蔵してMg(NHClを生成する。この貯蔵媒体は約1.2グラム/cmの濃度を持ち、リットル当りの貯蔵媒体で620グラムのアンモニア量を貯蔵するようになる。このアンモニア中の水素が分解によって放出されるならば、109グラムの水素が供給できる。この水素濃度は、NaBHまたはLiAlHとして錯体水素化物の理論的水素濃度に相当し、一方、技術的な見地から、本発明の貯蔵媒体は一層安全で、かつ便利である。
【0023】
Mg(NHClを使用すると、25℃のアンモニア蒸気圧は0.002バールとなり、200℃で約8バール増加する。本発明によるデバイスは、アンモニア圧力が1.5から10バールの範囲となるように有利に動作させることができる。
【0024】
他の好ましい錯体Li((NH)ClまたはLi((NH)Clにおいて、アンモニア含有量は、それぞれ62wt%および67wt%の高さである。
【0025】
本発明の好ましい実施形態では、塩は、マイクロ結晶の微粉末の形態または多孔性の保持材料上に置かれ、その取り扱いと貯蔵デバイスでの保持を容易にする。
【0026】
本発明の一実施形態では、加熱のための手段は電気抵抗加熱デバイスの形態である。
【0027】
アンモニアを放出するために必要な熱は、簡単に制御される電気抵抗加熱によって生成することができるが、発熱化学反応によっても生成することができ、その状況で、アンモニアまたは水素が本来よく知られた方法、および/または、エネルギー生成ユニットによる熱交換により酸化される。
【0028】
マイクロ電子機械システムのマイクロ電子回路へ電力を供給することは、電力生成ユニットがデバイス自身よりしばしばより大きく、そしてリモートで独立した動作のために、エネルギー密度が、最も良好なリチウムイオンバッテリ技術[Holladay、Jones、PhelpsおよびHu著、「J.Power Sources」、第108巻、(2002年)、21〜27頁]と比較してさえ劇的に増加されなければならないというパラドックスに悩まされる。エネルギー密度を増加させるためにマイクロサイズの燃料電池が開発されているが、やはり主要な問題は燃料としての例えば水素の貯蔵である。メタノールのような炭化水素またはアルコールの使用は、チップ上に集積して制御することが難しい液体と気体の両方の段階の取り扱いを伴って、蒸発させ、改質し、CO浄化する多くの段階を必要とする。アンモニアに耐える燃料電池に組み合わせられるアンモニア貯蔵デバイスは、チップ上への集積と制御を大いに単純化し、バッテリ技術に比較して一桁エネルギー密度を増加させる。
【0029】
非常に小規模の用途のために、全部のコンテナと加熱のための手段は、機械的グラインディング、化学気相蒸着(CVD)、プラズマ強化化学気相蒸着(PECVD)、電子サイクロトロン共鳴(ECR)、スパッタリング、エッチング、および、電子ビームリソグラフィ、フォトリソグラフィ、またはレーザーリソグラフィなどのリソグラフィ法のような処理を使って微細製造される。
【0030】
本発明によるマイクロサイズ発電ユニットは、機械的グラインディング、化学気相蒸着(CVD)、プラズマ強化化学気相蒸着(PECVD)、電子サイクロトロン共鳴(ECR)、スパッタリング、エッチング、および、電子ビームリソグラフィ、フォトリソグラフィ、またはレーザーリソグラフィなどのリソグラフィ法のようなそれ自体知られている処理を使って微細製造することができる。
【0031】
本発明の実施形態に従って使用する前にアンモニアを水素および窒素に解離する時、アンモニアを解離するための反応器は、好ましくは、プロセスを加速し、必要なエネルギー入力を減らすための不均一触媒(不均一系触媒)を含む。
【0032】
アンモニアを水素および窒素に解離する時、ある場合には、燃料電池にガスを供給する前の残留アンモニアのためにガスを浄化することが好ましい。このようなガス浄化は、2MHSOのような酸性水溶液、またはMgClのようなMの式のタイプのアンモニア吸収塩のいずれかを使って行なうことができる。両方の方法によって、残留アンモニアレベルは10ppm以下に減少することができる。本発明によれば、この浄化ステップは、固体酸性媒体、活性炭および/またはMタイプの塩を吸収する他のアンモニアのような大きな表面積の化合物を使って実行することもできる。
【0033】
不均一触媒は、活性段階を支える支持体(support)を都合よく有してる。この支持体はセラミックのような大きな表面積を備えた熱的に安定した材料から成っており、活性段階の分散を容易にする。
【0034】
