アーム支持型パネル装置
【課題】パネルの特定に領域への進入を防止可能な簡便な構造のアーム支持型パネル装置を提供することを課題とする。
【解決手段】自身を介して作業機10の作動に関する情報の入力と出力との少なくとも一方が行われるパネル36と、先端部においてそのパネルを回動可能に支持するアーム34と、そのアームをそれの基端部において回動可能に支持するアーム支持体32とを備えたアーム支持型パネル装置20において、アームのアーム支持体に対する回動を特定の範囲であるアーム特定回動範囲に制限可能に構成するとともに、パネルのアームに対する回動を特定の範囲であるパネル特定回動範囲に制限可能に構成する。このように構成することで、パネルを動かすことのできる領域を制限することが可能となり、パネルの特定の領域22への進入を防止することが可能となる。
【解決手段】自身を介して作業機10の作動に関する情報の入力と出力との少なくとも一方が行われるパネル36と、先端部においてそのパネルを回動可能に支持するアーム34と、そのアームをそれの基端部において回動可能に支持するアーム支持体32とを備えたアーム支持型パネル装置20において、アームのアーム支持体に対する回動を特定の範囲であるアーム特定回動範囲に制限可能に構成するとともに、パネルのアームに対する回動を特定の範囲であるパネル特定回動範囲に制限可能に構成する。このように構成することで、パネルを動かすことのできる領域を制限することが可能となり、パネルの特定の領域22への進入を防止することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アーム支持型パネル装置、詳しくは、作業機の作動に関する情報を入出力するためのパネルがアームによって回動可能に支持されるとともに、そのアームの動きも許容されたアーム支持型パネル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記アーム支持型パネル装置においては、パネルを回動させることでそのパネルの向きを変更することが可能であり、アームを動かすことでパネルの位置を変更することが可能である。ただし、そのようなパネルの動きに伴ってパネルが作業機等に干渉する虞があることから、パネルがある特定の領域には入らないようにする必要がある。そのことに関連する技術として、下記特許文献には、アーム支持型のパネル装置に障害物の有無を検出するためのセンサ等を設け、そのセンサの検出結果に基づいてパネルの動きを制御することで、パネルが特定の領域に入らないようにする技術が記載されている。
【特許文献1】特開2001−294097号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献に記載のアーム支持型パネル装置は、障害物の有無を検出するためのセンサ等を備えており、構造の複雑化等を招く虞がある。このため、本発明は、パネルの特定の領域への進入を防止可能な簡便な構造のアーム支持型パネル装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明のアーム支持型パネル装置は、自身を介して作業機の作動に関する情報の入力と出力との少なくとも一方が行われるパネルと、先端部においてそのパネルを回動可能に支持するアームと、そのアームをそれの基端部において回動可能に支持するアーム支持体と、アームのアーム支持体に対する回動を特定の範囲であるアーム特定回動範囲に制限可能なアーム回動制限機構と、パネルのアームに対する回動を特定の範囲であるパネル特定回動範囲に制限可能なパネル回動制限機構とを備える。
【発明の効果】
【0005】
本発明のアーム支持型パネル装置においては、アームの回動およびパネルの回動を特定の範囲に制限することが可能である。したがって、本発明のパネル装置によれば、特別なセンサ等を設けなくとも、パネルを動かすことのできる領域を制限することが可能となり、パネルの特定の領域への進入を防止することが可能となる。
【発明の態様】
【0006】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0007】
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、請求項1に(2)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項2に、請求項1または請求項2に(3)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項3に、請求項3に(4)項および(5)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項4に、請求項4に(6)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項5に、請求項1または請求項2に(8)項および(9)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項6に、請求項6に(10)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項7に、それぞれ相当する。
【0008】
(1)自身を介して作業機の作動に関する情報の入力と出力との少なくとも一方が行われるパネルと、
先端部においてそのパネルを回動可能に支持するアームと、
前記作業機に固定され、そのアームをそれの基端部において回動可能に支持するアーム支持体と、
前記アームの前記アーム支持体に対する回動を特定の範囲であるアーム特定回動範囲に制限可能なアーム回動制限機構と、
前記パネルの前記アームに対する回動を特定の範囲であるパネル特定回動範囲に制限可能なパネル回動制限機構と
を備えたアーム支持型パネル装置。
【0009】
パネルをアームによって回動可能に支持するとともに、そのアームの動きも許容されたアーム支持型のパネル装置においては、パネルの向きを変更したり、位置を変更することが可能であり、作業者の視認性,操作性等を向上させることが可能である。しかし、パネルの向き,位置等の変更によって、パネルが作業機に当接したり、パネルが作業機の作業する範囲に移動したりすることは望ましくない。つまり、パネルが特定の領域には入らないようにすることによって、アーム支持型パネル装置の実用性を向上させることが可能である。パネルの特定の領域への進入を防止する方法としては、例えば、パネル装置にその特定領域への接近を判別するためのセンサ等を設け、そのセンサの検出結果に基づいてパネルの動きを制御する方法が考えられる。しかし、そのような方法においては、特別なセンサ等を設ける必要があるため、パネル装置の構造の複雑化、パネル装置の高価格化等を招く虞がある。
【0010】
本項に記載の態様の装置においては、アームの回動が特定範囲に制限された状態とその制限を解除することでアームの特定範囲を超えた回動を許容する状態とを切換可能であり、パネルの回動が特定範囲に制限された状態とその制限を解除することでパネルの特定範囲を超えた回動を許容する状態とを切換可能である。したがって、本項に記載の装置によれば、特別なセンサ等を設けなくとも、パネルを動かすことのできる領域を制限することが可能となり、パネルの特定の領域への進入を防止することが可能となる。
【0011】
本項に記載の「アーム回動制限機構」および「パネル回動制限機構」は、アーム若しくはパネルの回動をそれぞれの特定の範囲に制限するとともに、その制限を解除することが可能な構造とされている。つまり、各回動制限機構は、アーム若しくはパネルのそれぞれの特定の範囲を超えた回動を許容可能な構造とされている。また、本項に記載の「特定の範囲」は、どのような範囲に設定されてもよく、例えば、きわめて狭い範囲、さらに言えば、特定の位置に設定されてもよい。このように「特定の範囲」が特定の位置に設定された場合には、アーム、若しくは、パネルの回動はその特定の位置において禁止される。つまり、本項に記載の「各回動制限機構」は、アーム、若しくは、パネルの回動を特定の位置において禁止するものであってもよい。
【0012】
(2)前記アーム回動制限機構によって前記アームの回動が制限されている状態と、前記パネル回動制限機構によって前記パネルの回動が制限されている状態との少なくとも一方が実現されることによって、前記パネルが前記作業機に干渉しないように、前記アーム特定回動範囲および前記パネル特定回動範囲が設定されている(1)項に記載のアーム支持型パネル装置。
【0013】
本項に記載の装置においては、パネルを進入させることができない領域が限定されており、本項に記載の装置によれば、例えば、アーム,パネルの回動に伴うパネルの作業機への当接を適切に防止することが可能となる。
【0014】
(3)当該アーム支持型パネル装置が、
前記アーム回動制限機構によって前記アームの回動が制限されている状態において、前記パネル回動制限機構による前記パネルの回動の制限が解除された状態とし、前記パネル回動制限機構によって前記パネルの回動が制限されている状態において、前記アーム回動制限機構による前記アームの回動の制限が解除された状態とする両回動制限機構連動機構を備えた(1)項または(2)項に記載のアーム支持型パネル装置。
【0015】
本項に記載の装置においては、アームがアーム特定回動範囲内に位置している場合にパネルのパネル特定回動範囲を超えての回動を許容することができ、パネルがパネル特定回動範囲内に位置している場合にアームのアーム特定回動範囲を超えての回動を許容することができる。つまり、アームとパネルとの両方が同時に各特定回動範囲を超えて回動することはない。したがって、本項に記載の装置によれば、特定の領域へのパネルの進入を適切に防止することが可能となる。
【0016】
(4)前記アーム回動制限機構が、(A)前記アーム支持体の一部と前記アームの基端部との一方に設けられた第1被係合部と、(B)前記アーム支持体の一部と前記アームの基端部との他方に、前記第1被係合部に係合する位置と係合しない位置との間で移動可能に設けられた第1係合部とを有し、前記第1係合部が前記第1被係合部に係合することによって、前記アームの回動を前記アーム特定回動範囲に制限するように構成され、かつ、
前記パネル回動制限機構が、(C)前記アームの先端部と前記パネルの一部との一方に設けられた第2被係合部と、(D)前記アームの先端部と前記パネルの一部との他方に、前記第2被係合部に係合する位置と係合しない位置との間で移動可能に設けられた第2係合部とを有し、前記第2係合部が前記第2被係合部に係合することによって、前記パネルの回動を前記パネル特定回動範囲に制限するように構成された(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載のアーム支持型パネル装置。
【0017】
(5)当該アーム支持型パネル装置が、
前記アーム回動制限機構によって前記アームの回動が制限されている状態において、前記パネル回動制限機構による前記パネルの回動の制限が解除された状態とし、前記パネル回動制限機構によって前記パネルの回動が制限されている状態において、前記アーム回動制限機構による前記アームの回動の制限が解除された状態とする両回動制限機構連動機構を備え、
前記両回動制限機構連動機構が、
前記第1係合部を前記第1被係合部に係合する位置へ移動させると前記第2係合部を前記第2被係合部に係合しない位置へ移動させ、前記第1係合部を前記第1被係合部に係合しない位置へ移動させると前記第2係合部を前記第2被係合部に係合する位置へ移動させ、かつ、前記第2係合部を前記第2被係合部に係合する位置へ移動させると前記第1係合部を前記第1被係合部に係合しない位置へ移動させ、前記第2係合部を前記第2被係合部に係合しない位置へ移動させると前記第1係合部を前記第1被係合部に係合する位置へ移動させるように構成された(4)項に記載のアーム支持型パネル装置。
【0018】
上記2つの項に記載の装置においては、アーム回動制限機構、パネル回動制限機構、若しくは、両回動制限機構連動機構の構造が限定されている。前者の項の装置によれば、2つの回動制限機構の構造を比較的簡便なものとすることが可能となり、後者の項の装置によれば、2つの回動制限機構を確実に連動させることが可能となる。
【0019】
(6)前記第1被係合部が、前記アーム支持体の一部とアームの基端部との一方としての前記アーム支持体の一部に設けられ、
前記第2被係合部が、前記アームの先端部とパネルの一部との一方としての前記パネルの一部に設けられ、
当該アーム支持型パネル装置が、
前記アームにそれの軸線方向に延びるように設けられるとともに、その軸線方向にスライドするスライダを有し、
そのスライダの前記アーム支持体側の端部が前記第1係合部として機能するとともに、前記スライダの前記パネル側の端部が前記第2係合部として機能し、前記スライダのスライドに伴って、前記スライダのアーム支持体側の端部が前記第1被係合部に係合する位置と前記第1被係合部に係合しない位置との間を移動し、前記スライダのパネル側の端部が前記第2被係合部に係合する位置と前記第2被係合部に係合しない位置との間を移動するように構成されており、前記スライダが前記両回動制限機構連動機構の一部として機能するようにされた(4)項または(5)項に記載のアーム支持型パネル装置。
【0020】
(7)前記第1被係合部と前記スライダのアーム支持体側の端部との一方が、第1凸部を有し、
前記第1被係合部と前記スライダのアーム支持体側の端部との他方が、その第1凸部を挿入させることが可能な第1凹部を有し、
前記アーム回動制限機構が、
前記第1凸部が前記第1凹部に挿入するように前記スライダがスライドすることで、前記アームの回動を前記アーム特定回動範囲に制限するように構成され、かつ、
前記第2被係合部と前記スライダのパネル側の端部との一方が、第2凸部を有し、
前記第2被係合部と前記スライダのパネル側の端部との他方が、その第2凸部を挿入させることが可能な第2凹部を有し、
前記パネル回動制限機構が、
前記第2凸部が前記第2凹部に挿入するように前記スライダがスライドすることで、前記パネルの回動を前記パネル特定回動範囲に制限するように構成された(6)項に記載のアーム支持型パネル装置。
【0021】
上記2つの項に記載の装置においては、アーム回動制限機構、パネル回動制限機構、および、両回動制限機構連動機構の具体的な構造がさらに限定されている。上記2つの項に記載の装置によれば、2つの回動制限機構を容易に連動させることが可能となり、特定の領域へのパネルの進入を防止可能なパネル装置の構造を比較的簡便なものとすることができる。
【0022】
(8)前記アーム回動制限機構が、(A)前記アーム支持体の一部と前記アームの基端部との一方に設けられた第1被係合部と、(B)前記アーム支持体の一部と前記アームの基端部との他方を含む前記アーム支持体と前記アームとの一方に、それの特定の位置において装着可能な第1係合部材とを有し、その第1係合部材がそれが装着された状態において前記第1被係合部に係合することによって、前記アームの回動を前記アーム特定回動範囲に制限するように構成され、かつ、
前記パネル回動制限機構が、(C)前記アームの先端部と前記パネルの一部との一方に設けられた第2被係合部と、(D)前記アームの先端部と前記パネルの一部との他方を含む前記アームと前記パネルとの一方に、それの特定の位置において装着可能な第2係合部材とを有し、その第2係合部材がそれが装着された状態において前記第2被係合部に係合することによって、前記パネルの回動を前記パネル特定回動範囲に制限するように構成された(1)項または(2)項に記載のアーム支持型パネル装置。
【0023】
本項に記載の装置においては、第1係合部材を上記特定の位置に装着することで、アームの回動がアーム特定回動範囲に制限され、第2係合部材を上記特定の位置に装着することで、パネルの回動がパネル特定回動範囲に制限される。したがって、本項に記載の装置によれば、特定の領域へのパネルの進入を防止可能なパネル装置の構造を相当に簡便なものとすることができる。
【0024】
(9)当該アーム支持型パネル装置が、
前記第1係合部材として機能するとともに前記第2係合部材としても機能し、前記アーム支持体とアームとの一方と前記アームとパネルとの一方とのいずれにも装着可能な単一の兼用係合部材を有する(8)項に記載のアーム支持型パネル装置。
【0025】
本項に記載の装置においては、上記単一の兼用係合部材を、アーム支持体とアームとの一方とアームとパネルとの一方との両方に同時に装着することはできない。つまり、兼用係合部材によってアームの回動が制限されている場合には、その兼用係合部材によるパネルの回動の制限は解除され、兼用係合部材によってパネルの回動が制限されている場合には、その兼用係合部材によるアームの回動の制限は解除される。したがって、本項に記載の装置によれば、例えば、アームの回動の制限の解除とパネルの回動の制限の解除とを選択的に実行することが可能となり、特定の領域へのパネルの進入を適切に防止することが可能となる。
【0026】
(10)前記兼用係合部材が、複数の嵌合部を有し、
前記アーム支持体とアームとの一方が、それら複数の嵌合部を嵌合することが可能な複数の第1被嵌合部を、前記アームとパネルとの一方が、それら複数の嵌合部を嵌合することが可能な複数の第2被嵌合部を、それぞれ、有し、
前記アーム回動制限機構が、
前記複数の嵌合部がそれら複数の第1被嵌合部に嵌合することで、前記兼用係合部材が前記アーム支持体とアームとの一方にそれの前記特定の位置において装着される構造とされ、かつ、
前記パネル回動制限機構が、
前記複数の嵌合部がそれら複数の第2被嵌合部に嵌合することで、前記兼用係合部材が前記アームとパネルとの一方にそれの前記特定の位置において装着される構造とされた(9)項に記載のアーム支持型パネル装置。
【0027】
本項に記載の装置においては、兼用係合部材の複数の嵌合部を、複数の第1被嵌合部と複数の第2被嵌合部とのいずれにも嵌合可能とされていることから、複数の第1被嵌合部と複数の第2被嵌合部とは形状,配置等に関して殆ど同じである。このため、例えば、兼用係合部材の複数の嵌合部のうちの1つの嵌合部を嵌合可能な被嵌合部が、第1被嵌合部,第2被嵌合部とは別にアーム等に複数設けられていても、兼用係合部材の複数の嵌合部を、それら第1被嵌合部,第2被嵌合部とは別の複数の被嵌合部に嵌合させることができる可能性は低いと考えられる。したがって、本項に記載の装置によれば、兼用係合部材を上記特定の位置以外の位置に間違って装着する可能性を低くすることができる。
【実施例】
【0028】
以下、請求可能発明の実施例および変形例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【0029】
図1に、作業機10に設けられた請求可能発明のアーム支持型パネル装置(以下、「パネル装置」と略す場合がある)20を示す。図1は作業機10の斜め前方からの視点において示されたものである。作業機10は、プリント回路基板に対する作業を実行するための機械であり、詳しく言えば、プリント回路基板にクリームはんだを塗布するためのスクリーン印刷機である。作業機10の上面には、作業機内部への防塵等を目的として、開閉可能なカバー22が設けられている。カバー22は、作業機10の上面の後部側に、その作業機の幅方向に平行な軸線まわりに回動可能に取り付けられており、作業機10の内部を覆う閉位置と作業機10の内部を開放する開位置とに回動可能とされている。また、カバー10は、アクリル樹脂製であり、カバー10が閉位置に位置する状態においても、作業機10の内部を作業者が確認することが可能とされている。
【0030】
図2に、図1に示された状態でのパネル装置20を上方からの視点において示す。パネル装置20は、作業機10の本体部に固定的に立設された支持柱30と、その支持柱30に固着されたアームブラケット32と、そのアームブラケット32に回動可能に自身の基端部において支持されるアーム34と、そのアーム34の先端部において回動可能に支持されるパネル36とを備えている。パネル36は、作業機10の作動に関する情報を入出力するためのパネル本体38と、そのパネル本体38の背面に固着されてアームに回動可能に支持されるパネルブラケット40とから構成されている。パネル36は、アーム34に対して、アーム34とパネルブラケット40とを連結する軸体42を中心に回動可能とされている。一方、そのアーム34は、それを支持するアーム支持体としての支持柱30とアームブラケット32とに対して、アーム34とアームブラケット32とを連結する軸体44を中心に回動可能とされている。
【0031】
また、アーム34の上面には、それの軸線方向に延びるようにスライダ50が設けられており、そのスライダ50は、アーム34の軸線方向にスライド可能とされている。詳しくいえば、図2および、図2におけるA−A’断面図である図3に示すように、アーム34の上面には、それの軸線方向に延びるようにして2本のT溝52が形成されており、それら2本のT溝52には、スライダ50の下面側に突出するように設けられた4本のT溝ボルト54が嵌められている。それらT溝52とT溝ボルト54とによって、スライダ50が、アーム34の上面において、それの軸線方向にスライド可能とされている。
【0032】
そのスライダ50のアームブラケット32側の端部は、その端部の一部が切欠かれ、凸部(後述する別の凸部と区別すべく、以下、「第1凸部」という場合がある)56とされており、その第1凸部56の先端は、折り曲げられて立設させられている。また、アームブラケット32の一部は、その第1凸部56を挿入させることができるように切欠かれた凹部(後述する別の凹部と区別すべく、以下、「第1凹部」という場合がある)58とされており、スライド50をアームブラケット32側にスライドさせることで、その第1凹部58に第1凸部56を係合させることが可能となっている。つまり、その第1凹部58は第1被係合部として機能するとともに、第1凸部56は第1係合部として機能し、第1凸部56の第1凹部58への係合によって、アーム34の回動が制限される。詳しく言えば、スライダ50がアームブラケット32側にスライドしている状態、つまり、第1凸部56が第1凹部58に係合している状態において、アーム34が回動すると、第1凸部56が第1凹部58に当接してアーム34の回動が禁止される。このため、そのような状態において、アーム34の回動が、特定の範囲であるアーム特定回動範囲、つまり、第1凸部56が第1凹部58に当接しない範囲に制限される。このため、本パネル装置20は、第1凸部56と第1凹部58とを含んで構成されるアーム回動制限機構を備えていると考えることができる。