活性段階が、遷移金属、あるいはCoMoN、Ru、Co、Ni、およびFeのようなその化合物、またはそれらの混合物の分散されたナノ粒子(100ナノメートルまでの範囲の大きさを持つ)を有することが好ましい。活性段階は、好ましくは、アルカリ金属、あるいはK、Ca、および/またはBaのようなアルカリ土類金属によって促進される。
【0035】
本発明による発電ユニットは燃焼デバイスをさらに有することができ、その状況で、反応器で生成した水素の一部、燃料電池からの未反応の水素、またはそれらの混合物が、発電ユニットにおいてプロセスを実行するのに必要なエネルギーを提供するためのアンモニア貯蔵デバイスを加熱する熱を提供するために酸化される。
【0036】
アンモニアが二水素と二窒素に分解する場合、必要な熱は、電気抵抗加熱によって、および/または、発熱反応から、および/または、エネルギー生成ユニットによる熱交換によって、同じように作ることができる。好ましい加熱の方法は、どのタイプの燃料電池が使われるか、また特に燃料電池の動作温度に依存する。しかしながら、いずれの場合にも、アンモニア脱離のために必要な熱を供給することについての重要な利点が存在し、また、電気抵抗加熱を通じての燃料電池からの直接的な、または、燃料電池自体によるか燃料電池から出たガスの制御された燃焼のいずれかによって作られた熱からの熱交換を間接的に通じた、可能なアンモニアの分解のために必要な熱を供給することについての重要な利点が存在する。熱は、燃焼反応中の分解ユニットからの二水素の少量部分(minor fraction)を利用することによっても直接に作ることができる。
【0037】
熱は、燃焼反応中の分解ユニットから二水素の少量部分(minor fraction)を利用することによっても直接に作ることができる。もし本発明が、高温において(通常、260℃まで)動作するアルカリ性の燃料電池によって利用されるならば、好ましい選択肢は、燃料電池の動作温度を下まわるアンモニアを放出するアンモニア吸収脱着塩を使うことである。
【0038】
本発明の好ましい実施形態では、発電ユニットは燃焼デバイスをさらに有し、その状況で、反応器において生成された少量の水素、燃料電池からの未反応の水素、またはそれらの混合物が、アンモニアを解離するための前記反応器を加熱するための熱を提供するために酸化させられる。
【0039】
本発明の他の好ましい実施形態では、発電ユニットは燃焼デバイスをさらに有し、その状況で、アンモニア貯蔵部から放出された少量のアンモニア、燃料電池からの未反応のアンモニア、またはそれらの混合物が、前記アンモニア貯蔵デバイスを加熱するための熱を提供するために酸化させられる。
【0040】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、発電ユニットは燃焼デバイスをさらに有し、その状況で、アンモニア貯蔵部から放出された少量のアンモニア、燃料電池からの未反応のアンモニア、またはそれらの混合物が、アンモニアを解離するための前記反応器を加熱するための熱を提供するために酸化させられる。
【0041】
本発明による発電ユニットの構成要素は、発電ユニットの体積とエネルギー損失を減らす完全なユニットの全体平衡を提供するような大きさとされることが、特に好ましい。ユニットを平衡させることは、発電ユニットからの電気エネルギーの最適な出力を得るために、管の大きさ、流量、断熱材、温度を最適化することから成り立つことになる。
【0042】
本発明による発電ユニットは、マイクロ電子素子またはマイクロ電子機械システム(MEMS)のためにマイクロサイズの電力源を提供するのに特に適している。
【0043】
アンモニアを解離するための反応器は、好ましくは、機械的グラインディング、化学気相蒸着(CVD)、プラズマ強化化学気相蒸着(PECVD)、電子サイクロトロン共鳴(ECR)、スパッタリング、エッチング、および、電子ビームリソグラフィ、フォトリソグラフィ、またはレーザーリソグラフィなどのリソグラフィ法のようなそれ自体知られている処理を使って微細製造されたマイクロサイズ電気システムの一部である。
【0044】
本発明によれば、アンモニアを解離するための反応器を2つの部分に分離して、一の部分がほとんどのアンモニアを解離する低温で稼動され、他の部分がアンモニアの最終的に存在する少量部分を解離する高温で稼働される。このような設備は高温に維持される領域を減らし、それにより熱損失量を減少させる。
【0045】
他の局面では、本発明は、