【0033】
一方、スライダ50のパネルブラケット40側の端部も、その端部の一部が切欠かれ、凸部(前述の第1凸部56と区別すべく、以下、「第2凸部」という場合がある)60とされており、その第2凸部60の先端も、折り曲げられて立設させられている。ただし、スライダ50がアームブラケット32側にスライドしている状態においては、その第2凸部60は、パネルブラケット40のいずれにも係合しておらず、パネル36の回動は制限されていない。ちなみに、図2に示される状態、つまり、パネル36が作業機10の側方に位置するとともに、パネル本体38の前面を作業機10の前方に向けた状態においては、スライダ50をパネルブラケット40側にスライドさせても、第2凸部60がパネルブラケット40に当接するため、第1凸部56の第1凹部58への係合を解除することはできない。つまり、図2に示される状態においては、パネル36の回動は制限されていないが、アーム34の回動は制限されており、その制限を解除することはできない。
【0034】
パネル装置20が図2に示される状態とされている場合には、パネル本体38の前面が作業機10の前方を向いていることから、作業者による視認性は良い。ただし、パネル36が作業機10の側方に位置することから、作業者による操作性は良くない。本パネル装置20においては、作業者による操作性を向上させるべく、パネル36とアーム34とを回動させて、パネル本体38の前面を作業機10の前方に向けた状態でパネル36を作業機10の前方に位置させることが可能とされている。ただし、上述したように、図2に示される状態においては、アーム34の回動が制限されており、その制限を解除することができないことから、一定の手順を踏んで、パネル装置20が、その状態から、パネル36が作業機10の前方に位置するとともに、パネル本体38の前面を作業機10の前方に向けた状態に変更される。
【0035】
具体的に言えば、図2に示される状態においては、アーム34の回動は制限されており、パネル36の回動は制限されていないことから、まず、パネル36を作業機10の前方に向けて回動させる(図2実線矢印)。パネル36をアーム34に対して直角となるように回動させると、図4に示すように、パネルブラケット40の切欠かれた部分である凹部(前述の第1凹部58と区別すべく、以下、「第2凹部」という場合がある)62の位置が、スライド50のパネルブラケット側の端部に設けられた第2凸部60に対向する位置となり、スライド50をパネルブラケット40側にスライドさせて第2凸部60を第2凹部62に挿入させることが可能となる。
【0036】
スライド50をパネルブラケット40側にスライドさせると(図4実線矢印)、図5に示すように、第2凸部60が第2凹部62に係合するとともに、第1凸部56の第1凹部58への係合が解除される。つまり、その第2凸部60は第2係合部として機能するとともに、第2凹部62は第2被係合部として機能し、第2凸部60の第2凹部62への係合によって、パネル36の回動が制限されるとともに、アーム34の回動の制限が解除される。パネル36の回動の制限は、パネル36の回動に伴って第2凸部60が第2凹部62に当接することで、特定の範囲であるパネル特定回動範囲、つまり、第2凸部60が第2凹部62に当接しない範囲に制限される。このため、本パネル装置20は、第2凸部60と第2凹部62とを含んで構成されるパネル回動制限機構を備えていると考えることができる。
【0037】
図5に示された状態においては、パネル36の回動は制限されており、アーム34の回動は制限されていないことから、アーム34を作業機10の前方に向けて回動させる(図5実線矢印)。そのアーム34の回動に伴って、図6に示すように、パネル36が作業機10の前方に位置するとともに、パネル本体38の前面が作業機10の前方に向けられる。このような手順を踏んで、アーム34,パネル36,スライダ50等を動かすことで、パネル36が作業機10の前方に位置するとともに、パネル本体38の前面を作業機10の前方に向けた状態とされ、作業者による操作性を向上させることが可能となる。なお、アームの回動に伴って、第1凸部56が、アームブラケット32の第1凹部58とは異なる位置に当接することで、アーム34の回動が禁止されるようになっている。つまり、図6に示される状態においては、パネル回動制限機構によってパネル36の回動が制限されるとともに、アーム34の作業機側への回動が制限されている。
【0038】
また、作業機10の作動を終了させた場合等には、パネル36は、作業機の前方に位置するよりも、作業機の側方に収納されることが望ましい。このため、上述した手順とは逆の手順を踏んで、パネル装置10を図2に示される状態とする。具体的には、図6に示された状態において、アーム34を作業機10から離れる方向に回動させ(図6点線矢印)、図5に示すように、アーム34を作業機10の幅方向に平行になるようにする。アーム34がその方向に平行になるようにされると、第1凸部56の位置が、第1凹部58に対向する位置となり、スライド50をアームブラケット32側にスライドさせて第1凸部56を第1凹部58に挿入させることが可能となる。
【0039】
そして、スライド50をアームブラケット32側にスライドさせて(図5点線矢印)、図4に示すように、第1凸部56を第1凹部58に係合させるとともに、第2凸部60の第2凹部62への係合を解除する。続いて、第2凸部60による係合が解除されたパネルブラケット40、つまり、パネル36を作業機10に近づける方向に回動させることで(図4点線矢印)、パネル装置20が、図2に示すように、パネル36を作業機10の側方に収納した状態とされる。
【0040】
上述したように、スライダ50のスライドに伴って、第1凸部56は、第1凹部58に係合する位置と係合しない位置との間を移動し、第2凸部60は、第2凹部62に係合する位置と係合しない位置との間を移動する。そして、第1凸部56の第1凹部58に係合する位置への移動と第2凸部60の第2凹部62に係合しない位置への移動とは連動しており、第2凸部60の第2凹部62に係合する位置への移動と第1凸部56の第1凹部58に係合しない位置への移動とは連動している。つまり、スライダ50の位置に応じて、アーム回動制限機構によってアーム34の回動が制限されている状態において、パネル回動制限機構によるパネル36の回動の制限が解除された状態とされ(図2,4)、パネル回動制限機構によってパネル36の回動が制限されている状態において、アーム回動制限機構によるアーム34の回動の制限が解除された状態とされる(図5,6)。このため、本パネル装置20は、スライダ50,T溝52,T溝ボルト54等によって構成される両回動制限機構連動機構を備えるものとされている。
【0041】
また、本パネル装置20が設けられる作業機10においては、パネル装置20に隣接して本作業機内部を覆うカバー22が設けられており、そのカバー22は、樹脂製とされている。このため、金属製のパネル36等が、そのパネル36等の回動に伴って樹脂製のカバー22に当接することは望ましくない。本パネル装置20においては、上述したように、パネル34等を回動させることで、パネル36の位置を作業機10の側方と前方との間で移動させることが可能とされている。パネル36が作業機10の側方に位置している状態においては(図2)、パネル36の回動は制限されていないが、アーム34の回動が上記特定の範囲に制限されていることから、パネル36等のカバー22への当接が防止されている。また、パネル36が作業機10の前方に位置している状態においては(図6)、パネル36の回動は上記特定の範囲に制限されるとともに、アーム34の作業機側への回動が制限されており、パネル36等のカバー22への当接が防止されている。
【0042】
さらに、パネル36の位置を作業機10の側方と前方との間で移動させる際には、図2〜図6に示すように、一定の手順を踏んでアーム34,パネル36等を回動させる必要があり、その際において、上述したように、パネル36等がカバー22に当接することは無い。また、上記手順を無視してパネル36の位置を移動させようとしても、パネル36等がカバー22に当接しないようにされている。具体的に言えば、例えば、パネル36が作業機10の側方に位置している状態において(図2)、第1凸部56の第1凹部58への係合を解除することなく、アーム34を作業機10側に回動させても、図7に示すように、第1凸部56の第1凹部58への当接によって、パネル36はカバー22に当接しないようにされている。したがって、本パネル装置20によれば、パネル36等のカバー22への当接を適切に防止することが可能となる。
【0043】
上記パネル装置20においては、スライダ50のスライド位置に応じて、アーム34の回動が制限された状態とパネル36の回動が制限された状態とが切換えられるように構成されているが、アームに装着可能な係合部材を設け、その係合部材を装着する位置に応じて、上記2つの状態が切換えられるように構成されてもよい。具体的に言えば、図8に示すような両端部が折り曲げられたコの字型の係合部材70を、第1被係合部としての第1凹部58に係合する位置に装着することで、アームの回動が制限された状態とし、第2被係合部としての第2凹部62に係合する位置に装着することで、パネルの回動が制限された状態とするように構成されてもよい。
【0044】
図を用いて説明すれば、コの字型の係合部材70の両端部72の各々を、図9に示すように、アーム74に設けられた1対の穴76,78、詳しく言えば、アーム74の基端部に設けられた穴76とアーム74のパネルブラケット40に隣接する部分に設けられた穴78との各々に嵌合することで、アーム74の回動がアーム特定回動範囲に制限される。つまり、係合部材70の両端部72が複数の嵌合部として機能するとともに、アーム74に設けられた上記1対の穴76,78がそれら複数の嵌合部を嵌合可能な複数の第1被嵌合部として機能し、それらの嵌合によって、係合部材70が第1凹部58に係合可能な特定の位置に装着される。係合部材70がその位置に装着された状態においては、アーム74の回動に伴って係合部材70が第1凹部58に当接するため、アーム74の回動がアーム特定回動範囲に制限される。つまり、係合部材70が第1凹部58に係合する第1係合部材として機能し、それら係合部材70,第1凹部58等がアーム回動制限機構として機能している。ちなみに、係合部材70がその位置に装着された状態においては、係合部材70はパネルブラケット40のいずれにも係合しないことから、パネル36の回動は制限されない。
【0045】
また、係合部材70は、第2凹部62に係合する位置に装着可能とされており、アーム74には、係合部材70をその位置に装着するための穴が一対設けられている。それら1対の穴のうちの一方の穴80は、上記第1被嵌合部としての穴76に隣接して設けられており、他方の穴82は、アーム74の先端部に設けられているが、図9に示す状態では、パネルブラケット40によって半分覆われている。そこで、パネル36をアーム74に対して直角となるように回動させると、図10に示すように、2つの穴のうちの他方の穴82が露出する。そして、係合部材70の両端部72を、第1被嵌合部としての穴76,78から抜き出して、図11に示すように、第2被嵌合部としての穴80,82に嵌合する。係合部材70の両端部72の穴80,82への嵌合によって、係合部材70が第2凹部62に係合可能な特定の位置に装着される。係合部材70がその位置に装着された状態においては、アーム74の回動に伴って係合部材70が第2凹部62に当接するため、パネル36の回動がパネル特定回動範囲に制限される。つまり、係合部材70が第2凹部62に係合する第2係合部材として機能し、それら係合部材70,第2凹部62等がパネル回動制限機構として機能している。なお、係合部材70は、上述したように、第1係合部材としても機能することから、兼用係合部材としての機能をも有していると考えることができる。
【0046】
係合部材70がその位置に装着された状態においては、パネル36の回動は制限されるが、アーム74の回動の制限が解除されており、アーム74を作業機10の前方に向けて回動させることで、図12に示すように、パネル36を作業機10の前方に位置させることが可能となる。パネル36が作業機10の前方に位置している状態においては、係合部材70がアームブラケット32の第1凹部58とは異なる部分に当接し、アーム74の作業機側への回動が制限されるとともに、パネル回動制限機構によってパネル36の回動が上記特定の範囲に制限されている。このため、このような状態において、パネル36等が作業機10のカバー22に当接しないようにされている。また、上述のような手順とは逆の手順を踏むことで、パネル等をカバー22に当接させることなく、パネル36を作業機10の側方に収納することが可能である。このように、スライダ50の代わりに係合部材70を採用したパネル装置においても、一定の手順を踏んでパネル36,アーム74等を回動させることで、パネル36等のカバー22への当接を適切に防止することが可能となる。
【0047】
また、係合部材70がアーム74に装着される際には、係合部材70の両端部72の各々が、それら両端部72に対応する1対の穴76,78(80,82)に嵌合される。つまり、1対の穴76,78(80,82)の間隔は、係合部材70の両端部72の間隔と略同じである。このため、アーム74等に上記2組の1対の穴76,78,80,82とは異なった穴が複数形成されていても、係合部材70の両端部72を、それら異なった複数の穴に係合させることができる可能性は低いと考えられる。したがって、複数の嵌合部を有する係合部材70を採用すれば、係合部材70をアームの上記特定の位置以外の位置に間違って装着する可能性を低くすることが可能となる。
【0048】
ちなみに、上記実施例において、パネル装置20が設けられる作業機10には、スクリーン印刷機が採用されているが、プリント回路基板に接着剤を塗布する接着剤塗布機,プリント回路基板に電子回路部品を装着する電子回路部品装着機等の種々の作業機を採用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】請求可能発明のアーム支持型パネル装置を装備した作業機を模式的に示す図である。
【図2】図1に示された状態のアーム支持型パネル装置を作業機の上方からの視点において模式的に示す図である。
【図3】図2に示すAA’線における断面図である。
【図4】図2に示す状態からパネルを作業機から離れる方向に回動させた状態を模式的に示す図である。
【図5】図4に示す状態からスライダをパネル側にスライドさせた状態を模式的に示す図である。
【図6】図5に示す状態からアームを作業機に近づける方向に回動させた状態を模式的に示す図である。
【図7】図2に示す状態からアームを作業機に近づける方向に回動させた状態を模式的に示す図である。
【図8】変形例のアーム回動制限機構およびパネル回動制限機構を構成する係合部材を模式的に示す図である。
【図9】図8に示す係合部材が第1被係合部に係合する位置に装着された状態のアーム支持型パネル装置を作業機の上方からの視点において模式的に示す図である。
【図10】図9に示す状態からパネルを作業機から離れる方向に回動させた状態を模式的に示す図である。
【図11】図10に示す状態から係合部材を第2被係合部に係合する位置に移動させた状態を模式的に示す図である。
【図12】図11に示す状態からアームを作業機に近づける方向に回動させた状態を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0050】
10:作業機 20:アーム支持型パネル装置 30:支持柱(アーム支持体) 32:アームブラケット(アーム支持体) 34:アーム 36:パネル 50:スライダ(両回動制限機構連動機構) 56:第1凸部(第1係合部)(アーム回動制限機構) 58:第1凹部(第1被係合部)(アーム回動制限機構) 60:第2凸部(第2係合部)(パネル回動制限機構) 62:第2凹部(第2被係合部)(パネル回動制限機構) 70:係合部材(第1係合部材)(第2係合部材)(兼用係合部材) 72:両端部(複数の嵌合部) 74:アーム 76:穴(第1被嵌合部) 78:穴(第1被嵌合部) 80:穴(第2被嵌合部) 82:穴(第2被嵌合部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、アーム支持型パネル装置、詳しくは、作業機の作動に関する情報を入出力するためのパネルがアームによって回動可能に支持されるとともに、そのアームの動きも許容されたアーム支持型パネル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記アーム支持型パネル装置においては、パネルを回動させることでそのパネルの向きを変更することが可能であり、アームを動かすことでパネルの位置を変更することが可能である。ただし、そのようなパネルの動きに伴ってパネルが作業機等に干渉する虞があることから、パネルがある特定の領域には入らないようにする必要がある。そのことに関連する技術として、下記特許文献には、アーム支持型のパネル装置に障害物の有無を検出するためのセンサ等を設け、そのセンサの検出結果に基づいてパネルの動きを制御することで、パネルが特定の領域に入らないようにする技術が記載されている。
【特許文献1】特開2001−294097号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献に記載のアーム支持型パネル装置は、障害物の有無を検出するためのセンサ等を備えており、構造の複雑化等を招く虞がある。このため、本発明は、パネルの特定の領域への進入を防止可能な簡便な構造のアーム支持型パネル装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明のアーム支持型パネル装置は、自身を介して作業機の作動に関する情報の入力と出力との少なくとも一方が行われるパネルと、先端部においてそのパネルを回動可能に支持するアームと、そのアームをそれの基端部において回動可能に支持するアーム支持体と、アームのアーム支持体に対する回動を特定の範囲であるアーム特定回動範囲に制限可能なアーム回動制限機構と、パネルのアームに対する回動を特定の範囲であるパネル特定回動範囲に制限可能なパネル回動制限機構とを備える。
【発明の効果】
【0005】
本発明のアーム支持型パネル装置においては、アームの回動およびパネルの回動を特定の範囲に制限することが可能である。したがって、本発明のパネル装置によれば、特別なセンサ等を設けなくとも、パネルを動かすことのできる領域を制限することが可能となり、パネルの特定の領域への進入を防止することが可能となる。
【発明の態様】
【0006】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0007】
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、請求項1に(2)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項2に、請求項1または請求項2に(3)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項3に、請求項3に(4)項および(5)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項4に、請求項4に(6)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項5に、請求項1または請求項2に(8)項および(9)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項6に、請求項6に(10)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項7に、それぞれ相当する。
【0008】
(1)自身を介して作業機の作動に関する情報の入力と出力との少なくとも一方が行われるパネルと、
先端部においてそのパネルを回動可能に支持するアームと、
前記作業機に固定され、そのアームをそれの基端部において回動可能に支持するアーム支持体と、
前記アームの前記アーム支持体に対する回動を特定の範囲であるアーム特定回動範囲に制限可能なアーム回動制限機構と、
前記パネルの前記アームに対する回動を特定の範囲であるパネル特定回動範囲に制限可能なパネル回動制限機構と
を備えたアーム支持型パネル装置。
【0009】
パネルをアームによって回動可能に支持するとともに、そのアームの動きも許容されたアーム支持型のパネル装置においては、パネルの向きを変更したり、位置を変更することが可能であり、作業者の視認性,操作性等を向上させることが可能である。しかし、パネルの向き,位置等の変更によって、パネルが作業機に当接したり、パネルが作業機の作業する範囲に移動したりすることは望ましくない。つまり、パネルが特定の領域には入らないようにすることによって、アーム支持型パネル装置の実用性を向上させることが可能である。パネルの特定の領域への進入を防止する方法としては、例えば、パネル装置にその特定領域への接近を判別するためのセンサ等を設け、そのセンサの検出結果に基づいてパネルの動きを制御する方法が考えられる。しかし、そのような方法においては、特別なセンサ等を設ける必要があるため、パネル装置の構造の複雑化、パネル装置の高価格化等を招く虞がある。
【0010】
本項に記載の態様の装置においては、アームの回動が特定範囲に制限された状態とその制限を解除することでアームの特定範囲を超えた回動を許容する状態とを切換可能であり、パネルの回動が特定範囲に制限された状態とその制限を解除することでパネルの特定範囲を超えた回動を許容する状態とを切換可能である。したがって、本項に記載の装置によれば、特別なセンサ等を設けなくとも、パネルを動かすことのできる領域を制限することが可能となり、パネルの特定の領域への進入を防止することが可能となる。