一般式:M(NHで表されるアンモニア吸収放出塩を備えるコンテナの形態で、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、およびLi、Na、K、Cs、Mg、Ca、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、CuまたはZnなどの遷移金属、もしくはNaAl、KAl、KZn、CsCu、またはKFeなどのそれらの組み合わせから選択された1以上の陽イオンであり、Xはフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸、チオシアン酸、硫酸、モリブデン酸、リン酸、および塩素酸の各イオンから選択された1以上の陰イオンであり、aは塩の分子当りの陽イオンの数であり、zは塩の分子当りの陰イオンの数であり、nは2から12までの配位数であるアンモニア貯蔵デバイスの利用であって、
(1)前記コンテナとアンモニアガスを放出するためのアンモニア吸収放出塩とを加熱するための手段と、
(2a)アンモニアを直接電力に変換するための燃料電池と
を有するか、または、
(2b1)アンモニアを水素と窒素に解離するための反応器と、
(2b2)水素を電力に変換するための燃料電池と
を有する電力発生ユニットにおけるエネルギー源としてのアンモニア貯蔵デバイスの利用、に関する。
【0046】
この局面の一実施形態では、電力発生ユニットは、アンモニア吸収放出塩にアンモニアを染み込ませるためのアンモニア付加手段をさらに有する。
【0047】
本発明の好ましい利用においては、アンモニア吸収放出塩は、非常に高濃度のアンモニア貯蔵を提供し、また比較的低圧力におけるユニットの動作を可能にするMg(NHClである。
【0048】
塩がマイクロ結晶の微粉末の形態または多孔性の保持材料上に置かれることが、利用に対して好ましい。
【0049】
本発明の一実施形態では、電気抵抗加熱デバイスが加熱のための手段として使用される。
【0050】
本発明の他の実施形態では、加熱を提供するのに化学反応が使われる。
【0051】
好ましい利用においては、コンテナと加熱のための手段は、機械的グラインディング、化学気相蒸着(CVD)、プラズマ強化化学気相蒸着(PECVD)、電子サイクロトロン共鳴(ECR)、スパッタリング、エッチング、および、電子ビームリソグラフィ、フォトリソグラフィ、またはレーザーリソグラフィなどのリソグラフィ法のようなそれ自体知られている処理を使って微細製造されたマイクロサイズ電気システムの一部である。
【0052】
アンモニアを解離するための反応器が使われる時、好ましくは、それはプロセスを加速し、必要なエネルギー入力を減らすための不均一触媒を含む。
【0053】
不均一触媒は、利用の際に好ましくは、支持体と活性段階を有する。
【0054】
遷移金属、あるいはCoMoN、Ru、Co、Ni、およびFeのようなその化合物、またはそれらの混合物の分散されたナノ粒子(100ナノメートルまでの範囲の大きさを持つ)を有することが、利用に対して好ましい。
【0055】
本発明の利用においては、発電ユニットは燃焼デバイスをさらに有し、その状況で、反応器において生成された水素の一部、前記燃料電池からの未反応の水素、またはそれらの混合物が、発電ユニットにおいてプロセスを実行するのに必要なエネルギーを提供するためのアンモニア貯蔵デバイスを加熱するための熱を提供するために酸化させられる。
【0056】
本発明による好ましい1つの利用においては、発電ユニットは燃焼デバイスをさらに有し、その状況で、反応器において生成された少量の水素、燃料電池からの未反応の水素、またはそれらの混合物が、アンモニアを解離するための前記反応器を加熱するための熱を提供するために酸化させられる。
【0057】
本発明による他の好ましい利用においては、発電ユニットは燃焼デバイスをさらに有し、その状況で、アンモニア貯蔵部から放出された少量のアンモニア、燃料電池からの未反応のアンモニア、またはそれらの混合物が、前記アンモニア貯蔵デバイスを加熱するための熱を提供するために酸化させられる。
【0058】
本発明によるさらなる好ましい利用においては、発電ユニットは燃焼デバイスをさらに有し、その状況で、アンモニア貯蔵部から放出された少量のアンモニア、燃料電池からの未反応のアンモニア、またはそれらの混合物が、アンモニアを解離するための前記反応器を加熱するための熱を提供するために酸化させられる。
【0059】
本発明による好ましい利用によれば、発電ユニットの構成は、発電ユニットの体積とエネルギー損失を減らす完全なユニットの全体平衡を提供するような大きさとされる。ユニットを平衡させることは、発電ユニットからの電気エネルギーの最適な出力を得るために、管、流量、断熱材、温度などの大きさを決めることから成りたつことになる。