【0011】
本項に記載の「アーム回動制限機構」および「パネル回動制限機構」は、アーム若しくはパネルの回動をそれぞれの特定の範囲に制限するとともに、その制限を解除することが可能な構造とされている。つまり、各回動制限機構は、アーム若しくはパネルのそれぞれの特定の範囲を超えた回動を許容可能な構造とされている。また、本項に記載の「特定の範囲」は、どのような範囲に設定されてもよく、例えば、きわめて狭い範囲、さらに言えば、特定の位置に設定されてもよい。このように「特定の範囲」が特定の位置に設定された場合には、アーム、若しくは、パネルの回動はその特定の位置において禁止される。つまり、本項に記載の「各回動制限機構」は、アーム、若しくは、パネルの回動を特定の位置において禁止するものであってもよい。
【0012】
(2)前記アーム回動制限機構によって前記アームの回動が制限されている状態と、前記パネル回動制限機構によって前記パネルの回動が制限されている状態との少なくとも一方が実現されることによって、前記パネルが前記作業機に干渉しないように、前記アーム特定回動範囲および前記パネル特定回動範囲が設定されている(1)項に記載のアーム支持型パネル装置。
【0013】
本項に記載の装置においては、パネルを進入させることができない領域が限定されており、本項に記載の装置によれば、例えば、アーム,パネルの回動に伴うパネルの作業機への当接を適切に防止することが可能となる。
【0014】
(3)当該アーム支持型パネル装置が、
前記アーム回動制限機構によって前記アームの回動が制限されている状態において、前記パネル回動制限機構による前記パネルの回動の制限が解除された状態とし、前記パネル回動制限機構によって前記パネルの回動が制限されている状態において、前記アーム回動制限機構による前記アームの回動の制限が解除された状態とする両回動制限機構連動機構を備えた(1)項または(2)項に記載のアーム支持型パネル装置。
【0015】
本項に記載の装置においては、アームがアーム特定回動範囲内に位置している場合にパネルのパネル特定回動範囲を超えての回動を許容することができ、パネルがパネル特定回動範囲内に位置している場合にアームのアーム特定回動範囲を超えての回動を許容することができる。つまり、アームとパネルとの両方が同時に各特定回動範囲を超えて回動することはない。したがって、本項に記載の装置によれば、特定の領域へのパネルの進入を適切に防止することが可能となる。
【0016】
(4)前記アーム回動制限機構が、(A)前記アーム支持体の一部と前記アームの基端部との一方に設けられた第1被係合部と、(B)前記アーム支持体の一部と前記アームの基端部との他方に、前記第1被係合部に係合する位置と係合しない位置との間で移動可能に設けられた第1係合部とを有し、前記第1係合部が前記第1被係合部に係合することによって、前記アームの回動を前記アーム特定回動範囲に制限するように構成され、かつ、
前記パネル回動制限機構が、(C)前記アームの先端部と前記パネルの一部との一方に設けられた第2被係合部と、(D)前記アームの先端部と前記パネルの一部との他方に、前記第2被係合部に係合する位置と係合しない位置との間で移動可能に設けられた第2係合部とを有し、前記第2係合部が前記第2被係合部に係合することによって、前記パネルの回動を前記パネル特定回動範囲に制限するように構成された(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載のアーム支持型パネル装置。
【0017】
(5)当該アーム支持型パネル装置が、
前記アーム回動制限機構によって前記アームの回動が制限されている状態において、前記パネル回動制限機構による前記パネルの回動の制限が解除された状態とし、前記パネル回動制限機構によって前記パネルの回動が制限されている状態において、前記アーム回動制限機構による前記アームの回動の制限が解除された状態とする両回動制限機構連動機構を備え、
前記両回動制限機構連動機構が、
前記第1係合部を前記第1被係合部に係合する位置へ移動させると前記第2係合部を前記第2被係合部に係合しない位置へ移動させ、前記第1係合部を前記第1被係合部に係合しない位置へ移動させると前記第2係合部を前記第2被係合部に係合する位置へ移動させ、かつ、前記第2係合部を前記第2被係合部に係合する位置へ移動させると前記第1係合部を前記第1被係合部に係合しない位置へ移動させ、前記第2係合部を前記第2被係合部に係合しない位置へ移動させると前記第1係合部を前記第1被係合部に係合する位置へ移動させるように構成された(4)項に記載のアーム支持型パネル装置。
【0018】
上記2つの項に記載の装置においては、アーム回動制限機構、パネル回動制限機構、若しくは、両回動制限機構連動機構の構造が限定されている。前者の項の装置によれば、2つの回動制限機構の構造を比較的簡便なものとすることが可能となり、後者の項の装置によれば、2つの回動制限機構を確実に連動させることが可能となる。
【0019】
(6)前記第1被係合部が、前記アーム支持体の一部とアームの基端部との一方としての前記アーム支持体の一部に設けられ、
前記第2被係合部が、前記アームの先端部とパネルの一部との一方としての前記パネルの一部に設けられ、
当該アーム支持型パネル装置が、
前記アームにそれの軸線方向に延びるように設けられるとともに、その軸線方向にスライドするスライダを有し、
そのスライダの前記アーム支持体側の端部が前記第1係合部として機能するとともに、前記スライダの前記パネル側の端部が前記第2係合部として機能し、前記スライダのスライドに伴って、前記スライダのアーム支持体側の端部が前記第1被係合部に係合する位置と前記第1被係合部に係合しない位置との間を移動し、前記スライダのパネル側の端部が前記第2被係合部に係合する位置と前記第2被係合部に係合しない位置との間を移動するように構成されており、前記スライダが前記両回動制限機構連動機構の一部として機能するようにされた(4)項または(5)項に記載のアーム支持型パネル装置。
【0020】
(7)前記第1被係合部と前記スライダのアーム支持体側の端部との一方が、第1凸部を有し、
前記第1被係合部と前記スライダのアーム支持体側の端部との他方が、その第1凸部を挿入させることが可能な第1凹部を有し、
前記アーム回動制限機構が、
前記第1凸部が前記第1凹部に挿入するように前記スライダがスライドすることで、前記アームの回動を前記アーム特定回動範囲に制限するように構成され、かつ、
前記第2被係合部と前記スライダのパネル側の端部との一方が、第2凸部を有し、
前記第2被係合部と前記スライダのパネル側の端部との他方が、その第2凸部を挿入させることが可能な第2凹部を有し、
前記パネル回動制限機構が、
前記第2凸部が前記第2凹部に挿入するように前記スライダがスライドすることで、前記パネルの回動を前記パネル特定回動範囲に制限するように構成された(6)項に記載のアーム支持型パネル装置。
【0021】
上記2つの項に記載の装置においては、アーム回動制限機構、パネル回動制限機構、および、両回動制限機構連動機構の具体的な構造がさらに限定されている。上記2つの項に記載の装置によれば、2つの回動制限機構を容易に連動させることが可能となり、特定の領域へのパネルの進入を防止可能なパネル装置の構造を比較的簡便なものとすることができる。
【0022】
(8)前記アーム回動制限機構が、(A)前記アーム支持体の一部と前記アームの基端部との一方に設けられた第1被係合部と、(B)前記アーム支持体の一部と前記アームの基端部との他方を含む前記アーム支持体と前記アームとの一方に、それの特定の位置において装着可能な第1係合部材とを有し、その第1係合部材がそれが装着された状態において前記第1被係合部に係合することによって、前記アームの回動を前記アーム特定回動範囲に制限するように構成され、かつ、
前記パネル回動制限機構が、(C)前記アームの先端部と前記パネルの一部との一方に設けられた第2被係合部と、(D)前記アームの先端部と前記パネルの一部との他方を含む前記アームと前記パネルとの一方に、それの特定の位置において装着可能な第2係合部材とを有し、その第2係合部材がそれが装着された状態において前記第2被係合部に係合することによって、前記パネルの回動を前記パネル特定回動範囲に制限するように構成された(1)項または(2)項に記載のアーム支持型パネル装置。
【0023】
本項に記載の装置においては、第1係合部材を上記特定の位置に装着することで、アームの回動がアーム特定回動範囲に制限され、第2係合部材を上記特定の位置に装着することで、パネルの回動がパネル特定回動範囲に制限される。したがって、本項に記載の装置によれば、特定の領域へのパネルの進入を防止可能なパネル装置の構造を相当に簡便なものとすることができる。
【0024】
(9)当該アーム支持型パネル装置が、
前記第1係合部材として機能するとともに前記第2係合部材としても機能し、前記アーム支持体とアームとの一方と前記アームとパネルとの一方とのいずれにも装着可能な単一の兼用係合部材を有する(8)項に記載のアーム支持型パネル装置。
【0025】
本項に記載の装置においては、上記単一の兼用係合部材を、アーム支持体とアームとの一方とアームとパネルとの一方との両方に同時に装着することはできない。つまり、兼用係合部材によってアームの回動が制限されている場合には、その兼用係合部材によるパネルの回動の制限は解除され、兼用係合部材によってパネルの回動が制限されている場合には、その兼用係合部材によるアームの回動の制限は解除される。したがって、本項に記載の装置によれば、例えば、アームの回動の制限の解除とパネルの回動の制限の解除とを選択的に実行することが可能となり、特定の領域へのパネルの進入を適切に防止することが可能となる。
【0026】
(10)前記兼用係合部材が、複数の嵌合部を有し、
前記アーム支持体とアームとの一方が、それら複数の嵌合部を嵌合することが可能な複数の第1被嵌合部を、前記アームとパネルとの一方が、それら複数の嵌合部を嵌合することが可能な複数の第2被嵌合部を、それぞれ、有し、
前記アーム回動制限機構が、
前記複数の嵌合部がそれら複数の第1被嵌合部に嵌合することで、前記兼用係合部材が前記アーム支持体とアームとの一方にそれの前記特定の位置において装着される構造とされ、かつ、
前記パネル回動制限機構が、
前記複数の嵌合部がそれら複数の第2被嵌合部に嵌合することで、前記兼用係合部材が前記アームとパネルとの一方にそれの前記特定の位置において装着される構造とされた(9)項に記載のアーム支持型パネル装置。
【0027】
本項に記載の装置においては、兼用係合部材の複数の嵌合部を、複数の第1被嵌合部と複数の第2被嵌合部とのいずれにも嵌合可能とされていることから、複数の第1被嵌合部と複数の第2被嵌合部とは形状,配置等に関して殆ど同じである。このため、例えば、兼用係合部材の複数の嵌合部のうちの1つの嵌合部を嵌合可能な被嵌合部が、第1被嵌合部,第2被嵌合部とは別にアーム等に複数設けられていても、兼用係合部材の複数の嵌合部を、それら第1被嵌合部,第2被嵌合部とは別の複数の被嵌合部に嵌合させることができる可能性は低いと考えられる。したがって、本項に記載の装置によれば、兼用係合部材を上記特定の位置以外の位置に間違って装着する可能性を低くすることができる。
【実施例】
【0028】
以下、請求可能発明の実施例および変形例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【0029】
図1に、作業機10に設けられた請求可能発明のアーム支持型パネル装置(以下、「パネル装置」と略す場合がある)20を示す。図1は作業機10の斜め前方からの視点において示されたものである。作業機10は、プリント回路基板に対する作業を実行するための機械であり、詳しく言えば、プリント回路基板にクリームはんだを塗布するためのスクリーン印刷機である。作業機10の上面には、作業機内部への防塵等を目的として、開閉可能なカバー22が設けられている。カバー22は、作業機10の上面の後部側に、その作業機の幅方向に平行な軸線まわりに回動可能に取り付けられており、作業機10の内部を覆う閉位置と作業機10の内部を開放する開位置とに回動可能とされている。また、カバー10は、アクリル樹脂製であり、カバー10が閉位置に位置する状態においても、作業機10の内部を作業者が確認することが可能とされている。
【0030】
図2に、図1に示された状態でのパネル装置20を上方からの視点において示す。パネル装置20は、作業機10の本体部に固定的に立設された支持柱30と、その支持柱30に固着されたアームブラケット32と、そのアームブラケット32に回動可能に自身の基端部において支持されるアーム34と、そのアーム34の先端部において回動可能に支持されるパネル36とを備えている。パネル36は、作業機10の作動に関する情報を入出力するためのパネル本体38と、そのパネル本体38の背面に固着されてアームに回動可能に支持されるパネルブラケット40とから構成されている。パネル36は、アーム34に対して、アーム34とパネルブラケット40とを連結する軸体42を中心に回動可能とされている。一方、そのアーム34は、それを支持するアーム支持体としての支持柱30とアームブラケット32とに対して、アーム34とアームブラケット32とを連結する軸体44を中心に回動可能とされている。
【0031】
また、アーム34の上面には、それの軸線方向に延びるようにスライダ50が設けられており、そのスライダ50は、アーム34の軸線方向にスライド可能とされている。詳しくいえば、図2および、図2におけるA−A’断面図である図3に示すように、アーム34の上面には、それの軸線方向に延びるようにして2本のT溝52が形成されており、それら2本のT溝52には、スライダ50の下面側に突出するように設けられた4本のT溝ボルト54が嵌められている。それらT溝52とT溝ボルト54とによって、スライダ50が、アーム34の上面において、それの軸線方向にスライド可能とされている。
【0032】
そのスライダ50のアームブラケット32側の端部は、その端部の一部が切欠かれ、凸部(後述する別の凸部と区別すべく、以下、「第1凸部」という場合がある)56とされており、その第1凸部56の先端は、折り曲げられて立設させられている。また、アームブラケット32の一部は、その第1凸部56を挿入させることができるように切欠かれた凹部(後述する別の凹部と区別すべく、以下、「第1凹部」という場合がある)58とされており、スライド50をアームブラケット32側にスライドさせることで、その第1凹部58に第1凸部56を係合させることが可能となっている。つまり、その第1凹部58は第1被係合部として機能するとともに、第1凸部56は第1係合部として機能し、第1凸部56の第1凹部58への係合によって、アーム34の回動が制限される。詳しく言えば、スライダ50がアームブラケット32側にスライドしている状態、つまり、第1凸部56が第1凹部58に係合している状態において、アーム34が回動すると、第1凸部56が第1凹部58に当接してアーム34の回動が禁止される。このため、そのような状態において、アーム34の回動が、特定の範囲であるアーム特定回動範囲、つまり、第1凸部56が第1凹部58に当接しない範囲に制限される。このため、本パネル装置20は、第1凸部56と第1凹部58とを含んで構成されるアーム回動制限機構を備えていると考えることができる。
【0033】
一方、スライダ50のパネルブラケット40側の端部も、その端部の一部が切欠かれ、凸部(前述の第1凸部56と区別すべく、以下、「第2凸部」という場合がある)60とされており、その第2凸部60の先端も、折り曲げられて立設させられている。ただし、スライダ50がアームブラケット32側にスライドしている状態においては、その第2凸部60は、パネルブラケット40のいずれにも係合しておらず、パネル36の回動は制限されていない。ちなみに、図2に示される状態、つまり、パネル36が作業機10の側方に位置するとともに、パネル本体38の前面を作業機10の前方に向けた状態においては、スライダ50をパネルブラケット40側にスライドさせても、第2凸部60がパネルブラケット40に当接するため、第1凸部56の第1凹部58への係合を解除することはできない。つまり、図2に示される状態においては、パネル36の回動は制限されていないが、アーム34の回動は制限されており、その制限を解除することはできない。
【0034】
パネル装置20が図2に示される状態とされている場合には、パネル本体38の前面が作業機10の前方を向いていることから、作業者による視認性は良い。ただし、パネル36が作業機10の側方に位置することから、作業者による操作性は良くない。本パネル装置20においては、作業者による操作性を向上させるべく、パネル36とアーム34とを回動させて、パネル本体38の前面を作業機10の前方に向けた状態でパネル36を作業機10の前方に位置させることが可能とされている。ただし、上述したように、図2に示される状態においては、アーム34の回動が制限されており、その制限を解除することができないことから、一定の手順を踏んで、パネル装置20が、その状態から、パネル36が作業機10の前方に位置するとともに、パネル本体38の前面を作業機10の前方に向けた状態に変更される。
【0035】
具体的に言えば、図2に示される状態においては、アーム34の回動は制限されており、パネル36の回動は制限されていないことから、まず、パネル36を作業機10の前方に向けて回動させる(図2実線矢印)。パネル36をアーム34に対して直角となるように回動させると、図4に示すように、パネルブラケット40の切欠かれた部分である凹部(前述の第1凹部58と区別すべく、以下、「第2凹部」という場合がある)62の位置が、スライド50のパネルブラケット側の端部に設けられた第2凸部60に対向する位置となり、スライド50をパネルブラケット40側にスライドさせて第2凸部60を第2凹部62に挿入させることが可能となる。
【0036】
スライド50をパネルブラケット40側にスライドさせると(図4実線矢印)、図5に示すように、第2凸部60が第2凹部62に係合するとともに、第1凸部56の第1凹部58への係合が解除される。つまり、その第2凸部60は第2係合部として機能するとともに、第2凹部62は第2被係合部として機能し、第2凸部60の第2凹部62への係合によって、パネル36の回動が制限されるとともに、アーム34の回動の制限が解除される。パネル36の回動の制限は、パネル36の回動に伴って第2凸部60が第2凹部62に当接することで、特定の範囲であるパネル特定回動範囲、つまり、第2凸部60が第2凹部62に当接しない範囲に制限される。このため、本パネル装置20は、第2凸部60と第2凹部62とを含んで構成されるパネル回動制限機構を備えていると考えることができる。
【0037】
図5に示された状態においては、パネル36の回動は制限されており、アーム34の回動は制限されていないことから、アーム34を作業機10の前方に向けて回動させる(図5実線矢印)。そのアーム34の回動に伴って、図6に示すように、パネル36が作業機10の前方に位置するとともに、パネル本体38の前面が作業機10の前方に向けられる。このような手順を踏んで、アーム34,パネル36,スライダ50等を動かすことで、パネル36が作業機10の前方に位置するとともに、パネル本体38の前面を作業機10の前方に向けた状態とされ、作業者による操作性を向上させることが可能となる。なお、アームの回動に伴って、第1凸部56が、アームブラケット32の第1凹部58とは異なる位置に当接することで、アーム34の回動が禁止されるようになっている。つまり、図6に示される状態においては、パネル回動制限機構によってパネル36の回動が制限されるとともに、アーム34の作業機側への回動が制限されている。
【0038】
また、作業機10の作動を終了させた場合等には、パネル36は、作業機の前方に位置するよりも、作業機の側方に収納されることが望ましい。このため、上述した手順とは逆の手順を踏んで、パネル装置10を図2に示される状態とする。具体的には、図6に示された状態において、アーム34を作業機10から離れる方向に回動させ(図6点線矢印)、図5に示すように、アーム34を作業機10の幅方向に平行になるようにする。アーム34がその方向に平行になるようにされると、第1凸部56の位置が、第1凹部58に対向する位置となり、スライド50をアームブラケット32側にスライドさせて第1凸部56を第1凹部58に挿入させることが可能となる。
【0039】
そして、スライド50をアームブラケット32側にスライドさせて(図5点線矢印)、図4に示すように、第1凸部56を第1凹部58に係合させるとともに、第2凸部60の第2凹部62への係合を解除する。続いて、第2凸部60による係合が解除されたパネルブラケット40、つまり、パネル36を作業機10に近づける方向に回動させることで(図4点線矢印)、パネル装置20が、図2に示すように、パネル36を作業機10の側方に収納した状態とされる。
【0040】
上述したように、スライダ50のスライドに伴って、第1凸部56は、第1凹部58に係合する位置と係合しない位置との間を移動し、第2凸部60は、第2凹部62に係合する位置と係合しない位置との間を移動する。そして、第1凸部56の第1凹部58に係合する位置への移動と第2凸部60の第2凹部62に係合しない位置への移動とは連動しており、第2凸部60の第2凹部62に係合する位置への移動と第1凸部56の第1凹部58に係合しない位置への移動とは連動している。つまり、スライダ50の位置に応じて、アーム回動制限機構によってアーム34の回動が制限されている状態において、パネル回動制限機構によるパネル36の回動の制限が解除された状態とされ(図2,4)、パネル回動制限機構によってパネル36の回動が制限されている状態において、アーム回動制限機構によるアーム34の回動の制限が解除された状態とされる(図5,6)。このため、本パネル装置20は、スライダ50,T溝52,T溝ボルト54等によって構成される両回動制限機構連動機構を備えるものとされている。