【0060】
本発明による好ましい利用においては、発電ユニットは、マイクロ電子素子またはマイクロ電子機械システム(MEMS)のためにマイクロサイズの形態にある。
【0061】
[実施例]
本発明による好ましい実施形態では、2つの部分に分離されたアンモニアを解離するための反応器が利用され、一の部分がほとんどのアンモニアを解離する低温で稼動され、他の部分がアンモニアの最後に存在する少量を解離する高温で稼働される。
【0062】
さて、本発明を、本発明を実施するためのプラントの好ましい実施の形態の工程図を示した図面を参照しながらさらに詳細に説明する。
【0063】
本発明による発電ユニットの各部を概略的に示す図1を参照する。このユニットは、加熱デバイス3aを使って加熱できるコンテナ2内に置かれた固体のアンモニア貯蔵媒体1を備えている。コンテナ2の大きさ、従って固体のアンモニア貯蔵媒体の量は、本発明の特定の用途のエネルギー貯蔵能力に対する必要性に応じた大きさにできる。本発明によるシステムはマイクロスケールからメガスケールまでに及ぶ大きさを持つことができ、貯蔵可能量はそれに応じて変わらねばならない。閉じた系で低いアンモニア圧力(<1バール)を構築するだけの周囲条件(約20℃で1バール)においてアンモニアを貯蔵することが可能な物質が、本発明による固体のアンモニア貯蔵媒体としての使用にとって好ましい。
【0064】
本発明の好ましい実施形態では、固体のアンモニア貯蔵材料は、注入ノズルを通して貯蔵コンテナ2にガスまたは液体アンモニアを加えることによって、再装填することができ、そして貯蔵材料は周囲温度においてアンモニアを吸収する。
【0065】
加熱デバイス3aは電気抵抗加熱、または固体のアンモニア貯蔵媒体を加熱するための可能ないくつかの化学的プロセスの1つを使うことができる。熱生成のための好ましい化学反応は、電気化学発電ユニット4の排気管5からの残留水素、または固体の貯蔵媒体から放出されたアンモニアの一部の燃焼であり得る。このような燃焼は触媒上で有利に遂行しうる。
【0066】
1つの好ましい実施形態では、電気化学発電ユニット4はアンモニアにおいて直接動作する燃料電池である。この燃料電池は有利にSOFCまたはAFCタイプであり得る。
【0067】
図2は本発明の発電ユニットの他の実施形態を示し、そこでは、電気化学発電ユニットが水素において動作する燃料電池であり得る。この用途では、固体アンモニア貯蔵部1からのアンモニアが不均一アンモニア分解触媒6上に通される。触媒はアンモニアを水素と窒素に分解する。この分解のための好ましい触媒は、サポート上に堆積することができ、そして活性段階はCoMoN、Ru、Co、Ni、またはFe、あるいはその混合物の分散されたナノ粒子を含むことができる。もし十分な量の触媒が1バールで300℃の下に使われるならば、均衡状態のアンモニアの残留量はたった1.9%である。分解触媒6のための熱エネルギーは、加熱素子3aに対して説明するのと同じ方法で得られたエネルギーを使って、加熱素子3bから供給される。1つの好ましい実施形態では、コンテナ2と分解触媒6は1つのユニットに一体化され、両方の反応器のための熱を同じ加熱素子によって提供することが可能である。
【0068】
少量のアンモニアの電気化学発電デバイスへの導入が(デバイスがPEMタイプの燃料電池である場合のように)もし望ましくないならば、ガス混合物は、別個の、または統合されたユニット7内で浄化することができる。このユニットは酸性ゼオライトとしての吸収剤から成り、または固体のアンモニア貯蔵材料として実現可能なタイプのイオン性の塩から成ることもできる。他の実施形態では、このガス浄化は、他のガス成分から水素を分離するための膜を使って行なうことができる。好ましい実施形態では、この膜はPdから作られうる。
【0069】
図3では、図2の実施形態に関連して説明したようにシステムが構築され、オプションバッファ体8aおよび/または8bと、1つ以上の電磁バルブ9a〜9dをさらに備えた、さらなる好ましい実施形態を示す。電子制御装置10は、電気化学発電デバイスの燃料必要量に適応する流量と熱量を監視および制御する。
【0070】
[本発明によるシステムの特定の例]
以下の本発明を動作することについての特定の例により、本発明をさらに詳細に説明する。
【0071】
[例1:金属アンミンハロゲン化物のアンモニア吸収]
アンモニアの吸収をNi(NHClとMg(NHClによって例示する。
【0072】
Ni(NHClからのアンモニアの放出は、1.1グラムのNi(NHClを、流量測定器に接続された一つの外向き管を備える10ミリリットル内部容積のコンテナ内に置いて遂行した。コンテナをシールし、電気抵抗加熱によって0.2℃/分の昇温速度で加熱した。結果得られたアンモニアの流量を図Aに示すが、全体放出量は測定誤差の範囲内でNiCl1モル当り6モルのNHの理論的な全体量を構成する。
【0073】
アルカリ土類金属アンミンハロゲン化物からの脱離を例示するために、類似のテストをMg(NHClで行った。結果得られたアンモニアの流量を図Bに示すが、全体放出量は測定誤差の範囲内でMgCl1モル当り6モルのNHの理論的な全体量を構成する。
【0074】
[例2:一般構造Mの金属塩内のアンモニアガスの吸収]
一般式MXzの塩をアンモニアガスにさらし、X線回折を使ってその吸収を調査した。ZnCl、CuSO、CoCl、MgCl、およびNiClを、1バール圧力かつ室温におけるアンモニアガスにさらした後で調査した。その結果を図C〜Gに示す。さらなる1つの実験は、MgClのアンモニア吸収が8バールのアンモニア圧力において20分未満で完了したことを示す。
【0075】
[例3:吸収脱離サイクルの可逆性]
吸収サイクルの可逆性を、吸収と、それに続く脱離の後(図H)、および2回目の吸収(図I)後に、MgClのX線回折によって調査した。図Fと比較すると、アンモニアの吸収/脱離の間の結晶構造の変化が可逆であることがわかる。
【0076】
[例4:本発明による発電ユニットの準備]
PEM燃料電池に水素を供給する本発明によるユニットを組み立てた。このユニットは、アンモニア貯蔵化合物のためのコンテナ、アンモニアガスのためのバッファチャンバ(約200ミリリットル)、流量制御のための装置、アンモニア分解のための加熱触媒、残留アンモニアの除去のためのスクラバ(scrubber:洗浄機)、および電気モータに電力を供給するPEM燃料電池を有する。
【0077】
本発明の実現可能性を実証するために、Mg(NHClを、コンテナ中のアンモニア貯蔵化合物として使用した。コンテナは電気抵抗加熱によって加熱した。図Jは、アンモニアが70ミリメートル/分の平均速度で残留システムに動的に放出された時の、バッファ体における圧力増加の特性を示す。この例における加熱は単一の圧力基準を背景にオン/オフを調整されるのに従って、図Kからわかるように温度が振動する。これは図Jに見られるような圧力の振動につながる。温度の振動は別として、顕著な3つのプラトーが認識される。これらは、図Bにおいても認識されるMg(NHClからのアンモニア脱離の3つの段階に対応する。
【0078】
流量制御装置をそのままにして、アンモニアを窒素と水素に分解するための反応器にアンモニアを通した。この反応器には1.0グラムの鉄ベースの触媒を備え、そして電気抵抗加熱によって加熱した。
【0079】
この例では、ガスが燃料電池に入る前の最後のプロセスは、触媒反応器から残留アンモニアを除去することであった。このガス浄化は、酸性水溶液(例えば2MHSO)またはMタイプ(例えばMgCl)のアンモニア吸収塩を使って行なった。両方の方法によって、残留アンモニアレベルを10ppmを下回るほどに減少させることができた。
【0080】
[例5:微細製造された反応器中のアンモニアの分解]
この例では、シリコンウェハ上にフォトリソグラフィおよび乾式エッチングによって作製した微細製造された複数の反応器中でアンモニア分解が実行できることを実証した。各反応器はそれぞれ4マイクロリットルの内部容積を持ち、パイレックス(登録商標)ガラスを使ってシールした。その反応器中に、Ru、またはアルミナ上に保持されたBa活性Ruから成る触媒を置いた。これらの反応器中の時間当たりRu1モル当たりの水素生成に関する触媒活性を反応器温度の関数として図Lに示した。図Lからわかるように、分解したアンモニアの割合は、400℃で98%程度と高くできる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明による発電ユニットの実施形態の一部を概略的に示す。
【図2】本発明による発電ユニットの好ましい実施形態の各部分を概略的に示す。
【図3】本発明による発電ユニットの他の好ましい実施形態の各部分を概略的に示す。
【符号の説明】
【0082】
10 電子制御装置
2 コンテナ
3a 加熱デバイス
3a、3b 加熱素子
4 電気化学発電ユニット
5 排気管
6 分解触媒
7 ユニット
8a オプションバッファ体