【0041】
また、本パネル装置20が設けられる作業機10においては、パネル装置20に隣接して本作業機内部を覆うカバー22が設けられており、そのカバー22は、樹脂製とされている。このため、金属製のパネル36等が、そのパネル36等の回動に伴って樹脂製のカバー22に当接することは望ましくない。本パネル装置20においては、上述したように、パネル34等を回動させることで、パネル36の位置を作業機10の側方と前方との間で移動させることが可能とされている。パネル36が作業機10の側方に位置している状態においては(図2)、パネル36の回動は制限されていないが、アーム34の回動が上記特定の範囲に制限されていることから、パネル36等のカバー22への当接が防止されている。また、パネル36が作業機10の前方に位置している状態においては(図6)、パネル36の回動は上記特定の範囲に制限されるとともに、アーム34の作業機側への回動が制限されており、パネル36等のカバー22への当接が防止されている。
【0042】
さらに、パネル36の位置を作業機10の側方と前方との間で移動させる際には、図2〜図6に示すように、一定の手順を踏んでアーム34,パネル36等を回動させる必要があり、その際において、上述したように、パネル36等がカバー22に当接することは無い。また、上記手順を無視してパネル36の位置を移動させようとしても、パネル36等がカバー22に当接しないようにされている。具体的に言えば、例えば、パネル36が作業機10の側方に位置している状態において(図2)、第1凸部56の第1凹部58への係合を解除することなく、アーム34を作業機10側に回動させても、図7に示すように、第1凸部56の第1凹部58への当接によって、パネル36はカバー22に当接しないようにされている。したがって、本パネル装置20によれば、パネル36等のカバー22への当接を適切に防止することが可能となる。
【0043】
上記パネル装置20においては、スライダ50のスライド位置に応じて、アーム34の回動が制限された状態とパネル36の回動が制限された状態とが切換えられるように構成されているが、アームに装着可能な係合部材を設け、その係合部材を装着する位置に応じて、上記2つの状態が切換えられるように構成されてもよい。具体的に言えば、図8に示すような両端部が折り曲げられたコの字型の係合部材70を、第1被係合部としての第1凹部58に係合する位置に装着することで、アームの回動が制限された状態とし、第2被係合部としての第2凹部62に係合する位置に装着することで、パネルの回動が制限された状態とするように構成されてもよい。
【0044】
図を用いて説明すれば、コの字型の係合部材70の両端部72の各々を、図9に示すように、アーム74に設けられた1対の穴76,78、詳しく言えば、アーム74の基端部に設けられた穴76とアーム74のパネルブラケット40に隣接する部分に設けられた穴78との各々に嵌合することで、アーム74の回動がアーム特定回動範囲に制限される。つまり、係合部材70の両端部72が複数の嵌合部として機能するとともに、アーム74に設けられた上記1対の穴76,78がそれら複数の嵌合部を嵌合可能な複数の第1被嵌合部として機能し、それらの嵌合によって、係合部材70が第1凹部58に係合可能な特定の位置に装着される。係合部材70がその位置に装着された状態においては、アーム74の回動に伴って係合部材70が第1凹部58に当接するため、アーム74の回動がアーム特定回動範囲に制限される。つまり、係合部材70が第1凹部58に係合する第1係合部材として機能し、それら係合部材70,第1凹部58等がアーム回動制限機構として機能している。ちなみに、係合部材70がその位置に装着された状態においては、係合部材70はパネルブラケット40のいずれにも係合しないことから、パネル36の回動は制限されない。
【0045】
また、係合部材70は、第2凹部62に係合する位置に装着可能とされており、アーム74には、係合部材70をその位置に装着するための穴が一対設けられている。それら1対の穴のうちの一方の穴80は、上記第1被嵌合部としての穴76に隣接して設けられており、他方の穴82は、アーム74の先端部に設けられているが、図9に示す状態では、パネルブラケット40によって半分覆われている。そこで、パネル36をアーム74に対して直角となるように回動させると、図10に示すように、2つの穴のうちの他方の穴82が露出する。そして、係合部材70の両端部72を、第1被嵌合部としての穴76,78から抜き出して、図11に示すように、第2被嵌合部としての穴80,82に嵌合する。係合部材70の両端部72の穴80,82への嵌合によって、係合部材70が第2凹部62に係合可能な特定の位置に装着される。係合部材70がその位置に装着された状態においては、アーム74の回動に伴って係合部材70が第2凹部62に当接するため、パネル36の回動がパネル特定回動範囲に制限される。つまり、係合部材70が第2凹部62に係合する第2係合部材として機能し、それら係合部材70,第2凹部62等がパネル回動制限機構として機能している。なお、係合部材70は、上述したように、第1係合部材としても機能することから、兼用係合部材としての機能をも有していると考えることができる。
【0046】
係合部材70がその位置に装着された状態においては、パネル36の回動は制限されるが、アーム74の回動の制限が解除されており、アーム74を作業機10の前方に向けて回動させることで、図12に示すように、パネル36を作業機10の前方に位置させることが可能となる。パネル36が作業機10の前方に位置している状態においては、係合部材70がアームブラケット32の第1凹部58とは異なる部分に当接し、アーム74の作業機側への回動が制限されるとともに、パネル回動制限機構によってパネル36の回動が上記特定の範囲に制限されている。このため、このような状態において、パネル36等が作業機10のカバー22に当接しないようにされている。また、上述のような手順とは逆の手順を踏むことで、パネル等をカバー22に当接させることなく、パネル36を作業機10の側方に収納することが可能である。このように、スライダ50の代わりに係合部材70を採用したパネル装置においても、一定の手順を踏んでパネル36,アーム74等を回動させることで、パネル36等のカバー22への当接を適切に防止することが可能となる。
【0047】
また、係合部材70がアーム74に装着される際には、係合部材70の両端部72の各々が、それら両端部72に対応する1対の穴76,78(80,82)に嵌合される。つまり、1対の穴76,78(80,82)の間隔は、係合部材70の両端部72の間隔と略同じである。このため、アーム74等に上記2組の1対の穴76,78,80,82とは異なった穴が複数形成されていても、係合部材70の両端部72を、それら異なった複数の穴に係合させることができる可能性は低いと考えられる。したがって、複数の嵌合部を有する係合部材70を採用すれば、係合部材70をアームの上記特定の位置以外の位置に間違って装着する可能性を低くすることが可能となる。
【0048】
ちなみに、上記実施例において、パネル装置20が設けられる作業機10には、スクリーン印刷機が採用されているが、プリント回路基板に接着剤を塗布する接着剤塗布機,プリント回路基板に電子回路部品を装着する電子回路部品装着機等の種々の作業機を採用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】請求可能発明のアーム支持型パネル装置を装備した作業機を模式的に示す図である。
【図2】図1に示された状態のアーム支持型パネル装置を作業機の上方からの視点において模式的に示す図である。
【図3】図2に示すAA’線における断面図である。
【図4】図2に示す状態からパネルを作業機から離れる方向に回動させた状態を模式的に示す図である。
【図5】図4に示す状態からスライダをパネル側にスライドさせた状態を模式的に示す図である。
【図6】図5に示す状態からアームを作業機に近づける方向に回動させた状態を模式的に示す図である。
【図7】図2に示す状態からアームを作業機に近づける方向に回動させた状態を模式的に示す図である。
【図8】変形例のアーム回動制限機構およびパネル回動制限機構を構成する係合部材を模式的に示す図である。
【図9】図8に示す係合部材が第1被係合部に係合する位置に装着された状態のアーム支持型パネル装置を作業機の上方からの視点において模式的に示す図である。
【図10】図9に示す状態からパネルを作業機から離れる方向に回動させた状態を模式的に示す図である。
【図11】図10に示す状態から係合部材を第2被係合部に係合する位置に移動させた状態を模式的に示す図である。
【図12】図11に示す状態からアームを作業機に近づける方向に回動させた状態を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0050】
10:作業機 20:アーム支持型パネル装置 30:支持柱(アーム支持体) 32:アームブラケット(アーム支持体) 34:アーム 36:パネル 50:スライダ(両回動制限機構連動機構) 56:第1凸部(第1係合部)(アーム回動制限機構) 58:第1凹部(第1被係合部)(アーム回動制限機構) 60:第2凸部(第2係合部)(パネル回動制限機構) 62:第2凹部(第2被係合部)(パネル回動制限機構) 70:係合部材(第1係合部材)(第2係合部材)(兼用係合部材) 72:両端部(複数の嵌合部) 74:アーム 76:穴(第1被嵌合部) 78:穴(第1被嵌合部) 80:穴(第2被嵌合部) 82:穴(第2被嵌合部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身を介して作業機の作動に関する情報の入力と出力との少なくとも一方が行われるパネルと、
先端部においてそのパネルを回動可能に支持するアームと、
前記作業機に固定され、そのアームをそれの基端部において回動可能に支持するアーム支持体と、
前記アームの前記アーム支持体に対する回動を特定の範囲であるアーム特定回動範囲に制限可能なアーム回動制限機構と、
前記パネルの前記アームに対する回動を特定の範囲であるパネル特定回動範囲に制限可能なパネル回動制限機構と
を備えたアーム支持型パネル装置。
【請求項2】
前記アーム回動制限機構によって前記アームの回動が制限されている状態と、前記パネル回動制限機構によって前記パネルの回動が制限されている状態との少なくとも一方が実現されることによって、前記パネルが前記作業機に干渉しないように、前記アーム特定回動範囲および前記パネル特定回動範囲が設定されている請求項1に記載のアーム支持型パネル装置。
【請求項3】
当該アーム支持型パネル装置が、
前記アーム回動制限機構によって前記アームの回動が制限されている状態において、前記パネル回動制限機構による前記パネルの回動の制限が解除された状態とし、前記パネル回動制限機構によって前記パネルの回動が制限されている状態において、前記アーム回動制限機構による前記アームの回動の制限が解除された状態とする両回動制限機構連動機構を備えた請求項1または請求項2に記載のアーム支持型パネル装置。