9a〜9d 電磁バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)一般式:M(NHで表されるアンモニア吸収放出塩を備えるコンテナの形態のアンモニア貯蔵デバイスであって、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、およびLi、Na、K、Cs、Mg、Ca、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、CuまたはZnなどの遷移金属、もしくはNaAl、KAl、KZn、CsCu、またはKFeなどのそれらの組み合わせから選択された1以上の陽イオンであり、Xはフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸、チオシアン酸、硫酸、モリブデン酸、およびリン酸の各イオンから選択された1以上の陰イオンであり、aは塩の分子当りの陽イオンの数であり、zは塩の分子当りの陰イオンの数であり、nは2から12までの配位数であるアンモニア貯蔵デバイスと、
(ii)前記コンテナとアンモニアガスを放出するためのアンモニア吸収放出塩とを加熱するための手段と、
(iiia)アンモニアを直接電力に変換するための燃料電池と、または、
(iiib1)アンモニアを水素と窒素に解離するための反応器、および、
(iiib2)水素を電力に変換するための燃料電池と、
を有することを特徴とする電力発生ユニット。
【請求項2】
アンモニア吸収放出塩にアンモニアを染み込ませるためのアンモニア付加手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の電力発生ユニット。
【請求項3】
前記アンモニア吸収放出塩はMg(NHClであることを特徴とする請求項1に記載の電力発生ユニット。
【請求項4】
前記塩は、マイクロ結晶の微粉末の形態または多孔性の保持材料上に置かれることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電力発生ユニット。
【請求項5】
前記加熱するための手段は電気抵抗加熱デバイスの形態であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電力発生ユニット。
【請求項6】
前記加熱するための手段は化学反応によって生成された熱によって提供されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電力発生ユニット。
【請求項7】
前記コンテナおよび加熱するための手段は、機械的グラインディング、化学気相蒸着(CVD)、プラズマ強化化学気相蒸着(PECVD)、電子サイクロトロン共鳴(ECR)、スパッタリング、エッチング、および、電子ビームリソグラフィ、フォトリソグラフィ、またはレーザーリソグラフィなどのリソグラフィ法のような処理を使って微細製造されたマイクロサイズ電気システムの一部であることを特徴とする請求項1に記載の電力発生ユニット。
【請求項8】
アンモニアを解離するための反応器は不均一触媒を含むことを特徴とする請求項1に記載の電力発生ユニット。
【請求項9】
前記不均一触媒は維持段階と支持体とを有することを特徴とする請求項8に記載の電力発生ユニット。
【請求項10】
前記活性段階は、遷移金属、あるいはCoMoN、Ru、Co、Ni、およびFeのようなその化合物、またはそれらの混合物の分散されたナノ粒子を有することを特徴とする請求項9に記載の電力発生ユニット。
【請求項11】
燃焼デバイスをさらに有し、その状況で、反応器において生成された水素の一部、前記燃料電池からの未反応の水素、またはそれらの混合物が、アンモニア貯蔵デバイスを加熱するための熱を提供するために酸化させられることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の電力発生ユニット。
【請求項12】
燃焼デバイスをさらに有し、その状況で、反応器において生成された少量の水素、前記燃料電池からの未反応の水素、またはそれらの混合物が、アンモニアを解離するための前記反応器を加熱するための熱を提供するために酸化させられることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の電力発生ユニット。
【請求項13】
燃焼デバイスをさらに有し、その状況で、アンモニア貯蔵部から放出された少量のアンモニア、前記燃料電池からの未反応のアンモニア、またはそれらの混合物が、前記アンモニア貯蔵デバイスを加熱するための熱を提供するために酸化させられることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の電力発生ユニット。
【請求項14】
燃焼デバイスをさらに有し、その状況で、アンモニア貯蔵部から放出された少量のアンモニア、前記燃料電池からの未反応のアンモニア、またはそれらの混合物が、アンモニアを解離するための前記反応器を加熱するための熱を提供するために酸化させられることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の電力発生ユニット。
【請求項15】
各構成要素は、全ユニットの完全な平衡を提供するような大きさとされることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の電力発生ユニット。
【請求項16】
マイクロ電子素子またはマイクロ電子機械システム(MEMS)のためにマイクロサイズの電力源の形態にあることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の電力発生ユニット。
【請求項17】
アンモニアを解離するための前記反応器は、機械的グラインディング、化学気相蒸着(CVD)、プラズマ強化化学気相蒸着(PECVD)、電子サイクロトロン共鳴(ECR)、スパッタリング、エッチング、および、電子ビームリソグラフィ、フォトリソグラフィ、またはレーザーリソグラフィなどのリソグラフィ法のような処理を使って微細製造されたマイクロサイズ電気システムの一部であることを特徴とする請求項1に記載の電力発生ユニット。
【請求項18】
アンモニアを解離するための反応器は、2つの部分に分離され、一の部分がほとんどのアンモニアを解離する低温で稼動され、他の部分がアンモニアの最終的に存在するごく少量を解離する高温で稼働されることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の電力発生ユニット。
【請求項19】
一般式:M(NHで表されるアンモニア吸収放出塩を備えるコンテナの形態で、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、およびLi、Na、K、Cs、Mg、Ca、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、CuまたはZnなどの遷移金属、もしくはNaAl、KAl、KZn、CsCu、またはKFeなどのそれらの組み合わせから選択された1以上の陽イオンであり、Xはフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸、チオシアン酸、硫酸、モリブデン酸、リン酸、および塩素酸の各イオンから選択された1以上の陰イオンであり、aは塩の分子当りの陽イオンの数であり、zは塩の分子当りの陰イオンの数であり、nは2から12までの配位数であるアンモニア貯蔵デバイスの利用であって、
(1)前記コンテナとアンモニアガスを放出するためのアンモニア吸収放出塩とを加熱するための手段と、
(2a)アンモニアを直接電力に変換するための燃料電池と
を有するか、または、
(2b1)アンモニアを水素と窒素に解離するための反応器と、
(2b2)水素を電力に変換するための燃料電池と
を有する電力発生ユニットにおけるエネルギー源としてのアンモニア貯蔵デバイスの利用。
【請求項20】
前記電力発生ユニットは、アンモニア吸収放出塩にアンモニアを染み込ませるためのアンモニア付加手段をさらに有することを特徴とする請求項19に記載の利用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図A】
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【図B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2007−531209(P2007−531209A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504257(P2007−504257)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【国際出願番号】PCT/DK2005/000196
【国際公開番号】WO2005/091418
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(506320842)
【Fターム(参考)】