【請求項4】
前記アーム回動制限機構が、(A)前記アーム支持体の一部と前記アームの基端部との一方に設けられた第1被係合部と、(B)前記アーム支持体の一部と前記アームの基端部との他方に、前記第1被係合部に係合する位置と係合しない位置との間で移動可能に設けられた第1係合部とを有し、前記第1係合部が前記第1被係合部に係合することによって、前記アームの回動を前記アーム特定回動範囲に制限するように構成され、かつ、
前記パネル回動制限機構が、(C)前記アームの先端部と前記パネルの一部との一方に設けられた第2被係合部と、(D)前記アームの先端部と前記パネルの一部との他方に、前記第2被係合部に係合する位置と係合しない位置との間で移動可能に設けられた第2係合部とを有し、前記第2係合部が前記第2被係合部に係合することによって、前記パネルの回動を前記パネル特定回動範囲に制限するように構成され、
前記両回動制限機構連動機構が、
前記第1係合部を前記第1被係合部に係合する位置へ移動させると前記第2係合部を前記第2被係合部に係合しない位置へ移動させ、前記第1係合部を前記第1被係合部に係合しない位置へ移動させると前記第2係合部を前記第2被係合部に係合する位置へ移動させ、かつ、前記第2係合部を前記第2被係合部に係合する位置へ移動させると前記第1係合部を前記第1被係合部に係合しない位置へ移動させ、前記第2係合部を前記第2被係合部に係合しない位置へ移動させると前記第1係合部を前記第1被係合部に係合する位置へ移動させるように構成された請求項3に記載のアーム支持型パネル装置。
【請求項5】
前記第1被係合部が、前記アーム支持体の一部とアームの基端部との一方としての前記アーム支持体の一部に設けられ、
前記第2被係合部が、前記アームの先端部とパネルの一部との一方としての前記パネルの一部に設けられ、
当該アーム支持型パネル装置が、
前記アームにそれの軸線方向に延びるように設けられるとともに、その軸線方向にスライドするスライダを有し、
そのスライダの前記アーム支持体側の端部が前記第1係合部として機能するとともに、前記スライダの前記パネル側の端部が前記第2係合部として機能し、前記スライダのスライドに伴って、前記スライダのアーム支持体側の端部が前記第1被係合部に係合する位置と前記第1被係合部に係合しない位置との間を移動し、前記スライダのパネル側の端部が前記第2被係合部に係合する位置と前記第2被係合部に係合しない位置との間を移動するように構成されており、前記スライダが前記両回動制限機構連動機構の一部として機能するようにされた請求項4に記載のアーム支持型パネル装置。
【請求項6】
前記アーム回動制限機構が、前記アーム支持体の一部と前記アームの基端部との一方に設けられた第1被係合部を、前記パネル回動制限機構が、前記アームの先端部と前記パネルの一部との一方に設けられた第2被係合部を、それぞれ、有し、
当該アーム支持型パネル装置が、前記アーム支持体の一部と前記アームの基端部との他方を含む前記アーム支持体と前記アームとの一方に、それの特定の位置において装着可能であり、前記アームの先端部と前記パネルの一部との他方を含む前記アームと前記パネルとの一方に、それの特定の位置において装着可能な単一の兼用係合部材を有し、
前記アーム回動制限機構が、
その兼用係合部材がそれが前記アーム支持体とアームとの一方に装着された状態において前記第1被係合部に係合することによって、前記アームの回動を前記アーム特定回動範囲に制限するように構成され、かつ、
前記パネル回動制限機構が、
前記兼用係合部材がそれが前記アームとパネルとの一方に装着された状態において前記第2被係合部に係合することによって、前記パネルの回動を前記パネル特定回動範囲に制限するように構成された請求項1または請求項2に記載のアーム支持型パネル装置。
【請求項7】
前記兼用係合部材が、複数の嵌合部を有し、
前記アーム支持体とアームとの一方が、それら複数の嵌合部を嵌合することが可能な複数の第1被嵌合部を、前記アームとパネルとの一方が、それら複数の嵌合部を嵌合することが可能な複数の第2被嵌合部を、それぞれ、有し、
前記アーム回動制限機構が、
前記複数の嵌合部がそれら複数の第1被嵌合部に嵌合することで、前記兼用係合部材が前記アーム支持体とアームとの一方にそれの前記特定の位置において装着される構造とされ、かつ、
前記パネル回動制限機構が、
前記複数の嵌合部がそれら複数の第2被嵌合部に嵌合することで、前記兼用係合部材が前記アームとパネルとの一方にそれの前記特定の位置において装着される構造とされた請求項6に記載のアーム支持型パネル装置。
【請求項1】
自身を介して作業機の作動に関する情報の入力と出力との少なくとも一方が行われるパネルと、
先端部においてそのパネルを回動可能に支持するアームと、
前記作業機に固定され、そのアームをそれの基端部において回動可能に支持するアーム支持体と、
前記アームの前記アーム支持体に対する回動を特定の範囲であるアーム特定回動範囲に制限可能なアーム回動制限機構と、
前記パネルの前記アームに対する回動を特定の範囲であるパネル特定回動範囲に制限可能なパネル回動制限機構と
を備えたアーム支持型パネル装置。
【請求項2】
前記アーム回動制限機構によって前記アームの回動が制限されている状態と、前記パネル回動制限機構によって前記パネルの回動が制限されている状態との少なくとも一方が実現されることによって、前記パネルが前記作業機に干渉しないように、前記アーム特定回動範囲および前記パネル特定回動範囲が設定されている請求項1に記載のアーム支持型パネル装置。
【請求項3】
当該アーム支持型パネル装置が、
前記アーム回動制限機構によって前記アームの回動が制限されている状態において、前記パネル回動制限機構による前記パネルの回動の制限が解除された状態とし、前記パネル回動制限機構によって前記パネルの回動が制限されている状態において、前記アーム回動制限機構による前記アームの回動の制限が解除された状態とする両回動制限機構連動機構を備えた請求項1または請求項2に記載のアーム支持型パネル装置。
【請求項4】
前記アーム回動制限機構が、(A)前記アーム支持体の一部と前記アームの基端部との一方に設けられた第1被係合部と、(B)前記アーム支持体の一部と前記アームの基端部との他方に、前記第1被係合部に係合する位置と係合しない位置との間で移動可能に設けられた第1係合部とを有し、前記第1係合部が前記第1被係合部に係合することによって、前記アームの回動を前記アーム特定回動範囲に制限するように構成され、かつ、
前記パネル回動制限機構が、(C)前記アームの先端部と前記パネルの一部との一方に設けられた第2被係合部と、(D)前記アームの先端部と前記パネルの一部との他方に、前記第2被係合部に係合する位置と係合しない位置との間で移動可能に設けられた第2係合部とを有し、前記第2係合部が前記第2被係合部に係合することによって、前記パネルの回動を前記パネル特定回動範囲に制限するように構成され、
前記両回動制限機構連動機構が、
前記第1係合部を前記第1被係合部に係合する位置へ移動させると前記第2係合部を前記第2被係合部に係合しない位置へ移動させ、前記第1係合部を前記第1被係合部に係合しない位置へ移動させると前記第2係合部を前記第2被係合部に係合する位置へ移動させ、かつ、前記第2係合部を前記第2被係合部に係合する位置へ移動させると前記第1係合部を前記第1被係合部に係合しない位置へ移動させ、前記第2係合部を前記第2被係合部に係合しない位置へ移動させると前記第1係合部を前記第1被係合部に係合する位置へ移動させるように構成された請求項3に記載のアーム支持型パネル装置。
【請求項5】
前記第1被係合部が、前記アーム支持体の一部とアームの基端部との一方としての前記アーム支持体の一部に設けられ、
前記第2被係合部が、前記アームの先端部とパネルの一部との一方としての前記パネルの一部に設けられ、
当該アーム支持型パネル装置が、
前記アームにそれの軸線方向に延びるように設けられるとともに、その軸線方向にスライドするスライダを有し、
そのスライダの前記アーム支持体側の端部が前記第1係合部として機能するとともに、前記スライダの前記パネル側の端部が前記第2係合部として機能し、前記スライダのスライドに伴って、前記スライダのアーム支持体側の端部が前記第1被係合部に係合する位置と前記第1被係合部に係合しない位置との間を移動し、前記スライダのパネル側の端部が前記第2被係合部に係合する位置と前記第2被係合部に係合しない位置との間を移動するように構成されており、前記スライダが前記両回動制限機構連動機構の一部として機能するようにされた請求項4に記載のアーム支持型パネル装置。
【請求項6】
前記アーム回動制限機構が、前記アーム支持体の一部と前記アームの基端部との一方に設けられた第1被係合部を、前記パネル回動制限機構が、前記アームの先端部と前記パネルの一部との一方に設けられた第2被係合部を、それぞれ、有し、
当該アーム支持型パネル装置が、前記アーム支持体の一部と前記アームの基端部との他方を含む前記アーム支持体と前記アームとの一方に、それの特定の位置において装着可能であり、前記アームの先端部と前記パネルの一部との他方を含む前記アームと前記パネルとの一方に、それの特定の位置において装着可能な単一の兼用係合部材を有し、
前記アーム回動制限機構が、
その兼用係合部材がそれが前記アーム支持体とアームとの一方に装着された状態において前記第1被係合部に係合することによって、前記アームの回動を前記アーム特定回動範囲に制限するように構成され、かつ、
前記パネル回動制限機構が、
前記兼用係合部材がそれが前記アームとパネルとの一方に装着された状態において前記第2被係合部に係合することによって、前記パネルの回動を前記パネル特定回動範囲に制限するように構成された請求項1または請求項2に記載のアーム支持型パネル装置。
【請求項7】
前記兼用係合部材が、複数の嵌合部を有し、
前記アーム支持体とアームとの一方が、それら複数の嵌合部を嵌合することが可能な複数の第1被嵌合部を、前記アームとパネルとの一方が、それら複数の嵌合部を嵌合することが可能な複数の第2被嵌合部を、それぞれ、有し、
前記アーム回動制限機構が、
前記複数の嵌合部がそれら複数の第1被嵌合部に嵌合することで、前記兼用係合部材が前記アーム支持体とアームとの一方にそれの前記特定の位置において装着される構造とされ、かつ、
前記パネル回動制限機構が、
前記複数の嵌合部がそれら複数の第2被嵌合部に嵌合することで、前記兼用係合部材が前記アームとパネルとの一方にそれの前記特定の位置において装着される構造とされた請求項6に記載のアーム支持型パネル装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−302204(P2009−302204A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153375(P2008−153375)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
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